本出願は個々の処方又はプロセスパラメーターに限られないことは理解されよう。当然ながら、それらは変わる可能性があるからである。本明細書で使用する用語は単に個々の実施形態を記載する目的であり、限定的であることを意図するものではないことも理解されよう。更に、本明細書に記載する方法及び材料と類似又は均等ないくつかの方法及び材料は、本発明を実施する際に使用することができることは理解される。
本出願によれば、当技術分野で完全に説明されるように、従来の分子生物学、微生物学、及び組換えDNA技法を利用することができる。
キメラ抗エンドグリン抗体を抗VEGF剤と併用して使用して、様々な型の癌、固形腫瘍、及び転移などを治療又は予防することができる。本明細書に記載する組成物の投与によって、様々な型の癌、固形腫瘍、及び転移などを治療する方法を本明細書で記載する。本明細書に記載する組成物は、血管を収縮する、疾患と関係がある内皮細胞増殖を阻害する、及び/又は血管漏出を防ぐこともできる。
抗体に関する用語
本明細書で使用する用語「抗体」は、天然又は部分的若しくは完全に合成によって産生されたものであれ免疫グロブリン(Ig)を指す。この用語は、抗原結合ドメインである、又はそれと相同的である結合ドメインを有する任意のポリペプチド又はタンパク質も含む。この用語は、「抗原結合断片」及び以下に記載するような類似の結合断片に関する他の交換可能な用語を更に含む。キメラ抗体もこの用語によって企図される。
天然抗体及び天然免疫グロブリンは通常、2つの同一軽鎖(L)及び2つの同一重鎖(H)で構成される、約150,000ダルトンのヘテロ三量体糖タンパク質である。それぞれの軽鎖は典型的には1つの共有ジスルフィド結合によって重鎖と結合するが、一方でジスルフィド結合の数は異なる免疫グロブリンアイソタイプの重鎖間で異なる。それぞれの重鎖と軽鎖は、規則正しく配置した鎖間ジスルフィド架橋も有する。それぞれの重鎖は、一端に可変ドメイン(「VH」又は「VH」)次にいくつかの定常ドメイン(「CH」又は「CH」)を有する。それぞれの軽鎖は、一端に可変ドメイン(「VL」又は「VL」)及びその他端に定常ドメイン(「CL」又は「CL」)を有し、軽鎖の定常ドメインは重鎖の第一定常ドメインと一直線に並び、軽鎖の可変ドメインは重鎖の可変ドメインと一直線に並ぶ。個々のアミノ酸残基は、軽鎖可変ドメインと重鎖可変ドメインの間の界面を形成すると考えられる。
本明細書で使用する用語「合成ポリヌクレオチド」、「合成遺伝子」又は「合成ポリペプチド」は、対応するポリヌクレオチド配列若しくはその一部分、又はアミノ酸配列若しくはその一部分が、設計された、又はde novo合成された、又は修飾された、同等の本来存在する配列に匹敵する配列に由来することを意味する。合成ポリヌクレオチド(抗体若しくは抗原結合断片)又は合成遺伝子は、核酸又はアミノ酸配列の化学合成だけには限られないが、これを含めた当技術分野で知られている方法によって調製することができる。合成遺伝子は典型的には、アミノ酸、又はポリヌクレオチドレベルのいずれか(又は両方)で天然に存在する遺伝子と異なり、典型的には合成発現制御配列の状態内に位置する。合成遺伝子ポリヌクレオチド配列は、天然遺伝子と比較して、タンパク質及び異なるアミノ酸を必ずしもコードすることはできず、例えばそれらは、異なるコドンを取り込むが同じアミノ酸をコードする合成ポリヌクレオチド配列も包含することができる(即ち、ヌクレオチドの変化はアミノ酸レベルでのサイレント突然変異を表す)。
抗体に関して、用語「可変ドメイン」は、その個々の抗原に対するそれぞれ個々の抗体の結合及び特異性において使用される抗体の可変ドメインを指す。しかし、可変性は抗体の可変ドメイン全体中に均一に分布されているわけではない。そうではなくて、可変性は軽鎖可変ドメインと重鎖可変ドメインの両方で(CDRとしても知られる)超可変領域と呼ばれる3つのセグメントに集中する。可変ドメインのより高度に保存された部分は「フレーム領域」又は「FR」と呼ばれる。非修飾重鎖及び軽鎖の可変ドメインは、結合ループ、及びいくつかの場合β−シート構造の一部を形成する3つのCDRと散在する、主にβ−シート形状をとる4個のFR(FR1、FR2、FR3及びFR4)をそれぞれ含有する。それぞれの鎖中のCDRはFRと非常に接近して一緒に保たれ、他の鎖由来のCDRは抗体の抗原結合部位の形成に貢献する(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991),pages647−669を参照)。
用語「超可変領域」及び「CDR」は、本明細書で使用するとき、抗原結合を担う抗体のアミノ酸残基を指す。CDRは、抗原と相補的に結合しVH及びVL鎖のそれぞれに関してCDR1、CDR2、及びCDR3として知られる3つの配列領域由来のアミノ酸残基を含む。(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991))によれば、軽鎖可変ドメイン中では、CDRは典型的にはおよそ残基24〜34(CDRL1)、50〜56(CDRL2)及び89〜97(CDRL3)に相当し、及び重鎖可変ドメイン中では、CDRは典型的にはおよそ残基31〜35(CDRH1)、50〜65(CDRH2)及び95〜102(CDRH3)に相当する。異なる抗体のCDRは挿入部分を含有する可能性があり、したがってアミノ酸ナンバリングは異なる可能性があることは理解される。Kabatのナンバリングシステムは、特定残基と結びつけた文字(例えば、軽鎖中のCDRL1の27A、27B、27C、27D、27E、及び27F)を利用するナンバリングスキームを用いてこのような挿入を説明し、異なる抗体間のナンバリング中の任意の挿入を反映する。或いは、Chothia and Lesk,J.Mol.Biol.,196:901−917(1987))によれば、軽鎖可変ドメイン中では、CDRは典型的にはおよそ残基26〜32(CDRL1)、50〜52(CDRL2)及び91〜96(CDRL3)に相当し、及び重鎖可変ドメイン中では、CDRは典型的にはおよそ残基26〜32(CDRH1)、53〜55(CDRH2)及び96〜101(CDRH3)に相当する。
本明細書で使用する「フレームワーク領域」又は「FR」は、抗原結合のポケット又は溝の一部を形成するフレームワークアミノ酸残基を指す。いくつかの実施形態では、フレームワーク残基は抗原結合のポケット又は溝の一部であるループを形成し、ループ中のアミノ酸残基は抗原と接触することができる、又は接触することができない。フレームワーク領域はCDR間の領域を一般に含む。Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991))によれば、軽鎖可変ドメイン中では、FRは典型的にはおよそ残基0〜23(FRL1)、35〜49(FRL2)、57〜88(FRL3)、及び98〜109に相当し、及び重鎖可変ドメイン中では、FRは典型的にはおよそ残基0〜30(FRH1)、36〜49(FRH2)、66〜94(FRH3)、及び103〜133に相当する。軽鎖に関してKabatのナンバリングを用いて前に論じたように、重鎖も同様の形式で挿入を説明する(例えば、重鎖中のCDRH1の35A、35B)。或いは、Chothia and Lesk,J.Mol.Biol.,196:901−917(1987))によれば、軽鎖可変ドメイン中では、FRは典型的にはおよそ残基0〜25(FRL1)、33〜49(FRL2)53〜90(FRL3)、及び97〜109(FRL4)に相当し、及び重鎖可変ドメイン中では、FRは典型的にはおよそ残基0〜25(FRH1)、33〜52(FRH2)、56〜95(FRH3)、及び102〜113(FRH4)に相当する。
抗体の定常ドメイン(Fc)は抗体と抗原の結合には直接関与しないが、そうではなくて、例えばFc受容体(FcR)との相互作用による抗体依存性細胞傷害性における抗体の関与などの、様々なエフェクター機能を示す。Fcドメインは、患者への投与後循環中に、抗体の生物学的利用能を増大することもできる。ヒトFcドメインとマウスFcドメインの置換もHAMA副反応を減らすことができる。
その重鎖定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、免疫グロブリンを異なるクラスに割り当てることができる。5つの主なクラスの免疫グロブリン、IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMが存在し、これらのいくつかは、サブクラス(アイソタイプ)、例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2に更に分けることができる。異なるクラスの免疫グロブリンに相当する重鎖定常ドメイン(Fc)はそれぞれα、δ、ε、γ、及びμと呼ばれる。異なるクラスの免疫グロブリンのサブユニット構造及び三次元形状はよく知られている。
任意の脊椎動物種由来の抗体の「軽鎖」は、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ又は(「κ」)及びラムダ又は(「λ」)と呼ばれる2つの明らかに異なる型の1つに割り当てることができる。
用語「抗体の抗原結合部分」、「抗原結合断片」、「抗原結合ドメイン」、「抗体断片」又は「抗体の機能的断片」は、本明細書で交互に使用して、抗原に特異的に結合する能力を保持する抗体の1つ又は複数の断片を指す。このような用語内に含まれる抗体断片の非制限的な例には、(i)Fab断片、VL、VH、CL及びCH1ドメインからなる一価断片、(ii)F(ab’)2断片、ヒンジ領域でジスルフィド架橋によって結合した2つのFab断片を含有する二価断片、(iii)VH及びCH1ドメインからなるFd断片、(iv)抗体の1アームのVL及びVHドメインを含有するFv断片、(v)VHドメインを含有するdAb断片(Ward et al.,(1989)Nature 341:544 546)、及び(vi)単離CDRがあるが、これらだけには限られない。この定義中に更に含まれるのは、一本の重鎖と一本の軽鎖を含む「2分の1」抗体である。ダイアボディなどの他の型の単鎖抗体も、本明細書に包含される。
「F(ab’)2」及び「Fab’」成分は、ペプシン及びパパインなどのプロテアーゼでIgを処理することによって生成することができ、2本の重鎖それぞれ中のヒンジ領域間に存在するジスルフィド結合付近の免疫グロブリンを消化することによって作製される抗体断片を含む。例えば、パパインは2本の重鎖それぞれ中のヒンジ領域間に存在するジスルフィド結合上流のIgGを切断して、その中においてVL及びCL(軽鎖定常領域)で構成される軽鎖と、重鎖の定常領域中のVH及びCHγ1(γ1)領域で構成される重鎖断片とがジスルフィド結合を介してそれらのC末端領域で結合した、2つの相同的抗体断片を作製する。この2つの相同的抗体断片のそれぞれがFab’と呼ばれる。ペプシンも2本の重鎖それぞれ中のヒンジ領域間に存在するジスルフィド結合下流のIgGを切断して、その中で2つの前述のFab’がヒンジ領域で結合した断片よりわずかに大きい抗体断片を作製する。この抗体断片はF(ab’)2と呼ばれる。
Fab断片は、軽鎖の定常ドメイン及び重鎖の第一定常ドメイン(CH1)も含有する。抗体ヒンジ領域由来の1つ又は複数のシステイン(単数又は複数)を含めた重鎖CH1ドメインのカルボキシル末端に数個の残基を加えることによって、Fab’断片はFab断片と異なる。Fab’−SHは、その中で定常ドメインのシステイン残基(単数又は複数)が遊離チオール基を有するFab’に関する本明細書における呼称である。F(ab’)2抗体断片は、本来はその間にヒンジシステインを有するFab’断片の対として産生された。抗体断片の他の化学的カップリングも知られている。
「Fv」は、完全抗原認識及び抗原結合部位を含有する抗体断片を指す。この領域は、強力な、非共有又は共有結合状態の1つの重鎖可変ドメインと1つの軽鎖可変ドメインの二量体からなる(ジスルフィド結合したFv’は当技術分野で記載されている。Reiter et al.(1996)Nature Biotechnology14:1239−1245)。それぞれの可変ドメインの3つのCDRが相互作用して、VH−VL二量体の表面上の抗原結合部位を画定するのは、この形状中である。集合的に、VH鎖及びVL鎖のそれぞれ由来の1つ又は複数のCDRの組合せは、抗体に抗原結合特異性を与える。例えばCDRH3及びCDRL3は、レシピエント抗体又はその抗原結合断片のVH鎖及びVL鎖に移すと、抗体に抗原結合特異性を与えるのに十分である可能性があること、及びCDRのこの組合せは、本明細書に記載する任意の技法を使用して結合、親和性などに関して試験することができることは、例えば理解されよう。1つの可変ドメイン(又は、抗原に特異的なわずか3つのCDRを含むFvの半分)でさえ、第二の可変ドメインと組合せたときよりおそらく低い親和性ではあるが、抗原を認識しそれと結合する能力を有する。更に、Fv断片の2ドメイン(VL及びVH)は別個の遺伝子によってコードされるが、VL及びVH領域が対になり一価分子を形成する一本のタンパク質鎖としてそれらを作製することができる合成リンカーによる組換え法を使用して、それらを接合することができる(単鎖Fvとして知られる(scFv);Bird et al.(1988)Science242:423−426;Huston et al.(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879−5883;及びOsbourn et al.(1998)Nat.Biotechnol.16:778)。このようなscFvsも、用語抗体の「抗原結合部分」内に包含されると考えられる。特異的scFvの任意のVH及びVL配列をFc領域cDNA又はゲノム配列と結合させて、完全Ig(例えばIgG)分子又は他のアイソタイプをコードする発現ベクターを作製することが可能である。VH及びVLは、タンパク質化学又は組換えDNA技術のいずれかを使用して、Fab、Fv又はIgの他の断片の作製において使用することもできる。
「単鎖Fv」又は「sFv」抗体断片は抗体のVH及びVLドメインを含み、これらのドメインは一本のポリペプチド鎖中に存在する。いくつかの実施形態では、FvポリペプチドはVHドメインとVLドメインの間にポリペプチドリンカーを更に含み、これはsFvが抗原結合に望ましい構造を形成するのを可能にする。sFvの総説に関しては、例えば、Pluckthun in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,Vol.113,Rosenburg及びMoore eds.Springer−Verlag,New York,pp. 269−315(1994)を参照。
用語「AVIMER(商標)」は、抗体及び抗体断片と無関係であり、いくつかのモジュラー、及びAドメイン(クラスAモジュール、相補型反復、又はLDL受容体クラスAドメインとも呼ばれる)と呼ばれる再利用可能結合ドメインで構成される、ヒト起源クラスの治療用タンパク質を指す。それらは、in vitroエクソンシャッフリング及びファージディスプレイによってヒト細胞外受容体ドメインから開発された(Silverman et al.,2005,Nat.Biotechnol.23:1493−1494;Silverman et al.,2006,Nat.Biotechnol.24:220)。生成するタンパク質は、1エピトープ結合タンパク質と比較して改善された親和性(いくつかの場合、ナノモル未満)及び特異性を示す可能性がある、多数の独立した結合ドメインを含有することができる。例えば、その各々が参照として全容が本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2005/0221384号、同第2005/0164301号、同第2005/0053973及び同第2005/0089932号、同第2005/0048512号、及び同第2004/0175756号を参照。
知られている217ヒトAドメインのそれぞれは約35アミノ酸(約4kDa)を含み、これらのドメインは平均5アミノ酸長のリンカーによって隔てられている。天然Aドメインは、カルシウム結合及びジスルフィド形成によって主に仲介される均一な安定構造に、迅速且つ効率よくフォールディングする。わずか12アミノ酸の保存足場モチーフは、この共通構造に必要とされる。最終結果は、そのそれぞれが別個の機能を示す多数のドメインを含有する1タンパク質鎖である。タンパク質のそれぞれのドメインは独立して結合し、それぞれのドメインのエネルギー貢献は付加的である。これらのタンパク質は、親和性多量体からAVIMER(商標)と呼ばれた。
用語「ダイアボディ」は2つの抗原結合部位を有する小さな抗体断片を指し、それらの断片は同じポリペプチド鎖中で軽鎖可変ドメイン(VL)と結合した重鎖可変ドメイン(VH)を含む(VH−VL)。同じ鎖上において2ドメイン間で対形成を可能にするには短すぎるリンカーを使用することによって、ドメインを別の鎖の相補ドメインと対形成させ、2つの抗原結合部位を作製する。ダイアボディは、例えばEP404,097;WO93/11161;及びHollinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA90:6444 6448(1993)中により完全に記載される。
抗原結合ポリペプチドは、例えばラクダ及びサメ由来の抗体などの重鎖二量体も含む。ラクダ及びサメ由来の抗体は、V様ドメインとC様ドメイン(いずれも軽鎖を有さない)の二本鎖のホモ二量体対を含む。ラクダにおける重鎖二量体IgGのVH領域は軽鎖と疎水性相互作用する必要はないので、軽鎖と通常接触する重鎖中の領域はラクダ中では親水性アミノ酸残基に変わる。重鎖二量体IgGのVHドメインはVHHドメインと呼ばれる。サメIg−NARは、1つの可変ドメイン(V−NARドメインと呼ばれる)及び5つのC様定常ドメイン(C−NARドメイン)のホモ二量体を含む。ラクダでは、抗体レパートリーの多様性は、VH又はVHH領域中のCDR1、2、及び3によって決定する。ラクダVHH領域中のCDR3は、その比較的長い長さ、平均16アミノ酸によって特徴付けられる(Muyldermans et al.,1994,Protein Engineering7(9):1129)。これは、多くの他種の抗体のCDR3領域と対照的である。例えば、マウスVHのCDR3は平均9アミノ酸を有する。ラクダの可変領域のin vivo多様性を維持するラクダ由来抗体可変領域のライブラリーは、例えば米国特許出願第20050037421号中に開示された方法によって作製することができる。
「キメラ」型の非ヒト(例えばマウス)抗体は、非ヒトIg由来の最小配列を含有するキメラ抗体を含む。大部分に関して、キメラ抗体は、その中で少なくとも一部分の免疫グロブリン定常領域(Fc)、典型的にはヒト免疫グロブリンのそれが、マウスFcの代わりに挿入されたマウス抗体である。詳細に関しては、Jones et al.,Nature321:522−525(1986);Reichmann et al.,Nature332:323−329(1988);及びPresta,Curr.Op.Struct.Biol.,2:593−596(1992)を参照。
本明細書で使用する用語「モノクローナル抗体」は、実質的に相同な抗体の集団から得られる抗体を指す。即ち、その集団を含む個々の抗体は、微量で存在し得る考えられる天然突然変異を除いて同一である。モノクローナル抗体は非常に特異的であり、1つの抗原部位を対象とする。更に、異なる抗原決定基(エピトープ)を対象とする異なる抗体を含む可能性がある、従来の(ポリクローナル)抗体調製物とは対照的に、それぞれのモノクローナル抗体は抗原上の1つの抗原決定基を対象とする。修飾語「モノクローナル」は、実質的に相同な抗体の集団から得られる抗体の特性を示し、任意の特定の方法による抗体の産生を必要とするとは解釈すべきでない。例えば、モノクローナル抗体はKohler et al.,Nature256:495(1975)によって最初に記載されたハイブリドーマ法によって作製することができ、又は組換えDNA法によって作製することができる(例えば、米国特許第4,816,567号を参照)。特定の実施形態では、例えばClackson et al.,Nature352:624−628(1991)及びMarks et al.,J.Mol.Biol.222:581−597(1991)中に記載された技法を使用して、ファージ抗体ライブラリーからモノクローナル抗体を単離することができる。
飽和硫酸アンモニウム沈殿、ユーグロビン沈殿法、カプロン酸法、カプリル酸法、イオン交換クロマトグラフィー(DEAE又はDE52)、又は以下でより詳細に記載するように抗Igカラム又はプロテインA、G若しくはLカラムを使用する親和性クロマトグラフィーによって、前述のように培養上清又は腹水から抗体を単離し精製することができる。
免疫グロブリン分子の構築時に、可変領域又はその一部分を、1つ又は複数の定常領域又はその一部分と融合、結合、又は他の場合は接合させて、本明細書に記載する任意の抗体を産生することが可能である。これは、分子クローニング技法又は分子をコードする核酸の直接合成だけには限らないが、これらを含めた、当技術分野で知られている様々な方法で実施することができる。
本明細書で使用する「免疫反応物質」は、アミノ酸残基の配列(「結合部位」又は「エピトープ」)に特異的である、ただし他のペプチド/タンパク質と交差反応し、それらがヒトへの投与用途のために製剤化されるレベルで毒性ではない場合、結合剤、抗体又はその断片を指す。用語「結合」は、塩架橋及び水架橋などの相互作用及び任意の他の従来結合手段を含めた、例えば生理条件下での共有、静電気、疎水性、並びにイオン及び/又は水素結合相互作用による、2分子間の直接結合を指す。用語「優先的に結合」は、結合剤が、それが無関係なアミノ酸配列と結合するより高い親和性で、結合部位と結合することを意味する。親和性は、無関係なアミノ酸配列に対する結合剤の親和性より、少なくとも1倍高い、少なくとも2倍高い、少なくとも3倍高い、少なくとも4倍高い、少なくとも5倍高い、少なくとも6倍高い、少なくとも7倍高い、少なくとも8倍高い、少なくとも9倍高い、少なくとも10倍高い、少なくとも20倍高い、少なくとも30倍高い、少なくとも40倍高い、少なくとも50倍高い、少なくとも60倍高い、少なくとも70倍高い、少なくとも80倍高い、少なくとも90倍高い、少なくとも100倍高い、又は少なくとも1000倍高い可能性がある。用語「免疫反応性」と「優先的に結合」は本明細書で交互に使用する。
本明細書で使用する用語「親和性」は、2つの作用物質の可逆的結合に関する平衡定数を指し、Kdとして表す。エピトープに対する抗体の親和性などの、リガンドに対する結合タンパク質の親和性は、例えば約100ナノモル(nM)〜約0.1nM、約100nM〜約1ピコモル(pM)、又は約100nM〜約1フェトモル(fM)であってよい。本明細書で使用する用語「親和力」は、希釈後の解離に対する2つ以上の作用物質の複合体の耐性を指す。見かけの親和性は、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)又は当業者が精通している任意の他の技法などの方法によって決定することができる。親和力は、Scatchard解析又は当業者が精通している任意の他の技法などの方法によって決定することができる。
「エピトープ」は、抗体の可変領域結合ポケットとの結合相互作用を形成することができる、抗原又は他のマクロ分子のその部分を指す。このような結合相互作用は、1つ又は複数のCDRの1つ又は複数のアミノ酸残基との分子間接触として現れる可能性がある。抗原結合は、例えば、CDR3若しくはCDR3対、又はいくつかの場合、VH及びVL鎖の最大6個全てのCDRの相互作用を含み得る。エピトープは直線状ペプチド配列(即ち「連続的」)であってよく、又は非隣接アミノ酸配列(即ち、「立体的」又は「不連続」)で構成されてよい。抗体は1つ又は複数のアミノ酸配列を認識することができ、したがってエピトープは2つ以上の異なるアミノ酸配列を画定することができる。抗体によって認識されるエピトープは、当業者によく知られるペプチドマッピング及び配列分析技法によって決定することができる。結合相互作用は、CDRの1つ又は複数のアミノ酸残基との分子間接触として現れる。TRC105は、米国特許第5,928,641号、同第6,200,566号、同第6,190,660号、及び同第7,097,836号中でY4−2F1又はSN6jとして記載されたマウス抗体と同じアミノ酸配列である、マウス抗体である。Y4−2F1及びSN6j、及びしたがってTRC105によって認識されるエピトープは以前に同定されている。
用語「特異的」は、抗体が、その抗体によって認識されるエピトープを含有する抗原以外の分子といかなる有意な結合も示さない状況を指す。この用語は、例えば抗原結合ドメインが、いくつかの抗原によって保有される特定のエピトープに特異的である場合にも適用可能であり、その場合抗体はそのエピトープを保有する様々な抗原と結合することが可能である。用語「優先的に結合」又は「特異的に結合」は、抗体が、それが無関係なアミノ酸配列と結合するより高い親和性でエピトープと結合すること、及びエピトープを含有する他のポリペプチドと交差反応する場合、それらがヒトへの投与用途のために製剤化されるレベルでは毒性ではないことを意味する。一態様では、このような親和性は、無関係なアミノ酸配列に対する抗体の親和性より、少なくとも1倍高い、少なくとも2倍高い、少なくとも3倍高い、少なくとも4倍高い、少なくとも5倍高い、少なくとも6倍高い、少なくとも7倍高い、少なくとも8倍高い、少なくとも9倍高い、少なくとも10倍高い、少なくとも20倍高い、少なくとも30倍高い、少なくとも40倍高い、少なくとも50倍高い、少なくとも60倍高い、少なくとも70倍高い、少なくとも80倍高い、少なくとも90倍高い、少なくとも100倍高い、又は少なくとも1000倍高い。用語「免疫反応性」、「結合」、「優先的に結合」及び「特異的に結合」は本明細書で交互に使用する。用語「結合」は、塩架橋及び水架橋などの相互作用、及び任意の他の従来結合手段を含めた、例えば生理条件下での共有、静電気、疎水性、並びにイオン及び/又は水素結合相互作用による、2分子間の直接結合を指す。
(「実質的に純粋」と交互に使用する)「単離」は、ポリペプチドに適用するとき、本来又は操作によって、(i)発現ベクターの一部分の発現産物として宿主細胞中に存在する、又は(ii)タンパク質又はそれが本来結合する化学成分以外の他の化学成分と結合した、又は(iii)本来存在しない、例えば、タンパク質が本来見られない形状であるように、タンパク質に少なくとも1つの疎水性成分を追加、又は付加することによって化学的に操作したタンパク質である、ポリペプチド又はその一部分を意味する。「単離」によって、(i)化学的に合成された、又は(ii)宿主細胞中で発現され結合及び汚染タンパク質から精製されたタンパク質を更に意味する。この用語は、それらが本来共に存在した他のタンパク質及び核酸から分離されたポリペプチドを一般に意味する。典型的には、それを精製するために使用される抗体又はゲルマトリクス(ポリアクリルアミド)などの物質からも、ポリペプチドは分離される。
血管新生に関する用語
本明細書で使用する用語「血管新生阻害」、「血管新生を阻害する」又は「抗血管新生」は血管発生の阻害を含み、新血管形成の程度、量、又は割合の低下に影響を与えることを意味するものとする。組織中の内皮細胞増殖若しくは移動の程度、量、又は割合の低下に影響を与えることは、血管新生阻害の具体例である。
用語「血管新生阻害組成物」は、内皮細胞移動、増殖、血管形成などの血管新生仲介プロセスを阻害し、その後既存の血管からの新しい血管の発生の阻害をもたらし、結果として血管新生依存的状態に影響を与える組成物を指す。
本明細書で使用する用語「血管新生依存的状態」は、血管新生又は血管発生のプロセスが病的状態を維持若しくは増大し、又は正常な生理的プロセスに有利に影響を与える状態を意味するものとする。したがって、血管新生が病的状態を維持する血管新生依存的状態の治療は疾患の鎮静をもたらすことが可能であり、一方で血管新生が正常な生理的プロセスに有利に影響を与える血管新生依存的状態の治療は、例えば正常プロセスの向上をもたらす可能性がある。
血管新生とは、既存の毛細管又は後毛細管細静脈からの新しい血管の形成である。血管発生は、内皮細胞前駆体である血管芽細胞から生じる新しい血管の形成が原因である。いずれのプロセスも新しい血管の形成をもたらし、用語血管新生依存的状態の意味の中に含まれる。本明細書で使用する用語「血管新生」は、血管発生から生じる血管新生、及び既存の血管、毛細管及び細静脈の枝分かれ又は簇出から生じる血管新生などの、血管のde novo形成を含むものとする。血管新生は、ALK1シグナル伝達及び関連Smad1/5/8リン酸化及び/又はシグナル伝達の誘導も含むことができる。CD105もALK1シグナル伝達経路に関与することが知られており、したがってこれも血管新生の意味の中に含まれる。
腫瘍開始CD105+細胞集団はヒト腎臓癌中で発見されている。CD105+細胞は、他の腫瘍型中に存在する癌幹細胞に関して以前に記載された腫瘍幹細胞の特徴を示した。観察されたCD105+細胞はクローン原性であり、幹細胞マーカーを発現し、分化マーカーを欠いており、in vitroで上皮及び内皮細胞型に分化する可能性があり、in vivoで連続移植可能な腫瘍を生成する可能性がある。これらの腫瘍は、間葉系マーカーを発現するクローンに由来するにもかかわらず腫瘍源としての上皮癌であり、CD105+腫瘍原性集団の維持によって、及び非腫瘍原性の分化したCD105集団の存在によって特徴付けられる。
「宿主の免疫応答の誘導」は、患者が疾患の兆候又は症状の緩和又は低減を経験することを意味し、具体的には、生存期間の延長を非制限的に含む。
本明細書で使用する用語「増殖障害」及び「増殖状態」は、異常又は望ましくない増殖によって特徴付けられる任意の病的又は非病的生理状態を意味する。用語「細胞増殖障害」及び「細胞増殖状態」は、異常又は望ましくない細胞増殖によって特徴付けられる任意の病的又は非病的生理状態を意味し、且つ望ましくない又は望まない細胞増殖又は細胞生存(例えば、欠損アポトーシスが原因)によって特徴付けられる状態、欠損又は異常又は欠損アポトーシスによって特徴付けられる状態、及び異常又は望ましくない又は望まない細胞生存によって特徴付けられる状態を含む。用語「分化障害」は、異常又は欠損分化によって特徴付けられる任意の病的又は非病的生理状態を意味する。
治療の影響を受けやすい増殖又は分化障害は、異常又は望ましくない細胞数、細胞増殖又は細胞生存によって特徴付けられる、良性及び新生物性の疾患状態を含む。したがって、このような障害又は状態は疾患状態を構成する可能性があり、全ての型の癌増殖又は発癌プロセス、転移性組織又は悪性形質転換細胞、組織、又は器官を含む。
増殖又は分化障害を含む細胞は細胞塊に凝集する、又は散在する可能性がある。「非固形腫瘍」は、リンパ腫、ミエローマ及び白血病、又は本来広汎性の新形成などの、造血系の新形成を指す。それらは典型的には固形塊を形成しないからである。白血病の個々の例には、例えば、急性及び慢性リンパ性白血病、骨髄芽球性及び多発性骨髄腫がある。
用語「固形腫瘍」は、典型的には1つに凝集し塊を形成する新形成又は転移を指す。このような障害は、ほぼ任意の細胞又は組織型に影響を与える可能性がある新生物又は癌、例えば癌腫、肉腫、メラノーマ、転移性障害又は造血系新形成障害を含む。転移性腫瘍は、乳房、肺、甲状腺、頭頸部、脳、リンパ、胃腸(口、食道、胃、小腸、結腸、直腸)、尿生殖器官(子宮、卵巣、子宮頸部、膀胱、睾丸、陰茎、前立腺)、腎臓、膵臓、肝臓、骨、筋肉、皮膚などだけには限られないが、これらを含めた多数の原発性腫瘍型から生じる可能性がある。
癌腫は上皮又は内分泌組織の悪性腫瘍を指し、呼吸系癌腫、胃腸系癌腫、尿生殖器系癌腫、睾丸癌腫、乳癌腫、前立腺癌腫、内分泌系癌腫、及びメラノーマを含む。例示的な癌腫には、子宮頸部、肺、前立腺、乳房、頭頸部、結腸、肝臓及び卵巣から形成される癌腫がある。この用語は、例えば癌腫及び肉腫組織で構成される悪性腫瘍を含む、癌肉腫も含む。腺癌は、腺組織の癌腫、又は腫瘍が腺様構造を形成する癌腫を含む。
治療される癌組織は、例えば異常なレベルのエンドグリンを発現する内皮組織である。本明細書で使用する用語「形質転換細胞」は、無制限な増殖の状態に自然に転換されている細胞を指し、即ちそれらは、培養中に無限数の分裂によって増殖する能力を獲得している。形質転換細胞は、それらの増殖制御の消失に関して新形成、退形成及び/又は過形成などの用語によって特徴付けることができる。本発明の目的で、用語「悪性哺乳動物細胞の形質転換した表現型」及び「形質転換した表現型」は、哺乳動物細胞の細胞形質転換、不死化、形態的又は増殖形質転換、及び細胞培養中の長期増殖、半固形培地中での増殖、又は免疫不全若しくは同系動物中での発癌性増殖によって検出される発癌性と関係がある以下の表現型形質のいずれかだけには限られないが、これらを含むものとする。
用語「腫瘍細胞抗原」は、無関係な腫瘍細胞、正常細胞、又は正常体液より、腫瘍細胞上又は体液中に多量に存在する抗原として本明細書では定義する。抗原の存在は当業者に知られている任意の数のアッセイによって試験することができ、ELISAアッセイ、ラジオイムノアッセイ、又はウエスタンブロットなどの、抗体を用いた陰性及び/又は陽性選択を非制限的に含む。
用語「アポトーシス」又は「プログラムされた細胞死」は、それによって望まない若しくは無用な細胞が、発生及び他の正常な生物学的プロセス中に除去される生理プロセスを指す。アポトーシスは、正常な生理条件下で起こる細胞死の一形態であり、細胞は自己の消滅への積極的な参加者である(「細胞の自殺」)。アポトーシスは、正常な細胞ターンオーバー及び組織ホメオスタシス、胚発生、免疫寛容の誘導及び維持、神経系の発生及びエンドグリン依存性組織萎縮中に最も頻繁に見られる。アポトーシスを経る細胞は、特徴的な形態的及び生化学的特徴を示す。これらの特徴には、クロマチン凝集、核及び細胞質濃縮、リボソーム、形態学的に完全なミトコンドリア及び核物質を含有する膜結合小胞(アポトーシス体)への細胞質及び核の分配がある。in vivoにおいて、これらのアポトーシス体は、マクロファージ、樹状細胞又は隣接上皮細胞により迅速に認識され貪食される。in vivoでアポトーシス細胞を除去するのに有効なこのメカニズムのため、炎症応答が誘導されることはない。in vitroにおいて、アポトーシス体及び残りの細胞断片は、結局膨張し最終的に溶解する。このin vitro細胞死の末期は「第二次壊死」と呼ばれている。DNA断片化、アネキシンVの露出、カスパーゼの活性化、シトクロームcの放出などのような当業者に知られている方法によって、アポトーシスを測定することができる。死を誘導されている細胞は、本明細書では「アポトーシス細胞」と呼ぶ。
「アポトーシス誘導剤」は、アポトーシス/プログラムされた細胞死を誘導すると本明細書では定義し、例えば、細胞、例えば腫瘍細胞又は内皮細胞がプログラムされた細胞死を経るように誘導する、抗エンドグリン抗体、抗VEGF抗体、照射、化学療法剤又は受容体リガンド剤を含む。例示的なアポトーシス誘導剤は以下でより詳細に記載する。
アポトーシスは、標準的なアネキシンVアポトーシスアッセイを使用して試験することができる。NIH:OVCAR−3細胞を6ウエルプレート(NUNC)中で増殖させ、4〜48時間アンタゴニスト(又は別の抗癌剤と併用して)で照射又は処理し、洗浄し、1時間アネキシンV−FITC(BD−Pharmingen)で染色する。細胞はフローサイトメトリー(Becton−Dickinson、CellQuest)によって分析し、ヨウ化プロピジウムで対比染色し、フローサイトメーターで再度分析する。
抗体を作製及び発現する方法
キメラ免疫グロブリンが遺伝子操作によって構築されている。以前に記載された大部分のキメラ免疫グロブリンは、マウスモノクローナル抗体由来のVH及びVL並びにヒト抗体のCL及びFcを含んでいる。本明細書に記載する任意のアイソタイプ由来のFc領域を使用することができる。本明細書に記載するように、キメラは、それによって軽鎖可変領域及び/又は重鎖可変鎖のフレームワーク中の限られた数のアミノ酸が修飾されて、抗体の親和性が増大する基準も含み得る。
一般にキメラ抗体は、ヒト療法における用途に関して、マウス抗体に優るいくつかの考えられる利点を有する。抗体のエフェクター部分はヒトであるので、ヒト免疫系の他の部分とより良く相互作用する(例えば、補体依存性細胞傷害作用(CDC)又は抗体依存性細胞傷害作用(ADCC)によってより効率よく標的細胞を破壊する)と考えられる。更に、ヒト免疫系は外来としてキメラ抗体の定常領域を認識しないはずであり、したがって、このような注射抗体に対する抗体応答は、典型的には、全く外来のマウス抗体に対する応答未満であるはずである。最後に、マウス抗体は、ヒト抗体の半減期よりはるかに短いヒト循環中の半減期を有することが知られている。おそらくキメラ抗体は、本来存在するヒト抗体と更に類似した半減期を有する可能性があり、より少量で低頻度の投与を与えることを可能にする。
キメラ抗体の高い親和性が望ましいとき、抗体のCDR内の残基を、他のアミノ酸で更に置換することができる。典型的には、CDR中の4個を超えないアミノ酸残基が変わり、最も典型的には、重鎖CDR2を除いたCDR中の2個を超えない残基が変わり、この場合10個もの多くの残基が変わる可能性がある。親和性の変化は、本明細書に記載する方法などの従来の方法(例えば、Biacore)によって測定することができる。
キメラ抗体は、当技術分野で知られている従来の技法を使用して構築及び産生することができる。更に、特に高レベルの発現ベクターを利用するとき、組換え調製抗体をしばしば多量に産生することができる。
獣医学的用途のため、非ヒトFcを使用することによって、非ヒト(例えば、霊長類、ウシ、ウマ、ブタなど)への投与用に抗体を合成することができる。
制限エンドヌクレアーゼ部位において組換え技法を使用して、アミノ酸配列をコードするヌクレオチドを修飾するために、本明細書で提供し組み込む技法などの当技術分野で認められる技法を使用することができる。
発現用に、発現系は、選択可能マーカーとしてグルタミンシンテターゼ遺伝子を使用してGS系(Lonza)を利用する発現系である。簡単に言うと、選択可能マーカーとしてグルタミンシンテターゼ遺伝子を使用しGS系(Lonza)を使用して、エレクトロポレーション(250V)によりCHO細胞においてトランスフェクションを実施する。野生型CHO細胞を、10%透析ウシ胎児血清(FCS)及び2mMグルタミンを含有するDMEM(Sigma)中で増殖させる。6×107個のCHO細胞を、エレクトロポレーションによって300μgの線状DNAでトランスフェクトする。エレクトロポレーション後、細胞はグルタミンを含むDMEM中に再縣濁し、36×96ウエルプレート(50μl/ウエル)に平板培養し、5%CO2中で37℃においてインキュベートする。翌日、150μl/ウエルの選択培地(グルタミンを含まないDMEM)を加える。約3週間後、陰性対照として無関係な抗体を使用して、ELISA(以下参照)によってコロニーをスクリーニングする。20μg/mlより多く産生する全てのコロニーは24ウエルプレート、次に二連のT25フラスコに増殖させる。
高レベルの産生用に、広く使用される哺乳動物発現系は、デヒドロ葉酸レダクターゼ欠損(「dhfr−」)チャイニーズハムスター卵巣細胞によってもたらされる遺伝子増幅手順を利用する発現系である。この系は、テトラヒドロ葉酸へのデヒドロ葉酸の転換を触媒するDHFR酵素をコードする、デヒドロ葉酸レダクターゼ「dhfr」遺伝子に基づく。高い産生を得るために、dhfr−CHO細胞を、機能性DHFR遺伝子、及び所望のタンパク質をコードする遺伝子を含有する発現ベクターでトランスフェクトする。この場合、所望のタンパク質は組換え抗体重鎖及び/又は軽鎖である。
競合DHFR阻害剤メトトレキサート(MTX)の量を増大することによって、dhfr遺伝子を増幅することにより、組換え細胞は耐性が発達する。標準的な場合、利用する増幅単位はdhfr遺伝子のサイズよりはるかに大きく、結果として抗体重鎖が同時に増幅される。
抗体鎖などのタンパク質の大規模産生が望ましいとき、利用する細胞の発現レベルと安定性の両方を考慮に入れる。長期培養中、組換えCHO細胞集団は、それらが片親クローンに由来するときでさえ、増幅中にそれらの特異的抗体産生に関する均一性を失う。
本出願は、本明細書に記載する抗体又はその一部分をコードする単離ポリヌクレオチド(核酸)、このようなポリヌクレオチドを含有するベクター、並びにポリペプチドにこのようなポリヌクレオチドを転写及び翻訳するための宿主細胞及び発現系を提供する。
本出願は、前述の少なくとも1つのポリヌクレオチドを含むプラスミド、ベクター、転写又は発現カセットの型の構築物も提供する。
本出願は、前述の1つ又は複数の構築物を含む組換え宿主細胞も提供する。本明細書に記載する任意の抗体をコードする核酸は本出願の一態様を形成し、そのコード核酸からの発現を含む抗体の産生法も同様である。適切な条件下で核酸を含有する組換え宿主細胞を培養することによって、発現を好都合に実施することができる。発現による産生後、抗体又はその一部分は、任意の適切な技法を使用して単離及び/又は精製することができ、次いで必要に応じて使用することができる。
特異的抗体(又はその一部分)をコードする核酸分子及び本明細書に記載するそれらを含有するベクターは、例えばそれらの本来の環境から、実質的に純粋又は均質な形態で、単離及び/又は精製して提供することができる。核酸の場合は、必要とされる機能を有するポリペプチドをコードする配列以外の、元の核酸又は遺伝子を含まない又は実質的に含まない。核酸配列はDNA又はRNAを含むことができ、完全又は部分的に合成状態であってよい。精製の方法は当技術分野でよく知られている。
様々な異なる宿主細胞中でのポリペプチドのクローニング及び発現のための系はよく知られている。適切な宿主細胞は、細菌、哺乳動物細胞、酵母及びバキュロウイルス系を含む。異種ポリペプチドの発現に関して当技術分野で利用可能な哺乳動物細胞系には、チャイニーズハムスター卵巣細胞、HeLa細胞、ベビーハムスター腎臓細胞、NS0マウスミエローマ細胞及びその他多くがあるが、これらだけには限られない。
広く様々な単細胞宿主細胞もDNA配列の発現において有用である。これらの宿主は、よく知られている真核生物及び原核生物宿主、大腸菌(E.coli)、シュードモナス(Pseudomonas)、バシラス(Bacillus)、ストレプトミセス(Streptomyces)の株など、酵母などの真菌、及びCHO、YB/20、NS0、SP2/0、Rl.l、B−W及びL−M細胞、アフリカミドリザル腎臓細胞(例えば、COS1、COS7、BSC1、BSC40、及びBMT10)などの動物細胞、昆虫細胞(例えばSf9)、並びに組織培養中のヒト細胞及び植物細胞を含む。
大腸菌などの原核生物細胞中での抗体又はその一部分の発現は、当技術分野で十分確立している。総説に関しては、例えば、Pluckthun、A.Bio/Technology9:545−551(1991)を参照。
培養中の真核生物細胞中での発現も、本明細書に記載する抗体の産生に関する選択肢として当業者には利用可能である。最新の総説に関しては、例えば、その各々が参照として全容が本明細書に組み込まれる、Raff,M.E.(1993)Curr.Opinion Biotech.4:573−576;Trill J.J.et al.(1995)Curr.Opinion Biotech6:553−560を参照。
プロモーター配列、ターミネーター配列、ポリアデニル化配列、エンハンサー配列、マーカー遺伝子及び必要に応じて他の配列を含めた適切な制御配列を含有する、適切なベクターを選択又は構築することができる。ベクターは、必要に応じて、プラスミド、ウイルス、例えばファージ、又はファージミドであってよい。更なる詳細に関しては、例えば、Molecular Cloning:a Laboratory Manual:2nd edition,Sambrook et al.,1989,Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照。例えば核酸構築物の調製において核酸を操作するための、多くの知られている技法及びプロトコール、突然変異誘発、配列決定、細胞中へのDNAの導入及び遺伝子発現、及びタンパク質の分析は、Short Protocols in Molecular Biology,Second Edition,Ausubel et al.eds.,John Wiley & Sons,1992中に詳細に記載される。Sambrook et al及びAusubel et alの方法の開示は参照として全容が本明細書に組み込まれ、当技術分野でよく知られている。
したがって、更なる態様は、本明細書で開示する核酸を含有する宿主細胞を提供する。別の更なる態様は、宿主細胞にこのような核酸を導入することを含む方法を提供する。導入は任意の利用可能な技法を利用することができる。真核生物細胞に関して、適切な技法は、例えば、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAEデキストラン、エレクトロポレーション、レトロウイルス又は他のウイルス、例えばワクシニア、又は昆虫細胞用にバキュロウイルスを使用するリポソーム仲介トランスフェクション及び形質導入を含むことができる。細菌細胞に関して、適切な技法は、例えば、バクテリオファージを使用する、塩化カルシウム形質転換、エレクトロポレーション及びトランスフェクションを含むことができる。
例えば遺伝子発現用の条件下で宿主細胞を培養することによって、核酸からの発現を発生又は可能にした後に導入を続けることができる。
一実施形態では、核酸を宿主細胞のゲノム(例えば染色体)に組み込む。標準的な技法に従いゲノムでの組換えを促進する配列を封入することによって、組込みを促進することができる。Igエンハンサーを必要に応じて初期化して発現を最大にすることができる。
本出願は、発現系中で前述の構築物を使用して前述の抗体(又はその一部分)を発現させることを含む方法も提供する。
本出願は、エンドグリンと結合するキメラ抗体をコードする、組換えDNA分子又はクローン遺伝子、又はその変性変異体、突然変異体、アナログ、又はその断片などの単離核酸にも関する。
更なる実施形態では、本明細書に記載する抗体又はその一部分の組換えDNA分子又はクローン遺伝子の完全DNA配列を、適切な宿主中に導入することができる発現制御配列に作動可能に連結させることが可能である。したがって本出願は、抗体のVH、VL、CL及び/又はFcをコードするDNA配列を含むクローン遺伝子又は組換えDNA分子で形質転換した単細胞宿主に広がる。
別の特徴は、本明細書に開示するDNA配列の発現である。当技術分野でよく知られているように、DNA配列を適切な発現ベクター中の発現制御配列に作動可能に連結させ、その発現ベクターを利用して適切な単細胞宿主を形質転換することによって、DNA配列を発現させることが可能である。
発現制御配列とDNA配列のこのような作動可能な連結は、当然ながら、すでにDNA配列の一部ではない場合、DNA配列の上流において適切なリーディングフレームで、開始コドン、ATGを与えることを含む。
ポリヌクレオチド及びベクターは、単離及び/又は精製型で提供することができる(例えば、必要とされる機能を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド以外の、元のポリヌクレオチドを含まない又は実質的に含まない)。本明細書で使用する、「実質的に純粋」及び「実質的に含まない」は、例えば約20%以下の異物、約10%以下の異物、約5%以下の異物、約4%以下の異物、約3%以下の異物、約2%以下の異物、又は約1%以下の異物を含有する溶液又は縣濁液を指す。
広く様々な宿主/発現ベクターの組合せを、本発明のDNA配列の発現において利用することができる。有用な発現ベクターは、例えば染色体、非染色体及び合成DNA配列のセグメントからなる可能性がある。適切なベクターには、SV40及び知られている細菌プラスミドの誘導体、例えば大腸菌プラスミドcolEl、Pcr1、Pbr322、Pmb9及びそれらの誘導体、RP4などのプラスミド、ファージDNA、例えばファージλ、例えばNM989の多数の誘導体、及び他のファージDNA、例えばM13及び繊維状単鎖ファージDNA、酵母プラスミド、2uプラスミド又はその誘導体など、真核生物細胞中で有用なベクター、昆虫又は哺乳動物細胞中で有用なベクターなど、プラスミドDNAとファージDNAの組合せに由来するベクター、ファージDNA又は他の発現制御配列などを利用するように修飾されたプラスミドなどがあるが、これらだけには限られない。
1つ又は複数のポリヌクレオチド構築物を含む組換え宿主細胞も本明細書で提供する。本明細書で提供する抗体をコードするポリヌクレオチドは本出願の一態様を形成し、1つ又は複数のポリヌクレオチドからの発現を含む抗体の産生法も同様である。例えば、適切な条件下でポリヌクレオチドを含有する組換え宿主細胞を培養することによって、発現を実施することができる。次いで抗体は任意の適切な技法を使用して単離及び/又は精製することができ、必要に応じて使用することができる。
任意の広く様々な発現制御配列、それと作動可能に連結したDNA配列の発現を制御する配列をこれらのベクター中で使用して、DNA配列を発現させることが可能である。このような有用な発現制御配列には、例えば、SV40、CMV、ワクシニア、ポリオーマ又はアデノウイルス、lac系、trp系、TAC系、TRC系、LTR系の初期又は後期プロモーター、ファージλの主要オペレーター及びプロモーター領域、fdコートタンパク質の制御領域、3−ホスホグリセレートキナーゼ又は他の解糖系酵素に関するプロモーター、酸性ホスファターゼ(例えばPho5)のプロモーター、酵母接合因子のプロモーター、及び原核生物又は真核生物細胞又はそれらのウイルスの遺伝子の発現を制御することが知られている他の配列、及びそれらの様々な組合せがある。
全てのベクター、発現制御配列及び宿主が、十分等しく機能して、DNA配列を発現するわけではないことは理解されよう。全ての宿主が、同じ発現系で十分等しく機能するわけでもない。しかし当業者は、本出願の範囲から逸脱せずに、過度の実験なしで適切なベクター、発現制御配列及び宿主を選択して、望ましい発現を実施することが可能である。例えばベクターを選択する際に、宿主は考慮しなければならない。ベクターはその中で機能しなければならないからである。ベクターのコピー数、そのコピー数を制御する能力、及び抗体マーカーなどのベクターによってコードされる任意の他のタンパク質の発現も考慮する。当業者は、本出願の範囲から逸脱せずに、適切なベクター、発現制御配列及び宿主を選択して、望ましい発現を実施することが可能である。例えばベクターを選択する際には、宿主を考慮する。ベクターはその中で機能するからである。ベクターのコピー数、そのコピー数を制御する能力、及び抗体マーカーなどのベクターによってコードされる任意の他のタンパク質の発現も考慮することができる。
本出願は、前述の少なくとも1つのポリヌクレオチドを含む、本明細書中の他の箇所に記載するプラスミド、ベクター、転写又は発現カセットの型の構築物も提供する。プロモーター配列、ターミネーター配列、ポリアデニル化配列、エンハンサー配列、マーカー遺伝子及び必要に応じて他の配列を含めた適切な制御配列を含有する、適切なベクターを選択又は構築することができる。ベクターは、必要に応じて、プラスミド、ウイルス、例えばファージ、ファージミドなどであってよい。更なる詳細に関しては、例えば、Molecular Cloning:a Laboratory Manual:2nd edition,Sambrook et al.,1989,Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照。例えば核酸構築物の調製において核酸を操作するための、多くの知られている技法及びプロトコール、突然変異誘発、配列決定、細胞中へのDNAの導入及び遺伝子発現、及びタンパク質の分析は、Short Protocols in Molecular Biology,Second Edition,Ausubel et al.eds.,John Wiley & Sons,1992中に詳細に記載される。Sambrook et al及びAusubel et alの方法及び開示は参照として本明細書に組み込まれる。
発現制御配列を選択する際に、様々な要因が通常考慮される。これらは、例えば、系の相対的な強さ、その制御能力、及び発現される特定DNA配列又は遺伝子との、特に考えられる二次構造に関するその適合性を含む。適切な単細胞宿主は、例えば、選択したベクターとのそれらの適合性、それらの分泌特性、タンパク質を正確にフォールディングするそれらの能力、及びそれらの発酵要件、及び発現されるDNA配列によってコードされる産物の宿主に対する毒性、及び発現産物の精製し易さを考慮して選択される。
更なる態様は、本明細書で開示する1つ又は複数のポリヌクレオチドを含有する宿主細胞を提供する。別の更なる態様は、任意の利用可能な技法によって、宿主細胞にこのような1つ又は複数のポリヌクレオチドを導入することを含む方法を提供する。真核生物細胞に関して、適切な技法は、例えば、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAEデキストラン、エレクトロポレーション、レトロウイルス又は他のウイルス(例えばワクシニア)、又は昆虫用にバキュロウイルスを使用するリポソーム仲介トランスフェクション及び形質導入を含むことができる。細菌細胞に関して、適切な技法は、例えば、バクテリオファージを使用する、塩化カルシウム形質転換、エレクトロポレーション及びトランスフェクションを含むことができる。
例えば1つ又は複数のポリヌクレオチドからの1つ又は複数のポリペプチドの発現用の条件下で宿主細胞を培養することによって、1つ又は複数のポリヌクレオチドからの発現を発生又は可能にした後に導入を続けることができる。誘導系を使用することができ、発現は活性剤を加えることによって誘導することができる。
一実施形態では、ポリヌクレオチドを宿主細胞のゲノム(例えば染色体)に組み込むことができる。標準的な技法に従いゲノムでの組換えを促進する配列を封入することによって、組込みを促進することができる。別の実施形態では、宿主細胞中のエピソームベクター上に核酸を維持する。
発現系中で前述の構築物を使用して特定ポリペプチドを発現させることを含む方法を、本明細書で提供する。
これら及び他の要因を考慮して、当業者は、発酵又は大規模動物培養においてDNA配列を発現する様々なベクター/発現制御配列/宿主の組合せを構築することが可能である。
抗体又はその一部分をコードするポリヌクレオチドは、クローニングに加えて、又はクローニングではなく、組換えによって/合成によって調製することができる。適切なコドンを用いてポリヌクレオチドを設計することができる。一般に、配列が発現に使用される場合、目的の宿主に好ましいコドンを選択する。完全なポリヌクレオチドは、標準的な方法によって調製した重複オリゴヌクレオチドから構築することができ、完全なコード配列に構築することができる。例えば、Edge,Nature,292:756(1981);Nambair et al.,Science,223:1299(1984);Jay et al.,J.Biol.Chem.,259:6311(1984)を参照。
抗体(又はその一部分)コード核酸と選択したアミノ酸位置変化の同時的取込みは、例えば組換え及び化学合成を含めた、当業者に知られる様々な方法によって実施することができる。
抗エンドグリン抗体
エンドグリン(CD105)は、180kDaのホモ二量体膜貫通タンパク質として細胞表面上で発現される。外部ドメインは高い親和性(50nM)でTGF−β1及び−3アイソフォームと結合し、CD105の膜貫通ドメインと細胞内ドメインはベータグリカンと71%の配列類似性を共有する。ヒトCD105遺伝子は染色体9q34上に位置し、蛍光in situハイブリダイゼーションを使用して同定され、コード領域は14のエクソンを含有し、TGF−βと結合する能力を有するCD105の2つの異なるアイソフォーム(L及びS)が特徴付けされている。600アミノ酸残基及び14アミノ酸細胞質尾部からなるS−CD105に対して、L−CD105は633アミノ酸残基及び47アミノ酸残基細胞質尾部からなる。しかし、L−CD105が主要型である。CD105は内皮細胞中、主にセリン及びスレオニン残基では構成的にリン酸化されており、このリン酸化は細胞内の構成的に活性があるTGF−βRIIによるものである。CD105とTGF−βの結合は、タンパク質キナーゼC阻害剤で見られる影響と類似した、リン酸化の下方制御をもたらす。ヒトCD105アミノ酸配列は、細胞外ドメインの露出領域中に位置するトリペプチドアルギニン−グリシン−アスパラギン酸(RGD)を含有する。RGDペプチドは、フィブロネクチン、ビトロネクチン、フォンヴィレブランド因子(vWF)、I型コラーゲン、及びフィブリノゲンなどのECMタンパク質において見られる重要な認識構造であり、細胞表面インテグリンによって認識される。インテグリン接着は、ホメオスタシス、血栓症、血管新生及び炎症、内皮が重要な役割を果たすプロセスと関係している(Duff et al.,FASEB J.,17:984−992(2003))。
CD105は、増殖内皮細胞によって発現されるTGF−β受容体ファミリーのメンバーである。正常レベルのCD105が内皮細胞増殖に必要とされる。CD105の発現は、低酸素誘導因子−1−α(HIF−1−α)の生成を介した細胞の低酸素状態によって増大し、アポトーシスから低酸素細胞を保護する。CD105のいくつかの機能はTGF−βシグナル伝達と関係がある。TGF−βは、セリンキナーゼ、受容体I(RI)、及び受容体II(RII)からなるヘテロ二量体受容体を介してシグナル伝達する。受容体の外部ドメインとTGF−βの結合は、TGF−βRIをリン酸化し、したがってSmadタンパク質などの下流シグナル伝達物質と相互作用することができる細胞質RIIキナーゼ活性を除去する。CD105はTGF−β受容体複合体の一部を形成するが、それは細胞表面上で独立して存在することができる。in vitroでは多くの細胞中で、CD105はTGF−βシグナル伝達を抑制する。
CD105は、アクチビンA及び骨形成タンパク質(BMP)−10、−9、−7及び−2などの他の増殖因子とも結合する。CD105とTGF−β又は増殖因子リガンドの結合は少なくとも受容体RIIの存在を必要とし、それはひとりでにリガンドと結合することはできない。受容体とCD105結合が、リガンド自体に対するそれらの親和性を変えることはない。結合によって、CD105の細胞質ドメインはTGF−βRI及びTGF−βRII、次いでTGF−βRIIではなくTGF−βRIによってリン酸化され、キナーゼは受容体複合体から解離する。
CD105の発現はTGF−βRIIのリン酸化レベルを阻害するが、TGF−βRIのそれは増大させ、Smad3ではなくSmad2の増大したリン酸化をもたらす。Smad2は様々な転写因子、コアクチベーター、及び抑制物質と相互作用することができるので、リン酸化したSmad2は、遺伝子転写を調節する多重シグナルのインテグレーターとして作用することができる。したがって、CD105はTGF−βRI及びTGF−βRIIとの相互作用によってTGF−β機能を調節し、下流Smadタンパク質のリン酸化を改変する。
CD105は、TGF−β受容体(TGF−βR)、アクチビン受容体様キナーゼ(ALK)及びアクチビン受容体を含めた、TGF−βスーパーファミリーの多数のキナーゼ受容体複合体のシグナル伝達を調節するために作用する。CD105の不在下において、TGF−β受容体の活性化は、内皮細胞増殖を阻害するSMADタンパク質(SMAD2及び3)のリン酸化をもたらす。しかし、TGF−βによるCD105の活性化は、(SMAD1、5及び8のリン酸化を含めた)SMADタンパク質のリン酸化を調節する。最終結果は、内皮細胞に対するTGF−β受容体活性化の増殖阻害効果の表れである(図1参照)。驚くべきことではないが、抗CD105抗体又はアンチセンスオリゴヌクレオチドによるCD105活性化の防止は、TGF−βと共同作用して内皮細胞の増殖を抑制する。
CD105プロモーターは2.6kb長であるが、TATA又はCAAT転写開始ボックスは含有しない。しかし、それは2つのGC多量領域、Sp1、ets、GATA、AP−2、NGF−β、及びMadのコンセンサスモチーフ、並びにTGF−β応答エレメントを有する。それにもかかわらず、CD105は比較的制限された細胞分布を有する。基底レベルの転写は、位置−68にets部位、及びSp1部位を必要とするようであるが、例えば内皮細胞に対する発現の相対的制限は、多数の制御領域、特に−1294〜−932における領域、及び転写開始部位と非常に近い別の領域と関係があるようである。CD105はTGF−βによって上方制御され、これは−37〜−29におけるSp1部位を必要とし、(TGF−βシグナル伝達によって活性化される)Smads3及び/又は4と結合した1つ又は複数の並列した上流SBE部位とも関係があることが示されている。低酸素は虚血組織及び腫瘍の一般的な特徴であり、血管内皮細胞(EC)中でのCD105遺伝子発現の強力な刺激物質である。このような効果はTGF−β1を併用して高まる。上方制御されたCD105は、EC中で低酸素ストレス下において自己防御的役割を果たすことができる。
血管ECはCD105の主な供給源である。血管平滑筋細胞、線維芽細胞、マクロファージ、前B及び骨髄単球起源の白血病細胞、及び赤血球前駆体を含めた他の細胞型は、CD105を低い程度で発現する。
CD105は血管新生に関与する。アンチセンス実験は、HUVEC中でのCD105発現の抑制はTGF−β1と併用してin vitro血管新生の顕著な阻害をもたらすことを実証しており、CD105は内皮細胞中では血管新生促進成分であることを示す。血管新生におけるCD105の重要な役割の更なる証拠は、CD105ノックアウトマウスに由来する。CD105欠損マウスは、初期胚段階で死をもたらす血管多重欠損及び心多重欠損を示す。CD105欠損マウス中で観察されるいくつかの血管障害は、CD105は胚外脈管構造中の成熟血管の形成に必要とされることを示し、血管新生におけるエンドグリンの直接的役割が更に確認される。
特にCD105又はedg−1としても知られるエンドグリンは、増殖血管内皮細胞において高レベルで発現されるI型ホモ二量体膜糖タンパク質である。したがって、エンドグリンは主に、活性血管新生を経る内皮細胞の増殖関連マーカーである。しかし、正常組織の血管内皮によるエンドグリンの限られた発現が存在する可能性がある。ヒトエンドグリンは形質転換増殖因子−β(TGF−β)と特異的に結合することが知られており、エンドグリンの推定アミノ酸配列はβ−グリカン、一型のTGF−β受容体に対して強い相同性を有する。
エンドグリン(EDG)は腫瘍血管系を減らす抗体ベースの方法における標的となっている。EDGは、内皮及び白血病細胞上の増殖関連抗原であるからである。その発現は腫瘍関連血管内皮中で上方制御され、EDGは血管新生に必要不可欠である。血管新生は、新血管形成をもたらす新しい毛細血管の形成、及び既存の血管系の維持を含む。それは、血管基底膜及び間質性マトリクスの内皮細胞仲介分解、内皮細胞の移動、内皮細胞の増殖、及び内皮細胞による毛細血管ループの形成を含む、一連の連続ステップを含む複雑なプロセスである。
エンドグリンと結合するキメラ抗体を本明細書で提供する。エンドグリンは、既存の血管系を含み支持する細胞、及び新たな血管系の増殖を促進する、その一部となる細胞において見ることができる。これらの抗体は、エンドグリンと結合しそれによって血管新生を阻害することができ、既存の血管系又は既存の血管系の維持を阻害する、及び/又は小血管の拡張を阻害することができる。エンドグリンを精製するためのその使用以外に、これらの抗体は精製、検出及び診断目的、並びに治療目的で有用である。本明細書で提供する抗体は、様々な状態及び疾患を治療するための医薬品の製剤化、前記状態及び疾患を治療するための方法、及び検出又は診断の方法に使用することができる。本明細書で使用する血管新生は、新たな血管の増殖及び/又は発達(新血管形成とも呼ばれる)、小血管の拡張、過剰又は長期血管増殖、及び既存の血管系の維持を含む。血管新生状態及び疾患は、血管新生に関連する、それによって引き起こされる、又はそれと関係がある疾患及び状態を指す。このような疾患の非制限的な例には、例えば様々な型の癌(原発性腫瘍及び転移)がある。
エンドグリン活性を調節しそれによって血管新生を阻害する及び/又は小血管の拡張を阻害するマウスモノクローナル抗体(mAb)が、エンドグリンに対して産生されている。これらのマウス抗体は、その各々が参照として全容が本明細書に組み込まれる、米国特許第5,928,641号、同第6,200,566号、同第6,190,660号、及び同第7,097,836号中に記載される。更に、これらの抗体のいくつかのex vivo及びin vivo有効性が実証されている。エンドグリンと結合するモノクローナル抗体は、エンドグリン調節化合物としての対象である。マウス抗体の治療用途は、しかし実現可能ではない。マウス抗体の投与には、例えばヒト抗マウス抗体(HAMA)の型での免疫原性を含めた、いくつかの制約があるからである。
いくつかの抗エンドグリン抗体、特に抗エンドグリンモノクローナル抗体(「mAb」)が記載されている。MAbSN6は、ヒト白血病細胞の細胞膜の糖タンパク質混合物を用いたマウスの免疫処置から作製された抗体である(Haruta and Seon,1986,Proc.Natl.Acad.Sci.83:7898−7902)。SN6は、ヒトエンドグリンを認識するマウスmAbである。MAb44G4は、ヒト前B白血病細胞の全細胞縣濁液を用いたマウスの免疫処置から作製された抗体である(Gougos and Letarte,1988,J.Immunol.141:1925−1933;1990,J.Biol.Chem.265:8361−8364)。44G4も、ヒトエンドグリンを認識するマウスmAbである。MAbMJ7/18は、炎症状態のマウス皮膚を用いたラットの免疫処置から作製された抗体である(Ge and Butcher,1994,上記)。MJ7/18も、ヒトエンドグリンを認識するmAbである。mAbTec−11は、ヒト臍帯静脈内皮細胞を用いたマウスの免疫処置から作製された抗体である(Burrows et al.,1995,Clin.Cancer Res.1:1623−1634)。Tec−11は、ヒトエンドグリン限定の反応性を有するマウスmAbである。それらの特異性を維持及び/又は改善しながら、低い免疫原性を示すエンドグリンと結合するキメラ抗体を、本明細書で記載する。更に、マウス抗体に関する問題に対処するため、それらの特異性を維持及び/又は改善しながら低い免疫原性を示す、エンドグリンと結合し血管新生を低減及び/又は阻害するキメラ抗体を、本明細書で記載する。これらのキメラ抗エンドグリン抗体は、様々な状態及び疾患の診断及び治療、並びにエンドグリンの精製及び検出に有用である。エンドグリンに対する抗体は、血管新生と関係がある、それによって影響される、又はそれによって悪影響を受ける、様々な疾患及び状態を治療するための療法開発の重要部分となる。
エンドグリンと結合するそのキメラ抗体を本明細書で提供する。エンドグリンと結合し、血管新生/新血管形成、小血管の拡張を(部分的又は完全に)阻害又は管理/(部分的又は完全に)治療する、細胞の増殖を阻害する又は腫瘍増殖を阻害する、そのキメラ抗体も提供する。同様に、エンドグリン機能(例えば、シグナル伝達、結合、活性化など)の阻害も、阻害又は結合エンドグリンの意味の中に含まれる。更に別の実施形態では、キメラ抗体は、エンドグリンと結合することによって血管新生を阻害する。本出願は、キメラ抗体を産生するために使用することができる細胞系、これらの細胞系を生成するための方法、抗体を発現させそれらを精製するための方法も提供する。
本明細書で記載する方法を使用して作製したエンドグリンと特異的に結合する抗体は、本明細書で提供するアッセイ又は当技術分野で知られているアッセイを使用して、ELISAだけには限らないがこれを含めた従来の方法を使用して、エンドグリンと結合する能力に関して試験することができることは理解することができる。本明細書で記載する抗体の親和性も、Biacore又は表面プラズモン共鳴だけには限らないが、これらを含めた従来の方法を使用して決定することができる。
エンドグリンと結合するキメラ抗体を本明細書で提供する。エンドグリンと結合し血管新生を阻害するキメラ抗体も、本明細書で提供する。
配列番号1に記載のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有する軽鎖定常領域、配列番号3に記載のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号4に記載のアミノ酸配列を有するガンマ1(γ1)定常領域(Fc)を含むキメラ抗体を本明細書で提供する。
別の態様では、本出願は、抗体のVH及びVL配列を有する抗体の少なくとも5%が、ELISAアッセイ中でこのような抗体との競合によってエンドグリンとの結合から遮断される条件下で、本明細書で記載するキメラ抗エンドグリン抗体と競合することができるキメラ抗体を提供する。
エンドグリンと結合しエンドグリンの活性を調節する中和キメラ抗体を本明細書で提供する。中和抗体は、例えば、エンドグリンと結合することによって血管新生を阻害することができる。
陰性対照より少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、少なくとも60倍、又はそれより高いキメラ抗エンドグリン抗体による血管新生、細胞増殖及び/又は腫瘍増殖の阻害の割合(%)は、抗体が血管新生を阻害することを示す。陰性対照の2倍未満のキメラ抗エンドグリン抗体による血管新生、細胞増殖及び/又は腫瘍増殖の阻害の割合(%)は、抗体が血管新生を阻害しないことを示す。
エンドグリンとキメラ抗体の結合は、部分的(例えば、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%又はその中の任意の数)又は完全に、血管新生、細胞増殖及び/又は腫瘍増殖を阻害することができる。キメラ抗体の中和又は阻害活性は、本明細書で記載するアッセイ又はそれ以外の当技術分野で知られているアッセイなどの当技術分野で認められているアッセイを使用して、in vitroアッセイ及び/又はin vivoアッセイを使用して決定することができる。
本明細書で記載する抗体は、以下でより詳細に記載するように検出又は診断用途において有用である。本明細書で記載する抗体は、エンドグリンと結合するのに有用であり、したがって本明細書で記載するように血管新生を阻害することができる。
抗VEGF剤
in vitroで内皮細胞の増殖及び移動、並びにin vivoで血管透過及び血管新生を誘導するタンパク質として、血管内皮増殖因子(VEGF)が同定されている。それは血管増殖と透過性の両方を制御する。血管透過性因子(VPF)としても知られ、血管内皮に対するその特異性及び効能のため、それは血管新生促進因子の中で特有である。それは新たに形成される血管中で内皮細胞の抗アポトーシス因子としても機能する。VEGFは腫瘍細胞、マクロファージ、T細胞、平滑筋細胞、腎臓細胞、メサンギウム細胞、ケラチノサイト、アストロサイト、及び骨芽細胞中で発現される。
「ヒトVEGF」は、一実施形態では、天然に存在する対立遺伝子及びプロセシング型のこれらの増殖因子と一緒に、Leung et al.,Science246:1306(1989);及びHouck et al.,Mol.Endocrin.,5:1806(1991)によって記載された、165アミノ酸のヒト血管内皮細胞増殖因子、及び関連121−、189−、及び206−アミノ酸のヒト血管内皮細胞増殖因子を指す。用語「VEGF」は、マウス、ラット又は霊長類などの非ヒト種由来のVEGFも指す。いくつかの場合、特定種由来のVEGFを、例えばヒトVEGFに関してhVEGF、マウスVEGFに関してmVEGFなどの用語によって示す。用語「VEGF」は、165アミノ酸のヒト血管内皮細胞増殖因子のアミノ酸8〜109又は1〜109を含む切断型のポリペプチドを指すためにも使用する。「切断型の」天然VEGFに関するアミノ酸位置は、天然VEGF配列中に示すように番号処理する。例えば、切断型の天然VEGF中のアミノ酸位置17(メチオニン)は、天然VEGF中でも位置17(メチオニン)である。切断型の天然VEGFは、天然VEGFに匹敵する、KDR及びFlt−1受容体に対する結合親和性を有する。一実施形態によれば、VEGFはヒトVEGFである。
VEGFファミリーは、VEGF−A、VEGF−B、VEGF−C、VEGF−D、VEGF−E、VEGF−F、及び胎盤増殖因子(PIGF)を含めた7メンバーを含む。これらは全て、VEGF相同性ドメイン中に8システイン残基の共通構造を有する。更に、VEGF−Aに関して、6個の異なるアイソフォームが存在し、VEGF−A165が主なアイソフォームである。全てのこれらのアイソフォームは、血管新生において明確な重複した機能を有する。VEGF遺伝子は染色体6p.21上に位置する。VEGFファミリーの異なるメンバーは異なる物理的及び生物学的性質を有し、それらは特異的チロシンキナーゼ受容体(VEGFR−1、VEGFR−2、及びVEGFR−3)を介して作用する。VEGFR−3受容体及びそのリガンド、VEGF−C及びVEGF−Dはリンパ脈管新生と関係があり、一方PIGFは動脈新生と関係がある。
VEGFに関する2つの高親和性受容体、VEGFR−1/Flt1(fms様チロシンキナーゼ−1)及びVEGFR−2/Kdr/Flk−1(受容体/胎児肝臓キナーゼ−1を含有するキナーゼ挿入ドメイン)が特徴付けされている。第三の受容体、VEGFR−3も知られている。これらの受容体はPDGF受容体ファミリーに分類される。しかし、VEGF受容体は、(PDGFファミリーの他のメンバー中の5個と対照的に)それらの細胞外ドメイン中に7個の免疫グロブリン様ループ及びより長いキナーゼ挿入を有する。VEGF受容体の発現は主に血管内皮細胞中で起こるが、いくつかは単核上及びメラノーマ細胞系上に存在する可能性もある。内皮細胞のみがVEGFに応答して増殖することが示されており、異なる供給源からの内皮細胞は異なる応答を示す。したがって、VEGFR−1、VEGFR−2及びVEGFR−3によって仲介されるシグナルは細胞型特異的であるようである。
VEGFR−1及びVEGFR−2は、高い親和性(それぞれ、Kd約20pM及び200pM)でVEGF165と結合する。Flk−1受容体は、VEGFに応答して自己リン酸化を経ることも示されている。VEGFR−2は、この受容体を過剰発現するブタ大動脈内皮細胞の形態、アクチン再構成及び膜ラッフリングの劇的変化を引き起こすシグナルを仲介した。これらの細胞中では、VEGFR−2はリガンド誘導性化学走性及び分裂促進性も仲介し、一方VEGFR−1トランスフェクト細胞はVEGFに対する分裂促進応答を欠いた。対照的にVEGFは、VEGFR−1を発現するラット洞様毛細血管内皮細胞に対する強力な増殖刺激効果を有していた。VEGFR−1及びVEGFR−2と共沈殿したリンタンパク質は異なり、異なるシグナル伝達分子は受容体特異的細胞内配列と相互作用することを示唆する。
VEGFは抗腫瘍療法の一標的となる。その発現が一定範囲の固形腫瘍において上方制御されるからである。VEGFは、血管新生、既存の血管からの新たな血管の増殖の主なレギュレーターである。このプロセスは固形腫瘍の増殖の根本にあり、新たな血管の形成に頼るものである。特定の小分子療法剤は血管内皮増殖因子受容体(「VEGFR」)を標的化することができ、小分子療法剤によるこのような標的化は抗癌効果をもたらすことができる。VEGF受容体標的化作用物質は、新たな血管形成の阻害によって腫瘍増殖を間接的に遮断する。VEGF誘導血管新生を阻害することによって、マクロファージ、骨芽細胞又は軟骨吸収細胞のVEGF刺激を著しく阻害せずに、抗腫瘍又は改善された抗腫瘍効果を発揮することができる。
本明細書に提供する一実施形態では、VEGFアンタゴニストは、モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト及びヒト化抗体だけには限られないが、これらを含めた抗体である。具体的な一実施形態によれば、抗VEGF抗体はベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))である。別の実施形態によれば、抗VEGF抗体は、Fab、Fab’、F(ab)’2、単鎖Fv(scFv)、半抗体、単鎖結合ポリペプチド、Fv断片、ダイアボディ及び線状抗体からなる群から選択される。
「VEGFアンタゴニスト」は、VEGF又は1つ若しくは複数のVEGF受容体又はそれらをコードする核酸とのその結合を含めたVEGF活性を、中和、遮断、阻害、排除、低減又は干渉することができる分子を指す。いくつかの場合、VEGFアンタゴニストはVEGF又はVEGF受容体と結合する。一実施形態によれば、VEGFアンタゴニストはVEGFと結合し、in vitroでVEGF誘導内皮細胞増殖を阻害する。
一実施形態によれば、VEGFアンタゴニストは、非VEGF又は非VEGF受容体より高い親和性でVEGF又はVEGF受容体と結合する。別の実施形態によれば、VEGFアンタゴニストは、1uMと1μMの間のKdでVEGF又はVEGF受容体と結合する。別の実施形態によれば、VEGFアンタゴニストは、500nMと1μMの間でVEGF又はVEGF受容体と結合する。
「抗VEGF抗体」は、十分な親和性及び特異性でVEGFと結合する抗体である。本発明の抗VEGF抗体は、VEGF活性が関与する疾患又は状態を標的化及び干渉する際に治療剤として使用することができる。抗VEGF抗体は、VEGF−B若しくはVEGF−Cなどの他のVEGFホモログ、又はP1GF、PDGF若しくはbFGFなどの他の増殖因子と通常結合しない。
「rhuMAb VEGF」又は「AVASTIN(登録商標)」としても知られる抗VEGF抗体「ベバシズマブ」は、Presta et al.(1997)Cancer Res.57:4593−4599によって記載された方法に従い作製された組換えヒト化抗VEGFモノクローナル抗体である。それは、ヒトVEGFとその受容体の結合を遮断するマウス抗hVEGFモノクローナル抗体A.4.6.1由来の、突然変異ヒトIgG1フレームワーク領域及び抗原結合相補性決定領域を含有する。大部分のフレームワーク領域を含めたベバシズマブの約93%アミノ酸配列はヒトIgG1に由来し、配列の約7%はマウス抗体A4.6.1に由来する。ベバシズマブは約149,000ダルトンの分子量を有し、グリコシル化状態である。ベバシズマブのマウスモノクローナル型及びヒト化と関係があるアミノ酸配列は、配列番号5〜11として提供する。
特定の実施形態では、併用組成物で投与するVEGF受容体阻害剤はVEGFの小分子阻害剤である。他の実施形態では、併用組成物で投与するVEGF受容体阻害剤は抗VEGF抗体である。非制限的な一例では、併用組成物で投与するVEGF受容体阻害剤はベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))である。ベバシズマブの例示的な、非制限的な用量は以下及び実施例中により詳細に論じる。
修飾抗体又はその一部分
本明細書で記載する抗体は、治療用途で使用するための治療成分を更に含むことができる。
本明細書で記載する抗体は、免疫複合体として使用することもできる。本明細書で使用するように、本明細書及び特許請求の範囲の目的で、免疫複合体は、本発明によるキメラ抗エンドグリン抗体又はその断片、及び少なくとも1つの治療標識を含む複合体を指す。治療標識は、抗腫瘍剤及び血管新生阻害剤を含む。このような抗腫瘍剤は当技術分野で知られており、毒素、薬剤、酵素、サイトカイン、放射性核種、光線力学的物質、及び血管新生阻害剤だけには限られないが、これらを含む。毒素は、リシンA鎖、突然変異シュードモナスエキソトキシン、ジフテリア毒素、ストレプトニグリン、ボアマイシン、サポリン、ゲロニン、及びヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質だけには限られないが、これらを含む。薬剤は、ダウノルビシン、メトトレキサート、及びカリケアマイシンを含む。放射性核種は放射性金属を含む。サイトカインは、形質転換増殖因子(TGF)−β、インターロイキン、インターフェロン、及び腫瘍壊死因子だけには限られないが、これらを含む。光線力学的物質は、ポルフィリン及びそれらの誘導体だけには限られないが、これらを含む。他の治療標識は当技術分野で知られており、本明細書でも企図する。抗エンドグリンmAb又はその断片と少なくとも1つの抗腫瘍剤を複合体形成させるための方法は当技術分野でよく知られている(即ち、Ghetie et al.,1994,Pharmacol.Ther.63:209−34により総説された抗体複合体)。このような方法は、分子のカップリング又は結合に使用する、いくつかの利用可能なヘテロ二官能性試薬の1つを利用することができる。他の放射性核種は、治療及び診断標識などの分子を結合させるための他の方法と共に、本明細書で更に記載する。
例えばポリエチレングリコール(PEG)の付加などによって、当技術分野で知られている技法を使用して、様々な目的で抗体を修飾することができる。PEGの修飾(PEG化)は、1つ又は複数の改善された循環時間、改善された可溶性、タンパク質分解に対する改善された耐性、低減した抗原性及び免疫原性、改善された生物学的利用能、低減した毒性、改善された安定性、及び形成し易さもたらすことができる(総説に関しては、Francis et al.,International Journal of Hematology68:1−18,1998を参照)。
抗体のFc部分を修飾して、患者へ投与したときの血中循環の半減期を増大することができる。例えば参照として全容が本明細書に組み込まれる米国特許第7,217,798号中に記載された手段などの、当技術分野の従来手段を使用して修飾を測定することができる。
例えばその各々が参照として本明細書に組み込まれる米国特許第7,091,321号及び同第6,737,056号中に記載された方法などの、循環中の抗体ベースの融合タンパク質の半減期を改善する他の方法も知られている。更に、それらがその複合N−グリコシド結合糖鎖上にフコースを含有しないように、抗体を産生又は発現することが可能である。複合N−グリコシド結合糖鎖からのフコースの除去は、抗体依存性細胞傷害作用(ADCC)及び補体依存性細胞傷害作用(CDC)だけには限られないが、これらを含めた、抗体及び抗原結合断片のエフェクター機能を増大することが知られている。同様に、エンドグリンと結合することができる抗体は、任意の抗体アイソタイプ、例えばIgG、IgA、IgE、IgD及びIgM、及び任意のアイソタイプサブクラス、特にIgG1、IgG2b、IgG2a、IgG3及びIgG4由来の免疫グロブリン重鎖の全部又は一部と、それらのC末端において結合することができる。
更に、本明細書で記載する抗体は、それらが血液脳関門を横断することができるように修飾することもできる。本明細書で記載する抗体のこのような修飾は、多形膠芽腫(GBM)などの脳疾患の治療を可能にする。抗体などのタンパク質が血液脳関門を横断するのを可能にする例示的な修飾は、参照として全容が本明細書に組み込まれる米国特許公開第20070082380号中に記載される。
免疫グロブリンのグリコシル化は、それらのエフェクター機能、構造安定性、及び抗体産生細胞からの分泌率に対して有意な効果があることは示されている(Leatherbarrow et al.,Mol.Immunol.22:407(1985))。これらの性質を担う炭水化物群は、一般に抗体の定常(C)領域と結合する。例えば、CH2ドメイン中のアスパラギン297におけるIgGのグリコシル化は、補体依存性細胞溶解の古典的経路を活性化するIgGの完全能力に必要とされる(Tao and Morrison,J.Immunol.143:2595(1989))。CH3ドメイン中のアスパラギン402におけるIgMのグリコシル化は、抗体の適切な構築及び細胞溶解活性に必要である(Muraoka and Shulman,J.Immunol.142:695(1989))。IgA抗体のCH1及びCH3ドメイン中の位置162及び419におけるグリコシル化部位の除去は、細胞内分解及び少なくとも90%の分泌阻害をもたらした(Taylor and Wall,Mol.Cell.Biol.8:4197(1988))。更に、それらがその複合N−グリコシド結合糖鎖上にフコースを含有しないように、抗体を産生又は発現することが可能である。複合N−グリコシド結合糖鎖からのフコースの除去は、抗体依存性細胞傷害作用(ADCC)及び補体依存性細胞傷害作用(CDC)だけには限られないが、これらを含めた、抗体及び抗原結合断片のエフェクター機能を増大することが知られている。これらの「脱フコシル化」抗体は、トランスジェニック動物、トランスジェニック植物、又はそれらがもはや酵素を含有しないように遺伝子操作された細胞系、及び複合N−グリコシド結合糖鎖中のフコースの封入に必要な生化学的経路(フコシルトランスフェラーゼノックアウト動物、植物、又は細胞としても知られる)だけには限られないが、これらを含めた、当技術分野で知られている分子クローニング技法を利用する様々な系によって産生することができる。フコシルトランスフェラーゼノックアウト細胞となるように操作した細胞の非制限的な例には、CHO細胞、SP2/0細胞、NS0細胞、及びYB2/0細胞がある。
可変(V)領域中の免疫グロブリンのグリコシル化も観察されている。Sox及びHoodは、約20%のヒト抗体はV領域中でグリコシル化されることを報告した(Proc.Natl.Acad.Sci.USA66:975(1970))。Vドメインのグリコシル化はV領域配列中のN結合グリコシル化シグナルAsn−Xaa−Ser/Thrの偶然的発生から生じると考えられ、当技術分野では免疫グロブリン機能において役割を果たすとして認められていない。
可変ドメインフレームワーク残基でのグリコシル化は、抗体と抗原の結合相互作用を変える可能性がある。本発明は、キメラ免疫グロブリン鎖のフレームワーク又はCDR中の限られた数のアミノ酸を選択して(例えば、残基の置換、欠失、又は付加によって)突然変異させ抗体の親和性を増大させる基準を含む。
抗原結合に対する親和性は一般に、V領域フレームワーク、典型的には1つ又は複数のCDRと隣接する領域中及び/又は1つ又は複数のフレームワーク領域中に、1つ又は複数の突然変異を導入することによって調節することができる。典型的には、このような突然変異は、グリコシル化部位配列を破壊又は作製するが、ポリペプチドのヒドロパシック構造性に実質的に影響を与えない保存的アミノ酸置換の導入を含む。典型的には、プロリン残基を導入する突然変異は回避する。抗体のグリコシル化は、グリコシル化に関して参照として本明細書に組み込まれる米国特許第6,350,861号中に更に記載される。
抗体は短期送達又は広範囲(長期)送達用に製剤化することができる。
エンドグリンと結合する抗体は、エンドグリンの精製及び/又はサンプル又は患者中のエンドグリンレベルの検出に使用して、以下でより詳細に記載するようにエンドグリンと関係がある疾患又は障害を検出又は診断することもできる。
このような方法を使用して作製したエンドグリンと結合するキメラ抗体は、それらの結合親和性、親和力、及び中和能力の1つ又は複数に関して試験することができる。有用なキメラ抗体は、血管新生と関係がある疾患状態又は障害を予防、阻害、管理又は治療するために患者に投与することができる。
抗体は、結合親和性、会合率、解離率及び親和力の1つ又は複数に関して評価することができる。一態様では、エンドグリン又はVEGFの活性を中和するそれらの能力に関して抗体を評価することができる。結合親和性、会合率、解離率及び親和力の測定は、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、Scatchard解析、BIACORE解析(表面プラズモン共鳴)など、並びに一般に使用されており当業者に知られている他のアッセイだけには限られないが、これらを含めた、当技術分野で認められているアッセイを使用して実施することができる。
エンドグリンと抗体の結合、及び/又は、例えば血管新生を阻害する抗体の能力の測定は、例えば酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、競合結合アッセイ、ELISPOTアッセイ、又は当技術分野で知られている任意の他の有用なアッセイを使用して決定することができる。これらのアッセイは一般に使用されており、当業者によく知られている。
非制限的な一実施形態では、ELISAアッセイを使用して、エンドグリンと結合する特異的抗体の結合能力を測定することができる。
ELISAなどのアッセイを使用して、他のそれに対する抗体と比較してエンドグリンに対する高い特異性を示す、それに対する抗体を同定することもできる。ELISAなどのアッセイを使用して、1つ又は複数のポリペプチド上及び1又は複数種のエンドグリン又はVEGF上のエピトープと結合する、それに対する抗体を同定することもできる。特異性アッセイは、エンドグリンエピトープを含有する異なるポリペプチド種上の1つ又は複数のエピトープと結合する能力に関して、試験抗体を別個のアッセイチャンバー内で同時にスクリーニングして、エンドグリンと結合するその抗体を同定する、平行ELISAを行うことによって実施することができる。当業者が熟知している、見かけの結合親和性を測定するための別の技法は、(BIACORE2000システムで分析された)表面プラズモン共鳴技法である(Liljeblad,et al.,Glyco.J.2000,17:323−329)。標準的な測定法及び伝統的な結合アッセイは、Heeley,R.P.,Endocr.Res.2002,28:217−229によって記載される。
エンドグリンと結合するキメラ抗体は、様々な型の癌(例えば、原発性腫瘍、再発腫瘍、及び転移)と関係がある血管新生に関する様々な疾患及び状態を治療する、それらの能力に関してアッセイすることもできる。当業者に知られている任意の適切なアッセイを使用して、このような効果をモニタリングすることができる。いくつかのこのような技法は本明細書に記載する。一例では、本明細書に記載する抗体を、エンドグリンと結合するそれらの能力に関してアッセイする。別の例では、本明細書に記載する抗体の親和性定数を表面プラズモン共鳴(SPR)によって決定する。更に別の例では、本明細書に記載する抗体を、血管新生の阻害に対するそれらの効果に関してアッセイする。
II.組成物
本明細書に記載するそれぞれの化合物は、許容される担体又は賦形剤との併用時に組成物として使用することができる。このような組成物は、in vitro若しくはin vivo分析に、又はin vivo若しくはex vivoでの対象への投与に、開示する化合物で対象を治療するのに有用である。
血管新生活性などの1つ又は複数のエンドグリンの生物活性を阻害することができるキメラ抗エンドグリン抗体を含有する組成物(医薬品)を、本明細書で提供する。
一実施形態ではその細胞分裂促進活性、又は血管新生活性などの、1つ又は複数のVEGFの生物活性を阻害することができる抗VEGF抗体(又はその抗原結合断片)を含有する組成物(医薬品)を、本明細書で提供する。
キメラ抗エンドグリン抗体と抗VEGF抗体(又はその抗原結合断片)の組合せを含有する組成物(医薬品)も、本明細書で提供する。
キメラ抗エンドグリン抗体を含有する組成物は、抗VEGF抗体(又はその抗原結合断片)を含有する組成物と順次又は同時に投与することができる。このような投与は、互いに約4週間以内、互いに約3週間以内、互いに約2週間以内、互いに約1週間以内、互いに1日以内、互いに約12時間以内、互いに約6時間以内、互いに約3時間以内、互いに約1時間以内、互いに約30分以内、同日、同時、又はこれらの組合せの投与だけには限られないが、これらを含む。多用量の本発明の組成物及び/又は併用療法成分を企図するとき、標準的な市販品を使用し対象の年齢、身長、体重、健康状態及び他の身体的特徴に基づいて、知られている用量及び濃度を使用して、それぞれの用量を経験的に決定することができることは理解される。
組成物を順次に投与するとき、本明細書に記載するキメラ抗エンドグリン抗体を含む組成物は、例えば、抗VEGF抗体(又はその抗原結合断片)の前及び/又は後に投与することができる。或いは、本明細書に記載するキメラ抗エンドグリン抗体を含む組成物を、抗VEGF抗体(又はその抗原結合断片)の後に投与する。
組成物を同時に投与するとき、キメラ抗エンドグリン抗体を含有する組成物は、抗VEGF抗体を含有する組成物と同じ部位、又は異なる部位に投与することができる。
更に別の実施形態において、細胞分裂促進活性、細胞増殖、腫瘍増殖、新血管形成、又は血管新生活性などの、それぞれエンドグリン又はVEGFの生物活性の1つ又は複数を阻害することができる、キメラ抗エンドグリン抗体及び抗VEGF抗体(又はその抗原結合断片)を含有する組成物(医薬品)を本明細書で提供する。
治療レジメンは、本明細書に記載するそれぞれの組成物の、単数回又は複数回の投与を含むことができることは理解されよう。組成物は単数回用量又は複数回用量で投与することができる。別個の組成物の投与は、同じ経路又は異なる経路による投与であってよい。
一実施形態では、6〜12サイクル又は腫瘍進行まで1〜3週毎に組成物を投与する。この方法は、最大2年間1〜12週毎に組成物を投与するステップを更に含むことができる。別の非制限的な例では、キメラ抗エンドグリン抗体と抗VEGF抗体(又はその抗原結合断片)の同時投与は第1週で行い、次に第1、2、3又は4週で組成物を追加投与し、この場合同時投与は6〜12サイクル又は腫瘍進行まで繰り返し、次に最大2年間1〜12週毎に組成物を投与する。
患者中の癌を治療するための方法の非制限的な一例では、この方法は、外科手術による癌の除去、及び12カ月間1〜3週又は腫瘍進行までキメラ抗エンドグリン抗体と抗VEGF抗体(又はその抗原結合断片)の投与、次に1〜12週一定用量でキメラ抗エンドグリン抗体と抗VEGF抗体(又はその抗原結合断片)の同時投与を含む。更に、キメラ抗エンドグリン抗体と抗VEGF抗体(又はその抗原結合断片)の同時投与は、最大6サイクルで1〜3週毎に繰り返すことができる。場合によっては、この方法は、最大2年間1〜12週毎に、キメラ抗エンドグリン抗体と抗VEGF抗体(又はその抗原結合断片)を投与することを更に含む。治療レジメンを本明細書で提供するモニタリング法と組合せて、他の用量のキメラ抗エンドグリン抗体と抗VEGF抗体(又はその抗原結合断片)を投与する必要があるかどうか、及びいつ投与すべきかを決定することができることは理解されよう。
併用療法は相乗及び/又は有益効果をもたらすことができ、低用量の組合せを与えて高度の安全性をもたらすことができる。本発明は、癌又は他の疾患を予防、管理、治療又は除去するための、キメラ抗エンドグリン抗体と抗VEGF抗体(又はその抗原結合断片)の予防又は治療効果を高める治療プロトコールを包含する。
一実施形態では、例えば(本明細書に記載する)血管新生阻害剤などの他の療法治療剤を対象に投与する。このような他の療法治療剤を含有する組成物は、本明細書に記載する他の組成物と併用して(順次又は同時のいずれかで)投与することができる。
本明細書に提供する癌を治療するための1つの非制限的な方法では、他の療法治療は、外科手術による癌の除去、照射、1つ又は複数の化学療法剤、又はこれらの組合せ、及び本明細書に記載する1つ又は複数の組成物の同時投与を含む。一態様では、組成物の投与は、例えば20分の静脈内注入であってよい。
したがって組成物は、活性成分以外に、当業者によく知られている、薬学的に許容される賦形剤、担体、バッファー、安定剤又は他の物質を含むことができる。このような物質は無毒でなければならず、活性成分(単数又は複数)の有効性に干渉してはならない。担体又は他の物質の正確な性質は投与の経路に依存する。
本明細書に記載する方法によって同定した抗体又は抗原結合断片を含む製剤は、望ましい純度を有するタンパク質と任意選択の生理的に許容される担体、賦形剤又は安定剤を混合することによって、凍結乾燥製剤又は水溶液の形で、保存用に調製することができる(Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.(1980))。許容される担体、賦形剤又は安定剤は、利用する用量及び濃度においてレシピエントに無毒である、担体、賦形剤又は安定剤であり、リン酸、クエン酸、及び他の有機酸などのバッファー、アスコルビン酸及びメチオニンを含めた抗酸化剤、防腐剤(オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ヘキサメトニウムクロリド、ベンザルコニウムクロリド、ベンゼトニウムクロリド、フェノール、ブチル又はベンジルアルコール、メチル又はプロピルパラベンなどのアルキルパラベン、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール、3−ペンタノール、及びm−クレゾールなど)、低分子量(約10残基未満)ポリペプチド、タンパク質、血清アルブミン、ゼラチン、又は免疫グロブリンなど、ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、又はリシンなどのアミノ酸、単糖、二糖、及びグルコース、マンノース、又はデキストリンを含めた他の炭水化物、EDTAなどのキレート剤、スクロース、マンニトール、トレハロース又はソルビトールなどの糖、ナトリウムなどの塩形成対イオン、金属複合体(例えば、Zn−タンパク質複合体)、及び/又はTWEEN(登録商標)、PLURONICS(登録商標)又はポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤を含む。
許容される担体は投与する患者に対して生理的に許容され、それと共に/その中に投与する化合物の治療性を保持する。許容される担体及びそれらの製剤は、例えばRemington’ pharmaceutical Sciences(18th Edition,ed.A.Gennaro,Mack Publishing Co.,Easton,PA 1990)中に一般的に記載される。1つの例示的な担体は生理食塩水である。本明細書で使用する語句「薬学的に許容される担体」は、一器官、又は身体の一部分の投与部位から別の器官、又は身体の一部分への、又はin vitroアッセイ系における対象化合物の運搬又は輸送に関与する、液体又は固形充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒又は封入剤などの、薬学的に許容される物質、組成物又は媒体を意味する。それぞれの担体は、製剤の他の成分と適合性があり、それを投与する対象に有害ではない意味で許容される。許容される担体は、対象化合物の特異的活性を変えてもいけない。
一態様において、投与と適合性がある、溶媒(水性又は非水性)、溶液、エマルジョン、分散媒、コーティング、等張及び吸収促進又は遅延剤を含む、薬学的に許容される又は生理的に許容される組成物を本明細書で提供する。したがって、組成物又は製剤は、対象における治療及び/又は診断用途に適した組成物を指す。組成物及び製剤は、一定量の本明細書に記載する化合物、及び薬学的又は生理的に許容される担体を含む。
特定の投与経路(即ち、全身又は局所)と適合性があるように組成物を製剤化することができる。したがって組成物は、様々な経路による投与に適した、担体、希釈剤、又は賦形剤を含む。
別の実施形態では、組成物は、必要な場合許容される添加剤を更に含み、組成物中の化合物の安定性を改善する及び/又は組成物の放出速度を制御することができる。許容される添加剤は対象化合物の特異的活性を変えない。例示的な許容される添加剤には、マンニトール、ソルビトール、グルコース、キシリトール、トレハロース、ソルボース、スクロース、ガラクトース、デキストラン、デキストロース、フルクトース、ラクトース及びこれらの混合物などの糖があるが、これらだけには限られない。許容される添加剤は許容される担体及び/又はデキストロースなどの賦形剤と組合せることができる。或いは、例示的な許容される添加剤には、ペプチドの安定性を増大し溶液のゲル化を低減するための、ポリソルベート20又はポリソルベート80などの界面活性剤があるが、これらだけには限られない。界面活性剤は、溶液の0.01%〜5%の量で組成物に加えることができる。このような許容される添加剤の添加は、保存中の組成物の安定性及び半減期を増大する。
組成物は、例えば、皮下、硝子体内、皮内、静脈内、動脈内、腹腔内、又は筋肉内注射だけには限られないが、これらを含めた注射によって投与することができる。それぞれの注射型用の組成物の製剤化において使用するための賦形剤及び担体は、本明細書において企図される。以下の記載は単なる例であり、組成物の範囲を制限することを意味するものではない。注射用組成物には、例えば、水溶液(水溶性である場合)又は分散液、及び滅菌注射溶液又は分散液の即席調製用の滅菌粉末がある。静脈内投与に関して、適切な担体には、生理食塩水、静菌水、Cremophor EL(商標)(BASF,Parsippany,N.J.)又はリン酸緩衝生理食塩水(PBS)がある。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液状ポリエチレングリコールなど)、及びこれらの適切な混合物を含有する、溶媒又は分散媒であってよい。流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用によって、分散液の場合必要な粒径の維持によって、及び界面活性剤の使用によって維持することができる。抗菌剤及び抗真菌剤は、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸及びチメロサールを含む。等張化剤、例えば、糖、マンニトール、ソルビトールなどのポリアルコール、及び塩化ナトリウムを組成物中に含めることができる。生成する溶液は使用するためにパッケージ、又は凍結乾燥することができ、凍結乾燥した調製物は後に、投与前に滅菌溶液と併用することができる。静脈内注射、又は患部への注射用に、活性成分は、発熱性物質を含まず適切なpH、等張性及び安定性を有する、非経口的に許容される水溶液の形であってよい。当業者は、例えば、塩化ナトリウム注射液、リンゲル液、乳酸加リンゲル液などの等張性媒体を使用して、適切な溶液を調製することが十分可能である。防腐剤、安定剤、バッファー、抗酸化剤及び/又は他の添加剤を必要に応じて含めることができる。滅菌注射溶液は、必要に応じて前に列挙した成分の1つ又は組合せと共に適切な溶媒中に必要量の活性成分を取り込み、次に濾過滅菌によって調製することができる。一般に、分散液は、基本分散媒及び前に列挙した成分からの必要とされる他の成分を含有する滅菌媒体中に、活性成分を取り込むことによって調製する。滅菌注射溶液を調製するための滅菌粉末の場合、調製の方法は、事前に滅菌濾過したその溶液から活性成分及び任意の他の望ましい成分の粉末を生成する、真空乾燥及び凍結乾燥である。
組成物は従来どおり硝子体内投与、皮下投与、又は硝子体内移植によって投与することができる。
組成物は、例えば単位用量の注射などによって、従来どおり静脈内投与することができる。注射用に、活性成分は、実質的に発熱性物質を含まず適切なpH、等張性及び安定性を有する、非経口的に許容される水溶液の形であってよい。例えば、塩化ナトリウム注射液、リンゲル液、乳酸加リンゲル液などの等張性媒体を使用して、適切な溶液を調製することが可能である。防腐剤、安定剤、バッファー、抗酸化剤及び/又は他の添加剤を必要に応じて含めることができる。更に、組成物はエアロゾル化によって投与することができる(Lahn et al.,Aerosolized Anti−T−cell−Receptor Antibodies Are Effective against Airway Inflammation and Hyperreactivity,Int.Arch.Allegery Immuno.,134:49−55(2004))。
一実施形態では、組成物を凍結保存して、例えば保存中の貯蔵寿命を増大する。本明細書に提供する医薬品又は任意の方法における使用に関して組成物を考慮するとき、組成物は実質的に発熱性物質を含まない可能性があり、したがって組成物は、ヒト患者に投与するとき、炎症反応又は危険なアレルギー反応を引き起こさないことは企図される。発熱性物質に関する組成物の試験及び実質的に発熱性物質を含まない組成物の調製は、当業者にはよく理解されており、市販のキットを使用して実施することができる。
許容される担体は、組成物を安定化する、吸収を増大若しくは遅延する、又はクリアランスを増大若しくは遅延する化合物を含有することができる。このような化合物は、例えば、グルコース、スクロース、又はデキストリンなどの炭水化物、低分子量タンパク質、ペプチドのクリアランス又は加水分解を低減する組成物、又は賦形剤又は他の安定剤及び/又はバッファーを含む。吸収を遅延する作用物質は、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを含む。洗浄剤を使用して、リポソーム担体を含めた組成物の吸収を安定化又は増大若しくは低減することもできる。消化から保護するために、化合物を組成物と複合体形成させて、それを酸及び酵素加水分解に耐性がある状態にすることが可能であり、又は化合物をリポソームなどの適切に耐性がある担体と複合体形成させることが可能である。消化から化合物を保護する手段は当技術分野で知られている(例えば、Fix(1996)Pharm Res.13:1760 1764;Samanen(1996)J.Pharm.Pharmacol.48:119 135、及び治療剤の経口送達用の脂質組成物を記載する米国特許第5,391,377号を参照)。
語句「薬学的に許容される」は、生理的耐性があり、対象に投与したとき、例えば胃の不調、めまいなどのアレルギー又は同様の悪反応を典型的にもたらさない分子体及び組成物を指す。
用語「単位用量」は、治療用組成物に関して使用するとき、対象に関する単位の用量として適切な物理的に明確な単位を指し、それぞれの単位は、必要な希釈剤、即ち担体、又は賦形薬と共に望ましい治療効果をもたらすように計算された所定量の活性物質を含有する。
組成物は投与製剤と適合性がある形式、及び治療有効量で投与することができる。投与する量は、治療する対象、活性成分を利用する対象の免疫系の能力、及び望まれる結合能力の程度に依存する。投与に必要とされる活性成分の正確な量は実践者の判断に依存し、各個人に特有である。初回投与及び追加抗原刺激に適したレジメも様々であるが、初回投与、次に二次注射又は他の投与による1又は複数の時間間隔での反復投与によって類型化される。或いは、血中濃度を維持するのに十分な連続静脈内注入が企図される。
一実施形態は、本明細書に記載する状態、疾患又は障害の治療用の医薬品を製造するための、本明細書に記載する組成物の使用を企図する。医薬品は治療を必要とする患者/対象の身体的特徴に基づいて製剤化することができ、状態、疾患又は障害の段階に基づいて1つ又は複数の製剤に製剤化することができる。病院及びクリニックへの配給に適したラベルを有する適切なパッケージに医薬品をパッケージすることができ、この場合ラベルは本明細書に記載する疾患を有する対象を治療する指標である。医薬品は単数回又は複数回単位としてパッケージすることができる。組成物の用量及び投与に関する説明書は、以下に記載するようにパッケージと共に含めることができる。本出願は、本明細書で前に記載したキメラ抗VEGF抗体と薬学的に許容される担体の医薬品を対象とする。別の実施形態では、本出願は、本明細書で前に記載した抗VEGF抗体(又はその抗原結合断片)と薬学的に許容される担体の医薬品を対象とする。更に別の実施形態では、本出願は、本明細書で前に記載したキメラ抗VEGF抗体及び抗VEGF抗体(又はその抗原結合断片)と薬学的に許容される担体の医薬品を対象とする。
本発明の一実施形態では、それらがヒト患者への投与に許容されるように、組成物が発熱性物質を含まないように製剤化する。発熱性物質に関する組成物の試験及び発熱性物質を含まない組成物の調製は、当業者にはよく理解されている。
本発明の一実施形態は、本発明の障害の治療用の医薬品を製造するための、本発明の任意の組成物の使用を企図する。医薬品は治療を必要とする患者/対象の身体的特徴に基づいて製剤化することができ、障害に基づいて1つ又は複数の製剤に製剤化することができる。病院及びクリニックへの配給に適したラベルを有する適切なパッケージに医薬品をパッケージすることができ、この場合ラベルは本明細書に記載する対象中の障害を治療する指標である。医薬品は1回又は複数回単位としてパッケージすることができる。組成物の用量及び投与に関する説明書は、パッケージと共に含めることができる。
III.使用法
エンドグリンと優先的に結合するキメラ抗体の組成物を対象に投与することによって、対象(ヒト又は非ヒト)を治療する方法を本明細書で提供する。本明細書に記載する方法は、抗VEGF抗体の組成物を対象に投与することによって対象(ヒト又は非ヒト)を治療することを更に含む。特定の場合、これらの方法は、キメラ抗エンドグリン抗体と抗VEGF抗体の両方を含有する一組成物を対象に投与することを含む。他の場合、これらの方法は、キメラ抗エンドグリン抗体とベバシズマブの両方を含有する一組成物を対象に投与することを含む。
本発明の有効な応答は、具体的には生存期間の延長を非制限的に含む、疾患の兆候又は症状の部分的若しくは完全な緩和又は低減を、対象が経験するときに得られる。予想される無憎悪生存期間は、再発数、疾患の段階、及び他の要因を含めた予後予測因子に応じて、数カ月から数年で測定することができる。生存期間の延長は、少なくとも1カ月(mo)、約少なくとも2カ月、約少なくとも3カ月、約少なくとも4カ月、約少なくとも6カ月、約少なくとも1年、約少なくとも2年、約少なくとも3年、約少なくとも4年、約少なくとも5年などの時間を非制限的に含む。全体又は無憎悪生存期間も、数カ月から数年で測定することができる。或いは、有効な応答は、対象の症状又は癌負荷が停滞状態であり悪化しない応答であってよい。治療指標の更なる指標は以下でより詳細に記載する。
本明細書に記載する抗体の組成物は非治療剤(例えば、親和性精製物質)として使用することができる。一般に、このような一実施形態では、対象のタンパク質は、当技術分野で知られている従来の方法を使用して、Sephadex樹脂又は濾過紙などの固相上に固定する。固定タンパク質は精製する対象の標的(又はその断片)を含有するサンプルと接触させ、その後支持体を、固定抗体と結合した標的タンパク質以外の、サンプル中の実質的に全ての物質を除去する適切な溶媒で洗浄する。最後に支持体を、グリシンバッファー、pH5.0などの別の適切な溶媒で洗浄し、これによって標的タンパク質を切り離す。精製以外に、組成物は、エンドグリン、VEGF及び血管新生と関係がある疾患及び障害の検出、診断及び治療に使用することができる。
本明細書で使用する用語「接触」は、化合物の溶液又は組成物と生物由来のポリペプチド、細胞、組織又は器官を含む液体培地を一緒に加えることを指す。或いは、「接触」は、化合物の溶液又は組成物と生物由来の血液、血清、又は血漿などの液体を一緒に混合することを指す。in vitro適用例に関して、組成物はジメチルスルホキシド(DMSO)などの別の構成要素を含むこともできる。DMSOは化合物の取込み又は化合物の可溶性を促進する。試験化合物を含む溶液は、ピペットベースのデバイス又はシリンジベースのデバイスなどの送達装置を利用することによって、細胞、組織又は器官を含む培地に加える、又は血液などの別の液体と混合することができる。in vivo適用例に関して、例えば任意の適切な手段による患者への組成物の投与によって接触を行うことができ、薬学的に許容される賦形剤及び担体を含む組成物は前でより詳細に記載している。
「対象」又は「患者」(例えば、ヒトなどの哺乳動物、又は霊長類、げっ歯類、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ラクダ、ラマなどの非ヒト動物など)は、本明細書に記載する疾患又は障害の、1つ又は複数の臨床兆候及び/又は症状を示す哺乳動物であってよい。特定の状況では、対象は無症候性である可能性があり、疾患又は障害の臨床兆候を未だ依然として有する可能性がある。抗体は、治療成分、又は治療成分を含有する融合タンパク質と結合させることが可能である。抗体は、検出可能成分、又は検出可能成分を含有する融合タンパク質と結合させることが可能である。一実施形態では、抗体は、治療成分と検出可能成分の両方と結合させることが可能である。抗体は親和性タグ(例えば、精製タグ)と結合させる、又はそれらで組換え操作することが可能である。例えばHis6タグ、アビジンなどの親和性タグは、当技術分野では従来のものである。
本明細書で提供する抗体又はその断片は、それらが治療成分及び/又はイメージング又は検出可能成分及び/又は親和性タグと結合又は連結することができるようなものである。ポリペプチドの結合又は連結に関する方法は当技術分野でよく知られている。化合物と標識の間の会合(結合)は、共有及び非共有結合、化学結合及び組換え技法だけには限られないが、これらを含めた、当技術分野で知られている任意の手段を含む。
「血管新生」は、血管の維持及び発達の全態様を含めるために本明細書で使用する。したがって血管新生は、新血管形成、並びに既存の血管系及び小血管の維持及び制御をもたらす、(de novo又は既存の血管からの形成であれ)新しい毛細血管の形成を含む。血管新生は、血管基底膜及び間質性マトリクスの内皮細胞仲介分解、内皮細胞の移動、内皮細胞の増殖、及び内皮細胞による毛細血管ループの形成を含む、一連の連続ステップを含む複雑なプロセスである。血管新生は、新たな血管の増殖及び/又は発達(新血管形成とも呼ばれる)、小血管の拡張、過剰又は長期血管増殖、及び既存の血管系の維持を含む。
用語「血管新生関連疾患」は、本明細書及び特許請求の範囲の目的で本明細書において使用して、血管新生が異常に長引いているヒト中の特定の病的プロセスを意味する。これは更に、血管新生と関連する、それによって引き起こされる、又はそれと関係がある疾患及び状態などの、血管新生状態及び疾患を含む。このような疾患の非制限的な例には、様々な型の癌及び転移、黄斑変性症、CNV、糖尿病性網膜症、又は増殖性硝子体網膜症がある。本明細書に記載する抗体を使用して、エンドグリンとの結合及び血管新生の阻害によって血管新生関連疾患を治療することができる。
用語「抗血管新生療法」を本明細書において使用して、エンドグリンを発現する(静止状態の血管系と比較して増殖血管系において高レベルで発現する)細胞及び/又は血管系を標的化する療法を意味し、これは更に、血管新生(即ち、新血管形成をもたらす新しい毛細血管の形成)を対象とする療法、既存の血管系及び/又は過剰な血管形成又は血管増殖を対象とする療法、小血管の拡張を対象とする療法、及び疾患又は状態を対象とする療法(例えば、血管標的化療法)を含む。本発明内で企図される例示的な疾患又は状態には、様々な型の癌及び転移があるが、これらだけには限られない。
用語「再発」、「ぶり返し」又は「ぶり返した」は、疾患消失の臨床評価後の癌又は疾患の逆行を指す。遠隔転移又は局所再発の診断は、ぶり返しと考えることができる。
用語「維持療法」は、以前の治療効果の維持を助けるために与えられるスケジュール化された再治療を指す。維持療法は、疾患の進行とは無関係に、癌を軽減状態に保つ又は特定療法に対する応答を延長するのを助けるために与えられることが多い。
腫瘍学における用語「無憎悪生存期間」は、癌が増殖しない治療中及びその後の時間の長さを指す。無憎悪生存期間は、患者が完全奏功又は部分奏功を経験した時間の量、及び患者が安定(stable disease)を経験した時間の量を含む。
一態様では、癌又は転移に罹患する患者に本明細書で提供する任意の組成物を投与することによって、対象中の癌又は転移を予防又は治療する方法を本明細書で提供する。このような患者は症候性又は無症候性であってよい。
いくつかの場合、組成物の投与は、治療する患者の生命を延長し、腫瘍体積を低減し、腫瘍を除去し、細胞増殖を低下させ、腫瘍細胞のアポトーシスを増大する、又はこれらの組合せである。
必要な場合、方法は、外科手術による癌の除去及び/又は追加的抗癌剤又は治療剤の投与を更に含むことができる。抗癌剤は本明細書の他の箇所で提供する。
一態様では、癌に罹患する患者の症状を改善する。改善は、例えば痛みの低下、腫瘍サイズの低下、腫瘍の除去、腫瘍サイズの増大若しくは疾患の進行の予防、転移の形成の予防、又は転移増殖の阻害、又はこれらの組合せとして現れ得る。
一態様では、組成物の投与は、患者が外科手術を受ける必要性、又は1つ又は複数の追加的抗癌剤又は治療剤を用いた治療を低減又は排除する。
キメラ抗エンドグリン抗体及び抗VEGF剤を用いた治療
同時又は異なる時間で、キメラ抗エンドグリン抗体を含有する組成物と抗VEGF抗体を含有する組成物を投与し、それによって疾患又はその重度を予防、治療、改善、又は低減することを含む、血管新生/新血管形成、過剰な血管形成、腫瘍増殖、腫瘍細胞増殖又は小血管の拡張と関係がある1つ又は複数の疾患若しくは障害を予防又は治療する方法を本明細書で提供する。
組成物の組合せを投与することを含む、血管新生/新血管形成と関係がある1つ又は複数の疾患若しくは障害を予防又は治療する方法を本明細書で提供する。
本明細書で使用する「予防」は、症状の発症の予防法、予防、血管新生と関係があるか又はエンドグリン活性に関連する疾患若しくは障害の進行の予防を指す。本明細書で使用する「阻害」、「治療」及び「治療する」は交互に使用し、例えば、症状の停滞、生存期間の延長、症状の部分的又は完全な改善、及び腫瘍若しくは転移の部分的又は完全な根絶を指す。
任意の医学治療に適用可能な妥当な利点/リスク比で疾患又は障害を阻害することによって、ある程度の望ましい治療効果をもたらすのに有効である治療有効量で、患者に組成物を投与することができる。ヒト患者への本発明の組成物の投与のため、当業者に知られている方法によって組成物を製剤化することができる。治療有効量は、器官又は組織において少なくとも部分的に望ましい治療又は予防効果を得る量である。疾患又は障害の予防及び/又は療法治療をもたらすのに必要なキメラ抗エンドグリン抗体又は抗VEGF抗体の量は、それ自体は固定されていない。投与する抗体の量は、疾患又は障害に罹患する哺乳動物の疾患の型、疾患の拡大、及び大きさと共に変わる可能性がある。一実施形態では、本明細書に記載する2つの抗体を、前に記載したように併用して患者に投与する。投与の併用は、一組成物又は別個の組成物での投与を指すことができる。
「投与」は、患者の身体内に組成物をもたらす形式で、患者に1つ又は複数の組成物を与えることを本明細書では指す。このような投与は、皮下、硝子体内、皮内、静脈内、動脈内、腹腔内、又は筋肉内投与(例えば注射)による局所、局部又は全身投与を非制限的に含む、任意の経路による投与であってよい。
組成物中の活性成分の実際の用量レベルは、患者に対する毒性なしで、特定の患者、組成物、及び投与の形式に望ましい治療応答を得るのに有効な量の活性成分を得るように変えることが可能である。選択する用量レベルは、利用する個々の化合物の活性、投与の経路、投与の時間、利用する個々の化合物の分泌率、治療の期間、利用する個々の化合物と併用使用する他の薬剤、化合物及び/又は物質、治療する患者の年齢、性別、体重、状態、一般的健康状態及び以前の病歴、及び医学分野でよく知られている同様の要因を含めた、様々な要因に依存する。
本明細書に記載する抗体は、様々な投与量及び様々な時間枠で対象に投与することができる。非制限的な用量は、約0.01mg/kg、約0.05mg/kg、約0.1mg/kg、約0.5mg/kg、約1mg/kg、約5mg/kg、約10mg/kg、約20mg/kg、約30mg/kg、又はこの間の任意の整数を含む。更に、(1つ又は複数の)用量の抗体を、週二回、週一回、2週毎、3週毎、4週毎、6週毎、8週毎、12週毎、又はこれらの週の任意の組合せで投与することができる。例えば2、3、4、5又は6週、次に療法なしで1、2、3、4、5、又は6週の週一回又は二回の抗体投与などの、投与サイクルも企図される。或いは、療法に対する対象の応答性に応じて、治療間のサイクル時間は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12カ月であってよい。例えば本明細書に記載する異なる用量の組合せ及び週一回サイクルを含めた、別の投与サイクルも本発明の範囲内で企図される。
「接触」は、本明細書に記載するように、本明細書で提供する組成物を細胞、器官、組織又は流体と物理的に近づける手段として本明細書では定義する。接触は、本明細書で提供する任意の組成物の全身又は局所投与を包含し、in vitro、in vivo及び/又はex vivoの手順及び方法を比制限的に含む。「併用」と「接触」は本明細書では交互に使用して、同様に定義することを意味する。
医師又は獣医師は、必要とされる組成物の有効量(ED50)を容易に決定し処方することができる。例えば、医師又は獣医師は、必要とされるより低いレベルにおいて組成物中に利用する化合物の投与で始め、望ましい治療効果を得て、望ましい効果が得られるまで用量を徐々に増大することが可能である。或いは、用量は一定に保つことができる。
前に記載した経路などの任意の好都合な経路によって、患者に組成物を投与することができる。選択する投与の経路とは無関係に、適切な水和型で使用することができる本発明の化合物、及び/又は組成物は、以下に記載するように、又は当業者に知られている他の従来の方法によって許容される剤形に製剤化する。
化合物の毒性及び治療有効性は、例えば、LD50(集団の50%に致命的である用量)及びED50(集団の50%において治療上有効である用量)を決定するための、標準的な手順によって細胞培養又は実験動物において決定することができる。毒性と治療有効性の間の用量比は治療指数であり、それは比LD50/ED50として表すことができる。毒性副作用を示す化合物を使用することができる一方で、罹患組織部位にこのような化合物を標的化する送達系を設計するのに注意を払い、健常細胞に対する考えられる損傷を最小にし、それによって副作用を減らさなければならない。
細胞培養アッセイ及び/又は動物試験から得たデータは、ヒトにおける使用のために一定範囲の用量で製剤化する際に使用することができる。このような化合物の用量は、毒性がほとんど又は全くない状態で、ED50を含む循環濃度の範囲内に存在することが好ましい。利用する剤形及び利用する投与経路に応じて、用量はこの範囲内で変わる可能性がある。任意の化合物に関して、治療有効用量は細胞培養アッセイから初期に推測することができる。用量は動物モデルにおいて処方して、細胞培養において決定するIC50(即ち、半最大阻害を得る試験化合物の濃度)を含む循環血漿濃度範囲を得ることができる。血漿中のレベルは、例えば高性能液体クロマトグラフィーによって測定することができる。このような情報を使用して、ヒト中で有用な用量をより正確に決定することができる。化合物の組合せを含有する組成物は、任意のこれらの方法を使用して評価することもできる。
一実施形態では、本発明は組織中の血管新生の阻害を企図する。組織中の血管新生の程度、及び、したがって得られる阻害の程度は、本明細書に記載するように様々な方法によって評価することができる。
エンドグリン又はVEGFを認識し(例えば、優先的に結合する)血管新生を阻害する抗体の独自の特異性は、血管新生(新血管形成)、小血管の拡張、過剰な血管形成、腫瘍細胞増殖、及び/又は腫瘍増殖によって特徴付けられる疾患用の診断及び治療用途を与える。抗体は様々な型の癌(原発性腫瘍及び転移)に罹患する対象に投与することができる。
本明細書に記載する組成物の投与以外に、1つ又は複数の追加的血管新生阻害剤で対象を治療することも可能であることが、本明細書において企図されることは理解されよう。
用語「血管新生阻害剤」は、本明細書及び特許請求の範囲の目的で本明細書において使用して、血管新生を阻害するために機能する、ペプチド、タンパク質、酵素、多糖、オリゴヌクレオチド、DNA、RNA、組換えベクター、及び薬剤だけには限られないが、これらを含めた化合物又は分子を意味する。血管新生阻害剤は当技術分野で知られており、全ての型は本明細書において企図される。化合物及び分子の非制限的な例には、パクリタキセル、O−(クロロアセチル−カルボミル)フマギロール(「TNP−470」又は「AGM1470」)、トロンボスポンジン−1、トロンボスポンジン−2、アンギオスタチン、ヒト軟骨細胞由来血管新生阻害剤(「hCHIAMP」)、軟骨由来血管新生阻害剤、血小板因子−4、グロ−β、ヒトインターフェロン誘導性タンパク質10(「IP10」)、インターロイキン12、Ro318220、トリシクロデカン−9−イルキサンテート(「D609」)、イルソグラジン、8,9−ジヒドロキシ−7−メチル−ベンゾ[b]キノリジニウムブロマイド(「GPA1734」)、メドロキシプロゲステロン、ヘパリンとコルチゾンの組合せ、グルコシダーゼ阻害剤、ゲニステイン、サリドマイド、ジアミノ−アントラキノン、ヘルビマイシン、ウルソル酸、及びオレアノール酸などの天然及び合成生体分子がある。抗体の非制限的な例には、VEGF、VEGF受容体、又はエンドグリンの異なるエピトープなどの分子を対象とする抗体がある。更に、VEGF受容体の小分子阻害剤が知られており、本明細書において企図される。VEGF受容体阻害剤の非制限的な例には、ラニビズマブ(LUCENTIS)、アフリベルセプト(VEGF−Trap)、スニチニブ(SUTENT)、ソラフェニブ(NEXAVAR)、アキシチニブ、ペガプタニブ及びパゾパニブがある。
非制限的な一実施形態では、VEGF受容体阻害剤はラニビズマブである。例示的なラニビズマブの眼部用量は、月に一度硝子体内に投与する約0.5mgを含む。非制限的な一実施形態では、VEGF受容体阻害剤はVEGF−Trapである。例示的なVEGF−Trapの用量は、2又は3週毎に投与する約0.5〜約10mg/kgを含む。例示的なVEGF−Trapの眼部用量は、月1回又は年4回硝子体内に投与する約0.5〜約2.0mg/kgを含む。
非制限的な別の実施形態では、VEGF受容体阻害剤はスニチニブである。例示的なスニチニブのレジメンは、4週間約50mgを投与し、次に2週間薬剤なしを含む。治療レジメンは周期的又は非周期的に繰り返すことができる。
非制限的な別の実施形態では、VEGF受容体阻害剤はソラフェニブである。例示的なソラフェニブの用量は、1日1回投与する約400mgを含む。
非制限的な別の実施形態では、VEGF受容体阻害剤はアキシチニブである。例示的なアキシチニブの用量は、1日2回投与する約3、約5、又は約10mgを含む。
非制限的な別の実施形態では、VEGF受容体阻害剤はペガプタニブである。例示的なペガプタニブの用量は、6週毎に硝子体内に投与する約0.3〜約3mgを含む。
非制限的な更に別の実施形態では、VEGF受容体阻害剤はパゾパニブである。例示的なパゾパニブの用量は、1日1回投与する約200〜約1000mgを含む。
これらのVEGF受容体阻害剤の多数の併用は、本明細書に記載する組成物と共に投与することができる。一実施形態では、併用は低用量の記載する抗体又は抗原結合断片の使用をもたらす可能性がある。このような用量の改変は、抗体の併用の相乗効果に原因がある可能性がある。
癌
CD105は腫瘍血管新生と関係があり、正常組織中のそれと比較して様々な腫瘍組織の内皮中で強く上方制御される。CD105は広範囲の腫瘍内皮において上方制御される。更に、対応する正常組織より強いCD105の発現が腫瘍内皮において存在する。したがって、キメラ抗エンドグリン抗体を用いた血管新生の阻害は、癌性腫瘍の治療オプションとなる。本明細書に記載する組成物を使用して、癌性腫瘍及び転移を治療することができる。癌性腫瘍及び転移を治療するための医薬品の製剤化において、組成物を使用することもできる。
VEGFは抗腫瘍療法の一標的となる。その発現が一定範囲の固形腫瘍において上方制御されるからである。VEGFは、血管新生、既存の血管からの新たな血管の増殖の主なレギュレーターである。このプロセスは固形腫瘍の増殖の根本にあり、新たな血管の形成に頼るものである。特定の小分子療法剤は血管内皮増殖因子受容体(「VEGFR」)を標的化することができ、小分子療法剤によるこのような標的化は抗癌効果をもたらすことができる。VEGF受容体標的化作用物質は、新たな血管形成の阻害によって腫瘍増殖を間接的に遮断する。VEGF誘導血管新生を阻害することによって、マクロファージ、骨芽細胞又は軟骨吸収細胞のVEGF刺激を著しく阻害せずに、抗腫瘍又は改善された抗腫瘍効果を発揮することができる。
用語「腫瘍」は、(同型の正常組織による発現と比較して)エンドグリン及び/又はVEGFを発現する癌性組織を指すために本明細書で使用する。腫瘍は固形腫瘍及び半固形腫瘍を含むことができる。腫瘍の非制限的な例には、非T細胞型(非T)急性リンパ芽球性白血病(ALL)、骨髄単球性白血病を含めたヒト白血病、並びに、血管肉腫、乳癌腫、胃癌腫、結腸癌腫、ホジキンリンパ腫、リンパ腫、多形膠芽腫(GBM)、肺癌腫、メラノーマ、ミエローマ、リンパ腫、骨肉腫、卵巣癌腫、耳下腺腫瘍、咽頭癌腫、前立腺癌腫、肝細胞癌腫、腎臓癌腫、及び直腸S字結腸癌腫を含めた、ヒト固形腫瘍及び半固形腫瘍、並びに(同型の正常組織による発現と比較して)中〜高レベルでエンドグリンを発現するその周囲の血管系がある。
治療する癌性組織は、例えば、異常なレベルのエンドグリン及び/又はVEGFを発現する内皮組織である。
腫瘍組織の新血管形成の不在下では、腫瘍組織は必要な栄養素が得られず、増殖が遅れ、更なる増殖が停止し、退化し最終的には壊死状態になり、腫瘍の殺傷に至る。腫瘍の血管新生を阻害することによって、腫瘍の新血管形成を阻害する方法を本明細書で提供する。同様に、腫瘍の増殖を阻害する方法を本明細書で提供する。
これらの方法は、転移の形成に対しても特に有効である。それらの形成は、転移性癌細胞が原発性腫瘍から出ることができるような原発性腫瘍の血管形成を必要とし、二次部位中でのそれらの樹立は転移増殖をサポートするための新血管形成を必要とするからである。
本発明の「癌/転移に罹患する対象」は、突然変異タンパク質(腫瘍関連抗原)又は突然変異遺伝子を発現する可能性があり、未だ疾患の前兆を示していないことは理解されよう。(突然変異K−rasタンパク質と関連がある)結腸癌の非制限的な一実施形態では、結腸のいくつかの細胞中の突然変異K−rasタンパク質を有する対象は、その対象が未だ結腸癌の前兆を示していない可能性がある場合でも、治療する対象である。「疾患の前兆又は症状」は、臨床的に認められた疾患の出現又は指標を表す。
腫瘍又は転移に罹患する対象を「治療すること」によって、対象の症状が、治療後に部分的に軽減されている、完全に軽減されている、又は停滞状態であることを意味する。治療されている患者は、腫瘍量の部分的又は完全な軽減を示すことができる。これは予防、療法及び治癒を含むものとする。非制限的な一例では、高転移性の癌(例えば、乳癌)に罹患する対象を治療し、この場合更なる転移がいずれかで生じる、又は治療を受けていない対象と比較して数が減少する。非制限的な別の例では、対象を治療し、この場合治療を受けていない対象と比較して、対象の固形癌は大きさが減少した状態、又は大きさが増大しない状態のいずれかになる。非制限的な更に別の例では、治療した対象中の癌細胞の数は、治療を受けていない対象中の癌細胞の数と比較して増大しないか、又は減少するかのいずれかである。例えば、細胞増殖の低下、細胞数の低下、アポトーシスの増大、及び/又は治療する対象の生存期間の増大として、改善を定義することもできる。
本明細書で更に使用するように、癌の治療は、癌の増殖又は腫瘍の停滞、部分的又は完全な排除を含む。治療又は部分的排除は、例えば、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約10倍、約20倍、約50倍、又はこの間の任意の低下倍数などの、増殖又は腫瘍の大きさ及び/又は体積の一定倍数の低下を含む。同様に、治療又は部分的排除は、約1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%又はこの間の任意の低下率の、増殖又は腫瘍の大きさ及び/又は体積の低下率を含むことができる。
本明細書に記載する方法中で治療する腫瘍又は癌には、肺癌、婦人科悪性腫瘍、メラノーマ、乳癌、脳癌(例えば、多形膠芽腫、「GBM」又はグリオーマ)、膵臓癌、卵巣癌、子宮癌、結腸直腸癌、前立腺癌、腎臓癌、頭部癌、肝臓癌(肝細胞癌)、頸部癌、腎臓癌(腎臓細胞癌)、陰茎癌、胃癌、甲状腺癌、膀胱癌、肉腫、癌腫、ミエローマ、及びリンパ腫があるが、これらだけには限られない。一実施形態では、治療する腫瘍は固形又は半固形腫瘍である。別の実施形態では、治療する腫瘍は原発性腫瘍である。別の実施形態では、治療する腫瘍は転移性腫瘍である。一実施形態では、治療する腫瘍又は癌は上皮起源である。別の実施形態では、治療する癌はミエローマである。別の実施形態では、治療する癌は卵巣癌である。別の実施形態では、治療する癌は腎臓/腎癌である。更に別の実施形態では、治療する癌は肝細胞/肝臓癌である。
肺癌
一態様において、肺癌を治療する方法を本明細書で提供する。最も一般的な型の肺癌は非小細胞肺癌(NSCLC)であり、これは肺癌の約80〜85%を占め、扁平上皮細胞癌、腺癌、及び大細胞未分化癌に分けられる。小細胞肺癌は肺癌の15〜20%を占める。
肺癌の段階付けは、その本来の源からの癌の拡大度の評価である。それは、肺癌の予後及び考えられる治療に影響を与える重要な因子である。非小細胞肺癌は、IA(「1A」、最良予後)からIV(「4」、最悪予後)に段階付けされる。小細胞肺癌は、それが胸部の半分に限られ一放射線領域内に存在する場合は限局型として分類され、それ以外の場合、それは進展型である。
非小細胞肺癌は、EUS(内視鏡超音波検査)又はCT若しくはMRIスキャンを使用して又は外科手術時に段階付けして、TNMシステムに従い疾患の程度を分類することができる。これらの対象は予後及び治療を考慮するプロセスの一部として段階を経る。AJCCはTNM段階付け、次に更なるグループ分けを推奨する。
原発性腫瘍(T):TX:原発性腫瘍を評価することができない、又は痰又は気管支肺胞洗浄液中に悪性腫瘍細胞が存在するが、ただしイメージング又は気管支鏡検査法で見られない。Tis:癌腫、in situ。T0:原発性腫瘍の痕跡なし。T1:肺又は臓側胸膜によって囲まれた、その最大寸法で3cm未満の腫瘍、主気管支への気管支鏡検査法による進入なし。T2:3cmを超える最大寸法、主気管支へ拡大した(ただし竜骨から2cmを超えて遠位にある)、及び閉塞性肺炎(ただし肺全体は含まない)のいずれかである腫瘍。T3:胸壁、横隔膜、縦隔胸膜、又は壁側心膜に進入した、主気管支へ拡大した、竜骨の2cm以内、ただし竜骨を含まず、及び肺全体の閉塞性肺炎のいずれかである腫瘍。T4:縦隔、心臓、大血管、気管、食道、脊椎骨、又は竜骨に進入した、同じ肺葉中の別個の腫瘍節、及び悪性胸水のいずれかである腫瘍。リンパ節(N):NX:リンパ節を評価することができない、N0:リンパ節を含まない、N1:同側気管支周囲又は同側肺門リンパ節に転移。N2:同側縦隔又は竜骨下リンパ節に転移、及びN3:同側鎖骨上リンパ節、同側斜骨筋リンパ節、及び反対側リンパ節のいずれかに転移。遠隔転移(M):MX:遠隔転移を評価することができない、M0:遠隔転移無し、及びM1:遠隔転移が存在する。
子宮癌/婦人科悪性腫瘍
子宮癌は、子宮内で生じる任意のいくつかの異なる型の癌、即ち、子宮肉腫(例えば、子宮筋層、又は子宮の筋肉層の肉腫は平滑筋肉腫であることが最も一般的である)、子宮体癌、及び子宮頸癌を指すことができる。
別の態様において、子宮体癌を治療するための方法を本明細書で提供する。子宮体癌は、子宮体、子宮の内膜で始まる癌である。子宮及び子宮体の癌のいくつかの例には、腺癌、腺類癌、腺扁平上皮癌、乳頭状漿液性腺癌、明細胞腺癌、子宮肉腫、間質性肉腫、悪性混合ミュラー管腫瘍、及び平滑筋肉腫があるが、これらだけには限られない。
別の態様において、方法は子宮頸癌、好ましくは頸部上皮の腺癌を治療する。この癌の2つの主な型、扁平上皮細胞癌及び腺癌が存在する。前者は全ての子宮頸癌の約80〜90%を構成し、子宮外膜(膣に最も近い部分)と子宮頸内膜(子宮に最も近い部分)が接合する箇所で発症する。後者は子宮外膜の粘液産生腺細胞中で発症する。いくつかの子宮頸癌はこの両方の特徴を有し、腺扁平上皮癌又は混合型癌腫と呼ばれる。
卵巣癌
別の態様において、上皮性卵巣腫瘍を含めた卵巣癌を治療するための方法を本明細書で提供する。
卵巣癌は、病理報告で得られる腫瘍の組織学に従って分類される。卵巣上皮癌としても知られる表面上皮−間質性腫瘍は、最も典型的な型の卵巣癌である。それは漿液性腫瘍、子宮内膜性腫瘍、及び粘液性嚢胞腺癌を含む。エストロゲン産生顆粒膜細胞腫瘍及び男性化セルトリライディッヒ細胞腫瘍又は男性胚細胞腫を含めた生殖索−間質性腫瘍は、卵巣癌の8%を占める。生殖細胞腫瘍は卵巣腫瘍の約30%、ただし卵巣癌のわずか5%を占める。大部分の生殖細胞腫瘍は奇形腫であり、大部分の奇形腫は良性であるからである。生殖細胞腫瘍は、若い女性及び少女において生じる傾向がある。予後は生殖細胞腫瘍の具体的な組織学に依存するが、全体的に良好である。混合型腫瘍は、前述の腫瘍組織学のクラスの2つ以上の要素を含有する。
卵巣癌は二次癌、身体中の他の箇所の原発性癌からの転移の結果である可能性もある。一般的な原発性癌は、乳癌及び胃腸癌である(この場合卵巣癌はクルーケンベルグ癌である)。表面上皮−間質性腫瘍は腹膜(腹腔の内膜)に由来する可能性があり、この場合卵巣癌は原発性腹膜癌の二次癌であるが、治療は基本的には腹膜に関する原発性表面上皮−間質性腫瘍と同じである。
卵巣癌の段階付けはFIGO段階付けシステムによるものであり、子宮全摘出手術、卵巣と輸卵管の両方の除去、細胞学のための腹腔内網、及び骨盤(腹膜)洗浄を含み得る外科手術後に得た情報を使用する。AJCCの段階はFIGOの段階と同じである。
段階Iは、1つ又は2つの卵巣に限られる卵巣癌を指す。IA−1つの卵巣に関する、被膜が完全状態、卵巣表面上に腫瘍なし、腹水又は腹膜洗浄液中に悪性腫瘍細胞なし、IB−2つの卵巣に関する、被膜が完全状態、卵巣表面上に腫瘍なし、陰性洗浄、及びIC−以下のいずれか、被膜破裂、卵巣表面上の腫瘍である卵巣に限られる腫瘍、陽性洗浄。
段階IIは骨盤延長又は移植を指す。IIA−子宮又は輸卵管への延長又は移植、陰性洗浄、IIB−他の骨盤構造への延長又は移植、陰性洗浄、及びIIC−骨盤延長又は移植、及び陽性腹膜洗浄。
段階IIIは顕微鏡で観察される骨盤外の腹膜移植を指し、又は小腸又は腹腔内網に延長した骨盤に限定する。IIIA−顕微鏡で観察される骨盤を超えた腹膜転移、IIIB−顕微鏡で観察される2cm未満の大きさの骨盤を超えた腹膜転移、及びIIIC−2cmを超える骨盤を超えた腹膜転移又はリンパ節転移。
段階IVは肝臓又は腹腔外への遠隔転移を指す。
傍大動脈リンパ節転移は局所リンパ節と考えられる(段階IIIC)。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載する方法は、以下:卵巣中の腺癌、及び卵巣から腹腔に移動した腺癌から選択される卵巣癌を治療する。
メラノーマ
メラノーマは、主に皮膚だけでなく腸及び眼(ぶどう膜メラノーマ)でも見られるメラニン細胞の悪性腫瘍である。それは稀な型の皮膚癌の1つであるが、大部分の皮膚癌関連死を引き起こす。悪性メラノーマは、メラニン細胞と呼ばれる色素細胞の制御不能な増殖によって引き起こされる、重度の型の皮膚癌である。メラノーマは、脈絡膜メラノーマ、悪性メラノーマ、皮膚メラノーマ及び眼内メラノーマも含むが、これらだけには限られない。
メラノーマは、以下の型、悪性ほくろ、悪性ほくろメラノーマ、表在性メラノーマ、末端性ほくろ性メラノーマ、粘膜メラノーマ、小節メラノーマ、ポリープ状メラノーマ、線維形成性メラノーマ、メラニン欠乏性メラノーマ、軟部組織メラノーマ、及びぶどう膜メラノーマに分けることができる。メラノーマの段階は以下の通りである:
段階0−メラノーマin situ(クラークレベルI)。
段階I/II−浸潤性メラノーマ、T1a:1.00mm未満の原発性、潰瘍形成なし、クラークレベルII−III、T1b:1.00mm未満の原発性、潰瘍形成あり又はクラークレベルIV−V、及びT2a:1.00〜2.00mmの原発性、潰瘍形成なし。
段階II−高リスクメラノーマ、T2b:1.00〜2.00mmの原発性、潰瘍形成あり、T3a:2.00〜4.00mmの原発性、潰瘍形成なし、T3b:2.00〜4.00mmの原発性、潰瘍形成あり、T4a:4.00mm以上の原発性、潰瘍形成なし、及びT4b:4.00mm以上の原発性、潰瘍形成あり。
段階III−局所転移、N1:1つの陽性リンパ節、N2:2〜3つの陽性リンパ節又は局所皮膚/未達転移、及びN3:4つの陽性リンパ節又は局所皮膚/未達転移。
段階IV−遠隔転移、M1a:遠隔皮膚転移、正常LDH、M1b:肺転移、正常LDH、及びM1c:他の遠隔転移、又は任意の遠隔転移、及び高LDH。
一実施形態では、本明細書に記載する方法はメラノーマを治療する。
結腸癌及び結腸直腸癌
(結腸癌又は大腸癌とも呼ばれる)結腸直腸癌は、結腸、直腸(肛門)及び突起中での癌増殖を含む。一年当たり世界中で655,000人が死に至っており、それは癌の三番目に最も一般的な型であり、西欧諸国では癌関連死の第二の主たる原因である。多くの結腸直腸癌は、結腸中の腺腫性ポリープから生じると考えられる。これらのマッシュルーム様の増殖は通常良性であるが、いくつかは経時的に癌に発達する可能性がある。
別の実施形態では、デュークス分類法を使用し、段階A〜Dに基づいて結腸直腸癌を分類することができる。段階Aは、粘膜に限られる(即ち、腸壁を介して浸潤していない)結腸直腸癌を指す。段階B1は、固有筋層に延長しているが、それに浸透していない(即ち、リンパ節が浸潤されていない)状態を指し、一方で段階B2の癌は固有筋層に浸透しているが、それに浸透していない(即ち、リンパ節が浸潤されていない)。段階C1は、固有筋層に延長しているがそれに浸透していない(即ち、リンパ節を含む)癌を指し、一方で段階C2は、固有筋層に延長しておりそれに浸透している(即ち、リンパ節を含む)癌を指す。段階Dは遠隔転移拡大を指す。TNMシステムを使用して、当技術分野で知られている従来の手段に従い結腸直腸癌を段階付けすることもできる。
乳癌
本明細書に記載する方法によって治療することができる、いくつかの型の乳癌が存在する。in situ小葉癌及びin situ乳管癌は、それぞれ小葉及び乳管において発達しているが、乳房又は身体の他の領域周辺の脂肪組織には拡大していない乳癌である。浸潤性(又は浸襲性)小葉癌及び乳管癌は、それぞれ小葉及び乳管において発達しているが、乳房の脂肪組織及び/又は身体の他の部分のいずれかに拡大している癌である。一態様において、乳腺中の管組織の乳管癌、Her2−及び/又はER−及び/又はPR−である乳癌などの、乳癌を治療するための方法を本明細書で提供する。これらの方法による治療から恩恵を受ける可能性がある他の乳癌は、髄様癌、粘液癌、管状癌、及び炎症性乳癌である。
一実施形態では、TNMシステムに従い乳癌を段階付けする。予後は段階付けの結果と密接な関係があり、更に段階付けを使用して、臨床試験と臨床診察の両方で治療を患者に割り当てる。
簡単に言うと、段階付けに関する情報は以下の通りである。TX:原発性腫瘍を評価することができない。T0:腫瘍の痕跡なし。Tis:癌腫、in situ、浸襲なし。T1:腫瘍が2cm以下である、T2:腫瘍は2cmを超えるが、5cmは超えない、T3:腫瘍が5cmを超える、T4:胸壁又は皮膚、又は炎症性乳癌に増殖する任意の大きさの腫瘍。NX:付近のリンパ節を評価することができない。N0:癌が局所リンパ節に拡大していない。N1:癌が1〜3の上顎又は1つの内乳房リンパ節に拡大している。N2:癌が4〜9の上顎リンパ節又は多数の内乳房リンパ節に拡大している。N3:以下の1つに当てはまる。癌が10つ以上の上顎リンパ節に拡大している、又は癌が鎖骨(鎖骨)下のリンパ節に拡大している、又は癌が鎖骨上のリンパ節に拡大している、又は癌が上顎リンパ節を含み、内乳房リンパ節が延長している、又は癌が4つ以上の上顎リンパ節を含み、微量の癌がセンチネルリンパ節生検における内乳房リンパ節において見られる。MX:遠隔拡大(転移)の存在を評価することができない。M0:明確な拡大なし。M1:(鎖骨上リンパ節を含まない)遠隔器官への拡大が生じている。
膵臓癌
別の態様において、以下:膵管組織中の上皮性腫瘍、及び膵管中の腺癌から選択される、膵臓癌を治療する方法を本明細書で提供する。最も一般的な型の膵臓癌は、膵管の内膜中で生じる腺癌である。
一実施形態では、本明細書に記載する方法は膵臓癌を治療する。
前立腺癌
他の一態様において、以下:腺癌又は骨に移動している腺癌から選択される、前立腺癌を治療する方法を本明細書で提供する。前立腺癌は、尿道の第一部分周囲の男性の前立腺器官で発症する。前立腺はいくつかの細胞型を有するが、99%の腫瘍は精液の生成を担う腺細胞で発症する腺癌である。
前立腺癌を段階付けするために一般に使用される2つのスキームが存在する。最も一般的なのは、腫瘍の大きさ、関連リンパ節の程度、及び任意の転移(遠隔拡大)を評価するTNMシステムである。多くの他の癌と同様に、これらは4段階(I〜IV)に分けられることが多い。低頻度で使用される別のスキームはWhitmore−Jewett病期分類システムである。
簡単に言うと、段階Iの疾患は、前立腺組織を良性前立腺肥大症などの他の理由で除去した、細胞が正常細胞に非常に類似している、診察する指が前立腺を正常だと感じるときに、サンプルの小部分中に偶然見られる癌である。段階IIでは、より多くの前立腺が関与し、前立腺内に塊を感じることができる。段階IIIでは、腫瘍が前立腺被膜を介して拡大し、前立腺の表面上に塊を感じることができる。段階IV疾患では、腫瘍が近辺の構造に浸襲し、又はリンパ節若しくは他の器官に拡大している。段階付けは、疾患の破壊的可能性及び最終予後の評価を与える生検(グリーソン)からの細胞含有物及び組織構造に基づく。
一実施形態では、本明細書に記載する方法は前立腺癌を治療する。
頭頸部癌
頭頸部癌(例えば経口、咽頭、鼻咽頭、食道など)は、唇、口腔(口)、鼻腔、副鼻腔、咽頭、及び咽頭部を含めた上部気道消化管由来の生物学的に類似した癌の群を指す。大部分の頭頸部癌は、これらの領域の粘膜内膜(上皮)由来の扁平上皮細胞癌である。頭頸部癌は首のリンパ節に拡大することが多く、これは診断時において最初の(及び時には唯一の)疾患の出現であることが多い。頭頸部癌は、喫煙、アルコール消費、及び性感染症ヒトパピローマウイルスの特定株を含めた、特定の環境及び生活習慣危険因子と強く関係している。頭頸部癌を有する患者の管理は依然として手に負えない仕事である。下咽頭癌、咽頭癌、鼻咽頭癌、中咽頭癌などの癌は、本明細書に記載する化合物を使用して治療することができる。
一実施形態では、本明細書に記載する方法は頭頸部癌を治療する。
腎臓癌
別の態様において、腎臓癌を治療する方法を本明細書で提供する。(腎臓細胞癌、腎臓細胞癌腫、腎臓腺癌、及び副腎腫とも呼ばれる)腎臓癌は、腎細管の内膜中に悪性腫瘍細胞が見られる疾患である。腎臓細胞癌腫は、近位腎細管から生じる最も一般的な型の腎臓癌である。それは成人における最も一般的な型の腎臓癌であり、症例の約80%を占める。
一実施形態では、本明細書に記載する方法は腎臓癌を治療する。
肝臓癌
別の態様において、原発性肝臓癌(肝臓中で始まる癌)を治療する方法を本明細書で提供する。原発性肝臓癌は、成人と子供の両方で生じる可能性がある。肝臓癌は、悪性肝臓腫瘍、肝臓上又は中の腫瘍若しくは増殖の存在によって特徴付けられる。それらは(癌そのもの以外の異なる理由でも)医用画像で発見することができ、又は腹部塊、腹部痛、黄疸、又はいくらか他の肝機能不全として患者中に存在する可能性がある。いくつかの型の肝臓癌が存在する。
血管腫:これらは最も一般的な型の良性肝臓腫瘍である。これらは血管で始まる。大部分のこれらの腫瘍は症状を引き起こさず、これらは治療を必要としない。いくつかは出血する可能性があり、それが中程度から重度である場合は除去する必要がある。
肝腺腫:これらの良性上皮肝臓腫瘍は肝臓内で発症する。それらは、大抵の場合右肝葉に位置し、孤立して見られることが多い。腺腫の大きさは1〜30cmの範囲である。肝腺腫と関係がある症状は、強烈な腹部痛を引き起こす可能性がある大きな病変といずれも関係がある。
限局性結節性過形成:限局性結節性過形成(FNH)は、二番目に最も一般的な肝臓の腫瘍である。この腫瘍は、先天性動静脈奇形の肝細胞の応答の結果である。このプロセスは肝臓の全ての正常成分が存在するプロセスであるが、それらが示されるパターンは異常である。これらの条件が存在する場合でも、肝臓は依然として正常範囲で機能するようである。
肝細胞癌:肝細胞癌(HCC)は、最も一般的な肝臓の癌である。それは過度の飲酒及びB型肝炎感染と関係があり、特にアジアで広まっている。大部分のHCCは、外科的手術による治癒が可能ではないときに検出され、切除不能HCCの全身治療は1年未満の生存と関係がある。
一実施形態では、本明細書に記載する方法は肝臓癌を治療する。
リンパ腫
リンパ腫は、免疫系のリンパ球において生じる型の癌である。それらはリンパ節において生じることが多く、節(腫瘍)の拡大として現れる。リンパ腫はリンパ性白血病と密接に関連があり、これもリンパ球において生じるが、典型的には循環血液及び骨髄(造血と呼ばれるプロセス中で血液細胞が生成される場所)のみと関係があり、通常腫瘍は形成しない。多くの型のリンパ腫が存在し、したがって、リンパ腫は血液腫瘍と呼ばれる広域群の疾患の一部である。いくつかの型のリンパ腫は無痛であり(例えば、小リンパ球性リンパ腫)、治療なしでも長寿と適合し、一方で他の型は攻撃性であり(例えば、バーキットリンパ腫)、急速な悪化及び死を引き起こす。
2001年に公開され2008年に更新されたWHOの分類法、http://en.wikipedia.org/wiki/Lymphoma−cite_note−isbn92−832−2411−6−2#cite_note−isbn92−832−2411−6−2はリンパ腫の最新の分類法であり、「改訂版ヨーロッパ−アメリカリンパ腫分類法」(REAL)内に築かれた礎に基づく。このシステムは、細胞型によってリンパ腫を分類し(即ち、腫瘍に最も類似した正常細胞型)、表現型、分子又は細胞発生特性を定義する。3つの大きな群、B細胞、T細胞、及びナチュラルキラー細胞腫瘍が存在する。他のあまり一般的ではない群も認められている。ホジキンリンパ腫は、WHO(及び以前の)分類法内では別個に考えられているが、明らかに異常ではあるが、成熟B細胞系のリンパ球の腫瘍として現在は認められている。
一実施形態では、本明細書に記載する方法はリンパ腫を治療する。
肉腫
肉腫は中胚葉増殖をもたらす結合組織(骨、軟骨、脂肪)の癌である。
これは、上皮起源(乳房、結腸、膵臓、及びその他)である癌腫とは対照的である。しかし、組織起源の進化を理解することにより、用語「肉腫」は、上皮組織から生じることが現在知られている腫瘍に時折適用する。用語、軟部組織肉腫を使用して、結合組織中に存在する要素を含むが、それには由来しない(筋肉及び血管などの)軟部組織の腫瘍を記載する。
それらが生じる組織の型に基づいて、肉腫にはいくつかの異なる名称が与えられる。例えば、骨肉腫は骨から生じ、軟骨肉腫は軟骨から生じ、且つ平滑筋肉腫は平滑筋から生じる。肉腫は全ての年齢範囲の人々を襲うが、それらは非常に稀であり、癌の全症例の1%のみを占める。GISTは最も一般的な型の肉腫であり、米国では一年当たり約3000〜3500の症例が存在する。これは、北アメリカで一年当たり約200,000の症例が存在する乳癌と比較すべきである。
約50%の骨肉腫及び20%の軟部組織肉腫は、35才未満の人々において診断される。平滑筋肉腫、軟骨肉腫、及び消化管間質腫瘍(GIST)などの、いくつかの肉腫は、子供よりも成人においてより一般的である。ユーイング肉腫及び骨肉腫を含めた最高段階の骨肉腫は、子供及び若い成人において更により一般的である。
一実施形態では、本明細書に記載する方法は肉腫を治療する。
癌腫
癌腫は、上皮細胞から生じる任意の悪性癌である。癌腫は周辺組織及び器官に浸襲し、リンパ節及び他の部位に転移、又は拡大する可能性がある。
癌腫は、全ての新形成と同様に、その組織病理学的外見によって分類される。腺癌及び扁平上皮細胞癌、腫瘍の2つの一般的な記述用語は、これらの細胞が腺又は扁平上皮細胞の外見をそれぞれ有し得る事実を反映する。重度退形成性腫瘍は、それらが明確な組織学的外見を有さないように未分化状態である可能性がある(未分化癌腫)。
時折、推定原発性器官(例えば、前立腺の癌)又は仮定細胞起源(肝細胞癌、腎臓細胞癌)によって腫瘍を指す。
腺癌は、腺組織の上皮細胞において生じ腺構造を形成する悪性腫瘍である。これは肺中で一般的である(全肺癌の30〜40%を形成する)。それは末梢で見られ、杯細胞又はII型肺細胞から生じる。
扁平上皮細胞癌は扁平上皮化生から生じる。これは肺腫瘍の20〜30パーセントを占め、通常は臍の緒起源である。
小細胞癌はほぼ確実に喫煙によるものである。これらは初期に転移し、(患者のナトリウム濃度を低下させる)ADHを分泌する可能性がある。
大細胞未分化癌腫は肺新生物の10〜15パーセントを占める。これらは攻撃的であり、未分化性のため認識するのは難しい。これらは最も一般的に肺の中心に存在する。
鼻副鼻腔未分化癌腫。
一実施形態では、本明細書に記載する方法は癌腫を治療する。
ミエローマ
(MM、ミエローマ、血漿細胞ミエローマとして、又はオットーカーレルにちなんでカーレル病としても知られる)多発性骨髄腫は血漿細胞の癌である。これらの免疫細胞は骨髄中で形成され、リンパ管中に多数存在し抗体を産生する。ミエローマは不治として考えられているが、ステロイド、化学療法剤、サリドマイド及び幹細胞移植によって鎮静を誘導することができる。ミエローマは、血液悪性腫瘍と呼ばれる広域群の疾患の一部である。
多発性骨髄腫は後期胚中心Bリンパ球において発症する。免疫グロブリン重鎖遺伝子(第14染色体、遺伝子座14q32上)と発癌遺伝子(11q13、4p16.3、6p21、16q23及び20q11が多い)の間の染色体転位が、多発性骨髄腫を有する患者において頻繁に観察される。この突然変異は、ミエローマの病状の重要な初期事象であると考えられる発癌遺伝子の異常調節をもたらす。結果は血漿細胞クローンの増殖及びゲノムの不安定化であり、これが更なる突然変異及び転位をもたらす。染色体14の異常はミエローマの全症例の約50%において観察される。第13染色体の(一部の)欠失も症例の約50%において観察される。
血漿細胞によるサイトカイン(特にIL−6)の産生は、骨粗しょう症などのその局所損傷の大部分を引き起こし、その中で悪性腫瘍細胞が生長する微小環境を生成する。血管新生(新しい血管の誘引)が増大する。
一実施形態では、本明細書に記載する方法はミエローマを治療する。
胃癌
胃又は胃腸癌は胃の任意の部分で発症する可能性があり、胃全体及び他の器官、特に食道、肺及び肝臓に拡大する可能性がある。胃癌は一年当たり世界中で約800.000の死を引き起こしている。
転移は胃癌を有する80〜90%の個体で起こり、初期段階で診断した患者では6カ月で65%の生存率であり、後期段階で診断した患者では15%未満であった。
胃癌は無症候性であることが多く、又はその初期段階では非特異的症状のみを引き起こす。症状が起こるまでに、癌は一般に身体の他の部分に転移し、その悪い予後の主な理由の1つである。
一実施形態では、本明細書に記載する方法は胃癌を治療する。
甲状腺癌
甲状腺新生物又は甲状腺癌は通常、4種類の甲状腺の悪性腫瘍、乳頭、小胞、延髄又は退形成性腫瘍のいずれかを指す。乳頭及び小胞腫瘍が最も一般的である。それらはゆっくりと増殖し再発する可能性があるが、45才未満の患者には一般に致命的ではない。延髄腫瘍は、甲状腺に限定した場合良い予後、及び転移が起こる場合は悪い予後を有する。退形成性腫瘍は急速に増殖し、治療にはあまり応答性がない。
甲状腺癌は甲状腺機能が正常な患者において普通に見られるが、甲状腺機能亢進症又は甲状腺機能低下症の症状は、巨大又は転移性高分化型腫瘍と関連し得る。それらが20才未満の患者において見られるとき、節は特に問題である。この年齢での良性節の出現は可能性が低く、したがって悪性腫瘍の可能性が一層高い。
甲状腺癌は、それらの病状特性に従い分類することができる。以下の変異を区別することができる(様々な亜型における分布は局所変異を示し得る):乳頭甲状腺癌(最大75%);小胞甲状腺癌(最大15%);延髄甲状腺癌(最大8%);及び退形成性甲状腺癌(5%未満)。小胞型と乳頭型は「分化型甲状腺癌」として一緒に分類することができる。これらの型は、延髄及び未分化型より好ましい予後を有する。甲状腺腺腫は甲状腺の良性新生物である。
一実施形態では、本明細書に記載する方法は甲状腺癌を治療する。
膀胱癌
膀胱癌は、膀胱の悪性腫瘍増殖の任意のいずれかの型を指す。膀胱癌は、異常な細胞が膀胱内で無制御に増殖する疾患である。膀胱は中空状態であり、尿を蓄える筋肉器官であり、それは骨盤中に位置する。最も一般的な型の膀胱癌は膀胱内側の細胞内膜で始まり、移行上皮癌(時には尿路上皮癌)と呼ばれる。
90%の膀胱癌は移行上皮癌である。他の10%は、扁平上皮細胞癌、腺癌、肉腫、小細胞癌及び身体中の他の箇所の癌からの二次堆積物である。
以下の段階を使用して、TNM(腫瘍、リンパ節、及び転移)段階付けシステムに従い、癌の位置、大きさ、及び拡大を分類する。段階0:癌細胞が膀胱の内膜のみで見られる。段階I:癌細胞が膀胱の内膜を越えて層に増殖しているが、膀胱の筋肉には増殖していない。段階II:癌細胞が膀胱壁中の筋肉に増殖しているが、膀胱周辺の脂肪組織には増殖していない。段階III:癌細胞が膀胱周辺の脂肪組織、及び前立腺、膣、又は子宮に増殖しているが、リンパ節又は他の器官には増殖していない。段階IV:癌細胞がリンパ節、骨盤又は腹部壁、及び/又は他の器官に増殖している。再発:治療した後に、膀胱内又は他の近隣器官内で癌が再発している。
膀胱のTCCは1997TNMシステムに従い段階付けする。Ta、非浸襲性乳頭腫瘍、T1、浸襲性、ただし筋肉膀胱層に関してではない、T2、筋肉層に浸襲、T3、筋肉を越えて膀胱外の脂肪に浸襲、及びT4、前立腺、子宮又は骨盤壁のような周辺構造に浸襲。
一実施形態では、本明細書に記載する方法は膀胱癌を治療する。
血管新生を伴う眼の状態
黄斑変性症状態及び糖尿病性網膜症
一態様において、本発明は、治療有効量の本明細書で提供する1つ又は複数の組成物を患者に投与することによって、患者中の糖尿病性網膜症、黄斑変性症、脈絡膜血管新生又は血管新生緑内障を治療するための方法を提供する。
黄斑変性症(AMD)は、高い視力を担う黄斑と呼ばれる中心網膜部分の光受容体の消失である。黄斑の変性は、網膜色素上皮と血管脈絡膜の間の膜中の、細胞外マトリクス要素及び他の残骸の異常な堆積と関係がある。この残骸様の物質は硝子小体と呼ばれる。硝子小体は眼底鏡検査で観察される。正常な眼が硝子小体を含まない黄斑を有する可能性はあるが、硝子小体は網膜周辺に多量に存在する可能性がある。黄斑視覚のいかなる消失もない状態での、黄斑中の柔らかい硝子小体の存在は初期段階のAMDであると考えられる。黄斑変性症は、脈絡膜血管新生(CNV)、網膜の網膜色素上皮(RPE)層下の異常な血管の発達によって特徴付けられる。これらの血管はブルッフ膜を介して破裂し、網膜色素上皮を破壊し、出血し、黄斑瘢痕形成を最終的に引き起こし、これが中心視力の顕著な消失をもたらす(円盤状瘢痕形成)。
脈絡膜血管新生(CNV)は、他の眼部障害以外に黄斑変性症において一般に生じ、脈絡膜内皮細胞の増殖、細胞外マトリクスの過剰生産、及び維管束網膜下膜の形成と関係がある。網膜色素上皮細胞増殖及び血管新生因子の生成は、脈絡膜血管新生に影響を与えるようである。
糖尿病性網膜症(DR)は、毛細血管基底膜の肥大が原因で糖尿病において発症する過剰な血管新生、及び毛細血管の周皮細胞と内皮細胞の間の接触の欠如によって特徴付けられる眼部障害である。周皮細胞の消失によって毛細血管の漏出が増大し、血液−網膜関門の破壊をもたらす。糖尿病性網膜症は微小血管網膜の変化の結果である。高血糖誘導性の周皮細胞死及び基底膜の肥大は、血管壁の不全をもたらす。これらの損傷は血液−網膜関門の形成を変え、更に網膜血管をより浸透性が高い状態にする。眼中の血管などの小血管は、低血糖(血中グルコース)調節の影響を特に受けやすい。グルコース及び/又はフルクトースの過剰蓄積は網膜中の小血管に損傷を与える。損傷血管が黄斑に液体及び脂質を漏出するときに、黄斑浮腫が発症する可能性もある。これらの液体が黄斑を膨張させ、それが視界を曇らせる。この損傷は網膜における酸素の欠如を更にもたらす。
疾患が進行すると、網膜における酸素の欠如は、網膜及び眼の内側を満たす透明な、ゲル様の硝子体液に沿った血管新生を刺激する。適時の治療がない場合、これらの新しい血管は出血し、視界を曇らせ、網膜を破壊する可能性がある。維管束増殖は牽引性網膜剥離を引き起こす可能性もある。新しい血管は前眼房の角に増殖し、血管新生緑内障を引き起こす可能性もある。
増殖性硝子体網膜症は、硝子体膜内及び網膜表面上の細胞及び線維膜の細胞増殖と関係がある。網膜色素上皮細胞の増殖及び移動はこの眼部障害に共通である。増殖性硝子体網膜症と関係がある膜は、コラーゲンI、II、及びIV型並びにフィブロネクチンなどの細胞外マトリクス要素を含有し、徐々に線維状になる。
加齢性黄斑変性症(AMD)及び糖尿病性網膜症は、先進国における2つの主な失明の原因である。マクロ分子LUCENTIS(登録商標)、AVASTIN(登録商標)、及びMACUGEN(登録商標)の近年の承認によって、AMD患者に利用可能な治療の選択肢が改善された。LUCENTIS(登録商標)はFabであり、AVASTIN(登録商標)はモノクローナル抗体である。これらはいずれも血管内皮増殖因子(VEGF)と結合し、AMDを治療する最も印象的な結果が今日までに実証されているが、しかし、少数の治療患者のみが視力の有意な改善を経験する。VEGF以外の標的に焦点を当てる抗血管新生療法は、VEGF経路を標的化する作用物質に関するいくつかの制約を克服することができる。
本明細書に記載するキメラ抗エンドグリン抗体を使用して、黄斑変性症、CNV、糖尿病性網膜症、又は増殖性硝子体網膜症を治療又は予防することができる。本明細書に記載する抗体の投与によって、黄斑変性症、CNV、糖尿病性網膜症、又は増殖性硝子体網膜症を治療又は予防する方法を本明細書で記載する。本明細書に記載するキメラ抗エンドグリン抗体は、血管を収縮する、眼部疾患と関係がある内皮細胞増殖を阻害する、出血症状を除去する、不透明な視界を治療する、視力喪失の停止をもたらす、及び/又は血管漏出を防ぐこともできる。本明細書に記載するキメラ抗エンドグリン抗体は、黄斑変性症、CNV、糖尿病性網膜症又は増殖性硝子体網膜症を治療するための医薬品において使用することもできる。
更に、本明細書に記載するキメラ抗エンドグリン抗体を、黄斑変性症、CNV、糖尿病性網膜症又は増殖性硝子体網膜症を治療するための知られている治療剤及び/又は化合物と併用して使用することもできる。このような化合物の例には、ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))、ラニビズマブ(LUCENTIS(登録商標))、VEGF−Trap、スニチニブ(SUTENT(登録商標))、ソラフェニブ(NEXAVAR(登録商標))、アキシチニブ、ペガプタニブ、パゾパニブ又はMACUGEN(登録商標)があるが、これらだけには限られない。本明細書に記載する投与形態以外に、硝子体内経路によってキメラ抗エンドグリン抗体を投与することができる。硝子体内投与形態の非制限的な例には、硝子体内注射、及び硝子体内移植の使用がある。
治療に対する改善及び応答性に関して患者を評価することができる。治療は、黄斑浮腫の減少、CNV領域の減少、及び視力の増大を含むが、これらだけには限られない。症状の測定は当技術分野で知られており、以下の実施例中で更に記載する。
慢性炎症性疾患
任意の様々な組織又は編成組織を含む器官は、皮膚、筋肉、消化管、結合組織、関節、骨、及び血管新生刺激によって血管が侵襲され得る同様の組織を含めた疾患状態において、血管新生をサポートする可能性がある。したがって、一実施形態では、治療する組織は炎症組織であり、阻害される血管新生は、炎症組織の新血管形成がある炎症組織の血管新生である。
炎症性腸疾患
血管新生は炎症性腸疾患(IBD)において重要な役割を果たす。IBDは、クローン病及び潰瘍性大腸炎を含めた、一組の腸及び腸管の疾患又は状態に関する包括的用語である。クローン病は典型的には小腸と大腸の炎症によって特徴付けられ、一方で潰瘍性大腸炎は一般に結腸に局在する。異常又は病的血管新生は、クローン病と潰瘍性大腸炎の両方において中心的なものである。両疾患は増大した微小血管密度及び微小血管機能障害に関与し、この血管新生は、両疾患中で見られる組織病状及び炎症サイクルと一時的に関係する。エンドグリンはこれらの組織中で発現され、IBD中の血管新生の異常調節において役割を果たすことが知られている。(Chidlow et al.,Am.J.Physiol.Gastrointest.Liver Physiol.,293:5−18(2007))。
本明細書に記載するキメラ抗エンドグリン抗体を使用してIBDを治療することができる。更に、キメラ抗エンドグリン抗体は、クローン病又は潰瘍性大腸炎の治療に使用することができる。キメラ抗エンドグリン抗体は、IBD、クローン病又は潰瘍性大腸炎用の外科手術及び/又は知られている療法剤と併用して使用することもできる。このような知られている療法剤の例には、アミノサリチル酸(例えば、メサラミン)、コルチコステロイド(例えば、ブデソニド、プレドニソンなど)、抗生物質(例えば、メトロニジゾールなど)、免疫抑制剤(例えば、アザチオプリン、6−メルカプトプリン、メトトレキサート、タクロリムス、及びシクロスポリンなど)、及びタンパク質及び抗体(例えば、インフリキシマブなど)などの生物製剤があるが、これらだけには限られない。
IBDの治療は、炎症組織の低下した血管形成によって評価することができる。治療は、IBDを特徴付ける潰瘍性病変の停滞、消散、及び/又は治癒によって評価することもできる。
糖尿病性腎症及び腎移植虚血
糖尿病性腎症は、1型と2型両方の糖尿病における罹患率及び死亡率の主な原因である。それは世界中で末期段階腎臓疾患の主たる原因である。糖尿病性腎症は、血管新生促進因子の増大した合成が原因の糸球体微小血管損傷によって特徴付けられる。これらの血管新生促進因子は増大した内皮細胞増殖及びその後の血管新生を引き起こし、エンドグリンは慢性腎臓疾患において上方制御されることが知られている。この血管新生は糸球体の破壊、及び最終的には腎不全をもたらす。
同様の影響が、移植器官の虚血及び障害をもたらす腎臓移植において見られる。エンドグリンの上方制御は、腎臓中の上方制御血管新生及び炎症をもたらす。逆に、エンドグリン欠損マウスを用いた試験は、移植/虚血後に有意に低減した腎臓障害及び増大した器官寿命を示す。
本明細書に記載するキメラ抗エンドグリン抗体を使用して、糖尿病性腎症、移植後の腎不全、及び/又は移植後の虚血性腎障害を治療又は予防することができる。
本明細書に記載する抗体の投与によって、糖尿病性腎症、移植後の腎不全、及び/又は移植後の虚血性腎障害を治療又は予防する方法を、本明細書に記載する。本明細書に記載するキメラ抗エンドグリン抗体は、糖尿病性腎症、移植後の腎不全、及び/又は移植後の虚血性腎障害を治療するための医薬品において使用することもできる。更に、本明細書に記載するキメラ抗エンドグリン抗体を、糖尿病性腎症、移植後の腎不全、及び/又は移植後の虚血性腎障害を治療するための知られている治療剤及び/又は化合物と併用して使用することもできる。
患者は治療の有効性に関して、例えば腎機能の改善によって評価することができる。
関節リウマチ及び骨関節炎
関節リウマチは過剰な血管新生によって特徴付けられ、この点において十分理解されている。滑膜液中で見られる炎症及び破壊は、滑膜組織周辺及び中で見られる増大した血管新生と直接関係がある。多数の血管新生促進因子が、関節リウマチ患者の患部組織中に存在する。
骨関節炎は、滑膜関節に影響を与える慢性不能状態の一群である。血管新生及び炎症は疾患の病態生理における必要不可欠なプロセスであり、それらは、MMP生成及び軟骨内骨化の刺激だけには限られないが、これらを含めた様々な機構による関節損傷に貢献する。更に、骨関節炎における血管新生は更なる神経分布を誘導し、これが各々が互いを刺激し続けるフィードバックループに発達する。
本明細書に記載するキメラ抗エンドグリン抗体を使用して、関節リウマチ及び骨関節炎を治療又は予防することができる。本明細書に記載する1つ又は複数の組成物の投与によって、関節リウマチ及び骨関節炎を治療又は予防する方法を、本明細書に記載する。本明細書に記載するヒト化キメラ抗エンドグリン抗体は、関節リウマチ及び骨関節炎を治療するための医薬品において使用することもできる。
臨床試験におけるRA改善の2つの十分認められた混成測定基準は、パウラスの基準及びアメリカリウマチ学会の基準(ACR)である。パウラスの基準は、以下の4つ、圧痛及び膨張関節数、朝のこわばり、患者の疾患活性評価、医師の疾患活性及び赤血球沈降速度(ESR)範囲の評価の改善として定義される。改善のレベルはこれらの変数各々の改善率として設定する。即ち、パウラス20の分類は、6パラメーターの4つにおいて20%の改善を示した応答者を示す。
関節リウマチは、アメリカリウマチ学会(ACR)のスコアリングを使用して評価することもできる。簡単に言うと、関節リウマチの臨床的寛解の決定に関するACRの分類基準は、少なくとも2カ月連続で存在する5つ以上の以下の要因の存在によって評価する:
a.朝のこわばり、15分未満、
b.疲労なし、
c.関節痛なし、
d.運動時の関節圧痛又は痛みなし、
e.関節又は腱鞘中の軟部組織の膨張なし、及び
f.ESR(ウエステルグレン法)、女性に関して30mm/時間又は男性に関して20mm/時間未満。
除外を実施することができ、活性血管炎、心膜炎、胸膜炎又は筋炎の臨床症状を含み、説明不能な近年の体重減少又は関節リウマチが原因の発熱は完全な臨床的寛解の現れを妨げる(Pinals RS,et.al.:Arthritis Rheum24:1308,1981)。更に、関節リウマチにおける機能状態のACR分類基準は、以下の患者の能力に基づく分類を含む:
クラスI:日常生活の通常の活動を完全に実施することができる(自己管理、職業、及び趣味)、
クラスII:通常の自己管理及び職業活動は実施することができるが、ただし趣味の活動に限られる、
クラスIII:通常の自己管理活動は実施することができるが、ただし職業及び趣味の活動に限られる、及び
クラスIV:通常の自己管理、職業、及び趣味の活動を実施する能力が限られる。
骨関節炎はACRのスコアリングを使用して評価することもできる。臀部の骨関節炎に関するACR臨床的分類基準は、患者の病歴、身体検査及び検査所見を利用して評価し、患者は臀部の痛み及び以下の1つに関して評価する:
(1)15度未満の臀部内側回転角、及び45度mm/時間以下のESR、又はESRが利用不能な場合115度以下の臀部屈曲、又は
(2)15度未満の臀部内側回転角、臀部内側に関する痛み、60分以下の臀部の朝のこわばり、及び患者が50才を超えること。
病歴、身体検査、検査及びX線写真で見た所見を使用すると、従来の形式は臀部の痛み及び以下の指標の2つである:20mm/時間未満のESR、X線写真で見た大腿及び/又は寛骨臼骨増殖体、又はX線写真で見た関節空間狭窄(上部、軸面、及び/又は中心)。分類樹は以下の通りである:(1)X線写真で見た大腿及び/又は寛骨臼骨増殖体又は(2)20mm/時間以下のESR及びX線写真で見た軸面関節空間狭窄と関係がある臀部の痛み(Altman,R,et al.:Arthritis Rheum34:505,1991)。
膝の骨関節炎に関するACR臨床的分類基準
膝の骨関節炎に関するACR臨床的分類基準を、以下の基準、以下の3つに関する膝の痛みを利用する病歴及び身体検査を使用して評価する:
(1)患者が50才を超えること、
(2)30分未満の朝のこわばり、
(3)活動時のコツコツ音、
(4)骨の圧痛、
(5)骨の肥大、及び
(6)滑膜の感じられる暖かさなし。
患者の病歴、身体検査及びX線写真で見た所見を使用して、膝の痛みを以下の患者の特性、(1)患者が50才を超えること、(2)30分未満の朝のこわばり、及び(3)活動時及び骨増殖体におけるコツコツ音の1つに関して評価することができる。病歴、身体検査及び検査所見を使用して、膝の痛みを以下の特性の5つに関して評価することができる:
(1)患者が50才を超えること、
(2)30分未満の朝のこわばり、
(3)活動時のコツコツ音、
(4)骨の圧痛、
(5)骨の肥大、
(6)滑膜の感じられる暖かさなし、
(7)ESFが40mm/時間未満であること、
(8)1:40未満のリウマチ因子(RF)、及び
(9)骨関節炎の滑膜液(SF)兆候。
例えば、Altman,R,et al.:Arthritis Rheum29:1039,1986参照。
手の骨関節炎に関するACR臨床的分類基準は、以下の、(1)以下の2つ以上の関節(両手の第二及び第三遠位指節間関節、第二及び第三近位指節間関節、及び第一手根中手関節)の硬部組織の肥大、(2)2つ以上の遠位指節間関節の硬部組織の肥大、(3)3つより少ない膨張MCP関節、及び(4)(1)で前に列挙した少なくとも1つの関節の奇形の3つに関して、手の痛み、しびれ又はこわばりで以下のように評価することができる。
併用療法
本明細書に記載する実施形態によれば、本明細書に記載する組成物は、単独で、又は1つ若しくは複数の他の活性若しくは不活性剤と併用して投与することができる。併用を使用するとき、キメラ抗エンドグリン抗体及び抗VEGF抗体(その抗原結合断片)の同時又は連続投与を使用することができる。
化合物は、必要に応じて、アドリアマイシン、シクロホスファミド、パクリタキセル、ペメトレキセド、テモゾロミド、オキサリプラチン、エルビツクス、ベクチビックス、ソラフェニブ、スニチニブ、ゲフィチニブ、エルロチニブ、5−フルオロウラシル(5−FU)イリノテカン、トポテカン、ロイコボリン、VELCADE(登録商標)、レナリドマイド、サリドマイド、キセローダ、タキソテール、及び本明細書に記載する多くの他の従来の癌治療剤だけには限られないが、これらを含めた、1つ若しくは複数の他の療法治療剤と併用して投与することができる。本明細書で使用する「放射線」は、例えば、マイクロ波、紫外線(UV)、赤外線(IR)、又はα−、β−若しくはγ−放射線を指す。放射線は、従来技法を使用して体全体を照射せずに1つ若しくは複数の腫瘍部位に「焦点を当てる」、又はそこに放射線を向けて局所送達することができる。以下に列挙する治療レジメンの一覧は従来の療法を表すが、本発明が、本明細書で具体的に開示しない他の知られている治療レジメンを包含することは理解されるであろう。
一実施形態では、癌は卵巣癌であり、1つ若しくは複数の他の療法治療は、外科手術、化学療法剤(例えば、ドキソルビシン、ドキシル、ゲムシタビン、ルビテカン、及び白金系化学療法剤、シスプラチン、カルボプラチン及びオキサリプラチンなど)、メルファラン、トポテカン及びイリノテカンなどのトポイソメラーゼI阻害剤、タキサン系化学療法剤、ホルモン、放射線療法、全身低体温法、フェノキソジアルなどのイソフラボン誘導体、エポチロンなどの細胞障害性マクロライド、ベバシズマブなどの血管新生阻害剤、トラツズマブなどのシグナル伝達阻害剤、遺伝子療法、RNAi療法、免疫療法、モノクローナル抗体、ラパマイシンなどのホスファチジルイノシトール様キナーゼ阻害剤、又はこれらの任意の組合せである。本明細書に記載する抗体と卵巣癌療法剤の併用療法は、療法剤の同時投与からの相乗効果により、低用量の1つ又は2つの療法をもたらすこともできる。
一実施形態では、癌は腎臓/腎臓癌であり、1つ若しくは複数の他の療法治療は、外科手術、化学療法剤、パゾパニブ、インターフェロン−α又はIL−2である。更に別の実施形態では、他の作用物質はVEGF受容体阻害剤である。VEGF受容体阻害剤の非制限的な例には、前に記載した阻害剤、ラニビズマブ(LUCENTIS(登録商標))、アフリベルセプト(VEGF−Trap)、スニチニブ(SUTENT(登録商標))、ソラフェニブ(NEXAVAR(登録商標))、アキシチニブ、ペガプタニブ及びパゾパニブがある。本明細書に記載する抗体と腎臓癌療法剤の併用療法は、療法剤の同時投与からの相乗効果により、低用量の1つ又は2つの療法をもたらすこともできる。
一実施形態では、癌はミエローマであり、1つ若しくは複数の他の療法治療は、外科手術、放射線療法、VELCADE(登録商標)、レナリドマイド、又はサリドマイドである。一実施形態では、他の作用物質はVELCADE(登録商標)である。任意のこれらの療法に関する用量は当技術分野で知られており、必要に応じて併用療法で調節することができる。
一実施形態では、癌は前立腺癌であり、1つ若しくは複数の他の療法治療は、外科手術、放射線療法(例えば、外部ビーム又は小線源治療)、ホルモン剥奪療法(アビラテロンを含めたアンドロゲン抑制)、熱ショックタンパク質90(HSP90)阻害剤、化学療法剤(例えば、ドセタキセル、シスプラチン、カルボプラチン、サトラプラチン及びオキサリプラチン、タキサン、エストラムスチンなどの白金系化学療法剤)、プレドニソン又はプレドニソロン、スタチンなどのコレステロール低下薬、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)アゴニスト、RNAi療法、樹状細胞系療法、顆粒球マクロファージ−コロニー刺激因子(GM−CSF)を分泌するように遺伝的に改変された完全腫瘍細胞(GVAXとしても知られる)、又はこれらの任意の組合せである。更に別の実施形態では、他の作用物質はVEGF受容体阻害剤である。VEGF受容体阻害剤の非制限的な例には、ラニビズマブ(LUCENTIS(登録商標))、アフリベルセプト(VEGF−Trap)、スニチニブ(SUTENT(登録商標))、ソラフェニブ(NEXAVAR(登録商標))、アキシチニブ、ペガプタニブ及びパゾパニブがある。
一実施形態では、癌は肺癌であり、1つ若しくは複数の他の療法治療は、外科手術、放射線療法(例えば、胸部放射線療法、帯電粒子を用いた放射線療法)、ウラシル−テガフール及び白金系化学療法剤(例えば、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチンなど)、及びビノレブリン、エルロチニブ(TARCEVA(登録商標))、ゲフィニチブ(IRESSA(登録商標))、抗上皮増殖因子受容体抗体(例えば、セツキシマブ)、チロシンキナーゼの小分子阻害剤、肺癌細胞増殖に関与するタンパク質の直接阻害剤、オーロラキナーゼ阻害剤、レーザー誘導温熱療法、RNAi療法、顆粒球マクロファージ−コロニー刺激因子(GM−CSF)を分泌するように遺伝的に改変された完全腫瘍細胞(GVAXとしても知られる)、又はこれらの任意の組合せである。他の療法治療剤はタキソール又はペメトレキセドを含む。更に別の実施形態では、他の作用物質はVEGF受容体阻害剤である。VEGF受容体阻害剤の非制限的な例には、ラニビズマブ(LUCENTIS(登録商標))、アフリベルセプト(VEGF−Trap)、スニチニブ(SUTENT(登録商標))、ソラフェニブ(NEXAVAR(登録商標))、アキシチニブ、ペガプタニブ及びパゾパニブがある。任意のこれらの療法に関する用量は当技術分野で知られており、必要に応じて併用療法で調節することができる。
一実施形態では、癌は乳癌であり、1つ若しくは複数の他の療法治療は、外科手術、モノクローナル抗体(例えば、Her−2抗体、ヘルセプチン)、単剤化学療法又は併用化学療法などのアジュバント化学療法(例えば、アントラサイクリン−及びタキサン系多剤化学療法、タキソール、又は標的特異的トラツズマブ、エンドクリン操作あり又はなし、PMRT操作あり又はなし、ビノレルビン)、アドリアマイシン、シクロホスファミド、ゼローダ、タキソテール、タモキシフェン及びラロキシフェンなどの選択的エストロゲン受容体モジュレーター、トリロスタンなどのアロステリックエストロゲン受容体モジュレーター、放射線療法(例えば、腸内小線源治療、マンモサイトデバイス、3次元等角外部放射及び術中放射線療法)、全身合成を抑制するアロマターゼ阻害剤(例えば、アナストロゾール、エクセメスタン及びレトロゾール)、RNAi療法、テムシロリムス(CCI779)などの免疫抑制があり抗増殖性である静脈内用ラパマイシンアナログ、又はこれらの任意の組合せである。乳癌の三次元in vitro組織培養モデルを実施するための方法の総説は、Kim et al.,Breast Cancer Research Treatment85(3):281−91(2004)によって記載される。癌を試験するための他のin vivo及びin vitroモデルは知られており、本明細書に記載する抗体を試験するために使用することができる。更に別の実施形態では、他の作用物質はVEGF受容体阻害剤である。VEGF受容体阻害剤の非制限的な例には、ラニビズマブ(LUCENTIS(登録商標))、アフリベルセプト(VEGF−Trap)、スニチニブ(SUTENT(登録商標))、ソラフェニブ(NEXAVAR(登録商標))、アキシチニブ、ペガプタニブ及びパゾパニブがある。任意のこれらの療法に関する用量は当技術分野で知られており、必要に応じて併用療法で調節することができる。
一実施形態では、癌は結腸癌であり、1つ若しくは複数の他の療法治療は、外科手術、放射線療法、及び化学療法剤(例えば、5−フルオロウラシル(5−FU)、レバミゾール、ロイコボリン又はセムスチン(メチルCCNU))、N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]アクリジン−4−カルボキシアミド及び他の関連カルボキシアミド抗癌剤、非トポイソメラーゼII阻害剤、イリノテカン、リポソームトポテカン、タキサンクラスの抗癌剤(例えば、パクリタキセル又はドセタキセル)、キサンテノン酢酸クラスの化合物(例えば、5,6−ジメチルアンテノン−4−酢酸PMAA)、ラミナリン、部位選択的環状AMPアナログ(例えば、8−クロロアデノシン3’,5’−環状リン酸)、Cox−2のピラノインドール阻害剤、Cox−2のカルバゾール阻害剤、Cox−2のテトラヒドロカルバゾール阻害剤、Cox−2のインデン阻害剤、NSAIDSの局所阻害剤(例えば、アンスラニル酸、アスピリン(5−アセチルサリチル酸)、アゾジサルナトリウム、ヘテロ複素環式炭酸、カルプロフェン、クロラムブシル、ジクロフェナク、フェンブフェン、フェンクロフェナク、フェノプロフェン、フルフェナム酸、フルビプロフェン、フルプロフェン、フロセミド、チオマレイン酸ナトリウム金、イブプロフェン、インドメタシン、インドプロフェン、ケトプロフェン、ロナゾラック、ロキソプロフェン、メクロフェナム酸、メフェナム酸、メルファラン、ナプロキセン、ペニシラミン、フェニル酢酸、プロピオン酸、サリチル酸、サラゾスルファピリジン、スリンダク、トルメチン、ピラゾロンブタゾンプロパゾンNSAID、メロキシカム、オキシカム、ピロキシカム、フェルデン、ピロキシカムβシクロデキストラン、テノキシカム、エトドラック、及びオキサプロジン)、HER−2/neuの阻害剤、RNAi療法、GM−CSF、モノクローナル抗体(例えば、抗Her−2/neu抗体、抗CEA抗体、A33(HB8779)、100−210(HB11764)及び100−310(HB11028))、エルビツクス、ベクチビクス、ホルモン療法、ピリミジンアミン、カンプトテシン誘導体(例えば、CPT−11)、フォリン酸(FA)、ゲムシタビン、Ara−C、シスプラチン、カルボプラチン及びオキサリプラチンなどの白金系化学療法剤、cGMP特異的ホスホジエステラーゼ阻害剤、又はこれらの任意の組合せである。一実施形態では、他の療法治療剤は5−FU、ロイコボリン及びオキサリプラチンの組合せ(FOLFOX)である。一実施形態では、他の療法治療剤は5−FU、イリノテカン及びロイコボリンの組合せ(IFL)である。一実施形態では、他の作用物質はエルビツクスである。一実施形態では、他の作用物質はベクチビクスである。更に別の実施形態では、他の作用物質はVEGF受容体阻害剤である。VEGF受容体阻害剤の非制限的な例には、ラニビズマブ(LUCENTIS(登録商標))、アフリベルセプト(VEGF−Trap)、スニチニブ(SUTENT(登録商標))、ソラフェニブ(NEXAVAR(登録商標))、アキシチニブ、ペガプタニブ及びパゾパニブがある。任意のこれらの療法に関する用量は当技術分野で知られており、必要に応じて併用療法で調節することができる。
一実施形態では、癌は膵臓癌であり、1つ若しくは複数の他の療法治療は、療法治療の組合せ、外科手術、放射線療法(RT)、フルオロウラシル(5−FU)及びRT、全身療法、ステント挿入、ゲムシタビン(GEMZAR(登録商標))、ゲムシタビン及びRT、セツキシマブ、エルロチニブ(TARCEVA(登録商標))、化学的放射、又はこれらの任意の組合せである。更に別の実施形態では、他の作用物質はVEGF受容体阻害剤である。VEGF受容体阻害剤の非制限的な例には、ラニビズマブ(LUCENTIS(登録商標))、アフリベルセプト(VEGF−Trap)、スニチニブ(SUTENT(登録商標))、ソラフェニブ(NEXAVAR(登録商標))、アキシチニブ、ペガプタニブ及びパゾパニブがある。
治療レジメン前、最中、及び後を含めた1回又は多数回の時間地点で、いくつかの症状に関して患者を評価することができる。治療は対象の状態の改善をもたらすことができ、1つ又は複数の以下の要因:腫瘍の大きさの低下、細胞増殖の低下、細胞数の低下、新血管形成の低下、アポトーシスの増大、又は細胞増殖障害を含む細胞の少なくとも一部分の生存の低下が発生したかどうか決定することによって評価することができる。1つ又は複数のこれらの発生は、いくつかの場合、癌の部分的又は完全排除及び患者の生存期間の延長をもたらす可能性がある。或いは、末期段階の癌に関して、治療は疾患の停滞、より良い生活の質及び/又は生存期間の延長をもたらす可能性がある。
機能アッセイ
本明細書に記載する組成物は、様々なin vitro、in vivo及びex vivoアッセイ中で評価することができる。当技術分野で知られている任意の適切なアッセイを使用して、このような影響をモニタリングすることができる。いくつかのこのような技法は本明細書に記載する。
CD105のシグナル伝達及び機能に関するアッセイ
CD105(エンドグリン)は増殖内皮細胞によって発現されるTGF−β受容体ファミリーのメンバーであり、正常レベルのCD105が内皮細胞増殖に必要とされる。CD105は固形腫瘍の血管新生脈管構造中で強く発現され、血管新生/血管発達に関与し、補助的形質転換増殖因子β(TGF−β)受容体である。CD105は、白血病細胞及び内皮細胞において発現されるホモ二量体細胞膜糖タンパク質である。それらの細胞質尾部のアミノ酸配列が異なる、2つのアイソフォームのCD105、L−エンドグリン(170kDa)及びS−エンドグリン(160kDa)が特徴付けされている。
CD105の発現は、低酸素誘導因子−1−α(HIF−1−α)の生成を介した細胞の低酸素状態によって増大し、アポトーシスから低酸素細胞を保護する。CD105は、TGF−β受容体(TGF−βR)、アクチビン受容体様キナーゼ(ALK)及びアクチビン受容体を含めた、TGF−βスーパーファミリーの多数のキナーゼ受容体複合体のシグナル伝達を調節するために作用する。CD105の不在下において、TGF−β受容体の活性化は、内皮細胞増殖を阻害するSMADタンパク質のリン酸化をもたらす。しかし、TGF−βによるCD105の活性化は、SMADタンパク質のリン酸化を調節する。最終結果は、内皮細胞に対するTGF−β受容体活性化の増殖阻害効果の表れである。
抗CD105抗体によるCD105活性化の防止は、TGF−βと共同作用して内皮細胞の増殖を抑制する。TGF−βは、内皮細胞中とは逆の効果で2つの異なるI型受容体/SMADシグナル伝達経路を刺激することができる。TGF−β/ALK5シグナル伝達経路(A)は細胞の増殖及び移動の阻害をもたらし、一方TGF−β/ALK1経路(B)は内皮細胞の増殖及び移動を誘導する。血管新生中に高度に発現されるCD105、補助的TGF−β受容体は、ALK1シグナル伝達に必要不可欠である。CD105の不在下では、TGF−β/ALK5シグナル伝達経路が主要であり、静止状態の内皮を維持する。高いCD105発現はALK1経路を刺激し、ALK5シグナル伝達を間接的に阻害し、したがって血管新生の活性化状態を促進する。
非制限的な一実施形態では、血管新生の阻害及び内皮細胞増殖に関して、キメラ抗体を評価することができる。キメラ抗エンドグリン抗体とHUVECの結合が、TGF−βとHUVECの後の結合を妨げることはない。したがって、抗エンドグリン抗体による内皮細胞増殖の直接抑制は、それによって抗血管新生及び腫瘍抑制効果がin vivoで観察される根底メカニズムの1つを表す。別の実施形態では、Smad1/5/8リン酸化及び/又はシグナル伝達の予防による血管新生の遮断に関して、キメラ抗体を評価することができる。CD105はTGF−β/ALK1のシグナル伝達を介した血管新生の促進に関与し、したがってこれはSmad2/3タンパク質のリン酸化の低下及び/又は遮断と関係する。更に別の実施形態では、Smad2/3リン酸化及び/又はシグナル伝達の増大による血管新生の遮断に関して、キメラ抗体を評価することができる。
TGF−β/ALK1シグナル伝達経路及び/又はSmad1/5のリン酸化に対する本明細書で提供するキメラ抗体の遮断又は阻害効果をアッセイするための方法及び技法には、知られている分子学的技法があるが、これらだけには限られない。例えば、TGF−β/ALK5又はTGF−β/ALK1経路中の任意のタンパク質に特異的な抗体を用いるウエスタンブロッティングを使用して、TGF−β/ALK5又はTGF−β/ALK1経路に対する本明細書で開示するキメラ抗エンドグリン抗体の阻害及び/又は刺激効果を決定することができる。同様に、TGF−β/ALK5又はTGF−β/ALK1経路に関与するタンパク質のmRNAの検出又はmRNAの制御を使用して、本明細書で開示するキメラ抗体の阻害及び/又は刺激効果をアッセイすることができる。TGF−β/ALK5又はTGF−β/ALK1経路に関する細胞のシグナル伝達をアッセイするための他の方法は当技術分野で知られており、本明細書において企図する。
本明細書で開示するキメラ抗エンドグリン抗体の活性は、当技術分野で認められているアッセイを使用して、例えばELISA、競合ELISAなどの結合アッセイ、表面プラズモン共鳴、及び以下でより詳細に記載するHUVEC細胞に対する影響によって評価することができる。
VEGFのシグナル伝達及び機能に関するアッセイ
VEGF受容体VEGFR2(KDR/Flk−1)とのVEGF結合を特異的に阻害する抗体は、競合及び/又は機能アッセイを使用して評価することができる。アッセイには、ELISAをベースとする競合アッセイがあるが、これらだけには限られない。競合アッセイでは、様々な量の試験抗体(例えば、100倍〜1000倍モル過剰)とVEGFを事前混合又は混合し、VEGFR2とのVEGF結合を減らす試験抗体の能力を決定する。VEGFは予め標識し直接検出することができ、又は(二次)抗VEGF抗体若しくは二次及び三次抗体検出システムを使用して検出することができる。このような競合アッセイのELISA形式は1つのこのような形式であるが、任意の型の免疫競合アッセイを実施することができる。
(非遮断抗VEGFモノクローナル抗体を含めた)全く無関係な抗体の存在下でのVEGFR2とのVEGF結合は、このような競合アッセイ中では対照高値(100%)である。試験アッセイ中では、試験抗体の存在下でのVEGFR2とのVEGF結合の有意な減少は、VEGF受容体VEGFR2(KDR/Flk−1)とのVEGF結合を有意に阻害する抗体の指標である。
抗体がVEGF受容体VEGFR2(KDR/Flk−1)とのVEGF結合を阻害することを同定及び/又は確認するための別の結合アッセイは、共沈降アッセイである。共沈降アッセイは、溶液中の1つ又は複数の受容体とVEGFの結合を遮断する抗体の能力を試験する。このようなアッセイでは、VEGF又は検出可能に標識したVEGFを適切な型の受容体とインキュベートする。
免疫沈降又は共沈降アッセイを実施するための多くの形式が存在する。本発明の場合、「適切な型の受容体」はVEGFR2受容体又は受容体の細胞外ドメインであってよい。したがって免疫沈降は、標準的試薬と共に、VEGFR2受容体又はVEGFが結合する部位と異なる受容体の細胞外ドメイン上のエピトープに対する抗体の存在を必要とする。
適切な受容体とは無関係に、対照を用いて免疫沈降又は共沈降アッセイを実施する。選択した受容体と結合するVEGF単独の能力は、抗VEGF抗体の不在下での沈降によって確認することができる。平行インキュベーションは、対照として働くための知られている結合性を有する抗体の有無の下で実施することができる。遮断対照と非遮断対照抗体の両方を使用するアッセイは平行して実施することができる。
次いで任意の結合免疫種を、例えばプロテインA組成物又はプロテインAセファロースビーズなどの、有効な免疫沈降組成物とのインキュベーションによって免疫沈降させる。次いで沈降はVEGFの存在に関して試験する。初期インキュベーション中のVEGFが、放射標識VEGFなどの検出可能に標識したVEGFであった場合、免疫沈降中の任意のVEGFを直接検出することができる。免疫沈降中の任意の非標識VEGFは、他の適切な手段によって、例えばゲル分離及び抗VEGF抗体を用いた免疫的検出によって検出することができる。
このような共沈降アッセイ中で、VEGFR2などのVEGF受容体とのVEGF結合を遮断する抗体の能力は容易に定量化することができるが、定性的結果も貴重である。定量化は標識VEGFの直接測定によって、又は例えば免疫的に検出したVEGFの濃度測定分析によって実施することができる。VEGFR2とのVEGF結合を阻害する、再現性のある、即ち、絶えず観察される能力を示す抗体をしたがって検出することができ、前述の定量基準に従い有用な抗体を選択することができる。
VEGF受容体VEGFR1(Flt−1)とのVEGF結合を有意に阻害しない抗VEGF抗体も、前に記載したように共沈降アッセイを実施することによって、ただしVEGFR2ではなくVEGFR1を使用して、容易に同定することができる。したがって、VEGF受容体VEGFR1(Flt−1)とのVEGF結合を有意に阻害せずに、VEGF受容体VEGFR2(KDR/Flk−1)とのVEGF結合を阻害する抗VEGF抗体も、このような方法を使用して容易に同定することができる。
抗体がVEGF受容体VEGFR2(KDR/Flk−1)とのVEGF結合を有意に阻害することを同定及び/又は確認するための機能アッセイを使用することもできる。これらは一般に、特定の明確な生物学的応答を担う受容体としてのVEGFR2の同定に関する。無細胞系で実施され最も再現性のある前述の競合型アッセイほど典型的には使用されないが、確実で、労力節約型で、且つコスト効率の良い、以下のアッセイはそれにもかかわらず有用である。
例えば、VEGFR2遮断、抗VEGF抗体は、VEGF仲介内皮細胞増殖を阻害する(VEGFの細胞分裂活性を阻害する)能力を試験することによって同定することができる。任意の適切なアッセイを、試験抗体の有無の下VEGFの存在下において、任意の様々な内皮細胞を使用して実施することができる。VEGFを含まないアッセイ、及び明確な性質(遮断と非遮断の両方)の対照抗体を用いるアッセイなどの、二連アッセイを平行して実施することができる。内皮細胞増殖は、比色定量アッセイを含めた細胞数を決定する任意の許容される手段によって、決定し正確に定量化することができる。
VEGF仲介内皮細胞増殖を阻害する能力を有する抗体は、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%などの、絶えず観察されるVEGF仲介内皮細胞増殖の阻害を一般に示し得る。このような範囲内の阻害は、in vivoでの血管新生を阻害するのに十分な性質を有する抗体を示し得る。より有意な阻害活性を有する抗体を本発明から除外するわけではない。
抗体を同定するための更なる機能アッセイは、VEGF誘導型リン酸化の遮断を試験するためのアッセイを含む。任意の適切なアッセイを、任意の型の天然又は組換えリン酸化VEGFR2を発現する任意の様々な内皮細胞を使用して利用することができる。試験する抗体の有無の下で適切な時間の間、細胞はVEGFとインキュベートする。VEGFを含まないアッセイ、及び明確な性質(遮断と非遮断の両方)の対照抗体を用いるアッセイなどの、二連アッセイを平行して実施することができる。
本発明によりVEGFR2遮断、抗VEGF抗体を同定するための他の更なる機能アッセイは、VEGF誘導型血管透過性の阻害を試験するためのアッセイである。任意のこのようなアッセイを使用することができるが、1つの適切なアッセイはMilesの透過性アッセイであり、この場合モルモットなどの動物にエバンスブルー色素などの色素を注射し、動物皮膚中の色素の出現を試験抗体の有無の下でVEGFを与えた後に決定する。VEGFを含まない試験、及び明確な性質(遮断と非遮断の両方)の対照抗体を用いる試験などの、二連試験を平行して実施することができる。動物皮膚中の色素の出現は、典型的には動物の背部中の、青色スポットなどのスポットとしてであり、これを写真撮影し測定することができる。
SCID/ヌードマウス
腫瘍増殖をアッセイするための1つの方法は、以下のようにSCIDマウスを利用する。半密集状態のヒトM21メラノーマ細胞を採取し、洗浄し、滅菌PBS(1mL当たり20×106)中に再縣濁する。SCIDマウスには、100μLのM21ヒトメラノーマ細胞(2×106)縣濁液を皮下注射する。腫瘍細胞注射後3日で、マウスは未治療状態であるか、或いは1つ又は複数の対照又は試験組成物で静脈内又は腹腔内治療する(例えば、100μg/マウス)。マウスは24日間一日一回治療する。腫瘍の大きさはカリパスで測定し、体積は式V=(L×W2)/2を使用して測定し、前式でVは体積に等しく、Lは長さに等しく、且つWは幅に等しい。
腫瘍増殖をアッセイするための1つの方法は、以下のようにヌードマウスを利用する。MDA−MB−435腫瘍細胞(0.4×106細胞/マウス)、50μlPBS中を、メスヌードマウス(5〜6週齢)の乳腺脂肪体中に正所移植する。腫瘍が約50〜80mm3の平均体積に達したとき、マウスをランダムに処理し(少なくとも10/群)、1週間当たり2回の、1つ又は複数の抗体、投与当たり1μg(0.05mg/kg)、10μg(0.5mg/kg)、100μg(5mg/kg)又は200μg(10mg/kg)、又は100μg対照抗体、100μlPBS中、又は賦形剤PBS100μlを用いた静脈内又は腹腔内治療を開始し、いくつかの試験では、未治療群も評価することができる。腫瘍の大きさはカリパスで測定し、体積は式V=(L×W2)/2を使用して測定し、前式でVは体積に等しく、Lは長さに等しく、且つWは幅に等しい。
BALB/c同系マウスモデル
或いは、BALB/c同系マウスモデルを利用して、抗体により、又は例えばTsujie et al.,Int.J.Oncology,29:1087−1094(2006)によって例証され本明細書に記載するように、腫瘍増殖及びその阻害を評価することもできる。
キメラマウス
別のアッセイはキメラマウス:ヒトマウスモデルにおける血管新生を測定し、キメラマウスアッセイと呼ばれる。このアッセイは他者によって詳細に記載されており、本明細書で更に記載して血管新生、新血管形成、及び腫瘍組織の退行を測定する。Yan,et al.(1993)J.Clin.Invest.91:986−996を参照。
キメラマウスアッセイは、移植皮膚片が組織学的に正常なヒトの皮膚と非常に似ているので、in vivo血管新生の有用なアッセイモデルであり、全組織の新血管形成が起こり、この場合実際のヒト血管は、移植したヒトの皮膚から、移植したヒトの皮膚の表面上のヒト腫瘍組織に増殖する。ヒト移植片への新血管形成の起源は、ヒト特異的内皮細胞マーカーを用いた新血管の免疫組織化学的染色によって実証することができる。
キメラマウスアッセイは、新血管増殖の退行の量と程度の両方に基づいて、新血管形成の退行を実証する。更に、腫瘍組織などの移植片皮膚上に移植した任意の組織の増殖に対する影響を、モニタリングすることは容易である。最後に、アッセイシステム中に毒性に関する内部対照が存在するので、このアッセイは有用である。キメラマウスは任意の試験試薬に曝し、したがってマウスの健康状態は毒性の指標である。本明細書に記載し当技術分野で知られている他の動物モデルも、本明細書に記載する方法中で利用することができる。
ウサギの眼のアッセイ
血管新生の別の測定法はin vivoウサギの眼モデルであり、ウサギの眼のアッセイと呼ばれる。ウサギの眼のアッセイは他者によって詳細に記載されており、D’Amato et al.(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,91(9):4082−4085によって例証されたように、これを使用して血管新生阻害剤の存在下で血管新生と新血管形成の両方が測定されている。
ウサギの眼のアッセイはin vivo血管新生の認められているアッセイモデルである。角膜の縁から角膜に増大するウサギの血管によって例証される新血管形成プロセスは、本来透明な眼の角膜によって容易に見ることができるからである。更に、新血管形成又は新血管形成の退行の刺激又は阻害の程度と量の両方を、経時的に容易にモニタリングすることができる。
最後に、ウサギは任意の試験試薬に曝し、したがってウサギの健康状態は試験試薬の毒性の指標である。
簡単に言うと、ニワトリ絨毛尿膜(CAM)アッセイを実施し、脈管構造発達に対する影響を、1つ又は複数の対照又は試験化合物を含有する0.5%カルボキシメチルセルロースペレットの移植後48時間で記録する。角膜の新血管形成は、スクラルフェート(ショ糖硫酸エステルアルミニウム塩;Bukh Meditec,Copenhagen)と結合した650ngの強力な血管新生タンパク質塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)を含有するポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)(Hydron;Interferon Sciences,New Brunswick,NJ)の移植ペレットによって誘導する。ペレットへのスクラルフェートの添加はbFGFが分解するのを妨げ、その徐放をもたらし、したがってbFGF/Hydron単独によって誘導される血管新生より顕著な絶えず攻撃性のある血管新生をもたらす。スクラルフェート/Hydronを含有するペレットからのbFGFの放出は、Hydronのみを有するペレットのわずか1日と比較して、ペレット形成後最大4日間in vitroで検出することができる。ペレットは12μgの組換えbFGF(Takeda,Osaka)を含有する110μlの生理食塩水と40mgのスクラルフェートを混合することによって作製し、この縣濁液を80μlの12%(wt/vol)Hydron、エタノール中に加える。次いでこの混合物のアリコート(10μl)をテフロンペグにピペットで加え、放置乾燥させて、約17ペレットを生成する。
縁から2mmの麻酔済みメスニュージーランドホワイトウサギのそれぞれの眼の角膜マイクロポケットにペレットを移植し、次に角膜の表面上にエリスロマイシン軟膏を1回局所施用する。数日連続の組織学的検査は、角膜中ペレットでの段階的な血管増殖を実証し、わずかな炎症細胞のみが見られる。この血管新生応答が全身照射による重度の免疫抑制によって変わることはなく、スクラルフェートのみを有するペレットが血管新生を誘導することはない。新しい血管は、炎症によってではなくbFGFによって主に誘導される。0.5%カルボキシメチルセルロース又は賦形剤単独に縣濁した1つ又は複数の化合物を用いる胃洗浄による移植後2日から、動物には毎日エサを与える。免疫抑制動物には、ペレットの移植直前に6分間6Gyの全身照射を与える。この照射線量は、顕著な白血球減少、並びに第2日までに80%超及び第3日までに90%超の白血球数の減少、以前の報告と一致する結果をもたらす。
同じ角膜専門家(M.S.L.)によって一日おきに、密閉状態においてスリットランプで動物を調べる。角膜新血管形成の領域は、レティキュールで縁からの血管長(L)、及び関連縁の実働時間数(C)を測定することによって決定する。式:C/12×3.1416[r2−(r−L)2]を使用して環状帯分節領域を決定し、この場合r=6mm、測定したウサギの角膜の径である。ペレット近辺の新血管形成の均一な隣接帯を測定し、したがって新血管形成の全体的阻害を評価することができる。
マウスマトリゲルプラグ血管新生アッセイ
血管新生に対する組成物の影響を確認するために、マウスマトリゲルプラグ血管新生アッセイを使用することができる。様々な増殖因子(例えば、IGF−1、bFGF又はVEGF)(250ng)及びヘパリン(1mL当たり0.0025単位)を、以前に記載されたように(Montesano,et al.,J.Cell Biol.1983,97:1648−1652;Stefansson,et al.,J.Biol.Chem.2000,276:8135−8141)低増殖因子マトリゲルと混合する。本明細書に記載する組成物又は対照抗体は、1つ又は複数の用量群の動物を利用してマトリゲル調製物に含めることができる。対照実験では、マトリゲルは増殖因子の不在下で調製する。マウスには0.5mLのマトリゲル調製物を皮下注射し、1週間インキュベーションする。インキュベーション時間後、マウスを屠殺し、重合マトリゲルプラグは外科手術によって除去する。マトリゲルプラグ内の血管新生は、免疫組織化学的分析及びヘモグロビン含有量(Furstenberger,et al.,Lancet.2002,3:298−302;Volpert,et al.,Cancer Cell 2002,2(6):473−83;及びSu,et al.,Cancer Res.2003,63:3585−3592)を含めた、2つの確立した方法によって定量化する。免疫組織化学的分析用に、マトリゲルプラグはOCT中に包埋し、急凍結し、4μm切片を調製する。凍結切片はメタノール/アセトン(1:1)中に固定する。凍結切片はCD31を対象とするポリクローナル抗体で染色する。20倍高倍(200X)顕微鏡視野内の微小血管密度数によって血管新生を定量化する。
ヘモグロビン含有量は、以前に記載されたように(Schnaper,et al.,J.Cell Physiol.1993,256:235−246;Montesano,et al.,J.Cell Biol.1983,97:1648−1652;Stefansson,et al.,J.Biol.Chem.2000,276:8135−8141;及びGigli,et al.,J.Immunol.1986,100:1154−1164)定量化することができる。マトリゲルインプラントはドライアイス上で急凍結し、一晩凍結乾燥させる。乾燥したインプラントは1時間1.0%サポニン0.4mL(Calbiochem)中に再縣濁し、強度のピペット処理で破壊する。調製物は14,000Xgで15分間遠心分離して、いかなる粒子も除去する。次いで上清中のヘモグロビン濃度を、405nmでの吸光度を測定することによって直接決定し、精製ヘモグロビンの標準濃度と比較する。
細胞移動をアッセイする方法
細胞移動に関するアッセイは文献中で、例えばBrooks,et al.,J.Clin.Invest 1997,99:1390−1398によって記載されており、細胞移動を測定するための方法は当業者に知られている。本明細書に記載する細胞移動を測定するための一方法では、トランスウエル移動チャンバーからの膜を基質(ここでは、エンドグリン及び/又はVEGF)でコーティングし、トランスウエルを洗浄し、非特異的結合部位はBSAで遮断する。半密集状態の培養物由来の腫瘍細胞を採取し、洗浄し、アッセイ抗体の有無の下で移動バッファー中に再縣濁する。コーティングしたトランスウエル膜の下側に腫瘍細胞を移動させた後、膜の上側に残存する細胞を除去し、下側に移動した細胞はクリスタルバイオレットで染色する。次いで細胞移動は、顕微鏡視野当たりの直接細胞数によって定量化する。
細胞増殖をアッセイする方法
細胞増殖は当業者に知られている方法によってアッセイすることができる。本明細書に記載するように、半密集状態のヒト内皮細胞(HUVEC)を、ECV又はECVL細胞由来のCM(25μL)の有無の下で低濃度(5.0%)血清を含有する増殖バッファー中に再縣濁することができ、内皮細胞は24時間増殖することができる。市販のWST−1アッセイキット(Chemicon)を使用してミトコンドリアデヒドロゲナーゼ活性を測定することによって、増殖を定量化することができる。更に、本明細書に記載するように、標準的な方法を使用して3Hの取込みを測定することによって、増殖を定量化することができる。(She et al.,Int.J.Cancer,108:251−257(2004))。
細胞増殖を評価する他の方法は当技術分野で知られており、本明細書において企図する。更なる非制限的な例は実施例中でより詳細に記載する。
CDC、ADCC及びオプソニン作用を誘導する方法
様々な療法が、形質転換細胞に対する身体の本来の免疫応答を高めることを対象としている。従来のエフェクター法には、補体依存性細胞溶解反応(CDC)、抗体依存性細胞傷害作用(ADCC)及びファゴサイトーシス(標的細胞を免疫グロブリンでコーティングした後の細網内皮系による除去)がある。抗体の存在下では、抗体のFc領域に対する表面結合受容体を有するリンパ球細胞などの特定のエフェクター細胞は、標的細胞に対する抗体依存性細胞傷害作用(ADCC)反応を仲介することが知られている。ADCCによって、これらのエフェクター細胞は、このような標的細胞に対して細胞溶解活性を発揮する。
2つの型のADCC反応がin vitroで実証されている。古典的ADCC反応では、エフェクター細胞は抗体コーティング標的細胞と結合し、後に標的細胞の細胞溶解を引き起こす(A.H.Greenberg et al.,「Characteristics Of The Effector Cells Mediating Cytotoxicity Against Antibody−Coated Target Cells」、Immunology,21,p.719(1975))。エフェクターと標的細胞の間のこの結合は、標的細胞コーティング抗体のFc領域とエフェクター細胞のFc受容体の相互作用に起因する。この型のADCC反応の1つの欠点は、エフェクター細胞のFc受容体に対する標的細胞結合抗体と競合し様々な疾患に関与することが多い循環抗原−抗体複合体によって、それが妨害される可能性があることである(I.C.M.MacLennan,「Competition For Receptors For Immunoglobulin On Cytotoxic Lymphocytes」、Clin.Exp.Immunol.,10,p.275(1972))。古典的ADCCのこの欠点のため、第二の型のADCC反応、抗体対象ADCCを利用することができる。抗体対象ADCCでは、標的特異的抗体がエフェクター細胞と最初に結合し、次いで生成した複合体が、標的細胞表面上のその特異的抗原に対する抗体によって「対象にされる」。有利なことに、抗体対象ADCCが、宿主系を循環する抗原−抗体複合体の存在によって影響を受ける可能性はない。Fc領域/Fc受容体結合を介した抗体とエフェクター細胞の間の相互作用は通常弱い。更に、いくつかの場合、標的細胞の溶解を可能にするほど十分な時間の間、抗体はエフェクター細胞との結合状態を保たない。この潜在的な問題を鑑みて、ポリエチレングリコールとフタル酸油の混合物を用いた前処理を使用して、抗体とエフェクター細胞を結合させている(J.F.Jones and D. M.Segal,「Antibody−Dependent Cell Mediated Cytolysis(ADCC) With Antibody−Coated Effectors:New Methods For Enhancing Antibody Binding And Cytolysis」、J.Immunol.,125,pp.926−33(1980))。しかし、in vivo治療に関するこの方法の適用性は、抗体−エフェクター細胞複合体上の任意のポリエチレングリコールとフタル酸油残基が身体に対して有し得る毒性効果によって低下する可能性がある。
或いは、細胞傷害性薬剤を用いたアジュバント化学療法によって、抗体対象ADCCを高めるための方法が提案されている(I.R.Mackay et al.,「Effect On Natural Killer And Antibody−Dependent Cellular Cytotoxicity Of Adjuvant Cytotoxic Chemotherapy Including Melphalan In Breast Cancer」、Cancer Immunol.Immunother.,16,pp.98−100(1983))。例えば米国特許第5,756,097号などの、ADCCを試験するためのアッセイは当技術分野でよく知られている。
したがって、本発明のいくつかの実施形態は、その新血管形成又は血管新生において役割を有し、ファゴサイトーシスを高め細胞を殺傷し、それによってin vivoでの防御を高めることができる、細胞と結合することができる抗体を提供する。このような抗体と結合することができ同じ効果を有する、結合部位又はエピトープと免疫反応、特異的に結合、又は優先的に結合する、他の抗体及びその機能断片も提供する。
更に抗体はオプソニン性である可能性があり、又は新血管形成又は血管新生において役割を有する細胞(例えば、内皮細胞)に対するオプソニン活性を示す可能性がある。当業者が理解しているように、「オプソニン活性」は、抗原又は細胞受容体と結合して、食細胞と抗原又は細胞受容体の結合を促進し、それによってファゴサイトーシスを高める、オプソニン(一般に、抗体又は血清因子C3bのいずれか)の活性を指す。オプソニン抗体でコーティングしたとき、及び血中からのそれらのクリアランス率が著しく高まるときに、特定の細胞は好中球及びマクロファージなどの食細胞に非常に誘引された状態になる。例えば米国特許第6,610,293号中に記載されたような任意の従来の形式で、オプソニン活性を測定することができる。
別の非制限的実施形態において、血管新生障害又は血管新生依存性障害を有する患者は、血管新生から抗原/ペプチド(例えばエンドグリン)を除去する。これらの抗原/ペプチドは「腫瘍関連抗原」であってよい。このような患者には抗原/ペプチド(例えばエンドグリン)に対する抗体を全身投与することができ、本明細書に記載する経路のいずれかを開始して、CDC、ADCC、オプソニン作用、又は任意の他の型の細胞仲介型殺傷を誘導することができる。
他のアッセイ
例えば以下の実施例中に記載するアッセイなどの、当技術分野で知られている他のアッセイを使用して、本明細書に記載する組成物の影響を試験することもできる。
パッケージ及びキット
他の更なる実施形態では、本出願は、前に記載した化合物と共に使用するためのキットに関する。エンドグリンと優先的に結合するキメラ抗体、及びVEGFと優先的に結合する抗体をキット中に提供することができる。キットは1つ又は複数の適切な容器手段を含むことができる。
キットの容器手段は、少なくとも1つのバイアル、試験管、フラスコ、ボトル、シリンジ、及び/又はその中に少なくとも1つのポリペプチドを配置、及び/又は好ましくは適切に等分することができる他の容器手段を一般に含み得る。キットは、少なくとも1つの融合タンパク質、検出可能成分、レポーター分子、及び/又は市販の十分密閉された任意の他の試薬容器を含有するための手段を含むことができる。このような容器は、その中に所望のバイアルを保持する射出及び/又はブロー成型プラスチック容器を含むことができる。キットは、キット中の材料を使用するための印刷物も含むことができる。
パッケージ及びキットは、製剤中に緩衝剤、防腐剤及び/又は安定剤を更に含むことができる。キットのそれぞれの構成要素は個々の容器内に封入することができ、全ての様々な容器は1つのパッケージ内に存在してよい。キットは低温保存又は室温保存用に設計することができる。
更に、調製物はキットの貯蔵寿命を増大するための安定剤を含有することができ、例えばウシ血清アルブミン(BSA)を含む。組成物を凍結乾燥する場合、凍結乾燥調製物を再構成するための溶液の調製物を、キットは更に含有することができる。許容される再構成溶液は当技術分野でよく知られており、例えば薬学的に許容されるリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を含む。
更に、本明細書で提供するパッケージ又はキットは、本明細書で提供する任意の他の成分、例えば1つ又は複数のレポーター分子、及び/又は1つ又は複数の検出可能な成分/作用物質などを更に含むことができる。
パッケージ及びキットは、例えばELISAアッセイなどのアッセイ用の、1つ又は複数の構成要素を更に含むことができる。本出願中で試験するサンプルには、例えば血液、血漿、組織/腫瘍切片及び分泌液、尿、リンパ、及びこれらの生成物がある。パッケージ及びキットは、サンプルを回収するための1つ又は複数の構成要素(例えば、シリンジ、カップ、スワブなど)を更に含むことができる。
パッケージ及びキットは、例えば、製品の記載、投与の形態及び/又は治療の指示を指定するラベルを更に含むことができる。本明細書で提供するパッケージは、本明細書に記載する任意の組成物を含むことができる。パッケージは、様々な型の癌及びそれらの転移の治療に関するラベルを更に含むことができる。
用語「パッケージ材料」は、キットの構成要素を収容する物理的構造を指す。パッケージ材料は構成要素を滅菌状態で維持することができ、このような目的で一般に使用される材料(例えば紙、波状線維、ガラス、プラスチック、ホイル、アンプルなど)で構成されてよい。ラベル又はパッケージ挿入物は、適切な書面の説明書を含むことができる。したがってキットは、本明細書に記載する任意の方法中でキットの構成要素を使用するための、ラベル又は説明書を更に含むことができる。キットは、本明細書に記載する方法中で化合物を投与するための説明書と一緒に、パック、又はディスペンサー中に化合物を含むことができる。
本明細書に記載する診断法及びアッセイを利用するキットを更に提供する。いくつかの実施形態では、キットは、その発現レベルが患者由来の癌細胞のサンプル中の血管新生阻害剤に対する感受性又は耐性と関連している、1つ又は複数の遺伝子を検出するための試薬を含む。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の遺伝子は、VEGF、VEGF受容体、及びCD105から選択される。いくつかの実施形態では、キットはVEGFを含む。いくつかの実施形態では、キットはVEGF受容体を含む。いくつかの実施形態では、キットはCD105を含む。いくつかの実施形態では、キットは、VEGF、VEGF受容体、及びCD105の少なくとも2つを含む。いくつかの実施形態では、キットは、血管新生阻害剤に対する感受性と関連している少なくとも2つの遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、キットは、血管新生阻害剤に対する耐性と関連している少なくとも2つの遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、キットは、血管新生阻害剤に対する感受性と関連している少なくとも1つの遺伝子、及び血管新生阻害剤に対する耐性と関連している1つの遺伝子を含む。
他の更なる実施形態では、キットは、治療する患者由来の腫瘍細胞のサンプル中のVEGF、VEGF受容体、及びCD105発現レベルを検出するための試薬、及び例えばカプセル、カプレット、ゲルキャップ、縣濁液用粉末などの様々な剤形で、本明細書に記載する抗体だけには限らないが、これらを含めた1又は複数用量の阻害剤を含む。治療する患者由来の腫瘍細胞のサンプル中のVEGF、VEGF受容体、及びCD105発現レベルを検出するための試薬を含有するキットは、少なくとも1つの他の血管新生阻害剤を同時投与するための任意の前述のキットの実施形態を更に含むことが更に企図される。
説明書は、治療法を含めた本明細書に記載する任意の方法を実施するための説明書を含むことができる。説明書は、満足のいく臨床終点若しくは発生し得る任意の悪い症状の表示、又は食品医薬品局などの統制機関によって必要とされるヒト対象における使用に関する他の情報を更に含むことができる。
説明書は、「印刷物」上、例えばキット内若しくはキットに添付された紙若しくは厚紙上、又はキット若しくはパッケージ材料に添付された、又はキットの構成要素を含有するバイアル若しくはチューブと結合したラベルに存在してよい。説明書は更に、ディスク(フロッピーディスク又はハードディスク)、CD−又はDVD−ROM/RAMなどの光学CD、磁気テープなどのコンピュータ可読媒体、RAM及びROM、ICチップなどの電子保存媒体、及び磁気/光学保存媒体などのこれらのハイブリッドに含まれてもよい。
本出願の化合物及び方法の実施形態は、例示的及び非制限的であると考えられる。変形及び変更、エンドグリンの結合に関してほぼ本来の機能を維持しながら、記載する変形周囲のエンドグリンと結合するキメラ抗体の変化と関係し得る変形及び変更は、具体的に前述の教示に照らして、当業者によって作製することができる。したがって、記載する範囲内にあり開示する個々の実施形態の変更形態を作製することができることは理解されるはずである。
本出願は、本出願の例示的な実施形態として与える以下の非制限的な実施例を参照することによって、より良く理解することができる。以下の実施例は例示的な実施形態をより完全に例示するために表すが、しかし、決して本出願の広範囲を制限するものとして解釈すべきではない。本出願の特定の実施形態を本明細書で示し記載しているが、このような実施形態は単なる例によって与えられることは明らかであろう。多くの変更、変化、及び置換が存在する可能性があり、本明細書に記載する実施形態に対する様々な実施形態を、本明細書に記載する方法を実施する際に利用することができることは理解されるはずである。
(例1)
BIAcore(表面プラズモン共鳴:SPR)分析
キメラ抗エンドグリン抗体の結合
抗体の親和性は、標準的なプロトコールを使用して、例えばBIAcore分析を使用して評価することができる。簡単に言うと、抗ヒスチジンタグ抗体をヒスチジンタグ組換えヒトエンドグリンの捕捉用のBIAcoreチップとカップリングさせ、次いでそれを使用してキメラ抗エンドグリン抗体の結合を測定する。SPRアッセイの進行は、少なくとも2チップの調製バッチ及び8チップの分析バッチで実施する。以下のパラメーターをアッセイの進行中に評価する:
(a)CM5チップと抗ヒスチジンタグ抗体のカップリング
EDC/NHSを使用し従来のアミン化学法によって、抗ヒスチジンタグ抗体をBIAcoreCM5チップにカップリングさせる。反応条件(濃度及びpH)は最適化する。
(b)ヒトエンドグリンの結合及びバイオセンサーチップの再生
ヒトエンドグリンの結合及びチップの再生に関する条件を、(以前の経験に基づき)様々なバッファーを使用し結合抗体を溶出することによって試験する。候補となる再生法を開発した後、1チップ表面の結合能力及びバックグラウンドを少なくとも25サイクルにわたり測定する。目的は、平均でサイクル当たり10RU未満のバックグラウンドの増大及びサイクル当たり未満の1%能力の低下を得ることである。
(c)ヒトエンドグリンの結合
ヒトエンドグリンの用量応答を測定して、最大結合に近づくのに適した濃度を決定する。
(d)キメラ抗エンドグリン抗体の結合
キメラ抗エンドグリン抗体の用量応答を測定して、(相対的運動定数、kaとkdの比較、又は平行線法による相対的効力の比較を含み得る)運動又は平衡状態結合実験に適した範囲を決定する。
(e)予備確認実験
結合実験を、異なるときに異なるチップ、異なるフローセルを使用し選択した条件下で少なくとも3回繰り返して、測定の精密度及び精度に関する予備情報を得る。全てのBIAcore実験は、HBS−EPランニングバッファー中で25℃において実施する。
抗VEGF抗体の結合
抗体の親和性は、標準的なプロトコールを使用して、例えばBIAcore分析を使用して評価することができる。簡単に言うと、抗ヒスチジンタグ抗体をヒスチジンタグ組換えヒトVEGFの捕捉用のBIAcoreチップとカップリングさせ、次いでそれを使用して抗VEGF抗体の結合を測定する。SPRアッセイの進行は、少なくとも2チップの調製バッチ及び8チップの分析バッチで実施する。以下のパラメーターをアッセイの進行中に評価する:
(a)CM5チップと抗ヒスチジンタグ抗体のカップリング
EDC/NHSを使用し従来のアミン化学法によって、抗ヒスチジンタグ抗体をBIAcoreCM5チップにカップリングさせる。反応条件(濃度及びpH)は最適化する。
(b)ヒトVEGFの結合及びバイオセンサーチップの再生
ヒトVEGFの結合及びチップの再生に関する条件を、(以前の経験に基づき)様々なバッファーを使用し結合抗体を溶出することによって試験する。候補となる再生法を開発した後、1チップ表面の結合能力及びバックグラウンドを少なくとも25サイクルにわたり測定する。目的は、平均でサイクル当たり10RU未満のバックグラウンドの増大及びサイクル当たり未満の1%能力の低下を得ることである。
(c)ヒトVEGFの結合
ヒトVEGFの用量応答を測定して、最大結合に近づくのに適した濃度を決定する。
(d)抗VEGF抗体の結合
キメラ抗エンドグリン抗体の用量応答を測定して、(相対的運動定数、kaとkdの比較、又は平行線法による相対的効力の比較を含み得る)運動又は平衡状態結合実験に適した範囲を決定する。
(e)予備確認実験
結合実験を、異なるときに異なるチップ、異なるフローセルを使用し選択した条件下で少なくとも3回繰り返して、測定の精密度及び精度に関する予備情報を得る。全てのBIAcore実験は、HBS−EPランニングバッファー中で25℃において実施する。
(例2)
キメラ抗エンドグリン抗体の結合に関するELISA
ELISAを使用してエンドグリンとキメラ抗エンドグリン抗体の結合をアッセイすることができる。簡単に言うと、ELISAを以下のステップに従い実施する:
1.1500ng/ml、PBS中、100μl/ウエルでMAB9811−01(ポリクローナル抗エンドグリン抗体)を用いてNunc Maxisorpプレートをコーティングする。シーラーでプレートを覆い、4℃で(16〜〜24時間)一晩インキュベートする。
2.(Tweenを含まない)約200μlのPBSでプレートを2回洗浄する。
3.200μl/ウエルのBSAブロッキング溶液(1%BSA)を加え、室温で60分インキュベートする。
4.BioTekプレート洗浄液を使用して、Tween(PBS−T)を含有するPBSでプレートを3回洗浄する。
5.100μl/ウエルのCD105(R&D Systems Cat 1097−EN)を、100ng/ml、PBS−T及び0.1%BSA中で加え、室温で60分インキュベートする。
6.BioTekプレート洗浄液を使用して、PBS−Tでプレートを3回洗浄する。
7.試験ウエル中:100μl/ウエルのキメラ抗エンドグリン抗体を(PBS−T及び0.1%BSA中に希釈し)20、10、4、2、1、0.5及び0.2ng/mlで加え、室温で60分インキュベートする。陰性対照ウエル中:100μl/ウエルのアイソタイプ適合対照抗体を加える。
8.BioTekプレート洗浄液を使用して、PBS−Tでプレートを3回洗浄する。
9.PBS−T及び0.1%BSA中に1:10000希釈した、100μl/ウエルのHRPと結合したヤギ抗ヒトIgG(Jackson Immunoresearch)を全てのウエルに加え、室温で30〜60分インキュベートする。
10.BioTekプレート洗浄液を使用して、PBS−Tでプレートを5回洗浄する。
11.100μl/ウエルのTMB基質溶液を加え、15分間暗所において非被覆状態でインキュベートする。
12.100μl/ウエルのTMB停止溶液を加えることにより反応を停止させる。
サンプルは三連で処理し、光学濃度を読取り標準曲線を構築し、結合定数を決定する。統計解析は、スチューデントのt−検定又は別の標準検定を使用して実施する。
同様のプロトコールを使用して、抗体とVEGFの結合に関して試験することができることは理解されよう。
(例3)
エンドグリン発現細胞における抗体親和性及び利用可能なエピトープの数
エンドグリン発現細胞における抗体親和性及び利用可能なエピトープの数は、標準的なプロトコールを使用しスキャッチャードプロット解析を利用して評価することができる。
簡単に言うと、エンドグリン発現KM−3白血病細胞及び半密集状態の増殖HUVECと放射性標識キメラ抗エンドグリン抗体の直接結合の、スキャッチャードプロット解析を実施する。精製抗エンドグリン抗体は、Iodo−Genを使用して当業者に知られている標準的な方法に従い、125Iで個別に放射性標識する。放射性標識キメラ抗エンドグリン抗体は、IgG分子当たりの平均ヨウ素原子に関してそれぞれアッセイする。滴定実験は一定量(0.1μg)の各125I標識mAb及び2倍連続増量のエンドグリン発現KM−3又はHUVEC細胞を使用して実施し、抗原結合活性を決定する。結合データのスキャッチャードプロット解析は知られている方法に従い実施する。平衡定数及びmAb結合/細胞の平均最大数はこの解析によって評価する。
(例4)
遮断活性に関するウエスタンブロットアッセイ
CD105を発現する細胞のCD105刺激活性化を遮断するキメラ抗エンドグリン抗体の能力を、ウエスタンブロットによりアッセイして、CD105シグナル伝達経路に関与するタンパク質のリン酸化を検出することができる。
知られているウエスタンブロット技法に従い、ウエスタンブロット分析を実施してリン酸化Smad1/5/8又はSmad2を同定する。PSmad1及びPSmad2抗体は、非トランスフェクト内皮細胞においてリン酸化Smad1/5又はリン酸化Smad2を特異的に認識する。Smad1、Smad2、Smad5、Id1(Santa Cruz)及びエンドグリンに対する一次抗体を利用してサンプル中の分子を検出する。検出は増大した化学発光(ECL)によって実施する。
(例5)
HUVEC増殖の阻害及び3H−チミジン取込みアッセイ
いくつかのアッセイが細胞増殖の阻害を評価するのに利用可能である。
一例では、半密集状態下で37℃においてCO2インキュベーター中、75−cm2フラスコ(Falcon、Becton−Dickinson、Franklin Lakes、NJ)内でHUVECを培養する。15分間37℃において、ハンクスの平衡塩類溶液、及び15mM EDTA、25mM HEPESバッファー中、pH7.3とインキュベートすることにより細胞を脱着させる。氷冷PBSで2回洗浄した後、細胞は25,000細胞/mlの濃度で内皮細胞増殖培地中に再縣濁する。別の実験では、ヒト臍帯静脈内内皮細胞(HUVEC)を縣濁し、FBS及びウシ脳抽出物を含まない内皮細胞増殖培地中で培養する。細胞縣濁液のアリコート200μlを、96−ウエル培養プレートのそれぞれのウエルに接種する。キメラ抗エンドグリン抗体、抗VEGF抗体、キメラ抗エンドグリン抗体と抗VEGF抗体の組合せ、対照IgG又はTGF−β1を三連で加える前に、一晩CO2インキュベーター中で37℃において細胞を培養する。培養プレートは72時間インキュベーター中に保ち、その間に新たな培地及び抗体又は対照を24時間毎に交換する。3H−チミジン(1μCi)をそれぞれのウエルに加え、プレートは20時間インキュベートする。細胞はPBSで洗浄し、次に15分間37℃において100μl/ウエルのトリプシン−EDTA(0.05%のトリプシン、0.53mMのEDTA)で処理する。細胞はHarvester96(TOMTEC、Hamden、CT)を使用してグラスファイバーフィルター(Wallac Printed FiltermatA)上に採取し、3H−放射能はTrilux 1540 MicroBeta液体シンチレーション及び発光カウンター(Wallac、Turku、Finland)において測定する。
(例6)
MTSアッセイによるHUVEC増殖の阻害
いくつかのアッセイが内皮細胞増殖の阻害を評価するのに利用可能である。
一例では、0.5%のウシ胎児血清及び30ng/mLのVEGFを含有するEGM−2培地(Clonetics、Walkersville、MD)中にウエル当たり5,000細胞で、半密集状態下で37℃においてCO2インキュベーター中、96ウエルプレート(Falcon、Becton−Dickinson、Franklin Lakes、NJ)内でHUVECを培養する。細胞は少なくとも24時間培養フラスコに接着させ、次いで抗VEGF抗体有り、キメラ抗エンドグリン抗体有り又は無しでインキュベートする。培養プレートは72時間インキュベーター中に保ち、その間に新たな培地及び抗体又は対照を24時間毎に交換する。抗体を用いた治療の3日後に、MTSテトラゾリウム化合物を1時間ウエルに加え、製造者の説明書(Cell Titer 96 Aqueous One Solution Cell Proliferation Assay、Promega)に従い490nmで吸光度を定量化する。全てのサンプルは三連で処理する。
(例7)
細胞移動の阻害に関するアッセイ
細胞増殖及び活性化の指標としての移動(化学運動性)を、Boydenチャンバーを使用し測定する。
簡単に言うと、細胞移動を以下のように評価する。Costarヌクレオポアフィルター(8mm孔)は4℃において一晩フィブロネクチンでコーティングする。チャンバーはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄し、下部チャンバーには、血清有り又は無し及びTGF−β3有り又は無しでDMEMを充填した。細胞はトリプシン処理し、対照抗体、キメラ抗エンドグリン抗体、抗VEGF抗体又はこれらの組合せの存在下においてDMEM中に50,000細胞/mlの最終濃度で縣濁する。細胞縣濁液のアリコート150μlを上部チャンバーに加え、37℃でインキュベートする。16時間後、細胞を洗浄し、上側表面を拭いて非移動性細胞を除去する。膜はメタノール中に固定し、水で洗浄し、染色して下側表面上に存在する細胞数を数える。
(例8)
ADCCアッセイ
本明細書に記載する抗体は、例えば以下のプロトコールを使用して、IL−2活性化ナチュラルキラー(NK)細胞を生成しADCCを誘導するそれらの能力に関して評価することができる。
NKの単離及びIL−2活性化NK細胞の生成
PBMCを単離し、10%FBSを含むRPMI中で4℃において24時間放置する。次いでPBMCは2%FBSを含むRPMI中に置き(合計体積=50mL)、10mLの細胞縣濁液をペトリ皿に平板培養する。PBMCは37℃で2時間インキュベートし、非接着性細胞を回収する。NK細胞は48時間8×106/mL及び1000U/mLのIL−2で培養し、次にアッセイ中で使用する前に5〜8日間通常培養する。
及びADCCアッセイナチュラルキラー細胞障害性
NK細胞を培養プレートからかき取り、50mL円錐形チューブ中に回収する。細胞はRPMI完全培地で一回洗浄し、10分間1200rpmで遠心分離する。次いでNK細胞を5mLのRPMI完全培地中に再縣濁し計数する。アッセイを実施する前に、NK細胞数を10:1のエフェクター:標的比に標準化する。標準化したNK細胞は平板培養し、10μLのキメラ抗エンドグリン抗体を指定ウエルに加え、37℃で30分間インキュベートする。対照サンプルは、未処理又は対照抗体処理した細胞集団を含む。
対象の標的細胞を回収し(HUVEC細胞)、洗浄し、10分間1200rpmで遠心分離し、5mLのRPMI完全培地中に再縣濁する。標的細胞を再度洗浄し、1×106細胞/mLの最終濃度まで無血清RPMI中に再縣濁する。次いで標的細胞を37℃で1時間、最終濃度5ug/mLのCalcein AMで標識し、次にRPMI完全培地で2回洗浄する。次いで標的細胞を再縣濁し、NK細胞ウエルに加える。標的細胞/NK細胞の組合せを37℃で4時間インキュベートする。インキュベーション後、プレートを5分間1200rpmで遠心分離し、細胞を洗浄し、DPBS中に再縣濁する。蛍光は450/530nmの励起/発光を使用して読み取り、発光は抗体によって仲介される細胞殺傷の指標である。
(例9)
投与に関する用量
本明細書に記載する抗体の最適用量は、当技術分野で認められている方法を使用して前に記載したように決定することができる。
非制限的な一実施形態では、本明細書に記載する抗体を、様々な用量及び様々な時間枠で対象に投与することができる。非制限的な用量には、約0.01mg/kg、約0.05mg/kg、約0.1mg/kg、約0.5mg/kg、約1mg/kg、約5mg/kg、約10mg/kg、約20mg/kg、約30mg/kg、又は間の任意の整数がある。更に、(1又は複数)の用量の抗体を、週2回、週1回、2週毎、3週毎、4週毎、6週毎、8週毎、12週毎、又はこれらの週の任意の組合せで投与することができる。例えば抗体投与、4週間の間週に1回又は2回、次に2週間治療なしなどの、投与サイクルも企図される。例えば本明細書に記載する用量及び週サイクルの異なる組合せを含めた、別の投与サイクルも本明細書で企図される。
別の実施形態では、ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))を以下の用量及びレジメンに基づいて投与することができる:
(例10)
固形腫瘍型におけるエンドグリン(CD105)の発現
固形腫瘍におけるエンドグリンの発現を、免疫組織化学法を使用して評価した。凍結及びアセトン固定ヒト癌サンプルは、10,000倍希釈の抗エンドグリン抗体SN6j腹水又はアイソタイプ適合対照IgG腹水と反応させ、DAKO染色キットで染色した。対比染色はヘマトキシリンで実施した。SN6jは腫瘍内の血管と結合したが、一方でアイソタイプ適合対照IgGはいかなる染色も示さなかった。試験した全ての腫瘍型が腫瘍血管内でエンドグリン発現を示した。
(例11)
SCIDマウスに移植したヒト皮膚中で予め形成されたヒト乳癌腫瘍の抗血管新生療法
本明細書に記載する抗体の影響は、SCIDマウスに移植したヒト皮膚中で予め形成されたヒト乳癌腫瘍に対するそれらの抗血管新生効果に関して評価することができる。
簡単に言うと、MCF−7細胞(0.1mlのPBS中に8×106個の細胞)を、移植が炎症、収縮又は拒絶の兆候を示さないとき、SCIDマウスに移植したヒトの完全厚皮膚に皮内移植する。明らかで触知可能な腫瘍(多くの場合直径3〜6mm)が出現するまでマウスは未治療状態で放置する。明らかな腫瘍を有するマウスは治療試験用に数群に分ける。(1)キメラ抗エンドグリン抗体、(2)ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))、(3)キメラ抗エンドグリン抗体とベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))の組合せ、又は(4)アイソタイプ適合対照IgGを含有する溶液(組成物)を、マウス血清アルブミンを含有する滅菌PBSでそれぞれ希釈する(0.05%の最終濃度)。mAb治療用に、マウスの尾静脈を介して200μg/0.2mLの試験抗体又は対照IgGを静脈内(i.v.)投与する。投与は2〜3日毎に与える。
治療中、腫瘍サイズ及び罹患率に関してマウスを毎日モニタリングする。電子天秤(OHAUS(商標)Model GT210)を使用して週に2回マウスを重量測定する。腫瘍サイズは、OptoDemo(商標)ソフトウェア(Fowler Co.)を使用してコンピュータに接続した、電子カリパス(PRO−MAX 6インチカリパス;Fowler Co、Newton、Mass.)を使用して週に3回測定する。測定した腫瘍径は、例えば以下の式:V=長さ×幅×高さ×pi/6を使用して腫瘍体積に変換する。異なるマウス群の比較に関するデータの統計解析は、スチューデントのt−検定を使用して実施する。
(例12)
卵巣癌のマウスモデル
キメラ抗エンドグリン抗体及び抗VEGF抗体の能力を決定するため、又は卵巣癌を治療するために、SCID、トランスジェニック又はヌードマウスにおいて、卵巣癌細胞系を使用することができる。
簡単に言うと、卵巣癌細胞をSCID、トランスジェニック又はヌードマウスに移植して卵巣腫瘍を作製する。定着腫瘍を有するマウス群を、(1.8mg/体重1kgで開始する)段階的用量のキメラ抗エンドグリン抗体、ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))、キメラ抗エンドグリンモノクローナル抗体(mAb)とベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))の組合せ、又は対照IgGの静脈内投与によって治療する。治療は週当たり2又は3回実施する。全ての群で化学療法を使用することができる。マウスをモニタリングし、腫瘍増殖は週当たり2又は3回測定する。
(例13)
腎臓癌のマウスモデル
腎臓癌を治療するキメラ抗エンドグリン抗体及び抗VEGF抗体の能力を決定するため、SCID、トランスジェニック又はヌードマウスにおいて腎臓癌細胞系を使用する。
簡単に言うと、腎臓癌細胞をSCID、トランスジェニック又はヌードマウスに移植して腎臓腫瘍を作製する。定着腫瘍を有するマウス群を、(1.8mg/体重1kgで開始する)段階的用量のキメラ抗エンドグリン抗体、ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))、キメラ抗エンドグリンモノクローナル抗体(mAb)とベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))の組合せ、又は対照IgGの静脈内投与によって治療する。治療は週当たり2又は3回実施する。全ての群で化学療法を使用することができる。マウスをモニタリングし、腫瘍増殖は週当たり2又は3回測定する。
(例14)
結腸直腸癌のマウスモデル
結腸直腸癌を治療するキメラ抗エンドグリン抗体及び抗VEGF抗体の能力を決定するため、SCID、トランスジェニック又はヌードマウスにおいて乳癌細胞系を使用する。
簡単に言うと、乳癌細胞をSCID、トランスジェニック又はヌードマウスに移植して結腸直腸腫瘍を作製する。定着腫瘍を有するマウス群を、(10mg/体重1kgで開始する)段階的用量のキメラ抗エンドグリン抗体、ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))、又はキメラ抗エンドグリンモノクローナル抗体(mAb)とベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))の組合せの静脈内投与によって治療する。対照動物には対照IgGを投与する。治療は週当たり2又は3回実施する。全ての群で化学療法を使用することができる。マウスをモニタリングし、腫瘍増殖は週当たり2又は3回測定する。
(例15)
脳癌のマウスモデル
脳癌を治療するキメラ抗エンドグリン抗体及び抗VEGF抗体の能力を決定するため、SCID、トランスジェニック又はヌードマウスにおいて多形性膠芽腫細胞系を使用する。
簡単に言うと、多形性膠芽腫癌細胞をSCID、トランスジェニック又はヌードマウスに移植して乳房腫瘍を作製する。定着腫瘍を有するマウス群を、(10mg/体重1kgで開始する)段階的用量のキメラ抗エンドグリン抗体、ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))、又はキメラ抗エンドグリンモノクローナル抗体(mAb)とベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))の組合せの静脈内投与によって治療する。対照動物には対照IgGを投与する。治療は週当たり2又は3回実施する。全ての群で化学療法を使用することができる。マウスをモニタリングし、腫瘍増殖は週当たり2又は3回測定する。
(例16)
結腸直腸癌に関する併用療法の臨床試験
この実施例は、結腸直腸癌を有する患者においてキメラ抗エンドグリン抗体とベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))を併用する安全性及び有効性の予備アセスメントを与えるために設計した、ランダム化、盲検化、プラセボ対照、多施設、第II相又は第III相試験を記載する。およそ約100〜約800の患者を登録し、約50〜約400の患者を治療群に割り当て、約50〜約400の患者をプラセボ群に割り当てる。臨床試験は、約0.1約10mg/kgで反復用量のキメラ抗エンドグリン抗体の静脈内投与、又は6〜10サイクルで2〜3週毎に第1日に約5mg/kgでベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))と併用した1〜3週毎にプラセボの静脈内投与を含む。全ての群で化学療法を使用することができる。試験の時間枠は約6カ月〜約5年で推定し、初期試験の最後に必要を示す応答者には治療を続ける。他の結果測定法は以下の通りである:
主要評価項目測定:奏功率。この試験の1つの目的は、ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))及びプラセボを用いた約40%からベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))及びキメラ抗エンドグリン抗体を用いた約60%(以上)までの、奏功率の増大を実証することである。
評価することができる二次評価項目測定は、奏功期間、腫瘍進行の時間、全体的生存率、重度及び軽度の有害事象を含む。例えば、治療は疾患の進行を予防することができ(即ち安定状態)、又は改善をもたらすことができる。代替的、又は追加的に、以下の1つ又は複数、腫瘍負荷の減少、新血管形成の減少、副作用の低下、有害反応の減少、及び/又は患者のコンプライアンスの向上に関する、他の目的を測定することができる。
(例17)
腎臓癌に関する併用療法の臨床試験
この実施例は、腎細胞癌(腎臓癌)を有する患者においてキメラ抗エンドグリン抗体とベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))を併用する安全性及び有効性の予備アセスメントを与えるために設計した、ランダム化、盲検化、プラセボ対照、多施設、第II相又は第III相試験を記載する。およそ約100〜約800の患者を登録し、約50〜約400の患者を治療群に割り当て、約50〜約400の患者をプラセボ群に割り当てる。臨床試験は、約0.1〜約30mg/kgで反復用量のキメラ抗エンドグリン抗体の静脈内投与、又は3〜6サイクル若しくは進行まで2週毎に約2.5〜約15mg/kgでベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))と併用した1〜3週毎にプラセボの静脈内投与を含む。インターフェロンも両治療群で使用することができる。試験の時間枠は約6カ月〜約5年で推定し、初期試験の最後に必要を示す応答者には治療を続ける。他の結果測定法は以下の通りである:
主要評価項目測定:無憎悪生存期間。この試験の1つの目的は、ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))及びプラセボ群における約9〜13カ月からベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))及びキメラ抗エンドグリン抗体群における約14〜18カ月(以上)までの、無憎悪生存期間の増大を実証することである。
評価することができる二次評価項目測定は、奏功期間、腫瘍進行の時間、全体的生存率、重度及び軽度の有害事象を含む。例えば、治療は疾患の進行を予防することができ(即ち安定状態)、又は改善をもたらすことができる。代替的、又は追加的に、以下の1つ又は複数、腫瘍負荷の減少、新血管形成の減少、副作用の低下、有害反応の減少、及び/又は患者のコンプライアンスの向上に関する、他の目的を測定することができる。
(例18)
肝細胞癌に関する併用療法の臨床試験
この実施例は、肝細胞癌(肝臓癌)を有する患者においてキメラ抗エンドグリン抗体とベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))又はソラフェニブを併用する安全性及び有効性の予備アセスメントを与えるために設計した、ランダム化、盲検化、プラセボ対照、多施設、第II相又は第III相試験を記載する。およそ約100〜約800の患者を登録し、約50〜約400の患者を治療群に割り当て、約50〜約400の患者をプラセボ群に割り当てる。臨床試験は、約0.1〜約30mg/kgで反復用量のキメラ抗エンドグリン抗体の静脈内投与、又は3〜6サイクル若しくは進行まで2〜3週毎に約2.5〜約15mg/kgでベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))若しくは毎日約400mgのソラフェニブと併用した1〜3週毎のプラセボの静脈内投与を含む。試験の時間枠は約6カ月〜約5年で推定し、初期試験の最後に必要を示す応答者には治療を続ける。他の結果測定法は以下の通りである:
主要評価項目測定:無憎悪生存期間。この試験の1つの目的は、ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))(又はソラフェニブ)及びプラセボ群における約3〜9カ月からベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))(又はソラフェニブ)及びキメラ抗エンドグリン抗体群における約6〜12カ月(以上)までの、無憎悪生存期間の増大を実証することである。
評価することができる二次評価項目測定は、奏功期間、腫瘍進行の時間、全体的生存率、重度及び軽度の有害事象を含む。例えば、治療は疾患の進行を予防することができ(即ち安定状態)、又は改善をもたらすことができる。代替的、又は追加的に、以下の1つ又は複数、腫瘍負荷の減少、新血管形成の減少、副作用の低下、有害反応の減少、及び/又は患者のコンプライアンスの向上に関する、他の目的を測定することができる。
(例19)
卵巣癌に関する併用療法の臨床試験
この実施例は、卵巣癌を有する患者においてキメラ抗エンドグリン抗体とベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))を併用する安全性及び有効性の予備アセスメントを与えるために設計した、ランダム化、盲検化、プラセボ対照、多施設、第II相又は第III相試験を記載する。およそ約100〜約800の患者を登録し、約50〜約400の患者を治療群に割り当て、約50〜約400の患者をプラセボ群に割り当てる。臨床試験は、約0.1〜約30mg/kgで反復用量のキメラ抗エンドグリン抗体の静脈内投与、又は第1日に約15mg/kgでベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))と併用し1〜3週毎にプラセボの静脈内投与、次に5サイクルで21日毎に15mg/kgの静脈内投与を含む。化学療法を両治療群で使用することもできる。試験の時間枠は約6カ月〜約5年で推定し、初期試験の最後に必要を示す応答者には治療を続ける。他の結果測定法は以下の通りである:
主要評価項目測定:無憎悪生存期間。この試験の1つの目的は、ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))及びプラセボ群における約3〜6カ月からベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))及びキメラ抗エンドグリン抗体群における約4〜12カ月(以上)までの、無憎悪生存期間の増大を実証することである。この試験の1つの目的は、ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))及びプラセボを用いた約20%からベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))及びキメラ抗エンドグリン抗体を用いた約30%(以上)までの、奏功率の増大を実証することである。
評価することができる二次評価項目測定は、奏功期間、腫瘍進行の時間、全体的生存率、重度及び軽度の有害事象を含む。例えば、治療は疾患の進行を予防することができ(即ち安定状態)、又は改善をもたらすことができる。代替的、又は追加的に、以下の1つ又は複数、腫瘍負荷の減少、新血管形成の減少、副作用の低下、有害反応の減少、及び/又は患者のコンプライアンスの向上に関する、他の目的を測定することができる。
(例20)
多形性膠芽腫に関する併用療法の臨床試験
多形性膠芽腫(脳癌)を有する患者においてキメラ抗エンドグリン抗体とベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))を併用する安全性及び有効性の予備アセスメントを与えるために設計した、ランダム化、盲検化、プラセボ対照、多施設、第II相又は第III相試験を記載する。およそ約100〜約800の患者を登録し、約50〜約400の患者を治療群に割り当て、約50〜約400の患者をプラセボ群に割り当てる。臨床試験は、約0.1〜約30mg/kgで反復用量のキメラ抗エンドグリン抗体の静脈内投与、又は3〜6サイクル若しくは進行まで2〜3週毎に約2.5〜約15mg/kgでベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))と併用した1〜3週毎のプラセボの静脈内投与を含む。試験の時間枠は約6カ月〜約5年で推定し、初期試験の最後に必要を示す応答者には治療を続ける。他の結果測定法は以下の通りである:
主要評価項目測定:無憎悪生存期間。この試験の1つの目的は、ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))及びプラセボ群における約3〜9カ月からベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))及びキメラ抗エンドグリン抗体群における約4〜12カ月(以上)までの、無憎悪生存期間の増大を実証することである。評価することができる二次評価項目測定は、奏功期間、腫瘍進行の時間、全体的生存率、重度及び軽度の有害事象を含む。例えば、治療は疾患の進行を予防することができ(即ち安定状態)、又は改善をもたらすことができる。代替的、又は追加的に、以下の1つ又は複数、腫瘍負荷の減少、新血管形成の減少、副作用の低下、有害反応の減少、及び/又は患者のコンプライアンスの向上に関する、他の目的を測定することができる。
(例21)
カニクイザルにおける全身毒性試験
ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))と併用したキメラ抗エンドグリン抗体の毒性を処理するための試験においてカニクイザルを利用する。
簡単に言うと、10.0mg/kg、30.0mg/kg又は100.0mg/kgのキメラ抗エンドグリン抗体と2.5、5、7.5、10又は15mg/kgのベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))を、3週間にわたり週1回サルに投与する。プラセボ動物には、抗体の不在下において適切な溶液を同じスケジュールで投与する。いくつかの用量を30〜60分にわたり静脈内ボーラスとして投与し、少なくとも6匹の動物にそれぞれの用量レベルで投与する。毒性は以下の指標の1つ又は複数、重量測定、基本生理現象の臨床測定、一連の血清化学的検査、血液学的評価及び病理組織学的評価によって評価する。
(例22)
カニクイザルにおける局所毒性試験
硝子体内注射により与えるときにラニビズマブ(LUCENTIS(登録商標))と併用する、キメラ抗エンドグリン抗体の毒性を処理するための試験においてカニクイザルを利用する。
簡単に言うと、0.25、1.25及び2.5mgのキメラ抗エンドグリン抗体と0.5mgのラニビズマブ(LUCENTIS(登録商標))を、6週間にわたり硝子体内注射により週1回サルに投与する。プラセボ動物には、抗体の不在下において適切な溶液を同じスケジュールで投与する。いくつかの用量を硝子体内注射として投与し、少なくとも6匹の動物にそれぞれの用量レベルで投与する。毒性は以下の指標の1つ又は複数、重量測定、基本生理現象の臨床測定、一連の血清化学的検査、血液学的評価及び病理組織学的評価によって評価する。
(例23)
チューブ状ネットワークの形成
血管形成の二次元in vitroモデルにおいて血管新生を試験することができる。
一例では、8時間抗VEGF抗体、キメラ抗エンドグリン抗体、又は抗VEGF抗体とキメラ抗エンドグリン抗体の両方の存在下において、半密集状態下で37℃においてCO2インキュベーター中、フラスコ(Falcon、Becton−Dickinson、Franklin Lakes、NJ)内の5%のウシ胎児血清及び増殖因子を含有するEGM−2培地(Clonetics、Walkersville、MD)中でHUVECを培養する。無関係なIgG抗体を別の対照として含める。次いでHUVEC細胞を軽くトリプシン処理し、10,000〜15,000個の細胞を重合ECMatrixゲル(In vitro血管新生アッセイキット、Chemicon)に接種する。一晩インキュベートした後、細胞は顕微鏡下で目に見える状態にし、クローズドポリゴンの数を数え、連続内皮細胞の長さを測定し写真を撮る。全ての実験条件は三連で試験する。
(例24)
簇出アッセイ
簇出の三次元in vitroモデルにおいて血管新生を試験することができる。
HUVECを臍帯から単離し、3℃及び5%CO2で、10%のウシ胎児血清(FBS)(GIBCO、Carlsbad、CA)及び内皮細胞増殖サプリメント(ECGS)(BD Biosciences、Bedford、MA)を補充したM199中で増殖させ、2〜4回継代したHUVECを全ての実験に使用する(第0代は初代培養である)。肺線維芽細胞(LF)を、37℃及び5%CO2で、10%のFBSを補充したDMEM(GIBCO、Carlsbad、CA)中で通常通り増殖させ、P10とP15の間で使用する。ATCCから入手可能な他の線維芽細胞系を使用することもできる。
細胞の調製
HUVEC及び線維芽細胞を、ビーズ処理前に1〜2日、M199/10%FBS/Pen−Strep(1:100)中で増殖させる。HUVEC用に、培地はビーズ処理前日にEGM−2(Clonetics、Walkersville、MD)に交換する。線維芽細胞用に、培地は包埋前日にEGM−2に交換する。ビーズ処理はビーズ当たり約400のHUVECを必要とする。線維芽細胞は、24ウエルプレートに関してウエル当たり20,000個の細胞で使用する。96ウエルプレートを使用し、それによって量を測定することもできる。
Cytodex3ビーズ調製
例えばCytodex3マイクロキャリアビーズをアッセイ中で使用することができる(Amersharn Pharmacia Biotech、Piscataway、NJ)。
乾燥ビーズ(0.5g)を水和させ、50mlチューブ中で室温(RT)において少なくとも3時間50mlのPBS(pH=7.4)中で膨張させ、それをロッカーに置く。
ビーズを沈殿させる(約15分)。上清を廃棄し、ビーズは新たなPBS(50ml)中で数分間洗浄する。
洗浄したPBSは廃棄し、新たなPBSに交換する。
ビーズ縣濁液は(例えば、Windshield Wiper又はSigrnacoteからの)シリコン処理したガラス容器中に置く。115℃で15分間のオートクレーブ処理によってビーズを滅菌し、次いで4℃で保存する。
試薬
フィブリノゲン溶液
フィブリノゲン溶液を、37℃の水浴においてDPBS中に2mg/mlのフィブリノゲンを溶かすことによって作製する。次いで溶液を、攪拌ではなくチューブを逆にすることによって混合する。凝固性タンパク質の割合を、したがって決定及び調節することができる。次いで溶液を0.22μmのフィルターに通して滅菌する。
アプロチニン
凍結乾燥アプロチニンはDI水中に4U/mlで元に戻し、滅菌濾過することができる。それぞれ1mlのアリコートを作製し−20℃で保存する。
トロンビン
トロンビンは50U/mlで滅菌水中で元に戻す。0.5mlのアリコートを作製し−20℃で保存する。
HUVECを用いたビーズのコーティング(第1日)
HUVEC細胞はトリプシン処理する。(遠心分離せずに)ビーズを沈殿させ、上清を吸引し、ビーズは1mlの温かいEGM−2培地中で軽く洗浄する。ビーズ(2500)はFACSチューブにおいて1.5mlの温かいEGM−2培地中の1×106のHUVECと混合させ、インキュベーター中に垂直に置く。(これは約10ウエルに関して十分である。必要な場合スケールアップを実施することができる)。
混合物は37℃で4時間インキュベートし、逆にして20分毎にチューブを混合する(ビーズはビーズ処理後に小さなゴルフボールのように見えるはずであり、それは簇出に十分なコーティングを示す。)
4時間後、コーティングビーズはT25組織培養フラスコ(Falcon、Bedford、MA)に移し、37℃及び5%CO2において5mlのEGM−2培地中で一晩インキュベートする。
フィブリンゲル中へのコーティングビーズの包埋(第0日)
2.0mg/mlのフィブリノゲン溶液を前に記載したように調製し、0.15単位/mlのアプロチニンをフィブリノゲン溶液に加える。
コーティングビーズは15mLの円錐形チューブに移し、ビーズを沈殿させる。
ビーズは1mlのEGM−2培地中に再縣濁し、1.5mlの遠心分離チューブに移す。ビーズは1mlのEGM−2培地で3回洗浄し、ピペット処理によって混合し、P1000ピペットでゆっくりと降下させる。ビーズはカバーガラス上で計数し、500ビーズ/mlの濃度でフィブリノゲン溶液中に再縣濁する。
トロンビン(0.625単位/ml)は24ウエルプレートのそれぞれのウエルに加える。フィブリノゲン/ビーズ縣濁液(0.5ml)をそれぞれのウエルに加え、それぞれのウエルに関してピペット先端を変える。
トロンビンとフィブリノゲン/ビーズはピペット処理によって混合し、約4〜5回ゆっくりと上下させ、フィブリンゲル中での気泡の生成を回避する。対照サンプルの一方は、抗体又は1つ又は複数の対照抗体の不在下で処理する。試験サンプルは、抗エンドグリン抗体単独、抗VEGF抗体単独、又はこれらの組合せで処理する。多数の濃度の作用物質を試験することができる。フィブリノゲン/ビーズ溶液は5分間室温で、次いで15分間37℃/5%CO2で凝固させる。フィブリンのせん断を最小にするために凝固の最初の5分間はプレートに手を加えないことは重要であり、これによって簇出の低下をもたらすことができる。
EGM−2(1mL)を一滴ずつそれぞれのウエルに加える。肺線維芽細胞は20,000細胞/ウエルの濃度で塊の上部に接種する。望ましい増殖が得られるまで一日おきに、培養培地は新たなEGM−2培地に交換する。
フィブリンゲルが形成されるとき、小さな気泡がゲル中に存在する可能性があり、それらは3〜4日中に消失する。簇出は第2日と第4日の間は明らかであるはずである。内腔形成は第4〜5日ごろ始まり、芽は伸長し続ける。新たに形成される管は第4〜6日ごろ枝分かれし始める。第6〜7日までに、微小血管様構造は付近の管と網状につながり始め、ウエル当たりのビーズ数の増大は初期の交差連絡をもたらす。
図3中に示すように、コラーゲンに接種したHUVECスフェロイドを使用すると、キメラTRC105は用量依存的にVEGF誘導型簇出を阻害する(N=3)。
更に、図4中に示すように、キメラTRC105はVEGF誘導型簇出を遮断する一方で(対角線のハッチング)、それはHUVECスフェロイドのbFGF誘導型簇出を阻害しない(菱形のハッチング)(N=2)。
図5中に示すように、VEGF誘導型簇出に対するキメラTRC105の阻害効果(対角線のハッチング)は、VEGF阻害剤AVASTIN(登録商標)ベバシズマブとの併用時に高まった(菱形のハッチング)。
図6は、VEGF誘導型簇出に対するキメラTRC105の阻害効果(対角線のハッチング)は、キナーゼ阻害剤PTK787との併用時には高まらなかったことを示す(菱形のハッチング)。
(例25)
in vitroでの簇出的血管新生の免疫細胞化学
内皮細胞(EC)核染色用に、フィブリンゲルを1×PBSで2回洗浄し、次いで2%パラホルムアルデヒド中に一晩固定する。1×PBSで更に2回洗浄した後、次いでゲルを4’,6−ジアミノジノ−2−フェニルインドール(DAPI)(Sigma、St.Louis、MO)で染色する。
免疫染色用に、10×トリプシンを用いたゲルの簡単な処理によってLFを最初に除去する。全ての線維芽細胞を除去した直後に、血清で消化を停止させる。次いでゲルはHBSS、1×(Cellgro、Herndon、VA)を用いて広範囲で洗浄する。次いで培養物を10%ホルマリン中に10分間固定し、5分間0.5%のTriton X−100で浸透処理する。非特異的結合は2時間PBSに溶かした5%BSA溶液で遮断する。
一次抗体はブロッキングバッファー中に1/100希釈で使用し、4℃で一晩インキュベートする。広範囲の洗浄後、結合した抗体は、1/1000希釈で種特異的Alexa Fluor488結合又はAlexa Fluor568結合二次抗体(Molecular Probes、Carlsbad、CA)によって検出する。アイソタイプ特異的非結合抗体は対照抗体として使用する。高いバックグラウンドが存在する場合、一次又は二次抗体の濃度を低下させることが可能であり、必要な場合、インキュベーション及び/又は洗浄時間を増大することが可能である。F−アクチンは0.2μMの濃度でTRITC−ファロイジン(Sigma、St.Louis、MO)を用いて染色する。
位相差画像と蛍光画像を、デジタルカメラと接続したIX70 Olympus顕微鏡で捕捉する。蛍光Zシリーズ画像スタックは2光子Carl Zeiss MicroImaging LSM 510 Meta顕微鏡で捕捉し、Metamorphソフトウェア(Universal Imaging Corporation、Downingtown PA)を用いて三次元レンダリングに編集する。したがって、様々なマーカーの発現を容易に検出することができる。
培養のz−軸に沿った蛍光光学画像スタックを捕捉して、血管の3D画像を作成することができる。核はDAPI(緑)によって染色し、血管壁はビメンチンを染色する(オレンジ)。内皮細胞の単層に囲まれた、広い、空洞の管腔が明らかに目で見ることができる。これらの画像によって、マトリゲルアッセイ中でしばしば見られるように、in vitroアッセイ中に存在する管腔は細胞内の隙間ではなく細胞内に存在することを確認する。更に、それらが管腔に面した頂端膜、及びコラーゲンIV多量基底膜及びフィブリンゲルと対向した基底膜を有する点で、HUVECが分極状態であることを確認することができる。
(例26)
脈絡膜血管新生の抑制
動物は加齢性黄斑変性症(AMD)自体は発症しないが、AMDで見られるそれと似た脈絡膜血管新生をレーザーを使用して生成し、ブルッフ膜及びその上の網膜色素上皮(RPE)の焦点障害をもたらすことはできる。この障害はRPE層及び網膜下空間への底部脈絡膜毛細血管の異常な増殖を刺激し、ブルッフ膜の障害は、湿潤型のAMDを特徴付けるものを含めた全ての型の脈絡膜血管新生(CNV)に一般的である。
脈絡膜血管新生のレーザー誘導型モデルにおいて、9又は10マウスの群を、レーザー障害の1日前及びレーザー後の第2、5、8、及び11日に、(1)キメラ抗エンドグリン抗体単独、(2)抗VEGF抗体単独、(3)同じ組成物又は異なる組成物中に抗VEGF抗体と併用したキメラ抗エンドグリン抗体、又は(4)対照抗体の皮下(sc)注射で治療する。レーザー障害後第14日に、マウスにフルオレセイン標識デキストラン(50mg)を静脈内注射し、安楽死させ、眼は脈絡膜の平坦部分をすぐに切開し、又は最適切断温度包埋化合物に凍結し、病巣の評価のため切断する。
(例27)
レーザー誘導型脈絡膜血管新生に対する本明細書に記載する組成物の影響を、成体カニクイザルにおいても評価する。
この実験では、(1)キメラ抗エンドグリン抗体単独、(2)抗VEGF抗体単独、(3)同じ組成物又は異なる組成物中に抗VEGF抗体と併用したキメラ抗エンドグリン抗体、又は(4)対照抗体を静脈内又は硝子体内注射によって投与する。それぞれの動物にはそれぞれの網膜に9又は10のレーザー障害を与え、活性脈絡膜血管新生病巣の発生は、治療開始前及びレーザー治療後第15、20及び29日に一度、蛍光眼底造影法によって評価する。組成物はレーザー障害前1週間で始めて週当たり1回静脈内投与する。硝子体内注射はレーザー前1週間で始めて2週毎に1回、又はレーザー後2週間に1回行い、そのとき活性CNV病巣がすでに形成されている。対照動物には、レーザー前1週間で始めて、週に1回静脈内又は2週に1回硝子体内注射でプラセボを与える。
CNV病巣は蛍光眼底造影法によって眼に見える状態にし、標準的な手順に従い等級付けする。
(例28)
加齢性黄斑変性症の治療
第一試験
加齢性黄斑変性症の症状を示す患者を、(1)キメラ抗エンドグリン抗体単独、(2)ラニビズマブ単独、(3)同じ組成物又は異なる組成物中にラニビズマブと併用したキメラ抗エンドグリン抗体、又は(4)対照抗体の硝子体内注射により治療して、血管新生、黄斑疾患、及び網膜障害の発生を低減又は予防する。
治療の第一ステップとして、患者は完全な眼科検査を受けて眼部健康のベースラインを確定する。眼科検査は、間接的眼底検査、細隙灯生体鏡検、周辺部網膜検査、眼内圧測定、視力(肉眼及び最高矯正)症候学、眼底撮影法、蛍光眼底造影法、光干渉断層法、網膜電図写真及びA−スキャン測定を含む。
予備検査後、前に記載した硝子体内注射を、AMDの症状を示す患者の罹患した眼に与える。両眼が罹患している場合、それらは別々に治療することができる。治療する眼には点眼液を注射する。
治療後、患者の眼は第1、2、7、15、30及び60日に、及びその後は2年間にわたり毎月検査する。再発の可能性があるため、患者はその後1カ月単位の定期健診に戻らなければならない。それぞれの検診日に、硝子体液化に関して患者をモニタリングする。更に、間接的眼底検査及び強膜圧迫法を使用して、後部硝子体剥離に関して患者をモニタリングする。最後に、患者によって示されるAMDの程度を、定期的網膜検査、光干渉断層法及び蛍光眼底造影法により絶えずモニタリングして、網膜下液、血液、滲出液、RPE剥離、網膜内嚢胞様変化の存在、又はグレーがかった緑色の網膜下血管新生膜の存在をモニタリングする。再発する血管新生の兆候が観察される場合、別の治療が必要とされる可能性がある。別の治療は1週間又は1カ月単位で与えることができる。好ましい実施形態では、初期治療に1〜6カ月間隔の間で二次治療を続ける。
第二試験
目的:血管新生加齢性黄斑変性症(AMD)を治療するための硝子体内でのキメラ抗エンドグリン抗体及びラニビズマブの有効性を実証すること。
方法:AMDが原因である中心眼窩の脈絡膜血管新生(CNV)を有する50〜500の患者(50〜500の眼)が、承認された場所での試験に関与する。
再注射の基準は、黄斑中の流体の存在、少なくとも100ミクロンの増大した中心網膜厚(CRT)、黄斑中の増大した流体に関連した少なくとも5視標の消失、新古典的CNV、又は新黄斑出血である。主要評価項目測定は、12カ月後に15視標未満を失う眼の割合である。最高矯正視力及び眼の臨床検査は、第1週、第1カ月で、及び次いで5〜12カ月間月に1回実施する。
平均視力及び平均CRTはベースラインと比較して測定する。眼部及び/又は全身副作用を記す。
(例29)
損傷誘導型脈絡膜血管新生の阻害
脈絡膜血管新生を、3ナイロン縫合糸の基質内配置によって、又は角膜上皮の化学的損傷(NaOH)及び機械的除去によって、オスC57BL/6マウスにおいて誘導する。(1)キメラ抗エンドグリン抗体単独、(2)抗VEGF抗体単独、(3)同じ組成物又は異なる組成物中に抗VEGF抗体単独と併用したキメラ抗エンドグリン抗体、又は(4)対照抗体を、損傷直前又は損傷後に一回又は多数の時間地点で腹腔内投与する、複数の実験を実施する。
角膜新生血管の増殖は細隙灯生体鏡検及び組織学的評価によって評価する。脈管は内皮細胞特異的フルオレセイン結合レクチンで標識し、血管新生は、PECAM免疫組織化学法を使用して角膜の平坦部分及び横断面において評価する。角膜浮腫の存在は細隙灯生体鏡検を使用して評価し、角膜の厚さは横断面で測定し、角膜の厚さの増大は浮腫の量を反映する。多形核白血球(PMN)及びマクロファージの数は、それぞれHEMA−3又はラット抗マウスF4/80モノクローナル抗体で横断面を染色することによって決定する。
本明細書に記載する実施形態は、本発明の精神若しくはその本質的特徴から逸脱せずに、他の型で具体化することができ、又は他の方法で実施することができる。したがって本開示は、全態様において制限的ではなく例示的として考えられ、均等性の意味及び範囲内に入る全ての変形はその中に包含されると考えられる。