JP5994691B2 - 電力ケーブルの布設方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電力ケーブルの布設方法に関し、特に、地中経路に布設され地中送電線として用いられる電力ケーブルの布設方法に関する。
電力ケーブルは、例えば人孔や管路や洞道等の地中施設内に布設され、高圧電力の地中送電線として用いられる。このような電力ケーブルを地中施設内に延線して布設する際は、例えば電力ケーブルに許容される曲げ半径よりも小さな曲げ半径で電力ケーブルを湾曲させてしまうことのないよう、電力ケーブルを極力、直線状に保つように移動させている。
特開平07−193931号公報
しかしながら、電力ケーブルが地中施設内等に布設されるときには、しばしば洞道等の制限された狭隘路内の地中経路上で電力ケーブルを移動させなければならない。このため、例えば狭隘路内への電力ケーブルの引き入れ作業や、狭隘路内での電力ケーブルの上方への立ち上げ作業に必要な空間が充分に確保できないことも多い。
本発明の目的は、制限された空間しか有さない狭隘路内であっても電力ケーブルの引き入れや立ち上げが容易となる電力ケーブルの布設方法を提供することである。
本発明の第1の態様によれば、
電力ケーブルを地中経路に布設する電力ケーブルの布設方法であって、
回転の向きが互いに逆になるように回転させた第1回転体と第2回転体との間に前記電力ケーブルを通すことにより、前記地中経路上で前記電力ケーブルを移動させる電力ケーブル延線工程を有し、
前記電力ケーブル延線工程では、
前記第1回転体と前記第2回転体とを互いに独立して駆動させることで、前記第1回転体および前記第2回転体と前記電力ケーブルとの接点を起点として前記電力ケーブルの進行方向を変化させ、前記電力ケーブルを曲線状に移動させる
電力ケーブルの布設方法が提供される。
本発明の第2の態様によれば、
第1の態様に記載の電力ケーブルの布設方法であって、
前記電力ケーブル延線工程では、
前記第1回転体の回転速度を前記第2回転体の回転速度より小さくすることで、前記電力ケーブルを前記第1回転体または前記第2回転体に沿って変化させる
電力ケーブルの布設方法が提供される。
本発明の第3の態様によれば、
第1又は第2の態様に記載の電力ケーブルの布設方法であって、
前記電力ケーブル延線工程では、
前記第1回転体のトルクを前記第2回転体のトルクより大きくすることで、前記電力ケーブルを前記第1回転体または前記第2回転体に沿って曲線状に移動させる
電力ケーブルの布設方法が提供される。
本発明の第4の態様によれば、
第1〜第3の態様のいずれか1態様に記載の電力ケーブルの布設方法であって、
前記地中経路は湾曲部を有し、
前記湾曲部に少なくとも1組の前記第1回転体と前記第2回転体とを配置する
電力ケーブルの布設方法が提供される。
本発明の第5の態様によれば、
第1〜第4の態様のいずれか1態様に記載の電力ケーブルの布設方法であって、
前記地中経路は1箇所に湾曲部を有するL字状であり、
前記湾曲部に少なくとも1組の前記第1回転体と前記第2回転体とを配置し、前記電力ケーブルをL字型の曲線状に移動させる
電力ケーブルの布設方法が提供される。
本発明の第6の態様によれば、
第1〜第4の態様のいずれか1態様に記載の電力ケーブルの布設方法であって、
前記地中経路は2箇所に湾曲部を有するS字状であり、
それぞれの前記湾曲部に少なくとも各1組の前記第1回転体と前記第2回転体とを配置し、前記電力ケーブルをS字型の曲線状に移動させる
電力ケーブルの布設方法が提供される。
本発明の第7の態様によれば、
第4〜第6の態様のいずれか1態様に記載の電力ケーブルの布設方法であって、
前記湾曲部は、重力方向と略垂直な経路と重力方向と略平行な経路とが交わることにより形成される湾曲部、重力方向と略垂直で且つ互いに異なる方向を有する経路が交わることにより形成される湾曲部のうち少なくともいずれかを含む
電力ケーブルの布設方法が提供される。
本発明の第8の態様によれば、
第7の態様に記載の電力ケーブルの布設方法であって、
重力方向と略垂直な前記経路は、前記電力ケーブルの進行方向の変化が重力の影響を受けない程度に重力方向と垂直な経路であり、
重力方向と略平行な前記経路は、前記電力ケーブルの進行方向の変化が重力の影響を受ける程度に重力方向と平行な経路である
電力ケーブルの布設方法が提供される。
本発明の第9の態様によれば、
第1〜第8の態様のいずれか1態様に記載の電力ケーブルの布設方法であって、
前記電力ケーブル延線工程では、
前記電力ケーブルの外径Dに対し、前記電力ケーブルの立ち上げ距離が15D以上25D以下となる曲線状に立ち上げる
電力ケーブルの布設方法が提供される。
本発明によれば、制限された空間しか有さない狭隘路内であっても電力ケーブルの引き入れや立ち上げが容易となる電力ケーブルの布設方法が提供される。
本発明の一実施形態に係る電力ケーブルの布設方法を示す工程図である。 本発明の一実施形態に係る電力ケーブルの布設方法の実施に用いる球状回転体型牽引機の模式図であって、(a)は係る球状回転体型牽引機の正面図であり、(b)は係る球状回転体型牽引機の上面図である。 本発明の一実施形態に係る電力ケーブルの進行方向が球状回転体型牽引機の回転体を起点に変化する様子を示す上面図である。 本発明の一実施形態の変形例に係る電力ケーブルの布設方法を説明する上面図である。 実施例に係る電力ケーブルの布設方法を示す工程図である。 実施例に係る電力ケーブルの布設方法を説明する図である。 実施例に係る電力ケーブルの延線時の各球状回転体型牽引機のトルク係数を示す図である。 従来技術に係る電力ケーブルの布設方法を示す工程図である。 電力ケーブルの布設の様子を示す全体図である。
<本発明者等が得た知見>
図9は、電力ケーブルの布設の様子を示す全体図である。
図9に示されているように、電力ケーブル100は、例えば地中に設けられた人孔80や管路81や洞道82等の地中施設内に布設され、高圧電力の地中送電線として用いられる。すなわち、例えば人孔80付近に配置した延線車83が備えるドラム83dから電力ケーブル100を繰り出し、人孔80を通じて管路81や洞道82等の狭隘路内に引き入れる。例えば洞道82内には、キャタピラ式の牽引機であるホーリングマシン84等が所定箇所に設置され、洞道82内にて電力ケーブル100を移動させる牽引力を付与する。また、洞道82内の天井部分等には、地上電力設備等と接続する接続部82cが設けられている。図8に示されている例では、白相82w、赤相82r、黒相82bからなる1組の接続部82cが、洞道82の道口近傍の天井部分に設けられている。例えば洞道82内等に引き入れられた電力ケーブル100は、それぞれの接続部82c直下からそれぞれの接続部82cへと向けて上方へと立ち上げられ、電力ケーブル100の端末がそれぞれの接続部82cに接続される。
地中送電線等に用いられる電力ケーブル100は、例えば金属製の導電芯線の外周に、架橋ポリエチレン等からなる絶縁層や塩化ビニル等からなる被覆層(シース)等を備えた外径百数十mm〜二百数十mmの折り曲げ困難な大型ケーブル、つまり、架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル(Crosslinked polyethylene insulated PVC sheathed cable:CVケーブル)等である。また、作業途中、電力ケーブル100に許容される曲げ半径よりも小さな曲げ半径で電力ケーブル100を湾曲させてしまうと、電力ケーブル100に破損等が生じてしまう。そこで、例えばホーリングマシン84を水平に配置するなど、上述の作業全体をとおして、電力ケーブル100は極力、直線状に保たれる。
ここで、例えば図8に示されているように、洞道82内における接続部82cが、洞道82の道口に近接している場合などには、洞道82内へと引き入れられた電力ケーブル100を立ち上げるための距離、すなわち、立ち上げ距離が充分にとれないことがある。ここで、電力ケーブル100の立ち上げ距離とは、地中施設内において電力ケーブル100の立ち上げに利用可能な水平方向および垂直方向の距離を考慮のうえ決定される距離であり、例えば電力ケーブル100が洞道82内でとる軌跡と略等しいと考えることができる。地中施設内において水平方向の利用可能距離は、例えば地中施設内の最も内奥(最も接続部82c寄り)に設置されたホーリングマシン84の中心部から所定の接続部82cの直下までの距離X1,X2,X3のことである。また、地中施設内において垂直方向の利用可能距離は、ホーリングマシン84に保持された電力ケーブル100の径方向の中心部から各接続部82cの下端までの距離Y1,Y2,Y3のことである。つまり、図8に示されている例では、これら1組の接続部82cに、それぞれ1本ずつ電力ケーブル100を接続するにあたり、例えば道口に一番近い白相82wへの接続が困難となる。
例えば1本目の電力ケーブル100を黒相82bに接続するときには、立ち上げ距離はX1およびY1を考慮のうえ決定され、電力ケーブル100の立ち上げに最も長い距離が利用可能である。
1本目の電力ケーブル100の接続終了後、2本目の電力ケーブル100を赤相82rに接続する場合、図8(a)に示されているように、2本目の電力ケーブル100を洞道82内に引き入れる。このとき、電力ケーブル100が洞道82の床面に対して水平となるよう、ホーリングマシン84で牽引する。
図8(b)に示されているように、電力ケーブル100は、ホーリングマシン84によって直線状の進行方向に導かれ、立ち上げのため充分な余剰を確保すべく、例えば洞道82内奥の付き当たりの壁面付近まで引き入れられる。そして、図8(c)に示されているように、電力ケーブル100は、赤相82rへと向けて、上方へと立ち上げられる。この時の立ち上げ距離はX2およびY2を考慮のうえ決定され、電力ケーブル100の黒相82bへの接続時よりも短いものの、赤相82rへの接続が妨げられるほどではない。よって、電力ケーブル100の端末は、赤相82rの直下から赤相82rへと接続される。
しかしながら、これと同様に、3本目の電力ケーブル100を白相82wへと接続しようとしても、電力ケーブル100の白相82wへの繋ぎ込み時の立ち上げ距離はX3およびY3を考慮のうえ決定され、電力ケーブル100の立ち上げに最も短い距離しか利用することができない。よって、図8(d)に示されているように、立ち上げ距離が不充分となってしまう。上述のように、電力ケーブル100は、折り曲げ困難な大型ケーブルである。よって、電力ケーブル100に許容される曲げ半径は、例えば電力ケーブル100の外径dに対して15d以上25d以下であるところ、上記のように電力ケーブル100を直線状の進行方向に沿って洞道82内に引き入れた際には、電力ケーブル100を係る許容曲げ半径の下限値に近い値にまで湾曲させることは困難である。このため、比較的緩やかな弧を描いて電力ケーブル100を立ち上げることとなる。よって、電力ケーブル100の立ち上げ距離としては、かなり余裕をみる必要がある。図8(d)に示されるX3およびY3を考慮すると、電力ケーブル100の立ち上げに必要な立ち上げ距離を得ることはできない。
そこで、本発明者等は、電力ケーブルを立ち上げる際の曲率半径を小さくすべく、また、電力ケーブルの立ち上げ距離を短縮すべく、鋭意研究を行った。そして、そのためには、電力ケーブルを曲線状の進行方向に沿わせて洞道等の地中施設内に延線すればよいと考えた。
とはいえ、このような電力ケーブルの布設方法については全く前例がない。電力ケーブルを延線する際の牽引機としては、上述のホーリングマシンや、近年、用いられるようになってきたボールローラに代表されるように、1組のボール状(球状)の回転体を備える球状回転体型牽引機等がある。しかしながら、ホーリングマシンや球状回転体型牽引機のいずれを用いた場合においても、これらの牽引機を曲線状に配置し、例えば電力ケーブルを電極ケーブルに許容される曲げ半径内の比較的小さい曲げ半径を持つ曲線状に延線する方法は採られておらず、その方法も知られていない。
本発明者等は、更に鋭意研究を重ね、上記のようにこれまでに知られた牽引機を用いつつ、電力ケーブルを曲線状に延線する方法をも見いだした。
本発明は、発明者等が見いだしたこのような知見に基づくものである。
<本発明の一実施形態>
(1)電力ケーブルの布設方法
本発明の一実施形態に係る電力ケーブルの布設方法について、図1〜図3を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る電力ケーブル10の布設方法を示す工程図である。図2は、本発明の一実施形態に係る電力ケーブル10の布設方法の実施に用いる球状回転体型牽引機20の模式図であって、(a)は球状回転体型牽引機20の正面図であり、(b)は球状回転体型牽引機20の上面図である。図3は、本発明の一実施形態に係る電力ケーブル10の進行方向が球状回転体型牽引機20の回転体を起点に変化する様子を示す上面図である。
ここで、洞道82は、例えば上述の図8に示される洞道82と同じサイズ、同じ設計のものであり、道口に近接する天井部分に白相82w、赤相82r、黒相82bからなる1組の接続部82cが設けられている。図1に示されているように、本実施形態に係る電力ケーブル10の布設方法を用いれば、延線時に電力ケーブル10がとる経路(軌道)を、例えば電力ケーブル10を許容曲げ半径の下限値に近い値にまで湾曲させた布設後の電力ケーブル10の配置と略等しくすることができる。よって、例えば道口に最も近接した白相82wであっても、困難を要することなく電力ケーブル10を接続することができる。
図1に示されているように、本実施形態においては、球状回転体型牽引機20を用い、地中施設である洞道82内に電力ケーブル10を引き入れ、引き入れた電力ケーブル10を上方に向かって立ち上げて、電力ケーブル10を延線する。このとき、球状回転体型牽引機20により、電力ケーブル10の進行方向を曲線状に変化させ、電力ケーブル10を曲線状の経路に沿って延線する。なお、電力ケーブル10を延線するとは、例えば球状回転体型牽引機20等により電力ケーブル10の所定箇所に牽引力を付与して電力ケーブル10を移動させることで、電力ケーブル10全体を地中施設内の経路上で移動させ、布設することをいう。また、電力ケーブル10が移動し、延線され、布設される経路とは、電力ケーブル10が移動し、延線され、布設される際に描く軌道、或いは、描くと想定される軌道のことをいう。また、地中施設内におけるこのような経路を地中経路という。
また、図1に示されているように、本実施形態においては、電力ケーブル10が布設される地中経路は、洞道82の洞口から黒相82b、赤相82r、白相82wへとそれぞれ至る3通りである。それぞれの地中経路は、湾曲部B1,B2,B3を有する略L字状となっている。係る湾曲部B1,B2,B3は、重力方向と略垂直な経路H1,H2,H3と重力方向と略平行な経路V1,V2,V3とが交わることにより形成される。
ここで、重力方向と略垂直な経路H1,H2,H3とは、重力方向と完全に垂直な経路を含み、また、所定角度の範囲内で重力方向と完全に垂直な方向から外れる経路を含む。係る所定角度の範囲は、後述する電力ケーブル10の進行方向の変化が重力の影響を受けない程度に、上記経路が重力方向と垂直となる範囲内である。またここで、重力方向と略平行な経路V1,V2,V3とは、重力方向と完全に平行な経路を含み、また、所定角度の範囲内で重力方向と完全に平行な方向から外れる経路を含む。係る所定角度の範囲は、後述する電力ケーブル10の進行方向の変化が重力の影響を受ける程度に、上記経路が重力方向と平行となる範囲内である。
本実施形態においては、各地中経路が有する湾曲部B1,B2,B3を起点として電力ケーブル10の進行方向を変化させることとし、この起点となる位置に球状回転体型牽引機20を配置する。
図2に示されているように、球状回転体型牽引機20は、電力ケーブル10を挟み込む1組の第1回転体および第2回転体として、ボール型のタイヤ20aおよびタイヤ20bを備える。タイヤ20a,20bは、タイヤ20a,20bを回転させるギア等が収納されるギアケース21を介して、それぞれモータ22a,22bに接続されている。モータ22a,22bは、例えば油圧式、あるいはエア式のモータである。また、球状回転体型牽引機20は、電力ケーブル10の進行方向(送り出し方向)に向かってタイヤ20a,20bの上流側に、走行中の電力ケーブル10をタイヤ20a,20bの所定の挟み込み高さへと案内するガイドコロ23を備える。
以上のように構成される球状回転体型牽引機20のタイヤ20a,20bを、回転の向きが互いに逆になるように回転させることで、電力ケーブル10を牽引する。
このとき、図3(b)に示されているように、タイヤ40a,40bの回転速度が等しくなるよう各々のモータの駆動力を調整し、タイヤ40a,40bを協働させて回転させれば、電力ケーブル10を直線状の進行方向へと送り出すことができる。また、実際のところ、従来の電力ケーブルの布設方法においては、そのような使われ方がなされてきた。
ここで、本発明者等は、電力ケーブル10を曲線状の進行方向に沿って延線すべく、各々のモータにより、図3(a)に示されるタイヤ30a,30bそれぞれの単独制御を試みた。具体的には、モータの駆動力を調整し、タイヤ30a,30bの回転速度を互いに異ならせることとした。なお、このとき、発明者等は、極力単純な条件下、すなわち、電力ケーブル10の通る経路が全て水平面上となる条件下で上記の試みを行った。つまり、電力ケーブル10が重力の影響を受けないよう、電力ケーブル10の通る経路が重力方向と略垂直で且つ互いに異なる方向を有することとなるように電力ケーブル10および球状回転体型牽引機を配置した。球状回転体型牽引機の各タイヤは水平面上に配置され、電力ケーブル10を両脇から挟みこんでいる。
図3(a)の上面図に示されているように、第1回転体としてのタイヤ30aの回転速度は、第2回転体としてのタイヤ30bの回転速度より小さく設定されている。なお、図3(a)において、矢印の数の多さでタイヤ30bの回転速度がタイヤ30aの回転速度より大きいことが示されている。
これにより、電力ケーブル10の、回転速度の大きいタイヤ30bと接する側が、より急速に送り出されることとなり、回転速度の小さいタイヤ30aと接する側がタイヤ30aへと押し付けられる。また、電力ケーブル10のタイヤ30aと接する側で、電力ケーブル10を送り出す動きに制動(ブレーキ)がかかったような状態となり、タイヤ30aのトルクがタイヤ30bのトルクより大きくなる。つまり、タイヤ30aによる電力ケーブル10の捕捉力(グリップ力)が強まり、タイヤ30aの回転方向に沿って電力ケーブル10をねじ込むような力が加わる。このとき、タイヤ30aのトルク値がタイヤ30bのトルク値に対し、例えば2倍〜9倍程度、好ましくは2倍〜4倍程度となるようにする。なお、図3(a)において、タイヤ30aを太線とすることで、タイヤ30aのトルクがタイヤ30bのトルクより大きいことが示されている。
このように、タイヤ30a,30bを互いに独立して駆動させることで、電力ケーブル10には、タイヤ30a側へと押し付けられ、かつ、タイヤ30aの回転方向に沿ってねじ込まれるような力が働く。よって、電力ケーブル10の進行方向は、回転速度が小さく、トルクが大きいタイヤ30aの周囲を回り込むように、タイヤ30aに沿った曲線状に変化する。つまり、タイヤ30a,30bとの接点を起点として電力ケーブル10の進行方向を変化させ、電力ケーブル10を曲線状に移動させることができる。これにより、電力ケーブル10の外径Dに対し、曲率半径が例えば15D以上25D以下の弧を描いて電力ケーブル10を延線し、布設することができる。
なお、下限値である15Dに関しては、折り曲げ等による電力ケーブルへのダメージを回避するために必須の要件である。本実施形態では、この下限値に、より近い曲率半径にて電力ケーブル10を延線することが可能となる。一方、上限値の25Dは、あくまでも一般的な電力ケーブル布設時の推奨値を例にとったものである。よって、本実施形態の構成上は、係る上限値により制約されるものではなく、25Dを超える曲率半径で電力ケーブル10を延線することを妨げない。
ここで、図1においては、図3とは異なり、電力ケーブル10の変化の方向が、重力方向と略平行、つまり、接続部82cへと立ち上げる上向きの方向である。このため、球状回転体型牽引機20のタイヤ20a,20bは、電力ケーブル10の上下に配置されている。この場合、電力ケーブル20の球状回転体型牽引機20への送入角度(引き込み角度)および送出角度(引き出し角度)に加えて電力ケーブル20が受ける重力の影響、つまり、電力ケーブル20の実質的な重量ベクトル成分も考慮する必要がある。係る重力の影響を考慮のうえ、タイヤ20a,20bの回転速度やトルクの大きさを調整する。具体的には、タイヤ20aのトルク値がタイヤ20bのトルク値の例えば2倍〜9倍程度、好ましくは2倍〜4倍程度となるようにする。
これにより、電力ケーブル10の外径Dに対し、曲率半径が例えば15D以上20D以下の弧を描いて電力ケーブル10を立ち上げることができる。また、電力ケーブル10の立ち上げ距離は、例えば電力ケーブル10の洞道82内での経路(軌道)の長さと略等しいと考えることができる。つまり、電力ケーブル10の立ち上げ距離としては、例えば15D以上20D以下の距離があればよい。このように、電力ケーブル10が描く軌跡(経路)の曲率半径、および立ち上げ距離を、上述の図8に示される従来技術を用いた場合より遥かに小さくすることができる。
また、このように、1組の回転体を互いに独立して駆動させることで、電力ケーブルの進行方向を変化させ、電力ケーブルを曲線状に移動させるという基本構想に基づけば、様々な応用例や変形例を創出することが可能である。すなわち、電力ケーブルに取らせたい所定の経路上の湾曲部、つまり、電力ケーブルの進行方向を変化させたい箇所に、それぞれ球状回転体型牽引機等の牽引機を配置する。そして、所定箇所に配置させた牽引機について、電力ケーブルが所定の経路に沿うよう、それぞれの回転体の回転速度やトルクの大きさの適正化を適宜図ればよい。以下に、このような適正化の例を幾つかの変形例として示す。
(2)本実施形態の変形例
図4は、本発明の一実施形態の変形例に係る電力ケーブル10の布設方法を説明する上面図である。図4においては、電力ケーブル10の通る経路は全て水平面上、つまり、重力方向と略垂直で且つ各々が異なる複数の方向を有する。球状回転体型牽引機の各タイヤは水平面上に配置され、電力ケーブル10を両脇から挟みこんでいる。また、図4においても、矢印の数の多さで回転速度がより大きいタイヤが、太線でトルクがより大きいタイヤが、それぞれ示されている。
図4(a)に示されているように、変形例1においては、湾曲部を2つ有する経路に沿って電力ケーブル10を延線することとし、この電力ケーブル10の進行方向の変化の起点となる位置に球状回転体型牽引機31,33をそれぞれ配置する。
このとき、2台の球状回転体型牽引機31,33を協働させて、電力ケーブル10の曲がりを更に大きくしている。なお、球状回転体型牽引機31,32間に配置される球状回転体型牽引機32は、球状回転体型牽引機31側から球状回転体型牽引機33側へと電力ケーブル10を送り出すため補助的に用いられる。
電力ケーブル10の進行方向の上流側および下流側にそれぞれ位置する球状回転体型牽引機31,33の第1回転体としてのタイヤ31a,33a同士、および第2回転体としてのタイヤ31b,33b同士は、電力ケーブル10の進行方向に対して同じ側に位置するよう配置されている。そして、タイヤ31aの回転速度をタイヤ31bの回転速度よりも小さくすると共に、タイヤ33aの回転速度をタイヤ33bの回転速度よりも小さくする。また、タイヤ31aのトルクをタイヤ31bのトルクよりも大きくすると共に、タイヤ33aのトルクをタイヤ33bのトルクよりも大きくする。このとき、タイヤ31a,33aのトルク値がタイヤ31b,33bのトルク値に対し、それぞれ例えば2倍〜9倍程度、好ましくは2倍〜4倍程度となるようにする。
なお、補助的に用いられる球状回転体型牽引機32のタイヤ32a,32bの回転速度およびトルクは互いに略等しくなるよう調整する。具体的には、各タイヤ32a,32bのトルク比にして、例えば0.7以上1.34以下となるよう調整する。
これにより、球状回転体型牽引機31において、電力ケーブル10には、タイヤ31a側へと押し付けられ、かつ、タイヤ31aの回転方向に沿ってねじ込まれるような力が働く。よって、電力ケーブル10の進行方向は、回転速度が小さく、トルクが大きいタイヤ31aの周囲を回り込むように、タイヤ31aに沿った曲線状に変化する。
また、球状回転体型牽引機33において、電力ケーブル10には、タイヤ33a側へと押し付けられ、かつ、タイヤ33aの回転方向に沿ってねじ込まれるような力が働く。よって、電力ケーブル10の進行方向は、回転速度が小さく、トルクが大きいタイヤ33aの周囲を回り込むように、タイヤ33aに沿った曲線状に変化する。
以上により、1台の球状回転体型牽引機20を用いた上述の実施形態の場合より、電力ケーブル10を、総じてより大きく湾曲させることができる。
また、図4(b)に示されているように、変形例2においては、更に複数の湾曲部を有する経路に沿って電力ケーブル10を延線することとし、この、電力ケーブル10の進行方向の変化の起点となる位置及びそれらの間に複数個の球状回転体型牽引機34〜39,30x〜30z,30nをそれぞれ配置する。
このとき、主要な球状回転体型牽引機2台と補助的に用いられる球状回転体型牽引機1台を配置した変形例1よりも、更に球状回転体型牽引機の台数を増やし、電力ケーブル10の軌跡が更に複雑な曲線を描くよう、電力ケーブル10の進行方向を制御している。
つまり、電力ケーブル10の進行方向の上流側から順に、球状回転体型牽引機34,30x,35の組み合わせ、球状回転体型牽引機36,30y,37の組み合わせ、球状回転体型牽引機38,30z,39の組み合わせをそれぞれ配置している。球状回転体型牽引機34,30x,35の組み合わせと、球状回転体型牽引機36,30y,37の組み合わせとの間の球状回転体型牽引機30nは、両組み合わせ間を繋ぐ、更に補助的な球状回転体型牽引機である。球状回転体型牽引機30nの1組のタイヤの回転速度およびトルクは互いに略等しくなるよう調整する。
球状回転体型牽引機34,30x,35の組み合わせにおいては、球状回転体型牽引機34が備えるタイヤ34aの回転速度をタイヤ34bの回転速度よりも小さくすると共に、球状回転体型牽引機35が備えるタイヤ35aの回転速度をタイヤ35bの回転速度よりも小さくする。また、タイヤ34aのトルクをタイヤ34bのトルクよりも大きくすると共に、タイヤ35aのトルクをタイヤ35bのトルクよりも大きくする。このとき、タイヤ34a,35aのトルク値がタイヤ34b,35bのトルク値に対し、それぞれ例えば2倍〜9倍程度、好ましくは2倍〜4倍程度となるようにする。なお、補助的に用いられる球状回転体型牽引機30xの1組のタイヤの回転速度およびトルクは互いに略等しくなるよう調整する。
これにより、電力ケーブル10を、上述の変形例1の場合と同様、総じて球状回転体型牽引機1台の場合より大きく湾曲させることができる。
また、球状回転体型牽引機36,30y,37の組み合わせにおいては、球状回転体型牽引機36が備えるタイヤ36aの回転速度をタイヤ36bの回転速度よりも小さくすると共に、球状回転体型牽引機37が備えるタイヤ37aの回転速度をタイヤ37bの回転速度よりも小さくする。また、タイヤ36aのトルクをタイヤ36bのトルクよりも大きくすると共に、タイヤ37aのトルクをタイヤ37bのトルクよりも大きくする。このとき、タイヤ36a,37aのトルク値がタイヤ36b,37bのトルク値に対し、それぞれ例えば2倍〜9倍程度、好ましくは2倍〜4倍程度となるようにする。
また、球状回転体型牽引機38,30z,39の組み合わせにおいては、球状回転体型牽引機38が備えるタイヤ38aの回転速度をタイヤ38bの回転速度よりも小さくすると共に、球状回転体型牽引機39が備えるタイヤ39aの回転速度をタイヤ39bの回転速度よりも小さくする。また、タイヤ38aのトルクをタイヤ38bのトルクよりも大きくすると共に、タイヤ39aのトルクをタイヤ39bのトルクよりも大きくする。このとき、タイヤ38a,39aのトルク値がタイヤ38b,39bのトルク値に対し、それぞれ例えば2倍〜9倍程度、好ましくは2倍〜4倍程度となるようにする。
なお、補助的に用いられる球状回転体型牽引機30y,30zの1組のタイヤの回転速度およびトルクは、それぞれ互いに略等しくなるよう調整する。
このように、2台以上の組み合わせからなる球状回転体型牽引機36,37,38,39を更に協働させることで、電力ケーブル10をより大きく湾曲させることができ、例えば電力ケーブル10の経路を略半円形などとすることができる。
なお、上述のとおり、電力ケーブルの経路の所定箇所に配置された牽引機の回転体の回転速度やトルクの大きさについては、電力ケーブルが所定の経路に沿うよう、適宜適正化が図られる。上記の変形例1,2等は、あくまでも係る適正化の一例であり、電力ケーブルの進行方向に対し、どちら側の回転体の回転速度やトルクを大きくするか等は、地中施設の設計や、電力ケーブルの経路等のときどきの状況により変わり得る。
つまり、本発明の主眼は、あくまで、1組の回転体を互いに独立して駆動させることで、電力ケーブルの進行方向を変化させ、電力ケーブルを曲線状に移動させるということにある。
(3)本実施形態に係る効果
本実施形態によれば、以下に示す1つ又は複数の効果を奏する。
(a)すなわち、本実施形態では、球状回転体型牽引機20のタイヤ20a,20bを互いに独立して駆動させる。
また、本実施形態では、球状回転体型牽引機20のタイヤ20a,20bの回転速度を互いに異ならせる。
また、本実施形態では、球状回転体型牽引機20のタイヤ20a,20bのトルクの大きさを互いに異ならせる。
これにより、タイヤ20a,20bとの接点を起点として電力ケーブル10の進行方向を変化させ、電力ケーブル10を曲線状に移動させることができる。よって、電力ケーブル10を曲線状の地中経路に沿って延線することができる。
よって、例えば従来のように直線状に電力ケーブルを延線する場合と異なり、制限された空間しか有さない狭隘路内であっても電力ケーブル10の引き入れや立ち上げが容易となる。
すなわち、例えば、電力ケーブル10の外径Dに対し、曲率半径が例えば15D以上25D以下の弧を描いて電力ケーブル10を立ち上げることができる。また、電力ケーブル10の立ち上げ距離としては、例えば15D以上25D以下の距離があればよい。なお、本実施形態の構成によれば、25Dを超える曲率半径および立ち上げ距離となることを妨げない。
(b)また、本実施形態では、電力ケーブル10を曲線状の経路に沿って延線する。これにより、電力ケーブル10を布設した後の最終据え付け時に近い形での延線が可能となる。すなわち、布設後の電力ケーブル10の配置と略同一の経路をとらせつつ、電力ケーブル10を延線することができる。このことからも、狭隘路内等の地中経路での電力ケーブル10の延線が容易となり、例えば地中施設を設計する際などに、延線時の作業スペースを考慮に入れた拡張が不要となる。
(c)また、本実施形態では、電力ケーブル10の進行方向を変化させる起点となる牽引機として、球状回転体型牽引機20を用いている。このように、電力ケーブル10と略点で接し、接触面積の少ない球状回転体型牽引機20を用いることで、上記起点が定め易い。また、電力ケーブル10の進行方向をより細かく、精度よく制御することができる。
<本発明の他の実施形態>
以上、本発明の実施形態について具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
例えば、上述の実施形態では、主にモータ22a,22bの駆動力を調整することにより、タイヤ20a,20bの回転速度を互いに異ならせ、また、タイヤ20a,20bのトルクの大きさを互いに異ならせることとしたが、本発明はこれに限定されるものではない。つまり、それぞれのタイヤを互いに独立して制御する手法は、上記モータによる場合に限られない。また、それぞれのタイヤの回転速度およびトルクの大きさのうち少なくともいずれかを直接的、あるいは間接的に、かつ、個別に制御できればよい。
また例えば、上述の実施形態では、牽引機として球状回転体型牽引機20等を用いることとしたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、1組の回転体としてのキャタピラを備えるホーリングマシン等を牽引機として用いてもよい。但し、上述のように、電力ケーブル10と略点で接する球状回転体型牽引機20等であれば、電力ケーブル10の進行方向をより精度よく制御することができる。
以下に、実施例として、牽引機が備える一対の回転体を互いに独立して駆動させることで、電力ケーブルの進行方向を曲線状に変化させるという上述の実施形態の基本構想に則って、緩やかなS字を描く経路上に電力ケーブルを延線する例について、図5、図6を用いて説明する。図5は、実施例に係る電力ケーブル10の布設方法を示す工程図である。図6は、実施例に係る電力ケーブル10の布設方法を説明する図である。
図5に示されているように、本実施例においては、牽引機としての球状回転体型牽引機51〜54を用い、地中施設である洞道92内に電力ケーブル10を引き入れ、引き入れた電力ケーブル10を上方に向かって立ち上げて、電力ケーブル10を延線することとした。上述の実施形態における洞道82等と比較して、本実施例の洞道92は、道口から天井部分に設けられた接続部92cまで若干の余裕があるが、例えば洞道92及び周囲の地中施設の構造上、洞道92の天井付近から電力ケーブル10を引き入れなければならない。
引き入れられ、立ち上げられた電力ケーブル10は、洞道92の天井部分に設けられた白相92w、赤相92r、黒相92bからなる1組の接続部92cに接続される。以下、白相92wに接続される電力ケーブル10を延線する場合について説明する。
洞道92の天井付近から電力ケーブル10を引き入れなければならない構造上、白相92wへの接続時には、湾曲部を2つ有するS字状の経路に沿って電力ケーブル10を延線することとした。つまり、本実施例において、電力ケーブル10の進行方向に向かって上流側(1つめ)の湾曲部は、天井付近の洞口から延びる重力方向と略垂直な経路と、天井付近から下方へと延びる重力方向と略平行な経路とが交わることにより形成される。また、電力ケーブル10の進行方向に向かって下流側(2つめ)の湾曲部は、上述の天井付近から下方へと延びる重力方向と略平行な経路と、洞道92の床付近から上方へと延びる重力方向と略平行な経路とが交わることにより形成される。
この電力ケーブル10の進行方向の変化の起点となる2つの位置に球状回転体型牽引機51,54が配置されている。球状回転体型牽引機51,54の第1回転体としてのタイヤ51a,54a同士、および第2回転体としてのタイヤ51b,54b同士は、電力ケーブル10の進行方向に対して同じ側に位置するよう配置されている(図6参照)。球状回転体型牽引機51,54間に配置される球状回転体型牽引機52,53は、補助的に用いられる。
このような状況下、それぞれの球状回転体型牽引機51,54が備えるタイヤ51a,51b,54a,54bの回転速度およびトルクの大きさを、以下に述べるように調整し、図5(a)に示されているように、電力ケーブル10を洞道92内に引き入れ、図5(b)に示されているように、電力ケーブル10を立ち上げて白相92wへと接続した。
それぞれの球状回転体型牽引機51,54の調整としては、まず、電力ケーブル10の進行方向に向かって1つめの湾曲部に配置された球状回転体型牽引機51が備えるタイヤ51a,51bの回転速度およびトルクの大きさが互いに異なるよう調整を試みた。その結果、図6に示されているように、タイヤ51aの回転速度をタイヤ51bの回転速度より小さくし、また、タイヤ51aのトルクをタイヤ51bのトルクより大きくすることで、電力ケーブル10の進行方向がタイヤ51aに沿った曲線状に変化した。
また、電力ケーブル10の進行方向に向かって2つめの湾曲部に配置された球状回転体型牽引機54が備えるタイヤ54a,54bの回転速度およびトルクの大きさが互いに異なるよう調整を試みた。その結果、図6に示されているように、タイヤ54aの回転速度をタイヤ54bの回転速度より高くし、また、タイヤ51aのトルクをタイヤ51bのトルクより大きくすることで、電力ケーブル10の進行方向がタイヤ54bに沿った曲線状に変化した。
また、補助的に用いられる球状回転体型牽引機52,53がそれぞれ備える、タイヤ52a,52bとタイヤ53a,53bとは、それぞれの回転速度およびトルクが互いに略等しくなるよう調整される。
以上のような調整を複数回に亘って行い、そのときどきで、それぞれの球状回転体型牽引機51〜54が備えるタイヤ51a,51b,52a,52b,53a,53b,54a,54bのトルク係数を測定した。その値を図7に示す。図7は、実施例に係る電力ケーブル10の延線時の各球状回転体型牽引機51〜54のトルク係数を示す模式図である。図7(a)〜(c)までの3回の測定に係る各タイヤのトルク係数を、タイヤ51a,51b,52a,52b,53a,53b,54a,54bの中心部分に記入される数値で示した。
ここで、トルク係数Kは、各タイヤのトルクをT(N・mm)とし、各タイヤの外径をd(mm)とし、各タイヤによる牽引力をF(N)としたとき、T=KdFで表わされる。各球状回転体型牽引機51〜54が同一仕様であれば、各タイヤの外径dおよび牽引力Fは一定であり、トルク係数KはトルクTに比例する値となる。このため、トルク係数Kの数値の大小により、トルクTの数値の大小をはかることができる。
図7に示されているように、電力ケーブル10の進行方向が変化する起点となる球状回転体型牽引機51,54においては、一方のタイヤ51a,54aのトルク係数の値、すなわち、トルク値が2倍〜4倍程度であった。また、補助的に用いられる球状回転体型牽引機52,53に対し、球状回転体型牽引機51,54のトルク係数の合計値は、1.5倍〜2倍程度であった。
10 電力ケーブル
20,51〜54 球状回転体型牽引機(牽引機)
20a,51a,54a タイヤ(第1回転体)
20b,51b,54b タイヤ(第2回転体)
82,92 洞道
82c,92c 接続部

Claims (9)

  1. 電力ケーブルを地中経路に布設する電力ケーブルの布設方法であって、
    回転の向きが互いに逆になるように回転させた第1回転体と第2回転体との間に前記電力ケーブルを通すことにより、前記地中経路上で前記電力ケーブルを移動させる電力ケーブル延線工程を有し、
    前記電力ケーブル延線工程では、
    前記第1回転体と前記第2回転体とを互いに独立して駆動させることで、前記第1回転体および前記第2回転体と前記電力ケーブルとの接点を起点として前記電力ケーブルの進行方向を変化させ、前記電力ケーブルを曲線状に移動させる
    ことを特徴とする電力ケーブルの布設方法。
  2. 請求項1に記載の電力ケーブルの布設方法であって、
    前記電力ケーブル延線工程では、
    前記第1回転体の回転速度を前記第2回転体の回転速度より小さくすることで、前記電力ケーブルを前記第1回転体または前記第2回転体に沿って変化させる
    ことを特徴とする電力ケーブルの布設方法。
  3. 請求項1又は2に記載の電力ケーブルの布設方法であって、
    前記電力ケーブル延線工程では、
    前記第1回転体のトルクを前記第2回転体のトルクより大きくすることで、前記電力ケーブルを前記第1回転体または前記第2回転体に沿って曲線状に移動させる
    ことを特徴とする電力ケーブルの布設方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の電力ケーブルの布設方法であって、
    前記地中経路は湾曲部を有し、
    前記湾曲部に少なくとも1組の前記第1回転体と前記第2回転体とを配置する
    ことを特徴とする電力ケーブルの布設方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の電力ケーブルの布設方法であって、
    前記地中経路は1箇所に湾曲部を有するL字状であり、
    前記湾曲部に少なくとも1組の前記第1回転体と前記第2回転体とを配置し、前記電力ケーブルをL字型の曲線状に移動させる
    ことを特徴とする電力ケーブルの布設方法。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の電力ケーブルの布設方法であって、
    前記地中経路は2箇所に湾曲部を有するS字状であり、
    それぞれの前記湾曲部に少なくとも各1組の前記第1回転体と前記第2回転体とを配置し、前記電力ケーブルをS字型の曲線状に移動させる
    ことを特徴とする電力ケーブルの布設方法。
  7. 請求項4〜6のいずれか1項に記載の電力ケーブルの布設方法であって、
    前記湾曲部は、重力方向と略垂直な経路と重力方向と略平行な経路とが交わることにより形成される湾曲部、重力方向と略垂直で且つ互いに異なる方向を有する経路が交わることにより形成される湾曲部のうち少なくともいずれかを含む
    ことを特徴とする電力ケーブルの布設方法。
  8. 請求項7に記載の電力ケーブルの布設方法であって、
    重力方向と略垂直な前記経路は、前記電力ケーブルの進行方向の変化が重力の影響を受けない程度に重力方向と垂直な経路であり、
    重力方向と略平行な前記経路は、前記電力ケーブルの進行方向の変化が重力の影響を受ける程度に重力方向と平行な経路である
    ことを特徴とする電力ケーブルの布設方法。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の電力ケーブルの布設方法であって、
    前記電力ケーブル延線工程では、
    前記電力ケーブルの外径Dに対し、前記電力ケーブルの立ち上げ距離が15D以上25D以下となる曲線状に立ち上げる
    ことを特徴とする電力ケーブルの布設方法。
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