JP6001434B2 - アキシャルギャップ型発電体 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、自動二輪車のエンジンのクランクシャフト端部に固定されるフライホイールに発電用の磁石を設けるとともに、これらの磁石と径方向に対向する箇所に、エンジンに対して固定された発電用のコイルを設けることが記載されている。
また、近年では発電体をコンパクトに構成するため、発電用コイルが設けられエンジンに対して固定されたステータコアと、発電用磁石が設けられクランクシャフトとともに回転するロータヨークとを、クランクシャフトの中心軸方向に対向させて配置したアキシャルギャップ型の発電体を用いることが提案されている。
例えば、特許文献2には、クランクシャフトから外径側に突き出して配置され、軸方向に間隔をおいて配置された一対のロータヨークの間隔に、エンジンに固定されたステータコアを配置したアキシャルギャップ型の発電体が記載されている。
しかし、このようなアルミニウム系合金のハウジングを用いた場合、放熱性は良好であるものの、エンジン本体が発生する熱が発電体側に伝わりやすく、エンジンからの熱を遮断するために断熱材を配置する等の遮熱対策が必要となって部品点数やコストが増加する原因となっていた。
本発明の課題は、簡単な構成によってエンジン及び発電体の各部を適切に冷却可能なアキシャルギャップ型発電体を提供することである。
請求項1に係る発明は、エンジンのクランクシャフトに固定されたロータと、前記エンジンのクランクケースに固定され前記ロータと軸方向に間隔を隔てて対向して配置されたステータと、前記ロータ及び前記ステータを収容するとともに前記ステータが固定されるハウジングとを有するアキシャルギャップ型発電体であって、前記ハウジングの前記クランクケース側と反対側の面部に隣接して前記エンジンのクランクシャフトによって駆動され冷却風を発生するブロワファンを有する回転体が配置され、前記ハウジングは樹脂系材料によって形成されるとともに、前記エンジン及び前記ハウジングの異なった部位へ前記冷却風をそれぞれ案内する複数のダクト部が一体に形成されることを特徴とするアキシャルギャップ型発電体である。
これによれば、ハウジングを樹脂系材料によって形成することによって、エンジンのクランクケース、シリンダ等からの輻射熱を効果的に遮蔽することが可能となる。
このため、断熱材の廃止などが可能となり、部品点数及びコストを低減することができる。
また、ブロワファンが発生した冷却風をエンジン及びハウジングの異なった部位へ案内する複数のダクト部を、ハウジングと一体に形成することによって、部品点数や組立工数を増加させることなくエンジン、発電体の各部位を適切に冷却することが可能である。
さらに、エンジンの振動を樹脂製のハウジングが吸収するため、振動に起因する騒音を低下することができる。
これによれば、ハウジングの中央部に冷却風を導入することが可能となり、ステータ、ロータ等発電体内部の構成部材を適切に冷却することが可能となる。
これによれば、ハウジングの中央部に導入された冷却風が隣接するコイル間の隙間をコイルを冷却しながら流れ、ハウジングの外周面に形成された排気口から排出されることによって、発電体内部を効果的に冷却することができる。
これによれば、コイル間を抜ける冷却風の排出効率を高めて上述した効果をいっそう高めることができる。
これによれば、大気圧に対して圧力が高いダクト部内に排気口の出口を設ける場合でも、冷却風を適切に排出することができる。
これによれば、ハウジングと回転体との隙間を通ってハウジング内へ導入される冷却風の流路面積が内径側で小さくなることを防止し、ハウジング内へ導入される冷却風の風量を確保することができる。
例えば、回転体がブロワファンとフライホイールとを結合して構成される場合、フライホイールの発電体側の面部における中央部に凹部を設けることができる。
図1は、実施例のアキシャルギャップ型発電体及びエンジンを、クランクシャフトの中心軸を含む鉛直面で切って見た断面図である。
図2は、図1のエンジン及び発電体の分解斜視図である。
エンジン100は、クランクケース110、メインベアリングカバー120、シリンダ130、シリンダヘッド140、クランクシャフト150、フライホイール160、ブロワファン170、リコイルスタータ180等を有して構成されている。
(シリンダ130、シリンダヘッド140は、図10参照。)
クランクケース110は、例えばアルミニウム系合金の鋳物によって、シリンダ130と一体に形成されている。
クランクケース110における発電体200とは反対側の端部には、メインベアリングカバー120によって閉塞される開口が形成されている。
シリンダ130は、ピストンが挿入される円筒状の部分であって、クランクケース110と一体に形成されている。
シリンダ130は、シリンダヘッド側がクランクケース側よりも高くなるように、中心軸が傾斜して配置されている。
シリンダ130の外周面部には、冷却用の複数のフィン131が形成されている。
シリンダヘッド140は、シリンダ130及びピストンの冠面とともに燃焼室を構成する。
シリンダヘッド140には、点火栓、吸気ポート140a、排気ポート140b及び各ポートを開閉するバルブとその駆動系などが設けられている。
また、図2に示すように、吸気ポートには、エアクリーナ141、キャブレタ142が接続されている。
エアクリーナ141は、燃焼用空気(新気)を外気から導入し、濾過してダスト等を除去するものである。
キャブレタ142は、エアクリーナ141から導入される新気中に燃料噴霧を供給し、混合気を形成するものである。
キャブレタ142は、新気の流量を調整するスロットルバルブを備えている。
マフラ143は、排気ポートに接続され、既燃ガス(排ガス)の音響エネルギを低減して外部へ放出する排気管である。
ジャーナル部151は、メインベアリング156を介して、クランクケース110及びメインベアリングカバー120にそれぞれ支持されている。
また、メインベアリング156に対してクランクケース110の外部側に隣接して、クランクケース110内からのオイルの漏出を防止するため、オイルシール157が設けられている。
クランクウェブ153は、ジャーナル部151とクランクピン152とを連結するクランクアーム、及び、クランクアームに対して実質的に軸対称に配置されるクランクウェイトを一体に形成したものである。
出力軸部154は、実質的に全長にわたって均一な外径を有する平行軸である。
出力軸部154は、ジャーナル部151に対して段状に外径が小さくなるように形成され、その結果、ジャーナル部151と出力軸部154との境界部(ジャーナル部151の出力軸部154側の端部)には、回転軸と実質的に直交する面部を有する段部が形成されている。
この段部は、後述するシムSを挟持するために用いられる。
ネジ部155は、出力軸部154の端部から突き出して形成され、ワッシャ155bとともにナット155aが締結される部分である。
ネジ部155は、出力軸部154に対して段状に外径が小さくなるように形成され、その結果、ネジ部155と出力軸部154との境界部(出力軸部154のネジ部155側の端部)には、回転軸と実質的に直交する面部を有する段部が形成されている。
フライホイール160の中央部には、後述する発電体200のアダプタ240が取り付けられるテーパ穴161が形成されている。
また、フライホイール160のクランクケース100側の面部における中央部には、周辺部よりもフライホイール160の厚さが小さくなるように形成された凹部162が設けられている。
この凹部162は、フライホイール160の外周側から内周側へ流れ、その後発電体200内に導入される冷却風Wの流路としても機能する。
この点については、後に詳しく説明する。
ブロワファン170の周囲には、ブロワファン170をカバーするとともに、発生した冷却風Wを所定の流路へ案内するブロワハウジング171が設けられている。
リコイルスタータ180は、ブロワハウジング171と隣接して設けられ、ユーザがエンジンの始動操作を行うものである。
発電体200は、ロータ210、第1ステータ220、第2ステータ230、アダプタ240、第1ハウジング250、第2ハウジング260等を備えて構成されている。
ロータ210は、中央部に円形開口を有する平板状の円盤であって、磁性体によって形成され、所定のパターンでNSの着磁が施されている。
ロータ210の外周縁部には、クラック等が生じた場合に遠心力による飛散を防止するため、端面をカバーする円環状の保護リング211が固定されている。
第1ステータ220は、第1ハウジング250を介して、エンジン100のクランクケース110に固定されている。
第1ステータ220は、例えば18個のコイルCを、周方向に沿って配列して構成されている。
コイルCは、例えば銅製の平角線を、例えば扇状に形成された鉄芯(ステータコア)に巻き回して形成されている。
コイルCの巻線である平角線の両端部は、第1ステータ220の内周側に引き出されるとともに、クランクシャフト150の回転軸方向に相互にオフセットして配置されている。
コイルCは、U層、V層、W層の三層にグループ分けされ、隣接する3個のコイルCが同相となるようになっている。これら同相の3個のコイルCは、扇型の保持板221に固定されている。隣接するコイルCの間隔には、冷却風が通過する隙間が設けられている。
第1ステータ220は、このように保持板221に3個のコイルCを組み付けたユニットを、環状に6個連結して構成されている。
第2ステータ230は、上述した第1ステータ220と実質的に同様に構成されている。
第2ステータ220は、第1ハウジング250と結合されて発電体200の筐体を構成する第2ハウジング260を介して、エンジン100のクランクケース110に固定されている。
図4は、第2ハウジングに取り付けられた第2ステータを、ロータ側から見た状態を示す図である。
図5は、アダプタ240を示す図である。
図5(a)は、アダプタ240及びフライホイール160のアダプタ240との取付部周辺を、アダプタ240の中心軸を含む平面で切って見た分解断面図である。
図5(b)は、図5(a)のb−b部矢視図であって、アダプタ240をフライホイール160側から見た正面図である。
図6は、アダプタ周辺の部品を回転中心軸を含む平面で切って見た分解断面図である。
アダプタ240は、円筒部241、ロータ取付部242、スポーク部243等を一体に形成して構成されている。
円筒部241の内径は、実質的に全長にわたって均一であって、出力軸部154の外径に対して挿入時に不可避的に必要となる隙間だけ大きく設定されている。
円筒部241の外径は、フライホイール160側からクランクケース100側にかけて徐々に外径が増加するようテーパ状に形成されている。
このテーパ部は、フライホイール160の開口161と実質的に同じテーパ角を有する。
円筒部241のクランクケース110側の端面は、クランクシャフト150の出力軸部154の端部に形成される段部(端面)と対向して配置され、これらの端面−段部間には、ロータ210と各ステータ220,230とのギャップを調節するため、必要に応じて円環状のシムSが挟み込まれる。
ロータ取付部242の内周縁部は、円筒部241のクランクケース110側の端部近傍における外周面と、径方向に間隔を隔てて配置されている。
ネジ孔242aは、ロータ取付部242の周方向に分散して、例えば6箇所に設けられている。
ロータ取付部242の外周縁部におけるクランクケース110側の縁部には、外径側につば状に張り出して形成され、ロータ210の内周縁部を保持するフランジ242bが形成されている。
スポーク部243の間隔には、冷却風Wが通過可能な開口が形成されている。
切込部244は、円筒部241の周壁を、径方向にカットすることによって形成され、円筒部241を分断するものである。
この切込部244の一部は、隣接するスポーク部243の一部まで延びている。
切込部244は、アダプタ240に対して外力が作用していない状態において、微小な間隔を有するように形成されている。
切込部244は、アダプタ240の周方向に、実質的に等間隔に3箇所配置されている。
この状態で、フライホイール160をクランクシャフト150のネジ部155にナット155aで締結すると、円筒部241は外周面がテーパ穴161の内周面に押圧されることによって、内径が縮小して窄まるように変形する。
このような変形によって、円筒部241の内周面は、クランクシャフト150の出力軸部154の外周面と強固に圧着する。
なお、円筒部241の内周面と出力軸部154の外周面との間、及び、円筒部241の外周面とテーパ穴161の内周面との間には、必要に応じて例えばキーとキー溝等からなる回り止め手段を設けることが可能である。
このような回り止め手段を設けることによって、フライホイールに点火信号生成に用いられるクランク位置検出手段を設けた場合であっても、検出位相のずれを防止することができる。
ロータ保持リング245は、ロータ取付部242と協働してロータ210の内周縁部を保持する部材である。
ロータ保持リング245は、環状に形成されたプレート状の部材であって、ロータ取付部242と実質的に同じ外径、内径を有する。
ロータ保持リング245には、ロータ取付部242との締結に用いられるビスBが挿入される開口245aが形成されている。
フランジ242bとフランジ245bとは、ロータ210の内周縁部を挟んで対向して配置されている。
ロータ210を構成する磁性体材料は脆性を有し、強い圧縮荷重を負荷することは好ましくないため、フランジ242b、245bの間隔は、ロータ210の厚さよりもわずかに大きく形成され、ロータ210との間に形成される隙間には、弾性を有する接着剤を充填している。
同様に、ロータ210の内周面と、ロータ取付部242及びロータ保持リング245の外周面との間にも微小な間隔が設けられ、接着剤が充填されている。
第1ハウジング250、第2ハウジング260は、それぞれ耐熱性を有するナイロン樹脂等の樹脂系材料を用いて、インジェクション成型によって一体に形成されている。
第1ハウジング250、第2ハウジング260は、エンジンの出力トルクの一部が加わり、強度が要求されることから、樹脂材料には必要に応じてガラス繊維等の補強材が添加される。
第1ハウジング250は、円盤部251、周壁部252、第1ダクト部253、第2ダクト部254、第3ダクト部255、締結部256、コネクタ金具保持部257、コネクタ部258(図3参照)等を有して構成されている。
円盤部251は、クランクケース110の発電体200側の面部と、冷却風が通過可能な隙間を隔てて対向して配置されている。
図7に示すように、円盤部251は、開口251a、溝部251b等を備えて構成されている。
開口251aは、円盤部251の中央部に形成された円形の開口であって、クランクシャフト150の出力軸部154等が挿入される部分である。
溝部251bは、第1ステータ220からの出力配線であるプレート状の金具であるコネクタ金具Mが埋設されるものである。
周壁部252には、冷却風が通過するスリット252aが形成されている。
スリット252aは、第1ステータ220の各コイルCの間を放射状に通過する冷却風の流れを阻害しないよう、周方向における位置が、各コイルCの隙間と実質的に一致するように配置されている。
また、スリット252aの端部は、円盤部251の外周縁部まで回り込んで形成されている。
第1ダクト部253、第2ダクト部254、第3ダクト部255は、それぞれ第2ハウジング260の第1ダクト部263、第2ダクト部264、第3ダクト部265と連結され、第2ハウジング260側からの冷却風をエンジン100側へ流すようになっている。
これらの第1ダクト部253、第2ダクト部254、第3ダクト部255については、後に詳しく説明する。
締結部256は、第1ハウジング250の上部、下部にそれぞれ2箇所ずつ、周方向に分散して配置されている。
図8は、コネクタ金具保持部周辺の拡大図であって、図3のVIII部拡大図である。
図8(a)〜図8(e)は、それぞれ図8主図のa−a〜e−e部矢視図を示している。
第1ステータ220は、各コイルC間の結線を、全てコネクタ金具Mによって行なうようになっている。
各コネクタ金具Mは、所定の結線パターンに従って各コイルC間を結線可能なようクリップ部の位置関係や連結部の形状が設定されている。
コネクタ金具Mは、コネクタ金具保持部257に形成された溝部内に嵌め込むことによって、第1ハウジング250に固定されるようになっている。
各コネクタ金具Mが所定の溝部に嵌め込まれた状態で、第1ステータ220の各コイルCの平角線を、各コネクタ金具Mのクリップ部に、発電体の軸方向に沿って差し込むことによって、第1ステータ220の全てのコイルCは、所定の回路を構成するように結線されるようになっている。
また、図8(c)に示すように、一部のコネクタ金具Mは、円盤部251の外側(クランクケース110側)に回り込み、円盤部251の溝部251bに嵌め込まれて発電体200の外部との導通に用いられるようになっている。
こうしたコネクタ金具Mの端子は、図3に示すように、第1ハウジング250の周壁部252の第2ハウジング260側の端面に設けられたコネクタ部258から突出して配置される。
この突出した端子は、第1ハウジング250と第2ハウジング260とを閉じ合わせることによって、第2ハウジング260側に設けられたクリップ部に差し込まれて導通が確保され、結線されるようになっている。
第1ハウジング250側の周壁部252の端面には、この端子と隣接して、端子保護及び位置決めのための突起252bが形成されている。
一方、第2ハウジング260側の周壁部262の端面に設けられたコネクタ部268には、突起252bが挿入される凹部262bが形成されている。
第2ハウジング260は、第1ハウジング250の円盤部251、周壁部252、第1ダクト部253、第2ダクト部254、第3ダクト部255、締結部256、コネクタ金具保持部257、コネクタ部258と実質的に同様に形成された円盤部261、周壁部262、第1ダクト部263、第2ダクト部264、第3ダクト部265、締結部266、コネクタ金具保持部267、コネクタ部268等を備えている。
以下、この点について説明する。
図10は、ブロワハウジングを外した状態のエンジン及び発電体をブロワファン側から見た図である。
図10には、第2ハウジング260の第1ダクト部263、第2ダクト部264、第3ダクト部265を図示しているが、第1ハウジング250の第1ダクト部253、第2ダクト部254、第3ダクト部255も、クランクシャフト150の中心軸方向から見たときには、これらと実質的に同様の配置、形状となっている。
図11は、発電体の側面図である。
第1ダクト部253,263は、ブロワファン170が発生した冷却風Wを、シリンダ130、シリンダヘッド140の発電体200側の領域に案内するものである。
第1ダクト部253,263は、クランクシャフト150の中心軸方向から見たときに、シリンダ130と重なった位置に配置されている。
第1ダクト部253,263は、第1ハウジング250、第2ハウジング260の上部近傍におけるシリンダ130側の側部に一体に形成されている。
また、周壁部252,262の一部は、第1ダクト部253,263の一部を構成している。
この領域に形成されたスリット252a、262aから出た冷却風は、第1ダクト部253,263の内部に吹き込まれる。
第1ダクト部253,263の内部は、ブロワファン170が発生する冷却風によって正圧となっているが、スリット252a,262aからの冷却風は、第1ダクト部253,263を流れる冷却風の流速によって得られるベンチュリ効果によって、第1、第2ハウジング250,260内から吸い出される。
第2ダクト部254,264は、ブロワファン170が発生した冷却風Wを、シリンダ130、シリンダヘッド140の発電体200側とは反対側の領域に案内するものである。
第2ダクト部254,264を出た冷却風Wは、図示しない導風板等によって、シリンダ130、シリンダヘッド140の所定の領域へ案内される。
また、第1ダクト部253,263の下面部と、第2ダクト部254,264の上面部とは、同一の面部(部材)を共用している。
第3ダクト部255.265は、ブロワファン170が発生した冷却風Wを、図1に示すように、クランクケース110と円盤部251との間、及び、クランクケース110の下面部に案内するものである。
また、周壁部252,262の一部は、第3ダクト部255,265の一部を構成している。
この領域に形成されたスリット252a、262aから出た冷却風は、第3ダクト部255,265の内部に吹き込まれる。
このとき、フライホイール160に形成された凹部162は、冷却風Wの流路として機能する。
第2ハウジング260内に流入した冷却風Wは、ロータ210の回転によって発生する遠心力によって、図3に示すように、第2ステータ230の各コイルCの間隔を通って外径側に流れ、図4及び図11に示すように、スリット262aから周壁部262の外側へ排出される。
(1)第1、第2ハウジング250,260を、ガラス繊維を配合したナイロン樹脂によって形成することによって、エンジン100のクランクケース110、シリンダ130等からの輻射熱を効果的に遮蔽することが可能となる。
このため、断熱材の廃止などが可能となり、部品点数及びコストを低減することができる。
(2)ブロワファン170が発生した冷却風Wを、エンジン100及び第1、第2ハウジング250,260内外の異なった部位へ案内する第1〜第3ダクト253,254,255,263,264,265を、第1、第2ハウジング250,260と一体に形成することによって、部品点数や組立工数を増加させることなくエンジン100、発電体200の各部位を適切に冷却することが可能である。
(3)エンジン100の振動を樹脂製の第1、第2ハウジング250,260が吸収するため、振動に起因する騒音を低下することができる。
(4)フライホイール160と第2ハウジング260の円盤部261との隙間から、第2ハウジング260の中央部へ冷却風Wを導入し、さらにアダプタ240のスポーク部243の間から第1ハウジング250内へ導入することによって、第1、第2ステータ220,230、ロータ210等発電体200内部の構成部材を適切に冷却することが可能となる。
(5)コイルCの間隔を、コイルCを冷却しながら流れた冷却風Wが排出されるスリット252a、262aを第1、第2ハウジング250,260の周壁部252,262に形成したことによって、効果的にコイルCを冷却し、さらにその冷却風を効率よく排出することができる。
(6)スリットスリット252a、262aから第1〜第3ダクト253,254,255,263,264,265内へ、ベンチュリ効果を利用して冷却風Wを吸い出すことによって、正圧となる各ダクト内に第1、第2ハウジング250,260内からの冷却風Wを確実に排出し、発電体200内部の冷却性能を確保することができる。
(7)フライホイール160が第2ハウジング260の円盤部261と対向する面部の内径側に凹部162を形成したことによって、第2ハウジング260とフライホイール160との隙間を通って第2ハウジング260内へ導入される冷却風Wの流路面積が内径側で小さくなることを防止し、第2ハウジング260内へ導入される冷却風Wの風量を確保することができる。
本発明は、以上説明した実施例に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。
アキシャルギャップ型発電体及びエンジンを構成する各部材の形状、構造、配置、材質、製法等は、上述した実施例に限定されることなく、適宜変更することができる。
例えば、実施例ではロータを一枚の磁性体板に所定のパターンで着磁することによって構成しているが、これに代えて、保持部材に複数の永久磁石を固定して構成してもよい。
またステータに設けられるコイルの形状や構成も限定されない。
例えば、実施例では平角線コイルを用いているが、他種類のコイルを用いてもよい。
また、実施例では、例えば3箇所のダクトを用いてエンジンの各部に冷却風を案内する構成としているが、ダクトの個数や配置も特に限定されない。
さらに、ハウジングの材質もナイロン樹脂に限らず、他の樹脂系材料を利用することができる。また、ハウジングを分割する場合の部品割も特に限定されない。
120 メインベアリングカバー 130 シリンダ
140 シリンダヘッド 140a 吸気ポート
140b 排気ポート 141 エアクリーナ
142 キャブレタ 143 マフラ
150 クランクシャフト 151 ジャーナル部
152 クランクピン 153 クランクウェブ
154 出力軸部 155 ネジ部
155a ナット 155b ワッシャ
156 メインベアリング 157 オイルシール
160 フライホイール 161 テーパ穴
162 凹部 170 ブロワファン
171 ブロワハウジング 180 リコイルスタータ
200 発電体 210 ロータ
211 保護リング 220 第1ステータ
221 保持板 C コイル
M コネクタ金具 230 第2ステータ
231 保持板 240 アダプタ
241 円筒部 S シム
242 ロータ取付部 242a ネジ孔
242b フランジ 243 スポーク部
244 切込部 245 ロータ保持リング
245a 開口 245b フランジ
250 第1ハウジング 251 円盤部
251a 開口 251b 溝部
252 周壁部 252a スリット
252b 突起 253 第1ダクト部
254 第2ダクト部 255 第3ダクト部
256 締結部 257 コネクタ金具保持部
258 コネクタ部 260 第2ハウジング
261 円盤部 261a 開口
261b 溝部 262 周壁部
262a スリット 262b 凹部
263 第1ダクト部 264 第2ダクト部
265 第3ダクト部 266 締結部
267 コネクタ金具保持部 268 コネクタ部
W 冷却風
Claims (6)
- エンジンのクランクシャフトに固定されたロータと、
前記エンジンのクランクケースに固定され前記ロータと軸方向に間隔を隔てて対向して配置されたステータと、
前記ロータ及び前記ステータを収容するとともに前記ステータが固定されるハウジングとを有するアキシャルギャップ型発電体であって、
前記ハウジングの前記クランクケース側と反対側の面部に隣接して前記エンジンのクランクシャフトによって駆動され冷却風を発生するブロワファンを有する回転体が配置され、
前記ハウジングは樹脂系材料によって形成されるとともに、前記エンジン及び前記ハウジングの異なった部位へ前記冷却風をそれぞれ案内する複数のダクト部が一体に形成されること
を特徴とするアキシャルギャップ型発電体。 - 前記ハウジングにおける前記回転体と対向する面部の中央部に、前記冷却風の一部を前記回転体と前記ハウジングとの間を経由して導入する開口を形成したこと
を特徴とする請求項1に記載のアキシャルギャップ型発電体。 - 前記ステータは、複数のコイルを所定の間隔を隔てて周方向に配列して構成され、
前記ハウジング内に導入された冷却風は、前記複数のコイルの間隔を経由して前記ハウジングの外周面に形成された排気口から排出されること
を特徴とする請求項2に記載のアキシャルギャップ型発電体。 - 前記排気口は、前記ハウジングの外周面の周方向における位置を、前記複数のコイルの隙間に隣接させて配置したこと
を特徴とする請求項3に記載のアキシャルギャップ型発電体。 - 前記排気口の一部は、前記ダクト部の内部に開口するとともに、前記ダクト部内の冷却風の流速によって得られるベンチュリ効果を利用して前記ハウジング内の冷却風を前記ダクト部内に導入すること
を特徴とする請求項3又は請求項4に記載のアキシャルギャップ型発電体。 - 前記ハウジングと前記回転体との対向する面間の回転軸方向における距離を、外径側に対して内径側で大きくなるように形成したこと
を特徴とする請求項2から請求項5までのいずれか1項に記載のアキシャルギャップ型発電体。
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