JP5998442B2 - 太陽電池用集電シート及びそれを用いた太陽電池モジュール - Google Patents

太陽電池用集電シート及びそれを用いた太陽電池モジュール Download PDF

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Description

この発明は、バックコンタクト型の太陽電池素子から電気を取り出すための太陽電池用集電シート及びそれを用いた太陽電池モジュールに関する。
近年、環境問題に対する意識の高まりから、クリーンなエネルギー源としての太陽電池が注目されている。一般に、太陽電池を構成する太陽電池モジュールは、受光面側から、透明前面基板、表面側封止材シート、太陽電池素子、裏面側封止材シート、及び裏面保護シートが順に積層された構成であり、太陽光が上記太陽電池素子に入射することにより発電する機能を有している。
太陽電池モジュールの内部で発電を行う太陽電池素子は、通常、太陽電池モジュールの内部に複数枚設けられ、これらが直並列接続されることにより必要な電圧及び電流を得られるように構成されている。複数の太陽電池素子を太陽電池モジュールの内部で配線するために、例えば、回路になる金属箔を基材である樹脂シートの表面に積層させた太陽電池用集電シートが使用される(特許文献1を参照)。
ところで、太陽電池素子は、太陽光を受光する受光面と、その裏側に位置する非受光面とを含むが、受光面における太陽光線の受光効率を高めるために、受光面には電極を配置せず、非受光面に異なる極性を有する複数の電極を配置したバックコンタクト型の太陽電池素子が知られている。
バックコンタクト形の太陽電池素子には種々の方式がある。受光面と非受光面とを貫通する複数のスルーホールを有する半導体基板を備え、非受光面に極性が異なる複数の電極が設けられたメタルラップスルー(MWT)方式、或いはエミッタラップスルー(EWT)方式の太陽電池素子がある他、スルーホールを有しない構造の太陽電池素子もある。
ここで、特にスルーホールを有する構造の太陽電池素子の電極から直接電気を取り出す場合に、P極である非受光面側素子とN電極に対応する配線部との間で短絡を起こす危険がある。
そのような短絡は、太陽電池用集電シートの回路上に絶縁層を形成することにより防ぐことができる。特許文献2には、太陽電池用集電シートの回路上に絶縁性接着剤による絶縁層を形成した太陽電池モジュールが開示されている。
一方、近年、コスト低減の必要性から太陽電池素子の薄型化が進められているが、外部からの僅かな衝撃によって、太陽電池素子が割れたり、太陽電池素子と太陽電池用集電シート上の回路との接合部において接触不良を起こす場合があるが、絶縁層のみでは外部からの衝撃を緩和する効果を求めることはできない。
特開2007−081237号公報 特開2010−157553号公報
このため、バックコンタクト型の太陽電池素子から、短絡を起こさずに安全に電気を取り出すことができ、且つ、外部からの衝撃を充分に緩和することもできる太陽電池用集電シートが求められていた。
本発明は、以上のような状況に鑑みてなされたものであり、バックコンタクト型の太陽電池素子に接合される太陽電池用集電シートであって、P極である非受光面側素子とN電極に対応する配線部との間の短絡を確実に防止しうるとともに、太陽電池素子及び太陽電池素子と回路の接合部に対する外部からの衝撃を充分に緩和することのできる太陽電池用集電シート及びその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、太陽電池用集電シートの回路上に形成した絶縁層の上に更に封止材(充填材)層を形成することにより、上記の短絡を防ぐことができて、且つ、外部からの衝撃も充分に緩和できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的に本発明は以下のものを提供する。
(1)本発明は、太陽電池モジュールにおける内部配線用としてバックコンタクト型の太陽電池素子の裏面側に配置され、樹脂基材の表面に形成され、金属からなる配線部と非配線部とからなる回路と、前記回路上に形成される絶縁層と、当該絶縁層上に形成される封止材層と、を備え、前記配線部上の絶縁層及び封止材層には、当該絶縁層及び封止材層を介して、前記太陽電池素子の非受光面側の電極と、これに対応する前記配線部とを導通するために前記配線部が露出する導通凹部が形成されていることを特徴とする太陽電池用集電シートである。
(2)また、本発明は、前記導通凹部として、前記太陽電池素子の受光面側素子からスルーホールを経て非受光面側に形成される負電極位置に対応する第1導通凹部と、前記太陽電池素子の非受光面側素子の正電極位置に対応する第2導通凹部と、を備える(1)記載の太陽電池用集電シートである。
(3)また、本発明は、前記絶縁層が、紫外線硬化型絶縁層である(1)又は(2)に記載の太陽電池用集電シートである。
(4)また、本発明は、前記樹脂基材の裏面側に裏面保護シートが一体化されている(1)から(3)いずれか記載の太陽電池用集電シートである。
(5)また、本発明は、(1)から(4)いずれか記載の太陽電池用集電シートの製造方法であって、樹脂基材の表面に金属箔を積層した後に、前記金属箔をエッチングして回路を形成する工程と、前記配線部及び非配線部の前記導通凹部以外に前記絶縁層をパターン形成する工程と、前記封止材層に前記導通凹部を構成する貫通孔を形成して前記封止材層を前記絶縁層上に積層する工程と、を備える太陽電池用集電シートの製造方法である。
(6)また、本発明は、(2)から(4)いずれか記載の太陽電池用集電シートが、バックコンタクト方式の太陽電池素子の非受光面側に積層されてなる接合部材を備える太陽電池モジュールであって、前記太陽電池素子が受光面側素子と非受光面側素子とからなり、前記受光面側素子からスルーホールを経て非受光面側に形成される負電極と、前記非受光面側素子上に形成される正電極と、を備え、前記太陽電池用集電シートの前記導通凹部には導電性材料が充填されており、前記負電極と、前記第1導通凹部内の導電性材料とが導通するように接合され、前記正電極と、前記第2導通凹部内の導電性材料とが導通するように接合されている太陽電池モジュールである。
本発明によれば、バックコンタクト型の太陽電池素子に接合される太陽電池用集電シートであって、P極である非受光面側素子とN電極に対応する配線部との間の短絡を確実に防止しうるとともに、太陽電子素子等への、外部からの衝撃を充分に緩和することのできる太陽電池用集電シート及びその製造方法が提供される。
スルーホールを有するバックコンタクト型の太陽電池素子を模式的に表した斜視図である。 図1のX−X線に沿う断面図である。 太陽電池素子と本発明の太陽電池用集電シートの接合部材を模式的に表した斜視図である。 図3のY−Y線に沿う断面図である。 図4の接合部材を太陽電池素子と太陽電池用集電シートに分離した図である。
以下、本発明の太陽電池用集電シートの一実施形態、本発明の太陽電池用集電シートの製造方法の一実施態様、について説明する。
まず、図1、図2を参照しながら本発明の太陽電池用集電シートの一実施形態において用いられる、スルーホールを有するバックコンタクト型の太陽電池素子1について説明する。図1は、太陽電池素子1を模式的に表した斜視図である。図2は、図1のX−X線に沿う断面図である。
本実施形態において用いられる太陽電池素子1は、上下に積層されるN極の受光面側素子11とP極の非受光面側素子12とからなり、受光面側素子11と非受光面側素子を貫通する複数のスルーホール13と、受光面側素子11からスルーホール13を経て非受光面側に形成される負電極41と、非受光面側素子上に形成される正電極42とを備える。
本実施形態において用いられるスルーホール13を有するバックコンタクト型の太陽電池素子1の例として、メタルラップスルー(MWT)方式やエミッタラップスルー(EWT)方式の太陽電池素子が挙げられる。MWT方式の太陽電池素子とは、太陽電池素子1の、スルーホール13内に銀ペースト14等の金属を充填し、金属を通して受光面で集めた電力を非受光面側の負電極41より取り出す構造の太陽電池素子をいう。EWT方式の太陽電池素子とは、太陽電池素子1のスルーホール13の内壁に拡散層を設け、拡散層を通して受光面で集めた電力を非受光面側の負電極41より取り出す構造の太陽電池素子をいう。
図3から図5を参照しながら、本発明の太陽電池用集電シート2の実施形態について説明する。図3は、スルーホール13を有するバックコンタクト型の太陽電池素子1と本発明の太陽電池用集電シート2の接合部材3を模式的に表した斜視図である。図4は、図3のY−Y線に沿う断面図である。図5は図4の接合部材3を太陽電池素子1と太陽電池用集電シート2に分離した図である。
<太陽電池用集電シート>
本実施形態の太陽電池用集電シート2は、樹脂基材21と、回路22と、絶縁層231と封止材層232とからなる複合層23と、複合層23の一部に形成された導通凹部24と、を備える。樹脂基材21の表面に例えば銅等の金属からなる配線部221と、非配線部222からなる回路22が形成されている。そして、回路22を覆って絶縁層231が形成され、絶縁層231の上面に封止材層232が形成されている。また封止材層232の上部表面から、絶縁層231を通じて、回路22の上部表面まで貫通する導通凹部24が形成されている。
樹脂基材21は、シート状に成型された樹脂である。ここで、シート状とはフィルム状を含む概念であり、本発明において両者に差はない。樹脂基材21を構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリ塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂、各種のナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリールフタレート系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系等が例示される。
樹脂基材21の厚さは、太陽電池用集電シート2に要求される強度や薄さ等に応じて適宜設定すればよい。樹脂基材21の厚さは、特に限定されないが、一例として20〜250μmが挙げられる。
回路22は、所望の配線形状となるように太陽電池用集電シート2の表面に形成された電気配線である。回路22の配線部221は、例えば銅等の金属からなる層である。回路22を樹脂基材21の表面に形成するためには、樹脂基材21の表面に銅箔を接合させ、その後、エッチング処理等によりその銅箔をパターニングする方法が例示される。
回路22の厚さは、太陽電池用集電シート2に要求される耐電流の大きさ等に応じて適宜設定すればよい。回路22の厚さは、特に限定されないが、一例として10〜50μmが挙げられる。
図4に示すように、導通凹部24は、太陽電池素子1と太陽電池用集電シート2の接合時において、太陽電池素子1の負電極41の直下に形成される第1導通凹部241と、太陽電池素子1の正電極42の直下に形成される第2導通凹部242とからなる。第1導通凹部241は太陽電池素子の上面側から見た平面視における形状及び面積がスルーホール13と略同一であり、封止材層232の上面部から絶縁層231を通じて配線部221の上面まで貫通する孔である。一方、第2導通凹部242は同じく封止材層232の上面部から絶縁層231を通じて配線部221の上面まで貫通する孔であるが、その形状及び面積は、正電極42と接合されればよく、正電極42の形状位置に応じて適宜設計される。
太陽電池素子1と太陽電池用集電シート2の接合時において、第1導通凹部241は負電極41を間に挟んで対応するスルーホール13と上下に重なる位置に形成され、また第2導通凹部242は正電極42を間に挟んで対応するスルーホール13と上下に重なる位置に形成される。第1導通凹部241と第2導通凹部242の空間部分には、銀粒子とエボキシを混合した導電性材料25が充填されている。
図4に示すように、絶縁層231は、回路22上に、導通凹部24が占める場所を除いて形成される。封止材層232を備えない従来の太陽電池用集電シートにおいては、上記の短絡を防ぐために、絶縁層には、超絶縁計(日置電機株式会社製:型番SM−8215)を用いて、JIS C6481で測定した体積抵抗値が10Ω以上、好ましくは1011Ω以上であることが求められていた。しかし、本実施例においては、絶縁層231と封止材層232とを一体とし、複合層23として抵抗値を計測した場合の抵抗値が、上記体積抵抗値の条件を満たせば、上記の短絡を防ぐことができる。
そのため、本実施例においては、絶縁層231を形成するための絶縁剤として、従来から広く用いられている絶縁性の極めて高いエポキシ−フェノール系インキ等の熱硬化性絶縁インキに替えて、コート剤として紫外線硬化型絶縁剤を好適に用いることができる。紫外線硬化型絶縁コート剤は、単独で絶縁層を形成した場合の絶縁性において、熱硬化性絶縁インキに劣る。しかし、紫外線硬化型絶縁コート剤を用いた絶縁層であっても、その上に封止材層232を積層して複合層23とする構成にすることで、充分な絶縁性を得ることが可能となった。
なお、熱硬化性絶縁インキに替えて、紫外線硬化型絶縁コート剤を用いることにより、後述する絶縁層形成時のインキのキュア温度を低温に抑えることができる。これにより、ガラス転移温度が100℃以下である経済性に優れたポリエチレンテレフタレート(PET)等を樹脂基材21として使用することができる。また工程として、紫外線硬化の方が熱硬化よりも経済性に優れる。よって、絶縁層231を形成するための絶縁剤として、紫外線硬化型絶縁コート剤を用いることにより、太陽電池用集電シート又は太陽電池モジュールの生産性を高めることができる。
絶縁層231の厚さは5μm以上〜25μm以下が好ましい。5μm未満であると、封止材層を積層したとしても絶縁性が不十分となるので好ましくなく、25μmを越えてもそれ以上の効果が得られず、むしろ導通凹部24のパターン形成が困難となり、また不経済であるので好ましくない。
図4に示すように、封止材層232は、絶縁層231上に導通凹部24が占める場所を除いて形成される。すなわち、本発明において、導通凹部24は、絶縁層231の未形成部によってできる凹部と、その上の封止材層232に形成される孔部とが連通することによって形成されている。
封止材層232を形成する封止材としては、従来公知の太陽電池モジュールに用いられる封止材が適用可能であり、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)、アイオノマー、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリエチレン等のオレフィン系封止材等を用いることができる。
これらの封止材からなる封止材層232は、いずれも、その従来公知の特性である衝撃緩和特性によって、外部からの衝撃を充分に緩和することができる。
そのような効果に加えて、本実施例における封止材層232は、絶縁層231と積層されて複合層23を形成することによって、絶縁層231が単独で配置された場合と比較して、複合層23全体としては、より高い絶縁性を発揮するという従来の太陽電池用集電シートにおける封止材には要求されていなかった新しい効果をもたらすことができる。
封止材層232の厚さは100μm以上〜600μm以下が好ましい。100μm未満であると、充分に衝撃を緩和することができず、また絶縁性を高める効果も不十分となるので好ましくなく、600μmを越えてもそれ以上の効果が得られず、むしろ導通凹部24のパターン形成が困難となり、また不経済であるので好ましくない。
<太陽電池用集電シートの製造方法>
本実施態様の太陽電池用集電シート2の製造方法では、まず樹脂基材21の表面に、銅等の金属からなる導電層が積層された積層シートが使用される。この積層シートに対して、エッチング工程及び剥離工程を施すことにより、太陽電池用集電シート2上に回路22が形成される。更に回路22が形成された積層シートに対して、絶縁コーティング工程を施すことにより、回路22上に絶縁層231が形成され、そして、絶縁層231に積層する形で封止材コーティング工程を施すことにより、絶縁層231上に封止材層232が形成される。以下、エッチング工程、剥離工程、絶縁コーティング、及び封止材コーティング工程について説明する。
[エッチング工程]
まず、エッチング工程について説明する。この工程は、所望の回路22の形状にパターニングされたエッチングマスク(図示せず)を上記の積層シートの表面に作製した後でエッチング処理を行うことにより、エッチングマスクに覆われていない箇所における導電層を除去する工程である。
既に説明したように、この工程で使用される積層シートは、樹脂基材21の表面に銅等の金属からなる導電層が形成されたものである。樹脂基材21の表面に銅等の金属からなる導電層を形成させる方法については、銅箔を接着剤によって樹脂基材21の表面に接着する方法、樹脂基材21の表面に銅箔を蒸着させる方法等が例示されるが、コストの面からは、銅箔を接着剤によって樹脂基材21の表面に接着する方法が有利である。中でも、ウレタン系、ポリカーボネート系、エポキシ系等の接着剤を使用したドライラミネート法によって銅箔を樹脂基材21の表面に接着する方法が好ましい。
この工程では、まず、上記の積層シートの表面(すなわち上記の導電層の表面)に所望の配線部221の形状にパターニングされたエッチングマスク(図示せず)が作製される。エッチングマスクは、エッチング工程において、将来配線部221となる導電層が浸漬液による腐食を免れるために設けられる。このようなエッチングマスクを形成する方法は特に限定されず、例えば、フォトレジスト又はドライフィルムをフォトマスクを通して感光させた後で現像することにより積層シートの表面にエッチングマスクを形成してもよいし、インクジェットプリンター等の印刷技術により積層シートの表面にエッチングマスクを形成してもよい。エッチングマスクは、後に説明する剥離工程において、アルカリ性の剥離液で剥離できることが必要である。このような観点からは、フォトレジスト又はドライフィルムを使用してエッチングマスクを作製することが好ましい。
次に、エッチング工程におけるエッチング処理について説明する。この処理は、エッチングマスクに覆われていない箇所における導電層を浸漬液により除去する処理である。この処理を経ることにより、導電層のうち、配線部221となる箇所以外の部分が除去されるので、樹脂基材21の表面には、所望とする配線部221の形状に導電層が残ることになる。
[剥離工程]
次に、剥離工程でアルカリ性の剥離液を使用して、エッチングマスクを除去する。この工程を経ることにより、エッチングマスクが配線部221の表面から除去される。剥離工程で使用されるアルカリ性の剥離液としては、例えば、所定濃度の苛性ソーダの水溶液が挙げられる。
[絶縁コーティング工程]
絶縁コーティングは、光及び又は熱硬化型絶縁コート剤を用いる方法によって行うことができる。
具体的には、紫外線硬化型絶縁コート剤を回路22の配線部221及び非配線部222のうち導通凹部24を除いた部分を覆って塗布した後、これを紫外線の照射により硬化させることにより絶縁コーティングを行う。この場合には、アクリル系等の紫外線硬化型絶縁コート剤を好適に用いることができる。
また、絶縁コーティングは、エポキシ−フェノール系インキ等の熱硬化性絶縁インキ等他の従来公知の絶縁剤を用いる方法によっても行うことができる。
[封止材積層工程]
封止材層232の形成方法は特に限定されないが、例えば、封止材をシート状に形成後、導通凹部24を形成する位置にあらかじめパンチング等で貫通孔を形成し、その後に絶縁層231によって形成された凹部と貫通孔とが重なるように積層することで回路22上に貫通する導通凹部24を形成できる。
<太陽電池モジュールの製造方法>
次に本発明の一実施形態である太陽電池用集電シート2と太陽電池素子1を接合した接合部材3とを備える太陽電池モジュールの製造方法について説明する。
図5に示すように、太陽電池用集電シート2、太陽電池素子1及び他の部材の一体化の工程の前に、まず太陽電池用集電シート2の導通凹部24に導電性材料25を充填する。この導電性材料25は、例えば銀とエポキシを混合した導電性ペーストが例示できる。これにより、導通凹部24は、配線部221が底面で露出するように形成されているため、導電性材料25と配線部221とが導通する。より具体的には図5において、配線部221とP極に接続される第1導通凹部241と、配線部221とN極に接続される第2導通凹部242とが、それぞれ複合層23によって別個に導通される。
一方の太陽電池素子1側は、図5に示すMWT方式の太陽電池素子か或いは、EWT方式の太陽電池素子等のバックコンタクト型の太陽電池素子が用いられる。MWT方式の太陽電池素子の場合はスルーホール13には、図5に示すように銀ペースト14が充填されている。
次に太陽電池用集電シート2、太陽電池素子1、及び、図示しない裏面保護シート等の他の部材を積層して一体化する。この一体化の方法としては真空熱ラミネート加工により一体化する方法が挙げられる。上記方法を用いた際のラミネート温度は、130℃〜190℃の範囲内とすることが好ましい。また、ラミネート時間は、5〜60分の範囲内が好ましく、特に8〜40分の範囲内が好ましい。
この一体化の過程において、太陽電池用集電シート2の樹脂基材21は、太陽電池モジュールとして他の部材と強固に一体化されているため、太陽電池用集電シート2の基材樹脂のTg以上で加熱しても熱による収縮、変形の問題が生じない。
上記の一体化によって、図4に示すように、負電極41から取り出された電気はスルーホール13内の銀ペースト14を経て、更に第1導通凹部241内の導電性材料25を介して対応する配線部221に伝導される。また、正電極42から取り出された電気は第2導通凹部242内の導電性材料25を介して対応する配線部221に伝導可能となる。
<太陽電池用集電シートの他の実施例>
太陽電池用集電シート2は、上記の通り、太陽電池素子1の他、他の部材と一体化する工程を経て、太陽電池モジュールとなるが、その工程に先だって、樹脂基材21の裏面側にあらかじめ別のETFE、耐加水分解PET等の裏面保護シート(図示せず)を一体化することにより、太陽電池モジュールの製造に用いる裏面保護シート一体化太陽電池用集電シートとすることも可能である。
上記の裏面保護シート一体化太陽電池用集電シートを作成するには、樹脂基材21の裏面側に裏面保護シートをドライラミネーション法によって積層する。
以上の通り、本発明の太陽電池用集電シート2は、太陽電池素子1と接合した際に、P極である非受光面側素子12と負電極41の間を絶縁することができ、且つ、外部からの太陽電池素子1等への衝撃を緩和することのできる絶縁層231及び封止材層232を備えており、太陽電池素子1からの電気の取り出しに、この太陽電池用集電シート2を用いることにより、P極である非受光面側素子12とN電極に対応する配線部221との間の短絡を防ぐことができ、また、同時に、外部からの衝撃より太陽電池素子等を適切に保護することができる。
1 太陽電池素子
13 スルーホール
2 太陽電池用集電シート
21 樹脂基材
22 回路
23 複合層
231 絶縁層
232 封止材層
24 導通凹部
3 太陽電池素子と太陽電池用集電シートとの接合部材
4 電極
41 負電極
42 正電極

Claims (5)

  1. 太陽電池モジュールにおける内部配線用としてバックコンタクト型の太陽電池素子の裏面側に配置され、
    ガラス転移温度が100℃以下の樹脂基材の表面に形成され、金属からなる配線部と非配線部とからなる回路と、
    前記回路上に形成される絶縁層と、当該絶縁層上に形成される封止材層と、を備え、
    前記配線部上の絶縁層及び封止材層には、当該絶縁層及び封止材層を介して、前記太陽電池素子の非受光面側の電極と、これに対応する前記配線部とを導通するために前記配線部が露出する導通凹部が形成されていて、
    前記封止材層は、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)、アイオノマー、ポリビニルブチラール(PVB)、及びポリエチレン系樹脂のうちから選ばれる一又は複数の樹脂を用いてなる樹脂シートであって、
    前記絶縁層が、紫外線硬化型絶縁層であって、
    前記絶縁層のJIS C6481で測定した体積抵抗値が、10Ω未満であり、
    前記絶縁層と前記封止材層とを、一体化された複合層として測定した場合の前記体積抵抗値が、10Ω以上である太陽電池用集電シート。
  2. 前記導通凹部として、
    前記太陽電池素子の受光面側素子からスルーホールを経て非受光面側に形成される負電極位置に対応する第1導通凹部と、
    前記太陽電池素子の非受光面側素子の正電極位置に対応する第2導通凹部と、
    を備える請求項1記載の太陽電池用集電シート。
  3. 前記樹脂基材の裏面側に裏面保護シートが一体化されている請求項1又は2記載の太陽電池用集電シート。
  4. 請求項1から3いずれか記載の太陽電池用集電シートの製造方法であって、
    樹脂基材の表面に金属箔を積層した後に、前記金属箔をエッチングして回路を形成する工程と、
    前記配線部及び非配線部の前記導通凹部以外に前記絶縁層をパターン形成する工程と、
    前記封止材層に前記導通凹部を構成する貫通孔を形成して前記封止材層を前記絶縁層上に積層する工程と、
    を備える太陽電池用集電シートの製造方法。
  5. 請求項2から3いずれか記載の太陽電池用集電シートが、バックコンタクト方式の太陽電池素子の非受光面側に積層されてなる接合部材を備える太陽電池モジュールであって、
    前記太陽電池素子が受光面側素子と非受光面側素子とからなり、前記受光面側素子からスルーホールを経て非受光面側に形成される負電極と、前記非受光面側素子上に形成される正電極と、を備え、
    前記太陽電池用集電シートの前記導通凹部には導電性材料が充填されており、
    前記負電極と、前記第1導通凹部内の導電性材料とが導通するように接合され、
    前記正電極と、前記第2導通凹部内の導電性材料とが導通するように接合されている太陽電池モジュール。
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