JP6011844B2 - 交流電動機の制御装置 - Google Patents
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Description
また、特許文献1には、同期電動機の一種である永久磁石同期電動機(Permanent Magnet Synchronous Motor,以下、PMSMともいう)のリラクタンストルクを利用する制御装置が記載されている。
図8において、10は直流電源、20はPWM(Pulse Width Modulation)制御されるPWMインバータ、30は駆動対象としてのPMSMである。また、41は直流電源電圧を検出する直流電圧検出手段、42はインバータ20の出力電流を検出する電流検出手段、43はPMSM30の軸に取り付けられた位置・速度検出器である。なお、直流電源10は、系統電源に接続されたダイオード整流器やPWMコンバータ、またはバッテリー等によって構成されている。
速度指令値ωr *と速度検出値ωrとの偏差が減算手段51により演算され、この偏差は速度調節手段52に入力されている。速度調節手段52は、比例積分演算等の調節演算を行い、その結果を出力する。
トルクリミッタ55は、第2トルク指令値τ**をトルクリミッタ設定値に応じて制限する処理を行い、その結果を第3トルク指令値τ***として出力する。
電流座標変換手段63は、電流検出手段42から出力される三相交流電流検出値iu,iv,iwを入力とし、位相角検出手段61からの位相角検出値θrを用いて座標変換を行い、d軸電流検出値i1d、q軸電流検出値i1qを出力する。
これらのd軸電圧指令値v1d *及びq軸電圧指令値v1q *は電圧座標変換手段59に入力され、位相角検出値θrを用いて三相交流電圧指令値vu *,vv *,vw *に変換される。
インバータ20は、上記ゲート信号に従ってパルス幅変調制御を行い、三相交流電圧指令値vu *,vv *,vw *に従った三相交流電圧を発生してPMSM30を駆動する。
なお、66は加算手段、67は積分手段を示している。
図10に示すように、トルクリミッタ55では、トルクリミッタ設定値(プラス側)55aとトルクリミッタ設定値(マイナス側)55bとによって第2トルク指令値τ**を制限する処理(リミッタ処理)を行い、第3トルク指令値τ***を出力する。
トルクリミッタ設定値(プラス側)55aにはトルクリミッタ上限値(プラス側)55cが設けられると共に、トルクリミッタ設定値(マイナス側)55bにはトルクリミッタ上限値(マイナス側)55dが設けられており、これらのトルクリミッタ上限値(プラス側)55c及びトルクリミッタ上限値(マイナス側)55dは予め設定された固定値となっている。そして、トルクリミッタ設定値55a,55bがそれぞれトルクリミッタ上限値55c,55dを上回る場合には、その上限値55c,55dによりトルクリミッタ設定値55a,55bを制限するように動作している。
PMSM30やIM40等の交流電動機が出力可能な最大トルクはインバータ20の出力電圧の上限値によって決まるため、直流電源電圧が低下すると、交流電動機の出力可能な最大トルクも低下する。このため、交流電動機が出力可能な最大トルクを上回るトルク指令値が与えられた場合、交流電動機は指令値通りのトルクを発生することができず、脱調や停動が発生して交流電動機を正常に運転できなくなるという問題があった。
そして、本発明の制御装置は、トルク指令値を制限するためのトルクリミッタ設定値の上限値を、トルクリミッタ上限値により制限するトルクリミッタと、トルクリミッタ上限値に乗算される低減係数を演算する低減係数演算手段と、を備えている。
具体的に説明すると、低減係数演算手段は、インバータの直流電圧と第1,第2直流電圧設定値との大小関係に応じて0.0〜1.0となるパターンを出力する直流電圧パターン演算手段と、電圧指令値の振幅と第1,第2電圧振幅設定値との大小関係に応じて0.0〜1.0となるパターンを出力する電圧振幅パターン演算手段と、これらの両パターン演算手段の出力の乗算結果に所定の低減率設定値を乗算した結果を1.0から減算して0.0〜1.0の範囲の低減係数を求める手段と、から構成される。
他の例として、低減係数演算手段は、上記直流電圧パターン演算手段と、一次周波数の絶対値と第1,第2周波数設定値との大小関係に応じて0.0〜1.0となるパターンを出力する一次周波数パターン演算手段と、これらの両パターン演算手段の出力の乗算結果に所定の低減率設定値を乗算した結果を1.0から減算して0.0〜1.0の範囲の低減係数を求める手段と、から構成される。
また、交流電動機がIMである場合には、トルクリミッタにより制限されたトルク指令値、及び、IMの速度検出値または速度推定値から演算した磁束指令値を用いて電流指令値を演算し、この電流指令値に基づいて電圧指令値を演算する。
これらの電圧指令値に従ってインバータをPWM制御することにより、直流電源電圧の低下時に交流電動機の出力トルクが適切に制限されることになる。
図1において、図8と同一の機能を有するブロックには図8と同一の符号を付して説明を省略し、以下では図8と異なる部分を中心に説明する。
なお、リミッタ値低減係数演算手段54Aの構成及び機能については後述する。
図2において、図9と同一の機能を有するブロックには図9と同一の符号を付して説明を省略し、以下では図9と異なる部分を中心に説明する。
パターン演算手段(直流電圧)541は、直流電圧検出値edcと第1直流電圧設定値edc(1),第2直流電圧設定値edc(2)(ここで、edc(1)<edc(2))との大小関係に応じて、下記のパターン演算を行う。
・edc<edc(1)のとき……パターンの出力は1.0
・edc(1)≦edc≦edc(2)のとき……パターンの出力は1.0〜0.0
・edc>edc(2)のとき……パターンの出力は0.0
なお、パターン演算手段(直流電圧)541は、請求項における直流電圧パターン演算手段に相当する。
・va *<va *(1)のとき……パターンの出力は0.0
・va *(1)≦va *≦va *(2)のとき……パターンの出力は0.0〜1.0
・va *>va *(2)のとき……パターンの出力は1.0
なお、パターン演算手段(電圧振幅)542は、請求項における電圧振幅パターン演算手段に相当する。
上記の構成により、低減係数は、直流電圧検出値edcが小さく、かつ電圧振幅指令値va *が大きくて、電動機の出力トルクに限界が生じる条件のもとで「0.0以上1.0未満」となるように演算されることになる。
すなわち、低減係数は、乗算手段551によりトルクリミッタ上限値(プラス側)55cに乗算されると共に、乗算手段552によりトルクリミッタ上限値(マイナス側)55dに乗算される。そして、乗算手段551の出力によりトルクリミッタ設定値(プラス側)55aが制限され、乗算手段552の出力によりトルクリミッタ設定値(マイナス側)55bが制限されるようになっている。ここで、トルクリミッタ上限値(プラス側)55c及びトルクリミッタ上限値(マイナス側)55dは、交流電動機(PMSMまたはIM)が出力可能な最大トルクに相当する値である。
従って、直流電源電圧が低下した場合には交流電動機に対するトルク指令値が低減されることになり、交流電動機は指令値通りのトルクを発生可能であるため、脱調や停動が発生するおそれはないものである。
図5に示す第3実施形態では、直流電圧検出値edc及び一次周波数指令値ω1 *を入力として低減係数を演算するリミッタ値低減係数演算手段54Bが設けられており、この演算手段54Bにより演算した低減係数がトルクリミッタ55Aに入力されている。
なお、リミッタ値低減係数演算手段54Bの構成及び機能については後述する。
この第4実施形態においても、直流電圧検出値edc及び一次周波数指令値ω1 *を入力として低減係数を演算するリミッタ値低減係数演算手段54Bが設けられ、この演算手段54Bにより演算した低減係数がトルクリミッタ55Aに入力されている。
なお、図2に示した電圧振幅演算手段58は除去されている。
このリミッタ値低減係数演算手段54Bと図3におけるリミッタ値低減係数演算手段54Aとの相違点は、図3のパターン演算手段(電圧振幅)542の代わりに絶対値演算手段546及びパターン演算手段(一次周波数)547を備えている点である。すなわち、図7において、一次周波数指令値ω1 *の絶対値|ω1 *|を絶対値演算手段546により演算し、絶対値|ω1 *|と第1周波数設定値ω1 * (1),第2周波数設定値ω1 * (2)(ここで、ω1 *(1)<ω1 *(2))との大小関係に応じて、下記のパターン演算を行う。
・|ω1 *|<ω1 * (1)のとき……パターンの出力は0.0
・ω1 * (1)≦|ω1 *|≦ω1 *(2)のとき……パターンの出力は0.0〜1.0
・|ω1 *|>ω1 *(2)のとき……パターンの出力は1.0
なお、パターン演算手段(一次周波数)547は、請求項における一次周波数パターン演算手段に相当する。
図7のリミッタ値低減係数演算手段54Bによれば、低減係数は、直流電圧検出値edcが小さく、かつ一次周波数指令値ω1 *が大きくて、電動機の出力トルクに限界が生じる条件のもとで「0.0以上1.0未満」となるように演算される。
これにより、トルクリミッタ55Aは、リミッタ値低減係数演算手段54Bから出力される低減係数が1.0より小さいときはトルクリミッタ上限値を低減させてトルクリミッタ設定値をプラス側及びマイナス側から制限し、第2トルク指令値τ**を交流電動機の出力トルクの限界値以下に制限して第3トルク指令値τ***として出力する。
従って、直流電源電圧が低下した場合には交流電動機に対するトルク指令値が低減されて交流電動機は指令値通りのトルクを発生可能であるため、脱調や停動が発生するおそれはない。
20:PWMインバータ
30:PMSM
40:IM
41:直流電圧検出手段
42:電流検出手段
43:位置・速度検出器
44:速度検出器
51:減算手段
52:速度調節手段
53:切替手段
54A,54B:リミッタ値低減係数演算手段
541,542,547:パターン演算手段
543,544:乗算手段
545:減算手段
546:絶対値演算手段
55A:トルクリミッタ
55a,55b:トルクリミッタ設定値
55c,55d:トルクリミッタ上限値
551,552:乗算手段
56S:電流指令値演算手段(PMSM)
56I:電流指令値演算手段(IM)
57:電流調節手段
58:電圧振幅演算手段
59:電圧座標変換手段
60:PWM演算手段
61:位相角検出手段
62:速度検出手段
63:電流座標変換手段
64:磁束指令値演算手段
65:すべり周波数演算手段
66:加算手段
67:積分手段
Claims (6)
- 交流電動機のトルク指令値及び一次周波数指令値に基づいて電圧指令値を演算し、前記電圧指令値を用いてインバータをパルス幅変調制御することにより交流電動機のトルクを制御する制御装置であって、
前記トルク指令値を制限するためのトルクリミッタ設定値の上限値を、トルクリミッタ上限値により制限するトルクリミッタと、
前記トルクリミッタ上限値に乗算される低減係数を演算する低減係数演算手段と、を備えた制御装置において、
前記低減係数演算手段は、
前記インバータの直流電圧<第1直流電圧設定値のときに1.0、
第1直流電圧設定値≦前記直流電圧≦第2直流電圧設定値のときに1.0〜0.0、
前記直流電圧>第2直流電圧設定値のときに0.0、
となるパターンを出力する直流電圧パターン演算手段と、
前記電圧指令値の振幅<第1電圧振幅設定値のときに0.0、
第1電圧振幅設定値≦前記電圧指令値の振幅≦第2電圧振幅設定値のときに0.0〜1.0、
前記電圧指令値の振幅>第2電圧振幅設定値のときに1.0、
となるパターンを出力する電圧振幅パターン演算手段と、
前記直流電圧パターン演算手段の出力と前記電圧振幅パターン演算手段の出力とを乗算する乗算手段と、
この乗算手段の出力に所定の低減率設定値を乗算した結果を1.0から減算して前記低減係数を演算する手段と、
を備えたことを特徴とする交流電動機の制御装置。 - 交流電動機のトルク指令値及び一次周波数指令値に基づいて電圧指令値を演算し、前記電圧指令値を用いてインバータをパルス幅変調制御することにより交流電動機のトルクを制御する制御装置であって、
前記トルク指令値を制限するためのトルクリミッタ設定値の上限値を、トルクリミッタ上限値により制限するトルクリミッタと、
前記トルクリミッタ上限値に乗算される低減係数を演算する低減係数演算手段と、を備えた制御装置において、
前記低減係数演算手段は、
前記インバータの直流電圧<第1直流電圧設定値のときに1.0、
第1直流電圧設定値≦前記直流電圧≦第2直流電圧設定値のときに1.0〜0.0、
前記直流電圧>第2直流電圧設定値のときに0.0、
となるパターンを出力する直流電圧パターン演算手段と、
前記交流電動機の一次周波数の絶対値<第1周波数設定値のときに0.0、
第1周波数設定値≦前記一次周波数の絶対値≦第2周波数設定値のときに0.0〜1.0、
前記一次周波数の絶対値>第2周波数設定値のときに1.0、
となるパターンを出力する一次周波数パターン演算手段と、
前記直流電圧パターン演算手段の出力と前記一次周波数パターン演算手段の出力とを乗算する乗算手段と、
この乗算手段の出力に所定の低減率設定値を乗算した結果を1.0から減算して前記低減係数を演算する手段と、
を備えたことを特徴とする交流電動機の制御装置。 - 請求項1または2に記載した交流電動機の制御装置において、
前記トルクリミッタに入力されるトルク指令値は、外部から入力された速度指令値と速度検出値との偏差を速度調節手段に入力して得た信号と、外部から入力されたトルク指令値と、の何れか一方であることを特徴とする交流電動機の制御装置。 - 請求項1または2に記載した交流電動機の制御装置において、
前記トルクリミッタに入力されるトルク指令値は、外部から入力された速度指令値と速度推定値との偏差を速度調節手段に入力して得た信号と、外部から入力されたトルク指令値と、の何れか一方であることを特徴とする交流電動機の制御装置。 - 請求項1〜4の何れか1項に記載した交流電動機の制御装置において、
前記交流電動機が永久磁石同期電動機であり、
前記トルクリミッタから出力されたトルク指令値、及び、永久磁石同期電動機の速度検出値または速度推定値を用いて、電流指令値を演算する手段と、
前記電流指令値から前記電圧指令値を演算する手段と、
を備えたことを特徴とする交流電動機の制御装置。 - 請求項1〜4の何れか1項に記載した交流電動機の制御装置において、
前記交流電動機が誘導電動機であり、
前記トルクリミッタから出力されたトルク指令値、及び、誘導電動機の速度検出値または速度推定値から演算した磁束指令値を用いて、電流指令値を演算する手段と、
前記電流指令値から前記電圧指令値を演算する手段と、
を備えたことを特徴とする交流電動機の制御装置。
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