JP5998786B2 - パッチアンテナ及び無線通信機器 - Google Patents
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Description
パッチアンテナは、誘電体の上面に放射素子を配置し、誘電体の下面に接地導体を配置するとともに、この誘電体と接地導体とを貫通して放射素子に電気的に接続される給電部材を設けたものである。
このようなパッチアンテナは、誘電体により実効誘電率を調整することで小型化することができるため、小型の無線通信機器に搭載する場合のように広い収納スペースを確保できない場合でも、無線通信機器のデザイン性を損なうことなく組み込むことができる。
無線通信機器を腕等に装着する場合には、当該腕等からの影響によりアンテナ特性が劣化するおそれがあるが、載置面側からの影響を受けにくいパッチアンテナであれば、例えば、腕時計型の無線通信機器等に適用した場合にもアンテナ特性の劣化を抑えることができる。
この腕時計800は、バンド取付部801a,801bが付設された本体ケース801と、バンド取付部801a,801bに取り付けられたバンド802a,802bとを備えている。このうち本体ケース801とバンド取付部801a,801bは樹脂によって一体的に形成されている。そして、本体ケース801にはGPSモジュールが組み込まれている。
バンド取付部801a,801bは、平面視で、本体ケース801側からバンド802a又は802b側に向けて幅が狭窄するように等脚台形状に形成されている。また、このバンド取付部801a,801bは、下面が本体ケース801と面一に形成され、上面の高さサイズがバンド802a,802b側から本体ケース801側に向けて増加するように、側面視において台形状に形成されている。そして、腕時計800の6時側(指針式時計における6時側)のバンド取付部801a及びこれに連設されている本体ケース801の端部にかけてのスペースにはパッチアンテナを収納する収納部805が形成されており、この収納部805にはパッチアンテナ810が収納されている。
例えば腕時計型の無線通信機器等においては、このようにバンド取付部801a,801b等にパッチアンテナの収納部805を設けた方が、電子部品が密集し実装スペースが少ない本体ケース801に設けるよりも広い実装スペースを確保することができる。
しかしながら、バンド取付部801a,801b等に収納部805を設けた場合、収納部805の形状が立方体形状等ではない場合がある。このような構造の場合、パッチアンテナ810の辺サイズと高さ(厚さ)サイズは、収納部805が形成されているバンド取付部801a及び本体ケース801端部のスペース内で最も小さい制約条件で決定される。
このため、収納部805を、バンド取付部801a及び本体ケース801端部の形状に合わせてそのスペースぎりぎりまで設けても、この収納部805にパッチアンテナ810を収納した場合に、収納部805内において、収納部805の上面とパッチアンテナ810の上面との間に生じる空きスペース及び収納部805の側面とパッチアンテナ810の両側部との間に生じる空きスペースを有効に活用できないという問題があった。
しかし、放射素子のサイズや形状は、受信周波数と誘電体の実効誘電率によって規定されるため、仮にパッチアンテナ810全体の形状を収納部805の形状に合わせたとしても、必ずしも放射素子の面積は大きくならず、アンテナ利得の向上に資するとは限らないという問題もある。
平面視四角形状で平行する長方形の側面を一端及び他端に有し、一端から他端に向かって断面積が大きくなり、断面積の大きい側の比誘電率が断面積の小さい側の比誘電率よりも小さくなるように比誘電率を変えることで実効誘電率が調整された誘電体と、
この誘電体の表面に設けられ、受信すべき電波の周波数と前記誘電体の実効誘電率とに基づいて各辺の長さが調整された放射素子と、
前記誘電体の下面に配置された接地導体と、
前記放射素子に電気的に接続された給電部材と、
を備えていることを特徴とする。
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のパッチアンテナと、
このパッチアンテナを収納する収納部と、を備え、
前記収納部は、平面視及び/又は側面視で前記パッチアンテナの形状に沿う形状に形成されていることを特徴とする。
図1から図6を参照しつつ、本発明に係るパッチアンテナ及び無線通信機器である腕時計の第1の実施形態について説明する。
図1(A)は、本実施形態における無線通信機器である腕時計の平面図であり、図1(B)は、本実施形態の腕時計の側面図である。なお、外観に現れない内部の構成については破線で示している。
この腕時計100は、指針式時計における6時及び12時の方向にバンド取付部101a,101bが付設された本体ケース101と、バンド取付部101a,101bに取り付けられたバンド102a,102bとを備えている。このうち本体ケース101とバンド取付部101a,101bとは樹脂によって一体的に形成されている。そして、本体ケース101には図示しない通信モジュール等が組み込まれている。通信モジュールは、例えばGPS等の円偏波の電波を受信するものである。
また、図1(B)に示すように、このバンド取付部101a,101bは、下面が本体ケース101の下面とほぼ面一に形成され、上面の高さサイズがバンド102a,102b側から本体ケース101側に向けて増加するように形成されている。つまり、バンド取付部101a,101bの上面は、バンド102a,102b側から本体ケース101側に向けて上向き傾斜を有する傾斜面となっており、バンド取付部101a,101bは、側面視において台形状となっている。
そして、この2つのバンド取付部101a,101bのうち腕時計100の6時側(指針式時計における6時側)のバンド取付部101a及びこれに連設されている本体ケース101の一部(バンド取付部101a側の端部)にかけてのスペースにはパッチアンテナ110を収納する収納部105が形成されており、この収納部105にはパッチアンテナ710が収納されている。
パッチアンテナ110は、図2(A)から図2(C)に示すように、誘電体111と、誘電体111の上面に形成された放射素子112と、誘電体111の下面に形成された接地導体113とを備えている。なお、パッチアンテナ110において、放射素子112が形成されている面(図2(B)における誘電体111の上側の面)を放射面という。
また、本実施形態の誘電体111は、比誘電率の異なる複数の単位誘電体111a、111bを接合することにより構成されている。
誘電体111は、例えばセラミックを材料に構成されており、各単位誘電体111a、111bは、セラミックの組成原料を変えることでその比誘電率が異なるものとなっている。
誘電体111は、断面積の大きい側に配置される単位誘電体111bの比誘電率を断面積の小さい側に配置される単位誘電体111aの比誘電率よりも小さくなるように比誘電率を変えることで実効誘電率が調整されている。
なお、ここで、比誘電率とは、媒質(本実施形態ではセラミック)の誘電率と真空の誘電率との比、すなわち、空気中を1としたときの誘電率を意味し、誘電体111の体積は考慮せず、誘電体111の材料によって決まるものである。誘電体111がセラミックを材料としている場合、誘電体111の比誘電率は、当該誘電体111を構成するセラミックに含まれる誘電材の含有量によって決定される。また、実効誘電率(実効誘電率ε)とは、誘電体111の端部効果(空気を含めた周辺電界)を考慮した場合の誘電率を意味する。比誘電率が同じ誘電体111を用いる場合には、誘電体111の放射素子112周辺の体積が小さいほど実効誘電率が小さくなる。
なお、放射素子112は平面視長方形状に形成されているものに限定されない。例えば、図3に示すように、放射素子112aは、Lbの長さL2がLaの長さL1よりも僅かに長い(すなわち、図3において、L2=L1+ΔL1)平面視等脚台形状に形成されていてもよい。
その際、放射素子112は、誘電体111の幅方向(図2(A)において横方向)のほぼ中央に配置され、少なくとも平行する2つの辺(すなわち、図2(A)において一端側の辺La及び他端側の辺Lb)が、誘電体111の平行する2つの辺(すなわち、図2(A)において一端側の辺Wa及び他端側の辺Wb)とそれぞれと1対1で対向し、この対向する辺同士が互いに平行となるように誘電体111の表面(上面、放射面)に配置される。
なお、図3に示すように放射素子112が等脚台形状に形成されている場合には、放射素子112の4辺全てがそれぞれ誘電体111の4辺と対向し、この対向する辺同士が全て互いに平行となるように放射素子112を誘電体111の表面(上面、放射面)に配置してもよい。
すなわち、仮に誘電体111を設けない場合には、放射素子112の一辺の長さ(放射素子112の直径)は、受信電波の波長λに対して1/2となっている必要がある。
しかし、電波は、誘電体111を通ると、その波長λが1/√εだけ短縮される。このように、波長λは誘電体111の実効誘電率εが高いほど当該実効誘電率εに応じて短縮されるため、放射素子112を誘電体111の表面に配置した場合には、放射素子112の一辺の長さは、誘電体111の実効誘電率εの低いところほど長く、実効誘電率εの高いところほど短くすることができる。
このため、誘電体111が、平面視した場合に等脚台形状に形成されている場合には、放射素子112も放射面における余白部分(すなわち放射素子112の設けられていない部分)の面積を小さくすることがアンテナ利得の点で好ましい。
すなわち、円偏波特性を有するパッチアンテナ110においては、放射素子112の辺La、Lbの長さをそれぞれL1、L2とし、放射素子112の辺La、Lbそれぞれの位置における誘電体111の実効誘電率εをε1、ε2とすると、受信する周波数の波長λに対してλ/2≒L1/(1/√(ε1))≒L2/(1/√(ε2))との関係がある。この場合の実効誘電率ε1、ε2は、電界周辺の誘電体111の体積によって規定される。
これにより、単位誘電体111bで構成される部分の実効誘電率εと単位誘電体111aで構成される部分の実効誘電率εとがほぼ等しくなるように調整した場合、すなわち、誘電体111における平行する2辺の一端側の辺Waの長さW1と他端側の辺Wbの長さW2が、W1<W2の大小関係にある場合に、単位誘電体111aの実効誘電率ε1と単位誘電体111bの実効誘電率ε2を、ε1≒ε2となるように構成した場合には、L1=λ/2×(1/√(ε1))≒L2=λ/2×(1/√(ε2))となり、放射素子112の形状を、誘電体111における平行する2辺の一端側の辺Laと他端側の辺Lbとがほぼ等しい平面視長方形状とすることができる。
また、単位誘電体111bで構成される部分の実効誘電率εが単位誘電体111aで構成される部分の実効誘電率εよりも小さくなるように調整した場合、すなわち、誘電体111における平行する2辺の一端側の辺Waの長さW1と他端側の辺Wbの長さW2が、W1<W2の大小関係にある場合に、単位誘電体111aの実効誘電率ε1と単位誘電体111bの実効誘電率ε2を、ε1>ε2となるように構成した場合には、L1=λ/2×(1/√(ε1))<L2=λ/2×(1/√(ε2))となり、図3に示すように、放射素子112aの形状を、辺Lbの長さL2が辺Laの長さL1よりも大きい平面視台形状に形成し、放射面における余白部分を極力小さくすることができる。
実効誘電率εは、電界周辺の誘電体の体積が大きい方が大きな値になるため、このような構成の場合、長さの長い辺Wbの側の実効誘電率εが長さの短い辺Waの側の実効誘電率εよりも大きくなる。
このため、放射素子112の各辺の長さは、誘電体111の長さの長い側(すなわち、誘電体111の断面積の大きい辺Wbの側)に配置されるLbの長さL2の方が、誘電体の長さの短い側(すなわち、誘電体111の断面積の小さい辺Waの側)に配置されるLaの長さL1よりも短くなってしまう(L1>L2)。
すなわち、この場合には、図5(A)及び図5(B)に示すように、放射素子112は、平面視において誘電体111の形状とは逆向きの台形状となり、放射面に占める放射素子の面積が小さくなるため、放射面上に余白部分が多く生じてしまう。
なお、この接地導体113は、誘電体111よりも大きな形状である必要はなく、誘電体111の同軸ケーブル120の設置場所を除く誘電体111の下面全面だけに形成されていてもよい。また、接地導体113の下側に他の接地導体をさらに配置し、当該他の接地導体を介して接地する構成としてもよい。
一方、同軸ケーブル120の外部導体122は接地導体113に半田(図示せず)を介して電気的に接続されている。
なお、この実施形態では、1点給電方式を採用しているが、2点給電方式を採用してもよい。また、同軸ケーブル120に代えて、同じく給電部材である給電ピンによって放射素子112に給電するようにしてもよい。
そして、本実施形態のパッチアンテナ110では、比較例のパッチアンテナと比べて放射面に占める放射素子112の面積を広くすることができるため、アンテナ利得特性に優れている。
なお、以下では、周波数が1.575GHzである場合の指向性特性(放射パターン)についてシミュレーションを行った結果を示している。
本シミュレーションに用いた本実施形態のパッチアンテナ110’は、図4(A)に示すように、全体としての形状が、W1<W2である台形状である誘電体111’を備えている。そして、この誘電体111’のうち、断面積の小さい辺Waの側は比誘電率ε1’=80である単位誘電体111’aで構成されており、断面積の大きい辺Wbの側は比誘電率ε2’=76である単位誘電体111’bで構成されている。これにより、誘電体111’は、断面積の小さい辺Waの側の実効誘電率ε1と断面積の大きい辺Wbの側の実効誘電率ε2とはほぼ等しくなっており、この誘電体111’の表面に形成されている放射素子112’は、誘電体111’の辺Wbの側に配置される辺Lbの長さL2の方が誘電体111’の辺Waの側に配置される辺Laの長さL1とが等しい長さの長方形状となっている。
これに対して、本シミュレーションに用いた比較例のパッチアンテナ710’は、図6(A)に示すように、全体としての形状が、W1<W2である台形状であり、全体が比誘電率ε’=80である単一の媒質で構成された誘電体711’を備えている。このような誘電体711’では、断面積の小さい辺Waの側の実効誘電率ε1よりも断面積の大きい辺Wbの側の実効誘電率ε2の方が大きくなっている。また、この誘電体711’の表面に形成されている放射素子712’は、誘電体711’の辺Waの側に配置される辺Laと誘電体711の辺Waの側に配置される辺Lbとが等しい長さの長方形状となっている。
図4(B)に示すように、本実施形態のパッチアンテナ110’の天頂方向(0°の方向)の円偏波(本実施形態では右旋偏波)のアンテナ利得は、−3.8dBicとなっている。
また、図6(B)に示すように、従来のパッチアンテナ710’の天頂方向(0°の方向)の円偏波(本実施形態では右旋偏波)のアンテナ利得は、−4.8dBicとなっている。
このように、本実施形態のパッチアンテナ110’では、比較例のパッチアンテナ710’と比べて、天頂方向(0°の方向)の円偏波のアンテナ利得において、約1.0dBの利得の向上を確認することができた。
すなわち、誘電体111の平行する2辺のうちの一辺側から他辺側に向かって断面積が大きくなっている場合に、比誘電率の異なる複数の単位誘電体111a,111bを接合することにより、断面積の大きい側の比誘電率が断面積の小さい側の比誘電率よりも小さくなるように比誘電率を変えることで実効誘電率εを調整しているため、誘電体111の平面形状(放射面の形状)に応じて放射素子112の各辺の長さを調整することができる。このため、放射面に占める放射素子112の面積を大きくすることができ、放射面の面積を最大限に活用することが可能となる。これにより、パッチアンテナ110のアンテナ利得を向上させることができる。
そして、誘電体111の形状を四角柱の立体形状等ではない台形状等とした場合でも放射面の面積を最大限に活用して優れたアンテナ利得特性を維持することができるため、例えば、図1(A)及び図1(B)に示すようなバンド取付部101a等に四角柱の立体形状等ではない特殊な形状の収納部105を設けた場合でも、実効誘電率εの調整具合によって、パッチアンテナ110のアンテナ利得を最大限に向上させることができる。これにより、各種電子機器が配置される本体ケース101内よりも比較的収納スペースを広く確保しやすいバンド取付部101a等に、スペースを無駄にすることなくパッチアンテナ110を配置することができ、腕時計100等の無線通信機器の外観、デザイン性を損なうことなく、通信性能に優れたパッチアンテナ110及び腕時計100等の無線通信機器を実現することができる。
例えば、図7(A)及び図7(B)に示すように、パッチアンテナ210の誘電体211を3つの単位誘電体211a,211b,211cで構成してもよい。
この場合には、最も断面積の小さい辺Waの側の実効誘電率εが最も大きく、最も断面積の大きい辺Wbの側の実効誘電率εが最も小さくなるように単位誘電体211a,211b,211cの比誘電率を調整する。すなわち、最も断面積の小さい辺Waの側に配置される単位誘電体211aの実効誘電率ε1、最も断面積の大きい辺Wbの側に配置される単位誘電体211cの実効誘電率ε3、単位誘電体211a,211cの間に配置される単位誘電体211bの実効誘電率ε2とした場合、ε1>ε2>ε3となるようにする。
これにより、放射素子212を最も断面積の小さい辺Waの側の配置される辺Laの長さL1と最も断面積の大きい辺Wbの側の配置される辺Lbの長さL2とをほぼ等しい長さか、L1<L2となる長さにすることができ、放射面に占める放射素子212の面積を大きくすることができる。
なお、誘電体211を4つ以上の単位誘電体で構成した場合も同様である。
次に、図8(A)から図8(C)を参照しつつ、本発明に係るパッチアンテナ及び無線通信機器の第2の実施形態について説明する。なお、本実施形態は、パッチアンテナの構成のみが第1の実施形態と異なるものであるため、以下においては、特に第1の実施形態と異なる点について説明する。
誘電体311は、断面積の大きい側に配置される単位誘電体311bの比誘電率を断面積の小さい側に配置される単位誘電体311aの比誘電率よりも小さくなるように比誘電率を変えることにより実効誘電率が調整されている。
なお、この接地導体313は、誘電体311と同等の大きさ・形状である必要はなく、誘電体311よりも大きな形状となっていてもよい。
これに対して、誘電体311を本実施形態のように構成した場合には、誘電体311の厚みが部分により異なる場合でも、誘電体311の比誘電率を場所により異ならせることによって、誘電体311の実効誘電率εによる波長短縮効果を考慮した場合の放射素子312の一辺の長さを誘電体311の放射面の形状に合わせた長さサイズに調整することができ、誘電体311の放射面に占める放射素子312の面積を広くすることができる。
すなわち、本実施形態では、腕時計100等の無線通信機器に設けられている収納部が平面視において長方形状であり、バンド102a側から本体ケース101側に向けて増加するように側面視において台形状となっている場合でも、パッチアンテナ310を収納部の形状に沿う形状とすることができる。そしてこの場合でも、誘電体311の放射面に占める放射素子312の面積を広くすることができるため、アンテナ利得において有利なアンテナとすることができる。
例えば、図9(A)及び図9(B)に示すように、パッチアンテナ410の誘電体411を3つの単位誘電体411a,411b,411cで構成してもよい。
この場合には、最も断面積の小さい側の実効誘電率εが最も大きく、最も断面積の大きい側の実効誘電率εが最も小さくなるように単位誘電体411a,411b,411cの比誘電率を調整する。すなわち、最も断面積の小さい側に配置される単位誘電体411aの実効誘電率ε1、最も断面積の大きい側に配置される単位誘電体411cの実効誘電率ε3、単位誘電体411a,411cの間に配置される単位誘電体411bの実効誘電率ε2とした場合、ε1>ε2>ε3となるようにする。
これにより、放射素子412を最も断面積の小さい側の配置される辺Laの長さL1と最も断面積の大きい側の配置される辺Lbの長さL2とをほぼ等しい長さにすることができ、放射面に占める放射素子412の面積を大きくすることができる。
なお、誘電体411を4つ以上の単位誘電体で構成した場合も同様である。
例えば、図10(A)及び図10(B)に示すように、比誘電率の異なる材料で形成された複数の単位誘電体511a,511bを、それぞれ平行する2辺のうちの一方側の辺から他方側の辺に向かって厚さサイズが変化するように、側面視三角形状又は台形状に形成し、一方の単位誘電体511a,511bの厚みの厚い側が他方の単位誘電体511a,511bの厚みの薄い側と重なり合うように重畳配置して誘電体511を構成するようにしてもよい。
図10(A)及び図10(B)のように、単位誘電体511bの厚みの厚い側の方の高さ寸法が単位誘電体511aの厚みの厚い側の方の高さ寸法よりも大きい場合、単位誘電体511bを構成する材料の比誘電率を、単位誘電体511aを構成する材料の比誘電率より小さくすることで、誘電体511の電界周辺(すなわち、放射素子112の辺La、Lb周辺)の実効誘電率をほぼ均一にすることができる。
これにより、放射素子512を最も断面積の小さい側の配置される辺Laの長さL1と最も断面積の大きい側の配置される辺Lbの長さL2とをほぼ等しい長さにすることができ、放射面に占める放射素子512の面積を大きくすることができる。
なお、誘電体511を3つ以上の単位誘電体を重畳配置して構成した場合も同様である。
例えば、図11(A)及び図11(B)に示すように、無線通信機器である腕時計600のバンド取付部601a,601bが、本体ケース101側からバンド102a又は102b側に向けて幅が狭窄するように平面視等脚台形状に形成されており、上面の高さサイズがバンド102a,102b側から本体ケース101側に向けて増加するように、側面視台形状に形成されている場合には、バンド取付部601a及び本体ケース101端部の形状に沿って、平面視で、バンド102a又は102b側から本体ケース101側に向けて幅が拡開する等脚台形状であり、側面視で、バンド102a,102b側から本体ケース101側に向けて高さが増加する台形状に収納部605を形成することができる。
この場合には、収納部605内に収納されるパッチアンテナ610もこの収納部605の形状に合わせて、平面視において等脚台形状であり、側面視で、バンド102a,102b側から本体ケース101側に向けて高さサイズが増加する台形状としてもよい。
この場合も、接地導体613の上に配置される誘電体611を比誘電率の異なる2つの単位誘電体611a,611bで構成することで、断面積の大きい側の比誘電率が断面積の小さい側の比誘電率よりも小さくなるように比誘電率を変え、これによって誘電体611の実効誘電率を調整することができる。
これにより、図12(A)に示すように、放射素子612を最も断面積の小さい側の配置される辺Laの長さL1と最も断面積の大きい側の配置される辺Lbの長さL2とをほぼ等しい長さにすることができ、放射面に占める放射素子512の面積を大きくすることができる。
さらに、断面積の大きい側の実効誘電率が断面積の小さい側の実効誘電率よりも小さくなるように調整することにより、図12(B)に示すように、放射素子612を最も断面積の小さい側の配置される辺Laの長さL1と最も断面積の大きい側の配置される辺Lbの長さL2とを、L1<L2とすることができ、放射面に占める放射素子512の面積をより一層大きくすることができる。
なお、この場合も、誘電体611を3つ以上の単位誘電体で構成してもよい。また、誘電体611を、複数の単位誘電体を重畳配置することにより構成してもよい。
正方形の対向する1組の角部を切り欠いた形状の放射素子を備える場合でも、パッチアンテナを円偏波受信用のアンテナとして機能させることができる。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
〔付記〕
<請求項1>
平面視四角形状で平行する長方形の側面を一端及び他端に有し、一端から他端に向かって断面積が大きくなり、断面積の大きい側の比誘電率が断面積の小さい側の比誘電率よりも小さくなるように比誘電率を変えることで実効誘電率が調整された誘電体と、
この誘電体の表面に設けられ、受信すべき電波の周波数と前記誘電体の実効誘電率とに基づいて各辺の長さが調整された放射素子と、
前記誘電体の下面に配置された接地導体と、
前記放射素子に電気的に接続された給電部材と、
を備えていることを特徴とするパッチアンテナ。
<請求項2>
前記誘電体は、比誘電率の異なる複数の単位誘電体を接合することにより、実効誘電率が調整されていることを特徴とする請求項1に記載のパッチアンテナ。
<請求項3>
前記誘電体は、前記平行する2辺のうちの一方側の辺から他方側の辺に向かって前記平行する2辺に沿う幅方向の長さが長くなる平面視台形状に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のパッチアンテナ。
<請求項4>
前記誘電体は、前記平行する2辺のうちの一方側の辺から他方側の辺に向かって厚みが厚くなる側面視台形状に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のパッチアンテナ。
<請求項5>
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のパッチアンテナと、
このパッチアンテナを収納する収納部と、を備え、
前記収納部は、平面視及び/又は側面視で前記パッチアンテナの形状に沿う形状に形成されていることを特徴とする無線通信機器。
<請求項6>
本体ケースと、
前記本体ケースにバンドを取り付けるためのバンド取付部と、を備え、
前記収納部は、前記バンド取付部、又は前記バンド取付部及びこれに連設される前記本体ケースの一部に設けられていることを特徴とする請求項5に記載の無線通信機器。
101 バンド取付部
105 収納部
110 パッチアンテナ
111 誘電体
112 放射素子
113 接地導体
120 同軸ケーブル
Claims (6)
- 平面視四角形状で平行する長方形の側面を一端及び他端に有し、一端から他端に向かって断面積が大きくなり、断面積の大きい側の比誘電率が断面積の小さい側の比誘電率よりも小さくなるように比誘電率を変えることで実効誘電率が調整された誘電体と、
この誘電体の表面に設けられ、受信すべき電波の周波数と前記誘電体の実効誘電率とに基づいて各辺の長さが調整された放射素子と、
前記誘電体の下面に配置された接地導体と、
前記放射素子に電気的に接続された給電部材と、
を備えていることを特徴とするパッチアンテナ。 - 前記誘電体は、比誘電率の異なる複数の単位誘電体を接合することにより、実効誘電率が調整されていることを特徴とする請求項1に記載のパッチアンテナ。
- 前記誘電体は、前記平行する2辺のうちの一方側の辺から他方側の辺に向かって前記平行する2辺に沿う幅方向の長さが長くなる平面視台形状に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のパッチアンテナ。
- 前記誘電体は、前記平行する2辺のうちの一方側の辺から他方側の辺に向かって厚みが厚くなる側面視台形状に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のパッチアンテナ。
- 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のパッチアンテナと、
このパッチアンテナを収納する収納部と、を備え、
前記収納部は、平面視及び/又は側面視で前記パッチアンテナの形状に沿う形状に形成されていることを特徴とする無線通信機器。 - 本体ケースと、
前記本体ケースにバンドを取り付けるためのバンド取付部と、を備え、
前記収納部は、前記バンド取付部、又は前記バンド取付部及びこれに連設される前記本体ケースの一部に設けられていることを特徴とする請求項5に記載の無線通信機器。
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