JP5998540B2 - 画像表示システム及び画像表示装置 - Google Patents
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Description
この特許文献1に記載の画像表示システムでは、画像表示装置が右目用画像を表示する期間に右目用選択部を透過状態とし、左目用選択部を遮蔽状態とする。一方、画像表示装置が左目用画像を表示する期間に左目用選択部を透過状態とし、右目用選択部を遮蔽状態とする。これにより、観察者は、右目用画像を右目にて、左目用画像を左目にて観察でき、視差により立体視可能な画像を観察できる。
線順次駆動方式で駆動される液晶パネルでは、書き始めライン(最上位の走査線に接続された画素により構成されるライン)から書き終わりライン(最下位の走査線に接続された画素により構成されるライン)まで各ラインが順に選択され、当該各ラインの画素に階調に応じた電圧が印加されて画像が形成される。これが繰り返され、左目用画像と右目用画像とが交互に形成される。
一方、右目用画像の形成開始時から所定時間経過後のタイミングTA3を、右目用選択部の透過状態への切替タイミングとする。また、当該右目用画像の次に形成される左目用画像の形成開始時から所定時間経過後のタイミングTA4を、右目用選択部の遮蔽状態への切替タイミングとする。
また、タイミングTA1,TA3を、対応する選択部の透過状態への切替タイミングとすると、書き終わりライン側の画素の階調が印加電圧に応じた階調に切り替わる前に、当該選択部が透過状態に切り替わり始める。このため、書き終わりライン側の領域に、当該選択部を介して観察される更新後の画像(例えば、タイミングTA1の場合は左目用画像)の成分に、更新前の画像(例えば、タイミングTA1の場合は右目用画像)の成分が混ざることとなり、クロストークが生じる(第2の問題)。
具体的に、上記第1の問題は、選択部の遮蔽状態への切替タイミングを早めることで解消できる。例えば、次の画像の形成開始時の前までに、前の画像に対応する選択部が遮蔽状態に完全に切り替われば、クロストークは発生しない。しかしながら、この場合、選択部が透過状態である期間が短くなるため、当該選択部を透過する光量が減り、画像が暗く観察されてしまう。
このような問題から、画像が暗く観察されることを抑制でき、かつ、クロストークを低減できる構成が要望されてきた。
また、応答時間は、ある画素に対して電圧が印加されてから、印加された電圧に応じた階調に当該画素の階調が変化するまでの時間を示す。
更に、第1画像及び第2画像は、それぞれ異なる画像でもよく、それぞれ視差画像である左目用画像及び右目用画像でもよい。
このようなクロストークの低減は、第1画像選択部及び第2画像選択部が透過状態である期間が短くなることなく行うことができる。従って、観察される画像が暗くなることを抑制しつつ、クロストークを低減できる。
なお、液晶層の層厚は、当該液晶層において光が透過する方向の寸法を示す。
ここで、液晶パネルには、液晶層の層厚が厚いと応答時間が長くなる特性がある。
このため、当該一態様によれば、書き始めライン側の画素の応答時間を、書き終わりライン側の画素の応答時間より長くすることができる。従って、前述の効果を確実に奏することができる。
このような温度調整手段としては、液晶パネルにおける書き終わりライン側の領域に熱を加える加熱手段の他、当該液晶パネルにおける書き始めライン側の領域を冷却する冷却手段を例示できる。
このため、当該一態様によれば、温度調整手段により、液晶パネルの温度を調整することで、書き始めライン側の画素の応答時間を、書き終わりライン側の画素の応答時間より長くすることができる。従って、前述の効果を確実に奏することができる。
このため、当該一態様によれば、それぞれ同じ階調に設定する際に、当該書き始めライン側の画素の応答時間を、書き終わりライン側の画素の応答時間より長くすることができる。従って、前述の効果を確実に奏することができる。
これに対し、上記一態様では、光量調整部により、書き始めライン側の領域と書き終わりライン側の領域との一方に入射される光量は、他方に入射される光量より多くなる。これによれば、透過光量の変化を相殺することができるので、輝度が均一な画像を形成できる。従って、画像の劣化を抑制できる。
当該一態様によれば、前述の第1画像選択部及び第2画像選択部の少なくともいずれかを備えるシャッター眼鏡と組み合わせることで、前述の画像表示システムを構成でき、当該画像表示システムと同様の効果を奏することができる。
以下、本発明の第1実施形態について、図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係る画像表示システム1Aの構成を示す模式図である。
本実施形態に係る画像表示システム1Aは、画像表示装置としてのプロジェクター2Aと、当該プロジェクター2Aにより画像が投射される被投射面を有するスクリーンScと、観察者により装着されるシャッター眼鏡9とを備える。
これらのうち、プロジェクター2Aは、二次元画像を表示する場合と、視差画像である右目用画像及び左目用画像を交互に形成して、視差により立体視可能な画像(以下「三次元画像」と称する)を表示する場合とを切替可能に構成されている。そして、三次元画像が表示される場合には、観察者は、シャッター眼鏡9を使用する。なお、左目用画像及び右目用画像は、本発明の第1画像及び第2画像に相当する。
図2は、プロジェクター2A及びシャッター眼鏡9の構成を示すブロック図である。
シャッター眼鏡9は、プロジェクター2Aにより表示された右目用画像を観察者の右目に、左目用画像を観察者の左目に入射させるものである。このシャッター眼鏡9は、図2に示すように、受信部91、シャッター駆動部92、右目用選択部93R及び左目用選択部93Lを備える。
すなわち、詳しくは後述するが、右目用画像の表示時に、右目用選択部93Rは透過状態となり、左目用選択部93Lは遮蔽状態となることで、当該右目用画像は、右目用選択部93Rを透過する。また、左目用画像の表示時に、左目用選択部93Lが透過状態となり、右目用選択部93Rが遮蔽状態となることで、当該左目用画像は、左目用選択部93Lを透過する。これにより、右目用画像及び左目用画像が右目及び左目によりそれぞれ個別に観察され、視差による立体画像(3次元画像)が視認される。
シャッター駆動部92は、受信部91から入力される信号に基づいて、右目用選択部93R及び左目用選択部93Lにオン電圧又はオフ電圧を印加して、これら各選択部93L,93Rを透過状態又は遮蔽状態に切り替える。
プロジェクター2Aは、前述のように、二次元画像の他、左目用画像及び右目用画像を含む三次元画像をスクリーンScに投射する。このプロジェクター2Aは、図2に示すように、表示装置3A、制御装置4A及び送信装置5を備える。この他、プロジェクター2Aは、図示を省略するが、当該プロジェクター2Aを構成する電子部品に電力を供給する電源装置や、冷却対象を冷却する冷却装置を備える。
光源部31は、液晶パネル32Aの画像形成領域を照明する。このような光源部31としては、超高圧水銀ランプ等の光源ランプ、及び、当該光源ランプから出射された光を一方向に揃えて反射させる反射鏡を有する構成を採用できる他、LED(Light Emitting Diode)及びLD(Laser Diode)等の固体光源を有する構成を例示できる。
このような液晶パネル32Aは、それぞれ走査線に接続された複数の画素により構成されるラインを複数備える。そして、当該液晶パネル32Aは、線順次駆動方式で駆動され、1画面分の画像を形成する。なお、当該液晶パネル32Aの構成及び駆動については、後に詳述する。
投射部33は、液晶パネル32Aにて形成された画像を、スクリーンScの被投射面上に拡大投射する。この投射部33は、鏡筒と、当該鏡筒内に配置された複数のレンズとを有する組レンズを例示できる。
タイミングコントローラー42は、画像処理部により処理された画像データに含まれる同期信号を読み取って、表示制御部43A及び送信装置5、ひいては、シャッター眼鏡9の同期をとる。
表示制御部43Aは、画像処理部41にて描画された画像を適宜読み出し、液晶パネル32Aを線順次駆動させて、当該画像を形成させる。
具体的に、表示制御部43Aは、タイミングコントローラー42から入力される同期信号に基づいて、図3に示すように、垂直走査期間内に、液晶パネル32Aにおける最上位の走査線SL(最初に選択される走査線SL1)から最下位の走査線SL(最後に選択される走査線SLn)までを順次選択し、選択された走査線SLに接続された各画素に階調に応じた電圧が信号線(図示省略)を介して印加され(画像データを書き込み)、液晶パネル32Aに形成される画像を更新する。そして、表示制御部43Aは、次の垂直走査期間内にて同様の処理を行い、次の画像に更新する。この際、三次元画像を形成する場合には、表示制御部43Aは、画像処理部41により描画された右目用画像と左目用画像とを交互に読み出して、液晶パネル32Aに当該右目用画像及び左目用画像を交互に形成させる。
このような1つの走査線SLに接続された複数の画素により、1つのラインPL(図10参照)が構成され、液晶パネル32Aには、複数のラインPLが形成されている。
具体的に、送信装置5は、タイミングコントローラー42から入力される垂直同期信号に基づいた所定のタイミングで、各選択部93L,93Rの透過状態又は遮断状態への切替開始タイミングを示すタイミング信号を、シャッター眼鏡9へ送信する。
なお、本実施形態では、送信装置5は、赤外発光LED(Light Emitting Diode)及び当該赤外発光LEDを発光させる駆動回路等を備え、前述のタイミング信号を、発光時間及び発光パターンを変化させることで送信する。
図4は、液晶パネル32Aによる右目用画像及び左目用画像の形成期間と、右目用選択部93R及び左目用選択部93Lの状態切替タイミングとの関係の一例を示す図である。なお、図4上段においては、各走査線SL1〜SLnの選択タイミングを模式的に示すために、走査線SL1を選択して当該走査線SL1に接続された画素へ画像データの書き込みを開始するタイミングWsと、走査線SLnを選択して当該走査線SLnに接続された画素へ画像データの書き込みを開始するタイミングWeとを直線で結んでいる。また、説明の便宜上、液晶パネル32Aにより左目用画像が形成される期間を「L」で示し、右目用画像が形成される期間を「R」で示している。
このようにして、形成及び表示された右目用画像が右目用選択部93Rのみを透過し、同じく形成及び表示された左目用画像が左目用選択部93Lのみを透過するように、右目用画像及び左目用画像の形成期間と、右目用選択部93R及び左目用選択部93Lの透過状態OPの期間とが関連付けられている。
しかしながら、液晶パネル32Aは、線順次駆動方式にて駆動されるので、当該液晶パネル32Aには、最上位の走査線が選択されてから、最下位の走査線に接続された各画素を含む全ての画素の階調が、印加電圧に応じた階調となるまでに時間差が存在する。換言すると、ある走査線が選択されて、階調に応じた電圧が当該走査線に接続された画素に印加されてから、当該画素が印加電圧に応じた階調になるまでの時間である応答時間が存在する。このため、例えば、上記のように液晶パネル32Aの各走査線SLの画素に階調に応じた電圧を印加しても、当該画素の階調変化は急激には生じない。
例えば、液晶パネル32Aにより、図5(A)及び図5(B)に示す左目用画像LIと右目用画像RIとを交互に形成する場合、当該図5における画素列PX1の画素では、左目用画像LIと右目用画像RIとで輝度変化が生じる。すなわち、画素列PX1の画素では、左目用画像LIの形成時には黒(最大の階調)となり、右目用画像RIの形成時には白(最小の階調)となる。
なお、図5では、画素列PX1の画素のうち、最上位の走査線SL1に接続された画素(すなわち、書き始めラインの画素)を画素P11とし、中段の走査線SLmに接続された画素(すなわち、中段ラインの画素)を画素P12とし、最下位の走査線SLnに接続された画素(すなわち、書き終わりライン側の画素)を画素P13として示している。
この図6においては、画素列PX1の画素のうち、画素P11の輝度変化を点線で示し、画素P12の輝度変化を一点鎖線で示し、画素P13の輝度変化を二点鎖線で示す。また、各選択部93L,93Rを透過する光の輝度変化を実線で示している。これら選択部93L,93Rの輝度変化は、白画像を表示し続けた場合に各選択部93L,93Rを透過する光の輝度変化である。
すなわち、図6に示すように、画素の階調が白から黒へ変化するには、時間T1を要する。この時間T1を、白から黒への画素の応答時間と称する。同様に、画素の階調が黒から白へ変化するには、時間T2を要する。この時間T2を、黒から白への画素の応答時間と称する。
なお、以下の説明では、走査線SLが選択されるとは、当該走査線SLに接続された各画素に対して、階調に応じた電圧が印加されること(すなわち、画像データが書き込まれること)を意味する。
具体的に、図6に示すタイミングTM1では、図7(A)に示すように、液晶パネルによる右目用画像RIの形成は完了している。このタイミングTM1を、右目用選択部93Rの透過状態から遮蔽状態への切替タイミングとすると、図6に示すように、遮蔽状態への遷移は即座には完了せず、遷移が完了するまでに応答時間T4を要する。このタイミングTM1で、左目用画像LIを形成し始めると、画素P11においては、当該タイミングTM1で階調変化が生じ始めてしまうため、当該右目用選択部93Rが遮蔽状態に完全に切り替わる前のタイミングTM2(応答時間T4が経過する前のタイミングTM2)では、当該画素P11の階調が変化することにより、右目用選択部93Rを透過する光が減光分の輝度相対値S1だけ減光されてしまう。一方、画素P12、P13においては、当該階調が変化が開始していないため、右目用選択部93Rを透過する光が減光されることはない。このため、図7(B)に示すように、右目用選択部93Rが完全に遮蔽状態に切り替わる前に、左目用画像LIの成分(階調)が混ざった右目用画像RIが、右目にて観察されてしまう。すなわち、クロストークが生じる。
この後、書き終わりラインの画素P13の階調変化が完了したタイミングTM5では、図7(D)に示すように、適切な左目用画像LIが形成され、当該左目用画像LIが、左目用選択部93Lを介して左目にて観察される。
このため、タイミングTM6から左目用選択部93Lの遮蔽状態への切替が完了するまでの間のタイミングTM7では、画素P11の階調が変化し始めている。このため、図8(A)に示すように、右目用画像RI(先行分の輝度相対値S3)が混ざった左目用画像LIが、左目用選択部93Lを介して左目にて観察されてしまう。すなわち、クロストークが生じる。
この後、書き終わりラインの画素P13の階調変化が完了したタイミングTM10では、図8(D)に示すように、適切な右目用画像RIが形成され、当該右目用画像RIが、右目用選択部93Rを介して観察される。
図6で示したようなクロストークは、以下の式(1)及び式(2)により、クロストーク値として数値で表すことができる。
このうち、左目用画像を基準としたクロストーク値(CTL)は、以下の式(1)により求められる。この式(1)に含まれる各パラメーターは、以下のとおりである。なお、各輝度を測定する際の左目用選択部93Lの遮蔽状態と透過状態との切替タイミングは、前述の場合と同様である。
Lkw:ある画素において、左目用画像の形成時に黒とし、右目用画像の形成時に白とする場合に、観察者の左目に入射される光の輝度。
Lkk:ある画素において、左目用画像の形成時に黒とし、右目用画像の形成時に黒とする場合に、観察者の左目に入射される光の輝度。
Lww:ある画素において、左目用画像の形成時に白とし、右目用画像の形成時に白とする場合に、観察者の左目に入射される光の輝度。
CTL=(Lkw−Lkk)/(Lww−Lkk) …(1)
Rww:ある画素において、右目用画像の形成時に白とし、左目用画像の形成時に白とする場合に、観察者の右目に入射される光の輝度。
Rwk:ある画素において、右目用画像の形成時に白とし、左目用画像の形成時に黒とする場合に、観察者の右目に入射される光の輝度。
Rkk:ある画素において、右目用画像の形成時に黒とし、左目用画像の形成時に黒とする場合に、観察者の右目に入射される光の輝度。
CTR=(Rww−Rwk)/(Rww−Rkk) …(2)
なお、画素P11のクロストーク値CTLは、タイミングTM7の箇所でのクロストーク値であり、画素P13のクロストーク値CTLは、タイミングTM4の箇所でのクロストーク値である。また、画素P11のクロストーク値CTRは、タイミングTM2の箇所でのクロストーク値であり、画素P13のクロストーク値CTRは、タイミングTM9の箇所でのクロストーク値である。
一方で、このようなクロストークは、各選択部93L,93Rの状態を切り替えるタイミングを前後させることで解消できる。
例えば、タイミングTM4で生じるクロストークは、左目用画像LIを書き込む際のタイミングWcの経過後に、左目用選択部93Lの遮蔽状態から透過状態への切替タイミングを設定することで解消できる。同様に、タイミングTM9で生じるクロストークは、右目用画像RIを書き込む際のタイミングWdの経過後に、右目用選択部93Rの遮蔽状態から透過状態への切替タイミングを設定することで解消できる。
しかしながら、これら対処法では、選択部93L,93Rが透過状態にある期間が短縮されてしまう。このため、当該選択部93L,93Rを透過する光量が少なくなり、各画像LI,RIが暗く観察されてしまう。
しかしながら、これら対処法でも、選択部93L,93Rが透過状態にある期間が短縮されてしまうため、各画像LI,RIが暗く観察されてしまう。
そこで、実際に行っているタイミング設定は、クロストークを完全に無くすようにはせず、クロストークの許容範囲で、観察される画像LI,RIの明るさをなるべく得るようにしている。
図9は、前述の各画像LI,RIを形成する際の前述の画素P11〜P13の輝度変化を示す図である。この図9においては、前述の図と同様に、画素P11の輝度変化を点線で示し、画素P12の輝度変化を一点鎖線で示し、画素P13の輝度変化を二点鎖線で示している。また、各選択部93L,93Rを透過する光の輝度変化を実線で示しており、各選択部93L,93Rの輝度変化は、白画像を表示し続けた場合に当該各選択部93L,93Rを透過する光の輝度変化である。
上記の問題に対し、本実施形態に係る液晶パネル32Aでは、図9に示すように、書き始めライン側の画素の応答時間は、書き終わりライン側の画素の応答時間より長くなるように設定されている。
本実施形態に係る液晶パネル32Aでは、書き始めラインの画素、中段ラインの画素及び書き終わりラインの画素の応答時間は、以下の表2に示す時間に設定されている。なお、以下の表3には、前述の一般的な液晶パネルにおける応答時間が示されている。
すなわち、表2及び表3に示すように、書き始めライン側の各画素の応答時間T11,T21が、それぞれ前述の応答時間T1,T2より長くなっている。このことから、当該書き始めライン側の各画素の階調は、前述の一般的な液晶パネルでの場合に比べて緩やかに変化される。このため、例えば、左目用画像LIの形成開始タイミングであるタイミングTM1で、右目用選択部93Rの遮蔽状態への切替を開始すると、当該各画素の階調が、更新前の右目用画像RIに応じた階調に近い段階で、当該右目用選択部93Rの遮蔽状態への切替が完了する。これにより、右目用選択部93Rを透過する左目用画像の成分(減光分の相対輝度値S1)を、前述の一般的な液晶パネルの場合に比べて少なくすることができ、クロストークを低減できる。
また、右目用画像RIの形成開始タイミングであるタイミングTM6を、左目用選択部93Lの遮蔽状態への切替タイミングとしても、同様に右目用画像RI(先行分の相対輝度値S3)を前述の一般的な液晶パネルの場合に比べて少なくすることができ、クロストークを低減できる。
また、右目用画像RIの形成時において、書き終わりラインが選択されるタイミングTM8を、右目用選択部93Rの透過状態への切替タイミングとしても、同様に、左目用画像LI(遅れ分の相対輝度値S4)を前述の一般的な液晶パネルの場合に比べて少なくすることができ、クロストークを低減できる。
なお、タイミングTM3でのクロストーク値(画素P12のクロストーク値)に変化がないのは、液晶パネル32Aの中段ラインの画素の応答時間が、前述の一般的な液晶パネルにおける中段ラインの画素の応答時間T1,T2と同じためである。
図10は、液晶パネル32Aの構成を示す模式図である。詳述すると、図10は、液晶パネル32Aの構成を模式的に示す正面図及び断面図である。なお、図10においては、図示を簡略化するために、配列される画素電極326の数を12行16列としている。
上記のように、各画素の応答時間を、書き終わりライン側から書き始めライン側に向かうに従って長くするために、本実施形態では、液晶パネル32Aにおける液晶層324(図10参照)の厚さ寸法を調整している。これは、液晶層324の厚さ寸法が大きくなると画素の応答時間は長くなり、当該厚さ寸法が小さくなると画素の応答時間が短くなる特性を利用したものである。
液晶パネル32Aは、図10に示すように、互いに対向する第1基板321及び第2基板322と、シール材323と、液晶層324とを備える。
第1基板321は、透光性を有する矩形板体で構成され、第2基板322に対して光入射側に配設される。この第1基板321における光入射側の表面には、図示を省略したが、入射される光のうち第1の直線偏光光のみを透過させる偏光板が取り付けられている。また、第1基板321における光出射側の表面(第2基板322に対向する表面)には、共通電極325が設けられている。
この第2基板322における光出射側の表面には、図示を省略するが、入射された光のうち第1の直線偏光光の偏光方向に直交する偏光方向を有する第2の直線偏光光のみを透過させる偏光板が取り付けられている。
なお、第1基板321を第2基板322に対して光出射側に配置してもよい。
書き始めライン側の画素の応答時間を、書き終わりライン側の画素の応答時間より長くしたことにより、前述のタイミングTM2,TM7で生じるクロストークを低減できる。また、書き終わりライン側の画素の応答時間が、一般的な液晶パネルにおける画素の応答時間より短いことから、タイミングTM4,TM9で生じるクロストークを低減できる。
このようなクロストークの低減は、各選択部93L,93Rが透過状態である期間を短縮することなく実施される。従って、観察される画像が暗くなることを抑制しつつ、クロストークを低減できる。
次に、本発明の第2実施形態に係る画像表示システムについて説明する。
本実施形態に係る画像表示システムでは、液晶パネルにおける書き始めライン側の画素の応答時間を、書き終わりライン側の画素の応答時間より長くするために、温度が低いと、応答時間が長くなるという液晶パネルの特性を利用して、書き始めライン側の温度を書き終わりライン側の温度より低くする。この点で、本実施形態に係る画像表示システムと、前述の画像表示システム1Aとは相違する。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同一または略同一である部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態に係る画像表示システム1Bは、プロジェクター2Aに代えてプロジェクター2Bを備える他は、前述の画像表示システム1Aと同様の構成及び機能を有する。
プロジェクター2Bは、図11に示すように、表示装置3B、制御装置4A、送信装置5及び冷却装置6を備える。
表示装置3Bは、光源部31、液晶パネル32B及び投射部33を備える。これらのうち、液晶パネル32Bは、前述の一般的な液晶パネルと同様に、当該液晶パネルにおける温度が均一の場合に、各ラインの画素の応答時間が同じものである。
冷却装置6は、液晶パネル32Bの第1基板321及び第2基板322に沿って冷却空気を流通させて、当該液晶パネル32Bを冷却する。この際、冷却装置6は、図12に示すように、液晶パネル32Bの各ラインPLのうち、書き始めラインPL1から書き終わりラインPLnに向かって流通するように、冷却空気を送風する。
このような方向に流通する冷却空気によって冷却されることで、液晶パネル32Bにおける書き始めラインPL1側の部位の温度は、書き終わりライン側の部位の温度より低くなる。
従って、上記の流通方向に冷却空気を送風して液晶パネル32Bを冷却することで、前述の液晶パネル32Aと同様に、書き始めライン側の画素の応答時間を、書き終わりライン側の画素の応答時間より長くすることができる。すなわち、冷却装置6は、本発明の温度調整手段に相当する。
冷却装置6により送風される冷却空気を、書き始めライン側から書き終わりライン側に流通させることで、クロストークを低減できるので、複雑な構成の液晶パネルを採用したり、当該液晶パネルの動作を変更する必要が無い。従って、簡易な構成で、クロストークの低減を図ることができる。
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
本実施形態に係る画像表示システムでは、液晶パネルにおける書き始めライン側の画素の応答時間を、書き終わりライン側の画素の応答時間より長くするために、印加電圧が低いと応答時間が短くなり、当該印加電圧が高いと応答時間が長くなるという液晶パネルの特性を利用して、それぞれ同じ階調に変化させる場合に書き始めライン側の画素に印加する電圧を、書き終わりライン側の画素に印加する電圧より高くする。この点で、本実施形態に係る画像表示システムと、前述の画像表示システム1A,1Bとは相違する。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同一または略同一である部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態に係る画像表示システムは、プロジェクター2Aに代えてプロジェクター2Cを備える他は、前述の画像表示システム1Aと同様の構成及び機能を有する。
プロジェクター2Cは、図13に示すように、表示装置3A及び制御装置4Aに代えて表示装置3C及び制御装置4Cを備える他は、前述のプロジェクター2Aと同様の構成及び機能を有する。
制御装置4Cは、本発明の制御手段に相当し、画像処理部41、タイミングコントローラー42及び表示制御部43Cを備える。この表示制御部43Cは、表示制御部43Aと同様に、液晶パネル32Bに画像データに対応する電圧を印加し、当該液晶パネル32Cによる画像形成を制御する。
ここで、液晶パネルの各画素に印加される電圧と、当該電圧が印加された画素の応答時間との関係について説明する。
液晶パネル(特に、VA方式の液晶パネル)には、画素に対する印加電圧が低いと応答時間が短くなり、印加電圧が高いと応答時間が長くなる特性がある。例えば、図14に示す一例のように、2.5Vの電圧が印加されていた画素が黒に変化する際の応答時間は略1.58ms(ミリ秒)である。これに対し、5Vの電圧が印加されていた画素が黒へ変化する際の応答時間は略2ms(ミリ秒)である。
上記特性があるため、表示制御部43Cは、図15に示すように、液晶パネル32Cの各画素を同じ階調にする場合に、当該液晶パネル32Cの書き始めライン側の画素に対して、書き終わりライン側の画素に印加する電圧より高い電圧を印加する。
詳述すると、黒に画素の階調を設定する場合の印加電圧は、全ての画素で同じであるが、白を含む他の階調に画素の階調を設定する場合の印加電圧は、上記のように、書き始めライン側が高く、書き終わりライン側が低くなるように調整される。
これにより、書き始めライン側の画素の応答時間を、書き終わりライン側の画素の応答時間より長くすることができ、前述のクロストークを低減できる。
すなわち、液晶パネル32Cとして、液晶層の層厚が異なる液晶パネル32Aのような特殊な液晶パネルではなく、一般的な液晶パネルを利用できるので、プロジェクター2Cの製造コストを低減できる。また、温度によって画素の応答時間を調整する構成に比べて、当該応答時間の制御を容易に実施できる。
次に、本発明の第4実施形態について説明する。
本実施形態に係る画像表示システムは、形成される画像の輝度むらを抑制する光量調整部を備える点で、前述の画像表示システム1A〜1Cと相違する。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同一または略同一である部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態に係る画像表示システム1Dは、図16に示すように、プロジェクター2Aに変えてプロジェクター2Dを備える他は、前述の画像表示システム1Aと同様の構成及び機能を備える。また、プロジェクター2Dは、表示装置3Aに代えて表示装置3Dを備える他は、プロジェクター2Aと同様の構成及び機能を備える。
この光量調整部34は、光源部31から出射された光束の中心軸に対する直交面内に照度分布を形成し、これにより、液晶パネル32Aの各部位に入射される光の光量を調整するものである。
光量調整部34は、本実施形態では、図17(A)及び図17(B)に示すように、光源部31と液晶パネル32Aとの間に設けられる一対のレンズアレイ341,342と、重畳レンズ343と、平行化レンズ344とを備えている。
一対のレンズアレイ341,342は、それぞれ対応する複数の小レンズ3411,3421が縦横に配列された構成を有する。各小レンズ3411,3421は、光源部31から入射される光束を複数の部分光束に分割し、各部分光束を液晶パネル32Aに入射させる。
平行化レンズ344は、重畳レンズ343を介して入射される光を、当該光の中心軸に沿う平行光に変換し、当該平行光を液晶パネル32Aに入射させる。
例えば、液晶層324の層厚を厚くした書き始めライン側の画素の位相差値を適性値とした場合、当該層厚を薄くした書き終わりライン側の画素の位相差値は適性値とはならない。換言すると、各画素に同じ電圧を印加しても、書き始めライン側の画素の光透過率は高く、書き終わりライン側の画素の光透過率は低くなる。このため、当該液晶パネル32Aに面内照度(光束の中心軸Aに直交する面内の照度)が均一な光束を入射させた場合、表示画像における書き始めライン側の領域の輝度が高く、書き終わりライン側の領域の輝度が低くなる。
例えば、液晶パネル32Aにおいて、書き始めライン側の画素の位相差値が適性値に設定されている場合には、図17(A)及び図17(B)に示すように、書き終わりライン側の領域に多くの光が入射されるように、各小レンズ3411,3421は設計される。
なお、このような構成及び形状に限らず、他の構成及び形状により、液晶パネル32Aに入射される光量の分布を形成してもよい。例えば、各小レンズをトーリックレンズ及びシリンドリカルレンズにより構成し、光源部31から出射された光の進行方向に対する直交方向に焦点位置をずらすことで、当該光の分布を形成してもよい。
ここで、前述のプロジェクター2Bでは、液晶パネル32Bにおける書き始めライン側の温度を低くし、書き終わりライン側の温度を高くした。この状態の液晶パネル32Bでは、前述のようにクロストークが低減されるが、温度が高い領域及び低い領域の一方で、画素の位相差値が適性値からずれる可能性がある。この場合、適性値からのずれ値が大きくなるほど、画素の光透過率は低くなり、表示画像において対応する領域が暗くなる。
また、プロジェクター2Cでは、同じ階調に設定する際に、液晶パネル32Bの書き始めライン側の画素に印加する電圧を高くし、書き終わりライン側の電圧を低くした。このため、書き始めライン側の画素の光透過率が高く、書き終わりライン側の画素の光透過率は低くなり、表示画像における書き終わりライン側の領域が暗くなる。
本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
前記各実施形態では、プロジェクター2A〜2Dは、第1画像及び第2画像にそれぞれ相当する左目用画像及び右目用画像を形成及び投射するとしたが、本発明はこれに限らない。左目用画像及び右目用画像に代えて、それぞれ異なる2次元画像(第1画像及び第2画像に相当)を表示してもよい。この場合、観察者の右目及び左目に応じて右目用選択部93Rと同様の選択部が設けられたシャッター眼鏡を装着した観察者が、当該第1画像及び第2画像のうち一方の画像を観察できる。また、観察者の右目及び左目に応じて左目用選択部93Lと同様の選択部が設けられたシャッター眼鏡を装着した観察者が、他方の画像を観察できる。
Claims (5)
- 画像表示装置と、当該画像表示装置により表示された画像を観察するためのシャッター眼鏡とを備えた画像表示システムであって、
前記画像表示装置は、線順次駆動方式で駆動して、第1画像及び第2画像を交互に形成する液晶パネルを備え、
前記液晶パネルにおける書き始めライン側の画素の応答時間は、当該液晶パネルにおける書き終わりライン側の画素の応答時間より長く、
前記シャッター眼鏡は、
前記第1画像を透過して、前記第2画像を遮断する第1画像選択部と、
前記第2画像を透過して、前記第1画像を遮断する第2画像選択部との少なくともいずれかを備え、
前記画像表示装置は、前記液晶パネルの各ラインを順次選択し、選択された前記ラインを構成する画素に電圧を印加して、当該液晶パネルに前記第1画像及び前記第2画像を形成させる制御手段を備え、
前記制御手段は、前記書き始めライン側の画素と前記書き終わりライン側の画素とで同じ階調とする際に、前記書き終わりライン側の画素に印加する電圧より、前記書き始めライン側の画素に印加する電圧を高くする
ことを特徴とする画像表示システム。 - 請求項1に記載の画像表示システムにおいて、
前記液晶パネルは、
互いに対向配置される第1基板及び第2基板と、
前記第1基板及び前記第2基板の間に封入される液晶層とを備え、
前記液晶層の層厚は、前記書き終わりライン側より前記書き始めライン側の方が厚い
ことを特徴とする画像表示システム。 - 請求項1又は請求項2に記載の画像表示システムにおいて、
前記画像表示装置は、前記書き始めライン側の温度を、前記書き終わり側の温度より低くする温度調整手段を備える
ことを特徴とする画像表示システム。 - 請求項2から請求項3のいずれかに記載の画像表示システムにおいて、
前記画像表示装置は、
前記液晶パネルに入射される光を出射する光源部と、
前記光源部から出射された光の中心軸に対する直交面内で分布を生じさせ、前記液晶パネルにおける前記書き始めライン及び前記書き終わりラインの一方側の領域に入射される光量を、他方側の領域に入射される光量より多くする光量調整部とを備える
ことを特徴とする画像表示システム。 - 線順次駆動方式で駆動して、第1画像及び第2画像を交互に形成する液晶パネルを備え、
前記液晶パネルでは、書き始め側のラインの応答時間が書き終わり側のラインの応答時間より長く、
前記液晶パネルの各ラインを順次選択し、選択された前記ラインを構成する画素に電圧を印加して、当該液晶パネルに前記第1画像及び前記第2画像を形成させる制御手段を備え、
前記制御手段は、前記書き始めライン側の画素と前記書き終わりライン側の画素とで同じ階調とする際に、前記書き終わりライン側の画素に印加する電圧より、前記書き始めライン側の画素に印加する電圧を高くする
ことを特徴とする画像表示装置。
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