JP6009280B2 - 溶接ロボット制御装置及び溶接ロボットの制御方法 - Google Patents

溶接ロボット制御装置及び溶接ロボットの制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、溶接ロボット制御装置及び溶接ロボットの制御方法に関する。
アーク溶接装置において、溶接終了後のワイヤ逆送給の要・不要を指定するフラグを用意し、ワイヤ逆送給が要のフラグがある場合、それに従って、溶接終了した後に次の溶接開始点への溶接トーチの移動時にワイヤ逆送給を行う特許文献1の技術が公知である。
特許文献1では、次の溶接開始点において、溶接ワイヤと母材とが接触する場合のみにおいて、その1つ手前の溶接終了後に溶接ワイヤを逆送給(以下、リトラクトとも言う)し、良好なアークスタートを得ようとするものである。また、特許文献1では、次の溶接開始点において、溶接ワイヤと母材とが接触しない場合には、その1つ手前の溶接区間の溶接終了後における前記溶接ワイヤの逆送給を省くことにより、サイクルタイムの延びを最小限に抑えようとするものである。例えば、前記1つ手前の溶接区間の溶接終了後から、次の溶接区間の溶接開始点までの移動時間内に逆送給が行えない場合、逆送給が完了する迄の待機時間を省略することができる。
特開2005−219085号公報
ところが、次の溶接区間の溶接開始点において、溶接ワイヤと母材とが接触しない場合でも、溶接終了後の溶接ワイヤと母材との溶着を回避するために、溶接ワイヤの逆送給(以下、リトラクトとも言う)を行わなければならない時がある。例えば、下進溶接において、溶接終了後に溶融池(プール)が被さってくる場合などでは、溶接ワイヤを溶融池から引き離すための逆送給を行う必要がある。
ここで、溶接終了時に逆送給を行うと、次の2つの無駄時間が生じることとなる。
1つは、送給経路上の遊びがあることによって、溶接開始時に正送給(以下、インチングとも言う)を行っても、直ぐに溶接トーチ先端から溶接ワイヤが送給されないということである。通常、溶接開始時(すなわち、溶接開始初期)のワイヤ送給は、その後に行われる本送給速度に対して遅い速度(スローダウン)で送給されるため、正送給で前記遊びを送りきるための時間を要する。
他の1つは、逆送給によって、溶接トーチからのワイヤ突き出し長が短くなっているため、前記スローダウンによって溶接ワイヤと母材が接触し、アークが発生するまでに時間がかかる。
本発明の目的は、溶接終了時の溶着を防止するために溶接終了後に溶接ワイヤのリトラクトを行ったとしても、次の溶接区間では無駄時間を発生させることなく良好なアークスタートを得ることができ、この結果、生産効率と溶接施工品質を向上することができる溶接ロボット制御装置及び溶接ロボットの制御方法を提供することにある。
上記問題点を解決するために、請求項1の発明は、複数の教示ステップを順番に実行して溶接トーチを溶接終了位置から次の溶接区間の溶接開始位置に移動制御するとともに、溶接終了毎に溶接ワイヤをリトラクトする溶接ロボット制御装置において、前記複数の教示ステップの配列順とは逆の順に、各教示ステップについて前記溶接トーチが各教示ステップの開始タイミングから次の溶接区間における溶接開始位置に移動するのに要する溶接トーチ移動時間を、溶接ワイヤの送給経路の遊びを解消するインチング時間として前記溶接開始位置毎に設定されている時間のうち前記次の溶接区間における溶接開始位置のインチング時間と比較し、前記溶接トーチ移動時間が前記インチング時間よりも大きい教示ステップを、前記溶接ワイヤのインチングを開始するインチング開始教示ステップとして抽出する教示ステップ抽出部と、前記教示ステップ抽出部で抽出された前記インチング開始教示ステップの開始タイミングから、当該インチング開始教示ステップの前記溶接トーチ移動時間と前記次の溶接区間における溶接開始位置のインチング時間との差の時間が経過したタイミングを前記溶接ワイヤのインチング開始タイミングとして設定するインチング開始タイミング設定部と、前記溶接トーチが前記溶接終了位置から前記インチング開始タイミング設定部で設定されたタイミングの位置に移動した時に前記溶接ワイヤのインチングを開始させるインチング開始制御部を備えることを特徴とする溶接ロボット制御装置を要旨としている。
請求項2の発明は、請求項1において、前記教示ステップ抽出部は、前記複数の教示ステップの配列順とは逆の順に各教示ステップについて、前記溶接トーチが各教示ステップを開始するタイミングから終了するタイミングまでに要するステップ移動時間を算出するステップ移動時間算出部と、前記ステップ移動時間算出部で算出された前記ステップ移動時間が各教示ステップに設定されるインチング開始判別時間よりも小さいか否かを判別する判別部と、前記判別部で判別を行う最初の教示ステップに対する前記インチング開始判別時間として前記次の溶接区間における溶接開始位置のインチング時間を設定し、前記判別部で前記ステップ移動時間が前記インチング開始判別時間よりも小さいと判別されると、当該インチング開始判別時間と当該ステップ移動時間との差分を次の教示ステップに対するインチング開始判別時間に設定するインチング開始判別時間設定部と、前記判別部により前記ステップ移動時間が前記インチング開始判別時間設定部で設定された前記インチング開始判別時間よりも大きいと判別されると、当該ステップ移動時間を有する教示ステップを前記インチング開始教示ステップとして抽出するステップ抽出部と、を含み、前記インチング開始タイミング設定部は、前記ステップ抽出部で抽出された前記インチング開始教示ステップの開始タイミングから、当該インチング開始教示ステップの前記ステップ移動時間と前記インチング開始判別時間との差の時間が経過したタイミングを前記インチング開始タイミングとして設定することを特徴とする。
請求項3の発明は、複数の教示ステップを順番に実行して溶接トーチを溶接終了位置から次の溶接区間の溶接開始位置に移動制御するとともに、溶接終了毎に溶接ワイヤをリトラクトする溶接ロボットの制御方法において、前記複数の教示ステップの配列順とは逆の順に、各教示ステップについて前記溶接トーチが各教示ステップの開始タイミングから次の溶接区間における溶接開始位置に移動するのに要する溶接トーチ移動時間を、溶接ワイヤの送給経路の遊びを解消するインチング時間として前記溶接開始位置毎に設定されている時間のうち前記次の溶接区間における溶接開始位置のインチング時間と比較し、前記溶接トーチ移動時間が前記インチング時間よりも大きい教示ステップを、前記溶接ワイヤのインチングを開始するインチング開始教示ステップとして抽出する教示ステップ抽出工程と、前記教示ステップ抽出工程で抽出された前記インチング開始教示ステップの開始タイミングから、当該インチング開始教示ステップの前記溶接トーチ移動時間と前記次の溶接区間における溶接開始位置のインチング時間との差の時間が経過したタイミングを前記溶接ワイヤのインチング開始タイミングとして設定するインチング開始タイミング設定工程と、前記溶接トーチが前記溶接終了位置から前記インチング開始タイミング設定工程で設定されたタイミングの位置に移動した時に前記溶接ワイヤのインチングを開始させるインチング開始制御工程を含むことを特徴とする溶接ロボットの制御方法を要旨としている。
請求項4の発明は、請求項3において、前記教示ステップ抽出工程は、前記複数の教示ステップの配列順とは逆の順に各教示ステップについて、前記溶接トーチが各教示ステップを開始するタイミングから終了するタイミングまでに要するステップ移動時間を算出するとともに、前記インチング開始教示ステップを抽出するためのインチング開始判別時間を設定し、算出した前記ステップ移動時間を前記インチング開始判別時間と比較する処理を、前記ステップ移動時間が前記インチング開始判別時間よりも大きくなるまで繰り返し、前記ステップ移動時間が前記インチング開始判別時間よりも大きくなった場合にそのステップ移動時間を有する教示ステップを前記インチング開始教示ステップとして抽出するものであり、前記比較する処理においては、最初の教示ステップに対する前記インチング開始判別時間に前記次の溶接区間における溶接開始位置のインチング時間が設定され、2番目以降の教示ステップに対する前記インチング開始判別時間に各教示ステップの前の教示ステップに対して設定された前記インチング開始判別時間と当該前の教示ステップに対して算出された前記ステップ移動時間の差の時間が設定されるものであり、前記インチング開始タイミング設定工程は、前記教示ステップ抽出工程で抽出された前記インチング開始教示ステップの開始タイミングから、当該インチング開始教示ステップの前記ステップ移動時間と前記インチング開始判別時間との差の時間が経過したタイミングを前記インチング開始タイミングとして設定するものであることを特徴とする。
以上詳述したように本発明によれば、溶接終了後に溶接ワイヤのリトラクトを行っても、次の溶接開始までの間に送給経路の遊びを解消するインチングを行うようにしたことによって、無駄時間を抑制しつつ、次の溶接区間では良好なアークスタートを得ることができる。この結果、生産効率と溶接施工品質を向上させることができる。
一実施形態の溶接ロボットの制御装置を含む制御システムを示す構成図。 ロボット制御装置の内部構成を示すブロック図。 ロボット制御装置が実行するフローチャート。 ロボット制御装置が実行するフローチャート。 教示ステップとインチング制御との時間的関係を示す例の説明図。 ワイヤ送給速度とTCP速度のタイムチャート。 他の実施形態のワイヤ送給速度とTCP速度のタイムチャート。
以下、本発明を具体化した溶接ロボット制御装置を含む制御システム及び溶接ロボットの制御方法の実施形態を図1〜図6を参照して説明する。
制御システムは、溶接ロボットに設けられた溶接トーチによりワークに対して溶接を行うものであり、特にこの制御システムでは、溶接トーチが溶接終了点から、次の溶接区間の溶接開始点に到達するまでの間に溶接ワイヤを逆送給した後、正送給するものである。
図1、図2に示すように制御システムは、フロアに設置されたマニピュレータ10と、前記マニピュレータ10を制御する溶接ロボット制御装置20と、溶接ロボット制御装置20に通信ケーブルLを介して接続された溶接電源装置30とを備えている。
(マニピュレータ10)
図1に示すように、マニピュレータ10は、フロアに固定されるベース部材11と、それに複数の軸を介して連結された複数のアーム12と、各アーム12を駆動する駆動モータ16(図2参照)とによって構成されている。なお、図2で示す駆動モータ16は、代表的に1つの駆動モータのみが図示されている。前記駆動モータ16には、図示しないロータリエンコーダを備え、前記駆動モータ16の現在位置の検出が可能である。マニピュレータ10先端のアーム12に設けられた手首部の先端には、被溶接物であるワークWに対してアーク溶接を行う溶接トーチ14が取付けられている。マニピュレータ10は、制御ケーブルを介して溶接ロボット制御装置20に接続されている。
マニピュレータ10の各アーム12に設けられた前記駆動モータ16は、溶接ロボット制御装置20からロボット制御ケーブルを介して送信される駆動信号によって回転駆動される。この各駆動モータ16が回転駆動されることにより、マニピュレータ10の各アーム12が変位し、結果的に溶接トーチ14が上下前後左右に移動可能とされる。
溶接トーチ14は、溶接ワイヤ13をワークWの所定の溶接位置に導く。溶接ワイヤ13とワークWには溶接電源装置30の溶接電源36からそれぞれ電圧印加用の電源ケーブルL1,L2が接続されており、溶接電源装置30によって溶接ワイヤ13の先端とワークWとの間に高電圧を印加してアークを発生させ、そのアークの熱で溶接ワイヤ13およびワークWを溶融させることにより、ワークWに対して溶接が施される。
(溶接ロボット制御装置20)
溶接ロボット制御装置20は、マニピュレータ10の動作を制御するためのものである。溶接ロボット制御装置20は、予め記憶されている作業プログラム及び図示しない前記ロータリエンコーダからの検出信号による座標情報等に基づいて、マニピュレータ10の各駆動モータ16を駆動制御して、溶接トーチ14を動作開始点からワークWの溶接点、その溶接点から他の溶接点、あるいは溶接点から退避位置に移動させる。
図2に示すように、溶接ロボット制御装置20は、マイクロコンピュータ及びメモリ等によって構成されている。より詳細には、溶接ロボット制御装置20は、作業プログラムインタプリター21、メモリ部22、軌道計画部23、軌道スタック24、サーボ制御部25、サーボドライバ26、現在位置監視部27、及び溶接制御部28によって構成されている。
メモリ部22には、マニピュレータ10の動作が定められた作業プログラムが格納されている。この作業プログラムは、溶接ロボットの一連の移動や動作等をある所定の単位動作ごとに区切って表した複数の教示ステップから構成されている。例えば、教示ステップには、マニピュレータ10の溶接トーチ14をあるポジションから別のポジションに移動させる命令によって構成される。また、教示ステップには、そのような移動命令とともに、溶接を開始させる溶接開始命令等が含まれている。
作業プログラムインタプリター21は、メモリ部22に格納されている作業プログラムを教示ステップごとに読み出し、その内容を解析するものである。例えば、作業プログラムインタプリター21は、作業プログラム中の教示ステップに含まれている軌道命令(座標情報、速度情報、動作命令等のデータからなる)を読み出し、それを軌道計画部23に通知する。なお、動作命令には、例えば溶接トーチ14の移動命令、溶接開始命令等を含む。
軌道計画部23は、作業プログラムインタプリター21から送られる各種の動作命令を軌道スタック24に格納するものである。また、軌道計画部23は、軌道スタック24に格納された動作命令を読み出し、それに基づいて溶接トーチ14の軌道計画を立案して、駆動モータ16の回転角や回転速度等の情報をサーボ制御部25に対して通知する。さらに、軌道計画部23は、後述するように、インチング制御を開始する教示ステップを求めるとともに、教示ステップの動作所要時間を参照してインチング制御を開始するタイミングを求める。
なお、軌道計画部23には、記憶領域としてテンポラリエリア23aが設けられており、このテンポラリエリア23aには、インチング時間の値が必要に応じて記憶される。
軌道スタック24は、いわゆる先入れ先出し(FIFO:first-in first-out)用のメモリからなり、軌道計画部23から送られた軌道命令を格納するものである。
サーボ制御部25は、軌道計画部23から送られる軌道計画に基づいて、駆動モータ16を回転駆動すべく駆動信号をサーボドライバ26に送るものである。また、サーボ制御部25は、駆動モータ16に設けられた図示しないロータリエンコーダからの検出信号を取得して、現在位置監視部27にその情報を送るものである。
サーボドライバ26は、サーボ制御部25からの指令に基づいて各駆動モータ16に対して駆動指令を出力するものである。
現在位置監視部27は、駆動モータ16に設けられた図示しないロータリエンコーダからの検出信号により、溶接トーチ14の現在位置を監視するものである。
溶接制御部28は、現在位置監視部27からの各種命令に基づいて溶接電源装置30によって溶接トーチ14による溶接及びワイヤ送給装置40による溶接ワイヤ13のリトラクト(逆送給)及び正送給(インチング、スローダウン、通常送給)を行わせるものである。
溶接制御部28は、現在位置監視部27からの各種命令に基づいて溶接電源装置30に対してそれぞれワイヤ送給装置40にリトラクト、インチング、スローダウン、及び通常送給を行わせるための制御信号を出力する。
溶接電源装置30は、これらの制御信号に基づいてワイヤ送給装置40のリトラクト制御、インチング制御、スローダウン制御、通常送給制御を行う。
また、溶接制御部28は、現在位置監視部27からの溶接開始命令に基づいて溶接電源装置30によって溶接が行われるための制御信号を出力する。
溶接電源装置30は、図示しない溶接電源を備えており、この溶接電源によって溶接トーチ14とワークW(母材)との間に高電圧が供給される。
ワイヤ送給装置40は、駆動ロール41と加圧ロール42を備え、加圧ロール42が図示しないバネにより駆動ロール41側へ常時付勢されて溶接ワイヤ13を両ロールに挟み込み、その摩擦力で溶接ワイヤ13をはさんで、図示しないワイヤリールから引っ張り出す正送給及び逆送給が可能にされている。駆動ロール41は駆動源としてのモータ43にて回転駆動される。
溶接ロボット制御装置20は、教示ステップ抽出部、インチング開始タイミング設定部、インチング開始制御部、ステップ移動時間算出部、判別部、インチング開始判別時間設定部、ステップ抽出部に相当する。
(実施形態の作用)
次に、本実施形態の作用について、図3及び図4に示すフローチャート並びに図5に示す教示ステップとインチング制御との時間的関係を示す図を参照して説明する。
なお、説明の便宜上、溶接終了直後に、溶接電源装置30の制御により、ワイヤ送給装置40のリトラクト制御が既に行われて、その制御が終了しているものとする。なお、リトラクト制御は、公知のものであるため、説明を省略するがリトラクト制御によって、溶接ワイヤ13は、所定量分逆送給されている。
(S10)
まず、自動運転が開始されると、S10では作業プログラムインタプリター21は、メモリ部22に格納されている作業プログラムの教示ステップを1ステップ毎読み出して解析する。
(S12)
S12では、作業プログラムインタプリター21は、読み出した教示ステップに溶接開始命令があるか否かを判定し、溶接開始命令がなければ、S14及びS16の処理を行い、S10に戻る。S12において、作業プログラムインタプリター21は、読み出した教示ステップに溶接開始命令がある場合には、S18に移行する。
(S14)
S14では、作業プログラムインタプリター21は、教示ステップ中に含まれる軌道命令を軌道計画部23に通知する。この軌道命令には、溶接トーチ14の移動すべき座標情報や速度情報、動作命令等の情報が含まれている。
(S16)
S16では、軌道計画部23は、作業プログラムインタプリター21から軌道命令が送られると、その軌道命令を教示ステップごとに軌道スタック24に格納する。そして、軌道計画部23は、先入れ先出し方式でこの軌道命令に基づいて軌道計画を立案する。
すなわち、溶接トーチ14の移動すべき座標情報(位置座標)や速度情報(移動速度)等の情報に基づいて、溶接トーチ14の移動する当該軌道における、軌道時間(移動時間)の算出、及びモータ制御角の算出、各駆動モータ16の回転速度、回転の開始タイミング及び回転の停止タイミング等を決定する。そして、軌道計画部23は、この立案された軌道計画をサーボ制御部25に通知する。
サーボ制御部25では、軌道計画部23によって通知された軌道計画に基づいて、各駆動モータ16の回転制御を行う。すなわち、サーボドライバ26に対して、駆動モータ16の角度、回転速度等の制御信号を伝達する。サーボドライバ26は、サーボ制御部25からのこれらの制御信号により、各駆動モータ16を回転駆動させる。
(S18)
S18では、作業プログラムインタプリター21は、溶接開始命令を読み出すと、溶接制御部28に溶接開始命令を通知するとともに、軌道計画部23にはインチング開始トリガ算出要求及び溶接開始トリガ要求を通知する。
(S20)
S20では、軌道計画部23は、前記インチング開始トリガ算出要求を受け取ると、インチング開始トリガ算出処理を開始する。すなわち、軌道計画部23は、インチングを開始する教示ステップの算出処理、及びそのインチングを開始する時間(タイミング)の算出処理をそれぞれ開始する。
先ず、軌道計画部23は、メモリ部22からインチング時間Tをテンポラリエリア23aにコピーするとともに、軌道スタック24のインデックスを最上段の教示ステップに合わせる。ここでは、最上段の教示ステップとは、前記溶接開始命令があった教示ステップである。
ここで、インチング時間T(図5参照)は、予め設定されたインチング速度でインチングを行った場合の送給経路上における溶接ワイヤ13の遊びを解消するに要する時間である。このインチング時間Tは、前記インチング速度とともに、溶接開始点毎に設定されていてもよく、或いは、システム全体の共通のパラメータとして設定されていてもよい。前記インチング時間T及びインチング速度は、予めメモリ部22に記憶されている。また、インチングは、前記リトラクトされた後に行われるものであり、インチング時間Tは、リトラクト量とインチング速度に応じて設定されている。リトラクト量は、本実施形態では、一定値であり、試験等により得られた値である。
ここで、インチングを行った後の突き出し長をMとすると、Mは概ね下記の式が成り立つ。
M≒(M0−R)+I
M0:リトラクトする前の溶接ワイヤ13の突き出し長
R :リトラクト量
I :インチング量(=インチング時間T×インチング速度V)
なお、上記式が概ね成り立つとは、インチング開始から定速のインチング速度Vに達するまでの加速期間と、前記インチング速度Vからインチング終了する迄の減速期間があるが、これらの期間はインチング時間に比して無視できるほど短いためである。
(S22)
S22では、軌道計画部23は、前記インデックスが指し示す教示ステップの軌道時間(移動時間)を算出する。この軌道時間(移動時間)は、教示ステップを開始するタイミングから終了するタイミングまでに要するステップ移動時間に相当する。
(S24)
S24では、軌道計画部23は、S22で算出した現教示ステップでの軌道時間(移動時間)が、予め設定しておいた前記インチング時間T以下か否かを判定する。
ここで、S24でインチング時間Tは、最初の教示ステップに対するインチング開始判別時間に相当する。
軌道計画部23は、S22で算出した軌道時間(移動時間)が、予め設定しておいた前記インチング時間T以下の場合には、「YES」と判定してS26に移行する。また、軌道計画部23は、S22で算出した軌道時間(移動時間)が、予め設定しておいた前記インチング時間Tより大きい場合には、「NO」と判定してS28に移行する。
(S26)
S26では、軌道計画部23は、テンポラリエリア23aのインチング時間Tから現教示ステップの軌道時間を減じた値を、新たなインチング時間として更新処理するとともに、インデックスを1減じて、S22に戻る。この場合、S22の処理後、S24では、軌道計画部23は、この更新したインチング時間と、インデックスで新たに指定された、教示ステップでの軌道時間との比較処理を行う。更新後のインチング時間は、前記インデックスで新たに指定された教示ステップでの軌道時間との大小関係の比較を行うためのものである。ここで、更新後のインチング時間は、次の教示ステップに対するインチング開始判別時間に相当する。
(S28)
S28では、軌道計画部23は、S24で「NO」と判定したときのインデックスが指す軌道スタック24の教示ステップに付されたステップ番号と、テンポラリエリア23aに格納されているインチング時間T(すなわち、インチングを開始する時間(タイミング):以下、インチング開始時間という)を、インチング開始トリガ要求として現在位置監視部27に通知し、インチング開始トリガ算出処理を終了する。
ここで、S24で「NO」と判定したときのインデックスが指す軌道スタック24の教示ステップは、インチング開始教示ステップに相当する。
(具体例)
前記S20〜S28の具体例を、図5を参照して説明する。
図5の例では、作業プログラムには、溶接終了点から、次の溶接区間の溶接開始点に移動するまでに、3つの教示ステップ(第1教示ステップA1、第2教示ステップA2、第3教示ステップA3)が含まれているとすると、これら第1教示ステップA1、第2教示ステップA2、第3教示ステップA3における軌道命令がそれぞれ軌道スタック24に格納される。ここで、図5の例では、溶接終了位置は、溶接終了点の位置である。また、図5に示す例では、3つ目の第3教示ステップA3に溶接開始命令が含まれているものとする。
S20で、軌道計画部23は、前記インチング開始トリガ算出要求を作業プログラムインタプリター21から受け取ると、軌道スタック24に最も直前に格納された教示ステップの軌道命令を参照する。図5の例では、第1教示ステップA1、第2教示ステップA2、第3教示ステップA3のうち、最も直前に軌道スタック24に格納された第3教示ステップA3の軌道命令を参照する。
次いで、軌道計画部23は、第3教示ステップA3の軌道命令における移動時間T3を算出する(S22)。軌道計画部23は、算出した移動時間T3と予め定めたインチング時間Tとを比較し、算出した移動時間T3がインチング時間T以下か否かの判別処理を行う(S24)。T3はステップ移動時間に相当する。
S24において、算出した移動時間T3がインチング時間T以下と判別した場合(S24:YES)、軌道計画部23は、インチング時間Tから算出した移動時間T3を差し引いた残り時間(T−T3)を算出する(S26)。そして、軌道計画部23は、それを新たにインチング時間としてテンポラリエリア23aに格納するとともに、軌道スタック24に第3教示ステップA3より一つ前に格納された第2教示ステップA2の軌道命令を参照する(S26)。そして、ステップS22に戻り、再び、その第2教示ステップA2における移動時間T2を算出し、その移動時間T2と新たに置き換えたインチング時間(T−T3)とを比較する(S24)。T2はステップ移動時間に相当する。
ステップS24において、算出された移動時間T2が新たなインチング時間(T−T3)より大きいと判別した場合(S24:NO)、軌道計画部23は、S28に移行する。
S28では、軌道計画部23は、移動時間T2を算出した第2教示ステップA2のステップ番号と、テンポラリエリア23aに格納されているインチング時間(T−T3)とをインチング開始トリガ要求として、現在位置監視部27に通知する。このことは、インチング制御を開始する教示ステップが第2教示ステップA2であるとともに、インチング開始時間が、T−T3であることを示している。なお、図5中、T1は、第1教示ステップA1における移動時間である。K1は第1教示ステップA1における開始タイミングである。ここで、次の溶接開始点におけるタイミングをK4とする。
このように、図5の例では、複数の教示ステップの配列順とは逆の順に、各教示ステップについて溶接トーチ14が各教示ステップの開始タイミングK3,K2から前記溶接開始位置に移動するのに要する溶接トーチ移動時間(T3=K4−K3、T2+T3=K4−K2)を、予め設定されるとともに溶接ワイヤの送給経路の遊びを解消するインチング時間Tと比較し、前記溶接トーチ移動時間が前記インチング時間よりも大きい教示ステップを、前記溶接ワイヤのインチングを開始するインチング開始教示ステップとして抽出する。
次に、S30以下を、先の例とともに説明する。
(S30)
S30では、軌道計画部23は、S18で溶接開始トリガ要求を受け取っているため、溶接開始を行う教示ステップとしてスタック最上段の教示ステップのステップ番号とともに、溶接開始トリガ要求を現在位置監視部27に通知する。先の例では、軌道計画部23は、溶接開始を行う教示ステップとしてスタック最上段の教示ステップ(第3教示ステップA3)のステップ番号を、現在位置監視部27に通知することになる。
なお、この溶接ロボット制御装置20では、上記したような教示ステップの所要時間やインチング時間に基づいてインチング制御を開始する教示ステップを求める処理と、実際に溶接トーチ14が教示データに基づいて動作制御される処理とは、ある時間差が生じるように制御される。溶接トーチ14の教示データに基づく動作制御がリアルタイムあるいはそれに近い速度で処理されると、インチング制御を開始する教示ステップを求める処理が算出することができなくなるからである。
(S32)
現在位置監視部27は、各駆動モータ16に設けられている図示しないロータリエンコーダの検出信号による座標情報に基づいて溶接トーチ14の現在位置がどの教示ステップにおける位置にあるかの監視を行う。すなわち、現在位置監視部27は溶接トーチ14の各教示ステップへの到達監視を行う。
(S34)
そして、現在位置監視部27は、現在進行中の教示ステップにインチング開始トリガ要求が含まれており、現在進行中の教示ステップにおいて、当該教示ステップの残時間がインチング時間より小さいか否かを判定する。
現在進行中の教示ステップにインチング開始トリガ要求が含まれており、次の教示ステップへ到達するまでの残時間が、通知されたインチング開始時間よりも短くなった場合、S36に移行する。
ここで、次の教示ステップへ到達するまでの残時間が、通知されたインチング開始時間と等しいタイミングがインチング開始タイミングに相当する。
先の例では、現在位置監視部27は、現在進行中の教示ステップが、例えば、第1教示ステップA1の場合は、S34の判定を「NO」とする。そして、現在進行中の教示ステップが第2教示ステップT2の場合は、第2教示ステップT2にはインチング開始トリガ要求が含まれるため、現在位置監視部27は、図5に示すように、現在点aにおける溶接トーチ14において次の第3教示ステップA3に到達するまでの到達時間Ta(残時間)が新たに置換されたインチング時間(T−T3)より小さいか否かを判別し、到達時間Ta(残時間)が小さくない場合には、S34の判定を「NO」とする。
そして、現在位置監視部27は、図5に示すように、現在点aにおける溶接トーチ14において次の第3教示ステップA3に到達するまでの到達時間Ta(残時間)が新たに置換されたインチング時間(T−T3)より小さくなった場合、S34の判定を「YES」とし、S36に移行する。この例では、現在点aにおける溶接トーチ14において次の第3教示ステップA3に到達するまでの到達時間Ta(残時間)が新たに置換されたインチング時間(T−T3)と等しいタイミングがインチング開始タイミングに相当する。
(S36)
S36では、現在位置監視部27は、溶接制御部28に設定されたインチング速度でのインチング開始を指令する。これにより、溶接制御部28では、溶接電源装置30を介してワイヤ送給装置40のモータ43を駆動制御し、溶接ワイヤ13のインチング制御が開始される。このインチング制御は、予め設定されたインチング時間行われる。すなわち、次の溶接区間の溶接開始点に溶接トーチ14が到達するまで行われる。
(S38)
S38では、現在位置監視部27は、現在進行中の教示ステップに溶接開始トリガ要求が含まれ、かつ溶接トーチ14が次の溶接区間の溶接開始点に到達したか否かを判別する。
現在進行中の教示ステップに溶接開始トリガ要求が含まれ、かつ溶接トーチ14が溶接開始点に到達した場合(S38:YES)、S40に移行する。
(S40)
S40では、現在位置監視部27は、溶接の開始を溶接制御部28に通知する。これにより、溶接制御部28は、溶接電源装置30にその旨を通知する。
(S42)
また、S42では、溶接電源装置30は、ワイヤ送給装置15にワイヤ17を当初では、スローダウンで送り出す旨の指示を出力し、これにより、ワイヤ送給装置15から溶接ワイヤ13がインチング速度よりも遅いスローダウンで正送給される。また、溶接電源装置30によって溶接トーチ14とワークWとの間に所定の電圧が印加されることにより、アークが発生し、溶接が開始される。さらに溶接電源装置30は、スローダウン制御を所定時間行った後は、スローダウンよりも送給速度が速い通常送給制御で、ワイヤ送給装置40を制御して溶接ワイヤ13を送給する。
図6は、上記の構成された溶接ロボット制御装置20により、溶接終了後に溶接ワイヤ13がリトラクトされた後に、次の溶接区間の溶接開始点において、溶接開始がされるまでの、ワイヤ送給速度と、溶接トーチ14の速度(図6では、TCP(エンドエフェクタの中心点)速度)とワイヤ送給速度のタイムチャートの例である。
図3のフローチャートのS18において、インチング開始トリガ要求の教示ステップがあると、図6では、S1において、溶接トーチ14はTCP速度がアプローチ速度で、当該教示ステップの教示点へ移動する。
そして、この後、溶接開始ステップ(教示ステップ)へ到達するまでの時間がインチング時間Tよりも短くなったとき(S2)に、溶接ワイヤ13のインチングがインチング速度で開始される。このインチングにより、送給経路における溶接ワイヤ13の遊びが解消される。また、このとき、設定するワイヤ送給速度(インチング速度)・インチング時間を大きく設定すれば溶接ワイヤ13の溶接トーチ14からの突き出し長が長くなり、スローダウン時間を短くすることもできる。
S3の溶接トーチ14が溶接開始点に達すると、ワイヤ送給速度は、インチング速度よりも遅いスローダウン速度となる。
前記実施形態は、下記の特徴がある。
(1) 本実施形態の溶接ロボット制御装置20は、リトラクト後に、教示ステップ抽出部として、複数の教示ステップの配列順とは逆の順に、各教示ステップについて溶接トーチ14が各教示ステップの開始タイミングから溶接開始位置(溶接開始点)に移動するのに要する溶接トーチ移動時間を、予め設定されるとともに溶接ワイヤの送給経路の遊びを解消するインチング時間(例えばT,T−T3)と比較し、溶接トーチ移動時間がインチング時間(T,T−T3)よりも大きい教示ステップを、溶接ワイヤ13のインチングを開始するインチング開始教示ステップとして抽出する。また、溶接ロボット制御装置20は、インチング開始タイミング設定部として、前記インチング開始教示ステップの開始タイミングから、当該インチング開始教示ステップの前記溶接トーチ移動時間と前記インチング時間との差の時間が経過したタイミングを前記溶接ワイヤのインチング開始タイミングとして設定する。
そして、溶接ロボット制御装置20は、インチング開始制御部として、溶接トーチ14が、溶接終了点の位置(溶接終了位置)から前記設定されたインチング開始タイミングの位置に移動した時に溶接ワイヤ13のインチングを開始させる。
この結果、本実施形態の溶接ロボット制御装置20によれば、溶接終了後に溶接ワイヤのリトラクトを行っても、リトラクトされた溶接ワイヤを次には送給経路の遊びを解消するインチングを行うため、無駄時間を抑制しつつ、溶接終了後の溶着により溶接が停止してしまうチョコ停を防止できる。また、次の溶接区間では良好なアークスタートを得ることができ、この結果、生産効率と溶接施工品質を向上することができる。
(2) 本実施形態の溶接ロボット制御装置20は、教示ステップ抽出部として機能するとき、ステップ移動時間算出部として、複数の教示ステップの配列順とは逆の順に各教示ステップについて、溶接トーチ14が各教示ステップを開始するタイミングから終了するタイミングまでに要するステップ移動時間(例えば、T2,T3等)を算出する。さらに、溶接ロボット制御装置20は、教示ステップ抽出部として機能するとき、判別部として、算出されたステップ移動時間が各教示ステップに設定されるインチング開始判別時間よりも小さいか否かを判別する。
また、溶接ロボット制御装置20は、インチング開始判別時間設定部として、判別部で判別を行う最初の教示ステップに対するインチング開始判別時間としてインチング時間Tを設定し、判別部でステップ移動時間が前記インチング開始判別時間(インチング時間T)よりも小さいと判別されると、当該インチング開始判別時間と当該ステップ移動時間との差分(例えば、T−T3)を次の教示ステップに対するインチング開始判別時間に設定する。また、溶接ロボット制御装置20は、ステップ抽出部として、判別部によりステップ移動時間(例えば、T2,T3等)がインチング開始判別時間(T,T−T3)よりも大きいと判別されると、当該ステップ移動時間を有する教示ステップをインチング開始教示ステップとして抽出する。
また、溶接ロボット制御装置20は、インチング開始タイミング設定部として、ステップ抽出部で抽出されたインチング開始教示ステップの開始タイミングから、当該インチング開始教示ステップのステップ移動時間とインチング開始判別時間との差の時間が経過したタイミングをインチング開始タイミングとして設定する。この結果、本実施形態の溶接ロボット制御装置20によれば、(1)の効果を容易に実現することができる。
(3) 本実施形態の溶接ロボットの制御方法は、リトラクト後に、教示ステップ抽出工程として、複数の教示ステップの配列順とは逆の順に、各教示ステップについて溶接トーチ14が各教示ステップの開始タイミングから溶接開始位置(溶接開始点)に移動するのに要する溶接トーチ移動時間を、予め設定されるとともに溶接ワイヤの送給経路の遊びを解消するインチング時間(例えばT,T−T3)と比較し、溶接トーチ移動時間がインチング時間(T,T−T3)よりも大きい教示ステップを、溶接ワイヤ13のインチングを開始するインチング開始教示ステップとして抽出する。また、本実施形態の制御方法は、インチング開始タイミング設定工程として、前記インチング開始教示ステップの開始タイミングから、当該インチング開始教示ステップの前記溶接トーチ移動時間と前記インチング時間との差の時間が経過したタイミングを前記溶接ワイヤのインチング開始タイミングとして設定する。さらに、本実施形態の制御方法は、インチング開始制御工程として、溶接トーチ14が溶接終了点の位置(溶接終了位置)からインチング開始タイミング設定工程で設定されたタイミングの位置に移動した時に溶接ワイヤ13のインチングを開始させる。この結果、本実施形態の制御方法によれば、溶接終了後に溶接ワイヤのリトラクトを行っても、リトラクトされた溶接ワイヤを次には送給経路の遊びを解消するインチングを行うため、無駄時間を抑制しつつ、溶接終了後の溶着により溶接が停止してしまうチョコ停を防止できる。また、次の溶接区間では良好なアークスタートを得ることができ、この結果、生産効率と溶接施工品質を向上することができる。
(4) 本実施形態の溶接ロボットの制御方法は、教示ステップ抽出工程では、複数の教示ステップの配列順とは逆の順に各教示ステップについて、溶接トーチ14が各教示ステップを開始するタイミングから終了するタイミングまでに要するステップ移動時間(例えば、T2,T3等)を算出する。
さらに、溶接ロボットの制御方法は、インチング開始教示ステップを抽出するためのインチング開始判別時間を設定し、算出した前記ステップ移動時間を前記インチング開始判別時間と比較する処理を、前記ステップ移動時間が前記インチング開始判別時間よりも大きくなるまで繰り返す。そして、ステップ移動時間が前記インチング開始判別時間よりも大きくなった場合にそのステップ移動時間を有する教示ステップを前記インチング開始教示ステップとして抽出する。また、前記比較する処理では、最初の教示ステップに対する前記インチング開始判別時間にインチング時間Tが設定され、2番目以降の教示ステップに対する前記インチング開始判別時間に各教示ステップの前の教示ステップに対して設定された前記インチング開始判別時間と当該前の教示ステップに対して算出された前記ステップ移動時間の差の時間が設定される。
そして、インチング開始タイミング設定工程では、教示ステップ抽出工程で抽出された前記インチング開始教示ステップの開始タイミングから、当該インチング開始教示ステップの前記ステップ移動時間と前記インチング開始判別時間との差の時間が経過したタイミングを前記インチング開始タイミングとして設定する。この結果、本実施形態の方法によれば、上記(3)の効果を容易に実現できる。
本発明は、上記実施形態に限定するものではなく、下記のようにしてもよい。
・ 前記実施形態では、溶接終了時に、溶接トーチ14をリトラクト(逆送給した後、インターバルをおいて、次の溶接区間の溶接開始点から遡って、インチング時間を使用して、インチングを開始するタイミングを算出するようにした。この方法に代えて、溶接ロボット制御装置20は、溶接終了時に、溶接トーチ14をリトラクト(逆送給)し、この直後に続けてインチングを開始するようにしてもよい。この場合、インチング時間は溶接終了点毎に設定されるようにしておくとよい。すなわち、本実施形態では、溶接ロボット制御装置20は、インチング開始制御部として、溶接終了毎に溶接ワイヤ13をリトラクトした後、次の溶接区間の溶接開始位置に溶接トーチが至る前に、予め設定されたインチング時間Tで溶接ワイヤ13の送給経路の遊びを解消するインチングを行う。
図7は、リトラクトが完了した直後に、インチングをインチング速度で行った場合のタイムチャートである。このようにしても、前記実施形態と同様の効果を奏することができる。
10…マニピュレータ、13…溶接ワイヤ、
14…溶接トーチ、20…溶接ロボット制御装置。

Claims (4)

  1. 複数の教示ステップを順番に実行して溶接トーチを溶接終了位置から次の溶接区間の溶接開始位置に移動制御するとともに、溶接終了毎に溶接ワイヤをリトラクトする溶接ロボット制御装置において、
    前記複数の教示ステップの配列順とは逆の順に、各教示ステップについて前記溶接トーチが各教示ステップの開始タイミングから次の溶接区間における溶接開始位置に移動するのに要する溶接トーチ移動時間を、溶接ワイヤの送給経路の遊びを解消するインチング時間として前記溶接開始位置毎に設定されている時間のうち前記次の溶接区間における溶接開始位置のインチング時間と比較し、前記溶接トーチ移動時間が前記インチング時間よりも大きい教示ステップを、前記溶接ワイヤのインチングを開始するインチング開始教示ステップとして抽出する教示ステップ抽出部と、
    前記教示ステップ抽出部で抽出された前記インチング開始教示ステップの開始タイミングから、当該インチング開始教示ステップの前記溶接トーチ移動時間と前記次の溶接区間における溶接開始位置のインチング時間との差の時間が経過したタイミングを前記溶接ワイヤのインチング開始タイミングとして設定するインチング開始タイミング設定部と、
    前記溶接トーチが前記溶接終了位置から前記インチング開始タイミング設定部で設定されたタイミングの位置に移動した時に前記溶接ワイヤのインチングを開始させるインチング開始制御部を備えることを特徴とする溶接ロボット制御装置。
  2. 前記教示ステップ抽出部は、
    前記複数の教示ステップの配列順とは逆の順に各教示ステップについて、前記溶接トーチが各教示ステップを開始するタイミングから終了するタイミングまでに要するステップ移動時間を算出するステップ移動時間算出部と、
    前記ステップ移動時間算出部で算出された前記ステップ移動時間が各教示ステップに設定されるインチング開始判別時間よりも小さいか否かを判別する判別部と、
    前記判別部で判別を行う最初の教示ステップに対する前記インチング開始判別時間として前記次の溶接区間における溶接開始位置のインチング時間を設定し、前記判別部で前記ステップ移動時間が前記インチング開始判別時間よりも小さいと判別されると、当該インチング開始判別時間と当該ステップ移動時間との差分を次の教示ステップに対するインチング開始判別時間に設定するインチング開始判別時間設定部と、
    前記判別部により前記ステップ移動時間が前記インチング開始判別時間設定部で設定された前記インチング開始判別時間よりも大きいと判別されると、当該ステップ移動時間を有する教示ステップを前記インチング開始教示ステップとして抽出するステップ抽出部と、を含み、
    前記インチング開始タイミング設定部は、前記ステップ抽出部で抽出された前記インチング開始教示ステップの開始タイミングから、当該インチング開始教示ステップの前記ステップ移動時間と前記インチング開始判別時間との差の時間が経過したタイミングを前記インチング開始タイミングとして設定することを特徴とする請求項1に記載の溶接ロボット制御装置。
  3. 複数の教示ステップを順番に実行して溶接トーチを溶接終了位置から次の溶接区間の溶接開始位置に移動制御するとともに、溶接終了毎に溶接ワイヤをリトラクトする溶接ロボットの制御方法において、
    前記複数の教示ステップの配列順とは逆の順に、各教示ステップについて前記溶接トーチが各教示ステップの開始タイミングから次の溶接区間における溶接開始位置に移動するのに要する溶接トーチ移動時間を、溶接ワイヤの送給経路の遊びを解消するインチング時間として前記溶接開始位置毎に設定されている時間のうち前記次の溶接区間における溶接開始位置のインチング時間と比較し、前記溶接トーチ移動時間が前記インチング時間よりも大きい教示ステップを、前記溶接ワイヤのインチングを開始するインチング開始教示ステップとして抽出する教示ステップ抽出工程と、
    前記教示ステップ抽出工程で抽出された前記インチング開始教示ステップの開始タイミングから、当該インチング開始教示ステップの前記溶接トーチ移動時間と前記次の溶接区間における溶接開始位置のインチング時間との差の時間が経過したタイミングを前記溶接ワイヤのインチング開始タイミングとして設定するインチング開始タイミング設定工程と、
    前記溶接トーチが前記溶接終了位置から前記インチング開始タイミング設定工程で設定されたタイミングの位置に移動した時に前記溶接ワイヤのインチングを開始させるインチング開始制御工程を含むことを特徴とする溶接ロボットの制御方法。
  4. 前記教示ステップ抽出工程は、
    前記複数の教示ステップの配列順とは逆の順に各教示ステップについて、前記溶接トーチが各教示ステップを開始するタイミングから終了するタイミングまでに要するステップ移動時間を算出するとともに、前記インチング開始教示ステップを抽出するためのインチング開始判別時間を設定し、算出した前記ステップ移動時間を前記インチング開始判別時間と比較する処理を、前記ステップ移動時間が前記インチング開始判別時間よりも大きくなるまで繰り返し、前記ステップ移動時間が前記インチング開始判別時間よりも大きくなった場合にそのステップ移動時間を有する教示ステップを前記インチング開始教示ステップとして抽出するものであり、
    前記比較する処理においては、最初の教示ステップに対する前記インチング開始判別時間に前記次の溶接区間における溶接開始位置のインチング時間が設定され、2番目以降の教示ステップに対する前記インチング開始判別時間に各教示ステップの前の教示ステップに対して設定された前記インチング開始判別時間と当該前の教示ステップに対して算出された前記ステップ移動時間の差の時間が設定されるものであり、
    前記インチング開始タイミング設定工程は、前記教示ステップ抽出工程で抽出された前記インチング開始教示ステップの開始タイミングから、当該インチング開始教示ステップの前記ステップ移動時間と前記インチング開始判別時間との差の時間が経過したタイミングを前記インチング開始タイミングとして設定するものであることを特徴とする請求項3に記載の溶接ロボットの制御方法。
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