JP6006178B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、吸気バルブの閉時期を変更する可変動弁機構と、ピストンの上死点位置を変更して圧縮比を変更する圧縮比可変機構と、を備えた内燃機関の制御装置に関する。
特許文献1には、吸気バルブの閉時期を変更する可変動弁機構と、ピストンの上死点位置を変更して圧縮比を変更する圧縮比可変機構と、を備えた内燃機関において、内燃機関の起動時に、圧縮比可変機構により圧縮比をアイドリング時相当の高圧縮比に維持したまま、可変動弁機構によりクランキングの初期は吸気バルブの閉時期を下死点から離れた時期に設定し、クランキング開始後に吸気バルブの閉時期を下死点に近づける、制御装置が開示されている。
特開2002−276446号公報
吸気バルブの閉時期を変更する可変動弁機構と、ピストンの上死点位置を変更して圧縮比を変更する圧縮比可変機構とを備えた内燃機関においては、可変動弁機構による閉時期IVCの変更に伴う圧縮比の変化速度と圧縮比可変機構による機械圧縮比の変化速度との違いによって、例えば、可変動弁機構と圧縮比可変機構とを並行して作動させたときに、閉時期IVCと機械圧縮比とで決まる有効圧縮比が一時的に過大若しくは過小になる場合があり、これが燃焼性の悪化やノッキングの要因になっていた。
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、有効圧縮比が過渡状態で一時的に過大若しくは過小になることを抑制できる内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。
そのため、本願発明に係る制御装置は、吸気バルブの閉時期を変更する可変動弁機構と、ピストンの上死点位置を変更して圧縮比を変更する圧縮比可変機構と、を備えた内燃機関に適用される制御装置であって、前記圧縮比可変機構の目標圧縮比と実圧縮比とが略一致している状態で前記可変動弁機構の目標閉時期と実閉時期とに差が生じ前記可変動弁機構を操作するときに、前記圧縮比可変機構を操作し、前記圧縮比可変機構による圧縮比を前記目標圧縮比から前記吸気バルブの閉時期の変更による有効圧縮比の変化方向と同方向に一時的に変化させる制御部を備える。
上記発明によると、有効圧縮比が過渡状態で一時的に過大若しくは過小になることを抑制でき、以って、過渡状態で燃焼性の悪化やノッキングが発生することを抑制できる。
本願発明の実施形態における内燃機関のシステム図である。 本願発明の実施形態における協調制御のパターンを示す図である。 本願発明の実施形態において可変動弁機構における圧縮比の変化方向と圧縮比可変機構による圧縮比の変化方向が相互に異なる運転状態を例示する図である。 本願発明の実施形態において可変動弁機構における圧縮比の変化方向と圧縮比可変機構による圧縮比の変化方向が相互に同じとなる運転状態を例示する図である。 本願発明の実施形態において可変動弁機構における圧縮比の変化方向と圧縮比可変機構による圧縮比の変化方向が相互に同じとなる運転状態を例示する図である。 本願発明の実施形態において圧縮比可変機構のみを作動させる運転状態を例示する図である。 本願発明の実施形態において可変動弁機構のみを作動させる運転状態を例示する図である。 本願発明の実施形態における協調制御を実施しない場合の圧縮比変化の様子を示すタイムチャートである。 本願発明の実施形態における協調制御を実施した場合の圧縮比変化の様子を示すタイムチャートである。 本願発明の実施形態において圧縮比可変機構の目標値を補正する機能(協調制御)を示すブロック図である。 本願発明の実施形態における過補正用ゲインの演算処理を示すブロック図である。 本願発明の実施形態における制限処理用ゲインの演算機能を示すブロック図である。 本願発明の実施形態において可変動弁機構の目標値を補正する機能(協調制御)を示すブロック図である。
以下に本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明に係る制御装置を適用可能な内燃機関の一例を示す図である。
図1に示す内燃機関10は、ピストン33の上死点位置を変更して圧縮比(機械圧縮比)を変更する圧縮比可変機構(VCR:Variable Compression Ratio)50と、吸気バルブ81の閉時期IVCを変更する可変動弁機構82と、を備えている。
圧縮比可変機構50は、クランクシャフト32とピストン33とを、ロアリンク11及びアッパリンク12で連結すると共に、コントロールリンク13でロアリンク11の移動を規制し、ピストン33の上死点位置を変更することで内燃機関10の圧縮比(機械圧縮比)を変更する機構である。
ロアリンク11は、左右の2部材に分割可能に構成され、略中央の連結孔でクランクシャフト32のクランクピン32bに取り付けられる。そして、ロアリンク11は、クランクピン32bを中心軸として回転する。
クランクシャフト32は、複数のジャーナル32aとクランクピン32bとを備える。ジャーナル32aは、シリンダブロック31及びラダーフレーム34によって回転自在に支持される。クランクピン32bは、ジャーナル32aから所定量偏心しており、ここにロアリンク11が回転自在に連結する。
ロアリンク11の一端は、連結ピン21を介してアッパリンク12に連結し、ロアリンク11の他端は、連結ピン22を介してコントロールリンク13に連結する。
アッパリンク12の下端は、連結ピン21を介してロアリンク11の一端に連結し、アッパリンク12の上端は、ピストンピン23を介してピストン33に連結する。
ピストン33は、燃焼圧力を受け、シリンダブロック31のシリンダ31a内を往復動する。
コントロールリンク13は、先端に設けた連結ピン22を介して、ロアリンク11に回動可能に連結し、コントロールリンク13の他端は、連結ピン24を介してコントロールシャフト25に対して偏心して連結し、コントロールリンク13は、連結ピン24を中心として揺動する。
コントロールシャフト25にはギヤが形成されており、ギヤがアクチュエータ51の回転軸52に設けられたピニオン53に噛合する。そして、アクチュエータ51によってコントロールシャフト25が回転させられ、連結ピン24が移動する。
制御装置(制御ユニット、コントローラ)70は、アクチュエータ51を制御してコントロールシャフト25を回転させることで、ピストン33の上死点位置を変更し、内燃機関10の圧縮比(機械圧縮比)を変更する。
尚、圧縮比可変機構50は、ピストン33の上死点位置を変更することで内燃機関10の機械圧縮比を変更する公知の機構であり、詳細な構造は、図1に示したものに限定されない。
可変動弁機構82は、一例として、クランクシャフト32に対する吸気カムシャフト83の相対回転位相角を変更することで、吸気バルブ81の開期間を進角方向及び遅角方向に変化させる公知の可変バルブタイミング機構(VTC:Variable Timing Control)である。
ここで、可変動弁機構82により吸気バルブ81の開期間を進角させると、吸気バルブ81の開時期IVO及び閉時期IVCが進角方向に変化し、開期間を遅角させると、吸気バルブ81の開時期IVO及び閉時期IVCが遅角方向に変化するから、可変動弁機構82は、吸気バルブ81の閉時期IVCを変更する機構である。
そして、可変動弁機構82により吸気バルブ81の閉時期IVCを変更することで圧縮比(有効圧縮比)が変化し、例えば、ピストン33の下死点BDC後の角度領域で閉時期IVCを遅角すれば(下死点BDCから遠ざければ)圧縮比は減少することになり、逆に、ピストン33の下死点BDC後の角度領域で閉時期IVCを進角すれば(下死点BDCに近づければ)圧縮比は増加することになる。
尚、可変動弁機構82は、クランクシャフト32に対する吸気カムシャフト83の相対回転位相角を変更する機構に限定されず、吸気バルブ81の閉時期IVCを可変とする公知の機構を適宜採用できる。
例えば、吸気バルブ81の開期間(作動角)を可変とする可変動弁機構82を備える場合、吸気バルブ81の開期間(作動角)の増減に伴って吸気バルブ81の閉時期IVCが遅角方向及び進角方向に変化することになる。
即ち、吸気バルブ81の開期間の中心位相が一定である状態で、開期間(作動角)を増加させれば閉時期IVCは遅角変化することになり、逆に開期間(作動角)を減少させれば閉時期IVCは進角変化することになる。
また、可変動弁機構82を、クランクシャフト32に対する吸気カムシャフト83の相対回転位相角を変更する第1の機構(可変バルブタイミング機構)と、吸気バルブ81の開期間(作動角)を可変とする第2の機構(作動角可変機構)との組み合わせとすることができる。
更に、電磁石などのアクチュエータによって吸気バルブ81を開閉駆動する電磁バルブ駆動装置を備える場合、開閉タイミングの制御によって吸気バルブ81の閉時期IVCを任意に変更することが可能であり、この場合、前述の電磁バルブ駆動装置は、吸気バルブ81の閉時期IVCを変更する可変動弁機構に相当する。
また、排気バルブ91のバルブタイミング(開時期EVO及び閉時期EVC)を可変とする排気側の可変バルブタイミング機構を備えることができる。
内燃機関10は、燃料噴射装置(燃料噴射弁)41を備える。この燃料噴射装置41は、例えば、噴霧方向がシリダボアの軸心に対して斜めに交差するように、燃焼室側方にピストン33側を向くように傾けて配置され、筒内に燃料を直接噴射する。即ち、図1に示す内燃機関10は、筒内直接噴射式内燃機関である。
但し、燃料噴射装置41は、筒内に燃料を直接噴射する装置に限定されず、吸気バルブ81上流側の吸気ポート内に燃料を噴射する装置(ポート噴射式内燃機関)とすることができ、また、内燃機関10は、筒内に燃料を直接噴射する装置と吸気ポート内に燃料を噴射する装置との双方を備えることができる。
制御装置70は、圧縮比可変機構(VCR)50を制御することでピストン33の上死点位置を変更し、可変動弁機構(VTC)82を制御することで吸気バルブ81の閉時期IVCを変更し、また、燃料噴射装置41による燃料噴射、及び、点火プラグ42による点火時期などを制御する。
制御装置70は、CPU、ROM、RAM、入出力インタフェースなどを備えたマイクロコンピュータを含んで構成され、各種センサからの検出信号を入力し、圧縮比可変機構(VCR)50、可変動弁機構(VTC)82、燃料噴射装置41、点火プラグ42(点火コイル)などの操作信号(制御信号)を出力する。
上記の各種センサとして、内燃機関10には、機関負荷TPを検出する負荷センサ61、機関回転速度NEを検出する回転センサ62、内燃機関10の冷却水の温度(機関温度)TWを検出する水温センサ63などを設けてある。
そして、制御装置70は、各種センサの出力に基づいて内燃機関10の運転状態を検出し、内燃機関10の運転状態に応じて、圧縮比可変機構(VCR)50、可変動弁機構(VTC)82、燃料噴射装置41、点火プラグ42(点火コイル)などの操作量を決定する。
圧縮比可変機構(VCR)50及び可変動弁機構(VTC)82の制御において、制御装置70は、例えば、機関負荷TPや機関回転速度NEなど運転条件に応じて各機構の制御量の目標値を記憶したマップを参照して目標値を設定し、制御量の検出値(実際値)と目標値との偏差に応じて操作量を演算して出力する。
ここで、圧縮比可変機構(VCR)50により内燃機関10の圧縮比が変更されると共に、可変動弁機構(VTC)82により吸気バルブ81の閉時期IVCを変更することによって圧縮比が変化し、内燃機関10の有効圧縮比CReは、ピストン33の上死点位置及び吸気バルブ81の閉時期IVCによって決定される。
このため、圧縮比可変機構(VCR)50及び/又は可変動弁機構(VTC)82を制御するときに、機構間における圧縮比応答の違いなどによって過渡的に有効圧縮比CReが過大若しくは過小になり、燃焼性の悪化やノッキングを発生させる可能性がある。
例えば、圧縮比可変機構(VCR)50によって圧縮比を増大させる制御に並行して、可変動弁機構(VTC)82により閉時期IVCを変化させて圧縮比を低下させる制御を行う場合、可変動弁機構(VTC)82による閉時期IVCの変化に伴う圧縮比CRivcの低下が、圧縮比可変機構(VCR)50による圧縮比CRmの増大に先行して進むと、有効圧縮比CReが一時的に最終的な目標有効圧縮比CRetgを下回る現象(有効圧縮比のオーバーシュート、過小)が発生する。
逆に、圧縮比可変機構(VCR)50によって圧縮比を減少させる制御に並行して、可変動弁機構(VTC)82により閉時期IVCを変化させて圧縮比を増加させる制御を行う場合、可変動弁機構(VTC)82による圧縮比CRivcの増加が、圧縮比可変機構(VCR)50による圧縮比CRmの減少に先行して進むと、有効圧縮比CReが一時的に最終的な目標有効圧縮比CRetgを上回る現象(有効圧縮比CReのオーバーシュート、過大)が発生する。
また、圧縮比可変機構(VCR)50と可変動弁機構(VTC)82とのいずれか一方により有効圧縮比CReを変化させるときに、目標有効圧縮比CRetgへの収束が遅くなる場合がある。
そこで、制御装置70は、可変動弁機構(VTC)82と圧縮比可変機構(VCR)50との一方の作動状態に応じて他方の作動を変更する処理(以下、協調制御ともいう)を行うことで、機構間における応答性の違いによって過渡的に有効圧縮比CReが過大若しくは過小になることを抑制し、また、目標有効圧縮比CRetgへの収束応答性を向上させる。
図2は、制御装置70による協調制御の特性を示す図であり、可変動弁機構(VTC)82の作動状態と圧縮比可変機構(VCR)50の作動状態との組み合わせパターン毎に協調制御の処理内容を示す。
図2における第1列は、作動状態の組み合わせパターンの番号を示す。
図2の第2列は、実有効圧縮比CReと目標有効圧縮比CRetgとの相関を示す。
詳細には、目標有効圧縮比CRetgと実有効圧縮比CReとが略一致する状態、目標有効圧縮比CRetgが実有効圧縮比CReよりも高い状態(実有効圧縮比CReを上昇させる操作状態)、目標有効圧縮比CRetgが実有効圧縮比CReよりも低い状態(実有効圧縮比CReを減少させる操作状態)との3パターンに区分されている。
尚、圧縮比が目標値に略一致する状態とは、例えば、実圧縮比が圧縮比制御における不感帯(目標値を含む所定範囲内)に含まれる状態であって、実圧縮比を目標圧縮比に近づける操作が停止される状態である。
また、実有効圧縮比CReは、可変動弁機構(VTC)82の制御量の検出値、及び、圧縮比可変機構(VCR)50の制御量の検出値から求められ、目標有効圧縮比CRetgは、可変動弁機構(VTC)82の制御量の目標値、及び、圧縮比可変機構(VCR)50の制御量の目標値から求めることができる。
また、可変動弁機構(VTC)82により可変とされる実圧縮比CRivcは、可変動弁機構(VTC)82の制御量の検出値から求められ、実圧縮比CRivcの目標値CRivctgは、可変動弁機構(VTC)82の制御量の目標値から求めることができる。同様に、圧縮比可変機構(VCR)50により可変とされる実圧縮比CRmは、圧縮比可変機構(VCR)50の制御量の検出値から求められ、実圧縮比CRmの目標値CRmtgは、圧縮比可変機構(VCR)50の制御量の目標値から求めることができる。
図2における第3例は、可変動弁機構(VTC)82における目標圧縮比CRivctg(目標閉時期IVCtg)と実圧縮比CRivc(実閉時期IVC)との相関を示し、目標圧縮比CRivctgと実圧縮比CRivcとが略一致する状態、目標圧縮比CRivctgが実圧縮比CRivcよりも高い状態(実圧縮比CRivcを上昇させる操作状態、閉時期IVCを下死点BDCに近づける操作状態)、目標圧縮比CRivctgが実圧縮比CRivcよりも低い状態(実圧縮比CRivcを減少させる操作状態、閉時期IVCを下死点BDCから遠ざける操作状態)との3パターンに区分されている。
そして、第2例の目標有効圧縮比CRetgが実有効圧縮比CReよりも高い状態及び目標有効圧縮比CRetgが実有効圧縮比CReよりも低い状態を、可変動弁機構(VTC)82の圧縮比状態(作動状態)によりそれぞれ3パターンに場合分けする。
更に、図2の第4列は、圧縮比可変機構(VCR)50における目標圧縮比CRmtg(目標ピストン上死点位置、コントロールシャフト25の目標角度)と実圧縮比CRm(実ピストン上死点位置、コントロールシャフト25の実角度)との相関を示す。
詳細には、目標圧縮比CRmtgと実圧縮比CRmとが略一致する状態、目標圧縮比CRmtgが実圧縮比CRmよりも高い状態(実圧縮比CRmを上昇させる操作状態)、目標圧縮比CRmtgが実圧縮比CRmよりも低い状態(実圧縮比CRmを減少させる操作状態)との3パターンに区分されている。
そして、第3例の目標圧縮比CRivctgと実圧縮比CRivcとが略一致する状態、目標圧縮比CRivctgが実圧縮比CRivcよりも高い状態及び目標圧縮比CRivctgが実圧縮比CRivcよりも低い状態を、圧縮比可変機構(VCR)50の圧縮比状態(作動状態)によりそれぞれ3パターンに場合分けする。
上記の第2列〜第4列のよって、圧縮比の制御状態(可変動弁機構82及び圧縮比可変機構50の作動状態)が第1例に記載したように19パターンに分けられ、これらのパターン毎に圧縮比可変機構(VCR)50、可変動弁機構(VTC)82の制御(作動)を協調制御によってどのように変更するかを第5例〜第9列に示してある。
以下、図2に示した19パターンそれぞれでの制御内容を順に詳述する。
まず、実有効圧縮比CReと目標有効圧縮比CRetgとが略一致する第1パターンは、圧縮比可変機構(VCR)50及び可変動弁機構(VTC)82の制御量(圧縮比)が共に目標値に収束している定常状態であるから、圧縮比可変機構(VCR)50及び可変動弁機構(VTC)82の制御(作動)は不要である。
第2パターン〜第10パターンは、実有効圧縮比CReが目標有効圧縮比CRetgよりも低い状態であり、更に、第2パターン〜第4パターンは、可変動弁機構(VTC)82において目標圧縮比CRivctgと実圧縮比CRivcとが略一致している定常状態を、圧縮比可変機構(VCR)50の圧縮比状態(作動状態)により3パターンに場合分けする。
第2パターンは、可変動弁機構(VTC)82において目標圧縮比CRivctgと実圧縮比CRivcとが略一致していて、かつ、圧縮比可変機構(VCR)50において目標圧縮比CRmtgと実圧縮比CRmとが略一致しているが、実有効圧縮比CReが目標有効圧縮比CRetgよりも低い状態を示す。
但し、実際には、可変動弁機構(VTC)82及び圧縮比可変機構(VCR)50の制御量が共に目標値に収束しているのに、実有効圧縮比CReと目標値CRetgとが異なる(有効圧縮比CRe制御においてエラーが発生している)という状態は有り得ず、第2パターンに対応する制御設定は不要である。
つまり、図2は、実圧縮比と目標圧縮比との大小関係に基づき区分けされる作動状態の組み合わせパターンを全て示すが、実際には有り得ないパターンを含んでいて、第2パターンは、この実際には有り得ないパターンに相当する。
第3パターンは、可変動弁機構(VTC)82において目標圧縮比CRivctgと実圧縮比CRivcとが略一致している一方、圧縮比可変機構(VCR)50においては目標圧縮比CRmtgが実圧縮比CRmよりも高く、圧縮比可変機構(VCR)50により圧縮比を増加させて、実有効圧縮比CReを目標有効圧縮比CRetgに向けて増加させる操作状態である。
ここで、圧縮比可変機構(VCR)50のみを圧縮比の増加方向に操作するよりも、並行して可変動弁機構(VTC)82を圧縮比の増加方向に操作した方が、実有効圧縮比CReは目標値CRetgに早く到達し、収束応答性が向上する。
そこで、制御装置70は、圧縮比可変機構(VCR)50により圧縮比CRmを増加させる通常制御に並行して、可変動弁機構(VTC)82により吸気バルブ81の閉時期IVCを圧縮比の増大方向に変化させる協調制御を行うことで、実有効圧縮比CReの目標有効圧縮比CRetgに向けての増大を早め、目標有効圧縮比CRetgに十分に近づいた後、圧縮比可変機構(VCR)50による圧縮比CRmの増大が進行するに従って閉時期IVCを目標値にまで徐々に戻す処理(過補正処理)を実施する。
つまり、可変動弁機構(VTC)82においては、機関運転状態に応じた目標圧縮比CRivctg(目標閉時期IVC)と実圧縮比CRivc(実閉時期IVC)とが略一致しているから、可変動弁機構(VTC)82により閉時期IVCを動かす必要はないが、実有効圧縮比CReを応答良く増加させるために、圧縮比可変機構(VCR)50により圧縮比CRmを増加させる操作に並行して閉時期IVCを圧縮比の増大方向に変更し、実有効圧縮比CReの目標有効圧縮比CRetgへの到達を早める。
これにより、内燃機関10の運転状態の変化に応じた目標有効圧縮比CRetgの増大変化に対して実有効圧縮比CReを応答良く追従変化させて、圧縮温度の確保などを図ることができる。
第4パターンは、可変動弁機構(VTC)82において目標圧縮比CRivctgと実圧縮比CRivcとが略一致している一方、圧縮比可変機構(VCR)50においては目標圧縮比CRmtgが実際値CRmよりも低いのに、目標有効圧縮比CRetgが実有効圧縮比CReよりも高い状態を示す。
但し、可変動弁機構(VTC)82が目標に収束している定常状態で、圧縮比可変機構(VCR)50の操作方向と実有効圧縮比CReの操作方向とが異なる状態は有り得ず、第4パターンは第2パターンと同様に実際には有り得ないパターンであり、第4パターンに対応する制御設定は不要である。
第5パターン〜第7パターンは、可変動弁機構(VTC)82において目標圧縮比CRivctgが実圧縮比CRivcよりも高い状態を、圧縮比可変機構(VCR)50の圧縮比状態(作動状態)により3パターンに場合分けする。
第5パターンは、圧縮比可変機構(VCR)50において実圧縮比CRmが目標圧縮比CRmtgに収束している状態で、可変動弁機構(VTC)82により圧縮比CRivcを増大させ、実有効圧縮比CReを目標有効圧縮比CRetgに向けて増大させる状態である。
この場合、可変動弁機構(VTC)82のみを圧縮比の増加方向に操作するよりも、並行して圧縮比可変機構(VCR)50を圧縮比の増加方向に操作した方が、実有効圧縮比CReは目標有効圧縮比CRetgに早く到達することになる。
そこで、制御装置70は、可変動弁機構(VTC)82により圧縮比を増加させる通常制御に並行して、圧縮比可変機構(VCR)50により圧縮比を増大させる協調制御を行うことで、実有効圧縮比CReの目標有効圧縮比CRetgに向けての増大を速める。
そして、目標有効圧縮比CRetgに十分に近づいた後、可変動弁機構(VTC)82による圧縮比の増大が進行するに従ってピストン33の上死点位置を圧縮比が低下する方向に徐々に変化させて実圧縮比CRmを目標圧縮比CRmtgに戻す処理(過補正処理)を実施する。
これにより、内燃機関10の運転状態の変化に応じた目標有効圧縮比CRetgの増大変化に対して、実有効圧縮比CReを応答良く追従変化させて、圧縮温度の確保などを図ることができる。
第6パターンは、圧縮比可変機構(VCR)50及び可変動弁機構(VTC)82により圧縮比を増大させ、実有効圧縮比CReを目標有効圧縮比CRetgに向けて増大させる状態である。
この場合、実圧縮比CRivc(実位相角、実閉時期IVC)が目標値CRivctg(目標位相角、目標閉時期IVC)を行き過ぎるオーバーシュートが発生(拡大)するように可変動弁機構(VTC)82の作動を変更する協調制御、つまり、可変動弁機構(VTC)82による圧縮比CRivcの増大制御の応答を早める制御(応答速度の増大補正)を実施することで、目標有効圧縮比CRetgに向けての実有効圧縮比CReの増加を促進させる。
これにより、内燃機関10の運転状態の変化に応じた目標有効圧縮比CRetgの増大変化に対して、実有効圧縮比CReを応答良く追従変化させて、圧縮温度の確保などを図ることができる。
ここで、有効圧縮比CReを変化させる応答性は、圧縮比可変機構(VCR)50に比べて可変動弁機構(VTC)82の方が速いので、圧縮比可変機構(VCR)50でオーバーシュートを発生させるよりも、可変動弁機構(VTC)82でオーバーシュートを発生させた方が、有効圧縮比CReの増大変化の応答性を改善する効果が大きい。
また、圧縮比可変機構(VCR)50と可変動弁機構(VTC)82との双方でオーバーシュートを発生させることもできるが、この場合は制御安定性が損なわれ、有効圧縮比CReが一時的に過大になる可能性があるので、本実施形態では可変動弁機構(VTC)82でオーバーシュートを発生させる。
第7パターンは、実有効圧縮比CReを増大変化させる状態であるものの、可変動弁機構(VTC)82は圧縮比の増大方向に操作し、圧縮比可変機構(VCR)50は圧縮比の減少方向に操作し、可変動弁機構(VTC)82による圧縮比の増大代よりも圧縮比可変機構(VCR)50による圧縮比の減少代が小さいことで、結果的に、両者における圧縮比変化の差分だけ実有効圧縮比CReを増大変化させる状態である。
係る第7パターンでは、圧縮比可変機構(VCR)50に比べて可変動弁機構(VTC)82による圧縮比変化の応答が速いため、圧縮比可変機構(VCR)50による圧縮比CRmが目標圧縮比CRmtgにまで低下するよりも早く、可変動弁機構(VTC)82による圧縮比CRivcが目標圧縮比CRivctgにまで増加して、実有効圧縮比CReが過渡的に目標有効圧縮比CRetgを超えて過大になる可能性がある。
そこで、制御装置70は、可変動弁機構(VTC)82による圧縮比CRivcの増大応答を低下させ、可変動弁機構(VTC)82による実圧縮比CRivcが目標圧縮比CRivctgに達する時間を圧縮比可変機構(VCR)50による圧縮比CRmが目標圧縮比CRmtgに達する時間に近づける、圧縮比CRivcの増大制限処理(増大応答低下処理)を実施する。
これにより、可変動弁機構(VTC)82による圧縮比CRivcの増大変化が、圧縮比可変機構(VCR)50による圧縮比CRmの減少変化に先行することを抑制でき、過渡的に実有効圧縮比CReが目標有効圧縮比CRetgを超えて過大となることを抑制できる。
第8パターン〜第10パターンは、有効圧縮比CReを増大変化させる状態であって、かつ、可変動弁機構(VTC)82において目標圧縮比CRivctgが実圧縮比CRivcよりも低い状態(圧縮比CRivcの減少操作状態)を、圧縮比可変機構(VCR)50の圧縮比状態(作動状態)により3パターンに場合分けする。
第8パターンは、有効圧縮比CReの増大操作状態であり、かつ、可変動弁機構(VTC)82は圧縮比CRivcの減少操作状態であるのに、圧縮比可変機構(VCR)50は目標に収束している定常状態である場合に相当する。
係る状態は、有効圧縮比CReの操作方向と圧縮比CRivcの操作方向とが逆で、しかも、圧縮比可変機構(VCR)50が定常であるから、実際には有り得ず、第8パターンは第2、第4パターンと同様に実際には有り得ないパターンであり、第8パターンに対応する制御設定は不要である。
第9パターンは、有効圧縮比CReを増大変化させる状態であるものの、可変動弁機構(VTC)82は圧縮比CRivcの減少方向に操作し、圧縮比可変機構(VCR)50は圧縮比CRmの増大方向に操作し、可変動弁機構(VTC)82による圧縮比CRivcの減少代よりも圧縮比可変機構(VCR)50による圧縮比CRmの増大代が大きいことで、結果的に、両者における圧縮比変化の差分だけ、有効圧縮比CReを増大変化させる状態である。
係る第9パターンでは、圧縮比可変機構(VCR)50に比べて可変動弁機構(VTC)82による圧縮比変化の応答が速いため、圧縮比可変機構(VCR)50において実圧縮比CRmが目標圧縮比CRmtgにまで増加するよりも早く可変動弁機構(VTC)82において実圧縮比CRivcが目標圧縮比CRivctgにまで低下して、有効圧縮比CReが過渡的に目標有効圧縮比CRetgを超えて過小になる可能性がある。
そこで、制御装置70は、可変動弁機構(VTC)82による圧縮比CRivcの減少応答を低下させ、可変動弁機構(VTC)82において実圧縮比CRivcが目標圧縮比CRivctgに達する時間を圧縮比可変機構(VCR)50において実圧縮比CRmが目標圧縮比CRmtgに達する時間に近づける、圧縮比CRivcの減少制限処理(減少応答低下処理)を実施する。
これにより、可変動弁機構(VTC)82による圧縮比CRivcの減少変化が、圧縮比可変機構(VCR)50による圧縮比CRmの増大変化に先行することを抑制でき、過渡的に実有効圧縮比CReが目標有効圧縮比CRetgを超えて過小となることを抑制できる。
第10パターンは、有効圧縮比CReを増大変化させる状態であるものの、可変動弁機構(VTC)82及び圧縮比可変機構(VCR)50における目標圧縮比がいずれも実圧縮比よりも低く実圧縮比の減少操作が行われるパターンである。
但し、可変動弁機構(VTC)82及び圧縮比可変機構(VCR)50が共に圧縮比の減少操作中であるのに、その結果として有効圧縮比CReが増大変化することはなく、第10パターンは実際には有り得ず、第10パターンに対応する制御設定は不要である。
第11パターン〜第19パターンは、目標有効圧縮比CRetgが実有効圧縮比CReよりも低く、実有効圧縮比CReを減少させるパターンであり、更に、第11パターン〜第13パターンは、可変動弁機構(VTC)82において実圧縮比CRivcが目標圧縮比CRivctgに略一致している定常状態を、圧縮比可変機構(VCR)50の作動状態に応じてパターン分けしている。
第11パターンは、可変動弁機構(VTC)82は実圧縮比CRivcが目標圧縮比CRivctgに略一致している定常状態であって、かつ、圧縮比可変機構(VCR)50において実圧縮比CRmが目標圧縮比CRmtgに略一致している定常状態である。
但し、可変動弁機構(VTC)82及び圧縮比可変機構(VCR)50が共に定常状態であるのに、有効圧縮比CReの減少操作中であることは実際には有り得ず、第11パターンに対応する制御設定は不要である。
第12パターンは、可変動弁機構(VTC)82において実圧縮比CRivcが目標圧縮比CRivctgに略一致している定常状態であって、かつ、圧縮比可変機構(VCR)50において実圧縮比CRmが目標圧縮比CRmtgよりも低い圧縮比の増大操作中である。
但し、この場合、実圧縮比CRmを増大させることで、有効圧縮比CReを減少変化させることはできず、第12パターンは実際には有り得ないパターンであり、第12パターンに対応する制御設定は不要である。
第13パターンは、可変動弁機構(VTC)82において実圧縮比CRivcが目標圧縮比CRivctgに略一致している定常状態であって、かつ、圧縮比可変機構(VCR)50において実圧縮比CRmが目標圧縮比CRmtgよりも高い圧縮比の減少操作中である。つまり、圧縮比可変機構(VCR)50を作動させて有効圧縮比CReを減少させる状態である。
この第13パターンでは、可変動弁機構(VTC)82においては実圧縮比CRivcが目標圧縮比CRivctgに収束している定常状態であるものの、圧縮比可変機構(VCR)50のみを作動させて有効圧縮比CReを減少させると、有効圧縮比CReの収束が遅れる。
そこで、制御装置70は、圧縮比可変機構(VCR)50により圧縮比CRmを減少させる通常制御に並行して、可変動弁機構(VTC)82により吸気バルブ81の閉時期IVCを圧縮比の減少方向に変化させる協調制御を行うことで、実有効圧縮比CReの目標有効圧縮比CRetgに向けての減少を早め、実有効圧縮比CReが目標有効圧縮比CRetgに十分に近づいた後圧縮比可変機構(VCR)50による圧縮比CRmの減少が進行するに従って閉時期IVCを目標値にまで徐々に戻す処理(過補正処理)を実施する。
つまり、可変動弁機構(VTC)82においては目標圧縮比CRivctgと実圧縮比CRivcとが略一致しているから、可変動弁機構(VTC)82により閉時期IVCを動かす必要はないが、有効圧縮比CReを速やかに減少させるために、圧縮比可変機構(VCR)50により圧縮比CRmを減少させる操作に並行して、一時的に閉時期IVCを圧縮比の減少方向に変更して、実有効圧縮比CReの目標有効圧縮比CRetgへの到達を早める。
これにより、内燃機関10の運転状態の変化に応じた目標有効圧縮比CRetgの減少変化に対して、実有効圧縮比CReを応答良く追従変化させて、圧縮温度の速やかな低下を図る。
第14パターン〜第16パターンは、目標有効圧縮比CRetgが実有効圧縮比CReよりも低く、実有効圧縮比CReを減少させるパターンであって、かつ、可変動弁機構(VTC)82において実圧縮比CRivcが目標圧縮比CRivctgよりも低く実圧縮比CRivcの増大操作中である状態を、圧縮比可変機構(VCR)50の作動状態に応じてパターン分けしている。
第14パターンは、可変動弁機構(VTC)82が実圧縮比CRivcの増大操作中であって、圧縮比可変機構(VCR)50による圧縮比CRmが目標圧縮比CRmtgに略一致する状態である。但し、圧縮比可変機構(VCR)50の定常状態で可変動弁機構(VTC)82を圧縮比CRivcの増大方向に操作しても、実有効圧縮比CReを減少させることにはならないから、第14パターンは実際には有り得ない状態であり、第14パターンに対応する制御設定は不要である。
第15パターンは、可変動弁機構(VTC)82が実圧縮比CRivcの増大操作中であって、圧縮比可変機構(VCR)50も圧縮比CRmの増大操作中である状態である。但し、可変動弁機構(VTC)82及び圧縮比可変機構(VCR)50が増大操作中であるときに、実有効圧縮比CReを減少させることにはならないので、第15パターンは実際には有り得ない状態であり、第15パターンに対応する制御設定は不要である。
第16パターンは、可変動弁機構(VTC)82が実圧縮比CRivcの増大操作中であるときに、圧縮比可変機構(VCR)50を圧縮比CRmの減少方向に操作することで、最終的に実有効圧縮比CReを減少させる状態である。
係る第16パターンでは、圧縮比可変機構(VCR)50に比べて可変動弁機構(VTC)82による圧縮比変化の応答が速いため、圧縮比可変機構(VCR)50において実圧縮比CRmが目標圧縮比CRmtgにまで減少するよりも早く可変動弁機構(VTC)82において実圧縮比CRivcが目標圧縮比CRivctgにまで増加して、有効圧縮比CReが過渡的に目標値CRetgを超えて過大になる可能性がある。
そこで、制御装置70は、可変動弁機構(VTC)82による圧縮比CRivcの増大応答を低下させ、可変動弁機構(VTC)82において実圧縮比CRivcが目標圧縮比CRivctgに達する時間を圧縮比可変機構(VCR)50において実圧縮比CRmが目標圧縮比CRmtgに達する時間に近づける、圧縮比CRivcの増大制限処理(増大応答低下処理)を実施する。
これにより、可変動弁機構(VTC)82による圧縮比CRivcの増大変化が、圧縮比可変機構(VCR)50による圧縮比CRmの減少変化に先行することを抑制でき、過渡的に実有効圧縮比CReが目標有効圧縮比CRetgを超えて過大となることを抑制できる。
第17パターン〜第19パターンは、目標有効圧縮比CRetgが実有効圧縮比CReよりも低く、実有効圧縮比CReを減少させるパターンであって、かつ、可変動弁機構(VTC)82において実圧縮比CRivcが目標圧縮比CRivctgよりも高く実圧縮比CRivcの減少操作中である状態を、圧縮比可変機構(VCR)50の作動状態に応じてパターン分けしている。
第17パターンは、可変動弁機構(VTC)82が実圧縮比CRivcの減少操作状態である一方、圧縮比可変機構(VCR)50は実圧縮比CRmと目標圧縮比CRmtgとが略一致する定常状態である。
つまり、可変動弁機構(VTC)82を操作して実圧縮比CRivcを低下させることで、実有効圧縮比CReを減少させる状況であるが、可変動弁機構(VTC)82のみを圧縮比CRivcの減少方向に操作するよりも、並行して圧縮比可変機構(VCR)50を圧縮比CRmの減少方向に操作した方が、実有効圧縮比CReは目標値CRetgにまで早く低下することになる。
そこで、制御装置70は、可変動弁機構(VTC)82により圧縮比CRivcを減少させる通常制御に並行して、圧縮比可変機構(VCR)50により圧縮比CRmを減少させる協調制御を行うことで、実有効圧縮比CReの目標有効圧縮比CRetgに向けての減少を早める。
そして、実有効圧縮比CReが目標有効圧縮比CRetgに十分に近づいた後可変動弁機構(VTC)82による圧縮比CRivcの減少が進行するに従ってピストン33の上死点位置を圧縮比CRmが増大する方向に徐々に変化させて目標圧縮比CRmtgに戻す処理(過補正処理)を実施する。
これにより、内燃機関10の運転状態の変化に応じた目標有効圧縮比CRetgの減少変化に対して、実際の有効圧縮比CReを応答良く追従変化させて、圧縮温度の速やかな低下などを図ることができる。
第18パターンは、可変動弁機構(VTC)82が実圧縮比CRivcの減少操作状態である一方、圧縮比可変機構(VCR)50においては実圧縮比CRmが目標圧縮比CRmtgよりも低く実圧縮比CRmの増大操作状態である。つまり、第18パターンは、実圧縮比CRivcの減少操作に並行して実圧縮比CRmの増大操作が行われ、実圧縮比CRivcの減少代が実圧縮比CRmの増大代よりも大きい分だけ有効圧縮比CReを減少させる状況である。
係る第18パターンでは、圧縮比可変機構(VCR)50に比べて可変動弁機構(VTC)82による圧縮比変化の応答が速いため、圧縮比可変機構(VCR)50において実圧縮比CRmが目標圧縮比CRmtgにまで増加するよりも早く可変動弁機構(VTC)82において実圧縮比CRivcが目標圧縮比CRivctgにまで低下して、有効圧縮比CReが過渡的に目標有効圧縮比CRetgを超えて過小になる可能性がある。
そこで、制御装置70は、可変動弁機構(VTC)82による圧縮比CRivcの減少応答を低下させ、可変動弁機構(VTC)82において実圧縮比CRivcが目標圧縮比CRivctgに達する時間を圧縮比可変機構(VCR)50において実圧縮比CRmが目標圧縮比CRmtgに達する時間に近づける、圧縮比CRivcの減少制限処理(減少応答低下処理)を実施する。
これにより、可変動弁機構(VTC)82による圧縮比CRivcの減少変化が、圧縮比可変機構(VCR)50による圧縮比CRmの増大変化に先行することを抑制でき、過渡的に有効圧縮比CReが目標有効圧縮比CRetgを超えて過小となることを抑制できる。
第19パターンは、可変動弁機構(VTC)82が実圧縮比CRivcの減少操作状態である一方、圧縮比可変機構(VCR)50においても実圧縮比CRmが目標圧縮比CRmtgよりも高く実圧縮比CRmの減少操作状態である。つまり、第19パターンは、実圧縮比CRivcの減少操作に並行して実圧縮比CRmの減少操作が行われて、双方の機構によって有効圧縮比CReを減少させる状況である。
この場合、可変動弁機構(VTC)82による圧縮比CRivc(実閉時期IVC)が目標圧縮比CRivctg(目標閉時期IVC)を行き過ぎるオーバーシュートが発生(拡大)するように可変動弁機構(VTC)82の作動を変更する協調制御、つまり、可変動弁機構(VTC)82による圧縮比CRivcの減少制御の応答を速める制御(応答速度の増大補正)を実施することで、目標有効圧縮比CRetgに向けての実有効圧縮比CReの減少を促進させる。
これにより、内燃機関10の運転状態の変化に応じた目標有効圧縮比CRetgの減少変化に対して、実有効圧縮比CReを応答良く追従変化させて、圧縮温度の速やかな低下などを図ることができる。
以上のように、図2に示した第1パターン〜第19パターンのうち、実際には有り得ない状況は、第2パターン、第4パターン、第8パターン、第10パターン、第11パターン、第12パターン、第14パターン、第15パターンであり、制御装置70はこれ以外の状態においてそれぞれの状態に応じた協調制御を実施する。
ここで、制御装置70の協調制御は、機関運転状態に応じた目標圧縮比(マップ値)をそのまま用いることで協調制御としての補正を双方の機構50,82について実質的に行わない処理と、目標圧縮比に向けての応答速度を標準よりも遅くすることで過渡的に圧縮比が過大又は過小となることを抑制するための可変動弁機構(VTC)82についての制限処理と、圧縮比可変機構(VCR)50と可変動弁機構(VTC)82との一方について意図的に過渡応答を速くしてオーバーシュートを大きくすることで有効圧縮比CReの目標有効圧縮比CRetgに対する収束性を速くする過補正処理とに大別される。
そして、補正(協調制御)を行わないのは第1パターンであり、制限処理は第7パターン、第9パターン、第16パターン、第18パターンで実施され、過補正処理は第3パターン、第5パターン、第6パターン、第13パターン、第17パターン、第19パターンで実施される。
以下では、制御装置70が協調制御を実施することになる内燃機関10の運転状態変化を例示する。
図3は、圧縮比可変機構(VCR)50による圧縮比CRmの変化方向と、可変動弁機構(VTC)82による圧縮比CRivcの変化方向とが異なるようになる、機関運転状態の変化の一例である。
図3(A)の運転状態(過給状態)においては、充填空気量を増大させ、また、排ガスの排気通路側への吸出し及び空気の燃焼室内への流入を促進させる作用(スカベジング)を向上させるために、可変動弁機構(VTC)82の作動としては、吸気バルブ81の閉時期IVCを下死点BDCに近づけ(圧縮比CRivcを高くし)、バルブオーバーラップ期間を拡大させる。
また、図3(A)の運転状態において、圧縮比可変機構(VCR)50の作動としては、圧縮比CRmを低くして過給圧の上限をより高めるようにする。
一方、図3(B)の運転状態(燃費重視状態)においては、可変動弁機構(VTC)82の作動としては、図3(A)の運転状態のときよりも吸気バルブ81の閉時期IVCを下死点BDCから遅角し(圧縮比CRivcを低下させ)、図3(A)の場合よりも高膨張比とする。また、図3(B)の運転状態において、圧縮比可変機構(VCR)50の作動としては、図3(A)の運転状態のときよりも圧縮比CRmを高くして圧縮温度を確保する。
従って、図3(A)の運転状態から図3(B)の運転状態へと変化する過渡状態では、圧縮比CRivcを低下させる一方で圧縮比CRmを高めることになり、逆に、図3(B)の運転状態から図3(A)の運転状態へと変化する過渡状態では、圧縮比CRivcを増加させる一方で圧縮比CRmを低下させることになる。
このように、圧縮比可変機構(VCR)50による圧縮比CRmの変化方向と可変動弁機構(VTC)82による圧縮比CRivcの変化方向とが異なる過渡状態としては、第1パターン〜第19パターンのうち、第7パターン、第9パターン、第16パターン、第18パターンが該当し、いずれの場合も可変動弁機構(VTC)82の作動応答(圧縮比CRivcの過渡応答)を低下させる制限処理を実施する。
つまり、圧縮比CRmの変化方向と逆方向に圧縮比CRivcを変化させるときに、圧縮比CRmの変化に対して圧縮比CRivcの変化が先行すると、圧縮比CRivcの変化方向に有効圧縮比CReが過剰に変化することになるので、圧縮比CRivcの変化を遅らせることで、有効圧縮比CReの過剰変化を抑制する。
図4は、圧縮比可変機構(VCR)50による圧縮比CRmの変化方向と、可変動弁機構(VTC)82による圧縮比CRivcの変化方向とが同じとなる、機関運転状態の変化の一例である。
図4は、(A)の始動状態から(B)のファストアイドル状態への移行を示し、始動からファストアイドルへの移行に伴って内燃機関10の運転安定性を向上させるために、圧縮比CRmを増加させ、かつ、圧縮比CRivcを増加させる(閉時期IVCを下死点BDCに近づける)。
このように、圧縮比可変機構(VCR)50により圧縮比CRmを増加させ、かつ、可変動弁機構(VTC)82により圧縮比CRivcを増加させる過渡状態としては、第1パターン〜第19パターンのうちの第6パターンが該当し、この場合、可変動弁機構(VTC)82の作動応答(圧縮比CRivcの過渡応答)を速める過補正処理を実施することで、内燃機関10の運転安定性を向上させることができる有効圧縮比CReにまで応答良く変化させる。
図5は、同じく、圧縮比可変機構(VCR)50による圧縮比CRmの変化方向と、可変動弁機構(VTC)82による圧縮比CRivcの変化方向とが同じとなる、機関運転状態の変化の一例であり、(A)の弱過給圧状態においてプレイグニッションやノッキングなどの異常燃焼が発生した場合に、係る異常燃焼を解消するために(B)の圧縮比状態とする例を示す。
この場合、異常燃焼を解消するために、可変動弁機構(VTC)82では閉時期IVCを下死点BDCから遠ざけて圧縮比CRivcを低下させ、また、圧縮比可変機構(VCR)50では圧縮比CRmを低下させて圧縮温度の低下を図る。
つまり、圧縮比可変機構(VCR)50により圧縮比CRmを低下させ、かつ、可変動弁機構(VTC)82により圧縮比CRivcを低下させる過渡状態であり、係る作動状態としては、第1パターン〜第19パターンのうちの第19パターンが該当する。
そして、第19パターンでは、可変動弁機構(VTC)82の作動応答(圧縮比CRivcの過渡応答)を速める過補正処理を実施することで、異常燃焼を抑制できる有効圧縮比CReにまで応答良く変化させ、異常燃焼を速やかに抑制できるようにする。
また、図6は、内燃機関10の運転状態の変化に基づく可変動弁機構(VTC)82の作動要求はなく、内燃機関10の運転状態の変化に応じて圧縮比可変機構(VCR)50のみを作動させるパターンの一例を示す。
図6において、(A)に比べて(B)は過給圧がより高い運転状態であり、(A)の弱過給圧状態では、(B)の高過給圧状態よりも圧縮比CRmを高く(中レベルに)することで熱効率の確保を図る一方、(B)の高過給圧状態では、(A)の弱過給圧の場合よりも圧縮比CRmを低く(低レベルに)することで過給圧の上限を高めるようにする。
従って、(A)の弱過給圧状態から(B)の高過給圧状態への移行に伴って圧縮比可変機構(VCR)50による圧縮比CRmを低下させ、逆に、(B)の高過給圧状態から(A)の弱過給圧状態への移行に伴って圧縮比可変機構(VCR)50による圧縮比CRmを増加させる。
係る作動状態は、第1パターン〜第19パターンのうちの第3パターン、第13パターンが該当し、第3パターンは、(B)の高過給圧状態から(A)の弱過給圧状態への移行状態に該当し、第13パターンは、(A)の弱過給圧状態から(B)の高過給圧状態への移行に該当する。
そして、この第3パターン及び第13パターンでは、内燃機関10の運転状態の変化に基づく可変動弁機構(VTC)82の作動要求は発生しないが、有効圧縮比CReの収束応答を改善するために、圧縮比CRmの変化方向と同じ方向に圧縮比CRivcが変化するように可変動弁機構(VTC)82を過渡的に作動させる。これにより、(A)の弱過給圧状態から(B)の高過給圧状態への移行状態においては過給圧の上限を速やかに高め、(B)の高過給圧状態から(A)の弱過給圧状態への移行状態においては熱効率の確保が速やかに得られる。
また、図7は、内燃機関10の運転状態の変化に基づく圧縮比可変機構(VCR)50の作動要求はなく、内燃機関10の運転状態の変化に応じて可変動弁機構(VTC)82のみを作動させるパターンの一例を示す。
図7において、(A)及び(B)はいずれも省燃費運転状態であるが、(A)が低負荷状態であり、(B)がより機関負荷の高い中負荷状態の場合であり、省燃費運転を行うためにいずれの場合も圧縮比CRmを高めに設定して圧縮温度の確保を図るが、(A)の低負荷状態では、(B)に比べて閉時期IVCを下死点BDCから遠ざけて圧縮比CRivcをより低下させることで、(B)よりも高膨張比として省燃費性能を向上させる。
従って、(A)の低負荷省燃費状態から(B)の中負荷省燃費状態への移行に伴って可変動弁機構(VTC)82により圧縮比CRivcを増加させ(閉時期IVCを下死点BDCに近づけ)、逆に、(B)の中負荷省燃費状態から(A)の低負荷省燃費状態への移行に伴って可変動弁機構(VTC)82により圧縮比CRivcを低下させる(閉時期IVCを下死点BDCから遠ざける)。
係る作動状態は、第1パターン〜第19パターンのうちの第5パターン、第17パターンが該当し、第5パターンは、(A)の低負荷省燃費状態から(B)の中負荷省燃費状態への移行状態に該当し、第17パターンは、(B)の中負荷省燃費状態から(A)の低負荷省燃費状態への移行状態に該当する。
そして、この第5パターン及び第17パターンでは、内燃機関10の運転状態の変化に基づく圧縮比可変機構(VCR)50の作動要求は発生しないが、有効圧縮比CReの収束応答を改善するために、圧縮比CRivcの変化方向と同じ方向に圧縮比CRmが変化するように圧縮比可変機構(VCR)50を過渡的に作動させ、有効圧縮比CReの収束応答を改善する。
尚、図2に示した協調制御の全てを実施することに限定されるものではなく、過補正処理と制限処理とのいずれか一方を省略したり、過補正処理のうち圧縮比可変機構(VCR)50についての処理又は可変動弁機構(VTC)82についての処理を省略したり、制限処理のうち圧縮比が過大となることを抑制する処理と過小となることを抑制する処理とのいずれか一方を省略したりすることができる。
図8は、アクセルを全開から全閉(アイドル位置)に戻したときの圧縮比可変機構(VCR)50及び可変動弁機構(VTC)82の作動状態の一例を示す。
図8に示す例では、目標有効圧縮比CRetgは、アクセルが全閉に操作されることでアクセル全開状態のときよりも低く変更されるが、係る目標有効圧縮比CRetgの低下は、可変動弁機構(VTC)82によって吸気バルブ81の閉時期IVCを下死点後の領域で遅角させて圧縮比CRivcを低下させる一方で、圧縮比可変機構(VCR)50により圧縮比CRmを増大させることで達成される。
つまり、目標有効圧縮比CRetgの低下代よりも可変動弁機構(VTC)82における圧縮比CRivcの低下代を大きくし、圧縮比CRivcが過剰に低下する分だけ圧縮比可変機構(VCR)50により圧縮比CRmを増大させて、実有効圧縮比CReが目標有効圧縮比CRetgに近づくようにする。
係る圧縮比変化を生じさせるときに、可変動弁機構(VTC)82による圧縮比変化の応答が圧縮比可変機構(VCR)50による圧縮比変化の応答に比べて速いと、図8に例示したように、圧縮比CRmの増大に比べて圧縮比CRivcの低下が先行する結果、実有効圧縮比CReが目標有効圧縮比CRetgを超えて低下するオーバーシュートが発生し、実有効圧縮比CReが運転状態に応じた下限値CRminを過渡的に下回り、圧縮温度が一時的に過度に低下する可能性がある。
つまり、図8において、時刻t1でアクセルが全開から全閉に切り替わり、これに応じて、圧縮比可変機構(VCR)50における目標圧縮比CRmtgが増加する一方で、可変動弁機構(VTC)82における目標圧縮比CRivctgが低下する。
ここで、圧縮比可変機構(VCR)50に比べて可変動弁機構(VTC)82による圧縮比変化の応答が速いため、可変動弁機構(VTC)82では、時刻t2において目標圧縮比CRivctgに実圧縮比CRivcが達するのに対し、圧縮比可変機構(VCR)50では、時刻t2よりも遅い時刻t3において目標圧縮比CRmtgに実圧縮比CRmが達する場合がある。
係る目標圧縮比への応答時間の違いにより、時刻t1から時刻t2までの間では、実圧縮比CRmが殆ど変化しないのに対して、実圧縮比CRivcの減少が進行する結果、実有効圧縮比CReが目標有効圧縮比CRetgを下回るようになる可能性がある。
そこで、制御装置70は、図9に例示したように、制限処理を実施しない場合(通常制御状態)に比べて圧縮比CRivcの変化を抑制する制限処理(圧縮比CRivcの応答速度を遅らせる処理)を行うことで、圧縮比CRmの増大に比べて圧縮比CRivcの低下が先行することを抑制し、圧縮比CRivcと圧縮比CRmとが略同時期に目標値に達するようにする。
図9において、時刻t1でアクセルが全開から全閉に切り替わり、これに応じて、圧縮比可変機構(VCR)50における目標圧縮比CRmtgが増加し、可変動弁機構(VTC)82における目標圧縮比CRivctgが低下する。
ここで、制御装置70は、可変動弁機構(VTC)82の制御において、運転状態に応じた目標圧縮比CRivctgに代えてこの目標圧縮比CRivctgに遅れて追従する制限処理用の目標値FCRivctgを設定し、この制限処理用の目標値FCRivctgに従って可変動弁機構(VTC)82を制御し、目標圧縮比CRmtgに実圧縮比CRmが達する時刻t3付近で圧縮比CRivcが目標圧縮比CRivctgに収束するようにする。
係る制限処理により、可変動弁機構(VTC)82による圧縮比変化の応答が圧縮比可変機構(VCR)50による圧縮比変化の応答に比べて速い場合であっても、実有効圧縮比CReが目標有効圧縮比CRetgを超えて低下することを抑制でき、以って、圧縮温度が過度に低下することを抑制できる。
以下では、制御装置70による協調制御(制限処理、過補正処理)の具体的な処理内容の一例を説明する。
前述の図2に示したように、圧縮比可変機構(VCR)50については、協調制御としての作動を行わないパターンと、協調制御としての過補正処理を実施するパターンとのいずれかに分別され、協調制御としての過補正処理を実施するパターンは、第5パターン及び第17パターンである。
そこで、制御装置70は、有効圧縮比CRe、圧縮比CRivc及び圧縮比CRmの操作方向に基づき、圧縮比可変機構(VCR)50について協調制御を行わない場合と、圧縮比可変機構(VCR)50について協調制御としての過補正処理を実施する場合とに判別し、係る判別結果に基づき状態番号STVCRの設定を行う。
ここで、図2の第9列に示すように、例えば、圧縮比可変機構(VCR)50について協調制御を行わない場合は状態番号STVCR=0に設定し、圧縮比可変機構(VCR)50について過補正処理(協調制御)を行う場合は状態番号STVCR=2に設定する。つまり、第5パターン及び第17パターンに該当するときに状態番号STVCR=2とし、それ以外では状態番号STVCR=0とする。
一方、可変動弁機構(VTC)82については、協調制御としての作動を行わないパターンと、協調制御としての過補正処理を実施するパターンと、協調制御としての制限処理を実施するパターンとのいずれかに分別され、協調制御としての過補正処理を実施するパターンは、第3パターン、第6パターン、第13パターン及び第19パターンであり、協調制御としての制限処理を実施するパターンは、第7パターン、第9パターン、第16パターン及び第18パターンである。
そこで、制御装置70は、有効圧縮比CRe、圧縮比CRivc及び圧縮比CRmの操作方向に基づき、可変動弁機構(VTC)82について協調制御を行わない場合と、可変動弁機構(VTC)82について協調制御としての過補正処理を実施する場合と、可変動弁機構(VTC)82について協調制御としての制限処理を実施する場合とに判別し、係る判別結果に基づき状態番号STVTCの設定を行う。
ここで、図2の第8列に示すように、例えば、可変動弁機構(VTC)82について協調制御を行わない場合は状態番号STVTC=0に設定し、可変動弁機構(VTC)82について過補正処理(協調制御)を行う場合は状態番号STVTC=2に設定し、可変動弁機構(VTC)82について制限処理(協調制御)を行う場合は状態番号STVTC=1に設定する。
つまり、第3パターン、第6パターン、第13パターン及び第19パターンに該当するときに状態番号STVTC=2とし、第7パターン、第9パターン、第16パターン及び第18パターンに該当するときに状態番号STVTC=1とし、それ以外では状態番号STVTC=0とする。
ここで、制御装置70は、状態番号STVCR、STVTCに基づき圧縮比可変機構(VCR)50及び可変動弁機構(VTC)82について協調制御を行うか否かを判断し、協調制御を行わない場合には、内燃機関10の運転状態に基づいて設定される目標圧縮比MCRmtg、目標圧縮比MCRivctg(目標閉時期IVC)をそのまま最終的な目標値FCRmtg、FCRivctgとして設定する。
一方、制御装置70は、協調制御を行う場合には、目標圧縮比MCRmtg、目標圧縮比MCRivctgを補正した結果を最終的な目標値FCRmtg、FCRivctgとする。
そして、制御装置70は、最終的な目標値FCRmtg、FCRivctgに基づき圧縮比可変機構(VCR)50、可変動弁機構(VTC)82を制御する目標圧縮比の補正処理によって、協調制御(過補正処理、制限処理)を実行する。
尚、目標圧縮比MCRmtg、目標圧縮比MCRivctgの設定に用いられる機関運転状態には、機関負荷、機関回転速度、機関温度(冷却水温度)、過給圧、異常燃焼の有無、始動状態であるか否かなどが含まれる。
図10は、制御装置70による圧縮比可変機構(VCR)50の目標値FCRmtg(コントロールシャフト25の目標角度TGVCR)の演算処理を示すブロック図である。
第1比較演算部101には、状態番号STVCRと、協調制御(過補正処理)を実施しない場合の状態番号STVCRの値である「0」とが入力される。
そして、状態番号STVCRが0であるとき(両入力値が一致する場合)に、第1比較演算部101はHigh信号(「1」の信号)を出力し、状態番号STVCRが0以外(STVCR=2)であるとき(両入力値が一致しない場合)に、第1比較演算部101はLow信号(「0」の信号)を出力する。
第1比較演算部101の出力は、第1出力切り替え部102に切り替え制御信号として入力され、第1出力切り替え部102は、目標圧縮比MCRmtgの補正値として入力される2値のいずれか一方を第1比較演算部101の出力に応じて選択して出力する。
目標圧縮比MCRmtgの補正値として、補正を実質的に行わない値(補正が加算補正の場合には0)と、可変動弁機構(VTC)82におけるエラー量(制御偏差)に応じた値とが、第1出力切り替え部102に入力される。
そして、第1出力切り替え部102は、第1比較演算部101の出力がHigh信号である場合、つまり、協調制御(過補正処理)を実施しない場合、補正を実質的に行わない補正値を出力し、第1比較演算部101の出力がLow信号である場合、つまり、協調制御(過補正処理)を実施する場合、可変動弁機構(VTC)82におけるエラー量(制御偏差)に応じた補正値を出力する。
第1出力切り替え部102の出力(補正値又は補正係数)は、補正部(加算演算部)103の一方の入力端子に入力され、補正部(加算演算部)103の他方の入力端子には目標圧縮比MCRmtgが入力される。
そして、補正部(加算演算部)103は、目標圧縮比MCRmtgを補正値で補正した結果(目標圧縮比MCRmtgに補正値を加算した結果)を、補正処理後の目標値FCRmtgとして出力する。
補正部(加算演算部)103は、目標値FCRmtgを変換部104に出力し、変換部104は、補正後の目標圧縮比FCRmtgを圧縮比可変機構(VCR)50の制御量(コントロールシャフト25の目標角度TGVCR)に変換する。
更に、変換部104から出力されるコントロールシャフト25の目標角度TGVCRは、制限部105に出力される。
制限部105では、入力した目標角度TGVCRが上限値を超えていれば上限値を最終的な目標角度TGVCRとして出力し、入力した目標角度TGVCRが下限値を下回っていれば下限値を最終的な目標角度TGVCRとして出力し、入力した目標角度TGVCRが上限値と下限値とで挟まれる範囲内であれば、入力した目標角度TGVCRをそのまま最終的な目標角度TGVCRとして出力する。
そして、制御装置70は、最終的な目標角度TGVCRとコントロールシャフト25の実角度との偏差に基づく比例積分制御などに基づいてアクチュエータ51の操作量を演算して出力することで、目標角度TGVCRに実際のコントロールシャフト25の角度を近づけるフィードバック制御を実施する。
ここで、可変動弁機構(VTC)82におけるエラー量(制御偏差)に応じた目標圧縮比MCRmtgの補正値演算を詳述する。
乗算部106には、可変動弁機構(VTC)82におけるエラー量である、目標圧縮比CRivctg(目標閉時期IVC)と実圧縮比CRivc(実閉時期IVC)との偏差(偏差=目標圧縮比−実圧縮比≒閉時期IVCの制御エラー)のデータと、エラー量を目標圧縮比MCRmtgの補正値に変換するためのゲイン(係数)とが入力され、エラー量にゲインを乗算した結果を、目標圧縮比MCRmtgの補正値として出力する。
第2出力切り替え部107は、乗算部106にゲインを出力する。
第2出力切り替え部107には、制限処理に適合して設定されたゲインと、過補正処理に適合して設定されたゲインとが入力され、第2比較演算部108の出力に応じて2つのいずれか一方を出力する。
第2出力切り替え部107に入力される制限処理用ゲイン及び過補正用ゲインは、固定値として与えることができ、また、内燃機関10の運転条件に応じて可変に設定することができる。
制限処理用ゲイン及び過補正用ゲインの可変設定に用いる運転条件としては、実有効圧縮比CRe、シリンダ吸入新気量、燃焼室における残留ガス量、圧縮温度、ノッキング感度(ノッキングの発生し易さ)などの有効圧縮比の過渡応答の要求レベルに関わる各種条件を用いることができる。
即ち、目標圧縮比の補正レベル(過補正処理、制限処理による可変動弁機構(VTC)82、圧縮比可変機構(VCR)50の作動状態の変更度合)を大きくしないと、加速性能の低下、異常燃焼の発生、排気性状の悪化、燃焼性の悪化、始動不良などが発生する条件でゲインを大きくし、補正レベルを小さく抑制しても前述のような事象を十分に抑制できる場合にはゲインを小さくする。
図11は、制御装置70における過補正用ゲインの演算機能を示すブロック図であり、実有効圧縮比CRe、シリンダ吸入新気量、燃焼室における残留ガス量、圧縮温度、ノッキング感度の各条件毎に過補正用ゲイン設定部301〜305において、過補正用ゲインを設定する。
過補正用ゲイン設定部301〜305それぞれで設定された過補正ゲインは比較演算部306に出力され、比較演算部306は、過補正用ゲイン設定部301〜305それぞれで設定された過補正用ゲインのうちで最も大きなゲインを、最終的な過補正用ゲインとして出力する。
ここで、実有効圧縮比CReに基づき過補正用ゲインを設定する過補正用ゲイン設定部301では、実有効圧縮比CReが機関運転条件に応じた可変範囲(上限値と下限値とで挟まれる許容範囲)の中央値付近で過補正ゲインを小さくし、上下限値に近づくほど過補正ゲインを大きくする。
これは、実有効圧縮比CReが可変範囲の中央値付近であれば、上下限値に達するまでの余裕代が大きく、実有効圧縮比CReの過渡変化に多少の遅れがあっても、可変範囲を外れてしまうことが抑制されるので、過補正ゲインを小さくする。一方、実有効圧縮比CReが上下限値に近い状態では、実有効圧縮比CReの過渡変化の遅れによって可変範囲を外れ易くなるため、過補正ゲインを大きくして上下限値を超えることを抑制する。
また、シリンダ吸入新気量に基づき過補正用ゲインを設定する過補正用ゲイン設定部302では、新気量が多いほど過補正用ゲインをより大きな値に設定する。これは、新気量が多いことで圧縮温度が上がりノッキングが発生し易くなり、実有効圧縮比CReの応答遅れによってノッキングが発生し易くなるためである。
また、残ガス量に基づき過補正用ゲインを設定する過補正用ゲイン設定部303では、残ガス量が多いほど過補正用ゲインをより小さい値に設定する。これは、残ガス量が多い場合には燃焼温度が下がりNOxを低減できるが、残ガス量が少ない場合に燃焼温度が上がり、これに有効圧縮比の応答遅れが重なることでNOxが増加することを抑制するためである。
また、圧縮温度に基づき過補正用ゲインを設定する過補正用ゲイン設定部304では、圧縮温度が高いほど過補正用ゲインを小さくする。これは、圧縮温度が高い状態で有効圧縮比の増大応答を高くするとノッキングなどの異常燃焼が発生し易くなり、また、圧縮温度が高い状態で有効圧縮比の減少応答を高くすると、高負荷域での燃焼性悪化を発生させる可能性があるためである。
また、ノッキング感度に基づき過補正用ゲインを設定する過補正用ゲイン設定部305では、ノッキング感度が高い(例えば、使用燃料のアンチノック性が低い)ほど過補正用ゲインを小さくする。これは、ノッキングが発生し易い条件で有効圧縮比の過渡応答を速くすると、ノッキングを発生させる可能性があるためである。
一方、図12は、制御装置70における制限処理用ゲインの演算機能を示すブロック図である。
制限処理用ゲインについても、実有効圧縮比CRe、シリンダ吸入新気量、燃焼室における残留ガス量、圧縮温度、ノッキング感度の各条件毎に制限処理用ゲイン設定部401〜405において制限処理用ゲインを設定し、比較演算部406は、制限処理用ゲイン設定部401〜405それぞれで設定された制限処理用ゲインのうちで最も大きなゲインを、最終的な制限処理用ゲインとして出力する。
ここで、制限処理用ゲイン設定部401における実有効圧縮比CReに応じた制限処理用ゲインの設定特性は、過補正用ゲイン設定部301での特性と同様であるが、制限処理用ゲイン設定部402〜405における制限処理用ゲインの特性は、過補正用ゲイン設定部302〜305における過補正用ゲインの特性とは逆特性としてある。
制限処理用ゲイン設定部402では、新気量が多いほど制限処理用ゲインをより小さい値に設定する。これは、新気量が少ない状態で実有効圧縮比CReが過渡的に過小になることで、内燃機関10の運転安定性が低下することを抑制するためである。
また、制限処理用ゲイン設定部403では、残ガス量が多いほど制限処理用ゲインをより大きい値に設定する。これは、残ガス量が多く燃焼温度が下がるときに、実有効圧縮比CReが過渡的に過小になることで、内燃機関10の燃焼安定性が低下することを抑制するためである。
また、制限処理用ゲイン設定部404では、圧縮温度が高いほど制限処理用ゲインを大きくする。これは、圧縮温度が高い状態で実有効圧縮比CReが過渡的に過大になることで、異常燃焼が発生することを抑制するためである。
また、制限処理用ゲイン設定部405では、ノッキング感度が高い(例えば、使用燃料のアンチノック性が低い)ほど制限処理用ゲインを大きくする。これは、ノッキングが発生し易い条件で実有効圧縮比CReが過渡的に過大になることで、ノッキングを発生させる可能性があるためである。
尚、過補正用ゲイン、制限処理用ゲインの可変設定に用いる運転条件として、前述した有効圧縮比などの5条件のうちの1つ或いは複数を組み合わせてゲインを設定することができ、更に、前述した5条件以外に、機関回転速度NE、冷却水温度TW、点火時期、空燃比、吸気温度など他の条件を用いることができる。
更に、運転条件毎のゲインに重み付けを行ったり、有効圧縮比に基づく基本ゲインを他の運転条件に応じて補正するなどの構成とすることができる。
また、後述する目標値FCRivctgの演算処理に用いる過補正用ゲイン及び制限処理用ゲインも、前述のようにして可変に設定することができる。
図10のブロック図において、第2比較演算部108には、状態番号STVCRと、制限処理を実施する場合の状態番号STVCRの値である「1」とが入力され、状態番号STVCRが1であれば(両入力値が一致する場合)High信号を出力し、状態番号STVCRが1以外であれば(両入力値が一致しない場合)Low信号を出力する。
そして、第2出力切り替え部107は、第2比較演算部108の出力がHigh信号である場合、換言すれば、状態番号STVCR=1である場合、制限処理に適合するゲインを出力し、第2比較演算部108の出力がLow信号である場合、換言すれば、状態番号STVCR=0又は状態番号STVCR=2である場合、過補正処理に適合するゲインを出力する。
ここで、状態番号STVCRは、0又は2のいずれかに設定されるから、第2比較演算部108の出力はLow信号を保持し、第2出力切り替え部107の出力としては、過補正処理に適合するゲインに保持されることになる。
しかし、状態番号STVCR=0であって過補正処理(協調制御)を実施しないパターンである場合には、第1出力切り替え部102が目標圧縮比MCRmtgを変更しない値を補正値として出力する。
従って、状態番号STVCR=2である過補正処理(協調制御)を実施するパターンであるときにのみ、可変動弁機構(VTC)82におけるエラー量に応じた補正値で目標圧縮比MCRmtgが変更され、過補正処理が実行される。
例えば、圧縮比可変機構(VCR)50における過補正処理の実施が設定される第5パターンでは、可変動弁機構(VTC)82において目標圧縮比CRivctgが実圧縮比CRivcよりも高く実圧縮比CRivcを増加させるが、このとき、図10に示した機能による目標圧縮比MCRmtgの補正処理によって、可変動弁機構(VTC)82におけるエラー量が大きいほど、目標圧縮比MCRmtgをより高圧縮比側に補正する。
圧縮比可変機構(VCR)50が、目標圧縮比MCRmtgと実圧縮比CRmとが略一致する定常状態である状態で、目標圧縮比CRmtgがより圧縮比の高い側に補正されれば、実圧縮比CRmを補正後の目標圧縮比CRmtgに追従させて増大させるべく、圧縮比可変機構(VCR)50が作動されることになる。
これにより、可変動弁機構(VTC)82を圧縮比CRivcが増大する側に作動させた当初、換言すれば、目標圧縮比CRivctgが増大変化した当初のエラー量が大きいときには、可変動弁機構(VTC)82による実圧縮比CRivcの増大に並行して、圧縮比可変機構(VCR)50による実圧縮比CRmの増大が行われ、実圧縮比CRivcと実圧縮比CRmとで決まる有効圧縮比CReは、可変動弁機構(VTC)82のみを作動させる場合に比べて応答良く増大変化することになる。
そして、可変動弁機構(VTC)82において実圧縮比CRivcが目標圧縮比CRivctgに近づいて可変動弁機構(VTC)82におけるエラー量が減少すると、係るエラー量の減少に応じて圧縮比可変機構(VCR)50における目標圧縮比MCRmtgの増大補正量が減少し、目標圧縮比MCRmtgに制御される状態に戻って過補正処理が終了し、最終的には、有効圧縮比CReの増大要求分が可変動弁機構(VTC)82による実圧縮比CRivcの増大分で満たされる状態に収束する。
また、圧縮比可変機構(VCR)50における過補正処理の実施が設定される第17パターンでは、可変動弁機構(VTC)82において目標圧縮比CRivctgが実圧縮比CRivcよりも低いため、第5パターンではエラー量がプラスになるのに対して、第17パターンではエラー量がマイナスの値となる結果、目標圧縮比MCRmtgが圧縮比の減少側に補正される。
これにより、有効圧縮比CReの減少要求に対して、可変動弁機構(VTC)82が圧縮比CRivcを減少させる側に作動し、並行して圧縮比可変機構(VCR)50が圧縮比CRmを減少させる側に作動することで、有効圧縮比CReが応答良く減少することになる。
図13は、制御装置70による可変動弁機構(VTC)82の目標値FCRivctgの演算処理を示すブロック図である。
第1比較演算部201には、状態番号STVTCと、協調制御を実施しない場合の状態番号STVTCの値である「0」とが入力され、状態番号STVTCが0であるとき(両入力値が一致する場合)に第1比較演算部201はHigh信号(「1」の信号)を出力し、状態番号STVTCが0以外(STVTC=1or2)であるとき(両入力値が一致しない場合)に第1比較演算部201はLow信号(「0」の信号)を出力する。
第1比較演算部201の出力は、第1出力切り替え部202に切り替え制御信号として入力され、第1出力切り替え部202は、目標圧縮比MCRivctgの補正値として入力される2値のいずれか一方を第1比較演算部201の出力に応じて選択して出力する。
目標圧縮比MCRivctgの補正値として、補正を実質的に行わない値(補正が加算補正の場合には0)と、圧縮比可変機構(VCR)50におけるエラー量(制御偏差)に応じた値とが、第1出力切り替え部202に入力される。
そして、第1出力切り替え部202は、第1比較演算部201の出力がHigh信号である場合、つまり、協調制御(過補正処理及び制限処理)を実施しない場合、補正を実質的に行わない補正値を出力し、第1比較演算部201の出力がLow信号である場合、つまり、協調制御(過補正処理又は制限処理)を実施する場合、圧縮比可変機構(VCR)50におけるエラー量(制御偏差)に応じた補正値を出力する。
第1出力切り替え部202の出力(補正値又は補正係数)は、補正部(加算演算部)203の一方の入力端子に入力され、補正部(加算演算部)203の他方の入力端子には目標圧縮比MCRivctgが入力される。
そして、補正部(加算演算部)203は、目標圧縮比MCRivctgを補正値で補正した結果(目標圧縮比MCRivctgに補正値を加算した結果)を、補正後の目標圧縮比FCRivctgとして出力する。
補正部(加算演算部)203は、補正後の目標圧縮比FCRivctgを変換部204に出力し、変換部204は、補正後の目標圧縮比FCRivctgをそのときの圧縮比可変機構(VCR)50による圧縮比の状態(目標値TGVCR)に基づき可変動弁機構(VTC)82における変換角度のデータに変換して、最終的な可変動弁機構(VTC)82の制御目標値TGVTCとして出力する。
そして、制御装置70は、最終的な目標変換角度TGVTC(最終的な目標圧縮比FCRivctg)と実際の変換角度との偏差に基づく比例積分制御などに基づいて可変動弁機構(VTC)82のアクチュエータの操作量を演算して出力することで、目標変換角度に実際の変換角度を近づけるフィードバック制御を実施する。
続いて、圧縮比可変機構(VCR)50におけるエラー量(制御偏差)に応じた目標圧縮比MCRivctgの補正値演算を詳述する。
乗算部206には、圧縮比可変機構(VCR)50におけるエラー量である、目標圧縮比CRmtgと実圧縮比CRmとの偏差(偏差=目標圧縮比−実圧縮比≒制御軸角度偏差)のデータと、エラー量を目標圧縮比MCRivctgの補正値に変換するためのゲイン(係数)とが入力され、エラー量にゲインを乗算した結果を、目標圧縮比MCRivctgの補正値として出力する。
第2出力切り替え部207は、乗算部206にゲインを出力する。
第2出力切り替え部207には、制限処理に適合して設定されたゲインと、過補正処理に適合して設定されたゲインとが入力され、第2比較演算部208の出力に応じて2つのいずれか一方を出力する。
尚、第2出力切り替え部207に入力されるゲイン(過補正用ゲイン、制限処理用ゲイン)は、図10に示した第2出力切り替え部107と同様に、機関運転条件に応じて可変とされるゲインとすることができる。
第2比較演算部208には、状態番号STVTCと、制限処理を実施する場合の状態番号STVTCの値である「1」とが入力され、状態番号STVTCが1であればHigh信号を出力し、状態番号STVTCが1以外であれば(0又は2であれば)Low信号を出力する。
そして、第2出力切り替え部207は、第2比較演算部208の出力がHigh信号である場合、換言すれば、状態番号STVTC=1である場合、制限処理に適合するゲインを出力し、第2比較演算部208の出力がLow信号である場合、換言すれば、状態番号STVTC=0又は状態番号STVTC=2である場合、過補正処理に適合するゲインを出力する。
ここで、状態番号STVTCが0であって、可変動弁機構(VTC)82において協調制御(過補正処理及び制限処理)が実施されない場合にも、第2出力切り替え部207は、過補正処理に適合するゲインを出力することになる。
しかし、状態番号STVTC=0であって過補正処理及び制限処理(協調制御)を実施しないパターンである場合には、第1出力切り替え部202が目標圧縮比MCRivctgを変更しない値を補正値として出力する。従って、状態番号STVTC=0である過補正処理及び制限処理を実施しないパターンの場合は、第2出力切り替え部207から過補正処理用のゲインが出力されても、目標圧縮比MCRivctgに過補正処理が施されることはない。
例えば、可変動弁機構(VTC)82における過補正処理の実施が設定される第3パターンでは、圧縮比可変機構(VCR)50において目標圧縮比CRmgが実圧縮比CRmcよりも高く実圧縮比CRmを増加させるが、このとき、図13に示した機能による目標圧縮比MCRivctgの補正処理によって、圧縮比可変機構(VCR)50におけるエラー量が大きいほど、目標圧縮比MCRivctgをより圧縮比の高い側に補正する。
可変動弁機構(VTC)82において、目標圧縮比MCRivctgと実圧縮比CRivcとが略一致する定常状態である状態で、目標圧縮比MCRivctgがより圧縮比の高い側に補正されれば、実圧縮比CRivcを補正後の目標圧縮比CRivctgに追従させて増大させるべく、可変動弁機構(VTC)82が作動されることになる。
これにより、圧縮比可変機構(VCR)50を圧縮比CRmが増大する側に作動させた当初、換言すれば、目標圧縮比CRmtgが増大変化した当初のエラー量が大きいときには、圧縮比可変機構(VCR)50による実圧縮比CRmの増大に並行して、可変動弁機構(VTC)82による実圧縮比CRivcの増大が行われ、実圧縮比CRivcと実圧縮比CRmとで決まる有効圧縮比CReは、圧縮比可変機構(VCR)50のみを作動させる場合に比べて応答良く増大変化することになる。
そして、圧縮比可変機構(VCR)50において実圧縮比CRmが目標圧縮比CRmtgに近づいて圧縮比可変機構(VCR)50におけるエラー量が減少すると、係るエラー量の減少に応じて可変動弁機構(VTC)82における目標圧縮比MCRivctgの増大補正量が減少し、目標圧縮比MCRivctgに制御される状態に戻って過補正処理が終了し、最終的には、有効圧縮比CReの増大要求分が圧縮比可変機構(VCR)50による実圧縮比CRmの増大分で満たされる状態に収束する。
また、可変動弁機構(VTC)82における過補正処理の実施が設定される第13パターンでは、圧縮比可変機構(VCR)50において目標圧縮比CRmtgが実圧縮比CRmよりも低いため、第3パターンではエラー量がプラスになるのに対して、第13パターンではエラー量がマイナスの値となる結果、目標圧縮比MCRivctgが減少側に補正されることになる。
これにより、有効圧縮比CReの減少要求に対して、圧縮比可変機構(VCR)50が圧縮比CRmを減少させる側に作動し、並行して可変動弁機構(VTC)82が圧縮比CRivcを減少させる側に作動することで、有効圧縮比CReが応答良く減少することになる。
また、可変動弁機構(VTC)82における過補正処理の実施が設定される第6パターンでは、圧縮比可変機構(VCR)50において目標圧縮比CRmtgが実圧縮比CRmよりも高いためエラー量がプラスの値となる結果、目標圧縮比MCRivctgが増大側に補正される。
一方、可変動弁機構(VTC)82では、目標圧縮比CRivctgが実圧縮比CRivcよりも高く、実圧縮比CRivcを増大させる操作状態であり、圧縮比可変機構(VCR)50側でのエラー量に基づき目標圧縮比MCRivctgが増大側に補正されると、圧縮比可変機構(VCR)50が目標圧縮比CRmtgに達していない状態で、可変動弁機構(VTC)82における実圧縮比CRivcが目標圧縮比MCRivctgを超えて大きくなるオーバーシュートが発生する。
つまり、実圧縮比CRmが目標圧縮比CRmtgに達していないために有効圧縮比CReが目標よりも低い分だけ、可変動弁機構(VTC)82による実圧縮比CRivcを目標圧縮比MCRivctgよりも高い値にまで変化させ、有効圧縮比CReを目標にまで速やかに収束させる。
そして、圧縮比可変機構(VCR)50におけるエラー量の減少に応じて、可変動弁機構(VTC)82における最終的な目標FCRivctgが本来の目標圧縮比MCRivctgに戻り、可変動弁機構(VTC)82の過補正処理は終了する。
また、前述した第6パターンに対し、第19パターンは、圧縮比可変機構(VCR)50及び可変動弁機構(VTC)82が共に圧縮比の減少方向に作動する場合であり、係る第19パターンでは、圧縮比可変機構(VCR)50におけるエラー量がマイナスとなることから、可変動弁機構(VTC)82における目標圧縮比MCRivctgが減少側に補正され、有効圧縮比CReを目標にまで応答良く減少させることになる。
また、可変動弁機構(VTC)82における制限処理の実施が設定される第7パターンでは、圧縮比可変機構(VCR)50において目標圧縮比CRmtgが実圧縮比CRmよりも低いため、圧縮比可変機構(VCR)50でのエラー量がマイナスの値となる。
一方、可変動弁機構(VTC)82は、目標圧縮比CRivctgが実圧縮比CRivcよりも高い、実圧縮比CRivcを増大変化させる作動状態であるが、圧縮比可変機構(VCR)50でのエラー量がマイナスの値となる結果、圧縮比可変機構(VCR)50でのエラー量が大きいほど可変動弁機構(VTC)82での目標圧縮比CRivctgがより減少側に補正される。
このため、可変動弁機構(VTC)82においては、目標圧縮比MCRivctgに向けた実圧縮比CRivcの増大変化の応答が遅れ、圧縮比可変機構(VCR)50でのエラー量が零付近になってから、つまり、圧縮比可変機構(VCR)50における実圧縮比CRmが目標圧縮比CRmtg付近に収束してから、可変動弁機構(VTC)82における最終的な目標値FCRivctgが本来の目標圧縮比MCRivctgに戻ることになる。
従って、制限処理を実施することで、圧縮比可変機構(VCR)50による実圧縮比CRmの変化に可変動弁機構(VTC)82による実圧縮比CRivcの変化が同調し、圧縮比可変機構(VCR)50の実圧縮比CRmが目標圧縮比CRmtg付近に収束するのに略同期して可変動弁機構(VTC)82の実圧縮比CRivcが目標圧縮比MCRivctg付近に収束する。これにより、圧縮比可変機構(VCR)50による圧縮比CRmの減少操作よりも可変動弁機構(VTC)82による圧縮比MCRivcの増大操作が先行することで、有効圧縮比CReが過渡的に過大となることが抑制される。
また、同じく可変動弁機構(VTC)82の制限処理が実施される第9パターンでは、圧縮比可変機構(VCR)50でのエラー量がプラスとなることから、可変動弁機構(VTC)82での目標圧縮比MCRivctgが増大側に補正され、可変動弁機構(VTC)82における圧縮比CRivcの減少が遅れることで、有効圧縮比CReが過渡的に過小となることを抑制する。
以上、好ましい実施形態を参照して本発明の内容を具体的に説明したが、本発明の基本的技術思想及び教示に基づいて、当業者であれば、種々の変形態様を採り得ることは自明である。
図10及び図13に示した過補正処理,制限処理(協調制御)においては、可変動弁機構(VTC)82、圧縮比可変機構(VCR)50の目標値を補正するが、過補正処理,制限処理は目標値の補正処理に限定されず、図10及び図13に示した過補正処理,制限処理と同様な実圧縮比の変化を生じさせることができる種々の演算処理を適宜採用できる。
目標値の補正処理に代わる処理としては、例えば、可変動弁機構(VTC)82、圧縮比可変機構(VCR)50の操作量の演算に用いる実圧縮比の検出値の補正や、エラー量に基づく操作量の演算におけるゲインの補正や、操作量の補正,制限,保持などがあり、更にこれらを複数組み合わせて用いることができる。
また、可変動弁機構(VTC)82の制限処理においては、圧縮比可変機構(VCR)50の収束に可変動弁機構(VTC)82の収束を同期させる処理に限定されず、可変動弁機構(VTC)82による圧縮比変化の応答を、制限処理が実施されない場合よりも遅らせることで、有効圧縮比CReが過剰に変化することを抑制できる。
また、上記実施形態では、機関運転状態に基づき目標圧縮比を設定し、協調制御において係る目標圧縮比を補正する構成としたが、機関運転状態に基づきコントロールシャフトの角度や閉時期IVCの変換角度を目標値として演算(マップ検索)する構成とすることができ、前述した目標圧縮比は、目標角度や目標変換角度に読み替えることができる。
ここで、上記実施形態から把握し得る請求項以外の技術的思想について、以下に効果と共に記載する。
(イ)
吸気バルブの閉時期を変更する可変動弁機構と、ピストンの上死点位置を変更して圧縮比を変更する圧縮比可変機構と、を備えた内燃機関において、
前記可変動弁機構と前記圧縮比可変機構との一方のエラー量に応じて他方の目標値を変更する、内燃機関の制御装置。
上記発明によると、可変動弁機構と圧縮比可変機構との一方のエラー量、即ち、目標値への収束状況に応じて、他方の目標値を変更することで、有効圧縮比が過渡的に過大又は過小になることを抑制し、また、有効圧縮比の収束遅れを抑制する。
(ロ)
吸気バルブの閉時期を変更する可変動弁機構と、ピストンの上死点位置を変更して圧縮比を変更する圧縮比可変機構と、を備えた内燃機関において、
前記可変動弁機構による圧縮比の変化方向と前記圧縮比可変機構による圧縮比の変化方向とが異なるときに、前記可変動弁機構による圧縮比変化の応答を遅らせる、内燃機関の制御装置。
上記発明によると、可変動弁機構による圧縮比の変化方向と圧縮比可変機構による圧縮比の変化方向とが異なる場合、可変動弁機構による圧縮比変化の応答が圧縮比可変機構に比べて速いことで可変動弁機構による圧縮比の変化が先行してしまうことを、可変動弁機構による圧縮比変化の応答を遅らせることで抑制する。
(ハ)
吸気バルブの閉時期を変更する可変動弁機構と、ピストンの上死点位置を変更して圧縮比を変更する圧縮比可変機構と、を備えた内燃機関において、
前記可変動弁機構による圧縮比の変化方向と前記圧縮比可変機構による圧縮比の変化方向とが同じときに、前記可変動弁機構による圧縮比変化の応答を速める、内燃機関の制御装置。
上記発明によると、可変動弁機構による圧縮比の変化方向と圧縮比可変機構による圧縮比の変化方向とが同じ場合、前記可変動弁機構による圧縮比変化の応答を速めることで、有効圧縮比の応答を向上させる。
(ニ)
吸気バルブの閉時期を変更する可変動弁機構と、ピストンの上死点位置を変更して圧縮比を変更する圧縮比可変機構と、を備えた内燃機関において、
前記圧縮比可変機構の定常状態で前記可変動弁機構を作動させるときに、前記圧縮比可変機構を、前記可変動弁機構による圧縮比の変化方向と同じ方向に作動させる、内燃機関の制御装置。
上記発明によると、可変動弁機構によって圧縮比を変化させるときに、収束している圧縮比可変機構を作動させることで、有効圧縮比の応答を向上させる。
(ホ)
吸気バルブの閉時期を変更する可変動弁機構と、ピストンの上死点位置を変更して圧縮比を変更する圧縮比可変機構と、を備えた内燃機関において、
前記可変動弁機構と前記圧縮比可変機構との一方の作動状態に応じて他方の作動を変更し、前記変更度合いを機関運転条件に応じて変更する、内燃機関の制御装置。
上記発明によると、他方の作動の変更が機関運転条件によって過大又は過小になることを抑制でき、他方の作動の変更によって内燃機関の運転性を安定して向上させることができる。
(へ)
前記機関運転条件として、実有効圧縮比、新気量、残ガス量、圧縮温度、ノッキング感度のうちの少なくとも1つを含む、請求項(ホ)に記載の内燃機関の制御装置。
上記発明によると、実有効圧縮比、新気量、残ガス量、圧縮温度、ノッキング感度のうちの少なくとも1つに応じて他方の作動の変更度合いが変更されることで、機関運転条件が変化しても、異常燃焼、NOxの増大、燃焼安定性の低下などを安定的に抑制できる。
10…エンジン、33…ピストン、50…圧縮比可変機構(VCR)、70…制御装置、81…吸気バルブ、82…可変動弁機構(VTC)

Claims (5)

  1. 吸気バルブの閉時期を変更する可変動弁機構と、ピストンの上死点位置を変更して圧縮比を変更する圧縮比可変機構と、を備えた内燃機関に適用される制御装置であって、
    前記圧縮比可変機構の目標圧縮比と実圧縮比とが略一致している状態で前記可変動弁機構の目標閉時期と実閉時期とに差が生じ前記可変動弁機構を操作するときに、前記圧縮比可変機構を操作し、前記圧縮比可変機構による圧縮比を前記目標圧縮比から前記吸気バルブの閉時期の変更による有効圧縮比の変化方向と同方向に一時的に変化させる制御部を備える、内燃機関の制御装置。
  2. 前記制御部は、更に、前記可変動弁機構の目標閉時期と実閉時期とに差が生じかつ前記圧縮比可変機構の目標圧縮比と実圧縮比とに差が生じ前記圧縮比可変機構及び前記可変動弁機構を並行して操作するときであって、前記圧縮比可変機構による圧縮比の変化方向と前記可変動弁機構による有効圧縮比の変化方向とが異なる場合、前記圧縮比可変機構の目標圧縮比と実圧縮比とが略一致する場合よりも前記可変動弁機構の応答速度を低下させる、請求項1記載の内燃機関の制御装置。
  3. 前記制御部は、更に、前記可変動弁機構の目標閉時期と実閉時期とに差が生じかつ前記圧縮比可変機構の目標圧縮比と実圧縮比とに差が生じ前記圧縮比可変機構及び前記可変動弁機構を並行して操作するときであって、前記圧縮比可変機構による圧縮比の変化方向と前記可変動弁機構による有効圧縮比の変化方向とが同じ場合、前記圧縮比可変機構の目標圧縮比と実圧縮比とが略一致する場合よりも前記可変動弁機構の応答速度を速める、請求項2記載の内燃機関の制御装置。
  4. 前記制御部は、前記応答速度を機関運転条件に応じて可変に設定する、請求項3記載の内燃機関の制御装置。
  5. 前記制御部は、前記応答速度を、実有効圧縮比、新気量、残ガス量、圧縮温度、ノッキング感度のうちの少なくとも1つに応じて可変に設定する、請求項4記載の内燃機関の制御装置。
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