JP6006557B2 - 高温高濃度過酸化水素ガスの濃度測定方法及び装置 - Google Patents
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Description
H2O2→H2O+1/2O2+98.05KJ/mol (式1)
具体的には、測定する過酸化水素ガスを、ガス計量計と吸引ポンプを備えたサンプリング経路内に少量吸引サンプリングし、そのガスをハニカム状の過酸化水素分解触媒に通して過酸化水素ガス濃度ゼロまで分解し、過酸化水素ガスの分解前後の温度上昇を測定し、この温度上昇と過酸化水素濃度との相関を調べ、過酸化水素ガスの分解熱を利用したガス濃度測定の可能性について検証を行った結果、吸引サンプリングして触媒層を通過するガス量を計測することで、ガス濃度と触媒前後の温度差に良好な比例関係があることを確認した。例えば、ガス温度160℃、ガス濃度約15000ppmでサンプリングガス量を15L/分にした場合の触媒による分解熱は、触媒前後のガス温度上昇値として32℃となった。
1)濃度監視範囲内で最低濃度程度の過酸化水素ガスを、充填機搭載のガス発生装置から内圧によりサンプリング経路に供給し、触媒前後の温度差を記録する。同時に、吸収瓶法により供給ガス濃度を実測する。
2)同様に、最高濃度程度の過酸化水素ガスをサンプリング経路に供給し、触媒前後の温度差と実測ガス濃度を記録する。
3)この2組の「ガス濃度−温度差」データにて直線近似を行い、この式を濃度測定用検量線とし、演算装置に記憶させる。
4)更に正確な濃度表示が必要な場合は、供試ガス濃度を変え、近似線算出用データ数を増やす。
なお、検量線は、測定装置1個体に対し、1本作成となる。長期間使用で特性が変化(主には触媒が劣化)した場合は、検量線を校正することが好ましい。
予備テストとして、過酸化水素分解触媒を通すことにより生じる過酸化水素ガスの分解熱を利用したガス濃度測定が可能かの原理検証を行い、吸引サンプリングして、フロートメータ流量計により触媒に通すガス量を一定にする条件下で、ガス濃度と触媒前後の温度差に良い相関関係が有ることを確認した。一例として、ガス温度160℃、ガス濃度約15000ppmで、サンプリングガス量を15L/minにした場合の触媒による分解発熱は、触媒前後のガス温度上昇値として32℃になった。試作触媒ケースでの過酸化水素ガス濃度D(ppm)と昇温値ΔT(℃)の関係は、D=424×ΔT+1265となっている。検出温度差Δ1℃がガス濃度差424ppmに相当することから、温度計測の精度を考慮しても十分な分解能が期待できる値である。
予備テストを受け、本テスト1では、過酸化水素ガス化装置出口への取付を想定したガス濃度測定用触媒ケースを試作し、ガス濃度モニタとしての性能評価を行った。その結果、内圧により触媒ケースへガスを導入するというサンプリングガス吸引ポンプなしの簡素化された構成でも、過酸化水素ガス濃度と触媒前後の温度差に良い相関関係が再確認され、基本性能的には、実用レベルと判断できる結果を得た。
図1に示す過酸化水素ガス化装置、過酸化水素ガス濃度の測定装置等を備えた容器殺菌装置を用いて、過酸化水素ガス濃度と触媒前後の温度差との関係を調べた。過酸化水素ガス濃度は吸収瓶法で測定した。
触媒としては、図2と3に示されるように、メタルハニカム触媒D3PT2S50C(田中貴金属工業社製)を3個直結して用いた。また、触媒ケース表面からの放熱を抑えるため、触媒ケース外周カバーを配置し、触媒層を通過したサンプリングガスが触媒ケースの外周を流れた後に排気されるようにした。
過酸化水素のガス化装置の設定は、搬送ガス温度160℃;プレートヒータ温度400℃;搬送エア風量303〜453L/min(室温、微細化エア含む;段階的に変更);過酸化水素供給量7.7〜23.7mL/min(室温;段階的に変更)とした。また、殺菌装置の標準設定は、過酸化水素供給量15mL/min;搬送エア風量310L/min;計算ガス濃度13100ppmとした。
テスト結果を[表1]に示す。また、触媒反応熱によるガス濃度計の実測データを図5に示す。計算ガス濃度に対する触媒前後の温度差データの回帰直線は、y=0.0027x+9.7[式中、xは計算ガス濃度(ppm)、yは触媒前後の温度差(℃)]となり、直線の傾き、すなわち昇温率は、0.0027(℃/ppm)となり、理論昇温率0.0042(℃/ppm)の64%まで達成することができた。また、切片9.7(℃)は、ガス濃度が0ppmのときの触媒前後の温度差を示し、テストデータでは、これが8.7〜9.2℃となっており、ほぼ一致することも確認した。搬送エア量の異なる条件でのテストデータであるが、図5では一本の直線上にあり流量管理を必要としないことを示している。また、昇温率の算出に、吸収瓶法による実測値を採用すると、昇温率は0.0029(℃/ppm)となり、69%まで改善される。これは吸収瓶法による実測値が理論ガス濃度より約10%少ない値を示すことによる。
実機用に試作したガス濃度測定用触媒ケースのサンプリングガス量を確認し、濃度計のスペックをより明確にすることを目的とする。
実機用ガス濃度測定用触媒ケースの外周カバーを外し、排気ガス出口穴(Rc1/8)より漏出するガスの流速を測定し、これにより、排気ガス量=サンプリングガス量を算出する。排気ガス出口穴には、排気ガスの流速測定を容易にするよう、かつ、排気ガスの温度を風速計の測定温度範囲まで降温(放熱)する目的で、サニタリーパイプ(1・1/2S×590L)を直結した。排気ガス風速は、このパイプ末端直近で、熱線式風速計(アネモマスター風速計「モデル6114」;日本カノマックス)により測定した。
Qs=0.82×{π/4×(d/1000)2}×{v×60×1000}×{293/(273+t)}
[Qsはサンプリングガス量(L/min;20℃,大気圧);dは風速測定直管内径(35.7mm);vは排気ガス最大風速(m/sec);tは排気ガス温度]注)テストデータの排ガス流れは層流で、平均/最大流量比には0.5を使用するところだが、本式では安全方向に0.82を用いた。その結果、サンプリングガス量は搬送エア量の3%程度となった。
11 ガス化タンク
12 熱風管
13 噴霧ノズル
14 垂直短筒状大径ロアタンク
15 垂直筒状小径アッパタンク
17 過酸化水素ガスの排出口
2 搬送パイプ
21 ノズル
3 サンプリング経路
31 バッフル板
4 過酸化水素分解触媒層
5 触媒ケース
51 触媒ケースのガス入口側
52 触媒ケースのガス出口側
6 ガス温度測定器(触媒ケースのガス入口側)
7 ガス温度測定器(触媒ケースのガス出口側)
8 触媒ケースの外周カバー
9 外周カバー内の導管
Claims (2)
- 温度100〜200℃で濃度5,000〜20,000ppmの高温・高濃度の過酸化水素ガス流体における過酸化水素ガス濃度の連続的測定方法であって、過酸化水素ガス流体の内圧により、過酸化水素ガス流体の一部を、過酸化水素分解触媒層を通過させ、過酸化水素分解触媒層のガス入口側及び出口側の温度を測定し、ガス入口側及び出口側の温度差により、過酸化水素ガス流体中の過酸化水素ガス濃度をリアルタイムで検出し、過酸化水素ガス流体の内圧と大気圧との差圧が、30Pa以上であることを特徴とする過酸化水素ガス濃度の測定方法。
- 過酸化水素ガス流体の一部が、過酸化水素ガス流体総量の1〜5容量%であることを特徴とする請求項1記載の過酸化水素ガス濃度の測定方法。
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