以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下に示す実施の形態では、音叉型圧電振動デバイスとして音叉型水晶振動子に本発明を適用した場合を示す。しかしながら、これは好適な実施の形態であり、本発明は、音叉型水晶振動子に限定されるものではなく、圧電材料を用いた音叉型圧電振動片を搭載した音叉型圧電振動デバイスであればよい。
<実施の形態1>
本実施の形態1にかかる音叉型水晶振動子1(以下、水晶振動子という)は、図1に示すように、フォトリソグラフィ法で成形された音叉型水晶振動片2(本発明でいう音叉型圧電振動片であり、以下、水晶振動片2という)と、この水晶振動片2を搭載するベース4と、ベース4に搭載した(保持した)水晶振動片2を本体筐体内に気密封止するための蓋(図示省略)とが設けられて構成されている。
この水晶振動子1では、ベース4と蓋とが接合されて本体筐体が構成されている。具体的には、ベース4と蓋とが封止材(図示省略)を介して接合され、この接合により本体筐体の内部空間11が形成されている。そして、この本体筐体の内部空間11内のベース4上に、導電性バンプ(図示省略)を介して水晶振動片2が保持接合されているとともに、本体筐体の内部空間11が気密封止されている。この際、ベース4に水晶振動片2が、金属材料(例えば金)等からなる導電性バンプを用いたFCB(Flip Chip Bonding)法により電気機械的に超音波接合される。
次に、この水晶振動子1の各構成について説明する。
ベース4は、図1に示すように、底部41と、この底部41から上方に延出した堤部42とから構成される箱状体に形成されている。また、堤部42は、2層が積層されてなり、内部空間11に段部45が設けられる。このベース4は、セラミック材料からなる平面視矩形状の一枚板上に、セラミック材料の直方体が積層して凹状に一体的に焼成されている。また、堤部42は、図1に示す底部41の平面視外周に沿って成形されている。この堤部42の上面には、蓋と接合するためのメタライズ層43が設けられている。なお、メタライズ層43は、例えば、タングステン層、あるいはモリブデン層上にニッケル,金の順でメッキした構成からなる。また、セラミック材料が積層して凹状に一体的に焼成されたベース4では、その内部空間11における長手方向の一端部および長手方向に沿った端部の一部に段部45が形成され、この段部45に、図1に示すように、平面視面積の大きな電極パッド441と平面視面積の小さな電極パッド442が形成され、これら電極パッド441,442上に水晶振動片2が搭載保持されている。これらの電極パッド441,442は、それぞれに対応した引回電極(図示省略)を介して、ベース4の裏面に形成される端子電極(図示省略)に電気的に接続され、これら端子電極が外部部品や外部機器の外部電極に接続される。なお、これら電極パッド441,442、引回電極、端子電極は、タングステン、モリブデン等のメタライズ材料を印刷した後にベース4と一体的に焼成して形成される。そして、これら電極パッド441,442、引回電極、端子電極のうち一部のものについては、メタライズ上部にニッケルメッキが形成され、その上部に金メッキが形成されて構成される。
蓋は、例えば金属材料からなり、平面視矩形状の一枚板に成形されている。この蓋の下面には、封止材の一部が形成されている。この蓋は、シーム溶接やビーム溶接、加熱溶融接合等の手法により封止材を介してベース4に接合され、これにより、蓋とベース4とによる水晶振動子1の本体筐体が構成される。
次に、ベース4と蓋とによる水晶振動子1の本体筺体の内部空間11に配された水晶振動片2について説明する。
水晶振動片2は、X軸方向、Y軸方向、Z’軸方向の結晶方向を有する異方性材料の水晶Z板からなる水晶ウエハ(図示省略)から成形される。水晶振動片2の基板外形は、Y軸方向に沿って後述する第1脚部21及び第2脚部22が突出し、X軸方向に沿った幅を有し、Z’軸方向に厚みするように、フォトリソグラフィ技術(フォトリソ工法)を用いて、レジストまたは金属膜をマスクとして例えばウエットエッチングによって一括的に成形されている。
この水晶振動片2の基板は、振動部である第1腕部21及び第2腕部22と、これら第1腕部21及び第2腕部22が一端面231から突出して設けられた基部23とからなる外形を有する。
基部23は、図2に示すように、平面視左右対称形状とされ、第1腕部21及び第2腕部22よりも幅広に形成されている。また、基部23の一端面231付近は、一端面231の側から他端面232の側にかけて漸次幅広となるように形成されている。また、基部23の他端部(他端面232の側の端部)は、ベース4との接合部とされており、この基部23の他端部には、ベース4の電極パッド441,442と導電性バンプ(図示省略)を介して接合される2つの接合箇所27が設けられている。
第1腕部21及び第2腕部22は、図2に示すように、基部23の一端面231から突出して隙間部236を介して並設されている。なお、ここでいう隙間部236は、一端面231の幅方向の中央位置(中央領域)に設けられている。
これら第1腕部21及び第2腕部22は、それぞれ、基部23の一端面231から突出する励振部211,221と、これら励振部211,221よりも先端側(第1腕部21及び第2腕部22の突出方向の先端側)に位置する調整部213,223とを有している。また、励振部211,221と調整部213,223との間に引出部214,224を有している。なお、図1及び図2において、調整部213,223と引出部214,224の境界を破線にて示す。
励振部211,221の両主面(表面側の一主面と裏面側の他主面)には、水晶振動片2の小型化により劣化するCI値を改善させるために、溝部25がそれぞれ形成されている。
また、励振部211,221の先端部212,222は、基端側から先端側に向かって漸次幅広となる形状に形成されており、これにより、励振部211,221の先端部における電極形成領域が拡げられている。また、電極形成領域を拡げて、電極面積を拡げることにより、CI値を下げることが可能となる。
また、励振部211,221には、それぞれ、水晶振動片2の基板を貫通するスルーホール26が設けられている。これらスルーホール26の内側面には、導電材料261がメッキされている。
スルーホール26は、励振部211,221のいずれの箇所に設けられてもよいが、溝部25とは別の箇所、例えば、図2に示すように、溝部25よりも先端側に位置する先端部212,222に設けられていることが好ましい。
溝部25とは別の箇所にスルーホール26を形成する場合には、スルーホール26の内側面に電解メッキにより導電材料261をメッキする時に、その導電材料261が溝部25内に流れ込んで溝部25の内部全体に拡がることがないため、水晶振動片2の特性の低下、例えば、Q値の低下が抑制される。また、溝部25とは別の箇所にスルーホール26を形成するため、スルーホール26の形成が容易である。さらに、溝部25とは別の箇所にスルーホール26を形成するため、溝部25内にスルーホール26を設けることによりもたらされる剛性の低下を防止できる。一方、溝部25内にスルーホール26を形成する場合には、スルーホール26の内側面に電解メッキにより導電材料261をメッキした時に、その導電材料261が溝部25内に流れ込んで溝部25の内部全体に拡がり、水晶振動片2の特性を低下、例えば、Q値を低下させてしまう場合がある。また、溝部25は、スルーホール26を形成できる十分な面積を有していないため、溝部25の中にスルーホール26を形成することは困難である。また、溝部25にスルーホール26があると、剛性が下がり、第1腕部21及び第2腕部22が折れ易くなる。
引出部214,224は、励振部211,221の先端部212,222と連なり延出するように、励振部211,221の先端部212,222の先端面の幅と同一幅で形成されている。
調整部213,223は、引出部214,224と連なり延出するように、引出部214,224の先端面の幅と同一幅で形成されている。また、調整部213,223の先端隅部は曲面形成されており、これにより、外力を受けた時などにベース4の堤部42などに接触することを防止できる。
調整部213,223の先端部には、錘部28がそれぞれ設けられている。なお、錘部28が調整部213,223の先端側に位置するほど、水晶振動片2の発振周波数は低下する。そこで、本実施の形態1の水晶振動片2では、調整部213,223の先端部に、錘部28を設けて、発振周波数のさらなる低周波数化を図っている。
錘部28は、図3に示すように、調整部213,223の一主面に溝部282を形成し、この溝部282に水晶よりも比重の重い充填材281を充填することにより構成されている。充填材281は、水晶振動片2の基板材料(即ち、水晶)よりも比重の重い材料であれば、特に限定されず、導電性物質及び非導電性物質のいずれであってもよい。溝部282に電解メッキにより充填材281を充填して錘部28を形成する場合には、充填材281として、例えば、金、銀等の電解メッキが可能な金属を用いることが好ましい。
また、錘部28は、図2に示すように、平面視左右対称の平面視五角形状に形成されており、先端側(第1腕部21及び第2腕部22の突出方向の先端側)に位置する先端部284が、先端側に向かって漸次幅狭となる形状に形成されている。このような先端側に向かって漸次幅狭となる形状に形成された先端部284を有する錘部28は、後述する水晶ウエハを用いた水晶振動片2の製造において、平面視左右対称に形成することが容易である。なお、基端側から先端側に向かって漸次幅狭になる錘部28の先端部284の構成としては、図2に示すような錘部28の先端側(先端部284の側)を平面視角形状に形成する構成の他、錘部28の先端側(先端部284の側)を平面視円弧形状に形成する構成が挙げられる。
また、第1腕部21の調整部213において、錘部28は、その幅方向(第1腕部21の突出方向に対して直交する方向)の中心が、第1腕部21の幅方向(第1腕部21の突出方向に対して直交する方向)の中心を含む第1腕部21の突出方向に沿うラインL上に位置するように形成されている。同様に、第2腕部22の調整部223において、錘部28は、その幅方向(第2腕部22の突出方向に対して直交する方向)の中心が、第2腕部22の幅方向(第2腕部22の突出方向に対して直交する方向)の中心を含む第2腕部22の突出方向に沿うラインL上に位置するように形成されている。
上記した構成からなる水晶振動片2には、異電位で構成された第1励振電極31及び第2励振電極32と、引出電極33,34と、第1励振電極31及び第2励振電極32をベース4の電極パッド441,442に電気的に接合させるために第1励振電極31及び第2励振電極32から引出電極33,34を介して引き出された端子電極36,37とが形成されている。
第1励振電極31及び第2励振電極32の一部は、溝部25の内部に形成されている。このため、水晶振動片2を小型化しても第1腕部21及び第2腕部22の振動損失が抑制され、CI値を低く抑えることができる。
第1励振電極31は、第1腕部21の励振部211の両主面と、第2腕部22の励振部221の両側面とに形成されている。また、上記したように、第1腕部21の励振部211の先端部212に設けられたスルーホール26の内側面には、上記したように導電材料261がメッキされており、このスルーホール26を介して、励振部211の両主面の第1励振電極31が導通されている。同様に、第2励振電極32は、第2腕部22の励振部221の両主面と、第1腕部21の励振部211の両側面とに形成されている。そして、第2腕部22の励振部221の先端部222に設けられたスルーホール26の内側面にも、上記したように導電材料261がメッキされており、このスルーホール26を介して、励振部221の両主面の第2励振電極32が導通されている。
また、引出電極33,34は、基部23と第1腕部21及び第2腕部22の引出部214,224とに形成されている。具体的には、基部23に形成された引出電極33により、第1腕部21の励振部211の両主面に形成された第1励振電極31が、第2腕部22の励振部221の両側面に形成された第1励振電極31に繋げられている。ここで、第2腕部22の励振部221の両側面に形成された第1励振電極31は、第2腕部22の引出部224に形成された引出電極33により繋げられている。同様に、基部23に形成された引出電極34により、第2腕部22の励振部221の両主面に形成された第2励振電極32が、第1腕部21の励振部211の両側面に形成された第2励振電極32に繋げられている。ここで、第1腕部21の励振部211の両側面に形成された第2励振電極32は、第1腕部21の引出部214に形成された引出電極34により繋げられている。
また、端子電極36,37は、基部23に形成されている。具体的には、基部23における電極パッド441との接合箇所27に接続された端子電極36が、第1励振電極31から引き出された引出電極33に接続されており、これにより、電極パッド441と第1励振電極31との電気的接続が可能とされている。同様に、基部23における電極パッド442との接合箇所27に接続された端子電極37が、第2励振電極32から引き出された引出電極34に接続されており、これにより、電極パッド442と第2励振電極32との電気的接続が可能とされている。
また、第1腕部21及び第2腕部22の調整部213,223には、水晶振動片2の周波数調整に使用された周波数調整用金属膜35が形成されている。
上記した水晶振動片2によれば、励振部211,221はスルーホール26を有し、調整部213,223は、錘部28を有するので、発振周波数を低く抑えることが可能となる。具体的には、第1腕部21及び第2腕部22の調整部213,223に設けた錘部28によって、第1腕部21及び第2腕部22の質量を増加させることが可能である。このため、例えば、水晶振動片2を小型化しても、錘部28によって第1腕部21及び第2腕部22の質量を確保することにより、発振周波数の低周波数化を実現することができる。また、錘部28によって第1腕部21及び第2腕部22の質量が増すことに伴い、第1腕部21及び第2腕部22が振動し易くなり、これにより小型化に伴うCI値の増大を抑制することが可能となる。
また、上記した水晶振動片2では、調整部213,223の先端部に錘部28を設けることで、調整部213,223の先端を重くし、発振周波数をさらに低く抑えることを可能としている。
ところで、第1腕部21及び第2腕部22の先端(調整部213,223の先端)は、水晶振動子1が落下した時に、ベース4に接触するおそれがある。このため、調整部213,223の先端部に錘部28を設けた構成では、水晶振動子1が落下した時に、調整部213,223の先端がベース4に接触して錘部28が損傷し(錘部28を構成する充填材281が落下し)、周波数が変動することがある。しかし、錘部28の先端部284を、図2に示すように、先端側に向かって漸次幅狭となる形状とすると、調整部213,223の先端がベース4に接触しても、錘部28自体がベース4に接触することがないため、錘部28の損傷が免れ、錘部28の損傷による周波数の変動が抑制される。また、調整部213,223の先端部に錘部28を設けた構成では、錘部28の形成に伴って水晶振動片2の先端における水晶基板の厚みが薄くなり、水晶振動片2の先端の機械的強度が低下するおそれがある。しかし、調整部213,223の先端側に位置する錘部28の先端部284を先端側に向かって漸次幅狭となる形状とすると、調整部213,223の先端において、水晶基板の厚みを確保することができるため、錘部28の形成に伴う水晶振動片2の先端の機械的強度の低下を抑制することができる。
また、上記した水晶振動片2において、第1腕部21(励振部211)の両主面に形成された第1励振電極31及び第2腕部22(励振部221)の両主面に形成された第2励振電極32は、それぞれ、第1腕部21(励振部211)及び第2腕部22(励振部221)のそれぞれに設けられたスルーホール26により導通される。このため、基部23において、必ずしも、第1腕部21の両主面の第1励振電極31及び第2腕部22の両主面の第2励振電極32をそれぞれ導通させるための電極パターンを形成する必要がない。つまり、本実施の形態1に係る水晶振動片2によれば、基部23での引出電極33,34の電極パターン形成の自由度が増し、基部23における引出電極33,34の電極パターンの形成を容易に行うことが可能となる。その結果、発振周波数を低く抑えるのに好ましい。また、基部23での引出電極33,34の電極パターン形成の自由度が増すことから、基部23での電極の断線や短絡の可能性が下がる。
また、上記した水晶振動片2において、第1励振電極31と第2励振電極32とに電圧を印加すると、第1腕部21(励振部211)の内側と外側(両側面)との間、及び、第2腕部22(励振部221)の内側と外側(両側面)との間に電界が発生する。スルーホール26を溝部25とは別の箇所(例えば、溝部25よりも先端側)に設けた場合、第1腕部21では、溝部25の内部とスルーホール26の内部とにより、内側の励振領域が構成され、第2腕部22の励振部221では、溝部25の内部とスルーホール26の内部とにより、内側の励振領域が構成される。このようなスルーホール26を溝部25とは別の箇所(例えば、溝部25よりも先端側)に設けた構成によれば、第1腕部21及び第2腕部22のそれぞれにおいて、六倍波等の高周波振動の抑制のために溝部25の長さ(第1腕部21及び第2腕部22の突出方向の長さ)を短く設定(例えば、励振部211,221の長さ700〜740μm程度に対して、溝部の長さを650〜730μm程度に設定)した場合であっても、溝部25とスルーホール26とによって内側の励振領域を拡張することができる。よって、第1励振電極31及び第2励振電極32に電圧を印加した時に、第1腕部21(励振部211)及び第2腕部22(励振部221)のそれぞれにおいて、内側(溝部25の内部とスルーホール26の内部)と外側(両側面)との間に、十分な電界を発生させることができ、電気的な励振の強度を十分に確保できる。
次に、上記した水晶振動片2の製造方法について説明する。
本実施の形態1では、X軸方向、Y軸方向、Z’軸方向の結晶方向を有する異方性材料の水晶Z板からなる1枚の水晶ウエハを用い、水晶ウエハから、多数個の水晶振動片2をマトリックス状に一括形成する。具体的には、下記の第1工程〜第7工程を有する製造方法により、水晶振動片2を形成する。
−第1工程−
第1工程では、例えば、フォトリソグラフィ技術を用い、レジストまたは金属膜をマスクとして水晶ウエハをウェットエッチングすることにより、Y軸方向に沿って第1脚部21及び第2脚部22が突出し、X軸方向に沿った幅を有し、Z’軸方向に厚みを有する多数個の水晶振動片2の外形を一括成形する。
−第2工程−
第2工程では、例えば、フォトリソグラフィ技術を用い、レジストまたは金属膜をマスクとして、水晶ウエハをウェットエッチングすることにより、第1腕部21及び第2腕部22のそれぞれにおいて、スルーホール26を形成する。
−第3工程−
第3工程では、例えば、フォトリソグラフィ技術を用い、レジストまたは金属膜をマスクとして、水晶ウエハをウェットエッチングすることにより、第1腕部21及び第2腕部22の調整部213,223において、錘部28を構成するための溝部282を形成する。
−第4工程−
第4工程では、フォトリソグラフィ技術を用い、レジストまたは金属膜をマスクとして水晶ウエハをウェットエッチングすることにより、水晶振動片2の第1腕部21及び第2腕部22(具体的には、励振部211,221)の両主面に溝部25を形成する。
−第5工程−
第5工程では、第1励振電極31及び第2励振電極32、引出電極33,34、端子電極36,37、並びに周波数調整用金属膜35を形成する。具体的には、第1励振電極31を、第1腕部21(励振部211)の溝部25の内部を含む両主面と、第2腕部22(励振部221)の両側面とに形成する。また、第2励振電極32を、第2腕部22(励振部221)の溝部25の内部を含む両主面と、第1腕部21(励振部211)の両側面とに形成する。引出電極33を、基部23と第2腕部22(引出部224)とに形成し、引出電極34を、基部23と第1腕部21(引出部214)とに形成する。また、端子電極36,37を、基部23に形成する。さらに、周波数調整用金属膜35を、第1腕部21及び第2腕部22の調整部213,223に形成する。
なお、第1励振電極31及び第2励振電極32、引出電極33,34、及び端子電極36,37は、例えば、水晶振動片2の基板(水晶ウエハ)に、金属蒸着によってクロム(Cr)層を形成し、このクロム層上に金(Au)層を形成して構成される薄膜である。この薄膜は、真空蒸着法やスパッタリング法などの手法により基板全体に形成した後、フォトリソグラフィ技術によりメタルエッチングして所望の形状に形成することで、一体的に同時形成することが可能である。なお、第1励振電極31、第2励振電極32、引出電極33,34、及び端子電極36,37を構成する薄膜は、クロム(Cr)、金(Au)の順に形成してなるが、例えば、クロム(Cr)、銀(Ag)の順や、クロム(Cr)、金(Au)、クロム(Cr)の順や、クロム(Cr)、銀(Ag)、クロム(Cr)の順や、クロム(Cr)、金(Au)、クロム(Cr)、銀(Ag)の順に形成してなるものであってもよい。また、クロム(Cr)、金(Au)、クロム(Cr)、金(Au)等の複数の膜が積層されたものであってもよい。下地のクロム(Cr)は、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、クロム(Cr)とニッケル(Ni)との合金からなるニクロムなどであってよい。また、第1励振電極31及び第2励振電極32を構成する薄膜、引出電極33,34を構成する薄膜、並びに端子電極36,37を構成する薄膜は、全て同一の構成であってもよいし、それぞれ、異なる構成であってもよい。
また、周波数調整用金属膜35は、例えば、水晶振動片2の基板(水晶ウエハ)に、金属蒸着によってクロム(Cr)層を形成し、このクロム層上に金属蒸着によって金(Au)層を形成し、この金層上に金をメッキして構成される。この周波数調整用金属膜35におけるクロム層と、このクロム層上の金層とは、上記した第1励振電極31及び第2励振電極32、引出電極33,34、及び端子電極36,37を構成するクロム層と金層と同時形成することが可能である。なお、周波数調整用金属膜35は、クロム(Cr)、金(Au)、金(Au)メッキの順に形成してなるが、これに限定されず、例えば、クロム(Cr)、金(Au)、銀(Ag)メッキの順に形成してなるものであってもよい。下地のクロム(Cr)は、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、クロム(Cr)とニッケル(Ni)との合金からなるニクロムなどであってよい。
−第6工程−
第6工程では、スルーホール26の内側面に、電解メッキにより導電材料261をメッキする。このスルーホール26の内側面にメッキされた導電材料261により、第1腕部21(励振部211)の両主面の第1励振電極31が導通し、第2腕部22(励振部221)の両主面の第2励振電極32が導通する。なお、スルーホール26の内側面にメッキされる導電材料261としては、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)等を使用することができる。また、導電材料261として、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)等の水晶よりも比重の重い材料を使用すると、第1腕部21及び第2腕部22の質量を重くすることができ、これにより、水晶振動片2の発振周波数の低周波数化を図ることが可能となる。
−第7工程−
第7工程では、第1腕部21及び第2腕部22の調整部213,223の各溝部282に、電解メッキにより充填材281を充填し、これにより、錘部28を形成する。なお、充填材281は、上記したように、水晶振動片2の基板材料(即ち、水晶)よりも比重の重い材料であり、導電性物質及び非導電性物質のいずれであってもよいが、本実施の形態1の製造方法では、溝部282に電解メッキにより充填材281を充填して錘部28を形成するため、充填材281として、例えば、金、銀等の電解メッキが可能な金属を用いている。
以上のように構成された水晶振動片2では、周波数を計測した後、周波数調整用金属膜35をビーム照射などで減少させたり、パーシャル蒸着により増加させたりすることで、周波数が調整されている。
なお、実施の形態1では、第1工程と第2工程とを同時に実施した後、第3工程と第4工程とを同時に実施し、次いで、第5工程、第6工程、第7工程を順に実施している。具体的には、水晶振動片2の外形とスルーホール26とを同時形成した後、調整部213,223の各溝部282と、励振部211,221の各溝部25とを同時形成する。そして、第1励振電極31及び第2励振電極32を含む各種電極を形成し、次いで、スルーホール26の内部に導電材料をメッキした後、調整部213,223の各溝部282の内部に充填材281を充填する。第1工程〜第7工程の順番は、上記した順番に限定されず、他の順番であっても、本実施の形態1に係る水晶振動片2を製造することは可能である。
このような実施の形態1に係る水晶振動片2の製造方法によれば、第1腕部21及び第2腕部22の先端部(具体的には、調整部213,223)に、錘部28を形成して、第1腕部21及び第2腕部22の質量を増加させることができるため、発振周波数を低く抑えた水晶振動片2の製造が可能となる。
なお、上記した実施の形態1の水晶振動片2において、第1腕部21及び第2腕部22の先端部(励振部211,221の先端部212,222、引出部214,224、及び調整部213,223)は、他の部分に比べて、幅広(第1腕部21及び第2腕部22の突出方向に対して直交する方向に幅広)となる形状に成形にされているが、第1腕部21及び第2腕部22(励振部211,221)の基端から先端(調整部213,223の先端)に亘って同一幅となる形状に形成されていても、調整部213,223に錘部28を設けたことによる本発明の効果を得ることができる。
また、上記した実施の形態1において、励振部211,221の先端部212,222は、図2に示すように、基端側から先端側に向かって漸次幅広になるようにテーパー状に形成されているが、基端側から先端側に向かって漸次幅広になる構成としてはテーパー状に限らず、段差形状や、図4に示すような曲面を有する形状とされてもよい。
また、上記した実施の形態1の水晶振動片2では、励振部211,221の先端部212,222に設けられたスルーホール26の内側面に導電材料261をメッキすることにより、励振部211,221の両主面の第1励振電極31及び第2励振電極32を導通させるスルーホール26が形成されているが、これらのスルーホール26内には、図4に示すように、導電材料261が充填されていてもよい。
ところで、異方性材料の水晶Z板からなる水晶ウエハをウェットエッチングして水晶振動片2に、水晶振動片2の基板を貫通するスルーホール26を形成した場合、そのスルーホール26の内側面は、均一な面とならず、凸凹な面となる。このような凸凹なスルーホール26の内側面に電解メッキによりメッキ(導電材料261)を析出させ、スルーホール26の内側面に導電膜を形成する場合(図2参照)には、スルーホール26の内側面に存在する凸部(エッジ部)などの電荷が集中し易いところで、核となるメッキが成長する。そのため、スルーホール26の内側面に均一に導電膜が形成されないことがあり、結果として安定した導通を確保できない場合もある。
しかしながら、図4に示す水晶振動片2によれば、スルーホール26に導電材料261を充填するので、スルーホール26が導電材料261で満たされる。その結果、安定した導通を確保することができる。また、スルーホール26に導電材料261を充填する構成によれば、スルーホール26の内側面に導電膜を形成する構成と比べ、スルーホール26内における電極面積が拡張されるので、その結果、CI値が低下する。また、スルーホール26に充填する導電材料261に、水晶振動片2の基板材料(即ち、水晶)よりも比重の重い導電材料261を使用すると、励振部211,221の先端部212,222が重くなるため、水晶振動片2の発振周波数を下げることができる。
また、スルーホール26内に導電材料261を充填すると、駆動後の励振状態が安定するため、例えば、水晶振動子1が叩かれる等して水晶振動片2が軽度の衝撃を受けた場合であっても、ノイズの影響を受け難い。
上記した実施の形態1の水晶振動片2において、スルーホール26は、図1及び図2に示すように、当該スルーホール26の中心が第1腕部21及び第2腕部22の幅方向(第1腕部21及び第2腕部22の突出方向に対して直交する方向)の中心(中心位置)に位置するように設けられているが、図5に示すように、スルーホール26は、第1腕部21及び第2腕部22の幅方向の中心から偏位した位置に設けられていてもよい。この構成は、第1腕部21の単体の形状及び第2腕部22の単体の形状が左右非対称となる場合に有効な構成である。例えば、上記した水晶ウエハをウェットエッチングして水晶振動片2の外形を形成した場合、基板材料の結晶方向へのエッチングスピードの違いに起因して、第1腕部21及び第2腕部22の幅方向(第1腕部21及び第2腕部22の突出方向に対して直交する幅方向)に沿う各部位の厚みが異なり、第1腕部21及び第2腕部22のそれぞれにおける基板の質量が左右対称とならないことがある。このことは、スルーホール26の形成でも生じ、基板材料の結晶方向へのエッチングスピードの違いに起因して、スルーホール26が平面視左右対称に形成されないことがある。平面視左右対称に形成されないスルーホール26に対して、スルーホール26の中心が第1腕部21及び第2腕部22の幅方向(第1腕部21及び第2腕部22の突出方向に対して直交する方向)の中心に位置するようにスルーホール26を形成すると、第1腕部21及び第2腕部22のそれぞれの質量が左右非対称となり、振動損失を生じる可能性がある。そこで、図5に示すように、スルーホール26を、第1腕部21及び第2腕部22の幅方向の中心から偏位した位置に設けると、第1腕部21及び第2腕部22の質量を左右対称に近づける、もしくは、左右対称にすることが可能となる。その結果、第1腕部21及び第2腕部22のそれぞれの質量が左右非対称であることによりもたらされる振動損失を抑制することが可能となり、第1腕部21及び第2腕部22を正常に振動させることが可能となる。
なお、第1腕部21及び第2腕部22の幅方向の中心から偏位した位置にスルーホール26を設ける構成において、スルーホール26の位置は、図5に示すような、第1腕部21及び第2腕部22の幅方向の中心よりも平面視左寄りの位置に限定されない。また、第1腕部21及び第2腕部22のそれぞれにおいて質量が左右対称に近づく、もしくは左右対称となれば、第1腕部21におけるスルーホール26の位置と、第2腕部21におけるスルーホール26の位置は、異なっていてよい。
上記した実施の形態1の水晶振動片2において、錘部28は、第1腕部21及び第2腕部22の調整部213,223の先端部に設けられているが、錘部28は調整部213,223のいずれの箇所に設けられていても良い。
また、第1腕部21及び第2腕部22の調整部213,223のそれぞれにおいて、錘部28は、図2〜図5に示すように、その幅方向の中心が、第1腕部21又は第2腕部22の幅方向の中心を含む第1腕部21及び第2腕部の突出方向に沿うラインL上に位置するように形成されているが、錘部28は、図6に示すように、第1腕部21又は第2腕部22の幅方向の中心から偏位した位置に設けられていてもよい。この構成も、第1腕部21の単体の形状及び第2腕部22の単体の形状が左右非対称となる場合に有効な構成である。例えば、上記した水晶ウエハをウェットエッチングして水晶振動片2の外形を形成した場合、基板材料の結晶方向へのエッチングスピードの違いに起因して、第1腕部21及び第2腕部22の幅方向(第1腕部21及び第2腕部22の突出方向に対して直交する幅方向)に沿う各部位の厚みが異なり、第1腕部21及び第2腕部22のそれぞれにおける基板の質量が左右対称とならないことがある。そこで、錘部28を、第1腕部21及び第2腕部22の幅方向の中心から偏位した位置に設けると、錘部28の質量を含めた第1腕部21及び第2腕部22の質量を左右対称に近づける、もしくは、左右対称とすることが可能となる。その結果、第1腕部21及び第2腕部22の質量が左右非対称であることによりもたらされる振動の損失を抑制することが可能となり、第1腕部21及び第2腕部22を正常に振動させることが可能となる。
また、上記した実施の形態1の水晶振動片2において、第1腕部21及び第2腕部22の突出方向の基端側の平面視形状は、先端側から基端側に向かって同一幅を有する形状とされているが、錘部28の基端側の平面視形状はこのような形状に限定されず、先端側から基端側に向かって漸次幅狭となる形状、例えば、先端部284の側と同様の角形状、若しくは、円弧形状とされていてもよい。
また、上記した実施の形態1の水晶振動片2において、錘部28は、図3に示すように、第1腕部21及び第2腕部22の調整部213,223の両主面(表側の一主面と裏側の他主面)の一方の面に溝部282を設け、溝部282に上記した充填材281を充填することにより構成されている。この図3に示す錘部28は、左右対称の底面を有しており、第1腕部21又は第2腕部22の幅方向に沿う断面が、左右対称となるように形成されているが、錘部28の構成は、この構成に限定されない。
錘部28を構成する溝部282は、第1腕部21又は第2腕部22の幅方向に沿う断面が、左右非対称となるように形成されていてもよい。例えば、図7に示す錘部28を構成する溝部282は、底面に段差を有しており、第1腕部21又は第2腕部22の幅方向に沿う断面が、左右非対称となるように形成されている。このように第1腕部21又は第2腕部22の幅方向に沿う断面が左右非対称となるように溝部282を形成すると、錘部28の質量を含めた第1腕部21及び第2腕部22の質量をそれぞれ左右対称に近づける、もしくは、左右対称とすることが可能となる。この結果、第1腕部21及び第2腕部22の質量が左右非対称であることによりもたらされる振動の損失を抑制することが可能となる。
また、錘部28を構成するための溝部282は、図8及び図9に示すように、第1腕部21及び第2腕部22の調整部213,223の両主面に形成されていてもよい。図8に示す錘部28を構成する溝部282は、図3に示す錘部28を構成する溝部28と同様に、左右対称の底面を有しており、第1腕部21又は第2腕部22の幅方向に沿う断面が、左右対称となるように形成されている。一方、図9に示す錘部28を構成する溝部282は、底面に段差を有しており、第1腕部21又は第2腕部22の幅方向に沿う断面が、左右非対称となるように形成されている。図9に示す構成の錘部28によっても、錘部28の質量を含めた第1腕部21及び第2腕部22の質量をそれぞれ左右対称に近づける、もしくは、左右対称とすることが可能となる。この結果、第1腕部21及び第2腕部22の質量が左右非対称であることによりもたらされる振動の損失を抑制することが可能となる。なお、図8及び図9に示す構成において、調整部213,223の一主面(表側の一主面)に形成された錘部28を構成する溝部282は、調整部213,223の他主面(裏側の他主面)に形成された錘部28を構成する溝部282の形状と同一の形状に成形されているが、調整部213,223の他主面に形成された錘部28を構成する溝部282の形状と異なる形状に成形されていてもよい。
また、錘部28は、図10及び図11に示すように、第1腕部21及び第2腕部22の調整部213,223に、水晶振動片2を貫通する貫通孔283を設け、貫通孔283に上記した充填材281を充填することにより構成されていてもよい。図10に示す錘部28を構成する貫通孔283は、第1腕部21又は第2腕部22の幅方向に沿う断面が、左右対称となるように形成されている。一方、図11に示す錘部28を構成する貫通孔283は、内側面の一部に、貫通孔283の内方に向かって突出する段部を有し、第1腕部21又は第2腕部22の幅方向に沿う断面が左右非対称となるように形成されている。このように、第1腕部21又は第2腕部22の幅方向に沿う断面が左右非対称となるように貫通孔283を形成すると、錘部28の質量を含めた第1腕部21及び第2腕部22の質量をそれぞれ左右対称に近づける、もしくは、左右対称とすることが可能となる。この結果、第1腕部21及び第2腕部22の質量が左右非対称であることによりもたらされる振動の損失を抑制することが可能となる。
また、錘部28は、第1腕部21又は第2腕部22の突出方向に沿う断面が左右対称となるように形成さていてもよいし、第1腕部21又は第2腕部22の突出方向に沿う断面が左右非対称となるように形成されていてもよい。第1腕部21又は第2腕部22の突出方向に沿う断面の構成としては、図3、及び図7〜11に示すような第1腕部21又は第2腕部22の幅方向に沿う断面の構成と同様の構成を挙げることができる。
例えば、錘部28において、第1腕部21又は第2腕部22の突出方向の先端側に位置する先端部の質量が他部の質量と比べて重くなるように、錘部28を構成する溝部282の底面に段差を設ける(第1腕部21又は第2腕部22の突出方向の先端側の深さが、前記突出方向の基端側の深さよりも深くなるように、溝部283の底面に段差を設ける)、或いは、錘部28を構成する貫通孔283に段部を設ける(前記突出方向の基端側の内側面に、貫通孔283の内方に向かって突出する段部を有するように貫通孔283を形成する)と、錘部28による発振周波数の低減効果をより高めることができる。
一方、錘部28において、第1腕部21又は第2腕部22の突出方向の基端側に位置する基端部の質量が他部の質量と比べて重くなるように、錘部28を構成する溝部282の底面に段差を設ける(第1腕部21又は第2腕部22の突出方向の基端側の深さが、前記突出方向の先端側の深さよりも深くなるように、溝部283の底面に段差を設ける)、或いは、錘部28を構成する貫通孔283に段部を設ける(前記突出方向の先端側の内側面に、貫通孔283の内方に向かって突出する段部を有するように貫通孔283を形成する)と、周波数調整用金属膜35をビーム照射などで減少させたり、パーシャル蒸着により増加させたりして周波数調整を行う際に、錘部28の先端部の質量が変化して急激に周波数調整レートが変化することを抑制することができるため、周波数の微調整が容易となる。
また、上記した実施の形態1においては、図2に示すように、基部23に、ベース4の電極パッド441,442との接合箇所27が設けられているが、例えば、図12に示すように、基部23の他端面232から突出する接合部24を設け、この接合部24に、ベース4の電極パッド441,442との接合箇所27を設けてもよい。この場合において、端子電極36,37は接合部24に形成される。
具体的には、図12に示す水晶振動片2において、基部23は、平面視左右対称形状とされている。また、基部23は、一端面231の側の部位が一端面231と同一幅で、他端面232の側の部位が一端面231の側から他端面232の側にかけて漸次幅狭になるように曲面形成されている。
さらに、図12に示す水晶振動片2において、接合部24は、基部23の他端面232の幅方向の中央部から突出して設けられている。この接合部24は、基部23の他端面232に対して平面視垂直方向に突出した短辺部241と、短辺部241の先端部と連なり基部23の幅方向に延出する長辺部242とから構成され、長辺部242の先端部243は、基部23の幅方向に向いている。すなわち、接合部24は、平面視直角に折曲された平面視L字状に成形されている。また、接合部24には、ベース4の電極パッド441,442と導電性バンプ(図示省略)を介して接合される2つの接合箇所27が設けられている。また、接合部24には、接合箇所27と接続された端子電極36,37が形成されており、この端子電極36,37が、基部23に形成された引出電極33,34を介して、第1腕部21及び第2腕部22に形成された第1励振電極31及び第2励振電極32と接続されている。
また、実施の形態1に係る水晶振動片2では、第1腕部21及び第2腕部22の励振部211,221にスルーホール26を設けているが、後述する実施の形態4に係る水晶振動片2(図15及び図16参照)のように、第1腕部21及び第2腕部22の励振部211,221にスルーホール26を設けず、基部23の両主面及び側面に形成した引出電極33,34により、第1腕部21の両主面の第1励振電極31及び第2腕部22の両主面の第2励振電極32をそれぞれ接続して、第1腕部21の両主面の第1励振電極31の導通、及び、第2腕部22の両主面の第2励振電極32の導通を形成してもよい。或いは、基部23にスルーホールを形成し、基部23の両主面及びスルーホールに形成した引出電極33,34により、第1腕部21の両主面の第1励振電極31及び第2腕部22の両主面の第2励振電極32をそれぞれ接続して、第1腕部21の両主面の第1励振電極31の導通、及び、第2腕部22の両主面の第2励振電極32の導通を形成してもよい。この場合にも、第1腕部21及び第2腕部22の調整部213,223に錘部28を設けたことによる発振周波数の低減効果が得られる。
<実施の形態2>
本実施の形態2に係る水晶振動子1は、水晶振動片2の第1腕部21及び第2腕部22の調整部213,223に設けられた錘部28の形状が、上記した実施の形態1と異なる。その他の構成については、実施の形態1に係る水晶振動子1と同一の構成であり、実施の形態1に係る水晶振動子1と同一の構成については、実施の形態1と同様の作用効果及び変形例を有する。そこで、本実施の形態2に係る水晶振動子1の説明においては、主に、実施の形態1に係る水晶振動子1と異なる点について説明する。
実施の形態2に係る水晶振動子1において、水晶振動片2の第1腕部21及び第2腕部22の調整部213,223に設けられた錘部28は、図13に示すように、平面視左右対称形状とされている。具体的には、錘部28は平面視半円形状に形成されており、錘部28の先端側(第1腕部21及び第2腕部22の突出方向の先端側)の平面視形状が、先端側に向かって漸次幅狭となるように、円弧形状とさている。このような先端側(先端部285の側)の平面視形状が円弧形状である錘部28は、上述した水晶ウエハを用いた水晶振動片2の製造において、平面視左右対称に形成することが容易である。
また、第1腕部21の調整部213において、錘部28は、その幅方向(第1腕部21の突出方向に対して直交する方向)の中心が、第1腕部21の幅方向(第1腕部21の突出方向に対して直交する方向)の中心を含む第1腕部21の突出方向に沿うラインL上に位置するように形成されている。同様に、第2腕部22の調整部223において、錘部28は、その幅方向(第2腕部22の突出方向に対して直交する方向)の中心が、第2腕部22の幅方向(第2腕部22の突出方向に対して直交する方向)の中心を含む第2腕部22の突出方向に沿うラインL上に位置するように形成されている。
このような実施の形態2に係る水晶振動片2は、実施の形態1に係る水晶振動片2と同様に、第1腕部21及び第2腕部22の調整部213,223に設けた錘部28によって、第1腕部21及び第2腕部22の質量を増加させることが可能である。このため、錘部28によって、第1腕部21及び第2腕部22の質量を確保することにより、発振周波数の低周波数化を実現することが可能となる。また、第1腕部21及び第2腕部22の質量が増すことに伴い、第1腕部21及び第2腕部22が振動し易くなり、これにより、小型化に伴うCI値の増大を抑制することが可能となる。なお、実施の形態2に係る水晶振動片2の構成は、小型の水晶振動片2に好適である。
また、実施の形態2に係る水晶振動片2の錘部28も、実施の形態1に係る水晶振動片2の錘部28と同様に、調整部213,223の両主面の少なくとも一方の面に設けた溝部282に電解メッキにより充填材281を充填する(図3及び図7〜9参照)、或いは、調整部213,223に設けた貫通孔283に電解メッキにより充填材281を充填する(図10及び図11参照)ことにより構成することができる。
実施の形態2に係る水晶振動片2において、錘部28は、図13に示すように、先端側(先端部285の側)の平面視形状が円弧形状を呈しており、実施の形態1に係る水晶振動片2の錘部28(図2参照)と同様に、先端側に位置する先端部285が、先端側に向かって漸次幅狭の形状となっている。また、実施の形態2に係る水晶振動片2においても、調整部213,223の先端部に錘部28を設けることで、調整部213,223の先端を重くし、発振周波数をさらに低く抑えることを可能としている。
上記したように、第1腕部21及び第2腕部22の先端(調整部213,223の先端)は、水晶振動子1が落下した時に、ベース4に接触するおそれがある。このため、調整部213,223の先端部に錘部28を設けた構成では、水晶振動子1が落下した時に、調整部213,223の先端がベース4に接触して錘部28が損傷し(錘部28を構成する充填材281が落下し)、周波数が変動することがある。しかし、錘部28の先端側(先端部285の側)の平面視形状を円弧形状として、錘部28の先端部285を先端側に向かって漸次幅狭となる形状とすると、調整部213,223の先端がベース4に接触しても、錘部28自体がベース4に接触することがない。加えて、錘部28の先端側(先端部285の側)の平面視形状が円弧形状となっており、錘部28の先端部に応力の起点となる箇所が存在しない。このため、落下等の衝撃により、ベース4に第1腕部21及び第2腕部22の先端(調整部213,223の先端)が接触した時に、錘部28が損傷することが抑制され、錘部28の損傷に伴う周波数の変動が抑制される。
また、調整部213,223の先端部に錘部28を設けた構成では、錘部28の形成に伴って水晶振動片2の先端における水晶基板の厚みが薄くなり、水晶振動片2の先端の機械的強度が低下するおそれがある。しかし、先端側(先端部285の側)の平面視形状が先端側に向かって漸次幅狭となる円弧形状を呈するように錘部28を形成すると、調整部213,223の先端において、水晶基板の厚みを確保することができるため、錘部28の形成に伴う水晶振動片2の先端の機械的強度の低下を抑制することができる。
なお、実施の形態2に係る水晶振動片2の錘部28は、実施の形態1(図1〜12参照)に係る水晶振動片2の錘部28と同様に、調整部213,223のいずれの箇所に設けられていてもよい。また、実施の形態1(図1〜12参照)に係る水晶振動片2の錘部28と同様に、第1腕部21又は第2腕部22の幅方向の中心から偏位した位置に設けられていてよい。
なお、実施の形態2に係る水晶振動片2において、錘部28は平面視半円形状に形成されているが、錘部28の先端側(先端部285の側)の平面視形状が円弧形状である他の形状の錘部28、例えば、平面視円形状の錘部28、先端側及び基端側(第1脚部21及び第2脚部22の突出方向の基端側)に円弧を有する平面視トラック状の錘部28、先端側の平面視形状が円弧形状とされ基端側の平面視形状が角形状とされた錘部28等であっても、上記した平面視円形状の錘部28と同様の作用効果を奏することができる。
<実施の形態3>
本実施の形態3に係る水晶振動子1は、水晶振動片2の第1腕部21及び第2腕部22の調整部213,223に設けられた錘部28の構成が、上記した実施の形態1と異なる。その他の構成については、実施の形態1に係る水晶振動子1と同一の構成であり、実施の形態1に係る水晶振動子1と同一の構成については、実施の形態1と同様の作用効果及び変形例を有する。そこで、本実施の形態3に係る水晶振動子1の説明においては、主に、実施の形態1に係る水晶振動子1と異なる点について説明する。
実施の形態3に係る水晶振動子1において、水晶振動片2の第1腕部21及び第2腕部22の調整部213,223のそれぞれには、図14に示すように、平面視円形状の錘部28が複数設けられている。これら錘部28は、第1腕部21及び第2腕部22の調整部213,223のそれぞれにおいて、第1腕部21及び第2腕部22の突出方向に沿って配列されている。
また、第1腕部21の調整部213において、複数の錘部28は、それぞれ、その幅方向(第1腕部21の突出方向に対して直交する方向)の中心が、第1腕部21の幅方向(第1腕部21の突出方向に対して直交する方向)の中心を含む第1腕部21の突出方向に沿うラインL上に位置するように形成されている。同様に、第2腕部22の調整部223において、複数の錘部28は、その幅方向(第2腕部22の突出方向に対して直交する方向)の中心が、第2腕部22の幅方向(第2腕部22の突出方向に対して直交する方向)の中心を含む第2腕部22の突出方向に沿うラインL上に位置するように形成されている。
このような実施の形態3に係る水晶振動片2は、実施の形態1に係る水晶振動片2と同様に、第1腕部21及び第2腕部22の調整部213,223に設けた錘部28によって、第1腕部21及び第2腕部22の質量を増加させることが可能である。このため、錘部28によって、第1腕部21及び第2腕部22の質量を確保することにより、発振周波数の低周波数化を実現することが可能となる。また、第1腕部21及び第2腕部22の質量が増すことに伴い、第1腕部21及び第2腕部22が振動し易くなり、これにより、小型化に伴うCI値の増大を抑制することが可能となる。なお、実施の形態3に係る水晶振動片2の構成は、小型の水晶振動片2に好適である。
また、実施の形態3に係る水晶振動片2では、調整部213,223に錘部28が複数存在するため、落下などの衝撃により水晶振動片2の第1腕部21及び第2腕部22がベース4に接触しても、各錘部28への衝撃が少ない。このため、錘部28の損傷(充填材281が剥がれる等の錘部28の損傷)により生じる周波数変動が少ない。また、調整部213,223に設ける錘部28の数、各錘部28の大きさ、及び調整部213,223における各錘部28の位置等を調整することにより、発振周波数を細かく調整することができるため、周波数調整の精度を高めることができる。
また、実施の形態3に係る水晶振動片2の錘部28も、実施の形態1に係る水晶振動片2の錘部28と同様に、調整部213,223の両主面の少なくとも一方の面に設けた溝部282に電解メッキにより充填材281を充填する(図3及び図7〜9参照)、或いは、調整部213,223に設けた貫通孔283に電解メッキにより充填材281を充填する(図10及び図11参照)ことにより構成することができる。
ところで、調整部213,223の両主面の少なくとも一方の面に設けた溝部282又は貫通孔283に電解メッキにより充填材281を充填して錘部28を形成する場合において、溝部282又は貫通孔283は、小さいほど、メッキのばらつき等による影響が少なく、充填材281の充填(メッキ充填)が容易である。実施の形態3の水晶振動片2では、調整部213,223のそれぞれに複数の錘部28を有し、これら錘部28により発振周波数を低周波数化している。このため、実施の形態3に係る水晶振動片2では、調整部213,223のそれぞれに1つの錘部28を有する水晶振動片2(例えば、図2、図4〜図6、図12、及び図13に示す水晶振動片2)と比べて錘部28のサイズを小さくしても、発振周波数の低周波数化が可能である。つまり、実施の形態3に係る水晶振動片2では、錘部28の大きさを、溝部282又は貫通孔283への充填材281の充填(メッキ充填)が容易な小さいサイズとすることができるので、電解メッキを用いた錘部28の形成が容易である。
また、実施の形態3に係る水晶振動片2において、第1腕部21及び第2腕部22の調整部213,223に設けられた複数の錘部28の厚みは、全て同一であってもよいし、異なっていてもよい。例えば、第1腕部21及び第2腕部22の調整部213,223において、複数の貫通孔283又は同一の深さを有する複数の溝部282を形成し、これら溝部282又は貫通孔283に充填材281を充填して、同一の厚みを有する複数の錘部28を形成してもよい。或いは、第1腕部21及び第2腕部22の調整部213,223において、異なる深さを有する複数の溝部282を形成し、これら溝部282に充填材281を充填して、厚みの異なる複数の錘部28を形成してもよい。或いは、第1腕部21及び第2腕部22の調整部213,223において、貫通孔283及び溝部282を形成し、これら溝部282及び貫通孔283に充填材281を充填して、異なる厚みを有する複数の錘部28を形成してもよい。このようにして第1腕部21及び第2腕部22の調整部213,223に設ける複数の錘部28の厚みを適宜調整することにより、発振周波数の微調整が可能である。
なお、実施の形態3に係る水晶振動片2の錘部28も、実施の形態1(図1〜12参照)に係る水晶振動片2の錘部28と同様に、調整部213,223のいずれの箇所に設けられていてもよい。また、錘部28は、実施の形態1(図1〜12参照)に係る水晶振動片2の錘部28と同様に、第1腕部21又は第2腕部22の幅方向の中心から偏位した位置に設けられていてよい。
図14に示す水晶振動片2の第1腕部21及び第2腕部22の調整部213,223には、それぞれ、3つの錘部28が設けられているが、調整部213,223に設ける錘部28の数は、特に限定されない。また、調整部213,223における複数の錘部28は、図14に示すように、第1腕部21及び第2腕部22の突出方向に沿って一列に配列されているが、調整部213,223における各錘部28の位置は特に限定されない。例えば、調整部213,223における複数の錘部28は、第1腕部21及び第2腕部22の突出方向又は第1腕部21及び第2腕部22の幅方向に沿って複数列に配列されていてもよい。或いは、調整部213,223における複数の錘部28は、不規則に配列されていてもよい。
<実施の形態4>
本実施の形態4に係る水晶振動子1は、水晶振動片2の第1腕部21及び第2腕部22の構成が、上記した実施の形態1と異なる。その他の構成については、実施の形態1に係る水晶振動子1と同一の構成であり、実施の形態1に係る水晶振動子1と同一の構成については、実施の形態1と同様の作用効果及び変形例を有する。そこで、本実施の形態4に係る水晶振動子1の説明においては、主に、実施の形態1に係る水晶振動子1と異なる点について説明する。
図15に示すように、実施の形態4に係る水晶振動片2において、第1腕部21及び第2腕部22は、それぞれ、基部23の一端面231から突出する励振部211,221と、これら励振部211,221よりも先端側(第1腕部21及び第2腕部22の突出方向の先端側)に位置する調整部213,223とを有している。また、励振部211,221と調整部213,223との間に引出部214,224を有している。なお、図15において、調整部213,223と引出部214,224の境界を破線にて示す。
励振部211,221の両主面(表面側の一主面と裏面側の他主面)には、水晶振動片2の小型化により劣化するCI値を改善させるために、溝部25がそれぞれ形成されている。
また、励振部211,221の先端部212,222は、基端側から先端側に向かって漸次幅広となる形状に形成されており、これにより、励振部211,221の先端部における電極形成領域が拡げられている。
引出部214,224は、励振部211,221の先端部212,222と連なり延出するように形成されており、励振部211,221の側から調整部213,223の側に向かって漸次幅広となるように形成されている。
調整部213,223は、引出部214,224と連なり延出するように形成されておいる。また、調整部213,223の基端部(引出部214,224側の端部)は、基端側から先端側に向かって漸次幅広となる形状に形成されている。
つまり、第1腕部21及び第2腕部22は、励振部211,221の先端部212,222から引出部214,224を介して調整部213,223の基端部にかかる部分が、先端側に向かって漸次幅広となる形状に形成されることで、第1腕部21及び第2腕部22の先端部(励振部211,221の先端部212,222、引出部214,224、及び調整部213,223)が、他の部分に比べて、幅広(第1腕部21及び第2腕部22の突出方向に対して直交する方向に幅広)とされている。
また、調整部213,223には、平面視円形状の錘部28がそれぞれ設けられている。これら錘部28は、図15に示すように、第1腕部21又は第2腕部22の幅方向の中心(中心位置)から偏位した位置に設けられている。すなわち、第1腕部21の調整部213に設けられた錘部28の幅方向(第1腕部21の突出方向に対して直交する方向)の中心は、第1腕部21の幅方向(第1腕部21の突出方向に対して直交する方向)の中心を含む第1腕部21の突出方向に沿うラインL上に位置していない。同様に、第2腕部22の調整部223に設けられた錘部28の幅方向(第2腕部22の突出方向に対して直交する方向)の中心は、第2腕部22の幅方向(第2腕部22の突出方向に対して直交する方向)の中心を含む第2腕部22の突出方向に沿うラインL上に位置していない。
上記した構成からなる実施の形態4に係る水晶振動片2にも、実施の形態1に係る水晶振動片2(図2に参照)と同様に、異電位で構成された第1励振電極31及び第2励振電極32と、引出電極33,34と、第1励振電極31及び第2励振電極32をベース4の電極パッド441,442に電気的に接合させるために第1励振電極31及び第2励振電極32から引出電極33,34を介して引き出された端子電極36,37とが形成されている。
ただし、実施の形態4に係る水晶振動片2では、実施の形態1に係る水晶振動片2と異なり、第1腕部21及び第2腕部22にスルーホール(図2の符号26参照)を有していない。このため、実施の形態4に係る水晶振動片2では、第1腕部21の両主面に形成された第1励振電極31が、基部23の両主面及び側面に形成された引出電極33により接続されて導通されており、第2腕部22の両主面に形成された第2励振電極32が、基部23の両主面及び側面に形成された引出電極34により接続されて導通されている。
このような実施の形態4に係る水晶振動片2は、実施の形態1に係る水晶振動片2と同様に、第1腕部21及び第2腕部22の調整部213,223に設けた錘部28によって、第1腕部21及び第2腕部22の質量を増加させることが可能である。このため、錘部28によって、第1腕部21及び第2腕部22の質量を確保することにより、発振周波数の低周波数化を実現することが可能となる。また、第1腕部21及び第2腕部22の質量が増すことに伴い、第1腕部21及び第2腕部22が振動し易くなり、これにより、小型化に伴うCI値の増大を抑制することが可能となる。なお、実施の形態3に係る水晶振動片2の構成は、小型の水晶振動片2に好適である。
また、本実施の形態4に係る水晶振動片2の構成は、第1腕部21の単体の形状及び第2腕部22の単体の形状が左右非対称となる場合に有効な構成である。例えば、上記した水晶ウエハをウェットエッチングして水晶振動片2の外形を形成した場合、基板材料の結晶方向へのエッチングスピードの違いに起因して、第1腕部21及び第2腕部22の幅方向(第1腕部21及び第2腕部22の突出方向に対して直交する幅方向)に沿う各部位の厚みが異なり、第1腕部21及び第2腕部22のそれぞれにおける基板の質量が左右対称とならないことがある。そこで、本実施の形態4に係る水晶振動片2の構成を適用し、錘部28を、第1腕部21及び第2腕部22の幅方向の中心から偏位した位置に設けると、
錘部28の質量を含めた第1腕部21及び第2腕部22の全体の質量を左右対称に近づける、もしくは左右対称とすることが可能となる。その結果、第1腕部21及び第2腕部22の質量が左右非対称であることによりもたらされる振動の損失を抑制することが可能となり、第1腕部21及び第2腕部22を正常に振動させることが可能となる。
なお、実施の形態4に係る水晶振動片2において、錘部28は平面視円形状に形成されているが、錘部28の形状は平面視円形状に限定されず、例えば、図16に示すような平面視四角形状、図1に示すような平面視五角形状、その他の多角形状、及び図13に示すような平面視半円形状等のいずれの形状であってもよい。
また、実施の形態4に係る水晶振動片2の調整部213,223において、錘部28は、図15に示すように、調整部213,223の長さ方向(第1腕部21及び第2腕部22の突出方向)の中心よりも基端側且つ平面視左寄りに設けられているが、錘部28は、第1腕部21及び第2腕部22の幅方向の中心から偏心した位置に設けられていれば、調整部213,223の長さ方向(第1腕部21及び第2腕部22の突出方向)及び幅方向(第1腕部21及び第2腕部22の突出方向に対して直交する左右方向)のいずれの箇所に設けられてもよい。例えば、調整部213,223において、錘部28は、図16に示すように、調整部213,223の長さ方向(第1腕部21及び第2腕部22の突出方向)の中心よりも先端側に設けられていてもよいし、平面視右寄りに設けられていてもよい。
また、実施の形態4に係る水晶振動片2の錘部28においても、実施の形態1に係る水晶振動片2の錘部28と同様に、図3及び図7〜9に示すような調整部213,223の両主面の少なくとも一方の面に設けた溝部282に充填材281を充填した構成、及び、図10及び図11に示すような調整部213,223に設けた貫通孔283に充填材281を充填した構成を適用することが可能である。
また、実施の形態4に係る水晶振動片2では、図15及び図16に示すように、基部23の両主面及び側面に形成した引出電極33,34によって第1腕部21の両主面の第1励振電極31及び第2腕部22の両主面の第2励振電極32をそれぞれ接続することにより、第1腕部21の両主面の第1励振電極31の導通、及び、第2腕部22の両主面の第2励振電極32の導通が形成されているが、実施の形態1〜3(図1〜6及び図12〜14参照)に係る水晶振動片2のように、第1腕部21及び第2腕部22の励振部211,221にスルーホール(図1、図2、図4〜6及び図12〜14の符号26参照)を設け、これらスルーホールを用いて、第1腕部21の両主面の第1励振電極31の導通、及び、第2腕部22の両主面の第2励振電極32の導通を形成してもよい。或いは、基部23にスルーホールを形成し、基部23の両主面及びスルーホールに形成した引出電極33,34により、第1腕部21の両主面の第1励振電極31及び第2腕部22の両主面の第2励振電極32をそれぞれ接続して、第1腕部21の両主面の第1励振電極31の導通、及び、第2腕部22の両主面の第2励振電極32の導通を形成してもよい。この場合にも、第1腕部21及び第2腕部22の調整部213,223に錘部28を設けたことによる発振周波数の低減効果、並びに、錘部28を第1腕部21及び第2腕部22の幅方向の中心から偏位した位置に設けたことによる振動損失の抑制効果が得られる。
本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施例はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。