JP6020025B2 - 画像形成装置及び補正方法 - Google Patents

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Description

本発明は、画像形成装置及び補正方法に関する。
電子写真方式は、感光体上を光走査して形成された静電潜像を現像することにより、画像を形成する方法であり、光源としてレーザーダイオードを用いた画像形成装置がレーザープリンターとして知られている。レーザーダイオードを用いた画像形成装置は、パルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)によって画像データからパルスを生成し、当該パルスによりレーザーダイオードを駆動して上記静電潜像を形成する。
画像の高解像度化及び画像形成の高速化に伴い、レーザーダイオードの駆動も高速化が求められている。しかしながら、レーザーダイオードを高速に駆動し、発光と消灯を高速で切り替えると、レーザーダイオードがその駆動に応答しきれずに発光タイミングが遅延し、発光量が不足することがある。発光量が不足すると、画像データの各画素値に応じた発光量が得られないため、画像の再現性が低下する。
発光タイミングは、発光前の消灯間隔が長いほど遅延する傾向があり、発光量不足が顕著になりやすい。このような発光特性に対し、レーザーダイオードの消灯間隔に応じて注入電流タイミングを補正し、発光タイミングの遅延自体を防止する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、レーザーダイオードの消灯間隔に応じてパルス幅を増減させて、期待した発光量が得られるように発光時間を補正する方法も開示されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2000−114647号公報 特許第4926587号公報
従来の補正方法は、いずれもレーザーダイオードが発光する直前の消灯間隔のみに着目して、補正値を決定している。このような補正値は、文字のように細かな線構造を持つ画像を局所的に補正するには有効に働く。
しかしながら、レーザーダイオードの発光量は、直前の発光及び消灯の履歴だけなく、さらに前の履歴からも影響を受けることがある。
例えば、図13に示す発光パターンAは、注目画素(*マークが付された画素)における発光の前に、発光と消灯を繰り返している。一方、図13に示す発光パターンBは、消灯が連続した後、1回発光し、再び消灯している。どちらの発光パターンA及びBも、注目画素の直前に1画素分の消灯の履歴がある点は同じである。しかし、発光パターンAはそれ以前にも発光の履歴があるため、レーザーダイオードの応答性が発光パターンBより良く、注目画素における発光量が発光パターンBよりも大きいことがある。
このような現象は、画像の高解像度化又は画像形成の高速化が進むにつれ、より顕著に現れると予想できる。すなわち、直前の消灯の履歴だけでは、レーザーダイオードの発光特性を正確に把握することができず、補正が不十分となって、画素値に応じた発光量を得ることが難しい。
本発明の課題は、レーザーダイオードの発光量の過不足を精度良く補正し、画像の再現性を向上させることである。
請求項1に記載の発明によれば、
画像データを補正する画像処理装置と、
前記画像処理装置により補正された画像データに基づき、レーザーダイオードを発光させて感光体を露光し、現像して画像を形成する画像形成部と、を備え、
前記画像処理装置は、
n個の連続する画素の各画素値のパターンを異ならせて前記レーザーダイオードを発光させたときのn番目の画素の発光量に基づいて、n個の各画素がn番目の画素の発光量に及ぼす影響度を決定するモデル化部と、
前記画像データから注目画素及び当該注目画素の直前に位置するn−1個の画素を抽出し、抽出されたn個の画素の各画素値を、前記モデル化部により決定されたn個の各画素の影響度に応じて重み付けて加算し、前記注目画素における発光量の推測値を算出する推測部と、
前記推測値を用いて前記注目画素の画素値を補正し、前記注目画素における発光量の期待値と前記推測値との誤差を小さくする発光補正部と、
を備える画像形成装置が提供される。
請求項2に記載の発明によれば、
前記発光補正部は、前記推測値が前記発光量の期待値より大きい場合、前記注目画素の画素値を減少させる、
請求項1に記載の画像形成装置が提供される。
請求項3に記載の発明によれば、
前記発光補正部は、前記推測値が前記発光量の期待値より小さい場合、前記注目画素の画素値を増加させる、
請求項1又は2に記載の画像形成装置が提供される。
請求項4に記載の発明によれば、
前記発光補正部は、前記注目画素の補正後の画素値が、最大値を上回るか又は最小値を下回る場合、上回った分の画素値又は下回った分の画素値を注目画素の周辺の画素に分配する、
請求項1〜3の何れか一項に記載の画像形成装置が提供される。
請求項5に記載の発明によれば、
前記発光補正部は、前記画素値が分配された周辺の画素の画素値が、最大値を上回る場合、最大値に補正し、最小値を下回る場合、最小値に補正する、
請求項4に記載の画像形成装置が提供される。
請求項6に記載の発明によれば、
前記周辺の画素は、主走査方向において注目画素に隣接する画素である、
請求項4又は5に記載の画像形成装置が提供される。
請求項7に記載の発明によれば、
前記画像データは、中間調処理された画像データである、
請求項1〜6の何れか一項に記載の画像形成装置が提供される。
請求項8に記載の発明によれば、
n個の連続する画素の各画素値のパターンを異ならせてレーザーダイオードを発光させたときのn番目の画素の発光量に基づいて、n個の各画素がn番目の画素の発光量に及ぼす影響度を決定するモデル化工程と、
画像データから注目画素及び当該注目画素の直前に位置するn−1個の画素を抽出し、抽出されたn個の画素の各画素値を、前記モデル化工程において決定されたn個の各画素の影響度に応じて重み付けて加算し、前記注目画素における発光量の推測値を算出する推測工程と、
前記推測値を用いて前記注目画素の画素値を補正し、前記注目画素における発光量の期待値と前記推測値との誤差を小さくする補正工程と、
を含む補正方法が提供される。
本発明によれば、注目画素における発光量を精度良く推測して、補正値を得ることができる。この補正値により、注目画素の元の画素値から期待される発光量を得ることができ、レーザーダイオードの発光量の過不足を精度良く補正して、画像の再現性を向上させることができる。
本実施の形態に係る画像形成装置の概略構成図である。 図1の画像形成部の概略構成図である。 図1の画像処理装置の概略構成図である。 レーザーダイオードの発光特性を示している。 図3のモデル化部の処理手順を示すフローチャートである。 n個の画素の各画素値を異ならせてレーザーダイオードを発光させたときのn番目の画素の発光量が定められた発光パターンの例である。 図6の発光パターンの発光と消灯の状態を表す図である。 図6の発光パターンの発光と消灯の状態を表す図である。 図3の推測部及び発光補正部の処理手順を示すフローチャートである。 補正により最大値を上回った画素値の分配を説明する図であり、(a)は分配前の各画素の画素値を表す。(b)は分配後の各画素の画素値を表す。 画素値の分配により最大値を上回った隣接画素の画素値の調整を説明する図であり、(a)は分配前の各画素の画素値を表す。(b)は分配後の各画素の画素値を表す。(c)は分配後、最大値に補正された隣接画素の画素値を表す。 (a)発光量の期待値が得られたときの画像例を示している。(b)補正が無い場合の画像例を示している。(c)補正が有る場合の画像例を示している。 2つの発光パターンを示している。
以下、図面を参照して本発明の画像形成装置及び補正方法の実施の形態について説明する。
図1は、本実施の形態に係る画像形成装置Gを示す。
図1に示すように、画像形成装置Gは、制御部1、記憶部2、通信部3、操作部4、表示部5、スキャナー6、画像処理装置7、プリンタエンジン8を備えている。
制御部1は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等を備えている。制御部1は、記憶部2に記憶されているプログラムを読み出し、当該プログラムに従って画像形成装置Gの各部を制御する。
記憶部2は、制御部1が読み取り可能なプログラム、ファイル等を記憶している。記憶部2としては、例えばハードディスク、ROM(Read Only Memory)等の記憶媒体を用いることができる。
通信部3は、ネットワーク上のコンピューター端末と通信する。通信部3は、コンピューター端末からPDL(Page Description Language)データを受信し、画像処理装置7に出力する。
操作部4は、操作キーや表示部5と一体に構成されたタッチパネル等を備え、これらの操作に応じた操作信号を制御部1に出力する。
表示部5は、制御部1の指示に従って操作画面等を表示する。
スキャナー6は、原稿をスキャンし、アナログ画像信号を生成する。スキャナー6は、アナログ画像信号をA/D変換し、R(赤)、G(緑)、B(青)の色毎に画像データを生成する。
画像処理装置7は、スキャナー6又は通信部3により入力された画像データを補正し、必要な画像処理を施して、プリンタエンジン8に出力する。画像処理装置7の詳細については、後述する。
プリンタエンジン8は、PWM部81、画像形成部82を備えている。
PWM部81は、画像処理装置7から入力された画像データに基づいて、レーザーダイオードを駆動するパルスを生成する。
画像形成部82は、電子写真方式により用紙上に画像を形成し、当該用紙を定着処理して排紙する。
図2は、画像形成部82の概略構成図である。
図2に示すように、画像形成部82は、C(シアン)、M(マジェンタ)、Y(イエロー)、K(黒)の色毎に、露光部821、感光体822、現像部823を4セット備えている。各露光部821は、光源としてレーザーダイオード83を備え、各感光体822は、中間転写ベルト824の回動方向に沿って並列に配置されている。また、画像形成部82は、用紙Tの搬送経路上に設けられた2次転写ローラー825、定着装置84を備えている。
露光部821は、PWM部81から入力されたパルスに従い、レーザーダイオード83を駆動して発光させ、回転する感光体822上を光走査して露光する。現像部823は、感光体822上に形成された静電潜像を、トナーで現像する。
このようにして各色の感光体822上に形成された画像は、中間転写ベルト824上に重ねて転写され、カラー画像が形成される。カラー画像は、2次転写ローラー825により用紙T上に転写される。
定着装置84は、カラー画像が転写された用紙Tを定着処理して排紙する。
図3は、画像処理装置7の概略構成図である。
図3に示すように、画像処理装置7は、RIP(Raster Image Processor)部71、色変換部72、階調補正部73、中間調処理部74、モデル化部75、推測部76、発光補正部77を備えている。
RIP部71は、通信部3から入力されたPDLデータをラスタライズ処理し、C、M、Y、Kの色毎にビットマップ形式の画像データを生成する。
色変換部72は、スキャナー6から入力されたR、G、Bの画像データを色変換処理し、C、M、Y、Kの画像データを出力する。
階調補正部73は、C、M、Y、Kの各色の画像データを階調補正処理して、中間調処理部74に出力する。
中間調処理部74は、階調補正部73から出力された画像データを中間調処理して、推測部76、発光補正部77にそれぞれ出力する。中間調処理は、例えばスクリーン処理、誤差拡散処理等である。
モデル化部75は、レーザーダイオード83の発光特性をモデル化する。
図4は、レーザーダイオード83の発光特性を示している。
図4において、横軸はレーザーダイオード83が消灯してから画素値100%で発光するまでの消灯時間の長さを表し、縦軸はその発光量(%)を表している。画素値(%)は、正規化された画素値を表す。発光量(%)は、レーザーダイオード83が連続して発光しているときに測定された発光量を100%、連続して消灯しているときに測定された発光量を0%として、測定値を正規化することにより求められている。
画素値を最大値である100%で発光させたとき、本来なら発光量も100%の最大値が得られるはずであるが、図4に示すように消灯から発光までの消灯間隔が長いほど、発光量が100%に届かず、減少する傾向にある。本発明者によれば、画像の解像度が2400dpiであれば数十画素単位で50%程度にまで落ち込むデータが得られている。画像の解像度や、個々のレーザーダイオード83によって、発光量の減少の程度に若干の違いがあるものの、同様の傾向がレーザーダイオード一般に見られる。
また、発光直前の消灯間隔が同じであっても、それより以前の発光の有無によってレーザーダイオード83の応答性が異なり、得られる発光量が変動する傾向も見られる。
このような発光特性を正確に把握するため、モデル化部75は、n個(nは2以上の整数)の連続する画素の各画素値を異ならせてレーザーダイオード83を発光させたときのn番目の画素の発光量に基づき、n個の各画素がn番目の画素の発光量に及ぼす影響度を決定する。
nの値は、n番目の画素の発光量に影響を及ぼす画素数に応じて、適宜設定することができる。例えば、実際にレーザーダイオード83を様々な発光パターンで発光させて、直前に位置する8画素の影響が大きかったのであれば、n=9(8+1)に設定することができる。
推測部76は、中間調処理された画像データを入力し、当該画像データから注目画素及び当該注目画素の直前に位置するn−1個の画素を抽出する。推測部76は、抽出されたn個の画素の各画素値を、モデル化部75により決定された各画素の影響度に応じて重み付けて加算し、注目画素における発光量の推測値を算出する。算出された推測値は、発光補正部77に出力される。
発光補正部77は、中間調処理された画像データから注目画素を抽出する。発光補正部77は、推測部76から出力された推測値を用いて注目画素の画素値を補正し、注目画素における発光量の期待値と推測値との誤差を小さくする。
発光補正部77は、各画素について補正された画像データをプリンタエンジン8のPWM部81に出力する。
上記画像形成装置Gの画像形成時の全体的な流れを説明する。
まず、スキャナー6がR、G、Bの画像データを生成し、色変換部72がC、M、Y、Kの画像データを生成する。または、通信部3がPDLデータを受信すると、RIP部71がC、M、Y、Kの画像データを生成する。階調補正部73は、これらC、M、Y、Kの画像データを階調補正処理し、次いで中間調処理部74が中間調処理する。
推測部76は、中間調処理された画像データの各画素において、レーザーダイオード83が発光したときの発光量の推測値を算出する。推測部76は、当該推測値を、モデル化部75により予め決定された影響度に応じて算出する。
発光補正部77は、推測部76により算出された推測値を用いて、中間調処理された画像データの各画素の画素値を補正し、発光量の推測値と期待値との誤差を小さくする。
PWM部81は、補正後の画像データに基づいてパルスを生成する。このパルスに従って、画像形成部82はレーザーダイオード83を駆動して発光させ、用紙上に画像を形成する。
次に、モデル化部75、推測部76及び発光補正部77による画像データの補正方法を説明する。以下、多値の画像データの補正例を説明するが、2値の画像データも同様にして補正することができる。
モデル化部75は、n個の連続する画素の発光パターンからレーザーダイオード83の発光特性をモデル化し、n番目の画素の発光量を推測する関数を構築する。
関数は、n個の連続する画素の各画素値をXn(%)、n個の各画素がn番目の画素の発光量に及ぼす影響度をα1〜αn、n番目の画素の発光量の推測値をEV(%)としたとき、下記式(1)で表される。
(1) EV=(αn+αc)・Xn
上記式(1)において、αcは、1〜n−1番目の各画素の総合的な影響度を表し、下記式(2)に示すように1〜n−1番目の各画素の影響度α1〜αn−1から求めることができる。α1〜αnはそれぞれ0〜1の実数であり、α1〜αnの総和は1である。
上記式(1)及び式(2)で表される関数は、1〜n−1番目の画素の影響度を総合した例だが、関数はこれに限定されない。n個の各画素がn番目の画素の発光量に及ぼす影響度に応じて各画素値を重み付け、加算することにより、n番目の画素の発光量の推測値を出力するのであれば、他の関数を用いることもできる。例えば、下記式(1a)に示すように、単純に各画素値X1〜Xnを各画素の影響度α1〜αnにより重みづけて加算する関数であってもよい。
上記式(1)において、α1〜αnは、レーザーダイオード83の発光特性を特徴付けるパラメーターである。モデル化部75は、上記式(1)で表される関数が、レーザーダイオード83を実際に発光させたときの発光量にできるだけ一致する推測値EVを出力するように、α1〜αnを最適化し、レーザーダイオード83の発光特性をモデル化する。発光補正部77は、発光量の期待値と推測値EVの誤差が小さくなるように補正するので、推測値EVが実際の発光量に近いほど、精度の良い補正値を得ることができる。
図5は、モデル化部75の処理手順を示している。
図5に示すように、モデル化部75は、α1〜αnの初期値を設定する(ステップS11)。
通常、n番目の画素から位置が遠い画素ほど、n番目の画素の発光量に対する影響が小さく、n=9であれば、α9>α8>α7>α6>α5>α4>α3>α2>α1の条件が成り立つ。この条件に従って、例えばα9=0.500、α8=0.255、α7=0.125、α6=0.062、α5=0.031、α4=0.015、α3=0.007、α2=0.003、α1=0.002というように設定することができる。
モデル化部75は、設定されたα1〜αnを用いて、上記式(1)に従い、n個の画素の各画素値を異ならせてレーザーダイオード83を発光させたときのn番目の画素における発光量の推測値EVを算出する(ステップS12)。
具体的には、モデル化部75は、複数の発光パターンを用いることができる。
図6は、9個の画素の発光パターンP1〜P14の例を示している。
発光パターンP1〜P14は、9個の画素の各画素値X1〜X9(%)と、各画素値X1〜X9に応じてレーザーダイオード83を発光させたときの9番目の画素における発光量(%)とが定められている。9番目の画素の発光量は、実際の発光量を表すのであれば、各画素値X1〜X9によりレーザーダイオード83を発光させたときの実測値であってもよいし、予測による設定値であってもよい。
図7及び図8は、各発光パターンP1〜P14における9個の画素の発光と消灯の状態を表している。図7及び図8において、上段の数字1〜9は、1番目から9番目の画素の並び順を表している。
発光パターンP1〜P14は一例であり、これに限定されず、さらに発光パターンを追加してもよい。n個の画素値の組み合わせが多いほど、レーザーダイオード83の発光特性をより正確に表すα1〜αnを得ることができる。
また、図6において、画素値X1〜Xn−1が0%又は100%である例を示したが、画素値Xnと同様に0〜100%の多値を設定することもできる。多値を設定することにより、レーザーダイオード83の発光特性をより正確に表すα1〜αnを得ることができる。
モデル化部75は、1つの発光パターンから1〜n−1番目の各画素の画素値X1〜Xn−1を抽出する。モデル化部75は、上記式(2)に従い、抽出された画素値X1〜Xn−1を、各画素に対して設定されたα1〜αn−1により乗算して重み付ける。モデル化部75は、重み付けられた各画素値を加算した後、100で除算することにより正規されたαcを得る。
次に、モデル化部75は、同じ発光パターンから、n番目の画素の画素値Xnを抽出する。モデル化部75は、上記式(1)に従い、抽出された画素値Xnをαcとαnのそれぞれにより重み付けて加算し、n番目の画素の発光量の推測値EVを算出する。
モデル化部75は、他の発光パターンについても、同様にして推測値EVを算出する。全ての発光パターンに対し推測値EVを算出し終えると、モデル化部75は、最適なα1〜αnを探索するため、α1〜αnを所定値ずつ変更する(ステップS13;N、ステップS14)。モデル化部75は、ステップS12の処理に戻り、変更後のα1〜αnによって、上述したように複数の発光パターンを用いて推測値EVを算出する。
所定数のα1〜αnによる推測値EVの算出が終わり、探索終了のタイミングに至ると(ステップS13;Y)、モデル化部75は、探索された複数のα1〜αnのうちの1つを、n個の各画素の影響度を表すパラメーターとして決定する(ステップS15)。
各発光パターンについて算出された推測値EVが、各発光パターンで定められているn番目の画素の発光量に近いほど、α1〜αnがn個の各画素の影響度を正確に表しているといえる。よって、モデル化部75は、探索された複数のα1〜αnのうち、各発光パターンのn番目の画素の発光量に最も近い推測値EVが得られたときのα1〜αnに、決定する。例えば、モデル化部75は、各発光パターンのn番目の画素の発光量と推測値EVの誤差の合計が最小値となるときのα1〜αnに決定することができる。モデル化部75は、決定されたα1〜αnを、推測部76に出力する。
レーザーダイオード83の発光特性は変動することがあるため、定期的に、発光パターンで定められているn番目の画素の発光量を、最新の発光特性に応じた発光量に書き換えて上述した処理を実行することが好ましい。これにより、最新の発光特性に応じてα1〜α9を最適化することができる。
推測部76及び発光補正部77は、モデル化部75により構築された関数を利用し、中間調処理された画像データを補正する。
図9は、推測部76及び発光補正部77の処理手順を示している。
図9に示すように、推測部76は、中間調処理された画像データから注目画素及び当該注目画素の直前に位置するn−1個の画素を抽出する(ステップS21)。
推測部76は、抽出された合計n個の画素の各画素値X1〜Xnと、モデル化部75により決定されたα1〜αnとを、それぞれ上記式(1)及び式(2)に代入し、n番目の画素すなわち注目画素の発光量の推測値EVを算出する(ステップS22)。
具体的には、推測部76は、抽出されたn個の画素のうち、1〜n−1番目の画素の各画素値X1〜Xn−1を、1〜n−1番目の画素に対応するα1〜αn−1によりそれぞれ重み付けて加算し、正規化してαcを算出する。次いで、推測部76は、n番目の画素すなわち注目画素の画素値Xnを、算出されたαcとn番目の画素に対応するαnによりそれぞれ重み付けて加算し、注目画素の発光量の推測値EVを算出する。
推測部76は、推測値EVを発光補正部77に出力する。
発光補正部77は、推測部76から出力された推測値EVを用いて、注目画素の画素値Xnを補正し、n番目の元の画素値Xnに応じて得られるべき発光量の期待値と推測値EVとの誤差を小さくする(ステップS23)。
補正後の画素値をC(%)とするとき、発光補正部77は、下記式(3)に示すように画素値Xnと推測値EVの差分により、補正後の画素値Cを求めることができる。
(3) C=Xn+(Xn−EV)
画素値Xnは正規化されているので、画素値Xnそのものが発光量の期待値を表す。よって、上記式(3)によれば、推測値EVが、画素値Xnすなわち発光量の期待値より大きい場合、発光補正部77は画素値Xnを減少させる補正を行う。また、推測値EVが、画素値Xnすなわち発光量の期待値より小さい場合、発光補正部77は画素値Xnを増加させる補正を行う。
例えば、Xn=100、EV=95のとき、C=100+(100−95)=105である。推測値EVは発光量の期待値より5%小さいので、補正により画素値Xnが5%引き上げられることになる。
また、発光補正部77は、画素値Xnと推測値EVの比率により、下記式(4)に示すように補正後の画素値Cを求めることもできる。
(4) C=Xn/EV×100
上記式(4)についても、推測値EVが画素値Xnすなわち発光量の期待値より大きいと、発光補正部77は画素値Xnを減少させる補正を行う。推測値EVが画素値Xnすなわち発光量の期待値より小さいと、発光補正部77は画素値Xnを増加させる補正を行う。
例えば、S=100、EV=95のとき、C=100/95×100≒105(小数点以下を四捨五入した値)である。推測値EVは発光量の期待値より5%小さいので、補正により画素値Xnが5%引き上げられる。
推測値EVが画素値Xnに比して非常に小さく、補正後の画素値Cが不安定になる場合は、線形補間等によって補正後の画素値Cを求めるようにしてもよい。
発光補正部77は、補正後の画素値Cが、最大値100%を上回るか、又は最小値0%を下回る場合(ステップS24;Y)、注目画素の周辺に位置する画素に、最大値を上回る分の画素値又は最小値を下回る分の画素値を分配する(ステップS25)。補正により生じた画素値の誤差を他の画素に分配することができ、補正による画像の再現性の低下を抑えることができる。
画素値が分配された周辺の画素は、注目画素に位置が近いほど画像の再現性が高くなるので、周辺の画素のなかでも、主走査方向において注目画素に隣接する画素であることが好ましい。
例えば、図10(a)に示すように、注目画素(n番目の画素)の補正後の画素値が、最大値100%を上回る場合、発光補正部77は、最大値100%を上回った分の画素値を2等分する。図10(b)に示すように、発光補正部77は、2等分された画素値を隣接するn−1番目及びn+1番目の画素の画素値にそれぞれ加算し、分配する。
発光補正部77は、画素値を分配後、周辺の画素の画素値が最大値100%を上回る場合(ステップS26;Y)、最大値100%に補正する(ステップS27)。また、発光補正部77は、画素値が分配された周辺の画素の画素値が、最小値0%を下回る場合(ステップS26;Y)、最小値0%に補正する(ステップS27)。画素値の分配を注目画素の周辺のみとし、元画像を維持することができる。
例えば、図11(a)に示すように、補正後の注目画素(n番目の画素)の画素値が最大値100%を上回る場合、発光補正部77は、最大値100%を上回った分の画素値を2等分する。図11(b)に示すように、発光補正部77は、2等分された画素値を隣接するn−1番目及びn+1番目の各画素に分配する。n−1番目及びn+1番目の各画素は、元の画素値が100%に近く、分配された画素値と元の画素値との合計が、最大値100%を上回る。発光補正部77は、上回った分の画素値をさらに隣のn−2番目又はn+2番目の画素には分配せずに、図11(c)に示すように、各画素の画素値を最大値100%に補正する。
注目画素の補正後の画素値が最小値0%から最大値100%までの範囲内にある場合(ステップS24;N)、発光補正部77は上述した画素値の分配は行わずに、ステップS28の処理に移行する。分配後の周辺の画素の画素値が最小値0%から最大値100%までの範囲内にある場合(ステップS26;N)も同様に、ステップS28の処理に移行する。
まだ未処理の画素がある場合(ステップS28;N)、注目画素の位置が1画素シフトされて(ステップS29)、ステップS21に戻り、新たに注目画素とその直前のn−1個の画素が抽出される。
このようにして、1画素ずつ注目画素の位置をシフトしながら、ステップS21〜S27の処理を繰り返し、中間調処理された画像データの各画素の画素値を補正する。
そして、すべての画素を処理し終えると(ステップS28;Y)、本処理を終了する。
図12(a)〜図12(c)は、いずれも同じ画像データに基づいて形成された画像例を示している。図12(a)が示す画像は、発光量の期待値が得られたときの目標画像である。図12(b)は、中間調処理後、発光補正部77による補正が無い場合の画像を示し、図12(c)は、発光補正部77が補正が有る場合の画像を示している。
図12(b)が示す画像は、図12(a)の目標画像と比較して、濃度が低下している部分があり、画像の再現性が低い。濃度低下は、低濃度領域から切り替わった高濃度領域で生じていることから、連続する消灯状態から発光した際、レーザーダイオード83が応答しきれず、発光が遅延し、発光量不足に至ったと考えられる。
一方、図12(c)が示す画像は、濃度低下が見られず、補正により発光量不足が解消されている。図12(c)が示す画像は、図12(a)の目標画像と同じ画像であり、画像の再現性が高いことが分かる。
以上のように、本実施の形態によれば、画像形成装置Gは、画像データを補正する画像処理装置7と、画像処理装置7により補正された画像データに基づき、レーザーダイオード83を発光させて感光体822を露光し、現像して画像を形成する画像形成部82と、を備えている。画像処理装置7は、n個の連続する画素の各画素値を異ならせてレーザーダイオード83を発光させたときのn番目の画素の発光量に基づいて、n個の各画素がn番目の画素の発光量に及ぼす影響度を決定するモデル化部75と、画像データから注目画素及び当該注目画素の直前に位置するn−1個の画素を抽出し、抽出されたn個の画素の各画素値を、モデル化部75により決定されたn個の各画素の影響度に応じて重み付けて加算し、注目画素における発光量の推測値を算出する推測部76と、推測値を用いて注目画素の画素値を補正し、注目画素における発光量の期待値と推測値との誤差を小さくする発光補正部77と、を備えている。
これにより、注目画素における発光量を精度良く推測して、補正値を得ることができる。この補正値により、注目画素の元の画素値から期待される発光量を得ることができ、レーザーダイオード83の発光量の過不足を精度良く補正して、画像の再現性を向上させることができる。
上記実施の形態は本発明の好適な一例であり、これに限定されない。本発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、発光補正部77は、発光量が補正の対象であるので、発光の直前、すなわちPWM部81に出力される直前の画像データを補正することが好ましい。そのため、上述した実施の形態においては、発光補正部77は、中間調処理部74の後段に位置し、中間調処理された画像データを補正している。しかし、特に補正の精度に影響がなければ、PWM部81に出力される直前において補正する必要は無い。発光補正部77が、階調補正処理された画像データを補正し、中間調処理部74が、補正された画像データを中間調処理してPWM部81に出力する構成であることもできる。
また、モデル化部75、推測部76及び発光補正部77のそれぞれの処理内容をプログラム化し、制御部1が当該プログラムを読み込むことにより、同様の処理を実行することとしてもよい。プログラムのコンピューター読み取り可能な媒体としては、ROM、フラッシュメモリー等の不揮発性メモリー、CD-ROM等の可搬型記憶媒体を適用することが可能である。また、プログラムのデータを、通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も適用される。
G 画像形成装置
1 制御部
2 記憶部
3 通信部
6 スキャナー
7 画像処理装置
74 中間調処理部
75 モデル化部
76 推測部
77 発光補正部
8 プリンタエンジン
81 PWM部
82 画像形成部

Claims (8)

  1. 画像データを補正する画像処理装置と、
    前記画像処理装置により補正された画像データに基づき、レーザーダイオードを発光させて感光体を露光し、現像して画像を形成する画像形成部と、を備え、
    前記画像処理装置は、
    n個の連続する画素の各画素値のパターンを異ならせて前記レーザーダイオードを発光させたときのn番目の画素の発光量に基づいて、n個の各画素がn番目の画素の発光量に及ぼす影響度を決定するモデル化部と、
    前記画像データから注目画素及び当該注目画素の直前に位置するn−1個の画素を抽出し、抽出されたn個の画素の各画素値を、前記モデル化部により決定されたn個の各画素の影響度に応じて重み付けて加算し、前記注目画素における発光量の推測値を算出する推測部と、
    前記推測値を用いて前記注目画素の画素値を補正し、前記注目画素における発光量の期待値と前記推測値との誤差を小さくする発光補正部と、
    を備える画像形成装置。
  2. 前記発光補正部は、前記推測値が前記発光量の期待値より大きい場合、前記注目画素の画素値を減少させる、
    請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記発光補正部は、前記推測値が前記発光量の期待値より小さい場合、前記注目画素の画素値を増加させる、
    請求項1又は2に記載の画像形成装置。
  4. 前記発光補正部は、前記注目画素の補正後の画素値が、最大値を上回るか又は最小値を下回る場合、上回った分の画素値又は下回った分の画素値を注目画素の周辺の画素に分配する、
    請求項1〜3の何れか一項に記載の画像形成装置。
  5. 前記発光補正部は、前記画素値が分配された周辺の画素の画素値が、最大値を上回る場合、最大値に補正し、最小値を下回る場合、最小値に補正する、
    請求項4に記載の画像形成装置。
  6. 前記周辺の画素は、主走査方向において注目画素に隣接する画素である、
    請求項4又は5に記載の画像形成装置。
  7. 前記画像データは、中間調処理された画像データである、
    請求項1〜6の何れか一項に記載の画像形成装置。
  8. n個の連続する画素の各画素値のパターンを異ならせてレーザーダイオードを発光させたときのn番目の画素の発光量に基づいて、n個の各画素がn番目の画素の発光量に及ぼす影響度を決定するモデル化工程と、
    画像データから注目画素及び当該注目画素の直前に位置するn−1個の画素を抽出し、抽出されたn個の画素の各画素値を、前記モデル化工程において決定されたn個の各画素の影響度に応じて重み付けて加算し、前記注目画素における発光量の推測値を算出する推測工程と、
    前記推測値を用いて前記注目画素の画素値を補正し、前記注目画素における発光量の期待値と前記推測値との誤差を小さくする補正工程と、
    を含む補正方法。
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