JP5991380B2 - 非接触電力伝送装置 - Google Patents

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Description

本開示は、非接触電力伝送装置に関する。
従来から、電源コードや送電ケーブルを用いない非接触電力伝送装置として、例えば磁場共鳴を用いた装置が知られている。例えば特開2009−106136号公報の非接触電力伝送装置は、交流電源と、交流電源から交流電力が入力される1次側の共振コイルとを有する送電機器を備える。非接触電力伝送装置はさらに、1次側の共振コイルと磁場共鳴可能な2次側の共振コイルを有する受電機器を備える。1次側の共振コイルが2次側の共振コイルと磁場共鳴することによって、交流電力が、送電機器から受電機器に伝送される。受電機器に伝送された交流電力は、受電機器に設けられた負荷としてのバッテリを充電するために用いられる。
特開2009−106136号公報
ここで、反射波電力を低減させるために、整合器が設けられる場合がある。この場合、例えばバッテリのインピーダンスが変動すると、整合器の整合度合いが低下する。これに対して、例えば反射波電力等を測定する測定器を設けることによって、その測定器の測定結果に基づき整合器の定数の可変制御を行うことが考えられる。しかしながら、送電機器や受電機器を設置するスペースが十分ではない場合には、送電機器と受電機器の一方に、整合器及び測定器の双方を設置することが困難となりうる。
上述した事情は、磁場共鳴で電力伝送を行うものに限られず電磁誘導で電力伝送を行うものについても同様である。
本開示の目的は、送電機器と受電機器の一方に、整合部と測定部の双方を設置することが困難な場合であっても、反射波電力の低減を図ることができる非接触電力伝送装置を提供することにある。
本開示の一側面によれば、非接触電力伝送装置は、交流電力が入力される1次側コイルを有する送電機器と;前記1次側コイルから非接触で前記交流電力を受電可能な2次側コイル、及び前記2次側コイルにて受電された交流電力が入力される負荷を有する受電機器と;前記送電機器及び前記受電機器のうち一方の第1機器に設けられた整合部と;前記送電機器及び前記受電機器のうち前記第1機器とは異なる第2機器に設けられ、当該第2機器内において発生し得る進行波電力及び反射波電力を測定する測定部と;前記測定部の測定結果に基づき、前記進行波電力に対する前記反射波電力の比率である反射比率が0に近づくように前記整合部の定数を可変制御する制御装置とを備え、前記制御装置は、前記反射比率の絶対値及び位相に基づき、前記整合部の定数の増減を決定する
この態様によれば、送電機器及び受電機器のうち一方の第1機器に整合部が設けられ、第2機器に測定部が設けられている。これにより、整合部と測定部とが分散されているため、いずれか一方の機器に整合部及び測定部がまとめて設けられている構成と比較して、これら整合部及び測定部に係る設置スペースの分散化を図ることができる。よって、送電機器又は受電機器のうちいずれか一方の設置スペースが十分に確保できない場合であっても、整合部及び測定部を設置することができ、それを通じて反射波電力の低減を図ることができる。
一態様としては、前記受電機器は、車両に搭載され、前記整合部は、前記送電機器に設けられ、前記測定部は、前記受電機器に設けられており前記進行波電力は、前記2次側コイルから前記負荷に向かう2次側進行波電力であり、前記反射波電力は、前記負荷から前記2次側コイルに向かう2次側反射波電力であり、前記反射比率は、前記2次側進行波電力に対する前記2次側反射波電力の比率である。この態様によれば、比較的設置スペースを確保しにくい車両に搭載される受電機器に、整合部と比較して小型なものとなり易い測定部が設けられている。これにより、受電機器の小型化を図ることができ、それを通じて車両への受電機器の搭載を好適に行うことができる。
一態様としては、前記制御装置は、前記第2機器に設けられかつ前記測定部の測定結果を取得するとともに前記測定結果に関する情報を前記第1機器に無線にて送信する第2制御部と;前記第1機器に設けられ、前記第2制御部から受信した前記測定結果に関する情報に基づき前記整合部の定数を可変制御する第1制御部とを備える。
本開示の他の特徴と利点は、以下の詳細な説明と、本開示の特徴を説明するために付随する図面とによって明らかであろう。
本開示の新規であると思われる特徴は、特に、添付した請求の範囲において明らかである。目的と利益を伴う本開示は、以下に示す現時点における好ましい実施形態の説明を添付した図面とともに参照することで、理解されるであろう。
図1は、非接触電力伝送装置の回路図を示す。
以下に、本開示に係る非接触電力伝送装置(非接触電力伝送システム)が図1を用いて説明される。
図1に示すように、非接触電力伝送装置10は、地上に設けられた地上側機器11と、車両に搭載された車両側機器21とを備える。地上側機器11が送電機器(1次側機器。第1機器)に対応し、車両側機器21が受電機器(2次側機器。第2機器)に対応する。
地上側機器11は、所定の周波数の高周波電力(交流電力)を出力可能な高周波電源12(交流電源)を備える。高周波電源12は、インフラとしての系統電源から入力される電力を高周波電力に変換し、その変換された高周波電力を出力できるように、構成されている。高周波電源12は、異なる電力値の高周波電力を出力できるように構成されている。
高周波電源12から出力された高周波電力は、非接触で車両側機器21に伝送され、車両側機器21に設けられた負荷22に入力される。具体的には、非接触電力伝送装置10は、地上側機器11と車両側機器21との間の電力伝送を行うものとして、地上側機器11に設けられた送電器13(1次側共振回路)と、車両側機器21に設けられた受電器23(2次側共振回路)とを備える。
送電器13及び受電器23は、同一の構成であり、磁場共鳴可能に構成されている。具体的には、送電器13は、並列に接続された1次側コイル13a及び1次側コンデンサ13bからなる共振回路で構成されている。受電器23は、並列に接続された2次側コイル23a及び2次側コンデンサ23bからなる共振回路で構成されている。送電器13及び受電器23の共振周波数は、同一に設定されている。
かかる構成によれば、高周波電力が送電器13(1次側コイル13a)に入力された場合、送電器13(1次側コイル13a)と受電器23(2次側コイル23a)とが磁場共鳴する。これにより、受電器23は、送電器13のエネルギの一部を受け取る。すなわち受電器23は、送電器13から高周波電力を受電する。
受電器23によって受電された高周波電力が入力される負荷22は、所定のインピーダンスZ1を有する。具体的には、負荷22は、高周波電力を直流電力に整流する整流器と、その直流電力が入力される車両用バッテリ(蓄電装置)とを含む。受電器23によって受電された高周波電力は、車両用バッテリの充電に用いられる。
地上側機器11には、高周波電源12の制御を行う制御装置としての電源側コントローラ14が設けられている。車両側機器21には、電源側コントローラ14と無線通信可能な制御装置としての車両側コントローラ24が設けられている。非接触電力伝送装置10は、各コントローラ14,24間での情報のやり取りを通じて、電力伝送(充電)の開始又は終了等を行う。
車両側機器21には、負荷22に含まれる車両用バッテリの充電量を検知する検知センサ25が設けられている。検知センサ25は、その検知結果を車両側コントローラ24に送信可能に構成されている。これにより、車両側コントローラ24は、車両用バッテリの充電量を把握できる。
非接触電力伝送装置10は、地上側機器11において高周波電源12と送電器13との間に設けられた整合部としての整合器31を備え、車両側機器21において受電器23と負荷22との間に設けられた測定部としての測定器32を備える。
整合器31は、インダクタ31aと、インダクタ31aに並列に接続された第1キャパシタ31bと、インダクタ31aに直列に接続された第2キャパシタ31cとからなるLC回路で構成されている。
整合器31の初期状態(製造出荷時又は充電開始時等)における定数(インピーダンス)は、車両側機器21にて発生し得る2次側反射波電力Prsが小さくなるように、設定されている。具体的には、整合器31の定数は、受電器23から負荷22に向かう2次側進行波電力Ptsに対する負荷22から受電器23に向かう2次側反射波電力Prsの比率である2次側反射比率Rs(Rs=Prs/Pts)が「0」に近づく(小さくなる)ように、設定されている。
2次側反射比率Rsは、絶対値(振幅)と位相とで規定されるパラメータである。このため、整合器31の定数は、2次側反射比率Rsの絶対値が「0」に近づくように設定されているとも言える。詳細には、整合器31の定数は、受電器23(2次側コイル23a)の出力インピーダンスZ2が、負荷22のインピーダンスZ1の共役複素数に近づくように、設定されている。受電器23の出力インピーダンスZ2とは、高周波電源12から受電器23の出力端までのインピーダンスであり、受電器23の出力インピーダンスZ2には整合器31のインピーダンスが含まれる。
厳密には、整合器31の定数は、受電器23の出力インピーダンスZ2と、測定器32の入力インピーダンス(測定器32の入力端から負荷22までのインピーダンス)とが共役複素数となるように、設定されている。但し、測定器32のインピーダンスは、負荷22のインピーダンスZ1よりも十分に小さいため、測定器32の入力インピーダンスは負荷22のインピーダンスZ1と略同一であるとする。
測定器32は、整合器31よりも小型であり、2次側進行波電力Ptsと2次側反射波電力Prsとを測定する。測定器32は、車両側コントローラ24からの要求に応じて2次側進行波電力Ptsと2次側反射波電力Prsとを測定し、その測定結果を車両側コントローラ24に送信する。
車両側コントローラ24は、測定器32の測定結果に基づき2次側反射比率Rsを算出する反射比率算出部24aを備える。これにより、車両側コントローラ24は、2次側反射比率Rsを把握できる。
各コイル13a,23aの相対位置が変動すると、コイル13a,23a間の相互インダクタンスは、変動する。すると、受電器23の出力インピーダンスZ2は、変動する。
各コイル13a,23aの相対位置としては、コイル13a,23a間の距離だけでなく、各コイル13a,23aの軸線方向、各コイル13a,23aの重ね合わせの態様等が含まれている。各コイル13a,23aの重ね合わせの態様とは、例えば送電器13及び受電器23が上下方向に配置される構成においては、上方から見た場合の1次側コイル13a及び2次側コイル23aの位置ズレ等が考えられる。
負荷22に含まれている車両用バッテリでは、入力される直流電力の電力値やその車両用バッテリの充電状態に応じて車両用バッテリのインピーダンスが変動する。つまり本実施形態においては、負荷22は、状況に応じてインピーダンスZ1が変動(変化)する変動負荷であるとも言える。
以上の通り、各インピーダンスZ1,Z2は、変動し得る。これに対して、本実施形態の非接触電力伝送装置10は、上記変動に追従するための構成を備える。以下では、当該構成が詳細に説明される。
整合器31の定数(インピーダンス)については、実部成分(レジスタンス)及び虚部成分(リアクタンス)、または実部成分と虚部成分とのいずれか一方が可変である。本実施形態では、整合器31の各キャパシタ31b,31cのキャパシタンスは、可変である。
整合器31の初期状態の定数(初期値)は、各コイル13a,23aの相対位置が予め定められた基準位置であり、且つ、高周波電源12から充電用の高周波電力が出力されている状況において、2次側反射波電力Prsが「0」に近づくように、設定されている。
電源側コントローラ14は、整合器31の定数を、詳細には各キャパシタ31b,31cのキャパシタンスを可変制御する定数制御部14a(第1制御部)を備える。以下では、定数制御部14aによる整合器31の定数の可変制御態様が説明される。整合器31の定数の可変制御が行われる契機の一例として、高周波電源12から出力される高周波電力が、充電用の高周波電力から、当該充電用の高周波電力の電力値よりも小さい押し込み充電用の高周波電力に切り換わった場合が説明される。この場合、説明の便宜上、各コイル13a,23aは上記基準位置に配置されているものとする。押し込み充電用の高周波電力とは、複数の二次電池が直列に接続されて構成された車両用バッテリにおいて、各二次電池の容量ばらつきを補償するための電力である。
先ず、車両側コントローラ24は、測定器32の測定結果を取得する。反射比率算出部24aは、その測定結果に基づき2次側反射比率Rsを算出する。車両側コントローラ24(第2制御部)は、算出された2次側反射比率Rsを電源側コントローラ14に送信する。
電源側コントローラ14の定数制御部14aは、2次側反射比率Rsを受信した場合、その2次側反射比率Rsが予め定められた許容値以下であるか否か判定する。定数制御部14aは、受信した2次側反射比率Rsが許容値よりも大きい場合には、2次側反射比率Rsの絶対値及び位相に基づき、2次側反射比率Rsが小さくなる整合器31の定数を決定する。詳細には、定数制御部14aは、2次側反射比率Rsの絶対値及び位相に基づき、整合器31の定数(詳細にはレジスタンス及びリアクタンス)の増減(大小)を決定する。定数制御部14aは、その決定に基づき整合器31の定数を可変制御する。
絶対値及び位相に基づき整合器31の定数を決定する具体的な構成としては、例えば定数制御部14aの所定の記憶領域に非接触電力伝送装置10に係るスミスチャートを記憶しておくことが挙げられる。そして、定数制御部14aは、そのスミスチャートを参照することによって、当該スミスチャート上において現在の2次側反射比率Rsに対応するポイントを特定する。そして、定数制御部14aは、特定されたポイントから、2次側反射波電力Prsが「0」となるための整合器31の定数の増減方向及び変更量を、決定(算出)する。
整合器31の定数の可変制御の終了後、電源側コントローラ14は、車両側コントローラ24に2次側反射比率Rsを要求する。車両側コントローラ24の反射比率算出部24aは、その要求に基づき、2次側反射比率Rsを更新(算出)する。そして、車両側コントローラ24は、更新された2次側反射比率Rsを再度送信する。定数制御部14aは、更新された2次側反射比率Rsが許容値以下であるか否か判定し、許容値よりも大きい場合には再度整合器31の定数の可変制御を行う。
以上の通り、電源側コントローラ14は、2次側反射比率Rsが許容値以下となるまで、整合器31の定数を変更することを繰り返す。電源側コントローラ14は、整合器31の定数の変更回数が予め定められた特定回数以上となった場合、又は定数制御部14aによって算出された整合器31の目標の定数(2次側反射波電力Prsが「0」となるための整合器31の定数)が整合器31の変更可能な範囲から外れている場合等には、エラー報知を行い、充電を中止する。
押し込み充電用の高周波電力に切り換える契機としては、例えば検知センサ25によって、車両用バッテリの充電量が予め定められた特定量となったことが検知された場合等が考えられる。
次に、本実施形態の作用が説明される。
車両側機器21において発生し得る2次側反射比率Rsが「0」に近づくように、地上側機器11に設けられた整合器31の定数は、設定されている。これにより、2次側反射波電力Prsが低減されている。
また、車両側機器21に測定器32が設けられ、整合器31の定数の可変制御は、測定器32の測定結果に基づき行われる。このため、車両側機器21に整合器を設けることなく、2次側反射波電力Prsが小さい状態(許容値以下の状態)が維持される。
詳細には、例えば高周波電源12から出力される高周波電力の電力値が変更されると、負荷22のインピーダンスZ1が変動する。本実施形態によれば、上記変更が行われた場合、測定器32によって2次側進行波電力Pts及び2次側反射波電力Prsが測定され、その測定結果に基づき2次側反射比率Rsが算出される。そして、その2次側反射比率Rsが許容値以下となるように、整合器31の定数の可変制御が行われる。これにより、高周波電源12から出力される高周波電力の電力値が変更された場合であっても、2次側反射波電力Prsが低減された状態が維持される。
以上詳述した本実施形態は、以下の優れた効果を奏する。
(1)地上側機器11に設けられた整合器31を用いて、2次側反射波電力Prsが「0」に近づくように、非接触電力伝送装置10は構成された。具体的には、整合器31の定数は、受電器23の出力インピーダンスZ2が負荷22のインピーダンスZ1の共役複素数となるように、設定された。これにより、車両側機器21に整合器を設けることなく、2次側反射波電力Prsに係る電力損失(反射損失)を低減することができる。よって本実施形態では、伝送効率の向上を図りつつ、車両側機器21の構成の簡素化を図ることができる。
(2)車両側機器21に2次側反射波電力Prsを測定する測定器32が設けられ、その測定器32の測定結果に基づき、地上側機器11に設けられた整合器31の定数の可変制御を行うように、非接触電力伝送装置10は構成された。これにより、仮に各コイル13a,23aの相対位置や、高周波電源12から出力される高周波電力の電力値が変動した等の場合であっても、2次側反射波電力Prsが低減された状態を維持することができる。
この場合、測定器32と整合器31とが、車両側機器21と地上側機器11とに分散されて設けられている。これにより、測定器32及び整合器31の設置スペースが分散されているため、本構成は、各機器11,21のスペースの事情に好適に対応することができる。
詳細には、例えば車両スペースの関係上、車両側機器21に整合器31と測定器32との双方を設置することが困難な場合がある。かといって、整合器31及び測定器32を設けない構成は、伝送効率等の観点から好ましくない。特に、2次側反射波電力Prsは、負荷22のインピーダンスZ1や、各コイル13a,23aの相対位置が変動すること等によって、大きくなり易いため、これを無視することは好ましくない。
これに対して、本実施形態によれば、車両側機器21には、整合器31と測定器32とのうちの一方、詳細には整合器31よりも比較的小さい測定器32のみが搭載されているに過ぎない。これにより、2次側反射波電力Prsを「0」に近づけるための構成を備えることに起因する車両側機器21の大型化は、軽減されている。よって本実施形態では、車両側機器21を好適に車両に搭載することが可能となる。
(3)2次側反射波電力Prsに依存するパラメータとして2次側反射比率Rsが採用され、非接触電力伝送装置10は、当該2次側反射比率Rsが「0」に近づくように整合器31の定数を可変制御する構成とされた。これにより、2次側反射波電力Prsを「0」に近づけるために、現在の整合器31の定数を増減どちらに変更したらいいのか特定することができる。
詳細には、例えば2次側反射波電力Prsのみを測定し、その測定結果に基づき2次側反射波電力Prsが小さくなるように整合器31の定数(インピーダンス)を調整することも考えられる。しかしながら、2次側反射波電力Prs(2次側反射比率Rsの絶対値)は、大きさを示すものに過ぎない。したがって、整合器31の定数を目標の定数(2次側反射波電力Prsが「0」となるための整合器31の定数)にするために整合器31のレジスタンス及びリアクタンスを増減どちらに変更したらいいのか特定することができない。
特に、2次側反射波電力Prsは、整合器31のレジスタンス及びリアクタンスに依存するパラメータである。このため、2次側反射波電力Prsを小さくするために取り得る調整態様としては、(A)整合器31のレジスタンス(インピーダンスの実部成分)を大きく又は小さくする、(B)整合器31のリアクタンス(インピーダンスの虚部成分)を大きく又は小さくする、の4パターンの組み合わせが考えられ、且つこれらは、互いに関連する。となると、整合器31の定数をやみくもに可変制御しながら目標の定数に近づけていく構成では、2次側反射波電力Prsが小さくなる整合器31の定数に近づけるのに要する時間が長くなり易い。
これに対して、本実施形態によれば、整合器31の定数を決定付けるものとして2次側反射比率Rsが採用された。これにより、現在の整合器31の定数を目標の定数(2次側反射波電力Prsが小さくなるための整合器31の定数)に近づけるために、2次側反射比率Rsに含まれる絶対値と位相を用いることによって、整合器31のレジスタンス及びリアクタンスを増減どちらに変更したらいいのか特定することができる。詳述すると、現在の整合器31のレジスタンスを増減どちらに変更したら目標のレジスタンスに近づくのか、そして現在の整合器31のリアクタンスを増減どちらに変更したら目標のリアクタンスに近づくのか特定することができる。よって、2次側反射波電力Prsが小さくなる整合器31の定数に容易に近づけることができ、上記不都合を回避することができる。
上記実施形態は、以下のように変更されてもよい。
○ 実施形態では、地上側機器11に整合器31が設けられ、車両側機器21に測定器32が設けられていた。実施形態は、これに限定されず、地上側機器11に測定器を設け、車両側機器21、例えば受電器23と負荷22との間に整合器を設ける構成とされてもよい。この場合、整合器の定数は、地上側機器11において発生し得るものであってかつ高周波電源12に向かう1次側反射波電力が「0」に近づくように、設定されているとよい。詳細には、整合器の定数は、送電器13の入力インピーダンスが高周波電源12の出力インピーダンスの共役複素数となるように、設定されているとよい。
上記構成において、測定器は、送電器13に向かう1次側進行波電力と、高周波電源12に向かう1次側反射波電力とを測定する。そして、車両側機器21に設けられた整合器の定数は、上記測定器の測定結果から算出される1次側反射比率の絶対値と位相に基づき、当該1次側反射比率が「0」に近づくように可変制御される。
○ 実施形態では、地上側機器11に1つの整合器31が設けられている構成であったが、これに限定されない。例えば地上側機器11に整合器31とは別に所定の整合器が、設けられてもよい。この場合、例えば上記所定の整合器が、高周波電源12と整合器31との間に設けられる。上記所定の整合器の定数は、例えば力率が改善されるように設定されてもよく、もしくは高周波電源12から所望の電力値の高周波電力が出力されるように設定されてもよい。
○ 例えば、充電を開始する前段階において整合器31の定数の可変制御を行う場合には、高周波電源12から充電用の高周波電力よりも電力値が小さい整合用の高周波電力が出力されるように、非接触電力伝送装置10は、構成されてもよい。この場合、入力される電力の電力値に関わらず一定の抵抗(インピーダンス)を有する固定負荷が、負荷22に並列に設けられ、さらに測定器32の接続先を、負荷22と、固定負荷とに切り換えるリレーが、設けられてもよい。そして非接触電力伝送装置10は、測定器32が固定負荷に接続され、整合用の高周波電力が出力されている状況において、整合器31の定数が可変制御される構成とされてもよい。固定負荷の抵抗値は、充電用の高周波電力が出力されている状況における負荷22のインピーダンスZ1と同一に設定されるとよい。
○ 実施形態では、2次側反射比率Rsとして、受電器23から負荷22に向かう2次側進行波電力Ptsに対する負荷22から受電器23に向かう2次側反射波電力Prsの比率が採用されたが、これに限定されない。例えば、負荷22から受電器23(2次側コイル23a)に向かう進行波電力に対する受電器23からの反射波電力の比率(2次側反射係数)が、2次側反射比率Rsとして採用されてもよい。
○ 実施形態は、2次側反射比率Rsに基づき整合器31の定数を設定する構成であったが、これに限定されない。非接触電力伝送装置10は、2次側反射波電力Prsのみを測定し、当該2次側反射波電力Prsが「0」に近づくように整合器31の定数を設定する構成とされてもよい。
○ 実施形態では、整合器31は、1つのインダクタと2つのキャパシタから構成されていたが、これに限定されない。整合器31の具体的な構成は、任意である。例えば構成は、1つのインダクタと1つのコンデンサからなるL型、逆L型とされてもよく、π型、T型等とされてもよい。π型の場合には、複数のキャパシタのうちいずれのキャパシタのキャパシタンスが可変とされてもよい。整合器31は、キャパシタンスを可変させる構成に限定されず、例えばインダクタンスを可変させる構成とされてもよい。
○ 整流器と車両用バッテリとの間に、周期的にオンオフするスイッチング素子を有するDC/DCコンバータが設けられてもよい。DC/DCコンバータは、整流器から入力された直流電力の電圧値を変換して車両用バッテリに出力する。この場合、上記スイッチング素子のオンオフのデューティ比を調整することによって、2次側反射波電力Prsが「0」に近づけられてもよい。この態様においては、DC/DCコンバータが2次側整合部である。負荷は、整流器と、DC/DCコンバータと、車両用バッテリとを含む。なお、スイッチング素子のオンオフのデューティ比が可変制御されてもよい。
○ 本実施形態において、2次側整合器に加えて、整流器と車両用バッテリとの間にDC/DCコンバータが設けられてもよい。この場合、DC/DCコンバータと2次側整合器とは、協働して、2次側反射波電力Prsを「0」に近づけるように構成されてもよい。2次側に複数の整合器を有する構成においては、これら複数の整合器に加えて、DC/DCコンバータが設けられてもよい。
○ 高周波電源12から出力される高周波電力の電圧波形は、パルス波形、正弦波等任意である。
○ 高周波電源12は、省略されてもよい。この場合、系統電源と整合器31とが互いに接続され、送電器13に系統電力が入力されるようにする。
○ 実施形態では、各コンデンサ13b,23bが設けられたが、これらは、省略されてもよい。この場合、各コイル13a,23aの寄生容量を用いて磁場共鳴させる。
○ 実施形態では、送電器13の共振周波数は受電器23の共振周波数と同一に設定されていたが、これに限定されない。電力伝送が可能な範囲内で、両者を異ならせてもよい。
○ 実施形態では、送電器13及び受電器23の構成は同一であったが、これに限定されない。両者は、互いに異なる構成であってもよい。
○ 実施形態では、非接触の電力伝送を実現させるために磁場共鳴が用いられたが、これに限定されず、電磁誘導が用いられてもよい。
○ 実施形態では、非接触電力伝送装置10は、車両に適用されていたが、これに限定されず、他の機器に適用されてもよい。例えば非接触電力伝送装置10は、携帯電話のバッテリを充電するのに適用されてもよい。
○ 実施形態では、負荷22には、整流器及び車両用バッテリが含まれていたが、これに限定されず、他の電子機器が含まれてもよい。負荷22は、インピーダンスZ1が変動するものに限定されず、インピーダンスZ1が固定値のものであってもよい。例えば、整流器と車両用バッテリとの間に、スイッチング素子を有するDC/DCコンバータが設けられている構成においては、上記スイッチング素子のオンオフのデューティ比の可変制御によって、負荷22のインピーダンスZ1が一定にされてもよい。要は、負荷22は、所定のインピーダンスZ1を有するものであればよい。
○ 送電器13に、1次側コイル13a及び1次側コンデンサ13bからなる共振回路と電磁誘導で結合する1次側結合コイルを別途設けてもよい。この場合、上記共振回路は、上記1次側結合コイルから電磁誘導によって高周波電力を受ける構成とする。同様に、受電器23に、2次側コイル23a及び2次側コンデンサ23bからなる共振回路と電磁誘導で結合する2次側結合コイルを設け、2次側結合コイルを用いて受電器23の共振回路から高周波電力を取り出してもよい。
10…非接触電力伝送装置、11…地上側機器(送電機器)、12…高周波電源(交流電源)、13a…1次側コイル、14…電源側コントローラ、21…車両側機器(受電機器)、22…負荷、23a…2次側コイル、24…車両側コントローラ、31…整合器、32…測定器、Prs…2次側反射波電力、Rs…2次側反射比率。

Claims (3)

  1. 非接触電力伝送装置であって、
    交流電力が入力される1次側コイルを有する送電機器と;
    前記1次側コイルから非接触で前記交流電力を受電可能な2次側コイル、及び前記2次側コイルにて受電された交流電力が入力される負荷を有する受電機器と;
    前記送電機器及び前記受電機器のうち一方の第1機器に設けられた整合部と;
    前記送電機器及び前記受電機器のうち前記第1機器とは異なる第2機器に設けられ、当該第2機器内において発生し得る進行波電力及び反射波電力を測定する測定部と;
    前記測定部の測定結果に基づき、前記進行波電力に対する前記反射波電力の比率である反射比率が0に近づくように前記整合部の定数を可変制御する制御装置と
    を備え
    前記制御装置は、前記反射比率の絶対値及び位相に基づき、前記整合部の定数の増減を決定する非接触電力伝送装置。
  2. 前記受電機器は、車両に搭載され、
    前記整合部は、前記送電機器に設けられ、
    前記測定部は、前記受電機器に設けられており
    前記進行波電力は、前記2次側コイルから前記負荷に向かう2次側進行波電力であり、
    前記反射波電力は、前記負荷から前記2次側コイルに向かう2次側反射波電力であり、
    前記反射比率は、前記2次側進行波電力に対する前記2次側反射波電力の比率である請求項1に記載の非接触電力伝送装置。
  3. 前記制御装置は、
    前記第2機器に設けられかつ前記測定部の測定結果を取得するとともに前記測定結果に関する情報を前記第1機器に無線にて送信する第2制御部と;
    前記第1機器に設けられ、前記第2制御部から受信した前記測定結果に関する情報に基づき前記整合部の定数を可変制御する第1制御部と
    を備える、
    請求項1又は2に記載の非接触電力伝送装置。
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