JP6004273B2 - 車両用歩行者保護装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両が歩行者と衝突した際に、歩行者と路面との間に緩衝材を展開して歩行者を路面から保護する車両用歩行者保護装置に関する。
特許文献1には、車体前方にある大型バンパーの下部にバネ付蝶番を設け、これをバンパー取付アームに取付けて前方に開くように構成し、且つバンパーの上部にもバネ付蝶番を備え、該バネ付蝶番に枠付受網を取付ける自動車の救助器付バンパーが記載されている。この自動車の救助器付バンパーは、通常時には枠付受網をバンパーの内側に折畳んでバンパーをフロントグリルに留めておき、作動時にはバンパーが下部のバネ付蝶番を介して前方へ開き、枠付受網が前方へ開いて歩行者を受け止める。
特許文献2には、バンパ接触センサと制御回路とインフレータと地面エアバッグ袋体とを備え、フロントバンパの下部に配設される地面エアバッグ装置が記載されている。制御回路には、バンパ接触センサとインフレータとがハーネスにより接続される。この地面エアバッグ装置では、バンパ接触センサがフロントバンパへの衝突体の衝突を検知すると、制御回路からの出力信号によりインフレータが作動し、インフレータからの膨張展開ガスによって地面エアバッグ袋体が車体前方の地面に近接して膨張展開する。
特開昭49−134033号公報 特開2005−199787号公報
特許文献1に記載の自動車の救助器付バンパーでは、ボンネットを有する車両が歩行者に衝突した場合には、歩行者が車両に衝突してボンネットに乗り上がっている間に、枠付受網が大型バンパーと略同じ高さ位置で前方へ展開し、ボンネットに乗り上がった歩行者の路面への落下を防止する。しかし、略平坦な前面が鉛直方向に起立する車両(キャブオーバー型トラック等)が歩行者に衝突した場合には、バンパーよりも上方へ歩行者が浮上し難く、前方へ展開中の枠付受網が歩行者の脚等と干渉し易い。このため、枠付受網が歩行者と路面との間で展開せず、枠付受網によって歩行者を保護することができないおそれがある。
これに対し、特許文献2に記載の地面エアバッグ装置では、地面エアバッグ袋体が車体前方の地面に近接して膨張展開するので、上記不都合は生じ難い。しかし、地面エアバッグ装置は、一度作動すると作動前の状態に復帰させるために車両を修理業者等に預けて部品交換(例えば、インフレータや地面エアバッグ袋体等の交換)をする必要がある。このため、衝突時の車体の損傷が小さい場合であっても、運転者がその場で地面エアバッグ装置を作動前の状態に復帰させて車両を使用することが難しい。
そこで、本発明は、車両が歩行者に衝突した際、歩行者がバンパよりも上方へ浮上しない場合であっても、歩行者と路面との間に緩衝材を展開させて歩行者を確実に保護することができ、且つ作動後に部品交換することなく作動前の状態に復帰させることが可能な車両用歩行者保護装置の提供を目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の車両用歩行者保護装置は、車体フレームの前端部に固定されて車幅方向に延びるバンパを備えた車両に設けられる車両用歩行者保護装置であって、傾動アームと付勢手段と衝突検知手段とアーム保持手段と緩衝シート(緩衝材)とを備える。傾動アームは、バンパの下方に配置され、車体フレーム側に回転自在に支持されて下方へ延びる。付勢手段は、傾動アームを車両前方へ付勢する。衝突検知手段は、バンパへの衝突を検知する。アーム保持手段は、傾動アームを収容位置に保持し、衝突検知手段が衝突を検知した時に傾動アームの保持を解除する。緩衝シートは、車幅方向に沿って延びる内端縁部を中心としてロール状に巻回された格納状態で傾動アームに支持される。アーム保持手段が傾動アームの保持を解除すると、付勢手段の付勢力によって傾動アームが収容位置から該収容位置よりも車両前方の作動位置へ移動し、格納状態の緩衝シートがバンパよりも車両前方の路面上に展開する。
上記構成では、バンパの下方に配置される傾動アームに緩衝シートが支持されるので、車両が歩行者と衝突した際、緩衝シートは、バンパよりも下方で車両前方へ展開する。このため、歩行者がバンパよりも上方へ浮上しない場合であっても、バンパと路面との間のうち歩行者の脚等と干渉しない高さ位置で緩衝シートを車両前方へ展開させることができ、歩行者と路面との間で緩衝シートを展開させて歩行者を保護することができる。
また、一度使用すると再使用することができない部品(例えば、インフレータ等)を必要としないので、作動後に部品交換をすることなく車両用歩行者保護装置を作動前の状態に復帰させて繰り返し使用することができ、車体の損傷が小さい場合には、運転者等が比較的容易に車両用歩行者保護装置を作動前の状態に復帰させて車両を使用することができる。また、作動前の状態に復帰させる際、部品の交換が必要な場合に比べて、復帰作業の作業性が向上する。
従って、車両が歩行者に衝突した際、歩行者がバンパよりも上方へ浮上しない場合であっても、歩行者と路面との間に緩衝材を展開させて歩行者を確実に保護することができ、且つ作動後に部品交換することなく作動前の状態に復帰させることができる。
また、上記の車両用歩行者保護装置は、傾動アームの前方への傾動範囲を作動位置に規制する傾動規制手段を備えてもよい。
上記構成では、付勢手段の付勢力により傾動アームが傾動し、傾動アームの前方への傾動範囲が傾動規制手段によって作動位置に規制される。傾動アームの傾動が作動位置に規制されると、緩衝シートの加速度とは逆方向の慣性力が緩衝シートに働く。このため、傾動規制手段によって傾動アームの作動位置を適宜設定して緩衝シートに働く慣性力の方向を調整することにより、良好に車両前方へ向かって緩衝シートを展開させて歩行者を保護することができる。
また、上記の車両用歩行者保護装置は、シート保持手段を備えてもよく、緩衝シートは、外端縁部に重量部を有してもよい。緩衝シートは、内端縁部から外端縁部へ向かって車両前方、上方、車両後方、下方、車両前方の順に巻回され、その内端縁部が傾動アームに回転自在に支持される。シート保持手段は、収容位置の傾動アームに対する緩衝シートの回転を規制し、収容位置から作動位置への傾動アームの傾動に応じて緩衝シートの回転規制を解除する。
上記構成では、緩衝シートの内端縁部が傾動アームに回転自在に支持されるので、緩衝シートが車両前方へ展開する際、外端縁部が車両前方へ飛び出し、緩衝シートが内端縁部を軸として回転しながら外端縁部に引き出される。緩衝シートは、外端縁部に重量部を有するので、重量部を有さない場合に比べて、傾動アームが作動位置に規制された際に緩衝シートの外端縁部に働く慣性力が大きく、緩衝シートを車両前方へ遠方まで短時間で引き出すことができる。このため、歩行者を保護することができる領域を車両前方に広く確保することができ、且つ歩行者が車両と衝突してから路面に衝突するまでの時間が短くても、歩行者と路面との間で緩衝シートを展開させて歩行者を保護することができる。
また、緩衝シートは内端縁部を軸として回転しながら重量部によって車両前方へ引き出されるので、路面と歩行者との間に少なくとも緩衝シートの厚さと同程度の間隙があれば、緩衝シートを歩行者と路面との間で展開させて歩行者を保護することができる。
また、収容位置の傾動アームに対する緩衝シートの回転がシート保持手段によって規制されるので、車両の走行中に路面からの振動等が格納状態の緩衝シートに入力しても、緩衝シートは、収容位置の傾動アームに対して回転することなく格納状態を保持する。従って、車両用歩行者保護装置の非作動時における緩衝シートの展開を確実に防止することができる。
本発明によれば、車両が歩行者に衝突した際、歩行者がバンパよりも上方へ浮上しない場合であっても、歩行者と路面との間に緩衝材を展開させて歩行者を確実に保護することができ、且つ作動後に部品交換することなく作動前の状態に復帰させることができる。
本実施形態に係る車両用歩行者保護装置を備えたトラックの前部の側面図である。 本実施形態に係る車両用歩行者保護装置の要部の模式的な側面図である。 図2のIII−III矢視断面図である。 ねじりばねを車幅方向外側から視た側面図である。 図4のねじりばねをV方向から視た背面図である。 緩衝シートの模式的な側面図であり、(a)は本実施形態に係る格納状態を、(b)は他の実施形態に係る格納状態をそれぞれ示す。 ロック装置の模式的な側面図であり、(a)はロックした状態を、(b)はロックを解除した状態をそれぞれ示す。 本実施形態に係る車両用歩行者保護装置の概略側面図であり、(a)は収容位置での状態を、(b)は作動位置での状態を、(c)は作動位置で格納状態から車両前方へ展開する緩衝シートをそれぞれ示す。 緩衝シートが車両前方へ展開した状態のトラックの模式的な斜視図である。 キャブオーバー型トラックと衝突した際の歩行者の状態を示す模式的な側面図である。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において、FRは車両の前方を、UPは上方を、INは車幅方向内側をそれぞれ示す。また、以下の説明において、左右方向は車両前方を向いた状態での左右方向を意味する。また、図8(c)に示す矢印90は、緩衝シート15が引き出される方向を示す。
図1に示すように、トラック(車両)1は、車幅方向両側で前後方向に延びるサイドメンバ(車体フレーム)2と、サイドメンバ2の前端部6(図2参照)の上方でサイドメンバ2に支持されるキャブ3と、サイドメンバ2の前端部6に固定されて車幅方向に延びるフロントバンパ(バンパ)5と、トラック1の車幅方向両側の前タイヤ4とを有する。このトラック1は、キャブ3が概ねエンジン7の上方に配置されるキャブオーバー型のトラック1である。
図2及び図3に示すように、本実施形態に係る車両用歩行者保護装置10は、傾動アーム機構9と緩衝シート15と加速度センサ(衝突検知手段)29と保護装置コントローラ(衝突検知手段)67とを有する。傾動アーム機構9及び緩衝シート15は、左右の前タイヤ4の間に配置され、フロントバンパ5よりも後方でサイドメンバ2に支持される。この傾動アーム機構9は、トラック1の左右に対称的に設けられて、共通の緩衝シート15を支持する。なお、左右の傾動アーム機構9は、ほぼ同様の構成を有するため、以下では左側について説明し、右側の説明を省略する。
傾動アーム機構9は、ねじりばね(付勢手段)12とストッパ(傾動規制手段)16と傾動アーム11とロック装置(アーム保持手段)14とを有する。傾動アーム機構9を支持するサイドメンバ2は、上板部17と下板部18と縦板部19とを一体的に有し、断面略コ字状に形成され、トラック1の前後に亘って延びる。縦板部19は、縦板部19の車幅方向内側と縦板部19の車幅方向外側とを連通する断面円形状の貫通孔20を前タイヤ4よりも前方に有し、上板部17の車幅方向外端と下板部18の車幅方向外端とを連結する。サイドメンバ2の車幅方向内端部には、上板部17の車幅方向内端部と下板部18の車幅方向内端部とを連結し、サイドメンバ2の縦板部19に対向する略板状の軸支持部材27が固定される。軸支持部材27は、車幅方向に貫通する断面円形状の貫通孔28を有し、貫通孔28は、サイドメンバ2の貫通孔20と同軸に配置される。
図3〜図5に示すように、ねじりばね12は、車幅方向に延びる軸に対して螺旋状に巻回された中心部12aと、中心部12aの車幅方向内端側で中心部12aから後上方へ略直線上に延びる第1腕部12bと、中心部12aの車幅方向外端側で中心部12aから後下方へ延びて先端が下方に向かって開口する略U字状の第2腕部12cとを有する。中心部12aの軸が貫通孔20,28と同軸になる状態で、ねじりばね12がサイドメンバの上板部17と下板部18との間に配置される。ねじりばね12の中心部12aの内径は、後述する傾動アーム11の第1回転軸部材22の外径よりも大きく形成される。ねじりばね12の第1腕部12bは、上方へ開口する断面U字状に形成された略板状の固定部材34と、サイドメンバ2の上板部17とに挟持された状態で、ネジ(図示省略)により上板部17に固定される。ねじりばね12の第2腕部12cは、後述する傾動アーム11の係止部36を係止する。なお、第1腕部12bを車幅方向外側に有し、第2腕部12cを車幅方向内側に有してもよい。
ストッパ16は、車幅方向に延びる断面略矩形状の棒状体であって、サイドメンバ2の下板部18の下面にボルト(図示省略)や溶接等で固定される。ストッパ16の後面は、サイドメンバ2の貫通孔20よりも前方に配置され、且つ後述する傾動アーム11のアーム部材23よりも前方に配置される(図2参照)。ストッパ16の車幅方向外端は、サイドメンバ2の縦板部19よりも車幅方向外側へ突出し、後述する傾動アーム11のアーム部材23よりも車幅方向外側に配置される。
図2及び図3に示すように、傾動アーム11は、第1回転軸部材22とアーム部材23とガイド部材24とを有する。
第1回転軸部材22は、サイドメンバ2の車幅方向の長さよりも長く車幅方向に延びる略円柱体であって、サイドメンバ2の貫通孔20と、ねじりばね12の中心部12aと、軸支持部材27の貫通孔28とを挿通する。第1回転軸部材22は、貫通孔20,28のそれぞれの内周面と、第1回転軸部材22の外周面との間に固定されるベアリング26,37を介して、サイドメンバ2と軸支持部材27とに回転自在に支持される。第1回転軸部材22には、サイドメンバ2の縦板部19よりも車幅方向内側にフランジ25が形成される。フランジ25は、第1回転軸部材22の軸と同軸で第1回転軸部材22の外周面から円板状に突出し、フランジ25の車幅方向外側面がサイドメンバ2の縦板部19の車幅方向内側面に当接する。フランジ25とサイドメンバ2の縦板部19との当接により、車幅方向外側への第1回転軸部材22の移動が規制される。第1回転軸部材22の車幅方向外端には断面矩形状の嵌合部30が形成される。嵌合部30は、後述するアーム部材23の嵌合孔31に挿入される。第1回転軸部材22の外周面のうちフランジ25よりも車幅方向内側の外周面から棒体状の係止部36が後方へ突出する。係止部36は、ねじりばね12の第2腕部12cの下方に配置されて略U字状の第2腕部12cに係止される。
アーム部材23は、上側の略棒体状の内側アーム部41と、略棒体状の水平アーム部42と、下側の略棒体状の外側アーム部43とを一体的に有する。内側アーム部41は、車幅方向に貫通して第1回転軸部材22の嵌合部30に嵌合する断面矩形状の嵌合孔31を上端部に有し、上端部からサイドメンバ2よりも下方へ直線状に延びる。水平アーム部42は、内側アーム部41の下端から曲折して車幅方向外側へ略水平に延びる。水平アーム部42の車幅方向外端は、前タイヤ4の車幅方向内端よりも車幅方向内側に配置される。外側アーム部43は、水平アーム部42の車幅方向外端から曲折して下向へ直線状に延びる。外側アーム部43の下端は、フロントバンパ5よりも下方に配置される。内側アーム部41の後側の外周面には、L字ブラケット40が固定される(図8(b)参照)。L字ブラケット40は、内側アーム部41の後面から上下方向に交叉する状態で後方へ延びる底板38と、底板38の後端から上方へ曲折して延びる側板39とを有する。L字ブラケット40の底板38の上面には、伸縮自在のコイルスプリング44が固定される。外側アーム部43は、下端部に車幅方向に貫通する貫通孔45を有する。サイドメンバ2の縦板部19よりも車幅方向外側へ突出した第1回転軸部材22に座金46を装着した状態で、アーム部材23の内側アーム部41の嵌合孔31に第1回転軸部材22の嵌合部30を挿通させ、嵌合孔31の内周面と嵌合部30の外周面とが嵌合する。アーム部材23の内側アーム部41と第1回転軸部材22とは、ボルト32で固定される。すなわち、傾動アーム11は、フロントバンパ5の下方に配置され、サイドメンバ2と軸支持部材27と(車体フレーム側)に回転自在に支持されて下方へ延びる。図8(b)に示すように、傾動アーム11の下端が傾動アーム11の上端よりも僅かに前方に配置される位置(作動位置)で、内側アーム部41の前側の外周面がストッパ16の後面に当接する。すなわち、ねじりばね12に車両前方へ付勢される傾動アーム11の前方への傾動範囲は、ストッパ16により作動位置に規制される。なお、作動位置は、傾動アーム11の下端が傾動アーム11の上端よりも僅かに前方に配置される位置に限られず、収容位置よりも前方に適宜設定することができる。例えば、傾動アーム11の上端と下端とが前後方向に略同じ位置に配置された作動位置であってもよい。
ガイド部材24は、作動位置におけるアーム部材23の外側アーム部43の下端に固定される後ガイド板47と、後ガイド板47の下端から曲折して前方へ延びる下ガイド板48とを一体的に有する側面視略L字状の板状体である。作動位置における下ガイド板48は、路面8の近傍に配置される(図8(b)参照)。
傾動アーム11の第1回転軸部材22の係止部36がねじりばね12の第2腕部12cに係止されることにより、傾動アーム11がねじりばね12に車両前方へ付勢される。なお、ねじりばね12は、傾動アーム11を作動位置よりも前方へ向かって付勢している。
図6(a)及び図9に示すように、緩衝シート15は、柔軟性を有する薄い(本実施形態では、厚さ5mm〜10mm程度)ウレタン製の矩形状のシート体であって、車幅方向の長さが左右の外側アーム部43の間の間隔よりも僅かに短く形成される。緩衝シート15の後端縁部(内端縁部)59には、第2回転軸部材55が固定され、緩衝シート15の前端縁部(外端縁部)60には、重り部材(重量部)57が固定される。図3に示すように、第2回転軸部材55は、車幅方向へ延びる略円柱体であって、左右の傾動アーム11の外側アーム部43のそれぞれの貫通孔45を挿通し、貫通孔45の内周面と第2回転軸部材55の外周面との間に固定されるベアリング33を介して、左右の傾動アーム11に回転自在に支持される。これにより、緩衝シート15の後端縁部59が左右の傾動アーム11に回転自在に支持される。第2回転軸部材55は、第2回転軸部材55の外周面から第2回転軸部材55の軸と同軸で円板状に突出するフランジ58を車幅方向両側に有し、左右のフランジ58の車幅方向外側面が左右の傾動アーム11の外側アーム部43の車幅方向内側面にそれぞれ当接する。第2回転軸部材55の車幅方向両端は、左右の外側アーム部43よりも車幅方向外側へそれぞれ突出する。外側アーム部43から車幅方向外側へ突出する第2回転軸部材55の車幅方向両側の外周面にはリング収容溝(図示省略)がそれぞれ形成され、左右のリング収容溝にCリング35がそれぞれ収容される。フランジ58と外側アーム部43との当接、及びCリング35により、第2回転軸部材55の車幅方向の移動が規制される。重り部材57は、車幅方向に延びる棒状体であって、ウレタンよりも重い弾性材(例えば、ゴムなど)で形成され、車幅方向両端が左右のガイド部材24よりも車幅方向外側にそれぞれ配置される。緩衝シート15の前後方向の長さは、作動位置の傾動アーム11に支持される後端縁部59から車両前方へ緩衝シート15を展開した状態で、緩衝シート15がフロントバンパ5よりも前方へ突出し、前端縁部60がフロントバンパ5から前方へ所定の距離(本実施形態では、2m〜3m)離間する長さに設定される。上記所定の距離は、走行中のトラック1が衝突体(本実施形態では、歩行者)に衝突した際に、歩行者(特に頭部)が落下する位置とフロントバンパ5との間の間隔よりも長い距離であり、車両の速度(本実施形態では、時速20km以下)などによって異なり、実験やシミュレーションなどによって求める。なお、緩衝シート15の材料は、ウレタンに限定されず、路面8からの衝撃を緩和可能な材料であれば、繊維を絡め合わせた不織布や天然ゴムなどであってもよい。また、重り部材57の材料は、弾性材でなくてもよく、緩衝シート15の材料よりも重い材料であればよい。
図6(a)に示すように、緩衝シート15は、車幅方向に延びる後端縁部59の第2回転軸部材55を中心としてロール状に巻回された状態(格納状態)と、格納状態から緩衝シート15の前端縁部60が車両前方へ引き出された状態(展開状態)との間を移行可能である。格納状態の緩衝シート15は、車幅方向左側から視た状態で後端縁部59から前端縁部60へ向かって時計回りに巻回される。すなわち、後端縁部59から前端縁部60へ向かって車両前方、上方、車両後方、下方、車両前方の順に巻回される。格納状態の緩衝シート15の重り部材57の車幅方向両端部は、側面視略L字状のガイド部材24の後ガイド板47と下ガイド板48とに当接する位置にそれぞれ配置され、ガイド部材24に支持される。なお、重り部材57の重さは、例えば、実験や計算などにより、後述する車両用歩行者保護装置10の作動時に緩衝シート15を格納状態から展開状態へ移行させることが可能な重さに適宜設定される。また、本実施形態では、重り部材57の車幅方向両端部がガイド部材24に支持されたが、これに限定されず、緩衝シート15の前端縁部60がガイド部材24に支持されていればよい。例えば、緩衝シート15の前端縁部60に被支持部を設け、該被支持部がガイド部材24に支持されてもよい。
図7(a)及び図7(b)に示すように、ロック装置14は、スライド軸49とスライド部材50とカバー54と電磁石53とスライドストッパ52とを有し、サイドメンバ2の貫通孔20よりも後方に配置され、サイドメンバ2の縦板部19に支持される(図2参照)。
スライド軸49は、サイドメンバ2の縦板部19の車幅方向外側面に溶接等により固定されて車幅方向外側へ向かって延びる固定部56と、固定部56の車幅方向外端部から後下方に向かって延びる略円柱状の軸部61とを一体的に有する。スライド部材50は、内側に軸部61が挿通する筒状部62を有し、スライド軸49にスライド移動自在に支持される。筒状部62の片側(後下方側)は、閉止板部63に閉止される。
カバー54は、貫通孔64を有する略筒状体であって、スライド軸49の軸部61の上方に配置され、サイドメンバ2の縦板部19の車幅方向外側面に溶接等により固定される。貫通孔64は、スライド軸49の軸部61よりも大径であり、スライド軸49の軸部61に交叉する方向に延びる。電磁石53は、カバー54の貫通孔64に挿入され、カバー54の貫通孔64の上部に固定される。スライドストッパ52は、貫通孔64に挿入されて電磁石53よりも下方で上下方向にスライド移動自在な磁性体(例えば、鉄やコバルトやニッケルなど)であって、下端部に下方へ開口する断面U字状の溝65を有する。断面U字状の溝65の底部66は、軸部61の外周面に沿った円弧状に形成される。スライドストッパ52が下方へ移動すると、スライドストッパ52がカバー54から下方へ離脱しない位置で、溝65の底部66がスライド軸49の軸部61の外周面に係合する。電磁石53に電気が通電されると、電磁石53に磁力が発生し、磁性体であるスライドストッパ52が上方へスライド移動する。
加速度センサ29は、フロントバンパ5の車幅方向中央部の後面に設置され、トラック1のフロントバンパ5の前後方向の加速度を検出して保護装置コントローラ67へ逐次出力する(図2参照)。保護装置コントローラ67は、加速度センサ29から入力された加速度が急激に減少したか否かを逐次判定し、加速度が急激に減少したときに、走行中のトラック1のフロントバンパ5に歩行者が衝突したと判断して、バッテリ電源(図示省略)からロック装置14の電磁石53へ通電を開始する。すなわち、加速度センサ29と保護装置コントローラ67とは、トラック1のフロントバンパ5への歩行者の衝突を検知する衝突検知手段として機能する。なお、フロントバンパ5への衝突体の衝突を検知する衝突検知手段には、フロントバンパ5への衝突体の衝突を回避できない状態を検知する衝突検知手段も含まれる。すなわち、本実施形態では、保護装置コントローラ67が走行中のトラック1のフロントバンパ5への衝突体の衝突を検知したが、保護装置コントローラ67がフロントバンパ5への衝突体の衝突を回避できない状態を検知してもよい。また、本実施形態では、加速度センサ29を用いたが、カメラやレーダセンサなどを用いてフロントバンパ5への衝突体の衝突(衝突を回避できない状態)を検知してもよい。
次に、車両用歩行者保護装置10の動きを図8に基づいて説明する。
加速度センサ29と保護装置コントローラ67とがフロントバンパ5への歩行者の衝突を検知しない間、すなわち、車両用歩行者保護装置10の非作動時には、図7(a)及び図8(a)に示すように、傾動アーム11は、ねじりばね12の付勢力に抗した状態で作動位置よりも後方の収容位置に配置され、ロック装置14により収容位置に保持される。傾動アーム11を収容位置に保持するロック装置14のスライド部材50は、傾動アーム11のコイルスプリング44を押圧して収縮させる。スライドストッパ52がカバー54から下方へ離脱しない位置で、溝65の底部66がスライド軸49の軸部61の外周面に係合する。コイルスプリング44の付勢力により前上方へ付勢されるスライド部材50の前端は、スライドストッパ52に当接している。スライド部材50とスライドストッパ52との当接により、前上方へのスライド部材50のスライド移動が規制される。傾動アーム11がねじりばね12(図3参照)の付勢力により下方へ付勢され、L字ブラケット40の側板39の下面がスライド部材50の外周面に当接する。スライド部材50とL字ブラケット40との当接により、傾動アーム11の下方への傾動が規制される。すなわち、ロック装置14が傾動アーム11を収容位置に保持する。傾動アーム11がロック装置14によって収容位置に保持された状態では、格納状態の緩衝シート15の外周面がサイドメンバ2の下面68に当接する。緩衝シート15とサイドメンバ2との当接により、収容位置の傾動アーム11に対する緩衝シート15の第2回転軸部材55を中心とした回転が規制される(シート保持手段)。傾動アーム11が収容位置に保持された状態で重り部材57の車幅方向両端部は、上方に配置されるガイド部材24の後ガイド板47と、後方に配置される下ガイド板48とにそれぞれ当接している。
加速度センサ29と保護装置コントローラ67とがフロントバンパ5への歩行者の衝突を検知した時、すなわち、車両用歩行者保護装置10の作動時には、保護装置コントローラ67がバッテリ電源(図示省略)からロック装置14の電磁石53へ通電を開始する(図2参照)。電磁石53に電気が通電されると、図7(b)に示すように、電磁石53に磁力が発生し、磁性体であるスライドストッパ52が電磁石53の磁力によって上方へスライド移動する。スライドストッパ52が上方へスライド移動すると、スライド部材50の前上方へのスライド移動の規制が解除され、コイルスプリング44の付勢力によりスライド部材50が前上方へスライド移動する。スライド部材50の後端がL字ブラケット40の側板39の前端よりも前方へ移動すると、傾動アーム11の下方への傾動の規制が解除され、ねじりばね12の付勢力によって傾動アーム11が収容位置から前方へ傾動する。傾動アーム11の傾動に応じてサイドメンバ2の下面68と緩衝シート15の外周面とが離間し、傾動アーム11に対する緩衝シート15の回転規制が解除される。
ロック装置14による収容位置への傾動アーム11の保持が解除され、ねじりばね12に付勢された傾動アーム11が収容位置(図8(a)参照)から作動位置(図8(b)参照)へ傾動する時には、緩衝シート15の重り部材57は、ガイド部材24の下ガイド板48及び後ガイド板47に支持されながら傾動アーム11と共に移動する。傾動アーム11が収容位置から作動位置へ傾動する間、傾動アーム11の傾動する方向とは逆方向への重り部材57の移動が後ガイド板47に規制され、重り部材57に働く遠心力による第1回転軸部材22から離間する方向への重り部材57の移動が下ガイド板48に規制される。傾動アーム11がストッパ16に当接し、傾動アーム11の車両前方への傾動が作動位置に規制される。傾動アーム11が作動位置に規制された際に、傾動アーム11には後方向の加速度が生じ、ガイド部材24の後ガイド板47に支持されながら作動位置まで移動した緩衝シート15の重り部材57には傾動アーム11の加速度とは逆方向(前方向)の慣性力が働く。作動位置では傾動アーム11の下端側が上端側よりも前方に配置されるので、重り部材57が路面8の近傍のガイド部材24に案内されて路面8の近傍で水平方向よりも僅かに斜め前上方へ向かって飛び出す(図8(c)参照)。格納状態の緩衝シート15は、第2回転軸部材55を軸として回転しながら重り部材57によって車両前方(図8(c)に示す矢印の方向)へ引き出され、フロントバンパ5よりも車両前方の路面8上に展開して展開状態となる(図9参照)。緩衝シート15の前端縁部60は、フロントバンパ5から2m〜3m前方へ離間した位置に配置される。展開状態の緩衝シート15の上に歩行者が落下し、歩行者が落下した際に受ける衝撃を、柔軟性を有する緩衝シート15が路面8と歩行者との間で緩和する。
上記のように構成された車両用歩行者保護装置10では、緩衝シート15の前端縁部60の重り部材57がガイド部材24に当接して路面8の近傍に配置されるので、走行中のトラック1が歩行者と衝突した際、重り部材57は、路面8の近傍のガイド部材24に案内されて路面8の近傍で車両前方へ飛び出す。このため、走行中のトラック1が歩行者と衝突して、歩行者がフロントバンパ5よりも上方へ浮上しない場合(図10参照)であっても、フロントバンパ5と路面8との間のうち歩行者の脚等と干渉しない高さ位置(本実施形態では、路面8の近傍)で緩衝シート15を車両前方へ展開させることができ、歩行者と路面8との間で緩衝シート15を展開させて歩行者を保護することができる。
また、緩衝シート15は、格納状態から展開状態へ移行する際、後端縁部59の第2回転軸部材55を軸として回転しながら前端縁部60の重り部材57によって車両前方へ引き出される。このため、トラック1が歩行者と衝突した際、路面8と歩行者との間に少なくとも緩衝シート15の厚さ(本実施形態では、5mm〜10mm程度)と同程度の間隙があれば、緩衝シート15を歩行者と路面8との間で展開させて歩行者を保護することができる。
また、一度使用すると再使用することができない部品(例えば、インフレータ等)を必要としないので、作動後に部品交換をすることなく車両用歩行者保護装置10を作動前の状態に復帰させて繰り返し使用することができ、車体の損傷が小さい場合には、運転者等が比較的容易に車両用歩行者保護装置10を作動前の状態に復帰させてトラック1を使用することができる。また、作動前の状態に復帰させる際、部品の交換が必要な場合に比べて、復帰作業の作業性が向上する。
このように、本実施形態によれば、車両が歩行者に衝突した際、歩行者がバンパよりも上方へ浮上しない場合であっても、歩行者と路面との間に緩衝材を展開させて歩行者を確実に保護することができ、且つ作動後に部品交換することなく作動前の状態に復帰させることができる。
また、緩衝シート15は、前端縁部60に重り部材57を有するので、重り部材57を有さない場合に比べて、傾動アーム11が作動位置に規制された際に緩衝シート15の前端縁部60に働く慣性力が大きく、緩衝シート15を車両前方へ遠方まで短時間で引き出すことができる。このため、重り部材57を有さない場合に比べて、歩行者を保護することができる領域を車両前方に広く確保することができ、且つ歩行者がトラック1と衝突してから路面8に衝突するまでの時間が短くても、歩行者と路面8との間で緩衝シート15を展開させて歩行者を保護することができる。
また、ストッパ16が傾動アーム11の車両前方への傾動を作動位置に規制し、作動位置では傾動アーム11の下端側が上端側よりも前方に配置されるので、緩衝シート15の重り部材57が水平方向よりも僅かに斜め前上方へ向かって飛び出す。このため、重り部材57が車両前方へ水平方向に飛び出す場合に比べて、重り部材57が路面8との接触による摩擦抵抗を受けることなく遠方まで飛び出し、良好に車両前方へ向かって緩衝シート15を展開させて歩行者を保護することができる。
また、車両用歩行者保護装置10の非作動時には、緩衝シート15とサイドメンバ2との当接により、収容位置の傾動アーム11に対する緩衝シート15の第2回転軸部材55を軸とした回転が規制されるので、トラック1の走行中に路面8からの振動等が格納状態の緩衝シート15に入力しても、緩衝シート15は、収容位置の傾動アーム11に対して回転することなく格納状態を保持する。従って、車両用歩行者保護装置10の非作動時における緩衝シート15の展開を確実に防止することができる。
また、重り部材57がガイド部材24に支持されながら傾動アーム11と共に収容位置から作動位置まで移動する。このため、傾動アーム11が収容位置から作動位置へ傾動する間、緩衝シート15は格納状態を保持することができる。また、作動位置において傾動アーム11の加速度とは逆の方向の慣性力を重り部材57に良好に働かせることができ、良好に車両前方へ向かって緩衝シート15を展開させて歩行者を保護することができる。
なお、傾動規制手段は、ストッパ16に限定されず、例えば、第1回転軸部材22よりも後方のサイドメンバ2と、傾動アーム11の下端部とを連結する鎖やワイヤー等を有し、傾動アーム11が収容位置から作動位置へ傾動した時、鎖やワイヤー等が直線状に延びて傾動アーム11の前方への傾動範囲を作動位置に規制してもよい。
また、傾動規制手段を設けなくてもよい。例えば、ねじりばね12が捩じり反力を有さない状態(ねじりばね12に外力が加わらない自然の状態)で傾動アーム11を作動位置に配置し、傾動アーム11の係止部36とねじりばね12の第2腕部12cとを固定してもよい。この場合、傾動アーム11が収容位置に保持された状態では、ねじりばね12が捩じり反力を有して傾動アーム11を前方へ付勢する。収容位置への傾動アーム11の保持が解除されると、傾動アーム11がねじりばね12に付勢されて収容位置から作動位置へ傾動する。傾動アーム11が作動位置よりも前方まで傾動すると、ねじりばね12が捩じり反力を有し、該捩じり反力により傾動アーム11の前方への傾動が抑制され、傾動アーム11がねじりばね12に付勢されて後方の作動位置へ傾動する。
また、収容位置の傾動アーム11に対する緩衝シート15の第2回転軸部材55を軸とした回転を規制するシート保持手段として、傾動アーム11が収容位置にある状態で緩衝シート15とサイドメンバ2とが当接したが、これに限定されるものではなく、サイドメンバ2以外の既存の部品と緩衝シート15との当接や、新たに設けた部品と緩衝シート15との当接などによって、収容位置の傾動アーム11に対する緩衝シート15の回転を規制してもよい。
また、アーム保持手段は、ロック装置14に限定されず、傾動アーム11を収容位置に保持し、衝突検知手段が衝突を検知した時に傾動アーム11の収容位置への保持を解除するものであればよい。例えば、アクチュエータを用いて傾動アーム11の保持及び解除を行うアーム保持手段であってもよい。
また、本実施形態では、サイドメンバ2が貫通孔20を有し、傾動アーム11が貫通孔20を介してサイドメンバ2に回転自在に支持されたが、これに限定されるものではなく、傾動アーム11を回転自在に支持する支持部材をサイドメンバ2に固定し、該支持部材を介して傾動アーム11がサイドメンバ2側に回転自在に支持されてもよい。
また、付勢手段は、ねじりばね12に限定されず、例えば、車幅方向内側の固定端と車幅方向外側の自由端とを有するトーションバーが付勢手段として機能してもよい。トーションバーの固定端は、車体側に固定される。傾動アームは、棒状体であって、作動位置における上端がトーションバーの自由端に固定され、下端が緩衝シートを支持する。この場合、トーションバーが捩じり反力を有した状態で傾動アームが収容位置に保持され、収容位置への保持が解除されると、トーションバーの捩じり反力により傾動アームが作動位置へ向かって傾動する。
以上、本発明について、上記実施形態に基づいて説明を行ったが、本発明は上記実施形態の内容に限定をされるものではなく、当然に本発明を逸脱しない範囲では適宜の変更が可能である。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例および運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論である。
例えば、上記実施形態では、車両用歩行者保護装置10をキャブオーバー型のトラック1に備えたが、これに限定されるものではなく、ボンネットを有する乗用車等、様々な車種に備えることができる。
また、図6(b)に示す格納状態の緩衝シート70は、車幅方向に延びる内端縁部71を中心として、内端縁部71から外端縁部72へ向かって車両前方、下方、車両後方、上方、車両前方の順に巻回され、外端縁部72の車幅方向外端部が傾動アーム11の下端部に固定される。傾動アーム11が収容位置から前方へ傾動して作動位置に規制されると、緩衝シート70の外端縁部72が傾動アーム11に固定された状態で、内端縁部71側のロール状の緩衝シート70が車両前方へ投げ出され、路面8上を転がって展開状態になる。
この緩衝シート70を備えた車両用歩行者保護装置では、緩衝シート70が内端縁部71から外端縁部72へ向かって車両前方、下方、車両後方、上方、車両前方の順に巻回され、ロール状の緩衝シート70の外端縁部72が傾動アーム11に固定されるので、内端縁部71側のロール状の緩衝シート70が車両前方へ飛び出し易く、路面8上を転がって展開し易い。このため、比較的小さな力で緩衝シート70を車両前方へ展開することができる。また、緩衝シート70が傾動アーム11に固定されるので、収容位置の傾動アーム11に対する緩衝シート70の回転を規制するシート保持手段は不要である。また、ロール状に巻回された緩衝シート70の外端縁部72は、傾動アーム11に固定されるので、重量部は不要である。なお、ロール状に巻回された緩衝シート70の内端縁部71に重量部を有してもよい。また、内端縁部71側のロール状の緩衝シート70が車両前方へ飛び出し易いので、傾動規制手段を設けなくてもよい。
1:トラック(車両)
2:サイドメンバ(車体フレーム)
3:キャブ
4:前タイヤ
5:フロントバンパ(バンパ)
6:サイドメンバの前端部(車体フレームの前端部)
8:路面
9:傾動アーム機構
10:車両用歩行者保護装置
11:傾動アーム
12:ねじりばね(付勢手段)
14:ロック装置(アーム保持手段)
15,70:緩衝シート
16:ストッパ(傾動規制手段)
24:ガイド部材
29:加速度センサ(衝突検知手段)
40:L字ブラケット
53:電磁石
57:重り部材(重量部)
59:緩衝シートの後端縁部(内端縁部)
60:緩衝シートの前端縁部(外端縁部)
67:保護装置コントローラ(衝突検知手段)
71:緩衝シートの内端縁部
72:緩衝シートの外端縁部

Claims (3)

  1. 車体フレームの前端部に固定されて車幅方向に延びるバンパを備えた車両に設けられる車両用歩行者保護装置であって、
    前記バンパの下方に配置され、前記車体フレーム側に回転自在に支持されて下方へ延びる傾動アームと、
    前記傾動アームを車両前方へ付勢する付勢手段と、
    前記バンパへの衝突を検知する衝突検知手段と、
    前記傾動アームを収容位置に保持し、前記衝突検知手段が衝突を検知した時に前記傾動アームの保持を解除するアーム保持手段と、
    車幅方向に延びる内端縁部を中心としてロール状に巻回された格納状態で前記傾動アームに支持される緩衝シートと、を備え、
    前記アーム保持手段が前記傾動アームの保持を解除すると、前記付勢手段の付勢力によって前記傾動アームが前記収容位置から該収容位置よりも車両前方の作動位置へ移動し、前記格納状態の前記緩衝シートが前記バンパよりも車両前方の路面上に展開する
    ことを特徴とする車両用歩行者保護装置。
  2. 請求項1に記載の車両用歩行者保護装置であって、
    前記傾動アームの前方への傾動範囲を前記作動位置に規制する傾動規制手段を備える
    ことを特徴とする車両用歩行者保護装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の車両用歩行者保護装置であって、
    シート保持手段を備え、
    前記緩衝シートは、前記外端縁部に重量部を有し、前記内端縁部から前記外端縁部へ向かって車両前方、上方、車両後方、下方、車両前方の順に巻回され、前記内端縁部が前記傾動アームに回転自在に支持され、
    前記シート保持手段は、前記収容位置の前記傾動アームに対する前記緩衝シートの回転を規制し、前記収容位置から前記作動位置への前記傾動アームの傾動に応じて前記緩衝シートの回転規制を解除する
    ことを特徴とする車両用歩行者保護装置。
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