以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
先ず、図1に、本発明に従う構造とされたマットレス10を備えたベッド12を示す。ベッド12は、ベッド本体14における床板16の上面にマットレス10が載置された構造とされている。マットレス10は、マットレス本体18と、天部マット20を含んで構成されている。
図2および図3に、マットレス10を示す。なお、図2においては、天部マット20を透視して図示する。マットレス本体18は、箱状の筐体部22と、筐体部22に収容された複数のセル24とを備えている。なお、以下の説明において、特に断りの無い限り、縦方向とは、図2中の上下方向、横方向とは、図2中の左右方向を言い、上下方向とは、鉛直上下方向である図3中の上下方向をいうものとする。
筐体部22は、全体が弾性を有するクッション材で形成されており、枠体26の下側開口部に基体としての底部マット28が嵌め込まれていると共に、枠体26の上側開口部にクッション層としての天部マット20が嵌め込まれて形成されている。
枠体26は、全体が多孔質のウレタンフォームで形成された弾性を有する部材であって、互いに平行をなすように配置された頭部側ブロック30と脚部側ブロック32が一対の側方ブロック34,34で連結された構造とされて、上下方向で矩形枠状を呈している。なお、枠体26の形成材料は特に限定されるものではなく、発泡性材料にも限定されないが、人体への接触や背上げを行う場合の変形追従性等を考慮すると、ウレタンフォームのような弾性を有する材料で形成されていることが望ましい。
底部マット28は、枠体26に比して上下方向で薄肉とされた矩形板状の部材であって、本実施形態では多孔質のウレタンフォームによって形成されている。また、底部マット28は、上下方向視の形状が枠体26の開口部と対応している。このような底部マット28が枠体26の下側開口部に嵌め込まれることによって、枠体26の内部に収容空所36が形成されている。
収容空所36には、複数のセル24が収容配置されている。セル24は、図4および図5に示されているように、例えばウレタンフィルム等から形成されており、平面視(高さ方向視)で角部が円弧状に丸められた略矩形(角丸矩形状)を呈する単一の袋状乃至は風船状とされている。
セル24の内部には、流体室42が形成されている。流体室42は外部から略密閉されており、セル24の底部に貫設された筒状のポート44を通じて外部に連通されている。そして、ポート44を通じて流体室42内に空気等の流体が給排されることにより、流体室42の内圧が調節されて、セル24が膨張および収縮されるようになっている。なお、セル24に給排される流体は、空気等の気体に限定されるものではなく、例えば、水等の液体を用いることも出来る。
このようなセル24は、図3に示したように、底部マット28の上面に配設されており、底面が中央部分(ポート44の周囲)において底部マット28に固着されて、底部マット28に対して傾動可能に支持されている。これにより、複数のセル24が、筐体部22の収容空所36内に収容されている。
図6に概略的に示すように、セル24は、マットレス10の横方向に7つ隣接して配設されており、これら7つのセル24と、1つの子制御機48を含んで、1つのセルユニット50が構成されている。このようなセルユニット50が、マットレス10の縦方向で21組並設されることによって、筐体部22には、合計147個(7個×21組)のセル24が配設されている。
セルユニット50には、サブ管路52と、サブ管路52から各セル24毎に分岐してセル24のポート44と接続された分岐管路54が設けられている。図示は省略するが、セル24のポート44が底部マット28を貫通して配設されており、分岐管路54がポート44に接続されている。各分岐管路54上には、セル駆動バルブ56が設けられている。セル駆動バルブ56は例えば電磁バルブであり、子制御機48と電気的に接続されて、子制御機48からの制御信号に基づいて、分岐管路54の連通と遮断を選択的に切り替えられるようになっている。なお、詳細な図示は省略するが、子制御機48は、マットレス10の側方に配設されている。そして、セル駆動バルブ56は、マットレス10の下方の例えばベッド本体14内に配設しても良いが、分岐管路54を長くすることによって、子制御機48と共に7つのセル駆動バルブ56をマットレス10の側方に集中して配設する等しても良い。
これらセルユニット50のサブ管路52は、ポンプ装置58から延出されたメイン管路60と接続されている。ポンプ装置58には例えば電磁バルブからなる給気バルブ62および排気バルブ64が設けられており、メイン管路60と接続されている。給気バルブ62はポンプ装置58に設けられたポンプ66と接続されている。一方、排気バルブ64は大気中に連通されている。更に、ポンプ装置58には圧力計68が設けられており、メイン管路60と接続されている。
また、ポンプ装置58には、親制御機70が設けられている。親制御機70は給気バルブ62および排気バルブ64、ポンプ66と電気的に接続されており、後述する制御装置74からの制御信号に基づいて、これらの作動を制御するようになっている。更にまた、親制御機70は圧力計68と電気的に接続されており、メイン管路60の内圧を測定可能とされている。更に、親制御機70は各セルユニット50の子制御機48と電気的に接続されており、各子制御機48に制御信号を送信することにより、それぞれのセルユニット50における各セル駆動バルブ56の作動を制御するようになっている。更にまた、ポンプ装置58には電源装置72が設けられている。電源装置72は各セルユニット50の子制御機48に接続されており、子制御機48およびセル駆動バルブ56の駆動電源を供給するようになっている。
このようなポンプ装置58の親制御機70は、制御装置74と電気的に接続されている。制御装置74は、CPU(Central Processing Unit)76と、ROM(Read Only Memory)78と、RAM(Random Access Memory)80と、駆動回路82と、後述する電源回路102を備えている。ROM78には後述する制御方法に基づく制御プログラム等が記憶されている。RAM80には、制御プログラムの演算値や圧力計68からの計測値等が一時的に格納される。そして、CPU76がROM78に記憶された制御プログラムに基づいて、駆動回路82を通じてポンプ装置58の親制御機70に制御信号を送信することによって、メイン管路60への空気の給排と各セル駆動バルブ56の作動が制御されるようになっている。
これにより、例えば制御装置74からの制御信号に基づいて、給気バルブ62を開放してポンプ66からメイン管路60に空気を送入すると共に、複数のセル駆動バルブ56の内の幾つかを選択的に開放して、セル24の流体室42をメイン管路60と連通することにより、メイン管路60と連通された特定のセル24の流体室42の圧力のみを高くして、セル24の高さを高くすることが出来る。また、排気バルブ64を開放してメイン管路60を大気と連通すると共に、特定のセル駆動バルブ56のみを選択的に開放してセル24の流体室42をメイン管路60と連通することにより、メイン管路60と接続された特定のセル24の流体室42の圧力のみを低くして、セル24の高さを低くすることが出来る。このように、本実施形態においては、制御装置74、ポンプ装置58、および各セルユニット50の子制御機48およびセル駆動バルブ56を含んで、セル24の流体室42の圧力を調節する圧力調節手段が構成されている。
そして、図3に示したように、収容空所36に複数のセル24を収容した枠体26の上側開口部に、天部マット20が嵌め込まれて、収容空所36内のセル24に重ね合わされている。天部マット20は、上下方向視の形状が底部マット28と略同一とされると共に、底部マット28よりも厚肉の矩形板状を呈している。天部マット20は、それぞれが多孔質のウレタンフォームで形成された第1クッション層としての表層部84と、第2クッション層としての裏層部86とを有する積層構造とされている。なお、表層部84と裏層部86は同一の材料で形成されていても良いが、弾性係数等が異なる材料で形成することで、より優れた寝心地が発揮され得る。
天部マット20において、表層部84と裏層部86の間には、体圧測定手段としての体圧センサ88が設けられている。体圧センサ88としては、歪ゲージや磁歪体を用いたロードセル等を用いて、例えば歪ゲージを天部マット20の4隅に配設して面圧分布センサを構成する等しても良いが、本実施形態においては、3つのシート状の静電容量型センサ89a〜89cによって、体圧センサ88が構成されている。静電容量型センサ89a〜89cとしては、従来公知のものが適宜に採用可能であり、静電容量型センサ89a〜89cは互いに同様の構造とされていることから、以下、静電容量型センサ89aを例に、概略を説明するに留める。
図7および図8に、静電容量型センサ89aを概略的に示す。なお、図7においては、後述する誘電層90および表側基材92を透視して図示すると共に、後述する検出部100を内部に斜線を付した四角で示す。
静電容量型センサ89aは、誘電層90と、第一電極膜としての表側電極01X〜16Xと、第二電極膜としての裏側電極01Y〜16Yと、表側配線01x〜16xと、裏側配線01y〜16yと、表側基材92と、裏側基材94と、表側配線用コネクタ96と、裏側配線用コネクタ98と、制御装置74と、を備えている。
誘電層90は、エラストマーとしてのウレタン発泡体製であって、四角形板状のシート状を呈し、弾性変形可能とされている。誘電層90は、枠体26の上側開口部と略等しい大きさとされている。
表側基材92は、ゴム製であって、四角形板状を呈している。表側基材92は、誘電層90の上方(表側)に積層されている。裏側基材94は、ゴム製であって、四角板形状を呈している。裏側基材94は、誘電層90の下方(裏側)に積層されている。
図8に示すように、表側基材92の外縁と裏側基材94の外縁とは接合されており、表側基材92と裏側基材94が、袋状に貼り合わされている。誘電層90は、当該袋内に収容されている。誘電層90の上面四隅は、表側基材92の下面四隅に、スポット的に接着されている。また、誘電層90の下面四隅は、裏側基材94の上面四隅に、スポット的に接着されている。このように、誘電層90は、表側基材92および裏側基材94に、使用時にシワがよらないように、位置決めされている。ただし、誘電層90は、四隅が接着された状態で、表側基材92および裏側基材94に対して、水平方向(前後左右方向)に弾性変形可能である。
表側電極01X〜16Xは、誘電層90の上面に、合計16本配置されている。表側電極01X〜16Xは、各々、アクリルゴムと、導電性カーボンブラックと、を含んで形成されている。表側電極01X〜16Xは、各々、帯状を呈しており、柔軟に伸縮可能に形成されている。表側電極01X〜16Xは、各々、横方向(図7中、左右方向)に延在している。表側電極01X〜16Xは、縦方向(図7中、上下方向)に所定間隔を隔てて離間して、互いに略平行になるように配置されている。
表側配線01x〜16xは、誘電層90の上面に、合計16本配置されている。表側配線01x〜16xは、各々、アクリルゴムと、銀粉と、を含んで形成されている。表側配線01x〜16xは、各々、線状を呈している。表側配線用コネクタ96は、表側基材92および裏側基材94の隅部に配置されている。表側配線01x〜16xは、各々、表側電極01X〜16Xの端部と表側配線用コネクタ96と、を接続している。
裏側電極01Y〜16Yは、誘電層90の下面に、合計16本配置されている。裏側電極01Y〜16Yは、各々、アクリルゴムと、導電性カーボンブラックと、を含んで形成されている。裏側電極01Y〜16Yは、各々、帯状を呈しており、柔軟に伸縮可能に形成されている。裏側電極01Y〜16Yは、各々、縦方向(図7中、上下方向)に延在している。裏側電極01Y〜16Yは、横方向(図7中、左右方向)に所定間隔を隔てて離間して、互いに略平行になるように配置されている。このように、表側電極01X〜16Xと裏側電極01Y〜16Yとは、上方または下方から見て、互いに直交する格子状に配置されている。
裏側配線01y〜16yは、誘電層90の下面に、合計16本配置されている。裏側配線01y〜16yは、各々、アクリルゴムと、銀粉と、を含んで形成されている。裏側配線01y〜16yは、各々、線状を呈している。裏側配線用コネクタ98は、表側基材92および裏側基材94の隅部に配置されている。裏側配線01y〜16yは、各々、裏側電極01Y〜16Yの端部と裏側配線用コネクタ98と、を接続している。
検出部100は、図7に内部に斜線を付した四角で示すように、表側電極01X〜16Xと、裏側電極01Y〜16Yと、が上下方向に交差する部分(重複する部分)に配置されて、誘電層90の略全面に亘って、縦横に略均等に配置されている。検出部100は、各々、表側電極01X〜16Xの一部と、裏側電極01Y〜16Yの一部と、誘電層90の一部と、を備えている。検出部100は、合計256個(=16個×16個)配置されている。
図7に示すように、制御装置74は、表側配線用コネクタ96、裏側配線用コネクタ98と、電気的に接続されている。制御装置74には、電源回路102が設けられている。電源回路102は、検出部100に、周期的な矩形波電圧を走査的に順番に印加する。ROM78には、予め、検出部100に構成されたコンデンサの静電容量と体圧(荷重)との対応を示すマップが格納されている。一方、RAM80には、表側配線用コネクタ96、裏側配線用コネクタ98から入力される検出部100の静電容量が一時的に格納される。そして、CPU76が、RAM80に格納された検出部100の静電容量から、ROM78に記憶されたマップに基づいて、検出部100に作用している体圧を検出するようになっている。なお、検出部100で検出される体圧は、整数値として検出されるようになっており、本実施形態においては、検出値:1021=150mmHgに相当する。また、図2に示したように、3つの静電容量型センサ89a,89b,89cは、共通の制御装置74に接続されている。
図2に示したように、これら静電容量型センサ89a,89b,89cが並んで配設されることによって体圧センサ88が構成されており、図3に示したように、このような体圧センサ88を備えた天部マット20が、枠体26の上側開口部に嵌め込まれて、枠体26の収容空所36内に収容された複数のセル24に重ね合わされる。これにより、体圧センサ88が複数のセル24を介して底部マット28に沿って広げられると共に、図2に示したように、体圧センサ88の各検出部100が、それぞれ、各セル24に重ね合わされる。その結果、各セル24に加わる体圧を体圧センサ88で検出することが可能とされている。
なお、本実施形態における体圧センサ88には、図2中の縦方向に16個、図2中の横方向に16個の計256個(=16個×16個)の検出部100を備えた静電容量型センサ89a,89b,89cが、縦方向に一列に並んで配設されることにより、縦方向に16個×3=48個、横方向に16個の計756個(=48個×16個)の検出部100が設けられている。従って、体圧センサ88の検出部100の数はセル24の数(7個×21列=147個)よりも多くされており、各セル24上には、複数の検出部100が重ね合わされている。
このような構造とされたマットレス10は、図1に示したように、ベッド本体14の床板16上に重ね合わされている。そして、マットレス10上に使用者が横たわると、天部マット20と複数のセル24と底部マット28に使用者の体圧が作用して、使用者の身体がベッド本体14の床板16で支持されるようになっている。そして、使用者に作用する重力に基づいた体荷重(体圧)が、下方に向かって作用することにより、天部マット20、セル24、底部マット28、床板16の各上面が、それぞれ体圧作用面とされる。
次に、マットレス10におけるセル24の内圧を調節する、刺激付与機能付きマットレスの制御方法に関する本発明の第一の実施形態について説明する。
先ず、本実施形態における検出部100とセル24は、図9に示すように対応付けられている。図9は、太線で囲まれた1つの枠が1つのセル24を表し、枠中の小さな正方形が1つの検出部100を表している。なお、図9中のA側(図9中、左側)が図2の上側に相当する。図9から明らかなように、本実施形態において、セル24に重ねられる検出部100の数は、セル24の位置によって異なる。
各セル24には、図9中の横方向をX軸に設定した0〜20のXセルNo.と、図9中の縦方向をY軸に設定した0〜6のYセルNo.とが割り振られている。同様に、各検出部100には、図9中の横方向をX軸に設定した0〜47のXセンサNo.と、図9中の縦方向をY軸に設定した0〜15のYセンサNo.とが割り振られている。以下、特定のセル24を示す場合には、セル24(XセルNo.,YセルNo.)として表記すると共に、特定の検出部100を示す場合には、検出部100(XセンサNo.,YセンサNo.)として表記する。例えば、図9中左下(図2中、左上)に位置するセル24は、セル24(0,0)と表記し、図9中右上(図2中、右下)に位置するセル24は、セル24(20,6)と表記する。同様に、図9中左下(図2中、左上)に位置する検出部100は、検出部100(0,0)と表記し、図9中右上(図2中、右下)に位置する検出部100は、検出部100(47,15)と表記する。
これら検出部100とセル24との対応関係は、制御装置74のROM78内に設けられた、表1に示す検出部−セル対応テーブルに記憶されている。検出部−セル対応テーブルには、各検出部100(0,0)〜100(47,15)と、これが重ねられているセル24(0,0)〜24(20,6)との対応が記憶されている。
図10に、制御装置74のCPU76の処理内容を示す。本制御処理は、例えば、制御装置74に設けられた図示しない操作ボタン(操作ボタンは、制御装置74に設けられた図示しないディスプレイ上に表示されるGUI等でも良い)を使用者が操作すること等によって開始される。先ず、CPU76は、S1において、使用者検出処理を実行する。使用者検出処理(S1)は、マットレス10上に使用者が存するか否かを判定すると共に、使用者が存する場合には、使用者の頭部が図9中のA側およびB側の何れに位置するかを検出するものである。
使用者検出処理(S1)の処理内容を、図11および図12を用いて説明する。なお、図12は、図9と同様、検出部100とセル24の対応を示したものである。先ず、CPU76は、S20において、図12中のA側(即ち、マットレス10の上半分)に位置する、最も太い線で囲んだエリアAの検出部100(x=0〜23,y=0〜15)のうち、検出値:Sr>100のものについて、検出値を合計する。次に、S21において、図12中のB側(マットレス10の下半分)に位置する、最も太い線で囲んだエリアBの検出部100(x=24〜47,y=0〜15)のうち、検出値:Sr>100のものについて、検出値を合計する。
次に、CPU76は、S22において、S20で算出したエリアAの検出値:Srの合計値と、S21で算出したエリアBの検出値:Srの合計値の何れかが15000以上かを判定し、エリアAの検出値:Srの合計値とエリアBの検出値:Srの合計値が何れも15000以上でない場合(S22=No)には、マットレス10上に使用者は存しないものとして、S23において、RAM80内に設けられた使用者存在フラグをOFFにした後に、使用者検出処理(S1)を終了する。なお、使用者存在フラグは、マットレス10上に使用者が存するか否かを示すものであり、マットレス10上に使用者が存する場合にはON、存しない場合にはOFFに設定される。一方、エリアAの検出値:Srの合計値とエリアBの検出値:Srの合計値の何れかが15000以上の場合(S22=Yes)には、マットレス10上に使用者が存するものとして、S24において、使用者存在フラグをONにした後に、S25以降の処理を実行する。
続いて、CPU76は、S25において、S20で算出したエリアAの検出値:Srの合計値が、S21で算出したエリアBの検出値:Srの合計値以上である場合(S25=Yes)には、S26において、頭部位置がA側にあることをRAM80に記憶した後に、使用者検出処理(S1)を終了する。一方、S20で算出したエリアAの検出値:Srの合計値が、S21で算出したエリアBの検出値:Srの合計値以上でない場合(S25=No)には、S27において、頭部位置がB側にあることをRAM80に記憶した後に、使用者検出処理(S1)を終了する。
使用者検出処理(図10中、S1)が終了した後に、CPU76は、S2において、マットレス10上に使用者が存するか否か、即ち、使用者存在フラグがONか否かを判定し、使用者存在フラグがONでない場合(S2=No)には、マットレス10上に使用者が存しないものとして、制御処理を終了する。一方、S2において、使用者存在フラグがON(S2=Yes)である場合には、CPU76は、S3において、刺激付与を開始する。
S3の刺激付与開始によって、使用者の刺激付与が開始される。本実施形態の刺激処理は、先ず、図13および図14(a)に示すように、使用者の重心が位置する重心セル24(Gx ,Gy )と、その左右両隣に位置するセル24(Gx ,Gy −1)、24(Gx ,Gy +1))の計3つのセル24を給排対象セルとして、規定値(本実施形態においては、21kPa)まで加圧して膨張させた後に、規定値(本実施形態においては、3kPa)まで減圧して収縮させる。そして、図14(b)〜図14(e)の順に、重心セル24とその両隣のセル24,24から、1セル分ずつ上下方向(図14中、左右方向)で交互にずらしながら給排対象セル24,24,24を設定し、重心セル24から上下方向(図14中、左右方向)に最大2セルの範囲内で加圧と減圧を行なった後に、図14(a)に戻り、重心セル24とその両隣のセル24,24を給排対象セルに再設定して、上記処理を繰り返す。要するに、図14(a)〜図14(e)のそれぞれに太枠で示したセル24の膨張と収縮を図14(a)〜図14(e)の順で繰り返して実施することにより、使用者の腰部を刺激付与する。この刺激処理は、後述する図10のS8(刺激付与終了)まで繰り返して行われる。
図15に、CPU76が実行する刺激処理を示す。先ず、CPU76は、S30において、全ての検出部100のうち、検出値:Sr>200の検出部100が存するか否かを判定し、検出値:Sr>200の検出部100が存しない場合(S30=No)には、検出値:Sr>200の検出部100が検出されるまで、S30を繰り返す。一方、検出値:Sr>200の検出部100が1つ以上存する場合(S30=Yes)には、CPU76は、S31において、重心セル検出処理を実行する。
重心セル検出処理(S31)の処理内容を、図16および図17を用いて説明する。先ず、CPU76は、S40において、使用者検出処理(図10参照)でRAM80に記憶された頭部位置がA側か否かを判定し、頭部位置がA側である場合(S40=Yes)には、S41において、図17(a)に最も太い枠で示す、重心検出エリアA内の検出部100(x=10〜12,y=1〜13)のうち、検出値:Sr>100の検出部100を抽出し、抽出された検出部100の位置と検出値:Srから、重心位置:(gx ,gy )を算出する。重心位置:(gx ,gy )は、下記数1に示す公知の一般式から算出される。下式において、Sr(x,y)は検出部100(x,y)の検出値:Srを示し、xおよびyは、当該検出部100のXセンサNo.およびYセンサNo.を示す。
一方、頭部位置がA側でない、即ち、B側である場合(S40=No)には、S42において、前記S41と同様に、図17(b)に最も太い枠で示す、重心検出エリアB内の検出部100(x=21〜37,y=1〜13)のうち、検出値:Sr>100の検出部100から、上記数1に基づいて、重心位置:(gx ,gy )を算出する。
次に、CPU76は、S43において、得られた重心位置:(gx ,gy )から、検出部−セル対応テーブル(表1参照)に基づいて、重心位置:(gx ,gy )の検出部100(gx ,gy )が存するセル24を検索し、得られたセル24を重心セル24(Gx ,Gy )としてRAM80に記憶して、重心セル検出処理を終了する。なお、重心位置:(gx ,gy )は、XセンサNo.をX座標の整数値、YセンサNo.をY座標の整数値とする座標平面上で小数点以下の端数を有する座標値として算出されることから、検出部−セル対応テーブルから重心セル24(Gx ,Gy )を検索する場合には、得られた重心位置:(gx ,gy )の小数点以下の値を四捨五入や切り捨て、切り上げ等することによって、重心位置:(gx ,gy )に最も近い検出部100を決定し、該検出部100が重ねられたセル24を重心セル24(Gx ,Gy )として設定する。
次に、CPU76は、図15のS32において、重心セル24(Gx ,Gy )と、その左右両隣りのセル24(Gx ,Gy −1)、24(Gx ,Gy +1)(図13、図14参照)を、給排対象セルとして設定する。
そして、CPU76は、S33において、3つの給排対象セル24,24,24のセル駆動バルブ56を開放すると共に給気バルブ62とポンプ66を駆動して、これらの内圧を所定値(本実施形態においては、21kPa)まで加圧して膨張させた後に、セル駆動バルブ56を開放すると共に排気バルブ64を開放して、これらの内圧を所定値(本実施形態においては、3kPa)まで減圧して収縮させる給排制御を開始して、使用者の身体を刺激する。
S33における給排制御が行なわれている間、CPU76は、S34において、給排対象セル24,24,24上に位置する検出部100を検出部−セル対応テーブル(表1参照)から検索し、それら検出部100のうち、検出値:Srが予め設定された閾値(本実施形態においては、150)よりも小さい検出部100が存するか否かを判定する。検出値:Srが閾値よりも小さい検出部100が存した場合(S34=Yes)には、使用者の重心位置が変化したものとして、S35においてセル駆動バルブ56を閉鎖して給気制御を停止した後に、S30の処理からやり直す。一方、検出値:Srが閾値よりも小さい検出部100が存しない場合(S34=No)には、CPU76は、S36において、S31と同様の重心セル検出処理(図16,図17参照)を行い、新たな重心セル24(Gx ’,Gy ’)を検出する。そして、S37において、検出された新たな重心セル24(Gx ’,Gy ’)が、現在設定中の重心セル24(Gx ,Gy )からX方向又はY方向で2セル以上移動している場合(S37=Yes)には、使用者の重心位置が変化したものとして、S35においてセル駆動バルブ56を閉鎖して給気制御を停止した後に、S30の処理からやり直す。一方、検出された新たな重心セル24(Gx ’,Gy ’)が2セル以上移動していない場合(S37=No)には、給排制御を継続して、給気制御が完了していない場合(S38=No)には、S34以降の処理を繰り返す。
そして、給排対象セル24,24,24の給排制御が完了した場合(S38=Yes)には、CPU76は、S39において、新たな給排対象セル24,24,24を設定する。具体的には、例えば、給排制御の完了したセルが図14(a)に示すセル24(Gx ,Gy )、24(Gx ,Gy −1)、24(Gx ,Gy +1)であった場合には、新たな給排制御セルとして、図15(b)に示すセル24(Gx −1,Gy )、24(Gx −1,Gy −1)、24(Gx −1,Gy +1)を設定し、例えば、給排制御の完了したセルが図15(e)に示すセル24(Gx +2,Gy )、24(Gx +2,Gy −1)、24(Gx +2,Gy +1)であった場合には、新たな給排制御セルとして、図15(a)に示すセル24(Gx ,Gy )、24(Gx ,Gy −1)、24(Gx ,Gy +1)を設定する。そして、新たな給排対象セル24,24,24について、S33以降の給排制御を実施する。以上のように、本実施形態においては、S30〜S39を含んで、刺激付与手段および刺激付与工程が構成されている。
刺激付与開始(図10中、S3)の後、CPU76は、S4において、予め設定された刺激付与時間(本実施形態においては、30min)が経過した場合(S4=Yes)には、S8において、刺激処理を終了する。一方、刺激付与時間が経過していない場合(S4=No)には、CPU76は、S5において、入眠検出工程としての入眠検出処理を実行する。
図18に、入眠検出処理(S5)を示す。先ず、CPU76は、S50において、全ての検出部100について、検出値:Srを予め設定された期間(本実施形態においては、10秒)に亘って取得する。なお、各検出部100の検出値:Srは、例えば5Hz、10Hz,20Hz等の所定間隔毎に制御装置74に伝えられ、RAM80に設けられたバッファ内に蓄積される。これにより、各検出部100の検出値:Srは、図19に示す如き波形として各検出部100毎に検出される。なお、図19における検出値:Srb は、使用者の体圧に起因する荷重である。
次に、CPU76は、S51において、全ての検出部100の検出値:Srから、図19に示した検出値:Srの波形の周波数が、呼吸に該当する周波数範囲(例えば、0.15〜0.5Hz)にあるもののうち、検出値の変化量:ΔSbが最も大きい検出部100に使用者の胸部又は腹部が位置していると推定して、該検出部100を測定点として設定する。なお、検出値の変化量:ΔSbとは、例えば図19に示すように、波形の高低差が採用され得、例えば、時系列で交互に現れる極値と極値の差の絶対値から求めることが出来る。また、S51において、全ての検出部100について検出値の変化量の最大値:ΔSbmax を求め、呼吸に該当すると想定される、予め設定された所定の閾値内で最も大きい最大値:ΔSbmax を有する検出部100を測定点として設定する等しても良い。そして、CPU76は、S52において、測定点として設定された検出部100の検出値:Srの取得を開始する。なお、測定点として設定された検出部100以外の検出部100については、検出値:Srの取得を終了しても良い。以下、測定点として設定された検出部100を、測定点100として説明する。
次に、CPU76は、S53において、測定点100の検出値の変化量:ΔSbが、呼吸によって生じると想定される、予め設定された所定値である呼吸相当変化量(本実施形態においては、5)より大きいか否かを判定し、測定点の検出値の変化量:ΔSbが呼吸相当変化量よりも小さい場合(S53=No)には、呼吸が検出出来ていない、即ち、使用者の胸部が測定点100から外れたものとして、S50に戻り、測定点100を設定し直す。
一方、S53において、測定点100の検出値の変化量:ΔSbが、呼吸相当変化量よりも大きい場合(S53=Yes)には、使用者の呼吸が検出出来ているものとして、S54において、測定開始の時点から、予め設定された測定時間(本実施形態においては、5分)が経過したか否かを判定し、測定時間が経過していない場合には、S53に戻り、測定点100の検出値の変化量:ΔSbを確認しつつ、測定点100の検出値:Srの取得を継続する。
測定時間が経過する(S54=Yes)ことによって、測定点100の検出値:Srから、図20に概略的に例示するような波形が、使用者の呼吸周期として検出される。そして、CPU76は、S55において、測定点100の検出値:Srから得られた波形に基づいて、所定時間:Tb(本実施形態においては、1分)あたりの呼吸数が、予め設定された値(本実施形態においては2)以上減少したか否かを判定する。具体的には、図20に概略的に例示するように、測定開始時点から測定開始後1分までの間で、図20(a)に示す波形が得られ、測定開始後4分から5分の間に、図20(b)に示す波形が得られた場合、図20(a)および図20(b)のそれぞれの波形について、1波を1呼吸として、所定時間:Tb(本実施形態においては、1分)内の波数から呼吸数を検出する。なお、波数(呼吸数)は、例えば、波形の極小値と極小値の間、或いは極大値と極大値の間を1波(1呼吸)として計数することが出来る。そして、測定開始時点(図20(a))の所定時間:Tbあたりの呼吸数と、測定開始4分経過後(図20(b))の所定時間:Tbあたりの呼吸数を比較して、呼吸数が所定数(本実施形態においては、2)以上減少したかを判定し、呼吸数が所定数以上減少していない場合(S55=No)には、使用者は未だ入眠していないものとして、S53に戻り、測定点100の検出値の変化量:ΔSbを確認しつつ、測定点100の検出値:Srの取得を継続する。
一方、呼吸数が所定数以上減少した場合(S55=Yes)には、CPU76は、S56において、呼吸の間隔が一定間隔に近づいたか否かを判定する。具体的には、例えば、図20(b)に示した、測定点100の検出値:Srから得られた直近の波の波長:λ1 (sec)と、1つ前の波の波長:λ2 (sec)との差の絶対値:|λ1 −λ2 |が、予め設定された所定値(本実施形態においては、0.5秒)以内である場合に、呼吸間隔が一定間隔に近づいたと判定する。なお、波長:λ1 ,λ2 は、例えば、極小値と極小値の時間間隔、或いは極大値と極大値の時間間隔から得ることが出来る。そして、呼吸間隔が一定間隔に近づいていない場合(S56=No)には、使用者は未だ入眠していないものとして、S53に戻り、測定点100の検出値の変化量:ΔSbを確認しつつ、測定点100の検出値:Srの取得を継続する。
なお、前述のように、呼吸数が減少していない場合(S55=No)、又は呼吸間隔が一定でない場合(S56=No)には、S53に戻り、S54において所定の測定時間に亘る測定点100の検出値:Srの取得が継続されるが、初回の測定時間が終了して、S55=No又はS56=Noで、2回目以降の測定が行われる場合には、S55における呼吸数の検出に必要な所定時間:Tb(本実施形態においては、1分)が経過した段階でS56に進んで、当該時点から例えば5分前の呼吸数と比較するようにしても良い。例えば、本実施形態では、S55において呼吸数の検出に必要な所定時間:Tbは1分であることから、初回の5分経過後の測定で使用者の入眠が検出されず、S55=No又はS56=Noであった場合には、その後に行われるS54においては、1分間の計測を行った時点(呼吸計測開始(S52)から6分後)でS55に進み、S55において、新たに計測した1分間の呼吸数と、当該時点から5分遡った時点から1分間(呼吸計測開始(S52)から2分後)の呼吸数とを比較する等しても良い。
一方、呼吸間隔が一定間隔に近づいた場合(S56=Yes)には、CPU76は、使用者が入眠したものとして、S57において、RAM80に設けられた入眠フラグをONにして、入眠検出処理(S5)を終了する。要するに、本実施形態においては、使用者の所定時間あたりの呼吸数と、呼吸の間隔とを測定し、呼吸数が減少して、且つ呼吸の間隔が等間隔になった場合((S54=Yes)且つ(S55=Yes))に使用者が入眠したと判定する。このように、本実施形態においては、体圧センサ88および入眠検出処理(S5)を含んで、入眠検出手段が構成されている。
入眠検出処理(S5)が完了した後に、CPU76は、図10のS6において、先の入眠検出処理(S5)で使用者の入眠が検出されておらず、RAM80に記憶された入眠フラグがONでない場合(S6=No)には、S4の処理に戻り、刺激付与を継続する。一方、先の入眠検出処理(S5)で使用者の入眠が検出されて、入眠フラグがONである場合(S6=Yes)には、S7において、刺激付与のフェードアウト処理を実行する。このように、本実施形態においては、S6を含んで、刺激付与終了手段および刺激付与終了工程が構成されている。
刺激付与のフェードアウト処理は、刺激処理(図15参照)のS33において行われる、給排対象セル24の加圧量を例えば4.5kPa、4.0kPaと段階的に低下させるものである。セル24の加圧量の段階的な低下は、給排対象セル24が再設定される度(図14(a)〜(e)の各段階に移行する度)に低下させても良いし、刺激付与範囲の全てのセル24の給排制御が一巡する度(図14(a)〜(e)が一通り完了する度)に低下されるようにしても良い。刺激付与のフェードアウトの終了は、例えばセル24への加圧量が段階的に低下されて、加圧量が「0」になった段階で終了したり、所定回数だけ加圧量が低下された場合に終了したりすることが出来る。そして、刺激付与のフェードアウト処理(S7)が完了することによって、S8において、刺激付与が終了する。
刺激付与が終了(S8)した後に、CPU76は、S9において、体圧分散工程としての体圧分散処理を実行する。図21に、体圧分散処理を示す。先ず、CPU76は、S60において、全ての検出部100の検出値:Srを取得する。次に、CPU76は、S61において、検出値:Sr>100の検出部100が存しない場合(S61=No)には、既に体圧分散がなされているものとして、体圧分散処理を終了する。一方、検出値:Sr>100の検出部100が存する場合(S61=Yes)には、S62において、ROM78に記憶された検出部−セル対応テーブルに基づいて、検出値:Sr>100の検出部100が存するセル24を検索し、得られたセル24のセル駆動バルブ56を開放すると共に排気バルブ64を開放して、セル24を減圧する。そして、S63において、セル24の内圧が所定値(本実施形態においては、3kPa)より小さくなったか否かを判定し、セル24の内圧が所定値以上である場合(S63=No)には、S62に戻り、セル24の減圧を継続する。
一方、セル24の内圧が所定値よりも小さくなった場合(S63=Yes)には、S64において、全ての検出部100の検出値:Srを取得した後に、S65において、検出値:Sr>100の検出部100が存するか否かを判定し、検出値:Sr>100の検出部が存在する場合(S65=Yes)には、未だ十分な体圧分散がなされていないものとして、検出値:Sr>100の検出部100が存する他のセル24について、S62以降の処理を繰り返し実施する。一方、検出値:Sr>100の検出部100が存しなくなった場合(S65=No)には、体圧分散が完了したものとして、体圧分散処理(S9)を終了する。
このような体圧分散処理(S9)が行われることにより、図22に概略的に示すように、使用者の頭部や臀部等、比較的大きな体圧が及ぼされているセル24が減圧されて、マットレス10の表面形状が使用者の体表面に沿う形状に変形させられる。これにより、使用者の身体とマットレス10との接触面積が増大されて、体圧を分散することが出来る。以上のようにして、マットレス10の制御処理が完了する。
本実施形態に従う構造とされたマットレス10およびその制御方法によれば、入眠検出処理(図10のS5)によって使用者の入眠を検出した場合に、刺激処理(図15参照)を終了するようにした。これにより、使用者が入眠した後も刺激付与が継続されることを防止して、使用者を快適な入眠に促すことが出来る。特に本実施形態においては、刺激付与のフェードアウト処理(S7)を設けて、刺激付与中のセル24への加圧量を段階的に低減して刺激付与を終了することから、刺激付与が突然に停止することによる違和感も低減して、より快適な入眠に促すことが出来る。
また、入眠検出処理(S5)において、体圧センサ88に設けられた検出部100の検出値を用いて使用者の呼吸を検出することから、使用者の身体に特別な装置を取り付けることもなく、使用者の身体を拘束すること無しに使用者の呼吸を検出することが出来る。そして、体圧センサ88の複数の検出部100のうち、検出値の変化量の最も大きな検出部100の検出値を用いることによって、使用者の胸部や腹部を特定することが出来て、使用者の呼吸状態をより正確に検出することが出来る。特に、変化量の最も大きな検出値を、呼吸に該当する変化量を有する(本実施形態においては、呼吸に相当する周波数範囲内にある)検出値の中から抽出することにより、刺激付与による体圧の変化の影響を受けることなく呼吸由来の体圧の変化を検出することが出来て、使用者の胸部や腹部をより正確に特定して、呼吸状態をより正確に検出することが出来る。更に、使用者の位置が変化した場合でも、呼吸状態の検出に用いる検出部100を再設定する(図18のS53)ことによって、呼吸状態の検出を継続して行なうことが出来る。
更にまた、使用者が入眠して、刺激付与を終了した後に、体圧分散制御(S9)を行なうことから、使用者が入眠した後は、マットレス10の形状を使用者の体表面に沿う形状として、体圧を分散させることが出来る。これにより、より優れた寝心地を提供することが出来ると共に、体圧が局所的に作用することに起因する褥瘡の発生等も抑えることが出来る。
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、本発明はその具体的な記載によって限定されない。例えば、呼吸数と呼吸間隔の具体的な検出方法は、前記実施形態の如き方法に限定されることはない。前記実施形態の入眠検出処理(S5。図18参照)においては、呼吸数の変化として、直近1分間の呼吸数と、5分前の呼吸数とを比較していたが、例えば直近1分間の呼吸数と、2分前の呼吸数とを比較する等しても良いし、呼吸間隔の変化については、例えば所定時間に亘って計測した波長の偏差が所定値以内に収まった場合に、呼吸間隔が等間隔になったと判定する等しても良い。
また、前記刺激処理(図15参照)の具体的な作動態様もあくまでも例示であって、刺激付与の態様は、何等限定されるものではない。例えば、使用者の頭部側から脚部側に向けてセルを順次に上下する、使用者の左右両側のセルを交互に上下する、所定値以上の体圧が検出された部分のセルを上下する、使用者が指定した部位のセルを上下する等しても良いし、複数の作動態様を組み合わせて実施することも勿論可能である。更にまた、体圧分散処理(S9)は本発明において必ずしも必要ではないが、体圧分散処理の具体的な作動態様も何等限定されるものではない。例えば、大きな体圧が及ぼされているセルから順次に減圧したり、体圧の分布から使用者の頭部や臀部などを特定して、特定部位のセルを減圧したり、マットレスが予め設定された所定形状となるようにセルを給排制御する等しても良い。
また、セルおよび体圧測定手段に設けられる測定点の数は何等限定されるものではない。更に、セルの具体的形状はあくまでも例示であって、各種の形状が適宜に採用可能であり、前記実施形態の如き単一の袋状ではなく、例えば高さ方向の中間部分に少なくとも1つの括れ部が形成されて、該括れ部において細くされた2段や3段の多段形状のもの等も採用可能である。また、前記実施形態においては、体圧測定手段としての体圧センサ88が、3つの静電容量型センサ89a〜89cに分割されて構成されていたが、単一の静電容量型センサから構成されていても良い。加えて、前述のように、体圧センサ88は、例えば歪ゲージや磁歪体等を用いて構成されたものでも良く、静電容量を用いるものに限定されない。
また、前記実施形態においては、21個全てのセルユニット50が、ポンプ装置58に設けられた1つの給気バルブ62やポンプ66、排気バルブ64を共通して用いるようにされていたが、例えば、各セルユニット50毎に給気バルブやポンプ、排気バルブを設けて、各セルユニット50間で同時に作動させても良い。更に、各セル24に設けられたセル駆動バルブ56に代えて、各セル24毎に給気バルブやポンプ、排気バルブを設ける等しても良い。