JP6026026B1 - エタノールの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】発酵前の水処理、特に酸、アルカリ等による前処理により生成する単糖の過分解物及び副産物の有機酸等の発酵阻害物質の除去処理設備が必要ないリグノセルロース系バイオマス由来化合物の製造方法の提供。【解決手段】A)前処理済リグノセルロース系バイオマス及び酵素を混合し、糖化する工程と、(B)工程(A)で得られた糖化液及び糖化残渣に、酵母を植菌し、発酵する工程と、を備え、工程(B)の前に、(M)工程(A)前の前処理済リグノセルロース系バイオマスを含む液中又は工程(A)で得られた糖化液中の発酵阻害物質の濃度に応じて、発酵阻害を受けない酵母の菌体濃度の臨界値以上の酵母の菌体濃度となる、予め設定された基準値となる様に、工程(B)における酵母の菌体濃度を決定する工程を備え、工程(B)において、工程(M)において決定された菌体濃度となる様に酵母を植菌する製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、エタノールの製造方法に関する。
近年、地球温暖化対策や、廃棄物の有効活用の観点から、植物資源を原料とするバイオマスの利用が注目されている。一般に、バイオマスからエタノール等の化合物を製造するための原料としては、サトウキビ等の糖質やトウモロコシ等のデンプン質が多く用いられている。しかしながら、これらの原料はもともと食料又は飼料として用いられており、長期的に工業用利用資源として活用することは、食料又は飼料用途との競合を引き起こし、原料価格の高騰を招く危険性がある。
従って、非食用バイオマスをエネルギー資源として活用する技術開発が進められている。非食用バイオマスとしては、地球上に最も多く存在するセルロースがあげられるが、その大部分は芳香族ポリマーのリグニンやヘミセルロースとの複合体であるリグノセルロースとして存在する。
リグノセルロース系バイオマスから目的の化合物を製造する方法としては、水熱処理等の前処理を行う。このとき、必要に応じて、適宜酸又はアルカリを混合させてもよい。前処理工程では、リグノセルロースを構成するヘミセルロースやリグニンといったポリマーを分解し、後工程におけるセルロースの反応性を向上させる。しかしながら、酸強度や温度条件が強すぎると、セルロースおよびヘミセルロースの分解で生成された単糖がさらに分解され、過分解物を生成してしまい、その後の発酵工程を阻害することが知られている。また、主にヘミセルロースが分解される際に副産物として、酢酸やギ酸などの有機酸が生成され、これらもその後の発酵工程を阻害することが知られている。
特許文献1には、木質系炭化物により処理することで発酵阻害物質を除去する方法が開示されている。また、特許文献2には、ポリスチレン系の樹脂に吸着又は保持させることで、発酵阻害物質を除去する方法が開示されている。
特開2005−270056号公報 特開2011−78327号公報
特許文献1では、発酵阻害物質を除去する為に木質系炭化物および除去処理のための設備が必要となる。特許文献2では、発酵阻害物質を除去する為にポリスチレン系樹脂および除去処理のための設備が必要となる。さらに、ポリスチレン系樹脂の脱着処理(再生処理)を行うための設備が必要となる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、発酵阻害物質の存在下での、安定的で効率的なリグノセルロース系バイオマス由来化合物の製造方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
(1)エタノールの製造方法であって、
(A)前処理済リグノセルロース系バイオマス及び酵素を混合し、糖化する工程と、
(B)前記工程(A)で得られた糖化液及び糖化残渣に、酵母を植菌し、発酵する工程と、を備え、
前記酵母がサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces Cerevisiae)であり、
前記工程(A)の前、又は、工程(A)の後であって、工程(B)の前に、
(M)前記工程(A)前の前記前処理済リグノセルロース系バイオマスを含む液中、又は、前記工程(A)で得られた糖化液中のフルフラールの濃度に応じて、予め設定された基準値となるように、前記工程(B)における酵母の菌体濃度を決定する工程を備え、
前記予め設定された基準値が、フルフラールの濃度に応じた発酵阻害を受けない酵母の菌体濃度の臨界値以上の酵母の菌体濃度であって、
前記工程(B)において、前記工程(M)において決定された前記菌体濃度となるように酵母を植菌することを特徴とする製造方法。
(2)前記予め設定された基準値が、前記臨界値の1.0〜3.0倍である(1)に記載のエタノールの製造方法。
)前記臨界値が酵母の菌体数を用いた濃度(CFU(Colony forming
unit)/mL)で表され、
前記フルフラールの濃度がX(g/L)、前記臨界値がY(CFU/mL)であるとき、前記X及び前記Yは下記数式[1]で表される関係である(1)又は(2)に記載のエタノールの製造方法。
Figure 0006026026
(数式[1]中、aは、1.0×10以上4.0×10以下の数であり、bは、2.0×10である。)
)前記臨界値が酵母の乾燥菌体重量を用いた濃度(g/L)で表され、
乾燥菌体1g当たりに含まれる酵母の菌体数が1.5×1010CFUであって、
前記フルフラールの濃度がX(g/L)、前記臨界値がY’(g/L)であるとき、前記X及び前記Y’は下記数式[2]で表される関係である(1)又は(2)に記載のエタノールの製造方法。
Figure 0006026026
(数式[2]中、cは、0.5以上2.5以下の数であり、dは、0.13である。)
本発明法によれば、発酵阻害物質の存在下において、安定的且つ効率的にリグノセルロース系バイオマス由来化合物の収率を向上させることができる。
酵母内でのフルフラールの無毒化の経路を示した概略図である。 本実施形態におけるリグノセルロース系バイオマス由来化合物の製造装置の概略構成を示す図である。 実施例1における糖化工程及び発酵工程での(A)グルコース濃度、(B)キシロース濃度、(C)フルフラール濃度及び(D)エタノール濃度の変化を示すグラフである。 実施例2における発酵工程での発酵収率とフルフラール濃度の関係を示すグラフである。 (A)は、実施例2における上記の臨界値とフルフラール濃度の関係を示すグラフであり、(B)は、実施例2における酵母の菌体数に置き換えた上記の臨界値とフルフラール濃度の関係を示すグラフであり、(C)は、実施例2における酵母の乾燥重量に置き換えた上記の臨界値とフルフラール濃度の関係を示すグラフである。
本明細書において、リグノセルロース系バイオマスとしては、主に、セルロース、ヘミセルロース及びリグニンを含有するものであり、例えば針葉樹、広葉樹、建築廃材、林地残材、剪定廃材、稲藁、籾殻、麦藁、木材チップ、木材繊維、化学パルプ、古紙、合板等の農林産物資源、サトウキビバガス、サトウキビ茎葉、コーンスト―バー等の農林産物廃棄物、農林産物加工品及び大型藻類、微細藻類等の植物組織である。これらのリグノセルロース系バイオマスは単独であってもよく、混合物であってもよい。
本明細書において、ヘミセルロースは、キシロースなどの5つの炭素を構成単位とする五炭糖とよばれるものやマンノース、アラビノース、ガラクツロン酸などの6つの炭素を構成単位とする六炭糖とよばれるもの、さらにグルコマンナンやグルクロノキシランなどのような複合多糖を有するので、加水分解を受けると、炭素5つからなる五炭糖の単糖やその単糖が複数個連結された五炭糖のオリゴ糖、炭素6つからなる六炭糖の単糖やその単糖が複数個連結された六炭糖のオリゴ糖、五炭糖の単糖と六炭糖の単糖が複数個連結されたオリゴ糖を生ずる。
セルロースは、6つの炭素を構成単位として有するので、加水分解を受けると、炭素6つからなる六炭糖の単糖やその単糖が複数個連結された六炭糖のオリゴ糖を生ずる。一般に、単糖及び/またはオリゴ糖の構成比率や生成量は、前処理方法や原料として用いた農林産物資源、農林産物廃棄物、農林産物加工品及び大型藻類、微細藻類等の植物組織の種類によって異なる。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する、なお、各図において、説明に関連しない部分は図示を省略する場合がある。
<リグノセルロース系バイオマス由来化合物の製造方法>
本実施形態のリグノセルロース系バイオマス由来化合物の製造方法は、
(A)前処理済リグノセルロース系バイオマス及び酵素を混合し、糖化する工程と、
(B)前記工程(A)で得られた糖化液及び糖化残渣に、酵母を植菌し、発酵する工程と、を備え、
前記工程(A)の前、又は、工程(A)の後であって、工程(B)の前に、
(M)前記工程(A)前の前記前処理済リグノセルロース系バイオマスを含む液中、又は、前記工程(A)で得られた糖化液中の発酵阻害物質の濃度に応じて、予め設定された基準値となるように、前記工程(B)における酵母の菌体濃度を決定する工程を備え、
前記予め設定された基準値が、発酵阻害物質の濃度に応じた発酵阻害を受けない酵母の菌体濃度の臨界値以上の酵母の菌体濃度であって、
前記工程(B)において、前記工程(M)において決定された前記菌体濃度となるように酵母を植菌するものである。
本実施形態の製造方法によれば、発酵阻害物質の存在下において、安定的且つ効率的にリグノセルロース系バイオマス由来化合物の収率を向上させることができる。
≪工程(A):糖化工程≫
本実施形態の製造方法において、まず、前処理済リグノセルロース系バイオマス及び酵素を混合し、糖化する。糖化温度は、45℃〜70℃が好ましく、45℃〜55℃がより好ましく、50℃が特に好ましい。また、糖化時間は12時間〜120時間が好ましく、24時間〜96時間がより好ましく、24時間〜72時間がさらに好ましい。
本明細書において、酵素とは、リグノセルロース系バイオマスを単糖又はオリゴ糖単位に分解する酵素を意味し、リグノセルロース系バイオマスを単糖又はオリゴ糖にまで分解するものであればよく、セルラーゼ及びヘミセルラーゼの各活性を持つものであればよい。
セルラーゼは、セルロースをグルコース等の単糖又はオリゴ糖に分解するものであればよく、エンドグルカナーゼ(EG)、セロビオハイドロラーゼ(CBH)及びβ−グルコシダーゼ(BGL)の各活性の少なくとも1つの活性を有するものを挙げることができ、これらの各活性を有する酵素混合物であることが、酵素活性の観点から好ましい。
同じくヘミセルラーゼは、ヘミセルロースをキシロース等の単糖又はオリゴ糖に分解するものであればよく、キシラナーゼ、キシロシダーゼ、マンナナーゼ、ペクチナーゼ、ガラクトシダーゼ、グルクロニダーゼ及びアラビノフラノシダーゼの各活性の少なくとも1つの活性を有するものを挙げることができ、これらの各活性を有する酵素混合物であることが、酵素活性の観点から好ましい。
これらセルラーゼ及びヘミセルラーゼの起源は限定されることはなく、糸状菌、担子菌、細菌類等のセルラーゼ及びヘミセルラーゼを用いることができる。
本明細書において、前処理済リグノセルロース系バイオマスとは、糖化反応を効率的に行うために事前処理を行ったリグノセルロース系バイオマスを意味する。事前処理方法としては、例えば、蒸気のみでの蒸煮法、イオン液体を用いる方法、ミルを用いる粉砕法などが挙げられる。また、事前処理において、必要に応じて、適宜酸又はアルカリを混合させてもよい。酸としては、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸等の中から選ばれ、これらを単独で又は組み合わせて用いてもよい。中でも工業利用には安価で手に入りやすい硫酸が特に好ましい。アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム等が挙げられ、これらを単独で又は組み合わせて用いてもよい。事前処理に用いる反応容器には特に限定はないが、耐酸性又は耐アルカリ性を有する加熱圧力容器、若しくは、耐酸性又は耐アルカリ性を有する容器をオートクレーブのような加熱圧力装置に入れて処理する形態が考えられる。
前処理済リグノセルロース系バイオマス中には、セルロース、ヘミセルロース、単糖及びオリゴ糖の少なくともいずれかの糖以外にも、種々の副生成物が含まれている。それら副生成物が後工程の糖化工程、発酵工程などに悪影響を及ぼさない物質であれば、最後の精製工程において除去すればよいので大きな問題とはならない。しかしながら、悪影響を及ぼす発酵阻害物質であれば、糖化工程又は発酵工程の前工程で、各工程に悪影響を及ぼさないようにする必要性が生じる。
本明細書において、発酵阻害物質とは、発酵工程で発酵反応を妨害する物質のことである。代表的な発酵阻害物質としては、糖の過分解物、リグニン又はリグニン由来の芳香族化合物、接着剤又は塗料由来の化合物が挙げられる。この中で、接着剤・塗料などの人工的な薬品に由来する化合物は、それらの処理が施されていない自然由来のリグノセルロース系バイオマスを使用することにより、ある程度回避可能である。しかし、リグノセルロース系バイオマスを原料とする限り、糖の過分解物やリグニン由来の芳香族化合物の生成は回避することが困難である。ここで、発酵阻害物質がリグニンのような不溶性固体であり、セルロース、ヘミセルロース、単糖及びオリゴ糖のうち少なくともいずれかが可溶性である場合には、通常の固液分離によって除去することが可能な場合もある。しかしながら、発酵阻害物質も有用物も可溶性である場合には、通常の固液分離が適用できないため、後述の発酵阻害物質の濃度に応じた酵母の菌体濃度を決定し、植菌する方法が好ましく適用される。すなわち、本実施形態において、主に処理対象とする発酵阻害物質は、実質的にセルロース、ヘミセルロース、単糖及びオリゴ糖の少なくともいずれかの糖との混合溶液を形成しているものであり、通常の固液分離では分離できない、又は、分離し難い状態のものを指す。そのような発酵阻害物質としては、例えば、酢酸、ギ酸、レブリン酸、糖の過分解物であるフルフラール、5−ヒドロキシメチルフルフラール(5−HMF)、リグニン由来の芳香族化合物であるバニリン、アセトバニリン、グアヤコールなどが挙げられる。これら発酵阻害物質のうち、代表的な発酵阻害物質はフルフラール及び5−HMFである。
上記のフルフラール又は5−HMFによる酵母の発酵阻害の機構について、以下に説明する。フルフラール又は5−HMFは、酵母の解糖系やアルコール脱水素(ADH)を阻害することが知られている(Alemeida et al.,J Chem. Technol. Biotechnol.82:320−349(2007).参照)。さらに、図1は、酵母内でのフルフラールの無毒化の経路を示した概略図である。好気条件下では、酸素、水によりカルボン酸の一種である2−フロイック酸に変化し、さらにATPにより2−フロリル−CoAに変化することでTCA回路において活用される。一方、嫌気条件下でフルフラールを無毒化するためには、NADHが必要である(下記式[3]参照)。フルフラールはNADHによりフルフリルアルコールに還元され、さらにフルフリルアルコールを細胞外に排出されることが知られている(Nieces et al.Front.Bioeng.Biotechnol.18,Feb(2015).参照)。
そのため、酵母はNADHを合成するために、グルコースから酢酸の合成が優先的になされ(下記式[4]参照)、グルコースからエタノールの合成が抑制される。
Figure 0006026026
本発明者らは、上記の発酵阻害機構に着目し、発酵阻害物質の濃度に応じた酵母量を植菌することにより、本発明に至った。
≪工程(M):決定工程≫
続いて、前記工程(A)前の前記前処理済リグノセルロース系バイオマスを含む液中、又は、前記工程(A)で得られた糖化液中の発酵阻害物質の濃度を測定する。測定された発酵阻害物質の濃度に応じて、予め設定された基準値となるように、後述の工程(B)における酵母の菌体濃度を決定する。
発酵阻害物質の濃度の測定方法としては、例えば、糖化装置で糖化が開始される前、糖化中又は糖化後に、液を抜き取り、高速液体クロマトグラフ又はニトロフェニルヒドラジン及びアルカリ溶液を用いた呈色反応(発酵阻害物質がフルフラールである場合)等により発酵阻害物質を測定する方法や、ライン上で事前処理の条件等により発酵阻害物質の濃度を算出する方法等が挙げられる。
本実施形態の製造方法において、基準値は、次のようにして予め設定する。
まず、スモールスケールにて、事前処理条件の異なる前処理済リグノセルロース系バイオマスを調製する。事前処理条件については、上述したとおり、事前処理方法、温度、時間、使用する触媒の種類及び濃度等を変えたものを準備する。続いて、前処理済リグノセルロース系バイオマスそれぞれと酵素とを混合し、糖化を行う。続いて、得られた糖化液中の発酵阻害物質の濃度を測定する。発酵阻害物質の濃度に対して、後述の実施例2に示すように、酵母の植菌量を変えて糖化液に含まれる酵母の菌体濃度が変わるように添加し、目的のリグノセルロース系バイオマス由来化合物を目的の発酵収率まで得られるか否かを評価する。
目的のリグノセルロース系バイオマス由来化合物を目的の発酵収率まで得られた場合、このときの酵母の菌体濃度は、発酵阻害物質の濃度に応じた発酵阻害を受けない酵母の菌体濃度の臨界値と判断できる。予め設定された基準値は、上記の臨界値以上の酵母の菌体濃度とすればよく、例えば上記の臨界値の1.0倍〜3.0倍、好ましくは上記の臨界値の1.0倍〜2.5倍、さらに好ましくは上記の臨界値の1.0倍〜1.5倍を予め設定された基準値とする。
本実施形態の製造方法において、より具体的な例として、発酵阻害物質がフルフラールである場合の、上記の臨界値とフルフラール濃度の関係について、以下に説明する。
[臨界値:酵母の菌体数を用いた濃度]
本実施形態の製造方法において、
上記の臨界値が酵母の菌体数を用いた濃度(CFU/mL)で表され、
フルフラールの濃度がX(g/L)、上記の臨界値がY(CFU/mL)であるとき、X及びYは下記数式[1]で表される関係である。
Figure 0006026026
(数式[1]中、aは、1.0×10以上4.0×10以下の数であり、bは、2.0×10である。)
後述の実施例2のとおり、フルフラールの濃度X及び上記の臨界値Yは、線形関係で表すことができる。
数式[1]中、傾きaは、1.0×10以上4.0×10以下であることが好ましく、1.5×10以上3.5×10以下であることがより好ましく、2.0×10以上3.0×10以下であることがさらに好ましい。傾きaが上記範囲内であることにより、フルフラール存在下において、効率的に目的のリグノセルロース系バイオマス由来化合物を目的の発酵収率で得ることができる。
数式[1]中、切片bは、2.0×10以上であればよい。上記の値は、糖化液中にフルフラールが含まれない場合に、目的のリグノセルロース系バイオマス由来化合物を目的の発酵収率まで得るために、必要な酵母の菌体数の最低値である。
[臨界値:酵母の乾燥菌体重量を用いた濃度]
本実施形態の製造方法において、
上記の臨界値が酵母の乾燥菌体重量を用いた濃度(g/L)で表され、
乾燥菌体1g当たりに含まれる酵母の菌体数が1.5×1010CFUであって、
フルフラールの濃度がX(g/L)、上記の臨界値がY’(g/L)であるとき、X及びY’は下記数式[2]で表される関係である。
Figure 0006026026
(数式[2]中、cは、0.5以上2.5以下の数であり、dは、0.13である。)
上記の臨界値は、酵母の乾燥菌体重量で表してもよい。酵母の乾燥菌体1gに含まれる酵母の菌体数は、酵母の種類により若干変動するが、通常、0.75×1010〜3.0×1010CFUであって、1.5×1010CFUであることが好ましい。
数式[2]中、傾きcは、0.5以上2.5以下の数であることが好ましく、0.75以上2.25以下の数であることがより好ましく、1.0以上1.5以下の数であることがさらに好ましい。傾きcが上記範囲内であることにより、フルフラール存在下において、効率的に目的のリグノセルロース系バイオマス由来化合物を目的の発酵収率で得ることができる。
数式[2]中、切片dは、0.13以上であればよい。上記の値は、糖化液中にフルフラールが含まれない場合に、目的のリグノセルロース系バイオマス由来化合物を目的の発酵収率まで得るために、必要な酵母の乾燥菌体重量の最低値である。
[臨界値:糖化液に対する使用する酵母を含む溶液の割合]
本実施形態の製造方法において、
上記の臨界値が糖化液に対する使用する酵母を含む溶液の割合で表され、
酵母を含む溶液中の酵母の菌体濃度が2.0×10CFU/mLであって、
フルフラールの濃度がX(g/L)、上記の臨界値がY’ ’(g/L)であるとき、X及びY’は下記数式[5]で表される関係である。
Figure 0006026026
(数式[5]中、eは、4.5以上20.0以下の数であり、fは、1.0である。)
上記の臨界値は、糖化液に対する使用する酵母を含む溶液の割合で表してもよい。酵母を含む溶液中の酵母の菌体濃度は、適宜調整してもかまわないが、通常、1×10〜3×10CFU/mLであって、2×10CFU/mLであることが好ましい。
数式[5]中、傾きeは、4.5以上20.0以下の数であることが好ましく、5.0以上15.0以下の数であることがより好ましく、7.5以上10.0以下の数であることがさらに好ましい。傾きeが上記範囲内であることにより、フルフラール存在下において、目的のリグノセルロース系バイオマス由来化合物を目的の発酵収率まで得ることができる。
数式[5]中、切片fは、1.0以上であればよい。上記の値は、糖化液中にフルフラールが含まれない場合に、目的のリグノセルロース系バイオマス由来化合物を目的の発酵収率まで得るために、必要な糖化液に対する使用する酵母を含む溶液の割合の最低値である。
≪工程(B):発酵工程≫
続いて、上記の工程(A)で得られた糖化液及び糖化残渣に、酵母を植菌し、発酵する。このとき、上記の工程(M)において決定された前記菌体濃度となるように酵母を植菌する。発酵温度は、25℃〜50℃が好ましく、28℃〜35℃がより好ましく、32℃が特に好ましい。また、発酵時間は24時間〜120時間が好ましく、24時間〜96時間がより好ましく、24時間〜72時間がさらに好ましい。
本実施形態の製造方法において、酵母としては、目的のリグノセルロース系バイオマス由来化合物を生成できるものであれば、特別な限定はない。植菌する酵母は、酵母を含む培養液をそのまま使用してもよく、又は、酵母を含む培養液を遠心分離により濃縮したもの、乾燥状態のもの等を適宜使用してよい。また、酵母の状態に合わせて、上記の臨界値と発酵阻害物質の関係から、植菌する量を算出すればよい。
工程(B)後の工程については、発酵液の活用方法によって、適宜選択できる。例えば、エタノールを得ることを目的とした場合は、発酵液を精製する工程として蒸留工程を設けることができる。
本実施形態において、リグノセルロース系バイオマス由来化合物とは、リグノセルロース系バイオマスを分解して得られた単糖及びオリゴ糖を、酵母が摂取することにより生成された化合物を意味する。例えば、エタノール、ブタノール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、グリセロールなどのアルコール、ピルビン酸、コハク酸、リンゴ酸、イタコン酸、クエン酸、乳酸など有機酸、イノシン、グアノシンなどのヌクレオシド、イノシン酸、グアニル酸などのヌクレオチド、カダベリンなどのジアミン化合物などが挙げられる。発酵によって得られた化合物が乳酸などのモノマーである場合は、重合によりポリマーに変換することもある。
<リグノセルロース系バイオマス由来化合物の製造装置>
図2は、本実施形態におけるリグノセルロース系バイオマス由来化合物の製造装置の概略構成を示す図である。本実施形態のリグノセルロース系バイオマス由来化合物の製造装置10は、糖化装置1と発酵槽3との間に配管2が配設されている。
さらに、糖化装置1に、糖化液を一部抜き出すための配管4が配設されていてもよい。また、発酵槽3には、配管6を介して酵母を供給するための酵母供給槽5が配設されていてもよい。
また、図2において、糖化装置1と発酵槽3が別々に配設された態様を例示しているが、同時に糖化反応及び発酵反応を行う1つの糖化発酵槽としてもよい。
糖化装置1は、前処理済リグノセルロース系バイオマス及び酵素を混合し、糖化を行うための装置であり、特別な限定はない。例えば、撹拌型、通気撹拌型、気泡塔型、流動層型、充填層型などを挙げることができる。
配管4は、糖化装置1から糖化液を一部抜き出し、糖化液中の発酵阻害物質の濃度を測定するための配管であって、特別な限定はない。また、糖化前或いは糖化発酵前の前処理済リグノセルロース系バイオマスを含む液中の発酵阻害物質の濃度を測定する場合、又は、事前処理の条件等から含まれる発酵阻害物質の濃度が算出できる場合には、配管4を備えていなくてもよい。
本実施形態の製造装置において、糖化前或いは糖化発酵前の前処理済リグノセルロース系バイオマスを含む液中の発酵阻害物質の濃度を測定する場合において、糖化装置へ前処理済リグノセルロース系バイオマスを含む液を送液する配管に液を一部抜き出すための配管を備えていてもよい。これにより、発酵阻害物質の濃度を測定することができる。
配管2は、糖化装置1において得られた糖化液及び糖化残渣を発酵槽3へ送役するための配管であって、特別な限定はない。
発酵槽3は、糖化装置1で得られた糖化液及び糖化残渣に、酵母を植菌し、発酵するための槽であって、特別な限定はない。例えば、撹拌型、通気撹拌型、気泡塔型、流動層型、充填層型などを挙げることができる。
酵母供給槽5は、発酵槽3へ酵母を供給するための槽であって、特別な限定はない。また、乾燥状態の酵母を発酵槽3へ直接植菌する場合には、酵母供給槽5を備えていなくてもよい。
さらに、糖化装置1の前に、リグノセルロース系バイオマスを事前処理するための事前処理装置を有していてもよい。事前処理装置は、特に限定はなく、例えば、耐酸性又は耐アルカリ性を有する加熱圧力装置、若しくは、耐酸性又は耐アルカリ性を有する容器をオートグレーブのような加熱圧力装置に入れて処理する形態などが挙げられる。
また、発酵槽3の後に続く設備は、発酵液の用途に応じて、適宜選択することができる。
以下、具体的実施例により、本発明についてより詳細に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
(1)糖化工程
酵素の基質として前処理済リグノセルロース系バイオマス10g−dryを使用して、水と、pH調整剤としてNaOH0.04〜0.2gとを加え、前処理済バイオマス濃度が10%質量%となるように希釈し、基質溶液を調製した(全量100g)。基質溶液にTrichoderma reesei由来酵素を投入した。50℃で48時間振盪撹拌した。糖化工程開始直後、24時間後、48時間後にサンプルを1.0gずつ採取し、高速液体クロマトグラフ(島津製作所製LC−20AD)を用いてフルフラール濃度及びエタノール濃度を測定した。また、糖化工程開始直後、24時間後、48時間後にサンプルを1.0gずつ採取し、高速液体クロマトグラフィー(SHIMADZU社製、HPLC還元糖システム)およびAsahipak MH2p−50 4Eカラム(shodex社製)を用いて、グルコース濃度及びキシロース濃度を測定した。
(2)発酵工程
(1)で得られた糖化液に、酵母(トヨタ自動車製「サッカロミセス・セルビシエ(Saccharomyces.Cereviviae)」)を糖化液に対して、1質量%、4.5質量%、10質量%、20質量%となるように添加し、32℃で48時間振盪撹拌した。なお、酵母は培養液の状態で添加した。培養液中の含まれる酵母の菌体数は2×10CFU/mLであった。発酵工程開始から24時間後、48時間後にサンプルを1.0gずつ採取し、高速液体クロマトグラフ(島津製作所製LC−20AD)を用いてフルフラール濃度及びエタノール濃度を測定した。また、発酵工程開始から24時間後、48時間後にサンプルを1.0gずつ採取し、高速液体クロマトグラフ(SHIMADZU社製、HPLC還元糖システム)およびAsahipak MH2p−50 4Eカラム(shodex社製)を用いて、グルコース濃度及びキシロース濃度を測定した。
(3)結果
糖化工程及び発酵工程でのグルコース濃度、キシロース濃度、フルフラール濃度及びエタノール濃度の変化を図3に示した。図3から、糖化液に対する使用する酵母を含む溶液の割合が20%である場合では、フルフラール濃度が約1.3g/Lであっても、安定的に発酵し、エタノールが得られることが明らかとなった。
[実施例2]
(1)糖化液の調製
あらかじめ、含まれるフルフラール濃度を0g/L、0.44g/L、0.5g/L、0.54g/L、0.6g/L、0.62g/L、1.0g/L、1.15g/L、1.19g/L、1.37g/L、1.4g/Lとなるように調製した糖化液を準備した。
(2)発酵工程
(1)で得られた糖化液それぞれに、酵母(トヨタ自動車製「サッカロミセス・セルビシエ(Saccharomyces.Cereviviae)」)を糖化液に対して、1質量%、4.5質量%、10質量%、20質量%となるようにそれぞれ添加し、32℃で48時間振盪撹拌した。なお、酵母は培養液の状態で添加した。培養液中の含まれる酵母の菌体数は2×10CFU/mLであった。実施例1の(2)と同様の方法により、フルフラール濃度及びエタノール濃度を測定した。
(3)結果
発酵工程での発酵収率とフルフラール濃度の関係を図4に示した。図4から、フルフラール濃度が0.54g/Lである場合、発酵阻害物質の濃度に応じた発酵阻害を受けない酵母の菌体濃度の臨界値は4.5%であり、フルフラール濃度が0.98g/Lである場合、上記の臨界値は10%であり、フルフラール濃度が1.37g/Lである場合、上記の臨界値は20%であった。
さらに、図5は、(A)は上記の臨界値とフルフラール濃度の関係を示すグラフであり、(B)は酵母の菌体数に置き換えた上記の臨界値とフルフラール濃度の関係を示すグラフであり、(C)は酵母の乾燥重量に置き換えた上記の臨界値とフルフラール濃度の関係を示すグラフである。また、グラフは、臨界値0%、4.5%、10%の3点を使用し、近似値としての線形関数のグラフを作成した。
以上のことから、糖化液に対する使用する酵母を含む溶液の割合(質量%)、酵母の菌体数(CFU/mL)及び酵母の乾燥重量(g/L)のうちいずれを使用しても上記の臨界値を表すことができる。
また、実際の臨界値とフルフラール濃度の関係は曲線のグラフであることから、誤差を鑑みて、図5のそれぞれの線形グラフの傾きが0.5倍〜2倍、好ましくは0.75倍〜1.5倍であれば、発酵阻害物質の濃度に応じた発酵阻害を受けない酵母の菌体濃度の臨界値の範囲内であると考えられる。
本発明によれば、発酵阻害物質の存在下において、安定的且つ効率的にリグノセルロース系バイオマス由来化合物の収率を向上させることができる。
1…糖化装置、2,4,6…配管、3…発酵槽、5…酵母供給槽、10…リグノセルロース系バイオマス由来化合物の製造装置。

Claims (4)

  1. エタノールの製造方法であって、
    (A)前処理済リグノセルロース系バイオマス及び酵素を混合し、糖化する工程と、
    (B)前記工程(A)で得られた糖化液及び糖化残渣に、酵母を植菌し、発酵する工程と、を備え、
    前記酵母がサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces Cerevisiae)であり、
    前記工程(A)の前、又は、工程(A)の後であって、工程(B)の前に、
    (M)前記工程(A)前の前記前処理済リグノセルロース系バイオマスを含む液中、又は、前記工程(A)で得られた糖化液中のフルフラールの濃度に応じて、予め設定された基準値となるように、前記工程(B)における酵母の菌体濃度を決定する工程を備え、
    前記予め設定された基準値が、フルフラールの濃度に応じた発酵阻害を受けない酵母の菌体濃度の臨界値以上の酵母の菌体濃度であって、
    前記工程(B)において、前記工程(M)において決定された前記菌体濃度となるように酵母を植菌することを特徴とする製造方法。
  2. 前記予め設定された基準値が、前記臨界値の1.0〜3.0倍である請求項1に記載のエタノールの製造方法。
  3. 前記臨界値が酵母の菌体数を用いた濃度(CFU(Colony forming unit)/mL)で表され、
    前記フルフラールの濃度がX(g/L)、前記臨界値がY(CFU/mL)であるとき、前記X及び前記Yは下記数式[1]で表される関係である請求項1又は2に記載のエタノールの製造方法。
    Figure 0006026026
    (数式[1]中、aは、1.0×10以上4.0×10以下の数であり、bは、2.0×10である。)
  4. 前記臨界値が酵母の乾燥菌体重量を用いた濃度(g/L)で表され、
    乾燥菌体1g当たりに含まれる酵母の菌体数が1.5×1010CFUであって、
    前記フルフラールの濃度がX(g/L)、前記臨界値がY’(g/L)であるとき、前記X及び前記Y’は下記数式[2]で表される関係である請求項1又は2に記載のエタノールの製造方法。
    Figure 0006026026
    (数式[2]中、cは、0.5以上2.5以下の数であり、dは、0.13である。)
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