JP6031014B2 - 土壌の改良方法 - Google Patents
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Description
施工時には、土壌の含水比を上述の所定範囲内に維持した状態で締固めることにより、所望の密度(乾燥密度)を得ることが可能である。
この点、特許文献1に記載の技術では、アルカリ金属珪酸塩及びアルカリ金属シリコネートを含有する薬剤を土壌に添加して締固めることにより、土壌の固化及び疎水化を図っている。
尚、本発明において、「土性」とは、土壌の性質、又は、粒径組成による土壌の分類を意味する。
また、本実施形態では、盛土や路床等の施工時の土壌の改良方法に例に挙げて、本発明に係る土壌の改良方法を説明するが、本発明に係る土壌の改良方法が適用可能な施工形態はこれに限らない。
本実施形態で使用され得るアルカリ金属珪酸塩は、SiO2対アルカリ金属酸化物、殊にNa2O又はK2Oの重量比2.3〜3.5、密度1240〜1535kg/m3及び粘度5〜850mPa・s(20℃)を有するのが有利である。
Ra(R1O)b(M+O−)cSiO(4−a−b−c)/2 (I)
[式中、Rは同一又は異なるものであってよく、1価のSiC−結合有機基を表し、R1は同一又は異なるものであってよく、1価の置換又は非置換の炭化水素基を表し、M+は同一又は異なるものであってよく、アルカリ金属イオン又はアンモニウムイオン、殊にNa+又はK+を表し、aは0、1、2又は3、好ましくは1であり、bは0、1、2又は3、好ましくは1又は2であり、cは0、1、2又は3、好ましくは1である(但し、a、b及びcの合計は3以下であり、分子1個当たり少なくとも1個の基(M+O−)が存在することを前提とする)]の単位からのものである。
基R1の例としては、上述の基Rの例を挙げることができる。ここで、基R1としては水素、炭素原子数1〜6を有する炭化水素基、特に水素原子、メチル−及びエチル基、殊に水素原子が有利である。
本実施形態で使用され得るアルカリ金属シリコネートはカリウムアルキルシリコネートの水溶液が特に有利である。カリウムアルキルシリコネートは、土壌に疎水性(撥水性)を付与する機能を有する。土壌に疎水性が付与されると、土壌での水の吸収が抑制されるので、土壌に長期的な耐荷重性、安定性、耐凍結性が付与される。尚、図2には、カリウムアルキルシリコネートの一例として、カリウムメチルシリコネートが示されている。
図2は、カリウムメチルシリコネートと二酸化炭素との反応を示す。
カリウムメチルシリコネートを土壌に添加すると、カリウムメチルシリコネートは、例えば土壌の周辺の空気中の二酸化炭素と反応して、この結果、メチルシリコーンレジンと炭酸カリウムとが生成される。これにより、土壌の表面上及びその内部には、メチルシリコーンレジンによる架橋性ネットワークが形成される。この架橋性ネットワークを構成するメチル基が傘のように並ぶことで、土壌に疎水性が付与される。
ステップS4では、実含水比wが所定の含水比ws以上であるか否かを判定する。ここで、所定の含水比wsとは、後述するステップS6にて、薬剤を添加対象の土壌の全体に行き渡らせるために必要な水を薬剤と共に土壌に添加すると、土壌の含水比が目標含水比wt以上となるか否かを判定するための閾値であり、予め設定されている。
一方、ステップS4にてw<wsであれば、薬剤を添加対象の土壌の全体に行き渡らせるために必要な水を薬剤と共に土壌に添加しても、土壌の含水比が目標含水比wt未満となると判定されて、ステップS6に進む。
ステップS6では、例えば、地盤改良用機械(例えばスタビライザー)で薬剤及び水を土壌に添加して混合する。スタビライザーによって薬剤及び水が混合される土壌の深さ(換言すれば、スタビライザーによって撹拌される土壌の深さ)と、スタビライザーの走行速度とに基づいて、スタビライザーの処理量(単位時間当たりの土壌撹拌量)が得られる。それゆえ、ステップS6では、この処理量を考慮して、上述の設定された添加率K及び目標含水比wtとなるように、薬剤及び水が、改良対象の土壌に添加され得る。
締固められた土壌に送気される気体の温度は、締固められた土壌の周辺の空気の温度よりも高いことが好ましい。これにより、締固められた土壌の乾燥が促進されると共に、薬剤中の珪酸塩成分からのシリカゲル形成が促進され、更に、上述の図2に示すような化学反応が促進されるので、薬剤の機能(具体的には、土壌の力学的強度を向上させる機能、及び、土壌に疎水性を付与する機能)が早期に発現され得る。
図3は、砕石及び石粉の粒度分布の一例を示す。図4(A)は、砕石の締固め曲線を示す。図4(B)は、砕石の含水比と一軸圧縮強度と薬剤添加率との関係を示す。図5(A)は、石粉の締固め曲線を示す。図5(B)は、石粉の含水比と一軸圧縮強度と薬剤添加率との関係を示す。ここで、図4(B)は、砕石に薬剤を添加し、締固めて、乾燥させた後の砕石の一軸圧縮強度と、締固め時の砕石の含水比との関係を示す。同様に、図5(B)は、石粉に薬剤を添加し、締固めて、乾燥させた後の石粉の一軸圧縮強度と、締固め時の石粉の含水比との関係を示す。
ここで、最適含水比woptとは、図4(A)に示すような締固め曲線において、乾燥密度が最大となるときの含水比を意味する。この締固め曲線は、JIS A 1210に定められた「突固めによる土の締固め試験方法」によって取得可能である。また、最適改質含水比wre−optとは、各添加率Kに対する最大強度点の含水比を意味する。
尚、図4(B)に示すように、例えば含水比が7.2%であった場合には、薬剤の添加率Kを6リットル/m3から10リットル/m3、20リットル/m3と増加させても土壌の強度(一軸圧縮強度)は増加しないことが分かる。
この後、ステップS3〜S8については、上述の図1のステップS3〜S8に関する説明と同様であるので、その説明を省略する。
図6(A)は、送気される気体の温度と養生時間と砕石の一軸圧縮強度との関係を示す。図6(B)は、送気される気体の温度と養生時間と砕石の含水比との関係を示す。
尚、最適含水比wopt及び最適改質含水比wre−optについては、図4(A)及び図4(B)に関する上述の説明と同様であるので、その説明を省略する。
この後、ステップS3〜S8については、上述の図1のステップS3〜S8に関する説明と同様であるので、その説明を省略する。
図7(A)は、送気される気体の温度と養生時間と石粉の一軸圧縮強度との関係を示す。図7(B)は、送気される気体の温度と養生時間と石粉の含水比との関係を示す。
図8(A)〜(C)は、薬剤添加方法の第1例〜第3例を示す。図9は、図8(A)〜(C)に示す薬剤添加方法の第1例〜第3例と、土壌の一軸圧縮強度との関係を示す。尚、図8及び図9では、改良対象の土壌として、上述と同様の粒度分布の砕石を用いている。また、図8及び図9では、薬剤の添加率Kを10リットル/m3としている。
図8(B)に示す薬剤添加方法の第2例(ケース2)では、薬剤及び水を砕石に添加して混合した後、砕石を7日間自然乾燥させ、この後に締固めて7日間自然乾燥させた。このようにして改良された砕石を一軸圧縮試験した。
図8(C)に示す薬剤添加方法の第3例(ケース3)では、砕石を締固めた後、薬剤及び水を砕石に添加して、砕石を7日間自然乾燥させた。このようにして改良された砕石を一軸圧縮試験した。
従って、薬剤の機能(具体的には、土壌の力学的強度を向上させる機能)を十分に発揮させるためには、土壌の締固め前に薬剤を土壌に添加することが好ましく、土壌の締固めの直前に薬剤を土壌に添加することが更に好ましい。
この点、本発明は、改良材の添加率と水の添加率との関係がセメント系固化材とは異なることを本発明者らが見出してなされたものである。本実施形態の薬剤を土壌の改良に用いる場合には、土壌に対する薬剤の添加率Kが増加するほど、目標含水比wt(最適改質含水比wre−opt)は、最適含水比woptよりも小さい領域で低下する。それゆえ、薬剤の添加率Kが高くなっても、これに伴う水の添加率の上昇を抑制することができるので、土壌を比較的短時間で乾燥させることができ、ひいては、薬剤による改良効果を早期に発現させることができる。
Claims (9)
- アルカリ金属珪酸塩及びアルカリ金属シリコネートを含有する薬剤を用いて土壌を改良する方法であって、
土壌の所要強度及び土性に基づいて、土壌に対する前記薬剤の添加率を設定する工程と、
設定された前記添加率に基づいて、土壌の含水比を設定する工程と、
設定された前記添加率及び前記含水比となるように、土壌に前記薬剤及び水を添加する工程と、
前記薬剤及び前記水が添加された土壌を締固める工程と、
を含む、土壌の改良方法。 - 設定される前記含水比が、土壌の最適含水比よりも小さい、請求項1に記載の土壌の改良方法。
- 設定される前記添加率が高くなるほど、設定される前記含水比が小さくなる、請求項1又は請求項2に記載の土壌の改良方法。
- 前記薬剤及び前記水を土壌に添加する工程は、前記薬剤及び前記水を土壌に添加して混合することを含む、請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の土壌の改良方法。
- 前記薬剤及び前記水を土壌に添加するに先立って、土壌を乾燥させる、請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載の土壌の改良方法。
- 前記締固められた土壌に送気する工程を更に含む、請求項1〜請求項5のいずれか1つに記載の土壌の改良方法。
- 前記締固められた土壌に送気される気体の温度は、前記締固められた土壌の周辺の空気の温度よりも高い、請求項6に記載の土壌の改良方法。
- 前記締固められた土壌に送気される気体中の二酸化炭素濃度は、前記締固められた土壌の周辺の空気中の二酸化炭素濃度よりも高い、請求項6又は請求項7に記載の土壌の改良方法。
- 前記締固められた土壌に送気される気体の湿度は、前記締固められた土壌の周辺の空気の湿度よりも低い、請求項6〜請求項8のいずれか1つに記載の土壌の改良方法。
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