JP6026934B2 - Ledのリードフレーム用銅合金板条 - Google Patents
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Description
一方、Agめっきは銅合金素材の表面状態の影響を大きく受け、突起、未着、スジ模様等、Agめっきの反射特性を阻害する欠陥を生じやすい。特に、LED用銅合金リードフレームとして多用されているC194は、素材中にFe、Fe−P又はFe−P−O粒子が含まれており、表面に露出したこれら粒子が前記Agめっき欠陥を生じさせ、これがAgめっきの反射率を低下させる。
上記銅合金は、必要に応じてSn、Co、Al、Cr、Mg、Mn、Ca、Pb、Ni、Ti、Zrの1種又は2種以上を合計で0.3mass%以下含む。
上記銅合金板条において、表面に露出したFe、Fe−P又はFe−P−O粒子の粒径が5μm以下で、かつ1μm以上の粒径を有するものが3000個/mm2以下であることが望ましい。なお、粒子の大きさは該粒子の外接円の直径を意味する。
(銅合金の化学組成)
本発明に係る銅合金は、Fe:1.8〜2.6mass%、P:0.005〜0.20mass%、Zn:0.01〜0.50mass%を含み、残部Cu及び不可避不純物からなり、必要に応じてSn、Co、Al、Cr、Mg、Mn、Ca、Pb、Ni、Ti、Zrの1種又は2種以上を合計で0.3mass%以下含む。
Sn、Co、Al、Cr、Mg、Mn、Ca、Pb、Ni、Ti、Zrは、銅合金の強度、耐熱性を向上させ、さらに製造時の熱間圧延性を向上させる作用もある。これらの元素を銅合金に添加して前記作用を得るには、合計で0.02mass%以上含有させることが望ましい。しかし、これらの成分は、合計で0.3mass%を超えて含有すると熱伝導性及び導電率を劣化させてしまう。
反射膜としてのAgめっき膜の反射特性の向上には、基材である銅合金板状の表面形態が影響する。まず、銅合金板条の圧延平行方向に沿って、その表面全面に無数の細かい凹みを密集して形成することにより、素子から発せられる光を均一に分散して反射させ、反射率を向上させることが可能となる。
このときの銅合金板条の圧延垂直方向の表面粗さは、算術平均粗さRaが0.2μm以下、十点平均粗さRzJISが1.2μm以下、最大高さ粗さRzが1.5μm以下であることが必要である。Raが0.2μmを超えると、Agめっき膜による光の反射の方向性を無くし、かつ光を均一散乱させるのに十分でなく、反射率を向上させることができない。また、RzJISが1.2μmを超え、又はRzが1.5μmを超えたときも、同様に十分な反射率が得られない。
圧延平行方向の平均長さが2μm未満、又は100μmを超える場合、Agめっき膜による光の均一散乱が十分でなく、高い反射率が得られない。凹みの圧延平行方向の平均長さは好ましくは8〜50μm、より好ましくは10〜30μmである。また、凹みの圧延垂直方向の平均長さが1μm未満、又は30μmを超えるときも、Agめっき膜による光の均一散乱が十分でなく、高い反射率が得られない。凹みの圧延垂直方向の平均長さは好ましくは3〜15μm、より好ましくは4〜10μm、圧延平行方向に測定した凹みの深さが400nmを超えた場合も、Agめっき膜による光の均一散乱が十分でなく、高い反射率が得られない。凹みの深さは好ましくは50〜200nm、より好ましくは70〜150nmである。
C194銅合金板条は、通常、鋳塊を面削後、熱間圧延し、熱間圧延後急冷し又は溶体化処理し、続いて冷間圧延及び析出焼鈍を行った後、仕上げ冷間圧延を行って製造されている。冷間圧延及び析出焼鈍は必要に応じて繰り返し、仕上げ冷間圧延後に必要に応じて低温焼鈍が行われる。本発明に係る銅合金板条の場合も、この製造工程自体を大きく変更する必要はない。一方、粗大なFe、Fe−P又はFe−P−O粒子は、主として溶解鋳造時及び熱間圧延時に形成されるため、適切な溶解鋳造及び熱間圧延の条件を選択する必要がある。具体的には下記のとおりである。
溶解鋳造において、1200℃以上の銅合金溶湯にFeを添加して溶解し、以後も溶湯温度を1200℃以上に保って鋳造する。鋳塊の冷却は、凝固時(固液共存時)及び凝固後とも、1℃/秒以上の冷却速度で行う。そのためには、連続鋳造又は半連続鋳造の場合、鋳型内の一次冷却、鋳型直下の二次冷却を十分効かせる必要がある。熱間圧延では、均質化処理を900℃以上、望ましくは950℃以上で行い、その温度で熱間圧延を開始し、熱間圧延終了温度を650℃以上、望ましくは700℃以上とし、熱間圧延終了後直ちに大量の水で300℃以下まで急冷する。
(引張強度の測定)
供試材から長手方向を圧延方向に平行としてJIS5号試験片を採取し、JISZ2241の規定に準拠して引張試験を行い、引張強度を測定した。引張強度は400N/mm2以上を合格とした。
(導電率の測定)
導電率はJISH0505の規定に準拠して測定した。導電率は65%IACS以上を合格とした。
作製した供試材を用い、×2000倍にて表面のSEM観察を行い、100μm×100μmの範囲で、粒径(外接円直径)が1μm以上のFe、Fe−P又はFe−P−O粒子又は介在物の個数をカウントし、1mm2あたりの個数を算出した。また、同範囲における前記粒子又は介在物の最大粒径を測定した。
作製した供試材を用い、AFM(Atomic Force Microscope)にて圧延垂直方向に供試材の表面状態を観察し、表面粗さ曲線(AFMプロファイル)を求め、該AFMプロファイルからRa(算術平均粗さ)、RzJIS(十点平均粗さ)及びRz(最大高さ粗さ)を求めた。圧延垂直方向のAFMプロファイルの一例を図3に示す。
凹みの圧延平行方向の平均長さ及び深さは、圧延平行方向のAFMプロファイルから求めた。圧延平行方向のAFMプロファイルの一例を図2に示す。図2に示すように、銅合金板表面の一般的な粗さ曲線とは異なり、明確な凹みが圧延平行方向に連続して形成されている。また、凹みの圧延垂直方向の平均長さは、圧延垂直方向のAFMプロファイル(図3参照)から求めた。AFMプロファイルの測定長さは500μmとした。
凹みの長さはAFMプロファイルの隣接する山頂間の距離であり、圧延平行方向及び圧延垂直方向とも、AFMプロファイルから求めたRsm(輪郭曲線要素の平均長さ)を凹みの平均長さとみなした。凹みの深さはAFMプロファイルの隣接する山頂と谷底間の距離とし、その最大値を凹みの最大深さとした。
(Agめっき条件)
各供試材について、電解脱脂(5Adm2×60sec)、酸洗(20mass%硫酸×5sec)を行い、平均厚さ0.1μmを目標としてCuフラッシュめっきを行った後、厚さ2.5μmのAgめっきを行った。Agめっき液の組成は下記のとおりである。Ag濃度:80g/L、遊離KCN濃度:120g/L、炭酸カリウム濃度;15g/L、添加剤(商品名:Ag20−10T(メタローテクノロジーズSA製)):20ml/L。
Agめっき表面をSEM観察し、1mm2の範囲のAgめっき欠陥(めっき未着、突起)の有無を評価した。
(耐熱剥離性)
各供試材から短冊状試験片を採取し、はんだ付け後、150℃×1000Hr保持し、曲げ戻しした際のはんだの剥離状況を確認した。はんだが剥離しなかったものを○(合格)、剥離したものを×(不合格)と評価した。
はんだ付けは、Sn−3mass%Ag−0.5mass%Cuはんだを使用し、浴温260±5℃、浸漬時間5secにて行った。
(反射率の測定)
コニカミノルタ株式会社製の分光測色計CM−600dを用いて、全反射率(正反射率+拡散反射率)を測定した。全反射率は90%以上を合格とした。
また、表面に密集した凹部が形成されているが、表面粗さの規定、凹部の平均長さ、及び凹部の最大深さの規定のうち1又は2以上を満たさないNo.34〜40は、いずれも反射率が低い。
Claims (3)
- Fe:1.8〜2.6mass%、P:0.005〜0.20mass%、Zn:0.01〜0.50mass%を含み、残部Cu及び不可避不純物からなり、圧延垂直方向の表面粗さがRa:0.2μm以下、RzJIS:1.2μm以下、Rz:1.5μm以下であり、表面に凹みが密集して形成され、前記凹みの圧延平行方向及び圧延垂直方向の長さは圧延平行方向及び圧延垂直方向の表面粗さ曲線から求めた隣接する山頂間の距離であり、前記凹みの圧延平行方向の平均長さが2〜100μm、圧延垂直方向の平均長さが1〜30μm、圧延平行方向に沿った最大深さが400nm以下であることを特徴とするLEDのリードフレーム用銅合金板条。
- さらにSn、Co、Al、Cr、Mg、Mn、Ca、Pb、Ni、Ti、Zrの1種又は2種以上を合計で0.02〜0.3mass%含むことを特徴とする請求項1に記載されたLEDのリードフレーム用銅合金板条。
- 表面に露出したFe、Fe−P又はFe−P−O粒子の粒径が5μm以下で、かつ1μm以上の粒径を有するものが3000個/mm2以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載されたLEDのリードフレーム用銅合金板条。
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