JP6018362B2 - 修飾クロム系触媒およびそれを用いる重合方法 - Google Patents

修飾クロム系触媒およびそれを用いる重合方法 Download PDF

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Description

関連出願への相互参照
この出願は2008年2月27日付け出願の番号第61/067254号の利益を請求し、それの開示は全体として本明細書へ参照によって組み込まれる。
本発明の分野
ここに明らかにする態様は概して、オレフィン重合触媒に、そしてより一層詳しくは、クロム系(chromium-based)触媒、およびポリオレフィン類の製造のためのクロム系触媒の使用の方法に、そしてさらにより一層詳しくは、クロム系触媒のフローインデックス応答を、触媒への還元剤の制御された添加および/または制御された混合条件下での還元剤の添加を通して制御し、または調整するための方法に関する。
ポリオレフィン類は、食物包装、織物、および種々の成型品のための樹脂材料を含めて、多種多様な用途において広範囲に用いられている。異なるポリマー(重合体)特性は、ポリマーの意図された使用に依存して希望されることがある。たとえば、比較的低い分子量および狭い分子量分布を持つポリオレフィンは、射出成形法によって成型される物品のために適する。他方、比較的高い分子量および広い分子量分布を持つポリオレフィンは、吹込み成形またはインフレーション成形によって成型される物品に適する。たとえば、多くの用途では、中程度から高い分子量のポリエチレンが望ましい。そのようなポリエチレン類は、用途のために十分な強さをもち、その用途はそのような強さを必要とするものであり(例えば、パイプ用途)、そして同時に良好な加工特性を備える。同様に、特定のフローインデックスをもち、または特定のフローインデックス範囲内のポリオレフィンは、種々の用途に適切である。
広い分子量分布を持つエチレンポリマーは、クロム系触媒の使用によって得ることができ、それは、無機酸化物キャリヤー(担体)上に担持されるクロム化合物を、たとえば、少なくとも一部の担持されたクロム原子が六価クロム原子(Cr+6)に変換されるように、それを活性化するために、非還元雰囲気においてか焼することによって得られる。このタイプ(種)の触媒は普通、当分野の技術においてPhillips(フィリップス)触媒と称される。クロム化合物はシリカ(二酸化ケイ素)上に含浸され、易流動性(free-flowing)固体となるまで乾燥され、そして約400℃-860℃まで酸素の存在下で加熱され、+3から+6の酸化状態にまでクロムのほとんどまたはすべてが変換される。
高密度ポリエチレンの用途のために用いる別のクロム系触媒は、脱水したシリカ上に化学吸着され、そしてその後ジエチルアルミニウムエトキシド(DEAlE)で還元されたシリルクロメート(クロム酸シリル)(例は、ビス-トリフェニルシリルクロメート)からなる。これらの触媒の各々によって製造される結果として生じるポリエチレンは、いくつかの重要な特性に関して異なる。シリカ上の酸化クロムの触媒は、触媒活性(gPE/g触媒-時間)として同様に測定されることもある良好な生産性(gPE/g触媒)を持ち、ブロー成形される大型部品、フィルム(薄膜)、および圧力パイプ(pressure pipe)のような用途のために望まれる分子量分布よりも狭い分子量分布を有するポリエチレンが製造されることが多い。シリルクロメート系の触媒は、望ましい分子量特性(分子量分布曲線の上に高分子量のショルダーを有するより一層幅広い分子量分布)を伴うポリエチレンを製造するが、しばしばシリカに担持された酸化クロムの触媒ほど高い生産性または活性をもたない場合がある。
物井らは、特開2002-020412号公報において、無機酸化物に担持されたCr+6含有の固形成分(A)の使用を明らかにし、それは非還元条件下で活性化されて調製され、次いでAl-O-C-X官能基(Xは酸素または窒素原子のいずれかである)を含むジアルキルアルミニウム官能基含有のアルコキシド(B)、およびトリアルキルアルミニウム(C)が添加されて、エチレンが重合される。結果として生じるエチレンポリマーは、良好な耐環境応力亀裂性および良好な吹込み成形耐クリープ性を備えると言われている。
物井らは、米国特許第6,326,443号明細書において、クロム化合物を用い、一定の数式によって特定されるよりも速く有機アルミニウム化合物を添加し、そして結果として生じる生成物を、別の数式によって特定されるよりも速く60℃よりも高くない温度で乾燥させるポリエチレン重合触媒の調製を明らかにする。双方の式は、バッチサイズの関数として表される。物井は、有機アルミニウム化合物の添加時間および乾燥時間を最小にすることによって、高い活性および良好な水素反応を有する触媒が得られることを教示する。
物井らは、米国特許第6,646,069号明細書において、トリアルキルアルミニウム化合物を運ぶクロム系触媒を用いる水素の共存在(co-presence)におけるエチレン重合の方法を明らかにし、そこでは、クロム系触媒は、クロム原子を+6状態に変換するために非還元雰囲気においてか焼することによって無機酸化物キャリア上に担持されるクロム化合物を活性化し、結果として生じる物質を、不活性炭化水素溶媒においてトリアルキルアルミニウム化合物で処理し、そして次いで溶媒を除去することによって得られる。
長谷部らは、特開2001-294612号公報において、非還元雰囲気で300℃-1100℃にてか焼された無機酸化物担持クロム化合物、R3-nAlLn(R=C1-C12アルキル;L=C1-C8アルコキシまたはフェノキシ;および0<n<l)、およびルイス塩基有機化合物を含む触媒を明らかにする。これらの触媒は、高分子量および狭い分子量分布を有するポリオレフィンを製造すると言われている。
Da(ダー)らは、中国特許第1214344号明細書において、無機クロム化合物水溶液を用い、表面上に水酸基を持つ無機酸化物支持体を含浸させること、空気中で乾燥させること、酸素含有雰囲気において粒子を活性化させること、そして活性化した触媒中間体を、有機アルミニウム化合物を用いて還元することによって調製されるエチレンの気相重合のための担持されたクロム系触媒を教示する。
Durand(デュラン)らは、米国特許第5,075,395号明細書において、エチレンの重合における誘導期の排除のための方法を教示し、その方法は、エチレンを、顆粒支持体に担持され、熱処置によって活性化される酸化クロム化合物を含む触媒であり、プレポリマーのフォームにおいて用いられる触媒の存在下、流動床重合条件下で、および/または機械的に撹拌しながらチャージ粉体と接触させる。Durandの方法では、採用されるチャージ粉体は、予めチャージ粉体を、重合がプレポリマーの存在下、エチレンとチャージ粉体との接触の直後に開始されるように、有機アルミニウム化合物と接触させることによる処置を受けるということにおいて特徴付けられる。
特開2002−020412号公報 米国特許第6,326,443号明細書 米国特許第6,646,069号明細書 特開2001−294612号公報 中国特許第1214344号明細書 米国特許第5,075,395号明細書
上述のクロム系触媒は、選定された等級のポリマーを製造するのに用いることができる。非常に多くの場合、重合反応装置は、幅広い範囲の製品を製造することを要求され、0.1dg/分から約100dg/分まで変動しうるフローインデックスを持つ。
このように、目下、所定のクロム系触媒の固有の加工範囲(process range)を超えてフローインデックス応答を増やし、または減らすことを可能とする方法についての必要性が存在する。調節可能であり予測可能な、フローインデックス応答を有するクロム系触媒を製造する方法の必要性が存在する。クロム系触媒のフローインデックス応答とは、所定のセット(組)の重合条件の下で触媒によって製造されるポリマーのフローインデックスの範囲をいう。
概略
1局面において、ここに開示する態様は、オレフィン類の重合における使用のための触媒組成物の製造方法に関し、この方法には、選定された範囲内のフローインデックス応答を持つ触媒組成物を製造するために、a)担持されたクロム系触媒を、選定された供給速度にて選定された期間にわたって供給される還元剤と接触させること、および同時にb)クロム系触媒を選定された撹拌速度にて撹拌することが含まれる。
1局面において、ここに開示する態様は、オレフィン類の重合における使用のための触媒組成物の製造方法に関し、この方法には、選定された範囲内のフローインデックス応答を持つ触媒組成物を製造するために、a)担持された酸化クロム触媒を、選定された供給速度にて選定された期間にわたって供給される還元剤と接触させること、および同時にb)クロム系触媒を、選定された撹拌速度にて撹拌することが含まれる。
1局面において、ここに開示する態様は、オレフィン類の重合における使用のための触媒組成物の製造方法に関し、この方法には、選定された範囲内のフローインデックス応答を持つ触媒組成物を製造するために、a)シリカ担持されたシリルクロメート触媒を、選定された供給速度にて選定された期間にわたって供給される還元剤と接触させること、および同時にb)クロム系触媒を選定された撹拌速度にて撹拌することが含まれる。
別の局面では、ここに開示する態様は、触媒組成物に関し、担持されたクロム系触媒および還元剤を含み、担持されたクロム系触媒を、選定された供給速度にて選定された期間にわたって供給される還元剤と接触させること、および同時にクロム系触媒を、選定された撹拌速度にて撹拌することを含む方法によって形成され、結果として生じる触媒組成物は選定された範囲内のフローインデックス応答を持つ。
さらに別の局面では、ここに開示する態様は、ポリオレフィンの製造方法に関し、この方法には、担持されたクロム系触媒を、選定された供給速度にて選定された期間にわたって供給される還元剤と接触させ、同時に、クロム系触媒を選定された撹拌速度にて撹拌して、選定された範囲内のフローインデックス応答を持つ触媒組成物を製造し;そして触媒組成物を、重合条件下でオレフィンと接触させることが含まれる。
本発明の他の局面および利益は、以下の説明および添付の請求の範囲から明らかになるであろう。
DEAlEの添加時間および撹拌速度がクロム系触媒のフローインデックス応答に及ぼす効果についての実験室重合の結果を示し、触媒は、ここに説明する態様に従い、シリカ担持された957HSクロムを用いるパイロットスケールにて製造された。 DEAlEの添加時間がクロム系触媒のフローインデックス応答に及ぼす効果についての実験室重合の結果を示し、触媒は、ここに説明する態様に従い、いくつかのDEA1E/Crモル比にてシリカ担持された957HSクロムを用いて商業上のスケールにて製造された。 DEAlEの添加時間および撹拌速度がクロム系触媒のフローインデックス応答に及ぼす効果についての実験室重合の結果を示し、触媒は、ここに説明する態様に従い、シリカ担持されたC35300MSクロムを用いてパイロットスケールにて製造された。 撹拌速度がシリルクロメート系触媒のフローインデックス応答に及ぼす効果についての実験室重合の結果を示し、触媒は、ここに説明する態様に従い、いくつかのDEA1E/Crモル比にてパイロットスケールにて製造された。
詳細な説明
本化合物、成分、組成物、および/または方法を、開示して説明する前に、別段の指示がない限り、この発明が特定の化合物、成分、組成物、反応体、反応条件、リガンド、触媒構造、またはその他のものに制限されず、特に明記しない限り、それ自体変動しうることを理解すべきである。また、ここに用いられる文言が特定の態様だけを説明する目的のためのもので、本発明を限定するものではないと理解される。
一般に、ここに開示する態様は、担持されたクロム系触媒のフローインデックス応答を制御するか、または調整することに関する。1局面において、ここに開示する態様は、オレフィンの重合において用いるクロム系触媒組成物に関し、そこではクロム系触媒組成物は選定された範囲内のフローインデックス応答を持つ。別の局面では、ここに開示する態様は、そのようなクロム系触媒組成物の製造方法に関し、それは、選定された供給速度にて、選定された期間にわたって、および随意に、選定された撹拌速度にて、選定された範囲内のフローインデックス応答を持つクロム系触媒組成物がもたらされるように、クロム系触媒を還元剤と接触させることによる。さらに別の局面では、ここに開示する態様は、選定された範囲内のフローインデックス応答を持つクロム系触媒組成物を用いることを含むオレフィンを重合させる方法であり、重合条件下でクロム系触媒組成物をオレフィンと接触させることによって行う方法に関する。ここで用いられる選定された供給速度とは、還元剤の添加の速度を意味し、それには、触媒の製造の間の添加の期間にわたっての、所定の供給速度、間欠送り(intermittent feed)、所定の変化率で(ramped)、または変動する供給速度、その他が含まれる。
本発明者は驚くべきことに、担持されたシリルクロメートまたは酸化クロム触媒等のクロム系触媒への、還元剤、たとえば、DEAlEの添加速度、および還元剤の添加の間の撹拌速度および還元剤の反応が、触媒のフローインデックス応答に影響することを見出した。ここに用いる“フローインデックス応答”は、重合反応条件の所定のセット、たとえば、下記の実施例において与える触媒のための一般的な試験手順を使用等して、触媒が所定の分子量範囲内のポリマーを製造することを意味する。
触媒中のDEA1E/Crのモル比、反応温度、滞留時間、微量酸素加減(add-back)濃度、およびエチレンに対するコモノマーおよび水素の比率は各々、触媒によって形成されるポリマーの分子量に影響を及ぼすことがある。触媒が連続して(consistently)調製され、そしてすべての重合プロセス変数(variables)が一定に保持されるとき、所定の配合の触媒は同じポリマーを製造すべきであり、マイナー(軽微)な変動で、所定の制御の許容範囲内のようなものは、調製およびプロセス変数において、似たポリマーをもたらすべきである。このようにして、触媒の所定の分子量範囲に対するフローインデックス応答の制御は、ここに開示する態様によって実現することができる。
ポリマーのフローインデックスは、ポリマーの分子量と逆に関連し、分子量の指標として用いられる。フローインデックス応答は、“高い”、“中間”、または“低い”のような用語を使用して修正することができ、この用語は、還元剤の供給速度、還元剤の添加のための期間、および/または撹拌速度をそれぞれ変動させて製造された類似のクロム系触媒で比較して、所定のセットの重合条件の下で製造されて得られた重合体のフローインデックスの相対的範囲を指し示すために使用される。たとえば、選定された期間にわたって2つの異なる選定されたDEAlE供給速度を用いて製造される所定のクロム系触媒組成物では、1種の触媒は、高分子量ポリマーが製造される低いフローインデックス応答を持ち、その一方で、他のものは低分子量のポリマーを製造される高いフローインデックス応答を持つ場合がある。これらの相対的用語は異なるクロム系触媒を比較するのに用いられてはならず、ここに開示するプロセスを用いて製造されるような所定のクロム系触媒のためのフローインデックス応答を区別するだけに用いられなければならない。
ポリマーのメルトインデックスは、ポリマーの分子量の別の指標である。メルトインデックスはポリマーの流動性の尺度であり、分子量と逆の関連性を持つ。メルトインデックスがより一層高いほど、鎖の生長(propagation)と関連する相対的な終結(termination)はより多く、したがって分子量がより一層小さくなる。
本発明者は、ある態様において、還元剤の供給速度またはその還元剤の供給速度および撹拌速度が、他の態様において、還元剤の添加および反応の期間が、触媒のフローインデックス応答に驚くほど強い影響を及ぼすことを見出した。一貫したフローインデックス応答を有する触媒のバッチを製造するために、これらのパラメーター(変動係数)に対する厳格な制御を維持するのが必要である場合がある。さらにまた、フローインデックス応答は、還元剤添加速度および撹拌速度を慎重に選定することによって異なる用途のためのポリエチレンの製造に適する触媒を生じるために、有益に変動させることができる。
選定された還元剤/Cr比のために、クロム系触媒のフローインデックス応答は、供給速度および還元剤を添加する期間を含む還元剤の添加、によって影響を受けうることが見出された。たとえば、フローインデックス応答は、より遅い還元剤の添加速度では増加することが見出された。また、フローインデックス応答は、還元剤の添加およびその反応の間のより一層速い撹拌速度、または添加のより一層遅い速度および撹拌のより一層速い速度の組合せを用いて増加することが見出された。結果的に、望ましいフローインデックス応答が低い場合の適用では、還元剤は短い期間にわたって速い供給速度にて添加され、および/または撹拌速度が減少される。逆に言えば、望ましいフローインデックス応答が高い場合の適用では、還元剤はより一層長い時間の期間にわたってより一層遅い供給速度にて添加され、および/または撹拌速度が増大される。
ここに開示する態様の例は、酸化クロムおよびシリルクロメートの触媒を含むが、開示の範囲はそれによって制限されるべきでない。当業者は、還元剤の添加が任意のクロム系触媒の望ましいフローインデックス応答を生成するように調整することができると認める。
ここに開示する態様に有用な触媒は、クロム系触媒で、酸化クロムおよびシリルクロメート系の触媒のようなものを含む。重合のために選ばれる触媒システムは、分子量、分子量分布、およびフローインデックスのようなポリマー特性を指示することが多い。
酸化クロム系触媒、たとえばPhillips-タイプの触媒は、シリカへCr+3種を含浸し、次いで約300から900℃までにて、および他の態様において約400から860℃までにて、酸化性条件の下でシリカ支持体のか焼によって形成することができる。これらの条件下で、少なくとも一部のCr+3は、Cr+6に変換する。Phillips触媒はまた、“無機酸化物に担持されたCr(+6)”として普通に先行技術でも言及されている。
シリルクロメート触媒は、多数の用途のために改善された特性を有するポリエチレンを製造する傾向がある別の種類の無機酸化物に担持されたCr+6触媒である。シリルクロメート触媒は、空気または窒素中で約400から850℃までにてシリカを脱水し、次いで特定された時間の間に、ビス(トリフェニルシリル)クロメートのようなシリルクロメート化合物を、不活性な炭化水素溶媒中でスラリー化されたシリカと接触させ、次いで得られた生成物を、ジエチルアルミニウムエトキシド(DEAlE)等のアルキルアルミニウムアルコキシドと反応させ、次いで得られた触媒生成物が乾燥されて、溶媒が取り除かれて形成されることができる。
Cann(キャン)らは、米国特許出願公開第2005/0272886号明細書において、クロム系触媒の性能を改善するために、アルミニウムアルキルアクチベーター(活性化剤)および共触媒の使用を教示する。アルミニウムアルキルの添加は側面の分枝の可変的な制御、そして望ましい生産性を許容し、およびこれらの化合物は、直接触媒に適用してもよく、または別に反応装置に添加することもできる。直接アルミニウムアルキル化合物を重合反応装置(in-situ)に加えることは、誘導時間を排除する。
本発明者は、クロム系触媒へのDEAlE等の還元剤の添加(還元剤の添加にわたる供給速度および期間が含まれる)の調整、および随意に撹拌速度を調整することによって、フローインデックス応答を調整しうることを有利に見出した。フローインデックスは、ポリオレフィンを適用する際の重要なパラメータである。フローインデックスは、熱可塑性ポリマーの溶解物の流れの容易さの尺度である。ここで用いるフローインデックス、またはI21は、190℃での21.6kgの荷重により適用される圧力によって特定の直径および長さのキャピラリーを通して10分間に流れるポリマーのグラム重量として規定され、そして通常ASTM D-1238に従って測定される。I2およびI5は同様に定められ、そこでは、適用される圧力はそれぞれ、2.16kgまたは5kgの荷重の負荷によるものである。I2はまた、メルトインデックスとも称される。
フローインデックスは従って、圧力および温度の下で流れるための物質の能力の尺度である。フローインデックスは、分子量の間接的な尺度であり、高いフローインデックスは低分子量に対応する。同時に、フローインデックスは、試験の条件での溶解物の粘性に逆比例し、そしてある物質のためのI21とI2との比のような2つのフローインデックス値の比は、分子量分布の幅広さのための尺度として用いられることが多い。
フローインデックスは、このようにして、ポリオレフィンのための非常に重要なパラメータである。異なるフローインデックスであったら、異なる用途にとって望ましいだろう。潤滑剤、射出成形、および薄いフィルムのような用途については、より高いフローインデックスのポリオレフィンが望ましいが、その一方で、パイプ、大きなドラム、バケツまたは自動車ガソリンタンクのような用途のためには、より低いフローインデックスのポリオレフィンは望ましいだろう。与えられた用途のためのポリオレフィンは従って、溶融状態ポリマーを意図した物品へ簡単に形成するために十分に高く、しかし、また、最終的な物品の機械的な強さがその意図された使用に適切であるように、十分に低いフローインデックスを持たなければならない。
フローインデックス応答がここに開示される態様に従って調整されなかった先行技術のクロム系触媒を使うときには、望ましいポリマーのフローインデックスおよびメルトインデックスを得るために、反応装置プロセス変数が調整されるだろう。たとえば、M.P.McDaniel、Advances in Catalysis、第33巻(1985年)、pp47-98で報告されるように、重合温度を上げることは、末端終結の比率を高めるが、成長速度に比較的マイナーな影響を及ぼすことが知られている。これは、より一層短い鎖状重合体およびメルトインデックスおよびフローインデックスの増大を招く。低いフローインデックス応答を持つ触媒は従って、所定のフローインデックスのポリマーを製造するために、より一層高い反応装置温度、より一層高い酸素加減、およびより一層高い水素濃度を要求することが多い。
しかし、重合プロセスまたは触媒生産性に悪影響を与えずに、反応装置温度、水素および酸素濃度等の反応装置プロセス変数を調節することができる範囲には限界がある。たとえば、極端に高い反応装置温度は、形成されたポリマーの軟化点または融点に接近する可能性がある。これは次いで、ポリマー凝集および反応装置ファウリング(付着)をもたらすことがある。あるいはまた、低い反応装置温度であると、より一層少ない温度差が必要であり、それは、冷却水、より効果的でない熱除去、最終的に下げられた製造能力に関連する。さらに、高い酸素加減濃度は、減少した触媒製造性、より一層小さな平均ポリマー粒径、および反応装置ファウリングに寄与しうるより微細な粒子を発生することがある。その上、水素濃度における変動は、たとえば、ダイスウェル等のポリマー特性に影響を与え、それは次にその望ましい用途のためにポリマーの適合性に影響を及ぼすことがある。したがって、反応装置変数を操作上の限界に近づくように調節することは、広範囲なクリーンアップ(清浄化)手順のための充分稼働されていない反応装置の運転停止および中断時間を導くかもしれない操作上の問題、ならびに生成ポリマー製品の望ましくないゲル類および他の望ましくない特性を招くことがある。
また、いくつかのクロム系触媒ではDEA1E/Crモル比を上昇させることによって、フローインデックス応答を増大させることが可能であるが、それは原料使用量の増加のために追加の費用を必要とすることが多いことから、経済的に高くつく場合がある。さらにまた、DEAlEが高濃度だと、触媒は、酸素反応性が増加する可能性があるために、取り扱いおよび輸送がより一層危険になるかもしれない。
本開示の態様によって提供されるように、還元剤添加の供給速度および期間を調節するのみで、または還元剤の添加および反応の間、撹拌速度を調節することを併用することで、触媒のフローインデックス応答を調整する能力は、増加した安全上の危険、操作上の困難、反応装置のシャットダウン、およびより一層経済的でない触媒調製プロセスおよび重合条件を避けることができる。触媒のフローインデックス応答を調整するためのこの能力は、望ましい特性を有するポリマーを製造する触媒がより一層簡単に製造されるのを可能にすることができる。
ここに開示するクロム系触媒組成物は、クロム系触媒および還元剤を含む。本開示の態様に使用されるクロム系触媒は、酸化クロム触媒、シリルクロメート触媒、または酸化クロムおよびシリルクロメート触媒双方の組合せを含む。
酸化クロム触媒を調製するのに用いるクロム化合物は、CrO3または採用された活性化条件下でCrO3に変換可能な任意の化合物を含みうる。CrO3に変換可能な多くの化合物は、米国特許第2,825,721、3,023,203、3,622,251、および4,011,382号明細書において明らかにされ、そしてクロムアセチルアセトナート(acetyl acetonate)、ハロゲン化クロム、硝酸クロム、酢酸クロム、硫酸クロム、クロム酸アンモニウム、重クロム酸アンモニウム、または他の可溶性のクロム含有塩を含む。ある態様では、酢酸クロムを用いることができる。
ここに開示するシリルクロメート触媒を調製するのに用いるシリルクロメート化合物は、ビス-トリエチルシリルクロメート、ビス-トリブチルシリルクロメート、ビス-トリイソペンチルシリルクロメート、ビス-トリ-2-エチルヘキシルシリルクロメート、ビス-トリデシルシリルクロメート、ビス-トリ(テトラデシル)シリルクロメート、ビス-トリベンジルシリルクロメート、ビス-トリフェニルエチルシリルクロメート、ビス-トリフェニルシリルクロメート、ビス-トリトリルシリルクロメート、ビス-トリキシリルシリルクロメート、ビス-トリナフチルシリルクロメート、ビス-トリエチルフェニルシリルクロメート、ビス-トリメチルナフチルシリルクロメート、ポリジフェニルシリルクロメート、およびポリジエチルシリルクロメートを含みうる。そのような触媒の例は、たとえば、米国特許第3,324,101、3,704,287、および4,100,105号明細書で特に明らかにされる。ある態様では、ビス-トリフェニルシリルクロメート、ビス-トリトリルシリルクロメート、ビス-トリキシリルシリルクロメート、およびビス-トリナフチルシリルクロメートを用いうる。他の態様では、ビス-トリフェニルシリルクロメートを用いることができる。
本開示のある態様において、シリルクロメート化合物は、従来の触媒支持体またはベース(基礎)、たとえば、無機酸化物物質の上へ担持することができる。本開示のある態様において、酸化クロム触媒を製造するのに用いられるクロム化合物は、従来の触媒支持体の上へ担持することができる。ここで用いる用語“支持体”は、無機または有機の支持材料を含む任意の支持体材料を意味し、1の典型的な態様では多孔性支持物質である。ある態様において、望ましいキャリヤー(担体)は、第2、3、4、5、13および14族の酸化物を含む無機酸化物、およびより一層詳しくは、第13および14族原子の無機酸化物であることができる。この明細書での族元素の表記法は、IUPAC1988の表記法による元素の周期律表において規定されるものである〔無機化学のIUPAC命名法1960、ブラックウェル出版社、ロンドン〕。その中で、第4、5、8、9および15族はそれぞれ、Deming(デミング)表記法のグループIVB、VB、IIIA、IVAおよびVAに対応し〔Chemical Rubber Company's Handbook of Chemistry & Physics、第48版〕、そして、IUPAC1970表記法の第IVA、VA、IIIB、IVBおよびVB族に対応する〔Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology、第2版、第8巻、第94頁〕。支持体材料の非制限的な例は、シリカ、アルミナ、チタニア、酸化ジルコニウム、トリア、ならびに、たとえば、シリカ-クロム、シリカ-アルミナ、シリカ-チタニア等、上記酸化物の混合物のような無機酸化物を含む。
本開示の触媒組成物における支持体として用いうる無機酸化物物質は、可変的な表面積および粒径(粒径)を持つ多孔性材料である。ある態様において、支持体は1グラムにつき50から1000平方メートルまでの範囲での表面積、および20から300マイクロメートルまでの平均粒径をもちうる。ある態様において、支持体は約0.5から約6.0cm3/gまでの細孔容積および約200から約600m2/gまでの表面積を持つことができる。他の態様において、支持体は、約1.1から約1.8cm3/gまでの細孔容積および約245から約375m2/gまでの表面積を持つことができる。いくつかの他の態様において、支持体は約2.4から約3.7cm3/gまでの細孔容積および約410から約620m2/gまでの表面積を持つことができる。またさらに他の態様において、支持体は約0.9から約1.4cm3/gまでの細孔容積および約390から約590m2/gまでの表面積を持つことができる。上記の特性の各々は、当分野で公知の従来技術を用いて測定することができる。
ある態様において、支持体材料は、シリカ、特にアモルファスシリカ、および最も詳しくは広い表面積のアモルファスシリカを包含する。そのような支持体材料は、多数の供給源から商業上入手可能である。そのような供給源として、Davison952またはDavison955の商品名でシリカ支持体材料を市場に出しているW.R. Grace and CompanyのDavison Chemical Division、ES70を含む種々の取引標章の下でシリカ支持体材料を市場に出しているPQ Corporationが含まれる。シリカは球状粒子の形態であり、それは噴霧乾燥プロセスによって得られる。あるいはまた、PQ Corporationは、噴霧乾燥されないMS3050等の複数の商品名の下でシリカ支持体材料を市場に販売している。調達される場合、これらのシリカのすべてがか焼されているというわけではない(すなわち、脱水されていない)。しかし、購入に先立ちか焼されているシリカは、本開示の触媒において用いることができる。
他の態様において、担持されたクロム化合物、たとえば、酢酸クロムのようなものは、商業上入手され、また用いることができる。商業上の供給源は、Davison957、Davison957HS、またはDavison957BGの商品名の下でシリカ支持体材料上のクロムを市場に出すW.R.Grace and CompanyのDavison Chemical Division、およびES370等の商品名の下でシリカ支持体材料上のクロムを市場に出すPQ Corporationを含む。シリカ担持されたクロムは球状粒子の形態であり、それは噴霧乾燥プロセスによって得られる。あるいはまた、PQ Corporationは、噴霧乾燥されないC35100MSおよびC35300MSのような商品名の下で、シリカ支持体材料を市場で販売している。調達される場合、これらのシリカのすべてが活性化されているわけではない。しかし、入手可能ならば、購入に先立って活性化されているシリカ上に担持されるクロムを、本開示の触媒に用いることができる。
担持された酸化クロム触媒の活性化は、約300℃から、支持体の実質的な焼結が起こる温度までほとんど任意の温度にて成し遂げることができる。たとえば、活性化された触媒は、流動床において、以下の通りに、調製することができる。活性化中、担持されたクロム系触媒を通る乾燥空気または酸素の流れの通過は、支持体から何らかの水の置き換えを助け、少なくとも部分的にクロム種をCr+6に変換する。
クロム系触媒を活性化するのに用いられる温度は、支持体材料上でクロム化合物の転位を可能とするに充分な程度にしばしば高い。1時間を超えて48時間までの期間の間、約300から約900℃までのピーク活性化温度が可能である。ある態様では、担持された酸化クロム触媒を、約400から約850℃までの、約500から約700℃までの、および約550℃から約650℃までの温度にて活性化する。代表的な活性化温度は、約600℃、約700℃、および約800℃である。活性化温度の選定は、活性化設備の温度制約を考慮することができる。ある態様において、担持された酸化クロム触媒は、約1時間から約36時間への、約3から約24時間への、および約4から約6時間までの期間の間で、選定されたピーク活性化温度にて活性化される。代表的なピーク活性化時間は、約4時間および約6時間である。活性化は典型的に、酸化環境下で行われ、たとえば、十分に乾燥された空気または酸素が用いられ、そして温度は支持体の実質的焼結が起こる温度よりも下に維持される。クロム化合物が活性化された後、粉末状の、易流動性粒子状酸化クロム触媒が生成される。
冷却された、活性化した酸化クロム触媒は、次いでスラリーにされ、そして還元剤と接触され、それは選定された期間にわたって選定された供給速度にて供給されるものであり、選定された範囲内のフローインデックス応答を持つ触媒組成物をもたらす。溶媒は次に、乾燥され、スラリーから実質的に除去されて易流動性触媒粉体をもたらすことができ、それはそのままで、または供給に先立って適切な液体のスラリーにされ、重合システムに供給することができる。
態様の1種において、本開示の触媒および触媒組成物の調製において用いられる有機金属化合物成分は水と反応する可能性があるので、支持体材料は好ましくは実質的に乾燥していなければならない。本開示の態様において、たとえば、クロム系触媒がシリルクロメートである場合、未処置の支持体はクロム系触媒と接触させるのに先立って脱水またはか焼することができる。
支持体は、水を除去するか、または支持体の表面上で化学変化を達成する(effectuate)ために、高温でか焼することができる。支持体材料のか焼は、当業者に既知の任意の手順を用いて実行することができ、そして本発明はか焼方法によって制限されない。か焼方法の1種は、T.E.Nowlinらの、“Ziegler-Natta Catalysts on Silica for Ethylene Polymerization”、J.Polym.Sci.,PartA:Polymer Chemistry、第29巻、1167-1173(1991年)によって開示されている。
たとえば、か焼されたシリカは、流動床中で、以下の通りに調製することができる。シリカ支持体材料(例は、Davison955)は、支持体材料を通して、またはその上を、乾燥窒素または乾燥空気を通過させて、周囲温度から望ましいか焼温度(例は、600℃)にまで段階的にまたは徐々に加熱される。シリカは、約1から約4時間、だいたいこの温度に維持され、そしてその後、それは周囲温度まで冷やされる。か焼温度は、主に支持体表面上のOH基の数に影響を及ぼし、すなわち、支持体表面上のOH基(シリカの場合にはシラノール基)の数は、乾燥または脱水の温度に、ほぼ逆比例し、温度が高いほど、水酸基含有量は低くなる。
本開示のある態様において、支持体材料は、ある態様において約350℃から約850℃まで、他の態様において約400℃から約700℃まで、そしてさらに他の態様において約500℃から約650℃までのピーク温度にてか焼される。代表的なか焼温度は、約400℃、約600℃、および約800℃である。ある態様において、全体のか焼時間は、約2時間から約24時間まで、約4時間から約16時間まで、約8時間から約12時間までである。ピークか焼温度での代表的な時間は、約1時間、約2時間、および約4時間である。
シリルクロメート化合物は、それから、当業者に公知の方法のいずれかで、か焼された支持体材料と接触させることができる。ある態様で、シリルクロメート化合物は、か焼された支持体と接触させて“結合触媒(bound catalyst)”を形成することができる。シリルクロメート化合物は、任意の適切な手段で、溶液、スラリー、または固形形態、またはそのいくつかの組合せにおいてのようなものによって支持体と接触させ、そして望ましい化学/物理的な転換を達成するのに十分な特定された時間の間、任意の望ましい温度まで加熱することができる。
この接触および転換は、通常、適切な非極性溶媒中で実行される。適切な非極性溶媒は、接触および転換温度では液体である物質であり、触媒調製の間に用いられるいくつかの成分、すなわちシリルクロメート化合物および還元剤が少なくともその中に部分的に溶解可能である物質である。ある態様において、非極性溶媒はアルカンであり、特に、それらは約5から約10の炭素原子を含むものであるペンタン、イソペンタン、ヘキサン、イソヘキサン、n-ヘプタン、イソヘプタン、オクタン、ノナン、およびデカン等を含む。他の態様においては、シクロアルカンで、特に約5から約10までの炭素原子を含むもので、シクロヘキサンおよびメチルシクロヘキサン等であり、それらもまた用いることができる。まだ他の態様において、非極性溶媒は、溶媒混合物であることができる。代表的な非極性溶媒は、イソペンタン、イソヘキサン、およびヘキサンである。ある態様において、イソペンタンを、低沸点でありその除去が便利で速くできるために用いることができる。非極性溶媒は使用に先立って精製することができ、たとえば、真空および/または加熱の下で脱気、またはシリカゲルおよび/または分子篩によるパーコレーション(ろ過)によるようなものであり、微量の水、酸素分子、極性化合物、および触媒活性に悪影響を与えることがある他の物質を除去する。
混合物は、シリカ支持体上にシリルクロメート化合物を担持し、または反応させるのに十分な時間の間混合することができる。還元剤は次いでこのスラリーと接触させることができ、そこでは、還元剤は、選定された範囲内のフローインデックス応答を持つ触媒を得るために選定された期間にわたって選定された供給速度で供給される。あるいはまた、シリルクロメート化合物を支持体上に担持した後、そして還元剤を添加する前に、溶媒を、次に、蒸発によって実質除去して、易流動性の支持体上に担持されたシリルクロメートを調製できる。このようにして、担持されたシリルクロメートは、同じ、または異なる非極性溶媒中で再スラリー化され、そして選定されたフローインデックス応答をもたらすために、還元剤と接触させることができる。
一旦触媒が担持され、そして酸化クロム触媒の場合、活性化されるならば、クロム系触媒組成物は次いで還元剤の添加に先立って、非極性溶媒中でスラリーにすることができる。担持された触媒は、酸化クロム担持触媒、シリルクロメート触媒、または双方の混合物であることができる。このスラリーは、担持された触媒と非極性溶媒との混合によって調製される。ある態様において、担持されたシリルクロメート化合物は、還元剤の添加前に乾燥されず、その代わりに、コストの削減等の理由のために非極性溶媒中でのスラリーのままである。
本開示のクロム系触媒は次いで、還元剤と接触される。使われる還元剤は、有機アルミニウム化合物で、アルミニウムアルキルおよびアルキルアルミニウムアルコキシド等でありうる。アルキルアルミニウムアルコキシドは、一般式R2AlORであり、この開示の態様の使用に適している場合がある。上記一般式のRまたはアルキル基は、同じまたは異なってよく、ある態様では約1から約12までの炭素原子、他の態様では約1から約10までの炭素原子、またさらに他の態様では約2から約8までの炭素原子、および更なる態様では約2から約4までの炭素原子をもちうる。アルキルアルミニウムアルコキシドの例には、下記に制限されないが、ジエチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジエチルアルミニウムプロポキシド、ジメチルアルミニウムエトキシド、ジイソプロピルアルミニウムエトキシド、ジイソブチルアルミニウムエトキシド、メチルエチルアルミニウムエトキシドおよびその混合物が含まれる。実施例ではほとんどジエチルアルミニウムエトキシド(DEAlE)以外用いられていないが、開示がそれに制限されないことを理解すべきである。下記実施例において、そこではDEAlEを用い、他のアルミニウムアルキルまたは他のアルキルアルミニウムアルコキシド、またはそれらの混合物が使われてもよい。
ある態様において、還元剤は触媒ブレンダーまたは他の適切な触媒調製容器中で、担持されたシリルクロメート触媒と非極性溶媒との混合物に添加されてもよい。他の態様において、還元剤は触媒ブレンダー中で、活性化された酸化クロム触媒と非極性溶媒との混合物に添加されてもよい。まだ他の態様において、還元剤は触媒ブレンダー中で、非極性溶媒中でシリルクロメート触媒と活性化された酸化クロム系触媒の混合物に添加することができる。双方の酸化クロム系触媒およびシリルクロメート系触媒がこの開示において一緒に採用されるとき、各々の触媒は典型的には別々の支持体上に配置され、そして一緒に混合される前に、異なるか焼または活性化処理を受ける。
還元剤の触媒スラリーへの添加は、高温で、不活性雰囲気下で、例えば最高7バール(100psig)の窒素頭部圧力の下で行われうる。たとえば、スラリーは還元剤の混合の間、約30および80℃の間の温度に維持することができる。他の態様では、スラリーは約40および約60℃の間の温度に維持することができる。他の態様において、スラリーは約40および50℃の間で、例えば約45℃の温度にて維持することができる。
望ましいフローインデックス応答、または選定された範囲内のフローインデックス応答を持つ触媒組成物を達成し、そしてそれが望ましい特質を有するポリマーを製造するために、還元剤を、触媒混合物の上に、そして各々の粒子全体に十分に分散する必要があるかもしれない。あるいはまた、異なるフローインデックス応答を持つ触媒組成物または他の属性を有するポリマーを得るために、還元剤を、触媒粒子の上に、および/または各々の粒子内で不均一に分散する必要があるかもしれない。不均一性の程度は、望ましいポリマー属性(分子量および分子量分布の幅等)によって、および所定の反応装置条件のセットの下での望ましい触媒フローインデックス応答によって定めることができる。このために、還元剤はクロム系触媒のスラリーへ、選定された期間にわたって選定された供給速度で添加され、スラリーは選定された撹拌速度で撹拌されることができる。たとえば、低いフローインデックス応答を有する触媒組成物を達成するために、触媒スラリーと組み合わせる還元剤の全量は、短期間にわたっておよび/または遅い撹拌速度にて添加することができる。反対に、高いフローインデックス応答を有する触媒組成物を達成するために、還元剤の全量は、より一層長い期間にわたって添加されうる。この場合、撹拌速度は、さらにフローインデックス応答を調整するために、遅いか、中間か、または急速であってもよい。ある態様において、還元剤は5秒から120分に及ぶ期間にわたって添加することができる。他の態様において、還元剤は1から5分に及ぶ期間にわたって添加されるかもしれない。他の態様において、還元剤は5から15分に及ぶ期間にわたって添加することができる。他の態様において、還元剤は10から110分に及ぶ期間にわたって添加することができる。まだ他の態様において、還元剤は30から100分に及ぶ期間にわたって添加することができる。たとえば、触媒組成物がシリルクロメートを含む場合、還元剤は約30秒から約10分に及ぶ期間にわたって添加することができる。還元剤の添加の後、還元剤は特定された反応時間の間、触媒スラリーと反応することが許容されるかもしれない。ある態様において、還元剤は約5分から約240分までの範囲での反応時間の間、触媒スラリーと反応することを許容することができる。他の態様において、反応時間は約30分から約180分までの範囲でもよい。
フローインデックス応答が撹拌によって影響されうることを見出した。本発明者は、驚くべきことに、還元剤のクロムに対する比率が同程度であって、等しい添加速度および時間で製造される触媒調製物から、異なるフローインデックス応答を持つ触媒が得られ、それは還元剤の添加および反応の間の触媒容器内での異なる撹拌の程度から生じるらしいことを見出した。ここに開示する触媒調製方法中での撹拌を実行するのに有用な撹拌器は、らせん形リボンアジテーターおよび円錐形アジテーターを含むことができる。ある態様において、撹拌器は、組合せタイプのアジテーターで、らせん形リボンタイプアジテーターまたは円錐形アジテーターと、羽根、パドル、または他のタイプの配合手段を有する組合せ等を含めることができ、異なる種類の撹拌器は同じまたは異なるrpmで操作することができる。より高い撹拌速度はより高いフローインデックス応答を触媒に提供し、それに比較して、より低い撹拌速度はより低いフローインデックス応答を提供すると比較されることが見出された。ある態様で特に得られる利益は、より高い撹拌速度を使用すると、選定された添加速度よりも速度を上昇させ(かつ、選定された添加時間より時間を減少させ)、かつ等しいフローインデックス応答を持つ触媒の調製が可能になることである。ここに用いるように、“撹拌速度”は一般に、アジテーター直径が達成する撹拌の程度に重要な役割を演じない場合のリボンブレンダーまたは他の撹拌装置用のインペラの特定のrpmを称し、アジテーター直径が1のインペラに対する混合の程度等に影響を及ぼす場合は撹拌器のインペラチップ速度を称する。ここで有用な撹拌速度は、反応装置のサイズおよびインペラのタイプに依存する場合がある。ある態様において、らせん形のリボンインペラを使うようなとき、撹拌速度は約5から約200rpmまでの範囲にあることができる。他の態様において、撹拌速度は、約10から約180rpmまでの範囲にあることができ、そして、まだ他の態様において約20から約50rpmにあることができる。
還元剤は、典型的にスラリーの表面に添加される。還元剤を添加するための他の場所は、さらに触媒のフローインデックス応答を調整するのに用いることができる。選定された供給速度および選定された添加時間は、還元剤添加容器の補充を許容し、または空の還元剤供給容器を交換して還元剤添加容器に接合するのを許容するために、短く中断してもよい。還元剤フローのこの短い中断は、結果として生じる触媒のフローインデックス応答に著しく影響を及ぼさないと思われる。
このように、ある態様において、還元剤およびクロム系触媒の接触を、選定された還元剤供給速度にて選定された時間にわたって、そして選定された撹拌速度にて行うことができ、選定された範囲内のフローインデックス応答を持つ触媒組成物がもたらされる。たとえば、商業上のスケールの触媒製造設備では、増加した撹拌は触媒により一層高いフローインデックス応答を提供することができ、まだ還元剤をより一層迅速な速度で添加することが許容され、バッチサイクル時間および人手の必要性が減らされる。別の例では、既存の商業上のスケールの触媒製造設備において撹拌速度が制限される場合、還元剤は高いフローインデックス応答に対する望ましい調整を得るためにゆっくりと添加することができる。
いくつかの代表的な態様において、クロム系触媒は、シリカ担持された酸化クロム触媒でもよい。このシリカ担持された酸化クロムはシリカ前駆体上の酢酸クロムから調製することができ、W.R.Grace and CompanyのDavison Chemical Divisionから957HS、およびPQ Corporationから、C35100MS、またはC3500MS等の商品名の下で商業上入手可能である。シリカ前駆体上の酢酸クロムは、酸化クロム触媒を製造するために、酸化性条件の下で、約6時間約600℃の温度まで加熱することができる。選定された量のDEAlEはそれから約30秒から約500分までの範囲の添加期間にわたって酸化クロム触媒に添加することができ、その場合は約20rpmから約200rpmまでの範囲での撹拌速度で、生成する混合物が撹拌される。他の態様において、選定された期間は、約30分から約240分まで、他の態様では約60分から約180分まで、およびまだ他の態様では約90から約120分までの範囲内にあることができる。ある態様において、選定された量のDEAlEは約40から約80分の範囲において期間にわたって酸化クロム触媒に添加することができ、その場合は37rpmの撹拌速度で、生成する混合物が撹拌される。混合物はそれから、約30分から約180分までの範囲の反応時間で反応するのを許容することができる。
他の典型的な態様において、クロム系触媒は、シリカ担持されたシリルクロメート触媒であることができる。このシリカ担持されたシリルクロメート触媒は、約1時間から約4時間の範囲での期間について約600℃の温度にてか焼されたシリカ支持体から調製され、その後、ビス(トリフェニルシリル)クロメートと反応させられる。選定された量のDEAlEは、それから約0.5から約10分までの範囲での添加期間にわたってシリルクロメート触媒に添加することができ、その場合は約20rpmから約50rpmまでの範囲での撹拌速度で、生成する混合物が撹拌される。ある態様において、選定された量のDEAlEは約1から約3分の範囲での期間にわたって酸化クロム触媒に添加することができ、その場合は37rpmの撹拌速度で、生成する混合物が撹拌される。混合物はそれから、約30分から約180分までの範囲の反応時間で反応するのが許容されうる。
種々の態様において、選定された撹拌速度は70rpm未満で、選定された還元剤添加時間は20分未満でもよい。他の態様において、選定された撹拌速度は70rpmを超え、選定された還元剤添加時間は20分未満でもよい。他の態様において、選定された撹拌速度は70rpmより速いことがあり、選定された還元剤添加時間は20分より長い場合がある。
還元剤を追加してから、0から2時間まで等の反応を行うために適切な期間の間の後、触媒スラリーはさらに、非極性溶媒を除去するために加熱される。乾燥プロセスは、粘性のスラリーから部分的に乾燥したスラリーにまでまたは泥状から易流動性粉体にまでのスラリーの変化をもたらす。したがって、らせん形のリボンアジテーターを垂直筒形のブレンダー内で用いて、変動する混合物の粘性および撹拌の要件を適応させることができる。アジテーターは、シングルまたはダブルのらせん形リボンを持つことができ、そして随意に中心シャフトオーガーまたは他のより一層複雑な第2のアジテーターを含むことができる。酸素のような汚染物質が厳密に除外される限り、乾燥は通常の大気圧より上で、下でまたは通常の大気圧で実行することができる。乾燥温度は、0℃から100℃ほど高くまで及ぶことができる。ある態様において、約40から約85℃までの乾燥温度を用いることができる。ある態様において、約55から約75℃までの乾燥温度を用いることができる。乾燥時間は、約1から約48時間に及ぶことができる。ある態様において、約3から約26時間の乾燥時間を用いることができる。ある態様において、5から約20時間の乾燥時間を用いることができる。乾燥プロセスの後、触媒を使用するまで不活性雰囲気下に保存することができる。
上記のように、クロム系触媒のフローインデックス応答は、制御された撹拌の下で、非極性溶媒中での担持されたクロム固体のスラリーへの還元剤の制御された添加によって、種々の商業上のニーズを満たすように調整することができる。所定のクロム系触媒では、担持されたクロム固体をスラリーにし、選定された期間にわたって選定された供給速度にて供給される選定された量の還元剤と、選定された撹拌速度にて接触させることができ、還元剤に対するクロムの望ましい比率がもたらされ、かつ選定されたフローインデックス応答を持つクロム系触媒がもたらされ、そして望ましいポリマー属性を有するポリマーを製造できる。触媒をスラリーにするのに用いられる溶媒は、次いで乾燥等により除去して乾燥した、易流動性触媒組成物をもたらすことができる。この触媒組成物は、それからそのまま重合反応装置に供給されるか、または重合反応装置に供給するのに先立って適切な液体のスラリーにすることができる。
上記に概説される一般的な手順は概して、クロム触媒にあてはめることができるが、その手順は用いられるクロム系触媒の特定のタイプに従って変えることができる。たとえば、上記の手順はシリルクロメート系触媒のために、および酸化クロム系触媒のために操ることができ、後者は典型的に、還元に先立って必要なCr+6種を生じさせるために活性化ステップまたは酸化ステップを要求する。その上、そのプロセスはすべての触媒調製が行われるかどうか、または担持されたクロム化合物がここに説明する態様に従い購入され、および処理されるかどうかによって調節することができる。
上記のプロセスによって形成されるクロム系触媒は、ある態様において約0.15から約3重量%に及ぶ支持体上に担持されたクロムを持つことができ、他の態様では約0.2から約0.3重量%まで、他の態様では約0.4から約0.6重量%まで、および他の態様では0.7から約1.2重量%までである。上記のプロセスによって形成されるクロム系触媒は、ある態様において約0.5から約8に及ぶ還元剤のクロムに対するモル比を持つことができ、他の態様では約2から約7まで、およびまだ他の態様では約3.0から約5.5までである。
重合プロセス
上記のプロセスによって形成される触媒は、既知の設備および反応条件を用いて、任意の懸濁物、溶液、スラリー、または気相法によるオレフィン重合における使用に適しており、特定のタイプの重合システムに制限されない。概して、オレフィン重合温度は、大気圧、低圧(sub-atmospheric)、または過圧(super-atmospheric)にて、約0から約300℃に及ぶことができる。とりわけ、スラリーまたは溶液重合システムは、低圧または過圧で、約40から約300℃までの範囲の温度を採用することができる。
液相重合システムで、米国特許第3,324,095号明細書において記述されるもの等は、この開示の態様において用いることができる。液相重合システムは概して、オレフィンモノマーおよび触媒組成物を添加する反応装置を含む。反応装置は、ポリオレフィン生成物を溶解し、または懸濁させることができる液体反応媒体を含有する。この液体反応媒体は、採用する重合条件下で非反応性である不活性液体炭化水素、バルクの液体モノマー、またはその混合物を含むことができる。そのような不活性液体炭化水素は触媒組成物またはそのプロセスによって得られるポリマーのための溶媒として機能しないかもしれないが、それは通常、重合において用いるモノマーのための溶媒として役立つ。この目的のために適切な不活性液体炭化水素は、イソブタン、イソペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、およびその混合物および異性体を含むことができる。オレフィンモノマーおよび触媒組成物の間の反応性の接触は、所定のかき混ぜまたは振動撹拌(「撹拌」と総称する)によって維持することができる。オレフィンポリマー生成物および未反応オレフィンモノマーを含む液体反応媒体は、連続的に反応装置から排出される。オレフィンポリマー生成物を分離し、未反応オレフィンモノマーおよび液体反応媒体を典型的にリサイクルし、そして反応装置にフィードバックする。
この開示のある態様は、0.07から68.9バールまで(1から1000psigまで)、ある態様では3.45から27.6バールまで(50から400psigまで)、他の態様では6.89から24.1バールまで(100から350psigまで)の範囲での過圧、および30から130℃まで、または65から110℃まで、他の態様では75から120℃まで、または他の態様では80から120℃までの範囲での温度での、特に気相重合システムでは有用であるだろう。ある態様において、操作温度は112℃未満であることができる。撹拌され、または流動化した床の気相重合システムはこの開示の態様において使用されてもよい。
概して、従来の気相流動床プロセスは、懸濁状態の固体粒子床を維持するのに十分な速度での触媒組成物の存在下に、連続的に1種またはそれよりも多くのオレフィンモノマーを含む流れを反応条件下の流動床反応装置を通過させることによって行われる。未反応モノマーを含有する流れは反応装置から連続的に回収され、圧縮され、冷やされ、随意に部分的に、または十分に凝縮され、および反応装置へリサイクルして戻される。生成物は、反応装置から引き出され、そして交替モノマーがリサイクル流れに添加される。触媒組成物および反応物に対して不活性なガスもまた、ガス流れ中に存在する場合がある。重合システムは、単一の反応装置または2以上の直列の反応装置を含むことができる。
供給の流れはオレフィンモノマー、窒素および水素のような非オレフィンガスを含むことができ、および反応の熱を除去するための重合プロセスにおいて凝縮性であることができる1種またはそれよりも多くの非反応性アルカンを更に含むことができる。例示となる非反応性アルカンは、制限されないが、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、その異性体およびその誘導体を含む。それらの供給は、単一または複数の、および異なる場所にて反応装置に入れることができる。
さらに、重合プロセスは典型的に、水分、酸素、一酸化炭素およびアセチレンのような触媒毒の実質不存在で行われる。しかし、酸素はポリマー構造およびその生成物の性能の特徴を変えるために、非常に低い濃度にて反応装置に戻して添加することができる。酸素は、約10から600ppbvまで、およびより一層好ましくは約10から500ppbvで、エチレン供給速度と比較した濃度にて反応装置に添加することができる。有機金属化合物は、スカベンジャーとして、触媒毒を除去するために用いることができ、それによって触媒活性が増加するが、他の目的のためでもよい。加えることができる有機金属化合物の例は、アルミニウムアルキルのような金属アルキルを含む。従来のアジュバントもまた、それらが望ましいポリオレフィンの形成において触媒組成物のメカニズム(機構)に干渉しないなら、それらのプロセスにおいて用いられてもよい。目下の発明のクロム系触媒による重合の目的のために、反応装置における水素のエチレンに対するガスモル比は、約0から0.5までの範囲、0.01から0.4までの範囲、および0.03から0.3までの範囲にあることができる。ある態様において、水素ガスを添加することができる。水素の使用は、ポリマー分子量および分布に影響を及ぼし、そして最終的にポリマー特性に影響する。
反応装置へ連続的に供給される乾燥触媒粉体のために適切な例示的触媒リザーバー(貯蔵容器)は、例えば米国特許第3,779,712号明細書において示され、および記述される。窒素またはアルゴンのような触媒に不活性であるガスは、床へ触媒を運ぶのに好適に用いられる。別の態様において、触媒は鉱油または、たとえばプロパン、ブタン、イソペンタン、ヘキサン、ヘプタン若しくはオクタン等の液体炭化水素またはその混合物中のスラリーとして提供される。例示的触媒リザーバーは、国際公開WO2004094489において示され、そして記述される。触媒スラリーは、たとえば窒素、アルゴンまたは、たとえばイソペンタン若しくは他のC3からC8までのアルカン等の液体等のキャリヤー流体と共に、反応装置に供給することができる。
望ましい共重合体内密度範囲を達成するためには、共重合体中でコモノマーが約0レベルから、5から10重量%までの範囲内のレベルを達成するために、充分なコモノマーをエチレンと共重合することが必要である。この結果を達成するために必要なコモノマーの量は、採用される特定のコモノマー、触媒組成および特にアルミニウムのクロムに対するモル比、触媒調製条件、および反応装置温度に依存する。コモノマーのエチレンに対する比は、共重合体生成物の望ましい樹脂密度を得るために制御される。
反応装置のファウリングおよびポリマー凝集を防ぐための種々の技術を用いることができる。これらの技術を例示するものは、米国特許第4,994,534号および第5,200,477号明細書に記述されるような、凝集を防ぐための微粉化した粒子状物質の導入であり、米国特許第4,803,251号明細書において記述されるような、陽電圧のバランスをとるための負電荷を生じる化学物質の添加または負の電位を中和するために、正電荷を生じる化学物質の添加である。静電気防止物質もまた、静電荷発生を防止するか中和するために、連続的にまたは断続的に添加することができる。米国特許第4,543,399号および第4,588,790号明細書において開示されるような凝縮モード(condensing mode)操作はまた、流動床重合反応装置からの熱の除去を援助するために用いることができる。床内の液体モノマーは、米国特許第6,627,713号明細書において開示されるように実施することができる。
重合のための条件は、モノマー、触媒および設備の利用可能性に依存して変動する。特定の条件は既知であるか、または当業者によってすぐに導き出せる。
この開示のある態様において、製造されるポリオレフィンは、エチレンおよび3から約20個の炭素原子を含む線状または分枝したより高級なアルファオレフィンモノマー等のオレフィンモノマーから製造されるものを含むことができる。他の態様において、エチレンおよびより高級なアルファオレフィンモノマーのホモポリマーまたはインターポリマーであって、約0.905g/ccから約0.97g/ccに及ぶ密度、他の態様において約0.915から約0.965に及ぶ密度を有して製造することができる。代表的なより高級なアルファ−オレフィンモノマーは、たとえば、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-l-ペンテン、1-オクテン、および3,5,5-トリメチル-l-ヘキセンを含むことができる。代表的なポリオレフィンは、エチレン-1-ブテン、エチレン-1-ヘキセン、およびエチレン-1-オクテン共重合体等のエチレン系ポリマー(少なくとも50モル%のエチレン)を含むことができ、例えば高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)(エチレン-ブテン共重合体およびエチレン-ヘキセン共重合体を含む)、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、またはホモポリエチレン等が挙げられる。
ある態様において、本開示のポリマーは、約0.1g/10分から約1000g/10分に及ぶフローインデックス(I21)を持つことがある。他の態様では、本開示のポリマーは、約1g/10分から約300g/10分に及ぶフローインデックス(I21)を持つことができる。まだ他の態様において、本開示のポリマーは、約0.5g/10分から約60g/10分に及ぶフローインデックス(I21)を持つことができる。
いくつかの代表的な態様において、ここに開示するプロセスおよび触媒は、エチレン/1-ヘキセン共重合体またはエチレンホモポリマーのようなポリオレフィンを特定の反応装置条件の下で製造するのに用いることができる。たとえば、H2/C2ガスモル比は、約0.01から約0.5までの範囲にあることができる。酸素加減(add back)は、反応装置へのエチレン供給速度と比較して約10から約600ppbvまでの範囲にあることができる。反応装置操作温度は、約75から約120℃までの範囲にあることができる。反応装置は凝縮モードにおいて随意に駆動させることができる。
重合のための条件は、モノマー、触媒および設備の利用可能性によって変動する。特定の条件は既知であるか、または当業者によってすぐに導き出せる。
試験方法
以下の試験方法は、請求の範囲において述べるような所定の特性および特長のための、密度、製造性、クロム含量、またはフローインデックスもしくはメルトインデックス等の数値を得るために利用すべきであるが、それらの値は、特許、特許出願または科学系出版物の少なくとも1種において発表された他の試験または測定の方法が提供されている場合にはここに必ずしも開示される必要のないそれら他の試験または測定の方法によって得られる任意の結果をも示すと理解される。また、請求の範囲において述べる値が、実験的、設備、またはオペレーターエラーであろうとなかろうと、それらの測定値と関係するある程度のエラーをもち、そして請求の範囲の所定値はおよその値であり、測定値からプラスマイナス10%または20%であってもよい値を含むことが理解される。
密度値は、ASTMD1505に基づく。
フローインデックス(I21)値は、ASTMD1238に基づき、2.16kg加重で190℃で実施し、その測定のための標準試験は190/21.60である。
メルトインデックス(I2)値は、ASTMD1238に基づき、2.16kg加重で190℃で実施し、その測定のための標準試験は190/2.16である。
本発明がその特定の具体例とともに説明される一方、前述の説明は本発明の範囲を例示することを目的とし、制限するものでないことを理解すべきである。他の局面、利点および改良は、当業者にとって明らかであろう。
したがって、以下の実施例は、当業者に本発明の化合物をどのようにして製造し、そして使用するかの完全な開示および説明を提供するために提示され、そして本発明者がそれらの発明と考える範囲を制限することを目的としない。
高密度ポリエチレン樹脂試料は、以下の表1、2、および3に示される、異なった還元剤添加速度、異なった撹拌速度、およびまた異なった重合条件も使用して製造された触媒を用いて調製された。表1における実施例は、パイロットスケールまたは商業上のスケールのいずれかで製造される酸化クロム触媒であるが、実験室スケールのスラリー反応装置において重合した。表2における実施例は、パイロットスケールまたは商業上のスケールのいずれかでも製造される酸化クロム触媒であるが、気相流動床重合のパイロット用反応装置において重合した。表3における実施例は、パイロットスケールにて製造されたシリルクロメート触媒であり、実験室スケールのスラリー反応装置において重合した。これらの実施例は、集合的に、還元剤の選定された添加速度(還元剤を添加する供給速度および期間を含む)、および選定された撹拌速度を用いることによって、触媒のフローインデックス応答の制御または調整を例示する。
一般的な触媒の調製
酸化クロム触媒
実施例で採用する所定の触媒、特に、シリカ支持体上の957HSクロムを用いるものは、以下の通りに商業上のスケールにて調製した。2.5重量%の酢酸クロム含有多孔性シリカ支持体の約408.2kg(900ポンド)は、約0.5%のCr含量であり〔W.R.Grace and Co.社のDavison Catalyst部門製、シリカ担持されたGrade Sylopol 957HSクロム〕、約40ミクロンの粒径および1グラムに付き約300平方メートルの表面積を持つものであり、この全量を流動床加熱容器に供給した。そこで、それは325℃にまで乾燥窒素下で1時間につき約50℃の速度にてゆっくりと加熱し、そして約2時間その温度にて保持した。窒素流を、次に乾燥空気の流れと入れ替え、そして触媒組成物を600℃にまで1時間につき約50℃の速度でゆっくりと加熱し、その温度でそれを約6時間活性化した。活性化された触媒を、次いで約300℃にまで(周囲温度で)乾燥空気で冷やし、そしてさらに(周囲温度で)乾燥窒素を用い、300℃から室温まで冷却した。冷却されて得られた粉体は、下記のように還元剤で処理されるまで窒素雰囲気下で保存した。
実施例で採用する所定の触媒、特に、シリカ支持体上のC35300MSクロムを用いるそれらは、以下の通りに商業上のスケールにて調製した。約5重量%の酢酸クロムを含む多孔性シリカ支持体〔シリカ担持されたGrade C35300MSクロム、PQ Corporation社製〕の約317.5kg(700ポンド)は、約1重量%のCr含量であり、約90ミクロンの粒径および1グラムに付き約500平方メートルの表面積を持つものであり、この全量を流動床加熱容器に供給した。そこで、それは200℃にまで乾燥窒素下で1時間につき約50℃の速度にてゆっくりと加熱し、そして約4時間その温度にて保持した。次に、それを450℃にまで乾燥窒素下で1時間につき約50℃の速度にてゆっくりと加熱し、そして約2時間その温度にて保持した。窒素流を、次に乾燥空気の流れと入れ替え、そして触媒組成物を600℃にまで1時間につき約50℃の速度にてゆっくりと加熱し、そこでそれを約6時間活性化した。活性化された触媒を、次いで約300℃にまで(周囲温度で)乾燥空気で冷やし、そしてさらに(周囲温度で)乾燥窒素を用い、300℃から室温まで冷却した。冷却されて得られた粉体は、下記のように還元剤で処理されるまで窒素雰囲気下で保存した。
典型的な酸化クロム触媒の還元において、触媒を、不活性雰囲気下でらせん形のリボンアジテーターを備えた縦型触媒ブレンダー中に置いた。脱気され乾燥されたヘキサンまたはイソペンタン溶媒を、担持された触媒を適切に懸濁させるために添加した。実施例中の957HS出発物質を用いる触媒について、約5.8リットルの溶媒を、支持体1キログラムにつき(1ポンドにつき0.70ガロン)投入した。実施例中のC353OOMS出発物質を用いる触媒について、約7.1リットルの溶媒を、支持体1キログラムにつき(1ポンドにつき0.89ガロン)投入した。DEAlEは、Akzo Nobel社から入手可能で、イソペンタンまたはヘキサンの25重量%の溶液として得られ、DEA1E/Crの選定されたモル比を得るために、選定された期間にわたって選定された速度にて触媒スラリーの表面に加えた。実施例19のみ、DEAlEを表面からスラリー中に約2/3rds下まで伸びた浸漬管(diptube)を通して添加した。混合物を、選定した添加時間の間、約45℃の温度にて、選定した撹拌速度にて撹拌した。混合物をさらに、商業上のスケールにて約1時間またはパイロットスケールにて2時間、制御された速度にて撹拌した。次いで、溶媒を、約14から18時間まで、約70℃のジャケット温度で、およびわずかに加圧下での乾燥によって実質上除去した。パイロットスケールの957HS系およびC35300MS系の触媒を、16時間乾燥した。プラントスケールの957HS系触媒を、14時間乾燥した。プラントスケールのC35300MS系のバッチは18時間乾燥した。乾燥して得られた易流動性粉体はその後、使用するまで窒素下に保存した。
シリルクロメート触媒
実施例において採用する所定の触媒、特に、シリカ支持体上のシリルクロメート化合物を用いるそれらは、以下の通りに商業上のスケールにて調製した。多孔性シリカ支持体の約408.2kg(900ポンド)(シリカ担持されたGrade Sylopol 955クロム、W.R.Grace and Co.社のDavison Catalyst部門製)は、約40μmの粒径および1グラムに付き約300平方メートルの表面積を持つものであり、この全量を流動床加熱容器に供給した。そこで、それは325℃にまで乾燥窒素下で1時間につき約100℃の速度にてゆっくりと加熱し、そして約2時間その温度にて保持した。窒素流を、次に乾燥空気の流れと入れ替え、そしてシリカ支持体を600℃にまで1時間につき約100℃の速度にてゆっくりと加熱し、そこでそれを約4時間活性化した。か焼された支持体を、次いで約300℃にまで(周囲温度で)乾燥空気で冷やし、そしてさらに(周囲温度で)乾燥窒素を用い、300℃から室温まで冷却した。冷却されて得られた粉体は、下記のようにクロム化合物および次いで還元剤で処理されるまで、窒素雰囲気下で保存した。
シリルクロメート化合物をシリカ上に担持する際、支持体を、不活性雰囲気下でらせん形リボンアジテーターを備えた縦型触媒ブレンダー中に置いた。実施例における触媒のために、約5.8リットルの脱気乾燥したヘキサン溶媒を、シリカの1キログラムにつき(1ポンドにつき0.70ガロン)供給した。得られた混合物を、撹拌し、そして約45℃に加熱した。次いで、3.15キログラムのビス(トリフェニルシリル)クロメートを、すべての100キログラムのシリカに対して供給した。これを約45℃にて10時間撹拌した。DEA1E25重量%のイソペンタンまたはヘキサン溶液を、次いでDEA1E/Crの選定されたモル比を得るために、選定された期間にわたって選定された速度にて触媒スラリーの表面に加えた。混合物を、選定した添加時間の間、約45℃の温度にて、選定した撹拌速度にて撹拌した。混合物をさらに、パイロットスケールにて1時間または商業上のスケールにて約2時間、選定された撹拌速度にて撹拌した。次いで、溶媒を、約75℃のジャケット温度で、わずかに加圧下での約24時間の乾燥によって実質上除去した。乾燥して得られた易流動性粉体はその後、使用するまで窒素下に保存した。
パイロットプラントスケールにて還元された触媒は、商業上のスケールのクロム系触媒の活性化のために上記で示された量に比べ、約600対1の比例因子で少ない量を含んだ。
触媒についての一般的実験室試験手順
上記のように調製し、そして表1および3で示した所定の触媒試料を、実験室の1リットルのスラリー反応装置においてそれらのフローインデックス応答について試験した。典型的なスラリー重合(欧州特許出願公開第0931797A1号)において、触媒は機械的撹拌器および内部の温度制御のためのジャケットを備える反応装置に供給された。実施例において、0.149から0.164gまでの触媒を導入し、次いで600mLの乾燥精製イソブタンを加えたが続いた。500ccの水素をバッチで供給し、反応装置を反応温度(これらの例では95℃)にまで上げ、そのステップの間、エチレン供給を開始し、10mLの1-ヘキセンを高圧容器(ボンベ)を通してバッチ供給した。エチレンを、13.8バール(200psi)のエチレン分圧を維持する要求を満たすように連続的に供給した。エチレンの取り込みは、電子流量計で測定した。約180グラムのポリエチレンが製造されるまで、重合を行った。反応装置は減圧後開放し、冷却してポリマーを回収した。乾燥後、ポリマーフローインデックスが測定された。
触媒のための一般的なパイロットプラント試験手順
上述のように調製され、そして表2A、2B、および2Cにおいて示された所定の触媒試料を、14インチの直径のパイロットスケールの流動床反応装置中で、エチレン/1-ヘキセン共重合体生成物を製造するそれらのフローインデックス応答について試験した。サイクルガスを、反応装置を通して循環させ、そして反応熱を熱交換器内で除去した。触媒粉体を流動床中に連続的に導入した。モノマー、水素および酸素を、サイクルガス配管中に供給した。生成物を、断続的に製品チャンバに移し、減圧し、簡単に脱気し、ドラム中に排出した。流動床反応装置内の所定条件は、一定の値に維持され、または行われた試験の各々のセット内で、関連した実験のための狭い範囲内であった。エチレン分圧は、約13.8バール(200psi)であった。サイクルガスにおけるH2/C2モルガス比率を、約0.05で維持した。全反応装置圧は、約24.8バール(360psia)絶対圧であった。流動床内の表面的なガス速度は、1.3-1.8フィート/秒であった。反応装置内の樹脂の平均滞留時間は、1.9から2.4時間にわたった。反応装置温度、ヘキセン比率、酸素比率、および実施例で変化させた触媒調製条件等のパラメータは、得られたポリマー特性とともに、表2A、2B、および2Cにまとめる。
実施例1から10まで
実施例1から10において、DEAlE還元された酸化クロム系触媒を、上記のように活性化した957HS支持体を用いてパイロットスケールにて調製し、そして次いで実験室のスラリー重合反応装置においてフローインデックス応答を試験した。用いた触媒調製条件は、表1中に示される(DEAlE添加および反応中の撹拌速度、DEA1E/Cr比率、およびDEAlE供給時間)。重合結果を、表1および図1に示す。
結果は、所定の撹拌速度にて、およびDEA1E/Crモル比の狭い範囲内で、測定されたフローインデックス応答がDEAlE添加時間を増やすことで増加したことを示す。実施例1から3までは、DEAlE添加時間が30rpmにて10分から40分まで、80分までに増やされ、測定されたフローインデックス応答が48g/10分から89g/10分まで、または131g/10分まで、著しく増加したことを示す。実施例4から7まではDEAlE添加時間が、37rpmにて10分から40分にまで増やされたこと、測定されたフローインデックス応答が約50g/10分から約108g/10分にまで著しく増加したことを示す。添加時間がさらに80分にまで増やされたので、測定されたフローインデックス応答は、約108g/10分から約140-147g/10分にまで増加した。実施例8および9も、60rpmのわずかに速い撹拌速度にて10分から40分までのDEAlE添加時間で似た結果が得られたことを示す。実施例10は、130rpmにて測定されたフローインデックス応答が、10分のDEAlE添加時間にて、30rpm、37rpm、または60rpmよりも顕著に高かったことを示す。上記の実施例によって示されるように、DEAlE添加時間および撹拌速度を変動させることによって、パイロットスケールのDEAlE還元された活性化957HS系の酸化クロム触媒のフローインデックス応答を調整することが可能である。
実施例11から15まで
実施例11から15において、DEAlE還元された酸化クロム系触媒を、上記のように活性化した957HS支持体を用いてプラントスケールにて調製し、そして次いで実験室のスラリー重合反応装置においてフローインデックス応答について試験した。用いた触媒調製条件を表1に示す(DEAlE添加および反応中の撹拌速度、DEA1E/Cr比率、およびDEAlE供給時間)。重合結果は、表1および図2に示す。
図2は、40分にわたって添加されたDEAlEによる実施例12および14のプラント還元された触媒が、実施例11、13および15の10分にわたってDEAlE添加された触媒と比較して測定されたフローインデックス応答のほぼ2倍の応答を持つことを示す。これらの触媒のすべては37rpmで製造され、同じ範囲のDEA1E/Cr比率を持つ。実施例において示すように、DEAlE添加時間を変えることによってプラントスケールのDEAlE還元活性化した957HS系酸化クロム触媒のフローインデックス応答を調整することは可能である。
実施例16から19まで
実施例16から19では、DEAlE還元された酸化クロム系触媒を、上記のように活性化されたC35300MS支持体を用いてパイロットスケールにて調製し、次いで実験室のスラリー重合反応装置においてフローインデックス応答について試験した。用いる触媒調製条件は、表1に示す(DEAlE添加および反応中の撹拌速度、DEA1E/Cr比率、およびDEAlE供給時間)。重合結果を表1および図3に示す。
結果は、所定の撹拌速度にて、およびDEA1E/Crモル比の狭い範囲内で、測定されたフローインデックス応答がDEAlE添加時間を増やすことで増加したことを示す。実施例16から18までは、DEAlE添加時間が37rpmで10分から40分まで、80分までに増やされたので、測定されたフローインデックス応答が39g/10分から67g/10分まで、96g/10分まで著しく増加したことを示す。実施例19は、130rpmで5分のDEAlE添加時間で測定されたフローインデックス応答が37rpmで10分のDEAlE添加時間のものよりも顕著に高かったことを示す。実施例において示すように、DEAlE添加時間および撹拌速度を変動させることによってパイロットスケールのDEAlE還元活性化したC35300MS系酸化クロム触媒のフローインデックス応答を調整することは可能である。
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実施例20から30まで
実施例20から30において、DEAlE還元された酸化クロム系触媒を、上記のように活性化した957HS支持体および活性化したC35300MS支持体を用いて双方のパイロットスケールおよびプラントスケールにて調製し、そしてパイロットスケールの流動床反応装置においてフローインデックス応答について試験した。用いる触媒調製条件は、表2A、2B、および2Cに示す(DEAlE添加および反応中の撹拌速度37rpm、DEA1E/Cr比率、およびDEAlE添加時間)。重合結果は、表2A、2Bおよび2Cに示す。反応装置は、樹脂凝集または重合プロセスの破壊・混乱無しに良好に動いた。
表2Aの結果は、所定の撹拌速度で、同様のDEA1E/Crモル比を有する触媒では、DEAlE添加時間が増えるに伴い、測定されたフローインデックス応答が増加することを示す。実施例20および21において、双方の試験は同じ101.7℃の反応装置温度で行われ、他の重合条件もまた一定に保たれた。実施例20および21では、DEAlE添加時間がパイロットの還元活性化された957HS触媒について37rpmにて10分から40分に増やされたので、測定されたフローインデックス応答が7.2g/10分から12.2g/10分まで69%も増加したことを示す。実施例22および23では、双方の試験は同じ104.0℃の反応装置温度でなされ、そして他の重合条件は同様に一定に保たれた。実施例22および23は、DEAlE添加時間がパイロットの還元活性化したC35300MS触媒について37rpmにて10分から40分に増やされたので、測定されたフローインデックス応答が7.6から12.3g/10分まで62%も増加したことを示す。
実施例24から30までは、3つのセットの実施例が与えられ、それらは実施例20から23までとは異なる性質のものである。重合結果を、表2Bおよび2Cに示す。各々のセットの範囲内で、異なるフローインデックス応答を有するこれらの触媒の場合に、同じポリマー密度及びほぼ同じフローインデックスとするために、重合反応装置温度およびヘキセンのエチレンに対する気相モル比は変動した。他の重合条件は、各々のセットの範囲内で一定に保たれた。より低い反応装置温度は、所定のDEAlE還元クロム触媒に対して一貫的に、より低いフローインデックスおよびより低いメルトインデックスを導く。各々の触媒について同じポリマーを製造するために、反応装置温度がどれだけ多く調節されなければならなかったかを比較することによって、当業者は触媒フローインデックス応答がどれだけ多く異なるかを知ることができる。
実施例24、25、および26は、プラントの還元活性化された957HS触媒についてDEAlE添加時間が37rpmにて10分から40分、または80分まで増大したので、同じポリマーフローインデックスおよび密度とするために、反応装置温度は106.3℃から101℃、または95.6℃まで下げられなければならなかったことを示す。このように、測定されたフローインデックス応答は、DEAlE添加時間とともに著しく増加した。
異なる生成物について、実施例27および28は、DEAlE添加時間がプラントの還元活性化した957HS触媒について37rpmにて40分から80分に増やされたので、反応装置温度は同じポリマーフローインデックスおよび密度を製造するために111℃から105℃にまで下げられなければならなかったことを示す。上記に示すように、プラントスケールのDEAlE-還元活性化した957HS系の酸化クロム触媒のフローインデックス応答を、DEAlE添加時間を変動させることによって調整することが可能である。
実施例29および30は、DEAlE添加時間が、プラントの還元活性化したC35300MS触媒について37rpmにて10分から40分に増やされたので、測定されたフローインデックス応答が著しく増えたことを示す。驚くべきことに、40分のDEAlE添加時間にて製造される触媒のフローインデックス8.69g/10分は、フローインデックスが反応装置温度が10℃減少したことと連動して減少すると予測されたにもかかわらず、10分のDEAlE添加時間にて製造される触媒の6.71g/10分と比較して高かった。これらの実施例において示すように、プラントスケールのDEAlE還元活性化したC35300MS系の酸化クロム触媒のフローインデックス応答を、DEAlE添加時間を変動させることによって調整することは可能である。
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Figure 0006018362
実施例31から34
実施例31から34では、DEAlE還元されたビス(トリフェニルシリル)クロメート系触媒を、上記のように脱水955シリカ支持体を用いてパイロットスケールにて調製し、次いで実験室スラリー重合反応装置においてフローインデックス応答について試験した。用いる触媒調製条件は、表3に示す(DEAlE添加および反応中の撹拌速度、DEA1E/Cr比率、およびDEAlE供給時間)。重合結果は表3および図4に示す。
Figure 0006018362
図4は、DEAlEが130rpmにて3-5分にわたって添加された実施例33および34のパイロットの還元触媒が、DEAlEが37rpmにて3分にわたって添加された実施例31および32の触媒と比較して、これらの触媒が同等のDEA1E/Cr比率を持つにもかかわらず、測定したフローインデックス応答の約3倍の大きさを持つことを示す。これらの実施例で示すように、DEAlE添加および反応中の撹拌速度を変動させることによってパイロットスケールのDEAlE還元された955担持されたシリルクロメート触媒のフローインデックス応答を調整することが可能である。
上記例、とりわけ、還元された酸化クロム触媒および還元されたシリルクロメート触媒についての実施例では、異なる還元剤添加時間および異なる撹拌速度のフローインデックス応答に対する驚くべき効果が例示され、それはエチレン単位および他のモノマー単位が含まれるポリエチレン共重合体の流動床気相重合プロセスおよびスラリー重合プロセスにおいても同様である。これらの驚くべき強力な効果は、さまざまな重合条件の下で高い、中程度、または低いフローインデックスを有する標的ポリマーを製造するために、触媒のフローインデックス応答を調整するために利用することができる。
上述の、および実施例において例示するように、クロム系触媒のフローインデックス応答は、クロム系触媒を、選定された時間にわたって選定された供給速度で、そして任意に選定された撹拌速度で供給された還元剤と接触させることによって調整することができる。ここに記載された、調整されまたは選定されたフローインデックス応答を持つクロム系触媒組成物の使用は、重合プロセスの適用性能を提供し、それはポリオレフィン類の重合において重要な商業上の用途を持つ。
そのうえ、本開示の態様は、クロム系触媒組成物の製造プロセスに、選定されたフローインデックス応答を提供する。さらに、他の態様は、ここに説明するように、選定されたフローインデックス応答を有するクロム系触媒組成物を形成すること、および重合要件の下でクロム系触媒組成物にオレフィン類を接触させることを含むポリオレフィン類の製造プロセスを提供する。
有益にも、ここに開示する態様は、クロム系触媒のフローインデックス応答を調整するための方法を提供する。クロム系触媒のフローインデックス応答を選択可能な能力はさらに有利には、クロム系触媒により製造できる重合生成物数を、従来可能であったよりより一層多くすることを可能とする。更に、低いまたは中程度のフローインデックス応答を持つクロム系触媒は、有利にも、より低いフローインデックスの生成物を、クロム系触媒により著しく高い反応装置温度で製造されるのを可能とし、その場合冷却はより一層効率的でありより高い製造速度を達成することができる。別の利点として、選定されたフローインデックス応答を持つクロム系触媒は、反応装置へのより低い水素供給速度をもたらす。さらに別の利点として、クロム系触媒についての、ポリマーのフローインデックスを変動させて製造するための大きな自由度は、改善された等級移行を可能とする。
特に明記しない限り、言葉“本質的に成る”、および“本質的に成り”は、特にこの明細書に記載されているかいないかに係わらない他のステップ、要素、または物質の存在を、そのようなステップ、要素、または物質が、本発明の基本的で新規の特性に影響を及ぼさない限り除外しない。更に、それら文言は通常、使われる要素および材料と関係する不純物および変動を除外しない。
簡潔さのために、所定の範囲だけをここに明示的に明らかにする。しかし、どんな下限からの範囲でも、明示的に記載されない範囲を記載するために、任意の上限と組み合わせることができ、ならびに、どんな下限からの範囲でも、明示的に記載されない範囲を記載するために、任意の他の下限と組み合わせることができ、同様に、どんな上限からの範囲でも、明示的に記載されない範囲を記載するために、任意の他の上限と組み合わせることができる。更に、範囲内には、明示的に記載しないとしても、その終点の間でのあらゆる点または個々の値を含む。このように、あらゆる点または個々の値は、明示的に記載されない範囲を記載するために、他の点または個々の値または任意の他の下限若しくは上限と組み合わされた、下限または上限として働くことができる。
すべての優先権の文書は、そのような組込みが許されるすべての司法権範囲内において、そしてその開示は本発明の説明と一致する限りにおいて、参照することによって完全にここに組み込まれる。さらに、ここに言及された試験手順、出版物、特許、学術論文、その他を含め、すべての文書および参考文献が、そのような組み込みが許されるすべての司法権範囲内において、そしてその開示は本発明の説明と一致する限りにおいて、参照することによって完全にここに組み込まれる。
本発明が多数の態様および実施例に関して説明されているが、この開示の利益を得た当業者は、ここに開示する本発明の範囲および精神から外れることがない他の態様が工夫できることを認めるであろう。

Claims (18)

  1. オレフィンの重合における使用のための触媒組成物の製造方法であって、
    選定された範囲内のフローインデックス応答をもつ触媒組成物を製造するために、
    担持されたクロム系触媒を、選定された供給速度にて選定された添加期間にわたって供給される還元剤と接触させ、選定された期間は30秒から500分までの範囲内にあること、および同時に、
    クロム系触媒を、選定された撹拌速度にて撹拌し、選定された撹拌速度は5rpmから70rpm未満の範囲にあること、
    さらに、クロム系触媒および供給された還元剤を5分から240分までの範囲で選定された時間反応させること、
    を含み、
    前記選定された供給速度、選定された添加時間、及び選定された撹拌速度は、触媒組成物のフローインデックス応答を前記選定範囲に制御するために選択され、
    選定された撹拌速度が70rpm未満であるとき、より高いフローインデックス応答は、還元剤を加えるための選定された期間が増加するときに達成される、該方法。
  2. 選定された反応時間は30分から180分までの範囲である、請求項1の方法。
  3. 担持されたクロム系触媒には担持された酸化クロム触媒が含まれる、請求項1または2の方法。
  4. さらに、担持された、クロムアセチルアセトナート(chromic acetyl acetonate)、ハロゲン化クロム、硝酸クロム、酢酸クロム、硫酸クロム、クロム酸アンモニウム、および重クロム酸アンモニウムの少なくとも1種を、酸化条件下、担持された酸化クロム触媒を形成するために、300℃から900℃までの範囲の温度に加熱することによって活性化することを含む、請求項3の方法。
  5. 担持されたクロム系触媒には担持されたシリルクロメート触媒が含まれる、請求項1または2の方法。
  6. さらに、シリカ支持体を、400℃から850℃までの温度でか焼すること、および担持されたシリルクロメート触媒を形成するために、シリルクロメート化合物をか焼されたシリカ支持体と接触させること、を含む、請求項5の方法。
  7. シリルクロメート化合物には、ビス−トリエチルシリルクロメート、ビス−トリブチルシリルクロメート、ビス−トリイソペンチルシリルクロメート、ビス−トリ−2−エチルヘキシルシリルクロメート、ビス−トリデシルシリルクロメート、ビス−トリ(テトラデシル)シリルクロメート、ビス−トリベンジルシリルクロメート、ビス−トリフェニルエチルシリルクロメート、ビス−トリフェニルシリルクロメート、ビス−トリトリルシリルクロメート、ビス−トリキシリルシリルクロメート、ビス−トリナフチルシリルクロメート、ビス−トリエチルフェニルシリルクロメート、ビス−トリメチルナフチルシリルクロメート、ポリジフェニルシリルクロメート、およびポリジエチルシリルクロメートの少なくとも1種が含まれる、請求項5または6の方法。
  8. 還元剤には、アルキルアルミニウムおよびアルキルアルミニウムアルコキシドの少なくとも1種が含まれる、請求項1〜7のいずれか1項の方法。
  9. アルキルアルミニウムアルコキシドには、ジエチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジエチルアルミニウムプロポキシド、ジメチルアルミニウムエトキシド、ジ−イソプロピルアルミニウムエトキシド、ジ−イソブチルアルミニウムエトキシド、メチルエチルアルミニウムエトキシド、およびその混合物の少なくとも1種が含まれる、請求項8の方法。
  10. 撹拌は、らせん形リボンアジテーター、円錐形アジテーター、またはらせん形リボンアジテーター若しくは円錐形アジテーターとインペラとの組合せの少なくとも1種を用いて実行される、請求項1〜9のいずれか1項の方法。
  11. 選定された撹拌速度は70rpm未満であり、および選定された添加時間は20分未満である、請求項1〜10のいずれか1項の方法。
  12. 選定された撹拌速度は70rpm未満であり、および選定された添加時間は20分以上である、請求項1〜10のいずれか1項の方法。
  13. 得られる触媒組成物は0.5から8までに及ぶ還元剤のクロムに対するモル比を持つ、請求項1〜12のいずれか1項の方法。
  14. 担持されたクロム系触媒には、(a)1.1から1.8cm/gまでの細孔容積および245から375m/gまでの表面積、(b)2.4から3.7cm/gまでの細孔容積および410から620m/gまでの表面積、および(c)0.9から1.4cm/gまでの細孔容積および390から590m/gまでの表面積を持つシリカからなる群より選ばれるシリカ含有支持体が含まれる、請求項1〜13のいずれか1項の方法。
  15. さらに、担持された酢酸クロム化合物を、酸化クロム触媒を製造するために、酸化条件下で500℃から850℃までの範囲の温度に加熱することによって活性化することを含む、請求項3または4の方法。
  16. さらに、シリカ支持体を600℃の温度にてか焼すること、および、
    ビス(トリフェニルシリル)クロメート化合物を、担持されたシリルクロメート触媒を形成するために、か焼されたシリカと接触させること、
    を含む、請求項5の方法。
  17. 選定された期間は0.5から10分までの範囲にある、請求項16の方法。
  18. ポリオレフィンの製造方法であって、請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法によって製造された触媒組成物を重合条件下でオレフィンと接触させることを含む、方法。
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