JP5997663B2 - 内燃機関の過給圧制御装置 - Google Patents
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Description
このステップS40においては、過給圧制御装置に関係する構成部品、例えばターボチャージャ、ウェストゲートバルブ、電動アクチュエータ等の機構部品、開度センサ、吸気圧センサ等の各種センサ類、過給圧制御に使用する制御プログラム等に異常状態が生じているかどうかを判断している。これらの異常状態は別に記憶された異常診断プログラムによって診断されており、異常状態が発生すると異常フラグを生成してどのような異常が生じているかを判断できるようになっている。したがって、ステップS40ではこれらの異常フラグを監視することによって異常状態を判断することができる。ステップS40で異常状態が発生していないと判断するとステップS41に進み、異常状態が発生していると判断するとステップS42に進むようになる。
ステップS40で異常状態が発生していないと判断されると、通常の過給圧制御を実行することになる。この過給圧制御は上述した通りである。すなわち、本処理に必要な内燃機関の運転状態パラメーである回転速度、スロットル開度、実過給圧を読み込む。次に、回転速度とスロットル開度から基本目標開度マップを参照して基本目標開度量を算出し、続いて回転速度とスロットル開度から目標過給圧マップを参照して目標過給圧を算出する。その後、目標過給圧と実過給圧の偏差を算出して過給圧の偏差が所定の判定値α以上であるか否かを判定する。偏差が判定値αより小さければ補正開度量を「0」として開度補正を行わないようにする。
ステップS40で異常状態フラグが生成されて異常状態が発生している判断されると、ステップS42では異常状態がウェストゲートバルブ31の開度センサ34の異常状態かどうかを判断する。すなわち、異常診断プログラムによって診断された過給圧制御装置の各構成部品、センサ類、制御プログラムのうち、異常状態が発生して生成された異常フラグを分析して異常状態を判断することができる。このステップS42で開度センサ34の異常でなければステップS43に進み、開度センサ34の異常であればステップS45進む。
≪ステップS43≫
このステップS43では、異常状態が発生して生成された異常フラグを分析することで異常状態の発生箇所や異常状態が把握できるようになっている。例えば、排気タービン28やコンプレッサ26が固着して回転しない場合は、排気タービン28の回転数信号からこの異常状態を検出することができる。更には、過給圧の経年的な変化を検出して劣化状態を判断することができるようになっている。このステップ43ではこれ以外にも多くの異常状態や故障を検出できるようになっている。
ステップS43で異常個所や異常状態が判断されると、このステップS44ではこれに対応したフェールセーフモードを実行する。例えば、排気タービン28やコンプレッサ26が固着して回転しない場合は過給圧制御を停止して電動アクチュエータ32に余分な電力が供給されるのを停止して電動アクチュエータ32が焼損するのを防止するようなモードを実行する。更に、これ以外の異常状態や故障に対応して適切なフェールセーフモードを実行する。以上に述べたステップS43、ステップS44は本発明とは密接な関係を有していないので、更なる詳細な説明は省略する。そして、ステップS44の処理が終了すると「END」に抜けてこの制御フローは終了するものである。
ステップS42で開度センサ34の異常と判断された後、ステップS45では開度センサ34の異常確定処理を行う。この異常確定処理は電動アクチュエータ32に制御信号が与えられたにも拘わらず、開度センサ34の信号が図3に示す破線A、或いは破線Bの状態が所定時間に亘って継続した場合に異常を発生したと確定するものである。つまり、電動アクチュエータ32に制御信号を与えられてウェストゲートバルブ31が変位するが、開度センサ34が異常であればこれに対応した開度信号を出力しないので、これを所定時間に亘って検出すると異常と判断するものである。
ステップS45で開度センサ34の異常が確定すると、ウェストゲートバルブ31の初期位置設定処理、本実施例では全閉状態の開度推定が行われたかどうかが判断される。この初期位置設定処理については後述するが、初期位置設定処理が終了していないと初期位置設定フラグに「0」を割り振り、初期位置設定処理が終了していると初期位置設定フラグに「1」を割り振ることになる。したがって、ステップS46で初めて開度センサ34の異常が確定すると初期位置設定フラグが「0」であるため次のステップS47に進むことになる。一方、ステップS46で開度センサ34の異常が確定した後に初期位置設定フラグが「1」であるとステップS53に進むことになる。
このステップS47においては、アイドリング状態であるか、或いはアイドルストップ状態であるかを判断している。このステップS47ではスロットル弁の開度、内燃機関の回転数、ブレーキスイッチ等の状態からアイドリング状態であるか、或いはアイドルストップ状態であるかを判断している。例えば、スロットル弁が閉じられて回転数がアイドル回転数であればアイドリング状態と判断することができる。また、例えばブレーキスイッチがオンになった状態からアイドルストップ状態を判断することができる。何れにしても、このステップS47ではアイドリング状態であるか、或いはアイドルストップ状態を判断すれば良いものであるので、判断条件は種々の要件を用いることができる。
このステップS48においては、アイドリング状態、或いはアイドルストップ状態でないので、内燃機関はスロットル弁13が開かれアイドル回転数以上で回転されていることから、電動アクチュエータ32に所定時間だけ開き側のデューティ信号を与えてウェストゲートバルブ31を開き側に駆動する。ここで、電動アクチュエータ32に与えられる駆動信号は固定デューティ信号であるので、時間を乗算すれば電動アクチュエータ32の移動量を決定できるものである。これによって少なくとも過給圧を低下させる方向にウェストゲートバルブ31を開くことができるようになる。このため、この状態ではウェストゲートバルブ31が閉弁方向に移動されないので過剰な過給圧状態に陥る現象を避けることができる。ステップS48の制御動作が終了するとステップ49に進む。
このステップS49においては、ステップS48の制御動作が1回行われたかどうかを判断している。ステップS49においては、最初の1回だけステップS48が実行されるとカウンタの値が「1」をカウントするようになっている。したがって、ステップS49でカウンタの値が「1」でなく「0」の場合は、ステップS48の制御動作が1回実行されてカウンタに「1」の値をカウントさせ「END」に抜けてこの制御フローは終了するものである。
ステップS47でアイドリング状態、或いはアイドルストップ状態であると判断されると、ステップS50乃至ステップS52に示す、ウェストゲートバルブ31の全閉位置設定処理を実行することになる。この全閉位置設定処理とは、ウェストゲートバルブ31を全閉位置まで駆動する処理であり、開度センサ34の故障時にウェストゲートバルブ31の故障対応動作を実行させるために設定される初期位置を決めるものである。
このステップS51においては、現在の開度状態からウェストゲートバルブ31を全閉位置まで移動させるため、電動アクチュエータ32に所定の時間だけ閉じ側の固定デューティ信号を与えて駆動する。尚、この所定の時間は最大でウェストゲートバルブ31の全行程で必要とする時間以上に設定されることはない。これは全行程以上の時間に亘ってデューティ信号を与え続けると、電動アクチュエータ32の電動機に異常な発熱等が生じて好ましくない影響が発生するからである。
ステップS52においては、ウェストゲートバルブ31の全閉位置への移行動作が終了すると、ウェストゲートバルブ31を全閉位置に維持して次の圧力帰還制御の初期位置としている。この時のウェストゲートバルブ31の位置が後述する過給圧の帰還制御の出発開度となる。つまり、この全閉位置状態から電動アクチュエータ32に与えられるデューティ信号の駆動時間によってウェストゲートバルブ31の位置が推定できるものである。例えば、全閉位置状態から全開位置状態までに必要な時間を『A秒』とすると、デューティ信号の駆動時間が『A/2秒』であるとウェストゲートバルブ31の開度は半分の開度と推定できるものである。
そして、10ms後に次の起動周期が到来して再びステップS40からステップS45と同様の処理を実行するが、ステップS46でウェストゲートバルブ31の初期位置設定処理(全閉状態の開度推定)が行われたかどうかが判断されている。したがって、ステップS52で初期位置設定処理が終了しているので、初期位置設定フラグに「1」が割り振られているためステップS53に進むことになる。
このステップS54においては、ウェストゲートバルブ31を80%開度の開き側制限開度まで開く処理を実行する。ステップS52でウェストゲートバルブ31が全閉位置に維持されている状態なので、この全閉状態から全開状態に必要な駆動時間である『A秒』に対して、80%開度の開き側制限開度まで開く駆動時間は『0.8A秒』であるので、この時間だけ電動アクチュエータ32にデューティ信号を与えることになる。これによって、ウェストゲートバルブ31は80%開度の開き側制限開度まで開くことになる。このように開度センサ34の信号が無くても、ウェストゲートバルブ31は80%開度の開き側制限開度まで開くことができるようになる。したがって、バイパス通路30を通過する排気ガスの量が多くなることで排気タービン28の回転数が高くならず、コンプレッサ26の回転数も高まらないので過給圧が上昇しないようになって安全に内燃機関を駆動することができるものである。
このステップS55においては、開度センサが故障した時に使用される異常時用目標過給圧マップから目標とする過給圧が求められる。この目標過給圧は内燃機関の運転状態によって定まり、これは運転状態量に基づいて必要とされるウェストゲートバルブ31のバックアップ開度量に相当するものである。例えば、この開度センサが故障した時に必要とされる目標過給圧はスロットル開度と回転速度を軸とする異常時用目標過給圧マップを用いて求められるもので、10ms毎の起動周期に合わせてスロットル開度と内燃機関の回転速度とをパラメータとして目標過給圧を算出する。この異常時用目標過給圧マップによれば、回転速度が大きいほど、またスロットル開度が大きいほど目標過給圧として大きい値が算出される。尚、本実施例ではスロットル開度と回転速度を軸とするマップであるが、アクセルの踏み込み量或いは空気量と回転速度を軸とするマップであっても良い。尚、この目標過給圧はマップ設定値なので基本的にはウェストゲートバルブ31の全閉位置での吸気圧のずれが無いように値を決めることが重要である。
このステップS56においては、ステップS55で求められた目標過給圧と、吸気管11に設けた吸気圧センサ(図示せず)で検出した実際の過給圧との差圧を求める算術処理(差圧=目標過給圧−実際過給圧)を行っている。このように差圧を検出するのは目標過給圧に対して実際の過給圧が高いのか、或いは実際の過給圧が低いのかを判断するためである。また、この差圧の符号によってウェストゲートバルブ31を開くのか、或いは閉じるのかを判断できる。更に差圧量によってウェストゲートバルブ31を現在位置に保持しておくかどうかの判断ができるものである。
ステップS57においては、ステップS56で求められた差圧が不感帯の範囲内かどうかを判断している。つまり、ステップS56で求めた差圧が所定の差圧範囲内であればウェストゲートバルブ31を現在位置に保持しておくという制御を行うものである。したがって、ステップS55に戻り同様の処理を実行するものである。不感帯を用いることで、ウェストゲートバルブ31が目標過給圧付近で頻繁に開いたり閉じたりするのを防止することができる。このように、目標過給圧と実際の過給圧を比較した結果、差圧が所定の差圧範囲内であればウェストゲートバルブ31を現在位置に保持しておくものである。
ステップS58においては、ステップS56で求められた差圧の符号に応じて電動アクチュエータ32の駆動方向を求める。目標過給圧に対して実際の過給圧が高ければ排気タービン28の回転数を低くすることが要求される。このため、ウェストゲートバルブ31の開度を大きくするように、電動アクチュエータ32の電動機を制御することが必要である。したがって、ウェストゲートバルブ31の開度を大きくするため、電動機に与えるデューティ信号は、例えば逆転方向の特性を与えられるものである。
ステップS59においては、キースイッチがオフになったかどうかを判断してこの制御フローを終了させるかどうかを決めている。したがって、キースイッチがオフにならない限りこの制御フローは所定周期毎に起動されて上述した制御動作を実行するものである。一方、キースイッチがオフになるとこの制御フローは終了されることになる。このようにステップS59の処理が終了すると「END」に抜けてこの制御フローは終了するものである。
(1)ウェストゲートバルブを駆動する電動アクチュエータを有する内燃機関に使用される内燃機関の過給圧制御装置において、ウェストゲートバルブの開度を検出する開度センサが故障した場合は、ウェストゲートバルブを所定の初期位置開度に設定すると共に、内燃機関の状態量に基づいて必要とされる目標過給圧を演算し、この初期位置状態から目標過給圧になるように電動アクチュエータを制御することを特徴とする。
(2)ウェストゲートバルブを駆動する電動アクチュエータを有する内燃機関に使用される内燃機関の過給圧制御装置において、ウェストゲートバルブを所定の初期位置開度に設定すると共に、内燃機関の状態量に基づいて必要とされる目標過給圧を演算し、この初期位置状態から目標過給圧になるように電動アクチュエータを制御し、更に電動アクチュエータを駆動する制御信号の駆動時間が予め定めた開き側制限開度に相当する駆動時間より長くなると前記電動アクチュエータの駆動を停止することを特徴とする。
(3)ウェストゲートバルブを駆動する電動アクチュエータを有する内燃機関に使用される内燃機関の過給圧制御装置において、ウェストゲートバルブを所定の初期位置開度として全閉位置状態に設定すると共に、内燃機関の状態量に基づいて必要とされる目標過給圧を演算し、この全閉位置状態から目標過給圧になるように電動アクチュエータを制御し、更に電動アクチュエータを駆動する制御信号の駆動時間が予め定めた開き側制限開度に相当する駆動時間より長くなると前記電動アクチュエータの駆動を停止し、同様に電動アクチュエータを駆動する制御信号の駆動時間が予め定めた閉じ側制限開度に相当する駆動時間より短くなると前記電動アクチュエータの駆動を停止することを特徴とする。
(4)電動アクチュエータの駆動時間は、ウェストゲートバルブが全閉状態からの駆動時間を積算して求められたものであり、ウェストゲートバルブを開く方向の時間を『+側』とし、ウェストゲートバルブを閉じる方向の時間を『−側』として積算され、この積算時間が予め定めた開き側制限開度に相当する駆動時間より長くなると前記電動アクチュエータの駆動を停止し、同様に電動アクチュエータを駆動する制御信号の駆動時間が予め定めた閉じ側制限開度に相当する駆動時間より短くなると前記電動アクチュエータの駆動を停止することを特徴とする。
(5)内燃機関の回転数が高回転にある状態、或いは車両が高速で走行している状態ではウェストゲートバルブを所定の大きな制限開度、例えば全開に対して80%程度の制限開度に維持されることを特徴とする。また、この場合、電動アクチュエータにはウェストゲートバルブが全閉状態から全開状態に至る駆動時間に対して上記制限開度に対応した駆動時間に亘って制御信号が与えられることを特徴とする。
(6)電動アクチュエータに加えられる制御信号は固定デューティ比率のデューティ信号であり、これに駆動時間を乗算してウェストゲートバルブの開度が推定されることを特徴とする。
Claims (3)
- 内燃機関の排気通路に配置された排気タービン及び吸気通路に配置されたコンプレッサを有してなるターボチャージャと、前記排気タービンを迂回するバイパス通路に設けられ前記バイパス通路の開度を調整するウェストゲートバルブと、前記ウェストゲートバルブを駆動する電動アクチュエータを有する内燃機関に使用される内燃機関の過給圧制御装置において、
前記内燃機関の過給圧制御装置は、前記電動アクチュエータを一定のデューティ信号で駆動し、前記デューティ信号と前記デューティ信号の駆動時間に基づいて前記ウェストゲートバルブの開度を推定する機能と、前記ウェストゲートバルブの開度を検出する開度センサが故障した場合は、推定された所定の開度範囲内で前記内燃機関の状態量に基づいて必要とされる目標過給圧を演算し、この演算された目標過給圧になるように前記電動アクチュエータを制御する機能と、前記開度センサが故障した場合は、前記電動アクチュエータを駆動する前記デューティ信号の駆動時間が予め定めた開き側制限開度に相当する駆動時間より長くなると前記電動アクチュエータの駆動を停止する機能とを備えることを特徴とする内燃機関の過給圧制御装置。 - 請求項1に記載の内燃機関の過給圧制御装置において、
前記目標過給圧は前記吸気通路に設けられた吸気圧センサからの実際の過給圧と比較され、前記実際の過給圧が前記目標過給圧より低い場合は前記ウェストゲートバルブの開度を小さくし、前記実際の過給圧が前記目標過給圧より高い場合は前記ウェストゲートバルブの開度を大きくするように前記電動アクチュエータを制御することを特徴とする内燃機関の過給圧制御装置。 - 請求項1に記載の内燃機関の過給圧制御装置において、
前記目標過給圧はスロットル開度或いはアクセル踏み込み量と回転数を軸とする異常時用目標過給圧マップから求められることを特徴とする内燃機関の過給圧制御装置。
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