JP6003450B2 - 表示体及びラベル付き物品 - Google Patents

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Description

本発明は、偽造防止などで用いられ、観察条件によって見え方が変化する画像表示体に係り、特に透過光や反射光の観察で画像が変化するような表示体及びラベル付き物品に関する。
近年、商品券や小切手等の有価証券類やクレジットカードやキャッシュカード、IDカード等のカード類、パスポートや免許証等の証明書類の偽造防止を目的として、通常の印刷物とは異なる視覚効果をもつ表示体を転写箔やステッカー等の形態にして、前記証券類やカードなどの証明書類の表面に貼付、圧着するなどして設けられている。また、有価証券類や証明書類以外の物品においても偽造品の流通が社会問題化しており、そのような物品についても同様の偽造防止技術を適用する機会が多くなってきている。
偽造防止技術としては、マイクロ文字、特殊発光インキ、すかし、回折格子、ホログラムなどがある。この偽造防止技術は大きく二つに分けることができる。一つは、簡易な機器や測定装置などを使用して真偽を判別する偽造防止技術である。もう一つは、肉眼で容易に真偽判定が可能な偽造防止技術である。
近年では、電子線描画装置(EB装置)で様々な微細構造を作製し、目視で類似技術と差別化できるセキュリティデバイスの開発が行われている。もっとも一般的なセキュリティデバイスとして、表面レリーフタイプの回折格子がある(例えば特許文献1)。
回折格子は、普通の印刷物に比べて構造が複雑で、高い微細加工技術を持つ特定の業者でないと作製が困難であり、複製を行うときに大規模な複製装置を必要とするので、小規模な複製が行いにくいという特徴がある。このため、偽造品の作製が困難である。
また、照明光を当てた時に、単波長に近い光で再生されるため虹の七色に対応した明るく鮮やかな色で観察でき、観察条件が変化したときに色や画像パターンが変化するという特徴的な見え方をする。このため、他の部材との違いが目視で容易に判別できる。
これらのことから、回折格子は目視によるセキュリティ用途として優れており、偽造防止用の画像表示体として広く用いられてきている。
しかし、回折格子は、観察条件の変化が僅かであっても再生像の色が大きく変化するので、画像の色の違いを識別するのが難しい。
このため、異なる画像が記録されている回折格子であっても、観察者に類似した印象を与えやすく、回折格子同士では記録されている画像の違いが判別し難いという問題もある。
特開2003−295744号公報
本発明は、透過光と反射光で表示体を観察した際に異なる画像を表示させる表示体及びラベル付き物品を提供することを目的としている。
1の発明に係る表示体は、光反射性と光透過性の双方を有する金属薄膜層の上に光透過層及び印刷層を積層してなる積層体から形成される表示体であって、前記金属薄膜層から前記光透過層に向けて300nm以上500nm以下の高さで突出する複数の凸部又は前記光透過層から前記金属薄膜層に向けて300nm以上500nm以下の深さで凹む複数の凹部からなり、かつ前記凸部又は前記凹部が200nm以上500nm以下の平均中心間距離で格子状に配列された複数の凹凸構造部を有した凹凸構造領域を持ち、また、前記光透過層が設けられた面に印刷層が微細な間隔で格子状に形成されており、前記印刷層は、予め用意した画像に基づき、画像の濃淡を前記印刷層の格子方向に対応させていることを特徴とする。
2の発明は、の発明に記載の表示体において、前記印刷層の微細な間隔が3μm以上145μm以下であることを特徴とする。
3の発明は、1又は2の発明に記載の表示体において、前記微細な間隔には均一性がないことを特徴とする。
4の発明は、1〜3の発明のいずれかに記載の表示体において、前記画像の濃淡が2値であり、直交する2つの格子方向に対応させたことを特徴とする。
5の発明は、1〜4の発明のいずれかに記載の表示体において、前記光透過層の面に対して垂直で印刷層側から凹凸構造領域を観察した場合に、印刷層は凹凸構造部の面積の40%以上60%以下であることを特徴とする。
6の発明は、1〜5の発明のいずれかに記載の表示体において、前記印刷層の可視光波長における透過率が10%以下であることを特徴とする。
7の発明は、1〜6の発明のいずれかに記載の表示体において、前記凸部または前記凹部の平均中心間距離が前記凹凸構造領域毎に異なることを特徴とする。
8の発明は、1〜6の発明のいずれかに記載の表示体において、前記金属薄膜層の平坦面における層厚が30nm以上100nm以下であることを特徴とする。
9の発明に係るラベル付き物品は、1〜8の発明のいずれか記載の表示体が、光透過性を有する接着層を介して、光透過性を有する基材からなる物品に支持されていることを特徴とする。
1の発明によれば、表示体は凹凸構造によって光透過性機能を持つ領域と印刷領域を有している。光透過性機能持つ領域は、低反射領域であり観察方向から光を照明して表示体を観察する(反射観察)と、黒色や暗灰色などで表示される。また観察方向と反対の方向から光を照明して表示体を観察する(透過観察)と透過光を観察することができる。一方、印刷領域は反射観察すると、印刷した色を知覚することができる。しかし、一般的なインクは透過率が低いため透過観察しても透過光は観察しにくい。また、微細な間隔で格子状に印刷層を形成することにより光源からの光を制御することで反射観察の位置によって、画像を変化させることが可能である。
2の発明によれば、印刷の微細な間隔を3μm以上145μm以下にすることで、肉眼で表示体を観察した際に各部形状を認識することができない。
3の発明によれば、印刷の微細な間隔には均一性がないことが特徴である。これにより、印刷により形成された格子による回折を軽減でき、レインボウホログラムのような虹色の光沢を軽減することが可能である。
4の発明によれば、印刷の格子方向を決定する画像の濃淡が2値であり、直交する2つの格子方向に対応させている。このように格子方向を直交する2つの方向に限定することで、光の制御による画像の変化をより明確化することが可能である。
5の発明によれば、金属薄膜層とは反対側の光透過層の面から表示体を観察した場合に、印刷層の面積に対して凹凸構造部の占める割合は40%以上60%以下である。このように割合を設定することで透過観察及び反射観察における表示画像の双方の輝度を保つことが可能である。
6の発明によれば、印刷層の透過率が低いことで透過観察時に光透過性機能を持つ領域の透過光が観察しやすくなる。
7の発明によれば、凸部又は凹部の平均中心間距離が各凹凸構造部で異なることで透過観察した場合に異なる色を観察することができる。
8の発明によれば、金属薄膜層の平坦面における膜厚が30nm以上100nm以下である。この条件にて金属薄膜層を成形することで、凹凸構造による光透過性機能と低反射性を両立することが可能である。
9の発明によれば、本発明の表示体を印刷物やカード、その他の物品に貼りあわせる、または、組み合わせることによって、従来の物品に高い偽造防止効果を付与することが可能となる。
本発明の一実施形態に係る表示体の概要図である。 図1に示す表示体における絵柄のA領域及びB領域を拡大した図である。 図2(A)に示す表示体における絵柄のI−I線に沿った断面図である。 図3の凹凸構造部の凸構造に採用可能な形態の一例を示した斜視図である。 図4の凸構造を示した平面図である。 図3の凹凸構造部の凸構造に採用可能な形態の他の例を示した斜視図である。 図3における金属薄膜層の一例を示す断面図である。 表示体に対して上方から光源を入射させX軸方向から表示体を観察した場合に得られる画像を示す図である。 表示体に対して上方から光源を入射させY軸方向から表示体を観察した場合に得られる画像を示す図である。 表示体に対し観察者側から光源を入射させて回折光を観察した場合に得られる画像を示す図である。 表示体に対し観察者の反対側から光源を入射させ観察した場合に得られる画像を示す図である。
以下、本発明の実施形態に係る表示体について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る表示体10の概要図である。表示体10には、中央部に例えば四角形状の絵柄19が印刷されている。絵柄19は、例えば三角形状の4つの絵柄19a、19b、19c、19dからなり、絵柄19a、19cと絵柄19b、19dとは、図3に示す印刷層103の形成方向が90度異なっている。また、印刷層103は、図2にて詳細を後述するように、X−Y平面において例えば格子状で、ピッチはランダムに形成される。
図2は、図1に示す表示体10の絵柄19aにおけるA領域及び絵柄19aにおけるB領域を拡大した図である。また図3は、図2(A)に示す表示体の絵柄19aにおけるI−I線に沿った断面図である。表示体10は、光透過層11(光透過性基材100及び凹凸構造形成層101)と印刷層103と金属薄膜層102との積層体である。図3に示す例では、印刷層103側を前面側(観察者側)とし、金属薄膜層102側を背面側としている。
光透過性基材100は、それ自体を単独で取り扱うことが可能なフィルム又はシートから形成されている。光透過性基材100の材料としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)やポリカーボネート(PC)などを用いることができる。
凹凸構造形成層101は光透過性基材100の上に形成された層であり、この凹凸構造形成層101の表面には、凹凸構造が形成されている。この凹凸構造については、後で説明する。凹凸構造形成層101に凹凸構造を形成する方法としては、例えば光透過性基材100の上に樹脂を塗布し凹凸構造形成層101を形成して、この層にスタンパを押し当てながら樹脂を硬化させる方法を用いることができる。光透過性基材100の上に塗布される樹脂としては、光透過性を有する熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂などを使用することができる。
金属薄膜層102の材料としては特に限定されないが、可視光に対し高い反射率を示すアルミニウムなどの金属材料を用いることが好ましい。また金属薄膜層102は光学特性から30〜100nm程度が好ましい。反射層を積層する方法として、真空蒸着法及びスパッタリング法などの気相堆積法により、レリーフ構造に追従して、高精度に薄膜にすることができる。
印刷層103は、文字や絵柄、記号などの画像を表示するもので、可視光における透過率が10%以下と可視光を透過しにくい特性を有している。透過率が10%を超えると透過観察時に印刷層の透過光と凹凸構造の透過光が混在してしまうため、透過率を低くする必要がある。透過率の判別方法としては、表示体10の印刷層103に単色レーザーを入射させて透過光を光強度測定器などで測定し、入射光と透過光の割合から算出する。また印刷層103は、図2に示すようにX−Y平面において例えば格子状で、ピッチはランダムに形成されており、印刷する色は輝度の高いものが好ましい。また、ピッチは3μm〜145μmである。観察者が自分の眼から500mm離してある位置の画像表示体の状態を観察すると、一般的に、視力が1.0の人間の眼の分解能は1分であるため、眼の分解能の限界により、145μm以下の構造は分解できない。よって、ピッチを145μm以下とすると隣接配置した線同士を分解することはできない。ゆえに、ピッチを145μm以下とすることによって、より高品位な画像を表示する画像表示体を提供することが可能となる。3μm以下である場合には、印刷層103を十分に高い精度で形成することが困難になる。また、格子方向は予め用意した画像の濃淡によって決定される。例えば、画像を格子状に分割し、分割画像毎に濃淡を256段階に設定する。最も淡い分割画像の格子方向を0度として1.4度刻みで濃淡が1段階変わる毎に格子方向を変更していく。このように印刷層103に一定の方向性を持たせて、印刷層103を形成していくことで光の散乱方向を制御することが可能である。
印刷層103の印刷方式に応じて、オフセットインキ、活版インキ、グラビアインキ、スクリーンインキなど様々なインキが用いられている。印刷用に用いられるインキは、樹脂タイプのインキ、油性インキ、水性インキなど組成による分類や、酸化重合型インキ、浸透乾燥型インキ、蒸発乾燥型インキ、紫外線硬化型インキなど乾燥方式による分類ができ、基材の種類や印刷方式に応じて適宜選択される。また、帯電性をもったプラスチック粒子に黒鉛、顔料などの色粒子を付着させたトナーを、静電気を利用してポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムや紙などの基材に転写させ、加熱し定着させることで印刷層を形成する技術も一般的である。
表示体10は、接着層、粘着層などの他の層を更に含むことができる。この場合、接着層や粘着層は、金属薄膜層102を被覆するように形成することが望ましい。また接着層や粘着層は光透過性を有している。表示体10が光透過層11と金属薄膜層102の両方を含む場合、通常、金属薄膜層102の表面の形状は光透過層11と金属薄膜層102との界面の形状とほぼ等しい。従って、上記のように接着層又は粘着層を設けると、金属薄膜層102の表面が露出するのを防止できる。それ故、偽造を目的とした凹凸構造の転写による複製を困難とすることができる。
次に凹凸構造形成層101に形成されている凹凸構造部20、22について説明する。
凹凸構造部20、22は、金属薄膜層102から凹凸構造形成層101に向けて突出する複数の凸部、又は凹凸構造形成層101から金属薄膜層102に向けて複数の凸部が、200nm〜500nmの平均中心間距離で周期的に配列されている。また、凸部の高さ又は凹部の深さが300nm〜500nmである。説明の簡略化のため凸部に特化して説明を行うが凸部を凹部に置き換えても差し支えない。
図4、図5に可視光の波長未満の平均中心間距離D1で凸部200がX軸及びY軸に平行して周期的に配列している斜視図及び平面図を示す。上記には典型的な凸部200を配列した例を示しており、X軸とY軸が45度の角度で交差する直線と平行に配列されていても良い。また、図6に示すようにX軸上のみに凸部200が配列されていても良い。図6は、図3の凹凸構造部20の凸部200に採用可能な形態の一例を示した斜視図である。
凸部200、201は、典型的にはテーパ形状を有している。テーパ形状としては、例えば、半紡錘形状、円錐及び角錐などの錐体形状、切頭円錐及び切頭角錐などの切頭錐体形状などが挙げられる。凸部200、201の側面は、傾斜面のみで構成されていてもよく、階段状であってもよい。凸部200、201のテーパ形状は、後述するように凹凸構造部20、22に入射する光の反射率を小さくするのに役立つ。なお、スタンパを利用して凸部200、201を形成する場合、テーパ形状は、硬化した凹凸構造形成層101のスタンパからの取り外しを容易にし、生産性の向上に寄与する。
上述したように、凸部200、201はテーパ形状を有している。このような構造を採用した場合、平均中心間距離D1が十分に短ければ、凸部200、201はZ方向に連続的に変化した屈折率を有していると見なすことができる。
従って、表示体10のうち凹凸構造部20、22に対応した部分は、その略法線方向から反射観察した場合に、例えば黒色または暗灰色を表示する。ここで反射観察とは、一般に上方に配置した光源から表示体の表面に光を照射し、表示体表面からの反射光によって表示体表面の様子を観察する場合のことを言う。なお、ここでの「黒色」は表示体10のうち凹凸構造部20、22に略法線方向から光を照射し、正反射光の強度を測定したときに、波長が400nm〜700nmの範囲内にある全ての光成分について反射率が10%以下であることを意味し、「暗灰色」は表示体10のうち凹凸構造部20、22に略法線方向から光を照射し、正反射光の強度を測定したときに、波長が可視光の波長である400nm〜700nmの範囲内にある全ての光成分について反射率が約25%以下であることを意味する。
上述のように、凹凸構造部20、22は、表示体正面から反射観察した場合に、黒色または暗灰色を表示する。従って、表示体10のうち凹凸構造部20、22に対応した部分は、正面から反射観察した場合に、例えば黒色又は暗灰色印刷層のように見える。
凸部200、201の平均中心間距離D1は200nm〜500nmである。一般的には、凸部200、201の平均中心間距離D1が小さくなるに伴って明度及び彩度が低下し、より黒い表示が可能となり、平均中心間距離D1が大きくなるに伴って輝度が上昇し、暗灰色に知覚されるような構造となる。また、凸部200、201の高さが大きいほうがより黒い表示が可能となり、高さが小さくなるに伴って輝度が上昇し、暗灰色に知覚されるようになる。典型的には凸部200、201の高さは平均中心間距離D1の1/2以上とすることが望ましい。具体的には、平均中心間距離D1が500nmであった場合、凸部200、201の高さを250nm以上とすることで暗灰色の表示が可能となり、さらに、平均中心間距離D1よりも大きい500nm以上の高さとすることでより黒い表示が可能となる。しかし、平均中心間距離D1が短くなる又は凸部の高さが高くなると凸部を成形することが困難になるため、平均中心間距離D1を200nm以上、高さを500nm以下としている。また平均中心間距離D1が長くなる又は凸部の高さが低くなると黒色又は暗灰色の表示が困難となるため、平均中心間距離D1が500nm以下、凸部の高さが300nm以上としている。
図4及び図6に示したように凸部200、201を周期的に配列すると回折格子としても機能する。
代表的な回折光は1次回折光であり、1次回折光の射出角βは、次式(1)から算出することができる。
Figure 0006003450
この式(1)において、dは凹部または凸部間の距離(平均中心間距離)を表し、λは入射光及び回折光の波長を表している。また、αは入射角を表している。式(1)から明らかなように、1次回折光の射出角βは、波長λに応じて変化する。すなわち、凸部(または凹部)からなる凹凸構造部20、22は、分光器としての機能を有している。したがって、照明光が白色光である場合に凹凸構造部20、22を観察する際の観察角度を変化させると、観察者が知覚する色が変化する。
しかし、式(1)から平均中心間距離D1を200nm未満に設定した場合には、1次回折光を射出する機能は得られなくなる。よって回折光機能を付加したい場合には凸部200、201を周期的に配列し、尚且つ平均中心間距離D1を200nm以上にする必要がある。
次に、複数の凸部200、201が形成された凹凸構造部20、22を透過する光の挙動について説明する。凹凸構造部20、22は、図7に示す光学薄膜30による干渉フィルターに類似する作用を有し、反射や干渉を繰り返すことで特定の波長の光を強めたり弱めたりすることが可能である。図7は、上記図3における金属薄膜層102の一例を示す断面図である。光学薄膜30に角度θで入射する入射光304の一部は各層の表面で反射し、光源302がある側に反射して反射光305となるが、光源302とは反対側の面に進行する光(透過光307)も存在する。
光学薄膜30を透過していく光の波面は、光学薄膜30の内部で反射を偶数回繰り返した後に透過していく光の波面を重畳したものとなる。各波面に位相差がないときに、最大の透過光が得られ、その際の光学距離の差は、波長の整数倍となり次式(2)が成立する。
mλ=2×TO×cosθ ・・・・・(2)
ここで、mは次数であり、TOは光学的距離である。TOは、物理的な距離に加え、光が伝搬する媒質の屈折率が考慮される。光学薄膜30の膜厚をD、屈折率をnとすると「TO=nD」が成り立つ。
このとき、他の波長では各波面で打ち消し合う干渉が起こるため、光源302とは反対側の面にはほとんど透過しなくなる。これは、光学薄膜30の光学的距離を制御することで光源302とは反対側の面に透過する光の波長を制御することが可能となることを意味している。
凹凸構造部20、22に設ける凸部200、201の平均中心間距離D1を変化させることで、光透過層11や金属薄膜層102の入射光に対する光学的距離を変化させることができるため、凹凸構造部20、22は、光学薄膜30のように、特定の角度からの入射光に対して特定の波長の光を光源とは反対側の面に透過光として射出することが可能となる。すなわち、凹凸構造部20に設ける凸部200の平均中心間距離D1を変化させることで光源302からの白色光の入射に対し、定点に対して、例えば赤や緑、青などの特定の波長の光を透過光として射出し得る。
次に、図1に示す表示体10による視覚効果について説明する。
図8は表示体10に対して上方から光源を入射させX軸方向から表示体を観察した場合の図、図9は表示体10に対して上方から光源を入射させY軸方向から表示体を観察した場合の図である。
図8に示すように、例えば観察者303の上方にある太陽や蛍光灯等の光源302からの光が表示体10に入射し、観察者303がX軸上方向から表示体10を観察するような観察条件下においては、図3に示した表示体10の凹凸構造部20、22は、その内部に形成されている複数の凸部200、201による反射防止/抑制効果によって反射光305をほとんど射出せず、黒色または暗灰色を呈する。また、印刷層103に入射した光は、散乱されて印刷した色が観察される。また、印刷パターンが格子状になっているため、光は指向性を持って散乱される。そのため、図8に示したようにX軸上から表示体10を観察するとY軸に平行な格子が印刷されている部分が表示される。
表示体10は、上記凹凸構造部20、22による黒色または暗灰色及び印刷層103による反射光305が混在して観察される。一般に人間の目は明るい方に注意がいき、暗い方には注意がいかない(見えにくい)性質を持っている。つまり、反射光を観察する場合では、輝度の高い印刷層103に人間の目の注意がいくため、輝度の低い凹凸構造部20、22の黒色は観察されにくい。よって、印刷層103の色が主に観察される。
図9は、図8の場合に比較して印刷層103(図2参照)の形成方向が90度異なっており、Y軸方向から表示体10を観察することによって印刷層103によって散乱された反射光305を観察することができる。
図10は、表示体10に対し観察者303側から光源302の光を入射させて回折光306を観察した場合に得られる画像を示している。図10に示すように、表示体10から射出する光によって表示体10を反射観察で見る場合には、式(1)の条件を満足する角度で表示体10に入射光304が入射するようにし、回折光306が射出される角度から表示体10を観察することで、凹凸構造部20、22による回折光306を観察することができる。
図11は、表示体10に対し観察者303の反対側から光源302の光を入射させて観察した場合に得られる画像を示している。図11に示すように、例えば太陽や蛍光灯等の光源302が観察者303に対して表示体10の裏側にあるような位置関係で表示体10を観察すると、光源302から射出された表示体10への入射光304は、表示体10の裏面から入射し、凹凸構造部20、22を透過した光307となって観察者303に到達する。このとき凹凸構造部20、22を透過する透過光307の波長は、図3〜図5にて説明したように凹凸構造部20、22の内部に形成されている複数の凸部200、201の平均中心間距離D1に応じて決定されるため、凹凸構造部20、22を透過する透過光307によって、表示体10は例えば青、赤、緑等の固有の色相を表示できる。透過観察では、凹凸構造部20、22は明るく、印刷層103は暗いため凹凸構造部20、22のみが観察される。また凹凸構造部20、22は平均中心間距離D1が異なるため、違う色相を表示することが可能である。
上記図8及び図9のように反射観察では印刷層103による指向性散乱の効果を有し、図10のように特定条件下においては、凹凸構造部20、22は回折光306を射出する。さらに、図11に示すように、表示体10を透過観察した場合には、透過光307によって固有の色相を表示することが可能となる。このような反射観察と透過観察とでまったく異なる特徴的な知覚効果を実現する構造は、他の構造では実現することができず、高い偽造防止効果を発揮する。
10…表示体、11…光透過層、19…絵柄、20、22…凹凸構造部、30…光学薄膜、100…光透過性基材、101…凹凸構造形成層、102…金属薄膜層、103…印刷層、200、201…凸部、302…光源、303…観察者、304…入射光、305…反射光、306…回折光、307…透過光。

Claims (10)

  1. 金属薄膜層光透過層及び印刷層をこの順に積層し積層体を含む表示体であって、
    前記光透過層が、前記金属薄膜層の側に形成された凹凸構造形成層と、前記印刷層の側に形成された光透過性基材とを有し、
    前記凹凸構造形成層が、前記光透過の側から前記金属薄膜の側に向けて300nm以上500nm以下の高さで突出する複数の凸部又は前記光透過層の側から前記金属薄膜層の側に向けて300nm以上500nm以下の深さで凹む複数の凹部を有し、かつ前記複数の凸部又は前記複数の凹部が200nm以上500nm以下の平均中心間距離で格子状に配列され凹凸構造部を形成しており
    前記印刷層が間隔を空けて配置された格子から形成されていて画像を構成するとともに、前記画像の濃淡前記格子の間隔に対応しており、
    前記金属薄膜層が、光反射性と光透過性の双方を有し、
    前記金属薄膜層、前記光透過層、及び前記印刷層の組み合わせにより、前記表示体から反射する反射光を観察する反射観察と、前記表示体を透過する透過光を観察する透過観察とで、異なる色相が観察され得るようになっていることを特徴とする表示体。
  2. 前記平均中心間距離をdとしたとき、次式(1):
    d=λ/(sinα−sinβ) ・・・・・(1)
    (ここで、λは入射光及び回折光の波長を表し、αは入射角を表し、βは1次回折光の射出角を表す)が成立し、
    前記金属薄膜層の膜厚をDとしたとき、次式(2)および(3):
    mλ=2×TO×cosθ ・・・・・(2)
    TO=nD ・・・・・(3)
    (ここで、mは次数を表し、TOは光学的距離を表し、θは入射光の入射角を表し、nは屈折率を表す)が成立するように、前記金属薄膜層の膜厚Dが設定されていることを特徴とする請求項1に記載の表示体。
  3. 前記印刷層の格子の間隔が3μm以上145μm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の表示体。
  4. 前記印刷層の格子の間隔には均一性がないことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の表示体。
  5. 前記画像の濃淡が2値であり、かつ、直交する2つの格子方向に対応していることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の表示体。
  6. 前記印刷層の面積が、前記凹凸構造部の面積の40%以上60%以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の表示体。
  7. 前記印刷層の可視光波長における透過率が10%以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の表示体。
  8. 前記凹凸構造部が複数設けられており、前記平均中心間距離が複数の前記凹凸構造部毎に異なることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の表示体。
  9. 前記金属薄膜層の平坦面における層厚が30nm以上100nm以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の表示体。
  10. 請求項1〜のいずれか1項に記載の表示体が、光透過性を有する接着層を介して物品に支持されていることを特徴とするラベル付き物品。
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