JP4307347B2 - 金属キャップ巻締容器及び容器の金属キャップ巻締方法 - Google Patents
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Description
鋭意研究した結果、絞り部を設けない方が落下時の漏洩不良が発生しないことがわかった。これは落下時の衝撃でキャップの角が変形しても、キャップの角と口頸部上端縁の間の空間で変形が吸収され、先端シール部が変形しないものと考えられる。しかし、絞り部を設けないと、内圧,外圧作用時の静的密封性が低下してしまう。
該キャップの天板部裏面には口頸部の上端縁に密接するシール材が設けられ、前記天板部とスカート部の角部には天板部を小径に絞ってシール材を口頸部上端縁の外周側の側面に密接させる絞り部が設けられ、前記スカート部には前記口頸部に設けられた雄ねじ部の形状に倣って成形される雌ねじ部が設けられた金属キャップ巻締容器において、
絞り部とカール部上端縁とによって圧縮されるシール材の圧縮部分自体が、落下時の衝撃を吸収可能とする衝撃吸収手段として設けられ、前記絞り部の絞り径を前記容器本体のカール部外径より1.4〜2.2mm程度大径とし、かつ天板部の天面位置からの絞り深さを0.8〜2.4mmの範囲に設定し、前記絞り深さをd[mm]とし、絞り径をH[mm]、カール部外径をD[mm]としたとき、カール部外径Dに対して、絞り深さdと絞り径Hが、式d≦2・(H−D−1)の関係となり、さらに、内圧が常温では陰圧となるように内容物が充填・巻締されていることを特徴とする。
前記プレッシャブロックのボア径を前記容器本体のカール部外径より1.4〜2.2mm程度大径とし、かつ天板部の天面位置からボア開口縁の押し込み深さを0.8〜2.4mmの範囲に設定し、かつ、前記押し込み深さをdr[mm]とし、ボア径をB[mm]、容器本体のカール部外径をD[mm]としたとき、カール部外径Dに対して押し込み深さdrとボア径Bを、式dr≦2・(B−D−1)の関係とし、内圧が常温では陰圧とな
るように内容物を充填・巻締することを特徴とする。
また、シール材自体に衝撃吸収機能を持たせることによって耐落下衝撃性を向上させることができ、特別な構成が不要である。
実験によると、絞り径と口頸部上端縁の外径との差が1.4mm以下になると耐落下衝撃性が悪くなり、2.2mmを越えると静的密封性が悪くなる。1.4mm〜2.2mmの範囲であれば耐落下衝撃性の改善が認められ静的密封性も良好であった。
また、絞り深さが2.4mmを越えると耐落下衝撃性が悪くなり、0.8mm以下になると静的密封性が悪くなり、0.8mm〜2.4mmの範囲であれば、耐落下衝撃性の改善が認められ静的密封性も良好であった。
また、金属製容器で口頸部上端縁にカール部を有する容器に対しては、変形や傷を負いやすいカール部を保護する上で特に有効である。
本発明の金属キャップ巻締容器は、絞り部のシール面圧が低いので、加温して常圧になるような状態の容器、すなわち常温では陰圧の内容物の金属キャップ巻締容器として用いられる。
そして、カール部外径Dに対して押し込み深さdrとボア径Bが、式dr≦2・(B−D−1)の関係を満たすよう設定すれば、より効果的に耐落下衝撃性に優れた金属キャップ巻締容器を実現できる。
図1は、本発明の実施の形態に係る容器を示している。
この容器1は金属製容器いわゆるボトル缶で、金属製の容器口頸部11を有する容器本体10と、天板部21と天板部21の外径端から垂下するスカート部22とを有し容器口頸部11に被着される金属製のキャップ20と、を備えている。
キャップ20の天板部21裏面には容器口頸部11の上端縁に設けられた先端カール部12に密接するシール材30が設けられ、天板部21とスカート部22の角部には天板部21を小径に絞った絞り部23が設けられ、絞り部23によってシール材30を先端カール部12の外周側の側面に押し付けて、シール面圧を高めている。また、スカート部22には、容器口頸部11に設けられた雄ねじ部13の形状に倣って成形される雌ねじ部24が設けられている。先端カール部12は、図示例では断面円形状に丸めた構成であるが、丸形状に限定されない。
また、容器口頸部11外周には、雄ねじ部13の下方に環状に突出する所定幅の段部14が設けられ、スカート部22の下端には段部14下縁に係合する係合部26が設けられている。この係合部26と雌ねじ部13の間に、キャップ開封時にねじ切られる脆弱部15が設けられ、開封された否かを確認する開栓確認部を構成している。
肩部25は、工具当接痕部231から半径方向外方に向かって徐々に下方への傾斜が大きくなるように傾斜する湾曲形状で、工具当接痕部231は、絞り部23の湾曲形状と肩部25の湾曲形状との境界部に位置し凹状に窪んだ形状となっている。条件によっては、絞り部から肩部25にかけて連続する湾曲面に構成され、工具当接痕部231が窪んでいない場合もある。
すなわち、天板部201と天板部201の外径端から垂下するスカート部202とを備えた金属製キャップの中間成形体200を金属製の容器口頸部11に被着し、プレッシャブロック100の下面に開口するボア101内に出没自在に挿入される天板押さえ部102によって中間成形体200の天板部201を押圧して天板部201裏面に設けられたシール材30を容器口頸部11の上端縁に設けられた先端カール部12に押し付け、プレッシャブロック100のボア101の開口縁101aによって天板部201とスカート部202の角部203を天板部の天面より所定量押し込んで絞り部23を形成し、絞り部23によってシール材30を先端カール部12の外側面に押し付け、スカート部202に口頸部11に設けられた雄ねじ部13に倣った雌ねじ部24を成形して固定するようになっている。
耐落下衝撃性の向上は、
(i) リフォームデプスdr(絞り部23の絞り深さd)を浅くする、
(ii)ボア径B(絞り径H)を広くする、
ことで達成される。
シール材30の圧縮部分31の残厚が薄いとキャップ20に加わった衝撃が直接先端カール部12に伝達されてしまい損傷を受けやすいが、圧縮部分31の残厚が厚いと、シール材30は柔軟性を有し、弾性変形および変形に対する粘性抵抗によって衝撃を効果的に吸収することができる。
圧縮部分31の衝撃吸収機能を効果的に発揮する範囲としては、プレッシャブロック100のボア径B(絞り部23の絞り径H)を先端カール部12の外径Dより1.4〜2.2mm程度大径とし、リフォームデプスdr(絞り深さd)を0.8〜2.4mmの範囲に設定することが効果的であった。圧縮前のシール材30の元厚t1は1.0mm程度の場合、圧縮後の圧縮部分の残厚t2は0.8mm程度とすることが好適である。圧縮部分31の残厚t2の測定位置は、図2(B)に示すように、絞り部23と先端カール部12との間の最小厚みt2であるが、圧縮前の元厚t1の測定位置は、図2(A)に示すように、先端カール部12の頂点位置よりもやや内側に位置する部分である。この元厚t1の測定部分が、絞込みによって外方に引っ張られ、圧縮部分31の残厚t2の測定位置まで移動する。この元厚t1の測定位置は実際のシール材30の変形状態に応じて決められる。
実験は、リフォームデプスdrが0.8mm,1.6mm,2.4mmの3種類について、それぞれボア径Bがφ35.4mm(D+1.4),35.8mm(D+1.8),36.2mm(D+2.2)の組み合わせの合計9種類の形状のプレッシャブロックを用い、それぞれヘッド荷重を50,75,100,125,150kgfで巻き締めた多数のサンプルを用意し、40cm,50cmの高さから10度傾斜面に5回づつ落下させた場合の漏洩回数をカウントした。
充填・レトルト条件は、内容物がコーヒー飲料、充填条件が87〜90℃/190g、レトルト条件が125℃−30min、レトルト後の内圧が25〜30cmHgの条件である。
リフォームデプスdrが1.6mmの場合、ボア径Bがφ35.4mm(D+1.4)では、50cmの高さで5回すべてで漏洩が認められたが、40cmからでは漏洩本数が減少し改善傾向が見られた。また、ボア径Bがφ35.8mm(D+1.8)では、40cmでほとんど漏洩がなく、50cmでも漏洩が減少し、36.2mm(D+2.2)では全く漏洩が無かった。
上記実験結果から、ばらつきはあるものの、リフォームデプスdrが0.8〜2.4mmで、ボア径Bがφ35.4〜36.2mmの範囲であれば、落下衝撃を吸収する効果はあるものと思量される。
好ましい範囲としては、リフォームデプスdrが0.8mmではボア径がφ35.4〜36.2mmの範囲、リフォームデプスdrが1.6mmではボア径Bがφ35.8〜36.2mmの範囲、リフォームデプスdrが2.4mmでボア径Bがφ36.2mmの範囲である。
漏洩がほぼゼロの場合を◎、漏洩が若干あるものの改善効果が高い場合を○、改善効果が小さいものを△とし、◎と○の部分の範囲は、直線L,M,Nで囲まれる三角形の領域A1であり、この領域A1であれば改善効果が高い。
この領域A1は、
dr≦2・B−70
B ≦36.2
dr≧0.8
の範囲である。
ボア径Bはキャップの絞り径Hに対応し、リフォームデプスdrはキャップ20の絞り深さdに対応するので、絞り深さdと絞り径Hの関係で表すと、
d≦2・H−70
H≦36.2
d≧0.8
となる。
さらに、直線O,M,Nで囲まれる領域A2を選択すれば、漏洩をほぼゼロにできる。
この領域A2は、
dr≦B−34.6
B≦36.2
dr≧0.8
の範囲である。
この関係も、キャップ20の絞り深さdと絞り径Hの関係で表すと、
d≦H−34.6
H≦36.2
d≧0.8
となる。
また、リフォームデプスが最低0.8mm程度でボア径が最大36.2mm程度であれば、静止時のシール性も損なわれない。
領域A1は、
dr≦2・(B−D−1)
B≦D+2.2
dr≧0.8
キャップ20の絞り深さdと絞り径Hの関係で表すと、
d≦2・(H−D−1)
H≦D+2.2
d≧0.8
領域A2は、
dr≦B−D−0.6
B≦D+2.2
dr≧0.8
キャップ20の絞り深さdと絞り径Hの関係で表すと、
d≦H−D−0.6
H≦D+2.2
d≧0.8
となる。また、リフォームデプスが最低0.8mm程度でボア径が(D+2.2)mm程度あれば、静止時のシール性も損なわれることはない。
また、本発明は、金属キャップを巻き締めることができる口頸部を有する容器であれば材質は問わないが、口頸部上端縁が落下による割れが起こりにくい、金属製の容器に特に有効である。
10 容器本体、
11 容器口頸部、12 先端カール部(口頸部上端縁)、13 雄ねじ部、14 段部
15 脆弱部
20 キャップ
21 天板部、22 スカート部
23 絞り部
231 工具当接痕部
24 雌ねじ部
25 肩部
30 シール材
31 圧縮部分
d 絞り深さ、H 絞り径、D カール部外径(口径部上端縁外径)
100 プレッシャブロック
101 ボア,101a 開口縁
102 天板押さえ部、103 ストッパ部
104 スプリング
110 ネジローラ,120 スカートローラ
dr リフォームデプス(押し込み深さ)、B ボア径
Claims (2)
- 上端にカール部が設けられている口頸部を有する金属製の容器本体と、前記口頸部に被着される金属製のキャップとを備え、
該キャップの天板部裏面には口頸部の上端縁に密接するシール材が設けられ、前記天板部とスカート部の角部には天板部を小径に絞ってシール材を口頸部上端縁の外周側の側面に密接させる絞り部が設けられ、前記スカート部には前記口頸部に設けられた雄ねじ部の形状に倣って成形される雌ねじ部が設けられた金属キャップ巻締容器において、
絞り部とカール部上端縁とによって圧縮されるシール材の圧縮部分自体が、落下時の衝撃を吸収可能とする衝撃吸収手段として設けられ、
前記絞り部の絞り径を前記容器本体のカール部外径より1.4〜2.2mm程度大径とし、かつ天板部の天面位置からの絞り深さを0.8〜2.4mmの範囲に設定し、
前記絞り深さをd[mm]とし、絞り径をH[mm]、カール部外径をD[mm]としたとき、カール部外径Dに対して、絞り深さdと絞り径Hが、式d≦2・(H−D−1)の関係となり、さらに、内圧が常温では陰圧となるように内容物が充填・巻締されていることを特徴とする金属キャップ巻締容器。 - 天板部と該天板部の外径端から垂下するスカート部とを備えた金属製キャップの中間成形体を上端にカール部が設けられている金属製の容器本体の口頸部に被着し、
プレッシャブロックの下面に開口するボア内に出没自在に挿入される天板押さえ部によって前記中間成形体の天板部を押圧して天板部裏面に設けられたシール材を前記容器本体のカール部上端縁に押し付け、
プレッシャブロックのボア開口縁によって天板部とスカート部の角部を天板部の天面より所定量押し込んで絞り部を形成し、該絞り部によってシール材をカール部上端縁の外側面に押し付け、
前記スカート部に口頸部に設けられた雄ねじ部に倣った雌ねじ部を成形して固定する容器の金属キャップ巻締方法において、
前記プレッシャブロックのボア径を前記容器本体のカール部外径より1.4〜2.2mm程度大径とし、かつ天板部の天面位置からボア開口縁の押し込み深さを0.8〜2.4mmの範囲に設定し、かつ、前記押し込み深さをdr[mm]とし、ボア径をB[mm]
、容器本体のカール部外径をD[mm]としたとき、カール部外径Dに対して押し込み深さdrとボア径Bを、式dr≦2・(B−D−1)の関係とし、内圧が常温では陰圧となるように内容物を充填・巻締することを特徴とする容器の金属キャップ巻締方法。
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