JP6009952B2 - 作業方法及び作業装置 - Google Patents
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Description
これにより、作業対象物に実際に突発振動が生じるタイミングに併せて、作業装置に突発振動を再現させることができ、搬送装置の緊急停止時に作業対象物及び作業装置が破損することを防止できる。
初めに、図1及び図2を参照して、本発明を実施する搬送システム30の概略について説明する。図1は、搬送システム30の機能構成を示す機能ブロック図であり、図2は、搬送システム30を模式的に示す模式図である。
なお、以下に説明するように、本実施形態では、ワークWとして塗装工程が終了した自動車の車体を用い、ワーク搬送装置2としてワークWを上方から吊るして搬送するオーバーヘッドコンベアを用いることとしている。このとき、作業装置1は、ワーク搬送装置2が搬送するワークWから塗装のために仮付けしておいたドアを取り外す作業を行う。勿論、ワークW、ワーク搬送装置2及び/又はワークに対する作業の内容は、一例に過ぎずこれに限られるものではない。
図2を参照して、移動部11は、例えば、ワークWの搬送方向に平行して設けられたレール112a,112b(図7等参照、以下、夫々を区別しない場合「レール112」と呼ぶ)を移動する台車111a,111bである。なお、本実施形態では、ワークW(車体)からドアを取り外す作業を行うため、ワークWの両側に2つの台車111a,111b(以下、夫々を区別しない場合「台車111」と呼ぶ)を用いることとしている。
ここで、図2に示すように本実施形態ではワークWの底面の任意の位置P1,P2,P3(例えば、底面に設けられた溶接用穴部近傍の3箇所)の位置情報から底面中央部である位置Pの位置情報及び振動を検出する。そこで、本実施形態では、台車111の上面にセンサ装置121a,121b,121c(以下、夫々を区別しない場合「センサ装置121」と呼ぶ)を設置し、台車111と同期して移動するワークWの下方から位置P1,P2,P3(以下、夫々を区別しない場合「位置Pn」と呼ぶ)の位置情報を検出することとしている。一例として、台車111aには、搬送方向下流側の任意の位置に位置P1の位置情報を検出するセンサ装置121aを設置し、台車111bには、搬送方向下流側の任意の位置に位置P2の位置情報を検出するセンサ装置121b、搬送方向上流側の任意の位置に位置P3の位置情報を検出するセンサ装置121cを設置することとしている。
なお、ワークWに生じた振動を除外し作業を行うためには、3軸(X,Y,Z軸)の位置情報を検出することが好ましい。そのため、本実施形態では、センサ装置121として、位置PnのZ軸(垂直方向)の位置情報を検知するレーザー変位計、及び位置PnのX,Y軸(水平面)の位置情報を検知する2Dリアルタイムカメラを用いることとしている。
ここで、図2に示すように本実施形態では、作業部13はワークWからドアを取り外す作業を行うため、ワークWの片側に2つずつ計4つのロボット131a,131b,131c,131dを設置することとしている。即ち、台車111aには、ロボット131a,131bが設置され、台車111bには、ロボット131c,131dが設置される。なお、以下では、夫々を区別しない場合には単に「ロボット131」と呼ぶ。
ここで、本実施形態では、作業部13の位置情報を超音波方式で検出することとしている。なお、超音波方式とは、発信装置から発信された超音波を複数(3個以上)の受信装置で受信し、夫々の受信装置までの超音波の到達時間の違いを利用して三点測量により位置情報を検出する方式である。そこで、図2に示すように、本実施形態の第2振動検出部14は、ロボット131夫々に設置され超音波を発信する超音波発信装置141a,141b,141c,141dと、搬送経路に沿った任意の位置に設置され超音波を受信する超音波受信装置142a,142b,142c,142dと、を含んで構成されることとしている。なお、以下、夫々を区別しない場合「超音波発信装置141」「超音波受信装置142」と呼ぶ。このとき、超音波受信装置142の夫々は3個の受信部を備え、対応する超音波発信装置141から発信された超音波を3個の受信部で受信することで、超音波発信装置141の位置情報を検出する。即ち、超音波受信装置142aは超音波発信装置141aの位置情報を検出し、超音波受信装置142bは超音波発信装置141bの位置情報を検出し、超音波受信装置142cは超音波発信装置141cの位置情報を検出し、超音波受信装置142dは超音波発信装置141dの位置情報を検出する。なお、本発明ではワークWに生じた振動をロボット131に再現させることで、ワークWに生じた振動を除外し、搬送中のワークWに対するロボット131による作業を可能にしている。そのため、超音波発信装置141は、ロボット131のうち、ワークWに対して作業を行う部分、例えばワークWを把持する把持部やワークWのボルトを緩め/締めするボルト操作部等(以下「作業部分」と呼ぶ)の近傍、好適にはロボット131の先端に設置することが好ましい。また、ロボット131が複数の作業部分を備える場合には、当該複数の作業部分の夫々の近傍に超音波発信装置141を備えることが好ましい。
なお、振動実行制御とは、作業部13を予測振動パターンに応じて振動させる制御をいう。具体的には、制御部15は、作業部13に対して予測振動パターンと適合する制御信号を供給し、作業部13としてのロボット131の作業部分が予測した振動で振動するように制御する。
また、振動調整制御とは、振動実行制御により作業部13に生じた振動と、振動予測制御により予測した振動との間の相違を調整する制御である。具体的には、制御部15は、第2振動検出部14と協働して振動実行制御中に作業部13に生じた振動を検出し、検出した振動と予測振動パターンとを比較し、両者が一致しない場合に予測振動パターンと一致するように作業部13の振動を調整する。
先出しされた制御信号に応じて作業部13が振動すると、制御部15は、振動再現制御(振動調整制御)を実行し、作業部13に実際に生じた振動に基づくフィードバックを行い、作業部13の振動を調整する。その結果、時間t1以降、作業部13にはワークWに生じた振動が再現されることになる。
図3上段に示すように、ワーク搬送装置2が緊急停止した場合、搬送されていたワークWには慣性による振動(以下、「突発振動」と呼ぶ)が発生する。この突発振動は、搬送中に生じる周期的な振動とは異なるため予測振動パターンでは再現することができず、図3下段に示すように、ワークWの突発振動と作業部13の振動とに誤差が生じることになる。そして、このような誤差が作業部13の作業中に生じてしまうと、ワークWや作業部13が破損してしまう。
また、図4では、ワーク種別及び搬送路種別に対応付けて空走時間も記憶することとしている。空走時間とは、緊急停止が指令されてから実際にワーク搬送装置2が緊急停止するまでの時間である。なお、突発振動によるワークWと作業部13との誤差を確実に除くため、ワーク搬送装置2に対して、作業部13の応答遅れ時間よりも長い時間を空走時間として設定しておくことが好ましい。
続いて、図5を参照して、停止時再現制御の詳細について説明する。図5上段にワークWに生じた振動を示し、図5中段に作業部13にワークWの振動を再現させる制御信号(振動再現指令)を示し、図5下段に作業部13に再現させた振動を示す。
図5の時間t3は、ワーク搬送装置2が緊急停止したタイミングを示し、時間t3´は、ワーク搬送装置2及び制御部15に緊急停止信号が供給されたタイミングを示す。即ち、時間t3´〜時間t3は、空走時間を示す。また、時間t3´´は、制御部15が作業部13に対して突発振動を再現する制御信号を供給したタイミングを示す。上述のように、作業部13の応答遅れを考慮して、制御部15は作業部13に対して制御信号を先出しする。そのため、時間t3´´〜時間t3は、作業部13による応答遅れ時間を示す。
その結果、時間t3においてワーク搬送装置2が緊急停止したタイミングで、作業部13に突発振動を再現させることができる。特に、突発振動は発生直後が最も大きくなるところ、作業部13の応答遅れを考慮し制御部15が突発振動を再現する制御信号を先出しする構成とすることで、発生直後の大きな振動を確実に再現することができる。
続いて、本発明を実施する搬送システム30の一実施形態を、図6〜図9を参照して説明する。図6は搬送システム30の側面図であり、図7は搬送システム30の平面図である。また、図8は搬送システム30を構成する作業装置1の側面図であり、図9は作業装置1の背面図である。
この超音波発信装置141は、超音波受信装置142と共に前述の第2振動検出部14を構成するものであり、対応する超音波受信装置142に対して超音波を発信することで、超音波発信装置141が設置された部分の位置情報及び位置情報の変化(即ち、振動)を検出可能に構成される。
また、コントロールユニット151は、ワーク搬送装置2に設けられた図示せぬエンコーダからの信号に基づいてワークWを吊るしたハンガ22の位置情報を特定し、この位置情報に基づいて前述の同期制御、即ちワークWと同期して移動するように台車111の移動を制御する。また、コントロールユニット151は、センサ装置121が所定期間にわたりワークWの振動を検出すると、検出した所定期間の振動に基づいて前述の振動予測制御、即ち以後ワークWに生じる予測振動パターンを予測する。また、コントロールユニット151は、振動予測制御で予測した予測振動パターンに基づいて振動再現制御、即ちワークWの予測振動パターンと一致するようにロボット131を振動させる。このとき、コントロールユニット151は、超音波発信装置141及び超音波受信装置142と協働してロボット131の振動を測定しておき、ロボット131の振動が予測振動パターンと異なる場合には、一致するようにロボット131の振動を調整する。また、コントロールユニット151は、ワーク搬送装置2から緊急停止信号を受信すると、予め記憶された突発振動の波形を読み出し前述の停止時再現制御、即ちワークWに発生する突発振動と一致するようにロボット131を振動させる。
続いて、図10を参照して、搬送システム30の動作について説明する。図10は、搬送システム30の動作の流れを示すフローチャートである。
また、ワークWの空走時間やロボット131の応答時間を考慮して突発振動を再現させるため、ワークWに実際に突発振動が生じるタイミングに併せて、ロボット131に突発振動を再現させることができ、ワーク搬送装置2の緊急停止時にワークW及びロボット131が破損することを防止できる。
また、第1振動検出部12は、ワークWに生じた振動を検出できれば足り、上記実施形態のようなセンサ装置121に限られず、他の構成により実現することとしてもよい。例えば、ワークWをカメラ等の撮像装置により撮像し、撮像した動画像を解析することでワークWに生じた振動を検出することとしてもよい。
また、例えば、ワークWを搬送するハンガ22に加速度センサ、角速度センサ、地磁気センサ等の各種センサを取り付けることで、ハンガ22の振動を検出し、当該ハンガ22の振動をワークWの振動として用いることとしてもよい。また、これら加速度センサ等の各種センサをワークW自身に取り付けることで、ワークWに生じた振動を検出することとしてもよい。このような構成であっても既存の製造ラインに対する変更は最小限ですみ、既存設備を好適に利用することができる。
また、第2振動検出部14は、ワークWに対して作業を行う作業部分の全てから振動を検出する必要はなく、作業の内容によって振動を検出しない、又は検出精度を異ならせることとしてもよい。例えば、ワークWからドアを取り外す際に、ボルトを緩め/締めするボルト操作部等では高精度の振動の再現が要求される一方で、ドアを把持する把持部等ではそこまで高精度の振動の再現は要求されない。そこで、第2振動検出部14は、作業の内容に応じて、作業部分の振動の検出方法を変えることとしてもよく、また、振動再現時の精度を変えることとしてもよい。
11…移動部
111…台車
112…レール
12…第1振動検出部
121…センサ装置
13…作業部
131…ロボット
14…第2振動検出部
141…超音波発信装置
142…超音波受信装置
15…制御部
151…コントロールユニット
16…記憶部
2…ワーク搬送装置
21…支持レール
22…ハンガ
30…搬送システム
W…ワーク
Claims (4)
- 所定の停止指示に応じて緊急停止可能な搬送装置により保持され搬送される作業対象物に対し、前記搬送装置とは独立した状態にある作業装置が作業を施す作業方法において、
前記搬送装置の緊急停止に伴い前記作業対象物に生じる突発振動を予め記憶しておく記憶工程と、
前記所定の停止指示に応じて、前記記憶工程で予め記憶しておいた前記突発振動を前記作業装置に再現させる振動再現工程と、
を含むことを特徴とする作業方法。 - 前記記憶工程では、前記突発振動に加えて、前記所定の停止指示が行われてから前記作業対象物に前記突発振動が生じるまでの空走時間も予め記憶し、
前記振動再現工程では、前記所定の停止指示が行われてから所定の時間が経過すると、前記突発振動を前記作業装置に再現させ、
前記所定の時間は、前記空走時間−前記作業装置の応答遅れ時間、であることを特徴とする、請求項1に記載の作業方法。 - 所定の停止指示に応じて緊急停止可能な搬送装置により保持され搬送される作業対象物に対し、前記搬送装置とは独立した状態で作業を施す作業装置において、
前記搬送装置の緊急停止に伴い前記作業対象物に生じる突発振動を予め記憶する記憶部と、
前記所定の停止指示に応じて、前記記憶部に予め記憶された前記突発振動を前記作業装置に再現させる制御部と、
を備えることを特徴とする作業装置。 - 前記記憶部は、前記突発振動に加えて、前記所定の停止指示が行われてから前記作業対象物に前記突発振動が生じるまでの空走時間も予め記憶し、
前記制御部は、前記所定の停止指示が行われてから所定の時間が経過すると、前記突発振動を前記作業装置に再現させ、
前記所定の時間は、前記空走時間−前記作業装置の応答遅れ時間、であることを特徴とする、請求項3に記載の作業装置。
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