以下、図面を参照しつつ、本発明に係るシート設置装置及びシート設置方法の一実施形態について説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いる場合があり、重複する説明は省略する。
まず、本実施形態に係るシート設置装置及びシート設置方法が適用されるセントルの概要について説明する。図1は、シート設置装置及びシート設置方法が適用されるセントルを例示する断面図である。図2は、図1に示すセントルの型枠部材を折り畳んだ状態を示す概略図である。
トンネル覆工コンクリートは、トンネル内の打設空間に構築されるコンクリート構造物である。トンネルは、地山の一部をトンネル軸方向に掘削して形成される。図1に示されるように、トンネル50は、トンネル覆工コンクリート51が構築される内壁面50sを備えている。また、トンネル50の内部には、トンネル覆工コンクリート51を構築するためのセントル(型枠)60が設置されている。セントル60は、例えば鋼製である。セントル60は、トンネル50内に設置された状態において、トンネル軸方向を延在方向とする外周面60sを備えている。
内壁面50sは、地山の掘削面に、支保工及び金網が設置された後、吹付モルタルが吹き付けられて形成されている。また、内壁面50sは、地山にロックボルトが打ち込まれることにより、アーチ状に支持されていることもある。このように、内壁面50sは、NATM(New Austrian Tunneling Method)工法などによって形成されている。内壁面50sの下部にはインバートコンクリートGが構築されており、内壁面50sの下部は平坦または大きな曲率に形成されている。
セントル60は、インバートコンクリートG上に設置されている。セントル60は、トンネル50内において、トンネル軸方向に所定長さで延在している。セントル60は、セントル60の外周面60sとトンネル50の内壁面50sとが対向するように、トンネル50の内壁面50sに沿ってアーチ状に湾曲して形成されている。セントル60の内部には格子状のフレーム53が組み立てられ、セントル60はこのフレーム53によってインバートコンクリートG上に支持されている。
トンネル覆工コンクリート51は、掘削の進行に合わせて順次構築される。トンネル覆工コンクリート51は、例えば、セントル60のトンネル軸方向における長さを1ブロックとして、ブロック単位で順次構築される。
セントル60の頂部には、打設空間52のうち天端部空間52AにコンクリートCを打設するための注入孔54が設けられている。また、セントル60の側部には、打設空間52のうち天端部空間52Aを除いた下部空間52BにコンクリートCを打設するための複数の投入孔(不図示)が設けられている。注入孔54及び投入孔は、セントル60の内部からセントル60の外周面60sに板厚方向に貫通して形成されている。注入孔54から天端部空間52Aに打設されたコンクリートCにより、トンネル覆工コンクリート51のクラウン部が構築される。また、投入孔23から下部空間52Bに打設されたコンクリートCにより、トンネル覆工コンクリート51の側部が構築される。
図2に示されるように、セントル60は、複数の湾曲した型枠部材61,62を備えている。複数の型枠部材61,62は、トンネル50の内壁面50sに沿って配列されている。型枠部材61は、トンネル50の内壁面50sの上側に対向するように配置されている。型枠部材62は、型枠部材61の両端側に配置されている。型枠部材62の打設面(曲面)63は、中心軸L1を軸とする曲面をなしている。中心軸L1は、打設面63を円弧面と見なした場合における当該円弧の中心軸に相当し、トンネル軸方向に略平行となる方向に延びている。セントル60がトンネル軸方向に沿って所定長さで延在しているため、型枠部材62の打設面63は、中心軸L1を軸とする円柱面の一部に相当する。型枠部材62は、中心軸L1方向を長手方向として所定長さで延在している。つまり、打設面63の中心軸L1方向と、型枠部材62の長手方向と、が一致している。
型枠部材62は、型枠部材61と隣り合う箇所において、型枠部材61に対して回動可能に接続されている。型枠部材62は、フレーム53に設けられたジャッキ(不図示)が接続されている。型枠部材62は、このジャッキによって型枠部材61に対して折り畳み可能とされている。
ここで、例えば型枠部材62の打設面63におけるコンクリートCに表面気泡が発生することを抑制するために、型枠部材62の打設面63にシート部材を設置する場合がある。この場合、型枠部材62を折り畳んだ状態でシート部材を設置するため、下側を向いた打設面63に対して、上側へシート部材の設置をすることが要される。
次に、一実施形態に係るシート設置装置の構成について説明する。図3は、一実施形態に係るシート設置装置1の側面図である。図4は、図3のIV-IV線に沿ってのシート設置装置1の断面図である。
図3及び図4に示されるように、シート設置装置1は、セントル60の型枠部材62に対してシート部材Sを設置するために用いられる。シート部材Sは、ロールRに巻き回された状態でシート設置装置1に装着され、型枠部材62に対して設置される際にロールRから引き出される。シート設置装置1は、引き出されたシート部材Sを連続的に型枠部材62に設置可能に構成されている。すなわち、シート設置装置1は、ロールRから引き出されたシート部材Sと、型枠部材62におけるシート部材Sの貼付け面64(以下、単に「貼付け面64」とも称する)との位置関係が、略平行な位置関係とすることが可能となるように構成され、且つ、この位置関係を保った状態でロールRが型枠部材62の打設面63の軸方向(中心軸L1方向)又は型枠部材62の長手方向に移動可能となるように構成されている。
貼付け面64は、打設面63の幅方向(打設面63の軸方向に直交する方向)における中央部で打設面63に接する接面である(図4参照)。「シート部材S(又はロールRの中心軸L2)と貼付け面64とが略平行」には、シート部材S(又は中心軸L2)が貼付け面64に対して平行な状態だけでなく、シート部材S(又は中心軸L2)が貼付け面64に対して平行な状態から所定の角度範囲内で傾斜している状態も含まれる。所定の角度範囲内は、貼付け面64に対して傾斜している状態のシート部材Sを型枠部材62に設置したとしてもシート部材Sにシワが発生しないような傾斜角度の範囲である。
なお、図3〜5には、直交座標系が示されている。直交座標系のX方向は打設面63の中心軸L1方向を示し、Y方向は、中心軸L1方向に対して略直交する方向であって型枠部材62におけるシート部材Sの貼付け面64に対して略平行な方向を示し、Z方向は、中心軸L1方向に対して略直交する方向であって型枠部材62におけるシート部材Sの貼付け面64に対して略直交する方向を示す。
シート設置装置1は、セントル60に対して着脱可能に取り付けられる案内部10と、案内部10によって案内される移動支持部20と、移動支持部20によって支持されると共にロールRを支持する本体部30と、を備える。
案内部10は、固定治具11と、固定治具11のそれぞれに設けられた調整部12と、調整部12によって支持される長尺のレール部13(第1レール14及び第2レール15)と、を有する。固定治具11は、一例としてマグネット治具であり、鋼製のセントル60に対して着脱可能である。固定治具11は、セントル60に対する固定治具11の着脱を容易とするために、セントル60に対する着脱を切り替えるスイッチを有することが好ましい。なお、以下の説明において「第1レール14及び第2レール15」を特に区別することを要しない場合、「第1レール14及び第2レール15」を「レール部13」と略記することがある。
固定治具11は、例えば、第1レール14に対して複数設けられ、第2レール15に対して複数設けられている。固定治具11は、第1レール14の長手方向の両端側に少なくとも1つずつ設けられている。固定治具11は、第2レール15の長手方向の両端側に少なくとも1つずつ設けられている。よって、第1レール14における複数の固定治具11のセントル60に対する取付位置を調整することで、第1レール14の延在方向を調整することができる。同様に、第2レール15における複数の固定治具11のセントル60に対する取付位置を調整することで、第2レール15の延在方向を調整することができる。
案内部10は、打設面63の中心軸L1方向に沿うようにセントル60に対して取り付けられている。案内部10では、レール部13の長手方向L3が、打設面63の中心軸L1方向に沿うように、セントル60に対して固定治具11が取り付けられる。具体的には、第1レール14の長手方向が打設面63の中心軸L1方向に沿う状態で、セントル60に対して固定治具11が取り付けられる。同様に、第2レール15の長手方向が打設面63の中心軸L1方向に沿う状態で、セントル60に対して固定治具11が取り付けられる。
調整部12は、固定治具11と本体部30との間に介在し、固定治具11に対する本体部30の姿勢を調整する。調整部12は、一例として、固定治具11に接続される接続部12aと、レール部13に接続される接続部12cと、接続部12a及び接続部12cを連結する関節部12bと、を有するユニバーサルジョイントである。接続部12a及び接続部12cは、例えば金属製の棒材である。接続部12a及び接続部12cは、その長さが調整可能となっている。これにより、固定治具11からレール部13までの長さを調整することができ、本体部30の姿勢を調整することができる。関節部12bは、当該関節部12bを間に挟んだ接続部12a及び接続部12cの接合する角度を自由に変化させ得る自在継手である。関節部12bとしては、例えば、十字型や球を用いたもの等を採用することができる。
本実施形態では、固定治具11が調整部12を介してレール部13を懸架している。具体的には、接続部12cは、固定治具11及び接続部12aに対して関節部12bを介して重力方向(図4の図示上下方向)の下方側に吊り下げられている。よって、例えばセントル60に対する固定治具11の取付位置及び角度が変化したとしても、接続部12cの方向は、重力により重力方向下方側に沿う方向に自動的に変化する。
レール部13は、移動支持部20を案内する方向を、その長手方向L3に規定する。レール部13は、長尺の第1レール14と、長尺の第2レール15と、を有する。第1レール14は、貼付け面64の一方64a側に配置されている。第2レール15は、貼付け面64の他方64b側に配置されている。つまり、第1レール14及び第2レール15は、Y方向において貼付け面64を挟むように配置されており、第1レール14と第2レール15との間には、シート部材Sの幅(ロールRの中心軸L2方向の長さ)よりも幅広な空間が形成されている。この空間は、Z方向においては、型枠部材62と本体部30との間に介在する。第1レール14及び第2レール15の長手方向L3に沿う長さは、例えば、打設面63の中心軸L1に沿う型枠部材62の延在長さ(つまり、セントル60の延在長さ)と略同等である。
第1レール14は、例えば断面C型の鋼材によって構成されている。第1レール14は、上面14aと、上面14aに対向する下面14bと、上面14a及び下面14bの幅方向両端部を接続する一対の側面14cと、を有する。上面14aには、貼付け面64の一方64a側に配置された調整部12の接続部12cが接合されている。
上面14aの幅は、第1滑車部21(後述)の幅よりも大きい幅を有する。下面14bの幅は、第1滑車部21の幅よりも大きい幅を有する。下面14bには、第1滑車部21の吊下部21cの太さよりも大きい開口幅を有する溝14dが形成されている。一対の側面14cは、車輪21aの直径よりも大きい高さを有する。第1レール14の長手方向の端部は、少なくとも一方が開放端となっている。したがって、第1レール14の内部には、第1レール14の開放端となっている長手方向端部から第1滑車部21が進入可能となっている。
第2レール15は、第1レール14と同様に、例えば断面C型の鋼材によって構成されている。第2レール15は、上面15aと、上面15aに対向する下面15bと、上面15a及び下面15bの幅方向両端部を接続する一対の側面15cと、を有する。上面15aには、貼付け面64の他方64b側に配置された調整部12の接続部12cが接合されている。
上面15aの幅は、第2滑車部22(後述)の幅よりも大きい幅を有する。下面15bの幅は、第2滑車部22の幅よりも大きい幅を有する。下面15bには、第2滑車部22の吊下部22cの太さよりも大きい開口幅を有する溝15dが形成されている。一対の側面15cは、車輪22aの直径よりも大きい高さを有する。第2レール15の長手方向の端部は、少なくとも一方が開放端となっている。したがって、第2レール15の内部には、第2レール15の開放端となっている長手方向端部から第2滑車部22が進入可能となっている。
移動支持部20は、案内部10のレール部13によって案内されることで、本体部30をレール部13の長手方向L3に沿って移動可能に支持する。移動支持部20は、第1レール14によって案内される複数の第1滑車部21と、第2レール15によって案内される複数の第2滑車部22と、を有する。移動支持部20は、例えば、第1滑車部21及び第2滑車部22をそれぞれ2個有する。
第1滑車部21は、一対の車輪21aと、各車輪21aを回転可能に支持する軸21bと、軸21bの軸方向中心部から軸21bに直交するように延びる吊下部21cと、を有する。吊下部21cは、本体部30の横材31(後述)に接合されている。
第1滑車部21が第1レール14の内部に配置された際、一対の車輪21aは、第1レール14の下面14bの裏側を走行する。吊下部21cは、第1レール14の溝14dを介して第1レール14の外側に延び、第1レール14と本体部30とが干渉しない程度の長さを有している。つまり、第1滑車部21は、一方64a側において本体部30を支持している。
第2滑車部22は、一対の車輪22aと、各車輪22aを回転可能に支持する軸22bと、軸22bの軸方向中心部から軸22bに直交するように延びる吊下部22cと、を有する。吊下部22cは、本体部30の横材32(後述)に接合されている。
第2滑車部22が第2レール15の内部に配置された際、一対の車輪22aは、第2レール15の下面15bの裏側を走行する。吊下部22cは、第2レール15の溝15dを介して第2レール15の外側に延び、第2レール15と本体部30とが干渉しない程度の長さを有している。つまり、第2滑車部22は、他方64b側において本体部30を支持している。
本体部30は、ロールRを支持する構造体であり、例えば鋼製パイプで構成されたフレーム体である。本体部30は、横材31,32と、横材31,32に架け渡されたガイド部材33と、ガイド部材33の両端側において固定された一対の縦材34,35と、ガイド部材33と略平行となるように縦材34,35に架け渡されたロール支持部36と、を有する。横材31,32及びガイド部材33は、例えば直交クランプ等で緊結されている。ガイド部材33及び縦材34,35は、例えば自在クランプ等で緊結されている。縦材34,35及びロール支持部36は、例えば自在クランプ等で緊結されている。
横材31,32は、例えば丸パイプであり、シート部材Sの幅よりも大きく離間して略平行に配置されている。横材31には、複数の第1滑車部21の吊下部21cが、互いに同じ方向(径方向)に延びるように接合されている。横材32には、複数の第2滑車部22の吊下部22cが、互いに同じ方向(径方向)に延びるように接合されている。横材31,32は、吊下部21c,22cが略平行となるように、ガイド部材33によって互いに緊結されている。
横材31は、第1滑車部21が第1レール14内に配置されることにより、吊下部21cを介して第1滑車部21によって支持され、第1レール14の長手方向に沿って移動可能に構成される。同様に、横材32は、第2滑車部22が第2レール15内に配置されることにより、吊下部22cを介して第2滑車部22によって支持され、第2レール15の長手方向に沿って移動可能に構成される。すなわち、横材31,32は、レール部13の長手方向L3に沿って延びることとなる。
ガイド部材33は、横材31,32の略中央部において横材31,32と直交するように架け渡されている。ガイド部材33は、例えば丸パイプである。ガイド部材33は、ロールRから引き出されたシート部材Sを、その長手方向を変更するように案内する。このとき、ガイド部材33には、例えばロールRから引き出されたシート部材Sが摺接する。これにより、ガイド部材33は、シート部材Sに張力を与える。ガイド部材33に摺接するシート部材Sの面は、表面(型枠部材62に貼り付けられる面)であってもよく、背面(型枠部材62に貼り付けられる面とは反対側の面)であってもよい。本実施形態では、ガイド部材33には、シート部材Sの表面が摺接する。
縦材34,35は、ガイド部材33の両端側において、横材31,32の長手方向に直交すると共に横材31,32に接合された吊下部21c,22cと略平行となるようにガイド部材33に緊結されている。縦材34,35は、例えば角パイプである。
ロール支持部36は、ロールRを中心軸L2周りに回転可能に支持する。ロール支持部36は、縦材34,35におけるガイド部材33との固定箇所とは反対側において、ガイド部材33と略平行となるように架け渡されている。ロール支持部36は、例えば丸パイプである。
横材31,32にガイド部材33が略直交し、ガイド部材33とロール支持部36とが略平行であることから、ロール支持部36は、横材31,32に略直交する。よって、第1滑車部21が第1レール14内に配置され、且つ第2滑車部22が第2レール15内に配置されることにより、ロール支持部36は、レール部13の長手方向L3に略直交する方向に延びることとなる。
ローラ部40は、ロールRから引き出されたシート部材Sを型枠部材62に対して押さえ付ける。ローラ部40は、横材31,32に架け渡された基部41と、基部41によって揺動可能に支持されたアーム42と、アーム42の先端側に回転可能に支持されたローラ43と、を有する。基部41は、Y方向を軸として回動するようにアーム42を揺動させる。基部41は、例えばバネ等により、アーム42を横材31,32とは反対側に付勢する。よって、ローラ43は、アーム42を介して型枠部材62方向に付勢される。なお、図4では、基部41及びアーム42の図示を省略している。
噴射装置45は、ロールRから引き出されたシート部材Sに対して接着剤を噴射する。噴射装置45は、ガイド部材33と対向するように横材31,32に架け渡されている。本実施形態では、ロールRに巻き回されたシート部材Sには、予め接着剤が塗布されていない。そこで、噴射装置45は、ガイド部材33によって案内されているシート部材Sの表面に、接着剤を噴射する。噴射装置45は、例えばエア源(不図示)等を動力として、接着剤を噴射してもよい。
以上のように構成されたシート設置装置1では、第1滑車部21が第1レール14内に配置され、且つ第2滑車部22が第2レール15内に配置されることにより、ガイド部材33は、型枠部材62の打設面63の幅方向に沿う方向に延在することとなる。ここで、調整部12の接続部12a及び接続部12cの長さを調整し、本体部30の姿勢を調整することにより、ガイド部材33は、貼付け面64に対して略平行な方向に延在することができる。このとき、ロール支持部36は、ガイド部材33と略平行であるため、ロールRの中心軸L2方向が、長手方向L3に対して略直交する方向であって貼付け面64に対して略平行な方向となるようにロールRを支持することとなる。
また、ガイド部材33は、貼付け面64とロール支持部36との間においてロールRの中心軸L2方向に略平行な方向に延びている。よって、ガイド部材33に案内されたシート部材Sの幅方向は、ロールRの中心軸L2方向に略平行な方向(すなわち、貼付け面64に対して略平行な方向)に沿うこととなる。
次に、シート設置装置1を用いて実行されるシート設置方法について、図5を参照して説明する。図5は、シート設置装置1を用いて実行されるシート設置方法を示すフローチャートである。
このシート設置方法では、始めに、長尺のレール部13を有する案内部10と、レール部13によって案内される移動支持部20と、シート部材Sが巻き回されたロールRを回転可能に支持するロール支持部36を有する本体部30と、を準備する準備工程を実行する(S1)。
続いて、案内部10をセントル60に対して着脱可能に且つレール部13が打設面63の中心軸L1方向に沿うように取り付けると共に、移動支持部20で本体部30を支持する本体設置工程を実行する(S2)。図4の例では、一方64a側において固定治具11を型枠部材61の端部側面に取り付けて、当該固定治具11で調整部12を介して第1レール14を吊り下げる。他方64b側において固定治具11を型枠部材62の端面に取り付けて、当該固定治具11で調整部12を介して第2レール15を吊り下げる。第1レール14の内部に第1滑車部21を配置し、第2レール15の内部に第2滑車部22を配置する。第1滑車部21及び第2滑車部22で本体部30を支持する。これにより、本体部30がレール部13の長手方向L3に沿って移動可能となる。
続いて、ロールRの中心軸L2方向が、レール部13の長手方向L3に対して略直交する方向であって型枠部材62におけるシート部材Sの貼付け面64に対して略平行な方向となるように、ロール支持部36でロールRを支持するロール設置工程を実行する(S3)。続いて、ロールRからシート部材Sを引き出し、引き出したシート部材Sを型枠部材62に対して設置するシート設置工程を実行する(S4)。
以上説明したように、シート設置装置1、及びシート設置装置1において実行されるシート設置方法によれば、ロールRの中心軸L2方向が、レール部13の長手方向L3に対して略直交する方向であって型枠部材62におけるシート部材Sの貼付け面64に対して略平行な方向となるように、ロールRが本体部30のロール支持部36によって支持されている。よって、ロールRからシート部材Sを引き出すと、少なくともロールRの中心軸L2方向における貼付け面64に対するシート部材Sの傾きが抑制された状態で、レール部13の長手方向L3に沿ってシート部材Sが引き出される。また、本体部30を支持する移動支持部20がレール部13によって型枠部材62の打設面63の中心軸L1方向に沿う方向に案内される。よって、打設面63の中心軸L1方向に沿う方向に本体部30が移動可能となる。したがって、例えば、打設面63の中心軸L1方向に沿う方向に本体部30を移動させながらロールRから引き出したシート部材Sを貼付け面64に沿わせることにより、引き出したシート部材Sを連続的に型枠部材62に設置することが容易となる。
なお、本実施形態では、本体部30は、移動支持部20を介して案内部10から吊り下げられている。つまり、シート設置装置1は、地面(例えばインバートコンクリートG)に直接接地していない。したがって、型枠部材62の下方の地面に不陸がある場合であっても、地面の不陸によってシート部材Sが振れることが回避される。その結果、シート部材Sにシワが発生し難くなる。
本実施形態では、型枠部材62は、曲面をなしている。貼付け面64は、打設面63の幅方向(打設面63の軸方向に直交する方向)における中央部で打設面63に接する接面である。これにより、型枠部材62が曲面をなす場合であっても、貼付け面64としての接面に対して略平行な方向となるように、ロールRが本体部30によって支持されるため、貼付け面64に対するシート部材Sの傾きを抑制することが容易となる。
本実施形態では、レール部13は、打設面63の中心軸L1方向に沿うように貼付け面64の一方64a側に配置される第1レール14と、打設面63の中心軸L1方向に沿うように貼付け面64の他方64b側に配置される第2レール15と、を有する。移動支持部20は、第1レール14によって案内される第1滑車部21と、第2レール15によって案内される第2滑車部22と、を有する。第1滑車部21は、一方64a側において本体部30を支持し、第2滑車部22は、他方64b側において本体部30を支持している。これにより、貼付け面64を挟むように第1レール14及び第2レール15が配置されるため、第1レール14及び第2レール15との間の空間を介して型枠部材62と本体部30とが対向する。その結果、第1レール14及び第2レール15の間の空間を通して、ロールRから引き出したシート部材Sを型枠部材62に容易に設置することができる。
本実施形態では、案内部10は、セントル60に対して着脱可能な複数の固定治具11と、固定治具11のそれぞれに設けられ、レール部13を支持する調整部12と、を有する。これにより、複数の固定治具11によってレール部13の延在方向を容易に調整することができる。また、調整部12によって固定治具11からレール部13までの長さ等を調整することができる。その結果、本体部30の姿勢を調整することができる。
本実施形態では、固定治具11は、セントル60に対する着脱を切り替えるスイッチを有するマグネット治具である。これにより、セントル60に対する固定治具11の着脱が容易となる。
本実施形態では、調整部12は、ユニバーサルジョイントである。調整部12の下方側で調整部12がレール部13を支持する場合、重力により鉛直方向に沿ってレール部13が吊り下がる。このように、重力を利用して自動的に本体部30の姿勢を調整することができる。
本実施形態では、本体部30は、貼付け面64とロール支持部36との間においてロールRの中心軸L2方向に略平行な方向に延びるガイド部材33を更に有する。これにより、ロールRから引き出されたシート部材Sがガイド部材33に案内される際、ガイド部材33によりシート部材Sに張力が与えられる。その結果、シート部材Sを型枠部材62に設置する際、シート部材Sのシワができにくくなる。
本実施形態では、ロールRから引き出されたシート部材Sを型枠部材62に対して押さえ付けるローラ部40を更に備えている。これにより、シート部材Sを押付ける人手を省くことができる。
本実施形態では、ロールRから引き出されたシート部材Sに対して接着剤を噴射する噴射装置45を更に備えている。これにより、接着剤を有しないシート部材Sであっても容易に貼り付けることができる。
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく様々な実施形態に適用することができる。例えば、シート設置装置1は、図6に示されるように、作業者Pが仰向けの状態でシート部材Sの設置作業をする形態であるシート設置装置1Aに変形することができる。
シート設置装置1Aは、ローラ部40に代えて、本体部30Aに寝板37が設けられている点で、シート設置装置1と主として異なっている。なお、図6の例では、ロールRに巻き回されたシート部材Sには、予め接着剤が塗布されているものとする。シート設置装置1Aでは、噴射装置45が省略されている。
寝板37は、作業者Pが仰向けの状態でシート部材Sの設置作業をするために、本体部30において作業者Pを支持する支持部材である。寝板37は、例えば作業者Pの背丈方向に長尺な平板部材である。寝板37は、例えば、その四隅部において縦材に支持されている。図6の例では、寝板37は、貼付け面64の一方64a側において、その長手方向の両端部を縦材34Aに支持されている。縦材34Aは、横材31Aの長手方向の両端部と緊結されている。横材31Aは、作業者Pの背丈に応じた長さを有する点で、横材31と異なっている。このようなシート設置装置1Aにおいても、上述したシート設置方法と同様のシート設置方法を実行することができる。
シート設置装置1A、及びシート設置装置1Aにおいて実行されるシート設置方法においても、打設面63の中心軸L1方向に沿う方向に本体部30Aを移動させながら、ロールRから引き出したシート部材Sを作業者Pが貼付け面64に沿わせることにより、引き出したシート部材Sを連続的に型枠部材62に設置することが容易となる。
上記実施形態では、案内部10として固定治具11、調整部12、及びレール部13を有するものを例示したが、例えばセントル60に直接レール部13を取り付ける案内部10であってもよい。また、上記実施形態では、移動支持部20として車輪21a,22aを有する第1滑車部21及び第2滑車部22を例示したが、例えば樹脂材等でレール部13に沿ってスライド可能に構成されていてもよい。また、上記実施形態では、本体部30として鋼製パイプで構成されたフレーム体を例示したが、本体部30は、例えば箱型等の筐体を有する構造体であってもよい。要は、ロールRの中心軸L2方向が、長手方向L3に対して略直交する方向であって貼付け面64に対して略平行な方向となるように、ロール支持部36がロールRを支持するものであれば、種々の形態に変形することができる。
シート設置装置1,1A及びシート設置方法を適用するコンクリート打設用の型枠は、上記実施形態のように中心軸L1視にて曲面が下方に凸となるセントル60の型枠部材62に限定されない。具体的には、上記実施形態では、固定治具11が調整部12を介してレール部13を懸架して(吊り下げて)いたが、曲面が上方や側方に凸となる型枠に対しても、シート設置装置1,1A及びシート設置方法を適用することができる。この場合、関節部12bは、当該関節部12bを間に挟んだ接続部12a及び接続部12cの接合する角度を固定可能に構成されていてもよい。また、シート設置装置1,1A及びシート設置方法を適用するコンクリート打設用の型枠は、平面をなしていてもよい。
上記実施形態では、打設面63の中心軸L1方向と、型枠部材62の長手方向と、が一致していたが、打設面63の中心軸L1方向と、型枠部材62の長手方向と、が互いに異なる方向であってもよい。この場合、案内部10が型枠部材62に対して着脱可能に取り付けられる際、打設面63の中心軸L1方向と、型枠部材62の長手方向と、のいずれか一方に沿って案内部10が取り付けられていてもよい。