JP6010479B2 - 圧力開放弁および粘性継手 - Google Patents

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Description

本発明は、圧力開放弁および圧力開放弁を備える粘性継手に関する。
粘性継手(ビスカスカップリング)の代表的な適用例としては、四輪駆動の自動車において推進軸に或いは推進軸と終減速装置との間に設ける例が挙げられる。粘性継手の構造としては、円筒状のアウターハウジングと、インナーハブと、アウターハウジングにスプライン嵌合する複数のアウタープレートと、インナーハブにスプライン嵌合する複数のインナープレートと、アウターハウジングの一端開口部を塞ぐカバーとを備え、アウタープレートとインナープレートとを交互に配置して内部空間にシリコンオイルが封入したものが知られている。前輪および後輪の一方が空転した際には、アウタープレートとインナープレートとの両回転数に差が生じてシリコンオイルにせん断力が作用することで、前輪および後輪の他方に動力が伝達される。
粘性継手の内部に封入されているシリコンオイルは、たとえばアウタープレートとインナープレートとの回転数の差が高いまま維持されると、せん断力が絶えず作用するために高熱を発しやすい。粘性継手の内部は密閉されていることから、シリコンオイルの温度が上昇すると粘性継手の内部の圧力が上昇する。この問題に対し、粘性継手の内部の圧力あるいは温度が一定の値を超えた場合に内部の圧力を開放する技術が特許文献1〜3に記載されている。
特許文献1には、粘性流体を封止するための封止部材を、注入孔に嵌合する嵌合部分と、嵌合部分に形成された連通孔を塞ぐように配された低融点材料からなる閉塞部分と、から構成する技術が記載されており、作動室内の温度が上昇して閉塞部分の融点を越えると閉塞部分が溶融し、連通孔を介して作動室内の圧力が開放される旨記載されている。
特許文献2には、圧力リリーフバルブにおいて、ボールやシャフトガイド等の封止部材に加えて、流出路をシリコーン系樹脂等からなる充填材により封止する技術が記載されており、当該技術によれば充填材により封止部材に対するごみや水滴等の付着が防止されることにより、封止部材の作動が安定する旨記載されている。
特許文献3には、流体を充填する孔に対して所定の締め代で組み付けられる閉止体を備え、締め代がゼロとなる温度を作動室が破壊される限界温度よりも低く設定する技術が記載されており、締め代がゼロとなった閉止体が作動室の圧力により外部に排出されることにより、孔を介して作動室内の圧力が開放される旨記載されている。
特開平9−329158号公報 特開2004−116710号公報 特開2011−149479号公報
特許文献1に記載の技術は、嵌合部分の内側に低融点材料からなる閉塞部分を密閉状に一体に形成することが要件となるため、封止部材の成形工程において手間のかかる構造となる。
特許文献2に記載の技術においても、シリコーン系樹脂等からなる充填材を流出路の内面に対して密閉状に形成することが要件となり、充填材の成形工程において手間のかかる構造となる。
特許文献3に記載の技術においては、孔と閉止体の熱変形により締め代をゼロにするものであり、孔の加工に高精度が要求される。
しかも閉止体が外部へ排出された後の孔は塑性変形していることから、再度閉止体を組み付けても所定の性能が得られず、閉止体と孔の形成側とを含むアッセンブリーで交換する必要がある。
本発明は、このような課題を解決するために創案されたものであり、簡単な組み付け作業で製作が可能な圧力開放弁およびこれを備える粘性継手を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため、本発明は、閉位置と開位置との間で移動するピストン弁体と、前記ピストン弁体を収容する弁箱と、前記弁箱と前記ピストン弁体との間に介設される弾性体からなる環状のシール体と、前記ピストン弁体に形成され、前記シール体に係止する係止状態となって前記ピストン弁体を閉位置に保持する係止部と、を備え、前記ピストン弁体に所定の圧力が加わったとき、前記係止部と前記シール体との間で生じる押力により前記シール体が弾性変形して前記係止状態が解除されることにより、前記ピストン弁体が開位置に移動して流路が開放状態になり、かつ、前記ピストン弁体が閉位置にある状態において、前記シール体が所定の温度まで加熱されたとき、前記シール体が熱変形することにより生じた隙間を介して流路が開放状態になる圧力開放弁とした。
本発明によれば、係止部とシール体とを係止させる構造とし、シール体の弾性変形を利用して両者の係止状態を解除して流路を開放状態にする構成としたので、特許文献3のように締め代の寸法精度、特に弁箱の流路孔の加工精度にさほど高精度な加工等を要さず、圧力開放弁の製造工程を簡単な組み付け作業の工程で済ますことができる。
そして、シール体が所定の温度まで加熱されたとき、シール体が熱変形することにより生じた隙間を介して流路が開放状態になるように構成することで、圧力および温度の両方に対応させて圧力開放弁を作動させることができる。
また、1つのシール体の弾性変形機能と熱変形機能を利用する構造のため、部品点数の少ない簡単な構造の圧力開放弁となる。
また、本発明は、前記ピストン弁体にガイド軸部が形成されるとともに、前記弁箱に前記ガイド軸部をガイドするガイド部が形成され、前記ガイド軸部および前記ガイド部の内の少なくとも一方に流路を構成する溝が形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、ガイド軸部およびガイド部の内の少なくとも一方に流路を構成する溝を形成することで、流路の占有容積を抑えて圧力開放弁をコンパクトにできる。
また、本発明は、円筒状の外側回転部材と、前記外側回転部材と同軸に配される内側回転部材と、前記外側回転部材と一体に回転する複数のアウタープレートと、前記内側回転部材と一体に回転し、前記アウタープレートと軸方向に交互に配される複数のインナープレートと、前記外側回転部材の開口部を塞ぐカバーと、を備え、前記外側回転部材と前記内側回転部材との間の作動室内に粘性流体が封入された粘性継手であって、圧力開放弁を前記作動室の圧力開放用として備え、前記弁箱が前記カバーまたは前記外側回転部材に着脱自在に取り付けられるプラグ筐体として構成されていることを特徴とする。
本発明によれば、圧力開放弁が作動した後、作動済みのプラグ筐体を外して新規のプラグ筐体に交換する簡単な作業で修復が可能で、アッセンブリーで交換する必要もない。
本発明によれば、次のような効果が奏される。
(1)圧力開放弁の製造工程を簡単な工程にすることができる。
(2)圧力および温度の両方に対応させて圧力開放弁を作動させることができる。
(3)1つのシール体の弾性変形機能と熱変形機能を利用する構造のため、部品点数の少ない簡単な構造の圧力開放弁となる。
(a)は本発明に係る粘性継手の平断面図、(b)は(a)におけるA矢視図である。 (a)は本発明に係る圧力開放弁の断面図、(b)、(c)はそれぞれ(a)におけるB矢視図、C矢視図である。 本発明に係る圧力開放弁のピストン弁体の外観斜視図である。 本発明に係る圧力開放弁において、シール体が弾性変形することにより流路が開放される様子を示す作用図である。 本発明に係る圧力開放弁において、シール体が熱変形することにより流路が開放される様子を示す作用図である。
図1において、粘性継手1は、一方の回転軸(図示せず)に連結される円筒状のアウターハウジング(外側回転部材)2と、アウターハウジング2の内部に同軸に配され、他方の回転軸(図示せず)にスプライン結合により連結される円筒シャフト状のインナーハブ(内側回転部材)3と、アウターハウジング2と一体に回転する複数のアウタープレート4と、インナーハブ3と一体に回転する複数のインナープレート5と、アウターハウジング2の開口部を塞ぐカバー6と、を備えている。符号Oは粘性継手1の軸心を示す。
軸心Oに沿う方向におけるアウターハウジング2の一端寄り(図1(a)における右寄り)の内径部は、インナーハブ3の外周と摺接する程度の小内径部7として形成され、このアウターハウジング2の小内径部7とインナーハブ3の外周との間に軸シール部材8Aおよび軸受9が介設される。軸シール部材8Aは、環状の部材であり、アウターハウジング2の小内径部7に形成された環状の溝10に嵌合されている。本実施形態の軸シール部材8Aは、断面形状がX形状を呈したいわゆるXリングである。軸シール部材8Aは、作動室11と軸受9との間に位置しており、作動室11から軸受9へのシリコンオイル(粘性流体)の漏れを阻止する。
軸心Oに沿う方向におけるアウターハウジング2の他端寄り(図1(a)における左寄り)の内径部は大内径部12として形成され、大内径部12とインナーハブ3とカバー6とによって環状の作動室11が構成されている。作動室11には、アウターハウジング2の大内径部12の内周面にスプライン結合したアウタープレート4と、インナーハブ3の外周面にスプライン結合したインナープレート5とが、軸心Oに沿う方向に交互に積層された状態で収容されている。
アウターハウジング2において大内径部12よりもさらに他端寄りの内径部は、大内径部12よりも大径のカバー嵌合径部13として形成されており、このカバー嵌合径部13に、軸心中央にインナーハブ3を挿通させる孔が形成されたリング状のカバー6が嵌合されている。カバー6は、たとえば溶接によりアウターハウジング2に固定されている。溶接の方式としては電子ビーム溶接が好適である。
カバー6の内径部とインナーハブ3の外周との間には軸シール部材8Bおよび軸受14が介設されている。軸シール部材8Bは、前記軸シール部材8Aと同じ部材であり、カバー6の内径部に形成された環状の溝15に嵌合されている。軸シール部材8Bは、作動室11と軸受14との間に位置しており、作動室11から軸受14へのシリコンオイルの漏れを阻止する。
カバー6には、作動室11にシリコンオイルを充填するための充填孔16が貫通形成されるとともに、シリコンオイルの充填時に作動室11内の空気を外部に逃がすための空気抜き孔17が貫通形成されている。充填孔16と空気抜き孔17とは、軸心Oを挟んで180度反対の箇所に位置している。充填孔16には雌ねじが螺設されており、シリコンオイルの充填後、充填孔16は充填孔封止部材であるボルト18の螺合により塞がれる。なお、雌ねじはテーパねじとして螺設されている。ボルト18はたとえば六角孔を有した六角孔付きボルト等である。また、空気抜き孔17も後に詳述するようにプラグ筐体23により塞がれる。
粘性継手1の概略構成は以上からなり、たとえばアウターハウジング2が推進軸に連結され、インナーハブ3が終減速装置のピニオンシャフトに連結される等の構造により、粘性継手1は四輪駆動車の動力伝達系に用いられる。そして、たとえば前輪が空転するなどしてアウタープレート4とインナープレート5との間に回転数差が生じたとき、両プレート間のシリコンオイルにせん断力が生じることでアウタープレート4とインナープレート5との間で動力が伝達され、後輪に動力が伝達される。
アウタープレート4とインナープレート5との回転数の差が高いまま維持されると、シリコンオイルに絶えずせん断力が作用するために高熱が生じ、作動室11内の圧力が上昇する。この問題に対し、本発明に係る粘性継手1は、作動室11内の圧力が所定値まで上昇したときその圧力を外部に逃がすための圧力開放弁21を備えている。
圧力開放弁21は、その弁箱が、カバー6に着脱自在に取り付けられるプラグ筐体23(図2(a))として粘性継手1に備えられている。プラグ筐体23は、前記したようにシリコンオイルの充填後に空気抜き孔17を塞ぐように取り付けられる。なお、プラグ筐体23は、カバー6において空気抜き孔17以外の部位(たとえば充填孔16)に取り付けてもよいし、アウターハウジング2に取り付けてもよい。
図2において、圧力開放弁21は、作動室11(図1)と外部とを連通する流路27が形成されるプラグ筐体23と、閉位置P1と開位置P2との間で移動するピストン弁体24と、プラグ筐体23とピストン弁体24との間に介設される弾性体からなる環状のシール体25と、ピストン弁体24に形成され、シール体25に係止する係止状態となってピストン弁体24を閉位置P1に保持する係止部26と、を備えて構成されている。
閉位置P1とは、図4(a)に示すように、係止部26とシール体25とが係止して流路27が閉じられた状態のピストン弁体24の位置である。開位置P2とは、所定の圧力によって移動し流路27を開放するときのピストン弁体24の位置であり、本実施形態では図4(c)に示すように、ピストン弁体24の後記する傾斜軸部39と、プラグ筐体23における中間部32と第2ガイド部33との段差部とが当接した状態のピストン弁体24の位置である。
「プラグ筐体23」
プラグ筐体23は、筒軸方向に沿って流路27が貫通形成された円筒状の部材であり、金属材料等からなる。図1における空気抜き孔17には雌ねじが螺設されており、プラグ筐体23の外周にはその雌ねじに螺合する雄ねじ28が螺設されている。なお、雌ねじおよび雄ねじ28はテーパねじとして螺設されている。
プラグ筐体23の内壁面は、作動室11(図1)に臨むプラグ筐体23の端面29寄りから順に、第1ガイド部30と、第1ガイド部30よりも大径の嵌合溝部31と、嵌合溝部31よりも小径の中間部32と、中間部32よりも小径の第2ガイド部33と、第2ガイド部33よりも大径の六角穴部34と、を備えるように形成されている。
第1ガイド部30は、ピストン弁体24の第1ガイド軸部36の移動をガイドする機能を担う。嵌合溝部31にはシール体25が嵌合される。中間部32は、ピストン弁体24が開位置P2に位置したときにピストン弁体24のシール密着軸部38および傾斜軸部39を収容する機能を担う。第2ガイド部33は、ピストン弁体24の第2ガイド軸部40の移動をガイドする機能を担う。第2ガイド部33には流路27を構成する溝41が円周方向に等間隔で複数、本実施形態では4箇所形成されている。なお、この溝41はピストン弁体24の第2ガイド軸部40側に形成してもよい。六角穴部34には、プラグ筐体23を空気抜き孔17(図1)に着脱自在に取り付けるための六角工具が差し込まれる。
プラグ筐体23の端面29において、流路27の開口縁部には加締め部35が2箇所形成されている。ピストン弁体24がプラグ筐体23の端面29側から流路27内に収納された後、工具により加締め部35を流路27の開口の内側に加締めることで、端面29からのピストン弁体24の抜けが防止される。なお、図2(a)、(c)は加締め部35が既に加締められた状態を示している。
「ピストン弁体24」
ピストン弁体24は、略円柱形状の部材であり、金属材料等からなる。ピストン弁体24は、作動室11(図1)に臨む一端側から順に、第1ガイド軸部36と、第1ガイド軸部36よりも小径となるように凹曲面状に形成された凹状軸部37と、係止部26と、係止部26よりも小径のシール密着軸部38と、他端に向かうにしたがい凸曲面状に縮径する円錐台状の傾斜軸部39と、第2ガイド軸部40と、を備えるように形成されている。
第1ガイド軸部36には流路27を形成するための溝42が円周方向に等間隔で複数、本実施形態では4箇所形成されている。なお、この溝42はプラグ筐体23の第1ガイド部30側に形成してもよい。凹状軸部37は、ピストン弁体24が開位置P2に位置したときにシール体25と密着せずに流路27を確保できるように、シール体25の内径よりも小径に形成されている。シール密着軸部38はシール体25の内径よりも大径に形成されている。傾斜軸部39は、プラグ筐体23における中間部32と第2ガイド部33との段差部に当接することにより、プラグ筐体23の他端側からのピストン弁体24の抜けを防止する。前記したように、傾斜軸部39と前記段差部とが当接した状態のピストン弁体24の位置が開位置P2である。
「係止部26」
係止部26は、凹状軸部37とシール密着軸部38との間において径外方向に延設される環状の突起体として形成されている。係止部26の断面形状に関しては、特にシール体25に係止する面側が、径外方向に向かうにしたがい端面29寄りに変位する傾斜面26Aとして形成されている。係止部26は、シール体25に係止する係止状態となってピストン弁体24を閉位置P1に保持する機能を備えていれば、たとえば360度全周にわたって形成することなく、円周方向に間隔を空けて局所的に形成するようにしてもよい。
「シール体25」
シール体25はたとえばOリングからなる。材質としては、ニトリルゴム、フッ素ゴム、エチレンプロピレンゴム、シリコーンゴム等である。
「作用」
図4(a)はピストン弁体24が閉位置P1に位置した状態を示しており、シール体25がプラグ筐体23の嵌合溝部31およびピストン弁体24のシール密着軸部38に密着することにより流路27が閉じられている。係止部26は、シール体25とシール密着軸部38との密着部よりも端面29寄りにおいてシール体25に係止している。また、ピストン弁体24は、加締め部35により、プラグ筐体23から作動室11側への抜けが防止されている。
作動室11の圧力が上昇するとピストン弁体24には開位置P2に向かう付勢力が作用し、係止部26からの押力によりシール体25が弾性変形する。作動室11の圧力が所定の圧力値p未満のときには、シール体25の弾性復元力が前記押力よりも優っているため、係止部26がシール体25を乗り越えるまでに至らずピストン弁体24は閉位置P1に維持される。
作動室11の圧力が所定の圧力値pまで上昇すると、前記押力がシール体25の弾性復元力よりも優ることにより、図4(b)の状態を経て係止部26がシール体25を乗り越え、ピストン弁体24が開位置P2に位置する(図4(c))。傾斜面26Aが形成されていることにより、係止部26は比較的スムースにシール体25を乗り越えることができる。開位置P2では、係止部26とシール体25との間に隙間が形成されるようになっているため、作動室11の圧力は、ピストン弁体24の溝42→凹状軸部37による凹状空間→係止部26とシール体25との隙間→プラグ筐体23の溝41→六角穴部34の経路で外部に開放される。
また、六角穴部34からの塵や水滴の浸入等、何らかの理由によりピストン弁体24の移動が困難となったときには、作動室11の圧力が前記圧力値pまで上昇したにもかかわらず、ピストン弁体24が開位置P2に移動できず閉位置P1に位置したままとなるおそれがある。
これに対し、本発明では、ピストン弁体24が閉位置P1にある状態において、シール体25が所定の温度tまで加熱されたとき、図5に示すように、シール体25が熱変形することにより生じた隙間43を介して流路27が開放状態となる。すなわち、作動室11の圧力は、ピストン弁体24の溝42→凹状軸部37による凹状空間→隙間43→プラグ筐体23の溝41→六角穴部34の経路で外部に開放される。
作動室11の圧力上昇はシリコンオイルの温度上昇に起因するものであるから、作動室11の筐体(アウターハウジング2、カバー6)に取り付けられる圧力開放弁21のシール体25も、シリコンオイルの温度上昇に伴って加熱される。前記温度tは、たとえば作動室11の圧力が前記所定の圧力値pとなるときのシール体25に加わる温度であり、試験等により求められる値である。
以上により、ピストン弁体24の移動機能に支障がない場合においては、シール体25が弾性変形或いは熱変形してシール体25と係止部26との係止状態が解除されることにより、ピストン弁体24が開位置P2に移動して流路27が開放状態となり、万が一ピストン弁体24の移動機能に支障が生じた場合にあっても、シール体25が熱変形して生じた隙間43を介して流路27の開放状態が確保される。
なお、前記温度tとしては、作動室11の圧力が前記所定の圧力値pとなるときのシール体25に加わる温度よりも若干高い温度に設定してもよい。すなわち、作動室11の圧力が所定の圧力値pに達したときにシール体25を未だ熱変形が生じる前の状態に維持させる。これにより、作動室11の圧力が所定の圧力値pに達したときには、シール体25が弾性変形することによりシール体25と係止部26との係止状態が解除されて流路27が開放状態となるようにする。そして、作動室11の圧力が所定の圧力値pに達しても流路27が開放されない場合は、ピストン弁体24の移動機能に何らかの支障が生じたものとして、作動室11の圧力が前記圧力値pよりもさらに上昇したとき、非常用としてシール体25を熱変形させ隙間43を介して流路27を開放状態にするようにしてもよい。
従来の圧力開放弁の構造例として、特許文献3に記載されるように孔に閉止体を圧入する構造では、孔と閉止体との締め代の寸法精度に高精度が要求されるのに対し、本発明によれば、係止部26とシール体25とを係止させる構造とし、シール体25の弾性変形を利用して両者の係止状態を解除して流路27を開放状態にする構成としたので、締め代の寸法精度、特に弁箱の流路孔の加工精度にさほど高精度な加工を要さない。したがって、圧力開放弁1の製造工程を簡単な工程にすることができる。
そして、シール体25が所定の温度まで加熱されたとき、シール体25が熱変形することにより生じた隙間43を介して流路27が開放状態になるように構成することで、作動室11の圧力および温度の両方に対応させて圧力開放弁1を作動させることができる。
1つのシール体25の弾性変形機能と熱変形機能を利用する構造のため、部品点数の少ない簡単な構造の圧力開放弁が実現できる。
また、特許文献3の技術では、作動後の孔が塑性変形するため、作動後には閉止体と孔の形成側とを含むアッセンブリー全体で交換する必要があるのに対し、本発明では、カバー6はそのままに圧力開放弁1のみの交換、すなわちプラグ筐体23の着脱作業のみとなるため、簡単な作業で済み、アッセンブリーで交換する必要もない。
1 粘性継手
2 アウターハウジング(外側回転部材)
3 インナーハブ(内側回転部材)
4 アウタープレート
5 インナープレート
6 カバー
8A,8B 軸シール部材
11 作動室
16 充填孔
17 空気抜き孔
21 圧力開放弁
23 プラグ筐体
24 ピストン弁体
25 シール体
26 係止部
27 流路
30 第1ガイド部(ガイド部)
33 第2ガイド部(ガイド部)
36 第1ガイド軸部(ガイド軸部)
40 第2ガイド軸部(ガイド軸部)
P1 閉位置
P2 開位置

Claims (3)

  1. 閉位置と開位置との間で移動するピストン弁体と、
    前記ピストン弁体を収容する弁箱と、
    前記弁箱と前記ピストン弁体との間に介設される弾性体からなる環状のシール体と、
    前記ピストン弁体に形成され、前記シール体に係止する係止状態となって前記ピストン弁体を閉位置に保持する係止部と、
    を備え、
    前記ピストン弁体に所定の圧力が加わったとき、前記係止部と前記シール体との間で生じる押力により前記シール体が弾性変形して前記係止状態が解除されることにより、前記ピストン弁体が開位置に移動して流路が開放状態になり、
    かつ、前記ピストン弁体が閉位置にある状態において、前記シール体が所定の温度まで加熱されたとき、前記シール体が熱変形することにより生じた隙間を介して流路が開放状態になることを特徴とする圧力開放弁。
  2. 前記ピストン弁体にガイド軸部が形成されるとともに、前記弁箱に前記ガイド軸部をガイドするガイド部が形成され、
    前記ガイド軸部および前記ガイド部の内の少なくとも一方に流路を構成する溝が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の圧力開放弁。
  3. 円筒状の外側回転部材と、前記外側回転部材と同軸に配される内側回転部材と、前記外側回転部材と一体に回転する複数のアウタープレートと、前記内側回転部材と一体に回転し、前記アウタープレートと軸方向に交互に配される複数のインナープレートと、前記外側回転部材の開口部を塞ぐカバーと、を備え、前記外側回転部材と前記内側回転部材との間の作動室内に粘性流体が封入された粘性継手であって、
    請求項1または請求項2に記載の圧力開放弁を前記作動室の圧力開放用として備え、
    前記弁箱が前記カバーまたは前記外側回転部材に着脱自在に取り付けられるプラグ筐体として構成されていることを特徴とする粘性継手。
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