JP6006651B2 - ボーリングツールおよびボーリング加工方法 - Google Patents

ボーリングツールおよびボーリング加工方法 Download PDF

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Description

本願発明は、下穴の内周面を切削により仕上げ加工する方法および装置に関するものであり、特に、長尺のボーリングツールの、工作機械主軸に支持される基端部とは反対側の自由端部を回転可能に支持してたわみを抑制する技術に関するものである。
例えばエンジンのシリンダブロックに形成されてクランクシャフトの複数のジャーナル部を回転可能に支持する複数のベアリング穴のように、長尺のボーリングツールによる切削加工が必要な場合には、ボーリングツールのたわみを防止するために、自由端部あるいは中間部を相対回転可能に支持することが必要であり、そのための方法や装置が下記先行技術文献により知られている。これら先行技術文献に記載のものは、ボーリングツールの外周面と支持治具の支持穴内周面との間に流体軸受を形成し、ボーリングツールの自由端部あるいは中間部を回転可能に支持させることにより、ボーリングツールのたわみを抑制するものである。
特許文献1:特開2001−179514号公報
特許文献2:特開2007−203430号公報
特許文献3:特開2009−255229号公報
上記各先行技術文献に記載のように、ボーリングツールの自由端部あるいは中間部を流体軸受に支持させれば、ボーリングツールのたわみを良好に抑制し得、ベアリング穴等を精度良く切削加工することができるのであるが、流体軸受が、専用の支持治具とボーリングツールとの間に形成されているため、ボーリング加工装置が必然的に各被加工物に専用となり、あるいは支持治具を位置調節可能なものとせざるを得ず、装置コストが高くなるという問題があった。本願発明は、この問題を解決することを課題として為されたものである。
上記課題は、ボーリングツールを、(a)長手の軸状を成し、軸方向の一端部である基端部を工作機械の回転主軸に固定的に保持されて回転させられるとともに、基端部から軸方向に隔たった部分に少なくとも1つの切刃を備えたツール本体と、(b)そのツール本体の、切刃とは軸方向位置を異にし、横断面形状が円形である円柱部の外周面に、相対回転および軸方向の相対移動可能に嵌合されたサポートスリーブとを含むものとするとともに、サポートスリーブを、(1)互いに軸方向に隔たって形成された複数の軸受部と、(2)それら複数の軸受部の間に形成された少なくとも1つの膨張部とを備え、その膨張部の内部に外部から加圧した液体が供給されることにより、その液体の圧力に起因する弾性変形によってその膨張部の直径が増大させられ、その膨張部の外周面が被加工物に形成された嵌合穴の内周面に締まり嵌合状態となって、サポートスリーブが嵌合穴に固定され、その固定されたサポートスリーブの複数の軸受部によりツール本体を回転および軸方向移動可能に保持することによって、ツール本体のたわみを抑制するものとすることにより解決される。
上記課題はまた、軸方向位置を互いに異にする2カ所である第1穴部と第2穴部との内周面のボーリング加工を行う方法を、第1ボーリングツールを使用する第1ボーリング工程と、その第1ボーリングツールより長い第2ボーリングツールを使用する第2ボーリング工程とを含むものとし、第2ボーリングツールとして、(A)長手の軸状を成し、軸方向の一端部である基端部を工作機械の回転主軸に固定的に保持されて回転させられるとともに、基端部から軸方向に隔たった部分に少なくとも1つの切刃とストッパとを備えたツール本体と、(B)そのツール本体の、前記切刃とは軸方向位置を異にし、横断面形状が円形である円柱部の外周面に、相対回転可能かつ軸方向に相対移動可能に嵌合されたサポートスリーブとを含み、前記円柱部が小径部とその小径部より前記基端部側に位置する大径部とを備える一方、前記サポートスリーブが、それら小径部と大径部とにそれぞれ嵌合する1対の軸受部と、それら軸受部の間にそれら軸受部の内径より大きい内径を有して形成され、内部に外部から加圧した液体が供給されることにより、その液体の圧力に起因する弾性変形によって直径が増大する膨張部とを備えたものを使用し、まず、(a)前記第1ボーリングツールの一端部である基端部を工作機械の回転主軸に片持ち状に保持させて回転させ、その第1ボーリングツールの基端部から軸方向に隔たった部分に設けた切刃により前記第1穴部をボーリング加工する前記第1ボーリング加工工程を実施し、それに続いて、(b)前記第2ボーリングツールの基端部を前記工作機械または別の工作機械の回転主軸に片持ち状に保持させる準備工程と、(c)前記サポートスリーブの前記膨張部の内側空間に加圧した液体を供給することにより、そのサポートスリーブを前記ストッパに当接させるとともに、前記膨張部の内側空間の圧力を増大させ、その膨張部の直径を弾性変形により増大させて、そのサポートスリーブを前記第1穴部に締まり嵌合状態とする締まり嵌合工程と、(d)前記回転主軸によりツール本体を回転させて前記第2穴部を切刃によりボーリング加工する前記第2ボーリング加工工程とを順次実行するものとすることにより解決される。
本願発明に係るボーリングツールにおいては、サポートスリーブが膨張部の膨張により、被加工物に形成された嵌合穴の内周面に締まり嵌合状態となるため、仮に嵌合穴の内径の寸法精度はそれほど高くなくても、内周面の中心位置精度が高ければ、サポートスリーブは十分な中心位置精度で嵌合穴に固定される。そして、そのサポートスリーブに対してツール本体の円柱部が複数の軸受部により保持されるのであるが、これら円柱部と軸受部とは共にボーリングツールの構成部材の一部であるから、被加工物の嵌合穴よりは寸法精度を高くすることができ、その結果、円柱部と軸受部との隙間を小さくして、サポートスリーブによる円柱部の保持位置精度を高くすることができる。そして、ツール本体は、その円柱部に比較的近い位置にある切刃によって、上記嵌合穴の延長部、あるいは上記嵌合穴と同軸の別の嵌合穴の内周面を切削加工するため、切削抵抗に起因するたわみが小さく抑えられ、高精度のボーリング加工を行うことができる。また、サポートスリーブはツール本体の自重に基づくたわみを抑制する機能も果たす。
また、本願発明に係るボーリング加工方法によれば、軸方向位置を互いに異にする2カ所である第1穴部と第2穴部との内周面のボーリング加工を行うに当たり、まず、短尺ボーリングツールの基端部を工作機械の回転主軸に片持ち状に保持させて回転させ、第1穴部をボーリング加工した後、本願発明に係るボーリングツールのツール本体の基端部を工作機械の回転主軸に片持ち状に保持させた状態で、サポートスリーブに加圧した液体を供給するのみで、サポートスリーブがストッパに当接するまで移動して第1穴部内へ進入するとともに、そのストッパへの当接後に膨張部の内側空間の圧力の上昇により膨張部が膨張して第1穴部に締まり嵌合状態となることを保証することができ、そのサポートスリーブにツール本体を高い中心位置精度で支持させることができる。それにより、ツール本体のたわみを抑制しつつ第2穴部のボーリング加工を行い、第2穴部の加工精度、すなわち、中心位置精度および内径の寸法精度を高めることができる。
発明の態様
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(「請求可能発明」という場合がある。「請求可能発明」は、特許請求の範囲に記載の発明である「本願発明」のみならず、それの下位概念発明あるいは上位概念発明を含み得、別概念の発明を含むこともある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,後述の実施形態の記載,従来技術,技術常識等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
(1)長手の軸状を成し、軸方向の一端部である基端部を工作機械の回転主軸に固定的に保持されて回転させられるとともに、前記基端部から軸方向に隔たった部分に少なくとも1つの切刃を備えたツール本体と、
そのツール本体の、前記切刃とは軸方向位置を異にし、横断面形状が円形である円柱部の外周面に、相対回転および軸方向の相対移動可能に嵌合されたサポートスリーブと
を含み、そのサポートスリーブが、
互いに軸方向に隔たって形成された複数の軸受部と、
それら複数の軸受部の間に形成された少なくとも1つの膨張部と
を備え、その膨張部の内部に外部から加圧した液体が供給されることにより、その液体の圧力に起因する弾性変形によってその膨張部の直径が増大させられ、その膨張部の外周面が被加工物に形成された嵌合穴の内周面に締まり嵌合状態となって、前記サポートスリーブが嵌合穴に固定され、その固定されたサポートスリーブの前記複数の軸受部により前記ツール本体が回転および軸方向移動可能に保持されることによって前記ツール本体のたわみが抑制されることを特徴とするボーリングツール。
本項に係るボーリングツールは、下記(2)項や(3)項に記載のサポートスリーブ移動装置を含むものとされることが使い勝手上望ましいが、不可欠ではない。サポートスリーブが他の装置あるいは作業者により嵌合穴に嵌合されるようにすることも可能なのである。
また、膨張部を拡径させるための液体として、後述の実施形態におけるようにクーラントを利用すれば、ボーリングツールは勿論、ボーリング加工装置全体の構成を単純化できる利点があるが、専用の作動油等を用いることも可能である。
さらに、切刃は、ツール本体に取り外し不能に設けることも可能であるが、取り外し可能なものとされることが望ましい。
(2)さらに、前記ツール本体と前記サポートスリーブとの間に形成される圧力作用空間に作用する液体の圧力に基づく軸方向力により、前記サポートスリーブを前記ツール本体に対して軸方向に移動させるサポートスリーブ移動装置を含む(1)項に記載のボーリングツール。
上記圧力作用空間は、前記膨張部の内部の空間に兼ねさせることも、膨張部の内部の空間とは別箇の空間とすることも可能である。前者の一例は次項に記載のものであり、後者の一例は、サポートスリーブを、膨張部とは別に液圧シリンダ部を構成する部分を含むものとすることである。具体的には、ツール本体にピストンとして機能する部分を設ける一方、サポートスリーブにシリンダチューブとして機能する部分を設けるのである。液圧シリンダ部は前進,後退の両方向に液圧で作動するものとすることも、一方向には液圧で、他方向には弾性部材の弾性力で作動するものとすることも可能である。
さらに、本項に記載のサポートスリーブ移動装置に代えて、サポートスリーブを常にはツール本体に対する前進限度位置に保持するコイルスプリング等の弾性部材を採用することも可能である。ボーリングツールの前進時には、サポートスリーブが前進限度位置に保たれて、被加工物に形成された嵌合穴内に進入し、膨張部の拡径により嵌合穴の内周面に締まり嵌合状態とされた後、そのサポートスリーブに対するツール本体の相対的な前進が弾性部材の収縮により許容されるようにするのである。
(3)前記サポートスリーブが、前記軸受部を1対備え、それら1対の軸受部の間にそれら軸受部の内径より大きな内径で形成された前記膨張部を1つ備えるとともに、前記ツール本体の前記円柱部が、互いに軸方向に隔たった2部分であって直径が互いに異ならされた大径部と小径部とを有し、それら大径部と小径部とに前記1対の軸受部がそれぞれ摺動可能に嵌合されることにより、それら1対の軸受部の受圧面の軸方向投影面積が互いに異ならされ、前記サポートスリーブ移動装置として機能するようにされた(2)項に記載のボーリングツール。
本項に係るボーリングツールにおいては、1対の軸受部が、後述の流体軸受部やすべり軸受部のように、円柱部との間の隙間が小さく、膨張部内の液体がサポートスリーブの外部に流出するのを抑制し、膨張部内と膨張部外との間に、膨張部を膨張させるのに十分な液圧差を生じさせる流出抑制型軸受部であることが望ましい。1対の軸受部の他に、流出抑制機能を果たす専用の流出抑制部を設ける必要がなく、構成を単純化できるからである。
(4)さらに、前記サポートスリーブの前記サポートスリーブ移動装置による前記ツール本体に対する軸方向の移動限度を規定するストッパを含む(2)項または (3)項に記載のボーリングツール。
ストッパは、例えば、ツール本体の外周面に形成されたリング溝に対して着脱されるC形止め輪のように、ツール本体とは別体の部材をツール本体に取り付けることによって形成されてもよく、次項におけるようにツール本体と一体に形成されてもよい。前者の場合は、サポートスリーブをツール本体に自由端側から嵌合することが可能であるため、ツール本体を下記(6)項におけるように第1部材と第2部材とに分割可能とする必要がなくなる利点がある。
(5)前記ストッパが、前記ツール本体に、前記円柱部の前記小径部に対して前記大径部とは反対側に形成され、小径部より大きな直径を有する部分によって構成された(4)項に記載のボーリングツール。
上記ストッパとして機能する部分は、円柱部の小径部より大径であればよく、大径部より小径であってもよい。
(6)前記ツール本体が、互いに同軸でかつ着脱可能な第1部材と第2部材とを備え、第1部材により前記大径部が、第2部材により前記小径部より大きな直径を有して前記ストッパとして機能する部分が、それぞれ形成された(5)項に記載のボーリングツール。
本項の構成によれば、小径部の軸方向の両側にその小径部より大径の2つの部分を有するツール本体に、サポートスリーブを嵌合することが可能となる。小径部は第1部材と第2部材とのいずれによって形成されてもよい。
(7)前記サポートスリーブ移動装置が、前記サポートスリーブを前記ツール本体の前記基端部側から自由端部側に向かって移動させるものである(2)項ないし(6)項のいずれかに記載のボーリングツール。
(8)前記複数の軸受部の各々が、前記円柱部を流体圧力に基づいて非接触で同心に保持する流体軸受部である(1)項ないし(7)項のいずれかに記載のボーリングツール。
流体軸受部としては、一般的な動圧軸受を採用することも可能であるが、本請求可能発明においては静圧軸受が適している。膨張部を膨張させるための静圧を利用し得るとともに、十分な偏心抑制能力を得易いからである。なお、静圧軸受としては、周方向に関して互いに分離され、等角度間隔で形成された3つ以上の静圧室を有するものが望ましい。
(9)前記複数の軸受部の各々が、前記円柱部の外周面とすべり嵌合するすべり軸受部を含む(1)項ないし(7)項のいずれかに記載のボーリングツール。
(8)項におけるように、軸受部を流体軸受部とすれば、円柱部を流体圧力に基づいて非接触で同心に保持することが可能となり望ましいのであるが、不可欠ではなく、本項におけるようにすべり軸受部としても、(1)項ないし(7)項のいずれかに記載の構成の効果を享受することができる。円柱部の外周面とすべり軸受部の内周面とは、いずれもボーリングツールの構成要素に形成されるものであり、被加工物に形成される嵌合穴に比較して高精度で形成することが容易であり、また、必要に応じて表面の硬度を高くする等により摩耗を抑制することも可能であって、すべり軸受部と円柱部との隙間を小さくしてすべり軸受部に対する円柱部の偏心を良好に抑制し得るからである。
(10)前記サポートスリーブの前記切刃に近い側の端部に、前記加圧された液体を前記切刃に向かう向きに噴出させる液体噴出口が形成された(1)項ないし(9)項のいずれかに記載のボーリングツール。
液体噴出口から切刃に向かう向きに噴出させられた液体は、切刃により生成させられた切屑を中ぐり加工された穴の内周面から排除する役割を果たす。本項が (4)項に従属する態様においては、液体噴出口が、サポートスリーブがストッパに当接した状態においても液体を噴出させ続けられるものとされることが望ましい。特に、本項が(8)項に従属する態様においては、流体軸受用の液体が液体噴出口から噴出させられることが望ましく、流体軸受が静圧軸受である場合には流体軸受用の液体が流体軸受の外部へ流出させられ続けることが必要であるため、その流出させられ続ける液体が液体噴出口から噴出させられるようにすることが特に望ましい。
(11)軸方向位置を互いに異にする2カ所である第1穴部と第2穴部との内周面のボーリング加工を行う方法であって、
第1ボーリングツールを使用する第1ボーリング工程と、その第1ボーリングツールより長い第2ボーリングツールを使用する第2ボーリング工程とを含み、
前記第2ボーリングツールとして、(A)長手の軸状を成し、軸方向の一端部である基端部を工作機械の回転主軸に固定的に保持されて回転させられるとともに、前記基端部から軸方向に隔たった部分に少なくとも1つの切刃とストッパとを備えたツール本体と、(B)そのツール本体の、前記切刃とは軸方向位置を異にし、横断面形状が円形である円柱部の外周面に、相対回転可能かつ軸方向に相対移動可能に嵌合されたサポートスリーブとを含み、前記円柱部が小径部とその小径部より前記基端部側に位置する大径部とを備える一方、前記サポートスリーブが、それら小径部と大径部とにそれぞれ嵌合する1対の軸受部と、それら軸受部の間にそれら軸受部の内径より大きい内径を有して形成され、内部に外部から加圧した液体が供給されることにより、その液体の圧力に起因する弾性変形によって直径が増大する膨張部とを備えたものを使用し、
まず、前記第1ボーリングツールの一端部である基端部を工作機械の回転主軸に片持ち状に保持させて回転させ、その第1ボーリングツールの前記基端部から軸方向に隔たった部分に設けた切刃により前記第1穴部をボーリング加工する前記第1ボーリング加工工程を実施し、それに続いて、
前記第2ボーリングツールの基端部を前記工作機械または別の工作機械の回転主軸に片持ち状に保持させる準備工程と、
前記サポートスリーブの前記膨張部の内側空間に加圧した液体を供給することにより、そのサポートスリーブを前記ストッパに当接させるとともに、前記膨張部の内側空間の圧力を増大させ、その膨張部の直径を弾性変形により増大させて、そのサポートスリーブを前記第1穴部に締まり嵌合状態とする締まり嵌合工程と、
前記回転主軸により前記ツール本体を回転させて前記第2穴部を前記切刃によりボーリング加工する前記第2ボーリング加工工程と
を順次実行することを特徴とするボーリング加工方法。
上記しまり嵌合工程は、原則的には、サポートスリーブの膨張部の内側空間に加圧した液体を供給することによりそのサポートスリーブを第1穴部内へ移動させるサポートスリーブ移動工程と、そのサポートスリーブの移動をストッパにより阻止することによって膨張部の内側空間の圧力を増大させ、その膨張部の直径を弾性変形により増大させて、そのサポートスリーブを前記第1穴部に締まり嵌合状態とする膨張工程とを含むものであるため、上記準備工程においては、サポートスリーブを第1ボーリング加工工程によりボーリング加工された第1穴部より前記基端部側に位置させた状態とすればよい。ただし、準備工程において、サポートスリーブを第1穴部より基端部側に位置させた状態とすることが不可欠であるわけではない。サポートスリーブがツール本体に対して軸方向に移動可能であることにより、準備工程において、サポートスリーブの一部あるいは全部が第1穴部内へ進入した状態となっても差し支えなく、膨張部の膨張前にサポートスリーブがストッパに当接した状態となることが保証されればよいのである。
また、本項に係る発明は、上記第1穴部と第2穴部との内径が互いに等しい場合に特に有効であるが、不可欠ではない。第1穴部の内径が第2穴部の内径より大きい場合にも適用可能なのである。
さらに、本項に係るボーリング加工方法は、前記請求可能発明に係るボーリングツールの典型的な使用方法であるが、前記請求可能発明に係るボーリングツールは、第1穴部が、上記のように、第1ボーリングツールにより加工されたものに限定されるわけではない。第2穴部の加工基準となり得るように形成された穴部であれば、いかなる方法で形成されたものでもよいのである。
(12)前記第1穴部および前記第2穴部として、互いに軸方向に隔たった2つの穴をボーリング加工する(11)項に記載のボーリング加工方法。
本項に係るボーリング加工方法の一例は、エンジンのシリンダブロックに形成されてクランクシャフトの複数の軸受部を回転可能に支持する複数のベアリング穴のボーリング加工である。
(13)前記第2ボーリング工程の実行によりボーリング加工したボーリング加工穴を、前記第1ボーリング工程の実行によりボーリング加工したボーリング加工穴と同様に利用して、再び前記第2ボーリング工程を実行し、さらに前方に位置する別の未加工穴のボーリング加工を行う(12)項に記載のボーリング加工方法。
(14)前記第1穴部および前記第2穴部として、互いに連続した1つの穴の2部分を加工する(11)項に記載のボーリング加工方法。
請求可能発明の一実施形態であるボーリングツールを示す正面断面図である。 上記ボーリングツールの要部を拡大して示す図である。 図2におけるX−X断面図である。 (a),(b),(c)は上記ボーリングツールの要部の作動を示す図である。 上記ボーリングツールの要部により形成される流体軸受の機能を説明するための図である。 上記流体軸受の有効性を確認するために行われた試験の結果を示すグラフである。 請求可能発明の方法の一実施形態における第1ボーリング加工工程を説明するための一部断面正面図である。 請求可能発明の方法の一実施形態における第2ボーリング加工工程の第1段階を説明するための正面断面図である。 請求可能発明の方法の一実施形態における第2ボーリング加工工程の最終段階を説明するための正面断面図である。 上記第2ボーリング加工工程における切屑排除の状態を示す図である。 請求可能発明の別の実施形態であるボーリングツールの要部を示す正面断面図である。
発明の実施の形態
以下、請求可能発明の実施形態を図を参照しつつ詳しく説明する。なお、請求可能発明は、前記「発明の態様」および下記「実施形態」の他、当業者の知識に基づいて種々の変更を施した態様で実施することができる。
図1に請求可能発明の一実施形態であるボーリングツール10を示す。このボーリングツール10は、それのツール本体12が第1部材14および第2部材16から成る概して円柱状の部材であり、例えば、自動工具交換装置付マシニングセンタの回転主軸に取り付けて使用されるものである。そのために、ツール本体12の基端部20にプルスタッド22を備えたツールシャンク24が設けられる一方、自由端部26には丸シャンクバイト28がロックねじ30により固定されて切刃32とされている。そして、ツール本体12の中心部にはほぼ全長にわたってクーラント孔34が形成され、噴出口36から切刃32の刃先近傍へ噴出させられる。ツール本体12が第1部材14と第2部材16との2部材から成るものとされている理由は後述する。
上記自由端部26に隣接してサポートスリーブ40が取り付けられている。サポートスリーブ40は概して円筒状を成す部材であり、軸方向の両端部に軸受部42,44を、また中間部に膨張部46を備えている。膨張部46は内径および外径が軸受部42,44のそれらより大きくされるとともに薄肉とされており、内部空間48に作用する液圧に基づく弾性変形により直径が増大する部分とされている。そのために、内部空間48は複数本の連通路50によってクーラント孔34に連通させられている。また、軸受部42は、図2および図3に示す構造を有し、内部空間48から供給されるクーラントの液圧に基づく静圧軸受52が形成されている。すなわち、軸受部42の内周面54は、図2に示すように、ツール本体12の第2部材16の外周面56に僅かな隙間で嵌合されているが、軸方向の中間部に比較的幅の広い静圧室58が形成されている。静圧室58は、図3に示すように、等角度間隔で設けられた6つ仕切60により6つに仕切られており、各静圧室58は上記内部空間48に各切欠62によりそれぞれ連通させられている。つまり、各静圧室58は前記内周面54と外周面56との間の隙間によって、内部空間48と外部空間64に連通しているのであるが、内部空間48側については付加的に切欠62が形成されて、連通面積が外部空間側より大きくされているのである。この切欠62が形成されている理由は後述する。
軸受部44も構造的には軸受部42と同様であるが、第1部材14の軸受部44が嵌合されている部分の直径が、第2部材16の軸受部42が嵌合されている部分の直径より大きくされているため、軸受部42の軸方向の投影面積、すなわち内部空間48に作用する液圧に対する受圧面積が、軸受部44のそれより大きくなっている。その結果、サポートスリーブ40が軸方向のいずれの方向にも移動可能な状態で内部空間48にクーラントの液圧が作用させられた場合には、サポートスリーブ40をボーリングツール10の自由端側へ移動させる軸方向力が作用することとなる。そして、この軸方向力によるサポートスリーブ40の移動限度を規定するために、図4に示すように第2部材16に段付面70が形成されている。
以上の説明から明らかなように、ツール本体12は軸受部42が嵌合される部分の軸方向の両側にそれより直径が大きい部分を備えていることになり、このツール本体12にサポートスリーブ40を軸方向に摺動可能に嵌合するために、ツール本体12が第1部材14と第2部材16とに分割されるとともに高精度で同軸に結合されている。すなわち、第1部材14の基端部20とは反対側の端部には、図4に示すように、テーパ穴部76とストレート穴部78とを備えた嵌合穴が形成される一方、第2部材16にその嵌合穴に対応する嵌合突部80が形成され、嵌合穴に嵌合突部80が嵌合されるとともに、とがり先の六角穴付き止めねじ82複数本により嵌合穴内へ引き込まれて、締まり嵌合されているのである。
上記サポートスリーブ40は以下の作用を為す。十分な加工精度で予め形成された仕上穴90に対して、ボーリングツール10が図4(a)に示すようにセットされた状態(この状態とする工程を準備工程と称する)で、クーラント孔34にクーラントが供給されれば、そのクーラントは切刃32の近傍に噴出するが、一部は連通路50からサポートスリーブ40の内部空間48へ流入する。流入したクーラントは軸受部42,44とツール本体12との隙間から外部へ流出するが、隙間の流路面積は比較的小さいため内部空間48の液圧P0が高くなる。そして、前述のように、軸受部42の内部空間48に作用する液圧に対する受圧面積が、軸受部44のそれより大きくなっているために、サポートスリーブ40をボーリングツール10の自由端側へ押す軸方向力が基端側へ押す軸方向力より大きくなり、サポートスリーブ40が図4(b)に示すように、仕上穴90内へ移動させられる(この工程をサポートスリーブ40の移動工程と称する)。やがてサポートスリーブ40が段付面70に当接し、移動不能となるため、内部空間48の液圧P0がさらに高くなり、膨張部46の直径が弾性変形により増大し、膨張部46が仕上穴90に締まり嵌合状態となる(この工程をサポートスリーブ40の締まり嵌合工程と称する)。
それとともに、軸受部42,44においては、静圧室58の液圧が高くなるのであるが、前述のように、各静圧室58の内部空間48側の流通面積が外部空間64側側の流通面積より大きくされているため、静圧室58内の液圧P1,P2が、内部空間48の液圧P0と外部空間の液圧との中間の高さとなる。しかも、サポートスリーブ40に対してツール本体12が偏心すれば、例えば、図5に示すように下方へ偏心して下方のクリアランスC2が上方のクリアランスC1より小さくなれば、下側の静圧室58の内部空間48側および外部空間64側の流通面積が共に小さくなるが、内部空間48側には前述のように切欠62が形成されているため、流通面積の変化の割合は、外部空間64側において大きくなり、結果として下側の静圧室58の液圧P2が高くなる。逆に、上側の静圧室58の液圧P1は低くなり、それら液圧P2,P1の差によりツール本体12は上方へ押され、上記下方への偏心が矯正される。なお、サポートスリーブ40が段付面70に当接した状態では、軸受部42の内周面とツール本体12の外周面との隙間からのクーラントの流出が妨げられ、上記矯正作用が得られなくなるため、本実施形態のボーリングツール10においては、図4に示すように、段付面70の4〜6カ所に切欠66が形成されて、サポートスリーブ40が段付面70に当接した状態においてもクーラントの流出が妨げられないようにされている。また、サポートスリーブ40には、それが段付面70に当接した状態において第2部材16の外周面を隙間を隔てて覆う状態となる円筒状のひさし部68が設けられている。このひさし部68の機能については後述する。
以上説明したように、本実施形態のボーリングツール10においては、サポートスリーブ40に加圧したクーラントを供給するのみで、サポートスリーブ40を下穴90内へ移動させるとともに段付面70に当接させ、内部空間48の液圧を上昇させて膨張部46の直径を増大させ、サポートスリーブ40を下穴90に締まり嵌合状態とすることができる。そして、そのサポートスリーブ40の軸受部42,44の静圧軸受機能によりツール本体12をサポートスリーブ40に対して高い精度で同心に位置決めすることができる。結局、ツール本体12の下穴90に対する偏心を良好に防止することができる。すなわち、ツール本体12が長尺のものであり、基端部20において回転主軸により片持ち状に保持され、自由端部26に切刃32が設けられているにもかかわらず、ツール本体12の自重および切刃32に対する切削抵抗によりツール本体12がたわまされることが良好に抑制されるのである。
上記サポートスリーブ40によるツール本体12の偏心矯正効果を確認するために行われた試験の結果を図6に示す。図において、横軸がボーリングツール10の切刃32の位置に軸方向に直角に加えられた荷重、縦軸が切刃32の位置におけるたわみ量をそれぞれ示し、丸が内部空間48の圧力が大気圧の場合、四角形が4MPaの場合をそれぞれ示す。この試験結果から内部空間48の圧力を高めればたわみ量が減少することが明らかであり、軸受部42,44が静圧軸受機能を有することが明らかである。
次に、本実施形態のボーリングツール10の使用例を、4気筒エンジンのシリンダブロックにおけるクランクシャフト軸受のボーリング加工を例として説明する。4気筒エンジンのシリンダブロックは図9に示すように5つの軸受部92(実際はクランクシャフトをシリンダブロックに組み付けるために、上下2部分に分割されているが、ボーリング加工上は重要なことではないため、一体的な構造として図示する)を備え、これら軸受部92は互いに軸方向に離れており、しかも高い同心度を必要とする。したがって、5つの軸受部92の列の片側からボーリング加工するためには、図9から明らかなように、相当に長いボーリングツールを必要とする。その長いボーリングツールを片持ち状に回転主軸に保持させ、端の軸受部92から順次ボーリング加工することが望ましいのであるが、自重および切削抵抗によりボーリングツールがたわむことを避け得ず、高い寸法精度および同心度を確保することが難しい。そのため、従来はボーリングツールを両端支持状態としたり、軸方向の中間部に補助的な軸受治具を配設したりして、たわみを抑制することが必要であり、設備コストが高くなる上、作業能率が低くなることを避け得なかった。本実施形態のボーリングツール10を使用した下記のボーリング加工方法によれば、この問題を良好に解決することができる。
そのボーリング加工方法の第1ボーリング加工工程の実施状態を図7に示す。図において、符号94は短尺のボーリングツールを示し、上記実施形態のボーリングツール10より短く、基端部のツールシャンク96を回転主軸に片持ち状に保持させて、自由端部に設けた切刃98により軸受部92のボーリング加工を行ってもたわみが無視し得るほど小さくて済むものである。ボーリングツール94はこの条件を満たして少なくとも1つの軸受部92のボーリング加工を行い得るものであればよいが、本実施形態においては、2つの軸受部92のボールリング加工を行い得るものとする。
上記短尺のボーリングツール94により2つの軸受部92のボーリング加工が行われた後、第2ボーリング加工工程が実施される。まず、ボーリングツール94をボーリングツール10と交換する自動工具交換が実施され、続いて、前述の準備工程,サポートスリーブ40の移動工程および締まり嵌合工程が実施され、図8に示すように、ボーリングツール94によりボーリング加工が行われた2つの軸受部92のうち、端から2番目の軸受部92の仕上穴90にサポートスリーブ40が締まり嵌合した状態とされる。この状態からツール本体12が回転させられつつ前進させられ、3番目の軸受部92の下穴100が切刃32によりボーリング加工され、仕上穴90とされる。この際、切刃32により切屑が発生させられるのであるが、前述のように、ツール本体12の段付面70に切欠66が形成され、サポートスリーブ40にはひさし部68が設けられているため、図10に示すように、切欠66を経て噴出したクーラントの向きがひさし部68により変えられ、矢印で示すように切刃32に向かう向きに噴出することとなり、切屑が仕上穴90および下穴100の内周面から排除される。本実施形態においては、第2部材16の外周面とひさし部68の内周面との隙間により、液体噴出口としてのクーラント噴出口が形成されているのである。
上記ボーリング加工の後、ボーリングツール10へのクーラントの供給が停止されれば、膨張部46が収縮し、仕上穴90への締まり嵌合が解除される。したがって、ボーリングツール10を、互いに隣接する2つの軸受部92の配設ピッチに等しい距離前進させることができ、端から4番目の軸受部92に対して、図8に示すのと同じ状態にすることができ、上記と同様にして4番目の軸受部92の下穴100を仕上穴90にボーリング加工することができる。
上記作業の繰り返しにより最終的に、図9に示すように、5番目の軸受部92に対してボーリングツール10の準備工程,サポートスリーブ40の移動工程および締まり嵌合工程が実施され、そのサポートスリーブ40に対してツール本体12が前進させられて、5番目の軸受部92の下穴100が仕上穴90にボーリング加工される。この加工後、ボーリングツール10へのクーラントの供給が停止され、サポートスリーブ40の仕上穴90への締まり嵌合が解除され、ボーリングツール10がそれの自由端部26が1番目の軸受部92から抜け出るまで後退させられて、ボーリング加工のすべての工程が終了する。このように、本実施形態のボーリング加工方法によれば、軸方向位置を互いに異にする複数の軸受部92の下穴100を仕上穴90にボーリング加工する当たり、まず、短尺のボーリングツール94の基端部を工作機械の回転主軸に片持ち状に保持させて回転させ、1番目および2番目の軸受部92の内周面をボーリング加工した後、本実施形態に係るボーリングツールのツール10の基端部20を工作機械の回転主軸に片持ち状に保持させた状態で、サポートスリーブ40に加圧した液体を供給するのみで、サポートスリーブ40をストッパたる段付面70に当接するまで移動させるとともに、2番目の仕上穴90に締まり嵌合状態とし、そのサポートスリーブ40にツール本体12を高い中心位置精度で支持させることができる。それにより、ツール本体12のたわみを抑制しつつ3番目の軸受部92のボーリング加工を行い、軸受部92の仕上穴90の加工精度、すなわち、中心位置精度および内径の寸法精度を高めることができる。以下同様の作動の繰り返しにより4番目以降の軸受部92についても十分な加工精度を得ることができる。長尺のボーリングツール10を回転主軸に片持ち状に保持させ、自由端部も中間部も補助的な支持治具に支持させることなく、十分な加工精度を得ることができるのであり、設備コストを抑制しつつ、高い生産能率でシリンダブロックのクランクシャフト軸受のボーリング加工を実行し得るのである。本実施例においては、短尺のボーリングツール94と長尺のボーリングツール10とを、自動工具交換装置により同一の回転主軸に選択的の保持させるのみで、両者による仕上穴90の中心位置を精度良く一致させ得るため、特に高い生産能率を得ることができる。
請求可能発明の別の実施形態であるボーリングツール110を図11に概略的に示す。このボーリングツール110は、ツール本体112とサポートスリーブ120とを含んでおり、ツール本体112は前記ボーリングツール10と同様に第1部材114と第2部材116とが分離可能に結合されて成り、サポートスリーブ120も互いに分離可能に結合されたスリーブ本体部122と液圧シリンダ部124とから成っている。ツール本体112およびサポートスリーブ120はいずれも機能上は分離可能である必要がないが、組み立ての必要上分離可能とされているのである。スリーブ本体部122は膨張部130と軸受部132,134とを備えて、前記サポートスリーブ40と類似の機能を有するものであるが、軸受部132,134の内径が互いに等しく、サポートスリーブ120を軸方項に移動させる機能を有しない点において異なっており、代わりに、液圧シリンダ部124がその機能を果たすようにされている。すなわち、液圧シリンダ部124は、第2部材116に一体的に設けられたピストン140と、概して円筒状を成してスリーブ本体部122の軸受部134に螺合されたシリンダチューブ142とを備え、液通路144,146から供給される作動液により正逆両方向に作動して、サポートスリーブ120を、段付面150とC形止め輪152とによりそれぞれ形成された2つのストッパの間で移動させるサポートスリーブ移動装置として機能するようにされているのである。
上記作動液としては、前記実施形態におけるのと同様にクーラントを使用することも可能であるが、本実施形態においては、クーラント通路154により図示しない切刃へ供給されるクーラントとは別の作動液が使用されており、クーラントとの混合を防止するために、シリンダチューブ142の一端の端壁部156と前記軸受部132とにはシール158が設けられている。ピストン140にもシール160が設けられている。それに対し、軸受部134にはシールが設けられておらず、代わりに連通路162が形成されて、液通路144から供給される作動液が、液圧シリンダ部124の圧力作用空間としての液圧室164,166の一方と、膨張部130の内部空間168とに流入可能とされている。
本ボーリングツール110においては、当初、液圧室166に作動液が供給されて、サポートスリーブ120が段付面150に当接した後退端位置に保たれ、サポートスリーブ120が仕上穴90から外れた位置にあるが、液通路144から作動液が供給されれば、サポートスリーブ120がピストン140に対して、すなわちツール本体112に対して、C形止め輪152に当接する前進端位置まで前進させられ、図11に示すように膨張部130が仕上穴90内へ嵌入した状態となる。その後、内部空間168の液圧が上昇して膨張部130が膨張し、仕上穴90に締まり嵌合状態となる。そして、この締まり嵌合状態となったサポートスリーブ120が、軸受部132,134においてツール本体112を相対回転および軸方向相対移動可能に支持して、それのたわみを抑制するため、ボーリングツール110による仕上穴90の前方に位置する下穴の仕上穴へのボーリング加工が精度良く行われる。
そのボーリング加工の終了後、液通路144が低圧源へ、液通路146が高圧源へそれぞれ連通させられれば、まず、膨張部130が非膨張状態に復帰し、サポートスリーブ120が段付面150に当接した後退端位置へ戻されて、サポートスリーブ120が締まり嵌合させられていた仕上穴90から離脱させられる。その後、ボーリングツール110が下穴の1配列ピッチ分の距離前進させられれば、サポートスリーブ120が最後にボーリング加工された仕上穴の直前に位置する状態となる。以後同様の作動の繰り返しにより、複数の下穴が順次仕上穴にボーリング加工される。
10:ボーリングツール 12:ツール本体 20:基端部 26:自由端部 32:切刃 34:クーラント孔 40:サポートスリーブ 42,44:軸受部 46:膨張部 48:内部空間 52:静圧軸受 58:静圧室 62,66:切欠 68:ひさし部 70:段付面 90:仕上穴 92:軸受部 94:ボーリングツール 98:切刃 100:下穴 110:ボーリングツール 112:ツール本体 120:サポートスリーブ 122:スリーブ本体部 124:液圧シリンダ部

Claims (10)

  1. 長手の軸状を成し、軸方向の一端部である基端部を工作機械の回転主軸に固定的に保持されて回転させられるとともに、前記基端部から軸方向に隔たった部分に少なくとも1つの切刃を備えたツール本体と、
    そのツール本体の、前記切刃とは軸方向位置を異にし、横断面形状が円形である円柱部の外周面に、相対回転および軸方向の相対移動可能に嵌合されたサポートスリーブと
    を含み、そのサポートスリーブが、
    互いに軸方向に隔たって形成された複数の軸受部と、
    それら複数の軸受部の間に形成された少なくとも1つの膨張部と
    を備え、その膨張部の内部に外部から加圧した液体が供給されることにより、その液体の圧力に起因する弾性変形によってその膨張部の直径が増大させられ、その膨張部の外周面が被加工物に形成された嵌合穴の内周面に締まり嵌合状態となって、前記サポートスリーブが嵌合穴に固定され、その固定されたサポートスリーブの前記複数の軸受部により前記ツール本体が回転および軸方向移動可能に保持されることによって、前記ツール本体のたわみが抑制されることを特徴とするボーリングツール。
  2. さらに、前記ツール本体と前記サポートスリーブとの間に形成される圧力作用空間に作用する液体の圧力に基づく軸方向力により、前記サポートスリーブを前記ツール本体に対して軸方向に移動させるサポートスリーブ移動装置を含む請求項1に記載のボーリングツール。
  3. 前記サポートスリーブが、前記軸受部を1対備え、それら1対の軸受部の間にそれら軸受部の内径より大きな内径で形成された前記膨張部を1つ備えるとともに、前記ツール本体の前記円柱部が、互いに軸方向に隔たった2部分であって直径が互いに異ならされた大径部と小径部とを有し、それら大径部と小径部とに前記1対の軸受部がそれぞれ摺動可能に嵌合されることにより、前記膨張部の内側空間が前記サポートスリーブ移動装置の前記圧力作用空間としても機能するようにされた請求項2に記載のボーリングツール。
  4. さらに、前記サポートスリーブの前記サポートスリーブ移動装置による前記ツール本体に対する軸方向の移動限度を規定するストッパを含む請求項2または3に記載のボーリングツール。
  5. 前記サポートスリーブ移動装置が、前記サポートスリーブを前記ツール本体の前記基端部側から自由端部側に向かって移動させるものである請求項2ないし4のいずれかに記載のボーリングツール。
  6. 前記複数の軸受部の各々が、前記円柱部を流体圧力に基づいて非接触で同心に保持する流体軸受部である請求項1ないし5のいずれかに記載のボーリングツール。
  7. 前記サポートスリーブの前記切刃に近い側の端部に、前記加圧された液体を前記切刃に向かう向きに噴出させる液体噴出口が形成された請求項1ないし6のいずれかに記載のボーリングツール。
  8. 軸方向位置を互いに異にする2カ所である第1穴部と第2穴部との内周面のボーリング加工を行う方法であって、
    第1ボーリングツールを使用する第1ボーリング工程と、その第1ボーリングツールより長い第2ボーリングツールを使用する第2ボーリング工程とを含み、
    前記第2ボーリングツールとして、(A)長手の軸状を成し、軸方向の一端部である基端部を工作機械の回転主軸に固定的に保持されて回転させられるとともに、前記基端部から軸方向に隔たった部分に少なくとも1つの切刃とストッパとを備えたツール本体と、(B)そのツール本体の、前記切刃とは軸方向位置を異にし、横断面形状が円形である円柱部の外周面に、相対回転可能かつ軸方向に相対移動可能に嵌合されたサポートスリーブとを含み、前記円柱部が小径部とその小径部より前記基端部側に位置する大径部とを備える一方、前記サポートスリーブが、それら小径部と大径部とにそれぞれ嵌合する1対の軸受部と、それら軸受部の間にそれら軸受部の内径より大きい内径を有して形成され、内部に外部から加圧した液体が供給されることにより、その液体の圧力に起因する弾性変形によって直径が増大する膨張部とを備えたものを使用し、
    まず、前記第1ボーリングツールの一端部である基端部を工作機械の回転主軸に片持ち状に保持させて回転させ、その第1ボーリングツールの前記基端部から軸方向に隔たった部分に設けた切刃により前記第1穴部をボーリング加工する前記第1ボーリング加工工程を実施し、それに続いて、
    前記第2ボーリングツールの基端部を前記工作機械または別の工作機械の回転主軸に片持ち状に保持させる準備工程と、
    前記サポートスリーブの前記膨張部の内側空間に加圧した液体を供給することにより、そのサポートスリーブを前記ストッパに当接させるとともに、前記膨張部の内側空間の圧力を増大させ、その膨張部の直径を弾性変形により増大させて、そのサポートスリーブを前記第1穴部に締まり嵌合状態とする締まり嵌合工程と、
    前記回転主軸により前記ツール本体を回転させて前記第2穴部を前記切刃によりボーリング加工する前記第2ボーリング加工工程と
    を順次実行することを特徴とするボーリング加工方法。
  9. 前記第1穴部および前記第2穴部として、互いに軸方向に隔たった2つの穴をボーリング加工する請求項8に記載のボーリング加工方法。
  10. 前記第2ボーリング工程の実行によりボーリング加工したボーリング加工穴を、前記第1ボーリングツールを使用した第1ボーリング工程の実行によりボーリング加工したボーリング加工穴と同様に利用して再び前記第2ボーリング工程を実行し、さらに前方に位置する別の未加工穴のボーリング加工を行う請求項9に記載のボーリング加工方法。
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