JP6005784B1 - 酒類の上槽方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来の上槽法の酒粕が詰まる、本来上槽している清酒醪になかった香気が移る、香気成分が酸化する、清酒成分が散逸する、酒粕に含まれる雑味が清酒に混在してしまうという問題点を解消する酒類の上槽方法の提供。【解決手段】熟成醪を収めたタンク20を密閉状態に保つことで、熟成醪から放出された炭酸ガスによりタンク20内を加圧し、さらに、熟成醪の品温を氷結直前の状態まで5〜120時間、好ましくは12〜48時間で降下させ、タンク20内に、清酒成分と酒粕となる固形分とを分離せしめるためのフィルターを備えた固液分離器30を装着し、上澄み部分を取り出すことによって固液分離を行う酒類の上槽方法。【選択図】図2

Description

本発明は、酒類の醸造方法に関し、より詳しくは醪から清酒その他雑酒を含む酒類を搾る工程である上槽の改良に関するものである。
清酒の一般的な醸造工程は、玄米を精米して得られた白米を蒸きょう後放冷した蒸米と、蒸米を原料に製造された米麹、仕込み水と呼ばれる水、アルコール発酵を中心的に司る清酒酵母を混和し、数日から3週間程度培養する酒母生成工程と、生成された酒母と麹および水を蒸し米に加えて醪を生成する工程と、熟成した醪から生酒を搾る上槽工程とにより成る。
上槽工程は詳述すれば固液分離の工程であり、液体成分である清酒と固形物である酒粕を分離する工程である。
この上槽工程では、酒袋と呼ばれるアクリル製繊維で構成された袋状の容器に、ポンプによって熟成醪を送液して行われることがある。
この袋状の容器から、微細な固形物を少量含んだ状態の滓酒が滲出してくる。この滓酒が滲出した後には酒袋の内側には熟成醪中の固形分、すなわち酒粕となる熟成醪中の固形物が張り付くことになる。
かかる上槽工程の後期においては、酒袋からの清酒の滲出が緩慢になり、0.7MPa程度の圧力を酒袋に与えて清酒の滲出を促すことになる。
滲出した清酒は、いったん槽口の外に設けた容器に溜められ、規定量に達するとポンプによって、大型の容器に移送され貯蔵される。
この大型の容器の中では自然沈降、あるいは化学的に滓成分を結合させ、大きな滓として沈降を進め、沈渣となった滓成分を分離して、上澄みとなった清酒を得るものである。
上記酒袋を用いる方法は上槽法の一つであり、他に種々の方法が提案されている。具体的には、佐瀬式に代表される圧力方式(以下「佐瀬式」)、藪田式に代表される自動上槽法(以下「藪田式」)、袋吊方式(以下「袋吊法」)、金網を利用した方式(以下「金網法」)、遠心分離機を利用した方式( 以下「遠心分離法」)、などが代表的な上槽方法である。
具体的な上槽法を佐瀬式を例に説明すれば、およそ20リットルの容量のアクリル繊維製の布袋(以下「酒袋」)に、容量の半量程度の熟成醪を清酒仕込みタンクから注入し、酒袋を半折りにして酒袋の出口から熟成醪が流出しない様に閉ざしたうえで、槽と呼ばれる圧搾容器に並べ入れ、数段積み上げて行く。この積み上げた重みで、酒袋から清酒が滲出し、槽の先端部に配した流出口から流下し、荒走り等と呼称される清酒を得ることが出来る。
その後、敷き詰められた酒袋の上にスノコ状の板を配置し、上部からプレス器で圧力を加え、酒袋を徐々に圧搾することによって酒袋から清酒を滲出せしめる。かようにして、中垂れと呼称される清酒を得ることが出来る。
さらに圧力を高め、最終段階では0.7MPa程度の圧力を加えることで責めと呼称される清酒を得ることが出来る。
これらを分別して清酒を得ることも出来るが、全体を一つとして上槽酒として得ることも出来る。
これらの方法により、酒粕と清酒を分離する。いずれの場合も流出した清酒は流出口先端部より、清酒の受け入れ容器に受け入れ、その後一定量が溜まったところでポンプによって新酒の貯蔵容器へ移動させ、固液分離が完了して清酒が出来上がる。
藪田式は、特許文献1などに開示される方法であり、 加圧体の外周を枠体で保持してなる複数の圧搾板が、加圧方向に沿って相対離間可能に並設され、前記複数の圧搾板の間に濾布が装着されているとともに、前記濾布の周縁に前記枠体を押し付けて原液注入空間が形成され、前記原液注入空間に注入した原液を前記加圧体による加圧作用で圧搾濾過するものでる。
袋吊法は前出の20リットルの容量のアクリル繊維製の酒袋を利用し、これに佐瀬式と同様に10リットル程度の熟成醪を入れ、開口部を紐で閉じ、同様に処理をした酒袋5〜20本を吊り下げることの出来る容器の上部に、角材など酒袋を固定するに相応しいものを橋渡しし、角材等と紐を固定して熟成醪の入った酒袋を固定する。このとき、酒袋から滲出する清酒を容器の出口から清酒貯蔵容器へ移動し、清酒を貯蔵するものである。
金網法はポンプによって別容器に清酒醪を移動するときに、ポンプに直結した清酒醪送液管の別容器側出口で金網によって清酒醪中の固形分と溶解部分を分離する方法で、濁り酒などの製造時に多用される。
遠心分離法は清酒醪の不溶性成分と溶液成分の質量の違いにより、遠心分離法によって固液分離を行う方法であり、遠心分離機において固液分離された清酒は清酒受器に移され、清酒として貯蔵される。不溶性成分は酒粕として別容器に移されて酒粕となる。
また、清酒の品質劣化防止対策、微生物による変敗防止等を目的として、清酒を冷凍する技術(特許文献2)があり、清酒を冷凍することにより、品質劣化や変敗の防止対策を達成している。更には、低温での飲用を目的として、凍結酒類の製造方法に関する技術(特許文献3)も開示されている。いずれも、滓成分を除いた滓下げ後、滓引き、ろ過後の精製した清酒についての技術であり、品質保持や飲用時の低温化による飲み易さに着目されている。
さらに、清酒中のタンパク質、タンニン、ペクチン質を凍結によって不溶化させ、脂肪酸を凝固により液層部から分離する技術(特許文献4)が開発されている。しかし、この方法は熟成醪、あるいは上槽醪を凍結することによって雑味成分などを除去する方法で、香気成分の散逸や防止、熟成醪中にある固形分の沈降を加速させること、空気との接触を防止することには触れられていない。
清酒醪中の脱酸素を目的としてインラインミキサーを用いた清酒製造方法が特許文献5や特許文献6に開示されているが、いずれも清酒中の溶存酸素量を低減させるもので、熟成醪の上槽時に酸素との接触を回避させることを目的としたものではない。
特開平5−49816号公報 特開昭62−44163号公報 特開平1−141580号公報 特開平9−215489号公報 特開2000−308482号公報 特開2000−14378号公報
背景技術に示した金網法、遠心分離法を除く殆どの方法は、熟成醪の上槽に際し、アクリル製の布繊維を利用し、繊維の緻密な構造によって不溶性成分である酒粕と清酒成分を分離するもので、アクリル繊維の繊維間に酒粕成分としての不溶性成分が詰まるという問題点があった。
また、従来の技術の殆どでアクリル繊維の布の目の中に酒粕成分が残留し、数回の上槽の繰り返しで先に上槽した清酒醪の粕成分の香気が次に上槽する清酒醪の清酒に付与されて、本来上槽している清酒醪になかった香気を持った清酒が出来上がるという問題点もあった。
さらに、従来の技術のうち、佐瀬式や袋吊法、藪田式、金網法では滲出した清酒成分と空気の接触時間が長く溶存酸素量の増加とともに香気成分が酸化するという問題点があった。
また、同様に清酒成分の散逸という問題点もあった。
加えて、従来の技術のうち、佐瀬式や藪田式には加圧圧搾という工程が存するため、熟成醪中の清酒粕成分に含まれる雑味が押し出され、清酒成分に混在してしまう恐れがあった。
本発明は従来例に含まれる上記各種問題点の解消を目指すものである。
上記の目的を達成する本考案の構成は以下の通りである。
(1) 請求項1に記載の酒類の上槽方法は、熟成醪を収めたタンク20を密閉状態に保つことで、熟成醪から放出された炭酸ガスによりタンク20内を加圧し、さらに、熟成醪の品温を氷結直前の状態まで5時間から120時間以内、好ましくは12時間から48時間以内で降下させるものである。
(2)請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の上槽方法において、タンク20内に、清酒成分と酒粕となる固形分とを分離せしめるためのフィルターを備えた固液分離器30を装着し、上澄み部分を取り出すことによって固液分離を行うものである。
以下、上述の通り構成される本発明が、以下に作用して課題を解決するかを詳述する。
本発明においては、熟成醪を収めたタンク20を密閉状態に保つことで、熟成醪から放出された炭酸ガスによりタンク20内を加圧してある。
加圧することで醪内粒子の沈降速度が速くなることに加えて、加圧環境下に置くことで微生物の活動が弱められ、無減菌での保存が可能となる。
また、熟成醪の品温を氷結直前の状態まで急冷させることで、熟成醪中の固形分の沈降を加速させることが可能となる。
かように、固形分の沈降を促進することで、汲み出し用の配管を取り付け配置するだけで、清酒或いは清酒となる直前の熟成醪を得ることができるものである。
つまりは、本発明によれば、清酒成分を自然に清澄させ、清酒となる成分を容器外へ排出させることにより清酒もしくは清酒の原料醪(熟成醪)を汲み出すことが可能となるのである。
従って、従来例のように熟成醪を多数の酒袋に小分けする作業や、佐瀬式のように、当該小分けした酒袋を槽内に積み上げたり紐で吊るす作業が不要となるため、作業負担が極めて軽減され、製造効率も向上する。
また、本発明によれば清酒粕成分の貯留がない固液分離装置を装着することによって清酒の上槽を完了させることが可能となり、アクリル繊維の布を用いた従来例のように酒粕成分が詰まるといった問題点、あるいは本来上槽している清酒醪になかった香気が生じるという問題点も解消される。
清酒の成分のうち、常温で散逸・揮散しやすいものとしてアルコール分(ethyl alcohol分)及び水分がある。従来例のように布製の袋状にしたものの中に清酒醪を封入し、重石、あるいは空気圧によって加圧した状態で清酒を絞り出すことにより固液分離を行う方法では、布袋表面あるいは布袋の側面から滴り落ちる清酒から清酒成分のうち揮散し易い成分の散逸・揮散が生じる恐れがある。これに対し本発明によれば密閉されたタンク内で急冷されるものであり、清酒成分の散逸が生じることを防止可能となる。
本発明には加圧圧搾という工程が存しないため、清酒粕成分に含まれる雑味が押し出され清酒成分に混在することがない。つまりは雑味成分が混在することを防ぐことが可能となる。
また、本発明によれば上述の通り、熟成醪から放出された炭酸ガスによりタンク内を加圧してあることから、清酒醪の中は炭酸ガスで満たされている。つまりは、清酒醪が空気と接触する時間を極めて抑制可能となり、上槽酒の酸素濃度を2ppm以下とすることが可能となる。これにより熟成醪中の固形分を押し潰すことなく、固形分の中に含まれる清酒にとって雑味成分となりうる物質の滲出を最小限にとどめることが可能となるのである。
また、上記の通り上槽酒の酸素濃度を2ppm以下とすることが可能であることから、香気成分の酸化を抑制することも可能となる。
本発明を利用することによって得られた清酒を、官能評価によって評価を行った。その結果を表1に示した。
この評価は官能評価の専門審査員10名によって行った。
その結果、本願発明によって製造された清酒(表中「新法酒」)は官能評価によって通常に製造された清酒(表中「従来法」)よりも高得点を得ることを確認した。
審査員のコメントでも新法酒では「好ましい」とする評価であったが、従来法では「好ましい」とするものが少なかった。
本願発明を利用することによって、表1に示したとおり、雑味が少なく、清酒特有の
香気成分を散逸させることなく、香気が高く、官能評価に優れた清酒を、多くの手間を掛けることなく、かつ高価な装置類を導入することなく、また、熟成醪に高圧な圧力を加えることなく、容易に得ることが出来るものである。
Figure 0006005784
清酒の製造工程を示す概略説明図 本発明に使用される製造用容器の一部破断正面図 同、一部破断平面図 本発明に使用される製造用容器の一部破断正面図
以下、好ましい発明の一実施形態につき、図面を参照しながら概説する。なお、本発明の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属
する限り種々の形態を採りうる。
清酒の製造工程概略を図1を参照しながら概説する。
まず玄米を精米機によって搗精し、米糠と白米に分離する。次いで、洗米、浸漬、蒸きょう、放冷の工程を経て蒸米を得る。
この蒸米に種もやしと呼ばれる麹菌の種を散布後、35時間から48時間、或いは52時間以上を経る製麹の工程を経て米麹を製造する。
この米麹と蒸米に水を混ぜてアルコール発酵を司る酵母を添加し、所定の発酵工程を経ることで酵母数を充分に増加せしめて酒母を製造する。
この酒母と米麹、蒸米、水を適量混和して第1次の仕込みを行う。これを初添という。初添の後、発酵を適正に進めるために一定期間様子を見て安定的な醗酵を確認する。
その後、さらに米麹、蒸米、水を適量混和し第2次の仕込みを完了する。これを仲添という。
仲添を完了した醪に、さらに米麹、蒸米、水を適量混和して第3次の仕込みを完了する。これを留添という。
この様に数次にわたって仕込みを行うことを段仕込みという。この仕込み工程を完了したものを清酒醪と言い、これを適宜管理しつつ、アルコール発酵と清酒本来の香味バランスのとれた清酒への熟成を導く。
清酒醪の熟成方法は、地域や仕込み方法、仕込みの種類、清酒の種類によってまちまちであるが、20日から40日程度で熟成を完了する。この熟成を完了した醪を熟成醪と言う。
熟成醪には蒸米、米麹等の固形物が混和しているが、清酒として固液分離を行うに相応しい状態となったものから、清澄な清酒と固形分である清酒粕または酒粕に分離を行う作業に入る。
この分離作業は、地域や製造方法の違いから呼称は異なるが、総じて上槽、槽掛け(ふながけ)などと言う。上槽時に出てくる清酒を、その時期によって、初期のものを水槽(みずふね)または荒走り、中期のものを中垂れ、後半のものを責めと称することがある。また、この上槽によって得られた清酒を上槽酒と称することがある。
上槽酒には滓と呼ばれる清酒中の微細な不溶性成分が混入しており、これを滓引きという操作で分離する。滓引き前の清酒を滓酒と呼ぶこともある。
本発明は清酒製造工程の内、上槽にかかる工程部分の改善にかかるものである。この工程の従来技術では解決できなかった課題を本発明によって解決するものである。以下、詳述する。
図2乃至図4は、本発明に使用される清酒の製造用容器を示すものである。
同図において示された清酒の製造用容器10は、清酒醪を収容するためのタンク20と、タンク20に配置される固液分離器30、並びに醪の品温管理用のジャケット部40、清酒を引き出すための呑口50(場所毎に下呑口54、中呑口下53、中呑口上52、上呑口51)とにより構成されている。
同図には配置等を記載しなかったが、醪の状態を外部から確認する覗き窓を配置しても良い。
図4に示した固液分離器Cの長さは容器の高さに関係なく、数cmから容器高さいっぱいまでにすることも可能である。
これらの構成について、以下具体的に説明する。
タンク20は、上側に開口部を有し、内側面にジャケット部40を備えた有底円筒容器であって、この容器内で発酵末期となった清酒醪を急冷することが可能なものである。
このジャケット部40が冷却部になり、冷却装置はタンク横に設置したチラーユニット41である。このチラーユニット41で冷却された冷媒ガスが、供給ホース42を通じてジャケット部40に配管されたガス管の中を通過して冷却し、戻しホース43を通じてチラーユニット41に送還される構造になっている。
具体的な冷却方法は、熟成醪の品温を氷結直前の状態まで5時間から120時間以内、好ましくは12時間から48時間以内で急冷させることで、熟成醪中の固形分の沈降を加速せしめるものである。
急冷させることの目的は、低温でも醪の中では酵母などの微生物による作用としてのアルコール発酵、酵素による作用が進んでおり、短時間に醪を氷結直前の状態へ持っていくことで、これらの作用を最小にすることにある。
120時間を越えると微生物による作用などにより変質が生じる恐れがある。
他方で、5時間以下だと発酵微生物に負荷が掛かり過ぎる。具体的には、発酵を司る酵母の活性を急激に抑え込むことになり、酵母の生理機序が変わってしまい、所謂ツワリ香と言う香り(di−acetyl臭)の付与が懸念される。
発明者の実験によれば、12時間から48時間以内で急冷させることで、上記副作用が最も少ない清酒の製造が可能となるとの知見を得た。
また、急冷することで熟成醪中の固形分の沈降を加速することが可能となる。熱運動の結果生じた熱を取り去ること(冷却)で運動そのものが小さくなるからである。また、急冷に伴い、媒体(清酒醪と言ったアルコ−ルや糖などが含まれた水溶液)の中に存在する粒子は運動性を失い、沈殿を開始するからである。
タンク20の上部は蓋21により密閉可能なものである。また、タンク20の上部には検尺口と呼ばれる密閉自在な開口部22が設けられている。
タンク20内に収容された清酒醪からは熟成に伴い炭酸ガスが発生する。この炭酸ガスによりタンク20内を加圧する。具体的には0.20MPa以下、好ましくは0.05MPa〜0.20MPaまで加圧することが望まれる。0.20MPaを超えると第二種圧力容器における作業を行わなければならず、容易に作業を行うことの妨げとなるばかりか、容器の構造も堅牢にしなければならず、容器代金の高騰を招き、経済性に問題が生じるからである。
0.05MPa以上とすることは、係る圧力下では経験上醪内粒子の沈降速度が速くなることが確かめられているからである。加えて、加圧環境下に置くことで微生物の活動が弱められることも知られており、無滅菌での保存が可能となるからでる。
タンク20は清酒醸造に着色等の悪影響を及ぼすことのない材料、具体的にはstainnless stealを用いたSUS304やSUS316等を素材として形成されるものである。
本実施の形態で使用される容器には、清酒の固形分を分離することを目的としたフィルター31を備えた固液分離器30を設置する。固液分離器30のフィルター部31は金網を籠状に編成したものや、板状に編成したもの等を利用できる。
その設置状況は、図2に示した固液分離器Cのように、タンク20の外壁に設置された呑口50全体を覆う籠形状で設置してもよいし、或いは、呑口51から54のそれぞれ個別に籠状の固液分離機30を設置しても構わない。
あるいは図3に示すようにタンク20内に板状の固液分離器30を吊掛して設置しても構わない。
この固液分離器30のフィルター部31は網目サイズが直径3mm程度が望まれ、より好ましくは直径0.5〜2mmに形成されるべきものである。直径3mm程度にする必要性は、清酒醪中に存在する米粒や米麹等の粒状物質の流出を阻止する点にある。直径0.5mm〜2mmがより好ましいのは、0.5mm以下だと清酒醪中に存在する米粒等の粒子が目詰まりを起こすという不都合が生じ、2mm以上だと清酒醪中に存在する米粒等の清酒粕成分が流出するという不都合が生じるからである。
固液分離器30のフィルター部31は金網を籠状あるいは板状に編成したものに限られず、前記サイズの有孔板を箱状に組合わせたものや板状に形成したものも利用できる。
さらに、金網、有孔板に限らず前記サイズの孔部を有する板を素材としたもの用いることも可能である。具体的には直径0.5mm〜2mmの丸穴あるいは角穴を有する有孔板や、一辺が0.5mm〜2mmの角形網目状金属網、角形網目状樹脂製網、一辺が0.5mm〜2mmのスリット状に開けた孔部を有する金属板、樹脂板、ガラス板等を利用することが可能である。
本設備によって清酒醪がどの様に固液分離されるかを概説する。
まず段仕込みの手順によってタンク20に仕込みを行った清酒醪を、通常通りの醪管理を行って発酵・熟成を行う。
発酵が進み、上槽可能な状態の熟成醪になったところで蓋21および検尺口22を密閉し、当該熟成醪が氷結する直前温度まで、1乃至2日程度の間に急速に冷却する。
このときタンク20を密閉状態にすることで、該タンク20内を発酵ガスで微加圧状態とすることが出来る。また、発酵ガスによらず、窒素ガスや炭酸ガスなど空気、酸素以外のガスを、注入管より注入することによって微加圧状態を得ることも可能である。
熟成醪の温度が低下したところで、熟成醪上部に清澄な部分が出来ていることを確認し、該清澄部に存する呑口(51乃至54)を開け、清澄な清酒を検定容器へ移動する。
また、図3の略図に示したタンク20の場合は、蓋21または、検尺口22から汲み上げチューブを下降せしむることで同様の効果を得ることとする。
この際、残余の醪は最下部の排出口55などから上槽装置へ移動し、通常通りの上槽操作を行い、検定容器へ清酒を移動して、酒税法に定める検定を受けるものである。
20・・タンク
30・・固液分離器
31・・フィルター部
40・・ジャケット部
50・・呑口

Claims (2)

  1. 熟成醪を収めたタンク(20)を密閉状態に保つことで、熟成醪から放出された炭酸ガスによりタンク(20)内を加圧し、さらに、熟成醪の品温を氷結直前の状態まで5時間から120時間以内で降下させることを特徴とする酒類の上槽方法。
  2. タンク(20)内に、清酒成分と酒粕となる固形分とを分離せしめるためのフィルター部(31)を備えた固液分離器(30)を装着し、上澄み部分を取り出すことによって固液分離を行う請求項1に記載の酒類の上槽方法。
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