JP6019564B2 - 長尺化無機多孔質支持体−ゼオライト膜複合体の製造方法 - Google Patents
長尺化無機多孔質支持体−ゼオライト膜複合体の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6019564B2 JP6019564B2 JP2011241576A JP2011241576A JP6019564B2 JP 6019564 B2 JP6019564 B2 JP 6019564B2 JP 2011241576 A JP2011241576 A JP 2011241576A JP 2011241576 A JP2011241576 A JP 2011241576A JP 6019564 B2 JP6019564 B2 JP 6019564B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- porous support
- inorganic porous
- zeolite
- zeolite membrane
- support
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Description
近年、これら従来の分離方法にかわる分離方法として、高分子膜などの膜を用いた膜分離、濃縮方法が提案されている。高分子膜は加工性に優れるものであり、例えば平膜や中空糸膜などがある。しかし高分子膜は耐熱性が低いという欠点がある。また高分子膜は耐薬品性が低く、特に有機溶媒や有機酸といった有機物との接触で膨潤するものが多いため、分離、濃縮対象の適用範囲が限定的である。
ゼオライト膜は、一般的には支持体上に膜状にゼオライトを形成させたゼオライト膜複合体として分離、濃縮に用いる。例えば有機物と水との混合物を、ゼオライト膜複合体に通じさせ、水を選択的に透過させることにより、有機物を分離し、濃縮することができる。無機材料の膜を用いた膜分離、濃縮は、蒸留や吸着剤による分離に比べ、エネルギーの使用量を削減できるほか、高分子膜よりも広い温度範囲で分離、濃縮を実施でき、更に有機物を含む混合物の分離にも適用できる。
これに対し、本願出願人は、有機物を含む気体または液体の混合物から特定の化合物を分離、濃縮する際に、大きい処理量を有し、かつ良好な分離性能を有する分離、濃縮用ゼオライト膜複合体であり、ゼオライト膜を用いた有機物を含む気体または液体の混合物からの分離、濃縮が可能となるゼオライト膜複合体を提案している。
特許文献4記載のゼオライト膜複合体の透過流束は、透過した水の濃度が50質量%の場合、70℃において、水/N−メチル−2−ピロリドン系で最大5.6kg/(m2・h)、水/テトラハイドロフラン系で、50℃において、3.1kg/(m2・h)であり、実用化に要する処理量には、さらなる処理量の向上を求められていた。
本発明の具体的な製造方法は、以下のとおりである。
(1)有機テンプレート、Si元素源及びAl元素源を含有する反応液に管状無機多孔質支持体を浸漬させ、該管状無機多孔質支持体を水熱処理し管状無機多孔質支持体上に結晶層を生成した後、350℃以上で焼成するゼオライト膜の製造方法であって、管状無機多孔質支持体の長さが30cm以上であり、反応液に浸漬させる管状無機多孔質支持体が、種結晶を0.1〜1.8g/m2付着させたものであり、支持体上に形成したゼオライト膜の重量が100g/m2以下、ゼオライト膜の結晶層の厚さが5〜40μmであり、管状無機多孔質支持体の表面層に、CHA型ゼオライト結晶層を有するものであることを特徴とする、無機多孔質支持体−ゼオライト膜複合体の製造方法。
(2)焼成により有機テンプレートを取り除くことを特徴とする、(1)に記載のゼオライト膜の製造方法。
(3)無機多孔質支持体に対して、ディップ法で種結晶を付着させた後、Si元素源及びAl元素源を含有する反応液に無機多孔質支持体を浸漬させることを特徴とする、(1)または(2)に記載のゼオライト膜の製造方法。
(4)焼成時の昇温過程の昇温速度を2℃/分以下とすることを特徴とする、(1)〜(3)のいずれか1項に記載の無機多孔質支持体−ゼオライト膜複合体の製造方法。
(5)焼成時の保持時間と焼成時の昇温過程の昇温時間が下記式(1)を満たすことを特徴とする、(1)〜(4)のいずれか1項に記載の無機多孔質支持体−ゼオライト膜複合体の製造方法。
焼成時の保持時間/焼成時の昇温過程の昇温時間≦1.5 (1)
(6)前記管状無機多孔質支持体が多孔質セラミック管であることを特徴とする、(1)〜(5)のいずれか1項に記載の無機多孔質支持体−ゼオライト膜複合体の製造方法。
(7)パーベーパレーション法により75℃の水/N−メチルピロリドン混合溶液(30
/70質量%)から水を選択的に透過させる分離の際の透過流束が、8.4以上である(
1)〜(6)のいずれかに記載の無機多孔質支持体−ゼオライト膜複合体の製造方法。
本発明の製造方法で製造される無機多孔質支持体−ゼオライト膜複合体(以下、単に「ゼオライト膜複合体」ということがある。)は、セラミックス焼結体を含む無機多孔質支持体の表面層に、CHA型ゼオライトが膜状に結晶化してなるものであることが好ましい。
先ず、本発明の無機多孔質支持体−ゼオライト膜複合体を構成する各成分について、具体的に説明する。
本発明において用いられる無機多孔質支持体としては、表面層にゼオライトを膜状に結晶化できるような化学的安定性があり、多孔質であれば特に制限されるものではない。たとえばシリカ、α−アルミナ、γ−アルミナ、ムライト、ジルコニア、チタニア、イットリア、窒化珪素、炭化珪素などのセラミックス焼結体、鉄、ブロンズ、ステンレス等の焼結金属や、ガラス、カーボン成型体などが挙げられる。
具体的にはα−アルミナ、γ−アルミナ、ムライト、ジルコニア、チタニア、イットリア、窒化珪素、炭化珪素などを含むセラミックス焼結体が挙げられる。これらは単独で用いても複数のものを混合して用いてもよい。これらセラミックス焼結体は、その一部がゼオライト膜合成中にゼオライト化することで界面の密着性を高める効果があるためである。
本発明において用いられる無機多孔質支持体の形状は、気体混合物や液体混合物を有効に分離できるものであれば制限されるものではなく、具体的には平板状、管状のもの、または円筒状、円柱状や角柱状の孔が多数存在するハニカム状のものやモノリスなどが挙げられ、いずれの形状のものでも良い。
なお、無機多孔質支持体表面層とはCHA型ゼオライトを結晶化させる無機多孔質支持体表面部分を意味し、表面であればそれぞれの形状のどこの表面であってもよく、複数の面であっても良い。たとえば円筒管の支持体の場合には外側の表面でも内側の表面でもよく、場合によっては外側と内側の両方の表面であってよい。
本発明において用いられるゼオライトは特に限定されないが、最大水吸着量がLTA型など典型的な親水性ゼオライトより大きい点からCHA型ゼオライトが好ましい。CHA型ゼオライトとは、International Zeolite Association(IZA)が定めるゼオライトの構造を規定するコードでCHA構造のものを示す。天然に産出するチャバサイトと同等の結晶構造を有するゼオライトである。CHA型ゼオライトは3.8×3.8Åの径を有する酸素8員環からなる3次元細孔を有することを特徴とする構造をとり、その構造はX線回折データにより特徴付けられる。
本発明におけるゼオライト膜とは、ゼオライトにより構成される膜状物のことであり、好ましくは、前記無機多孔質支持体の表面層にゼオライトを結晶化させて膜にしたものである。膜を構成する成分としては、ゼオライト以外にシリカ、アルミナなどの無機バインダー、ポリマーなどの有機物、あるいはゼオライト表面を修飾するシリル化剤などを必要に応じ含んでいてもよい。
焼成後の膜複合体の重量と支持体の重量の差から支持体上に結晶化したゼオライトの重量を測定することができる。本発明の製造方法において、結晶化したゼオライトの重量は100g/m2以下であることを特徴としている。結晶化したゼオライトの重量が、100g/m2以下であれば、適切な膜厚を実現できるゼオライト量に対し充分あり、かつ、支持体内部に入り込んでいるゼオライト結晶が少ない。また、好ましくは99g/m2以下、さらに好ましくは98g/m2以下、特に好ましくは97g/m2以下である。下限としては、特に制限されないが、支持体内部に入り込んでいるゼオライト結晶が少ない方が透過抵抗が低いという分離透過膜の機能性の観点から、好ましくは12g/m2以上、さらに好ましくは20g/m2以上、特に好ましくは40g/m2以上である。
なお本発明におけるゼオライト結晶層とは、前記ゼオライト膜の厚みを有するゼオライト膜状物をいう。
本発明におけるゼオライト膜は、ゼオライトにより構成される膜状物をそのまま用いることもできるが、通常は各種支持体上にゼオライトを膜状に固着させたゼオライト膜複合体として使用し、好ましくは以下詳述する無機多孔質支持体−ゼオライト膜複合体として用いる。
本発明の無機多孔質支持体−ゼオライト膜複合体とは、無機多孔質支持体の表面層にゼオライトが膜状に固着しており、場合によっては一部無機多孔質支持体の内部にまで固着している状態のものである。
具体的には無機多孔質支持体表面層にCHA型ゼオライトを膜状に結晶化させたものであり、通常は水熱合成により、結晶化させたものである。
本発明において用いられるゼオライト膜の無機多孔質支持体表面上の位置は特に限定されるものではないが、管状無機多孔質支持体を用いる場合、外表面にゼオライト膜をつけてもよいし、内表面につけてもよく、さらに適用する系によっては両面につけてもよい。また、無機多孔質支持体の表面に積層させてもよいし、多孔質支持体の表面層の細孔内を埋めるように結晶化させてもよい。この場合、結晶化した膜層の内部に亀裂や連続した微細孔が無いことが重要であり、いわゆる緻密膜を形成させることが分離性を向上することになる。
ここでいうピークの強度とは測定値からバックグラウンドの値を引いたものをさす。(2θ=17.9°付近のピークの強度)/(2θ=20.8°付近のピークの強度)で表されるピーク強度比でいえば、望ましくは0.5以上、好ましくは1以上、さらに好ましくは1.2以上、特に好ましくは1.5以上である。上限は特に限定はないが、通常は1000以下である。
ここでいうピークの強度とは測定値からバックグラウンドの値を引いたものをさす。(2θ=17.9°付近のピークの強度)/(2θ=9.6°付近のピークの強度)で表されるピーク強度比でいえば、望ましくは0.2以上、好ましくは0.3以上、さらに好ましくは0.5以上、特に好ましくは0.6以上である。上限は特に限定はないが、通常は10以下である。
また2θ=9.6°付近のピークとは基材に由来しないピークのうち9.6°±0.6°の範囲に存在するピークのうち最大のものを指す。
本発明のゼオライト膜の製造方法は、有機テンプレート、Si元素源及びAl元素源を含有する反応液に無機多孔質支持体を浸漬させ、該無機多孔質支持体を水熱処理し無機多孔質支持体上に結晶層を生成した後、350℃以上で焼成するゼオライト膜の製造方法であって、無機多孔質支持体が30cm以上であり、支持体上に形成したゼオライト膜の重量が100g/m2以下、ゼオライト膜の結晶層の厚さが5〜40μmであることを特徴とする、無機多孔質支持体−ゼオライト膜複合体の製造方法である。
前記反応混合物の例としてはSi元素源、Al元素源、(必要に応じて)有機テンプレート、および水を含み、さらに必要に応じアルカリ源を加えるのが好ましい。
アルカリの種類は特に限定されるものではないが、通常Na、K、Li、Rb、Cs、Ca、Mg、Sr、Baであり、好ましくはNa、Kであり、より好ましくはKである。アルカリは2種類以上を併用してもよく、具体的にはNaとKを併用するのが好ましい。
支持体表面層に、気体や液体混合物の分離に適用可能な緻密で、かつ十分な透過流量が達成できるような膜状のCHA型ゼオライトを結晶化させるには、単に上記の文献をそのまま適用するだけでは不十分であり、これらの方法から膜状にする条件を種々検討する必要がある。
支持体表面上に予め付着させておく種結晶の重量は、特に限定されるものではないが、基材1m2あたりの重量で、通常、0.1g以上、好ましくは0.15g以上、より好ましくは0.2g以上であり、通常1.8g以下であり、好ましくは1.7g以下であり、より好ましくは1.6g以下であり更に好ましくは1.5g以下である。種結晶の量が前記下限未満の場合には結晶ができにくくなり、膜の成長が不十分になる場合や、膜の成長が不均一になったりする傾向があるために緻密な膜が生成しにくくなることがある。また種結晶の量が前記上限超過の場合には、表面の凹凸が種結晶によって増長されたり、種結晶が支持体表面から落ち、反応液中に飛散する可能性がある。この場合反応用液内において種結晶から結晶が成長しやすくなる。この液中で生成した結晶が逆に支持体上の膜成長を阻害したりする場合があり、緻密な膜が生成しにくくなることがある。一方、種結晶の担持量が多いということは支持体内部への種結晶の入り込みを意味し、その種結晶が支持体内部で結晶成長すると透過抵抗を高めることになる。その場合透過流束の低下を結果する。これは膜の透過性能向上の観点から好ましくない場合がある。
水熱合成により結晶化させる場合、無機多孔質支持体を固定化するに際しては、縦置き、横置きなどあらゆる形態をとることができる。この場合、静置法で結晶化させてもよいし、反応混合物を攪拌させて結晶化させてもかまわない。
本発明の製造方法における焼成時の昇温過程の昇温速度としては、特に限定されないが、支持体とゼオライトの熱膨張率の差がゼオライト膜に亀裂を生じさせることを少なくするために、なるべく遅くすることが望ましい。通常、5℃/分以下、好ましくは2℃/分以下、さらに好ましくは1℃/分以下、特に好ましくは0.5℃/分以下である。通常、作業性を考慮し0.1℃/分以上である。また、焼成後の降温速度もゼオライト膜に亀裂が生じることを避けるためにコントロールする必要がある。昇温速度と同様、遅ければ遅いほど望ましい。通常、5℃/分以下、好ましくは2℃/分以下、さらに好ましくは1℃/分以下、特に好ましくは0.5℃/分以下である。通常、作業性を考慮し0.1℃/分以上である。
焼成時の保持時間/焼成時の昇温過程の昇温時間≦1.5 (1)
本発明の製造方法に用いるゼオライト膜の製造装置としては、特に限定されないが多孔質管状支持体の表面に水熱合成法によりゼオライト膜を製造するもので、(a)前記多孔質管状支持体より長く、シリカ源及びアルミナ源を含有する反応液と前記多孔質管状支持体とを収容する反応容器と、(b)前記多孔質管状支持体を包囲する加熱手段と、(c)前記多孔質管状支持体を前記反応容器内に縦に保持する手段とを具備し、前記多孔質管状支持体は前記反応液内に完全に浸漬するとともに、前記反応容器の内面から実質的に離隔しており、前記加熱手段により前記反応液を加熱することにより前記多孔質管状支持体の表面にゼオライト膜を形成できる装置が好ましい。
前記多孔質管状支持体を前記反応容器の下端部に設けた支持部材上に載置しても良い。ただし、前記支持部材は前記多孔質管状支持体の下端を実質的に密封しない構造を有する必要がある。
膜・支持体を懸垂する方法でもよい。その場合、支持体の上下に栓をして、反応用液が支持体内側に侵入しないようにする。
上述のような製造装置の一例を以下に記載する。
図1は、本発明のゼオライト膜の製造装置の一例を示す。この装置は多孔質管状支持体3を縦に収容する縦長の反応容器1と、反応容器1の内に設けられた屹立用ジグ2とを具備する。反応容器1は円筒状の本体部11と、本体部11の下端に取り付けられた下部12とを有する。
本願発明の製造方法において、長尺化された無機多孔質支持体−ゼオライト膜複合体が製造できる理由としては、以下のように推察される。
すなわち、本発明において、30cm以上の長さの無機多孔質支持体上に形成するゼオライトの膜の重量を調整しているため、その後の焼成工程においてもゼオライトが割れるなどの問題を起こさないで長尺化された無機多孔質支持体−ゼオライト膜複合体が製造できる。また、その製造された長尺化された無機多孔質支持体−ゼオライト膜複合体は、良好な性能を効することができる。
本発明の無機多孔質支持体−ゼオライト膜複合体を用いて有機物を含有する気体または液体混合物を分離、濃縮する方法は、ゼオライト膜を備えた無機多孔質支持体を介し支持体側又はゼオライト膜側の一方の側に有機物を含む気体または液体の混合物を接触させ、その逆側を混合物が接触している側よりも低い圧力とすることによって混合物からCHA型ゼオライト膜に透過性がある物質(混合物中の透過性が高い物質)を選択的に透過させる方法である。これにより、混合物から透過性の高い物質を分離することができる。そしてその結果、有機物を含む混合物中の特定の有機物(混合物中の透過性が低い物質)の濃度を高めることで、特定の有機物を分離回収、あるいは濃縮する方法である。具体的に言えば、水と有機物の混合物の場合、通常水がゼオライト膜に対する透過性が高いので、混合物から水と有機物とが分離され、有機物は元の混合物中で濃縮される。透過性パーベーパレーション、ベーパーパーミエーションと呼ばれる分離・濃縮方法はひとつの形態である。
また、有機酸/水以外の系においても、有機酸や無機酸が存在していても耐酸性が高いので使用することができる。
限り、以下の実施例に限定されるものではない。
XRD測定は以下の条件に基づきおこなった。
・装置名:(株)リガク製 RINT-UltimaIII
・光学系:高分解能平行ビーム光学系
・入射側仕様
封入式1.5kW Cu X線管球(Cu Kα線)
多層膜ミラー:入射X線を平行、圧縮、単色化して使用
発散スリット:1mm
Sollerスリット:開口角度5°
発散縦制限スリット(X線照射幅):5mm
・受光側使用
長尺平行スリット(PSA):開口角度0.114°
検出器:シンチレーションカウンター
・測定条件
管電圧:40kV
管電流:30mA
走査軸:2θ/θ
走査範囲(2θ):5〜50°
サンプリング幅:0.01°
走査速度:1°/min
測定方法:連続
・X線照射方法
円筒管の軸方向に平行に照射
装置:
SEM:FE−SEM Hitachi:S−4800
EDX:EDAX Genesis
加速電圧:10kV
倍率5000倍での視野全面(25μm×18μm)を走査し、X線定量分析を行った。
「80cm丈膜合成例」
無機多孔質支持体−(CHA型)ゼオライト膜複合体はCHA型ゼオライトを無機多孔質支持体上に直接水熱合成することで作製した。
水熱合成のための反応混合物として、以下のものを調製した。
1mol/L−NaOH水溶液95.14gと1mol/L−KOH水溶液142.7gと水1328.46gを混合したものに水酸化アルミニウム(Al2O3 53.5質量%含有、アルドリッチ社製)11.44gを加えて撹拌し溶解させ、透明溶液とした。これに有機テンプレートとして、N,N,N−トリメチル−1−アダマンタンアンモニウムヒドロキシド(TMADOH)水溶液(TMADAOH25質量%含有、セイケム社製)35.34gを加え、さらにコロイダルシリカ(日産化学社製 スノーテック−40)190.28gを加えて2.5時間撹拌し、水熱合成用混合物を調製した。
この種結晶を付着させた支持体を上記反応混合物の入った内径5cmのSUS製反応缶にジグを用いて4本のアルミナ支持体垂直方向に屹立させ、反応液に浸漬してオートクレーブを密閉し160℃で48時間、自生圧力下で加熱した。
この際、支持体の外壁と反応缶内壁の距離は、5mmであった。
所定時間経過後、放冷した後に支持体−ゼオライト膜複合体を反応混合物から取り出し洗浄後120℃で2時間以上乾燥させた。乾燥後、テンプレート焼成前のゼオライト(以下as−madeということがある)の状態で円筒管状の膜複合体の一端を封止し、他の一端を真空ラインに接続することで管内を減圧とし、真空ライン設置した流量計で空気の透過量を測定したところ透過量は0ml/(m2・分)であった。
テンプレート焼成前のゼオライト(as−made)の膜複合体を電気炉で500℃、10時間焼成した。このときの昇温速度と降温速度はともに0.5℃/分とした。焼成後の膜複合体の重量と支持体の重量の差から支持体上に結晶化したCHA型ゼオライトの重量は96g/m2であった。SEM観察から膜厚は13μmであった。
また、SEM−EDXにより、ゼオライト膜のSiO2/Al2O3モル比を測定したところ、17であった。
「1m丈膜合成」
無機多孔質支持体CHA型ゼオライト膜複合体はCHA型ゼオライトを無機多孔質支持体上に直接水熱合成することで作製した。
水熱合成のための反応混合物として、以下のものを調製した。
1mol/L−NaOH水溶液10.5gと1mol/L−KOH水溶液7.0gと水100.0gを混合したものに水酸化アルミニウム(Al2O3 53.5質量%含有、アルドリッチ社製)0.88gを加えて撹拌し溶解させ、透明溶液とした。これに有機テンプレートとして、N,N,N−トリメチル−1−アダマンタンアンモニウムヒドロキシド(TMADOH)水溶液(TMADAOH25質量%含有、セイケム社製)2.95gを加え、さらにコロイダルシリカ(日産化学社製 スノーテック−40)10.5gを加えて2時間撹拌し、水熱合成用混合物を調製した。
この種結晶を付着させた支持体を上記反応混合物の入った内径5cm、高さ115cmのSUS製反応缶にジグを用いて4本のアルミナ支持体垂直方向に屹立させ、反応液に浸漬してオートクレーブを密閉し160℃で48時間、自生圧力下で加熱した。所定時間経過後、放冷した後に支持体−ゼオライト膜複合体を反応混合物から取り出し洗浄後120℃で2時間以上乾燥させた。乾燥後のas−madeの状態で円筒管状の膜複合体の一端を封止し、他の一端を真空ラインに接続することで管内を減圧とし、真空ライン設置した流量計で空気の透過量を測定したところ透過量は0ml/(m2・min)であった。テンプレート焼成前のゼオライトの膜複合体を電気炉で500℃、5時間焼成した。焼成後の膜複合体の重量と支持体の重量の差から支持体上に結晶化したCHA型ゼオライトの重量は84g/m2であった。SEM観察から膜厚は約13μmであった。
実施例1で得られた無機多孔質支持体−CHA型ゼオライト膜複合体を用いてパーベーパレーション法により75℃の水/N‐メチル ピロリドン(NMP)溶液(30/70質量%)から水を選択的に透過させる分離を行った。
実施例2で得られた無機多孔質支持体−CHA型ゼオライト膜複合体を用いて測定例1と同様にパーベーパレーション法により75℃の水/N−メチル ピロリドン混合溶液(
30/70質量%)から水を選択的に透過させる分離を行った。
透過流束は7.3−8.4kg/(m2・h)、分離係数は21−33、透過液中の水の
濃度は98.70質量%−98.00質量%であった。測定結果を表1に示す。
また本発明によれば耐酸性に優れた分離、濃縮用ゼオライト膜複合体が得られ、酢酸などの有機酸を含有する混合物の分離・濃縮が可能となる。特に有機酸と水との混合物から水を選択的に透過することによる有機酸の分離・濃縮、エステル化反応促進のための水分離などに有効に利用できる。
2.支持体上部ジグ
3.反応液
4.ゼオライト膜支持体
5.支持体屹立用支柱ジグ
6.供給液タンク
7.供給循環ポンプ
8.膜モジュール
8’.膜モジュール詳細
9.透過液凝縮器
10.透過液タンク
11.供給液ヒーター
12.透過系真空ポンプ
Claims (7)
- 有機テンプレート、Si元素源及びAl元素源を含有する反応液に管状無機多孔質支持体を浸漬させ、該管状無機多孔質支持体を水熱処理し管状無機多孔質支持体上に結晶層を生成した後、350℃以上で焼成するゼオライト膜の製造方法であって、管状無機多孔質支持体の長さが30cm以上であり、反応液に浸漬させる管状無機多孔質支持体が、種結晶を0.1〜1.8g/m2付着させたものであり、支持体上に形成したゼオライト膜の重量が100g/m2以下、ゼオライト膜の結晶層の厚さが5〜40μmであり、管状無機多孔質支持体の表面層に、CHA型ゼオライト結晶層を有するものであることを特徴とする、無機多孔質支持体−ゼオライト膜複合体の製造方法。
- 焼成により有機テンプレートを取り除くことを特徴とする、請求項1に記載の管状無機多孔質支持体−ゼオライト膜の製造方法。
- 管状無機多孔質支持体に対して、ディップ法で種結晶を付着させた後、Si元素源及びAl元素源を含有する反応液に管状無機多孔質支持体を浸漬させることを特徴とする、請求項1または2に記載の管状無機多孔質支持体−ゼオライト膜の製造方法。
- 焼成時の昇温過程の昇温速度を2℃/分以下とすることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の管状無機多孔質支持体−ゼオライト膜複合体の製造方法。
- 焼成時の保持時間と焼成時の昇温過程の昇温時間が下記式(1)を満たすことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の管状無機多孔質支持体−ゼオライト膜複合体の製造方法。
焼成時の保持時間/焼成時の昇温過程の昇温時間≦1.5 (1) - 前記管状無機多孔質支持体が多孔質セラミック管であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の管状無機多孔質支持体−ゼオライト膜複合体の製造方法。
- パーベーパレーション法により75℃の水/N−メチルピロリドン混合溶液(30/7
0質量%)から水を選択的に透過させる分離の際の透過流束が、8.4以上である請求項
1〜6のいずれか1項に記載の無機多孔質支持体−ゼオライト膜複合体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011241576A JP6019564B2 (ja) | 2011-11-02 | 2011-11-02 | 長尺化無機多孔質支持体−ゼオライト膜複合体の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011241576A JP6019564B2 (ja) | 2011-11-02 | 2011-11-02 | 長尺化無機多孔質支持体−ゼオライト膜複合体の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2013094752A JP2013094752A (ja) | 2013-05-20 |
JP6019564B2 true JP6019564B2 (ja) | 2016-11-02 |
Family
ID=48617291
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2011241576A Active JP6019564B2 (ja) | 2011-11-02 | 2011-11-02 | 長尺化無機多孔質支持体−ゼオライト膜複合体の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6019564B2 (ja) |
Family Cites Families (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5324067B2 (ja) * | 2006-08-22 | 2013-10-23 | 日本碍子株式会社 | ゼオライト膜の製造方法 |
CN105536564A (zh) * | 2009-02-27 | 2016-05-04 | 三菱化学株式会社 | 无机多孔支持体-沸石膜复合体、其制造方法和使用其的分离方法 |
JP5087644B2 (ja) * | 2010-03-05 | 2012-12-05 | 三井造船株式会社 | Zsm−5型ゼオライト膜の製造方法 |
JP5153809B2 (ja) * | 2010-03-15 | 2013-02-27 | 三井造船株式会社 | ゼオライト膜製造方法 |
-
2011
- 2011-11-02 JP JP2011241576A patent/JP6019564B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2013094752A (ja) | 2013-05-20 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5761300B2 (ja) | 無機多孔質支持体−ゼオライト膜複合体、その製造方法およびそれを用いた分離方法 | |
JP6260684B2 (ja) | Cha型ゼオライト膜複合体の製造方法 | |
JP6366568B2 (ja) | 多孔質支持体−ゼオライト膜複合体及び分離方法 | |
JP6107809B2 (ja) | 多孔質支持体―ゼオライト膜複合体 | |
JP6729387B2 (ja) | 多孔質支持体−ゼオライト膜複合体及び多孔質支持体−ゼオライト膜複合体の製造方法 | |
JP6172239B2 (ja) | アルコール−水混合物からのアルコールの回収方法 | |
JP5903802B2 (ja) | 多孔質支持体―ゼオライト膜複合体の製造方法 | |
JP5957828B2 (ja) | ガス分離用ゼオライト膜複合体 | |
JP6551578B2 (ja) | 多孔質支持体−ゼオライト膜複合体の製造方法 | |
JP5533438B2 (ja) | 含水有機化合物の脱水濃縮装置 | |
JP5445398B2 (ja) | 多孔質支持体―ゼオライト膜複合体の製造方法 | |
JP6163719B2 (ja) | 硫化水素の分離方法 | |
JP5857533B2 (ja) | 有機溶剤−酸−水混合物からの有機溶剤の回収方法 | |
JP6167484B2 (ja) | 多孔質支持体−ゼオライト膜複合体 | |
JP5810750B2 (ja) | 酸−水混合物からの酸の回収方法 | |
JP6213062B2 (ja) | 気体の分離または濃縮方法、および高酸素濃度混合気体の製造方法 | |
JP6056310B2 (ja) | アンモニアの分離方法 | |
JP5533437B2 (ja) | メンブレンリアクター | |
JP6019564B2 (ja) | 長尺化無機多孔質支持体−ゼオライト膜複合体の製造方法 | |
JP2023133280A (ja) | 分離方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20141008 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20150729 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20150804 |
|
A601 | Written request for extension of time |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601 Effective date: 20151001 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20151027 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20160405 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20160602 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20160906 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20160919 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6019564 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |