JP5992075B2 - 溶融金属を収容するために用いる容器での溶融金属の熱的最適化 - Google Patents

溶融金属を収容するために用いる容器での溶融金属の熱的最適化 Download PDF

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Description

本発明は、溶融金属を収容および搬送するために用いる容器、とりわけ互いに接触し且つ使用中に溶融金属と接触する2つ以上の耐火性ライニングユニットを有する、このような容器に関する。より詳細には、本発明はこのような容器での溶融金属の漏出および熱的最適化に対処するものである。
溶融金属を収容および搬送するための多様な容器が知られている。例えば、溶融したアルミニウム、銅、鋼のような溶融金属は、しばしば細長い樋(またはトラフ、trough)(樋(launder)、ランナー等と呼ばれる場合がある)を介して、ある場所から別の場所、例えば金属溶融炉から鋳造モールドまたは鋳造装置、に搬送される。最近、このような樋(trough)を単独または任意の所望の長さの復号樋(integral trough)を形成するように一体に接合して用いることができる、モジュール式樋部分(modular trough section)として形成することが一般的になっている。それぞれの樋部分は、通常、使用中に溶融金属と接触し、溶融金属を樋の一端から他端に搬送する耐火性ライナーを含んでいる。耐火性ライナーは断熱材料により取り囲まれてよく、当該複合構造は金属または他の硬い材料で作られた外側ハウジングまたはシェルの内部に保持されてよい。それぞれの樋部分の端部は、拡大した十字板(enlarged cross-plate)またはフランジが設けられ、構造的支持を与え、1つの樋部分と別の樋部分との接続を容易にしている(例えば、隣接するフランジをボルトで留めて一体とすることにより)。
溶融金属が樋を通過する際に溶融金属の温度を維持する加熱手段を備えた、金属を搬送する樋も知られており、このような加熱手段は、熱が耐火性ライナーの壁を通って内部の金属に伝わるように、耐火性ライナーの外側表面に隣接したハウジングの内部に位置してよい。例えば、2005年12月13日発行されたTingeyらよる米国特許第6,973,955号は、外側金属ハウジングの内部で耐火性ライナーの下に保持された電気的加熱要素を有する樋部分を開示している。この場合、耐火性ライナーは、例えば炭化シリコンまたは黒鉛のような比較的熱伝導率の高い材料により作られる。この構成の注意すべき不都合は、溶融金属がライナーから漏れ得ることであり(例えば、使用中に進展し得るクラックを介して)、加熱要素に損傷をもたらす。これを防止するように、耐火性ライナーの底部と加熱要素との間に金属侵入障壁が設けられている。金属侵入障壁は、(溶融金属に対して)濡れ性を有しない耐熱金属合金(例えば、Fe−Ni−Crの合金)のスクリーンまたはメッシュの形態を取ってよい。上述の特許の溶融金属障壁は効果的であり得るが、漏出に起因する全ての溶融金属が加熱要素に接触しない様式で導入することは通常困難である。また、金属漏出の問題に対するこの解決策は、高価となる傾向、とりわけ金属侵入障壁に特別な合金を用いた場合に高価となる傾向がある。
ライナー自身が、樋または樋部分の内部で、隣接して一体となった2つ以上のライナーユニットから構成されている場合、耐火性ライナーからの溶融金属の漏出の問題は増大する。2つのライナーユニットの接合は、金属がライナーに浸透し得る弱点(または弱い部分)を形成する。クラックの発生または機械的破損の危険性の増加無しに、耐火性ライナーユニットを製造できる長さの実用的限界が存在するがしかし、樋の経路を完成させるのに必要な樋部分の数を最小にするように、この限界より長い樋部分が必要であり得ることから、多くの場合、2つ以上のこのようなユニットの使用が必要となる。樋部分が、端部と端部とが接合された2つ以上の耐火性ライナーユニットを含む場合、該ユニットは概して圧縮力(ハウジングまたは端部フランジにより付与される)により一体で保持され、介在する接合部(intervening joint)は、通常、耐熱紙(refractory papaer)または耐火性ロープの圧縮可能な層によってのみシールされる。時間が経つと、このようなシールは劣化し、ある量の溶融金属が、通常、耐火性ライナーを介してハウジングの内部に漏出する。樋部分が、1つ以上の加熱要素または他の装置を含む場合、溶融金属はしばしばこのような加熱要素または装置にたどり着き、機器の損傷および電気的短絡をもたらす。
既知の装置の更なる欠点は、加熱した樋または樋部分が用いられた場合、高い熱伝導率を有する性耐火性ライニングが概して用いられ、樋ライナーの耐火性材料を介して効率的な熱伝達ができる。しかし、このことは、熱が耐火性ライナーに沿って金属製の端部フランジ(metal end flange)に伝導し、これによりハウジングの外側にライナーからの大きな熱損失領域および高温の危険な領域を形成するという欠点を有し得る。
従って、これらの問題のいくつかまたは全ておよび可能であれば付加的な別の問題に対処するように、この一般的な種類の樋部の改良についての要求がある。
例示的な実施形態は、溶融金属を収容するために用いる容器を提供する。当該容器は、端から端まで(または一端から他端まで、end to end)位置し、少なくとも2つの耐火性ユニット(または耐火物ユニット、refractory liner unit)を有し、該ユニットの間に接合部を備えた耐火性ライナー(または耐火物ライナー、refractory liner)を含み、耐火性ユニットは、それぞれ、外面と、金属に接触する内面とを有する。当該容器は、また、ハウジングであって、前記外面と前記ハウジングとの間に隙間を有して前記耐火性ライナーユニットの外面を少なくとも部分的に取り囲むハウジングを有する。溶融金属が透過できない(または貫通できない、impenetrable)複数の溶融金属制限要素が前記隙間内において前記接合部の両側で、使用中に前記容器内に保持される溶融金属の所定の最大作業高さ(または操作高さ、working height)に対応した水平レベルよりも少なくとも下に位置し(または少なくとも下の部分には位置し)、前記隙間を前記要素の間の溶融金属制限領域と少なくとも1つの別の領域とに分割する。前記制限要素は前記制限領域の溶融金属がハウジング内部の前記隙間の前記他の領域に浸透するのを防止し、これらの領域を溶融金属との接触により損傷しうる装置(例えば、電気ヒーターのような加熱装置)を収納するために用いてよい。従って、容器の耐火性ライナーの任意の部分を介して浸透し得る溶融金族を拘束(または抑制、restrain)するように障壁を設けるよりも、このような金属の浸透が最も起こりそうな場所が耐火性ライナーを構成するユニット間の接合部(junction)であるという観察に基づいて、このような如何なる溶融金属の浸透に対して制限領域(または閉じ込め領域、confinement area)または逃げ道を提供する。このようにして、損傷が生じ得る容器内部の領域から溶融金属を隔離する。
別の例示的実施形態は、溶融金属のための入口と溶融金属のための出口とを有する溶融金属を収容するための容器に関する。当該容器は、隣接する耐火性ライナーユニット(または複数の耐火性ライナーユニット、refractory liner units)により構成された耐火性ライナーを含む。耐火性ライナーユニットは、少なくとも1つの中間耐火性ライナーユニット(または中間耐火物ユニット)と、一方が溶融金属の入口に位置し、他方が溶融金属の出口に位置する2つの端部ユニットとを含む。当該中間ユニット(または単数または複数の中間ユニット、intermediate unit(s))は、端部ユニット間に位置し、前記入口および前記出口から離れている。耐火性ライナーユニットは、それぞれ、外面と、金属と接触する内面とを有する。ハウジングが端部ユニット(または複数の端部ユニット、end units)と接触し、中間ユニットの外面とハウジングとの間に隙間を有して、耐火性ライナーユニット(または複数の耐火性ライナーユニット)の外面を少なくとも部分的に覆っている。加熱装置は、前記隙間内で前記中間ユニットに隣接して位置する。前記ライナーユニットは、耐火性材料から作られ、端部ユニット(またはそれらの少なくとも1つ)の耐火材料は、中間ユニットの耐火材料よりも低い熱伝導率を有する。このことは、加熱装置から中間ユニットを通る熱の浸透を最大化するがしかし、端部ユニットを通って溶融金属の入口および出口に隣接するハウジングへの熱損失を最小化する。
両方の例示的な実施形態は、容器は多様な形態を取りうるがしかし、耐火性ライナーが細長く、溶融金属の流入のための入口を一方の端部に有し、溶融金属の流出のための出口を反対側に有する場合、容器は、好ましくは、溶融金属を搬送するために用いる樋または樋部分である。金属と接触している、ライナーユニットの内面は、上部が開口している溶融金属搬送通路(またはチャンネル)または閉じた通路(例えば、パイプを形成している耐火性ライナーを備えて)を形成する。
好ましい実施形態は、溶融金属を搬送する樋部分に関し、該樋部分は、端部から端部(または一端から多端まで、end to end)まで位置し、少なくとも2つの耐火性ライニングユニットであって、細長い耐火性ライニング(または1つの耐火性ライニング、a refractory lining)を形成するための前記ユニットの間の接合部を備え、それぞれが外面と前記外面の上部側に位置する長手金属搬送通路開口部とを有し、前記外面の上部を除いて前記耐火性ライニングユニット(refractory lining units)を少なくとも部分的に覆うハウジングであって、前記耐火性ライニングユニットと該ハウジングの間に隙間を備えたハウジングを有する耐火性ライニングユニットと;1組の金属制限要素であって、金属を通さず、前記接合部の両側(またはそれぞれの側)に1つずつ位置し、前記耐火性ライニングユニットの外面を取り囲み、使用中に前記樋部分により搬送される溶融金属の所定の最大作業高さ(または操作高さ、working height)に対応した水平レベルよりも少なくとも下に位置し(少なくとも下の部分には位置し)、前記外面と前記ハウジングの内面との間の隙間を埋める1組の金属制限要素と;を含み、前記制限要素のそれぞれの形状が前記外面と前記内面とに適合し、前記接合部より漏出した溶融金属を収容および制限する溶融金属制限領域を前記金属制限要素の間に形成している。
別の好ましい例示的な実施形態は、溶融金属を搬送するための樋部分を提供し、該樋部分は、対向した長手方向端部(または横方向端部、longitudinal ends)を有する細長い耐火性ライニングを形成するように端部から端部まで位置する少なくとも2つの耐火性ライニングユニットであって、前記ユニットのそれぞれが上部に長手金属搬送通路開口部を有する耐火性ライニングユニットと、前記上部を除いて前記耐火性ライニングを少なくとも部分的に覆い、前記耐火性ライニングの長手方向端部に接触し且つ該長手方向端部を部分的に取り囲む横断端部壁(または横方向端部、traverse end wall)を含むハウジングと、を含み、前記登壇端部壁に接触している前記耐火性ライニングユニットは、前記細長い耐火性ライニングを形成する他の耐火性ライニングユニットの少なくとも1つの材料よりも低い熱伝導率を有する耐火材料により作られている。
耐火性ライニングユニットの長さが長くなる程、耐火性ライニングユニットにクラックが生ずる傾向がより強くなり、そして耐火性ライニングユニットを作ることが可能な実用的な最大長さが(最大長さは選択する材料により変わり得るがしかし、しばしば400〜1100mmの範囲である)存在することから、例示的な実施形態に係る樋部分に、樋部分1つにつき少なくとも2つの中間ユニットを備えることが好ましい。さらに、樋部分の耐火性ライニングを樋部分内部から加熱する場合、樋部分を可能な限り長くし、加熱される樋の長さを最大化することが望ましい。樋部分が接合されている、樋部分の端部領域は加熱することができず、実際、樋部分の端部壁での熱損失が起こりうる。このため、樋の所要の長さを形成するために用いる樋部分の数は最小限にすることが望ましい。このことは、樋の単位長さ当たりの熱のインプット(または入力)を最大にする。好ましいことではないが、溶融金属の流路の他の装置との間の距離の制約に起因して、1つの中間耐火性ライニングユニットにより構成された短い樋モジュールも必要であり得る。樋部分は、樋1つ当たりの耐火性ライニングユニットの数を調整することにより、概して、任意の適切な長さに作ることができる。570mm〜2mの長さ、より好ましくは1300mm〜1800mmの長さ、が通常である。この範囲から選択される実際の長さは、導入の容易さ、溶融金属の流路において他の装置と接続するために必要な加熱されていない部分の最小化ならびに操作および輸送の容易さにより決定される。
例示的な実施形態の樋部分は耐火性ライニングユニット(および金属制限要素)を備え、任意の種類の溶融金属を搬送するのに用いてよく、変形、溶融、分解または化学反応を起こすことなく、直面する温度に耐える材料により作られる。理想的には、この耐火材料は1200℃までの温度に耐え、これら材料は、アルミニウムおよび銅にとって適切であろうがしかし、鋼には適切ではない(鋼にはより高い温度に耐える耐火材料が必要であろうし、またこのような耐火材料を利用できる)。最も好ましくは、前記樋部分は、アルミニウムとその合金に利用することが意図されており、この場合、耐火材料はわずか400℃〜800℃の温度範囲の操作温度に耐える必要があるだけであろう。
金属を収容する容器に言及して本明細書において用いる用語「耐火材料」は、溶融金属による攻撃に対して相対的に耐久性を有し、当該容器に想定される高温においてその強度を保持することが可能な、全ての材料を含むことを意図する。このような材料は、セラミック材料(無機非金属固体(inorganic non-metallic solids)および耐熱ガラス)および非金属を含むが、これらに限定されるものではない。制限するものではない、適切な材料のリストは以下を含む:アルミニウム酸化物(アルミナ)、シリコン酸化物(シリカ、とりわけ石英ガラス(または溶融石英))、マグネシウム酸化物(マグネシア)、カルシウム酸化物(石灰)、ジルコニウム酸化物(ジルコニア)、ボロン酸化物(酸化ホウ素);炭化ケイ素(とりわけ、窒化物結合炭化ケイ素(SiC/Si))、炭化硼素、窒化硼素のような、金属炭化物、金属硼化物、金属窒化物、金属ケイ化物;アルミノケイ酸塩(例えば、ケイ酸カルシウムアルミニウム);複合材料(例えば、酸化物と非酸化物の複合材料);機械加工可能なガラスを含むガラス;ミネラルウール(または鉱滓綿)のファイバーまたはこれらの混合物、炭素または黒鉛;等。
図1は、本発明の1つの例示的な実施形態に係る樋部分の斜視図であり、明確にするために上板を取り除いている。 図2は、図1の樋部分の垂直縦断面である。 図3は、図1および図2の樋部分の上面図である。 図4は、図1〜図3の実施形態で用いられる金属制限要素の斜視図であるがしかし、分離し、かつ拡大したスケールで示している。 図5は、図1と同様の斜視図であるがしかし、別の例示的な実施形態を示している。 図6は、図5の樋部分の垂直縦断面である。 図7は、図5および図6の樋部分の上面図である。 図8は、図1〜図5および図5〜7の実施形態に用いる耐火性ライナー端部ユニットの斜視図であるが、しかし、分離し、かつ拡大したスケールで示している。 図9は、更に別の実施形態の樋部分の斜視図である。
1つの場所から他の場所に溶融金属を搬送するために用いる、樋部分の形態の1つの種類の金属収容容器を示す、本発明の第1の例示的な実施形態を図1〜3に示す。樋10は、短い距離の間を橋渡しするように単独で用いてよく、または1つ以上の同様なまたは同一の樋部分と接合して、より長いモジュラー金属搬送樋を形成してもよい。これらの図に示した樋部分は通常、2つの水平な長手方向金属上板(または縦金属上板、longitudinal metal top plate)を備え、1つは金属搬送通路11の両側に沿って延在し、外側ハウジング(または外側筐体)20の上面を形成するが、そのような上板は、内部の要素を見せるために図から省略されていることに留意すべきである。通常、ハウジングの内部に配置されている断熱材(例えば、耐火物の断熱板または繊維状のバット(batt)の形態)もまた明確にするために省略されている。補強要素13(ハウジング(または筐体)20を強化するために設けられている)もまた、図1では通路11の一方の側面にのみ示されているが、図3に見ることができるように両側に存在する。
金属搬送通路11は、一体となって、使用中に溶融金属を収容および樋部分の一端から他端まで搬送する細長い耐火性ライナー12を形成する4つの耐火性ライナーユニットによって形成されている。4つの耐火性ライナーユニットは、2つの中間ユニット14および15と、2つの端部ユニット16および17とを含む。これら、上部が開口した概してU字型のユニットは長手方向(または縦方向)に整列してライナー12を形成し、ハウジング20の内部に保持されている。ハウジングは鋼のような金属により、通常作られ、(上述の上板に加えて)側壁21と、底壁22と、樋部分とを支持し、そのような1つ樋部分の別の樋部分への接続(または取り付け、attachment)を容易する(例えば、隣接する樋部分のフランジをボルト締めにより一体にすることにより)フランジを形成する1組の広がった横断端部壁(または横端部壁、transverse end walls)23とを有する。ハウジング20は、耐火性ライナーユニットの開口した上側を除いて、耐火性ライナーユニット(または複数の耐火性ライナーユニット、refractory liner units)を取り囲むがしかし、耐火性ライニングユニットと隣接する側壁21および底壁22の内面との間に存在する隙間(またはギャップ)を有する。側壁と底壁と端部壁とが一体に接合され、通路11からハウジングに漏出した如何なる溶融金属も漏れないようにしてもよく、または側壁と底壁と端部壁とは隙間を有し(例えば、底壁と側壁の間に)溶融金属が漏出してもよい。
2つの中間耐火性ライナーユニット14および15は、一体に接合されて(または一体に付き合わされて(butt together))、溶融金属の漏出に対してシールした接合部を形成する(例えば、該ユニット間に圧縮可能な耐火紙の層を配置して、または隣接した表面(または接した表面、abutting face)に設けた溝18の内部に圧縮した耐火性ロープを配置して、または当該ユニットの通路表面を切り込んで(または切り欠いて、cut into)接合部を重ね合わせて(またはオーバーラップさせて))。同様の接合部26および27が、端部ユニット16,17とそれらに隣接する中間ユニット14および15との間に形成される。該端部ユニットは図示(図2)するように中間ユニットの外側に沿って短い距離延在する部分を有し、従って、接合部26、27を介した通路11からの溶融金属の漏れに対してより複雑なまたはより入り組んだ経路が存在するが。これらの接合部もまた耐火紙または耐火ロープ等のシールを備え溶融金属の漏れを防止する。端部ユニット16および17のユニット14および15の外側に沿って延在する部分もまた端部ユニット16および17が中間耐火性ライナーユニット14および15に支持を与えることを可能にする。図2から判るように端部ユニットは順にハウジングの底壁22の上に配置されているからである。しかし、このような物理的な支持は不可欠ではなく、耐火性端部ユニット(または耐火物端部ユニット)のクラックの発生または損傷を生じうる、耐火性端部ユニットへの望ましくない機械的な負荷の増加をもたらす場合には好ましくないことさえあり得る。端部ユニット16および17のそれぞれは、また、端部壁23の矩形切り欠き部31を介して延在する突起部30を有し、当該突起部の端部は隣接する端部壁よりも僅かに盛り上がっており(または突き出ており)(通常、0〜10mmの範囲、好ましくは約6mm)、樋部分10は、隣接し整列して互いに接する突起部30により、端末同士を取り付け、界面での溶融金属の損失を防止できる。切り欠き部31は突起部30の周囲に密接に適合し、その結果、端部ユニット16および17のための支持もまたハウジング20の端部壁23により提供される。端部ユニット17は、明確にするために分離して図8に示した。
上述したように、2つの中間耐火性ライナーユニット14および15は接合部25で互いに隣接している。1組の金属制限要素(または金属閉じ込め要素、metal confinement elements)35および36が隙間24に備えられ、1つのこのような要素が接合部25の対向する側のそれぞれに位置し、これら要素の間に金属制限領域(または金属閉じ込め領域、metal confinement region)38を規定している。この領域は、金属制限領域と呼ばれる。樋部分の使用中に接合部2を介して溶融金属が通路11より漏出した場合(ユニット14および15の間のシールが損傷し始めた場合に起こりうるように)、溶融金属は制限領域38に漏出し、ハウジング20の内部の他の部分への移動が制約されるからである。ハウジング20が当該制限領域に出口を有しない場合、該制限要素に漏出した如何なる溶融金属も永久にそこに保持され、ハウジングの内面に接触して凝固し得る。一方、ハウジング20が出口を有する場合(例えば、ハウジングの底壁と側壁の間に隙間がある場合)、溶融金属はハウジングの外側に漏出でき(溶融状態のままの場合)、溶融金属は、適宜、適切な容器または通路に集められてよい。上述したように、重要な特徴は、制限要素35および36が溶融金属の制限領域を越えたハウジングの他の内側部分への移動を防止することである。溶融金属のこのような制限を確かにするように、図4に分離して示す要素35および36は、耐火性ライナーユニット14および15の外面とハウジング20の内面とに、それぞれ、形状がしっかりと一致する(またはぴったりと合う)内面39と外面40を有しており、これによりハウジングに沿った領域38からの金属の脱出に対して障壁またはダムを形成する。制限要素は、耐火性ライニング12の真下に、当該耐火性ライニングが置かれる鞍(またはサドル、saddle)または架台(cradle)を形成すると考えることもでき、耐火性ライナーユニット14および15に物理的な支持を与え得る(例えば、制限要素が圧縮できない物質からできている場合)。しかしながら、このような物理的な支持は不可欠なものではなく、制限要素または耐火性端部ユニットのクラックの発生または損傷を生じうる、制限要素への望ましくない機械的な負荷の増加をもたらす場合には好ましくないことさえあり得る。金属制限要素は、好ましくは、溶融金属による浸透に対して無孔(imperforate)であり(すなわち、金属制限要素は中空でない(または中身が詰まった、solid)または溶融金属を通して流すには小さすぎるポア(または細孔、pore)または孔(hole)を有する)、高温および溶融金属の攻撃(またはアタック)に対して耐久性がある。金属制限要素はまた、好ましくは、熱伝導率が比較的低く(例えば、好ましくは約1.4W/(m・K)より低く、例えば約0.2〜約1.1W/(m・K)の範囲)通路11の溶融金属からハウジング20への過度の熱損失を防止する。制限要素に適した材料は、石英ガラス、アルミナ、アルミナ−シリカ混合物、ケイ酸カルシウム等を含む。溶融金属の浸透に対して優れたシールを与えるように、内面39は、好ましくは、耐火性ロープまたは成形可能な耐火性材料のビーズ(または数珠玉、bead)のような圧縮可能なシーリング要素(不図示)を受け入れるための平行溝(または平行な複数の溝、parallel grooves)を備える。外面も同じように溝を有しシールされてよいがしかし、外面は冷たく熱電性のよいハウジングの壁と接触することから、外面40と隣接するハウジングの壁との間に浸透した如何なる溶融金属も凝固し、従ってそこに留まるであろう。従って、このような付加的なシーリングは特に必要ではない。ハウジングの内壁は、短く直立した(upstanding)位置決めストリップ42(図2)を、少なくとも側壁に沿って有し、制限要素の導入および適切な位置決めを容易にし、使用中の制限要素の移動を防止してよい。
制限領域38を形成するように、制限要素35および36は、互いに間隔を空け且つ接合部25と間隔を空けている。しかし、少量の溶融金属であっても収容するのに十分な空間があり、溶融金属が逃げることができれば、間隔は実質的にはゼロであってもよい。間隔が増加すると、溶融金属を保持するための制限領域の容量は望ましく増加するがしかし、ハウジング内の隙間の他の領域(すなわち、他の目的にために必要であり得る領域)の寸法は、望ましくなく減少する。実用的には、これら要素の間の間隔は0〜150mmの範囲、好ましくは0〜100mmの範囲、より好ましくは10〜50mmの範囲であってよい。制限領域が、全面で取り囲まれている場合、漏出量が十分に多ければ、もしかしたら溶融金属により満たされ得るがしかし、ハウジングの他の領域への漏出を防ぐという所望の効果が妨げられれば、このことはどうでもよい。
図面では、制限要素35および36は、通路11の両側において、耐火性ライナーユニット最上部(top)まで延在している。実用的には、しかしながら、使用中に樋部分を通って搬送される溶融金属の所定の最大作業高さ(または操作高さ、working height)に対応した水平レベルよりも高く、これらの要素を延在する必要はない。このレベルよりも上では溶融金属の漏出はないであろうからである。このレベルは、1つの例として、図2に点線43で示した。明らかに、通路11からハウジング20の内部(すなわち、制限領域38)への溶融金属の漏出はこのレベルより上には決して上昇しないであろう。従って、制限要素が上方に少なくともこのレベルまで延在していると、制限要素の上部を越えて流れないであろう。
上述したように、制限要素35および36は、接合部から漏出した全ての溶融金属がハウジング20の他の領域に移動するのを防止する。このことは、これら他の領域が溶融金属との接触により損傷し得る装置(例えば、通路11内の溶融金属を所望の高温に保持するのに用いる電気加熱要素45)を含む場合、とりわけ望ましい。そのような要素はTingeyらによる米国特許第6,973,955号に開示されている種類のものであってよい(この参照によりその開示は明確に本明細書に取り込まれる)。例示的な実施形態は溶融金属をこのような装置を含む領域から隔離しているけれども、装置の最も低い部分よりも下のレベルに、これら他の領域において1以上の排出口(drain hole)を設けることもまた賢明であろう。従って、これらの領域に達した全ての溶融金属(例えば、接合部25から離れた耐火性ライナーのクラックから)は、これらの装置に損傷を生ずることなく流出するであろう。
図1〜図3の例示的な実施形態は、2つの中間耐火性ライナー14および15を有する樋部分10を示しているが、所望であれば、樋部分を長くできるように、2つより多くのそのようなユニットがあってもよい。そのような場合、1組の制限要素は、好ましくは、中間ユニットの間のそれぞれの接合された接合部(または突き合わされた接合部、butt joint)に隣接して配置される。実用的には、しかしながら、約2mよりも長い樋部分は非常に扱いにくく、操作するのに重たく、また長さ2mまでの樋部分は図示するように僅か2つの中間ユニット14および15を有して構成できることから、2つのみのそのような中間ユニットを有する樋部分が一般的であることが見いだされている。
図5〜図8は、樋部分10の他の実施形態を示す。この他の実施形態は、図1〜図4の実施形態と同様であるがしかし、制限要素35、36が省略され、接合部25において通路の両側で耐火性ライナーを位置決めおよび支持する、耐火材料(例えば、珪灰石、wollastonite)の狭い支柱(またはピア、pier)46に置き換えられている。この実施形態において、接合部25から漏出する溶融金属を制限する対策(provision)はないがしかし、所望であればそのような制限を図1〜図4の形態で設けることができる。代わりに、この他の実施形態は、高い熱伝導率を有する耐火材料により中間耐火性ライナーユニット14および15を作ることにより、通路11内の溶融金属による加熱要素45からの熱利得を最大化することを確かにし、一方でまた、耐火性ライナー12の端部(端部ライナーユニット16および17)を通る溶融金属による熱損失を最小化することを確かにすることを主に意図している。端部耐火性ライナーユニット16および17では、当該ユニットとハウジング20の金属端部壁23とが接触し、これらのユニットを通って熱がハウジングに向けて失われ得る。端部ユニットを熱伝導率の低い耐火材料により作ることでこの熱損失は最小化される。端部ライナーユニット16および17と中間ライナーユニット14および15との間の如何なる熱伝導率の差(当該中間ユニットが当該端部ユニットよりも高い熱伝導率を有して)も、1つまたは両方の端部での熱損失を低減しながら、通路の中央での熱利得を改善できるであろうがしかし、熱伝導率の差を比較的大きくすることが好ましい。理想的には、中間ライナーユニットに用いる材料の熱伝導率は、好ましくは、少なくとも3.5W/(m・K)(watt per meter of thickness per degree Kelvin)である。中間ユニットに用いる材料の熱伝導率が低い程、要素45の温度を上げて補償しなければならない。一方、中間ユニットに用いる材料の熱伝導率が高い程、材料コストが望ましく上昇する傾向がある(とりわけ、非常に高い熱伝導率でかつ特殊な耐熱材料を用いた場合)。中間ユニットのために選択する材料の熱伝導率の好ましい範囲は、高い熱伝導性と合理的なコストの間の妥協を与えるように、3.5〜20W/(m・K)であり、より好ましくは5〜10W/(m・K)でさえある。とりわけ好ましい熱伝導率は約8W/(m・K)であることが見いだされている。対照的に、端部耐火性ライナーユニット16および17の場合、耐火材料の熱伝導率は、好ましくは、約1.4W/(m・K)よりも低く、例えば約0.2〜約1.1W/(m・K)の範囲である。
中間耐火性ライナーユニット14、15に適した高い熱伝導率の材料は炭化ケイ素、アルミナ、鋳鉄、黒鉛等を含む。中間耐火性ライナーユニットは、所望であれば、少なくとも、その外面を熱伝導率が高く、高い熱吸収性を有するコーティングにより被覆されて、加熱要素45からの放射伝熱を最大にしてよい。耐火性ライナー端部ユニット16、17に適した材料は、石英ガラス、アルミナ、アルミナ−シリカ混合物、カルシウムケイ酸塩等を含む。
端部ユニット16および17、好ましくは、適切な構造的一体性(structural integrity)とハウジングの端部壁23への熱損失対する優れた断熱性を備えながら、可能な限り通路11の長手方向について短く作られる。実用的には、適切な長さは端部ユニットを作る材料に依存するがしかし、概して25〜200mmの範囲であり、好ましくは75〜150mmの範囲である。樋部分の両端部に比較的低い熱伝導率の端部ユニットを備えることもまた望ましい。この種の端部ユニットは、状況が適当であれば(例えば、樋部分の1つの端部が直接、金属溶融路に接続されており、その結果、端部壁23は金属溶融炉近接部からの非常に高い温度にあり、端部壁を介した熱損失が無視できるかまたは熱利得さえ考えられる場合)、樋部分の一方の端部にのみ設けてよいのであるが。端部ユニットは、そして、高い熱伝導率を有する材料により作られ(中間ユニットと同様に)、樋部分のこの端部であっても通路内の溶融金属への伝熱を確かにしてよい。
図5〜7は、2つの中間ライナーユニット14、15を有する実施形態を示しているが、さらにまた別の例示的な実施形態は中間ライナーユニットを1つのみ有してよい。そのような実施形態は図9に示され、1つだけ中間ライナーユニット14’がある。1つだけの中間ライナーユニットの使用は、溶融金属の漏出の可能性を有する中間接合部(図5〜7の接合部25)の形成を回避する。しかしながら、上述したように、それを超えると構造的な脆弱性が増加し得る中間ライナーユニットの実用的な最大長さがあることが見いだされており、よって図9の樋部分10の長さは、先に示した実施形態よりもより制限され得る。この例示的な実施形態では、2つ以上よりむしろ、また1つだけ中間ユニットがあってよい。単一の中間ライナーユニット14’は高い熱伝導率の材料により作られ、端部ライナーユニット16、17の少なくとも1つ(好ましくは両方)は、上述のように低い熱伝導率の材料により作られる。
上述したように、例示的な実施形態の全ての樋部分は1つまたはそれ以上の断熱材料の層を耐火性ライナー12とハウジング20の内面との間の隙間内の利用可能な空間(とりわけ、側壁に隣接して)に有してよい。断熱材は、例えば、アルミノケイ酸塩耐火物繊維のボード(alumino-silicate refractory fibrous board)、微小孔を有する断熱材(例えば、シリカ・フューム、二酸化チタン、炭化シリコン混合物)、珪灰石、ミネラルウール(鉱滓綿)等である。断熱材はハウジングの外面を合理的な(またはある程度の)低い温度に維持し、操作者は火傷する過度のリスクに曝されることがなく、また金属通路内の溶融金属の所望の高い温度を維持するのを支援する。明らかに、加熱要素を用いる実施形態において、そのような断熱材は、そのような加熱要素と耐火性ライナーユニットとの間には位置せず、また制限領域38は、必要に応じて、断熱材の無い状態に保たれ、逃げる溶融金属の凝固プレート(または凝固板)をハウジング20の内面とする。
上述の実施形態は、樋部分を溶融金属収容容器の例として示しているが、この種の耐火性ライナーを有する別の容器を用いてよい(例えば、溶融金属フィルター用の容器、溶融金属脱ガス装置(または脱ガス剤、degasser)用の容器、るつぼ等)。容器が樋または樋部分の場合、樋または樋部分は、上面から樋または樋部分に延在する、開口を有する金属搬送通路を有してよい(例えば、例示的な実施形態に示すように)。または、当該通路は全体が包囲されていてもよい(例えば、一端から他端まで樋または樋部分を通り抜ける管状の穴であり、この場合耐火性ライナーはチューブ(または筒)またはパイプ(管)のようである。)。別の例示的な実施形態では、容器は、溶融金属を脱ガスする容器として機能する(例えば、1995年8月10日に公開されたPCT特許出願の国際公開公報WO95/21273号に開示されている(その開示は参照することにより本明細書に取り込まれる)、所謂「アルキャンコンパクト金属脱ガス装置(Alcan compact metal degasser)」にあるような)。脱ガス操作は、溶融金属が溶融炉から鋳造装置(casting table)に移動する際に、溶融金属の流れから水素および他の不純物を除去する。そのような、容器は溶融金属を制限(または閉じ込める、containment)するための内容積を有し、その内部に上方から回転可能な脱ガスインペラー(または羽根車、impeller)が突き出る。容器は、バッチプロセスに用いてよく、または金属搬送容器に取り付けられた金属分配システムの一部であってもよい。概して、容器はハウジング内に位置する、いくつかの隣接した耐火性ライナーユニットを有する、如何なる耐火性金属制限容器であってよい。
本発明に関する容器は、通常、溶融アルミニウムおよびアルミニウム合金を含むことが意図されているがしかし、他の溶融金属、とりわけアルミニウムと同様な融点を有する溶融金属、を収容するために用いることもできる(例えば、マグネシウム、鉛、錫および亜鉛(これらはアルミニウムより低い融点を有する)ならびに銅および金(これらはアルミニウムより高い融点を有する))。

Claims (9)

  1. 溶融金属のための入口と溶融金属のための出口とを有する、溶融金属を収容するための容器であって、
    隣接した耐火性ライナーユニットから構成されている耐火性ライナーであって、該ユニットは、少なくとも1つの中間ライナーユニットと、2つの端部ユニットであって、1つが前記入口に位置し、別の1つが前記出口に位置する端部ユニットとを含み、前記少なくとも1つの中間ユニットが前記端部ユニット間に前記入口と前記出口から離れて位置し、前記ライナーユニットのそれぞれが外面と、金属に接触する内面とを有する耐火性ライナーと、
    ハウジングであって、前記端部ユニットと接触し、前記耐火性ライナーユニットの外面を少なくとも部分的に取り囲み、前記少なくとも1つの中間ユニットの外面と前記ハウジングとの間に存在する隙間を有するハウジングと、
    前記隙間内に位置し、前記少なくとも1つの中間ユニットに隣接する加熱装置と、
    を含み、
    前記ライナーユニットが耐火材料により作られ、前記端部ユニットの少なくとも一方の耐火材料が前記少なくとも1つの中間ユニットの耐火材料よりも低い熱伝導率を有することを特徴とする容器。
  2. 溶融金属を搬送するための樋部分の形態を有し、前記耐火性ライナーは細長く、且つ1つの端部に前記溶融金属ための入口と反対側の端部に前記溶融金属のための出口とを有することを特徴とする請求項に記載の容器。
  3. 前記ライナーユニットの金属と接触する前記内面が、前記入口と前記出口の間を延在する、上部が開口した溶融金属搬送通路を形成していることを特徴とする請求項に記載の容器。
  4. 前記少なくとも一方の端部ユニットの前記耐火材料の熱伝導率が、約1.4W/(m・K)より低いことを特徴とする請求項のいずれか1項に記載の容器。
  5. 前記少なくとも一方の端部ユニットの前記耐火材料の熱伝導率が、約0.2〜約1.1W/(m・K)の範囲内であることを特徴とする請求項のいずれか1項に記載の容器。
  6. 前記少なくとも1つの中間ユニットの前記耐火材料の熱伝導率が、少なくとも3.5W/(m・K)であることを特徴とする請求項のいずれか1項に記載の容器。
  7. 前記少なくとも1つの中間ユニットの前記耐火材料の熱伝導率が、約3.5〜約20W/(m・K)の範囲内であることを特徴とする請求項のいずれか1項に記載の容器。
  8. 前記中間ユニットを1つだけ有することを特徴とする請求項のいずれか1項に記載の容器。
  9. 両方の前記端部ユニットが、前記少なくとも1つの中間ユニットの耐火材料の熱伝導率よりも低い熱伝導率を有する耐火材料により作られていることを特徴とする請求項のいずれか1項に記載の容器。
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