JP6007069B2 - 粘着シート - Google Patents

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本発明は、粘着シートに関し、さらに詳しくは、半導体ウエハ等の被加工物の一時的な表面保護、研磨、ダイシングなどの加工を行う際に、当該被加工物が固定、保持される際に好適に用いられる粘着シートに関する。
近年の半導体デバイスの小型化や高機能化によってロジックデバイスの配線ピッチは数十nmまで狭線化されてきているために配線間の絶縁膜が薄くなりリーク電流によってデバイスが破壊されるリスクが高まってきている。そのため、粘着シートにも帯電防止性能が要求されるようになってきた。
従来から、一般に、粘着シートに帯電防止性能を付与する方法としては、帯電防止剤を内部添加してなるプラスチック基材フィルムの片面に粘着剤層を設けるか、帯電防止剤を添加した粘着剤層を設けるか、あるいは、帯電防止層を設ける方法が検討されている。
このような帯電防止性能を付与した粘着シートとしては、特許文献1には、粘着剤層に導電性材料を添加し、さらに、基材と粘着剤層の間に帯電防止層を設けることで、帯電防止性能を付与した半導体ウエハ固定用の粘着シートが開示されている。また、特許文献2には、ウレタン系オリゴマーとエネルギー線重合性モノマーとリチウム(Li)塩系などの金属塩帯電防止剤を含有させた基材フィルム上に粘着剤層が設けられた粘着シートが開示されている。
しなしながら、特許文献1に記載の粘着シートのように、粘着剤層に帯電防止剤を添加すると、半導体ウエハ面に帯電防止剤が移行し、半導体デバイスの性能が低下するおそれがある。
また、特許文献2に記載の粘着シートは、金属塩帯電防止剤を基材フィルムに添加しているため、半導体加工用途において粘着シートが大量の水にさらされたり、加熱されたりすると、Liイオン等の金属イオンが溶出してしまい、所定の帯電防止性能が得られなかったり、電子移動度の高いLiイオンが析出することで半導体デバイスの性能が低下するという懸念がある。さらに、金属塩帯電防止剤は、有機材料であるウレタン系オリゴマーへの分散性が悪いため、基材フィルムの品質が安定しないという課題がある。
特開2009−260332号 特開2010−177542号
本発明は、上記のような実状に鑑みてなされたものであり、帯電防止性能を有し、且つ、金属イオンが偏析するなどの問題がない粘着シートを提供することを目的としている。
本発明は、以下の要旨を含む。
(1)基材フィルムと、前記基材フィルム上に設けられた粘着剤層とを有し、
前記基材フィルムが、エネルギー線硬化性樹脂と、イオン液体とを含む、エネルギー線硬化性組成物を製膜、硬化してなる粘着シート。
(2)前記エネルギー線硬化性樹脂が、ウレタン系オリゴマーとエネルギー線重合性モノマーとの混合物である、(1)に記載の粘着シート。
(3) 前記粘着剤層が、エネルギー線硬化型粘着剤である、(1)または(2)に記載の粘着シート。
(4)前記基材フィルムの表面抵抗値が3.0×1015Ω以下である、(1)〜(3)の何れかに記載の粘着シート。
(5)前記基材フィルムの引張弾性率が50〜800MPaである、(1)〜(4)の何れかに記載の粘着シート。
(6)前記基材フィルムの破断伸度が100%以上である、(1)〜(5)の何れかに記載の粘着シート。
(7)半導体ウエハの裏面の研削工程において、前記粘着剤層が、該半導体ウエハの回路面を保護するために該回路面に貼付される、(1)〜(6)の何れかに記載の粘着シート。
(8)半導体ウエハのダイシング工程において、前記粘着剤層が、該半導体ウエハに貼付される、(1)〜(6)の何れかに記載の粘着シート。
本発明によれば、所定の帯電防止性能を安定して得ることができ、デバイスの性能が低下することがない。また、フィルム表面にイオン性材料の偏析等が発生しないため、フィルムの表面の摩擦係数が低く、半導体加工性の高い粘着シートを得ることができる。
本発明の一実施形態に係る粘着シートの断面図である。
以下、本発明に係る粘着シートの実施の形態について、添付図面に基づいて説明する。
本発明に係る粘着シート1(以下、単に「粘着シート」ということがある。)は、基材フィルム2(以下、単に「基材」または「フィルム」ということがある。)と、前記基材フィルム上に設けられた粘着剤層3とを有する粘着シートであって、前記基材フィルムが、エネルギー線硬化性樹脂と、イオン液体とを含む、エネルギー線硬化性組成物を製膜、硬化してなることを特徴としている。
[基材フィルム]
基材フィルムは、エネルギー線硬化性樹脂と、イオン液体とを含む、エネルギー線硬化性組成物を製膜、硬化してなる。
(エネルギー線硬化性樹脂)
エネルギー線硬化性樹脂は、エネルギー線照射を受けると硬化する性質を有する。このため、適当な粘度のエネルギー線硬化性樹脂を製膜後、エネルギー線照射を行うと、硬化し、皮膜を形成することにより基材フィルムが得られる。
エネルギー線硬化性樹脂としては、例えばウレタン系オリゴマー、エポキシ変性アクリレート、テレケリックポリマーおよびこれらの混合物等が用いられ、中でも、ウレタン系オリゴマーが好ましく、粘度や反応性の制御が容易であり、得られる硬化物の応力緩和性やエキスパンド性の高い、ウレタンアクリレート系オリゴマーが特に好ましく用いられる。
ウレタンアクリレート系オリゴマーは、たとえばポリエーテル型、ポリエステル型またはポリカーボネート型などのポリオール化合物と、多価イソシアナート化合物とを反応させて得られる末端イソシアナートウレタンプレポリマーに、ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレートを反応させて得られる。なお、(メタ)アクリレートは、アクリレートとメタアクリレートの両者を含む意味で用いる。
ポリエーテル型のポリオール化合物としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のアルキレンオキシ基を含むポリオール化合物があげられる。ポリエステル型のポリオール化合物は、多塩基酸とグリコール類との縮合反応によって得られるものをいう。
多塩基酸としては、フタル酸、アジピン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、シスー3−メチルー4−4シクロヘキセンーシス、シスー1,2−ジカルボン酸無水物、ジメチルテレフタル酸、モノクロルフタル酸、ジクロルフタル酸、トリクロルフタル酸、テトラブロムフタル酸等の一般的に公知な多塩基酸が用いられる。
グリコール類としては、特に限定されず、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6ヘキサンジオール等が挙げられる。
その他にポリエステル型のポリオール化合物としては、前述グリコール類とε-カプロラクトンとの開環重合により得られるポリカプロラクトンジオール等があげられる。
カーボネート型のポリオール化合物としては、1,4−テトラメチレンカーボネートジオール、1,5−ペンタメチレンカーボネートジオール、1,6−ヘキサメチレンカーボネートジオール、1,2−プロピレンカーボネートジオール、1,3−プロピレンカーボネートジオール、2,2−ジメチルプロピレンカーボネートジオール、1,7−ヘプタメチレンカーボネートジオール、1,8−オクタメチレンカーボネートジオール、1,9−ノナンメチレンカーボネートジオール、1,4−シクロヘキサンカーボネートジオール等があげられる。
ポリオール化合物は、1種単独で用いてもよく、また2種以上を併用してもよい。上記ポリオール化合物は、多価イソシアナート化合物との反応により、末端イソシアナートウレタンプレポリマーを生成する。
多価イソシアナート化合物としては、たとえば4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、2,4−トリレンジイソシアナート、2,6−トリレンジイソシアナート、1,3−キシリレンジイソシアナート、1,4−キシリレンジイソシアナート、ジフェニルメタン4,4’−ジイソシアナートなどが用いられ、特に好ましくは4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、テトラメチレンジイソシアナート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、ノルボルナンジイソシアナート、ジシクロへキシルメタン‐2,4’-ジイソシアナート等が用いられる。
次いで、上記ポリオール化合物と、上記多価イソシアナート化合物との反応により得られる末端イソシアナートウレタンプレポリマーとヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレートとを反応させて、ウレタンアクリレート系オリゴマーが得られる。ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレートとしては、1分子内にヒドロキシル基および(メタ)アクリロイル基を有する化合物であれば特に限定されず、たとえば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシシクロオクチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等のヒドロキシルアルキル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等などが用いられる。
得られるウレタンアクリレート系オリゴマーは、分子内に光重合性の二重結合を有し、エネルギー線照射により重合硬化し、皮膜を形成する性質を有する。
本発明で好ましく用いられるウレタンアクリレート系オリゴマーの重量平均分子量は、1000〜50000、さらに好ましくは2000〜40000の範囲にある。上記のウレタンアクリレート系オリゴマーは一種単独で、または二種以上を組み合わせて用いることができる。
上記のようなウレタンアクリレート系オリゴマーのみでは、製膜が困難な場合が多いため、本発明では、エネルギー線硬化性樹脂が、ウレタン系オリゴマーとエネルギー線重合性のモノマーとの混合物であることが好ましい。エネルギー線重合性のモノマーが含まれることにより、粘度を調整することができ、製膜が容易となる。エネルギー線重合性モノマーは、分子内にエネルギー線重合性の二重結合を有し、特に本発明では、比較的嵩高い基を有するアクリルエステル系化合物が好ましく用いられる。
エネルギー線重合性のモノマーの具体例としては、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシ(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、アダマンタン(メタ)アクリレート、トリシクロデカンアクリレートなどの脂環式化合物、フェニルヒドロキシプロピルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェノールエチレンオキシド変性アクリレートなどの芳香族化合物、もしくはテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、モルホリンアクリレート、N−ビニルピロリドンまたはN−ビニルカプロラクタムなどの複素環式化合物が挙げられる。また必要に応じて多官能(メタ)アクリレートを用いてもよい。このようなエネルギー線重合性モノマーは単独で、あるいは複数を組合せて用いても良い。
上記エネルギー線重合性モノマーは、ウレタンアクリレート系オリゴマー100質量部に対して、好ましくは5〜900質量部、さらに好ましくは10〜500質量部、特に好ましくは30〜200質量部の割合で用いられる。エネルギー線重合性樹脂は、好ましくはウレタンアクリレート系オリゴマーとエネルギー線重合性モノマーとを含む。
また、エネルギー線重合性樹脂は、上記ウレタンアクリレート系オリゴマー、エネルギー線重合性モノマーの他にも、前述したように、エポキシ変性アクリレート、テレケリックポリマーを用いることもできる。
エポキシ変性アクリレートとしては、ビスフェノールA変性エポキシアクリレート、グリコール変性エポキシアクリレート、プロピレン変性エポキシアクリレート、フタル酸変性エポキシアクリレート等が挙げられる。
テレケリックポリマーとしては、分子の両末端に(メタ)アクリロイル基等の重合性の二重結合を有する基を有するポリマーであり、シリコーン型テレケリックアクリレート、ウレタン型テレケリックアクリレート等が挙げられる。
エネルギー線重合性樹脂は、エネルギー線照射により重合、硬化し、フィルムなどの硬化物を生成する。エネルギー線が紫外線である場合には、光重合開始剤を配合することにより、紫外線による重合硬化時間ならびに紫外線照射量を少なくすることができる。このような光重合開始剤としては、ベンゾイン化合物、アセトフェノン化合物、アシルフォスフィノキサイド化合物、チタノセン化合物、チオキサントン化合物、パーオキサイド化合物等の光開始剤、アミンやキノン等の光増感剤などが挙げられ、具体的には1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、アゾビスイソブチロニトリル、ジベンジル、ジアセチル、β-クロールアントラキノンなどが挙げられる。
光重合開始剤の使用量は、エネルギー線重合性樹脂100質量部に対して、好ましくは0.05〜15質量部、さらに好ましくは0.1〜10質量部、特に好ましくは0.3〜5質量部である。
(イオン液体)
「イオン液体」は、常温溶融塩ともいわれ、広い温度領域において液体で存在し得る塩いう。特に、本発明においては、室温(例えば25℃)で液状を呈する溶融塩をいう。
イオン液体は、室温にて液状であるため、固体の塩と比べて、エネルギー線硬化性樹脂に添加する場合に、相溶性に優れ、添加および分散または溶解が容易に行える。
イオン液体をエネルギー線硬化性樹脂に添加することで、イオン種が直接基材フィルム内部を移動し、帯電防止性能を付与することができる。
イオン液体は極性の高い成分であるため、ウレタン系オリゴマーとの相溶性が高く、透明性に優れるフィルムを得ることが出来る。
本発明に用いるイオン液体は、室温で液状を呈する溶融塩であれば、特に限定されず、リチウムイオン等の金属イオン以外のカチオン成分とアニオン成分とから構成されるものを使用することができ、公知または市販のものが使用できる。
上記カチオン成分としては、例えば、ピリジニウム、アルキルピリジニウム、ピリミジニウム、ピラゾリウム、ピロリジニウム、ピペリジニウム、環状のピロリジニウム等のピリジニウム系;イミダゾリウム、ジアルキルイミダゾリウム等のイミダゾリウム系;テトラアルキルアンモニウム系のアミン系;ホスホニウム、トリアルキルスルホニウム、テトラアルキルホスホニウム等のフォスフィン系;の、イオン液体を構成するカチオン成分として従来知られるものを使用することができる。これらの中でも、安価で種類が豊富な点から、カチオン成分としては、イミダゾリウム系とピリジニウム系が好ましい。
また、上記アニオン成分としては、例えば、Cl、Br、I、AlCl 、AlCl 、BF 、PF 、ClO 、NO 、CHCOO、CFCOO、CHSO 、CFSO 、(FSO、(CFSO、(CFSO、AsF 、SbF 、NbF 、TaF 、F(HF) 、(CN)、CSO 、(CSO、CCOO、(CFSO)(CFCO)N等が用いられる。
より具体的には、下記一般式(1)〜(5)に示すような化合物が挙げられる。
Figure 0006007069
式(1)において、R〜Rは、それぞれ同じであっても、異なっていてもよく、水素原子または炭素数1〜20のアルキル基である。Xは、Cl、Br、I、AlCl、AlCl、BF、PF、ClO、NO、CHCOO、CFCOO、CHSO、CFSO、(FSON、(CFSON、(CFSOC、AsF、SbF、NbF、TaF、F(HF)、(CN)N、CSO、(CSON、CCOO、(CFSO)(CFCO)Nである。
Figure 0006007069
式(2)において、R〜R10は、それぞれ同じであっても、異なっていてもよく、水素原子または炭素数1〜20のアルキル基である。Xは、式(1)のXと同じ。
Figure 0006007069
式(3)において、R11〜R16は、それぞれ同じであっても、異なっていてもよく、水素原子または炭素数1〜20のアルキル基である。Xは、式(1)のXと同じ。
Figure 0006007069
式(4)において、R17〜R20は、それぞれ同じであっても、異なっていてもよく、水素原子または炭素数1〜20のアルキル基である。Yは、窒素原子またはリン原子である。Xは、式(1)のXと同じ。
Figure 0006007069
式(5)において、R21〜R22は、それぞれ同じであっても、異なっていてもよく、水素原子または炭素数1〜20のアルキル基である。Xは、式(1)のXと同じ。
上記のようなイオン液体の具体例としては、公知または市販のものが使用でき、市販品としては、例えば、広栄化学工業(株)製のIL−Aシリーズ、IL−Pシリーズ、IL−APシリーズ、IL−IMシリーズ、IL−Cシリーズ等が挙げられる。
イオン液体の配合量は、好ましくは、エネルギー線硬化性樹脂組成物の全量100質量%に対して1.0〜50質量%、より好ましくは2.0〜20質量%である。イオン液体の配合量を上記範囲とすることで十分な帯電防止性能を付することができる。
なお、イオン液体の配合量が1.0質量%未満であると、塗膜に十分な帯電防止性能が発現されず、表面抵抗値、帯電圧が全く下がらない傾向がある。イオン液体の配合量が50質量%を超えると、半導体加工用の粘着シートの基材として使用する場合に、基材フィルムの引張弾性率が低下したり、エネルギー線硬化性樹脂との相溶性が悪く、フィルムの透明性が低下したりするため、好ましくない。
本発明に用いるイオン液体は、カチオン成分として金属イオンが含まれないため、例えば、粘着シートが半導体加工用に用いられる場合に、粘着シートが大量の水にさらされたり、加熱されたりしても、基材フィルム表面に金属イオンが溶出し、所定の帯電防止性能が得られなかったり、電子移動度の高いLiイオンが析出することで半導体デバイスの性能が低下することを防止することが出来る。
(エネルギー線硬化性組成物)
エネルギー線硬化性組成物は、上記したエネルギー線硬化性樹脂と、イオン液体と、必要に応じて光重合開始剤とを含む。
エネルギー線硬化性組成物は、25℃における粘度が好ましくは100〜5,000,000mPa・s、より好ましくは300〜2,000,000mPa・s、さらに好ましくは500〜1,000,000mPa・sの範囲になるように成分比を調整されてなる。また、60℃における粘度が、好ましくは100〜200,000mPa・s、さらに好ましくは300〜100,000mPa・sの範囲になるように成分比を調整されてなる。エネルギー線硬化性組成物の粘度は、低分子量化合物が多いほど低下し、高分子量体が多いほど増加する傾向にあり、各成分の配合比によって粘度を制御できる。粘度が低すぎる場合には、厚膜の塗工が困難になり、所望の厚みのフィルムが得られないことがある。また、粘度が高すぎる場合には、塗工自体が困難になることがある。
エネルギー線硬化性組成物は、溶媒等を含む必要はないが、粘度を調整するために少量の溶媒が含まれていてもよい。エネルギー線硬化性組成物が溶媒を含む場合には、エネルギー線硬化性組成物の塗工後に、溶媒を除去するための工程が必要になることがある。したがって、粘度調整に用いられる溶媒は少量であり、エネルギー線硬化性組成物100質量部に対し、70質量部未満の割合で含まれていてもよい。
また、エネルギー線硬化性組成物には、性能を損なわない範囲で、無機フィラー、金属フィラー、酸化防止剤、有機滑剤、着色剤等が添加されていてもよい。
(基材フィルムの製造方法)
製膜方法としては、流延製膜(キャスト製膜)と呼ばれる手法が好ましく採用できる。具体的には、上記エネルギー線硬化性樹脂と上記イオン液体とを含む、エネルギー線硬化性組成物を、たとえば工程シート上に薄膜状にキャストした後に、塗膜に紫外線、電子線などのエネルギー線を照射して重合硬化させてフィルム化することで本発明で用いる基材フィルムを製造できる。また、エネルギー線照射して塗膜を半硬化後、半硬化した塗膜上にさらに工程シートを重ね、さらにエネルギー線を照射し硬化させてフィルム化することで基材フィルムを製造してもよい。
このような製法によれば、製膜時に樹脂にかかる応力が少なく、フィッシュアイの形成が少ない。また、膜厚の均一性も高く、厚み精度は、通常3%以内になる。このように製造されたフィルムは、破断伸度は大きくなる。また、別の製膜方法として、Tダイやインフレーション法による押出成形やカレンダー法により製造することもできる。
エネルギー線としては、通常、紫外線、電子線等が用いられる。エネルギー線の照射量は、エネルギー線の種類によって異なるが、例えば紫外線の場合には、光量で10〜2000mJ/cm程度が好ましく、電子線の場合には、10〜1000krad程度が好ましい。紫外線照射は、有電極タイプであるメタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、無電極タイプであるHバルブ、Dバルブ等を用いた紫外線ランプ、キセノンランプ等によって行うことができる。
基材フィルムは、上記エネルギー線硬化性樹脂と上記イオン液体とを含む、エネルギー線硬化性組成物を製膜、硬化してなるため、所定の帯電防止性能を有している。具体的には、基材フィルムの粘着剤層が設けられた面とは反対側の面の表面抵抗値は、好ましくは3.0×1015Ω以下であり、より好ましくは1.0×1013Ω以下、さらに好ましくは1.0×1012である。表面抵抗値が3.0×1015Ω以下のフィルムは、半導体加工用に用いられる粘着シートの基材として用いた場合、粘着シートが帯電しにくく、後述の粘着シートが帯電することで発生するリーク電流によりデバイスの回路が破壊される等のリスクを低減させることができる。また、作業工程において静電引力によってシートにダストが吸着されないため好ましい。
また、基材フィルムに10kVの電圧を60秒間印加した時の帯電圧は、好ましくは、3.0kV以下であり、より好ましくは2.0kV以下であり、さらに好ましくは1.0kV以下である。
基材フィルムの引張弾性率は、好ましくは1〜1000MPa、より好ましくは50〜800MPa、さらに好ましくは100〜500MPaである。引張弾性率が上記範囲のフィルムは、ブレードやレーザー光によるダイシング工程で使用される粘着シートの基材に用いた場合に、被加工物表面の凹凸に追従し凹凸差を吸収できるため、被加工物表面の凹凸に影響されることなく被加工物を保持できるため、被加工物を切断して形成したチップの欠けや割れを抑制できる。
基材フィルムの破断伸度は、100%以上であることが好ましく、120%以上であることがさらに好ましい。破断伸度が100%以上のフィルムは、半導体加工用ダイシングシートの基材として用いた場合、ダイシングを行った後にダイシングシートを引き伸ばした際に破断しにくく、被加工物を切断して形成したチップを離間しやすくなり好ましい。
基材フィルムの厚みは特に制限されないが、作業性などの面から、通常は10〜1000μm、好ましくは30〜500μm、さらに好ましくは50〜300μmである。
基材フィルムの表面の静摩擦係数は特に制限されないが、作業性などの面から、通常は3.0以下、好ましくは2.0以下となる。
[粘着シート]
本発明に係る粘着シートは、上記のようなフィルムの少なくとも片面に設けられた粘着剤層を有している。
また、粘着剤層が設けられる基材フィルム表面には、粘着剤層との密着性を向上するために、コロナ処理を施したり、プライマー層を設けてもよい。また、粘着剤層とは反対のシート面に各種の塗膜を塗工してもよい。
(粘着剤層)
粘着剤層は、半導体ウエハに対し適度な再剥離性があればその種類は特定されず、従来より公知の種々の粘着剤により形成され得る。このような粘着剤としては、何ら限定されるものではないが、たとえばゴム系、アクリル系、シリコーン系、ポリビニルエーテル等の粘着剤が用いられる。また、エネルギー線の照射により硬化して再剥離性となるエネルギー線硬化型粘着剤や、加熱発泡型、水膨潤型の粘着剤も用いることができ、好ましくエネルギー線硬化型粘着剤である。これらの粘着剤は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる
アクリル系粘着剤としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル共重合体を主剤とするものが挙げられる。(メタ)アクリル酸エステル共重合体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ミリスチル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸プロピル、メタアクリル酸ブチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸イソボルニルなどの官能基を持たないアルキル基よりなる(メタ)アクリル酸アルキルエステルの1種以上の単量体と、必要に応じて、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−3−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−3−ヒドロキシブチル、アクリル酸−4−ヒドロキシブチル、メタアクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタアクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、メタアクリル酸−3−ヒドロキシプロピル、メタアクリル酸−3−ヒドロキシブチル、メタアクリル酸−4−ヒドロキシブチルなどの水酸基含有(メタ)アクリル酸アルキルエステル;アクリル酸、メタアクリル酸、マレイン酸、フマル酸などのカルボキシル基含有化合物;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアノ基含有化合物;アクリルアミドなどのアミド基含有化合物;スチレン、ビニルピリジンなどの芳香族化合物などの重合性単量体から選ばれる1種以上の単量体の共重合体などが挙げられる。なお、重合性単量体が1種である場合には狭義の共重合体ではないが、そのような場合も含めて共重合体と総称する。また、(メタ)アクリルは、アクリルとメタアクリルの両者を含む意味で用いる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体における官能基を持たないアルキル基よりなる(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する単位の含有割合は、10〜98質量%が好ましく、20〜95質量%がより好ましく、50〜93質量%がさらに好ましい。(メタ)アクリル酸エステル共重合体の重量平均分子量は、10万〜250万が好ましく、20万〜150万がより好ましく、30万〜100万が特に好ましい。
アクリル系粘着剤は、(メタ)アクリル酸エステル共重合体を、ポリイソシアナート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤、キレート系架橋剤などの架橋剤の1種以上で架橋させて得られるものであってもよい。架橋剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。架橋剤の使用量は、(メタ)アクリル酸エステル共重合体100質量部に対して、0.01〜20質量部が好ましい。
エポキシ系架橋剤としては、(1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N',N'−テトラグリジル−m−キシリレンジアミン、N,N,N',N'−テトラグリジルアミノフェニルメタン、トリグリシジルイソシアネート、m−N,N−ジグリシジルアミノフェニルグリシジルエーテル、N,N−ジグリシジルトルイジン、N,N−ジグリシジルアニリン、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル等が挙げられる。
ポリイソシアナート系架橋剤としては、トリレンジイソシアナート(TDI)、ヘキサメチレンジイソシアナート(HMDI)、イソホロンジイソシアナート(IPDI)、キシリレンジイソシアナート(XDI)、水素化トリレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート及びその水添体、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアナート、ナフチレン−1,5−ジイソシアナート、ポリイソシアナートプレポリマー、ポリメチロールプロパン変性TDIなどが挙げられる。
エネルギー線硬化型粘着剤としては、従来より公知のガンマ線、電子線、紫外線、可視光等のエネルギー線の照射により硬化する種々のエネルギー線硬化型粘着剤により形成され得るが、特に紫外線硬化型粘着剤を用いることが好ましい。
このようなエネルギー線硬化型粘着剤の具体例は、たとえば特開昭60−196956号公報および特開昭60−223139号公報に記載されているが、より具体的には、例えば、アクリル系粘着剤に、多官能エネルギー線硬化樹脂を混合した粘着剤が挙げられる。多官能エネルギー線硬化樹脂としては、エネルギー線重合性の官能基を複数有する低分子化合物、ウレタンアクリレートオリゴマーなどが挙げられる。また、エネルギー線硬化型粘着剤としては、側鎖にエネルギー線重合性の官能基を有するアクリル系共重合体を含む粘着剤も用いることができる。このようなエネルギー線重合性官能基としては(メタ)アクリロイル基が好ましい。
粘着剤層のガラス転移温度(Tg)は、−50℃〜30℃が好ましく、−25℃〜0℃であることが好ましい。粘着剤層のガラス転移温度(Tg)が上記範囲であれば、適度なタックを有し、半導体ウエハに対して常温で貼付可能であるため好ましい。ここで、粘着剤層のTgとは、粘着剤層を積層させた試料の周波数11Hzでの動的粘弾性測定において、−80〜50℃の領域で損失正接(tanδ)が最大値を示す温度を指す。なお、粘着剤層がエネルギー線硬化型粘着剤である場合には、エネルギー線照射により粘着剤層を硬化させる前のガラス転移温度を指す。
粘着剤層の厚さは特に限定されないが、好ましくは1〜100μm、さらに好ましくは3〜80μm、特に好ましくは5〜50μmである。
なお、粘着剤層には、その使用前に粘着剤層を保護するために剥離シートが積層されていてもよい。剥離シートは、特に限定されるものではなく、剥離シート用基材に剥離剤で処理したものを使用することができる。剥離シート用基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン等の樹脂からなるフィルムまたはそれらの発泡フィルムや、グラシン紙、コート紙、ラミネート紙等の紙が挙げられる。剥離剤としては、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル基含有カルバメート等の剥離剤が挙げられる。
基材表面に粘着剤層を設ける方法は、剥離シート上に所定の膜厚になるように塗布し形成した粘着剤層を基材表面に転写しても構わないし、基材表面に直接塗布して粘着剤層を形成しても構わない。
(粘着シートの製造)
本発明の粘着シートは、基材フィルム上に、粘着剤層を形成する粘着剤を公知の塗工装置により適宜の厚さに塗布、乾燥し、80〜150℃程度の温度で加熱することにより各成分の反応性官能基および架橋性基を架橋することで製造できる。塗工装置としては、ロールコーター、ナイフコーター、ロールナイフコーター、ファウンテンダイコーター、スロットダイコーター、リバースコーターなどが挙げられる。粘着剤層上には、粘着剤面を保護するために剥離シートを貼り合わせることが好ましい。また粘着剤層を剥離シート上に設け、さらに基材に転写することで製造してもよい。
本発明に係る粘着シートは、テープ状、ラベル状などあらゆる形状をとり得る。また、被着体の形状に予め型抜きされた粘着シートが剥離シート上に保持された形状(プリカット形状)であっても良い。プリカット形状の粘着シートは、剥離シートが積層された粘着シートを、粘着シートのみを被着体形状に完全に打ち抜き、剥離シートは完全には切断しない方法、いわゆるハーフカット法により得られる。この際、粘着シートを完全に切断するため、剥離シートにも若干切り込むことが好ましい。しかし、剥離シートを過度に切り込むと、強度が低下し、操作性が損なわれるため、剥離シートへの切り込み深さは剥離シートの全厚の30%以下、さらに好ましくは20%以下とする。
上記のように、基材フィルムが帯電防止性能を安定して有しているため、本発明の粘着シートは帯電しにくく、半導体加工用に用いた場合に、ウエハから粘着シートを剥離する際に生じる静電気により粘着シートが帯電することで発生するリーク電流によりデバイスが破壊されるリスクを低減させることができ、作業工程において静電引力によってシートにダストが吸着されない。また、エキスパンド性や応力緩和性に優れることから、特に半導体ウエハの裏面研削時に回路面を保護する表面保護シートやダイシングシートなどの各種の半導体加工用の粘着シートとして好ましく用いられる。
[半導体ウエハの加工方法]
本発明の粘着シートは、下記に示すように半導体ウエハの加工に用いることが出来る。
(半導体ウエハの裏面研削方法)
本発明の粘着シートは半導体ウエハの裏面研削時に回路面を保護する表面保護シートとして使用することができる。表面保護シートとして使用する際は、半導体ウエハの裏面研削において、表面に回路が形成された半導体ウエハの回路面に粘着シートを貼付して回路面を保護しつつウエハの裏面を研削し、所定厚みのウエハとする。
半導体ウエハはシリコンウエハであってもよく、またガリウム・砒素などの化合物半導体ウエハであってもよい。ウエハ表面への回路の形成はエッチング法、リフトオフ法などの従来より汎用されている方法を含む様々な方法により行うことができる。半導体ウエハの回路形成工程において、所定の回路が形成される。このようなウエハの研削前の厚みは特に限定はされないが、通常は500〜1000μm程度である。また、半導体ウエハの表面形状は特に限定はされないが、本発明の粘着シートは、特に回路表面にバンプが形成されたウエハの表面保護に好ましく用いられる。
裏面研削は粘着シートが貼付されたままグラインダーおよびウエハ固定のための吸着テーブル等を用いた公知の手法により行われる。裏面研削工程の後、研削によって生成した破砕層を除去する処理が行われてもよい。裏面研削後の半導体ウエハの厚みは、特に限定はされないが、好ましくは10〜300μm、特に好ましくは25〜200μm程度である。
裏面研削工程後、回路面から粘着シートを剥離する。本発明の粘着シートによれば、上記エネルギー線硬化性樹脂と上記イオン液体とを含む、エネルギー線硬化性組成物を製膜、硬化してなる基材フィルムを用いているため、粘着シートが帯電しにくく、回路面から粘着シートを剥離する際に生じる静電気により粘着シートが帯電することで発生するリーク電流によりデバイスの回路が破壊される等のリスクを低減させることができる。また、本発明の粘着シートによれば、カチオン成分として金属イオンが含まれないイオン液体を使用しているため、裏面研削工程の際に、粘着シートが大量の水にさらされても、Liイオン等の金属イオンが析出することがなく、金属イオンによる半導体デバイスの性能が低下することを防止できる。また、作業工程において静電引力によって粘着シートにダストが吸着することを防止できる。さらに、ウエハの裏面研削時にはウエハを確実に保持し、また切削水の回路面への浸入を防止できる。
(半導体ウエハのダイシング方法)
本発明の粘着シートはダイシングシートとして使用することもできる。
ダイシングシートとして使用する際は、半導体ウエハのダイシング工程において、ウエハに本発明の粘着シートを貼付して、ウエハを切断する。その後、所定の方法でチップのピックアップを行う。ダイシングシートの貼付は、マウンターと呼ばれる装置により行われるのが一般的だが特に限定はされない。
半導体ウエハの切断手段は特に限定はされない。一例としてウエハの切断時にはダイシングテープの周辺部をリングフレームにより固定した後、ダイサーなどの回転丸刃を用いるなどの公知の手法によりウエハのチップ化を行う方法などが挙げられる。またレーザー光を用いたダイシング法であってもよい。
本発明の粘着シートを用いることで、カチオン成分として金属イオンが含まれないイオン液体を使用しているため、ダイシング工程の際に、粘着シートが大量の水にさらされても、Liイオン等の金属イオンが析出することがなく、金属イオンによる半導体デバイスの性能が低下することを防止できる。また、チップのピックアップの際に発生する静電気により、デバイスの回路が破壊される等のリスクを低減させることができる。さらに、作業工程において静電引力によって粘着シートにダストが吸着することを防止できる。
(半導体ウエハの先ダイシング方法)
さらにまた、本発明の粘着シートは、いわゆる先ダイシング法によるウエハのチップ化において好ましく用いられ、具体的には、
回路が表面に形成された半導体ウエハ表面からそのウエハ厚さよりも浅い切込み深さの溝を形成し、
該回路形成面に、表面を保護するために上記粘着シートを貼付し、
その後上記半導体ウエハの裏面研削をすることでウエハの厚みを薄くするとともに、最終的には個々のチップへの分割を行なう半導体チップの製造方法にも用いられる。
その後、所定の方法でチップのピックアップを行う。また、チップのピックアップに先立ち、ウエハ形状に整列した状態のチップを、他の粘着シートに転写し、その後、チップのピックアップを行ってもよい。
粘着シートが、ダイシング・ダイボンド兼用シートある場合、粘着剤層の上に、ダイを接着するため接着性樹脂層を設けてもよいし、粘着剤層がダイ接着機能を兼ね備えるものであってもよい。以下では、接着性樹脂層およびダイ接着機能を有する粘着剤層を、単に「接着性樹脂層」と呼ぶことがある。
本発明の粘着シートをダイシング・ダイボンド兼用シートとして使用する際は、接着性樹脂層は、ダイシング工程において半導体ウエハを保持し、ダイシング時には、ウエハとともに切断され、切断されたチップには、同形状の接着性樹脂層が形成される。そして、ダイシング終了後、チップのピックアップを行うと、接着性樹脂層は、チップとともに粘着シートから剥離し、接着性樹脂層を伴ったチップを基板に載置し、加熱等を行い、チップと、基板や他のチップ等の被着体とを接着性樹脂層を介して接着する。
接着性樹脂層は、たとえば前記したアクリル系粘着剤と、エポキシ接着剤等の熱硬化性樹脂、また必要に応じ、エネルギー線硬化型化合物および硬化助剤等を含む。
粘着シートが、保護膜形成用のシートである場合、粘着剤層の上に、保護膜を形成するための接着性の樹脂層(保護膜形成層)を設けてもよいし、粘着剤層が保護膜機能を兼ね備えるものであってもよい。以下では、保護膜形成層および保護膜機能を有する粘着剤層を、単に「保護膜形成層」と呼ぶことがある。
保護膜形成用のシートとして使用する際は、保護膜形成層に半導体ウエハを貼付し、保護膜形成層を硬化させ、保護膜とし、その後、半導体ウエハと保護膜をダイシングし、保護膜を有するチップを得る。保護膜形成層は、たとえば前記したアクリル系粘着剤と、エポキシ接着剤等の熱硬化性樹脂、また必要に応じ、エネルギー線硬化型化合物および硬化助剤等を含み、また必要に応じフィラー等が含まれていても良い。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例および比較例において、各種物性の評価は次のように行った。
<シートの破断伸度および引張弾性率>
JIS K7161:1994及びJIS K7127:1999に準拠し、試験片が降伏点を持たない場合には引張り破壊ひずみを、降伏点を持つ場合には引張り破壊呼びひずみを破断伸度とし、破断伸度を測定した。この際、実施例および比較例で使用したフィルムを幅15mm、長さ140mmにカットし、両端20mm部分に試験片引張り用のあて板(ラベル)を貼付し、測定用サンプルを作成した。この測定用サンプルを用い、万能試験機((株)島津製作所製:オートグラフAG−IS 500N)にて引張り速度200mm/分にて引張弾性率測定を行った。
<静摩擦係数>
基材の作成時に工程シートに接していた側の基材面について、下記条件で静摩擦係数を測定した。
JIS K7125準拠。荷重200g 被着体:SUS#600 接触時間1秒。測定装置万能試験機((株)島津製作所製:オートグラフAG−IS 500N)を使用した。
<表面抵抗値>
基材の作成時に工程シートに接していた側の基材面について、下記条件で表面抵抗値を測定した。
23℃、50%RHの環境下、100mm×100mmサイズの粘着シートを、表面抵抗計((株)ADVANTEST製、商品名「R8252 ELECTROMETER」)に設置し、粘着シートの基材面の表面抵抗率を測定し、表面抵抗値とした。
<帯電圧>
基材の作成時に工程シートに接していた側の基材面について、下記条件で帯電圧を測定した。
23℃、50%RHの環境下、40mm×40mmサイズの粘着シートを、電荷減衰測定装置((株)宍戸商会製、商品名「STATIC HONESTMER」)の上に基材面を上向きに設置し、1300rpmで回転させ、基材面に10kVの電圧を印加させて、印加60秒後の基材面の帯電圧を測定し、帯電圧とした。
<ヘーズ>
日本電色工業株式会社製ヘーズメーター NDH 5000を用いて基材の濁度(ヘーズ)の測定を行った。
また、エネルギー線硬化性樹脂、イオン液体および粘着剤としては下記を用いた。
(エネルギー線硬化性樹脂)
A:ポリカーボネート型ウレタン系オリゴマー、エネルギー線重合性のモノマーおよび光開始剤を含むエネルギー線硬化性樹脂(荒川化学製 ビームセット541、粘度6,000mPa・s(25℃))
B:ポリエステル型ウレタン系オリゴマー、エネルギー線重合性のモノマーおよび光開始剤を含むエネルギー線硬化性樹脂(荒川化学製 ビームセット507D)
(イオン液体)
a:IL−A2(広栄化学工業(株)製、アミン系イオン液体)
b:IL−P14(広栄化学工業(株)製、ピリミジウム系イオン液体)
c:IL−AP3(広栄化学工業(株)製、フォスフィン系イオン液体)
(粘着剤組成物)
ブチルアクリレート84重量部、メチルメタクリレート10重量部、アクリル酸1重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート5重量部からなる共重合体(重量平均分子量MW:700,000)のトルエン30重量%溶液に対して、多価イソシアナート化合物(コロネートL(日本ポリウレタン社製)3重量部を混合した粘着組成物
(実施例1)
(エネルギー線硬化性組成物)
表1に記載のエネルギー線硬化性樹脂およびイオン液体を所定の割合で混合し、エネルギー線硬化性組成物を得た。表中のイオン液体の添加量は、エネルギー線硬化性樹脂とイオン液体との合計100質量%に対する割合を示す。
(フィルムの作製)
得られたエネルギー線硬化性組成物を25℃でファウンテンダイ方式で工程シートであるPETフィルム(東レ製 ルミラーT60 PET 50 T−60 トウレ 50μm品)上に厚みが100μmとなるように塗布し、塗膜を形成した。紫外線照射装置としてアイグラフィクス社製 ベルトコンベア式紫外線照射装置(製品名:ECS−401GX)を使用し、高圧水銀ランプ(アイグラフィクス社製高圧水銀ランプ 製品名:H04−L41)にて、紫外線ランプ高さ150mm、紫外線ランプ出力3kw(換算出力120mW/cm)、光線波長365nmの照度が271mW/cm、光量が177mJ/cm(紫外線光量計:株式会社オーク製作所社製 UV−351)となる装置条件で紫外線照射を行った。紫外線照射直後に、塗膜の上に剥離フィルム(リンテック社製 SP−PET3801)をラミネートした。なお、ラミネートは、剥離フィルムの剥離処理面がエネルギー線硬化性組成物の塗膜と接するようにした。次いで、同紫外線照射装置を使用し、紫外線ランプ高さ150mm、光線波長365nmの照度が271mW/cm、光量が600mJ/cm(紫外線光量計:株式会社オーク製作所社製 UV−351)の条件にて、ラミネートした剥離フィルム側から2回の紫外線照射を行ない、塗膜に与えた紫外線の総光量を1377mJ/cmとし、塗膜を硬化させた。
次いで、硬化させた膜から工程シートと剥離フィルムを剥離して、厚さ100μmのフィルム(基材)を得た。
得られた基材フィルムについて破断伸度および引張弾性率、さらに基材の作成時に工程シートに接していた側の基材面について、静摩擦係数、表面抵抗値、帯電圧およびHazeを測定した。結果を表1に示す。その後、得られたフィルムの剥離フィルムを剥がした面に、粘着剤組成物を塗布し、乾燥させて厚み10μmの粘着剤層を形成した。このようにして、基材フィルム上に粘着剤層が形成された粘着シートを得た。
(実施例2〜22および比較例1および2)
表1に記載のエネルギー線硬化性樹脂およびイオン液体を所定の割合で混合して得たエネルギー線硬化性組成物を用いた以外は実施例1と同様とした。なお、比較例1および2では、イオン液体を用いずに、エネルギー線硬化性樹脂AおよびBを製膜、硬化し、基材および粘着シートを得た。結果を表1に示す。
表1から、実施例1〜22で使用した基材フィルムは、表面抵抗値が低減され、帯電圧が低く、帯電防止性能に優れていることが確認された。また、引張弾性率や破断伸度が特定の範囲にあるため、特に表面保護シートやダイシングシートなどの各種の半導体加工用の粘着シートとして好ましく用いられる。また、カチオン成分として金属イオンが含まれないイオン液体を使用しているため、Liイオン等の金属イオンが析出することで半導体デバイスの性能が低下することが防止される。
一方、イオン液体を含まない比較例1および2で使用した基材フィルムは、表面抵抗値を低減することができず、帯電圧が高く、帯電防止性能が低いことが確認された。
Figure 0006007069
1:粘着シート
2:粘着シート基材
3:粘着剤層

Claims (10)

  1. 基材フィルムと、前記基材フィルム上に設けられた粘着剤層とを有し、
    前記基材フィルムが、エネルギー線硬化性樹脂と、イオン液体とを含む、エネルギー線硬化性組成物を製膜、硬化してなる粘着シートであって、
    前記エネルギー線硬化性樹脂が、ウレタン系オリゴマーとエネルギー線重合性モノマーとの混合物である、粘着シート
  2. 前記粘着剤層がイオン液体を含まない、請求項1に記載の粘着シート。
  3. 前記粘着剤層が、エネルギー線硬化型粘着剤である、請求項1または2に記載の粘着シート。
  4. 前記基材フィルムの表面抵抗値が3.0×1015Ω以下である、請求項1〜3の何れかに記載の粘着シート。
  5. 前記基材フィルムの引張弾性率が50〜800MPaである、請求項1〜4の何れかに記載の粘着シート。
  6. 前記基材フィルムの破断伸度が100%以上である、請求項1〜5の何れかに記載の粘着シート。
  7. 半導体ウエハの裏面の研削工程において、前記粘着剤層が、該半導体ウエハの回路面を保護するために該回路面に貼付される、請求項1〜6の何れかに記載の粘着シート。
  8. 半導体ウエハのダイシング工程において、前記粘着剤層が、該半導体ウエハに貼付される、請求項1〜6の何れかに記載の粘着シート。
  9. 前記イオン液体が、金属イオン以外のカチオン成分とアニオン成分とから構成される、請求項1〜8の何れかに記載の粘着シート。
  10. 前記イオン液体が、アミン系イオン液体またはピリミジウム系イオン液体である、請求項9に記載の粘着シート。
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