JP6015310B2 - トランス用コイル、及びその製造方法 - Google Patents
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ボビンを成形すると、貫通孔の近傍に存在する型割り面に、バリが発生することがある。
樹脂製のボビンと、
該ボビンに導線を巻回してなる巻線部とを備え、
上記ボビンは、軸部と、該軸部に設けられた一対のフランジとを有し、該一対のフランジのうち一方のフランジに、該フランジの厚さ方向に貫通した貫通孔が形成され、
上記巻線部は、上記一対のフランジの間において上記軸部に巻回され、上記導線からなり上記巻線部に連なる端子部が、上記貫通孔に挿通されており、
上記一方のフランジの2つの主面のうち、他方の上記フランジに近い側の主面は、上記巻線部に近接する巻線近接面であり、上記他方のフランジから遠い側の主面は、上記巻線部に接触しない巻線非接触面であり、
上記一方のフランジには、上記厚さ方向における、上記巻線近接面の上記巻線非接触面側に隣り合う位置に、上記端子部に向って突出する突出部が形成され、
該突出部には、上記巻線近接面に連なり、該巻線近接面から上記貫通孔の中心軸に近づくほど、上記厚さ方向における上記巻線非接触面側に次第に向う形状のアール面が形成されていることを特徴とするトランス用コイルにある(請求項1)。
また、本発明の第2の態様は、トランス用コイルの製造方法であって、
上記ボビンを成型する成形工程と、
上記導線を上記ボビンに巻回する巻回工程とを行い、
上記成形工程では、互いの型割り面が上記巻線近接面よりも上記厚さ方向における上記巻線非接触面側に位置する第1金型と第2金型とを含む、複数の金型を用いて上記ボビンを成型し、
上記成形工程において、上記第1金型と上記第2金型によって、上記貫通孔を形成することを特徴とする、トランス用コイルの製造方法にある(請求項4)。
そのため、バリが巻線近接面に発生しなくなる。すなわち、バリは、成形品において、型割り面に隣接する位置に形成され得るものである。それゆえ、上述の様に、型割り面が巻線近接面よりも厚さ方向における巻線非接触面側に位置する金型によって、上記貫通孔が形成されるものであれば、バリが生じるとしても、それは貫通孔の中に発生することになる。したがって、バリが生じるとしても、巻線部に接触しない位置に生じさせることができる。そのため、導線を軸部に巻回して巻線部を形成する際に、導線がバリに接触することを防止でき、導線の絶縁被膜がバリによって損傷する不具合を抑制できる。
そのため、巻線部が、型割り面に発生したバリの先端に接触することを、上記突出部によって防止することができる。そのため、導線の絶縁被膜が損傷することを、より効果的に防止できる。
そのため、アール面によって、導線の絶縁被膜が損傷することを防止できる。
この場合には、導線が突出部に押し当てられたときに、突出部が変形するため、導線に加わる応力を低減することができる。そのため、導線の絶縁被膜が損傷する不具合を、より抑制しやすくなる。
この場合には、バリの先端に端子部が接触しにくい。そのため、バリによって端子部が損傷することを抑制できる。
この場合には、上記型割り面の形状をシンプルにすることができる。そのため、第1金型および第2金型のクライアンスの微調整をしやすくなる。
この場合には、導線を巻回するときに、貫通孔付近において導線に大きな応力が加わることになる。そのため、貫通孔付近に発生するバリが、導線に接触しないようにした場合の効果は大きい。
この場合には、第1金型の上記凸部と、第2金型の上記突条部とが接触する面が、上記型割り面になる。凸部は第2金型側へ突出し、突条部は第1金型側へ突出している。そのため、型割り面を、巻線近接面よりも上記厚さ方向における巻線非接触面側へ位置させることができる。また、突条部によって、一方のフランジに溝部が形成されるため、第2金型を引き抜く際に、突条部のうち凸部に接触する部分が、上記一方のフランジに引っ掛からなくなる。そのため、第2金型をスムーズに引き抜くことが可能になる。
上記トランス用コイルに係る実施例について、図1〜図13を用いて説明する。図6に示すごとく、本例のトランス用コイル1は、樹脂製のボビン2と、巻線部3とを備える。巻線部3は、ボビン2に導線30を巻回することにより形成されている。
ボビン2は、軸部20と、軸部20に設けられた一対のフランジ21(21a,21b)とを有する。一対のフランジ21のうち一方のフランジ21aに、該フランジ21aの厚さ方向(Z方向)に貫通した貫通孔23(図7、図8参照)が形成されている。
一方のフランジ21aの2つの主面のうち、他方のフランジ21bに近い側の主面は、巻線部3に近接する巻線近接面10であり、他方のフランジ21bから遠い側の主面は、巻線部3に接触しない巻線非接触面11である。
そのため、バリ6が巻線近接面10に発生しなくなる。すなわち、バリ6は、成形品において、型割り面40に隣接する位置に形成され得るものである。それゆえ、本例の様に、型割り面40が巻線近接面10よりもZ方向における巻線非接触面11側に位置する金型4によって、貫通孔23が形成されるものであれば、バリ6が生じるとしても、それは貫通孔23の中に発生することになる。したがって、バリ6が生じるとしても、巻線部3に接触しない位置に生じさせることができる。そのため、導線30を軸部20に巻回して巻線部3を形成する際に、導線30がバリ6に接触することを防止でき、導線30の絶縁被膜がバリによって損傷する不具合を抑制できる。
そのため、バリ6の先端に巻線30が接触することを、突出部5によって防止しやすくなる。
仮に突出部5を形成しなかったとすると、図19に示すごとく、バリ96を、巻線近接面910よりもZ方向における巻線非接触面911側に発生させた場合に、巻線930にバリ96の先端が接触しやすくなる。そのため、巻線930の絶縁被膜が損傷しやすくなる。したがって、本例のように、突出部5を形成することにより、バリ6の先端に巻線30が接触する不具合を防止できる。これにより、導線30の絶縁被膜が損傷することを、より効果的に防止できる。
そのため、アール面によって、導線30の絶縁被膜が損傷することを防止できる。
そのため、導線30が突出部5に押し当てられたときに、導線30に加わる応力を低減することができる。したがって、導線30の絶縁被膜が損傷する不具合を、より抑制しやすくなる。
そのため、バリ6の先端に端子部31が接触しにくい。したがって、バリ6によって端子部31が損傷することを抑制できる。
この場合には、導線30を巻回するときに、貫通孔23付近において導線30に大きな応力が加わることになる。そのため、本例のように、貫通孔23付近に発生するバリ6の先端が導線30に接触しないようにした場合の効果は大きい。
このようにすると、第1金型4aの凸部41と、第2金型4bの突条部42とが接触する面が、型割り面40になる。凸部41は第2金型4b側へ突出し、突条部42は第1金型4a側へ突出している。そのため、型割り面40を、巻線近接面10よりもZ方向における巻線非接触面11側へ位置させることができる。また、突条部42によって、一方のフランジ21aに溝部25が形成されるため、第2金型4bを引き抜く際に、突条部42のうち凸部41に接触する部分429が、一方のフランジ21aに引っ掛からなくなる。そのため、第2金型4bをスムーズに引き抜くことが可能になる。
本例は、図14〜図16に示すごとく、ボビン2の形状を変更した例である。本例のボビン2は、バリ6が、巻線近接面10に平行な方向へ突出している。また、本例では、突出部5の断面形状がU字状になっている。
図15、図16に示すごとく、本例では実施例1と同様に、一方のフランジ21aに、貫通孔23と溝部25とを形成してある。貫通孔23は、一方のフランジ21aの巻線非接触面11から、薄肉部250の巻線側面251に対応する高さ位置まで形成されている。貫通孔23は、溝部25に接続している。
その他、実施例1と同様の構成を備える。
10 巻線近接面
11 巻線非接触面
2 ボビン
20 軸部
21 フランジ
3 巻線部
31 端子部
4a 第1金型
4b 第2金型
PL 型割り面
Claims (7)
- トランス用のコイル(1)であって、
樹脂製のボビン(2)と、
該ボビン(2)に導線(30)を巻回してなる巻線部(3)とを備え、
上記ボビン(2)は、軸部(20)と、該軸部(20)に設けられた一対のフランジ(21)とを有し、該一対のフランジ(21)のうち一方のフランジ(21a)に、該フランジ(21a)の厚さ方向に貫通した貫通孔(23)が形成され、
上記巻線部(3)は、上記一対のフランジ(21)の間において上記軸部(20)に巻回され、上記導線(30)からなり上記巻線部(3)に連なる端子部(31)が、上記貫通孔(23)に挿通されており、
上記一方のフランジ(21a)の2つの主面のうち、他方の上記フランジ(21b)に近い側の主面は、上記巻線部(3)に近接する巻線近接面(10)であり、上記他方のフランジ(21b)から遠い側の主面は、上記巻線部(3)に接触しない巻線非接触面(11)であり、
上記一方のフランジ(21a)には、上記厚さ方向における、上記巻線近接面(10)の上記巻線非接触面(11)側に隣り合う位置に、上記端子部(31)に向って突出する突出部(5)が形成され、
該突出部(5)には、上記巻線近接面(10)に連なり、該巻線近接面(10)から上記貫通孔(23)の中心軸(A)に近づくほど、上記厚さ方向における上記巻線非接触面(11)側に次第に向う形状のアール面(50)が形成されていることを特徴とするトランス用コイル(1)。 - 請求項1に記載のトランス用コイル(1)において、上記突出部(5)は、上記導線(30)を押し当てたときに変形するよう構成されていることを特徴とするトランス用コイル(1)。
- 請求項1又は請求項2に記載のトランス用コイル(1)において、上記突出部(5)から上記厚さ方向における上記巻線非接触面(11)側にバリ(6)が突出していることを特徴とするトランス用コイル(1)。
- 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のトランス用コイル(1)の製造方法であって、
上記ボビン(2)を成型する成形工程と、
上記導線(30)を上記ボビン(2)に巻回する巻回工程とを行い、
上記成形工程では、互いの型割り面(40)が上記巻線近接面(10)よりも上記厚さ方向における上記巻線非接触面(11)側に位置する第1金型(4a)と第2金型(4b)とを含む、複数の金型を用いて上記ボビン(2)を成型し、
上記成形工程において、上記第1金型(4a)と上記第2金型(4b)とによって、上記貫通孔(23)を形成することを特徴とする、トランス用コイル(1)の製造方法。 - 請求項4に記載のトランス用コイル(1)の製造方法において、上記型割り面(40)は、その全体が、上記巻線近接面(10)に平行な平坦面であることを特徴とするトランス用コイル(1)の製造方法。
- 請求項4又は請求項5に記載のトランス用コイル(1)の製造方法において、上記巻回工程では、上記導線(30)のうち上記端子部(31)となる部分を上記貫通孔(23)に挿入した状態で、上記導線(30)の残余の部分を上記軸部(20)に巻回して、上記巻線部(3)を形成することを特徴とするトランス用コイル(1)の製造方法。
- 請求項4〜請求項6のいずれか1項に記載のトランス用コイル(1)の製造方法であって、上記成形工程において、上記第1金型(4a)は上記一方のフランジ(21a)の上記巻線非接触面(11)側に配置され、上記第2金型(4b)は上記一対のフランジ(21)の間に配置され、上記第1金型(4a)は上記第2金型(4b)側へ突出した凸部(41)を有し、該凸部(41)によって上記貫通孔(23)が形成され、上記第2金型(4b)は上記第1金型(4a)側へ突出した突条部(42)を有し、該突条部(42)によって、上記一方のフランジ(21a)に、上記第2金型(4b)を引き抜く方向に延出する溝部(25)が形成され、上記第1金型(4a)と上記第2金型(4b)とを組み合わせた状態において、上記凸部(41)に上記突条部(42)の一部が接触していることを特徴とするトランス用コイル(1)の製造方法。
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