JP6011326B2 - 金属容器用ホットメルト組成物および金属缶 - Google Patents
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Description
このような形状を有する金属缶においては、開口端縁において金属缶を構成する樹脂被覆金属板の金属板が露出した状態になっているため、金属板が鋼板である場合には、水分の付着により錆が発生するおそれがある。特にカール部は、その内部に空間を有しているため、カール部内の空間に水が浸入した場合には、発錆のおそれがあると共に、錆水が流出するおそれがあるため好ましくない。
このような問題を解決するために、カール部と口頸部外面とが対向する環状の隙間にシール材を介装して隙間を密封することが提案されており、シール材としてはスチレンブタジエンゴム等のゴムや、ポリプロピレン等のフィルムを用いることが記載されている(特許文献1)。
しかしながら、シール材としてゴムを用いる場合には、一般に塗工性の点から固形分の濃度をあまり高くすることができないため、一度に厚塗りすることができず、その結果一回の塗工では密封性に優れたシール材を形成することが困難である。またシール材としてフィルムを用いる場合には、フィルムの貼付に際して煩雑な工程が必須となり、生産性に劣ると共に、やはり満足のいく密封性を得ることは難しいという問題がある。
例えば、特許文献2において本出願人等は、ベースポリマーとして熱可塑性エラストマーを必須とし、粘着付与剤、軟化点が140〜160℃のワックス、ポリオレフィン樹脂とを含む金属缶用ホットメルト組成物を提案している。
熱可塑性エラストマーを必須とする特許文献2記載の金属缶用ホットメルト組成物は、前記の厳しい条件下では、熱軟化によりシール材がカール部から押し出され、はみだすスクイズ(スクイーズ)現象を生じ、十分な密封性を確保できなかった。図5に示すように、レトルト殺菌に付される前の状態においては、シール材は、カール部内の上部にまで行き渡り、カール部内の密封性が確保されると共に、金属端縁の保護も十分であるが(図5(A))、128℃のような従来よりも厳しい条件でのレトルト殺菌が行われると、シール材が軟化すると共に、カール部内の空気が膨張し、口頸部の開口端縁と口頸部外面の間からシール材がスクイズしてしまうという問題が生じる(図5(B))。また、口頸部外面に設けられたシール材にカール部を当接・圧着させる際の条件によっては、シール材にヒビが生じたり、割れたり、剥落したりすること、即ち加工密着性に問題のある場合もあった。
本発明の他の目的は、ヒビ・割れ・剥落のないシール材によって密封された金属缶であって、従来よりも厳しいレトルト殺菌処理を経ても、シール材の密封性能が低下することがなく、金属端縁の発錆が有効に防止された金属缶を提供することである。
前記ポリオレフィン樹脂の190℃における溶融粘度は、15000〜40000mPa・sであることが好ましく、20000〜30000mPa・sであることがより好ましい。
前記の溶融粘度は、B型粘度計および#3ローターを用い、0.6rpmの条件における粘度である。
また、前記本発明の金属容器用ホットメルト組成物は、130℃における溶融粘度が10〜1000Pa・sであり、190℃における溶融粘度が2000〜10000mPa・sであり、且つR&B式による軟化点が140〜160℃であることが好ましい。
ここで、130℃における溶融粘度は、ダイ径0.49mm、ダイ長さ1mm、荷重5kgの条件下、フローテスターにより測定したものである。また、190℃における溶融粘度は、B型粘度計および#3ローターを用い、6rpmの条件において測定した粘度である。
本発明の金属缶は、前記シール材が、前記カール部の切断端面面積基準で2.0〜3.0mg/mm2の量で口頸部外面に塗工されたものであることが好ましい。これは、後述するエアゾール缶においても同様に好ましい塗工量である。
缶胴と底蓋は、一体成形されたものであることが好ましい。
缶胴と底蓋は一体成形されたものであることが好ましい。
また、本発明の金属容器用ホットメルト組成物は、常温(23℃)で固体であるため、リシール機能を有する金属缶の口頸部に形成されたカール部のような箇所に施す場合にも、厚塗りすることが可能であり、密封性に優れたシール材を塗工性よく成形することができ、生産性にも優れている。
かかる金属容器用ホットメルト組成物をカール部の端縁保護に用いた金属缶においては、従来よりも厳しいレトルト殺菌処理を経ても、カール部と口頸部外面の密封性に優れているため、カール部内に水が侵入してしまうようなことがなく、金属端縁の発錆が有効に防止されている。
金属缶、エアゾール缶等の様々な金属容器においては、金属切断面が露出している部分が存在するが、本発明のホットメルト組成物は、この露出面の保護用として好適に用いられる。
ホットメルト組成物の粘度を調整し、柔軟性を付与すると共に、耐熱性を向上して、レトルト殺菌に付された場合のスクイズを有効に防止する目的で、ポリオレフィン樹脂が主成分として配合される。
ポリオレフィン樹脂は、190℃における溶融粘度(B型粘度計、#3ローター、0.6rpm)が10000〜120000mPa・sの範囲にあることが重要である。このポリオレフィン樹脂の溶融粘度は、15000mPa・s以上であることが好ましく、20000mPa・s以上であることがより好ましく、また、40000mPa・s以下であることが好ましく、30000mPa・s以下であることがより好ましい。さらには、この溶融粘度は、15000〜40000mPa・sの範囲にあるものが好ましく、20000〜30000mPa・sの範囲にあるものがより好ましい。
溶融粘度が120000mPa・sより高くなると、ホットメルト組成物の190℃の溶融粘度も高くなり、塗工ができなくなる。一方、溶融粘度が10000mPa・sより低くなると、従来よりも厳しいレトルト殺菌に付された場合にスクイズを有効に防止することができず、また、当接・圧着時の加工密着性を確保することができなくなる。
具体的にはアモルファスポリα−オレフィン(プロピレンホモポリマー、プロピレン−エチレンコポリマー、プロピレン−ブテンコポリマー、プロピレン−エチレン−ブテンターポリマー)、アタクチックポリプロピレン等を挙げることができ、中でも軟化点を考慮するとプロピレンホモポリマーを好適に用いることができる。
これらのポリオレフィン樹脂のなかから、任意の複数種を組み合わせて使用することもできる。
なお、本発明の効果を阻害しない範囲内で、一般的な熱可塑性エラストマーが含まれていてもよいが、厳しいレトルト条件下でのスクイズを有効に防止するために、その配合量は15wt%未満であることが好ましく、10wt%以下程度であることがより好ましく、5wt%以下程度であると一層好ましい。
粘着付与剤は、上述したポリオレフィン樹脂を可塑化させると共に、ホットメルト組成物の接着性を向上させるために配合する。
使用できる粘着付与剤として、特に限定はされないが、レトルト殺菌に付された場合におけるスクイズを防止するために、特に軟化点(R&B式:JIS K 6863ホットメルト接着剤の軟化点試験方法に準拠)が115〜160℃の範囲にある粘着付与剤を用いることが好ましい。
上記粘着付与剤の中でも特に、テルペン系粘着付与剤及び石油系粘着付与剤を用いることが好ましく、色相の美しさ等の意匠性を考慮すると、それらの水素付加されたものであることがより好ましい。
ワックスは、140〜160℃の軟化点(R&B式:JIS K 6863 ホットメルト接着剤の軟化点試験方法に準拠)を有することが重要な特徴であり、これにより、ホットメルト組成物全体の軟化点を上昇させ、レトルト殺菌にも耐え得る耐熱性を付与することが可能となる。
ワックスの軟化点が140℃未満の場合、レトルト殺菌の際のスクイズ防止効果が低く、一方160℃を超える場合には、溶融に高温を要し、生産性に劣る等、いずれの場合も使用に適さない。
上記ワックスの中でも、高温レトルト殺菌にも耐え得るには、軟化点の高さを考慮するとポリプロピレンワックスが特に好ましい。
また、使用するワックスは、一般に5000〜30000の分子量を有すると共に、温度170℃における粘度が4000mPa・s以下ものであることが望ましい。
上記の必須成分のほかに、ホットメルト組成物の一実施形態においては、粘着付与剤の効果を補助する目的で鉱油を使用してもよい。鉱油としては、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル、アロマ系オイル等を挙げることができる。
鉱油の配合量は、0〜20wt%、特に0〜10wt%の範囲にあることが好ましい。
また、ホットメルト組成物には、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、充填剤、着色剤等の各種添加剤の1種以上を、従来公知の配合割合で配合することができる。
1.温度130℃荷重5kgfにおけるメルトフローレート(MFR)が0.01〜20g/10分であり、且つ荷重5kgfにおける流出開始温度が115〜155℃の範囲にあること。
2.130℃における溶融粘度(フローテスターによる測定:ダイ径0.49mm、ダイ長さ1mm、荷重5kgf)が10〜1000Pa・s、190℃における溶融粘度(B型粘度計、#3ローター、6rpm)が2000〜10000mPa・sであり、且つ軟化点(R&B式)が140〜160℃の範囲にあること。
ホットメルト組成物がこのような態様であることにより、より優れた耐熱性を有し、高温レトルト殺菌に付された場合にもスクイズを生じることがないと共に、塗工性に優れ、リシール機能を有する金属缶のカール部に適用された場合には、生産性よくシール材を形成することが可能となる。その結果、シール材としての密封性をより良好に維持することができる。
金属缶1は、図1に示すように、金属缶本体10と、金属缶本体10から突出した口頸部20とを備える。この金属製の口頸部20は、リシール用のキャップ50が着脱可能であり、口頸部20の開口縁には、外側に巻き返された環状のカール部30が形成されている。このカール部30と口頸部20の外面との環状の隙間に、本発明のホットメルト組成物から成るシール材40が充填(介装)されていることが特徴である。
金属缶本体10は、有底円筒形状の胴部11と、胴部11上端から上方に向かって内向きに傾斜する肩部12とを備え、この肩部12から上記口頸部20が突出しており、金属缶本体10と口頸部20は、一枚のブランクから絞り成形により一体成形された構造となっている。キャップ50は、口頸部20のねじ筒部21にねじ係合する雌ねじが形成されたキャップ筒51と、締め付け時にカール部30の頂部に密接する天板部52とを備えたもので、金属キャップ、樹脂キャップ等の種々のキャップが適用可能である。
カール部30は、開口筒上端から半径方向外方に向かって上方に凸形状に湾曲する上部湾曲部31と、上部湾曲部31の外径端から半径方向内方に向かって下方に凸形状に湾曲する下部湾曲部32とを備えている。上部湾曲部31は半円形状で、下部湾曲部32は1/4円弧形状となっており、下部湾曲部32の中途位置から先端(内径端)までの部分が、段部23と所定の隙間を介して対向している。
図1に示す具体例では、シール材40はカール部30の下部湾曲部32と段部23との間の環状の隙間に充填されている。また、下部湾曲部32の内径端に、金属面が露出する切断端面33が位置し、この切断端面33はシール材40によって被覆されている。
すなわち図2(A)は、カール部を成形するカーリング工程前の状態で、図2(B)は初期カール成形された状態である。初期カール部301は、図示例では断面が半円よりも進んだ3/4円弧程度まで湾曲した形状となっている。
この初期カール成形された状態で、カール成形筒部300の所定箇所に、シール材40となるホットメルト組成物41を環状に付着させる。続くカーリング工程により(図2(C)、(D)参照)、ホットメルト組成物41がカール部30に巻き込まれて変形し、図2(C)に示すように、ホットメルト組成物41の一部41aが、カール部30の切断端面33を被覆する状態でカール部30内に充填され、カール部30に入りきらない残りの部分41bが、開口筒部22外周から段部23外面上に残るような形状となる(図2(D)参照)。
この方法によれば、カール部30の先端位置とホットメルト組成物41の位置を正確に設定することが可能となり、本発明のホットメルト組成物の使用と相俟って、優れた密封性を確保でき、カール部内への水の浸入や金属端縁の発錆を有効に防止することが可能となる。
金属板としては、各種表面処理鋼板、又はアルミニウム等の軽金属板が使用されるが、本発明の金属缶では、金属端縁への水分の付着が有効に防止されているので、特に発錆のおそれがある鋼板であっても、有効に使用することができる。表面処理鋼板としては、冷圧延鋼板を焼鈍した後二次冷間圧延し、亜鉛メッキ、錫メッキ、ニッケルメッキ、電解クロム酸処理、クロム酸処理等の表面処理の一種または二種以上行ったものを用いることができる。また、金属板の被覆用の樹脂としては、熱可塑性ポリエステル樹脂が好適に使用されるが、これに限定されることはない。
図3に、缶胴500、底蓋510、外側に巻き返された環状のカール部30を有する目金蓋520、及びマウンティング・カップ530を備えたエアゾール缶を示す。カール部30と目金蓋520の外面とが対向する環状の隙間に、本発明のホットメルト組成物から成るシール材を使用することができる。
図3において、缶胴と底蓋は一体成形されたものでも良い。
また図4に、有底円筒に成形され、開口縁には外側に巻き返された環状のカール部30を有する缶胴540、及びマウンティング・カップ530を備えたエアゾール缶を示す。カール部30と缶胴540の外面とが対向する環状の隙間に、本発明のホットメルト組成物から成るシール材を使用することができる。
図4において、缶胴と底蓋は別体であっても良い。
更に、本発明のホットメルト組成物は、溶接缶の継目部分の防錆処理材等としても有効に使用することができる。
エアゾール缶においても、シール材の好ましい塗工量(付着量または充填量)は上記金属缶の場合と同様であり、カール部の切断端面面積基準で2.0〜3.0mg/mm2の量で、目金蓋又は缶胴の外面に塗工されたものであることが好ましい。
[実施例1〜12、比較例1〜10]
表1及び2に示した粘着付与剤及び鉱油を、撹拌機を備えたステンレスビーカーに加え、加熱した。加熱は、内容物が180℃以上にならないように注意して行った。溶融後に撹拌を行い、均一になるようにした。次に、ワックス、ポリオレフィン樹脂を添加して、金属容器用ホットメルト組成物を作製した。なお、表に示す配合量は重量部を示す。
AP−1:プロピレンエチレンコポリマー(粘度25000mPa・s/190℃)
AP−2:プロピレンエチレンコポリマー(粘度50000mPa・s/190℃)
AP−3:プロピレンエチレンコポリマー(粘度120000mPa・s/190℃
AP−4:プロピレンエチレンコポリマー(粘度8000mPa・s/190℃)
AP−5:プロピレンホモポリマー(粘度2300mPa・s/190℃)
TF−1:脂環族系石油樹脂(軟化点115℃・完全水添)
TF−2:脂環族系石油樹脂(軟化点115℃・部分水添)
TF−3:脂肪族/脂環族系石油樹脂(軟化点140℃・完全水添)
TF−4:脂肪族/脂環族系石油樹脂(軟化点135℃・部分水添)
TF−5:テルペン系樹脂(軟化点150℃・完全水添)
TF−6:脂肪族系石油樹脂(軟化点100℃・完全水添)
TF−7:脂肪族系石油樹脂(軟化点100℃・部分水添・水添率低)
TF−8:DCPD(ジシクロペンタジエン)系石油樹脂(軟化点140℃・完全水添)
W−1:ポリプロピレンワックス(軟化点148℃)
W−2:ポリプロピレンワックス(軟化点156℃)
W−3:ポリメチレンワックス(軟化点108℃)
O−1:流動パラフィン
H−1:SEPS(スチレン−エチレン/プロピレン−スチレン共重合体、メルトフローレート、230℃、2.16kg、7g/10min・スチレン量13%)
(1)軟化点
軟化点の測定方法は、「日本工業規格」JIS(JAPAN Industrial Standard)
K 6863-1944による、環球法による軟化点試験方法で行った。
190℃粘度の測定方法は、JIS K 6862(A法)に準じて行った。予め200℃付近まで溶融させたホットメルト組成物300gを試験容器に入れ、大気中において棒温度計で充分に撹拌しながら190℃になったところで、B型粘度計(東機産業(株)製 TOKIMEC VISCOMETER MODEL:BM)を用いて行った。使用したローターは、必要に応じて適当なものを用いた。
130℃粘度及び130℃MFRは、島津製作所(株)製フローテスターCFT500Cを用いて行った。180℃で溶融したホットメルト組成物を所定の型に流し込み、長さ20mm、直径10mmの円筒形成型物を作製し、定温法、130℃、荷重5kgf、ダイ径0.49mm、ダイ長さ1mm条件下においてフローテスターCFT500Cにセットし、測定を行った。
流出開始温度は、島津製作所(株)製フローテスターCFT500Cを用いて行った。180℃で溶融したホットメルト組成物を所定の型に流し込み、長さ20mm、直径10mmの円筒形成型物を作製し、昇温法、開始温度80℃、昇温速度5℃/分、荷重5kgf、ダイ径1mm、ダイ長さ10mm条件下においてフローテスターCFT500Cにセットし、測定を行った。
ホットメルト組成物を、2.6mg/mm2の量で口頸部外面に190℃にて塗工し、固化させた後にカール成型した。次いで128℃×25分、125℃×30分の2つの条件にてそれぞれレトルト殺菌し、処理後に金属缶全体を観察した。
スクイズが生じていない場合を◎、スクイズの長さ(カール部の下部湾曲部の底面と、押し出されたシール材の底面との、垂直方向の高低差)が0.5mm以下の場合○、スクイズの長さが0.5mmを越えた場合×と判定した(図5(B)参照)。
ホットメルト組成物を、0.8g/mの塗布量で口頸部外面に190℃にてビード状に塗布し、固化させた後、23℃雰囲気下または5℃雰囲気下で、手指による引き剥がしでの脱落の有無を測定した。
全く脱落しない場合を◎、一部欠けがある場合を○、缶上に塗膜が残らず完全に脱落した場合を×と判定した。
なお、5℃雰囲気下での密着性評価は、加工密着性のモデル評価である。加工性密着性に劣る場合、室温付近では密着していても、低温では密着しにくくなるからである。
190℃のホットメルト組成物を、内側の1辺の長さ100mm、厚さ1mmの金属枠にはみ出さないように流し込み、固化させた後、油圧プレス機を用いて厚さ1mmのフィルムを得た。
このフィルムを0℃雰囲気下に2時間以上放置し、2つに折り曲げた際の皮膜の割れの有無を確認した。
皮膜のひび割れ及び破断が発生しない場合を◎、皮膜のひび割れは発生するが破断しない場合を○、皮膜が破断した場合を×と判定した。
ワックスの含有量が2重量%と少ない比較例2でも、128℃×25分のレトルト殺菌に付されると、シール材のスクイズが生じてしまった。
また、軟化点が108℃のポリメチレンワックスを用いた比較例3では、高温レトルト殺菌は勿論、通常のレトルトでさえシール材がスクイズしてしまい、カール部の密封性が損なわれた。
比較例4では、ポリオレフィン樹脂の含有量が少ないので、低温での密着性、柔軟性が損なわれた。
比較例5では、ワックスの含有量が多すぎるので、密着性が不良であった。
比較例6では、ポリオレフィン樹脂の含有量が多すぎ、粘着付与樹脂の含有量が少なすぎるので、密着性が不良であった。
比較例7では、ポリオレフィン樹脂の含有量が多すぎて、ホットメルト組成物の190℃における溶融粘度が高すぎ、190℃では塗工できなかったので、レトルト後のスクイズ、および密着性は評価できなかった。
比較例9も、20重量%の熱可塑性エラストマーを含有するものであるが、流出開始温度が高いので、128℃×25分のレトルト殺菌に付されても、シール材のスクイズは生じなかった。しかし、軟化温度の比較的高い粘着付与樹脂を多量に含有するので、低温での密着性が不良となった。
比較例10では、粘着付与樹脂の含有量が多すぎるので、低温の密着性、柔軟性が損なわれた。
Claims (10)
- 190℃における溶融粘度が10000〜120000mPa・sのポリオレフィン樹脂45〜70wt%、粘着付与剤10〜40wt%、及びR&B式軟化点が140〜160℃のワックス3〜20wt%を含有する金属容器用ホットメルト組成物。
- 前記ポリオレフィン樹脂の190℃における溶融粘度が15000〜40000mPa・sである、請求項1記載の金属容器用ホットメルト組成物。
- 前記ホットメルト組成物が、温度130℃荷重5kgfにおけるメルトフローレートが0.01〜20g/10分であり、荷重5kgfにおける流出開始温度が115〜155℃である、請求項1または2に記載の金属容器用ホットメルト組成物。
- 前記ホットメルト組成物が、130℃における溶融粘度が10〜1000Pa・s、190℃における溶融粘度が2000〜10000mPa・sであり、且つR&B式軟化点が140〜160℃である、請求項1〜3いずれか1項に記載の金属容器用ホットメルト組成物。
- 金属缶本体、及び該金属缶本体から突出し、リシール用のキャップが着脱可能な口頸部を備え、該口頸部の開口縁には外側に巻き返された環状のカール部を有する金属缶において、前記カール部と前記口頸部外面とが対向する環状の隙間に、請求項1〜4いずか1項に記載の金属容器用ホットメルト組成物から成るシール材が充填され、前記隙間が密封されていることを特徴とする金属缶。
- 前記シール材が、前記カール部の切断端面面積基準で2.0〜3.0mg/mm2の量で、前記口頸部外面に塗工されたものである、請求項5記載の金属缶。
- 缶胴、底蓋、外側に巻き返された環状のカール部を有する目金蓋、及びマウンティング・カップを備えたエアゾール缶において、前記カール部と前記目金蓋の外面とが対向する環状の隙間に、請求項1〜4いずれか1項に記載の金属容器用ホットメルト組成物から成るシール材が充填され、前記隙間が密封されていることを特徴とするエアゾール缶。
- 缶胴、底蓋、及びマウンティング・カップを備えたエアゾール缶において、前記缶胴は開口縁に外側に巻き返された環状のカール部を有し、前記カール部と前記缶胴の外面とが対向する環状の隙間に、請求項1〜4いずれか1項に記載の金属容器用ホットメルト組成物から成るシール材が充填され、前記隙間が密封されていることを特徴とするエアゾール缶。
- 前記缶胴と前記底蓋が一体成形されたものである、請求項7または8に記載のエアゾール缶。
- 前記シール材が、前記カール部の切断端面面積基準で2.0〜3.0mg/mm2の量で、前記目金蓋又は缶胴の外面に塗工されたものである、請求項7〜9いずれか1項に記載のエアゾール缶。
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