血清試験は、肺がんのリスクを評価し、スパイラルCTを用いた更なるスクリーニングが要求されるより小さな集団を選択するために、初期のスクリーニングとして使用しても良いことが開示されている。交代に、血清試験は、非腫瘍性がん疾患とCTによって発見された疑問の余地がある結節に関する肺がん悪性腫瘍とを識別するために使用され、これによって、一連のCT又は侵襲的な生体検査の必要性を排除することができる。好ましい実施形態において、肺がんはNSCLCである。更なる代替において、組織又は自己抗体試験は、肺がんのリスクに関して患者をスクリーニングする又は非腫瘍性疾患と悪性腫瘍とを識別するために用いることができる。その試験は、肺がんのリスクに関して患者をスクリーニングする又は非腫瘍性疾患と悪性腫瘍とを識別するために、1つ以上の特定のバイオマーカーをコードする核酸、これらのバイオマーカーの核酸によって転写されるポリペプチド、又は、これらのバイオマーカーの核酸によって転写されるポリペプチドに対する自己抗体をスクリーニングできる。その試験は、予知した転帰を提供する又は転移性の疾患の存在を検出することができる。
最初の例では、NSCLCに関係した47の候補バイオマーカーの配列が選択され、早期NSCLCを有する患者と我々のコントロール集団とを区別するための重要な試験性能特性を有するバイオマーカーのパネルを評価するために、計135人の患者(n=92NSCLC、n=43”健康な”コントロール)をスクリーニングした。選択されたバイオマーカーから、独立型の診断方法としてかそれとも現在のCTに基づくスクリーニングプロトコルに関するコンパニオン試験としてNSCLCに関するスクリーニングができる多検体血液試験が確認された。
血清試料は、”ハイリスク”な集団が、このタイプの診断方法に対して提示する複雑性に近づくように、2つの異なるグループのコントロール(n=43)だけでなく、92人のNSCLC患者からも得られた。全てのNSCLC患者及びコントロールは、文書による公式同意を含む施設内治験審査委員会の全面順守において得られた。NSCLCコホートの診断結果は、リンパ節摘出を伴う腫瘍切除から得られた組織における外科病理報告書から得られた。NSCLCコホートに研究を含めるための基準は、広範であり(病理学的評価を伴う外科的切除を持つことからなる)、いくつかの人口学的又は臨床学的因子に限定されなかった。’正常な’コントロール試料(n=31)は得られた。このコホートは、同様の人口学的特性に基づいて選択され、炎症性成分を有する診断された状況を有していた。このコホートにおける31人の患者の内の7人にかなりの喫煙歴があった。試料発生時及び臨床経過観察日において、これらの患者は、いくつかの肺疾患又はいくつかのタイプのがん腫の証拠はなかった。’手術後の非腫瘍性疾患’のグループは、肉芽腫、肺臓炎又は肺炎を有する12人の患者から構成されていた。これらの患者は、がん又は保存的治療の後の持続的症状に関する懸念に対する二次的な切除を受けた。
パネルの検証に使用される試料は、以下のコホートから構成される。25の段階I、7の段階II及び1の段階IIIのNSCLC患者から構成されるNSCLCコホート(合計n=33)。”疑問の余地がある”病変の外科的切除を有する15人の非腫瘍性肺疾患の患者の第2のコントロールコホート及び” 慢性閉塞性肺疾患(COPD)又は喘息を有する40人の患者から構成される外科手術を伴わない非腫瘍性疾患”のグループも検証試験に用いられた。このCOPD/喘息のグループの患者は、咳の進行又は呼吸器症状の変化の訴えに基づいて臨床的に見られ、血清は、気管支鏡検査法及びCT撮影に先立って即座に集められ、ついで、肺結節の存在について評価するために用いられた。これらの場合から選択された全体のCOPD/喘息コホートは、NSCLCコホート(年間40パックの中央値)と同様に喫煙歴を有していた。末梢血は、NSCLCに対する治療の開始直前に各患者から採取した。血液の10mLは、標準のレッドトップVacutainers(登録商標)(抗凝固剤なし)に引き込まれ、30〜40分間、室温で凝固された。血清は、遠心分離で分離された。収率は、全血液10mL当たり、血清4〜7mLの範囲であった。血清は、その後即座に、一定分量に分けられ、−80℃の超低温冷凍庫内で保管された。試料は、この研究に関する2つ以上の融解サイクルにさらされない。
末梢血は、上述と同様の方法で処理及び必要な処理を施された全てのサンプルを有し、標準的な瀉血技術を用いた治療の開始直前に各患者から得られた。試料は、この研究に関する2つ以上の融解サイクルにさらされない。コントロール血清は、同一の方法で採取し、上記のように処理した。
可能ならばいつでも、Luminex xMAP(登録商標)免疫測定法のプラットフォームは、試験された47個のバイオマーカーの2つのみを包含するELISAベースの免疫測定法を用いて、バイオマーカーの血中濃度を測定するために用いられた。全ての分析は、各製造業者の指示に従って実施し、以下のようなグループで行われた:C反応性タンパク質(C−reactive protein,CRP)及び血清アミロイドA(serum amyloid A,SAA)[Millipore;Billerica,MA];インターロイキン−1β(interleukin−1β,IL−1β),IL−1ra,IL−6,IL−8,IL−10,腫瘍壊死因子−α(tumor necrosis factor−α,TNF−α)及び形質転換成長因子−α(transforming growth factor−α,TGF−α)[Millipore;Billerica,MA];IL−2,IL−13,インターフェロン−γ(interferon−γ,IFN−γ),インターフェロン誘導タンパク質10(interferon−inducible protein 10,IP−10)及び顆粒球単球コロニー刺激因子(granulocyte monocyte colony stimulating factor,GM−CSF)[Bio−Rad Laboratories;Hercules,CA];IL−1α,IL−2Rα,M−CSF,幹細胞由来因子1α(stem cell−drived factor 1α,SDF−1α)及び幹細胞因子(stem cell factor,SCF)[Bio−Rad Laboratories;Hercules,CA];sE−セレクチン(sE−selectin),sP−セレクチン(sP−selectin)及び可溶性細胞内接着分子1(soluble intracellular adhesion molecule,sICAM1)[R&D systems;Minneapolis,MN];マトリックスメタロプロテイナーゼ−2(matrix metalloproteinase−2,MMP−2),MMP−3,MMP−9及びMMP−13[R&D systems;Minneapolis,MN];死受容体5(death receptor 5,DR−5),組織壊死因子レセプターI(tissue necrosis factor−receptor I,TNF−RI)及びTNF−RII[Invitrogen;Carlsbad,CA];RANTES,マクロファージ炎症性タンパク質−1α(macrophage inflammatory protein−1α,MIP−1α),MIP−1β,単球走化性タンパク質−1(monocyte chemotactic protein−1,MCP−1)及びエオタキシン(eotaxin)[Invitrogen;Carlsbad,CA];顆粒球コロニー刺激因子(granulocyte colony stimulating factor,G−CSF),上皮成長因子(epidermal growth factor,EGF),血管内皮成長因子(vascular endothelial growth factor,VEGF)及び塩基性線維芽細胞成長因子(basic fibroblast growth factor,bFGF)[Invitrogen;Carlsbad,CA]及びsEGFR(erb−b1),Her−2(erb−b2),CA125,CA15−3,CA19−9,CEA及びCYFRA21.1は、ピッツバーグ大学がん研究所のLuminex Core Facilityで測定された。バイオマーカーの濃度は、BioPlex Suspension Array System Software v4.0(Bio−Rad Laboratories;Hercules,CA)の一環として、5つのパラメトリック曲線適合によって計算された。TIMP−1及びオステオポンチンの濃度の測定は、市販のELISA分析を用いてキットの説明書(R&D systems;Minneapolis,MN)に応じて実施された。データは、KCジュニア(v1.40.3)ソフトウェアパッケージを用いてBioTek PowerWave XSプレートリーダ上に集められた。4つのパラメトリック曲線適合は、吸光度の生の測定値から濃度を算出するのに使用された。この研究に関して実施された全ての分析は、盲検の方法で実施され、オペレータのバイアスを最小限に抑えるために異なる社員によって統計的に処理された。
検証研究は、以下のようなグループで、製造業者の指示に従って評価された14の検体に関して同一の市販のキットを使用した。CRP[Millipore;Billerica,MA];IL−1ra,IL−6,IL−10及びTNF−α[Millipore;Billerica,MA];インターフェロン−γ(interferon−γ,IFN−γ)[Bio−Rad Laboratories;Hercules,CA];IL−2Rα[Bio−Rad Laboratories;Hercules,CA];sE−セレクチン(sE−selectin)及びsP−セレクチン(sP−selectin)[R&D systems;Minneapolis,MN];MMP−2[R&D systems;Minneapolis,MN];MIP−1α,MCP−1及びエオタキシン(eotaxin)[Invitrogen;Carlsbad,CA];CA125及びCYFRA21.1は、ピッツバーグ大学がん研究所のLuminex Core Facilityで測定された。データは、同じ方法で集められ、5つのパラメトリック曲線適合は、吸光度の生の測定値から濃度を算出するために使用された。
最初の選択は、47のバイオマーカーの配列からなり、それらは、以下の機能の内の少なくとも1つに関する値を示す各バイオマーカーに関する公表されたリポートのいずれかに基づいて選択された:NSCLC診断,病期若しくは予後又は疾患の進行に関与する生物学的プロセスへの関与。これらのマーカーのレベルは、92人のNSCLC患者及び43人の非がんコントロール由来の血清で評価した。表1〜表3は、患者の臨床的及び病理学的特性を示す。
IL−1α,IL−1β,IL−2,IL−15,GM−CSF,TGF−α,DR5,MMP−13を含むいくつかのバイオマーカーは、測定範囲の閾を下回るそれらの測定のかなりの部分を有し、更なる分析に不適格と見なされる。これらのバイオマーカーは、必要とする再分析の生データに明らかな傾向を提示しなかった。
表3に定義しているように、2以上の患者のグループは、この研究の”発見”部分に登録された。最初のグループは、Rush University Medical Center(RUMC),Chicago,ILにおいて、治癒目的で完全な解剖学的切除を受けた肺腺がん(T1−2N0M0)を有する10人の患者から構成されていた。研究のためのコントロールとしての役目を果たした第2のグループは、NSCLCを持つことの疑いの下で、RUCMにおいて切除された非腫瘍性肺疾患を有する患者(n=10)から構成されていた。
TNF−α,CYFRA21.1,IL−1ra,IL−6,IFN−γ,IL−2Rα及びCA125の血清濃度は、NSCLCグループ中で著しく高くなることが判明した(0.001と同等又はより低いマンホイットニー順位和(両面)p値)のに対し、MCP−1,CRP,MMP−2及びsE−セレクチン(sE−selectin)の濃度は、コントロールグループ中で著しく高くなることが判明した(0.001と同等又はより低いp値)。0.05未満のマンホイットニー順位和(両面)p値の有意な閾値の使用又は’曲線下面積’(AUC)が0.65を超えるROC曲線の分析、14個のバイオマーカーの合計は、多変量解析を受けることが好適であることが見出された。それぞれの統計に基づくパラメータとともに、これらのバイオマーカーのリストは、表4〜表6に含まれる。有意差は、年齢、喫煙歴及び断食の状態と関連するバイオマーカーの検査で観察されなかった(全てのp値は>0.1)。
4つの患者集団(n=196)由来の血清試料は、Luminex検証研究に含まれていた。これらグループの基本的な患者層については表3を参照せよ。NSCLCグループは、早期疾患(T1−3N0M0)を有する81人の患者、局所進行性の疾患(T1−3N1−2M0)を有する32人及び遠隔転移を有する4人から構成される。NSCLCコホートに研究を含めるための基準は、広範であり(NSCLCの外科的切除及び/又は病理学的確認を持つことからなる)、いくつかの人口学的又は臨床学的因子に限定されなかった。術前化学又は放射線療法を受けた患者は、研究から除外した。NSCLCコホート内の全ての患者は、系統的なリンパ節摘出を伴う原発腫瘍の明確な切除を受けた。解剖学的切除を受けている患者由来の全て血清試料は、手術の直前に集められたため、絶食中のものである。
3つに分割したグループから構成されたコントロールコホート:変形性関節症の研究(以下、”変形性関節症”コホートとして知られる)の一端として我々のリウマチ部門を受診し、血清採取時又は臨床経過観察の3年間において、肺疾患又はいくつかのタイプのがん腫の病歴を持たなかった31人のボランティア;Abbott Laboratories(North Chicago,IL)からの匿名化されたCOPD及び喘息の患者(合計n=32)及び病理学的診断の際に疑わしく思われたNSCLCに関してRUMCでの解剖学的切除を受けた16人の患者は、非腫瘍性結節(乾酪性肉芽腫、回復期肺炎など)と診断された。Abbottコホートは、気管支鏡処置(症状の深刻化を調査するために実行される)の時点で集められ、血清発生時に断食となった。変形性関節症の研究に参加している患者は、通常の外来診療の一端としてその血清を集められ、このプロトコルの一端として設けられた絶食に関する要件はなかった。
6個のバイオマーカーのパネルは、材料及び方法のセクションで定義したように、ランダムフォレストアルゴリズムを使用した統計に基づく妥当性のために私たちの基準を満たす14個のバイオマーカーから選択された。それぞれサブパネルごとに拡大されたランダムフォレストの1000のツリーの範囲が提供しているAUCと同様に平均out−of−bag’誤判別エラー’は、表4〜表6に示される。
6個の検体のパネルに対する14個の個々のバイオマーカーからのパネルの継続した”焦点”は、病理学的NSCLCの状態に関連して患者を正しく分類する能力を改善した。しかしながら、4回繰り返した後のAUC及び関連した検出感度は、バイオマーカーの数が減少するに伴って、NSCLCを診断するための好ましい組み合わせとしてのこのパネルが選択される結果に至った。個々の’箱髭’プロットは、図2G〜図2Lにおけるこれら6個のバイオマーカー(TNF−α,CYFRA21.1,IL−1ra,MMP−2,MCP−1及びsE−セレクチン(sE−selectin))に関して示されている。次に、分類ツリーは、良性のコントロールからNSCLCを区別するために便利且つ有用なアルゴリズムを提供するためのRPARTソフトウェアパッケージ内のランダムフォレストアルゴリズムから選択された6個のマーカーのサブパネルに基づいて定義された。このプロセスから得られる分類ツリーは、図3Bに示されている。このツリーは、135のケースを129に正しく分類した(正しい分類率は95%)。この分類ツリーに関するROC曲線は、図4に示されている。このパネルに関する試験性能特性は、99%の感度に変わる97.9%のAUC及び95%の特異性を持っている。いくつかの個々のバイオマーカー上の多検体パネルを使用する場合に、NSCLCに関するスクリーニングをする能力の相当な増加が確認された。
プロテオーム発見−細胞培養及び細胞溶解物の調製−ヒト肺腺がん細胞株HCC827は、記載された研究のために特別に、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC;Manassas,VA)から直接入手し、全ての研究は、最初の入手日から6ヶ月以内に実施された。細胞株の認証は、ATCCによって行われた。細胞は、5%CO2の湿気のある環境下、37℃で10%FBSが添加されたRPMI 1640で培養された。全ての細胞は、記載された実験のために計5継代以内に維持された。80%の密集度に到達する際に、全ての細胞は採取され、pH7.4のPBS中で2回洗浄された。細胞溶解物は、コンプリートミニ−プロテアーゼ阻害剤の錠剤(Roche Diagnostics;Indianapolis,IN)を添加したTBSで希釈された1%のNP−40の500μl中で1×107の細胞を取ることにより調製された。細胞は、4℃で30分間で溶解され、14000xgで10分間遠心分離され、タンパク質濃度は、BCA法(Pierce;Rockford,IL)によって測定された。
2次元ウエスタンブロット分析による血清自己抗原プロファイリング−合計3つのゲルは、2次元分析のために同時に実行された。2つのゲルは、HCC827細胞株由来の100μgの溶解物が装填され、肺腺がんとコントロール患者集団の間の免疫反応性の違いを識別するために、ウエスタンブロット分析を受けたのに対して、1つのゲルは、ゲル染色によってタンパク質パターンを可視化するために300μgのタンパク質が装填された。全細胞溶解物は、ProteoExtract(登録商標)タンパク質沈殿キット(EMD Chemicals Inc;Gibbstwon,NJ)を用いてこの分析のために調製された。等電点電気泳動法(IEF)は、22000〜24000V−hrsの線形勾配プログラムを持ったProtean(登録商標)IEFセル(BioRad)を用いて実施され、装置製造業者(Biorad;Hercules,CA)によって推奨された他の標準化されたプロトコルを用いて遂行された。2次元ゲルが遂行された後、それらは、2次元ウエスタンブロット分析によって分析されたか、Gelcode Blue(Pierce Protein Research Products;Rockford,IL)で染色された。ウエスタンブロット分析のために、各ゲルからのタンパク質は、標準的な”tank−transfer”プロトコルを用いて、15Vでニトロセルロース(nitrocellulose)薄膜上に移動される。PBS中1%のBSAで遮断した後、薄膜は、肺腺がんかコントロール患者グループ(グループ当たりn=10)由来のプール血清(グループ当たり10試料)の1:500希釈物中で1時間培養された。プローブされた薄膜は、ついで、PBSで洗浄され、1:100000に希釈したHRP結合ヤギ抗ヒトIgG(Jackson Laboratory;Bar Harbor,ME)で培養された。免疫ブロットは、強化化学発光システム(ECL;GE Healthcare Bio−Sciences Corp.;Piscataway,NJ)で開発され、X線フィルムに記録された。全てのゲル及びX線フィルムは、VersaDoc 4000ゲル撮像システムを用いてスキャンされ、バージョン8.0のPDQuest2次元ゲル撮像ソフトウェア(BioRad;Hercules,CA)を用いて比較された。ゲル及び免疫ブロット法の反復実行は、免疫反応性の観測パターンの再現性を確保するために実行され、ターゲットは、タンパク質の同定のために抜いた。
質量分析のためのサンプル調製−ウエスタンブロットで観察された特異的な免疫反応性シグナルは、10倍を超える免疫反応性の差を有することに基づくタンデム質量分析による同定のために、Gelcode Blueで染色された2次元ゲルから抜き出された。ゲル内のトリプシン消化は、Promega Corporationによって指定された方法(http://www.promega.com/tbs/tb309/tb309.pdf)を用いて達成された。消化後、得られたペプチドは、C18 Zip Tip(Millipore;Billerica,MA)を用いて濃縮及び脱塩され、MALDI標的板上に直接スポットされた。5mg/mLの0.1%トリフルオロ酢酸(trifluoroacetic acid)を含む50%アセトニトリル(acetonitrile)に懸濁された再結晶α−シアノ−4−ヒドロキシ桂皮酸(α−cyano−4−hydroxycinnamic acid,CHCA)(Protea Biosciences;Morgantown,WV)は、タンデム質量分析による分析の前に、各サンプル位置(サンプル当たり1μL)に添加された。
タンパク質の質量分析同定−質量分析によるタンパク質の同定は、700〜4000m/zの範囲に最適化された正イオンモードで、Shimadzu AXIMA Performance(MALDI TOF/TOF)質量分析計(Shimadzu Biotech;Columbia,MD)で行われた。データは、各サンプルに渡って、2000レーザショットで取得された。ペプチド質量指紋(PMF)分析は、生の質量分析ファイルからMascot Distillerによって抽出されたモノアイソトピックピークのリストを用いて行われた。ペプチドの照合及びタンパク質の検索は、質量許容誤差を100ppmに設定し、修飾することない”1” missed cleavageの状態でMascot検索エンジン(Matrix Science;Boston,MA)を用いて、NCBI及びSwiss−Protデータベースと対照して達成された。更に、3〜5個の特有のペプチドは、MS/MS分析を実行するためのMSデータ中に見られたペプチドから選択された。タンパク質の同定は、Mascot検索エンジンから各ペプチド配列タグ(PKL)フォーマットファイル(各MS/MS実験によって生成される)をインポートすることによって達成され、NCBI及びSwiss−Protデータベースを検索するために、±0.3DaのMS/MS許容誤差が用いられた。
タンパク質の同一性の割り当てに関する基準は、以下のパラメータから構成されている:67(p=0.05)よりも大きいMASCOT ’MOWSE’スコア,30%よりも大きい配列カバー率,最低限の3つの特有のトリプシンペプチドのMS/MSデータ及び予測及び観測された質量/等電点(pl)のゲルの座標値の間の一般的な合意。更に、2次元ウエスタンブロットは、同定された自己抗原が免疫反応性が最初に観察されたゲルの座標に相互に関係があったことを確認するために、市販のモノクローナル及びポリクローナル抗体を用いて行われた。抗体源は、以下のようであった:Santa Cruz Biotechnology Inc.(Santa Cruz,CA)からのNY−ESO,スルビビン(survivin),リカバリン(recoverin),メチルチオアデノシンホスホリラーゼ(methylthioadenosine phosphorylase),p53,ペルオキシレドキシン(peroxiredoxin)及びトリオースリン酸イソメラーゼ(triosephosphate isomerase);Abcam Inc.(Cambridge,MA)からのエノラーゼ1(enolase 1)及びGAPDH;(R&D systems,Minneapolis,MN)からのアネキシンa1(annexin a1);Avia Systems Biology(San Diego,CA)からのカルポニン2(calponin 2);Sigma−Aldrich(St.Louis,MO)からのヒドロキシステロイド(17−β)デヒドロゲナーゼ(hydroxysteroid 17−β dehydrogenase)及びホスホグリセラートデヒドロゲナーゼ(phosphoglycerate dehydrogenase)並びに残りの抗体はAbnova Corporation(Taipei City,Taiwan)から得た。
血清試験開発−組み換えタンパク質:源及び生産−組み換えタンパク質は、NY−ESO(13〜15),p53(13,16〜21),ペルオキシレドキシン(peroxiredoxin)(22,23),トリオースリン酸イソメラーゼ(triosephosphate isomerase,TPI)(23),リカバリン(recoverin)(24),3−オキソ酸CoAトランスフェラーゼ(3−oxoacid CoA transferase)(23),スルビビン(survivin)(BIRC5としても知られる)(25),c−Myc(13,26),アネキシンII(annexin II)(27)及びユビキリン(ubiquilin)(28)を含む、我々の目的のための文書化された値を有する自己抗体の第2のグループと同様に、NSCLC検出のための値(表7参照)を有するプロテオーム発見努力で特定された自己抗体候補のそれぞれについて得られた。商用抗体(標的確認のために上記で使用)は、分析動作の間に陽性コントロールとしての役目を果たすためのこれらの標的が得られた。組み換えタンパク質(自己抗原)の一部は、他のどこかで定義されているように(29,30)、Abnova Corporation(Taipei City,Taiwan)における我々の共同研究者らによって特別に調製された。これらは、α−エノラーゼ(α−enolase),グリオキサラーゼドメインコンテイニング4(glyoxalase domain containing 4),メチルチオアデノシンホスホリラーゼ(methylthioadenosine phosphorylase),ホスホグリセラートムターゼI(phosphoglycerate mutase I),IMP−デヒドロゲナーゼII(IMP−dehydrogenase II),トリオースリン酸イソメラーゼ(triosephosphate isomerase),リカバリン(recoverin),ホスホグリセラートデヒドロゲナーゼ(phosphoglycerate dehydrogenase),erp−29,アネキシンI(annexin I),アネキシンA1(annexin A1)(イソ型 CRA_b),ヒドロキシステロイド(17−β)デヒドロゲナーゼ10イソ型1(hydroxysteroid−(17−β)−dehydrogenase 10 isoform 1),フマル酸ヒドラターゼ(fumarate hydratase),熱ショック70kDaタンパク質9B(heat shock 70kDa protein 9B)(モルタリン−2(mortalin−2)),タンパク質ジスルフィドイソメラーゼアソシエイテッド3前駆体(protein disulfide isomerase−associated 3 precursor),イソクエン酸デヒドロゲナーゼ1イソ型1(isocitrate dehydrogenase 1 isoform 1),カルポニン−2(calponin−2),c−Myc,アネキシンII(annexin II),3−オキソ酸CoAトランスフェラーゼ(3−oxoacid CoA transferase)及びGRP−78前駆体を含む。
Custom Luminex immunobead分析開発−ミクロスフィア抗原カップリング−”直接捕獲”ビーズに基づく免疫測定法は、Luminex Corporationの提案したプロトコルによって提案されたプロトコルを使用して開発された。簡潔には、5〜10μgの組み換えタンパク質は、それぞれ特有のビーズ領域識別子を有する5×106のSeroMAPTMミクロスフィア(Luminex Corporation;Austin,TX)に結合された。これは、5mg/mLのスルホ−NHS(Thermo Scientific;Rockford,IL)及び5mg/mLの1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(1−ethyl−3−(3−dimethylaminopropyl)carbodiimide,EDC)(Thermo Scientific)を含むpH6.2のリン酸ナトリウム水溶液中に懸濁されたミクロスフィアを活性化することによって達成された。暗所で20分間インキュベートした後、ミクロスフィアは、洗浄され、pH5.0の50mMの2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸(two−(N−morpholino)ethanesulfonic acid)中に再懸濁され、更に、組み換えタンパク質の適量が添加された。ビーズは、連続的に混合された状態で、暗所内で室温下において2時間の間インキュベートされた。インキュベーション後、ミクロスフィアは、0.1%のBSA,0.2%のトゥイーン−20(tween−20)を含むPBSで2回洗浄され、4℃において同バッファー中に保管された。
マイクロスフィアの検証−商用抗体(上記で定義されたように)は、直接捕獲分析の間に陽性コントロールとしての役目を果たすための全ての自己抗原候補が得られた。全ての抗原結合ミクロスフィアは、Luminex Corporationによって推奨された方法ごとに個々の検証を受けた。簡潔には、各タンパク質特異的な抗体の連続希釈物(PBS,1%BSA中4μg/mLから0.0625μg/mLの範囲)は、1.2μmPVDFフィルター96ウェルマイクロタイタープレート中のウェル当たり5000個の抗原結合ミクロスフィアとともに、2時間インキュベートされた。PBS,1%BSAで洗浄した後、固定化された自己抗体複合体は、4〜6μg/mLのビオチン結合抗ヒトポリクローナル抗体(Sigma−Aldrich Co.;St.Louis,MO)を使って、一定の撹拌状態で1時間インキュベートされた。最後に、2回洗浄(上記のように)した後、複合体は、4〜6μg/mLのR−フィコエリトリン結合ストレプトアビジン(R−phycoerythrin conjugated−streptavidin)(Thermo Scientific)を使って、一定の撹拌状態で45分間インキュベートされた。得られた複合体は、IS2.3ソフトウェア(Luminex Corp.;Austin,TX)を使用する我々のLuminex 100 bioanalyzerに読まれる前に、再度洗浄され、PBS,1%BSA中に再懸濁された。性能特性は、全てのSPSS v15.0内で範囲、%CV、感度及び特異性を含めて各分析毎に確定された。
成功した個々の分析の検証に続いて、多重検証は、Luminex Corporationからの変更された’leave one out’プロトコルを用いて行われた。タンパク質結合ミクロスフィアは、交差反応を回避すべくグループ中に低タンパク質配列ホモロジーを持つことに基づいて選択された各パネル毎に、4〜6の自己抗体分析を含むセットに分類された。各ミクロスフィアセット(上記のように行われた)の平均蛍光強度(MFI)は、多重化されたタンパク質ミクロスフィアセットが互いに正の干渉を持っていなかったことを確認するためにパネル値と比較された。最後に、3つのストック血清試料の連続希釈物もまた、交差反応について個々のミクロスフィアを評価するために使用された。
検証されたミクロスフィアセットを使用した血清分析−一旦多重化検証が完了すると、得られた自己抗原ミクロスフィアパネルの5つの異なる組み合わせは、自己抗体レベルについて患者の血清試料(n=196)を評価するために使用された。この評価のために、全ての血清は、例によって、1%のBSAを含むPBSを用いて1:20に希釈され、分析は、別の方法で上記のように行った。血清中の与えられた自己抗体の濃度に関連する報告された平均蛍光強度値は、標準として利用できるモノクローナル又はポリクローナル抗体を使用して得られたMFI値と比較してスケーリングされた。スケーリングに使用される実際のMFI値は、患者コホート全体に関する中央のMFI値に最も近いものに基づいて選択された。これらは、残りの原稿の中で’MFISCALED’値と呼ばれる。
単変量統計−我々が以前に定義したような、記述統計,受信者動作特性(ROC)パラメータ(’曲線下面積’(AUC),特異性及び感度)及び2つのコンパレータグループを有するマンホイットニーUテストからのp値は、SPS統計ソフトウェアバージョン15.0(SPSS,Chicago,IL)を用いて、個々の検体に関して得られた。
多変量解析−自己抗体バイオマーカーの最適化された多変量パネルは、前述のようなランダムフォレストパッケージを使用した患者コホートの評価によるデータから選択される。上述のランダムフォレスト変数選択プロセスによるバイオマーカーの最適なパネルは、患者のがんの状態(NSCLC対非NSCLC)を識別するための特定の分類システムをモデル化するために分類及び回帰ツリー(CART)アルゴリズムによって使用された。この解析は、R統計ソフトウェアスイートのRPARTパッケージを用いて行われた。最終的な分類ツリーから、我々は、標準試験性能特性値(すなわち、誤分類エラー及び受信者動作特性曲線パラメータ)を算出することができる。
結果
2次元ウエスタンブロット分析による血清自己抗原プロファイリング−我々の2つの患者グループで違って表示される腫瘍関連自己抗原候補を識別するために、我々は、我々のHCC827細胞溶解物を、コントロール及び腺がん患者グループ(グループ当たりn=10;患者特性について表3参照)からのプール血清で個別にプローブされた各免疫ブロットを用いて、2次元ウエスタンブロットを介して分離した。図1Aは、図1B及び図1Cに示された患者の血清に対する免疫反応性の違いを有する肺腺がん細胞株HCC827から抽出されたタンパク質の代表的なクマシーで染色された2次元ゲルを示す。計21個のスポットは、10倍を超える免疫反応性の差を有することに基づくタンデム質量分析による同定のために選択された。
タンデム質量分析によるタンパク質の同定−2次元ゲルから回収された自己抗原候補は、標準的なゲル内消化法によってタンパク質の同一性を証明するために、我々のShimadzu AXIMA Performance(MALDI−TOF/TOF)質量分析計で分析された。MS/MS実験と関係したペプチド指紋分析は、選択された自己抗原の同一性を決定するために使用され、表7に示されている。この分析によって同定された各標的は、最初に摘出された予測ゲル座標(pI及び見かけのMWの両方)と高い相互関係を示した。興味深いことに、スポット番号12及び18に関するMS/MSデータは、各スポットに関する2つのタンパク質を同定した、即ち、スポット12について3−ヒドロキシアシル−CoAデヒドロゲナーゼ2型(3−hydroxyacyl−CoA dehydrogenase type 2)及びヒドロステロイド(17−β)デヒドロゲナーゼ10イソ型1(hydrosteroid−(17−β)−dehydrogenase 10 isoform 1)並びにスポット18についてER−60プロテアーゼ(ER−60 protease)及びタンパク質ジスルフィドイソメラーゼアソシエイテッド3前駆体(protein disulfide isomerase−associated 3 precursor)。NCBIのウェブサイト上のprotein−protein BLASTは、これらの対が100%の配列ホモロジーを共有したことを明らかにした。また、α−エノラーゼ(α−enolase)のイソ型は、この分析から5つの異なる位置(スポット1,11,17,19及び21)で同定されたのに対し、アネキシンA1(annexin A1)は、2つの異なる位置(スポット9及び10)で同定されたという観測結果も興味深いものである。これらの結果は、各自己抗原候補に対する商業的に得られたポリクローナル及びモノクローナル抗体を使用した2次元ウエスタンブロットを介して確認された。更に、これらの研究は、各ゲル座標が図3A及び図3B(結果は図示せず)に示したものに相当する免疫反応性タンパク質を含んでいたことを明らかにした。
第2患者コホートに対する自己抗原の検証−NSCLC検出のための臨床的に使用可能な早期検出パネルに近づくために、我々の免疫プロテオーム(immunoproteomic)分析で同定された16個のうちの15個の異なる自己抗原は、Luminexに基づく免疫ビーズ(immunobead)血清分析に変換された。現在開発中であるが、グリオキサラーゼドメインコンテイニング4(glyoxalase domain containing 4,GLOD4)は、分析開発のための容易に達成可能な組み換えタンパク質の欠如のためにLuminex分析によって検証されなかった。また、文献で発見された10個の期待できるマーカー(NY−ESO,p53,ペルオキシレドキシン(peroxiredoxin),トリオースリン酸イソメラーゼ(triosephosphate isomerase),リカバリン(recoverin),3−オキソ酸CoAトランスフェラーゼ(3−oxoacid CoA transferase),スルビビン(survivin),c−Myc,アネキシンII(annexin II)及びユビキリン(ubiquilin))は、我々のグループによって免疫ビーズ分析に基づくLuminexに変換された。これにより、計25個の改良免疫ビーズ(custom immunobead)分析は、NSCLC状態に特異的な循環自己抗体に関して、我々の117のNSCLC患者の血清及び79のコントロール患者の血清を評価するために使用された。これらコホートの人口学的及び臨床学的特性は、表7に定義されている。
評価された15個の自己抗体(この報告によって同定された)のうちの7個は、コントロール集団と比較して、NSCLC患者において著しく上昇したこと(AUCが0.60よりも大きく、マンホイットニーU値が0.05より小さい)が明らかにされた。これらは、イノシン−5−モノホスフェートデヒドロゲナーゼ(inosine−5−monophosphate dehydrogenase,IMPDH),フマル酸ヒドラターゼ(fumarate hydratase,FH),α−エノラーゼ(α−enolase),小胞体タンパク質29(endoplasmic reticulum protein 29,Erp29),アネキシン1(annexin 1),ヒドロステロイド17−βデヒドロゲナーゼ(hydrosteroid 17−β dehydrogenase)及びメチルチオアデノシンホスホリラーゼ(methylthioadenosine phosphorylase,MTAP)を含んでいる。文献から評価されたもののうち、我々は、0.683のAUC及びp<0.001を有するアネキシンII(annexin II)がバイオマーカーとして最も期待できるものであることを発見した。ユビキリン(ubiquilin),c−Myc,NY−ESO,3−オキソ酸CoAトランスフェラーゼ(3−oxoacid CoA transferase)及びp53は、AUC及びマンホイットニー両面p値の両方において有意であることを発見した。他の全ての検体は、統計的有意性を満たすことができなかった。表8は、自己抗原に対する試験についての個々の試験性能特性が記載されている。
第2の患者コホートに対するこの6検体パネルの性能特性の検証により、85人の内75人の患者が正常に分類された。個々のグループの試験は、NSCLCに関するスクリーニングをするためのパネルに関する期待を有する個々のバイオマーカーの関連の妥当性を確認するための手段として実施された。COPD及び喘息患者からなるコホートを単に見ると、唯一一人の患者は、40の試験において誤分類(偽陽性)された。NSCLC子ノートにおいては、5人の患者は、33人の患者において誤分類され、その結果、85%の分類率が得られた。誤分類は、段階IAの患者に限定されておらず、エラーは試験感度が原因でなかったことを示している。そして最後に、切除を有する15人の患者のうちの8人は、非腫瘍性疾患が正しく分類された。このサブグループは、この方法論によって正確に分類することができる患者の範囲を改良するために、更なる開発を必要とするかもしれない。
ヒト肺腺がん細胞株HCC827は、上記研究のために特別に、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC;Manassas,VA)から直接入手され、全ての研究は、元の入手日から6ヶ月以内で実施された。細胞株の認証は、ATCCによって行われた。細胞は、5%CO2の湿気のある環境下、37℃で10%FBSが添加されたRPMI 1640で培養された。全ての細胞は、記載された実験のために計5継代以内に維持された。80%の密集度に到達する際に、全ての細胞は採取され、pH7.4のPBS中で2回洗浄された。細胞溶解物は、コンプリートミニ−プロテアーゼ阻害剤の錠剤(Roche Diagnostics;Indianapolis,IN)を添加したTBSで希釈された1%のNP−40の500μl中で1×107の細胞を取ることにより調製された。細胞は、4℃で30分間で溶解され、14000xgで10分間遠心分離され、タンパク質濃度は、BCA法(Pierce;Rockford,IL)によって測定された。
合計3つのゲルは、2次元分析のために同時に実行された。2つのゲルは、HCC827細胞株由来の100μgの溶解物が装填され、肺腺がんとコントロール患者集団の間の免疫反応性の違いを識別するために、ウエスタンブロット分析を受けたのに対して、1つのゲルは、ゲル染色によってタンパク質パターンを可視化するために300μgのタンパク質が装填された。全細胞溶解物は、ProteoExtract(登録商標)タンパク質沈殿キット(EMD Chemicals Inc;Gibbstwon,NJ)を用いてこの分析のために調製された。等電点電気泳動法(IEF)は、22000〜24000V−hrsの線形勾配プログラムを持ったProtean(登録商標)IEFセル(BioRad)を用いて実施され、装置製造業者(Biorad;Hercules,CA)によって推奨された他の標準化されたプロトコルを用いて遂行された。2次元ゲルが遂行された後、それらは、2次元ウエスタンブロット分析によって分析されたか、Gelcode Blue(Pierce Protein Research Products;Rockford,IL)で染色された。ウエスタンブロット分析のために、各ゲルからのタンパク質は、標準的な”tank−transfer”プロトコルを用いて、15Vでニトロセルロース(nitrocellulose)薄膜上に移動される。PBS中1%のBSAで遮断した後、薄膜は、肺腺がんかコントロール患者グループ(グループ当たりn=10)由来のプール血清(グループ当たり10試料)の1:500希釈物中で1時間培養された。プローブされた薄膜は、ついで、PBSで洗浄され、1:100000に希釈したHRP結合ヤギ抗ヒトIgG(Jackson Laboratory;Bar Harbor,ME)で培養された。免疫ブロットは、強化化学発光システム(ECL;GE Healthcare Bio−Sciences Corp.;Piscataway,NJ)で開発され、X線フィルムに記録された。全てのゲル及びX線フィルムは、VersaDoc 4000ゲル撮像システムを用いてスキャンされ、バージョン8.0のPDQuest2次元ゲル撮像ソフトウェア(BioRad;Hercules,CA)を用いて比較された。ゲル及び免疫ブロット法の反復実行は、免疫反応性の観測パターンの再現性を確保するために実行され、ターゲットは、タンパク質の同定のために抜いた。
ウエスタンブロットで観察された特異的な免疫反応性シグナルは、10倍を超える免疫反応性の差を有することに基づくタンデム質量分析による同定のために、Gelcode Blueで染色された2次元ゲルから抜き出された。ゲル内のトリプシン消化は、Promega Corporationによって指定された方法を用いて達成された。消化後、得られたペプチドは、C18 Zip Tip(Millipore;Billerica,MA)を用いて濃縮及び脱塩され、MALDI標的板上に直接スポットされた。5mg/mLの0.1%トリフルオロ酢酸(trifluoroacetic acid)を含む50%アセトニトリル(acetonitrile)に懸濁された再結晶α−シアノ−4−ヒドロキシ桂皮酸(α−cyano−4−hydroxycinnamic acid,CHCA)(Protea Biosciences;Morgantown,WV)は、タンデム質量分析による分析の前に、各サンプル位置(サンプル当たり1μL)に添加された。
質量分析によるタンパク質の同定は、700〜4000m/zの範囲に最適化された正イオンモードで、Shimadzu AXIMA Performance(MALDI TOF/TOF)質量分析計(Shimadzu Biotech;Columbia,MD)で行われた。データは、各サンプルに渡って、2000レーザショットで取得された。ペプチド質量指紋(PMF)分析は、生の質量分析ファイルからMascot Distillerによって抽出されたモノアイソトピックピークのリストを用いて行われた。ペプチドの照合及びタンパク質の検索は、質量許容誤差を100ppmに設定し、修飾することない”1” missed cleavageの状態でMascot検索エンジン(Matrix Science;Boston,MA)を用いて、NCBI及びSwiss−Protデータベースと対照して達成された。更に、3〜5個の特有のペプチドは、MS/MS分析を実行するためのMSデータ中に見られたペプチドから選択された。タンパク質の同定は、Mascot検索エンジンから各ペプチド配列タグ(PKL)フォーマットファイル(各MS/MS実験によって生成される)をインポートすることによって達成され、NCBI及びSwiss−Protデータベースを検索するために、±0.3DaのMS/MS許容誤差が用いられた。
タンパク質の同一性の割り当てに関する基準は、以下のパラメータから構成されている:67(p=0.05)よりも大きいMASCOT ’MOWSE’スコア,30%よりも大きい配列カバー率,最低限の3つの特有のトリプシンペプチドのMS/MSデータ及び予測及び観測された質量/等電点(pl)のゲルの座標値の間の一般的な合意。更に、2次元ウエスタンブロットは、同定された自己抗原が免疫反応性が最初に観察されたゲルの座標に相互に関係があったことを確認するために、市販のモノクローナル及びポリクローナル抗体を用いて行われた。抗体源は、以下のようであった:Santa Cruz Biotechnology Inc.(Santa Cruz,CA)からのNY−ESO,スルビビン(survivin),リカバリン(recoverin),メチルチオアデノシンホスホリラーゼ(methylthioadenosine phosphorylase),p53,ペルオキシレドキシン(peroxiredoxin)及びトリオースリン酸イソメラーゼ(triosephosphate isomerase);Abcam Inc.(Cambridge,MA)からのエノラーゼ1(enolase 1)及びGAPDH;(R&D systems,Minneapolis,MN)からのアネキシンa1(annexin a1);Avia Systems Biology(San Diego,CA)からのカルポニン2(calponin 2);Sigma−Aldrich(St.Louis,MO)からのヒドロキシステロイド(17−β)デヒドロゲナーゼ(hydroxysteroid 17−β dehydrogenase)及びホスホグリセラートデヒドロゲナーゼ(phosphoglycerate dehydrogenase)並びに残りの抗体はAbnova Corporation(Taipei City,Taiwan)から得た。
組み換えタンパク質は、NY−ESO,p53,ペルオキシレドキシン(peroxiredoxin),トリオースリン酸イソメラーゼ(triosephosphate isomerase,TPI),リカバリン(recoverin),3−オキソ酸CoAトランスフェラーゼ(3−oxoacid CoA transferase),スルビビン(survivin)(BIRC5としても知られる),c−Myc,アネキシンII(annexin II)及びユビキリン(ubiquilin)を含む、我々の目的のための文書化された値を有する自己抗体の第2のグループと同様に、NSCLC検出のための値(表7参照)を有するプロテオーム発見努力で特定された自己抗体候補のそれぞれについて得られた。商用抗体(標的確認のために上記で使用)は、分析動作の間に陽性コントロールとしての役目を果たすためのこれらの標的が得られた。組み換えタンパク質(自己抗原)の一部は、他のどこかで定義されているように、Abnova Corporation(Taipei City,Taiwan)における我々の共同研究者らによって特別に調製された。組み換えタンパク質(自己抗原)の一部は、Abnova Corporation(Taipei City,Taiwan)における我々の共同研究者らによって特別に調製された。これらは、α−エノラーゼ(α−enolase),グリオキサラーゼドメインコンテイニング4(glyoxalase domain containing 4),メチルチオアデノシンホスホリラーゼ(methylthioadenosine phosphorylase),ホスホグリセラートムターゼI(phosphoglycerate mutase I),IMP−デヒドロゲナーゼII(IMP−dehydrogenase II),トリオースリン酸イソメラーゼ(triosephosphate isomerase),リカバリン(recoverin),ホスホグリセラートデヒドロゲナーゼ(phosphoglycerate dehydrogenase),erp−29,アネキシンI(annexin I),アネキシンA1(annexin A1)(イソ型 CRA_b),ヒドロキシステロイド(17−β)デヒドロゲナーゼ10イソ型1(hydroxysteroid−(17−β)−dehydrogenase 10 isoform 1),フマル酸ヒドラターゼ(fumarate hydratase),熱ショック70kDaタンパク質9B(heat shock 70kDa protein 9B)(モルタリン−2(mortalin−2)),タンパク質ジスルフィドイソメラーゼアソシエイテッド3前駆体(protein disulfide isomerase−associated 3 precursor),イソクエン酸デヒドロゲナーゼ1イソ型1(isocitrate dehydrogenase 1 isoform 1),カルポニン−2(calponin−2),c−Myc,アネキシンII(annexin II),3−オキソ酸CoAトランスフェラーゼ(3−oxoacid CoA transferase)及びGRP−78前駆体を含む。
”直接捕獲”ビーズに基づく免疫測定法は、Luminex Corporationの提案したプロトコルによって提案されたプロトコルを使用して開発された。5〜10μgの組み換えタンパク質は、それぞれ特有のビーズ領域識別子を有する5×106のSeroMAPTMミクロスフィア(Luminex Corporation;Austin,TX)に結合された。これは、5mg/mLのスルホ−NHS(Thermo Scientific;Rockford,IL)及び5mg/mLの1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(1−ethyl−3−(3−dimethylaminopropyl)carbodiimide,EDC)(Thermo Scientific)を含むpH6.2のリン酸ナトリウム水溶液中に懸濁されたミクロスフィアを活性化することによって達成された。暗所で20分間インキュベートした後、ミクロスフィアは、洗浄され、pH5.0の50mMの2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸(two−(N−morpholino)ethanesulfonic acid)中に再懸濁され、更に、組み換えタンパク質の適量が添加された。ビーズは、連続的に混合された状態で、暗所内で室温下において2時間の間インキュベートされた。インキュベーション後、ミクロスフィアは、0.1%のBSA,0.2%のトゥイーン−20(tween−20)を含むPBSで2回洗浄され、4℃において同バッファー中に保管された。
商用抗体は、直接捕獲分析の間に陽性コントロールとしての役目を果たすための全ての自己抗原候補が得られた。全ての抗原結合ミクロスフィアは、Luminex Corporationによって推奨された方法ごとに個々の検証を受けた。各タンパク質特異的な抗体の連続希釈物(PBS,1%BSA中4μg/mLから0.0625μg/mLの範囲)は、1.2μmPVDFフィルター96ウェルマイクロタイタープレート中のウェル当たり5000個の抗原結合ミクロスフィアとともに、2時間インキュベートされた。PBS,1%BSAで洗浄した後、固定化された自己抗体複合体は、4〜6μg/mLのビオチン結合抗ヒトポリクローナル抗体(Sigma−Aldrich Co.;St.Louis,MO)を使って、一定の撹拌状態で1時間インキュベートされた。最後に、2回洗浄(上記のように)した後、複合体は、4〜6μg/mLのR−フィコエリトリン結合ストレプトアビジン(R−phycoerythrin conjugated−streptavidin)(Thermo Scientific)を使って、一定の撹拌状態で45分間インキュベートされた。得られた複合体は、IS2.3ソフトウェア(Luminex Corp.;Austin,TX)を使用する我々のLuminex 100 bioanalyzerに読まれる前に、再度洗浄され、PBS,1%BSA中に再懸濁された。性能特性は、全てのSPSS v15.0中で範囲、%CV、感度及び特異性を含めて各分析毎に確定された。
成功した個々の分析の検証に続いて、多重検証は、Luminex Corporationからの変更された’leave one out’プロトコルを用いて行われた。タンパク質結合ミクロスフィアは、交差反応を回避すべくグループ中に低タンパク質配列ホモロジーを持つことに基づいて選択された各パネル毎に、4〜6の自己抗体分析を含むセットに分類された。各ミクロスフィアセット(上記のように行われた)の平均蛍光強度(MFI)は、多重化されたタンパク質ミクロスフィアセットが互いに正の干渉を持っていなかったことを確認するためにパネル値と比較された。最後に、3つのストック血清試料の連続希釈物もまた、交差反応について個々のミクロスフィアを評価するために使用された。
検証されたミクロスフィアセットを使用した血清分析−一旦多重化検証が完了すると、得られた自己抗原ミクロスフィアパネルの5つの異なる組み合わせは、自己抗体レベルについて患者の血清試料(n=196)を評価するために使用された。この評価のために、全ての血清は、例によって、1%のBSAを含むPBSを用いて1:20に希釈され、分析は、別の方法で上記のように行った。血清中の与えられた自己抗体の濃度に関連する報告された平均蛍光強度値は、標準として利用できるモノクローナル又はポリクローナル抗体を使用して得られたMFI値と比較してスケーリングされた。スケーリングに使用される実際のMFI値は、患者コホート全体に関する中央のMFI値に最も近いものに基づいて選択された。これらは、残りの原稿の中で’MFISCALED’値と呼ばれる。
2つの患者グループで違って表示される腫瘍関連自己抗原候補を識別するために、HCC827細胞溶解物は、コントロール及び腺がん患者グループ(グループ当たりn=10)からのプール血清で個別にプローブされた各免疫ブロットを用いて、2次元ウエスタンブロットを介して分離された。図1Aは、図1B及び図1Cに示された患者の血清に対する免疫反応性の違いを有する肺腺がん細胞株HCC827から抽出されたタンパク質の代表的なクマシーで染色された2次元ゲルを示す。計21個のスポットは、10倍を超える免疫反応性の差を有することに基づくタンデム質量分析による同定のために選択された。
2次元ゲルから回収された自己抗原候補は、標準的なゲル内消化法によってタンパク質の同一性を証明するために、Shimadzu AXIMA Performance(MALDI−TOF/TOF)質量分析計で分析された。MS/MS実験と関係したペプチド指紋分析は、選択された自己抗原の同一性を決定するために使用され、表5に示されている。この分析によって同定された各標的は、最初に摘出された予測ゲル座標(pI及び見かけのMWの両方)と高い相互関係を示した。スポット番号12及び18に関するMS/MSデータは、各スポットに関する2つのタンパク質を同定した、即ち、スポット12について3−ヒドロキシアシル−CoAデヒドロゲナーゼ2型(3−hydroxyacyl−CoA dehydrogenase type 2)及びヒドロステロイド(17−β)デヒドロゲナーゼ10イソ型1(hydrosteroid−(17−β)−dehydrogenase 10 isoform 1)並びにスポット18についてER−60プロテアーゼ(ER−60 protease)及びタンパク質ジスルフィドイソメラーゼアソシエイテッド前駆体(protein disulfide isomerase−associated 3 precursor)。NCBIのウェブサイト上のprotein−protein BLASTは、これらの対が100%の配列ホモロジーを共有したことを明らかにした。α−エノラーゼ(α−enolase)のイソ型は、この分析から5つの異なる位置(スポット1,11,17,19及び21)で同定されたのに対し、アネキシンA1(annexin A1)は、2つの異なる位置(スポット9及び10)で同定された。これらの結果は、各自己抗原候補に対する商業的に得られたポリクローナル及びモノクローナル抗体を使用した2次元ウエスタンブロットを介して確認された。更に、これらの研究は、各ゲル座標が図1Aに示したものに相当する免疫反応性タンパク質を含んでいたことを明らかにした。
免疫プロテオーム(immunoproteomic)分析で同定された16個のうちの15個の異なる自己抗原は、Luminexに基づく免疫ビーズ(immunobead)血清分析に変換された。10個の追加マーカー(NY−ESO,p53,ペルオキシレドキシン(peroxiredoxin),トリオースリン酸イソメラーゼ(triosephosphate isomerase),リカバリン(recoverin),3−オキソ酸CoAトランスフェラーゼ(3−oxoacid CoA transferase),スルビビン(survivin),c−Myc,アネキシンII(annexin II)及びユビキリン(ubiquilin))は、Luminexに基づく免疫ビーズ(immunobead)血清分析に変換された。これにより、計25個の改良免疫ビーズ(custom immunobead)分析は、NSCLC状態に特異的な循環自己抗体に関して、117のNSCLC患者の血清及び79のコントロール患者の血清を評価するために使用された。
評価された15個の自己抗体のうちの7個は、コントロール集団と比較して、NSCLC患者において著しく上昇したこと(AUCが0.60よりも大きく、マンホイットニーU値が0.05より小さい)が明らかにされた。これらは、イノシン−5−モノホスフェートデヒドロゲナーゼ(inosine−5−monophosphate dehydrogenase,IMPDH),フマル酸ヒドラターゼ(fumarate hydratase,FH),α−エノラーゼ(α−enolase),小胞体タンパク質29(endoplasmic reticulum protein 29,Erp29),アネキシン1(annexin 1),ヒドロステロイド17−βデヒドロゲナーゼ(hydrosteroid 17−β dehydrogenase)及びメチルチオアデノシンホスホリラーゼ(methylthioadenosine phosphorylase,MTAP)を含んでいる。追加されたマーカーの、0.683のAUC及びp<0.001を有するアネキシンII(annexin II)は、最も優れたバイオマーカーであった。ユビキリン(ubiquilin),c−Myc,NY−ESO,3−オキソ酸CoAトランスフェラーゼ(3−oxoacid CoA transferase)及びp53は、AUC及びマンホイットニー両面p値の両方において有意であることを発見した。他の全ての検体は、統計的有意性を満たすことができなかった。表3は、自己抗原に対する試験についての個々の試験性能特性が記載されている。
ランダムフォレスト多変量解析では、6個の検体(IMDPH,ホスホグリセラートムターゼ(phosphoglycerate mutase,PGAM),ユビキリン(ubiquilin),アネキシンI(annexin I),アネキシンII(annexin II)及び熱ショックタンパク質70−9B(heat shock protein 70−9B,HSP70−9B))のパネルは、がんのないコホートからNSCLC患者を区別するための検体の最適な組み合わせであると決定された。これら6個の検体に関する箱髭図は、分割されたコホートとともに、図2A〜2Fに示されている。年齢、性別又は喫煙状態との相関は、疾患状態に応じて観察されるそれらよりも強力であるこれら6個の検体でいずれにおいても観察されなかった。分類及び回帰ツリー(CART)分析は、これら検体から作られ、NSCLC疾患状態に応じて患者を分類するための特定のアルゴリズムを定義するために使用される(図3A参照)。このアルゴリズムは、0.964の’曲線下面積’,94.8%の感度及び91.1%の特異性を含む、全体的な研究のための”優れた”ROCパラメータを提供した。全体の誤分類率は、患者集団(n=196)全体に対して7%であった。2つの多変量アルゴリズム(例えば、ランダムフォレスト及びCART)によって生じた結果の一般的な合意は、各方法によって選択された特定の6検体に関する確認としての役目を果たす。
患者コホートを評価すると、TNF−α,CYFRA21.1,IL−1ra,MMP−2,MCP−1,sE−セレクチンからなる血清試験は同定された。サイトケラチンの19のフラグメント、CYFRA21.1は、たぶん最も広く特徴づけられたNSCLCに関する診断値を有するバイオマーカーである。多くの研究は、それらの潜在的な予後及び予測値と同様に、NSCLCの早期検出のためのそれらの潜在力を評価することに焦点を当ててきた。残りの検体のそれぞれは、NSCLC又はがん腫のいずれかにおいて、診断値又は炎症における役割のいずれかを有する原因として個別に前もって示されている。より具体的には、TNF−α及びIL−1raは、急性期反応物質であると考えられているので、これらは、免疫応答の調整に関与しており、炎症状態において増加された発現を示す。がん細胞は免疫原性であり、それゆえ、関連した二次的なバイオマーカーと同様に、炎症性物質の増加された発現につながる。細胞回転の増加によるところが大きい慢性炎症及び腫瘍形成との間の関連がある場合に、血清マーカーを増加することができる。同様に、sE−セレクチン(sE−selectin)は、細胞接着分子であり、炎症によって頻繁に調整される。MMP−2は、上皮の再組織化のために組織を再構築する間の細胞外マトリックス中のタンパク質の分解に関与している。
検証コホート内のサブ集団に対する性能に関して、多変量パネルは、NSCLCを持つものとしてNSCLCを有する患者のほとんどを正しく分類する(15%の偽陰性率)ことができ、同様に、NSCLCを持たないものとしてアボットコホート内の患者を正しく分類する(2.5%の偽陽性率)ことができた。最も正しく分類することが困難だったサブ集団は、切除された非腫瘍性肺疾患を有する患者であった。誤分類されたこのグループからの患者(偽陽性率47%)の全ては、NSCLCを持つものとして患者を分類するバイオマーカープロファイルを模倣するかもしれない炎症状態(例えば、肺炎、肺膿瘍、C型肝炎)を有していた。これは、更なる実施形態を提供し、分析は、炎症状態を検出し、更に、診断、予後及び治療選択のための高い関連性を有するこのプールから患者を選択するために、利用可能な技術と組み合わせて切除された非腫瘍性肺疾患を有する患者に使用される。
ここに示されたパネルの報告書に先んじて、CEA,CA125,CA19−9、CYFRA21−1及びNSEの組み合わせは、感度93.8%及び特異性71.5%の報告された試験性能特性を備えた、NSCLCを診断するに関する最も効果的な血清試験である。このパネルは優れた感度を提供するにもかかわらず、それは特異性に乏しく、一連のCTに基づくスクリーニングプロトコルを補完するための手段としての役割を果たす能力がなく、”独立型の”診断方法としての役割を果たすには不十分である。
ここに示された結果を基に、6個の血清バイオマーカーに基づくNSCLC検出アルゴリズムは、NSCLCのリスクが高い患者のための低コスト且つ低侵襲なスクリーニング試験である。このパネルの感度及び特性を更に増加させるために、本パネルに対する自己抗体の添加が期待される。このタイプのバイオマーカーの添加は、NSCLCの症例からの切除を要求する炎症性結節を有する患者を識別するために必要な試験の特異性を提供する。
NSCLCと非NSCLCとの差別化のために、NSCLCに関する潜在的ながん自己抗体の多数は、試験され、実用性について検証された。これら3つの自己抗体(メチルチオアデノシンホスホリラーゼ(methylthioadenosine phosphorylase,MTAP),フマル酸ヒドラターゼ(fumarate hydratase,FH)及び小胞体タンパク質29(endoplasmic reticulum protein 29,Erp29))は、コントロール集団からNSCLCを区別するための新たな自己抗原標的を示す。以前に文献で見られた検体のうち、イノシン−5−モノホスフェートデヒドロゲナーゼ(inosine−5−monophosphate dehydrogenase,IMPDH),アネキシンII(annexin II),ユビキリン(ubiquilin),c−Myc及びα−エノラーゼ(α−enolase)は、NSCLCの早期診断における応用に関して最も期待される(AUC>0.63)。
本研究による6個の検体の血液試験(IMDPH,ホスホグリセラートムターゼ(phosphoglycerate mutase),ユビキリン(ubiquilin),アネキシンI(annexin I),アネキシンII(annexin II)及びHSP70−9Bから構成される)は、全体で誤分類されたのが13人の患者のみである状態で、4の臨床的に異なるグループから構成される196の患者コホートに対して試験された際に、優れた試験性能特性を有する。我々が遭遇した分類エラーの範囲内で、我々は、Abbottコホートからの2人の患者(グループの6%;1−喘息,1−COPD),”変形性関節症”コホートからの1人の患者(グループの3%)及び”非腫瘍性”結節を切除されたコホートからの4人の患者(グループの25%;2−肺炎,1−肺臓炎及び1−肉芽腫)を含む非NSCLCコホートにおいて4%の偽陽性率を観測した。臨床的特徴は、これらグループのいずれかの内の誤判別率の高さの説明に有効ではない。これらの知見、現時点で、アルゴリズムは、更なる診断評価が実施されるべき症状のある患者を示すのに役立つために適合するという考えを支持する。切除された非腫瘍性グループ内の誤判別率の高さは、間質性肺疾患、COPD及び喘息などのような特定の炎症状態がNSCLCを有する患者において見られる自己抗体に共通するかもしれない自己抗体の産出を誘導することが報告されているという事実から部分的に構成されるかもしれない。しかしながら、これらの自己抗体が発がんの前又は間に産出されるかどうかは、現時点では知られておらず、それは、これら標的のサブセットが早期疾患検出の手段を提供するかもしれないことに従うことができる。このテーマは今後の研究で更に追及される。この切除された非腫瘍性患者コホートにおける患者の数が相対的に小さく(計16)、この一般的な知見の重要性を推定することを困難にすることにも留意すべきである。また、与えられたこのコホート全体は、疑わしいNSCLCに関して間違って切除され、このグループは、現在の診断方法のいずれかによって識別することが最も難しいかもしれない。たとえそうでも、我々は、臨床学的及び放射線学的診断基準を正常に補完するこのアプローチの価値があることを実証しているこれらの患者の内の75%をうまく分類した。おそらく、多くの懸念は、NSCLCコホートにおいて観測された5%(全体で3.1%)の偽陰性率(117の内の6)である。これらの誤分類が、単一のサブグループ又は臨床学的パラメータの周りに集められなかったにもかかわらず、このカテゴリ内の未分化腫瘍を有する患者の高い発生率(計4)があった。この観察における関連性は、未だ調査中である。また、興味深いことは、これらの誤分類が、段階IAの患者(2−T1N0M0,4−T2N0M0)に制限されていなかったことであり、おそらく、指示エラーは、試験の感度に起因しなかった。これらの線に沿って、我々の試験がもともと腺がん試料のみに対して向けられたという事実にもかかわらず、これらの誤分類の組織構造が扁平上皮がん(SCC)及び腺がんとの間で公平に分配されたという発見があった。これは、同定された標的がNSCLCに関する自己抗体の産出に一般的だったことを示す。興味深いことに、全てのSCC患者は、病理学的検査の際に低分化度を有する腫瘍を持っていた。これは、非腺がん組織構造を有する患者の数がNSCLC患者の一般的な集団内において相当な(〜40%)ものであるので、特に重要である。
多検体の自己抗体パネルは、NSCLCにおける使用のために前もって報告されたが、ここに記載されたパネルは、いくつかの報告されたどの血清試験よりも優れたNSCLCの検出のための試験性能特性を持っている。加えて、提案された多検体パネルのうちのいくつかは、ここに報告されたものと比較して非常に小さな患者集団を持っている。
標的とされた自己抗体に関する診断に適した核酸又はポリペプチドは、様々な公知の分析形式のいずれにおいても提示することができる。例えば、自己抗体分析において、検体又はエピトープは、例えば、公知の化学的性質を使用して、固相に固定することができる。代替的に、検体又はエピトープは、典型的には合成結合分子を形成するためのエピトープよりも大きい他の分子に結合させる、又は、当技術分野で公知の組み換え法を使用して複合分子として作成することができる。多くのポリペプチドは、マルチウェルプレートのような組織培養器具において見出すことができるポリエチレン表面のようなプラスチック表面にありのままに結合する。そのようなプラスチック表面は、生物学的に適合する分子の結合を強化するための当技術分野で知られている技術のように処理することができる。ポリペプチドは、捕獲要素を形成し、検体又はエピトープと明確に結合する自己抗体を担持することが疑われる液体が捕獲要素に曝され、抗体は捕獲要素に取り付けられ固定化された後に洗浄されて、結合した抗体は、適切に検出可能にラベル化されたレポーター分子、例えば、コロイド金属、蛍光色素又は他の適切な当技術分野で知られているとして報告されたものでラベル化された抗ヒト抗体を使用して検出される。
あるいはまた、特定のファージの発現として、NSCLCを有する患者で発見された自己抗体によって明確に結合されたエピトープ、すなわち、分析の捕獲要素は、それぞれ固相上の捕獲サイトで、細胞溶解物から得られたような個々のファージとなり得る。発現された担体が取り付けられるタンパク質(例えば、アルブミン(albumin),キーホールリンペットヘモシアニン(keyhole limpet hemocyanin)など)のような反応的に不活性な担体又は合成担体(例えば、合成高分子など)、又は、免疫測定のための固相上の関心のある検体又はエピトープを提示するためのいくつかの他の方法は使用され得る。
許容される分析形式は、免疫グロブリン(immunogloburin)の非抗原結合部位が結合する固相に取り付けられた捕獲要素(タンパク質A,タンパク質Gなど)の場所で配置を取るかもしれない。患者の痰、組織又は血漿は、捕獲試薬に曝され、その後、NSCLC特異的な自己抗体の存在は、例えば、当該技術分野において知られている直接的又は競争的な形式でラベル化されたマーカーを使用して検出される。捕獲要素は、上述したように、特異的な捕獲試薬を生産するための他の方法を提供するためのエピトープを提示するファージに結合する抗体となり得る。
免疫測定技術分野において知られているように、捕獲要素は、抗体が結合する決定因子である。ここに教示されるように、決定因子は、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、脂質、多糖類などの生体分子又はその一部、及び、ここに記載されたバイオマーカーから選択された糖タンパク質又はリポタンパク質などのそれらの組み合わせであり、自己抗体の存在と相関する存在は、NSCLCの患者において見つかった。決定因子は、天然素材となりえ、組み換え又は合成製造及び精製することもできる。
免疫測定法の固相は、公知のものの及び当技術分野で知られている形態のいずれかとすることができる。したがって、固相は、ポリスチレン又はポリプロピレンなどのプラスチック、ガラス、シリコンチップのようなシリカ系構造体、ナイロンのような薄膜、紙などであり得る。固相は、紙形式、ビーズ、一般的に膜、マイクロタイタープレート、スライド、チップなどを使用するディップスティック又はラテラルフロー装置の一部などのような既知の異なる多数の形式を提示することができる。固相は、スライドガラスやチップに見られるような固い平面として現れ得る。いくつかの自動化された検出装置、例えば、分光光度計、液体シンチレーションカウンター、色度計、蛍光光度計及び光子ベースのシグナルの検出及び読み込みのためのようなものは、検出可能なシグナルを読み込むための方法に使われる消耗品に費やされている。
結合した抗体を検出するための他の免疫試薬は、当技術分野で知られている。例えば、抗ヒトIg抗体は、捕獲決定因子、自己抗体及び抗ヒトIg抗体を含むサンドイッチ状のものを形成するのに適しているだろう。抗ヒトIg抗体、検出要素は、酵素、コロイド金属、放射性核種、染料などのレポーター分子で直接的にラベル化することができ、又は、それ自体は、レポーター機能の役目を果たす第2の分子によって結合することができる。結合した抗体を検出するためのいくつかの方法は、ここに記載された典型的な分析で使用することができ、このようないくつかの方法は、オペレータによって識別可能な信号を生成するためのレポート機能のためのいくつかの方法を含むことができる。レポーターを形成するための分子のラベル化は、当技術分野で知られている。
多数のサンプルの同時分析を可能にする装置との関連で分析性能、試薬性能、特異性及び感度をコントロールするために、多数のコントロール要素、すなわち、陽性及び陰性の両方のコントロールは、分析装置に含めることができる。多くの場合、前述のように、関心のある装置を作る全てのステップとはいかないまでも、分析ステップの多くは、機械化又は自動化された方法によって行われ得る。これら装置からのデータは、スキャン手段によってデジタル化することができ、デジタル情報は、データ記憶手段に伝達され、そのデータはデータ処理手段に伝達され、当技術分野で知られているような統計に基づく分析のようなデータ処理手段では、測定結果又は結果を生成するためのデータを使用することができ、それから、診断結果を提供するためのスクリーン又は情報の読み出しのようなデータ提示手段によって提示するために内部で比較される又は参照基準と比較され得る。
より小さいサンプル数を分析する、又は、十分な量の集団のデータがある装置については、適切なエラー測定を伴って、陽性結果及び陰性結果を何が構成するかに関する派生した測定法を提供することができる。このような場合、単一の陽性コントロール及び単一の陰性コントロールは、当技術分野で知られているように、内部検証のために必要とされる全てであってもよい。分析装置は、NSCLCクラスターが含まれるか否かというより定性的な結果をもたらすように構成することができる。
他の高スループット及び/又は自動化された免疫測定形式は、当技術分野で知られ、利用可能なものを使用することができる。したがって、色度、蛍光又は発光シグナル上に接地された、例えば、ビーズ−ビーズ分析、例えば、ここに記載されたLuminex、すなわち、染料が充填されたマイクロスフィア及びCytometric Bead Array systemに頼る技術は使用することができる。いずれの場合も、関心のあるエピトープはビーズに固定されている。
ここに記載されたバイオマーカーパネルを検出するための分析の別の例においては、開示は、当技術分野で知られている技術を用いて、患者からの組織内の遺伝子発現を検査することによって、NSCLCのような肺がんに関連する遺伝子発現内の広範囲の変化を同定する。ここに記載されたバイオマーカーの遺伝子発現プロファイルは、肺がん疾患状態、疾患の進行及び薬物の有効性をモニターするために使用することができる診断マーカーとしての役目を果たすことができる。開示された実施形態は、表6からの2以上の遺伝子の組織サンプル中の発現レベルを検出するステップを包含する、患者における肺がんの有無を診断する方法を含み、表6中の遺伝子の差次的発現がNSCLCのような肺がんの指標となる。いくつかの実施形態においては、1以上の遺伝子は、表6にリスト化された遺伝子からなる群から選択することができる。
また、開示された実施形態は、肺がんの進行を検出する及び/又は慢性炎症からがん性疾患を区別する方法を含む。例えば、開示された方法は、表6からの1以上の遺伝子の組織サンプル中の発現レベルを検出するステップを包含する、患者における肺がんの進行を検出することを含み、表6中の遺伝子の差次的発現が肺がんの進行の指標となる。
いくつかの態様では、NSCLCのような肺がんを有する患者の治療をモニタリングする方法が開示されており、患者に医薬組成物を投与すること、患者からの細胞又は組織サンプルからの遺伝子発現プロファイルを用意すること及び正常血漿、痰又は正常肺細胞を包含する細胞集団からの遺伝子発現プロファイル、又は肺がんを有する患者からの血清、痰又は組織を包含する細胞集団からの遺伝子発現プロファイルと患者の遺伝子発現プロファイルとを比較することを含んでいる。いくつかの実施形態においては、遺伝子プロファイルは、表6中の1以上の遺伝子の発現レベルが含まれるだろう。他の実施形態においては、1以上の遺伝子は、表6にリスト化された遺伝子からなる群から選択することができる。
別の態様では、NSCLCのような肺がんを有する患者を治療する方法が開示されており、組成物が表6中の少なくとも1の遺伝子の発現を変化させるような医薬組成物を患者に投与すること、がん細胞を含む患者からの細胞又は組織サンプルからの遺伝子発現プロファイルを比較すること及び肺がん組織、尿、血清又は痰を含む未処理の細胞集団からの遺伝子発現プロファイルと患者の発現プロファイルとを比較することを含んでいる。
別の態様では、疾患の再発に関する患者の前兆のついての試験は、ここに開示された方法を用いて開示されている。病期は、NSCLC患者に関する重要な予後的情報を提供し、治療決定を導く。NSCLC患者の約20〜30%は、限局性疾患を示し、治癒への可能な限り最良の手段としての系統的なリンパ節の詳細な分析を伴う完全な解剖学的切除に対する資格がある。標準的な治療としては、局所領域の転移を伴う患者は、転帰を改善するための手段としての全身性の補助の化学療法を受けるだろう。明白な転移病変を有していない患者は、他方では、前のグループよりも良好な予後を持っており、それらの腫瘍が4cm未満であった場合、最終的な切除の後にのみ疾患の監視を受ける。これらの良好な見込みにもかかわらず、段階Iの疾患を有する患者は、再発に関するリスクが高く、これらの患者のおよそ30〜40%は、腫瘍の切除から5年以内に再発性疾患で死亡する。再発性疾患は、主として、標準的な臨床学的及び病理学的病期プロトコルによって検出されない、手術時における肉眼で発見できない”微小転移”病変の存在に起因する。化学療法が与えられた選択されていない段階Iの患者の集団は、臨床学的実験において転帰が劣る傾向を示したが、肉眼で発見できない転移を有する初期段階の患者のグループは、効果的な方法が最終的な治療の選択のために利用可能である場合に、重要な転帰の利益(より高い段階のグループと似ている)を受けることができる。
現在、段階Iの患者の高リスクサブセットを同定することができる検証方法が全くない。増えている証拠は、上皮性がんにおける転移の進行が、調節経路に広範囲に影響を与え、積極的な腫瘍細胞の挙動(例えば、高い移動性、足場非依存性及び侵襲性)をもたらす表現型のシフトによって引き起こされ得ることを示唆する。我々の研究の仮説は、細胞表現型における転移特有の変化は、血清中で発見されたtumor−shedタンパク質バイオマーカーの違いをもたらすことを強く主張する。これらのバイオマーカーは、肉眼で発見できない転移性疾患を検出し、患者の転帰を予測するための大きな価値を持つかもしれない。このアイデアを評価するための我々のアプローチは、切除可能な早期NSCLCにおける患者の転帰を評価する臨床学的実験に関与した約500人の患者からの照合発現配列データを有する血清プロテオームにおける転移関連の違いの比較研究に基づく転移性NSCLCに関する血清”セクレトーム(secretome)”のモデルを構築することだろう。腫瘍転移によって最も高度に調整された生物学的経路の範囲の代表的なバイオマーカーの計画的なサンプルは、全身補助研究に関する対象者であるリスクが高い段階Iの患者を選択するための血清試験を開発するために使用される。
CTスクリーニングが肺がんの死亡率を減少させるという最近の見解は、おそらく段階Iの肺がんと診断される個人の数の増加をもたらすだろう。疾患の再発の高いリスクを持ち、全身補助療法を試験する試験の対象である段階Iの患者を識別する信頼性のある診断方法は、肺がんの死亡率の更なる減少をもたらす。この研究の目的は、転帰によってNSCLC患者を階層化することができる検証された血清試験を開発することによって、この臨床学的必要性を満たし、全身補助療法のために患者を選択するための方法としての役目を果たす。
提示された病期は、これらの患者のための最も重要な診断情報を提供し、治療戦略の選択の指針を助ける。通常、NSCLC患者の20〜30%は、限局性疾患を示し、治癒への可能な限り最良の手段としての系統的なリンパ節の詳細な分析を伴う完全な解剖学的切除(R0切除)に対する資格がある。無作為化比較実験及びLung Adjuvant Cisplatin Evaluation(LACE)メタ分析に基づく、術後全身化学療法は、原発腫瘍が4cmを超えるとき、転帰を改善するためにリンパ節転移を有する患者に推奨される。明白な転移病変を有していない患者は、他方では、前のグループよりも良好な予後を持っており、それらの腫瘍が4cm未満であった場合、最終的な切除の後にのみ疾患の監視を受ける。これらの良好な見込みにもかかわらず、段階Iの疾患を有する患者は、再発に関するリスクが高く、これらの患者のおよそ30〜40%は、腫瘍の切除から5年以内に再発性疾患で死亡する。再発性疾患は、主として、標準的な臨床学的及び病理学的病期プロトコルによって検出されない、手術時において肉眼で発見できない”微小転移”病変の存在に起因する。化学療法が与えられた選択されていない段階Iの患者の集団は、臨床学的実験において転帰が劣る傾向を示したが、肉眼で発見できない転移を有する初期段階の患者のグループは、効果的な方法が最終的な治療の選択のために利用可能である場合に、重要な転帰の利益(より高い段階のグループと似ている)を受けることができる。
増えている証拠は、上皮性がんにおける転移の進行が、間充織幹細胞の特徴を有する1つに向かう表現型の変化によって引き起こされ得ることも示唆する。この上皮−間充織変化(EMT)に関連付けられた分子の特性は、調節経路に広範囲に影響を与え、積極的な腫瘍細胞の挙動(例えば、高い移動性、足場非依存性及び侵襲性)をもたらす。理論に束縛されるものではないが、これは、細胞表現型における転移特有の変化は、血清中で発見されたtumor−shedタンパク質バイオマーカーの違いをもたらすことを強く主張されている。これらのバイオマーカーは、肉眼で発見できない転移性疾患を検出し、患者の転帰を予測するための大きな価値を持つかもしれない。このアイデアを評価するためのアプローチは、切除可能な早期NSCLCにおける患者の転帰を評価する臨床学的実験に関与した約500人の患者からの照合発現配列データを有する血清プロテオームにおける転移関連の違いの比較研究に基づく転移性NSCLCに関する血清”セクレトーム”のモデルを構築することである。腫瘍転移によって最も高度に調整された生物学的経路の範囲の代表的なバイオマーカーの計画的なサンプルは、全身補助研究に関する対象者であるリスクが高い段階Iの患者を選択するための血清試験を開発するために使用されるだろう。我々は、これらの目標を達成するために3つの特定の目的を提案する。
目的1:疾患の再発に関するリスクに基づいて、段階IのNSCLCの患者を分類するための値を持つバイオマーカーを同定する。この目的は、切除可能なNSCLCを有する患者に関する生存率予測を評価する研究から取得した発現マイクロアレイプロファイルが保管されたおよそ500人からのデータを有する血清プロテオーム(n=100)からの交差データによって達成されるだろう。
目的2:25個もの候補バイオマーカーの測定(絶対量測定)循環レベルを同定し、再発性疾患に関するリスクに基づいて、段階Iの患者を階層化するためのこれらの能力についてこれら候補バイオマーカーを評価する。最も期待されるバイオマーカーは、再発性疾患を予測診断するための分類アルゴリズムを開発するために使用されるだろう。
目的3:血清試料に対するバイオマーカーの最適な組み合わせの独自の検証では、我々は、がん及び白血病グループB(Cancer and Leukemia Group B,CALGB)との協力を通して得られた。この検証研究、CALGB150809は、CALGB140202への完全なIRB承認コンパニオン研究であり、試料(n=230)の多組織コホートで、この提案の目的として開発されたバイオマーカーパネルを試験するだろう。
様々な分子アプローチは、臨床学的転帰(無病再発)に基づいて段階IのNSCLC患者を階層化するための方法として研究されている。この分野において重要な研究は、全身補助化学療法のためのNSCLC患者を選択するための前兆となる多重遺伝子シグネチャーを同定するという究極の目的をもって、主として、原発腫瘍からの発現マイクロアレイデータと、局所領域のリンパ節の状態又は転帰との関連に焦点を当てている。
全ての血清/血漿試料は、完全なIRBの承認及び文書による(個々の)患者の同意を伴う腫瘍切除の直前に採取された。他の収集プロトコル及び保存条件は、他のどこかで定義されている。以下に概説される選択基準を満たしている血清試料についてのグループ分けは、表9に与えられている。
全ての試料は、≧2年の利用可能な臨床経過観察データを有するRUMCで予め集められた。全ての患者は、標準的な門及び縦隔リンパ節の詳細な分析を伴って病理学的に段階分けされるだろう。ヘマトキシリン及びエオシン染色は、転移性疾患の存在を同定するために行われた。解剖学的切除における転移の進行の病理学的証拠がなく、切除から2年以内の疾患の再発がない患者は、”再発なし”と見なされるだろう。全ての試料は、目的を達成するために利用可能な十分の血清を持つだろう。全ての患者は、化学又は放射線両方のいずれかに対してナイーブになるだろう。
血清バイオマーカーの発見のために提案されている一般的なアプローチは、口腔扁平細胞がんに関する循環バイオマーカーの同定のためにBijianらによって使用されたものに酷似しているだろう。簡潔には、彼らは、プールされたiTRAQラベル化血清試料グループ(コントロール対担がん;侵襲性対非侵襲性腫瘍)の2次元HPLCに次いで、彼らの研究グループ間での特異的な発現された候補バイオマーカー(p<0.05)の範囲(〜1100)を同定及び定量化するためにオンラインのイオントラップ質量分析を使用した。
多量のタンパク質の枯渇−血清プロテオームは、一般的に、血清/血漿試料中に通常存在するタンパク質濃度(10〜12桁)の広い範囲が与えられた技術的に困難な作業であると考えられている。この広ダイナミックレンジは、未分画試料において、少及び超少量のタンパク質の検出を困難にする。この問題を未然に防ぐために、我々は、現在、バイオマーカーの発見のための少量タンパク質へのアクセスを改良するために血清試料中の14の最も多量なタンパク質の90〜95%を除去するためにAgilent MARS Hu−14カラムを使用している。[注記:我々は、これらタンパク質の枯渇は、実際には、特有でない共通の枯渇に起因して、同定されたタンパク質の数を少し減少させるかもしれないことを認識している。この結果のために、我々の枯渇プロトコルは、HU−14カラムからの溶出液は、将来の分析のために保存されることを保証する。]
多量のタンパク質は、製造業者のプロトコルに従って、Agilent MARS HU−14カラム(4.6×100mm)を用いて、上で概説された6個のグループ(グループ当たりn=10;n=5の場合は3及び4のグループを除く)に相当する100個の術前血清試料(それぞれ40μL)から個々に枯渇され得る。試料は、この研究のために我々の統計学者(Dr.Basu)によって、各グループのための我々の完全なリポジトリホールディングス(表1に概説されたような)から無作為に選択され、共通層のカテゴリ(例えば、年齢、性別など)に関するこれら組織学的グループ間でできる限りマッチさせられるだろう。全ての実験は、盲目にされ、サンプリングバイアスを制限するための非冗長な反復下で行われた。試料の枯渇は、技術的な反復及び我々のShimadzu Prominence HPLCシステムの採用によって達成されるだろう。結果として生じる少量のタンパク質の画分(推定:計240〜340μgs)は、枯渇バッファーからのタンパク質混合物を濃縮する及び脱塩するために沈殿されたアセトンであろう。
トリプシン処理及びiTRAQラベル化:多量のタンパク質の枯渇された全ての個々の血清試料は、最小限の修正を伴って、iTRAQ分析のためのApplied Biosystemsによって推奨されたプロトコルを用いたMS分析のために準備された。シーケンシンググレードのトリプシン(Promega Corp.)を使った完全な試料消化は、製造業者の定義されたプロトコルを用いて達成される。各トリプシン消化物は、患者コホートセクションで定義された6個のグループに応じて、特有のiTRAQ試薬を用いてラベル化されるだろう。すなわち、113〜119Da。ペプチド参照基準(Sigma−Aldrich Corporation)の追加のグループもまた、インターランQC/QAを制御するためのコントロールとしての役目を果たし、バッチ間の再現性を確保するためにラベル化(121Da)されるだろう。
多次元タンパク質同定(MudPIT)実験:上で調製された試料は、オンライン(直接注入される)多次元HPLC戦略(”MudPIT”として知られる)を用いて質量スペクトル研究のために分画されるだろう。各iTRAQラベル化ペプチド混合物のおよそ20〜50μgsは、各クロマトグラフの実行で処理されるだろう。最初のクロマトグラフの分画は、10ステップの揮発性塩勾配を用いた強陽イオン交換によって達成されるだろう。全ての溶出したペプチドは、逆相ペプチドカートリッジを用いた第2のクロマトグラフの次元における分解のためにトラップされる。バルブを切り替える際に、第2のトラッピングカートリッジは、次のSCX勾配の画分が詰め込まれる一方、トラップされたSCX画分は、逆相カラム上に分解され、分析するために、ナノESI−を介して我々のThermo LTQ XL線形イオントラップ質量分析計に注入されるだろう。分解されたiTRAQラベル化ペプチドは、各MSスキャンからの4〜10個の最も豊富に存在するペプチド(500カウントのイオン閾値)に関するMS/MSスキャンを使ってデータ依存モードにおいて分析されるだろう。iTRAQラベルシグネチャー集団(即ち、113〜119及び121Da)は、同一のiTRAQラベル化ペプチドの適切な定量化結果を得るためにパルス誘起解離(PQD)を用いて監視されるだろう。全ての実行は、生成された全てのデータの再現性を保証するために技術的な反復の下で行われ、装置は5回毎に分析の直前に調整した。iTRAQ実験で同定された特定のペプチドは、ペプチドの量及びタンパク質の同一性の確認研究のために多重反応モニタリング(MRM)を受けるだろう。親ペプチド集団及び娘断片化パターンは、MASCOT結果ファイルから得られるだろう。このデータベースは、この一連の実験のためのMRM値を生成するために使用されるだろう。iTRAQラベルシグネチャー集団は、同一のiTRAQラベル化ペプチドの適切な定量化結果を得るために、PQDを用いて監視されるだろう。更に、発見段階で観察されたのを除いて、同定されたタンパク質に相当する追加ペプチドは、最初の研究結果に対する追加の信頼を提供するために特に監視されるだろう。追加の分解がこの分析のために必要とされる場合には、Thermo LTQ FT−ICRがUIC Mass Spectrometry Facilityにおいて利用可能である。広範囲に及ぶ配慮は、実験的バイアスの潜在源を最小限にし、試験されたグループ間の真の定量的変化を検出するための我々の能力を促進するために、Oberg及びVitekの提案を使用したこの研究に関する実験計画に入れられた。
バイオインフォマティクス(タンパク質同定):データ分析(タンパク質同定及び関係のあるペプチドの定量化)は、以前に我々が報告した方法と同様に、Mascot(Matrix Science)及びBioworks3.3.1(Thermo)プラットフォームを用いて実施されるだろう。生データは、Bioworksソフトウェアパッケージ内のデータ抽出モジュールを使用してMSデータファイルから抽出され、その後、タンパク質の同定のために、Mascot及びSequestアルゴリズムによってタンパク質ライブラリ検索を受けるだろう。タンパク質データベース検索は、ヒトデータベース内のトリプシンペプチドに制限されており、同定されたタンパク質のMSデータ(拒否された全ての偽陽性タンパク質を有する)は、デコイデータベース検索を受ける。LTQ−FTから得られたデータの前駆体質量誤差は、LTQ−XLに関して10ppm及び0.5Daであるだろう。同定されたタンパク質の完全なリストは、その後、タンパク質における結果並びに比率及び標準偏差の計算のグループ分けするためにMicrosoft Access(Microsoft,Redmond,WA)データベースに転送されるだろう。タンパク質の同定の信頼性は、95%の信頼性及び最低30%の配列カバー率及びタンパク質当たりの同定が2つのタンパク質を下回らないことに応じて選択されるだろう。代替的に、ChicagoにあるUniversity of IllinoisのMass Spectrometry Facilityは、日常的に、プロジェクト毎に有料のScaffold v3.0を使用したこの分析を実行する。
遺伝子発現マイクロアレイデータの分析−この副次的目的のために使用されるデータは、研究の調査員から直接入手された。全ての発現データのセットは、Affymetrix Human U133A Gene Expression Microarrayプラットフォームを使用してプロファイリングされた。ここで検査された一次データのセット(.CELファイル)は、Raponiら(T1−4N0M0n=83;T1−4N1−2M0n=47)及びSheddenら(T1−4N0M0n=201;T1−4N1−2M0n=90)からのものであり、無再発生存に基づいて比較されるだろう。組織学的診断は、もっぱらSheddenに関する腺がんであった一方、Raponiデータのセットは、扁平細胞がんであった。
.CELファイルのプローブレベルの正規化は、RMA方法によって実施されるだろう。異なる研究室からのバッチ効果は、主成分分析を用いて評価されるだろう。バッチ効果がデータセット間で存在した場合には、Mean−Centering Methodは、我々が以前に遂行したような、バッチ効果を除去するために使用されるだろう。簡潔には、各バッチ内の全てのサンプルに渡る各特徴の平均がゼロに設定される。このアプローチは、また、ゼロ平均又は分散調整の一元分析と呼ばれる。これはpamr Rパッケージ(http://cran.r−project.org/web/packages/pamr)により実行されるだろう。正規化及びバッチ効果の除去後、全てのデータセットは、転移関連遺伝子を同定するために集められるだろう。対をなさないスチューデントt検定は、非転移性と転移性サンプル間の差別化された遺伝子を同定するために使用されるだろう。2倍を伴うカットオフp値≦0.05は、著しく異なった形で発現する遺伝子を発見するためのカットオフとして変化する。バイオマーカーの選択方法−候補バイオマーカーの選択は、上で定義された方法を用いて実施された。簡潔には、切除(無再発に関連して)から2年以内の疾患の再発を有する患者において1.5よりも多く調整された我々のプロテオームセクションで同定されたタンパク質は、濾過され、分析された発現アレイデータを使って分析された。我々は、およそ200〜500のタンパク質(又は標的)がこのカテゴリーになり、腫瘍セクレトームが存在するだろうことを期待する。これら標的は、その後、Detabese for Annotation,Visualization and Integrated Discovery(DAVID)及びGofetcherツールを使用して定義されているGene Ontrology(GO)に従って機能的なカテゴリーに分類されるだろう。Gene Ontologyの機能的な項の0.05未満の濃縮p値は、有意と見なされる。この労力と並行して、また、我々は、Ingenuity canonical pathways analysisツールを使用して、この経路分析を実行するだろう。GO分析と同様に、0.05未満の濃縮p値を有する経路は、有意な調節経路(Ingenuity Systems,Redwood City,CA)であると見なされた。我々は、その後、ラッパースタイルでSVMを使用することによって、最適な標的(候補バイオマーカー)を除外する一次的方法としてsupport vector machine recursive feature elimination(SVM−RFE)を使用するだろう。アルゴリズムは、特定の学習課題に関する特徴のサブセットを選択する。基本的なアルゴリズムは、以下である:1)全ての特徴が含まれるようにデータセットを初期化し、2)データセットにSVMを訓練し、3)ci=(wi)に応じて特徴をランク付け、4)特徴の低ランクの50%を排除し、5)ステップ2に戻る。各RFEステップ4において、遺伝子の数は、SVM分類モデルの活性変数から捨てられる。10のGene Ontology(GO)定義の最小値は、表され、内部検証に関する有意性に基づいてランク付けされるだろう。潜在的な隠れた危険と代替戦略−現在、我々の全体的なオペレーションは、血清試料の分析に合わせて調整されたので、これは我々の自然な選択だった。一般的に、血清ベースのプロテオームに疲れた調査員は、血栓形成の間にタンパク質分解に対するバイオマーカーの潜在的な損失に関心を持っている。この問題を回避するために、我々は、血清が血清学的方法からのばらつきを最小限にし、再現性を維持するために処理される方法に関係する厳密なプロトコルを持っている。しかしながら、完全なまま又は部分的に分解したかどうかの血清タンパク質における関連性のある違いは、我々の一般的な戦略によって検出され、我々の目標を達成させるだろう。
定量化Luminex分析開発及び特性評価−Luminex分析開発:可能な限り、Luminexプラットフォーム上に構築された市販の免疫ビーズ分析は、記載された研究のために使用されるだろう。選択された候補バイオマーカーのための有効な分析の商業的供給源が利用できない場合にのみ、改良分析が開発されるだろう。各候補バイオマーカーに関する改良サンドイッチ状免疫ビーズの開発は、商用抗体の販売業者(例えばR&D Systems)を介して購入された抗体対(モノクローナルキャプチャ/ポリクローナルキャプチャ)を採用するだろう。我々は、この研究に関するいくつかの免疫試薬の開発を進展する又は縮小することを提案しておらず、我々の候補バイオマーカーの選択アルゴリズムの因子としての免疫試薬の利用可能性を検討するだろう
改良分析開発に関する方法は、我々が事前に定義し、Luminex Corporationによって推奨されたものと一致するだろう。成功した個々の分析の開発及び性能特性判定(下記参照)の後に、パネル当たり5〜10の検体の分析を含む多重分析が構築されるだろう。分析のグループ分けは、交差反応を有する潜在的な問題を回避するために、グループに渡り低いタンパク質配列相同性を有することに基づくだろう。交差反応に関するこれら多重分析の検証は、Luminex Corporationからの修正された’leave one out’プロトコルを用いて実行されるだろう。平均蛍光強度(MFI)値における10%の差は、各個々の標的に関する相互分析干渉のための我々の閾値となるだろう。性能特性は、多重グループ内の全ての個々の分析のために再確立されるだろう。
分析性能を確保する(品質保証)ためのガイドライン:全ての分析の技術的及び臨床的な検証は、以下のパラメータの決定を必要とするだろう:分析間精度,QCモニタリング,分析の再現性,分析の線形性,組み換え抗原バッチの再現性及び分析標準(ポリクローナル抗体)バッチの再現性。内部検証及びバイオマーカーパネルの開発−個々の患者試料を有する候補バイオマーカーの評価は、我々がすでに報告した方法と一致して進むだろう。3つの患者集団(混合された組織構造/性別)からの血清試料を評価可能な合計309のNSCLCは、この研究に含まれ、表1に定義されている。このグループは、無再発の初期段階(T1−3N0M0)のNSCLCを有する99人の患者と、初期段階(T1−3N0M0)のNSCLCを有する28人の患者とから構成され、最初の切除から2年以内の病理学的に確認された疾患を持っている。我々はまた、陽性リンパ節(T1−3N1−2M0)疾患(n=80)を有する我々のパネルの患者を試験するだろう。この研究のために使用される試料は、目的1の発見努力から非冗長になるだろう。患者の選択基準及び収集プロトコルに関する詳細は、我々のグループによって以前に報告されている。このコホートは、平均3.4年の経過観察を持っている。全ての試験されたバイオマーカーの単変量分析は、以前に定義されたように、多変量パネル選択アルゴリズム(ランダムフォレスト及びRCART)がするように実施されるだろう。この目的からの研究結果は、検証されるだろう。バイオマーカーパネルの多組織コホート検証−検証研究のための検出力予測−この目的の第1の目的は、2年の無再発生存に従って初期段階のNSCLC患者を正確に階層化するために我々の多変量バイオマーカーパネルの精度を評価することである。
Luminex分析の性能に関する検証方法は、単一、多重パネル(個別の代わり)のようなパネルを実行するための潜在的な例外とともに、目的2に使用されるということに近づけるだろう。このパネルの開発及び検証は、目的2のための方法で記載された同一の’leave−one−out’検証プロトコルを使用されるだろう。我々は、100μLのうちのおよそ20μLのアリコートが、多重パネル/分類アルゴリズムを試験する可能性を提供している検証目的のためにCALGBから得られるということを予測している。この比較研究を達成するための容認は、物の集まりからなっている。
他の非肺がん病変からNSCLCを区別する方法は、表6からの1以上の遺伝子の組織サンプル中の発現レベルを検出するステップを含み、表6における遺伝子の差次的発現が、他の病変というよりもむしろNSCLCのような肺がんの指標となる。
NSCLCのような肺がんの発病又は進行を調節することができる物質をスクリーニングする方法は、物質へ細胞を暴露するステップを含み、表6からの2以上の遺伝子の発現レベルを検出する。
上述した開示された方法のうちのいくつかは、表らからの少なくとも2つの遺伝子の検出を含むかもしれない。特定の実施形態において、方法は、全て又はほぼ全ての表中の遺伝子を検出するかもしれない。いくつかの実施形態では、1以上の遺伝子は、表6中にリスト化された遺伝子からなる群から選択されるかもしれない。
組成物は、少なくとも2つのオリゴヌクレオチドを含み、各オリゴヌクレオチドが表3中の遺伝子に特異的にハイブリッドする配列を含み、同様に、固体は少なくとも2つのプローブを支持し、各プローブは、表6中の遺伝子に特異的にハイブリッドする配列を含むことが開示されている。
コンピュータシステムは、また、表6中の少なくとも2つの遺伝子を含む遺伝子セットの肺組織、血清又は痰中の発現レベルを同定する情報を含むデータベースを含むこと及び情報を表示するためのユーザインターフェースが開示されている。データベースは、更に、遺伝子に関する配列情報、正常な肺組織及び悪性組織(転移性及び非転移性)中の遺伝子セットに関する発現レベルを同定する情報を含むかもしれず、GenBankなどのような外部データベースへのリンクを含むかもしれない;データベースは、全米バイオテクノロジー情報センター(National Center for Biotechnology Information)又はNCBI(ncbi.nlm.nih.gov/Entrez/)によって維持した。使用するかもしれない他の外部データベースは、ケミカル・アブストラクツ・サービス(Chemical Abstracts Service)(stnweb.cas.org/)及びIncyte Genomics(incyte.com/sequence/index.shtml)によって提供されるものが含まれる。
開示された方法の1つ以上の実施のために有用なキットもまた開示される。いくつかの実施形態において、キットは1以上のオリゴヌクレオチドを結合した1以上の固体支持物を含むかもしれない。固体支持物は、高密度のオリゴヌクレオチドアレイであっても良い。キットは、更に、アレイとともに使用するための1以上の試薬、1以上のシグナル検出及び/又はアレイ処理装置、1以上の遺伝子発現データベース及び1以上の分析及びデータベース管理ソフトウェアパッケージを含むかもしれない。
データベースを使用する方法は、データベース中の遺伝子の発現レベルと組織又は細胞における表6中の少なくとも1つの遺伝子の発現レベルとを比較するステップを含む表6中の少なくとも1つの遺伝子の組織又は細胞中の発現レベルを同定する情報を提示するための開示されたコンピュータシステムを使用する方法など開示されている。
開示された組成物及び遺伝子の発現レベルを検出するための方法は、細胞の状態、すなわち、正常に対するがん性に依存して差次的に発現されるかもしれない。ここで使用するとき、”レベルの発現を検出する”という語句は、目的の遺伝子の全てが発現されたかどうかを決定する方法と同様に、定量的に発現レベルを決定するという当技術分野で知られている方法を含む。したがって、必ずしも発現量の定量化を提供しなくとも、yes又はnoの結果を提供する分析は、ここで使用される語句のような”発現レベルを検出すること”を必要とする分析である。
この開示では、NSCLC対非悪性疾患の検出及び肺がんを有する患者のための治療の選択のために使用される好ましい及び代替の実施形態を説明したが、これは、開示された実施形態が、他のがん、より具体的には他の肺がんの検出に用いることができると考えられる。したがって、即時の開示は、NSCLCに対する開示された実施形態の使用に制限すると解釈すべきではない。更に、ここに記載された分析の個々の要素の構成及びタイプは、好ましい実施形態を表し、代替の構成及びタイプの使用を制限すると解釈すべきではない。当業者は、記述から、設計者によって意図され得る代替の実施形態を識別することができる。