JP6026841B2 - 圧電ウエハと弾性波装置の製造方法 - Google Patents

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本発明は、弾性波装置の製造に供する圧電ウエハと弾性波装置および弾性波装置の製造方法に関するものである。
図4(a)〜(d)に、従来の弾性波装置の製造方法を示す。
従来の弾性波装置の製造方法は、まず、図4(a)のように、ウエハ状の圧電基板1の素子面1aに櫛形電極2と、配線3を形成し、櫛形電極2を覆う素子カバー4を形成する。次に、図4(b)のように、配線3から上方に伸びる接続電極5と、素子カバー4の上から圧電基板1の素子面1aを覆う封止材6を形成し、封止材6の上面に接続電極5に接続された端子電極7を形成する。次に、図4(c)のように、圧電基板1の背面1bを研削装置8を用いて研削し圧電基板1の板厚を薄くする。次に、図4(d)のように、圧電基板1を封止材6ごとダイシングして、個片に分割し、弾性波装置9を得る。
なお、この出願の発明に関する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
特開2004−297693号公報
上記のように、従来の弾性波装置9の製造方法は、櫛形電極2を形成する工程から端子電極7を形成する工程までの間の製造工程を実施するために一定の厚みと強度を有するウエハ状の圧電基板1を必要とし、個片に分割する前に研削することにより、圧電基板1を薄くし、弾性波装置9を薄型化していた。
しかし、この従来の弾性波装置9の製造方法は、圧電基板1を研削して薄くするために多大な労力と時間を費やしていた。また、この圧電基板1を研削して薄くする工程を軽減するために、初期の圧電基板1を薄くした場合には、圧電基板1を研削する以前の工程において、圧電基板1が破損しやすくなり、歩留りが低下していた。
本発明は、製造時に圧電基板の破損が少なく、効率よく薄型の弾性波装置を製造することのできる弾性波装置および弾性波装置の製造方法と弾性波装置の製造に供する圧電ウエハを提供することを目的とするものである。
上記目的を達成するために、本発明は、弾性波装置の製造に供する圧電ウエハであって、圧電体単結晶からなる圧電体の層と、薬液を用いて除去することが可能な支持体の層とからなるものである。
また、本発明は、圧電体単結晶からなる圧電体の層と薬液を用いて除去することが可能な支持体の層とからなる圧電ウエハを準備する工程と、前記圧電ウエハの上に櫛形電極を形成する工程と、前記圧電ウエハの上の前記櫛形電極を封止する工程と、前記圧電ウエハの前記支持体を前記薬液を使用して除去する工程とを有する弾性波装置の製造方法およびその製造方法を用いて製造した弾性波装置である。
上記の構成を有することにより、本発明は、製造時に圧電基板の破損が少なく、効率よく薄型の弾性波装置を製造することができるという効果を有する。
(a)、(b)本発明の一実施の形態における圧電ウエハの斜視図 (a)〜(c)本発明の一実施の形態における弾性波装置の製造方法を模式的に示した製造工程図 (a)〜(c)本発明の一実施の形態における弾性波装置の製造方法を模式的に示した製造工程図 (a)〜(d)従来の弾性波装置の製造方法を模式的に示した製造工程図
以下、本発明の一実施の形態における圧電ウエハおよび弾性波装置の製造方法について、図面を参照しながら説明する。
図1(a)は本発明の一実施の形態における圧電ウエハの斜視図である。図1(a)において、圧電ウエハ11は、圧電体単結晶からなる厚さ100μm程度の圧電基板12と、薬液を用いて除去することが可能な厚さ4mm程度の支持基板13とからなる。
圧電基板12は、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム、水晶などの圧電体単結晶からなり、厚さは100μm程度である。
支持基板13は、薬液を用いて除去することが可能な材料からなり、極めて厚みの薄い圧電基板12を用いて弾性波装置を製造する際の圧電基板12の支持部材である。支持基板13の構成は、アルカリ水溶液に可溶な樹脂の中に酸化ケイ素を主成分とする無機充填材を分散させたものである。アルカリ水溶液に可溶な樹脂を溶解させることのできるアルカリ水溶液は、例えば、炭酸ナトリウム水溶液や水酸化ナトリウム水溶液である。支持基板13における無機充填材の含有量は80wt%以上98wt%以下である。無機充填材の含有量をこの範囲にすることにより、支持基板13の熱膨張率を圧電基板12に近似させることができ、弾性波装置の製造時に圧電ウエハ11の反りを抑制することができる。
以上のように本発明の圧電ウエハ11は、圧電体単結晶からなる圧電基板12と、薬液を用いて除去することが可能な支持基板13とからなり、製造時に圧電基板12の破損が少なく、効率よく薄型の弾性波装置を製造することができ、弾性波装置を製造する時間を短縮することができる。
次に、上記圧電ウエハ11を用いて行う本発明の一実施の形態における弾性波装置の製造方法について、図面を参照しながら説明する。
図2(a)〜(c)、図3(a)〜(c)は、本発明の一実施の形態における弾性波装置の製造方法を模式的に示した製造工程図である。
まず、図2(a)に示すように、圧電体単結晶からなる圧電基板12と薬液を用いて除去することが可能な支持基板13とからなる圧電ウエハ11を準備し、圧電ウエハ11の素子面11aに、櫛形電極からなる弾性表面波素子14と弾性表面波素子14に接続する配線電極15を形成し、空間16を介して弾性表面波素子14を覆う素子カバー17を形成する。ここで、圧電ウエハ11は図1(a)を用いて説明した圧電ウエハ11と同じ構成を有する。
次に、図2(b)に示すように、圧電ウエハ11の素子面11aにおいて、素子カバー17と配線電極15を覆う封止体18と、封止体18を貫通して配線電極15に接続される接続電極19と、封止体18の上面に配置され、接続電極19に接続される端子電極20を形成する。
次に、図2(c)に示すように、圧電ウエハ11の素子面11aの側から弾性表面波装置を個片に分割するダイシングを行い、封止体18から支持基板13に達する溝21を形成する。
次に、図3(a)に示すように、封止体18の上面側に仮固定部材22を固定し、圧電ウエハ11の下面側から炭酸ナトリウム水溶液23で支持基板13を溶解除去する。なお、支持基板13を溶解除去する際には、ブラシ研磨等を併用しても良い。
次に、図3(b)に示すように、弾性波装置を識別するためのマーキング24を圧電基板12の背面側から形成する。
次に、図3(c)に示すように、仮固定部材22から弾性波装置25を剥離することにより個々の弾性波装置25ができる。
以上のように本発明の弾性波装置の製造方法とこの製造方法を用いて製造した弾性波装置25は、圧電体単結晶からなる圧電基板12と薬液を用いて除去することが可能な支持基板13とからなる圧電ウエハ11を準備する工程と、前記圧電ウエハの上に櫛形電極を形成する工程と、前記圧電ウエハの上の前記櫛形電極を封止する工程と、前記圧電ウエハの前記支持体を前記薬液を使用して除去する工程とを有することにより、製造時に圧電基板の破損が少なく、効率よく薄型の弾性波装置を製造することができ、弾性波装置を製造する時間を短縮できるという効果を有する。
なお、上記本発明の一実施の形態における弾性波装置の製造方法において、弾性波装置として内部に弾性波素子が励振するための空間を有する弾性表面波装置を用いて説明したが、内部に空間を有さない弾性境界波装置についても本発明の製造方法を適用することができ、同様の効果をもたらす。
また、上記本発明の一実施の形態における弾性波装置の製造方法において、圧電ウエハから支持基板を除去するための薬剤として炭酸ナトリウム水溶液を用い、樹脂成分を溶解することにより除去したが、他のアルカリ水溶液を用いて樹脂成分を溶解してもよいものである。また、支持基板の樹脂成分をアルカリ水溶液を用いて膨潤させることにより、支持基板を剥離してもよいものである。
また、上記本発明の一実施の形態における弾性波装置の製造方法において、圧電ウエハの支持基板としてアルカリ水溶液に可溶な樹脂中に無機充填材を分散させた材料を用いたが、支持基板として酸またはアルカリ水溶液に可溶な金属を用い、図3(a)に示す工程の代わりに、支持基板を酸またはアルカリ水溶液を用いて支持基板を溶解除去しても良いものである。
図1(b)は本発明の一実施の形態における他の圧電ウエハの斜視図である。図1(b)における圧電ウエハ31は、図1(a)に示す圧電ウエハ11において、圧電基板12の代わりに、圧電基板32と低熱膨張基板34を接合した複合基板を用いたものである。図1(b)における圧電ウエハ31は、圧電体単結晶からなる圧電基板32と、低熱膨張基板34と、薬液を用いて除去することが可能な支持基板33とからなる。圧電基板32の厚みは20μm程度、低熱膨張基板34の厚みは80μm程度、薬液を用いて除去することが可能な支持基板33の厚みは4mm程度である。低熱膨張基板34は、酸化アルミニウムや酸化ケイ素を主成分とする圧電基板32よりも熱膨張率の低い材質から構成したものであり、圧電基板32と接合することにより、圧電基板32の温度による寸法変化を抑制するものであり、弾性波装置の温度変化による弾性波装置の電気特性の変動を抑制するものである。薬液を用いて除去することが可能な支持基板33は、図1(a)の圧電ウエハ11における支持基板13と同様の構成を有する。
図1(b)に示す本発明の一実施の形態における他の圧電ウエハ31は、本発明の一実施の形態における圧電ウエハ11と同様、効率よく薄型の弾性波装置を製造することができ、弾性波装置を製造する時間を短縮することができる。
本発明に係る弾性波装置は、主として移動体通信機器に用いられる高周波フィルタや分波器、共用器等において有用となる。
11、31 圧電ウエハ
11a 素子面
12、32 圧電基板
13、33 支持基板
14 弾性表面波素子
15 配線電極
16 空間
17 素子カバー
18 封止体
19 接続電極
20 端子電極
21 溝
22 仮固定部材
23 炭酸ナトリウム水溶液
25 弾性波装置

Claims (21)

  1. 弾性波装置の製造に供する圧電ウエハであって、
    圧電体単結晶からなる圧電体の第1層と、
    薬液を使用して除去することが可能な支持体の第2層と
    を含み、
    前記支持体は、
    アルカリ可溶な樹脂と、
    無機充填材と
    を含む圧電ウエハ。
  2. 前記無機充填材は二酸化ケイ素を主成分とする請求項記載の圧電ウエハ。
  3. 前記支持体における前記無機充填材の含有率は80wt%以上かつ98wt%以下である請求項記載の圧電ウエハ。
  4. 前記支持体は、エッチング液によりエッチング可能な金属からなる請求項1記載の圧電ウエハ。
  5. 前記エッチング液は酸性又はアルカリ性である請求項記載の圧電ウエハ。
  6. 前記第1層と前記第2層との間に第3層が設けられる請求項1記載の圧電ウエハ。
  7. 前記第3層は、前記第1層よりも熱膨張率が低い請求項記載の圧電ウエハ。
  8. 弾性波装置を製造する方法であって、
    圧電体単結晶からなる圧電体の第1層と支持体の第2層とを含む圧電ウエハを準備する工程と、
    前記圧電ウエハの上に櫛形電極を形成する工程と、
    前記圧電ウエハの上の前記櫛形電極を封止する工程と、
    前記圧電ウエハの前記支持体を、薬液を使用して除去する工程と
    を含む方法。
  9. 前記支持体は前記薬液に可溶である請求項記載の方法。
  10. 前記支持体は、
    アルカリ可溶な樹脂と、
    無機充填材と
    を含む請求項記載の方法。
  11. 前記無機充填材は二酸化ケイ素を主成分とする請求項10記載の方法。
  12. 前記支持体における前記無機充填材の含有率は80wt%以上かつ98wt%以下である請求項11記載の方法。
  13. 前記支持体は、エッチング液によりエッチング可能な金属を含む請求項記載の方法。
  14. 前記エッチング液は酸性又はアルカリ性である請求項13記載の方法。
  15. 弾性波装置を製造する方法であって、
    圧電体単結晶からなる圧電層と支持層とを含む圧電ウエハを準備する工程と、
    前記圧電層の上に弾性表面波素子を形成する工程と、
    前記圧電層及び前記弾性表面波素子を封止する封止層を形成する工程と、
    前記封止層及び前記圧電層を貫通して前記支持層に達する溝を形成する工程と、
    前記支持層を溶解除去する工程と
    を含む方法。
  16. 前記支持が溶解除去される間、前記封止層の上面が固定部材によって固定される請求項15記載の方法。
  17. 前記弾性波装置を前記固定部材から分離する工程をさらに含む請求項16記載の方法。
  18. 前記弾性波装置を識別するためのマーキングを、前記支持層が溶解除去された後に前記圧電層に形成する工程をさらに含む請求項17記載の方法。
  19. 前記圧電層と前記支持層との間にさらなる層が設けられる請求項15記載の方法。
  20. 前記さらなる層は、前記圧電層よりも熱膨張率の低い材料から構成される請求項19記載の方法。
  21. 前記支持の溶解除去は、炭酸ナトリウム水溶液によって行われる請求項15から20のいずれか記載の方法。
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