<第1の実施形態>
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、本第1の実施形態による内視鏡システムの構成を示した図である。図1において、内視鏡システム1は、内視鏡スコープ2と、本体部3と、モニタ4と、を備えている。内視鏡システム1は、内視鏡スコープ2が取得した映像(画素信号)を本体部3で処理し、本体部3が処理した映像信号を画像としてモニタ4に表示する。
また、内視鏡スコープ2は、先端部5と、挿入部6と、操作部7と、ユニバーサルコード8と、コネクタ部9と、で構成されている。内視鏡スコープ2の先端部5は、撮像部を備え、先端部5を被検物内に導くコードである挿入部6によって導かれて、被検物内に挿入される。操作部7は、先端部5を被検物内に挿入するときの先端部5の動きを、挿入部6を介して操作する。ユニバーサルコード8は、操作部7と本体部3とを繋ぐケーブルであり、コネクタ部9によって、本体部3と接続されている。
次に、本第1の実施形態の内視鏡システム1の内部機能について、具体的に説明する。図2は、本第1の実施形態の内視鏡システム1に備えた各構成要素の概略構成の一例を示したブロック図である。図2には、図1に示した内視鏡システム1における内部機能の一例を示している。なお、図2においては、説明を容易にするため、図1に示した先端部5の動きの操作に係る操作部7を省略し、挿入部6、操作部7、ユニバーサルコード8、およびコネクタ部9をまとめて、伝達部10として表している。
先端部5は、撮像部11と、時間変換器12と、送信部13と、を備えている。撮像部11は、例えば、CMOS(Complementary Metal−Oxide Semiconductor:相補型金属酸化膜半導体)イメージセンサなど、画素が受光した光量をアナログの電気信号に変換し、受光した光量(光強度)に応じた強度(大きさ)の画素信号を、画素毎に順次出力する固体撮像装置を備えている。撮像部11は、被検物内の映像を撮像したとき、固体撮像装置のそれぞれの画素から順次出力された画素信号を、時間変換器12に順次出力する。
時間変換器12は、撮像部11から入力された画素信号の大きさを、時間の長さに変換するための情報である時間情報を出力する。より具体的には、時間変換器12は、撮像部11から入力された画素信号の大きさを時間幅(時間間隔)で表すためのパルス信号を生成する。時間変換器12が生成するパルス信号は、入力された画素信号の大きさに応じた時間間隔が開始されるタイミングと、終了されるタイミングとを表すそれぞれのパルス信号である。そして、時間変換器12は、生成したパルス信号を、時間情報として送信部13に出力する。時間変換器12には、撮像部11から出力された画素信号が入力端子12aに入力され、生成した時間情報を出力端子12bおよび出力端子12cから出力する。なお、時間変換器12による画素信号から時間情報を生成する方法に関する詳細な説明は、後述する。
送信部13は、時間変換器12から入力された時間情報に基づいて、画素信号の大きさをパルス幅で表す光パルス信号を生成し、生成した光パルス信号を伝送する。なお、送信部13による時間情報から光パルス信号を生成する方法に関する詳細な説明は、後述する。
伝達部10は、例えば、光ファイバなど、光信号を伝送するための光導波路を内部に備えている。伝達部10は、内部に備えた光導波路によって、送信部13から伝送された光パルス信号を、先端部5の外部、すなわち、被検物の外部に導く(伝送する)。図2では、伝達部10の内部に備えた光導波路が「光ファイバ」である場合を示している。
本体部3は、受信部14と、時間間隔変換装置15と、ビデオプロセッサ16と、を備えている。受信部14は、伝達部10を介して送信部13から伝送された光パルス信号を、再び電気信号(以下、「電気パルス信号」という)に変換する。そして、受信部14は、変換した電気パルス信号を、時間間隔変換装置15に出力する。
時間間隔変換装置15は、受信部14から入力された電気パルス信号に基づいて、時間変換器12が出力した時間情報を検出する。そして、時間間隔変換装置15は、検出した時間情報に基づいて、時間情報が表す時間の長さ(時間間隔)を2進のデジタル信号、すなわち、撮像部11から時間変換器12に入力された画素信号の大きさを表す2進のデジタル信号に変換する。これにより、撮像部11が撮像した被検物内の映像であるアナログの画素信号が、デジタルの映像信号に変換される。そして、時間間隔変換装置15は、変換したデジタル信号を、ビデオプロセッサ16に出力する。時間間隔変換装置15には、受信部14から出力された電気パルス信号が入力端子15aに入力され、変換したデジタル信号を出力端子15bから出力する。なお、時間間隔変換装置15による時間情報の検出方法、および時間情報からデジタル信号への変換方法に関する詳細な説明は、後述する。
ビデオプロセッサ16は、時間間隔変換装置15から入力されたデジタル信号を処理し、デジタル信号に基づいた画像、すなわち、先端部5の撮像部11が撮像した被検物内の映像を、モニタ4に表示させる。
次に、本第1の実施形態の内視鏡システム1の動作について説明する。図3は、本第1の実施形態の内視鏡システム1におけるそれぞれの信号の関係を示したタイミングチャートである。図3において、「画素信号」は、撮像部11が出力する被検物内の映像に応じた画素信号(アナログの電気信号)の一例を示している。図3には、撮像部11から4つの画素の画素信号(画素信号P1〜P4)が順次出力される場合のタイミングを示している。また、「光パルス信号」は、送信部13が伝送する光パルス信号の一例を模式的に示している。また、「電気パルス信号」は、伝達部10を介して伝送された光パルス信号を、受信部14が電気信号に変換して時間間隔変換装置15に出力する電気パルス信号の一例を示している。
撮像部11は、それぞれの画素が撮像した映像の光量(光強度)に応じたそれぞれの大きさ(電圧)の画素信号(画素信号P1〜P4)を順次出力する。そして、時間変換器12は、撮像部11が出力したそれぞれの画素信号P1〜P4の電圧値の大きさに応じた、それぞれの時間情報(パルス信号)を生成する。そして、送信部13は、時間変換器12がそれぞれ生成した時間情報に対応したパルス幅の光パルス信号を生成する。図3に示した光パルス信号の一例では、画素信号の電圧値が小さい程“H”レベルのパルス幅が広く、画素信号の電圧値が大きい程“H”レベルのパルス幅が狭い、光パルス信号を生成する場合を示している。すなわち、図3に示した光パルス信号の一例では、それぞれのパルスの立ち上がりエッジのタイミングから立ち下がりエッジのタイミングまでの時間が、それぞれの画素信号P1〜P4の電圧値の大きさを表している。
送信部13は、時間変換器12が出力した時間情報に基づいて生成した光パルス信号を、本体部3に伝送する。送信部13が伝送した光パルス信号は、伝達部10を介して受信部14に到達し、受信部14によって再び電気信号に変換され、電気パルス信号として時間間隔変換装置15に入力される。これにより、時間変換器12が出力した時間情報(パルス信号)のそれぞれが、一定の時間遅延して時間間隔変換装置15に順次入力されることになる。
時間間隔変換装置15は、入力された電気パルス信号の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジの時間幅(時間間隔)、すなわち、それぞれの画素信号P1〜P4の電圧値の大きさを、2進のデジタル信号にそれぞれ変換してビデオプロセッサ16に順次出力する。そして、ビデオプロセッサ16は、時間間隔変換装置15から順次入力されたデジタル信号を処理した画像を、モニタ4に表示させる。
このように、本第1の実施形態の内視鏡システム1では、先端部5に備えた時間変換器12が、撮像部11が撮像したアナログの画素信号に基づいて時間情報を生成し、送信部13が時間情報に応じた光パルス信号を本体部3に伝送する。すなわち、本第1の実施形態の内視鏡システム1では、被検物内に挿入する内視鏡スコープ2の先端部5で、アナログの画素信号を時間に変換して伝送することによって、撮像した被検物内の映像を本体部3に伝送する。そして、本体部3に備えた時間間隔変換装置15が、伝送された時間情報を、デジタル信号に変換する。これにより、本第1の実施形態の内視鏡システム1では、従来の内視鏡システムのように、被検物内に挿入する内視鏡スコープ2の先端部5内に、消費電力が大きいA/D変換部やシリアライズするための構成要素を備える必要がなくなり、先端部5の消費電力を低減し、発熱を抑えることができる。
ここで、先端部5に備えた時間変換器12および送信部13による、撮像部11から入力された画素信号の大きさを時間の長さに変換して伝送する方法、および本体部3に備えた時間間隔変換装置15による、時間の長さ(時間間隔)を2進のデジタル信号に変換する方法の具体的な例について説明する。
<画素信号の大きさの時間の長さへの変換方法の一例>
まず、本第1の実施形態の内視鏡システム1における内視鏡スコープ2の先端部5に備えることが想定される時間変換器12の一例について説明する。図4は、本第1の実施形態の内視鏡システム1に備えた時間変換器12の概略構成の一例を示したブロック図である。図4には、10個の論理否定回路(インバータ回路)を反転回路とし、それぞれの反転回路が直列に接続された時間変換器12の構成の一例を示している。図4において、時間変換器12は、パルス発生器180と、10個の反転回路18_1〜18_10と、を備えている。なお、以下の説明においては、反転回路18_1〜18_10のいずれか1つの反転回路を示すときには、「反転回路18」という。
パルス発生器180は、撮像部11に備えた固体撮像装置のそれぞれの画素に対応した画素信号が時間変換器12に入力される毎に、入力されたそれぞれの画素の画素信号の時間への変換を開始するためのパルス信号(以下、「INパルス信号」という)を出力する。
全ての反転回路18の電源端子18cには、時間変換器12の入力端子12aに入力された画素信号が、電源Vinとして入力される。そして、初段の反転回路18_1には、パルス発生器180が出力したINパルス信号が入力端子18aに入力され、次段以降の各反転回路18には、前段の反転回路18の出力信号が入力端子18aに入力される。
それぞれの反転回路18は、入力端子18aに入力されたINパルス信号、または前段の反転回路18の出力信号を反転(論理否定)した信号を、電源端子18cに入力された電源Vinの電圧値に応じた遅延時間だけ遅延させて、出力端子18bから出力する。すなわち、それぞれの反転回路18は、入力端子18aに入力された信号を、電源端子18cに入力された画素信号の電圧値に応じて遅延させて、出力端子18bから出力する。これにより、最終段の反転回路18_10の出力端子18bから、パルス発生器180が発生したINパルス信号を、電源端子18cに入力された電源Vinの電圧値に応じて10段分遅延させたパルス信号(以下、「OUTパルス信号」という)が出力される。
時間変換器12は、パルス発生器180が出力したINパルス信号と、反転回路18_10が出力したOUTパルス信号とを、撮像部11から入力された画素信号の大きさを時間の長さに変換するための時間情報として、出力端子12bと出力端子12cとから出力する。なお、時間変換器12の出力端子12bから出力するINパルス信号は、入力された画素信号の大きさに応じた時間間隔が開始されるタイミングを表すパルス信号であり、出力端子12cから出力するOUTパルス信号は、入力された画素信号の大きさに応じた時間間隔が終了されるタイミングを表すパルス信号である。
次に、本第1の実施形態の内視鏡システム1において、時間情報に基づいた画素信号の大きさをパルス幅で表す光パルス信号の生成方法について説明する。図5は、本第1の実施形態の内視鏡システム1における光パルス信号の生成方法を示したタイミングチャートである。図5には、撮像部11から入力された1つの画素の画素信号に対応した光パルス信号を生成する場合のタイミングを示している。
時間変換器12は、撮像部11から時間に変換すべき画素信号が、電源Vinとして時間変換器12の入力端子12aに入力された後、図5に示したように、パルス発生器180が出力したINパルス信号を、時間情報として出力端子12bから出力する。また、時間変換器12は、それぞれの反転回路18がINパルス信号を電源Vinの電圧値に応じた遅延時間だけ順次遅延させ、図5に示したように、最終段の反転回路18_10が出力したOUTパルス信号を、時間情報として出力端子12cから出力する。
時間変換器12が出力したINパルス信号の立ち上がりエッジのタイミングと、OUTパルス信号の立ち上がりエッジのタイミングとの時間差が、電源Vinとして時間変換器12の入力端子12aに入力された画素信号の大きさに応じた時間、すなわち、画素信号を時間の長さに変換したときの変換時間Dである。
送信部13は、時間変換器12から入力されたINパルス信号とOUTパルス信号とに応じて、変換時間Dをパルス幅で表した光パルス信号を生成する。図5では、送信部13が、INパルス信号の立ち上がりエッジのタイミングで発光し、OUTパルス信号の立ち上がりエッジのタイミングで消光する光パルス信号を生成する場合を示している。
ここで、時間変換器12に入力された画素信号と変換時間Dとの関係について説明する。まず、時間変換器12に備えた反転回路18について説明する。図6は、本第1の実施形態の内視鏡システム1の時間変換器12に備えた反転回路18の構成の一例を示したブロック図である。図6には、2個のトランジスタ(PMOSトランジスタおよびNMOSトランジスタ)で構成した一般的な反転回路18の構成の一例を示している。なお、図6に示した反転回路18は、反転回路の基本的な構成であるため、反転回路の動作に関する詳細な説明は省略する。
上述したように、撮像部11から出力された画素信号は、反転回路18の電源Vinとして入力される。一般的に、PMOSトランジスタとNMOSトランジスタとで構成された反転回路では、電源電圧と、信号の入力から出力までの遅延時間とに、1次の分数関数の関係を有している。このため、時間変換器12においても、反転回路18の電源Vinとして入力される画素信号と変換時間Dとに、図7に示したような1次の分数関数の関係を有することになる。図7を見てわかるように、画素信号と変換時間Dとの関係は、線形の関係とはなっていない。ここで、画素信号(電源Vin)と変換時間Dとの関係は、下式(1)のように表される。
D=b/(Vin−a) ・・・(1)
なお、上式(1)において、aは任意の実数、bは0を除いた任意の実数である。そして、図7においてaおよびbは、0より大きい定数(a>0,b>0)である。
しかし、上式(1)のように表される変換時間Dで画素信号の大きさが時間の長さに変換されることが事前にわかっていれば、伝送された光パルス信号に基づいて2進のデジタル信号に変換した後の変換時間Dに対して処理を行うことによって、画素信号(電源Vin)と比例した関係を有するデジタルの映像信号を容易に生成することができる。すなわち、時間間隔変換装置15が変換した2進のデジタル信号に対して予め定めた処理を行うことによって、アナログの画素信号(電源Vin)と比例した関係を有するデジタルの映像信号を容易に生成することができる。
より具体的には、ビデオプロセッサ16が、予め定めた定数を、時間間隔変換装置15から出力されたデジタル信号で除算することによって、図8に示したようなほぼ一次関数の関係を有するデジタルの映像信号を生成することができる。図8には、任意の定数Aをデジタル信号(変換時間D)で除算することによって、傾きがA/bでアナログの画素信号(電源Vin)と比例した関係を有する、デジタル信号(=A/D)を生成する場合を示している。
このように、本第1の実施形態の内視鏡システム1では、図4に示したような構成の時間変換器12を先端部5に備えることによって、容易に画素信号を時間の長さに変換することができる。また、時間変換器12における画素信号と変換時間Dとの関係が線形の関係を有していない場合でも、2進のデジタル信号に変換した後の変換時間Dに対して処理を行うことによって、アナログの画素信号と略比例した関係を有するデジタルの映像信号を得ることができる。
<時間の長さ(時間間隔)のデジタル信号への変換方法の一例>
続いて、本第1の実施形態の内視鏡システム1における本体部3に備えることが想定される時間間隔変換装置15の一例について説明する。図9は、本第1の実施形態の内視鏡システム1に備えた時間間隔変換装置15の概略構成の一例を示したブロック図である。図9において、時間間隔変換装置15は、エッジ検出器100と、10個の遅延回路102_1〜102_10と、オシレータ103と、4個のラッチ104_1〜104_4と、4個のカウンタ105_1〜105_4と、加算回路106と、を備えている。
時間間隔変換装置15は、位相を違えた複数のクロックを並列に駆動させることによって、入力された電気パルス信号が表す時間間隔をデジタル信号に変換し、変換したデジタル信号を出力する。時間間隔変換装置15には、受信部14が電気信号に変換した電気パルス信号が入力端子15aに入力される。そして、時間間隔変換装置15は、入力された電気パルス信号の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジの時間幅(時間間隔)に応じたデジタル信号、すなわち、画素信号の大きさをパルス幅で表した変換時間Dに応じたデジタル信号を、出力端子15bから出力する。
なお、時間間隔変換装置15のような、位相を違えた複数のクロックを並列に駆動させる方式の時間間隔変換装置では、隣り合うクロック同士のエッジの間隔の関係が崩れると、デジタル信号への変換誤差に繋がってしまうため、隣り合うクロック同士のエッジの間隔が等しいことが望ましい。このため、時間間隔変換装置15では、さらに、パラメータ調節回路107を備え、位相を違えた複数のクロックの周波数を制御することによって、電気パルス信号が表す時間間隔をデジタル信号に変換する際に用いるクロックの変動を抑え、時間間隔を高い分解能で精度良くデジタル信号に変換する。
なお、図9に示した時間間隔変換装置15において、遅延回路102_1〜102_10のいずれか1つの遅延回路を示すときには、「遅延回路102」といい、ラッチ104_1〜104_4のいずれか1つのラッチを示すときには、「ラッチ104」とい、カウンタ105_1〜105_4のいずれか1つのカウンタを示すときには、「カウンタ105」という。また、以下の説明においては、時間間隔変換装置15内のそれぞれの構成要素の出力端子の信号を、「ノード」という。
エッジ検出器100は、時間間隔変換装置15に入力された電気パルス信号の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジとを検出し、検出した電気パルス信号の立ち上がりエッジのタイミングを表す信号と、検出した電気パルス信号の立ち下がりエッジのタイミングを表す信号とを、それぞれ出力する。エッジ検出器100が出力する電気パルス信号の立ち上がりエッジのタイミングを表す信号は、画素信号の大きさに応じた時間間隔が開始されるタイミング、すなわち、時間変換器12が出力するINパルス信号の立ち上がりエッジのタイミングを表す信号(以下、「開始信号」という)である。また、エッジ検出器100が出力する電気パルス信号の立ち下がりエッジのタイミングを表す信号は、画素信号の大きさに応じた時間間隔が終了されるタイミング、すなわち、時間変換器12が出力するOUTパルス信号の立ち上がりエッジのタイミングを表す信号(以下、「終了信号」という)である。エッジ検出器100が出力する開始信号は、時間間隔変換装置15が時間間隔のデジタル信号への変換を開始するタイミングでもあり、終了信号は、時間間隔変換装置15が時間間隔のデジタル信号への変換を終了するタイミングでもある。
エッジ検出器100には、時間間隔変換装置15の入力端子15aに入力された電気パルス信号が、入力端子100cに入力される。そして、エッジ検出器100は、開始信号(ノードn11)を出力端子100aから、終了信号(ノードn16)を出力端子100bから、それぞれ出力する。より具体的には、エッジ検出器100は、入力された電気パルス信号の立ち上がりエッジを検出したときに、ノードn11を“L”レベルから“H”レベルに切り替え、入力された電気パルス信号の立ち下がりエッジを検出したときに、ノードn16を“L”レベルから“H”レベルに切り替える。
オシレータ103は、時間間隔変換装置15が時間間隔のデジタル信号への変換を開始したときに、入力された設定信号に応じた周波数のクロックを出力する。オシレータ103には、エッジ検出器100の出力端子100aから出力された開始信号(ノードn11)が入力端子103aに入力され、パラメータ調節回路107の出力端子107aから出力される設定信号が入力端子103cに入力される。そして、オシレータ103は、ノードn11が時間間隔の開始を表したときから、入力端子103cに入力された設定信号に基づいた周波数のクロックを、出力端子103bから出力する。オシレータ103が出力するクロックの周波数は、入力端子103cに入力された、パラメータ調節回路107からの設定信号によって変更することができる。
より具体的には、オシレータ103は、ノードn11が“L”レベルから“H”レベルに切り替わるタイミングでクロックの出力を開始し、ノードn11が、“H”レベルから“L”レベルに切り替わるタイミングで出力端子103bを“L”レベルにして、クロックの出力を停止する。なお、オシレータ103の構成に関する詳細な説明は、後述する。
遅延回路102_1〜102_10のそれぞれは、入力端子102aに入力された信号を、時間Δtだけ遅延させて、出力端子102bから出力する。時間間隔変換装置15では、図9に示したように配置された遅延回路102によって、オシレータ103から出力されたクロックを、時間Δtだけ遅延させたクロック(以下、「クロックd1」という)、時間2Δtだけ遅延させたクロック(以下、「クロックd2」という)、時間3Δtだけ遅延させたクロック(以下、「クロックd3」という)、および時間4Δtだけ遅延させたクロック(以下、「クロックd4」という)のそれぞれを、並列に出力する。
より具体的には、オシレータ103の出力端子103bから出力されたクロックを、遅延回路102_1、遅延回路102_2、遅延回路102_4、および遅延回路102_7のそれぞれの入力端子102aに入力する。遅延回路102_1は、入力されたクロックを時間Δtだけ遅延させたクロックd1を、出力端子102bから出力する。また、直列に接続された2個の遅延回路102(遅延回路102_2および遅延回路102_3)が、入力されたクロックを順次Δtづつ遅延させ、最終的に、遅延回路102_3が、遅延回路102_2の入力端子102aに入力されたクロックを時間2Δtだけ遅延させたクロックd2を、出力端子102bから出力する。また、直列に接続された3個の遅延回路102(遅延回路102_4、遅延回路102_5、および遅延回路102_6)が、入力されたクロックを順次Δtづつ遅延させ、最終的に、遅延回路102_6が、遅延回路102_4の入力端子102aに入力されたクロックを時間3Δtだけ遅延させたクロックd3を、出力端子102bから出力する。また、直列に接続された4個の遅延回路102(遅延回路102_7、遅延回路102_8、遅延回路102_9、および遅延回路102_10)が、入力されたクロックを順次Δtづつ遅延させ、最終的に、遅延回路102_10が、遅延回路102_7の入力端子102aに入力されたクロックを時間4Δtだけ遅延させたクロックd4を、出力端子102bから出力する。なお、遅延回路102の構成に関する詳細な説明は、後述する。
ラッチ104_1〜104_4のそれぞれは、入力端子104cに入力された信号に応じて、入力端子104aに入力された信号、または入力端子104aに入力された信号の状態を保持した信号を、出力端子104bから出力する。ラッチ104_1〜104_4のそれぞれには、対応する遅延回路102の出力端子102bから出力された遅延されたクロックが入力端子104aに入力され、エッジ検出器100の出力端子100bから出力された終了信号(ノードn16)が入力端子104cに入力される。そして、ラッチ104_1〜104_4のそれぞれは、ノードn16が“L”レベルのとき、入力端子104aに入力されたクロックを、そのまま出力端子104bに転送して出力し、ノードn16が“L”レベルから“H”レベルに切り替わるタイミングで、入力端子104aに入力されたクロックの状態を保持し、ノードn16が“H”レベルの間、保持した状態の信号を、出力端子104bに出力し続ける。時間間隔変換装置15では、図9に示したように配置されたラッチ104によって、遅延回路102が遅延させたそれぞれのクロックを、並列に出力する。
より具体的には、ラッチ104_1は、遅延回路102_1から出力されたクロックd1が入力端子104aに入力され、ノードn16の状態に応じて、クロックd1、または保持したクロックd1の状態の信号を、ノードn12として出力端子104bから出力する。また、ラッチ104_2は、遅延回路102_3から出力されたクロックd2が入力端子104aに入力され、ノードn16の状態に応じて、クロックd2、または保持したクロックd2の状態の信号を、ノードn13として出力端子104bから出力する。また、ラッチ104_3は、遅延回路102_6から出力されたクロックd3が入力端子104aに入力され、ノードn16の状態に応じて、クロックd3、または保持したクロックd3の状態の信号を、ノードn14として出力端子104bから出力する。また、ラッチ104_4は、遅延回路102_10から出力されたクロックd4が入力端子104aに入力され、ノードn16の状態に応じて、クロックd4、または保持したクロックd4の状態の信号を、ノードn15として出力端子104bから出力する。
この構成により、ラッチ104のそれぞれは、オシレータ103が、ノードn11が“L”レベルから“H”レベルに切り替わるタイミングで出力を開始し、遅延回路102のそれぞれが遅延させたクロックを、ノードn16が“L”レベルから“H”レベルに切り替わるタイミングで停止させることになる。言い換えれば、ラッチ104のそれぞれは、時間間隔変換装置15の入力端子15aに入力された電気パルス信号が、時間間隔の開始を表したときから、時間間隔の終了を表したときまでの間、すなわち、画素信号の大きさに応じた変換時間Dの間、オシレータ103が出力し遅延回路102のそれぞれが遅延させたそれぞれのクロックを、ノードn12〜ノードn15として出力端子104bから出力することになる。なお、ラッチ104は、一般的な論理回路で容易に構成できるため、詳細な説明は省略する。
カウンタ105_1〜105_4のそれぞれは、入力端子105aに入力された信号(ノードn12〜ノードn15)の立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジの数をカウントし、カウントしたカウント数を、出力端子105bから出力する。時間間隔変換装置15では、図9に示したように配置されたカウンタ105によって、対応するラッチ104から出力されたノード、すなわち、対応する遅延回路102が遅延させた、オシレータ103から出力されたクロックのエッジを、並列にカウントする。そして、カウンタ105は、カウントしたクロックのエッジのカウント数を、並列に出力する。
より具体的には、カウンタ105_1は、ラッチ104_1から出力されたノードn12、すなわち、クロックd1が入力端子105aに入力され、カウントしたノードn12の立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジの数を、出力端子105bから出力する。また、カウンタ105_2は、ラッチ104_2から出力されたノードn13、すなわち、クロックd2が入力端子105aに入力され、カウントしたノードn13の立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジの数を、出力端子105bから出力する。また、カウンタ105_3は、ラッチ104_3から出力されたノードn14、すなわち、クロックd3が入力端子105aに入力され、カウントしたノードn14の立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジの数を、出力端子105bから出力する。また、カウンタ105_4は、ラッチ104_4から出力されたノードn15、すなわち、クロックd4が入力端子105aに入力され、カウントしたノードn15の立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジの数を、出力端子105bから出力する。なお、カウンタ105は、一般的な論理回路で容易に構成できるため、詳細な説明は省略する。
加算回路106は、カウンタ105_1〜105_4のそれぞれの出力端子105bから出力されたクロックのエッジのカウント数が、入力端子106a〜入力端子106dに入力され、入力されたクロックのエッジのカウント数を加算する。そして、加算回路106は、合計のカウント数を、時間間隔変換装置15に入力された電気パルス信号が表す時間間隔に応じたデジタル信号として、出力端子106e、すなわち、時間間隔変換装置15の出力端子15bから出力する。なお、加算回路106は、一般的な論理回路で容易に構成できるため、詳細な説明は省略する。
パラメータ調節回路107は、オシレータ103が出力するクロックの周波数を制御するためのパラメータである設定信号を、出力端子107aから出力する。パラメータ調節回路107は、設定信号によって、遅延回路102_10から出力されるクロックd4の立ち上がりエッジから時間Δtだけ遅延したタイミングと、遅延回路102_1から出力されるクロックd1の立ち下がりエッジのタイミングとが一致するように、オシレータ103が出力するクロックの周波数を調節する。
これにより、遅延回路102_10から出力されるクロックd4、すなわち、オシレータ103が出力したクロックを時間4Δtだけ遅延させたクロックの立ち上がりエッジのタイミングと、遅延回路102_1から出力されるクロックd1、すなわち、オシレータ103が出力したクロックを時間Δtだけ遅延させたクロックの立ち下がりエッジのタイミングとの時間差が、時間Δtになる。そして、対応するラッチ104_4から出力されるノードn15の立ち上がりエッジのタイミングと、対応するラッチ104_1から出力されるノードn12の立ち下がりエッジのタイミングとの時間差も、時間Δtになる。なお、パラメータ調節回路107におけるオシレータ103が出力するクロックの周波数の調節方法に関する詳細な説明は、後述する。
次に、本第1の実施形態の時間間隔変換装置15の動作について説明する。図10は、本第1の実施形態の内視鏡システム1に備えた時間間隔変換装置15におけるそれぞれのクロックの関係を示したタイミングチャートである。図10には、図9の時間間隔変換装置15の構成における各ノードのタイミングを示している。
まず、タイミングt1のときに、エッジ検出器100が、時間間隔変換装置15の入力端子15aに入力された電気パルス信号に基づいて時間間隔の開始、すなわち、電気パルス信号の立ち上がりエッジを検出し、開始信号(ノードn11)を“L”レベルから“H”レベルに切り替えると、同時に、オシレータ103がクロックの出力を開始する。これにより、遅延回路102の1段分の時間Δtだけ遅延させたクロックd1であるノードn12が、ラッチ104_1から出力される。並行して、遅延回路102の2段分の時間2Δtだけ遅延させたクロックd2であるノードn13がラッチ104_2から、遅延回路102の3段分の時間3Δtだけ遅延させたクロックd3であるノードn14がラッチ104_3から、遅延回路102の4段分の時間4Δtだけ遅延させたクロックd4であるノードn15がラッチ104_3から、それぞれ出力される。
そして、カウンタ105_1〜105_4のそれぞれは、入力されたノードn12〜ノードn15のそれぞれの立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジの数をカウントし、カウントしたカウント数を加算回路106にそれぞれ出力する。
その後、タイミングt2のときに、エッジ検出器100が、時間間隔変換装置15の入力端子15aに入力された電気パルス信号に基づいて時間間隔の終了、すなわち、電気パルス信号の立ち下がりエッジを検出し、終了信号(ノードn16)を“L”レベルから“H”レベルに切り替えると、ラッチ104_1〜104_4のそれぞれは、ノードn12〜ノードn15の状態を保持する。
そして、加算回路106は、カウンタ105_1〜105_4のそれぞれから入力されたクロックのエッジのカウント数を加算し、合計のカウント数を、時間間隔変換装置15に入力された電気パルス信号が表す時間間隔の開始から終了までの期間に応じたデジタル信号として、時間間隔変換装置15の出力端子15bから出力する。
このように、時間間隔変換装置15では、同じ周波数のクロックを同じ間隔(本時間間隔変換装置15においては、時間Δt)で遅延させた複数のクロックを並列に動作させる。そして、遅延させたそれぞれのクロックの立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジの数をカウントし、最後にクロックのエッジのカウント数を加算する。これにより、時間間隔変換装置15では、エッジ検出器100が検出した電気パルス信号が時間間隔の開始を表したとき(ノードn11)から、時間間隔の終了を表したとき(ノードn16)までの時間間隔の期間中のクロックのエッジのカウント数を増加させ、出力するデジタル信号の分解能を向上させることができる。
このとき、パラメータ調節回路107は、上述したように、ノードn15の立ち上がりエッジから時間Δtだけ遅延したタイミングと、ノードn12の立ち下がりエッジのタイミングとが一致するように、パラメータ(設定信号)を逐次調節することによって、オシレータ103が出力するクロックの周波数を逐次調節する。これにより、時間間隔変換装置15では、図10に示したように、ノードn12〜ノードn15の隣り合うエッジ(立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジ)同士の間隔を全て、常に一定の時間Δtにすることができる。
このように、時間間隔変換装置15では、出力するクロックの周波数を変更することができるオシレータ103と、オシレータ103が出力するクロックの周波数を逐次調節するパラメータ調節回路107を備えることによって、時間間隔を高い分解能で精度良くデジタル信号に変換することができる。
次に、時間間隔変換装置15に備えたオシレータ103について説明する。図11は、本第1の実施形態の内視鏡システム1に備えた時間間隔変換装置15におけるオシレータ103の概略構成の一例を示したブロック図である。図11には、否定論理積回路(NAND回路)と論理否定回路(インバータ回路)とのそれぞれを反転回路とし、5個の反転回路をリング状に連結したリング発振器の構成の一例を示している。図11において、オシレータ103は、NAND回路111と、4個のインバータ回路112_1〜112_4と、を備えている。なお、図11に示したオシレータ103において、インバータ回路112_1〜112_4のいずれか1つのインバータ回路を示すときには、「インバータ回路112」といい、NAND回路111および4個のインバータ回路112_1〜112_4のいずれか1つの反転回路を示すときには、単に「反転回路」という。
オシレータ103は、エッジ検出器100から入力端子103aに入力された、時間間隔変換装置15による時間間隔の測定の開始を表すノードn11に応じて、入力端子103cに入力されたパラメータ調節回路107からの設定信号に基づいた周波数のクロックを、出力端子103bから出力する。なお、図11においては、2段目の反転回路であるインバータ回路112_1の出力端子112bから出力される出力信号を、オシレータ103が出力するクロックとして、オシレータ103の出力端子103bから出力する場合の構成を示している。
初段の反転回路であるNAND回路111には、オシレータ103の入力端子103aに入力されたノードn11が入力端子111bに入力され、最終段の反転回路であるインバータ回路112_4の出力端子112bから出力される出力信号が入力端子111aに入力され、オシレータ103の入力端子103cに入力されたパラメータ(設定信号)が電源端子111dに入力される。NAND回路111は、入力端子111aに入力された出力信号と入力端子111bに入力されたノードn11とを否定論理積した信号を、電源端子111dに入力されたパラメータに応じた遅延時間だけ遅延させて、出力端子111cから出力する。
また、次段以降の各反転回路であるインバータ回路112には、前段の反転回路の出力信号が入力端子112aに入力され、オシレータ103の入力端子103cに入力されたパラメータ(設定信号)が電源端子112cに入力される。より具体的には、2段目の反転回路であるインバータ回路112_1には、初段の反転回路であるNAND回路111の出力端子111cから出力される出力信号が入力端子112aに入力され、パラメータ(設定信号)が電源端子112cに入力される。また、3段目の反転回路であるインバータ回路112_2には、インバータ回路112_1の出力端子112bから出力される出力信号が入力端子112aに入力され、パラメータ(設定信号)が電源端子112cに入力される。また、4段目の反転回路であるインバータ回路112_3には、インバータ回路112_2の出力端子112bから出力される出力信号が入力端子112aに入力され、パラメータ(設定信号)が電源端子112cに入力される。また、5段目の反転回路であるインバータ回路112_4には、インバータ回路112_3の出力端子112bから出力される出力信号が入力端子112aに入力され、パラメータ(設定信号)が電源端子112cに入力される。それぞれのインバータ回路112は、入力端子112aに入力された前段の反転回路の出力信号を反転(論理否定)した信号を、電源端子112cに入力されたパラメータ(設定信号)に応じた遅延時間だけ遅延させて、出力端子112bから出力する。
このように、時間間隔変換装置15では、オシレータ103としてリング発振器を用いることによって、オシレータ103内の各反転回路の電源電圧または電源電流をパラメータとして出力するクロックの周波数を変更することができるオシレータを、容易に構成することができる。
なお、図11に示したオシレータ103の構成からわかるように、オシレータ103に入力されているノードn11が時間間隔の開始を表したときから、実際にオシレータ103の出力端子103bからクロックが出力されるまで、すなわち、インバータ回路112_1の出力端子112bから出力信号が出力されるまでには、遅延時間(オシレータ駆動遅延時間)がある。このオシレータ駆動遅延時間は、図11に示したNAND回路111とインバータ回路112_1との応答時間を合計した時間である。また、ノードn16が時間間隔の終了を表したときから、実際にラッチ104が、入力されたクロックの状態を保持した信号を出力するまでにも、遅延時間(ラッチ駆動遅延時間)がある。図10に示した時間間隔変換装置15のタイミングチャートでは、説明を簡潔にするため、オシレータ駆動遅延時間およびラッチ駆動遅延時間を無視した状態を示して説明した。しかし、実際には、上述したように、オシレータ駆動遅延時間およびラッチ駆動遅延時間が存在する。このオシレータ駆動遅延時間およびラッチ駆動遅延時間は、時間間隔変換装置15が時間間隔をデジタル信号に変換する際の誤差要因となる。このため、時間間隔変換装置15では、誤差を低減するために、オシレータ駆動遅延時間とラッチ駆動遅延時間とが、なるべく近い値の遅延時間となるように、それぞれの構成要素の条件を設定することが望ましい。
次に、時間間隔変換装置15に備えた遅延回路102について説明する。図12は、本第1の実施形態の内視鏡システム1に備えた時間間隔変換装置15における遅延回路102の構成の一例を示したブロック図である。図12には、4個のトランジスタで構成した遅延回路102の構成の一例を示している。図12において、遅延回路102は、2個のPMOSトランジスタ113_1および113_2と、2個のNMOSトランジスタ113_3および113_4と、を備えている。
PMOSトランジスタ113_1は、ゲート端子が遅延回路102の入力端子102aに、ソース端子が電源V0に、ドレイン端子がPMOSトランジスタ113_2のゲート端子、NMOSトランジスタ113_4のゲート端子、およびNMOSトランジスタ113_3のドレイン端子に、それぞれ接続されている。また、NMOSトランジスタ113_3は、ゲート端子が遅延回路102の入力端子102aに、ソース端子がGNDおよびNMOSトランジスタ113_4のソース端子に、それぞれ接続されている。また、PMOSトランジスタ113_2は、ソース端子が電源V0に、ドレイン端子が遅延回路102の出力端子102bおよびNMOSトランジスタ113_4のドレイン端子に、それぞれ接続されている。また、NMOSトランジスタ113_4は、ドレイン端子が遅延回路102の出力端子102bに接続されている。
このように、遅延回路102では、PMOSトランジスタ113_1とNMOSトランジスタ113_3とで前段のインバータ回路を構成し、PMOSトランジスタ113_2とNMOSトランジスタ113_4とで後段のインバータ回路を構成している。これは、インバータ回路を偶数段直列に接続したバッファ回路である。そして、時間間隔変換装置15では、インバータ回路を偶数段直列に繋げたバッファ回路を用いることによって、遅延回路を容易に構成することができる。
次に、時間間隔変換装置15に備えたパラメータ調節回路107について説明する。図13は、本第1の実施形態の内視鏡システム1に備えた時間間隔変換装置15におけるパラメータ調節回路107の概略構成の一例を示したブロック図である。図13において、パラメータ調節回路107は、否定論理和回路(NOR回路)108と、5個の遅延回路102_11〜102_15と、2個のオシレータ103_5および103_6と、位相比較回路109と、パラメータ設定回路110と、を備えている。パラメータ調節回路107は、入力端子ON/OFFの制御によって動作を開始すると、オシレータ103が出力するクロックの周波数を制御するためのパラメータである設定信号を、出力端子107aから出力する。
なお、図13に示したパラメータ調節回路107において、遅延回路102_11〜102_15のそれぞれは、図9に示した時間間隔変換装置15における遅延回路102と同様の構成、機能、および特性である。また、図13に示したパラメータ調節回路107において、オシレータ103_5および103_6は、図9に示した時間間隔変換装置15におけるオシレータ103と同様の構成、機能、および特性である。従って、以下の説明においては、図9に示した時間間隔変換装置15に備えた構成要素と同様の構成、機能、および特性についての説明は省略し、図9に示した時間間隔変換装置15に備えた構成要素と異なる構成および動作のみを説明する。そして、以下の説明においても、図9に示した時間間隔変換装置15の説明と同様に、図13に示したパラメータ調節回路107において、遅延回路102_11〜102_15のいずれか1つの遅延回路を示すときには、「遅延回路102」といい、オシレータ103_5および103_6のいずれか1つのオシレータを示すときには、「オシレータ103」という。また、同様に、パラメータ調節回路107内のそれぞれの構成要素の出力端子の信号も、「ノード」という。
NOR回路108には、入力端子ON/OFFに入力されたON/OFF信号が入力端子108aに入力され、遅延回路102_15の出力端子102bから出力される出力信号が入力端子108bに入力される。NOR回路108は、入力端子108aに入力されたON/OFF信号と入力端子108bに入力された遅延回路102_15の出力信号とを否定論理和した信号を、ノードn71として出力端子108cから出力する。
パラメータ調節回路107では、図13に示したように、遅延回路102_11〜102_15を直列に接続している。そして、初段の遅延回路102_11の入力端子102aに入力されたノードn71を、順次、時間Δtだけ遅延させて、次段の遅延回路102の入力端子102aに入力する。また、遅延回路102_11が時間Δtだけ遅延させたノードn71を、ノードn72としてオシレータ103_5の入力端子103aに、最終段の遅延回路102_15が時間5Δtだけ遅延させたノードn71を、ノードn77としてオシレータ103_6の入力端子103aに、それぞれ入力する。
より具体的には、遅延回路102_11は、入力されたノードn71を時間Δtだけ遅延させた信号を、ノードn72として出力端子102bから出力する。また、遅延回路102_12は、入力されたノードn72を時間Δtだけ遅延させた信号、すなわち、ノードn71を時間2Δtだけ遅延させた信号を、ノードn74として出力端子102bから出力する。また、遅延回路102_13は、入力されたノードn74を時間Δtだけ遅延させた信号、すなわち、ノードn71を時間3Δtだけ遅延させた信号を、ノードn75として出力端子102bから出力する。また、遅延回路102_14は、入力されたノードn75を時間Δtだけ遅延させた信号、すなわち、ノードn71を時間4Δtだけ遅延させた信号を、ノードn76として出力端子102bから出力する。また、遅延回路102_15は、入力されたノードn76を時間Δtだけ遅延させた信号、すなわち、ノードn71を時間5Δtだけ遅延させた信号を、ノードn77として出力端子102bから出力する。
また、オシレータ103_5には、遅延回路102_11の出力端子102bから出力されたノードn72が入力端子103aに入力され、パラメータ設定回路110の出力端子110aから出力された設定信号が入力端子103cに入力される。そして、オシレータ103_5は、ノードn72が“L”レベルから“H”レベルに切り替わるタイミングで、入力端子103cに入力された設定信号に基づいた周波数のクロックを、ノードn73として出力端子103bから出力する。また、オシレータ103_6には、遅延回路102_15の出力端子102bから出力されたノードn77が入力端子103aに入力され、パラメータ設定回路110の出力端子110aから出力された設定信号が入力端子103cに入力される。そして、オシレータ103_6は、ノードn77が“L”レベルから“H”レベルに切り替わるタイミングで、入力端子103cに入力された設定信号に基づいた周波数のクロックを、ノードn78として出力端子103bから出力する。
位相比較回路109は、入力端子109aに入力されたノードn73のクロックと、入力端子109bに入力されたノードn78のクロックとを比較し、ノードn73のクロックの立ち下がりエッジとノードn78のクロックの立ち上がりエッジとの時間差を検出する。そして、検出した時間差を表す信号(以下、「時間差信号」という)を、出力端子109cから出力する。
パラメータ設定回路110は、入力端子110bに入力された時間差信号に基づいて、ノードn73のクロックの立ち下がりエッジとノードn78のクロックの立ち上がりエッジとの時間差がより小さくなるパラメータを演算する。そして、演算した結果のパラメータを、設定信号として、出力端子110aおよび出力端子110cから出力する。パラメータ設定回路110の出力端子110aから出力された設定信号は、オシレータ103_5および103_6が出力するクロックの周波数を制御するためのパラメータとして、オシレータ103_5および103_6のそれぞれの入力端子103cに入力される。また、パラメータ設定回路110の出力端子110cから出力された設定信号は、パラメータ調節回路107が出力するパラメータとして、パラメータ調節回路107の出力端子107aから出力され、時間間隔変換装置15に備えたオシレータ103の入力端子103cに入力される。
なお、パラメータ設定回路110は、出力端子110aおよび出力端子110cのそれぞれから、同一のパラメータを設定信号として出力する。これにより、時間間隔変換装置15に備えたオシレータ103が出力するクロックの周波数と、パラメータ調節回路107内のオシレータ103_5および103_6のそれぞれが出力するクロックの周波数とは、同一の周波数になる。
次に、時間間隔変換装置15に備えたパラメータ調節回路107の動作について説明する。図14は、本第1の実施形態の内視鏡システム1に備えた時間間隔変換装置15におけるパラメータ調節回路107の動作のタイミングを示したタイミングチャートである。図14には、図13のパラメータ調節回路107の構成における各ノードのタイミングを示している。
まず、入力端子ON/OFFの信号が“H”レベルから“L”レベルに切り替えてパラメータ調節回路107の動作を開始すると、タイミングt1のときに、ノードn71が“L”レベルから“H”レベルに切り替わる。これにより、ノードn71を遅延回路102の1段分の時間Δtだけ遅延させたノードn72が、遅延回路102_11から出力される。同時に、オシレータ103_5がクロック(ノードn73)の出力を開始する。また、位相比較回路109は、ノードn73のクロックの立ち下がりエッジとノードn78のクロックの立ち上がりエッジとの時間差を逐次検出して、時間差信号を逐次、パラメータ設定回路110に出力する。
その後、遅延回路102_12〜遅延回路102_15は、入力されたノードn72を順次、遅延回路102の1段分の時間Δtだけ遅延させたノードn74〜ノードn77を出力する。そして、タイミングt2のときに、遅延回路102_11から出力されるノードn77が“L”レベルから“H”レベルに切り替わると、同時に、オシレータ103_6がクロック(ノードn78)の出力を開始する。タイミングt2からオシレータ103_6が出力するノードn78は、ノードn71から遅延回路102の5段分の時間5Δtだけ遅延させたクロックである。
このとき、パラメータ設定回路110は、位相比較回路109から逐次入力される時間差信号に基づいて、ノードn73の立ち下がりエッジのタイミングとノードn78の立ち上がりエッジのタイミングとが一致する方向のパラメータを、オシレータ103_5および103_6に設定する。これにより、オシレータ103_5および103_6の周波数は、1/(8Δt)、すなわち、時間8Δtの周期に近づくことになる。
これは、図13に示したパラメータ調節回路107の構成からもわかるように、ノードn72とノードn77との時間差は、時間4Δtである。従って、ノードn73の立ち下がりエッジのタイミングとノードn78の立ち上がりエッジのタイミングとの時間差も、時間4Δtとなる。そして、ノードn78の立ち上がりエッジのタイミングとノードn73の立ち下がりエッジのタイミングとを一致させることによって、ノードn73の半分の周期の期間も、時間4Δtとなる。このことから、ノードn73のクロックの周期は、時間8Δtとなる。また、ノードn78のクロックは、ノードn73のクロックと位相が逆で、周期が時間8Δtとなる。
なお、パラメータ設定回路110がオシレータ103_5および103_6に設定するパラメータは、オシレータ103が出力するクロックの周波数を制御するためのパラメータとして、パラメータ設定回路110の出力端子110c、すなわち、パラメータ調節回路107の出力端子107aから出力される。これにより、パラメータ設定回路110が、オシレータ103_5および103_6が出力するクロックの周波数を制御するのと同時に、時間間隔変換装置15に備えたオシレータ103が出力するクロックの周波数を制御することになる。
また、タイミングt2のときに、遅延回路102_15から出力されるノードn77が“L”レベルから“H”レベルに切り替わると、ノードn71が“H”レベルから“L”レベルに切り替わる。図14に示したタイミングチャートでは、NOR回路108の入力端子108bに入力されているノードn77が変化してから、出力端子108cのノードn71が変化するまでの遅延時間が、時間2Δtであるものとして示している。これにより、遅延回路102の1段分の時間Δtだけ遅延して、ノードn72も“H”レベルから“L”レベルに切り替わる。そして、同時に、オシレータ103_5がクロック(ノードn73)の出力を停止する。
その後、遅延回路102_12〜遅延回路102_15は、入力されたノードn72を順次、遅延回路102の1段分の時間Δtだけ遅延させたノードn74〜ノードn77を出力する。そして、タイミングt3のときに、遅延回路102_15から出力されるノードn77が“H”レベルから“L”レベルに切り替わると、同時に、オシレータ103_6がクロック(ノードn78)の出力を停止する。
また、タイミングt3のときに、遅延回路102_15から出力されるノードn77が“H”レベルから“L”レベルに切り替わると、NOR回路108の遅延時間2Δt後のタイミングt4のときに、ノードn71が再度“L”レベルから“H”レベルに切り替わる。以降、パラメータ調節回路107では、タイミングt1〜タイミングt4と同様に、オシレータ103_5および103_6の周波数が1/(8Δt)、すなわち、時間8Δtの周期になるように、パラメータ設定回路110によるオシレータ103_5および103_6へのパラメータの設定を繰り返す。
このように、パラメータ調節回路107では、NOR回路108と遅延回路102_11〜102_15によって、リング発振器を構成し、ノードn71の論理の切り替わりに基づいて、タイミングt1〜タイミングt4の動作を繰り返す。そして、パラメータ調節回路107では、タイミングt1〜タイミングt4の動作の繰り返しによって、ノードn73の立ち下がりエッジのタイミングとノードn78の立ち上がりエッジのタイミングとが一致する方向のパラメータの設定を、オシレータ103_5および103_6に繰り返す。これにより、オシレータ103_5および103_6の周波数は1/(8Δt)(周期=時間8Δt)に収束していくことになる。そして、時間間隔変換装置15では、このときのパラメータが、オシレータ103にも繰り返し設定され、オシレータ103の周波数も、1/(8Δt)(周期=時間8Δt)に収束していくことになる。オシレータ103の周波数が1/(8Δt)(周期=時間8Δt)に収束していくと、時間間隔変換装置15では、図10に示したように、ノードn15の立ち上がりエッジから時間Δtだけ遅延したタイミングと、ノードn12の立ち下がりエッジのタイミングとが一致することになる。
このように、時間間隔変換装置15では、オシレータ103が出力するクロックを遅延させる遅延回路102と同じ遅延回路(遅延回路102_11〜遅延回路102_15)を用いたリング発振器を、パラメータ調節回路107内に構成する。そして、時間間隔変換装置15においてオシレータ103が出力するクロックと同じ周波数のクロック(ノードn73のクロックとノードn78のクロック)をパラメータ調節回路107内で生成し、生成したクロックの周波数を、周期的に調節する。そして、パラメータ調節回路107内でのクロックの周波数を調節するパラメータと同じパラメータの設定を、オシレータ103に対して行うことによって、オシレータ103が出力するクロックの周波数を、周期的に調節する。すなわち、オシレータ103が出力するクロックを用いて直接的に周波数を調節するのではなく、別途生成した同じクロックを用いて、オシレータ103が出力するクロックの周波数を間接的に調節する。
このような構成によって、時間間隔変換装置15では、位相を違えた複数のクロックを生成し、電気パルス信号が表す時間間隔の期間内のエッジの数をカウントする。これにより、時間間隔変換装置15では、電気パルス信号が表す時間間隔をデジタル信号に変換する際の分解能を向上させることができる。このことにより、時間間隔変換装置15では、撮像部11が撮像した被検物内の映像のアナログの画素信号を、高い分解能でデジタルの映像信号に変換することができる。
また、時間間隔変換装置15では、パラメータ調節回路107によって、オシレータ103が出力するクロックの周波数が常に一定になるように、逐次周波数を調節する。これにより、時間間隔変換装置15では、時間間隔変換装置15を使用する環境の温度や電源電圧の変動、時間間隔変換装置15を製造する際の個体差などに起因した、隣り合うクロックのエッジ(立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジ)同士の間隔の変動(誤差)を、逐次補正し、電気パルス信号が表す時間間隔を精度良くデジタル信号に変換することができる。
上記に述べたとおり、本第1の実施形態の内視鏡システム1では、内視鏡スコープ2の先端部5に備えた時間変換器12および送信部13によって、撮像部11が撮像したアナログの画素信号の大きさを時間の長さを表す信号に変換して本体部3に伝送する。これにより、本第1の実施形態の内視鏡システム1では、被検物内に挿入する内視鏡スコープ2の先端部5内に、消費電力が大きい構成要素を備える必要がなく、先端部5の消費電力を低減し、発熱を抑えることができる。
また、本第1の実施形態の内視鏡システム1では、本体部3に備えた時間間隔変換装置15によって、伝送された時間の長さを表す信号における時間間隔、すなわち、内視鏡スコープ2の先端部5に備えた撮像部11が撮像したアナログの画素信号を、2進のデジタル信号、すなわち、デジタルの映像信号に変換する。これにより、本第1の実施形態の内視鏡システム1では、撮像部11が撮像したアナログの画素信号を、高い分解能で精度良くデジタルの映像信号に変換することができる。
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態の内視鏡システムについて説明する。なお、本第2の実施形態の内視鏡システムにおける全体の構成は、図1に示した第1の実施形態の内視鏡システム1の構成と同様である。従って、以下の説明においては、本第2の実施形態の内視鏡システムの全体の構成についての説明は省略し、本第2の実施形態の内視鏡システムの内部機能について、具体的に説明する。また、以下の説明においては、本第2の実施形態の内視鏡システムの構成要素において、図1に示した第1の実施形態の内視鏡システム1の構成要素、または図2に示した第1の実施形態の内視鏡システム1に備えた各構成要素の概略構成と同様の構成要素には、同一の符号を用いて説明する。
図15は、本第2の実施形態による内視鏡システムに備えた各構成要素の概略構成の一例を示したブロック図である。図15において、内視鏡システム20は、先端部52と、伝達部10_1および伝達部10_2と、本体部32と、モニタ4と、を備えている。図15には、本第2の実施形態の内視鏡システム20における内部機能の一例を示している。本第2の実施形態の内視鏡システム20は、図2に示した第1の実施形態の内視鏡システム1に備えた各構成要素の概略構成の一例おいて、先端部5に代わり先端部52を備え、本体部3に代わり本体部32を備えたことのみが異なる。また、この構成の違いにより、伝達部10が2個に分かれている。なお、図15においても、図2に示した第1の実施形態の内視鏡システム1の内部機能の一例と同様に、先端部52の動きの操作に係る操作部7を省略し、挿入部6、操作部7、ユニバーサルコード8、およびコネクタ部9をまとめて、伝達部10_1および伝達部10_2として表している。
先端部52は、撮像部11と、2個のサンプルホールド回路17_1〜17_2と、2個の時間変換器12_1〜12_2と、2個の送信部13_1〜13_2と、を備えている。撮像部11は、撮像した被検物内の画素信号を、サンプルホールド回路17_1とサンプルホールド回路17_2とのそれぞれに順次出力する。なお、撮像部11は、第1の実施形態の内視鏡システム1の先端部5に備えた撮像部11と同様の機能および動作であるため、詳細な説明は省略する。
サンプルホールド回路17_1とサンプルホールド回路17_2とは、それぞれ、撮像部11から入力された画素信号を、予め定められたタイミングでサンプルホールドし、サンプルホールドした画素信号(以下、「サンプリング信号」という)を、対応する時間変換器12_1または時間変換器12_2に、それぞれ出力する。より具体的には、サンプルホールド回路17_1は、撮像部11から入力された奇数番目の画素信号をサンプルホールドし、次の偶数番目の画素信号が撮像部11から入力されている間、サンプルホールドした奇数番目のサンプリング信号を第1サンプリング信号として、対応する時間変換器12_1に出力する。また、サンプルホールド回路17_2は、撮像部11から入力された偶数番目の画素信号をサンプルホールドし、次の奇数番目の画素信号が撮像部11から入力されている間、サンプルホールドした偶数番目のサンプリング信号を第2サンプリング信号として、対応する時間変換器12_2に出力する。
時間変換器12_1と時間変換器12_2とは、それぞれ、対応するサンプルホールド回路17_1またはサンプルホールド回路17_2から入力されたサンプリング信号(画素信号)の大きさを、時間の長さに変換するための時間情報を、対応する送信部13_1または送信部13_2に、それぞれ出力する。より具体的には、時間変換器12_1は、対応するサンプルホールド回路17_1から入力された第1サンプリング信号(奇数番目の画素信号)の時間情報を、第1時間情報として、対応する送信部13_1に出力する。また、時間変換器12_2は、対応するサンプルホールド回路17_2から入力された第2サンプリング信号(偶数番目の画素信号)の時間情報を、第2時間情報として、対応する送信部13_2に出力する。なお、時間変換器12_1および時間変換器12_2のそれぞれは、第1の実施形態の内視鏡システム1の先端部5に備えた時間変換器12と同様の機能および動作であるため、詳細な説明は省略する。
送信部13_1と送信部13_2とは、それぞれ、対応する時間変換器12_1または時間変換器12_2から入力された時間情報に基づいて、サンプリング信号(画素信号)の大きさをパルス幅で表す光パルス信号を、それぞれ伝送する。より具体的には、送信部13_1は、対応する時間変換器12_から入力された第1時間情報に基づいた光パルス信号を、第1光パルス信号として伝送する。また、送信部13_2は、対応する時間変換器12_から入力された第2時間情報に基づいた光パルス信号を、第2光パルス信号として伝送する。なお、送信部13_1および送信部13_2のそれぞれは、第1の実施形態の内視鏡システム1の先端部5に備えた送信部13と同様の機能および動作であるため、詳細な説明は省略する。
伝達部10_1と伝達部10_2とは、それぞれ、内部に備えた光導波路によって、対応する送信部13_1または送信部13_2から伝送された光パルス信号を、先端部52の外部、すなわち、被検物の外部に導く(伝送する)。図15では、伝達部10_1および伝達部10_2の内部に備えた光導波路が「光ファイバ」である場合を示している。
本体部32は、2個の受信部14_1〜14_2と、2個の時間間隔変換装置15_1〜15_2と、ビデオプロセッサ16と、を備えている。受信部14_1と受信部14_2とは、それぞれ、対応する伝達部10_1または伝達部10_2を介して送信部13_1または送信部13_2から伝送された光パルス信号を、電気パルス信号に変換し、対応する時間間隔変換装置15_1または時間間隔変換装置15_2に、それぞれ出力する。より具体的には、受信部14_1は、対応する伝達部10_1を介して送信部13_1から伝送された第1光パルス信号を変換した電気パルス信号を、第1電気パルス信号として、対応する時間間隔変換装置15_1に出力する。また、受信部14_2は、対応する伝達部10_2を介して送信部13_2から伝送された第2光パルス信号を変換した電気パルス信号を、第2電気パルス信号として、対応する時間間隔変換装置15_2に出力する。なお、受信部14_1および受信部14_2のそれぞれは、第1の実施形態の内視鏡システム1の本体部3に備えた受信部14と同様の機能および動作であるため、詳細な説明は省略する。
時間間隔変換装置15_1と時間間隔変換装置15_2とは、それぞれ、対応する受信部14_1または受信部14_2から入力された電気パルス信号に基づいて、電気パルス信号が表す時間間隔をデジタル信号に変換し、ビデオプロセッサ16に出力する。より具体的には、時間間隔変換装置15_1は、対応する受信部14_1から入力された第1電気パルス信号が表す時間間隔を変換したデジタル信号を、第1デジタル信号として、ビデオプロセッサ16に出力する。また、時間間隔変換装置15_2は、対応する受信部14_2から入力された第2電気パルス信号が表す時間間隔を変換したデジタル信号を、第2デジタル信号として、ビデオプロセッサ16に出力する。なお、時間間隔変換装置15_1および時間間隔変換装置15_2のそれぞれは、第1の実施形態の内視鏡システム1の本体部3に備えた時間間隔変換装置15と同様の機能および動作であるため、詳細な説明は省略する。
ビデオプロセッサ16は、時間間隔変換装置15_1および時間間隔変換装置15_2から入力された第1デジタル信号および第2デジタル信号を処理し、第1デジタル信号と第2デジタル信号とを合わせたデジタル信号に基づいた画像、すなわち、先端部52の撮像部11が撮像した被検物内の映像を、モニタ4に表示させる。
次に、本第2の実施形態の内視鏡システム20の動作について説明する。図16は、本第2の実施形態の内視鏡システム20におけるそれぞれの信号の関係を示したタイミングチャートである。図16において、「画素信号」は、撮像部11が出力する被検物内の映像に応じた画素信号(アナログの電気信号)の一例を示している。図16には、撮像部11から4つの画素の画素信号(画素信号P1〜P4)が順次出力される場合のタイミングを示している。また、「第1光パルス信号」は、送信部13_1が伝送する光パルス信号の一例を示し、「第2光パルス信号」は、送信部13_2が伝送する光パルス信号の一例を模式的に示している。また、「第1電気パルス信号」は、伝達部10_1を介して伝送された第1光パルス信号を、受信部14_1が電気信号に変換して時間間隔変換装置15_1に出力する電気パルス信号の一例を示し、「第2電気パルス信号」は、伝達部10_2を介して伝送された第2光パルス信号を、受信部14_2が電気信号に変換して時間間隔変換装置15_2に出力する電気パルス信号の一例を示している。
撮像部11は、それぞれの画素が撮像した映像の光量(光強度)に応じたそれぞれの大きさ(電圧)の画素信号(画素信号P1〜P4)を順次出力する。そして、サンプルホールド回路17_1は、撮像部11が出力した奇数番目の画素信号P1または画素信号P3をサンプルホールドし、次の偶数番目の画素信号P2または画素信号P4が撮像部11から入力されている間、第1サンプリング信号として出力する。また、サンプルホールド回路17_2は、撮像部11が出力した偶数番目の画素信号P2または画素信号P4をサンプルホールドし、次の奇数番目の画素信号P3または画素信号P5が撮像部11から入力されている間、第2サンプリング信号として出力する。
そして、時間変換器12_1は、サンプルホールド回路17_1が出力した第1サンプリング信号の電圧値の大きさに応じた、それぞれの第1時間情報(パルス信号)を生成し、送信部13_1は、時間変換器12_1がそれぞれ生成した第1時間情報に対応したパルス幅の第1光パルス信号を生成する。また、時間変換器12_2は、サンプルホールド回路17_2が出力した第2サンプリング信号の電圧値の大きさに応じた、それぞれの第2時間情報(パルス信号)を生成し、送信部13_2は、時間変換器12_2がそれぞれ生成した第2時間情報に対応したパルス幅の第2光パルス信号を生成する。
図16に示した光パルス信号の一例では、サンプリング信号(画素信号)の電圧値が小さい程“H”レベルのパルス幅が広く、サンプリング信号(画素信号)の電圧値が大きい程“H”レベルのパルス幅が狭い、光パルス信号を生成する場合を示している。すなわち、図16に示した光パルス信号の一例では、それぞれのパルスの立ち上がりエッジのタイミングから立ち下がりエッジのタイミングまでの時間が、それぞれのサンプリング信号(画素信号P1〜P4)の電圧値の大きさを表している。
送信部13_1は、時間変換器12_1が出力した第1時間情報に基づいて生成した第1光パルス信号を、本体部32に伝送する。また、送信部13_2は、時間変換器12_2が出力した第2時間情報に基づいて生成した第2光パルス信号を、本体部32に伝送する。送信部13_1が伝送した第1光パルス信号は、伝達部10_1を介して受信部14_1に到達し、受信部14_1によって第1電気パルス信号に変換されて、時間間隔変換装置15_1に入力される。また、送信部13_2が伝送した第2光パルス信号は、伝達部10_2を介して受信部14_2に到達し、受信部14_2によって第2電気パルス信号に変換されて、時間間隔変換装置15_2に入力される。これにより、時間変換器12_1が出力した第1時間情報(パルス信号)のそれぞれが、一定の時間遅延して時間間隔変換装置15_1に順次入力され、時間変換器12_2が出力した第2時間情報(パルス信号)のそれぞれが、一定の時間遅延して時間間隔変換装置15_2に順次入力されることになる。
時間間隔変換装置15_1は、入力された第1電気パルス信号の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジの時間幅(時間間隔)、すなわち、奇数番目の画素信号P1または画素信号P3のそれぞれの画素信号の電圧値の大きさを、2進の第1のデジタル信号にそれぞれ変換してビデオプロセッサ16に順次出力する。また、時間間隔変換装置15_2は、入力された第2電気パルス信号の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジの時間幅(時間間隔)、すなわち、偶数番目の画素信号P2または画素信号P4のそれぞれの画素信号の電圧値の大きさを、2進の第2のデジタル信号にそれぞれ変換してビデオプロセッサ16に順次出力する。
そして、ビデオプロセッサ16は、時間間隔変換装置15_1および時間間隔変換装置15_2から順次入力された第1デジタル信号と第2デジタル信号とを合わせたデジタル信号を処理した画像を、モニタ4に表示させる。
上記に述べたとおり、本第2の実施形態の内視鏡システム20では、撮像部11から入力された画素信号をサンプルホールドすることによって、奇数番目と偶数番目との画素信号を並列に処理する。これにより、時間変換器12_1と時間変換器12_2とが、画素信号の大きさをそれぞれ時間情報に変換する際の時間幅(時間間隔)を長くすることができる。このことにより、本体部32に備えた時間間隔変換装置15が、伝送された時間情報をデジタル信号に変換する際の有効なビット数を増やすことができる。これにより、本第2の実施形態の内視鏡システム20では、デジタル信号の分解能を向上し、アナログの画素信号をデジタルの映像信号に変換する際の信号品質の向上を図ることができる。
なお、本第2の実施形態の内視鏡システム20では、撮像部11から入力された画素信号をサンプルホールドすることによって、奇数番目と偶数番目との画素信号を並列に処理する場合について説明した。すなわち、先端部52に、2個のサンプルホールド回路17_1〜17_2と、2個の時間変換器12_1〜12_2と、2個の送信部13_1〜13_2と、を備え、本体部32に、2個の受信部14_1〜14_2と、2個の時間間隔変換装置15_1〜15_2と、を備えた場合について説明した。しかし、並列に処理する画素信号は、奇数番目と偶数番目とに限定されるものではなく、さらに多くの画素信号を並列に処理する構成にすることもできる。この場合には、並列に処理する画素信号の数に応じて、先端部52に備えるサンプルホールド回路17と、時間変換器12と、送信部13の数、および本体部32に備える受信部14と時間間隔変換装置15との数を変更し、ビデオプロセッサ16は、それぞれの時間間隔変換装置15から順次入力されたそれぞれのデジタル信号を合わせて処理をする。これにより、本体部32に備えた時間間隔変換装置15が、伝送された時間情報をデジタル信号に変換する際の有効なビット数を増やすことができ、デジタル信号の分解能をさらに向上し、アナログの画素信号をデジタルの映像信号に変換する際の信号品質のさらなる向上を図ることができる。
<第3の実施形態>
次に、第3の実施形態の内視鏡システムについて説明する。なお、本第3の実施形態の内視鏡システムにおける全体の構成は、図1に示した第1の実施形態の内視鏡システム1の構成と同様である。従って、以下の説明においては、本第3の実施形態の内視鏡システムの全体の構成についての説明は省略し、本第3の実施形態の内視鏡システムの内部機能について、具体的に説明する。また、以下の説明においては、本第3の実施形態の内視鏡システムの構成要素において、図1に示した第1の実施形態の内視鏡システム1の構成要素、または図2に示した第1の実施形態の内視鏡システム1に備えた各構成要素の概略構成と同様の構成要素には、同一の符号を用いて説明する。
図17は、本第3の実施形態による内視鏡システムに備えた各構成要素の概略構成の一例を示したブロック図である。図17において、内視鏡システム30は、先端部53と、伝達部10と、本体部33と、モニタ4と、を備えている。図17には、本第3の実施形態の内視鏡システム30における内部機能の一例を示している。本第3の実施形態の内視鏡システム30は、図2に示した第1の実施形態の内視鏡システム1に備えた各構成要素の概略構成の一例おいて、先端部5に代わり先端部53を備え、本体部3に代わり本体部33を備えたことのみが異なる。なお、図17においても、図2に示した第1の実施形態の内視鏡システム1の内部機能の一例と同様に、先端部53の動きの操作に係る操作部7を省略し、挿入部6、操作部7、ユニバーサルコード8、およびコネクタ部9をまとめて、伝達部10として表している。
先端部53は、撮像部11と、時間変換器19と、送信部21と、を備えている。撮像部11は、撮像した被検物内の画素信号を、時間変換器19に出力する。なお、撮像部11は、第1の実施形態の内視鏡システム1の先端部5に備えた撮像部11と同様の機能および動作であるため、詳細な説明は省略する。
時間変換器19は、撮像部11から入力された画素信号の大きさを、異なる複数の時間の長さに変換するための複数の時間情報を、それぞれ送信部21に出力する。より具体的には、時間変換器19は、撮像部11から入力された画素信号の大きさを、異なる複数の時間幅(時間間隔)で表すための複数のパルス信号を生成する。図17に示した内視鏡システム30における時間変換器19は、画素信号の大きさを5種類の時間情報で表す場合の一例を示している。
時間変換器19には、撮像部11から出力された画素信号が入力端子19aに入力され、入力された画素信号の大きさに応じた時間間隔が開始されるタイミングを表すパルス信号を、出力端子19bから出力する。また、時間変換器19は、入力された画素信号の大きさに応じた時間間隔が終了されるタイミングを表す5種類のパルス信号を、出力端子19c〜出力端子19gからそれぞれ出力する。ここで、時間変換器19は、出力端子19d〜出力端子19gのそれぞれから出力するパルス信号が表す時間幅が、出力端子19cから出力するパルス信号が表す時間幅に対して、それぞれ2倍、3倍、4倍、および5倍の時間幅となるように構成されている。なお、時間変換器19の構成、および時間変換器19による画素信号から5種類の時間情報を生成する方法に関する詳細な説明は、後述する。
送信部21は、時間変換器19から入力された時間情報に基づいて、画素信号の大きさをパルス幅で表す光パルス信号を伝送する。より具体的には、送信部21は、時間変換器19から入力された5種類の時間情報に基づいて、1つの光パルス信号を生成し、生成した光パルス信号を伝送する。なお、送信部21による複数の時間情報から1つの光パルス信号を生成する方法に関する詳細な説明は、後述する。
伝達部10は、内部に備えた光導波路によって、送信部21から伝送された光パルス信号を、先端部53の外部、すなわち、被検物の外部に導く(伝送する)。図17では、図2に示した第1の実施形態の内視鏡システム1における伝達部10と同様に、伝達部10の内部に備えた光導波路が「光ファイバ」である場合を示している。
本体部33は、受信部22と、5個の時間間隔変換装置15_1〜15_5と、選択装置23と、ビデオプロセッサ16と、を備えている。なお、以下の説明においては、時間間隔変換装置15_1〜15_5のいずれか1つの時間間隔変換装置を示すときには、「時間間隔変換装置15」という。受信部22は、伝達部10を介して送信部21から伝送された光パルス信号を、異なる複数の時間の長さで表される複数の電気パルス信号に変換し、変換したそれぞれの電気パルス信号を、対応する時間間隔変換装置15のそれぞれに出力する。図17に示した内視鏡システム30における受信部22は、画素信号の大きさを表した5種類の電気パルス信号を、対応する時間間隔変換装置15_1〜15_5のそれぞれに出力する場合の一例を示している。なお、受信部22は、複数の電気パルス信号をそれぞれ出力する以外は、第1の実施形態の内視鏡システム1の本体部3に備えた受信部14と同様であるため、詳細な説明は省略する。
時間間隔変換装置15_1〜15_5のそれぞれは、受信部22から入力された対応する電気パルス信号に基づいて、電気パルス信号が表す時間間隔を2進のデジタル信号に変換し、変換したデジタル信号を、それぞれ選択装置23に出力する。時間間隔変換装置15_1〜15_5のそれぞれは、時間変換器19のそれの出力端子から出力されるパルス信号が表す5種類の時間幅のそれぞれに対応している。図17に示した内視鏡システム30における時間間隔変換装置15_1〜15_5は、時間変換器19が出力する5種類の時間情報のそれぞれに対応した構成の一例を示している。
より具体的には、時間間隔変換装置15_1は、時間変換器19の出力端子19bと出力端子19cから出力される時間情報(パルス信号)の時間幅に対応し、1倍の時間幅を表すデジタル信号を出力する。また、時間間隔変換装置15_2は、時間変換器19の出力端子19bと出力端子19dから出力される時間情報(パルス信号)の時間幅に対応し、2倍の時間幅を表すデジタル信号を出力する。また、時間間隔変換装置15_3は、時間変換器19の出力端子19bと出力端子19eから出力される時間情報(パルス信号)の時間幅に対応し、3倍の時間幅を表すデジタル信号を出力する。また、時間間隔変換装置15_4は、時間変換器19の出力端子19bと出力端子19fから出力される時間情報(パルス信号)の時間幅に対応し、4倍の時間幅を表すデジタル信号を出力する。また、時間間隔変換装置15_5は、時間変換器19の出力端子19bと出力端子19gから出力される時間情報(パルス信号)の時間幅に対応し、5倍の時間幅を表すデジタル信号を出力する。なお、時間間隔変換装置15_1〜15_5のそれぞれは、第1の実施形態の内視鏡システム1の本体部3に備えた時間間隔変換装置15と同様の機能および動作であるため、詳細な説明は省略する。
選択装置23は、時間間隔変換装置15_1〜15_5のそれぞれから入力された複数のデジタル信号の中から、予め定めた映像信号の処理期間内に変換を完了したデジタル信号の内、変換前の時間間隔が最長であるデジタル信号を選択し、選択したデジタル信号を処理してビデオプロセッサ16に出力する。図17に示した内視鏡システム30における選択装置23は、画素信号の大きさを表す5種類のデジタル信号から1つのデジタル信号を選択する構成の一例を示している。選択装置23による選択したデジタル信号に対する処理は、時間間隔変換装置15_1〜15_5のいずれの時間間隔変換装置15から入力されたデジタル信号を選択した場合でも、同じ大きさの画素信号を表すデジタル信号を同じ尺度で処理することができるようにするための処理である。これにより、同じ大きさの画素信号を表すデジタル信号が、いずれの時間間隔変換装置15から出力された場合でも、選択装置23から同じデジタル信号が出力され、ビデオプロセッサ16は、同じ処理でデジタル信号に基づいた画像をモニタ4に表示させることができる。
より具体的には、選択装置23が、時間間隔変換装置15_1から入力されたデジタル信号を、例えば、予め定めた一定の倍率である60倍したデジタル信号、すなわち、1倍の時間幅のデジタル信号を、1倍〜5倍の時間幅の最小公倍数である60倍にしたデジタル信号を、ビデオプロセッサ16に出力するデジタル信号とする場合の処理を考える。このとき、選択装置23が、時間間隔変換装置15_1から入力されたデジタル信号を最大のデジタル信号として選択した場合、すなわち、時間変換器19が出力した1倍の時間幅を表す時間情報に基づいたデジタル信号を選択した場合、選択したデジタル信号を60倍してビデオプロセッサ16に出力する。また、選択装置23が、時間間隔変換装置15_2から入力されたデジタル信号を最大のデジタル信号として選択した場合、すなわち、時間変換器19が出力した2倍の時間幅を表す時間情報に基づいたデジタル信号を選択した場合、選択したデジタル信号を30倍してビデオプロセッサ16に出力する。また、選択装置23が、時間間隔変換装置15_3から入力されたデジタル信号を最大のデジタル信号として選択した場合、すなわち、時間変換器19が出力した3倍の時間幅を表す時間情報に基づいたデジタル信号を選択した場合、選択したデジタル信号を20倍してビデオプロセッサ16に出力する。また、選択装置23が、時間間隔変換装置15_4から入力されたデジタル信号を最大のデジタル信号として選択した場合、すなわち、時間変換器19が出力した4倍の時間幅を表す時間情報に基づいたデジタル信号を選択した場合、選択したデジタル信号を15倍してビデオプロセッサ16に出力する。また、選択装置23が、時間間隔変換装置15_5から入力されたデジタル信号を最大のデジタル信号として選択した場合、すなわち、時間変換器19が出力した5倍の時間幅を表す時間情報に基づいたデジタル信号を選択した場合、選択したデジタル信号を12倍してビデオプロセッサ16に出力する。これにより、選択装置23からビデオプロセッサ16に出力するデジタル信号は、時間間隔変換装置15_1〜15_5のいずれの時間間隔変換装置15の信号が選択された場合でも、同じ尺度の画素信号を表すデジタル信号となる。
このように、選択装置23が、時間変換器19が時間情報を出力する際の特性(倍率)に応じた逓倍処理を、出力するデジタル信号に対して行うことによって、ビデオプロセッサ16では、時間間隔変換装置15_1〜15_5のいずれの時間間隔変換装置15から出力されたデジタル信号であっても、同じ尺度で処理することができる。なお、選択装置23による5種類のデジタル信号から1つのデジタル信号を選択する方法に関する詳細な説明は、後述する。
ビデオプロセッサ16は、選択装置23から入力されたデジタル信号を処理し、デジタル信号に基づいた画像、すなわち、先端部53の撮像部11が撮像した被検物内の映像を、モニタ4に表示させる。
ここで、先端部53に備えた時間変換器19および送信部21による、撮像部11から入力された画素信号の大きさを、5種類の時間の長さに変換して伝送する方法、および本体部33に備えた選択装置23による、5種類のデジタル信号から1つのデジタル信号を選択する方法の具体的な例について説明する。
<画素信号の大きさの5種類の時間の長さへの変換方法の一例>
まず、本第3の実施形態の内視鏡システム30における内視鏡スコープ2の先端部53に備えることが想定される時間変換器19の一例について説明する。図18は、本第3の実施形態の内視鏡システム30に備えた時間変換器19の概略構成の一例を示したブロック図である。図18には、50個の反転回路が直列に接続された時間変換器19の構成の一例を示している。図18において、時間変換器19は、パルス発生器180と、50個の反転回路18_1〜18_50と、を備えている。時間変換器19は、図4に示した第1の実施形態の内視鏡システム1に備えることが想定される時間変換器12の反転回路18の個数を増加し、10個の反転回路18の毎にOUTパルス信号を出力することのみが異なる。従って、以下の説明においては、時間変換器12と同様の機能および動作である構成要素には同一の符号を用い、時間変換器19のそれぞれの構成要素の詳細な説明は省略する。なお、反転回路18_1〜18_50のいずれか1つの反転回路を示すときには、図4に示した時間変換器12と同様に、「反転回路18」という。
パルス発生器180は、撮像部11に備えた固体撮像装置のそれぞれの画素に対応した画素信号が時間変換器19に入力される毎に、入力されたそれぞれの画素の画素信号の時間への変換を開始するためのINパルス信号を出力する。
全ての反転回路18の電源端子18cには、時間変換器19の入力端子19aに入力された画素信号が、電源Vinとして入力される。それぞれの反転回路18は、入力端子18aに入力されたINパルス信号、または前段の反転回路18の出力信号を反転(論理否定)した信号を、電源端子18cに入力された電源Vinの電圧値に応じた遅延時間だけ遅延させて、出力端子18bから出力する。
これにより、反転回路18_10の出力端子18bから、INパルス信号を10段分遅延させた第1OUTパルス信号が出力される。また、反転回路18_20の出力端子18bから、INパルス信号を20段分遅延させた、すなわち、第1OUTパルス信号の2倍の遅延時間の第2OUTパルス信号が出力される。また、反転回路18_30の出力端子18bから、INパルス信号を30段分遅延させた、すなわち、第1OUTパルス信号の3倍の遅延時間の第3OUTパルス信号が出力される。また、反転回路18_40の出力端子18bから、INパルス信号を40段分遅延させた、すなわち、第1OUTパルス信号の4倍の遅延時間の第4OUTパルス信号が出力される。また、反転回路18_50の出力端子18bから、INパルス信号を50段分遅延させた、すなわち、第1OUTパルス信号の5倍の遅延時間の第5OUTパルス信号が出力される。
時間変換器19は、パルス発生器180が出力したINパルス信号と、反転回路18_10が出力した第1OUTパルス信号と、反転回路18_20が出力した第2OUTパルス信号と、反転回路18_30が出力した第3OUTパルス信号と、反転回路18_40が出力した第4OUTパルス信号と、反転回路18_50が出力した第5OUTパルス信号とを、撮像部11から入力された画素信号の大きさを時間の長さに変換するための時間情報として、出力端子19b〜出力端子19gから出力する。
なお、時間変換器19の出力端子19bから出力するINパルス信号は、入力された画素信号の大きさに応じた時間間隔が開始されるタイミングを表すパルス信号であり、出力端子19c〜出力端子19gからそれぞれ出力する第1OUTパルス信号〜第5OUTパルス信号は、入力された画素信号の大きさに応じた時間間隔が終了されるタイミングをそれぞれ表すパルス信号である。以下の説明においては、第1OUTパルス信号〜第5OUTパルス信号のいずれか1つのOUTパルス信号を示すときには、単に「OUTパルス信号」という。
このような構成によって、時間変換器19は、画素信号の大きさを表した5種類の時間情報、すなわち、出力端子19cから出力するパルス信号が表す時間幅を1倍としたとき、1倍〜5倍の時間幅となる5種類の時間情報を、出力端子19b〜出力端子19gから出力する。
次に、本第3の実施形態の内視鏡システム30において、時間情報に基づいた画素信号の大きさをパルス幅で表す光パルス信号の生成方法について説明する。図19は、本第3の実施形態の内視鏡システム30における光パルス信号の生成方法を示したタイミングチャートである。図19には、撮像部11から入力された1つの画素の画素信号に対応した光パルス信号を生成する場合のタイミングを示している。
図19に示したように、時間変換器19は、撮像部11から時間に変換すべき画素信号が、電源Vinとして時間変換器19の入力端子19aに入力された後、パルス発生器180が出力したINパルス信号を、時間情報として出力端子19bから出力する。また、図19に示したように、時間変換器19は、反転回路18_10が出力した第1OUTパルス信号と、反転回路18_20が出力した第2OUTパルス信号と、反転回路18_30が出力した第3OUTパルス信号と、反転回路18_40が出力した第4OUTパルス信号と、最終段の反転回路18_50が出力した第5OUTパルス信号とを、時間情報として出力端子19c〜出力端子19gから出力する。
ここで、時間変換器19が出力したINパルス信号の立ち上がりエッジのタイミングと、第1OUTパルス信号の立ち上がりエッジのタイミングとの時間差を変換時間Dであるとすると、INパルス信号の立ち上がりエッジのタイミングと、第2OUTパルス信号〜第5OUTパルス信号のそれぞれの立ち上がりエッジのタイミングとの時間差は、それぞれ変換時間Dの2倍〜5倍となる。
送信部21は、時間変換器19から入力されたINパルス信号と、第1OUTパルス信号〜第5OUTパルス信号とに応じて、それぞれの変換時間をパルス幅で表した光パルス信号を生成する。図19では、送信部21が、INパルス信号および第1OUTパルス信号〜第5OUTパルス信号の立ち上がりエッジのタイミング毎に、発光と消光とを繰り返すことによって、1チャンネルで全て(5種類)の時間情報を備えた光パルス信号を生成する場合を示している。より具体的には、INパルス信号の立ち上がりエッジのタイミングで1回目の発光、第1OUTパルス信号の立ち上がりエッジのタイミングで1回目の消光、第2OUTパルス信号の立ち上がりエッジのタイミングで2回目の発光、第3OUTパルス信号の立ち上がりエッジのタイミングで2回目の消光、第4OUTパルス信号の立ち上がりエッジのタイミングで3回目の発光、第5OUTパルス信号の立ち上がりエッジのタイミングで3回目の消光を行うことによって、1チャンネルで全ての時間情報を備えた光パルス信号を生成する。
そして、受信部22は、伝達部10を介して送信部21から伝送された光パルス信号を、5種類の電気パルス信号に変換し、変換した5種類の電気パルス信号を、それぞれ対応する時間間隔変換装置15に出力する。より具体的には、受信部22は、光パルス信号の1回目の発光から1回目の消光までのタイミングを表す電気パルス信号、すなわち、変換時間Dを表す電気パルス信号を、時間間隔変換装置15_1に出力する。また、受信部22は、光パルス信号の1回目の発光から2回目の発光までのタイミングを表す電気パルス信号、すなわち、変換時間Dの2倍の変換時間D×2を表す電気パルス信号を、時間間隔変換装置15_2に出力する。また、受信部22は、光パルス信号の1回目の発光から2回目の消光までのタイミングを表す電気パルス信号、すなわち、変換時間Dの3倍の変換時間D×3を表す電気パルス信号を、時間間隔変換装置15_3に出力する。また、受信部22は、光パルス信号の1回目の発光から3回目の発光までのタイミングを表す電気パルス信号、すなわち、変換時間Dの4倍の変換時間D×4を表す電気パルス信号を、時間間隔変換装置15_4に出力する。また、受信部22は、光パルス信号の1回目の発光から3回目の消光までのタイミングを表す電気パルス信号、すなわち、変換時間Dの5倍の変換時間D×5を表す電気パルス信号を、時間間隔変換装置15_5に出力する。
なお、図19では、時間変換器19がINパルス信号および第1OUTパルス信号〜第5OUTパルス信号を全て出力する、すなわち、5種類の時間情報を全て出力する場合のタイミングチャートを示した。しかし、実際には、時間に変換すべき複数の画素信号が、画素毎に撮像部11から順次入力されてくるため、時間変換器19が、入力された画素信号の大きさに基づいて時間情報を出力するために使うことができる時間は、画素信号の大きさに係わらす同じ時間である。すなわち、時間変換器19が1つの画素の画素信号の大きさに応じた時間情報を出力するために使用することができる時間は、予め定めた期間(以下、「映像信号処理期間」という)内に限定される。このため、例えば、画素信号(電源Vin)の電圧値が小さい場合には、パルス発生器180が出力したINパルス信号が、時間変換器19に備えた全ての反転回路18を通過せず、第1OUTパルス信号〜第5OUTパルス信号の全てのOUTパルス信号を出力することができないこともある。
そこで、時間変換器19には、映像信号処理期間が経過する毎に、現在入力されている画素信号の時間情報への変換の処理をリセットする機能を備える。そして、時間変換器19は、5種類の時間情報を全て出力していない場合でも、映像信号処理期間の周期毎にリセットを行い、次に入力される画素信号の時間情報への変換処理の準備を行う。これにより、時間変換器19は、映像信号処理期間の周期毎に、INパルス信号と、INパルス信号が通過した反転回路18までのOUTパルス信号とを、時間情報として出力する。
これにより、時間間隔変換装置15_1〜15_5の中には、受信部22から電気パルス信号が入力されない時間間隔変換装置15が存在することもある。このため、選択装置23が、時間間隔変換装置15_1〜15_5のそれぞれから入力された複数のデジタル信号の中から、映像信号処理期間内に得られた最大のデジタル信号を選択してビデオプロセッサ16に出力する。
<5種類の時間の長さ(時間間隔)を変換したデジタル信号の選択方法の一例>
続いて、本第3の実施形態の内視鏡システム30における本体部3に備えた選択装置23によるデジタル信号の選択方法の一例について説明する。図20は、本第3の実施形態の内視鏡システム30に備えた選択装置23によるデジタル信号の選択方法を説明する図である。図20には、時間変換器19が時間情報に変換する画素信号(電源Vin)と変換時間Dとの関係を示している。
図20に示したように、時間変換器19は、1次の分数関数を有する5種類の入出力特性を持っていることになる。そして、時間変換器19の映像信号処理期間を、時間変換器19の入出力特性に重ね合わせると、図20に示したように、画素信号(電源Vin)の電圧値の大きさの範囲によって、5個の領域(領域M1〜M5)に分けることができる。
より具体的には、図20に示したように、画素信号(電源Vin)の電圧値が最も大きい領域M1では、映像信号処理期間内に全ての反転回路18をINパルス信号が通過するため、時間変換器19は、映像信号処理期間内に全ての時間情報(第1OUTパルス信号〜第5OUTパルス信号)を出力する。また、画素信号(電源Vin)の電圧値が少し小さくなった領域M2では、映像信号処理期間内に少なくとも反転回路18_40までをINパルス信号が通過することによって、時間変換器19は、映像信号処理期間内に4種類の時間情報(第1OUTパルス信号〜第4OUTパルス信号)を出力する。また、画素信号(電源Vin)の電圧値がさらに小さくなった領域M3では、映像信号処理期間内に少なくとも反転回路18_30までをINパルス信号が通過することによって、時間変換器19は、映像信号処理期間内に3種類の時間情報(第1OUTパルス信号〜第3OUTパルス信号)を出力する。また、画素信号(電源Vin)の電圧値がさらに小さくなった領域M4では、映像信号処理期間内に少なくとも反転回路18_20までをINパルス信号が通過することによって、時間変換器19は、映像信号処理期間内に2種類の時間情報(第1OUTパルス信号および第2OUTパルス信号)を出力する。また、画素信号(電源Vin)の電圧値が最も小さい領域M5では、映像信号処理期間内に少なくとも反転回路18_10までしかINパルス信号が通過することができず、時間変換器19は、映像信号処理期間内に1種類の時間情報(第1OUTパルス信号)のみを出力する。
このように、時間変換器19は、画素信号(電源Vin)の電圧値に応じて、異なる数の時間情報を出力することになり、全ての時間間隔変換装置15に、受信部22から電気パルス信号が入力されることにはならない。このため、選択装置23には、全ての時間間隔変換装置15からデジタル信号が入力されることにはならない。
選択装置23は、時間間隔変換装置15_1から時間間隔変換装置15_5の順に変換したデジタル信号を受け、映像信号処理期間内に最後に受けた時間間隔変換装置からのデジタル信号を選択する。より具体的には、選択装置23は、全ての時間間隔変換装置15からデジタル信号が入力された場合、すなわち、画素信号(電源Vin)の電圧値が領域M1の範囲内の電圧値である場合には、時間間隔変換装置15_5から入力されたデジタル信号を選択する。また、選択装置23は、時間間隔変換装置15_1〜15_4のそれぞれからデジタル信号が入力された場合、すなわち、画素信号(電源Vin)の電圧値が領域M2の範囲内の電圧値である場合には、時間間隔変換装置15_4から入力されたデジタル信号を選択する。また、選択装置23は、時間間隔変換装置15_1〜15_3のそれぞれからデジタル信号が入力された場合、すなわち、画素信号(電源Vin)の電圧値が領域M3の範囲内の電圧値である場合には、時間間隔変換装置15_3から入力されたデジタル信号を選択する。また、選択装置23は、時間間隔変換装置15_1および時間間隔変換装置15_2のそれぞれからデジタル信号が入力された場合、すなわち、画素信号(電源Vin)の電圧値が領域M4の範囲内の電圧値である場合には、時間間隔変換装置15_2から入力されたデジタル信号を選択する。また、選択装置23は、時間間隔変換装置15_1のみからデジタル信号が入力された場合、すなわち、画素信号(電源Vin)の電圧値が領域M5の範囲内の電圧値である場合には、時間間隔変換装置15_1から入力されたデジタル信号を選択する。
このように、選択装置23が変換前の時間間隔が最長となるデジタル信号を選択することによって、画素信号(電源Vin)と変換時間Dとの関係が良好なデジタル信号を、ビデオプロセッサ16に出力することができる。より具体的には、画素信号(電源Vin)と変換時間Dとの関係の傾きがより大きいデジタル信号を、ビデオプロセッサ16に出力することができる。
ここで、画素信号(電源Vin)と変換時間Dとの関係の傾きが大きいデジタル信号を選択することによる効果について説明する。上述したように、ビデオプロセッサ16は、入力されたデジタル信号が表す変換時間Dに対して処理を行うことによって、アナログの画素信号と略比例した関係を有するデジタルの映像信号を得る。画素信号と変換時間Dとの関係は、図20を見てわかるように、画素信号(電源Vin)の電圧値が大きいときに傾きが小さく、画素信号(電源Vin)の電圧値が小さいときに傾きが大きい。このことから、傾きが小さい部分の変換時間Dを処理して得られるデジタルの映像信号は、傾きが大きい部分の変換時間Dを処理して得られるデジタルの映像信号よりも、分解能が低下してしまうことがわかる。
選択装置23は、画素信号(電源Vin)と変換時間Dとの関係の傾きがより大きいデジタル信号を、最大のデジタル信号として選択する。より具体的には、上述したように、図20に示した領域M1では第5OUTパルス信号に応じたデジタル信号を、領域M2では第4OUTパルス信号に応じたデジタル信号を、領域M3では第3OUTパルス信号に応じたデジタル信号を、領域M4では第2OUTパルス信号に応じたデジタル信号を、領域M5では第1OUTパルス信号に応じたデジタル信号を、最大のデジタル信号として選択する。これにより、ビデオプロセッサ16が処理して得るデジタルの映像信号の分解能の低下を抑えることができる。
そして、選択装置23は、上述したように、時間間隔変換装置15_1〜15_5のいずれの時間間隔変換装置15から入力されたデジタル信号を最大のデジタル信号として選択した場合でも、ビデオプロセッサ16に出力するデジタル信号が同じ尺度のデジタル信号となるように逓倍処理を行う。そして、選択装置23は、逓倍処理した後のデジタル信号を、ビデオプロセッサ16に出力する。
上記に述べたとおり、本第3の実施形態の内視鏡システム30では、時間変換器19によって、撮像部11が撮像したアナログの画素信号の大きさを表す複数の時間情報を生成し、送信部21が、1チャンネルで複数の時間情報を本体部3に伝送する。より具体的には、第1の実施形態の内視鏡システム1では、図7に示したように、1種類の時間情報(図20においては、第1OUTパルス信号)のみを伝送するが、本第3の実施形態の内視鏡システム30では、5種類の時間情報を伝送する。また、本第3の実施形態の内視鏡システム30では、受信部22および時間間隔変換装置15_1〜15_5によって、複数のデジタルの映像信号に変換し、選択装置23が、アナログの画素信号と変換時間Dとの関係の傾きがより大きいデジタル信号を選択する。より具体的には、本第3の実施形態の内視鏡システム30では、映像信号処理期間内で最も傾きが大きい時間情報に応じたデジタル信号を選択してデジタルの映像信号を得る。これにより、本第3の実施形態の内視鏡システム30では、デジタルの映像信号の分解能を大幅に向上させることができる。
上記に述べたとおり、本発明を実施するための形態によれば、内視鏡スコープの先端部に備えた時間変換器が、撮像部が撮像したアナログの画素信号を時間の長さの情報に変換して本体部に伝送する。これにより、本発明を実施するための形態では、従来の内視鏡システムのように、内視鏡スコープの先端部内に消費電力が大きいA/D変換部などの構成要素を備える必要がなくなり、先端部の消費電力を低減することができる。このことにより、本発明を実施するための形態では、従来の内視鏡システムよりも、被検物内に挿入する内視鏡スコープの先端部の発熱を抑えることができる。
また、本発明を実施するための形態によれば、内視鏡スコープの先端部に備えた送信部が、時間変換器が時間の長さの情報に変換したアナログの画素信号を、光パルス信号に変換して本体部に伝送する。これにより、本発明を実施するための形態では、従来の内視鏡システムと同様に、ノイズ耐性の効果を損なうことなく、撮像部が撮像したアナログの画素信号を本体部に伝送することができる。
また、本発明を実施するための形態によれば、本体部に備えた時間間隔変換装置15が、伝送された時間の長さの情報で表されるアナログの画素信号を、2進のデジタル信号に変換する。これにより、本発明を実施するための形態では、内視鏡スコープの先端部に備えた撮像部が撮像したアナログの画素信号から、高い分解能のデジタルの映像信号を、高い精度で得ることができる。
また、本発明を実施するための形態によれば、内視鏡スコープの先端部に備えた撮像部が撮像した画素信号をサンプルホールドし、複数の時間変換器が、画素信号の時間の長さの情報への変換を並列に行う。これにより、本発明を実施するための形態では、それぞれの時間変換器がアナログの画素信号を時間の長さの情報に変換する際の時間を長くすることができ、時間の長さの情報が表すデジタル信号の有効ビット数を増やすことができる。このことにより、本発明を実施するための形態では、デジタル信号の分解能を向上し、アナログの画素信号をデジタルの映像信号に変換する際の信号品質を向上することができる。
また、本発明を実施するための形態によれば、内視鏡スコープの先端部に備えた時間変換器が、撮像部が撮像したアナログの画素信号を、複数の時間の長さの情報に変換し、送信部が、複数の時間の長さの情報を1チャンネルで本体部に伝送する。そして、本体部に備えた受信部と時間間隔変換装置とによって、伝送された複数の時間の長さの情報から複数のデジタル信号を生成し、選択装置が、複数のデジタル信号から、アナログの画素信号と変換した時間との関係の傾きがより大きいデジタル信号を選択する。これにより、本発明を実施するための形態では、映像信号処理期間内で最も傾きが大きい時間の長さの情報に基づいたデジタルの映像信号を得ることができ、デジタルの映像信号の分解能を大幅に向上させることができる。
なお、本実施形態においては、送信部が、時間変換器から入力された時間情報に基づいて、画素信号の大きさをパルス幅で表した光パルス信号を生成して伝送する場合の一例を説明した。すなわち、画素信号の大きさに応じた時間間隔が開始されるタイミングと終了されるタイミングとが、1つの光パルス信号に含まれる光パルス信号を生成して伝送する場合について説明した。しかし、伝送する光パルス信号の形態は、本発明を実施するための形態に限定されるものではない。例えば、画素信号の大きさに応じた時間間隔が開始されるタイミングと終了されるタイミングとを、それぞれ別の光パルス信号で伝送することもできる。すなわち、伝送部が、時間間隔が開始されるタイミングのみが含まれる光パルス信号と、時間間隔が終了されるタイミングのみが含まれる光パルス信号とを、それぞれ生成して伝送する構成にすることもできる。なお、この場合には、受信部が、伝達部を介して送信部から伝送された光パルス信号の形態に応じて、光パルス信号を電気パルス信号に変換する必要がある。
また、本実施形態においては、位相を違えた複数のクロックを並列に駆動させる方式の時間間隔変換装置を示し、さらに、オシレータが出力するクロックの周波数を変更することによって、時間間隔を高い分解能で精度良くデジタル信号に変換する時間間隔変換装置15を、内視鏡システムの本体部に備えることが想定される時間間隔変換装置の一例として説明した。しかし、内視鏡システムの本体部に備えることが想定される時間間隔変換装置は、本発明を実施するための形態に限定されるものではない。
<時間の長さ(時間間隔)のデジタル信号への変換方法の別の一例>
ここで、本発明を実施するための形態の内視鏡システムにおける本体部に備えることが想定される時間間隔変換装置の別の一例について説明する。以下の説明においては、図1〜図14で説明した第1の実施形態の内視鏡システム1に備えた時間間隔変換装置15の代わりに、第1の実施形態の内視鏡システム1における本体部3に備えることが想定される時間間隔変換装置の別の一例について説明する。従って、以下に説明する時間間隔変換装置は、第2の実施形態の内視鏡システム20および第3の実施形態の内視鏡システム30に備えた時間間隔変換装置15の代わりに備えることもできる。
図21は、本発明の第1の実施形態の内視鏡システム1に備えた時間間隔変換装置の概略構成の別の一例を示したブロック図である。図21において、時間間隔変換装置150は、エッジ検出器100と、8個の遅延回路115_1〜115_8と、8個のオシレータ116_1〜116_8と、8個のラッチ117_1〜117_8と、8個のカウンタ118_1〜118_8と、加算回路119と、を備えている。
時間間隔変換装置150は、図9に示した時間間隔変換装置15と同様に、位相を違えた複数のクロックを並列に駆動させることによって、入力された電気パルス信号が表す時間間隔をデジタル信号に変換し、変換したデジタル信号を出力する。時間間隔変換装置150には、受信部14が電気信号に変換した電気パルス信号が入力端子15aに入力される。そして、時間間隔変換装置150は、入力された電気パルス信号の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジの時間幅(時間間隔)に応じたデジタル信号、すなわち、画素信号の大きさをパルス幅で表した変換時間Dに応じたデジタル信号を、出力端子15bから出力する。
なお、時間間隔変換装置150でも、図9に示した時間間隔変換装置15と同様に、隣り合うクロック同士のエッジの間隔が等しいことが望ましい。このため、時間間隔変換装置150でも、図9に示した時間間隔変換装置15と同様に、電気パルス信号が表す時間間隔をデジタル信号に変換する際に用いるクロックの変動を抑えることによって、時間間隔を高い分解能で精度良くデジタル信号に変換する。なお、時間間隔変換装置150では、図9に示した時間間隔変換装置15に備えたパラメータ調節回路107の代わりにパラメータ調節回路120を備え、パラメータ調節回路120が、時間間隔をデジタル信号に変換する際に用いるクロックの変動を抑える。
なお、図21に示した時間間隔変換装置150において、エッジ検出器100は、図9に示した時間間隔変換装置15におけるエッジ検出器100と同様の構成、機能、および特性である。また、図21に示した時間間隔変換装置150において、ラッチ117_1〜117_8のそれぞれは、図9に示した時間間隔変換装置15におけるラッチ104と同様の構成、機能、および特性である。また、図21に示した時間間隔変換装置150において、カウンタ118_1〜118_8は、図9に示した時間間隔変換装置15におけるカウンタ105と同様の構成、機能、および特性である。また、図21に示した時間間隔変換装置150において、加算回路119は、入力されるカウント数が異なる以外は、図9に示した時間間隔変換装置15における加算回路106と同様の機能および特性である。従って、以下の説明においては、図9に示した時間間隔変換装置15に備えた構成要素と同様の構成、機能、および特性についての説明は省略し、図9に示した時間間隔変換装置15に備えた構成要素と異なる構成および動作のみを説明する。そして、以下の説明においても、図9に示した時間間隔変換装置15の説明と同様に、図21に示した時間間隔変換装置150において、遅延回路115_1〜115_8のいずれか1つの遅延回路を示すときには、「遅延回路115」といい、オシレータ116_1〜116_8のいずれか1つのオシレータを示すときには、「オシレータ116」という。また、同様に、ラッチ117_1〜117_8のいずれか1つのラッチを示すときには、「ラッチ117」といい、カウンタ118_1〜118_8のいずれか1つのカウンタを示すときには、「カウンタ118」という。また、同様に、時間間隔変換装置150内のそれぞれの構成要素の出力端子の信号も、「ノード」という。
エッジ検出器100は、図9に示した時間間隔変換装置15におけるエッジ検出器100と同様に、時間間隔変換装置150に入力された電気パルス信号の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジとを検出し、検出した電気パルス信号の立ち上がりエッジのタイミングを表す開始信号と、検出した電気パルス信号の立ち下がりエッジのタイミングを表す終了信号とを、それぞれ出力する。
エッジ検出器100には、時間間隔変換装置150の入力端子15aに入力された電気パルス信号が、入力端子100cに入力される。そして、エッジ検出器100は、開始信号(ノードn141)を出力端子100aから、終了信号(ノードn1410)を出力端子100bから、それぞれ出力する。より具体的には、エッジ検出器100は、入力された電気パルス信号の立ち上がりエッジを検出したときに、ノードn141を“L”レベルから“H”レベルに切り替え、入力された電気パルス信号の立ち下がりエッジを検出したときに、ノードn1410を“L”レベルから“H”レベルに切り替える。
遅延回路115_1〜115_8のそれぞれは、入力端子115aに入力された信号を、入力端子115cに入力された設定信号に応じた遅延時間(例えば、時間Δt)だけ遅延させて、出力端子115bから出力する。なお、以下の説明においては、入力端子115cに入力された設定信号に応じた遅延時間は、「時間Δt」であるものとして説明を行う。時間間隔変換装置150では、図21に示したように、遅延回路115_1〜115_8を直列に接続している。そして、初段の遅延回路115_1の入力端子115aに入力された、エッジ検出器100の出力端子100aから出力された開始信号(ノードn141)を、順次、設定信号に応じた遅延時間(時間Δt)だけ遅延させて、次段の遅延回路115の入力端子115aに入力する。また、遅延回路115_1〜115_8のそれぞれは、出力端子115bから出力する時間Δtだけ遅延させた信号を、対応するオシレータ116_1〜116_8の入力端子116aに、それぞれ入力する。遅延回路115_1〜115_8のそれぞれが入力された信号を遅延させる遅延時間は、入力端子115cに入力された、パラメータ調節回路120からの設定信号によって変更することができる。
より具体的には、遅延回路115_1は、入力されたノードn141を時間Δtだけ遅延させた信号を、出力端子115bから出力する。また、遅延回路115_2は、遅延回路115_1から入力された時間Δtだけ遅延させた信号を、さらに時間Δtだけ遅延させた信号、すなわち、ノードn141を時間2Δtだけ遅延させた信号を、出力端子115bから出力する。また、遅延回路115_3は、遅延回路115_2から入力された時間Δtだけ遅延させた信号を、さらに時間Δtだけ遅延させた信号、すなわち、ノードn141を時間3Δtだけ遅延させた信号を、出力端子115bから出力する。同様に、遅延回路115_4〜115_8のそれぞれは、前段の遅延回路115_3〜115_7から入力された時間Δtだけ遅延させた信号を、さらに時間Δtだけ遅延させた信号、すなわち、ノードn141を時間4Δt〜8Δtだけ遅延させた信号を、出力端子115bからそれぞれ出力する。なお、遅延回路115の構成に関する詳細な説明は、後述する。
オシレータ116_1〜116_8のそれぞれは、入力端子116aに入力された信号が、“L”レベルから“H”レベルに切り替わるタイミングで、予め定められた周波数のクロックを出力する。オシレータ116のそれぞれには、対応する遅延回路115の出力端子115bから出力された遅延されたノードn141が、入力端子116aに入力される。そして、オシレータ116のそれぞれは、入力されたノードn141が、時間間隔の開始を表したときから、時間Δtづつずれたタイミングで予め定められた周波数のクロックを、出力端子116bから出力する。
より具体的には、オシレータ116は、遅延されたノードn141が“L”レベルから“H”レベルに切り替わるタイミングでクロックの出力を開始し、遅延されたノードn141が、“H”レベルから“L”レベルに切り替わるタイミングで出力端子116bを“L”レベルにして、クロックの出力を停止する。また、オシレータ116_1〜116_8のそれぞれは、それぞれのクロックを、対応するラッチ117_1〜117_8の入力端子117aに、それぞれ入力する。なお、オシレータ116は、周波数を変更する機能がない以外は、図9に示した時間間隔変換装置15におけるオシレータ103と同様に考えることができるため、詳細な説明は省略する。
ラッチ117_1〜117_8のそれぞれは、図9に示した時間間隔変換装置15におけるラッチ104と同様に、入力端子117cに入力された信号に応じて、入力端子117aに入力された信号、または入力端子117aに入力された信号の状態を保持した信号を、出力端子117bから出力する。ラッチ117_1〜117_8のそれぞれには、対応するオシレータ116の出力端子116bから出力されたクロックが入力端子117aに入力され、エッジ検出器100の出力端子100bから出力された終了信号(ノードn1410)が入力端子117cに入力される。そして、ラッチ117_1〜117_8のそれぞれは、ノードn1410が“L”レベルのとき、入力端子117aに入力されたクロックを、そのまま出力端子117bに転送して出力し、ノードn1410が“L”レベルから“H”レベルに切り替わるタイミングで、入力端子117aに入力されたクロックの状態を保持し、ノードn1410が“H”レベルの間、保持した状態の信号を、出力端子117bに出力し続ける。時間間隔変換装置150では、図21に示したように配置されたラッチ117によって、オシレータ116出力したそれぞれのクロックを、並列に出力する。
より具体的には、ラッチ117_1には、オシレータ116_1から出力されたクロックが入力端子117aに入力され、ノードn1410の状態に応じて、オシレータ116_1から出力されたクロック、または保持したクロックの状態の信号を、ノードn142として出力端子117bから出力する。また、ラッチ117_2には、オシレータ116_2から出力されたクロックが入力端子117aに入力され、ノードn1410の状態に応じて、オシレータ116_2から出力されたクロック、または保持したクロックの状態の信号を、ノードn143として出力端子117bから出力する。また、ラッチ117_3には、オシレータ116_3から出力されたクロックが入力端子117aに入力され、ノードn1410の状態に応じて、オシレータ116_3から出力されたクロック、または保持したクロックの状態の信号を、ノードn144として出力端子117bから出力する。同様に、ラッチ117_4〜117_8のそれぞれには、対応するオシレータ116_4〜116_8から出力されたクロックがそれぞれの入力端子117aに入力され、ノードn1410の状態に応じて、オシレータ116_4〜116_8から出力されたそれぞれのクロック、またはそれぞれ保持したクロックの状態の信号を、ノードn145〜ノードn149として出力端子117bからそれぞれ出力する。
この構成により、ラッチ117のそれぞれは、オシレータ116が、ノードn141が“L”レベルから“H”レベルに切り替わるタイミングで出力を開始したそれぞれのクロックを、ノードn1410が“L”レベルから“H”レベルに切り替わるタイミングで停止させることになる。言い換えれば、ラッチ117のそれぞれは、時間間隔変換装置150の入力端子15aに入力された電気パルス信号が、時間間隔の開始を表したときから、時間間隔の終了を表したときまでの間、すなわち、画素信号の大きさに応じた変換時間Dの間、オシレータ116が出力したそれぞれのクロックを、ノードn142〜ノードn149として出力端子117bから出力することになる。なお、ラッチ117は、図9に示した時間間隔変換装置15におけるラッチ104と同様に、一般的な論理回路で容易に構成できるため、詳細な説明は省略する。
カウンタ118_1〜118_8のそれぞれは、入力端子118aに入力された信号(ノードn142〜ノードn149)の立ち上がりエッジの数をカウントし、カウントしたカウント数を、出力端子118bから出力する。時間間隔変換装置150では、図21に示したように配置されたカウンタ118によって、対応するラッチ117から出力されたノード、すなわち、対応するオシレータ116から出力されたクロックのエッジを、並列にカウントする。そして、カウンタ118は、カウントしたクロックのエッジのカウント数を、並列に出力する。
より具体的には、カウンタ118_1には、ラッチ117_1から出力されたノードn142、すなわち、対応するオシレータ116_1が出力したクロックが入力端子118aに入力され、カウントしたノードn142の立ち上がりエッジの数を、出力端子118bから出力する。また、カウンタ118_2には、ラッチ117_2から出力されたノードn143、すなわち、対応するオシレータ116_2が出力したクロックが入力端子118aに入力され、カウントしたノードn143の立ち上がりエッジの数を、出力端子118bから出力する。また、カウンタ118_3には、ラッチ117_3から出力されたノードn144、すなわち、対応するオシレータ116_3が出力したクロックが入力端子118aに入力され、カウントしたノードn144の立ち上がりエッジの数を、出力端子118bから出力する。同様に、カウンタ118_1〜118_8のそれぞれには、対応するラッチ117_4〜117_8から出力されたノードn145〜ノードn149、すなわち、対応するオシレータ116_4〜116_8が出力したクロックがそれぞれの入力端子118aに入力され、それぞれカウントしたノードn145〜ノードn149の立ち上がりエッジの数を、出力端子118bからそれぞれ出力する。なお、カウンタ118は、図9に示した時間間隔変換装置15におけるカウンタ105と同様に、一般的な論理回路で容易に構成できるため、詳細な説明は省略する。
加算回路119は、カウンタ118_1〜118_8のそれぞれの出力端子118bから出力されたクロックのエッジのカウント数が、入力端子119a〜入力端子119hに入力され、入力されたクロックのエッジのカウント数を加算する。そして、加算回路119は、合計のカウント数を、時間間隔変換装置150に入力された電気パルス信号が表す時間間隔に応じたデジタル信号として、出力端子119i、すなわち、時間間隔変換装置150の出力端子15bから出力する。なお、加算回路119は、図9に示した時間間隔変換装置15における加算回路106と同様に、一般的な論理回路で容易に構成できるため、詳細な説明は省略する。
パラメータ調節回路120は、遅延回路115のそれぞれが入力された信号を遅延させる遅延時間を制御するためのパラメータである設定信号を、出力端子120aから出力する。また、パラメータ調節回路120は、設定信号を、遅延回路115_1〜115_8の入力端子115cに、それぞれ入力する。
パラメータ調節回路120は、設定信号によって、オシレータ116_8から出力されるクロックの立ち上がりエッジから時間Δtだけ遅延したタイミングと、オシレータ116_1から出力されるクロックの立ち上がりエッジのタイミングとが一致するように、遅延回路115_1〜115_8の遅延時間を調節する。これにより、対応するラッチ117_8から出力されるノードn149の立ち上がりエッジのタイミングと、対応するラッチ117_1から出力されるノードn142の立ち上がりエッジのタイミングとの時間差が、時間Δtになる。なお、パラメータ調節回路120における遅延回路115の遅延時間の調節方法に関する詳細な説明は、後述する。
次に、本第2の実施形態の時間間隔変換装置150の動作について説明する。図22は、本発明の第1の実施形態の内視鏡システム1に備えた別の時間間隔変換装置である時間間隔変換装置150におけるそれぞれのクロックの関係を示したタイミングチャートである。図22には、図21の時間間隔変換装置150の構成における各ノードのタイミングを示している。
まず、タイミングt1のときに、エッジ検出器100が、時間間隔変換装置150の入力端子15aに入力された電気パルス信号に基づいて時間間隔の開始、すなわち、電気パルス信号の立ち上がりエッジを検出し、開始信号(ノードn141)を“L”レベルから“H”レベルに切り替えると、直列に接続された遅延回路115_1〜115_8が、ノードn141を順次、遅延回路115の1段分の時間Δtだけ遅延させる。これにより、オシレータ116_1〜116_8が、時間Δtずつ遅延して、順次クロックの出力を開始する。そして、時間Δtずつ遅延して出力されたクロックが、ラッチ117_1〜117_8のそれぞれから、ノードn142〜ノードn149として、それぞれ出力される。
そして、カウンタ118_1〜118_8のそれぞれは、入力されたノードn142〜ノードn149のそれぞれの立ち上がりエッジの数をカウントし、カウントしたカウント数を加算回路119にそれぞれ出力する。
その後、タイミングt2のときに、エッジ検出器100が、時間間隔変換装置150の入力端子15aに入力された電気パルス信号に基づいて時間間隔の終了、すなわち、電気パルス信号の立ち下がりエッジを検出し、終了信号(ノードn1041)を“L”レベルから“H”レベルに切り替えると、ラッチ117_1〜117_8のそれぞれは、ノードn142〜ノードn149の状態を保持する。
そして、加算回路119は、カウンタ118_1〜118_8のそれぞれから入力されたノードn142〜ノードn149のそれぞれのエッジのカウント数を加算し、合計のカウント数を、時間間隔変換装置150に入力された電気パルス信号が表す時間間隔の開始から終了までの期間に応じたデジタル信号として、時間間隔変換装置150の出力端子15bから出力する。
このように、時間間隔変換装置150では、同じ周波数のクロックを同じ間隔(本時間間隔変換装置150においては、時間Δt)で遅延させた複数のクロックを並列に動作させる。そして、遅延させたそれぞれのクロックの立ち上がりエッジの数をカウントし、最後にクロックのエッジのカウント数を加算する。これにより、時間間隔変換装置150では、エッジ検出器100が検出した電気パルス信号が時間間隔の開始を表したとき(ノードn141)から、時間間隔の終了を表したとき(ノードn1410)までの時間間隔の期間中のクロックのエッジのカウント数を増加させ、出力するデジタル信号の分解能を向上させることができる。
このとき、パラメータ調節回路120は、上述したように、ノードn149の立ち上がりエッジから時間Δtだけ遅延したタイミングと、ノードn142の立ち上がりエッジのタイミングとが一致するように、パラメータ(設定信号)を逐次調節することによって、遅延回路115_1〜115_8の遅延時間を逐次調節する。これにより、時間間隔変換装置150では、図22に示したように、ノードn142〜ノードn149の隣り合う立ち上がりエッジ同士の間隔を全て、常に一定の時間Δtにすることができる。
このように、時間間隔変換装置150では、出力する信号の遅延時間を変更することができる遅延回路115と、遅延回路115の遅延時間を逐次調節するパラメータ調節回路120を備えることによって、時間間隔を高い分解能で精度良くデジタル信号に変換することができる。
次に、時間間隔変換装置150に備えた遅延回路115について説明する。図23は、本発明の第1の実施形態の内視鏡システム1に備えた別の時間間隔変換装置である時間間隔変換装置150における遅延回路115の構成の一例を示したブロック図である。図23には、4個のトランジスタで構成した遅延回路115の構成の一例を示している。図23において、遅延回路115は、2個のPMOSトランジスタ124_1および124_2と、2個のNMOSトランジスタ124_3および124_4と、を備えている。
PMOSトランジスタ124_1は、ゲート端子が遅延回路115の入力端子115aに、ソース端子が遅延回路115の入力端子115cに、ドレイン端子がPMOSトランジスタ124_2のゲート端子、NMOSトランジスタ124_4のゲート端子、およびNMOSトランジスタ124_3のドレイン端子に、それぞれ接続されている。また、NMOSトランジスタ124_3は、ゲート端子が遅延回路115の入力端子115aに、ソース端子がGNDおよびNMOSトランジスタ124_4のソース端子に、それぞれ接続されている。また、PMOSトランジスタ124_2は、ソース端子が遅延回路115の入力端子115cに、ドレイン端子が遅延回路115の出力端子115bおよびNMOSトランジスタ124_4のドレイン端子に、それぞれ接続されている。また、NMOSトランジスタ124_4は、ドレイン端子が遅延回路115の出力端子115bに接続されている。
このように、遅延回路115では、PMOSトランジスタ124_1とNMOSトランジスタ124_3とで前段のインバータ回路を構成し、PMOSトランジスタ124_2とNMOSトランジスタ124_4とで後段のインバータ回路を構成している。これは、インバータ回路を偶数段直列に接続したバッファ回路である。そして、遅延回路115では、入力端子115cに入力されたパラメータ(設定信号)のレベルを、それぞれのインバータ回路の駆動電圧としている。これにより、遅延回路115は、入力端子115aに入力された入力された開始信号(ノードn141)を、駆動電圧の大きさに応じた遅延時間で遅延させて、出力端子115bから出力する。
このように、時間間隔変換装置150では、インバータ回路を偶数段直列に繋げたバッファ回路を用いることによって、遅延回路115内の各インバータ回路の電源電圧または電源電流をパラメータとして、入力から出力までの遅延時間を変更することができる遅延回路を、容易に構成することができる。
次に、時間間隔変換装置150に備えたパラメータ調節回路120について説明する。図24は、本発明の第1の実施形態の内視鏡システム1に備えた別の時間間隔変換装置である時間間隔変換装置150におけるパラメータ調節回路120の概略構成の一例を示したブロック図である。図24において、パラメータ調節回路120は、NOR回路121と、9個の遅延回路115_9〜115_17と、9個のオシレータ116_9〜116_17と、位相比較回路122と、パラメータ設定回路123と、を備えている。パラメータ調節回路120は、入力端子ON/OFFの制御によって動作を開始すると、遅延回路115の遅延時間を制御するためのパラメータである設定信号を、出力端子120aから出力する。
なお、図24に示したパラメータ調節回路120において、遅延回路115_9〜115_17のそれぞれは、図21に示した時間間隔変換装置150における遅延回路115と同様の構成、機能、および特性である。また、図24に示したパラメータ調節回路120において、オシレータ116_9〜116_17は、図21に示した時間間隔変換装置150におけるオシレータ116と同様の構成、機能、および特性である。従って、以下の説明においては、図21に示した時間間隔変換装置150に備えた構成要素と同様の構成、機能、および特性についての説明は省略し、図21に示した時間間隔変換装置150に備えた構成要素と異なる構成および動作のみを説明する。そして、以下の説明においても、図21に示した時間間隔変換装置150の説明と同様に、図24に示したパラメータ調節回路120において、遅延回路115_9〜115_17のいずれか1つの遅延回路を示すときには、「遅延回路115」といい、オシレータ116_9〜116_17のいずれか1つのオシレータを示すときには、「オシレータ116」という。また、同様に、パラメータ調節回路120内のそれぞれの構成要素の出力端子の信号も、「ノード」という。また、同様に、遅延回路115の入力端子115cに入力された設定信号に応じた遅延時間は、「時間Δt」であるものとして説明を行う。
NOR回路121には、入力端子ON/OFFに入力されたON/OFF信号が入力端子121aに入力され、遅延回路115_17の出力端子115bから出力される出力信号が入力端子121bに入力される。NOR回路121は、入力端子121aに入力されたON/OFF信号と入力端子121bに入力された遅延回路115_17の出力信号とを否定論理和した信号を、ノードn201として出力端子121cから出力する。
パラメータ調節回路120では、図24に示したように、遅延回路115_9〜115_17を直列に接続している。遅延回路115_9〜115_17のそれぞれは、初段の遅延回路115_9の入力端子115aに入力されたノードn201を、順次、入力端子115cに入力された設定信号に応じた遅延時間(時間Δt)だけ遅延させて出力端子115bから出力し、次段の遅延回路115の入力端子115aに入力する。また、遅延回路115_9〜115_17のそれぞれは、出力端子115bから出力するノードn201を遅延させた信号(ノードn202、およびノードn204〜ノードn2011)を、対応するオシレータ116_9〜116_17の入力端子116aに、それぞれ入力する。遅延回路115_9〜115_17のそれぞれが入力された信号を遅延させる遅延時間は、入力端子115cに入力された、パラメータ設定回路123からの設定信号によって変更することができる。
より具体的には、遅延回路115_9は、入力されたノードn201を時間Δtだけ遅延させた信号を、ノードn202として出力端子115bから出力する。また、遅延回路115_10は、入力されたノードn202を時間Δtだけ遅延させた信号、すなわち、ノードn201を時間2Δtだけ遅延させた信号を、ノードn204として出力端子115bから出力する。同様に、遅延回路115_11〜115_16のそれぞれは、前段の遅延回路115_10〜115_15から入力されたノードn204〜ノードn209を時間Δtだけ遅延させた信号、すなわち、ノードn201を時間3Δt〜8Δtだけ遅延させた信号を、ノードn205〜ノードn2010として出力端子115bからそれぞれ出力する。また、遅延回路115_17は、入力されたノードn2010を時間Δtだけ遅延させた信号、すなわち、ノードn201を時間9Δtだけ遅延させた信号を、ノードn2011として出力端子115bから出力する。
パラメータ調節回路120では、図24に示したように、オシレータ116_9〜116_17のそれぞれには、対応する遅延回路115_9〜115_17の出力端子115bから出力された遅延されたノードn202、およびノードn204〜ノードn2011が、入力端子116aに入力される。そして、オシレータ116のそれぞれは、入力されたノードn202、およびノードn204〜ノードn2011が、“L”レベルから“H”レベルに切り替わるタイミングで、予め定められた周波数のクロックを、出力端子116bから出力する。
より具体的には、オシレータ116_9には、遅延回路115_9の出力端子115bから出力されたノードn202が入力端子116aに入力され、ノードn202が“L”レベルから“H”レベルに切り替わるタイミングで、予め定められた周波数のクロックを、ノードn203として出力端子116bから出力する。また、オシレータ116_17には、遅延回路115_17の出力端子115bから出力されたノードn2011が入力端子116aに入力され、ノードn2011が“L”レベルから“H”レベルに切り替わるタイミングで、予め定められた周波数のクロックを、ノードn2012として出力端子116bから出力する。
図24を見てわかるように、オシレータ116_10〜116_16のそれぞれは、ノードn204〜ノードn2010が入力端子116aに入力されるが、オシレータ116_10〜116_16のそれぞれが出力端子116bから出力する予め定められた周波数のクロックは、パラメータ調節回路120内のいずれの構成要素にも接続されていない。これは、パラメータ調節回路120では、遅延回路115とオシレータ116とを、図21に示した時間間隔変換装置150の遅延回路115とオシレータ116と同様に構成して接続していることから、オシレータ116_10〜116_16のそれぞれを、遅延回路115_10〜115_16のそれぞれの出力の負荷として配置しているためである。オシレータ116_10〜116_16のそれぞれを、遅延回路115_10〜115_16のそれぞれの出力負荷として配置することにより、遅延回路115_10〜115_16のそれぞれの遅延時間を、より正確に、図21に示した時間間隔変換装置150の遅延回路115の遅延時間と同じ時間にすることができる。
なお、図24に示したパラメータ調節回路120では、オシレータ116_10〜116_16のそれぞれを、遅延回路115_10〜115_16のそれぞれの出力負荷として配置した場合の一例を示しているが、パラメータ調節回路120における遅延回路115_10〜115_16のそれぞれの出力負荷の構成は、図23に示した構成に限定されるものではない。例えば、遅延回路115_10〜115_16のそれぞれから出力されるノードn204〜ノードn2010が直接接続されるオシレータ116内の入力回路のみを、遅延回路115_10〜115_16のそれぞれの出力負荷として配置する構成にすることもできる。この場合、例えば、オシレータ116が、図11に示したような構成である場合には、NAND回路111のみを、遅延回路115_10〜115_16のそれぞれの出力負荷として配置する構成になる。この構成にすることにより、パラメータ調節回路120の回路規模を削減することができる。
また、例えば、遅延回路115_10〜115_16のそれぞれに出力負荷を接続しなくても、それぞれの遅延時間を、図21に示した時間間隔変換装置150の遅延回路115の遅延時間と許容できるレベルで一致させることができる場合には、遅延回路115_10〜115_16のそれぞれから出力されるノードn204〜ノードn2010を、いずれの構成要素にも接続しない構成にすることもできる。すなわち、パラメータ調節回路120内に、オシレータ116_10〜116_16のそれぞれを配置しない構成にすることもできる。この構成にすることにより、パラメータ調節回路120の回路規模を、さらに削減することができる。
位相比較回路122は、入力端子122aに入力されたノードn203のクロックと、入力端子122bに入力されたノードn2012のクロックとを比較し、ノードn203のクロックの立ち上がりエッジとノードn2012のクロックの立ち上がりエッジとの時間差を検出する。そして、検出した時間差を表す時間差信号を、出力端子122cから出力する。
パラメータ設定回路123は、入力端子123bに入力された時間差信号に基づいて、ノードn203のクロックの立ち上がりエッジとノードn2012のクロックの立ち上がりエッジとの時間差がより小さくなるパラメータを演算し、演算した結果のパラメータを、設定信号として、出力端子123aおよび出力端子123cから出力する。パラメータ設定回路123の出力端子123aから出力された設定信号は、遅延回路115_9〜115_17のそれぞれの遅延時間を制御するためのパラメータとして、遅延回路115_9〜115_17のそれぞれの入力端子115cに入力される。また、パラメータ設定回路123の出力端子123cから出力された設定信号は、パラメータ調節回路120が出力するパラメータとして、パラメータ調節回路120の出力端子120aから出力され、時間間隔変換装置150に備えた遅延回路115の入力端子115cに入力される。
なお、パラメータ設定回路123は、出力端子123aおよび出力端子123cのそれぞれから、同一のパラメータを設定信号として出力する。これにより、時間間隔変換装置150に備えた遅延回路115の遅延時間と、パラメータ調節回路120内の遅延回路115_9〜115_17のそれぞれの遅延時間とは、同一の時間になる。
次に、時間間隔変換装置150に備えたパラメータ調節回路120の動作について説明する。図25は、本発明の第1の実施形態の内視鏡システム1に備えた別の時間間隔変換装置である時間間隔変換装置150におけるパラメータ調節回路120の動作のタイミングを示したタイミングチャートである。図25には、図24のパラメータ調節回路120の構成における各ノードのタイミングを示している。
まず、入力端子ON/OFFの信号が“H”レベルから“L”レベルに切り替えてパラメータ調節回路120の動作を開始すると、タイミングt1のときに、ノードn201が“L”レベルから“H”レベルに切り替わる。これにより、ノードn201を遅延回路115の1段分の時間Δtだけ遅延させたノードn202が、遅延回路115_9から出力される。同時に、オシレータ116_9がクロック(ノードn203)の出力を開始する。また、位相比較回路122は、ノードn203のクロックの立ち上がりエッジとノードn2012のクロックの立ち上がりエッジとの時間差を逐次検出して、時間差信号を逐次、パラメータ設定回路123に出力する。
その後、遅延回路115_10〜遅延回路115_17は、入力されたノードn202を順次、遅延回路115の1段分の時間Δtだけ遅延させたノードn204〜ノードn2011を出力する。そして、タイミングt2のときに、遅延回路115_17から出力されるノードn2011が“L”レベルから“H”レベルに切り替わると、同時に、オシレータ116_17がクロック(ノードn2012)の出力を開始する。タイミングt2からオシレータ116_17が出力するノードn2012は、ノードn201から遅延回路115の9段分の時間9Δtだけ遅延させたクロックである。
このとき、パラメータ設定回路123は、位相比較回路122から逐次入力される時間差信号に基づいて、ノードn203の立ち上がりエッジのタイミングとノードn2012の立ち上がりエッジのタイミングとが一致する方向のパラメータを、遅延回路115_9〜115_17に設定する。これにより、遅延回路115_9〜115_17の遅延時間は、オシレータ116_9が出力するクロック(ノードn203)の1/8周期の時間に近づくことになる。
これは、図24に示したパラメータ調節回路120の構成からもわかるように、ノードn202とノードn2011との時間差は、時間8Δtである。従って、ノードn203の立ち上がりエッジのタイミングとノードn2012の立ち上がりエッジのタイミングとの時間差も、時間8Δtとなる。そして、ノードn2012の立ち上がりエッジのタイミングとノードn203の立ち上がりエッジのタイミングとを一致させることによって、ノードn203の周期も、時間8Δtとなる。また、ノードn2012のクロックは、ノードn203のクロックと位相が逆で、周期が時間8Δtとなる。
なお、パラメータ設定回路123が遅延回路115_9〜115_17に設定するパラメータは、遅延回路115_1〜115_8の遅延時間を制御するためのパラメータとして、パラメータ設定回路123の出力端子123c、すなわち、パラメータ調節回路120の出力端子120aから出力される。これにより、パラメータ設定回路123が、遅延回路115_9〜115_17の遅延時間を制御するのと同時に、時間間隔変換装置150に備えた遅延回路115_1〜115_8の遅延時間を制御することになる。
また、タイミングt2のときに、遅延回路115_17から出力されるノードn2011が“L”レベルから“H”レベルに切り替わると、ノードn201が“H”レベルから“L”レベルに切り替わる。図25に示したタイミングチャートでは、NOR回路121の入力端子121bに入力されているノードn2011が変化してから、出力端子121cのノードn201が変化するまでの遅延時間が、時間2Δtであるものとして示している。これにより、遅延回路115の1段分の時間Δtだけ遅延して、ノードn202も“H”レベルから“L”レベルに切り替わる。そして、同時に、オシレータ116_9がクロック(ノードn203)の出力を停止する。
その後、遅延回路115_10〜遅延回路115_17は、入力されたノードn202を順次、遅延回路115の1段分の時間Δtだけ遅延させたノードn204〜ノードn2011を出力する。そして、タイミングt3のときに、遅延回路115_17から出力されるノードn2011が“H”レベルから“L”レベルに切り替わると、同時に、オシレータ116_17がクロック(ノードn2012)の出力を停止する。
また、タイミングt3のときに、遅延回路115_17から出力されるノードn2011が“H”レベルから“L”レベルに切り替わると、NOR回路121の遅延時間2Δt後のタイミングt4のときに、ノードn201が再度“L”レベルから“H”レベルに切り替わる。以降、パラメータ調節回路120では、タイミングt1〜タイミングt4と同様に、遅延回路115_9〜115_17の遅延時間が、オシレータ116_9が出力するクロック(ノードn203)の1/8周期の時間になるように、パラメータ設定回路123による遅延回路115_9〜115_17へのパラメータの設定を繰り返す。
このように、パラメータ調節回路120では、NOR回路121と遅延回路115_9〜115_17によって、リング発振器を構成し、ノードn201の論理の切り替わりに基づいて、タイミングt1〜タイミングt4の動作を繰り返す。そして、パラメータ調節回路120では、タイミングt1〜タイミングt4の動作の繰り返しによって、ノードn203の立ち上がりエッジのタイミングとノードn2012の立ち上がりエッジのタイミングとが一致する方向のパラメータの設定を、遅延回路115_9〜115_17に繰り返す。これにより、遅延回路115_9〜115_17の遅延時間は、オシレータ116_9が出力するクロック(ノードn203)の1/8周期の時間に収束していくことになる。そして、時間間隔変換装置150では、このときのパラメータが、遅延回路115_1〜115_8にも繰り返し設定され、遅延回路115_1〜115_8の遅延時間も、オシレータ116_9が出力するクロック(ノードn203)の1/8周期の時間に収束していくことになる。ここで、オシレータ116_9が出力するクロック(ノードn203)の周期は、オシレータ116_1〜116_8のそれぞれが出力するクロックの周期と同一の周期であるため、遅延回路115_1〜115_8の遅延時間は、オシレータ116_1〜116_8のそれぞれが出力するクロックの1/8周期の時間に収束することと等しくなる。遅延回路115_1〜115_8の遅延時間が、オシレータ116_1〜116_8のそれぞれが出力するクロックの1/8周期の時間に収束していくと、時間間隔変換装置150では、図22に示したように、ノードn149の立ち上がりエッジから時間Δtだけ遅延したタイミングと、ノードn142の立ち上がりエッジのタイミングとが一致することになる。
このように、時間間隔変換装置150では、オシレータ116にクロックの出力を開始させる信号、すなわち、時間間隔変換装置150が時間間隔のデジタル信号への変換を開始する開始信号を遅延させて入力する遅延回路115と同じ遅延回路(遅延回路115_9〜遅延回路115_17)を用いたリング発振器を、パラメータ調節回路120内に構成する。そして、時間間隔変換装置150においてオシレータ116が出力するクロックと同じ周期のクロック(ノードn203のクロックとノードn2012のクロック)をパラメータ調節回路120内で生成し、遅延回路115_9〜遅延回路115_17の遅延時間を周期的に調節することによって、生成したクロックの周期を、周期的に調節する。そして、パラメータ調節回路120内でのクロックの周期を調節するための、遅延回路115_9〜遅延回路115_17の遅延時間のパラメータと同じパラメータの設定を、遅延回路115_1〜115_8に対して行うことによって、オシレータ116が出力するクロックの周期を、周期的に調節する。すなわち、オシレータ116が出力するクロックを用いて、周期を調節するための遅延回路115の遅延時間のパラメータを直接的に演算するのではなく、別途生成した同じクロックを用いて、オシレータ116が出力するクロックの周期を調節するための遅延回路115の遅延時間のパラメータを間接的に演算する。
このような構成によって、時間間隔変換装置150でも、位相を違えた複数のクロックを生成し、電気パルス信号が表す時間間隔の期間内のエッジの数をカウントする。これにより、時間間隔変換装置150でも、電気パルス信号が表す時間間隔をデジタル信号に変換する際の分解能を向上させることができる。このことにより、時間間隔変換装置150でも、撮像部11が撮像した被検物内の映像のアナログの画素信号を、高い分解能でデジタルの映像信号に変換することができる。
また、時間間隔変換装置150では、パラメータ調節回路120の遅延回路115とオシレータ116とを、時間間隔変換装置150内の遅延回路115とオシレータ116と同様に構成して接続している。そして、パラメータ調節回路120の遅延回路115の遅延時間と、時間間隔変換装置150内の遅延回路115の遅延時間とが、常に一定になるように、逐次遅延時間を調節することによって、オシレータ116が出力するクロックの周期が常に一定になるように調節する。これにより、時間間隔変換装置150でも、時間間隔変換装置150を使用する環境の温度や電源電圧の変動、時間間隔変換装置150を製造する際の個体差などに起因した、オシレータ116が出力する隣り合うクロックの立ち上がりエッジ同士の間隔の変動(誤差)を、逐次補正し、電気パルス信号が表す時間間隔を精度良くデジタル信号に変換することができる。
そして、本発明を実施するための形態の内視鏡システムにおいて、図9〜図14で説明した時間間隔変換装置15の代わりに、時間間隔変換装置150を本体部3に備えることによって、時間間隔変換装置15と同様に、内視鏡スコープ2の先端部5内で時間の長さを表す信号に変換して伝送された、撮像部11が撮像したアナログの画素信号を、高い分解能で精度良く2進のデジタルの映像信号に変換することができる。
なお、上記の説明では、時間間隔変換装置15において、パラメータ調節回路107が、遅延回路102_10から出力されるクロックd4の立ち上がりエッジから時間Δtだけ遅延したタイミングと、遅延回路102_1から出力されるクロックd1の立ち下がりエッジのタイミングとが一致するように、オシレータ103が出力するクロックの周波数を調節する場合について説明した。また、時間間隔変換装置150において、パラメータ調節回路120が、オシレータ116_8から出力されるクロックの立ち上がりエッジから時間Δtだけ遅延したタイミングと、オシレータ116_1から出力されるクロックの立ち上がりエッジのタイミングとが一致するように、遅延回路115_1〜115_8の遅延時間を調節する場合について説明した。しかし、クロックのエッジのタイミングを一致させる方法は、本発明を実施するための形態に限定されるものではない。
例えば、時間間隔変換装置15において、パラメータ調節回路107が、遅延回路102_10から出力されるクロックd4の立ち上がりエッジから時間Δtだけ遅延したタイミングと、遅延回路102_1から出力されるクロックd1の立ち下がりエッジのタイミングとが一致するように、遅延回路102_1〜102_10の遅延時間を調節する構成にすることもできる。また、例えば、時間間隔変換装置150において、パラメータ調節回路120が、オシレータ116_8から出力されるクロックの立ち上がりエッジから時間Δtだけ遅延したタイミングと、オシレータ116_1から出力されるクロックの立ち上がりエッジのタイミングとが一致するように、オシレータ116_1〜116_8が出力するクロックの周波数を調節する構成にすることもできる。
また、時間間隔変換装置150に備える遅延回路115_1〜遅延回路115_17は、遅延時間を変更する機能を備えている構成である場合について説明した。しかし、時間間隔変換装置150に備える遅延回路115は、本発明を実施するための形態に限定されるものではない。例えば、時間間隔変換装置150に備える遅延回路(遅延回路115_1〜遅延回路115_17)の遅延時間を、時間間隔変換装置15と同様に、一定の遅延時間とし、オシレータ(オシレータ116_1〜オシレータ116_17)が、出力するクロックの周波数を変更することができる構成とすることもできる。この場合、時間間隔変換装置150に備えるパラメータ調節回路(パラメータ調節回路120およびパラメータ設定回路123)が、オシレータのクロックの周波数を制御する。なお、時間間隔変換装置150が上述した構成である場合には、一定の遅延時間である遅延回路(遅延回路115_1〜遅延回路115_17)の構成を、図26に示すような構成に変更することもできる。
ここで、時間間隔変換装置150に備えられる遅延回路115の別の構成について説明する。図26は、本発明の第1の実施形態の内視鏡システム1に備えた別の時間間隔変換装置150における遅延回路115の別の構成の一例を示したブロック図である。図26には、4個のトランジスタで構成した遅延回路115の別の構成の一例を示している。図26において、遅延回路115は、2個のPMOSトランジスタ124_1および124_2と、2個のNMOSトランジスタ124_3および124_4と、電源V1および電源V2と、を備えている。
PMOSトランジスタ124_1は、ゲート端子が遅延回路115の入力端子115aに、ソース端子が電源V1に、ドレイン端子がPMOSトランジスタ124_2のゲート端子、NMOSトランジスタ124_4のゲート端子、およびNMOSトランジスタ124_3のドレイン端子に、それぞれ接続されている。また、NMOSトランジスタ124_3は、ゲート端子が遅延回路115の入力端子115aに、ソース端子がGNDおよびNMOSトランジスタ124_4のソース端子に、それぞれ接続されている。また、PMOSトランジスタ124_2は、ソース端子が電源V2に、ドレイン端子が遅延回路115の出力端子115bおよびNMOSトランジスタ124_4のドレイン端子に、それぞれ接続されている。また、NMOSトランジスタ124_4は、ドレイン端子が遅延回路115の出力端子115bに接続されている。
遅延回路115では、電源V1の電圧を電源V2の電圧よりも低い値に設定し、NMOSトランジスタ124_3のチャネル長Lとチャネル幅Wとの比W/Lを、NMOSトランジスタ124_4の比W/Lより大きく設定し、PMOSトランジスタ124_1の比W/Lを、PMOSトランジスタ124_2の比W/Lより小さく設定している。このように、電源の電圧やそれぞれのトランジスタの比W/Lを設定することによって、PMOSトランジスタ124_1とNMOSトランジスタ124_3とで構成される前段のインバータ回路の閾値電圧を、PMOSトランジスタ124_2とNMOSトランジスタ124_4とで構成される後段のインバータ回路の閾値電圧よりも低い値に設定することができる。
これにより、遅延回路115では、入力端子115aに入力された信号が、“L”レベルから“H”レベルに切り替わったときに、出力端子115bに出力される出力信号の遅延時間、すなわち、時間Δtを短くすることができる。時間間隔変換装置150では、このような構成の遅延回路115を用いることによって、出力するデジタル信号の分解能を向上させることができる。
なお、遅延回路115における電源の電圧やそれぞれのトランジスタの比W/Lを設定は、上述した設定に限定されるものではない。例えば、電源V1の電圧を電源V2の電圧よりも高い値に設定し、NMOSトランジスタ124_3の比W/LをNMOSトランジスタ124_4の比W/Lより小さく設定し、PMOSトランジスタ124_1の比W/LをPMOSトランジスタ124_2の比W/Lより大きく設定することもできる。これにより、前段のインバータ回路の閾値電圧を、後段のインバータ回路の閾値電圧よりも高い値に設定することができ、遅延回路115では、入力端子115aに入力された信号が、“H”レベルから“L”レベルに切り替わったときに、出力端子115bに出力される出力信号の遅延時間(時間Δt)を短くすることができる。このことにより、上述した設定の遅延回路115を用いたのと同様に、時間間隔変換装置150が出力するデジタル信号の分解能を向上させることもできる。
また、本実施形態においては、内視鏡スコープの先端部に備えた送信部が、時間変換器から入力された時間情報に基づいて光パルス信号を生成する場合について説明した。しかし、時間変換器から入力された時間情報に基づいて生成する信号は、本発明を実施するための形態に限定されるものではない。例えば、送信部が、時間変換器から入力された時間情報に基づいて電気パルス信号を生成する構成にすることもできる。なお、この場合には、伝達部内に備えた光導波路(本実施形態においては、光ファイバ)の代わりに、電気信号を伝送する導線などを備えることになる。また、この場合には、本体部に備えた受信部が、伝送された電気パルス信号をそのまま時間間隔変換装置に出力する構成にすることも可能である。
ところで、本実施形態においては、アナログの画素信号の大きさを時間の長さを表す信号に変換して伝送し、伝送された時間の長さを表す信号における時間間隔をデジタルの映像信号に変換するA/D変換器を内視鏡システムに適用した場合について説明した。つまり、アナログ信号の大きさを時間の長さで表す時間情報に変換し、時間情報をデジタル信号に変換することによって、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器を内視鏡システムに適用した場合について説明した。しかし、本実施形態において内視鏡システムに適用したA/D変換器を適用することができるシステムは、内視鏡システムに限定されるものではなく、様々なシステムに、本発明の考え方のA/D変換器を適用することができる。
<A/D変換器>
ここで、様々なシステムに適用することができる本発明の考え方のA/D変換器について説明する。図27は、本発明のA/D変換器の概略構成の一例を示したブロック図である。図27において、A/D変換器200は、電圧時間変換装置210と、同軸ケーブル220と、時間デジタル変換装置230と、除算器240と、を備えている。なお、図27に示したA/D変換器200は、第1の実施形態の内視鏡システム1と同様に、アナログ入力信号の大きさを時間情報で表して伝送し、伝送した時間情報に基づいて変換した最終的なデジタル出力信号を出力する構成の一例を示している。
電圧時間変換装置210は、入力されたアナログ入力信号の大きさを、時間幅(時間間隔)に変換した時間情報を、電気パルス信号として同軸ケーブル220に出力する。なお、A/D変換器200では、図2に示した第1の実施形態の内視鏡システム1の先端部5に備えた時間変換器12および送信部13に相当する機能を、電圧時間変換装置210が行っている。ただし、第1の実施形態の内視鏡システム1においては、送信部13が光パルス信号を伝送していたのみ対し、電圧時間変換装置210では、電気信号である電気パルス信号を同軸ケーブル220に伝送する。
より具体的には、電圧時間変換装置210は、内視鏡システム1における時間変換器12と同様に、入力されたアナログ入力信号の大きさに応じた時間間隔が開始されるタイミングと、終了されるタイミングとを表すそれぞれのパルス信号を時間情報として生成する。そして、電圧時間変換装置210は、内視鏡システム1における送信部13と同様に、生成した時間情報に基づいて、アナログ入力信号の大きさをパルス幅で表した電気パルス信号を生成し、生成した電気パルス信号を同軸ケーブル220に伝送する。電圧時間変換装置210には、アナログ入力信号が入力端子210aに入力され、生成した電気パルス信号を出力端子210bから出力する。なお、電圧時間変換装置210の構成と、電圧時間変換装置210によるアナログ入力信号から時間情報を生成する方法および時間情報から電気パルス信号を生成する方法に関する詳細な説明は、後述する。
同軸ケーブル220は、電気信号を伝送するための導体(信号線)の周囲に、外部から入ってくるノイズを遮断するために、例えば、接地レベルにされた別の導体を備えたケーブルである。同軸ケーブル220は、信号線によって、電圧時間変換装置210から伝送された電気パルス信号を、時間デジタル変換装置230に伝送する。
時間デジタル変換装置230は、同軸ケーブル220を介して電圧時間変換装置210から伝送された電気パルス信号に基づいて、電圧時間変換装置210が変換したアナログ入力信号の大きさを表す時間情報を検出する。そして、時間デジタル変換装置230は、検出した時間情報に基づいて、時間情報が表す時間の長さ(時間間隔)を2進のデジタル信号、すなわち、A/D変換器200に入力されたアナログ入力信号の大きさを表す2進のデジタル信号に変換する。時間デジタル変換装置230は、変換したデジタル信号を、除算器240に出力する。時間デジタル変換装置230には、同軸ケーブル220によって電圧時間変換装置210から伝送されてきた電気パルス信号が入力端子230aに入力され、検出した時間情報を出力端子230bから出力する。
除算器240は、時間デジタル変換装置230から入力されたデジタル信号に対して予め定めた処理を行い、A/D変換器200に入力されたアナログ入力信号の大きさを表す最終的な2進のデジタル出力信号を出力する。除算器240には、時間デジタル変換装置230から出力された時間情報が入力端子240aに入力され、変換した最終的なデジタル出力信号を出力端子240bから出力する。
なお、A/D変換器200では、図2に示した第1の実施形態の内視鏡システム1の本体部3に備えた受信部14および時間間隔変換装置15に相当する機能を、時間デジタル変換装置230および除算器240で行っている。これにより、A/D変換器200に入力されたアナログ入力信号がデジタル出力信号に変換、すなわち、A/D(アナログ/デジタル)変換される。なお、時間デジタル変換装置230による時間情報の検出方法と時間情報からデジタル出力信号への変換方法、および除算器240による最終的なデジタル出力信号への変換方法に関する詳細な説明は、後述する。
次に、A/D変換器200の動作についてより詳しく説明する。より具体的には、電圧時間変換装置210によるアナログ入力信号から時間情報を生成する方法および時間情報から電気パルス信号を生成する方法と、時間デジタル変換装置230による時間情報の検出とデジタル出力信号への変換方法、および除算器240による最終的なデジタル出力信号への変換方法との具体的な例について説明する。
<アナログ入力信号から時間情報を生成する方法および時間情報から電気パルス信号を生成する方法の一例>
まず、A/D変換器200に備えた電圧時間変換装置210の一例について説明する。図28は、本発明のA/D変換器200に備えた電圧時間変換装置210の概略構成の一例を示したブロック図である。図28には、10個の論理否定回路(インバータ回路)を反転回路とし、それぞれの反転回路が直列に接続された電圧時間変換装置210の構成の一例を示している。図28において、電圧時間変換装置210は、パルス発生器211と、10個の反転回路212_1〜212_10と、エッジ検出回路213と、を備えている。なお、以下の説明においては、反転回路212_1〜212_10のいずれか1つの反転回路を示すときには、「反転回路212」という。
パルス発生器211は、アナログ入力信号が電圧時間変換装置210の入力端子210aに入力される毎に、入力されたアナログ入力信号の大きさの時間への変換を開始するためのINパルス信号を出力端子211aに出力する。
全ての反転回路212の電源端子212cには、電圧時間変換装置210の入力端子210aに入力されたアナログ入力信号が、電源として入力される。そして、初段の反転回路212_1には、パルス発生器211が出力したINパルス信号が入力端子212aに入力され、次段以降の各反転回路212には、前段の反転回路212の出力信号が入力端子212aに入力される。なお、それぞれの反転回路212の構成は、図6に示した内視鏡システム1における時間変換器12に備えた反転回路18と同様の構成であるため、反転回路212の動作に関する詳細な説明は省略する。
それぞれの反転回路212は、入力端子212aに入力されたINパルス信号、または前段の反転回路212の出力信号を反転(論理否定)した信号を、電源端子212cに入力された電源の電圧値に応じた遅延時間だけ遅延させて、出力端子212bから出力する。すなわち、それぞれの反転回路212は、入力端子212aに入力された信号を、電源端子212cに入力されたアナログ入力信号の電圧値に応じて遅延させて、出力端子212bから出力する。これにより、最終段の反転回路212_10の出力端子212bから、パルス発生器211が発生したINパルス信号を、電源端子212cに入力された電源の電圧値に応じて10段分遅延させたパルス信号(以下、「DELAYパルス信号」という)が出力される。
なお、パルス発生器211の出力端子211aから出力するINパルス信号は、入力されたアナログ入力信号の大きさに応じた時間間隔が開始されるタイミングを表すパルス信号である。また、最終段の反転回路212_10の出力端子212bから出力するDELAYパルス信号は、入力されたアナログ入力信号の大きさに応じた時間間隔が終了されるタイミングを表すパルス信号である。電圧時間変換装置210においては、パルス発生器211が出力したINパルス信号と、反転回路212_10が出力したDELAYパルス信号とが、入力されたアナログ入力信号の大きさを時間の長さに変換するための時間情報である。
エッジ検出回路213には、パルス発生器211が出力したINパルス信号が入力端子213aに入力され、反転回路212_10が出力したDELAYパルス信号が入力端子213bに入力される。そして、エッジ検出回路213は、入力されたパルス発生器211が出力したINパルス信号のエッジのタイミングから、反転回路212_10が出力したDELAYパルス信号のエッジのタイミングまでの電気パルス信号を生成し、生成した電気パルス信号を、出力端子213cから出力する。ここで、エッジ検出回路213が出力端子213cから出力する電気パルス信号が、電圧時間変換装置210がアナログ入力信号の大きさをパルス幅で表したOUTパルス信号として、出力端子210bから出力される。
ここで、電圧時間変換装置210の動作について説明する。図29は、本発明のA/D変換器200に備えた電圧時間変換装置210における電気パルス信号の生成方法を示したタイミングチャートである。図29には、入力されたアナログ入力信号から時間情報を生成するタイミングおよび時間情報から電気パルス信号を生成するタイミングを示している。
電圧時間変換装置210は、時間に変換すべきアナログ入力信号が、電源として電圧時間変換装置210の入力端子210aに入力された後、パルス発生器211が、図29に示したようなINパルス信号を、出力端子211aから出力する。そして、それぞれの反転回路212が、入力端子212aに入力されたINパルス信号を電源端子212cに入力された電源、すなわち、アナログ入力信号の電圧値に応じた遅延時間だけ順次遅延させ、最終段の反転回路212_10は、図29に示したようなDELAYパルス信号を、出力端子212bから出力する。
パルス発生器211が出力したINパルス信号の立ち上がりエッジのタイミングと、反転回路212_10が出力したDELAYパルス信号の立ち上がりエッジのタイミングとの時間差が、電源として電圧時間変換装置210の入力端子210aに入力されたアナログ入力信号の大きさに応じた時間、すなわち、アナログ入力信号を時間の長さに変換したときの変換時間Dである。
エッジ検出回路213は、入力端子213aに入力された、パルス発生器211が出力したINパルス信号の立ち上がりエッジのタイミングから、入力端子213bに入力された、反転回路212_10が出力したDELAYパルス信号の立ち上がりエッジのタイミングまでの電気パルス信号(OUTパルス信号)を、出力端子213c、すなわち、電圧時間変換装置210の出力端子210bから出力する。
このようにして、A/D変換器200に備えた電圧時間変換装置210では、入力されたアナログ入力信号に基づいた時間情報を生成し、生成した時間情報に基づいた電気パルス信号(OUTパルス信号)を出力する。
なお、電圧時間変換装置210に入力されたアナログ入力信号と変換時間Dとの関係は、図7に示した内視鏡システム1に備えた時間変換器12における画素信号(電源Vin)と変換時間Dとの関係と同様に、1次の分数関数の関係になっている。すなわち、図7に示した画素信号(電源Vin)と変換時間Dとの関係において、画素信号(電源Vin)をアナログ入力信号に置き換えて考えた上式(1)で表される関係になっている。従って、電圧時間変換装置210におけるアナログ入力信号と変換時間Dとの関係に関する詳細な説明は省略する。
<時間情報の検出とデジタル出力信号への変換方法、および最終的なデジタル出力信号への変換方法の一例>
A/D変換器200では、上式(1)のように表される変換時間Dでアナログ入力信号の大きさが時間の長さに変換されることが事前にわかっている。このため、A/D変換器200では、事前にわかっているアナログ入力信号と変換時間Dとの関係に基づいて、第1の実施形態の内視鏡システム1において図8に示したような、ほぼ一次関数の関係を有する最終的なデジタル出力信号を生成することができる。
より具体的には、時間デジタル変換装置230が、同軸ケーブル220を介して電圧時間変換装置210から伝送された電気パルス信号から、アナログ入力信号の大きさを表す時間情報を検出し、検出した時間情報に基づいて、アナログ入力信号の大きさを表す2進のデジタル信号に変換する。そして、除算器240が、予め定めた定数を、時間デジタル変換装置230から出力されたデジタル信号(変換時間D)で除算することによって、図8に示したようなほぼ一次関数の関係を有する最終的なデジタル出力信号を生成して出力する。ここで、図8は、画素信号(電源Vin)をアナログ入力信号に、デジタルの映像信号を時間デジタル変換装置230が出力したデジタル信号に、それぞれ置き換えることによって、除算器240が任意の定数Aをデジタル信号(変換時間D)で除算して生成する、傾きがA/bでアナログ入力信号と比例したデジタル出力信号(=A/D)の関係を示すものとなる。
なお、時間デジタル変換装置230の構成は、内視鏡システム1における時間間隔変換装置15の構成と同様である。また、除算器240は、一般的な論理回路で容易に構成することができる。また、時間デジタル変換装置230と除算器240とによる時間情報の最終的なデジタル出力信号への変換動作は、内視鏡システム1における時間間隔変換装置15の動作と同様である。従って、時間デジタル変換装置230と除算器240との構成および動作に関する詳細な説明は省略する。
上記に述べたとおり、A/D変換器200は、アナログ入力信号を電圧時間変換装置210で上式(1)に示した変換時間Dの関係をもつ電気パルス信号を生成して伝送する。そして、A/D変換器200は、時間デジタル変換装置230で伝送されてきた電気パルス信号からデジタル信号に変換し、さらに除算器240で予め定めた任意の定数を変換したデジタル信号で除算することによって、最終的なデジタル出力信号を生成する。これにより、A/D変換器200では、アナログ入力信号と略比例した関係を有するデジタル出力信号を生成することができ、A/D変換のリニアリティを向上させることができる。
また、A/D変換器200では、電圧時間変換装置210内のそれぞれの反転回路212を、図6に示した内視鏡システム1における時間変換器12に備えた反転回路18と同様の構成にする。これにより、A/D変換器200では、入力されたアナログ入力信号の大きさを時間間隔で表した電気パルス信号を、図28に示したような小さい回路規模の電圧時間変換装置210で生成することができる。
なお、A/D変換器200では、電圧時間変換装置210が生成した電気パルス信号(OUTパルス信号)を、電気信号を伝送するための導体(信号線)である同軸ケーブル220で伝送する場合について説明したが、OUTパルス信号を伝送する方法は、同軸ケーブル220による方法に限定されるものではない。例えば、電圧時間変換装置210が、OUTパルス信号を光パルス信号に変換し、変換した光パルス信号を光ファイバで伝送することもできる。この場合には、電圧時間変換装置210内に、電気パルス信号を光パルス信号に変換する変換装置を備え、時間デジタル変換装置230内に、光パルス信号を電気パルス信号に変換する変換装置を備える構成が考えられる。
<A/D変換器の別の構成>
次に、様々なシステムに適用することができる本発明の考え方のA/D変換器の別の構成について説明する。図30は、本発明のA/D変換器の概略構成の別の一例を示したブロック図である。図30において、A/D変換器300は、電圧時間変換装置310と、シリアライザ320と、E/O変換装置330と、光ファイバ340と、O/E変換装置350と、デシリアライザ360と、5個の時間デジタル変換装置230_1〜230_5と、選択乗算装置370と、除算器240と、を備えている。なお、図30に示したA/D変換器300は、第3の実施形態の内視鏡システム30と同様に、アナログ入力信号の大きさを5種類の時間情報で表して伝送し、伝送した時間情報に基づいて5種類のデジタル信号に変換した後に、1つのデジタル信号を選択して最終的なデジタル出力信号として出力する構成の一例を示している。なお、以下の説明においては、A/D変換器300の構成要素において、図27に示したA/D変換器200の構成要素と同様の構成要素には、同一の符号を用いて説明する。
電圧時間変換装置310は、入力されたアナログ入力信号の大きさを、異なる複数の時間の長さに変換するための複数の時間情報を、それぞれシリアライザ320に出力する。より具体的には、電圧時間変換装置310は、入力されたアナログ入力信号の大きさを、異なる複数の時間幅(時間間隔)で表すための複数の電気パルス信号(OUTパルス信号)を生成する。図30に示したA/D変換器300における電圧時間変換装置310は、アナログ入力信号の大きさを5種類の時間情報で表す場合の一例を示している。
電圧時間変換装置310には、アナログ入力信号が入力端子310aに入力され、生成した5種類のOUTパルス信号を、出力端子310b〜出力端子310fからそれぞれ出力する。ここで、電圧時間変換装置310は、出力端子310bから出力するOUTパルス信号が表す時間幅を1倍としたとき、出力端子310c〜出力端子310fのそれぞれから出力するOUTパルス信号が表す時間幅は、それぞれ2倍、3倍、4倍、および5倍の時間幅となるように構成されている。なお、電圧時間変換装置310の構成、および電圧時間変換装置310によるアナログ入力信号から複数の時間情報を生成する方法に関する詳細な説明は、後述する。
シリアライザ320は、電圧時間変換装置310から入力された複数のOUTパルス信号に基づいて、複数の時間情報が含まれる1つの電気パルス信号(以下、「シリアル信号」という)を生成するパラレル−シリアル変換装置である。より具体的には、シリアライザ320は、電圧時間変換装置310から並列(パラレル)に入力された5種類のOUTパルス信号をパラレル−シリアル変換して、5種類の時間情報のそれぞれをパルス幅で表した1つのシリアル信号を生成し、生成したシリアル信号をE/O変換装置330に出力する。
シリアライザ320には、電圧時間変換装置310から出力された5種類のOUTパルス信号のそれぞれが入力端子320b〜入力端子320fに入力され、生成したシリアル信号を出力端子320aから出力する。なお、シリアライザ320による複数のOUTパルス信号から1つのシリアル信号を生成する方法に関する詳細な説明は、後述する。
E/O変換装置330は、シリアライザ320から入力された電気パルス信号(シリアル信号)を光パルス信号に変換し、変換した光パルス信号を光ファイバ340に出力する。E/O変換装置330には、シリアライザ320から出力されたシリアル信号が入力端子330aに入力され、変換した光パルス信号を出力端子330bから出力する。
なお、A/D変換器300では、図17に示した第3の実施形態の内視鏡システム30の先端部53に備えた時間変換器19および送信部21に相当する機能を、電圧時間変換装置310と、シリアライザ320と、E/O変換装置330とで行っている。これにより、A/D変換器300に入力されたアナログ入力信号の大きさを表す複数の時間情報が伝送される。なお、A/D変換器300では、内視鏡システム30と同様に、時間情報を光パルス信号で伝送する場合を示している。
光ファイバ340は、E/O変換装置330から伝送された光パルス信号を、O/E変換装置350に伝送する。なお、光ファイバ340は、内視鏡システム30における伝達部10に備えた光導波路(光ファイバ)と同様である。
O/E変換装置350は、光ファイバ340を介してE/O変換装置330から伝送された光パルス信号を、再び電気パルス信号(シリアル信号)に変換し、変換したシリアル信号をデシリアライザ360に出力する。O/E変換装置350には、光ファイバ340によってE/O変換装置330から伝送されてきた光パルス信号が入力端子350aに入力され、変換したシリアル信号を出力端子350bから出力する。
デシリアライザ360は、O/E変換装置350から入力された1つのシリアル信号に基づいて、電圧時間変換装置310が出力した異なる複数の時間の長さで表されるそれぞれのOUTパルス信号と同等のOUTパルス信号を生成するシリアル−パラレル変換装置である。より具体的には、デシリアライザ360は、O/E変換装置350から入力されたシリアル信号をシリアル−パラレル変換して、シリアル信号が表す複数の時間情報のそれぞれを、再び別々のパルス幅で表した複数のOUTパルス信号を生成し、生成したOUTパルス信号のそれぞれを、対応する時間デジタル変換装置230のそれぞれに出力する。図30には、デシリアライザ360が、1つのシリアル信号として伝送されてきた、電圧時間変換装置310が生成した5種類のOUTパルス信号と同等のOUTパルス信号のそれぞれを、対応する時間デジタル変換装置230_1〜230_5のそれぞれに出力する場合の一例を示している。
デシリアライザ360には、O/E変換装置350から出力されたシリアル信号が入力端子360aに入力され、生成した5種類のOUTパルス信号を出力端子360b〜出力端子360fのそれぞれから出力する。なお、デシリアライザ360による1つのシリアル信号から複数のOUTパルス信号を生成する方法に関する詳細な説明は、後述する。
時間デジタル変換装置230_1〜230_5のそれぞれは、デシリアライザ360から入力された対応するOUTパルス信号に基づいて、電圧時間変換装置310が変換したアナログ入力信号の大きさを表すそれぞれの時間情報を検出し、検出したそれぞれの時間情報が表す時間間隔を2進のデジタル信号のそれぞれに変換する。時間デジタル変換装置230_1〜230_5のそれぞれは、変換したそれぞれのデジタル信号を、選択乗算装置370に出力する。時間デジタル変換装置230_1〜230_5のそれぞれは、電圧時間変換装置310のそれの出力端子から出力されるOUTパルス信号が表す5種類の時間幅のそれぞれに対応している。図30に示したA/D変換器300における時間デジタル変換装置230_1〜230_5は、電圧時間変換装置310が出力する5種類の時間情報のそれぞれに対応した構成の一例を示している。なお、以下の説明においては、時間デジタル変換装置230_1〜230_5のいずれか1つの時間デジタル変換装置を示すときには、「時間デジタル変換装置230」という。
より具体的には、時間デジタル変換装置230_1は、電圧時間変換装置310の出力端子310bから出力される時間情報(OUTパルス信号)の時間幅に対応し、1倍の時間幅を表すデジタル信号を出力する。また、時間デジタル変換装置230_2は、電圧時間変換装置310の出力端子310cから出力される時間情報(OUTパルス信号)の時間幅に対応し、2倍の時間幅を表すデジタル信号を出力する。また、時間デジタル変換装置230_3は、電圧時間変換装置310の出力端子310dから出力される時間情報(OUTパルス信号)の時間幅に対応し、3倍の時間幅を表すデジタル信号を出力する。また、時間デジタル変換装置230_4は、電圧時間変換装置310の出力端子310eから出力される時間情報(OUTパルス信号)の時間幅に対応し、4倍の時間幅を表すデジタル信号を出力する。また、時間デジタル変換装置230_5は、電圧時間変換装置310の出力端子310fから出力される時間情報(OUTパルス信号)の時間幅に対応し、5倍の時間幅を表すデジタル信号を出力する。なお、時間デジタル変換装置230_1〜230_5のそれぞれは、A/D変換器200に備えた時間デジタル変換装置230と同様の機能および動作であるため、詳細な説明は省略する。
選択乗算装置370は、時間デジタル変換装置230_1〜230_5のそれぞれから入力された複数のデジタル信号の中から、予め定めたA/D変換の信号処理期間内に変換を完了したデジタル信号の内、変換前の時間間隔が最長であるデジタル信号を選択し、選択したデジタル信号に応じた予め定めた定数を乗算して除算器240に出力する。図30に示したA/D変換器300における選択乗算装置370は、アナログ入力信号の大きさを表す5種類のデジタル信号から1つのデジタル信号を選択する構成の一例を示している。選択乗算装置370には、時間デジタル変換装置230_1〜230_5のそれぞれから出力された5種類のOUTパルス信号が入力端子370b〜入力端子370fのそれぞれに入力され、予め定めた定数を乗算したデジタル信号を出力端子370aから出力する。
選択乗算装置370において、選択したデジタル信号に乗算する定数は、時間デジタル変換装置230_1〜230_5のいずれの時間デジタル変換装置230から入力されたデジタル信号を選択した場合でも、同じ大きさのアナログ入力信号を表すデジタル信号を同じ尺度で処理することができるようにするための定数である。これにより、同じ大きさのアナログ入力信号を表すデジタル信号が、いずれの時間デジタル変換装置230から出力された場合でも、選択乗算装置370から同じデジタル信号を、除算器240に出力することができる。
より具体的には、選択乗算装置370が、内視鏡システム30における選択装置23と同様に、時間デジタル変換装置230_1から入力されたデジタル信号を、例えば、予め定めた一定の倍率である60倍したデジタル信号、すなわち、1倍の時間幅のデジタル信号を、1倍〜5倍の時間幅の最小公倍数である60倍にしたデジタル信号を、除算器240に出力する場合を考える。このとき、選択乗算装置370が、時間デジタル変換装置230_1から入力されたデジタル信号を最大のデジタル信号として選択した場合、すなわち、電圧時間変換装置310が出力した1倍の時間幅を表す時間情報に基づいたデジタル信号を選択した場合、選択したデジタル信号を60倍して除算器240に出力する。また、選択乗算装置370が、時間デジタル変換装置230_2から入力されたデジタル信号を最大のデジタル信号として選択した場合、すなわち、電圧時間変換装置310が出力した2倍の時間幅を表す時間情報に基づいたデジタル信号を選択した場合、選択したデジタル信号を30倍して除算器240に出力する。また、選択乗算装置370が、時間デジタル変換装置230_3から入力されたデジタル信号を最大のデジタル信号として選択した場合、すなわち、電圧時間変換装置310が出力した3倍の時間幅を表す時間情報に基づいたデジタル信号を選択した場合、選択したデジタル信号を20倍して除算器240に出力する。また、選択乗算装置370が、時間デジタル変換装置230_4から入力されたデジタル信号を最大のデジタル信号として選択した場合、すなわち、電圧時間変換装置310が出力した4倍の時間幅を表す時間情報に基づいたデジタル信号を選択した場合、選択したデジタル信号を15倍して除算器240に出力する。また、選択乗算装置370が、時間デジタル変換装置230_5から入力されたデジタル信号を最大のデジタル信号として選択した場合、すなわち、電圧時間変換装置310が出力した5倍の時間幅を表す時間情報に基づいたデジタル信号を選択した場合、選択したデジタル信号を12倍して除算器240に出力する。これにより、選択乗算装置370から除算器240に出力するデジタル信号は、時間デジタル変換装置230_1〜230_5のいずれの時間デジタル変換装置230の信号が選択された場合でも、同じ尺度のアナログ入力信号を表すデジタル信号となる。
このように、選択乗算装置370が、電圧時間変換装置310が時間情報を出力する際の特性(倍率)に応じた逓倍処理を、出力するデジタル信号に対して行うことによって、除算器240では、時間デジタル変換装置230_1〜230_5のいずれの時間デジタル変換装置230から出力されたデジタル信号であっても、同じ尺度で処理することができる。なお、選択乗算装置370による複数のデジタル信号から1つのデジタル信号を選択する方法に関する詳細な説明は、後述する。
除算器240は、選択乗算装置370から入力されたデジタル信号に対して予め定めた処理を行い、A/D変換器300に入力されたアナログ入力信号の大きさを表す最終的な2進のデジタル出力信号を出力する。なお、除算器240は、A/D変換器200に備えた除算器240と同様の機能および動作であるため、詳細な説明は省略する。
なお、A/D変換器300では、図17に示した第3の実施形態の内視鏡システム30の本体部33に備えた受信部22と、5個の時間間隔変換装置15_1〜15_5と、選択装置23とに相当する機能を、O/E変換装置350と、デシリアライザ360と、5個の時間デジタル変換装置230_1〜230_5と、選択乗算装置370と、除算器240とで行っている。これにより、A/D変換器300に入力されたアナログ入力信号がデジタル出力信号に変換、すなわち、A/D(アナログ/デジタル)変換される。なお、時間デジタル変換装置230による時間情報の検出方法と時間情報からデジタル出力信号への変換方法、および除算器240による最終的なデジタル出力信号への変換方法は、A/D変換器200におけるそれぞれの方法と同様であるため、詳細な説明は省略する。
次に、A/D変換器300の動作についてより詳しく説明する。より具体的には、電圧時間変換装置310によるアナログ入力信号から複数の時間情報を生成する方法、およびシリアライザ320による複数のOUTパルス信号から1つのシリアル信号を生成する方法と、デシリアライザ360による1つのシリアル信号から複数のOUTパルス信号を生成する方法、および選択乗算装置370による複数のデジタル信号から1つのデジタル信号を選択する方法との具体的な例について説明する。なお、ここでは、電圧時間変換装置310が5種類の時間情報を生成し、シリアライザ320が5種類のOUTパルス信号から1つのシリアル信号を生成する方法と、デシリアライザ360が1つのシリアル信号から5種類のOUTパルス信号を生成し、選択乗算装置370が5種類のデジタル信号から1つのデジタル信号を選択する方法との一例について説明する。
<アナログ入力信号から5種類の時間情報を生成する方法、および5種類のOUTパルス信号から1つのシリアル信号を生成する方法の一例>
まず、A/D変換器300に備えた電圧時間変換装置310の一例について説明する。図31は、本発明の別のA/D変換器であるA/D変換器300に備えた電圧時間変換装置310の概略構成の一例を示したブロック図である。図31には、50個の反転回路が直列に接続された電圧時間変換装置310の構成の一例を示している。図31において、電圧時間変換装置310は、パルス発生器211と、50個の反転回路212_1〜212_50と、5個のエッジ検出回路213_1〜213_5と、を備えている。
電圧時間変換装置310は、図28に示したA/D変換器200に備えた電圧時間変換装置210の反転回路212の個数を増加し、10個の反転回路212の毎にエッジ検出回路213を備え、それぞれのエッジ検出回路213がOUTパルス信号を出力することのみが異なる。従って、以下の説明においては、A/D変換器200に備えた電圧時間変換装置210と同様の機能および動作である構成要素には同一の符号を用い、電圧時間変換装置310のそれぞれの構成要素の詳細な説明は省略する。なお、反転回路212_1〜212_50のいずれか1つの反転回路を示すときには、図28に示した時間変換器12と同様に、「反転回路212」という。また、エッジ検出回路213_1〜213_5のいずれか1つのエッジ検出回路213を示すときには、「エッジ検出回路213」という。
電圧時間変換装置310では、パルス発生器211、反転回路212_1〜212_10、およびエッジ検出回路213_1で1つの回路群が構成される。また、電圧時間変換装置310では、パルス発生器211、反転回路212_1〜212_20、およびエッジ検出回路213_2で1つの回路群が構成される。また、電圧時間変換装置310では、パルス発生器211、反転回路212_1〜212_30、およびエッジ検出回路213_3で1つの回路群が構成される。また、電圧時間変換装置310では、パルス発生器211、反転回路212_1〜212_40、およびエッジ検出回路213_4で1つの回路群が構成される。また、電圧時間変換装置310では、パルス発生器211、反転回路212_1〜212_50、およびエッジ検出回路213_5で1つの回路群が構成される。電圧時間変換装置310内で構成されるそれぞれの回路群は、A/D変換器200に備えた電圧時間変換装置210と同様に動作する。そして、それぞれの回路群は、入力されたアナログ入力信号の大きさを、反転回路212の段数分の遅延時間に相当するパルス幅で表したOUTパルス信号をそれぞれ出力する。
パルス発生器211は、アナログ入力信号が電圧時間変換装置310に入力される毎に、入力されたそれぞれのアナログ入力信号の大きさの時間への変換を開始するためのINパルス信号を出力する。
全ての反転回路212の電源端子212cには、電圧時間変換装置310の入力端子310aに入力されたアナログ入力信号が、電源として入力される。それぞれの反転回路212は、入力端子212aに入力されたINパルス信号、または前段の反転回路212の出力信号を反転(論理否定)した信号を、電源端子212cに入力された電源の電圧値に応じた遅延時間だけ遅延させて、出力端子212bから出力する。
これにより、反転回路212_10の出力端子212bから、INパルス信号を10段分遅延させた第1DELAYパルス信号が出力される。また、反転回路212_20の出力端子212bから、INパルス信号を20段分遅延させた、すなわち、第1DELAYパルス信号の2倍の遅延時間の第2DELAYパルス信号が出力される。また、反転回路212_30の出力端子212bから、INパルス信号を30段分遅延させた、すなわち、第1DELAYパルス信号の3倍の遅延時間の第3DELAYパルス信号が出力される。また、反転回路212_40の出力端子212bから、INパルス信号を40段分遅延させた、すなわち、第1DELAYパルス信号の4倍の遅延時間の第4DELAYパルス信号が出力される。また、反転回路212_50の出力端子212bから、INパルス信号を50段分遅延させた、すなわち、第1DELAYパルス信号の5倍の遅延時間の第5DELAYパルス信号が出力される。
なお、パルス発生器211の出力端子211aから出力するINパルス信号は、入力されたアナログ入力信号の大きさに応じた時間間隔が開始されるタイミングを表すパルス信号である。また、10段毎の反転回路212の出力端子212bからそれぞれ出力する第1DELAYパルス信号〜第5DELAYパルス信号は、入力されたアナログ入力信号の大きさに応じた時間間隔が終了されるタイミングをそれぞれ表すパルス信号である。電圧時間変換装置310においては、パルス発生器211が出力したINパルス信号と、10段毎の反転回路212のそれぞれが出力した第1DELAYパルス信号〜第5DELAYパルス信号のそれぞれとが、入力されたアナログ入力信号の大きさを1倍〜5倍の時間の長さに変換するための時間情報である。以下の説明においては、第1DELAYパルス信号〜第5DELAYパルス信号のいずれか1つのDELAYパルス信号を示すときには、単に「DELAYパルス信号」という。
エッジ検出回路213_1〜213_5のそれぞれには、パルス発生器211が出力したINパルス信号が入力端子213aに入力され、対応する反転回路212が出力したDELAYパルス信号が入力端子213bに入力される。そして、エッジ検出回路213_1〜213_5のそれぞれは、入力されたパルス発生器211が出力したINパルス信号のエッジのタイミングから、対応する反転回路212が出力したDELAYパルス信号のエッジのタイミングまでの電気パルス信号を生成し、生成した電気パルス信号を、それぞれのOUTパルス信号として出力端子213cから出力する。
より具体的には、電圧時間変換装置310は、エッジ検出回路213_1が、パルス発生器211が出力したINパルス信号と、反転回路212_10が出力した第1DELAYパルス信号とに基づいて生成したOUTパルス信号を、第1OUTパルス信号として出力端子310bから出力する。また、電圧時間変換装置310は、エッジ検出回路213_2が、パルス発生器211が出力したINパルス信号と、反転回路212_20が出力した第2DELAYパルス信号とに基づいて生成したOUTパルス信号を、第2OUTパルス信号として出力端子310cから出力する。また、電圧時間変換装置310は、エッジ検出回路213_3が、パルス発生器211が出力したINパルス信号と、反転回路212_30が出力した第3DELAYパルス信号とに基づいて生成したOUTパルス信号を、第3OUTパルス信号として出力端子310dから出力する。また、電圧時間変換装置310は、エッジ検出回路213_4が、パルス発生器211が出力したINパルス信号と、反転回路212_40が出力した第4DELAYパルス信号とに基づいて生成したOUTパルス信号を、第4OUTパルス信号として出力端子310eから出力する。また、電圧時間変換装置310は、エッジ検出回路213_5が、パルス発生器211が出力したINパルス信号と、反転回路212_50が出力した第5DELAYパルス信号とに基づいて生成したOUTパルス信号を、第5OUTパルス信号として出力端子310fから出力する。
なお、電圧時間変換装置310の出力端子310b〜出力端子310fからそれぞれ出力する第1OUTパルス信号〜第5OUTパルス信号は、入力されたアナログ入力信号の大きさに応じた時間間隔をそれぞれ表すパルス信号である。つまり、電圧時間変換装置310が出力する第1OUTパルス信号〜第5OUTパルス信号のそれぞれは、電圧時間変換装置310がアナログ入力信号の大きさを、それぞれ1倍、2倍、3倍、4倍、および5倍のパルス幅で表したOUTパルス信号である。以下の説明においては、第1OUTパルス信号〜第5OUTパルス信号のいずれか1つのOUTパルス信号を示すときには、単に「OUTパルス信号」という。
このような構成によって、電圧時間変換装置310は、アナログ入力信号の大きさを表した5種類の時間情報、すなわち、出力端子310bから出力するOUTパルス信号が表す時間幅を1倍としたとき、1倍〜5倍の時間幅となる5種類の時間情報を、出力端子310b〜出力端子310fから出力する。
シリアライザ320は、入力端子320b〜入力端子320fのそれぞれに入力された第1OUTパルス信号〜第5OUTパルス信号のそれぞれのエッジを検出し、検出したそれぞれのOUTパルス信号の立ち上がりエッジまたは立ち下がりエッジのタイミング毎に論理値が反転する電気パルス信号を生成する。つまり、シリアライザ320は、電圧時間変換装置310から入力されたそれぞれのOUTパルス信号が表す5種類の時間情報のそれぞれを2値で表した1つのシリアル信号に変換する。そして、シリアライザ320は、生成したシリアル信号を出力端子320aから出力する。
ここで、電圧時間変換装置310の動作について説明する。図32は、本発明の別のA/D変換器であるA/D変換器300に備えた電圧時間変換装置310およびシリアライザ320における電気パルス信号の生成方法を示したタイミングチャートである。図32には、電圧時間変換装置310が入力されたアナログ入力信号から5種類の時間情報(第1OUTパルス信号〜第5OUTパルス信号)を生成し、シリアライザ320が5種類のOUTパルス信号から1つのシリアル信号を生成するタイミングを示している。
電圧時間変換装置310は、時間に変換すべきアナログ入力信号が、電源として電圧時間変換装置310の入力端子310aに入力された後、パルス発生器211が、図32に示したようなINパルス信号を、出力端子211aから出力する。そして、それぞれの反転回路212が、入力端子212aに入力されたINパルス信号を電源端子212cに入力された電源、すなわち、アナログ入力信号の電圧値に応じた遅延時間だけ順次遅延させたDELAYパルス信号を、それぞれの出力端子212bから出力する。より具体的には、反転回路212_10が第1DELAYパルス信号を、反転回路212_20が第2DELAYパルス信号を、反転回路212_30が第3DELAYパルス信号を、反転回路212_40が第4DELAYパルス信号を、反転回路212_50が第5DELAYパルス信号を、それぞれの出力端子212bから出力する。
それぞれのエッジ検出回路213は、入力端子213aに入力された、パルス発生器211が出力したINパルス信号の立ち上がりエッジのタイミングから、入力端子213bに入力された、対応する反転回路212が出力したDELAYパルス信号の立ち上がりエッジのタイミングまでの電気パルス信号(OUTパルス信号)を、出力端子213cから出力する。より具体的には、エッジ検出回路213_1が第1OUTパルス信号を、エッジ検出回路213_2が第2OUTパルス信号を、エッジ検出回路213_3が第3OUTパルス信号を、エッジ検出回路213_4が第4OUTパルス信号を、エッジ検出回路213_5が第4OUTパルス信号を、それぞれの出力端子213cから出力する。
これにより、電圧時間変換装置310は、図32に示したように、エッジ検出回路213_1が出力した第1OUTパルス信号と、エッジ検出回路213_2が出力した第2OUTパルス信号と、エッジ検出回路213_3が出力した第3OUTパルス信号と、エッジ検出回路213_4が出力した第4OUTパルス信号と、エッジ検出回路213_5が出力した第5OUTパルス信号とを、時間情報として出力端子310b〜出力端子310fから出力する。
上述したように、電圧時間変換装置310内に備えたそれぞれの回路群は、A/D変換器200に備えた電圧時間変換装置210と同様に動作する。従って、それぞれの回路群におけるDELAYパルス信号は、INパルス信号に対して入力されたアナログ入力信号の大きさに応じた遅延時間をもった電気パルス信号である。また、電圧時間変換装置310が出力するそれぞれのOUTパルス信号のパルス幅は、入力されたアナログ入力信号の大きさに応じた時間幅を表している。
なお、上述したように、第1OUTパルス信号のパルス幅は、INパルス信号を10段分遅延させた遅延時間に相当し、第2OUTパルス信号のパルス幅は、INパルス信号を20段分遅延させた遅延時間に相当し、第3OUTパルス信号のパルス幅は、INパルス信号を30段分遅延させた遅延時間に相当し、第4OUTパルス信号のパルス幅は、INパルス信号を40段分遅延させた遅延時間に相当し、第5OUTパルス信号のパルス幅は、INパルス信号を50段分遅延させた遅延時間に相当する。従って、第1OUTパルス信号のパルス幅が、アナログ入力信号の大きさに応じた1倍の時間、すなわち、アナログ入力信号を時間の長さに変換したときの1倍の変換時間Dであるとすると、第2OUTパルス信号〜第5OUTパルス信号のそれぞれのパルス幅は、それぞれ2倍(変換時間D×2)、3倍(変換時間D×3)、4倍(変換時間D×4)、および5倍(変換時間D×5)の関係となる。
そして、シリアライザ320は、図32に示したように、入力された第1OUTパルス信号〜第5OUTパルス信号のそれぞれのエッジに基づいて、論理値を反転させたることによって、それぞれのOUTパルス信号が表す5種類の時間情報のそれぞれを2値で表した1つのシリアル信号を生成する。より具体的には、図32に示したように、第1OUTパルス信号の立ち上がりエッジで“H”レベルにし、第1OUTパルス信号の立ち下がりエッジで“L”レベルに反転させ、以降、第2OUTパルス信号〜第5OUTパルス信号の立ち下がりエッジでそれぞれ論理値を反転させるシリアル信号を生成する。これにより、第1OUTパルス信号〜第5OUTパルス信号のそれぞれが表す5種類の時間情報の全てを、1つに備えたシリアル信号を生成する、すなわち、パラレル−シリアル変換することができる。なお、シリアライザ320は、一般的な論理回路で容易に構成できるため、具体的な回路構成に関する詳細な説明は省略する。
E/O変換装置330は、シリアライザ320から入力されたシリアル信号を光パルス信号に変換し、変換した光パルス信号を光ファイバ340に出力する。E/O変換装置330が光ファイバ340に出力する光パルス信号は、例えば、シリアル信号が“H”レベルのときに発光し、シリアル信号が“L”レベルのときに消光する光信号である。
また、O/E変換装置350は、光ファイバ340を介してE/O変換装置330から伝送された光パルス信号を、再びシリアル信号に変換し、変換したシリアル信号をデシリアライザ360に出力する。O/E変換装置350デシリアライザ360に出力するシリアル信号は、例えば、光パルス信号が発光しているときに“H”レベルとし、光パルス信号が消光しているときに“L”レベルとなるシリアル信号である。
なお、時間情報をパルス信号のパルス幅で表して伝送する場合には、パルス信号のエッジのズレが、A/D変換における直接的な誤差に繋がってしまう。これは、パルス信号のエッジのタイミングが入力されたアナログ入力信号の大きさを表す情報であるからである。例えば、抵抗成分が大きい導線でパルス信号を伝送した場合には、導線の抵抗成分によって、パルス信号の立ち上がりや立ち下がりが鈍り、パルス信号の立ち上がりエッジや立ち下がりエッジのタイミングを正確に伝送することができなくなってしまう。このため、A/D変換器では、パルス信号を伝送する際のロスによって、パルス信号のエッジの傾きが変化してしまう、つまり、パルス信号の立ち上がりエッジや立ち下がりエッジのタイミングが変化してしまうことは極力避けたい。A/D変換器300では、上述したように、シリアル信号を光信号に変換した光パルス信号で伝送することによって、パルス信号を伝送する際のロスを低減させ、パルス信号のエッジの傾きを保持するため、仮に、シリアル信号を伝送する距離が長い場合でも、伝送する時間情報の誤差を抑えることができる。
<1つのシリアル信号から5種類のOUTパルス信号を生成する方法の一例>
続いて、A/D変換器300に備えたデシリアライザ360の動作について説明する。図33は、本発明の別のA/D変換器であるA/D変換器300に備えたデシリアライザ360における電気パルス信号の生成方法を示したタイミングチャートである。図33には、デシリアライザ360が入力された1つのシリアル信号から5種類の時間情報(第1OUTパルス信号〜第5OUTパルス信号)を生成するタイミングを示している。
デシリアライザ360は、O/E変換装置350から、図33に示したようなシリアル信号が入力端子360aに入力されると、入力されたシリアル信号のそれぞれのエッジを検出する。そして、デシリアライザ360は、検出したそれぞれのエッジのタイミングに基づいて、電圧時間変換装置310が出力した5種類のOUTパルス信号と同等の5種類のOUTパルス信号を生成し、生成した5種類のOUTパルス信号を、出力端子360b〜出力端子360fのそれぞれから出力する。
より具体的には、デシリアライザ360は、シリアル信号の1回目の立ち上がりエッジのタイミングで立ち上がり、1回目の立ち下がりエッジのタイミングで立ち下がる電気パルス信号、すなわち、変換時間Dを表す電気パルス信号を生成し、第1OUTパルス信号として出力端子360bから出力する。また、デシリアライザ360は、シリアル信号の1回目の立ち上がりエッジのタイミングで立ち上がり、2回目の立ち上がりエッジのタイミングで立ち下がる電気パルス信号、すなわち、変換時間Dの2倍の変換時間D×2を表す電気パルス信号を生成し、第2OUTパルス信号として出力端子360cから出力する。また、デシリアライザ360は、シリアル信号の1回目の立ち上がりエッジのタイミングで立ち上がり、2回目の立ち下がりエッジのタイミングで立ち下がる電気パルス信号、すなわち、変換時間Dの3倍の変換時間D×3を表す電気パルス信号を生成し、第3OUTパルス信号として出力端子360dから出力する。また、デシリアライザ360は、シリアル信号の1回目の立ち上がりエッジのタイミングで立ち上がり、3回目の立ち上がりエッジのタイミングで立ち下がる電気パルス信号、すなわち、変換時間Dの4倍の変換時間D×4を表す電気パルス信号を生成し、第4OUTパルス信号として出力端子360eから出力する。また、デシリアライザ360は、シリアル信号の1回目の立ち上がりエッジのタイミングで立ち上がり、3回目の立ち下がりエッジのタイミングで立ち下がる電気パルス信号、すなわち、変換時間Dの5倍の変換時間D×5を表す電気パルス信号を生成し、第5OUTパルス信号として出力端子360fから出力する。
これにより、デシリアライザ360は、図33に示したような、第1OUTパルス信号を対応する時間デジタル変換装置230_1に、第2OUTパルス信号を対応する時間デジタル変換装置230_2に、第3OUTパルス信号を対応する時間デジタル変換装置230_3に、第4OUTパルス信号を対応する時間デジタル変換装置230_4に、第5OUTパルス信号を対応する時間デジタル変換装置230_5に、それぞれ出力する。なお、デシリアライザ360は、一般的な論理回路で容易に構成できるため、具体的な回路構成に関する詳細な説明は省略する。
時間デジタル変換装置230_1〜230_5のそれぞれは、A/D変換器200に備えた時間デジタル変換装置230と同様に、デシリアライザ360から入力された対応するOUTパルス信号に基づいて、電圧時間変換装置310が変換したアナログ入力信号の大きさを表すそれぞれの時間情報を検出し、検出したそれぞれの時間情報が表す時間間隔を2進のデジタル信号のそれぞれに変換する。そして、時間デジタル変換装置230_1〜230_5のそれぞれは、変換したデジタル信号のそれぞれを、選択乗算装置370に出力する。
なお、図32では、電圧時間変換装置310がINパルス信号および第1OUTパルス信号〜第5OUTパルス信号を全て出力する、すなわち、5種類の時間情報を全て出力する場合のタイミングチャートを示した。しかし、時間に変換すべき複数のアナログ入力信号が順次入力される場合には、電圧時間変換装置310が、入力されたアナログ入力信号の大きさに基づいて時間情報を出力するために使うことができる時間は、アナログ入力信号の大きさに係わらず同じ時間であることもある。すなわち、電圧時間変換装置310が1つのアナログ入力信号の大きさに応じた時間情報を出力するために使用することができる時間は、予め定めた信号処理期間内に限定されることもある。このため、例えば、アナログ入力信号の電圧値が小さい場合には、パルス発生器211が出力したINパルス信号が、電圧時間変換装置310に備えた全ての反転回路212を通過せず、第1OUTパルス信号〜第5OUTパルス信号の全てのOUTパルス信号を出力することができないこともある。
そこで、電圧時間変換装置310には、信号処理期間が経過する毎に、現在入力されているアナログ入力信号の時間情報への変換の処理をリセットする機能を備える。そして、電圧時間変換装置310は、5種類の時間情報を全て出力していない場合でも、信号処理期間の周期毎にリセットを行い、次に入力されるアナログ入力信号の時間情報への変換処理の準備を行う。これにより、電圧時間変換装置310は、信号処理期間の周期毎に、INパルス信号と、INパルス信号が通過した反転回路212までのOUTパルス信号とを、時間情報として出力する。
これにより、時間デジタル変換装置230_1〜230_5の中には、デシリアライザ360から電気パルス信号が入力されない時間デジタル変換装置230が存在することもある。選択乗算装置370は、信号処理期間内にデシリアライザ360から電気パルス信号が入力され、このパルス信号のパルス幅をデジタル信号に変換した時間デジタル変換装置230の中で、最大のデジタル信号を出力する時間デジタル変換装置230からのデジタル信号を選択して除算器240に出力する。
<5種類のデジタル信号から1つのデジタル信号を選択する方法の一例>
続いて、A/D変換器300に備えた選択乗算装置370によるデジタル信号の選択方法の一例について説明する。なお、A/D変換器300に備えた電圧時間変換装置310が時間情報に変換するアナログ入力信号と変換時間Dとの関係は、図20に示した内視鏡システム30に備えた時間変換器19が時間情報に変換する画素信号(電源Vin)と変換時間Dとの関係と同様に、1次の分数関数の関係になっている。すなわち、図20に示した画素信号(電源Vin)と変換時間Dとの関係において、画素信号(電源Vin)をアナログ入力信号に置き換え、映像信号処理期間を信号処理期間に置き換えた関係になっている。従って、電圧時間変換装置310におけるアナログ入力信号と変換時間Dとの関係に関する詳細な説明は省略する。
なお、A/D変換器300においても、図20に示した画素信号(電源Vin)と変換時間Dと同様に、電圧時間変換装置310は、1次の分数関数を有する5種類の入出力特性を持っていることになる。そして、電圧時間変換装置310の信号処理期間を、電圧時間変換装置310の入出力特性に重ね合わせることによって、図20に示したように、アナログ入力信号の電圧値の大きさの範囲によって、5個の領域(領域M1〜M5)に分けることができる。
従って、A/D変換器300においても、電圧時間変換装置310は、アナログ入力信号の電圧値に応じて、異なる数の時間情報を出力することになり、全ての時間デジタル変換装置230に、デシリアライザ360から電気パルス信号が入力されることにはならない。このため、選択乗算装置370には、全ての時間デジタル変換装置230からデジタル信号が入力されることにはならない。
選択乗算装置370は、時間デジタル変換装置230_1から時間デジタル変換装置230_5の順に変換したデジタル信号を受け、信号処理期間内に最後に受けた時間デジタル変換装置230からのデジタル信号を選択する。すなわち、選択乗算装置370は、変換前の時間間隔が最長となるデジタル信号を選択する。この変換前の時間間隔が最長となるデジタル信号は、A/D変換の分解能が最も大きいデジタル信号である。
なお、選択乗算装置370におけるデジタル信号の選択方法は、内視鏡システム30に備えた選択装置23におけるデジタル信号の選択方法と同様である。そして、選択乗算装置370が、アナログ入力信号と変換時間Dとの関係の傾きが大きいデジタル信号を選択することによる効果も同様である。従って、選択乗算装置370におけるデジタル信号の選択方法および効果に関する詳細な説明は省略する。
このように、選択乗算装置370が変換前の時間間隔が最長となるデジタル信号を選択することによって、アナログ入力信号と変換時間Dとの関係が良好なデジタル信号を、除算器240に出力することができる。このとき、選択乗算装置370は、選択したデジタル信号に対して、電圧時間変換装置310が時間情報を出力する際の特性(倍率)に応じた逓倍処理を行って除算器240に出力する。なお、選択乗算装置370は、一般的な論理回路で容易に構成できるため、具体的な回路構成に関する詳細な説明は省略する。
除算器240は、選択乗算装置370から入力された逓倍処理されたデジタル信号に対して予め定めた処理を行い、A/D変換器300に入力されたアナログ入力信号の大きさを表す最終的な2進のデジタル出力信号を出力する。
上記に述べたとおり、A/D変換器300は、電圧時間変換装置310によって、入力されたアナログ入力信号の大きさを表す5種類のOUTパルス信号を生成し、シリアライザ320によって1つのシリアル信号に変換し、E/O変換装置330が光パルス信号に変換して伝送する。つまり、A/D変換器200では、図27に示したように、1種類の時間情報(A/D変換器300においては、第1OUTパルス信号)のみを伝送していたのに対して、A/D変換器300では5種類の時間情報を伝送する。そして、A/D変換器300は、O/E変換装置350が光パルス信号をシリアル信号に変換し、デシリアライザ360が5種類のOUTパルス信号に戻し、時間デジタル変換装置230_1〜230_5によって複数のデジタル信号に変換し、選択乗算装置370がアナログ入力信号と変換時間Dとの関係の傾きがより大きいデジタル信号を選択し、除算器240がアナログ入力信号の大きさを表す最終的な2進のデジタル出力信号を出力する。つまり、A/D変換器300では、信号処理期間内で最も傾きが大きい時間情報に応じたデジタル信号を選択して最終的なデジタル出力信号を得る。これにより、A/D変換器300では、A/D変換したデジタル出力信号の分解能を大幅に向上させ、A/D変換の変換精度を向上させることができる。
上記に述べたとおり、本発明を実施するための形態によれば、内視鏡システムに適用したA/D変換器と同様の考え方のA/D変換器を、内視鏡システム以外の様々なシステムに適用することができる。すなわち、アナログ信号の大きさを時間の長さで表す時間情報に変換し、時間情報をデジタル信号に変換する構成のA/D変換器は、様々なシステムで利用することができる。
なお、A/D変換器を備えた一般的なシステムでは、システムの処理速度を高速化するために、A/D変換のスループットの向上が求められることがある。そこで、A/D変換のスループットを向上するための方法として、システム内に複数のA/D変換器を備え、それぞれのA/D変換器が少しずつタイミングをずらしてアナログ信号をサンプリングし、複数のA/D変換器が並列にA/D変換の処理をすることによってA/D変換のスループットを向上させる、インターリーブという手法が一般的に用いられている。しかし、アナログ信号を直接デジタル信号に変換する一般的なA/D変換器では、A/D変換の期間中、連続してアナログ信号をサンプルホールドしておく必要があるため、インターリーブの手法で処理をする場合には、それぞれのA/D変換器毎に異なるサンプルホールド回路を用意する必要がある。しかしながら、複数のサンプルホールド回路の特性を均一にすることは困難であり、サンプルホールド回路の特性の不均一性が、システムとしてのA/D変換の変換精度の悪化させる要因になってしまう。
また、本実施形態においてA/D変換器を適用した内視鏡システムのように、アナログ信号の発生源(撮像部11)からA/D変換後のデジタル信号の処理回路(ビデオプロセッサ16)までの位置が離れている場合には、信号線の引き回しが長くなってしまうため、信号を伝送する際のロスが大きくなってしまう。このため、A/D変換器では、A/D変換の精度を重視することから、アナログ信号の発生源に近い位置でA/D変換し、変換したデジタル信号を伝送することによって信号を伝送する際のロスによる影響を低減することが考えられる。しかしながら、A/D変換後のデジタル信号は、周波数が高いことが考えられる。このため、デジタル信号を長い距離伝送すると、EMIや共振などによって、周辺機器に悪影響を及ぼしてしまうという懸念がある。
本発明のA/D変換器では、アナログ入力信号を電圧時間変換装置で時間情報に変換し、変換した時間情報を時間デジタル変換装置でデジタル信号に変換している。すなわち、入力されたアナログ入力信号の大きさを、時間幅(時間間隔)に変換した時間情報を電気パルス信号(OUTパルス信号)として伝送している。本発明のA/D変換器では、電圧時間変換装置によるアナログ入力信号の大きさの時間情報への変換を比較的単純な処理で行うことができるため、電圧時間変換装置の処理のスループットを高くすることができ、シリアルの処理で実現することができる。これにより、本発明のA/D変換器では、時間デジタル変換装置によるOUTパルス信号のデジタル信号への変換のみを並列に行うインターリーブの手法で処理することができる。また、アナログ入力信号は、電圧時間変換装置が時間情報に変換するときのみ必要であるため、アナログ信号を直接デジタル信号に変換する一般的なA/D変換器を用いてインターリーブの手法で処理する場合のように、複数のサンプルホールド回路を備える必要がなく、サンプルホールド回路の特性の不均一性に起因するA/D変換の変換精度の悪化の問題を回避することができる。
また、本発明のA/D変換器では、入力されたアナログ入力信号の大きさを表す時間幅を、OUTパルス信号のエッジのタイミングやパルス幅で表しているため、OUTパルス信号の周波数帯域を低く抑えることができる。このため、本発明のA/D変換器では、OUTパルス信号を長い距離伝送した場合でも、EMIや共振などによる周辺機器への悪影響を回避することができる。
以上、本発明の実施形態について、図面を参照して説明してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲においての種々の変更も含まれる。