JP6016861B2 - 機械部品のコーティング方法 - Google Patents
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Description
このような熱遮蔽コーティングでは、図5に示すように耐熱金属を有する基材101上に、溶射施工(APS、LPPS、HVOF)によりMCrAlY合金(但し、MはCo及びNiのうちの少なくとも1種の元素を表す)を主として含有するMCrAlY層を金属結合層として積層することで、基板101への耐食機能、および遮熱コーティングの結合剤としての機能をもたせたアンダーコート102を設けている。
すなわち、ガスタービンの運転中にトップコートの剥離(図5に示す符号P)が生じる現状があった。そのため、アンダーコート(基材)に対する密着性を高めるためにトップコート材に緻密性をもたせて耐剥離性を向上させると、ポーラス組織が減少するので遮熱性が低下することになる。
このように、相反関係にある耐剥離性と遮熱性とをバランスよく達成することができない現状があり、その点で改良の余地があった。
また、コート層の層表面側は、溶射ガンの溶射速度を速くすることで、コート層の密度を小さくして強制的にポーラス組織を導入することで、遮熱性を向上させることができる。つまり、コート層の上層部には遮熱効果をもたせ、下層部には耐剥離性をもたせることができ、遮熱性と耐剥離性とを両立した遮熱コーティングを実現することができる。
そして、コート層形成の途中からのコート形成時には、冷却により基材温度を低くすることで、粒子間の密着性を低下させることができ、これによりポーラス(組織的欠陥)を強制的に導入するが可能となり、遮熱性を向上させることができる。
また、本発明に係る機械部品のコーティング方法では、前記下部コート層を形成する工程では、前記溶射ガンからZrO2系セラミックス粉末材料を前記基材の表面に溶射し、前記上部コート層を形成する工程では、前記溶射ガンから前記ZrO2系セラミックス粉末材料を前記下部コート層の表面に溶射してもよい。
図1に示すように、第1の実施の形態による機械部品のコーティング方法は、大気プラズマ溶射(APS)法での溶射速度Vを二段階に変化させることで、皮膜組織を厚さ方向に二段階に変化させてなるトップコート3(コート層)を形成した遮熱コーティングに適用されている。
具体的には、図2に示すように、トップコート3における基材1側の1層〜3層目までを下部コート層31とし、例えば50〜200mm/secの低速(第1溶射速度V1)で施工する。そして、4層目以降を上部コート層32とし、例えば300〜600mm/secの高速(第2溶射速度V2)で施工する。
そのため、剥離を誘起するトップコート3とアンダーコート2との層間に組み込まれる組織的欠陥(層状欠陥や気孔)を減少させることができ、耐剥離性が向上する。
つまり、上部コート層32には遮熱効果をもたせ、下部コート層31には耐剥離性をもたせることができ、遮熱性と耐剥離性とを両立した遮熱コーティングを実現することができる。
図3に示すように、第2の実施の形態による機械部品のコーティング方法は、トップコート3(コート層)において、耐熱金属からなる基材1(図1参照)の表面1aから積層するにしたがって段階的に溶射速度を大きくしながら溶射ガンを移動させて、複層からなるトップコート3を形成する方法である。
また、溶射速度を低速から高速へ段階的に変化させる方法とすることで、下層側から上層側に向けて段階的に耐剥離性を低くし、遮熱性を高くすることが可能となり、耐剥離性と遮熱性とを両立した遮熱コーティングを形成することができる。
次に、第3の実施の形態による機械部品のコーティング方法は、図1に示す上述した第1の実施の形態において、上部コート層32(基材1の表面1aから離れた所定位置から上方のコート層)の形成時に、基材1を冷却しつつ行うようにしたものである。つまり、図4に示すように、APS施工中の基材1の温度を第1温度T1と、第1温度T1より低温の第2温度T2の二段階に変化させることで、トップコート3の皮膜組織も二段階に変化させる方法となっている。
そして、トップコート3の途中からの上部コート層32の形成時には、冷却により基材温度を低くすることで、粒子間の密着性を低下させることができ、これによりポーラス(組織的欠陥)を強制的に導入するが可能となり、遮熱性を向上させることができる。
例えば、本実施の形態ではアンダーコート2を設ける構成としているが、省略された構成であっても適用可能である。つまり基材1の表面1aに直接トップコート3を設ける構成であってもよい。
また、第1および第2の実施の形態では、下部コート層31と上部コート層32の上下二段に分けて形成しているが、二段であることに制限されることはなく、三段以上のコート層とすることも可能である。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した実施の形態を適宜組み合わせてもよい。
1a 基材表面
2 アンダーコート
3 トップコート
31 下部コート層
32 上部コート層
V1 第1溶射速度
V2 第2溶射速度
Claims (2)
- 耐熱金属からなる基材の表面に形成されたアンダーコート層の表面に溶射ガンを第1溶射速度で移動させて、複数の層から成る下部コート層を形成する工程と、
該下部コート層の表面に前記溶射ガンを前記第1溶射速度より大きい第2溶射速度で移動させて、複数の層から成り、各層の厚さが前記下部コート層を形成する各層の厚さより薄い上部コート層を形成する工程と、
を備え、
前記基材を冷却しつつ、前記基材の表面から離れた所定位置から上方のコート層を形成し、
前記上方のコート層よりも前記基材側のコート層を非冷却による基材温度で形成して、前記下部コート層と前記上部コート層とから成るトップコート層を形成することを特徴とする機械部品のコーティング方法。 - 前記下部コート層を形成する工程では、前記溶射ガンからZrO2系セラミックス粉末材料を前記基材の表面に溶射し、
前記上部コート層を形成する工程では、前記溶射ガンから前記ZrO2系セラミックス粉末材料を前記下部コート層の表面に溶射することを特徴とする請求項1に記載の機械部品のコーティング方法。
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