JP6021576B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Description
また、請求項1に記載の空気入りタイヤは、鋭角部はブロックの他の部位と同じ高さで形成されているので、鋭角部が面取りされている場合と比較して、鋭角部のエッジ圧が高くなり鋭角部が雪(氷)に食い込み易くなるので、雪上(氷上)の走行性能を向上できる。
この構成によりブロックを区画する周方向溝及びラグ溝を嵩上げすることでブロック壁を補強できる。また、第2嵩上げ部は、周方向溝の一部を嵩上げして形成している。これにより、周方向溝を全て嵩上げする場合と比較して、周方向溝の断面積が大きくなり排水性を向上できる。
この構成によりブロックのタイヤ軸方向外側とタイヤ軸方向内側の両方に鋭角部を備えている場合、より摩耗し易いタイヤ軸方向外側の鋭角部のブロック壁を第1嵩上げ部及び第2嵩上げ部で補強することで、確実にヒールアンドトウ摩耗の発生を抑制できる。
この構成により、第1嵩上げ部がトレッド表面に露出するまでに許容されるタイヤの摩耗量を確保すると共に、ヒールアンドトウ摩耗を抑制できる。なお、ここでいう空気が充填された状態とは、JATMA(JATMA YEAR BOOK 2012年度版)で規定された適正内圧で空気が充填された状態を指す。
この構成により、ブロック壁が路面上の水や雪(氷)の融解水を周方向溝へ押し出すので、ブロック壁がトレッド平面視でタイヤ軸方向と平行に形成されている場合と比較して、排水性を向上できる。
図を参照しながら、本発明の第1実施形態に係る空気入りタイヤ10(以下、タイヤ10と記載する)について説明する。なお、図中矢印TWはタイヤ10の軸と平行な方向(以下、適宜「タイヤ軸方向」と記載する。)を示し、矢印TCはタイヤ10の軸を中心とする円の円周方向(以下、適宜「タイヤ周方向」と記載する。)を示す。また、図中CLは赤道面(タイヤの軸方向中心を通りタイヤの軸に垂直な面)を示し、矢印Aは、タイヤの回転方向を示す。また、タイヤ軸方向に沿ってタイヤ10の赤道面に向かう側を「タイヤ軸方向内側」、タイヤ軸方向に沿ってタイヤ10の赤道面から離れる側を「タイヤ軸方向外側」と記載する。なお、タイヤ10の内部構造は、一般の空気入りタイヤと同様であるので、その説明を省略する。
次に、本実施形態に係るタイヤ10の作用について説明する。本実施形態のタイヤ10は、図1に示すように、トレッド平面視で中央ブロック26のタイヤ軸方向外側に鋭角部26A、26Bを備えている。これにより、雪(氷)上走行時に鋭角部26A、26Bが雪(氷)に食い込んで雪上(氷上)の走行性能を確保できる。
図3に示すように、路面100上を転動しているタイヤ30の回転軸に近い部位の回転速度より回転軸から遠い部位の回転速度の方が速いため、蹴り出し時の鋭角部36Bにせん断歪が作用する。ここで、タイヤ30の中央ラグ溝32と外側周方向主溝34は嵩上げされていないので、鋭角部36Bがタイヤ30の回転方向A側(踏み込み端36B1側)へ倒れ込むようにせん断変形する。このため、鋭角部36Bの蹴り出し端36B2側の摩耗量が多くなり、ヒールアンドトウ摩耗が発生し易い状態となる。なお、図3では、タイヤ30の変形状態を誇張して描いているため、踏み込み端36B1が路面100から浮き上がっているが、踏み込み端36B1が路面100に接地している状態であっても、踏み込み端36B1より蹴り出し端36B2に作用するせん断歪の方が大きいので、ヒールアンドトウ摩耗が発生し易い状態となる。
図4に示すように、タイヤ40の鋭角部46Bの蹴り出し端46B2側の中央ラグ溝42は嵩上げされておらず、鋭角部46Bの踏み込み端46B1側の外側周方向主溝44は嵩上げされて第2嵩上げ部48が設けられている。ここで、図3のタイヤ30と同様に、蹴り出し時の鋭角部36Bにせん断歪が作用するが、一方で第2嵩上げ部48により鋭角部46Bがタイヤ40の回転方向A側(踏み込み端46B1側)へ倒れ込むのを抑制している。これにより、図中2点鎖線で描いたタイヤ30の鋭角部36Bと比較して、蹴り出し端46B2に作用するせん断歪が小さくなる。
図5に示すように、タイヤ10には、中央ラグ溝22の溝底22Aが嵩上げされ第1嵩上げ部とされている。また、外側周方向主溝16を嵩上げして第2嵩上げ部28が設けられている。ここで、第1嵩上げ部22Aの嵩上げ高さH2は、第2嵩上げ部28の嵩上げ高さH3の0.3倍の高さとなっている。このとき、図4のタイヤ40と同様に、タイヤ10の第2嵩上げ部28により鋭角部26Bがタイヤ10の回転方向A側へ倒れこむのを抑制する。また、第1嵩上げ部22Aにより鋭角部26Bが蹴り出し端26B2側へ膨らむように変形するのも抑制する。これにより、図中2点鎖線で描いたタイヤ30の鋭角部36B、及び図4のタイヤ40と比較して、蹴り出し端26B2に作用するせん断歪が小さくなる。
タイヤ50の第1嵩上げ部52の嵩上げ高さH2は、第2嵩上げ部54の嵩上げ高さH3の0.6倍の高さとなっている。このとき、図6に示すように、鋭角部56Bの踏み込み端56B1側は、図5のタイヤ10の鋭角部26Bとほとんど変わらない。一方、第1嵩上げ部52の嵩上げ高が高くなったことで、鋭角部26Bの全高が低くなり、車重を受けた鋭角部56Bの蹴り出し端56B2のブロック壁が膨らむように変形する。これにより、図中2点鎖線で示した図5のタイヤ10の鋭角部26Bと比較して、蹴り出し端56B2に作用するせん断歪が大きくなる。
本実施形態に係るタイヤ10の効果を確認するため、上述した実施例1のタイヤ10、実施例2のタイヤ50、及び比較例2のタイヤ40を含む計4種類のタイヤを用意して試験を実施した。以下に試験に用いた実施例のタイヤ及び比較例のタイヤについて説明する。なお、試験に用いたタイヤは、トラックバス用のタイヤであり、サイズは275/70R22.5で、内圧が200kPaのものである。また、溝深さH1は13mmで固定し、第2嵩上げ部28の嵩上げ高H3は5.0mmで固定した。また、以下の比較例3は、比較例2と同様の構造のタイヤを用いた。
比較例2:H2=0mm、H3=5.0mm(H2/H3=0)
比較例3:H2=5.0mm、H3=5.0mm(H2/H3=1.0)
次に、本発明の第2実施形態に係るタイヤ60について説明する。図8に示すように、本実施形態に係るタイヤ60のトレッドパターンは、赤道線CLに対して線対称に構成されており、トレッド部62のタイヤ軸方向中央部には、赤道線CLに沿って直線状に延びる中央周方向主溝64が形成されている。
12、62 トレッド部
14、64 中央周方向主溝(周方向溝)
16、66 外側周方向主溝(周方向溝)
18、68 外側ラグ溝
20、70 ショルダーブロック
22、72 中央ラグ溝(ラグ溝)
22A、72A 溝底(第1嵩上げ部)
26、74 中央ブロック(ブロック)
26A、74A、26B 鋭角部
26A1、26B1、74A1 踏み込み端
26A2、26B2、74A2 蹴り出し端
28、78 第2嵩上げ部
TW タイヤ軸方向
Claims (5)
- トレッド部にタイヤ周方向にジグザグ状に延びる複数の周方向溝とタイヤ軸方向に延びる複数のラグ溝とで区画され、前記ラグ溝に面する蹴り出し側のブロック壁と前記周方向溝に面する踏み込み側のブロック壁とで構成された鋭角部を備えたブロックと、
前記蹴り出し側のブロック壁に隣接して設けられると共に前記鋭角部の先端から前記蹴り出し側のブロック壁に沿って延び、前記周方向溝の溝底、及び前記ラグ溝の溝底よりも高く前記ブロックの最大高さよりも低い第1嵩上げ部と、
前記踏み込み側のブロック壁に隣接して設けられ、前記ブロックの最大高さよりも低く、かつ前記第1嵩上げ部より嵩上げ高が高い第2嵩上げ部と、
を有し、
前記鋭角部が、前記ブロックの他の部位と同じ高さで形成されている、空気入りタイヤ。 - 前記第1嵩上げ部は、前記ラグ溝の溝底全体を前記周方向溝よりも嵩上げして形成され、
前記第2嵩上げ部は、前記周方向溝の一部を嵩上げして形成されている請求項1に記載の空気入りタイヤ。 - 前記第1嵩上げ部及び前記第2嵩上げ部は、前記ブロックのタイヤ軸方向外側の前記鋭角部を形成するブロック壁を補強している請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
- 空気が充填された状態において、前記周方向溝の溝底から前記第1嵩上げ部の表面までの高さは、前記周方向溝の溝底から前記第2嵩上げ部の表面までの高さの0.2倍より高く、0.6倍より低い高さとなっている請求項2または請求項3に記載の空気入りタイヤ。
- 前記ブロックの前記ラグ溝に面したブロック壁は、トレッド平面視でタイヤ軸方向に対して傾斜している請求項2〜4の何れか1項に記載の空気入りタイヤ。
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