JP6024587B2

JP6024587B2 - 油性化粧料

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Publication number: JP6024587B2
Application number: JP2013100931A
Authority: JP
Inventors: 将幸小西; 早川　知宏; 知宏早川
Original assignee: Shin Etsu Chemical Co Ltd
Current assignee: Shin Etsu Chemical Co Ltd
Priority date: 2013-05-13
Filing date: 2013-05-13
Publication date: 2016-11-16
Anticipated expiration: 2033-05-13
Also published as: EP2997962A4; CN105188659B; KR20160005722A; EP2997962A1; CN105188659A; US9956159B2; KR102045507B1; WO2014185275A1; US20160081904A1; EP2997962B1; JP2014221721A

Description

本発明は、使用感の良好な曳糸性増粘剤としてシリコーン化多糖化合物を配合した油性化粧料、特には、睫毛用化粧料（マスカラ等）として有用な毛髪用の油性化粧料に関する。

様々な有用性から、化粧品、医薬部外品のみならず、食品や樹脂など各種分野で曳糸性を有する組成物に関する研究が行われている。曳糸性とは粘度の高い液体を滴下させたり、その液体の中へ棒を入れて手早く引き上げたときに、液体が糸をひく性質である。これを各種用途に適用させるためには、目的に応じた曳糸性及び適度な粘稠性が要求される。

曳糸性組成物の用途として毛髪用化粧料、特に、睫毛用化粧料が挙げられる。睫毛用化粧料は、睫毛を長く美しく見せることで目元をはっきりさせる効果を有するために用いられている。その目的に応じて、曳糸性組成物を配合し、ロングラッシュ効果、ボリュームアップ効果を付与する技術がある。具体的には、リジン誘導体変性シリコーンと、シリコーン化多糖化合物を共に配合し、曳糸性をもたせ、睫毛をロングラッシュさせる技術がある（例えば、特許文献１：特開２００７−３１４６５５号公報を参照）。一方で、睫毛用化粧料に繊維を粘着性被膜形成剤と共に配合し、繊維を睫毛に塗布させて睫毛をボリュームアップさせる技術も開発されている（例えば、特許文献２：特表２００４−５１７０９２号公報を参照）。また、シリコーン化多糖化合物と、ポリエーテル変性シリコーンとからなる油性ゲル化剤の技術もある（例えば、特許文献３：特開２００８−１０５９９４号公報を参照）。

しかしながら、繊維を配合した睫毛用化粧料は、ロングラッシュ効果は高いものの、繊維が睫毛に過剰に塗布されると不自然な仕上がりになる。また、睫毛用化粧料には付着性やボリューム性の付与のため、ミツロウなどのワックスを配合するが、シリコーン化多糖化合物と、ポリエーテル変性シリコーンとからなる油性ゲル化剤では十分な粘度が得られず、睫毛用化粧料のゲル化剤としては不十分であった。

特開２００７−３１４６５５号公報特表２００４−５１７０９２号公報特開２００８−１０５９９４号公報

本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、付着性に優れ、特に睫毛用に用いた場合には、繊維を配合しなくても睫毛を長く見せる効果に優れ、自然な仕上がり感を付与することが可能な油性化粧料を提供することを目的とする。

本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、油性化粧料成分としてシリコーン化多糖化合物、シリコーン乳化剤、有機変性粘土鉱物、炭酸エステル及びワックスを用いることによって、付着性に優れた曳糸性油性組成物が得られ、それを睫毛用化粧料に用いた場合には、付着性に優れ、ロングラッシュ効果及び自然な仕上がり感に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。

〔１〕
シリコーン化多糖化合物０．５〜６質量％、シリコーン乳化剤０．５〜１０質量％、有機変性粘土鉱物２〜１０質量％、炭酸エステル０．５〜１０質量％及びワックス３〜２０質量％を含有してなり、繊維を配合しない睫毛用油性化粧料。
〔２〕
シリコーン乳化剤が、ポリオキシアルキレン変性シリコーン及びポリグリセリン変性シリコーンから選ばれる１種又は２種以上であることを特徴とする〔１〕に記載の油性化粧料。
〔３〕
シリコーン乳化剤が、ＰＥＧ−９ポリジメチルシロキシエチルジメチコンである〔２〕に記載の油性化粧料。
〔４〕
シリコーン化多糖化合物が、下記一般式（１）で示されるものである〔１〕〜〔３〕のいずれかに記載の油性化粧料。

（一般式（１）中、ＰＬはプルランのグルコース残基であり、Ｒ¹は互いに同一又は異なる炭素数１〜１０の非置換もしくは置換の１価炭化水素基であり、Ｒ²は互いに同一又は異なる炭素数１〜１０の非置換もしくは置換の１価炭化水素基又は−ＯＳｉ（Ｒ³）₃で示されるシロキシ基であり、Ｒ³は互いに同一又は異なる炭素数１〜８の非置換もしくは置換の１価炭化水素基であり、ｎは１〜１０の整数であり、ａは０又は１であり、ｂは０，１又は２である。また、多糖化合物の構成糖１単位当たりのシリコーン化合物の平均結合数（置換度）は０．５〜２．５であり、シリコーン化多糖化合物の平均分子量は５０，０００〜１０，０００，０００である。）
〔５〕
有機変性粘土鉱物が、ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト、ジメチルジステアリルアンモニウムベントナイト、又はジメチルジステアリルアンモニウム変性モンモリロナイトである〔１〕〜〔４〕のいずれかに記載の油性化粧料。
〔６〕
ワックスの配合量が５〜２０質量％である〔１〕〜〔５〕のいずれかに記載の油性化粧料。
〔７〕
更に、揮発性油を配合した〔１〕〜〔６〕のいずれかに記載の油性化粧料。

本発明によれば、特定のシリコーン化多糖化合物、シリコーン乳化剤、有機変性粘土鉱物、炭酸エステル及びワックスを用いることによって、極めて優れた付着性を有する曳糸性油性組成物が得られ、それを睫毛用化粧料に用いた場合には、付着性に優れ、繊維を配合せずともロングラッシュ効果に優れ、自然な仕上がり感を付与することが可能である睫毛用化粧料を得ることができる。

以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、本発明はこれにより何ら限定されるものではない。

本発明における、「油性化粧料」とは、連続相を油性とする化粧料のことで、非水系化粧料、Ｗ／Ｏ乳化化粧料を含む。また、毛髪用化粧料とは、人体の毛髪、例えば、髪、眉毛、睫毛などに用いる化粧料である。

〔シリコーン化多糖化合物〕
本発明において用いられるシリコーン化多糖化合物は、下記一般式（１）で示されるものが好ましい。

（一般式（１）中、ＰＬはプルランのグルコース残基であり、Ｒ¹は互いに同一又は異なる炭素数１〜１０の非置換もしくは置換の１価炭化水素基であり、Ｒ²は互いに同一又は異なる炭素数１〜１０の非置換もしくは置換の１価炭化水素基又は−ＯＳｉ（Ｒ³）₃で示されるシロキシ基であり、Ｒ³は互いに同一又は異なる炭素数１〜８の非置換もしくは置換の１価炭化水素基であり、ｎは１〜１０の整数であり、ａは０又は１であり、ｂは０，１又は２である。また、多糖化合物の構成糖１単位当たりのシリコーン化合物の平均結合数（置換度）は０．５〜２．５であり、シリコーン化多糖化合物の平均分子量は５０，０００〜１０，０００，０００である。）

ここで、一般式（１）において、ＰＬはプルランのグルコース残基を表す。
Ｒ¹は互いに同一又は異なる炭素数１〜１０、好ましくは１〜８の非置換もしくは置換の１価炭化水素基、Ｒ²は互いに同一又は異なる炭素数１〜１０、好ましくは１〜８の非置換もしくは置換の１価炭化水素基又は−ＯＳｉ（Ｒ³）₃で示されるシロキシ基、Ｒ³は互いに同一又は異なる炭素数１〜８、好ましくは１〜６の非置換もしくは置換の１価炭化水素基であり、これらＲ¹〜Ｒ³の非置換もしくは置換の１価炭化水素基として、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ｔｅｒｔ−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、フェニル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基などや、これらの基の水素原子の一部又は全部がフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子、シアノ基などで置換されたもの、例えばクロロメチル基、クロロプロピル基、ブロモエチル基、トリフルオロプロピル基、シアノエチル基等が挙げられる。これらＲ¹〜Ｒ³の非置換もしくは置換の１価炭化水素基としては、非置換又はハロゲン置換の１価炭化水素基、特に非置換の１価炭化水素基が好ましく、更に好ましくはアルキル基又はアリール基、特にはメチル基、エチル基、フェニル基であることが、合成の容易さや化合物の安定性等の点から望ましい。
ｎは１〜１０の整数、好ましくは１〜６の整数であり、ａは０又は１、好ましくは０であり、ｂは０，１又は２、好ましくは０である。

また、上記一般式（１）のシリコーン化多糖化合物において、多糖化合物（プルラン）の構成糖１単位当たりのシリコーン化合物〔即ち、下記一般式（２）

（式中、Ｒ¹、Ｒ²、ｎ、ａ、ｂは上記と同じである。）
で示されるシリコーン化合物〕の平均結合数（置換度）は０．５〜２．５であり、好ましくは１．０〜２．０である。該平均結合数が少なすぎると十分な油溶性が得られず、多すぎると化合物自体の生成が困難となる。

なお、本発明において、シリコーン化多糖化合物の置換度は、多糖化合物の構成糖１単位当たりのシリコーン化合物の平均結合数を意味する。例えば、上記一般式（１）で示されるシリコーン化多糖化合物の置換度は、下記式（３）で示されるプルランの基本単位についた下記一般式（４）で示される置換基の平均数を指す。

（式中、Ｒ¹、Ｒ²、ｎ、ａ、ｂは上記と同じである。）

更に、本発明においてのシリコーン化多糖化合物の平均分子量は、５０，０００〜１０，０００，０００であり、好ましくは８０，０００〜５，０００，０００程度である。平均分子量は、通常、トルエン、テトラヒドロフラン（ＴＨＦ）等を展開溶媒としてゲルパーミエーションクロマトグラフィ分析におけるポリスチレン換算の数平均分子量又は重量平均分子量等として求めることができる。

本発明のシリコーン化多糖化合物においては、特に、ｎ＝３、ａ＝０、ｂ＝０で、Ｒ²がメチル基であるものが好ましい。このような好ましいシリコーン化多糖化合物（即ち、ｎ＝３、ａ＝０、ｂ＝０で、Ｒ²がメチル基の場合）は、下記一般式（５）で示されるシリコーン化プルランが例示できる。

（一般式（５）中、Ｂは水素原子又は−ＣＯＮＨ（ＣＨ₂）₃Ｓｉ［ＯＳｉ（ＣＨ₃）₃］₃で示される基であり、その置換度は０．５〜２．５であり、ｃは１００〜２０，０００の数である。）

本発明に用いられる上記式（１）で示されるシリコーン化多糖化合物は、上述した一般式（２）で示される末端イソシアネート基含有シリコーン化合物と多糖化合物（プルラン）とを反応させることにより得ることができ、このようなシリコーン化合物と多糖化合物との反応は、従来公知の方法、例えば特開平８−１３４１０３号公報に記載の方法等を用いることができる。

本発明に係るシリコーン化多糖化合物は、上述したように公知の方法により得ることができるが、具体的には、化粧品表示名称で定義されるトリ（トリメチルシロキシ）シリルプロピルカルバミド酸プルラン（ＴＳＰＬ）で、市販品としては、これをデカメチルシクロペンタシロキサンで溶解したＴＳＰＬ−３０−Ｄ５（信越化学工業社製）、イソドデカンで溶解したＴＳＰＬ−３０−ＩＤ（信越化学工業社製）などを用いることができる。

本発明におけるシリコーン化多糖化合物の配合量は、油性化粧料組成物全体（質量）中０．５〜６質量％であり、好ましくは１．５〜４質量％である。０．５質量％未満では十分な付着感が得られず、６質量％より多い場合には、塗膜の均一性がなくなるため、自然な仕上がり感が得られない場合がある。

〔シリコーン乳化剤〕
本発明に用いられるシリコーン乳化剤は、特に限定されるものではなく、当該分野における公知のいずれのシリコーン乳化剤を用いることができる。
このようなシリコーン乳化剤としては、ポリオキシアルキレン変性シリコーン、ポリグリセリン変性シリコーン、糖アルコール変性シリコーンなどが挙げられる。特に高い増粘効果を所望する場合には、ポリオキシアルキレン変性シリコーン及びポリグリセリン変性シリコーンの中から選ばれる１種又は２種以上を用いることが好ましい。

ポリオキシアルキレン変性シリコーンとして、具体的には、化粧品表示名称で定義されるＰＥＧ−３ジメチコン、ＰＥＧ−９メチルエーテルジメチコン、ＰＥＧ−１０ジメチコン、ＰＥＧ−９ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ラウリルＰＥＧ−９ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ＰＥＧ／ＰＰＧ−１８／１８ジメチコン、セチルＰＥＧ／ＰＰＧ−１０／１ジメチコン、（ジメチコン／（ＰＥＧ−１０／１５））クロスポリマー、（ＰＥＧ−１５／ラウリルジメチコン）クロスポリマー、（ＰＥＧ−１０／ラウリルジメチコン）クロスポリマー及び（ＰＥＧ−１５／ラウリルジメチコン）クロスポリマー、（ＰＥＧ−１５／ラウリルポリジメチルシロキシエチルジメチコン）クロスポリマーなどを用いることができる。これらは、任意の油性成分との混合物として用いてもよい。

これらの市販品としては、信越化学工業社製のＫＦ−６０１５、ＫＦ−６０１６、ＫＦ−６０１７、ＫＦ−６０２８、ＫＦ−６０２８Ｐ、ＫＦ−６０３８、ＫＳＧ−２１０、ＫＳＧ−２４０、ＫＳＧ−３１０、ＫＳＧ−３２０、ＫＳＧ−３３０、ＫＳＧ−３４０、ＫＳＧ−３２０Ｚ及びＫＳＧ−３５０Ｚなどがある。

ポリグリセリン変性シリコーンとして、具体的には、化粧品表示名称で定義されるポリグリセリル−３ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ラウリルポリグリセリル−３ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ビスブチルジメチコンポリグリセリル−３、（ジメチコン／ポリグリセリン−３）クロスポリマー、（ラウリルジメチコン／ポリグリセリン−３）クロスポリマー、（ポリグリセリル−３／ラウリルポリジメチルシロキシエチルジメチコン）クロスポリマーなどを用いることができる。これらは、任意の油性成分との混合物として用いてもよい。

これらの市販品としては信越化学工業社製のＫＦ−６１０４、ＫＦ−６１０５、ＫＦ−６１０９、ＫＳＧ−７１０、ＫＳＧ−８１０、ＫＳＧ−８２０、ＫＳＧ−８３０、ＫＳＧ−８４０、ＫＳＧ−８２０Ｚ及びＫＳＧ−８５０Ｚなどがある。

本発明におけるシリコーン乳化剤の配合量は、油性化粧料組成物全体（質量）中０．５〜１０質量％であり、好ましくは１．５〜３質量％である。０．５質量％未満では十分な付着感が得られず、１０質量％より多い場合には、塗膜の均一性がなくなるため、自然な仕上がり感が得られない場合がある。

〔有機変性粘土鉱物〕
本発明に用いられる有機変性粘土鉱物としては、通常化粧料に配合できる原料であれば特に限定されないが、好ましくはジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト、ジメチルジステアリルアンモニウムベントナイト、ジメチルジステアリルアンモニウム変性モンモリロナイト等が挙げられる。このような原料としては、ＥＬＥＭＥＮＴＩＳＳＰＥＣＩＡＬＴＩＥＳ社製のＢＥＮＴＯＮＥ３８ＶＣＧ（ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト）やＢＥＮＴＯＮＥ３４（ジメチルジステアリルアンモニウムベントナイト）などが挙げられ、これら有機変性粘土鉱物はその１種又は２種以上を用いることができる。

合成の有機変性ベントナイトを加えるため、予め膨油されているものでもよい。このような原料としては、ＥＬＥＭＥＮＴＩＳＳＰＥＣＩＡＬＴＩＥＳ社製のＢＥＮＴＯＮＥＧＥＬＩＳＤＶやＢＥＮＴＯＮＥＧＥＬＭＩＯＶやＢＥＮＴＯＮＥＧＥＬＶＳ−５Ｖなどが挙げられ、これらを用いることもできる。

本発明における有機変性粘土鉱物の配合量は、油性化粧料組成物全体（質量）中２〜１０質量％であり、好ましくは３〜６質量％である。２質量％未満では十分な付着感が得られず、１０質量％より多い場合には、塗膜の均一性がなくなるため、自然な仕上がり感が得られない場合がある。

〔炭酸エステル〕
本発明に用いられる炭酸エステルとしては、通常化粧料に配合できる原料であれば特に限定されなく、環状炭酸エステルでも開環された炭酸エステルでもよい。具体的には、炭酸エチレン、炭酸ジアルキル（Ｃ１４，１５）、炭酸ジエチルヘキシル、炭酸ジカプリリル、炭酸ブチレン、炭酸プロピレンなどが挙げられ、好ましくは炭酸プロピレンである。これら炭酸エステルはその１種又は２種以上を用いることができる。

本発明における炭酸エステルの配合量は、油性化粧料組成物全体（質量）中０．５〜１０質量％であり、好ましくは１〜３質量％である。０．５質量％未満では十分な付着感が得られず、１０質量％より多い場合には、塗膜の均一性がなくなるため、自然な仕上がり感が得られない場合がある。

〔ワックス〕
本発明に用いられるワックスは、通常化粧料に配合できる原料であれば、特に限定されない。具体的には、セレシン、オゾケライト、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス等の合成炭化水素ワックス、カルナウバロウ、ライスワックス、コメヌカロウ、ホホバワックス（極度に水添したホホバ油を含む）、キャンデリラロウなどの植物由来のワックス、鯨ロウ、ミツロウ、雪ロウなどの動物由来のワックス等が挙げられ、これらワックスはその１種又は２種以上を用いることができる。

本発明に用いられるワックスの配合量は、油性化粧料組成物全体（質量）中３〜２０質量％であり、好ましくは５〜１３質量％である。３質量％未満では十分なボリューム感を得られなかったり、２０質量％より多い場合には、塗膜の均一性がなくなるため、美しい仕上がりが得られない場合がある。

〔その他の成分〕
本発明における油性化粧料には、通常、液状油分が配合され、具体的には、揮発性油と不揮発性油がある。揮発性をコントロールすることは、睫毛用化粧料においては使用感の面で非常に重要である。液状油分の配合量は、油性化粧料組成物全体（質量）中３０〜７０質量％であり、好ましくは４０〜６５質量％である。

揮発性油としては、通常化粧料に配合できる原料であれば、特に限定されない。具体的には、シクロペンタシロキサン、シクロヘキサシロキサン、メチルトリメチコン、イソドデカン、イソヘキサデカンなどが挙げられる。これらの市販品としては信越化学工業社製のＫＦ−９６シリーズ、ＫＦ−９９５及びＴＭＦ−１．５などがある。

本発明における油性化粧料には任意成分として、必要に応じて、顔料を配合することが可能である。顔料は、一般にメーキャップ化粧料に用いられるものであれば特に制限されない。例えばタルク、マイカ、カオリン、シリカ、炭酸カルシウム、亜鉛華、二酸化チタン、赤酸化鉄、黄酸化鉄、黒酸化鉄、群青、紺青、カーボンブラック、低次酸化チタン、コバルトバイオレット、酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト、オキシ塩化ビスマス、チタン−マイカ系パール顔料などの無機顔料；赤色２０１号、赤色２０２号、赤色２０４号、赤色２０５号、赤色２２０号、赤色２２６号、赤色２２８号、赤色４０５号、橙色２０３号、黄色２０５号、黄色４号、黄色５号、青色１号、青色４０４号、緑色３号などのジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキなどの有機顔料；クロロフィル、β−カロチンなどの天然色素；染料等が挙げられる。また、シリコーン等で疎水化したものも用いることができる。これらの顔料は１種又は２種以上を用いることができる。

顔料の配合量は適宜調整されるものであり、配合してもしなくてもよいが、配合する場合にはその配合量が、油性化粧料組成物全体（質量）中好ましくは０．１〜３０質量％であり、更に好ましくは３〜２０質量％である。０．１質量％未満では顔料の効果が不十分となる場合があり、３０質量％より多い場合では、付着性の点で好ましくない場合がある。

本発明における睫毛用化粧料等の（毛髪用）油性化粧料には、必要に応じて任意成分として繊維を配合してもかまわない。繊維は、睫毛を長く見せるロングラッシュ効果の付与や、均一な化粧膜を形成するために配合され、化粧料に一般に使用されるものであれば特に制限されず、ナイロン、ポリプロピレン等の合成繊維、レーヨン等の人造繊維、セルロース等の天然繊維、アセテート人絹等の半合成繊維等が挙げられる。
また、これらの繊維の太さは３〜１２デニール（以下、単に「Ｄ」と示す）、長さは０．１〜４ｍｍのものが睫毛を長く見せ、目元を際立たせる効果の点でより好ましい。

繊維の配合量は特に限定されないが、配合する場合にはその配合量が、睫毛用化粧料等の（毛髪用）油性化粧料全体（質量）中好ましくは０．１〜８質量％であり、より好ましくは０．５〜５質量％である。また、これらの繊維は、必要に応じて１種又は２種以上を用いることができ、それらは黒色等で着色されていてもよい。

繊維は、必要に応じて表面処理を施して使用してもよい。表面処理剤としてはフッ素化合物、シリコーン化合物、粉体、油剤、ゲル化剤、ポリマーエマルション、界面活性剤等が挙げられ、これらの１種又は２種以上を用いることができるが、これらの中でも、睫毛を太く長く見せ、目元を際立たせる効果及びその持続性の点で、特にシリコーンやフッ素で疎水処理したものが好ましい。

油性化粧料の増粘、ゲル化に比表面積が高い微粒子シリカ（例えば、ＢＥＴ比表面積が５０ｍ²／ｇ以上、特には１００〜４００ｍ²／ｇ程度のヒュームドシリカ、沈降シリカなどの微粉末シリカ等）が用いられることが多い。このような微粒子シリカとしては日本アエロジル社製のアエロジルＲ９７２やアエロジル２００が挙げられる。しかし、これらは見掛け比重が低く、配合が難しい等の問題があり、これらを配合しなくても本発明は十分な増粘、ゲル化を行うことが可能である。

以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。配合量は特に指定のない限り質量％で示す。なお、本発明で用いた試験方法は、次の通りである。

（１）官能評価：曳糸性
予め洗浄した手の甲に、上記成分を含む試料を各１ｇ塗布し、指を試料に押し付けた後に指を上方に引き離したときの曳糸性を、専門パネル（１０名）の目視により評価した。評価基準は、極めてよく伸びると感じた場合は５点、若干伸びると感じた場合は３点、伸びないと感じた場合は１点とし、その合計点を算出した。
○：合計点が４０点以上
△：合計点が２１〜３９点
×：合計点が２０点以下

（２）塗布性
専門パネル（１０名）により、睫毛に各試料（睫毛用化粧料）を塗布したときの、睫毛用化粧料の塗布のし易さを官能評価した。評価基準は極めて塗布し易いと感じた場合には５点、塗布しにくいと感じた場合には３点、極めて塗布しにくいと感じた場合には１点とし、その合計点を算出した。
○：合計点が４０点以上
△：合計点が２１〜３９点
×：合計点が２０点以下

（３）ロングラッシュ効果
専門パネル（１０名）により、睫毛に各試料（睫毛用化粧料）を１０回塗布し、塗布前後の睫毛の長さを目視により観察し、官能でロングラッシュ効果を評価した。評価基準は、睫毛が極めて長くなったと感じた場合には５点、若干長くなったと感じた場合には３点、塗布前と変化を感じなかった場合には１点とし、その合計点を算出した。
○：合計点が４０点以上
△：合計点が２１〜３９点
×：合計点が２０点以下

［実施例１、比較例１，２］
表１に示す処方によって油性化粧料を調製し、その曳糸性、増粘性を評価した。結果を表１に併記する。

＊１：シリコーン化多糖化合物：トリ（トリメチルシロキシ）シリルプロピルカルバミド酸プルラン（ＴＳＰＬ：信越化学工業社製；一般式（５）において置換度約２．０、分子量約６９０，０００のもの。
＊２：シリコーン乳化剤：ＰＥＧ−９ポリジメチルシロキシエチルジメチコン（ＫＦ−６０２８Ｐ：信越化学工業社製）
＊３：有機変性粘土鉱物：クオタニウム１８−ヘクトライト（ＢＥＮＴＯＮＥ３８ＶＣＧ：ＥＬＥＭＥＮＴＩＳＳＰＥＣＩＡＬＴＩＥＳ社製）
＊４：表１における増粘性とは、試験例と比較して明確な増粘効果があるかを示す。実施例１を○とし、実施例１より明確な増粘効果があれば◎、実施例１と同等の増粘効果であれば○、実施例１より明らかに増粘効果が劣るものであれば×とした。また、比較例１，２において、イソドデカンをそれぞれ２０質量％、１０質量％追加配合して合計を１００質量％としても曳糸性、増粘性の結果はイソドデカンを追加配合する前の比較例１，２と同じであった。

睫毛用化粧料には、付着性のコントロールのために、曳糸性の付与と、粘度のコントロールをする必要がある。上記表１の結果より、比較例１の増粘系では増粘性がない。更に比較例２から明らかな通り、単に増粘剤を添加すればよいわけでないことがわかる。

［実施例２、比較例３〜８］
表２に示す処方によって睫毛用化粧料を調製し、その曳糸性、塗布性、ロングラッシュ効果を評価した。結果を表２に併記する。

＊１、＊２、＊３：上記の通り
＊５：（パルミチン酸／２−エチルヘキサン酸）デキストリン（レオパールＴＴ：千葉製粉社製）
＊６：球状ポリメチルシルセスキオキサン粉体（ＫＭＰ−５９０：信越化学工業社製）

上記表２において、シリコーン化多糖化合物を配合していない比較例３では増粘効果が得られ、ゲル化するが、曳糸性やロングラッシュ効果について十分な効果が得られない。シリコーン乳化剤を配合していない比較例４ではそれぞれの効果も弱く、増粘効果も得られない。有機変性粘土鉱物を配合していない比較例５では曳糸性は示すが、十分な増粘効果が得られず、調製後すぐに分離する。有機変性粘土鉱物の代替品として別の油性ゲル化剤を配合した比較例６でも若干の増粘効果は得られるが、比較例５と同様に分離傾向が確認できる。ワックスを配合していない比較例７では分離傾向は見られないが、十分な増粘効果が得られず、ロングラッシュ効果が得られない。炭酸エステルを配合していない比較例８では増粘効果は得られるが、組成物は分離し、ロングラッシュ効果も得られない。

上記結果から本発明における睫毛用化粧料（実施例２）において、シリコーン化多糖化合物、シリコーン乳化剤、有機変性粘土鉱物、炭酸エステル及びワックスを用いることによって、塗布性に優れ、ロングラッシュ効果を示し、十分な増粘効果も得られることがわかる。

Claims

シリコーン化多糖化合物０．５〜６質量％、シリコーン乳化剤０．５〜１０質量％、有機変性粘土鉱物２〜１０質量％、炭酸エステル０．５〜１０質量％及びワックス３〜２０質量％を含有してなり、繊維を配合しない睫毛用油性化粧料。
シリコーン乳化剤が、ポリオキシアルキレン変性シリコーン及びポリグリセリン変性シリコーンから選ばれる１種又は２種以上であることを特徴とする請求項１に記載の油性化粧料。
シリコーン乳化剤が、ＰＥＧ−９ポリジメチルシロキシエチルジメチコンである請求項２に記載の油性化粧料。
シリコーン化多糖化合物が、下記一般式（１）で示されるものである請求項１〜３のいずれか１項に記載の油性化粧料。

（一般式（１）中、ＰＬはプルランのグルコース残基であり、Ｒ¹は互いに同一又は異なる炭素数１〜１０の非置換もしくは置換の１価炭化水素基であり、Ｒ²は互いに同一又は異なる炭素数１〜１０の非置換もしくは置換の１価炭化水素基又は−ＯＳｉ（Ｒ³）₃で示されるシロキシ基であり、Ｒ³は互いに同一又は異なる炭素数１〜８の非置換もしくは置換の１価炭化水素基であり、ｎは１〜１０の整数であり、ａは０又は１であり、ｂは０，１又は２である。また、多糖化合物の構成糖１単位当たりのシリコーン化合物の平均結合数（置換度）は０．５〜２．５であり、シリコーン化多糖化合物の平均分子量は５０，０００〜１０，０００，０００である。）
有機変性粘土鉱物が、ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト、ジメチルジステアリルアンモニウムベントナイト、又はジメチルジステアリルアンモニウム変性モンモリロナイトである請求項１〜４のいずれか１項に記載の油性化粧料。
ワックスの配合量が５〜２０質量％である請求項１〜５のいずれか１項に記載の油性化粧料。
更に、揮発性油を配合した請求項１〜６のいずれか１項に記載の油性化粧料。