JP6031243B2 - ミシン - Google Patents
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Description
一方、近年のミシンは、ミシンモーターに限らず、多くの負荷となる駆動機器(例えば、X−Yステージの駆動モーター又は各種のソレノイド等)を搭載しており、これら駆動機器の電源回路は、電源電圧の変動により動作不良が生じやすい。このため、電源電圧が低下した場合には、エラーを表示してミシン全体の動作を停止するなどの対処が行われていた。
一方、エラー停止が発生すると、ミシンのサイクルタイムが大きく損なわれるので、従来のミシンでは、ミシンモーターのモーター電流を検出し、これが基準値を超えないように通電制御を行い、また、その基準値をミシンモーターの制御回路内で検出される比較電圧により調整していた(例えば特許文献1参照)。
また、電源電圧の低下を直接的に検出しているので、実際に電源電圧の低下が生じている時にのみ、ミシンモーターの通電の中断処理を実行することができ、不要な中断を回避することが可能となる。
さらに、ミシンが複数台で同じ電源から供給を受けている環境下で、いずれかのミシンの駆動による電源電圧の低下が生じても、即座に対応し、複数のミシンによる縫製を継続させることが可能である。
このミシン10は、針棒の上下動に同期させながら、一針ごとの針落ち位置を定めた縫製データーに従って被縫製物である布地を移動位置決めすることで、所定の縫製パターンを形成するいわゆる電子サイクル縫いミシンである。
なお、保持枠、その昇降装置、糸調子装置、糸切り装置、針上下動機構及び釜機構は、従来周知の構成と同様なので、図示及び説明は省略する。
また、周辺装置制御用CPU62は、上記I/Oインターフェイス64を通じてオペレーターがミシン10に対して各種の設定入力を行うための操作パネル26と縫製動作の開始を指示入力する起動スイッチ27とが接続されている。
この主制御部50によって行われる電源制御については後述する。
主電源回路41は、商用電源200からの供給電力を整流し、周辺装置用電源生成回路44,ミシンモータードライバー42のそれぞれに適正な電圧の直流電源を供給する。例えば、主電源回路41は、周辺装置用電源生成回路44には80[V]程度の直流電源を供給し、ミシンモータードライバー42には300[V]程度の直流電源を供給する。
この主電源回路41は、整流のために、商用電源200と接続される図示しない変圧器と、当該変圧器の一次側(商用電源200側)の電圧を検出する電圧検出部としての電圧検出器411とを備えている。
周辺装置用電源生成回路(副電源回路)44は、主電源回路41からの供給電力を受けて、X軸モーター21,Y軸モーター22,各周辺装置のアクチュエーター23の駆動に適した電圧で電力供給を行う回路である。
アクチュエーター用ドライバー63は、周辺装置用電源生成回路44から供給される電力により各周辺装置のアクチュエーター23の駆動制御を行う回路である。
周辺装置制御用CPU62は、主制御部50と連携してX軸モーター21及びY軸モーター22や周辺装置のアクチュエーター23の動作制御を行い、また、操作パネル26,起動スイッチ27の入力操作を監視する演算処理装置である。
これに対して、ミシンモーター24よりも低電圧で作動するモータードライバー61,アクチュエーター用ドライバー63等は、電圧変動の影響を受けやすく、商用電源200の電圧に低下が生じると、制御指令通りに駆動機器としてのX軸モーター21,Y軸モーター22又はアクチュエーター23を作動させることができなくなるという問題がある。
このため、主制御部50は、電圧検出器411により、一次電圧がモータードライバー61又はアクチュエーター用ドライバー63に制御不良が生じ得る第一の閾値V01(例えば165[V]とする)以下と検出された状態が所定時間継続した場合には、ミシンモーター24をエラー停止させる動作制御を実行する。
さらに、主制御部50は、電圧検出器411により、第一の閾値V01以下ではないが、当該第一の閾値V01に近く、これよりも高い第二の閾値(下限値)V02(例えば170[V]とする)以下と検出された状態が所定時間継続した場合には、ミシンモーター24への駆動電流の通電を一時的に中断する動作制御を実行する。
なお、このフローチャートの処理は、所定の繰り替えし周期(例えば、1[ms])で繰り返し実行される(ENDからSTARTに戻る)ものである。この繰り返し周期1[ms]は、主制御部50を構成するROM52に記憶されている。
また、初回の実行時には、第一の閾値V01以下の時間を計時するカウント値sと第二の閾値V02以下の時間を計時するカウント値tはいずれも0の状態から開始される。
次いで、第一の閾値V01以下の時間を計時するカウント値sが20に達したか否かを判定する(ステップS5)。
カウント値sが20以上の場合には、この処理の繰り返し周期が1[ms]なので、一次電圧が第一の閾値V01以下の状態が20[ms]以上継続したことを示し、その場合には、CPU51はミシンモーター24をエラー停止させる(ステップS7)。なお、ミシンモーター24がエラー停止となった場合には、ミシン10の主電源を入れ直すなどの所定の復帰動作を行わないと、縫製の再開ができないようになっている。また、このエラー停止により、各カウント値s,tはいずれもリセットされる。
また、ステップS5において、カウント値sが20に達していない場合には、ステップS17に処理が進められる。
そして、CPU51は、電圧検出器411により、一次電圧が第二の閾値V02以下であるか判定する(ステップS11)。
この判定により、電圧検出器411により検出された一次電圧が第二の閾値V02より高い場合には、カウント値tはリセットされる(ステップS13)。また、後述するステップS19によりミシンモーター24へ通電が停止中の場合には通電を再開する。そして、処理を終了する。
さらに、第二の閾値V02以下の時間を計時するカウント値tが20に達したか否かを判定する(ステップS17)。
カウント値tが20以上の場合には、この処理の繰り返し周期が1[ms]なので、一次電圧が第二の閾値V02以下の状態が20[ms]以上継続したことを意味する(第一の閾値V01以下の状態の時間を含む)。
その場合には、CPU51は主電源回路41を制御して、ミシンモーター24に対する通電を一時的に中断し(ステップS19)、処理を終了する。なお、ここでのミシンモーター24への通電の中断は、次回以降で繰り返される電源制御の処理におけるステップs13において再開される。
さらに、ミシン10が複数台で同じ商用電源200から供給を受けている環境下で、いずれかのミシンの駆動による電源電圧の低下が生じても、即座に対応し、複数のミシンによる縫製を継続させることが可能である。
これにより、検出される電源電圧にノイズが生じたことによる電圧低下によってミシンモーター24への通電の中断処理の実行を回避することができ、適正な対応をとることが可能である。
また、第一の閾値(停止基準値)V01や第二の閾値(下限値)V02については、上記の数値の例に限定されるものではない。例えば、第一の閾値V01は、ミシンが備えるミシンモーター以外のアクチュエーターに誤作動が生じない範囲で最も低い電圧値であればよく、第二の閾値V02は、第一の閾値V01と明確に識別して検出できるように、第一の閾値V01よりも一定の範囲で高い電圧値とすることが望ましい。
第二の閾値(下限値)V02(例えば170[V]とする)以下と検出された状態が所定時間継続した場合の停止時間(1[ms])は、図2に示す動作フローが所定の繰り替えし周期で繰り返し実行されるため、繰り返し周期と一致する。
繰り返し周期1[ms]は、主制御部50を構成するROM52に記憶されている。これに代えて、繰り返し周期をEEPROM54に記憶させて、操作パネル26から設定変更できるようにしても良い。繰り返し周期と一致する駆動機器の停止時間は、1[ms]としたが、
これに代えて、0.5〜15[ms]の範囲(微小時間)や、0.5〜10[ms]の範囲(微小時間)に設定すると駆動機器の動作が円滑となる。
また、第二の閾値(下限値)V02以下の一次電圧を検出したときにミシンモーター24への通電を中断する時間(停止時間)についても、上述した数値に限定するものではない。例えば、ミシンモーター24において、異音や振動が生じない範囲でより長くしても良いし、電源電圧の低下を回復可能な範囲でより短い時間としても良い。
また、ミシン10は、主制御部50が、電圧検出器411の検出する一次電圧が第一の閾値(停止基準値)V01以下となる状態が、予め定められた所定時間(上記の例では20[ms])経過した場合に、ミシンモーター24をエラー停止する制御を行っている。
これにより、検出される電源電圧にノイズが生じたことによる電圧低下によってミシンモーター24へのエラー停止を回避し、適正な対応をとることが可能である。
21 X軸モーター(駆動機器)
22 Y軸モーター(駆動機器)
23 アクチュエーター(駆動機器)
24 ミシンモーター
41 主電源回路
44 周辺装置用電源生成回路(副電源回路)
50 主制御部(電源制御部)
200 商用電源(外部電源)
411 電圧検出器(電圧検出部)
V02 第二の閾値(下限値)
Claims (1)
- 外部電源に接続される主電源回路と、
縫製動作の駆動源であるミシンモーターと、
縫製に付随する動作の駆動源となる駆動機器と、
前記主電源回路からの電力を前記駆動機器に供給する副電源回路と、
前記主電源回路の制御を行う電源制御部とを備えるミシンにおいて、
前記主電源回路が有する変圧器の一次電圧を検出する電圧検出部を備え、
前記電源制御部は、
前記電圧検出部の検出する一次電圧が第二の閾値以下となる状態が、予め定められた所定時間経過した場合に、予め定められた停止時間の間、前記ミシンモーターへの通電を中断する制御を行い、
前記電圧検出部の検出する一次電圧が前記第二の閾値よりも低い第一の閾値以下となる状態が、予め定められた所定時間経過した場合には、前記ミシンモーターをエラー停止する制御を行い、
前記電圧検出部の検出する一次電圧が前記第二の閾値以下となって前記ミシンモーターへの通電が中断された場合には、前記電圧検出部の検出する一次電圧が前記第二の閾値よりも高くなった場合に前記ミシンモーターへの通電を再開させることを特徴とするミシン。
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