以下に、発明を実施するための形態について図面を用いて説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
[第1の実施形態]
本実施形態では、本発明の現像剤劣化状態計測装置について説明する。
本発明の現像剤劣化状態計測装置は、キャリアとトナーの二成分からなる現像剤の劣化状態を計測する現像剤劣化状態計測装置であり、以下の構成を備えている。
一対の電極と、一対の磁石とを備えており、前記一対の磁石は、間隔をあけて対向するように配置され、前記一対の電極は、前記一対の磁石の間に、間隔をあけて対向するように配置される。そして、前記一対の磁石の磁界により、前記一対の電極間に前記キャリアをサンプリングし、サンプリングしたキャリアの電気抵抗値を測定することを特徴とする現像剤劣化状態計測装置である。
具体的な構成について図1を用いて説明する。
図1は、本実施形態の現像剤劣化状態計測装置の横断面図を示しており、サンプリングの対象である、キャリアをその表面に保持した現像スリーブの近傍に配置した例を示している。
図1に示すように、本実施形態の現像剤劣化状態計測装置は、一対の磁石13が一定の間隔をあけて対向するように配置されている。そしてさらに、一対の磁石13の間に対向するように間隔をあけて一対の電極14が配置されている。
ここで、一対の磁石についてはその種類は特に限定されるものではなく、永久磁石、電磁石等の各種磁石を用いることができる。ただし、キャリアの抵抗値を測定する際、後述のように一対の磁石により形成される磁界により、電極間にキャリアをサンプリングすることから、キャリアを電極間に正確に一定量保持できるよう、安定した十分な強さの磁界を形成できるものを用いることが好ましい。
また、一対の電極14の材料としては特に限定されるものではなく、各種導電性電極用材料を使用することが可能であるが非磁性の材料が好ましい。
具体的には銅板、アルミ板、白金板、金板、各種カーボン板、鉄板、ニッケル板、真鍮板、ステンレス板等の各種導電性板を使用することができるが、銅板、アルミ板、各種カーボン板等の非磁性材料であることが望ましい。
図1では、磁石13と電極14とがそれぞれ直接接触するように配置されているが、係る形態に限定されるものではなく、磁石13と電極14の間に間隔を設けてもよい。
ただし、後述のように、一対の電極14間に現像剤のキャリアを一対の磁石13が形成する磁界によりサンプリングするものである。このため、一対の電極14間に、キャリアをサンプリングするために十分な磁界を形成できるよう、磁石13と電極14の間の距離は短くすることが好ましく、磁石13と電極14とが接していることがより好ましい。
本発明の現像剤劣化状態計測装置は、図1に示す様に例えば画像形成装置に搭載することができる。画像形成装置に搭載する場合、感光体11に対して現像剤を供給し、感光体表面に形成された静電潜像を現像する現像スリーブ(現像ローラ)12の表面に、一対の電極14の電極間15の開口部が対向するように配置することが好ましい。
この際、現像スリーブ12の表面と現像剤劣化状態計測装置との間隔については特に限定されるものではない。ただし、現像スリーブ12表面のキャリアをサンプリングするため、現像剤劣化装置の下端部、すなわち電極間15の開口部は、現像スリーブ12の表面とぶつからない程度の近傍にあることが好ましい。
ここで、図1に示した現像剤劣化状態計測装置により、現像剤の劣化状態を計測する手順について説明する。
まず、電極間15に試料となるキャリアを一定量サンプリングする。
キャリアを電極間にサンプリングする手段としては特に限定されるものではないが、例えば、磁石13が電磁石の場合には、計測装置の位置は変化させず、磁石13に対して電流を供給することにより磁界を発生させてサンプリングすることができる。
磁石が永久磁石の場合は、例えば、現像剤劣化状態計測装置をサンプリング試料に近づけることによりサンプリングすることもできる。
また、磁石の位置を変化させ、電極間にサンプリングする構成とすることもできる。具体的には現像剤劣化状態計測装置が、一対の磁石13の位置を変位させ、(前記一対の磁石と)前記一対の電極14との間の距離を変更することが可能な磁石位置変更手段を備える構成とすることもできる。
これは、一対の磁石の位置を変位させ、一対の電極14との間の距離を変更することによって、電極間15にキャリアをサンプリングするものである。この場合、キャリアの電気抵抗値を測定後、磁石の位置を電極間15から遠ざかる様に変位させて電極間からサンプリングしたキャリアを除去することも容易に行える。また、この場合、例えば磁石間の距離を変更することにより、電極間14にサンプリングするキャリアの量を変化させるように構成することもできる。
具体的には、例えば図2(a)、(b)に示したように、一対の電極14の配列方向に対して、一対の磁石13を垂直上方に変位できるように構成することができる。
このように構成することによって、まず、図2(a)の状態では、一対の磁石13を変位させて、一対の電極14から一対の磁石13を遠ざけて(離間して)いる、すなわち、一対の電極14が一対の磁石13間に配置されていない状態としている。このため、電極間には一対の磁石13による磁界がほとんど発生しておらず、キャリアが電極間にサンプリングされていない状態とすることができる。
図2(b)の状態では、一対の磁石13と一対の電極14との間の距離を短くし、一対の磁石13間に一対の電極14があるような配置となっている。このため、一対の電極14間に現像スリーブ12表面のキャリアをサンプリングすることができる。
そして、後述の様にキャリアの電気抵抗値を測定後、再び図2(a)の状態にすることにより、電極間にサンプリングしていたキャリアを排除することができ、次の測定に備えることができる。
このように図2(a)、(b)を所定のタイミングで繰り返し行うことによって、容易に電極間15に一定量のキャリアを正確にサンプリングし、測定に供することが可能になる。
なお、図2中、図1では示している、後述する電圧印加手段17、電流測定手段18の記載を省略しているが、これは記載の便宜のためであり、これらの構成を除外するものではない。
以上に説明してきたように、本発明の現像剤劣化状態計測装置によれば、一対の磁石が形成する磁界により電極間15にキャリアをサンプリングするため、正確に一定量のキャリアを電極間にサンプリングすることが可能になる。
なお、上記いずれの方法で電極間にサンプリングした場合でも、キャリア16は一対の磁石の磁石間に形成された磁界によりキャリアに磁気穂を形成することができる。
次に、一対の電極間15にサンプリングしたキャリア16の電気抵抗値を測定する。
測定手段は特に限定されないが、例えば、測定手段として、現像剤劣化状態計測装置が、対向する一対の電極14間に電圧を印可する電圧印可手段17と、電圧印可手段により電圧を印可された際に前記一対の電極14間に流れる電流を測定する電流測定手段18とを備えていることが好ましい。
そして、前記電極間15にサンプリングしたキャリア16に、前記電圧印加手段17により電圧Vを印加したときの電流Iを前記電流測定手段18により測定し、電気抵抗値Rs=電圧V/電流Iより、キャリアの抵抗値Rsを算出することができる。
次に、キャリアの抵抗値から現像剤の劣化状態を判断できる点について説明する。
キャリアの抵抗値はコート層膜厚が減少するのに従い、減少する傾向を示す。
具体的な例を、図3を用いて説明する。
図3は画像形成装置において、現像剤(トナー濃度 3wt.%)を劣化させたときのキャリアの抵抗測定値の変化を評価したグラフを示す。
図中横軸は劣化時間すなわち、画像形成装置を運転した累積時間を示している。縦軸は、各時間において測定したキャリアの抵抗値を示している。
図3に示すように、キャリアの電気抵抗値は劣化時間に応じてリニアに減少していく。そして、例えばキャリアの使用限界として予め規定していたキャリアの電気抵抗値の下限値Rthである10.3(LogΩ)を、約200時間後に下回っている。この場合であれば電気抵抗値Rsが係る下限値Rthを下回った場合に現像剤の交換時期であることを報知するように構成することができる。
このように、キャリアの劣化状態は、電気抵抗値の減少によって的確に検出が可能であり、予めキャリアの電気抵抗値の下限値を規定しておくことにより、性能が劣化した現像剤(キャリア)を交換する適切な時期をユーザーや管理者等に通知することができる。
なお、上記の様にキャリアの抵抗値は略直線状に変化することから、予め測定しておいた現像剤出荷時(初期値、未使用のキャリアの抵抗値)のデータや、例えばコート層樹脂を塗布していない磁性体キャリア芯材(すなわち、極限まで劣化した状態)のデータと、測定値とを比較し、キャリアの劣化状態を検出、判定することもできる。
このように本実施形態の現像剤劣化状態計測装置を用いることにより、キャリアの劣化の程度を正確に評価することができる。
本実施形態の現像剤劣化状態計測装置の測定対象である現像剤は、キャリアとトナーの2成分現像剤であればよく、各成分の具体的な構成や、その他の添加剤については特に限定されるものではない。
例えばキャリアは、酸化鉄を主成分としたフェライト、マグネタイト、または鉄粉を芯材とし、樹脂でコーティングした磁性体樹脂キャリアを用いることができる。このようなキャリアの被覆材料(コーティング材料)としては、アミノ系樹脂、例えば尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
また、ポリビニルおよびポリビニリデン系樹脂、例えばアクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂およびスチレンアクリル共重合樹脂等のポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル等のハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂およびポリブチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリフッ化ビニル樹脂、ポリ弗化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、弗化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体、弗化ビニリデンと弗化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンと弗化ビニリデンと非弗化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー、およびシリコーン樹脂等も挙げられる。
トナーについては2成分現像剤として使用されるトナーであれば制限されなく、さらに、バインダー樹脂、着色剤、離型剤、帯電調整剤、外添剤などを含むトナーも使用することができる。
バインダー樹脂としては、ポリスチレン、ポリ−p−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレンおよびその置換体の重合体:スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体:ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族叉は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられ、これらは単独で、あるいは2種以上併用して使用できる。
着色剤としては、公知の染料及び顔料が全て使用でき、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフト−ルイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、オイルイエロー、ハンザイエロー、(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラゲンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイヤーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレットB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、クロームバーミリオン、ベンジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサジンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアンエメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトポン等が挙げられ、これらは1種単独で、または2種以上併用することができる。
外添剤としては無機微粒子や疎水化処理無機微粒子の公知のものすべてが使用可能であり、例えば、シリカ微粒子、疎水性シリカ、脂肪酸金属塩(ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウムなど)、金属酸化物(チタニア、アルミナ、酸化錫、酸化アンチモンなど)、フルオロポリマー等を含有してもよく、特に、疎水化されたシリカ、チタニア、アルミナ微粒子を好ましく用いることができる。
外添剤の無機微粒子として、例えば、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化鉄、酸化銅、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。
その中でも特にシリカ、二酸化チタンを好ましく用いることができる。
離型剤としては、例えば固形のパラフィンワックス、マイクロワックス、ライスワックス、脂肪酸アミド系ワックス、脂肪酸系ワックス、脂肪族モノケトン類、脂肪酸金属塩系ワックス、脂肪酸エステル系ワックス、部分ケン化脂肪酸エステル系ワックス、シリコーンワニス、高級アルコール、カルナウバワックスなどを挙げることができる。
なお、以上の条件は本発明の適切な条件の一例を示したものであり、本発明はこれらの条件に限定されない。
以上に説明してきたように、本実施形態の現像剤劣化状態計測装置によれば、一対の磁石を用いて、一対の電極間に簡単かつ正確に一定量のキャリアをサンプリングすることが可能となる。このため、キャリアの電気抵抗値を正確に測定することができ、その劣化の程度の評価を正確に行うことができる。
[第2の実施形態]
本実施形態では、第1の実施形態で説明した現像剤劣化状態計測装置を有する画像形成装置について説明する。
具体的には、感光体に形成された静電潜像をキャリアとトナーの二成分からなる現像剤により現像する現像手段と、第1の実施形態で説明した現像剤劣化状態計測装置と、を有する画像形成装置とすることができる。
まず、画像形成装置の構成例について説明する。
図4は、本実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
図4に示した画像形成装置30は、トナー像形成手段たるプロセスユニットとして、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック(以下、Y、C、M、Kと記す)用の4つのプロセスユニット31Y、31C、31M、31Kを備えている。
これらは、画像を形成する画像形成物質として、互いに異なる色のY、C、M、Kトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっている。プロセスユニットの具体的な構成については後述する。
なお、これらのプロセスユニットの並び順は係る形態に限定されるものではなく、任意に変更することもできる。また、プロセスユニットの数、色に関しても画像形成装置に要求される仕様、性能等に応じて変更することができる。
プロセスユニット31Y、31C、31M、31Kの図中下方には、露光ユニット32が配設されている。
潜像書き込み手段たる露光ユニット32は、画像情報に基づいてレーザ光を各プロセスユニットの感光体(感光体ドラム)表面に照射し、感光体上に静電潜像を形成する。
なお、露光ユニット32は、光源たるレーザーダイオードから発したレーザ光をモータによって回転駆動されるポリゴンミラーによって走査され、複数の光学レンズやミラーを介して感光体に照射するものである。また、係る構成に代えて、LEDアレイによる露光手段を採用することもできる。
露光ユニット32の下方には、給紙トレイ33としての第一給紙カセット、第二給紙カセットが鉛直方向に重なるように配設されている。
これら給紙カセット内には、それぞれ、記録媒体たる記録紙が収容されており、一番上の記録紙には、給紙手段としての図示しない第一給紙ローラ、第二給紙ローラがそれぞれ当接している。
図示しない駆動手段によって、所定のタイミングで給紙ローラが回転駆動されると、記録紙がカセットの図中右側方において鉛直方向に延在するように配設された給紙路に向けて排出される。
給紙路には複数の搬送ローラ対341、342が配設されており、給紙路に送られた記録紙は、これらの搬送ローラ対によって上方に向けて搬送される。
給紙路には、レジストローラ343対が配設されている。
レジストローラ343対の直前に記録紙を搬送ローラから送られてくると、記録紙は一旦停止される。
ここで、中間転写ベルト351を含む中間転写ユニット35について説明する。
各プロセスユニット31Y〜31Kの図中上方には、表面無端移動体である中間転写ベルト351を張架しながら図中反時計回りに無端移動せしめる中間転写ユニット35が配設されている。
転写手段たる中間転写ユニット35は、中間転写ベルト351の他、クリーニング手段としてのベルトクリーニングユニット352、各色の感光体の対向する位置に配設された一次転写手段としての一次転写ローラ353、外部からの駆動を受け中間転写ベルト351を駆動せしめるベルト駆動ローラ354、ベルトテンションローラ等で構成されている。なお、ここでは、ベルト駆動ローラ354は、二次転写手段としての二次転写ローラ36の対向ローラを兼ねている。
中間転写ベルト351はこれらのローラに張架されながら、ベルト駆動ローラ354の回転駆動によって図中反時計回りに無端移動される。
そして、各プロセスユニットの感光体部分を通過する際、各プロセスユニットで形成されたトナー像が中間転写ベルト351に転写され、中間転写ベルト351上にカラー画像が形成される。
中間転写ベルト351の外側に、ベルト駆動ローラ354である二次転写対向ローラと中間転写ベルト351を挟んで対向する位置に、二次転写手段としての二次転写ローラ36は配設され、バネ荷重によって、二次転写対向ローラに所定の荷重で当接し、二次転写ニップが形成されている。
このため、中間転写ベルト351上に形成されたカラー画像は、中間転写ベルト351の回転駆動によって二次転写ニップに移動され、同時に、レジストローラ343からトナー画像の二次転写ニップ進入と同期して一旦停止されていた記録紙を二次転写ニップに進入される。
トナー像は、二次転写ローラ36と二次転写対向ローラとの間に形成される二次転写電界とニップ圧によって、記録紙に二次転写される。
二次転写の電界は、二次転写対向ローラにトナーと同極性の転写バイアスを印加し、二次転写ローラ36を接地することで形成している。
二次転写ニップを通過した後の中間転写ベルト351上には、記録紙に転写されなかったトナーが僅かに残って付着している。
これは、クリーニング手段としてのベルトクリーニングユニット352によってクリーニングされる。
なお、ベルトクリーニングユニット352は、後述する図5のクリーニングブレード425と同様の物を中間転写ベルト351の表面に当接させて構成することができ、これによって、中間転写ベルト351上の転写残トナーを掻きとって除去する。
中間転写ベルト351上から除去された転写残トナーは、廃トナーボトル37に収容され、廃棄される。
二次転写ニップの上方には、定着ユニットが配設されている。
この定着ユニットは、電磁誘導発熱層を内包する定着ローラ381、定着ローラ381と所定圧力で当接され、所定のニップ幅を形成する加圧ローラ382、図示しない温度センサ等で構成されている。
定着ローラ381の図中左側に、定着ローラ381内の電磁誘導発熱層を発熱させるための電磁誘導手段であるIHコイルユニット383を有し、定着ローラ381は、IHコイル383による電磁誘導で加熱される。
各ローラは図示しない駆動源によって加圧ローラ382が時計方向に、定着ローラ381は反時計方向に回転移動する。
二次転写ニップを通過した記録紙は、中間転写ベルト351から分離した後、定着ユニット内に送られる。
そして、定着ユニットの定着ニップに挟まれながら図4の図中下側から上側に向けて搬送される過程で、定着ローラ381によって加熱され、同時に定着ニップで加圧されてトナー画像が記録紙上に定着せしめられる。
このようにして定着処理が施された記録紙は、排紙ローラ対を経由して機外に排出され、プリンタ本体の上面にスタックされる。
中間転写ユニット35の上方には、Y、C、M、Kトナーを収容する各色のトナーボトル39が配設することができる。
トナーボトル39に収容された各色のトナーは、各色のプロセスユニットの現像ユニットに適宜供給される。
これらトナーボトル39は、プリンタ本体から着脱可能となっており、トナーボトル39内のトナー残量がなくなると、トナーボトル39を交換できるようになっている。
なお、本実施形態に係るプリンタは、他に通紙経路401、定着進入ガイド402、付着量センサ403、両面経路404等を備えることができる。
次に、図5を用いて図4で示したプロセスユニット31Y〜31Kの構成例について説明する。図5では、プロセスユニット31Yを例に説明するが、他のプロセスユニットについても同様の構成とすることができる。
図5は、プロセスユニット31Yの断面概略図を示したものであり、プロセスユニット31Yは、感光体ユニット41と現像ユニット42とを有している。
これら感光体ユニット41と現像ユニット42は一体的にプリンタ本体に対して着脱可能に構成することができる。また、現像ユニット42を感光体ユニット41から着脱可能に構成することもできる。
感光体ユニット41は、潜像担持体たるドラム状の感光体411、感光体411に付着した転写残トナー等を除去し回収する潜像担持体クリーニング手段たるドラムクリーニング装置412、感光体411の表面摩擦係数を所定の値にするための滑剤塗布ブラシ413および滑剤(例えばステアリン酸亜鉛)414、滑剤414を感光体411上に均一に塗布するための滑剤塗布ブレード415、感光体411を均一に帯電するための帯電ローラ416などを有している。
帯電ローラ416は、図示しない駆動手段によって図中時計回り方向に回転駆動する感光体411の表面を図示しない帯電バイアス印加手段からAC電圧にDC電圧を重畳した帯電バイアスを印加して一様に帯電させる。
そして、画像信号に対応した図示しない露光手段から発せられるレーザ光によって露光走査されて感光体411表面に静電潜像を形成する。
現像ユニット42は、第一搬送スクリュー421が配設された第一現像剤収容部と、第二搬送スクリュー422が配設された第二現像剤収容部を有しており、第一現像剤収容部の下面には、透磁率センサからなるトナー濃度センサ423が設置されており、磁性体であるキャリア粒子とトナーの混合比を透磁率から算出し、所定のトナー濃度になるように、図示しないトナー補給装置から必要によってトナーを補給することができる。
第一搬送スクリュー421は、図示しない駆動手段によって回転駆動され、第一現像剤収容部内の現像剤を図面に直交する方向における奥側から手前側に搬送され、第一現像剤収容部と第二現像剤収容部との間の仕切り壁に設けられた図示しない連通口を経て、第二現像剤収容部内に進入する。
第二現像剤収容部内の第二搬送スクリュー422は、図示しない駆動手段によって回転駆動されることで、現像剤を図中手前側から奥側に搬送する。
第二搬送スクリュー422の上方には、現像スリーブ424が第二搬送スクリュー422と平行な姿勢で配設され、現像剤担持体たる現像スリーブ424は図中反時計回り方向に回転駆動される。
現像スリーブ424は非磁性材料パイプから構成することができ、表面をサンドブラストで粗面化処理することができる。ここで、現像スリーブ424の材質としては特に限定されるものではなく、例えば上記の様に非磁性材料を用いることができる。特に剛性を有していることから金属であることが好ましく、例えばアルミニウム等を用いることができる。
現像スリーブ424の内部には、図示しないマグネットが配設されており、第二搬送スクリュー422によって搬送される現像剤の一部は、このマグネットの発する磁力によって現像スリーブ424表面に汲み上げられる。
そして、現像スリーブ424と所定の間隙を保持するように配設されたドクターブレード425によってその層厚が規制された後、感光体411と対抗する現像領域まで搬送され、図示しない現像バイアス印加手段から現像スリーブ424に印加される現像バイアスによって、感光体411上に形成された静電潜像にトナーを付着させ、トナー像を形成する。
現像によってトナーを消費した現像剤は、現像スリーブ424の回転に伴って第二搬送スクリュー422上に戻される。そして、図中奥端まで搬送されると、図示しない連通口を経て第一収容部内に戻る。
感光体411上に形成されたトナー像は既述のように中間転写ユニット35の中間転写ベルト351に転写される。
ここで、中間転写ユニットの一部としての一次転写ローラ353は中間転写ユニットの一部としての中間転写ベルト351を挟んで感光体411に当接し、一次転写ニップを形成している。
一次転写ローラ353に感光体411上に形成されたトナー画像のトナーとは逆極性の転写バイアスを印加することで、感光体411上のトナー画像を中間転写ベルト351上に転写する。
このようにして各色のプロセスユニット(作像ユニット)で形成された各色のトナー画像は、中間転写ベルト351上に順次一次転写され、中間転写ベルト351上にカラー画像が形成される。
そして、中間転写ベルト351上に形成されたカラー画像は上述のように記録紙に2次転写された後定着されることとなる。
各プロセスユニット内には、上記の様にトナー濃度センサ423が設けられており、現像剤のトナー濃度を測定することができる。トナー濃度センサ423による現像剤の透磁率の検知結果は、電圧信号として図示しない制御部に送られる。
現像剤の透磁率は、現像剤のトナー濃度と相関を示すため、トナー濃度センサ423はトナー濃度に応じた値の電圧を出力することとなる。
上記制御部はRAM等の情報記憶手段を備えており、この中にトナー濃度センサ423からの出力電圧の目標値であるVrefを格納しており、トナー濃度センサ423からの出力電圧値とVrefとを比較する。そして、比較の結果、トナーの補給が必要であると判断した場合には、図示しないトナー供給装置により、各色のトナーボトル39から比較結果に応じたトナー量を現像ユニット42中の第一現像剤収容部の図中奥側からトナーを補給し、現像剤中のトナー濃度を所望の値に維持する。
なお、トナー濃度センサ423とトナー供給装置による本制御は、各色個別に実施される。
そして、上記構成を有する画像形成装置に、第1の実施形態で説明した現像剤劣化状態計測装置を設けることができる。具体的な構成例について、主に図1、図2を用いながら以下に説明する。
現像剤劣化状態計測装置の設置位置としては、計測対象であるキャリアを現像剤劣化状態計測装置の電極間15にサンプリングできるように配置されていれば特に限定されるものではない。
例えば、図1に示すように、現像剤劣化状態計測装置を構成する一対の電極14の電極間15にサンプリングするための開口部が現像スリーブ12の近傍になるように配置することができる。具体的には、一対の電極14が現像スリーブ12に接触しない程度に間隔をあけ、(現像剤劣化状態計測装置設置位置の対向位置における)現像スリーブの接線と、現像剤劣化状態計測装置の一対の電極14とが略垂直になるように配置することができる。
電極間15にサンプリングするための開口部とは、電極間15に試料であるキャリアをサンプリングするために設けられた開口部で、例えば一対の電極14の試料と対向する側の端部(図1中では下端部)間に渡って設けることができる。
そして、現像スリーブ12表面のうち、現像スリーブ12による現像剤の搬送開始位置から、感光体11との最近接位置までを除いた範囲に現像剤劣化状態計測装置の電極間15にサンプリングするための開口部が対向するように設置することが好ましい。なお、現像スリーブによる現像剤の搬送開始位置とは、図5において、第二搬送スクリュー422によって搬送され、現像スリーブ424内のマグネットによる磁力によって汲み上げられる位置を意味している。
また、現像剤劣化状態計測装置の電極間15にサンプリングするための開口部が、現像スリーブにおける、前記した感光体11との最近接位置から、現像剤貯蔵容器までの間の近傍に設けられることがより好ましい。
現像剤劣化状態計測装置の電極間15にサンプリングするための開口部が、現像スリーブにおける前記した感光体11との最近接位置から、感光体11の現像工程終了後に感光体表面に残されたキャリアが自重によって落下する位置までの近傍に設けられることが特に好ましい。
このように、画像形成装置に第1の実施形態で説明した現像剤劣化状態計測装置を配置することにより、画像形成装置のキャリアの劣化の程度を正確に評価することが可能になり、適切なタイミングで現像剤(キャリア)の交換を行うことが可能になる。
なお、上記のように画像形成装置において複数の現像ユニットを有する場合は、それぞれの現像ユニットに現像剤劣化状態計測装置を備えていることが好ましい。
そして、現像剤劣化状態計測装置においては、第1の実施形態で説明した、一対の磁石13の位置を変位させ、一対の電極14との間の距離を変更することが可能な磁石位置変更手段を備えることができる。
係る構成の場合、例えば現像ローラ12が回転している場合は、図2(a)に示すように一対の磁石13を一対の電極14に対して離れた位置に配置し、電極間15には磁界を発生していない状態にできる。
そして、現像ローラ12が停止したときに、一対の磁石13が、一対の電極14がその間に配置されるように、磁石位置変更手段により一対の磁石13の位置を変位させ、一対の電極14に接近し、場合によっては接触させ、電極間15に磁界を発生させる。これにより、現像スリーブ12表面のキャリアを電極間15に一定量引きよせ、サンプリングすることができる。なお、電極間に一定量のキャリアを正確にサンプリングするため、サンプリングを行うのは、現像スリーブ12の回転が止まっている時であることが好ましい。
また、第1の実施形態で説明したようにその他のサンプリング方法により構成しても良い。
電極間にキャリアをサンプリングした後に、電極間15にサンプリングしたキャリアについて電気抵抗値を測定することができる。
電気抵抗値については、例えば第1の実施形態で説明したように、一対の電極14に電圧Vを印加し、その時電極14間に流れる電流Iを測定し、電圧値V、電流値Iからキャリアの電気抵抗値Rsを算出することができる。
上記現像剤劣化状態計測装置がキャリアをサンプリングし、その電気抵抗値Rsを測定(算出)するタイミングについては特に限定されるものではなく、所定の周期で、または、任意のタイミングにより行うことができる。具体的には、例えば、現像スリーブの回転が止まった際に毎回または、所定の回数ごとにサンプリング、測定することができる。また、ユーザーや管理者等の操作により任意のタイミングで測定を行うように構成しても良く、上記所定のタイミングでの測定に、任意のタイミングでの測定を組み合わせても良い。
そして、第1の実施形態で図3を用いて説明したように、キャリアの電気抵抗値は劣化時間に対して略直線的に減少する。例えば、電気抵抗値Rsと予め規定したキャリアの電気抵抗値の下限値Rthとを比較することにより、キャリアの劣化の程度、現像剤の交換時期を判断することができる。
現像剤を交換すべきと判断する電気抵抗値、すなわち、使用可能な限界である下限値Rthは予め開発者が測定、あるいは経験値等から導き出すことができる。
そして、測定したキャリアの電気抵抗値Rsが下限値Rthを下回り、現像剤の交換時期であると判定した場合には、ユーザーや管理者等に対して報知(通知)できるよう構成されていることが好ましい。
すなわち、画像形成装置は、現像剤を構成するキャリアが使用限界に達しており現像剤の交換時期であることを報知する報知手段を有していることが好ましい。
報知手段としては特に限定されるものではなく、ユーザー等が認識できるように構成されていれば良い。例えば、操作パネルに表示したり、警告等を点滅または点灯したりすることにより視覚的に表示することができる。
なお、上記のように画像形成装置が複数の現像ユニットを有しており、それぞれの現像ユニットに現像剤劣化状態計測装置が設けられている場合には、上記報知手段は、いずれの現像ユニットに関する表示であるかを明示できるように構成されていることが好ましい。
また、画像形成装置はネットワークを介して画像形成装置を保守、管理するサービス側端末に接続することができる。この場合、画像形成装置は前記現像剤劣化状態計測装置による測定結果に基づくキャリアの状態についての情報を、ネットワークを介して接続されたサービス側端末に送信する、現像剤情報送信手段を備えていることが好ましい。
これにより、画像形成装置についてのメンテナンス提供者(保守・管理者)は適切なタイミングで画像形成装置の現像剤(キャリア)を交換または補充することが可能になる。
このように、現像剤について現像剤劣化状態計測装置によりサンプリングと抵抗値の測定を所定の、または、任意のタイミングで行うことによって、容易に画像形成装置内のキャリアの劣化の程度を正確にモニターすることができる。
そして、キャリアが劣化したと判断した際に、現像剤を交換するタイミングを報知する報知手段を画像形成装置が有することにより、ユーザー等にキャリアの適切な交換タイミングを通知することができる。
さらに、画像形成装置は、上述の様に2成分現像剤を用いているため、トナーの補充のタイミングについて報知する報知手段を有していることが好ましい。これは、例えば、トナーボトル内のトナー残量が少なくなった時、および/または、トナーボトル内のトナーがなくなった場合に、これを報知する手段である。
具体的な報知手段は限定されるものではなく、ユーザー等が分かるように示せればよく、例えば画像形成装置の操作パネルに表示したり、表示灯を点灯または点滅したりするように構成することもできる。
なお、報知手段は、画像形成装置がトナーボトルを複数有している場合、いずれのトナーボトルであるかを明示するように構成されていることが好ましい。
また、画像形成装置がネットワークを介してサービス側端末に接続されている場合には、サービス側端末に対して、現像剤を構成するトナーの状態についての情報、例えばトナーボトル中のトナー残量等の情報を送信できる現像剤情報送信手段を備えていることが好ましい。これにより、画像形成装置についてのメンテナンス提供者は適切なタイミングで画像形成装置のトナーを補充することが可能になる。
係る構成を有することによって、適切な時期にユーザー等は交換用のトナーを準備、補充することができるようになり好ましい。
画像形成装置は、ここまで説明した現像剤を構成するキャリアの交換のタイミングを報知する報知手段、トナーの補充のタイミングを報知する報知手段のいずれか一方を備えるものであっても良く、両方の報知手段を有することもできる。
すなわち、前記画像形成装置は、現像剤の交換のタイミングおよび/またはトナーの補充のタイミングを報知する報知手段を有することができる。
これにより、現像剤(キャリア)の交換および/またはトナーの補充(トナーボトルの交換)をどのタイミングで実施するかをユーザー等に報知する機能を有することができる。
特に、画像形成装置の現像剤を適切な状態に保つため、現像剤(キャリア)交換のタイミングおよびトナーの補充(トナーボトルの交換)のタイミングの両方を報知する報知手段を備えることがより好ましい。
また、画像形成装置が上記の様にネットワークを介して接続されている場合には、前記現像剤劣化状態計測装置による測定結果に基づくキャリアの状態についての情報および/またはトナーの状態についての情報を、ネットワークを介して接続されたサービス側端末に送信する、現像剤情報送信手段を備えることができる。
係る構成を有することにより、第3の実施形態で後述するように、サービス側端末で画像形成装置の現像剤を構成するキャリアおよび/またはトナーの状態に関する情報を把握することが可能になる。このため、ユーザーに対して適切なタイミングでサービスを提供することが可能になる。
以上説明してきた本実施形態の画像形成装置においては、第1の実施形態で説明した現像剤劣化状態計測装置を備えているため、画像形成装置で使用している現像剤を構成するキャリアの劣化の程度を正確に測定、評価することが可能になる。このため、現像剤(キャリア)を適切なタイミングで交換することが可能になる。従って、長時間(長期間)にわたって使用しても、安定して良質な画像を提供できる画像形成装置を提供することができる。
[第3の実施形態]
本実施形態では、第2の実施形態で説明した画像形成装置が、該画像形成装置の保守、点検を含む管理をするためのサービス側端末とネットワークを介して接続された保守管理システムについて説明する。
係る保守管理システムにおいては、サービスセンター等に設置されたサービス側端末で現像剤(キャリア)の交換やトナーの補充(トナーボトルの交換)の有無や、これらを交換または補充する時期の予測を行うことができる。
具体的には、該保守管理システムは、第2の実施形態で説明した画像形成装置と、前記画像形成装置を保守、管理するサービス側端末と、を備えている。
そして、前記画像形成装置と前記サービス側端末とがネットワークを介して接続されており、前記画像形成装置の前記現像剤情報送信手段から送信される現像剤を構成するキャリアまたはトナーの少なくとも一方の状態についての情報に基づいて、前記サービス側端末が現像剤の交換時期および/またはトナーの補充時期の情報を表示する保守管理システムである。
図6に本実施形態に係る保守管理システム60の構成例を示す。
保守管理システム60は、画像形成装置61を有しており、画像形成装置は以下のように構成されている。
CPU611は画像形成装置のCPUであり、ROM612に記憶された制御プログラム等に基づいてシステムバスに接続される各種デバイスとのアクセスを総括的に制御する。また、I/O615を介して接続されるセンサ等の電装品の入出力を制御したり、図示していない外部I/Fを介してホストコンピュータ62などの外部装置との通信処理が可能となっている。
RAM613は前記CPU611の主メモリ、ワークエリア等として機能するRAMで、図示しない増設ポートに接続されるオプションRAMによりメモリ容量を拡張することが可能である。なお、RAM613は、記録データ展開領域、環境データ格納領域等に用いられる。
各NVRAM614は、例えば各トナーボトルに搭載され、各トナーボトル内のトナーの消費量などの情報が格納される。
また、操作パネル617によって、プリンタモードや印刷条件などを設定できる。
センサ616は、第1の実施形態等で説明した現像剤劣化状態計測装置や、トナーボトル内のトナー残量検出センサ等を含むものである。
サービス側端末63は図示していない外部I/F及びネットワークを介して画像形成装置61と接続されている。ここでのネットワークは有線、無線いずれであっても良い。
サービス側端末63は画像形成装置60の保守、点検を含む管理を行う端末である。具体的には、画像形成装置の不具合を自動的に監視し、例えばユーザー側で対処しきれない事故が発生した場合に画像形成装置側から報知され、発生した事故を解決できるように保守点検を行うことが可能なシステムとなっている。
このようなシステムにおいては所定の条件に達すると図7に示すフローチャートに従って、現像剤(キャリア)の交換の判断フローが実施される。
具体的には、まず、システム内の画像形成装置(制御部)61では、所定の条件(または所定のタイミング)に達すると、現像剤劣化状態計測装置により、現像剤の劣化状態を計測するプログラムを作動する指令(劣化試験の指令)がされ、プログラムを起動する(S71)。
そして、起動したプログラムに基づいて、第1の実施形態で説明した現像剤劣化状態計測装置によりキャリアのサンプリングが実行されキャリアの電気抵抗値Rsの計測、算出がなされる(S72)。
次に得られた電気抵抗値Rsを、サービス側端末63に送信し、サービス側端末に格納されているテーブルを参照して該測定値が下限値Rth以下であるか、否かを判断し(S73)、下限値Rth以下ならばS74に進み、サービス側端末上に現像剤の交換時期である旨報知する。そして、それを受けた画像形成装置61の管理者、サービスマン等が現像剤の交換を行う。
S73において、サービス側端末63が下限値Rthより大きいと判断した場合は、S74には進まずプログラムを終了する。この際、サービス側端末63に測定結果から予測される現像剤の交換時期に関する予測情報を表示するように構成することもできる。
本発明では、前記した現像剤劣化状態計測装置により、現像剤の劣化状態を計測するプログラムは、いつでも起動可能なように画像形成装置内にプレロードしてあってもよい。また、このプログラムは例えばサービス側端末から必要な時期に画像形成装置にプレロードあるいはダウンロードされてもよい。
S71におけるプログラムを作動する指令が出される条件としては、例えば、サービス側端末63や操作パネル617からの指令のように任意の条件でもよく、また、所定の印刷枚数毎、現像スリーブが停止する毎など予め規定した条件でも良い。
本実施形態ではS73において、測定値した電気抵抗値Rsと下限値Rthの比較、判断の処理をサービス側端末で行う例を用いて説明したが、係る比較、判断の処理は画像形成装置61内で行っても良い。そして、その判断の結果をサービス側端末に送信する構成とすることもできる。
また、ここでは、現像剤についての例を用いて説明したが、第2の実施形態で説明したように、トナーの状態やトナーの補充のタイミングについてもサービス側端末に送信できるように構成することもできる。この場合、サービス側端末にトナーの補充時期(トナーボトルの交換時期)であることを表示したり、補充時期についての予測情報を表示したりするように構成することもできる。
以上説明した本実施形態の保守管理システムによれば、第2の実施形態で説明した画像形成装置を備えているため、現像剤を構成するキャリアの状態について正確に評価、判断を行うことができる。そして、その結果がサービス側端末にネットワークを介して送信されるため、サービス側端末が設置されたサービスセンターにおいて画像形成装置の現像剤(キャリア)の交換のタイミングを把握することが可能になる。
また、トナーの補充タイミングについて把握することが可能になる。
このため、適切なタイミングで現像剤の交換および/またはトナーの補充を行うことが可能になり、ユーザーが画像形成装置を使用できない期間を長期間に渡って発生させたり、画像品質が悪化した状態で使用させたりすることを防ぐことが可能になる。