JP5994593B2 - 分光光度計 - Google Patents

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Description

本発明は、試料に照射する単色光の波長を順次変化させて、その試料による吸収度の変化等を測定する分光光度計に関する。
分光光度計では、単色光を試料に照射し、試料と相互作用した後の光(透過光、反射光等)の強度を測定する。このとき、単色光の波長を順次変化させつつ試料に照射すると、試料に特有な波長を有する光は試料と強く相互作用する。従って、例えば試料を透過した光の強度を測定し、横軸を波長、縦軸を透過光の強度としてプロットすると、その試料の波長による吸光度の変化(スペクトル)を得ることができる。
分光光度計の光源としては、ハロゲン(WI)ランプや重水素(D2)ランプが広く用いられるが、これらの光源から放射される光の強度は波長によって異なる。また、波長可変レーザを光源として用いることもあるが、この場合もレーザから放射される光の強度は波長によって異なる。そのため、光の強度が小さい波長領域で分光測定を行うと、その領域において信号・雑音比(S/N比)が低下する。
また、分光光度計の検出器としては、測定する光の波長領域に応じて、光電子増倍管(PMT)や半導体検出器などが用いられるが、いずれの検出器もその検出感度は波長によって異なる。従って、この場合もS/N比が波長により変化することになる。
そこで、従来、分光光度計を用いた測定を行う際に、波長領域ごとに検出器からの測定信号の積算回数や積算時間を変えることが行われている。特許文献1には、波長可変レーザから放射される光の強度が小さい波長領域や検出器の検出感度が低い波長領域では波長変更速度を遅くして検出器からの測定信号の積算回数を増加することが記載されている。
特開平11-295148号公報 特開平5-215604号公報
特許文献1に記載の方法では、光源や検出器の波長依存特性を補償し、測定信号の積算時間を波長領域毎に変化させることによって各波長領域におけるS/N比をできるだけ一定にするようにしているが、S/N比に影響を与える要因は光源の強度変化や検出器の感度変化にとどまらず、様々なものが存在する。
本発明が解決しようとする課題は、光源からの光の波長を順次変化させて試料による吸収等を測定する分光測定において、様々な要因により影響されるS/N比変動を補償し、全波長領域において信頼度の高い分光スペクトルを得ることができる分光光度計を提供することである。
上記課題を解決するために成された本発明は、波長可変の単色光を生成する光源部と、該光源部で生成される単色光の波長を順次変化させる波長変更部と、試料と相互作用した後の光を検出する検出器とを有する分光光度計であって、
a) 少なくとも前記光源部、前記波長変更部、前記検出器を含む測定系を構成する機器の特性に基づき、又は、事前に行われたベースライン測定の結果に基づき、波長毎に設定された、ベースライン測定で得られるベースライン強度が所定の範囲内となるような前記検出器からの測定信号の積算回数又は積算時間である積算条件情報を記憶させた記憶部と、
b) 前記積算条件情報に基づき、前記波長変更部に波長変化速度信号を送る分光測定制御部と
を備えることを特徴とする。
前記光源部には、ハロゲンランプや重水素ランプのように相応の波長領域の光を放射する(白色光源と見なせる)光源(以下、便宜的に白色光源と称する)と分光器を含む構成、あるいは波長可変レーザのように単色光を放射する光源のいずれを用いてもよい。前者の場合、波長変更部は分光器を制御する装置になり、後者の場合はレーザ自身を制御する装置となる。
前記波長変化速度信号は、前記単色光の波長を連続的に変化させる信号、あるいは前記単色光の波長をステップ状に(非連続的に)変化させる信号のいずれであってもよい。
本発明に係る分光光度計では、波長ごとに設定された、検出器からの測定信号の積算回数又は積算時間である積算条件情報が記憶部に予め記憶されており、この積算条件情報に基づいて分光測定制御部が波長変更部に波長変化速度信号を送信する。波長変更部は、その波長変化速度信号に基づき単色光の波長を順次変化させる。
例えば、試料による光吸収等がない状態で行ったベースライン測定の結果に基づき、前記検出器からの測定信号強度の積算値が一定になるように設定した積算回数又は積算時間を積算条件情報として記憶部に記憶させておき、その情報に基づいて単色光の波長を変化させていくことにより、光源の強度変化や検出器の感度変化だけでなく、様々な要因により影響されるS/N比の変動を補償して、全波長領域において信頼度の高い分光スペクトルを得ることができる。
例えば、光路上に存在する水蒸気等による光吸収や、測定系を構成する光学素子等による光吸収などの中には、予めその分光測定結果に対する影響の傾向を把握しておくことができるものがある。そのような場合、予め各波長におけるばらつきの程度を測定し、それに基づいてS/N比を一定にするような積算回数や積算時間を定めて記憶部に記憶しておくことにより、これらの変動要因の影響を排除した信頼度の高い分光測定を行うことができるようになる。
また、光源の波長−強度特性や、分光器の分光特性、検出器の波長−感度特性など、測定系を構成する機器に関する既知の波長依存性の情報に基づいて積算条件情報を設定しておくことにより、これらの波長依存性に起因するS/N比の変動を補償することもできる。
さらに、複数の測定系を取り替えて使用する場合には、各測定系に対応した積算条件情報をそれぞれ記憶部に保存しておくことにより、使用する測定系に応じた積算条件情報を選択するだけで簡便に信頼度の高い分光スペクトルを得ることができる。
そのほか、特定の波長範囲において積算回数又は積算時間を増加させた積算条件情報を記憶部に記憶させておくことにより、当該波長範囲においてS/N比を高めたスペクトルを取得することもできる。
このように、本発明に係る分光光度計では、様々な測定目的に対応した複数の積算条件情報を記憶部に記憶させておき、それらを適宜に選択することが可能であるため、種々の目的に合致した分光測定を簡便に行うことができる。
本発明に係る分光光度計は、更に、
c) 前記分光測定制御部による制御の下で行ったベースライン測定で得られた検出器からの測定信号強度に基づいて、ベースラインのS/N比が所定の条件を満たすように前記積算条件情報を変更し、補正積算条件情報として前記記憶部に保存する積算条件情報変更部
を備え、前記記憶部に補正積算条件情報が保存されると、前記分光測定制御部は該補正積算条件情報に基づいて前記波長変更部に波長変化速度信号を送ることが望ましい。
本発明のこの態様の分光光度計では、積算条件情報変更部は、予め記憶部に記憶された積算条件情報に基づくベースライン測定で得られた検出器からの測定信号強度に基づいて積算条件情報を変更した補正積算条件情報を記憶部に保存する。
例えば、積算条件情報変更部は分光測定制御部による制御の下で行ったベースライン測定で得られた検出器からの測定信号強度について、測定波長を含む所定の微小波長範囲の測定値や積算値のばらつき(例えば、数学的な標本分散値や標準偏差など)がすべて所定値以下となるように積算条件情報を調整する。この所定値は、予め設定しておいてもよく、その都度使用者に設定させるようにしても良い。具体的には、ある測定波長に関する積算値の分散が所定値を超える場合に、当該測定波長における積算回数又は積算時間を増加させることによって、S/N比の時間変動を平均化して小さくする。これにより、測定系内にS/N比を時間的に変動させる要因が存在する場合でも、その影響を低減して全波長領域において信頼度の高い分光スペクトルを得ることができる。
本発明に係る分光光度計の光源部が白色光源と分光器とを含む構成である場合には、前記分光器が一定の幅に固定された出口スリットを備えることが望ましい。これにより、全波長領域において一定の波長分解能で測定を行うことができ、より一層信頼度の高い分光スペクトルを得ることができる。
本発明に係る分光光度計では、記憶部に記憶させた積算条件情報を適宜に選択して用いることが可能であるため、測定の目的に沿った積算条件情報を記憶させておくことにより、多様な分光測定に対応することができる。従って、ベースライン測定の結果や、測定系を構成する機器に関する既知の波長依存性の情報に基づいて積算条件情報を設定しておくことにより、光源の強度変化や検出器の感度変化だけでなく、光路上に存在する水蒸気等による光吸収や、測定系を構成する光学素子等による光吸収など、様々な要因により影響されるS/N比の変動を補償して、全波長領域において信頼度の高い分光スペクトルを得ることができる。また、特定の波長範囲において積算回数又は積算時間を増加させた積算情報を記憶部に記憶させておくことにより、当該波長範囲においてS/N比を高めたスペクトルを取得することもできる。
さらに、積算条件情報変更部を備える態様の分光光度計を用いると、測定系内にS/N比を時間的に変動させる要因が存在する場合でも、その影響を低減して全波長領域において信頼度の高い分光スペクトルを得ることができる。
本発明に係る分光光度計の一実施例の要部構成を説明する図。 積算条件情報に基づく測定により得られるベースラインのイメージ図。 ベースライン一定分散モードを実行する手順を説明する図。 ベースライン一定分散モードにおける、積算条件情報に基づくベースライン測定について説明する図。 ベースライン一定分散モードにおける、補正積算条件情報に基づくベースライン測定について説明する図。 本実施例に係る分光光度計により得られるベースラインと移動平均処理により得られるベースラインを比較する図。
以下、本発明の一実施例である分光光度計について、図1〜図6を参照して説明する。
図1は本実施例に係る分光光度計の要部構成図である。本実施例の分光光度計は、試料3による波長ごとの吸光度を測定してスペクトルを得る装置であり、光源1、分光器2、検出器4、増幅器5、A/D変換器6、及び所定のプログラムを搭載したコンピュータ30と、コンピュータ30に接続された表示部40、入力部50により構成される。コンピュータ30は、分光測定制御部31、データ処理部32、記憶部33、及び積算条件情報変更部34を有している。
本実施例に係る分光光度計の基本的な動作を説明する。
図1において、例えば重水素ランプ等の光源1から発した光は、入口スリット21、回折格子22、出口スリット23、及びステッピングモータ24を含む分光器2に導入され、所定の波長の単色光が取り出される。ステッピングモータ24は、分光測定制御部31から送信される波長変化速度信号を受けて動作し、回折格子22の角度を変化させる。これにより、一定の幅に固定された出口スリット23を通過して取り出される単色光の波長が変化する。出口スリット23から取り出された単色光は試料3に照射される。
試料3を通過した光は検出器4に導入され、検出器4は入射した光の光量と検出感度に応じた信号を出力する。検出器4には、波長帯域に応じて、光電子増倍管、InGaAs、InAs、PbS等の半導体検出器など、適宜の検出器を選択して用いることができる。もちろん、複数の光検出器を用意し、測定波長に応じて使用する検出器を切り替えてもよい。
検出器4からの信号は増幅器5で増幅された後に、A/D変換器6に入力されてデジタル値に変換される。こうして得たデータは、データ処理部32に入力される。データ処理部32は、そのデータに対して所定の演算処理を実行し、スペクトルを作成して表示部40に表示する。
本実施例の分光光度計を用いて分析を行う手順を説明する。
はじめに、分光測定制御部31が表示部40に、使用者に分析モードを選択させる画面を表示する。分析モードは標準モードとベースライン一定分散モードの2つに大別される。標準モードでは、予め記憶部33に記憶されている、波長ごとに設定された、検出器4からの測定信号の積算時間である積算条件情報に基づいて試料3の吸光度の測定を行う。一方、ベースライン一定分散モードでは、積算条件情報に基づき、試料3による吸収等がない状態でベースライン測定を行い、その結果に基づいて積算条件情報変更部34に積算条件情報を変更させるとともに補正積算条件情報として記憶部33に保存させ、補正積算条件情報に基づいて試料3の吸光度の測定を行う。それぞれの測定モードについて、以下に説明する。
まず、標準モードについて説明する。このモードでは上述の通り、予め記憶部33に記憶されている積算条件情報に基づいて吸光度の測定を行う。このとき用いる積算条件情報は以下のように設定されている。
積算条件情報は、事前に行ったベースライン測定の結果に基づいて作成されたものである。具体的には、試料をセットしない状態で所定の波長範囲にわたって吸光度測定(エネルギー測定、ベースライン測定)を行った結果に基づき、ベースライン強度が一定になるように、検出器4からの信号の積算時間を設定したものである。この積算条件情報は、光源1から放射される光の強度が小さい波長領域や、検出器4の検出感度が低い波長領域、その他測定系を構成する光学素子等による光吸収や光損失がある波長領域において積算時間が長くなるように設定されている。この実施例では、積算条件情報は事前に行ったベースライン測定の結果に基づいて作成されているが、測定系を構成する機器の特性が既知である場合には、それらに基づいてベースライン測定を行うことなく積算条件情報を算出してもよい。
標準モードでは、上記のとおり設定された積算条件情報に基づいて試料3の吸光度測定を行う。試料3の吸光度測定では、分光測定制御部31は積算条件情報に基づいてステッピングモータ24に波長変化速度信号を送信する。このとき、例えば最長波長から所定の波長ステップ幅ずつ波長を減少させ、最終的に最短波長とする。もちろん、短波長側から長波長側へ波長を変化させてもよい。ある測定波長から波長ステップ幅だけ異なる次の測定波長に変化させるとき、分光測定制御部31は記憶部33に記憶された積算条件情報に基づいてステッピングモータ24に所定個数のパルス信号を送る。これに応じてステッピングモータ24は所定角度回転し、回折格子22も所定の微小角度だけ回動し、次の測定波長の単色光が取り出される位置で停止する。
従来、各測定波長でデータを採取する時間や回数は一定にしておき、分光器の出口スリットの幅を変化させて試料に照射する光量を増加させることで、光源等の特性に依存するS/N比の変動を補償することが行われてきた(例えば特許文献2)。しかし、この方法では、出口スリットを広げた測定波長でスペクトルの波長分解能が低下してしまう。
これに対し、本実施例では、出口スリット23の幅が一定に固定された分光器2を使用し、積算条件情報に基づいて測定波長毎に回折格子22を停止させている時間を変更し、検出器4からの測定信号を積算する。そのため、全波長領域で一律に高い波長分解能で測定を行うことができる。こうして得た測定信号は、増幅器5、A/D変換器6を経てデジタル化されてデータ処理部32に蓄積される。
その後、取得した全ての測定波長についての積算値データに対してデータ処理部32が所定の演算処理を行い、試料3の吸光スペクトルを表示部40に表示する。
積算条件情報におけるデータの積算時間は、光源1から放射される光の強度が小さい波長や検出器4の検出感度が低い波長、その他、測定系を構成する光学素子等により吸収・散乱される光が多い波長ほど長く設定されているから、図2に示すようにベースライン強度はほぼ一定になる。従って、この分光光度計を用いて試料3の吸光スペクトルを取得すると、光源1の強度変化や検出器4の感度変化だけでなく、光路上に存在する水蒸気等による光吸収や、測定系を構成する光学素子等による光吸収、光損失など、様々な要因により影響されるS/N比の変動が補償された、全波長領域において信頼度の高い吸光スペクトルが得られる。なお、本実施例では積算時間を積算条件情報としているが、積算回数を積算条件情報としてもよい。これは、後述するベースライン一定分散モードにおいても同様である。
上述の通り、積算条件情報はベースライン強度が一定になるように波長ごとの積算時間を設定したものである。しかし、測定系内にS/N比を時間的に変動させる要因が存在すると、標準モードでは十分にS/N比の変動を補償できない場合がある。
この場合、時間的な変動が完全に波長に依存しないランダムな現象であれば、原理的に補償を行うことはできない。しかし、複数回の分光測定において、ある程度の再現性があり、しかも波長依存性のある現象が存在する。このような現象の原因を特定することは困難であるが、例えば、分光光度計に通電した後、ウォームアップ等の影響で分光光度計内に存在した微量な水滴が水蒸気になって光路上を揺らぎながら漂うことがある。この場合、水滴が水蒸気となって蒸散し拡散するまでの時間において、水蒸気による吸収が長波長側で大きな影響を与える。このような場合には、上述した方法で測定信号強度の積算値が一定になるように積算条件情報を予め設定しておくことが困難になる。
このような場合に、ベースライン測定の結果に基づいて、測定信号強度の積算値が一定になるように制御すること自体、現象の揺らぎによって困難となってくる。また、波長の全範囲に渡って積算時間を十分長くとることで、揺らぎの影響を押さえ込むことはできるが、それでは測定時間が大幅に長くなってしまうこととなる。
ベースライン一定分散モードは、このような測定系においてS/N比の時間変動を低減するために好適に用いることができる。
ベースライン一定分散モードを使用する際の実行手順を図3により説明する。
ベースライン一定分散モードでは、はじめに、予め記憶部33に記憶された積算条件情報に基づいて、所定の波長範囲に亘り、試料をセットしない状態で測定を実行し(ステップS1)、ベースラインを取得する(ステップS2)。
図4(a)に、ステップS1実行時の各測定波長における積算時間を示す。ここでは、ベースライン一定分散モードの動作についての理解を容易にするため、測定波長をステップ状に変化させ、全ての測定波長で同じ時間tだけ信号を積算するように積算条件情報が設定されているものとした。上述したように、光源1から放射される光の強度が小さい波長や検出器4の検出感度が低い波長、測定系を構成する光学素子等により吸収・散乱される光が多い波長などでは積算時間が長く設定されるため、一般には測定波長ごとに積算時間が異なる。
ベースライン測定が完了すると、データ処理部32は表示部40にベースラインを表示する。測定系内を漂う水蒸気など、時間的にS/N比を変動させる要因が存在する場合に得られるベースラインの一例を図4(b)に示す。図4(b)に示す例では、波長λ1〜波長λ2の範囲においてベースラインに大きなばらつきが生じている。
ステップS2により得たベースラインをデータ処理部32が表示部40に表示すると、積算条件情報変更部34は、後述する処理を行う際に使用する所定値及び所定の単位時間を使用者に設定させる画面を表示部40に表示する。この実施例では、使用者が所定値をk、単位時間をΔtと設定した場合を例に説明する。
使用者が入力部50を用いてこれらの設定を完了すると、積算条件情報変更部34は、ステップS2で取得したベースラインに対し、測定波長ごとに積算値の分散を計算する(ステップS3)。ここでいう分散は、数学的な標本分散を意味する。積算値の分散の計算は、各測定波長の光を照射する際に、分光器2の出口スリット23を通過する波長範囲で得られた測定信号の積算値を対象として行う。言い換えれば、計算の対象となる波長範囲は分光器2の出口スリット23によって決まる波長分解能に対応する。
各測定波長について積算値の分散の計算を終了すると、積算条件情報変更部34は、各測定波長における積算値の分散が使用者により入力された所定値k以下であるかを判定する(ステップS4)。
図4(c)に、各測定波長における積算値の分散と使用者が設定した所定値kとの関係を示す。波長λ1〜波長λ2で積算値の分散が所定値kを上回っている。
積算条件情報変更部34は、ベースライン測定を行った波長範囲内で、積算値の分散が所定値kを超えている測定波長を抽出する。本実施例では、波長λ1〜波長λ2の範囲内の測定波長が全て抽出される。そして、それらの測定波長に関する積算時間を単位時間Δtだけ長くして新たに補正積算条件情報を作成する(ステップS5)。この段階で、波長λ1〜波長λ2の範囲内の測定波長に関する積算時間はt+Δtとなる。
補正積算条件情報が作成されると、分光測定制御部31は補正積算条件情報に基づいて再びベースライン測定を行う(ステップS6)。
補正積算条件情報に基づくベースライン測定が終了すると、積算条件情報変更部34は、先のステップS4において積算値の分散が所定値を超えていると判断した測定波長について、再び積算値の分散が所定値k以下であるかを判定する(ステップS7)。そして、積算値の分散が未だ所定値kを超えている測定波長について、再び積算時間を単位時間Δtだけ長くして再び補正積算条件情報を作成する。補正積算条件情報の作成(ステップS5)、ベースライン測定(ステップS6)、及びそれぞれの測定波長に関する積算値の分散の判定(ステップS7)は、全ての測定波長において積算値の分散が所定値k以下になるまで繰り返し行う。そして、全ての積算値の分散が所定値k以下になると(ステップS7でYES)、積算条件情報変更部34は補正積算条件情報を記憶部33に保存する(ステップS8)。
全ての測定波長について、積算値の分散が所定値k以下になるまで上述した手順(ステップS〜ステップS)を繰り返した結果を図5により説明する。図5(a)に、最終的に作成した補正積算条件情報に基づく各測定波長における積算時間を示す。図4(a)との比較から分かるとおり、波長λ1〜波長λ2の範囲内の各測定波長では、積算時間がt+nΔt(n≧1)に延長されている。図5(b)はこの補正積算条件情報に基づいて得たベースラインである。図4(b)との比較から、図5(b)ではベースラインのばらつきが小さくなっていることが分かる。そして、図5(c)に示すとおり、全ての測定波長において積算値の分散が所定値kを下回っている。
従来、S/N比を改善するために、検出器からの積算信号を各測定波長において移動平均する処理が行われていた。しかし、この場合、各測定波長で得た積算信号に、その近傍の測定波長で得た積算信号を組み入れて平均化するため、波長分解能が低下してしまう。これに対し、本実施例に係るベースライン一定分散モードでは、各測定波長で得た積算信号のみを用いる。従って、本実施例に係る分光光度計では波長分解能を低下させることなくS/N比を改善することができる。
図6(a)に本実施例の方法により得たベースライン、図6(b)に移動平均処理により得たベースラインを示す。図6(a)は、図4(b)のベースラインに対して上述した処理を行った波長λ1〜波長λ2間のベースラインであり、図6(b)は、図4(b)に示したベースラインに対し、同じ波長範囲で移動平均処理を行って得たベースラインである。
図6(a)と図6(b)の比較から分かるように、本実施例の分光光度計においてベースライン一定分散モードを実行することにより、従来の移動平均処理に比べて波長分解を犠牲にすることなくS/N比を高めることができる。
ステップ8までの各手順を経て、補正積算条件情報が作成されると、分光測定制御部は補正積算条件情報に基づいて試料3の吸光度測定を行う(ステップS9)。
上記実施例では、使用者が所定値、単位時間をそれぞれ設定したが、これらは必ずしも使用者が設定しなくてもよい。例えば、所定値kや単位時間Δtは、予め積算条件情報変更部34に設定しておいてもよい。また、所定のアルゴリズムを積算条件情報変更部34に設定しておき、測定波長について得た積算値の分散と所定値kの差分の大きさに応じて、積算条件情報変更34が自動的に積算時間Δtを設定するようにしてもよい。
上記の実施例は一例であって、本発明の趣旨に沿って適宜変更や修正を行うことが可能である。
例えば、上記実施例のベースライン一定分散モードにおいて、積算条件情報変更部が使用者に特定の波長範囲を設定させ、設定された波長範囲についてのみ積算値の分散を計算するようにしてもよい。例えば、試料による光吸収等が生じる波長範囲が予め分かっている場合には、この波長範囲についてのみ上述した各ステップを行うことで、目的とする波長範囲において効率よくS/N比を高めることができる。また、特定の波長範囲について他の波長範囲よりも所定値を低く設定し、その波長領域において特にS/N比を高めるようにしてもよい。
また、上記実施例ではS/N比の向上を目的として、積算回数あるいは積算時間を増加させる例について説明した。これとは逆に、十分に高いS/N比が確保されている波長領域では積算回数あるいは積算時間を減らして測定時間の短縮を図ることもできる。この場合には、積算値の分散が所定値kより小さい波長領域において積算回数あるいは積算時間をt-nΔt(n≧1)に短縮する。
複数の測定系を併用する場合には、各測定系に対応した積算条件情報を予め記憶部33に記憶させておくことが望ましい。これにより、使用する測定系に応じて積算条件情報を選択するだけで、簡便に信頼度の高いスペクトルを取得することができる。
また、ベースライン一定分散モードにおいて、作成した補正積算条件情報を記憶部33に蓄積させることが望ましい。これにより、過去に測定を行った系で再度測定を行う際に、上述したステップS5〜ステップS8を行うことなく、過去に作成した補正積算条件情報を選択するだけで簡便に信頼度の高いスペクトルを得ることができる。
上記の実施例では、ランプと分光器を用いて光源部を構成したが、光源部には波長可変レーザを用いることもできる。
1…光源
2…分光器
3…試料
4…検出器
5…増幅器
6…A/D変換器
21…入口スリット
22…回折格子
23…出口スリット
24…ステッピングモータ
30…コンピュータ
31…分光測定制御部
32…データ処理部
33…記憶部
34…積算条件情報変更部
40…表示部
50…入力部

Claims (5)

  1. 波長可変の単色光を生成する光源部と、該光源部で生成される単色光の波長を順次変化させる波長変更部と、試料と相互作用した後の光を検出する検出器とを有する分光光度計であって、
    a) 少なくとも前記光源部、前記波長変更部、前記検出器を含む測定系を構成する機器の特性に基づき、又は、事前に行われたベースライン測定の結果に基づき、波長毎に設定された、ベースライン測定で得られるベースライン強度が所定の範囲内となるような前記検出器からの測定信号の積算回数又は積算時間である積算条件情報を記憶させた記憶部と、
    b) 前記積算条件情報に基づき、前記波長変更部に波長変化速度信号を送る分光測定制御部と
    を備えることを特徴とする分光光度計。
  2. c) 前記分光測定制御部による制御の下で行ったベースライン測定で得られた検出器からの測定信号強度に基づいて、ベースラインのS/N比が所定の条件を満たすように前記積算条件情報を変更し、補正積算条件情報として前記記憶部に保存する積算条件情報変更部
    を備え、
    前記記憶部に補正積算条件情報が保存されると、前記分光測定制御部は該補正積算条件情報に基づいて前記波長変更部に波長変化速度信号を送ることを特徴とする請求項1に記載の分光光度計。
  3. 前記積算条件情報変更部が、前記分光測定制御部による制御の下で行ったベースライン測定で得られた検出器からの測定信号強度について、測定波長を含む所定の微小波長範囲の積算値の分散がすべて所定値以下となるように積算条件情報を変更して前記補正積算条件情報とすることを特徴とする請求項2に記載の分光光度計。
  4. 前記積算条件情報変更部が、使用者に前記積算条件情報の変更を行う波長範囲を設定させることを特徴とする請求項2又は3に記載の分光光度計。
  5. 前記光源部が白色光源と分光器とを含む構成であり、前記分光器が一定の幅に固定された出口スリットを備えることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の分光光度計。
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