JP5998540B2 - 画像表示システム及び画像表示装置 - Google Patents

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Description

本発明は、画像表示システム及び画像表示装置に関し、詳しくは、第1画像及び第2画像を交互に表示する画像表示システム、及び、当該画像表示システムを構成する画像表示装置に関する。
従来、それぞれ視差画像である右目用画像及び左目用画像を交互に表示する画像表示装置と、光の透過状態及び遮蔽状態が交互に切り替えられる右目用選択部(右目用シャッター)及び左目用選択部(左目用シャッター)を有するシャッター眼鏡とを備える画像表示システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1に記載の画像表示システムでは、画像表示装置が右目用画像を表示する期間に右目用選択部を透過状態とし、左目用選択部を遮蔽状態とする。一方、画像表示装置が左目用画像を表示する期間に左目用選択部を透過状態とし、右目用選択部を遮蔽状態とする。これにより、観察者は、右目用画像を右目にて、左目用画像を左目にて観察でき、視差により立体視可能な画像を観察できる。
特開2010−117437号公報
ここで、線順次駆動方式の液晶パネルが採用された画像表示装置と、各選択部として液晶シャッターが採用されたシャッター眼鏡とを備える画像表示システムにおいて、以下のように液晶パネル及び各選択部を駆動させた場合、当該液晶パネル及び各選択部に応答時間(電圧印加時から当該電圧に応じた階調に画素の階調が変化するまでに要する時間)が存在するため、クロストークが問題となる。なお、クロストークとは、左目用画像及び右目用画像の一方の画像に他方の画像が混ざり込んだ画像として観察者に見えてしまうことを意味する。
図18は、前述の画像表示システムにおいて、左目用画像の形成時に黒となり、右目用画像の形成時に白となる画素列の画素のうち、最上位の走査線、中段の走査線及び最下位の走査線に接続された各画素の輝度変化を示す図である。なお、図18においては、最上位の走査線に接続された画素の輝度変化を点線で示し、中段の走査線に接続された画素の輝度変化を一点鎖線で示し、最下位の走査線に接続された画素の輝度変化を二点鎖線で示している。また、左目用選択部及び右目用選択部を透過する光の相対輝度値を実線にて示している。
線順次駆動方式で駆動される液晶パネルでは、書き始めライン(最上位の走査線に接続された画素により構成されるライン)から書き終わりライン(最下位の走査線に接続された画素により構成されるライン)まで各ラインが順に選択され、当該各ラインの画素に階調に応じた電圧が印加されて画像が形成される。これが繰り返され、左目用画像と右目用画像とが交互に形成される。
このうち、左目用画像の形成開始時から所定時間経過後のタイミングTA1を、左目用選択部の透過状態への切替タイミングとする。また、当該左目用画像の次に形成される右目用画像の形成開始時から所定時間経過後のタイミングTA2を、左目用選択部の遮蔽状態への切替タイミングとする。
一方、右目用画像の形成開始時から所定時間経過後のタイミングTA3を、右目用選択部の透過状態への切替タイミングとする。また、当該右目用画像の次に形成される左目用画像の形成開始時から所定時間経過後のタイミングTA4を、右目用選択部の遮蔽状態への切替タイミングとする。
上記のように、タイミングTA2,TA4を、対応する選択部の遮蔽状態への切替タイミングとすると、書き始めライン側の画素の階調が印加電圧に応じた階調に変化しつつある中で、当該選択部が遮蔽状態に切り替わり始める。この場合、書き始めライン側の領域に、当該選択部を介して観察される更新前の画像(例えば、タイミングTA2の場合は左目用画像)の成分に、更新後の画像(例えば、タイミングTA2の場合は右目用画像)が混ざることとなり、クロストークが生じる(第1の問題)。
また、タイミングTA1,TA3を、対応する選択部の透過状態への切替タイミングとすると、書き終わりライン側の画素の階調が印加電圧に応じた階調に切り替わる前に、当該選択部が透過状態に切り替わり始める。このため、書き終わりライン側の領域に、当該選択部を介して観察される更新後の画像(例えば、タイミングTA1の場合は左目用画像)の成分に、更新前の画像(例えば、タイミングTA1の場合は右目用画像)の成分が混ざることとなり、クロストークが生じる(第2の問題)。
このような第1の問題及び第2の問題は、対応する選択部の透過状態への切替タイミングを遅らせ、遮蔽状態への切替タイミングを早めることで解消できる。
具体的に、上記第1の問題は、選択部の遮蔽状態への切替タイミングを早めることで解消できる。例えば、次の画像の形成開始時の前までに、前の画像に対応する選択部が遮蔽状態に完全に切り替われば、クロストークは発生しない。しかしながら、この場合、選択部が透過状態である期間が短くなるため、当該選択部を透過する光量が減り、画像が暗く観察されてしまう。
上記第2の問題は、選択部の透過状態への切替タイミングを遅らせることで解消できる。例えば、画像形成が完了した後の切替タイミングで、対応する選択部の透過状態への切替を開始すれば、クロストークは発生しない。しかしながら、前述の場合と同様に、対応する選択部が透過状態である期間が短くなるため、画像が暗く観察されてしまう。
このような問題から、画像が暗く観察されることを抑制でき、かつ、クロストークを低減できる構成が要望されてきた。
本発明の目的は、画像が暗く観察されることを抑制しつつクロストークを低減できる画像表示システム及び画像表示装置を提供することである。
本発明の一態様に係る画像表示システムは、画像表示装置と、当該画像表示装置により表示された画像を観察するためのシャッター眼鏡とを備えた画像表示システムであって、前記画像表示装置は、線順次駆動方式で駆動して、第1画像及び第2画像を交互に形成する液晶パネルを備え、前記液晶パネルにおける書き始めライン側の画素の応答時間は、当該液晶パネルにおける書き終わりライン側の画素の応答時間より長く、前記シャッター眼鏡は、前記第1画像を透過して、前記第2画像を遮断する第1画像選択部と、前記第2画像を透過して、前記第1画像を遮断する第2画像選択部との少なくともいずれかを備えることを特徴とする。
なお、書き始めラインとは、線順次駆動で駆動される液晶パネルにおいて、最上位の走査線(最初に選択される走査線)に接続される複数の画素により構成されるラインを示し、書き終わりラインとは、当該液晶パネルにおいて、最下位の走査線(最後に選択される走査線)に接続される複数の画素により構成されるラインを示す。
また、応答時間は、ある画素に対して電圧が印加されてから、印加された電圧に応じた階調に当該画素の階調が変化するまでの時間を示す。
更に、第1画像及び第2画像は、それぞれ異なる画像でもよく、それぞれ視差画像である左目用画像及び右目用画像でもよい。
上記一態様によれば、書き始めライン側の画素の応答時間が、書き終わりライン側の画素の応答時間より長い。このことから、書き始めライン側の画素では、印加電圧に応じた階調変化が緩やかに実施される。これによれば、第1画像の形成開始時から所定時間経過後のタイミング(前述のタイミングTA2,TA4)で、第2画像選択部の遮蔽状態への切替を開始した場合、完全に遮蔽状態となるまでに当該第2画像選択部を透過する第2画像に、更新後の第1画像の成分が含まれる割合を低減できる。従って、クロストークを低減できる。なお、第2画像の形成開始時から所定時間経過後のタイミングで、第1画像選択部の遮蔽状態への切替を開始した場合も同様である。
一方、書き終わりライン側の画素の階調変化は、書き始めライン側の画素の階調変化に比べて速やかに行われる。これによれば、第1画像の形成時に、書き終わりラインの画素に電圧が印加されるタイミング(前述のタイミングTA1,TA3)にて、対応する第1画像選択部の遮蔽状態から透過状態への切替を開始した場合に、当該書き終わりライン側の画素の階調変化が比較的速やかに行われるので、透過状態となった第1画像選択部を透過する第1画像に、更新前の第2画像の成分が含まれる割合を低減できる。従って、クロストークを低減できる。なお、第2画像の形成時に、書き終わりラインの画素に電圧が印加されるタイミングで、対応する第2画像選択部の透過状態への切替を開始した場合も同様である。
このようなクロストークの低減は、第1画像選択部及び第2画像選択部が透過状態である期間が短くなることなく行うことができる。従って、観察される画像が暗くなることを抑制しつつ、クロストークを低減できる。
上記一態様では、前記液晶パネルは、互いに対向配置される第1基板及び第2基板と、前記第1基板及び前記第2基板の間に封入される液晶層とを備え、前記液晶層の層厚は、前記書き終わりライン側より前記書き始めライン側の方が厚いことが好ましい。
なお、液晶層の層厚は、当該液晶層において光が透過する方向の寸法を示す。
ここで、液晶パネルには、液晶層の層厚が厚いと応答時間が長くなる特性がある。
このため、当該一態様によれば、書き始めライン側の画素の応答時間を、書き終わりライン側の画素の応答時間より長くすることができる。従って、前述の効果を確実に奏することができる。
上記一態様では、前記画像表示装置は、前記書き始めライン側の温度を、前記書き終わり側の温度より低くする温度調整手段を備えることが好ましい。
このような温度調整手段としては、液晶パネルにおける書き終わりライン側の領域に熱を加える加熱手段の他、当該液晶パネルにおける書き始めライン側の領域を冷却する冷却手段を例示できる。
ここで、液晶パネルには、温度が低いと応答時間が長くなり、温度が高いと応答時間が短くなる特性(温度依存性)がある。
このため、当該一態様によれば、温度調整手段により、液晶パネルの温度を調整することで、書き始めライン側の画素の応答時間を、書き終わりライン側の画素の応答時間より長くすることができる。従って、前述の効果を確実に奏することができる。
上記一態様では、前記画像表示装置は、前記液晶パネルの各ラインを順次選択し、選択された前記ラインを構成する画素に電圧を印加して、当該液晶パネルに前記第1画像及び前記第2画像を形成させる制御手段を備え、前記制御手段は、前記書き始めライン側の画素と前記書き終わりライン側の画素とで同じ階調とする際に、前記書き終わりライン側の画素に印加する電圧より、前記書き始めライン側の画素に印加する電圧を高くすることが好ましい。
ここで、液晶パネルには、印加電圧が低いと応答時間が短くなり、当該印加電圧が高いと応答時間が長くなる特性がある。
このため、当該一態様によれば、それぞれ同じ階調に設定する際に、当該書き始めライン側の画素の応答時間を、書き終わりライン側の画素の応答時間より長くすることができる。従って、前述の効果を確実に奏することができる。
上記一態様では、前記画像表示装置は、前記液晶パネルに入射される光を出射する光源部と、前記光源部から出射された光の中心軸に対する直交面内で分布を生じさせ、前記液晶パネルにおける前記書き始めライン及び前記書き終わりラインの一方側の領域に入射される光量を、他方側の領域に入射される光量より多くする光量調整部とを備えることが好ましい。
ここで、前述のように、書き始めライン側の領域と書き終わりライン側の領域とで、液晶層の厚さ又は温度が異なる場合には、液晶パネルにおける位相差値にばらつきが生じ、当該書き始めライン側の領域と書き終わりライン側の領域とで、同じ階調に設定しても、透過光量が変化してしまう。同様に、それぞれ同じ階調とする際に、書き始めライン側の画素に印加する電圧を、書き終わりライン側の画素に印加する電圧を高くしても、書き始めライン側の領域と、書き終わりライン側の領域とで、透過光量が変化してしまう。
これに対し、上記一態様では、光量調整部により、書き始めライン側の領域と書き終わりライン側の領域との一方に入射される光量は、他方に入射される光量より多くなる。これによれば、透過光量の変化を相殺することができるので、輝度が均一な画像を形成できる。従って、画像の劣化を抑制できる。
本発明の他の一態様に係る画像表示装置は、線順次駆動方式で駆動して、第1画像及び第2画像を交互に形成する液晶パネルを備え、前記液晶パネルでは、書き始め側のラインの応答時間が書き終わり側のラインの応答時間より長いことを特徴とする。
当該一態様によれば、前述の第1画像選択部及び第2画像選択部の少なくともいずれかを備えるシャッター眼鏡と組み合わせることで、前述の画像表示システムを構成でき、当該画像表示システムと同様の効果を奏することができる。
本発明の第1実施形態に係る画像表示システムの構成を示す模式図。 前記第1実施形態におけるプロジェクター及びシャッター眼鏡の構成を示すブロック図。 前記第1実施形態における液晶パネルの駆動方法を説明するための図。 前記第1実施形態における右目用画像及び左目用画像の形成期間と、右目用選択部及び左目用選択部の状態切替タイミングとの関係の一例を示す図。 前記第1実施形態における左目用画像及び右目用画像の一例を示す図。 一般的な液晶パネルにより左目用画像及び右目用画像が形成される際の最上位、中段及び最下位の各走査線にそれぞれ接続された画素の輝度変化を示す図。 一般的な液晶パネルにより形成される画像の一例を示す図。 一般的な液晶パネルにより形成される画像の一例を示す図。 前記第1実施形態における左目用画像及び右目用画像を形成する際の最上位、中段及び最下位の各走査線にそれぞれ接続された画素の輝度変化を示す図。 前記第1実施形態における液晶パネルの構成を示す模式図。 本発明の第2実施形態に係る画像表示システムの構成を示すブロック図。 前記第2実施形態における冷却装置による冷却空気の流通方向と、液晶パネルにおける各ラインとの関係を示す図。 本発明の第3実施形態に係る画像表示システムの構成を示すブロック図。 前記第3実施形態における画素に印加される電圧と、当該電圧が印加されていた画素が黒に変化する際の応答時間との関係を示す図。 前記第3実施形態における液晶パネルのラインの位置と、印加電圧の高低との関係を説明する図。 本発明の第4実施形態に係る画像表示システムの構成を示すブロック図。 前記第4実施形態における光量調整部の構成及び当該光量調整部を透過する光の光路を示す図。 従来の画像表示システムにおいて左目用画像及び右目用画像を形成する際の最上位、中段及び最下位の各走査線にそれぞれ接続された画素の輝度変化を示す図。
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係る画像表示システム1Aの構成を示す模式図である。
本実施形態に係る画像表示システム1Aは、画像表示装置としてのプロジェクター2Aと、当該プロジェクター2Aにより画像が投射される被投射面を有するスクリーンScと、観察者により装着されるシャッター眼鏡9とを備える。
これらのうち、プロジェクター2Aは、二次元画像を表示する場合と、視差画像である右目用画像及び左目用画像を交互に形成して、視差により立体視可能な画像(以下「三次元画像」と称する)を表示する場合とを切替可能に構成されている。そして、三次元画像が表示される場合には、観察者は、シャッター眼鏡9を使用する。なお、左目用画像及び右目用画像は、本発明の第1画像及び第2画像に相当する。
[シャッター眼鏡の構成]
図2は、プロジェクター2A及びシャッター眼鏡9の構成を示すブロック図である。
シャッター眼鏡9は、プロジェクター2Aにより表示された右目用画像を観察者の右目に、左目用画像を観察者の左目に入射させるものである。このシャッター眼鏡9は、図2に示すように、受信部91、シャッター駆動部92、右目用選択部93R及び左目用選択部93Lを備える。
これらのうち、右目用選択部93Rは、観察者の右目に応じて設けられ、右目用画像を透過させ、左目用画像を遮蔽する。左目用選択部93Lは、観察者の左目に応じて設けられ、左目用画像を透過させ、右目用画像を遮蔽する。これら各選択部93L,93Rは、それぞれ液晶シャッターにより構成されており、当該液晶シャッターの駆動は、シャッター駆動部92により制御される。
すなわち、詳しくは後述するが、右目用画像の表示時に、右目用選択部93Rは透過状態となり、左目用選択部93Lは遮蔽状態となることで、当該右目用画像は、右目用選択部93Rを透過する。また、左目用画像の表示時に、左目用選択部93Lが透過状態となり、右目用選択部93Rが遮蔽状態となることで、当該左目用画像は、左目用選択部93Lを透過する。これにより、右目用画像及び左目用画像が右目及び左目によりそれぞれ個別に観察され、視差による立体画像(3次元画像)が視認される。
受信部91は、プロジェクター2Aから送信されるタイミング信号を受信する。このタイミング信号は、右目用選択部93Rを透過状態又は遮蔽状態に切り替えるタイミング、及び、左目用選択部93Lを透過状態又は遮蔽状態に切り替えるタイミングを示す信号である。本実施形態では、当該受信部91は、赤外受光素子等を備え、プロジェクター2Aから出射されたタイミング信号としての赤外光を受光して信号に変換し、当該信号をシャッター駆動部92に出力する。
シャッター駆動部92は、受信部91から入力される信号に基づいて、右目用選択部93R及び左目用選択部93Lにオン電圧又はオフ電圧を印加して、これら各選択部93L,93Rを透過状態又は遮蔽状態に切り替える。
[プロジェクターの構成]
プロジェクター2Aは、前述のように、二次元画像の他、左目用画像及び右目用画像を含む三次元画像をスクリーンScに投射する。このプロジェクター2Aは、図2に示すように、表示装置3A、制御装置4A及び送信装置5を備える。この他、プロジェクター2Aは、図示を省略するが、当該プロジェクター2Aを構成する電子部品に電力を供給する電源装置や、冷却対象を冷却する冷却装置を備える。
表示装置3Aは、制御装置4Aから入力される駆動信号に応じた画像を形成及び投射する。この表示装置3Aは、光源部31、液晶パネル32A及び投射部33を備える。
光源部31は、液晶パネル32Aの画像形成領域を照明する。このような光源部31としては、超高圧水銀ランプ等の光源ランプ、及び、当該光源ランプから出射された光を一方向に揃えて反射させる反射鏡を有する構成を採用できる他、LED(Light Emitting Diode)及びLD(Laser Diode)等の固体光源を有する構成を例示できる。
液晶パネル32Aは、光源部31から入射される光を変調する光変調装置である。この液晶パネル32Aは、上記駆動信号に応じて駆動して、三次元画像を形成する際には、視差画像である右目用画像及び左目用画像を交互に形成する。
このような液晶パネル32Aは、それぞれ走査線に接続された複数の画素により構成されるラインを複数備える。そして、当該液晶パネル32Aは、線順次駆動方式で駆動され、1画面分の画像を形成する。なお、当該液晶パネル32Aの構成及び駆動については、後に詳述する。
投射部33は、液晶パネル32Aにて形成された画像を、スクリーンScの被投射面上に拡大投射する。この投射部33は、鏡筒と、当該鏡筒内に配置された複数のレンズとを有する組レンズを例示できる。
制御装置4Aは、表示装置3Aを含むプロジェクター2Aの装置全体の動作を制御する他、送信装置5に前述のタイミング信号を送信させてシャッター眼鏡9の動作を制御する。この制御装置4Aは、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等が実装された回路基板として構成されている。そして、制御装置4Aでは、当該CPUがROMに記憶されたプログラムを実行することで、画像処理部41、タイミングコントローラー42及び表示制御部43Aとして機能する。
画像処理部41は、外部から受信された画像データ(画像信号を含む)を処理し、当該画像データに基づいて1画面分の画像をフレームメモリ(図示省略)に描画する。ここで、当該画像データのうち、三次元画像の画像データには、左目用画像についての左目用画像データと、右目用画像についての右目用画像データとが含まれている。そして、これら各画像データは、1フレーム毎のデータの集まりによってそれぞれ構成されており、当該各画像データには、同期信号(垂直同期信号及び水平同期信号)が含まれている。
タイミングコントローラー42は、画像処理部により処理された画像データに含まれる同期信号を読み取って、表示制御部43A及び送信装置5、ひいては、シャッター眼鏡9の同期をとる。
図3は、液晶パネル32Aの駆動方法を説明するための模式図である。
表示制御部43Aは、画像処理部41にて描画された画像を適宜読み出し、液晶パネル32Aを線順次駆動させて、当該画像を形成させる。
具体的に、表示制御部43Aは、タイミングコントローラー42から入力される同期信号に基づいて、図3に示すように、垂直走査期間内に、液晶パネル32Aにおける最上位の走査線SL(最初に選択される走査線SL1)から最下位の走査線SL(最後に選択される走査線SLn)までを順次選択し、選択された走査線SLに接続された各画素に階調に応じた電圧が信号線(図示省略)を介して印加され(画像データを書き込み)、液晶パネル32Aに形成される画像を更新する。そして、表示制御部43Aは、次の垂直走査期間内にて同様の処理を行い、次の画像に更新する。この際、三次元画像を形成する場合には、表示制御部43Aは、画像処理部41により描画された右目用画像と左目用画像とを交互に読み出して、液晶パネル32Aに当該右目用画像及び左目用画像を交互に形成させる。
このような1つの走査線SLに接続された複数の画素により、1つのラインPL(図10参照)が構成され、液晶パネル32Aには、複数のラインPLが形成されている。
送信装置5は、前述のタイミング信号を送信する。
具体的に、送信装置5は、タイミングコントローラー42から入力される垂直同期信号に基づいた所定のタイミングで、各選択部93L,93Rの透過状態又は遮断状態への切替開始タイミングを示すタイミング信号を、シャッター眼鏡9へ送信する。
なお、本実施形態では、送信装置5は、赤外発光LED(Light Emitting Diode)及び当該赤外発光LEDを発光させる駆動回路等を備え、前述のタイミング信号を、発光時間及び発光パターンを変化させることで送信する。
[液晶パネルの画像形成期間及び各選択部の透過状態期間]
図4は、液晶パネル32Aによる右目用画像及び左目用画像の形成期間と、右目用選択部93R及び左目用選択部93Lの状態切替タイミングとの関係の一例を示す図である。なお、図4上段においては、各走査線SL1〜SLnの選択タイミングを模式的に示すために、走査線SL1を選択して当該走査線SL1に接続された画素へ画像データの書き込みを開始するタイミングWsと、走査線SLnを選択して当該走査線SLnに接続された画素へ画像データの書き込みを開始するタイミングWeとを直線で結んでいる。また、説明の便宜上、液晶パネル32Aにより左目用画像が形成される期間を「L」で示し、右目用画像が形成される期間を「R」で示している。
液晶パネル32Aでは、表示制御部43Aの制御の下、図4上段に示すように、所定周期で右目用画像と左目用画像とを交互に形成する。詳述すると、液晶パネル32Aの各走査線SLは、右目用画像の形成期間において走査線SL1から走査線SLnまで順次選択され、選択された走査線SLに接続された各画素に、対応する右目用画像の階調に応じた電圧が印加される。この走査は、右目用画像の形成期間内に2回行われる。同様に、各走査線SLは、左目用画像の形成期間において走査線SL1から走査線SLnまで順次選択され、選択された走査線SLに接続された各画素に、対応する左目用画像の階調に応じた電圧が印加される。この走査も、左目用画像の形成期間内に2回行われる。
すなわち、走査線SLnが選択されて当該走査線SLnに接続された画素へ画像データの書き込みが開始されるタイミングWeの直後に、再度走査線SL1が選択され、当該走査線SL1に接続された画素へ前回と同じ画像データの書き込みが開始される。そして、順次走査線SLが選択され、走査線SLnが選択されて当該走査線SLnに接続された画素へ前回と同じ画像データの書き込みが開始される。この直後のタイミングWsで、もう一方の画像データが同様に書き込まれる。
一方、前述のタイミング信号が受信されたシャッター眼鏡9においては、図4中段に示すように、シャッター駆動部92が、右目用画像の形成時におけるタイミングWeにて、右目用選択部93Rの遮蔽状態CLから透過状態OPへの切替を開始する。この後、シャッター駆動部92は、左目用画像の形成時におけるタイミングWsにて、右目用選択部93Rの透過状態OPから遮蔽状態CLへの切替を開始する。この右目用画像の形成期間においては、図4下段に示すように、左目用選択部93Lは、遮蔽状態CLのままである。
他方、図4下段に示すように、シャッター駆動部92は、左目用画像の形成時におけるタイミングWeにて、左目用選択部93Lの遮蔽状態CLから透過状態OPへの切替を開始する。この後、シャッター駆動部92は、右目用画像の形成時におけるタイミングWsにて、左目用選択部93Lの透過状態OPから遮蔽状態CLへの切替を開始する。この左目用画像の形成期間においては、図4中段に示すように、右目用選択部93Rは、遮蔽状態CLのままである。
このようにして、形成及び表示された右目用画像が右目用選択部93Rのみを透過し、同じく形成及び表示された左目用画像が左目用選択部93Lのみを透過するように、右目用画像及び左目用画像の形成期間と、右目用選択部93R及び左目用選択部93Lの透過状態OPの期間とが関連付けられている。
[液晶パネルによる画像形成時の問題]
しかしながら、液晶パネル32Aは、線順次駆動方式にて駆動されるので、当該液晶パネル32Aには、最上位の走査線が選択されてから、最下位の走査線に接続された各画素を含む全ての画素の階調が、印加電圧に応じた階調となるまでに時間差が存在する。換言すると、ある走査線が選択されて、階調に応じた電圧が当該走査線に接続された画素に印加されてから、当該画素が印加電圧に応じた階調になるまでの時間である応答時間が存在する。このため、例えば、上記のように液晶パネル32Aの各走査線SLの画素に階調に応じた電圧を印加しても、当該画素の階調変化は急激には生じない。
図5(A)は、左目用画像LIの一例を示す図であり、図5(B)は、右目用画像RIの一例を示す図である。これら図5(A)及び図5(B)において、画素列PX1の位置は、各画像LI,RIで同じである。なお、図5(A)及び図5(B)においては、白線或いは黒線で画素の区分を明確にしている。
例えば、液晶パネル32Aにより、図5(A)及び図5(B)に示す左目用画像LIと右目用画像RIとを交互に形成する場合、当該図5における画素列PX1の画素では、左目用画像LIと右目用画像RIとで輝度変化が生じる。すなわち、画素列PX1の画素では、左目用画像LIの形成時には黒(最大の階調)となり、右目用画像RIの形成時には白(最小の階調)となる。
なお、図5では、画素列PX1の画素のうち、最上位の走査線SL1に接続された画素(すなわち、書き始めラインの画素)を画素P11とし、中段の走査線SLmに接続された画素(すなわち、中段ラインの画素)を画素P12とし、最下位の走査線SLnに接続された画素(すなわち、書き終わりライン側の画素)を画素P13として示している。
図6は、一般的な液晶パネルにより前述の左目用画像LI及び右目用画像RIが形成される際の最上位の走査線SL1、中段の走査線SLm及び最下位の走査線SLnにそれぞれ接続された画素の輝度変化を示す図である。
この図6においては、画素列PX1の画素のうち、画素P11の輝度変化を点線で示し、画素P12の輝度変化を一点鎖線で示し、画素P13の輝度変化を二点鎖線で示す。また、各選択部93L,93Rを透過する光の輝度変化を実線で示している。これら選択部93L,93Rの輝度変化は、白画像を表示し続けた場合に各選択部93L,93Rを透過する光の輝度変化である。
一般的な液晶パネルは、画素の応答時間(白から黒への応答時間、及び、黒から白への応答時間)が各走査線SLで同じである。このような液晶パネルにより上記各画像LI,RIを交互に形成する場合、上記画素列PX1の画素では階調変化が生じるが、当該画素の階調は、即座に切り替わる訳ではない。
すなわち、図6に示すように、画素の階調が白から黒へ変化するには、時間T1を要する。この時間T1を、白から黒への画素の応答時間と称する。同様に、画素の階調が黒から白へ変化するには、時間T2を要する。この時間T2を、黒から白への画素の応答時間と称する。
なお、液晶シャッターにより構成された各選択部93L,93Rにも応答時間がある。すなわち、各選択部93L,93Rが面順次駆動されて、最上位のラインが選択されてから、全ての画素が遮蔽状態から透過状態に切り替わるまでには時間T3を要する。この時間T3を、遮蔽状態から透過状態への選択部93L,93Rの応答時間とする。同様に、各選択部93L,93Rにおける最上位のラインが選択されてから、全ての画素が透過状態から遮蔽状態に切り替わるまでには時間T4を要する。この時間T4を、透過状態から遮蔽状態への選択部93L,93Rの応答時間とする。
図7及び図8は、図6に示した各タイミングTM1〜TM10にて上記一般的な液晶パネルにより形成される画像の一例を示す図である。これら図7及び図8においても、白線或いは黒線で画素の区分を明確にしている。
なお、以下の説明では、走査線SLが選択されるとは、当該走査線SLに接続された各画素に対して、階調に応じた電圧が印加されること(すなわち、画像データが書き込まれること)を意味する。
上記のように、液晶パネル及び各選択部93L,93Rに応答時間があるため、一般的な液晶パネルにより左目用画像LI及び右目用画像RIを交互に形成及び表示すると、以下のようなクロストークが生じる。
具体的に、図6に示すタイミングTM1では、図7(A)に示すように、液晶パネルによる右目用画像RIの形成は完了している。このタイミングTM1を、右目用選択部93Rの透過状態から遮蔽状態への切替タイミングとすると、図6に示すように、遮蔽状態への遷移は即座には完了せず、遷移が完了するまでに応答時間T4を要する。このタイミングTM1で、左目用画像LIを形成し始めると、画素P11においては、当該タイミングTM1で階調変化が生じ始めてしまうため、当該右目用選択部93Rが遮蔽状態に完全に切り替わる前のタイミングTM2(応答時間T4が経過する前のタイミングTM2)では、当該画素P11の階調が変化することにより、右目用選択部93Rを透過する光が減光分の輝度相対値S1だけ減光されてしまう。一方、画素P12、P13においては、当該階調が変化が開始していないため、右目用選択部93Rを透過する光が減光されることはない。このため、図7(B)に示すように、右目用選択部93Rが完全に遮蔽状態に切り替わる前に、左目用画像LIの成分(階調)が混ざった右目用画像RIが、右目にて観察されてしまう。すなわち、クロストークが生じる。
この後、走査線SLnが選択されるタイミングTM3から、階調変化が完了するタイミングWcまでの間のタイミングTM4では、図6に示すように、画素P13の階調変化は完了しない。一方で、タイミングTM3を透過状態への切替タイミングとした左目用選択部93Lでは、光透過率が上昇している。このため、図7(C)に示すように、右目用画像RIの成分(階調)が混ざった左目用画像LI(残光分の輝度相対値S2)が、左目用選択部93Lを介して左目にて観察されてしまう。すなわち、クロストークが生じる。
この後、書き終わりラインの画素P13の階調変化が完了したタイミングTM5では、図7(D)に示すように、適切な左目用画像LIが形成され、当該左目用画像LIが、左目用選択部93Lを介して左目にて観察される。
また、図6に示すように、右目用画像RIの形成を開始するタイミングTM6を、左目用選択部93Lの透過状態から遮蔽状態への切替タイミングとする。このタイミングTM6では、応答時間T4により、左目用選択部93Lの遮蔽状態への切替は、即座には完了しない一方で、書き始めライン側の各画素から順に階調が変化し始める。
このため、タイミングTM6から左目用選択部93Lの遮蔽状態への切替が完了するまでの間のタイミングTM7では、画素P11の階調が変化し始めている。このため、図8(A)に示すように、右目用画像RI(先行分の輝度相対値S3)が混ざった左目用画像LIが、左目用選択部93Lを介して左目にて観察されてしまう。すなわち、クロストークが生じる。
更に、走査線SLnが選択されるタイミングTM8を透過状態への切替タイミングとされた右目用選択部93Rの光透過率は、徐々に上昇する。このタイミングTM8から階調変化が完了するタイミングWdまでの間のタイミングTM9では、図6に示すように、画素P13の階調変化は完了していない。このため、図8(B)に示すように、左目用画像LI(遅れ分の輝度相対値S4)が混ざった右目用画像RIが、右目用選択部93Rを介して右目にて観察されてしまう。すなわち、クロストークが生じる。一方、画素P11においては、当該階調変化が完了しているため、右目用選択部93Rを透過する光が減光されることはない。
この後、書き終わりラインの画素P13の階調変化が完了したタイミングTM10では、図8(D)に示すように、適切な右目用画像RIが形成され、当該右目用画像RIが、右目用選択部93Rを介して観察される。
[クロストーク値の算出]
図6で示したようなクロストークは、以下の式(1)及び式(2)により、クロストーク値として数値で表すことができる。
このうち、左目用画像を基準としたクロストーク値(CTL)は、以下の式(1)により求められる。この式(1)に含まれる各パラメーターは、以下のとおりである。なお、各輝度を測定する際の左目用選択部93Lの遮蔽状態と透過状態との切替タイミングは、前述の場合と同様である。
Lkw:ある画素において、左目用画像の形成時に黒とし、右目用画像の形成時に白とする場合に、観察者の左目に入射される光の輝度。
Lkk:ある画素において、左目用画像の形成時に黒とし、右目用画像の形成時に黒とする場合に、観察者の左目に入射される光の輝度。
Lww:ある画素において、左目用画像の形成時に白とし、右目用画像の形成時に白とする場合に、観察者の左目に入射される光の輝度。
[数1]
CTL=(Lkw−Lkk)/(Lww−Lkk) …(1)
また、右目用画像を基準としたクロストーク値(CTR)は、以下の式(2)により求められる。この式(2)に含まれる各パラメーターは、以下のとおりである。なお、各輝度を測定する際の右目用選択部93Rの遮蔽状態と透過状態との切替タイミングは、前述の場合と同様である。
Rww:ある画素において、右目用画像の形成時に白とし、左目用画像の形成時に白とする場合に、観察者の右目に入射される光の輝度。
Rwk:ある画素において、右目用画像の形成時に白とし、左目用画像の形成時に黒とする場合に、観察者の右目に入射される光の輝度。
Rkk:ある画素において、右目用画像の形成時に黒とし、左目用画像の形成時に黒とする場合に、観察者の右目に入射される光の輝度。
[数2]
CTR=(Rww−Rwk)/(Rww−Rkk) …(2)
これら式(1)及び式(2)により、画素P11,P12,P13のクロストーク値は、以下の表1に示す値となる。
なお、画素P11のクロストーク値CTLは、タイミングTM7の箇所でのクロストーク値であり、画素P13のクロストーク値CTLは、タイミングTM4の箇所でのクロストーク値である。また、画素P11のクロストーク値CTRは、タイミングTM2の箇所でのクロストーク値であり、画素P13のクロストーク値CTRは、タイミングTM9の箇所でのクロストーク値である。
上表1のように、画素P11〜P13においてクロストークが生じていることが確認される。
一方で、このようなクロストークは、各選択部93L,93Rの状態を切り替えるタイミングを前後させることで解消できる。
例えば、タイミングTM4で生じるクロストークは、左目用画像LIを書き込む際のタイミングWcの経過後に、左目用選択部93Lの遮蔽状態から透過状態への切替タイミングを設定することで解消できる。同様に、タイミングTM9で生じるクロストークは、右目用画像RIを書き込む際のタイミングWdの経過後に、右目用選択部93Rの遮蔽状態から透過状態への切替タイミングを設定することで解消できる。
しかしながら、これら対処法では、選択部93L,93Rが透過状態にある期間が短縮されてしまう。このため、当該選択部93L,93Rを透過する光量が少なくなり、各画像LI,RIが暗く観察されてしまう。
また、例えば、タイミングTM2で生じるクロストークは、左目用画像LIを書き込む際のタイミングWsの前に、右目用選択部93Rの遮蔽状態への切替を完了させることで解消できる。同様に、タイミングTM7で生じるクロストークは、右目用画像RIを書き込む際のタイミングWsの前に、左目用選択部93Lの遮蔽状態への切替を完了させることで解消できる。
しかしながら、これら対処法でも、選択部93L,93Rが透過状態にある期間が短縮されてしまうため、各画像LI,RIが暗く観察されてしまう。
そこで、実際に行っているタイミング設定は、クロストークを完全に無くすようにはせず、クロストークの許容範囲で、観察される画像LI,RIの明るさをなるべく得るようにしている。
[クロストーク値を改善する構成]
図9は、前述の各画像LI,RIを形成する際の前述の画素P11〜P13の輝度変化を示す図である。この図9においては、前述の図と同様に、画素P11の輝度変化を点線で示し、画素P12の輝度変化を一点鎖線で示し、画素P13の輝度変化を二点鎖線で示している。また、各選択部93L,93Rを透過する光の輝度変化を実線で示しており、各選択部93L,93Rの輝度変化は、白画像を表示し続けた場合に当該各選択部93L,93Rを透過する光の輝度変化である。
上記の問題に対し、本実施形態に係る液晶パネル32Aでは、図9に示すように、書き始めライン側の画素の応答時間は、書き終わりライン側の画素の応答時間より長くなるように設定されている。
具体的に、書き始めラインにおける画素の黒から白への応答時間T11は、書き終わりラインにおける画素の黒から白への応答時間T1nより長い。また、書き始めラインにおける画素の白から黒への応答時間T21は、書き終わりラインにおける画素の白から黒への応答時間T2nより長い。
本実施形態に係る液晶パネル32Aでは、書き始めラインの画素、中段ラインの画素及び書き終わりラインの画素の応答時間は、以下の表2に示す時間に設定されている。なお、以下の表3には、前述の一般的な液晶パネルにおける応答時間が示されている。
このように応答時間を設定することにより、以下のようにクロストークを低減できる。
すなわち、表2及び表3に示すように、書き始めライン側の各画素の応答時間T11,T21が、それぞれ前述の応答時間T1,T2より長くなっている。このことから、当該書き始めライン側の各画素の階調は、前述の一般的な液晶パネルでの場合に比べて緩やかに変化される。このため、例えば、左目用画像LIの形成開始タイミングであるタイミングTM1で、右目用選択部93Rの遮蔽状態への切替を開始すると、当該各画素の階調が、更新前の右目用画像RIに応じた階調に近い段階で、当該右目用選択部93Rの遮蔽状態への切替が完了する。これにより、右目用選択部93Rを透過する左目用画像の成分(減光分の相対輝度値S1)を、前述の一般的な液晶パネルの場合に比べて少なくすることができ、クロストークを低減できる。
また、右目用画像RIの形成開始タイミングであるタイミングTM6を、左目用選択部93Lの遮蔽状態への切替タイミングとしても、同様に右目用画像RI(先行分の相対輝度値S3)を前述の一般的な液晶パネルの場合に比べて少なくすることができ、クロストークを低減できる。
一方、表2及び表3に示すように、液晶パネル32Aにおける中段ラインの画素の応答時間は、前述の一般的な液晶パネルにおける画素の応答時間T1,T2と同じである。しかしながら、当該中段ラインから書き終わりラインに向かうに従って、画素の応答時間は短くなり、当該書き終わりラインの画素の応答時間T1n,T2nは、応答時間T1,T2よりそれぞれ短い。
これによれば、書き終わりライン側の画素の階調変化は、前述の一般的な液晶パネルの場合に比べて短時間で完了する。このため、書き終わりラインが選択されるタイミングTM3を、左目用選択部93Lの透過状態への切替タイミングとしても、前述の一般的な液晶パネルでの場合に比べ、当該左目用選択部93Lを透過する右目用画像RIの成分(残光分の相対輝度値S2)を少なくすることができ、クロストークを低減できる。
また、右目用画像RIの形成時において、書き終わりラインが選択されるタイミングTM8を、右目用選択部93Rの透過状態への切替タイミングとしても、同様に、左目用画像LI(遅れ分の相対輝度値S4)を前述の一般的な液晶パネルの場合に比べて少なくすることができ、クロストークを低減できる。
このように、各ラインの画素の応答時間を設定することにより、以下の表4に示すように、前述のクロストーク値が改善される。なお、クロストーク値(CTL,CTR)を算出する際の条件(画素、画像の種別及びタイミング等)は、前述の場合と同様である。
なお、タイミングTM3でのクロストーク値(画素P12のクロストーク値)に変化がないのは、液晶パネル32Aの中段ラインの画素の応答時間が、前述の一般的な液晶パネルにおける中段ラインの画素の応答時間T1,T2と同じためである。
[液晶パネルの構成]
図10は、液晶パネル32Aの構成を示す模式図である。詳述すると、図10は、液晶パネル32Aの構成を模式的に示す正面図及び断面図である。なお、図10においては、図示を簡略化するために、配列される画素電極326の数を12行16列としている。
上記のように、各画素の応答時間を、書き終わりライン側から書き始めライン側に向かうに従って長くするために、本実施形態では、液晶パネル32Aにおける液晶層324(図10参照)の厚さ寸法を調整している。これは、液晶層324の厚さ寸法が大きくなると画素の応答時間は長くなり、当該厚さ寸法が小さくなると画素の応答時間が短くなる特性を利用したものである。
以下、液晶パネル32Aの構成について詳述する。
液晶パネル32Aは、図10に示すように、互いに対向する第1基板321及び第2基板322と、シール材323と、液晶層324とを備える。
第1基板321は、透光性を有する矩形板体で構成され、第2基板322に対して光入射側に配設される。この第1基板321における光入射側の表面には、図示を省略したが、入射される光のうち第1の直線偏光光のみを透過させる偏光板が取り付けられている。また、第1基板321における光出射側の表面(第2基板322に対向する表面)には、共通電極325が設けられている。
第2基板322は、第1基板321と同様に、透光性を有する矩形板体で構成され、シール材323を介して第1基板321に対向配置される。これら第1基板321、第2基板322及びシール材323との間に、液晶層324が密閉封入されている。
この第2基板322における光出射側の表面には、図示を省略するが、入射された光のうち第1の直線偏光光の偏光方向に直交する偏光方向を有する第2の直線偏光光のみを透過させる偏光板が取り付けられている。
また、第2基板322における光入射側の表面には、それぞれ走査線SL及び信号線(図示省略)に接続されたスイッチング素子を有する画素電極326が複数設けられている。これら画素電極326のうち、1つの走査線SLに接続される画素電極326を含む画素により構成される画素行が、1つのラインPLに相当する。すなわち、最上位の走査線SL1に接続された画素電極326を含む画素により構成される画素行が、書き始めラインPL1であり、最下位の走査線SLnに接続された画素電極326を含む画素により構成される画素行が、書き終わりラインPLnである。
ここで、第1基板321は、第2基板322に対して傾斜して配置されている。詳述すると、第1基板321は、ラインPL1に近い端部が第2基板322から遠くなり、ラインPLnに近い端部が第2基板322から近くなるように配置されている。このため、各ラインPLにおける液晶層324の層厚(光が透過する方向の寸法)は、書き始めラインPL1側で厚く、書き終わりラインPLn側で薄くなっている。このような構成により、書き始めライン側の画素の応答時間が、書き終わりライン側の画素の応答時間よりも長くなるようにしている。
そして、更に本実施形態では、液晶パネル32Aにおける中段ラインの画素の応答時間が、前述の一般的な液晶パネルにおける中段ラインの画素の応答時間と一致するように、各ラインの液晶層324の層厚が設定されている。このため、液晶パネル32Aにおける書き始めライン側の画素の応答時間(白から黒への応答時間、及び、黒から白への応答時間)は、前述の応答時間T1,T2より長くなり、書き終わりライン側の画素の応答時間は、当該応答時間T1,T2より短くなっている。
なお、第1基板321を第2基板322に対して光出射側に配置してもよい。
以上説明した本実施形態に係る画像表示システム1Aによれば、以下の効果がある。
書き始めライン側の画素の応答時間を、書き終わりライン側の画素の応答時間より長くしたことにより、前述のタイミングTM2,TM7で生じるクロストークを低減できる。また、書き終わりライン側の画素の応答時間が、一般的な液晶パネルにおける画素の応答時間より短いことから、タイミングTM4,TM9で生じるクロストークを低減できる。
このようなクロストークの低減は、各選択部93L,93Rが透過状態である期間を短縮することなく実施される。従って、観察される画像が暗くなることを抑制しつつ、クロストークを低減できる。
液晶パネル32Aにおける書き始めライン側の画素における液晶層324の層厚は、書き終わりライン側の画素における液晶層324の層厚より厚い。これによれば、書き始めライン側の画素の応答時間を、書き終わりライン側の画素の応答時間より確実に長くすることができる。従って、前述の効果を確実に奏することができる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る画像表示システムについて説明する。
本実施形態に係る画像表示システムでは、液晶パネルにおける書き始めライン側の画素の応答時間を、書き終わりライン側の画素の応答時間より長くするために、温度が低いと、応答時間が長くなるという液晶パネルの特性を利用して、書き始めライン側の温度を書き終わりライン側の温度より低くする。この点で、本実施形態に係る画像表示システムと、前述の画像表示システム1Aとは相違する。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同一または略同一である部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
図11は、本実施形態に係る画像表示システム1Bの構成を示すブロック図である。
本実施形態に係る画像表示システム1Bは、プロジェクター2Aに代えてプロジェクター2Bを備える他は、前述の画像表示システム1Aと同様の構成及び機能を有する。
プロジェクター2Bは、図11に示すように、表示装置3B、制御装置4A、送信装置5及び冷却装置6を備える。
表示装置3Bは、光源部31、液晶パネル32B及び投射部33を備える。これらのうち、液晶パネル32Bは、前述の一般的な液晶パネルと同様に、当該液晶パネルにおける温度が均一の場合に、各ラインの画素の応答時間が同じものである。
図12は、冷却装置6により送風される冷却空気の流通方向と、液晶パネル32Bにおける各ラインPLとの関係を示す図である。
冷却装置6は、液晶パネル32Bの第1基板321及び第2基板322に沿って冷却空気を流通させて、当該液晶パネル32Bを冷却する。この際、冷却装置6は、図12に示すように、液晶パネル32Bの各ラインPLのうち、書き始めラインPL1から書き終わりラインPLnに向かって流通するように、冷却空気を送風する。
このような方向に流通する冷却空気によって冷却されることで、液晶パネル32Bにおける書き始めラインPL1側の部位の温度は、書き終わりライン側の部位の温度より低くなる。
ここで、液晶分子は粘性を有するので、温度が高い方が当該液晶分子の動きが円滑になる。このため、前述のように、液晶パネルにおいて温度が高い部位に位置する画素の応答時間は短く、温度が低い部位に位置する画素の応答時間は長い。
従って、上記の流通方向に冷却空気を送風して液晶パネル32Bを冷却することで、前述の液晶パネル32Aと同様に、書き始めライン側の画素の応答時間を、書き終わりライン側の画素の応答時間より長くすることができる。すなわち、冷却装置6は、本発明の温度調整手段に相当する。
以上説明した本実施形態に係る画像表示システム1Bによれば、前述の画像表示システム1Aと同様の効果を奏することができる他、以下の効果を奏することができる。
冷却装置6により送風される冷却空気を、書き始めライン側から書き終わりライン側に流通させることで、クロストークを低減できるので、複雑な構成の液晶パネルを採用したり、当該液晶パネルの動作を変更する必要が無い。従って、簡易な構成で、クロストークの低減を図ることができる。
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
本実施形態に係る画像表示システムでは、液晶パネルにおける書き始めライン側の画素の応答時間を、書き終わりライン側の画素の応答時間より長くするために、印加電圧が低いと応答時間が短くなり、当該印加電圧が高いと応答時間が長くなるという液晶パネルの特性を利用して、それぞれ同じ階調に変化させる場合に書き始めライン側の画素に印加する電圧を、書き終わりライン側の画素に印加する電圧より高くする。この点で、本実施形態に係る画像表示システムと、前述の画像表示システム1A,1Bとは相違する。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同一または略同一である部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
図13は、本実施形態に係る画像表示システム1Cの構成を示すブロック図である。
本実施形態に係る画像表示システムは、プロジェクター2Aに代えてプロジェクター2Cを備える他は、前述の画像表示システム1Aと同様の構成及び機能を有する。
プロジェクター2Cは、図13に示すように、表示装置3A及び制御装置4Aに代えて表示装置3C及び制御装置4Cを備える他は、前述のプロジェクター2Aと同様の構成及び機能を有する。
表示装置3Cは、光源部31、液晶パネル32C及び投射部33を備える。これらのうち、液晶パネル32Cは、VA(Vertical Alignment:垂直配向)方式の液晶パネルであり、同じ電圧を印加した際の各画素の応答時間は略同じである。
制御装置4Cは、本発明の制御手段に相当し、画像処理部41、タイミングコントローラー42及び表示制御部43Cを備える。この表示制御部43Cは、表示制御部43Aと同様に、液晶パネル32Bに画像データに対応する電圧を印加し、当該液晶パネル32Cによる画像形成を制御する。
図14は、画素に印加される電圧と、当該電圧が印加されていた画素が黒に変化する際の応答時間との関係を示す図である。
ここで、液晶パネルの各画素に印加される電圧と、当該電圧が印加された画素の応答時間との関係について説明する。
液晶パネル(特に、VA方式の液晶パネル)には、画素に対する印加電圧が低いと応答時間が短くなり、印加電圧が高いと応答時間が長くなる特性がある。例えば、図14に示す一例のように、2.5Vの電圧が印加されていた画素が黒に変化する際の応答時間は略1.58ms(ミリ秒)である。これに対し、5Vの電圧が印加されていた画素が黒へ変化する際の応答時間は略2ms(ミリ秒)である。
すなわち、所定の電圧が印加されて或る階調に設定された画素に対して異なる電圧を印加した場合に、当該異なる電圧に応じた階調への変化が完了するまでの応答時間は、当該異なる電圧と前記所定の電圧との差分が小さいほど短くなり、大きいほど長くなる。このことは、白から黒への階調変化(階調が高い方から低い方への変化)だけでなく、黒から白への階調変化でも同様である。また、VA方式の液晶パネルに限らず、TN(Twisted Nematic)方式の液晶パネルでも同様の特性がある。
図15は、液晶パネル32Cにおけるラインの位置と、印加電圧の高低との関係を説明する図である。
上記特性があるため、表示制御部43Cは、図15に示すように、液晶パネル32Cの各画素を同じ階調にする場合に、当該液晶パネル32Cの書き始めライン側の画素に対して、書き終わりライン側の画素に印加する電圧より高い電圧を印加する。
詳述すると、黒に画素の階調を設定する場合の印加電圧は、全ての画素で同じであるが、白を含む他の階調に画素の階調を設定する場合の印加電圧は、上記のように、書き始めライン側が高く、書き終わりライン側が低くなるように調整される。
これにより、書き始めライン側の画素の応答時間を、書き終わりライン側の画素の応答時間より長くすることができ、前述のクロストークを低減できる。
以上説明した本実施形態に係る画像表示システム1Cによれば、前述の画像表示システム1Aと同様の効果を奏することができる他、以下の効果を奏することができる。
すなわち、液晶パネル32Cとして、液晶層の層厚が異なる液晶パネル32Aのような特殊な液晶パネルではなく、一般的な液晶パネルを利用できるので、プロジェクター2Cの製造コストを低減できる。また、温度によって画素の応答時間を調整する構成に比べて、当該応答時間の制御を容易に実施できる。
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態について説明する。
本実施形態に係る画像表示システムは、形成される画像の輝度むらを抑制する光量調整部を備える点で、前述の画像表示システム1A〜1Cと相違する。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同一または略同一である部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
図16は、本実施形態に係る画像表示システム1Dの構成を示すブロック図である。
本実施形態に係る画像表示システム1Dは、図16に示すように、プロジェクター2Aに変えてプロジェクター2Dを備える他は、前述の画像表示システム1Aと同様の構成及び機能を備える。また、プロジェクター2Dは、表示装置3Aに代えて表示装置3Dを備える他は、プロジェクター2Aと同様の構成及び機能を備える。
表示装置3Dは、光源部31、液晶パネル32A及び投射部33に加えて、光量調整部34を備える。
この光量調整部34は、光源部31から出射された光束の中心軸に対する直交面内に照度分布を形成し、これにより、液晶パネル32Aの各部位に入射される光の光量を調整するものである。
図17は、光量調整部34の構成の一例及び当該光量調整部34を透過する光の光路を示す図である。詳述すると、図17(A)は、光量調整部34を構成する一対のレンズアレイ341,342の一端側に入射される光の光路を示し、図17(B)は、他端側に入射される光の光路を示している。
光量調整部34は、本実施形態では、図17(A)及び図17(B)に示すように、光源部31と液晶パネル32Aとの間に設けられる一対のレンズアレイ341,342と、重畳レンズ343と、平行化レンズ344とを備えている。
一対のレンズアレイ341,342は、それぞれ対応する複数の小レンズ3411,3421が縦横に配列された構成を有する。各小レンズ3411,3421は、光源部31から入射される光束を複数の部分光束に分割し、各部分光束を液晶パネル32Aに入射させる。
重畳レンズ343は、レンズアレイ342とともに、レンズアレイ341により分割された各部分光束を、液晶パネル32Aに入射させる。
平行化レンズ344は、重畳レンズ343を介して入射される光を、当該光の中心軸に沿う平行光に変換し、当該平行光を液晶パネル32Aに入射させる。
ここで、液晶パネル32Aにおいては、液晶層324の層厚を調整したことで、当該液晶パネル32Aの各画素の位相差値は、書き始めライン側と書き終わりライン側とで異なっている。このため、同じ階調とするべく同じ電圧を各画素に印加した場合、液晶パネル32Aを透過する光量にばらつきが生じ、表示される画像に輝度むらが生じる。
例えば、液晶層324の層厚を厚くした書き始めライン側の画素の位相差値を適性値とした場合、当該層厚を薄くした書き終わりライン側の画素の位相差値は適性値とはならない。換言すると、各画素に同じ電圧を印加しても、書き始めライン側の画素の光透過率は高く、書き終わりライン側の画素の光透過率は低くなる。このため、当該液晶パネル32Aに面内照度(光束の中心軸Aに直交する面内の照度)が均一な光束を入射させた場合、表示画像における書き始めライン側の領域の輝度が高く、書き終わりライン側の領域の輝度が低くなる。
これに対し、一対のレンズアレイ341,342の各小レンズ3411,3421は、分割した各部分光束により、液晶パネル32Aを均一に照明するのではなく、書き始めライン側の領域及び書き終わりライン側の領域の一方の領域に偏らせて、当該各部分光束を入射させる。すなわち、液晶パネル32Aにおいて、同じ電圧を印加した場合に、光透過率が低い方の画素に、高い方の画素より多くの光が入射されるように、光量を調整する。
例えば、液晶パネル32Aにおいて、書き始めライン側の画素の位相差値が適性値に設定されている場合には、図17(A)及び図17(B)に示すように、書き終わりライン側の領域に多くの光が入射されるように、各小レンズ3411,3421は設計される。
本実施形態では、書き終わりライン側から書き始めライン側に向かう方向(図17において矢印D方向)の両端部から中央に向かうに従って、小レンズ3411,3421は、レンズ径及び曲率が大きくなるように形成されている。このような構成により、光透過率が低い領域(書き終わりライン側の領域A2)に入射される光量を多くし、光透過率が高い領域(書き始めライン側の領域A1)に向かうに従って入射される光量が次第に少なくなるように光量が調整される。従って、前述の輝度むらが抑制される。
なお、このような構成及び形状に限らず、他の構成及び形状により、液晶パネル32Aに入射される光量の分布を形成してもよい。例えば、各小レンズをトーリックレンズ及びシリンドリカルレンズにより構成し、光源部31から出射された光の進行方向に対する直交方向に焦点位置をずらすことで、当該光の分布を形成してもよい。
更に、このような光量調整部34は、プロジェクター2B,2Cにも採用できる。
ここで、前述のプロジェクター2Bでは、液晶パネル32Bにおける書き始めライン側の温度を低くし、書き終わりライン側の温度を高くした。この状態の液晶パネル32Bでは、前述のようにクロストークが低減されるが、温度が高い領域及び低い領域の一方で、画素の位相差値が適性値からずれる可能性がある。この場合、適性値からのずれ値が大きくなるほど、画素の光透過率は低くなり、表示画像において対応する領域が暗くなる。
また、プロジェクター2Cでは、同じ階調に設定する際に、液晶パネル32Bの書き始めライン側の画素に印加する電圧を高くし、書き終わりライン側の電圧を低くした。このため、書き始めライン側の画素の光透過率が高く、書き終わりライン側の画素の光透過率は低くなり、表示画像における書き終わりライン側の領域が暗くなる。
これに対し、光透過率が低い領域に、光源部31から出射された光が多く入射されるように調整する光量調整部34を設けることで、表示画像における輝度むらの発生を抑制できる。従って、当該表示画像における劣化を抑制できる。
[実施形態の変形]
本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
前記各実施形態では、プロジェクター2A〜2Dは、第1画像及び第2画像にそれぞれ相当する左目用画像及び右目用画像を形成及び投射するとしたが、本発明はこれに限らない。左目用画像及び右目用画像に代えて、それぞれ異なる2次元画像(第1画像及び第2画像に相当)を表示してもよい。この場合、観察者の右目及び左目に応じて右目用選択部93Rと同様の選択部が設けられたシャッター眼鏡を装着した観察者が、当該第1画像及び第2画像のうち一方の画像を観察できる。また、観察者の右目及び左目に応じて左目用選択部93Lと同様の選択部が設けられたシャッター眼鏡を装着した観察者が、他方の画像を観察できる。
前記第2実施形態では、温度調整手段として、冷却空気を送風する冷却装置6を採用したが、本発明はこれに限らない。例えば、エチレングリコール等の冷却媒体を循環させて、液晶パネルを冷却する冷却装置を採用してもよい。また、液晶パネルを加熱する加熱手段を温度調整手段として採用してもよい。
前記第4実施形態では、光量調整部34は、一対のレンズアレイ341,342を有する構成としたが、本発明はこれに限らない。すなわち、液晶パネルにおける光透過率の分布に応じて、入射光量を調整できる構成であれば、他の構成でもよい。例えば、光透過率が高い領域に、光透過率を減じるフィルター等の減光部材を設けてもよい。
書き始めライン側の画素の応答時間を書き終わりライン側の画素の応答時間よりも長くするために、前記第1実施形態では、液晶層324の層厚を調整し、前記第2実施形態では、液晶パネル32Bに温度分布を作り、前記第3実施形態では、液晶パネル32Cに対する印加電圧を調整した。しかしながら、本発明はこれに限らず、これらのうち2つ以上を組み合わせてもよい。
前記各実施形態では、画像表示装置としてプロジェクター2A〜2Dを採用したが、本発明はこれに限らない。すなわち、画像形成手段として液晶パネルを採用する表示装置であれば、液晶ディスプレイ等、他の画像表示装置でもよい。
本発明は、画像表示システム及び画像表示装置に利用でき、特に、右目用画像及び左目用画像を交互に表示する画像表示システム及び画像表示装置に好適に利用できる。
1A〜1D…画像表示システム、2A〜2D…プロジェクター(画像表示装置)、4C…制御装置(制御手段)、6…冷却装置(温度調整手段)、9…シャッター眼鏡、31…光源部、32A〜32C…液晶パネル、34…光量調整部、93L…左目用選択部(第1画像選択部又は第2画像選択部)、93R…右目用選択部(第1画像選択部又は第2画像選択部)、321…第1基板、322…第2基板、324…液晶層、LI…左目用画像(第1画像又は第2画像)、RI…右目用画像(第1画像又は第2画像)。

Claims (5)

  1. 画像表示装置と、当該画像表示装置により表示された画像を観察するためのシャッター眼鏡とを備えた画像表示システムであって、
    前記画像表示装置は、線順次駆動方式で駆動して、第1画像及び第2画像を交互に形成する液晶パネルを備え、
    前記液晶パネルにおける書き始めライン側の画素の応答時間は、当該液晶パネルにおける書き終わりライン側の画素の応答時間より長く、
    前記シャッター眼鏡は、
    前記第1画像を透過して、前記第2画像を遮断する第1画像選択部と、
    前記第2画像を透過して、前記第1画像を遮断する第2画像選択部との少なくともいずれかを備え、
    前記画像表示装置は、前記液晶パネルの各ラインを順次選択し、選択された前記ラインを構成する画素に電圧を印加して、当該液晶パネルに前記第1画像及び前記第2画像を形成させる制御手段を備え、
    前記制御手段は、前記書き始めライン側の画素と前記書き終わりライン側の画素とで同じ階調とする際に、前記書き終わりライン側の画素に印加する電圧より、前記書き始めライン側の画素に印加する電圧を高くする
    ことを特徴とする画像表示システム。
  2. 請求項1に記載の画像表示システムにおいて、
    前記液晶パネルは、
    互いに対向配置される第1基板及び第2基板と、
    前記第1基板及び前記第2基板の間に封入される液晶層とを備え、
    前記液晶層の層厚は、前記書き終わりライン側より前記書き始めライン側の方が厚い
    ことを特徴とする画像表示システム。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の画像表示システムにおいて、
    前記画像表示装置は、前記書き始めライン側の温度を、前記書き終わり側の温度より低くする温度調整手段を備える
    ことを特徴とする画像表示システム。
  4. 請求項2から請求項3のいずれかに記載の画像表示システムにおいて、
    前記画像表示装置は、
    前記液晶パネルに入射される光を出射する光源部と、
    前記光源部から出射された光の中心軸に対する直交面内で分布を生じさせ、前記液晶パネルにおける前記書き始めライン及び前記書き終わりラインの一方側の領域に入射される光量を、他方側の領域に入射される光量より多くする光量調整部とを備える
    ことを特徴とする画像表示システム。
  5. 線順次駆動方式で駆動して、第1画像及び第2画像を交互に形成する液晶パネルを備え、
    前記液晶パネルでは、書き始め側のラインの応答時間が書き終わり側のラインの応答時間より長く、
    記液晶パネルの各ラインを順次選択し、選択された前記ラインを構成する画素に電圧を印加して、当該液晶パネルに前記第1画像及び前記第2画像を形成させる制御手段を備え、
    前記制御手段は、前記書き始めライン側の画素と前記書き終わりライン側の画素とで同じ階調とする際に、前記書き終わりライン側の画素に印加する電圧より、前記書き始めライン側の画素に印加する電圧を高くする
    ことを特徴とする画像表示装置。
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