JP6025139B2 - ガスケット - Google Patents

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Description

本発明は、2部材間に介装されて、該2部材間の密封を行うガスケットであって、複数の環状シール部を備え、当該環状シール部が互いに連結されているガスケットに関する。
同一平面内に複数の環状シール対象部位が存在するとき、これらシール対象部位毎の環状シール部を連結して1個のガスケットを構成することがなされる(例えば、特許文献1〜4参照)。特許文献1の図6には、自動車用エンジンのロッカーカバーにおける各気筒をシールする環状部(環状シール部)を直線部で連結したシールリングが開示されている。また、特許文献2には、複数のガスケット本体(環状シール部)と、これらガスケット本体を連結する連結部とを一体成型したガスケットが開示されている。さらに、特許文献3の図15には、ハウジング側冷却水出口、ハウジング側冷却水入口、ハウジング側オイル出口及びハウジング側オイル入口の周囲のシール装着溝にそれぞれ装着されるOリング(環状シール部)の、隣接するOリング同士が、連結部によって連結された一体型のOリングが開示されている。さらにまた、特許文献4には、シリンダヘッドの外周壁とシリンダヘッドカバーの外周壁との接合部に配される外周シール部(環状シール部)と、プラグ収容壁における相互の接合部間に配されるプラグシール部(環状シール部)とを連結したシリンダヘッドカバー用ガスケットが開示されている。
また、特許文献5の第5図には、1つのガスケット本体(環状シール部)の周囲に周方向に等間隔で配置された複数の円形部を、ガスケット本体に連結部で連結したガスケットが開示されている。
特開平8−246952号公報 特許第4400699号公報 特許第4425885号公報 特開2006−144654号公報 実開昭63−135060号公報
前記のように複数の環状シール部を一体としたガスケットは、前記シール対象部位に形成された所定の溝に収納させた状態で前記2部材間に介装される。この場合、各環状シール部の形状やサイズ、或いは、各連結部の形状やサイズを確認して、ガスケットの向きや方向を前記所定の溝に正しく嵌め込む必要がある。その際、各環状シール部の形状やサイズ、或いは、各連結部の形状やサイズに明確な違いがない場合には、このような嵌め込みによる取付け作業に注意を必要とし、これによって作業時間を要し、作業効率が低下することにもなっていた。
特許文献1に開示されたシールリングにおける複数の環状部は、ロッカーカバーにおける各気筒をシールするものであり、各気筒に対応する環状部の形状及びサイズは同一であるので、取付作業において、環状部と各気筒との対応関係を間違える懸念はない。また、特許文献2で開示されたガスケットにおける複数のガスケット本体は、適度な曲げ弾性を有した連結部によって連結され、ガスケット装着部間の間隔に大小があっても、ガスケット本体を所定の装着部に装着し得るよう構成されている。この場合、連結部の曲げ弾性によって、複数のガスケット本体の相対変位を許容して、各ガスケット本体を所定の装着部に装着するものである。しかし、本特許文献2のガスケット本体は、例えばインテークマニホールドの各開口部に装着されるものであるので、これら複数の開口部の形状及びサイズは同じで、これに対応する複数のガスケット本体の形状及びサイズも同じであると考えられる。従って、特許文献2には、装着部及びこれに対応するガスケット本体の形状等に多少の違いがあるような場合に、それぞれの装着部に対応するガスケット本体を間違いなく装着するという技術思想はない。
さらに、特許文献3に開示された一体型のOリングは、それぞれ、ハウジングにおける冷却水の入口及び出口、オイルの入口及び出口をシールするものであり、それぞれに形状的違いがあるように解される。しかし、ハウジングにおける各装着溝に対する取付け時の各Oリングの位置合わせについては言及されていない。特許文献4に開示されたガスケットは、2種の環状シール部(外周シール部及びプラグシール部)がそれぞれ連結片を備え、この連結片同士を連結させた状態でシリンダヘッドとシリンダヘッドカバーとの接合部に介装されるものである。この場合も、取付け時の各シール部の位置合わせについて特に言及していない。そして、特許文献5における1つのガスケット本体の周囲に周方向に等間隔で配置された複数の円形部は、シリンダヘッド等の被取付部材に形成された円形溝に対してその溝壁のいずれかに圧接状態で装着されることによって、ガスケット本体を所定の位置に位置決めするものである。しかし、環状シール部に相当するものは1個のガスケット本体のみであって、複数の円形部はシール機能に関与するものではなく、複数の環状シール部を連結部で連結して構成されるガスケットとは構成的に異なる。
本発明は、上記に鑑みなされたもので、複数の環状シール部を連結部で連結して一体としたガスケットであって、簡単な構成でありながら、所定のシール対象部位に容易に取付けることができるガスケットを提供することを目的としている。
本発明に係るガスケットは、2部材の一方の部材に形成された溝に収納された状態で当該2部材間に介装されて、該2部材間の密封を行うガスケットにおいて、複数の環状シール部と、当該環状シール部同士を連結する連結部とを含み、前記溝は、前記複数の環状シール部をそれぞれ収納する環状凹溝と、当該環状凹溝間に通じ前記連結部を収納する連結凹溝とを有し、前記連結凹溝には位置合せ部が形成され、前記連結部は、前記位置合せ部に対応する部位に当該位置合せ部に整合する形状の異形部を備えていることを特徴とする。
これによれば、複数の環状シール部同士が連結部によって連結されているから、複数のガスケットを個々にシール対象部位に組付ける場合に比べて、組付け時の取扱い性が良く、組付け作業を効率的に行うことができる。また、複数のシール対象部位に適用される複数の環状シール部を一括する1個のガスケットとして効率的に製造することができ、シール対象部位毎にガスケットを製造する場合に比べて、製品の管理がし易く搬送性も向上する。そして、連結部は、溝に形成された位置合せ部に整合する形状の異形部を備えているから、当該ガスケットを溝に収納させる際、異形部を位置合せ部に整合させることによって、複数の環状シール部及び連結部が、前記溝のそれぞれの正規の位置に容易に且つ的確に収納される。従って、ガスケットの取付作業が容易となり、この作業時間を短縮することができる。この場合、前記連結部には、前記異形部が存在するが、連結部はシール機能に影響のない部分に設けられるので、長期のシール機能にも影響しない。
本発明のガスケットにおいて、前記連結部を複数有し、前記位置合せ部及び異形部の形状が、前記複数の連結部毎に異なっているようにしても良い。
これによれば、連結される環状シール部同士の関係を、位置合せ部及び異形部の形状によって特化させることができるから、環状シール部の形状が同じでサイズが多少異なるような場合でも、各環状シール部及び連結部が前記溝のそれぞれの正規の位置に、より速やかに、且つより的確に収納される。
本発明のガスケットにおいて、前記連結部を複数有し、前記位置合せ部及び異形部の形成位置が、前記複数の連結部毎に異なっているようにしても良い。
これによれば、連結される環状シール部同士の関係を、位置合せ部及び異形部の形成位置によって特化させることができるから、環状シール部の形状が同じでサイズが多少異なるような場合でも、各環状シール部及び連結部が前記溝のそれぞれの正規の位置に、より速やかに、且つより的確に収納される。
本発明のガスケットにおいて、前記位置合せ部及び異形部の一方が凹部からなり、他方が前記凹部の形状に整合する突部からなるようにしても良い。
これによれば、凹部と凸部との整合により、各環状シール及び連結部の前記溝のそれぞれの正規の位置に、より的確且つ容易に収納される。
本発明のガスケットにおいて、前記複数の環状シール部のうち、少なくとも1つの環状シール部とこれに連結される環状シール部とが、互いに異なる材料によって構成されているものとしても良い。
これによれば、前記の互いに異なる材料によって構成される連結関係の環状シール部を、それぞれのシール対象媒体毎に適した材料によって構成することができ、シール対象部位によっては過剰品質とならず、低コスト化を図ることができる。また、位置合せ部と異形部との整合により、環状シール部が対応するシール対象部位の溝に正しく取付けられる。
本発明のガスケットによれば、環状シール部を個々に組付ける場合に比べて、組付けの作業効率が向上する。また、前記一方の部材の前記溝に形成された位置合せ部に、連結部の異形部を整合させることによって、複数の環状シール部が、前記溝のそれぞれの正規の位置に容易に収納される。これによって、当該ガスケットの組付け作業の効率化が図られる。
本発明の第1の実施形態に係るガスケットをシール対象の2部材間に介装して、該2部材間を密封する状態を示した要部の断面図である。 図1におけるA−A線矢視断面図である。 (a)(b)(c)は、同実施形態のガスケットを一方の部材の溝に収納させる際における不適正な向きの例を示す模式的平面図である。 同実施形態のガスケットの変形例を示す図2と同様図である。 同実施形態のガスケットの別の変形例を示す図2と同様図である。 (a)(b)は、図5に示す例の変形例を模式的に示す平面図である。 (a)(b)は、図5に示す例の別の変形例を模式的に示す平面図である。 本発明のガスケットの第2の実施形態を示す図2と同様図である。 (a)〜(d)は本発明のガスケットにおける図1に対応する断面形状の他の形態の種々の例を示す図である。 (a)〜(f)は本発明のガスケットにおける連結部の形成態様の種々の例を示す部分破断平面図である。 (a)〜(e)は図2におけるB−B線矢視部の種々の形状を示す断面図である。
以下に本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。図1及び図2は本発明の第1の実施形態に係るガスケットを示している。本実施形態のガスケット1は、2部材20,30間に介装されて、該2部材20,30間の密封を行うガスケットである。図例の前記2部材20,30は、エンジンのシリンダブロック20とこれの上面(燃焼室側の面)に締結によって合体されるオイルクーラ30とからなることを示している。しかし、これに限定されず、複数のシール対象部位を有し、両者の間にガスケットが介装され、当該ガスケット1によって両者の間が密封されるよう構成されるものであれば、他の形態の2部材であっても良い。前記ガスケット1は、複数(図例では2個)の環状シール部2,3と、当該環状シール部2,3同士を連結する連結部5とを含む。環状シール部2,3及び連結部5を含む本実施形態のガスケット1は、ゴム材料による一体成型体によって構成される。連結部5の途中には、後記する位置合せ部12の位置に対応し、且つ該位置合せ部12の形状に整合する形状の異形部11が形成されている。
前記シリンダブロック20には、オイル流通用ボア21及び冷却水(不凍液)流通用ボア22が形成されている。一方、オイルクーラ30には、これらシリンダブロック20の各ボア21,22に対応する位置に、オイル流通用ボア31及び冷却水流通用ボア32が形成されている。そして、オイルクーラ30側の各ボア31,32の回りのシリンダブロック2側の面には、前記環状シール部2,3が嵌め込まれて収納される環状凹溝(溝)34,35が形成されている。また環状凹溝34,35間には、両環状凹溝34,35に通じる直状の連結凹溝(溝)37が形成されている。連結凹溝37の溝深さは、前記環状凹溝34,35の溝深さより浅く形成されている。図例の前記環状シール部2,3は、両者とも円形状であって、環状シール部2の方が環状シール部3より径が大きく、図ではその大小差を誇張して描いているが、実際には、一見してその区別がつき難いような大小関係であることを想定している。また、環状凹溝34,35も、それぞれが前記環状シール部2,3を嵌め入れ得る大きさであって、図では環状凹溝34,35の径の大小関係も同様に描いている。
前記環状シール部2は、オイルクーラ30の前記オイル流通用ボア31の回りに形成される前記環状凹溝34に嵌め入れられて収納される。また、前記環状シール部3は、オイルクーラ30の前記冷却水流通用ボア32の回りに形成される前記環状凹溝35に同様に収納される。さらに、前記連結部5は、前記連結凹溝37に嵌め入れられて収納される。該連結凹溝37の片側溝壁における長手方向の略中間部には、平面視して略三角形状(二等辺三角形ではない)の凹部12aが形成され、この凹部12aによって位置合せ部12が構成されている。前記連結部5には、その長手方向の略中間部の一側部に、前記位置合せ部12(凹部12a)に整合する形状であって、平面視して略三角形状(同上)の凸部11aが突設され、この凸部11aによって前記異形部11が構成されている。
前記のように構成されたガスケット1は、オイルクーラ30に形成された凹溝34,35,37に収納された状態で前記シリンダブロック20とオイルクーラ30との間に介装されて、シリンダブロック20とオイルクーラ30との間を密封するよう用いられる。即ち、オイルクーラ30の前記環状凹溝34,35に環状シール部2,3がそれぞれ嵌め込まれ、連結凹溝37に連結部5が嵌め込まれる。このとき、連結凹溝37に形成された位置合せ部12に対して、連結部5に形成された異形部11を整合させるように位置付けられる。これによって、環状シール部2,3及び環状凹溝34,35のそれぞれの形状やサイズ等の違いを一見して把握できない場合でも、環状シール部2,3をそれぞれに対応する環状凹溝34,35に速やかに且つ的確に嵌め込むことができる。従って、ガスケット1のオイルクーラ30に対する組付作業が容易で、作業時間の短縮を図ることができる。そして、シリンダブロック20と、このようにガスケット1が嵌め込みによって収納されたオイルクーラ30とを合体させて、シリンダブロック20とオイルクーラ30とが相互にボルト(不図示)等で締結される。
図例の環状シール部2,3は、断面が楕円形状とされ、その長径が前記締結方向(環状凹溝34,35の深さ方向)に向くよう形成される。そして、前記締結において、シリンダブロック20の上面と、各環状凹溝34,35の底面との間で圧縮されるよう、環状シール部2,3の断面における各長径の寸法が設定される。また、環状シール部2,3の短径の寸法は、各環状凹溝34,35の溝幅寸法より小さく設定される。図1は、シリンダブロック20とオイルクーラ30とが所定の締結状態とされたことを示している。図1における2点鎖線は、環状シール部2,3の原形状を示しており、この締結状態では、環状シール部2,3は圧縮されて、実線のように各環状凹溝34,35をほぼ満たすように弾性変形した状態とされる。また、連結部5の幅寸法は、前記連結凹溝37の溝幅寸法より小さく、且つ、厚みは、前記所定の締結状態で、シリンダブロック20の上面と連結凹溝37の底面との間で圧縮されない寸法に設定される。
前記のようなシリンダブロック20とオイルクーラ30との締結状態では、環状シール部2,3が、シール対象部位としての前記各ボア回りに圧縮状態で介在されるから、これらシール対象部位が密封される。また、連結部5はガスケット1のシール機能に関与せず、しかも、前記締結状態で圧縮されないように構成されているから、各環状シール部2,3の圧縮によるシール機能の発揮に影響せず、ガスケット1の長期のシール機能が良好に維持される。さらに、2個の環状シール部2,3が連結部5によって連結されて一体とされているから、これらを個々に作製する場合に比べて、保管性、輸送性に優れ、且つ、前記シリンダブロック20及びオイルクーラ30に対する組付け作業が効率的になされる。
図3(a)(b)(c)は、前記ガスケット1をオイルクーラ30の環状凹溝34,35及び連結凹溝37に嵌め込みによって収納させる際における不適正な向きの例を示している。(a)図は、ガスケット1が図2の状態から矢印a方向に反転させた状態であることを示している。この場合、前記位置合せ部12と異形部11との位置関係が整合しないから、ガスケット1を前記オイルクーラ30の所定の部位(前記各凹溝34,35,37)に収納できないことを直ちに把握することができる。(b)図は、ガスケット1が図2の状態から矢印b方向に反転させた状態であることを示している。この場合も、前記位置合せ部12と異形部11との位置関係が整合しないから、同様にガスケット1を前記オイルクーラ30の前記所定の部位に収納できないことを直ちに把握することができる。(c)図は、ガスケット1が、図2の状態から矢印c方向に、または、(b)図の状態からさらに矢印a方向に、それぞれ反転させた状態であることを示している。この場合も、前記位置合せ部12と異形部11との位置関係が整合しないから、同様にガスケット1を前記オイルクーラ30の前記所定の部位に収納できないことを直ちに把握することができる。このように、前記所定の部位に対して収納し得ないガスケット1の向きを視覚的に簡易に判断できるので、オイルクーラ30に対するガスケット1の組付けを容易且つ速やかに行うことができる。
図4は、前記実施形態のガスケット1の変形例を示す図2と同様図である。この例では、異形部11が、連結部5の環状シール部3側寄り(環状シール部2側寄りでも良い)の両側部に形成された2個の凸部11a,11aから構成されている。この2個の凸部11a,11aは、前記と同様に、それぞれが平面視して略三角形状であり、互いに回転対称な位置関係に形成されている。また、連結凹溝37には、環状凹溝35側寄り(環状凹溝34側寄りでも良い)の両側壁部に2個の凹部12a,12a形成され、該2個の凹部12a,12aによって位置合せ部12が構成されている。この2個の凹部12a,12aも、前記と同様にそれぞれが平面視して略三角形状(二等辺三角形ではない)であって、前記凸部11a,11aが整合し得るよう、回転対称に形成されている。この例のガスケット1も、図4に示す状態に対して、図3(a)(b)(c)に示すように反転させた状態では、いずれも前記所定の部位に収納し得ないことを視覚的に簡易に判断できる。従って、この場合も、オイルクーラ30に対するガスケット1の組付けを容易に行うことができる。
図5は、前記実施形態のガスケット1の別の変形例を示す図2と同様図である。この例では、前記シリンダブロック(図1参照)20及びオイルクーラ30が3個のシール対象部位を備え、ガスケット1がこの3個のシール対象部位に対応する3個の環状シール部2,3,4を有している。そして、環状シール部2と環状シール部4とは、連結部6で連結されている。オイルクーラ30は、シール対象部位として、前記オイル流通用ボア31及び冷却水流通用ボア32に加えて、例えば、エンジンオイル流通用ボア33を有している。環状シール部2,3を連結する連結部5には図2の例と同様の異形部11が形成され、また、該連結部5を収納する連結凹溝37には、図2の例と同様の位置合せ部12が形成されている。前記エンジンオイル流通用ボア33の回りのシリンダブロック20(図1参照)側の面には、環状シール部4が嵌め込まれて収納される環状凹溝(溝)36が形成されている。さらに、前記環状凹溝34と当該環状凹溝36と間には、両環状凹溝34,37に通じる直状の連結凹溝(溝)38が形成されている。該連結凹溝38には、前記連結部6が嵌め込まれて収納される。
前記連結部6の一側部には平面視して略方形状の凸部13aからなる異形部13が形成されている。一方、前記連結凹溝38の片側溝壁には、平面視して略方形状であって、前記異形部13が整合し得る形状の凹部14aが形成され、この凹部14aによって位置合せ部14が構成されている。図例のガスケット1も、環状シール部2,3,4及び連結部5,6の形状や大きさに差があるものを想定している。しかし、このように構成されたガスケット1において、大小関係等の区別が一見してつき難いような場合でも、前記異形部11,13及び位置合せ部12,14のそれぞれの整合関係により、図5に示される収納状態しかあり得ないことを視覚的に簡易に判断できる。従って、この場合も、オイルクーラ30に対するガスケット1の組付けを容易に行うことができる。
図6(a)(b)は、図5に示す例の変形例を模式的に示す平面図である。図例のガスケット1は、各環状シール部2,3,4及び連結部5,6の形状や大きさ等の変形態様の例を示すものである。そして、各ガスケット1は、それぞれに図示のような形状の凸部11a,13aからなる異形部11,13を有し、オイルクーラ30(図5参照)の連結凹溝37,38(図5参照)には、これら異形部11,13が整合し得る不図示の位置合せ部が形成される。従って、これらガスケット1も、異形部11,13と不図示の位置合せ部との整合関係によって、オイルクーラ30の前記所定の部位に対するガスケット1の正規の収納姿勢を視覚的に簡易に判断できる。
図7(a)(b)は、図5に示す例の別の変形例を模式的に示す平面図である。図例のガスケット1では、いずれも、3個の円形環状シール部2,3,4が、その中心が略正三角形ないしは二等辺三角形をなすような位置関係に配置され、これら環状シール部2,3,4が、前記三角形をなす位置関係の略中心から3方に放射状に分岐する分岐片7a,7b,7cからなる三方形状の連結部7によって連結されている。(a)図の例では、これら分岐片7a,7b,7cのうち1つ(図例では、分岐片7b)の一側部に、図2に示す例と同様な形状の凸部11aからなる異形部11が形成されている。また、(b)図の例では、分岐片7a,7b,7cの全ての両側部に、各分岐片7a,7b,7cの中心軸線を対象軸として線対称に形成された各一対の凸部11a,13a、15aからなる異形部11,13,15が形成されている。ここに、凸部11aの平面視形状は(a)図と同様な三角形状に、凸部13aの平面視形状は略方形状に、また、凸部15aの平面視形状は半円形状に、それぞれ形成されている。これらの例のガスケット1も、異形部と不図示の位置合せ部との整合関係によって、オイルクーラ30の前記所定の部位に対する正規の収納姿勢を視覚的に簡易に判断できる。特に、環状シール部3,4の形状及び大きさが同じであり、分岐片7aの軸線に左右対称で、且つ、ガスケット1の前記各凹溝の深さ方向に対する嵌め込み方向が定められている場合、このような異形部11,13,15の形成態様によって、収納姿勢の判断が的確になされる。
図8は本発明のガスケットの第2の実施形態を示す図2と同様図である。この実施形態のガスケット1Aは、環状シール部のうち、少なくとも1つの環状シール部とこれに連結される環状シール部とが、互いに異なる材料によって構成されていることを特徴とする。図8に示すガスケット1Aは、異なる種類のゴム材料を同時成型して得られたものであることを示している。該ガスケット1Aは、オイルクーラ30のシール対象部位としての2個のボア31,32の回りに形成された環状凹溝34,35に対応する同形及び同サイズの2個の環状シール部2,3と、該環状シール部2,3を連結する連結部5とを備えている。前記の異なるゴム材料としては、シール対象媒体毎に適正なゴム材料が選択される。例えば、シール対象媒体が高温の燃焼ガス(ガソリンを含む)の場合には、高温の燃焼ガスに耐性のあるFKM,HNBR,FVMQ等が選択される。また、シール対象媒体が冷却水(不凍液を含む)の場合は、冷却水に耐性のあるEPDM,HNBR,FKM,VMQ等が選択される。さらに、シール対象媒体がエンジンオイルの場合は、エンジンオイルに耐性のあるNBR,ACM,FKM,HNBR、さらには、CSM,CPE等が選択される。
環状シール部2,3は、前記のゴム材料から選ばれた2種のゴム材料を同時成型することによって得られる。具体的には、所定のガスケット形状のキャビティを備えた金型の、各環状シール部2,3に対応するキャビティの端部側(連結関係の環状シール部に対して遠い側)より、未加硫の前記ゴム材料から選ばれた2種のゴム材料を同時に注入し、加硫硬化させることにより、環状シール部2から延びる連結部5を介して一体に成型される。
図例では、環状シール部2側の連結部5に、その一側部に突出する平面視して略方形状の凸部11bを形成し、この凸部11bが異形部11を構成する。そして、オイルクーラ30には前記環状凹溝34,35と通じる連結凹溝37が形成され、該連結凹溝37の一側壁には、前記異形部11を整合し得る平面視して略方形状の凹部12bからなる位置合せ部12が形成されている。
前記のように構成されたガスケット1Aは、環状凹溝34,35に環状シール部2,3を嵌め入れ、また、連結部5を連結凹溝37に嵌め入れて収納される。このとき、位置合せ部12と異形部11との整合関係により、図8に示される収納状態しかあり得ないことを視覚的に簡易に判断できる。従って、この場合も、オイルクーラ30に対するガスケット1の組付けを容易に行うことができる。特に、環状シール部2,3は、それぞれが対応するシール対象部位のシール対象媒体に適したゴム材料で構成されるから、このような収納姿勢の判断が的確、且つ速やかに成し得ることは極めて有益である。因みに、各環状凹溝34,35に対応する環状シール部2,3が正しく収納されない場合は、各シール対象部位(環状凹溝34,35)において、所望のシール機能が得られなくなる。
図9(a)〜(d)は、本発明のガスケットの図1に対応する断面形状の他の形態の例を示す図である。これらは、環状シール部の断面形状の種々の形態と、環状シール部と連結部との連結位置の種々の態様を示しており、前記第1及び第2の実施形態のいずれにも適用されるものである。(a)図に示す例は、環状シール部2,3の断面形状が略円形状で、連結部5が環状シール部2,3に対して前記シリンダブロック20とオイルクーラ30との前記締結方向の略中間位置において連結されている。また、(b)(c)(d)図に示す例は、環状シール部2,3の断面形状が略長方形であり、その長辺が前記締結方向に向くよう形成されている。そして、(b)図に示す例では、連結部5が環状シール部2,3に対して前記シリンダブロック20とオイルクーラ30との前記締結方向の略中間位置において連結されている。また、(c)図に示す例では、前記連結部5が、環状シール部2,3に対して前記締結方向の上部位置(前記各環状凹溝34,35の底部側位置)に連結されている。さらに、(d)図に示す例では、前記連結部5が、環状シール部2,3に対して前記締結方向の下部位置(前記各環状凹溝34,35の開口部側位置)に連結されている。
これらの種々の形態は、製品仕様や成型のし易さ等を勘案して適宜選択採用される。また、図8に示す第2の実施形態のガスケット1Aの断面形状においても同様に適用し得ることは言うまでもない。さらに、環状シール部の断面形状は、これらの例に限らず、例えば、上下又は左右非対称な形状であっても良い。
図10(a)〜(f)は本発明のガスケットにおける連結部の形成態様の種々の例を示す部分破断平面図であり、前記第1及び第2の実施形態のいずれにも適用されるものである。これらの図において1点鎖線Lは、環状シール部2,3間の中間線(連結部5の長手方向の中間部における直交線)を、1点鎖線L1は連結部5の長手方向に沿った中心線を、それぞれ示している。(a)図の例では、異形部11が連結部5の一側部に突設された平面視して略方形状の凸部11bからなり、該凸部11bは図8に示す例と同様に前記中間線L上に位置するが、環状シール部3側に寄った位置に形成されている。(b)図の例では、異形部11が(a)図の例と同様に略方形状の凸部11bからなるが、該凸部11bは前記中間線Lから外れ、環状シール部3側に寄った位置に形成されている。(c)図の例では、異形部11が平面視して略半楕円形状(長径が連結部5の長手方向に沿う)の凸部11cからなり、該凸部11cは、(b)図の例と同様に前記中間線Lから外れ、環状シール部3側に寄った位置に形成されている。(d)図の例では、(c)図の例と同様の略半楕円形状の凸部11cが、前記中間線Lから外れた環状シール部3側に寄った位置の連結部5の両側部に前記中心線L1の上下に対称に形成され、この2個の凸部11c,11cによって異形部11が構成されている。(e)図の例では、(b)図の例と同様の略方形状の凸部11bが、(d)図の例と同様に連結部5の両側部に形成され、この2個の凸部11b,11bによって異形部11が構成されている。(f)図の例では、前記と同様の略方形状の凸部11bと、略半楕円形状の凸部11cとが、(d)図の例と同様に連結部5の両側部に形成され、この2個の凸部11b,11cによって異形部11が構成されている。
図10(a)〜(g)に示すガスケット1が収納されるオイルクーラの各連結凹溝には、図示を省略するが各異形部11が整合し得る形状の位置合せ部が形成される。(a)〜(c)、(f)図の例は、異形部11が前記中間線L及び中心線L1に対して非対称に形成されている。従って、これらのガスケット1を、図3(a)(b)(c)に示すように反転させた状態では、いずれも異形部11が対応する位置合せ部に整合せず、前記所定の部位(凹溝)に収納し得ないことを視覚的に簡易に判断できる。また、(d)(e)図の例は、中間線Lに対して非対称で中心線L1に対して対称に形成されている。従って、これらのガスケット1を、図3におけるb方向、或いは、c方向に反転させた状態では、いずれも異形部11が対応する位置合せ部に整合せず、前記所定の部位(凹溝)に収納し得ないことを視覚的に簡易に判断できる。この場合、異形部11が中心線L1に対して対称に形成されているので、図9(a)(b)の例のように、環状シール部2,3と連結部5との連結状態の断面形状が、凹溝の深さ方向に対する嵌め入れの方向を問わない場合に使用することができる。或いは、環状シール部2,3に明確な形状やサイズに異なりがある場合、さらには図6及び図7に示すように環状シール部が3個(以上)の場合に、適用可能である。
なお、図10に示す例では、異形部11がいずれも環状シール部3側に寄った例を示しているが、環状シール部2側に寄っていても良い。
図11(a)〜(e)は、図2におけるB−B線矢視部の種々の形状を示す断面図であり、前記第1及び第2の実施形態のいずれにも適用されるものである。これらの例は、各連結部の断面形状の取り得る形状の例を示している。連結部は、本発明のガスケットのシール機能に関与しない部分であるから、シール性よりも連結強度や、成型のし易さ、或いは取扱い性等を勘案してこれらの形状が適宜選択される。
なお、前記各実施形態では、2部材として、シリンダブロック20及びオイルクーラ30を例に採って述べたが、これに限定されず、複数のシール対象部位を有しているものにも適用される。特に、これらの部位の形状やサイズが一見して区別がつき難い場合、或いは、これら部位におけるシール対象媒体に求められるガスケット材料の品質が異なる場合は、本発明のガスケットが好ましく適用される。また、ガスケットを構成する材料がゴム材料である例について述べたが、軟質の合成樹脂等を含む各種エラストマーであっても良い。さらに、異形部及び位置合せ部の形状は、図例のものに限定されずその他の形状ももとより可能であり、異形部及び位置合せ部の凹凸関係も逆であっても良く、さらには、これら凹凸形状を連結凹溝の深さ方向に沿って形成することも可能である。
1,1A ガスケット
20 シリンダブロック(2部材の他方)
30 オイルクーラ(2部材の一方)
34,35,36 環状凹溝(溝)
37,38 連結凹溝(溝)
2,3,4 環状シール部
5,6,7 連結部
11,13,15 異形部
12,14 位置合せ部
11a,11b,11c 凸部
13a,15a 凸部
12a,14a 凹部


Claims (5)

  1. 2部材の一方の部材に形成された溝に収納された状態で当該2部材間に介装されて、該2部材間の密封を行うガスケットにおいて、
    複数の環状シール部と、当該環状シール部同士を連結する連結部とを含み、
    前記溝は、前記複数の環状シール部をそれぞれ収納する環状凹溝と、当該環状凹溝間に通じ前記連結部を収納する連結凹溝とを有し、
    前記連結凹溝には位置合せ部が形成され、前記連結部は、前記位置合せ部に対応する部位に当該位置合せ部に整合する形状の異形部を備えていることを特徴とするガスケット。
  2. 請求項1に記載のガスケットにおいて、
    前記連結部を複数有し、前記位置合せ部及び異形部の形状は、前記複数の連結部毎に異なっていることを特徴とするガスケット。
  3. 請求項1または2に記載のガスケットにおいて、
    前記連結部を複数有し、前記位置合せ部及び異形部の形成位置は、前記複数の連結部毎に異なっていることを特徴とするガスケット。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のガスケットにおいて、
    前記位置合せ部及び異形部の一方が凹部からなり、他方は前記凹部の形状に整合する突部からなることを特徴とするガスケット。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のガスケットにおいて、
    前記複数の環状シール部のうち、少なくとも1つの環状シール部とこれに連結される環状シール部とが、互いに異なる材料によって構成されていることを特徴とするガスケット。
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