JP5991293B2 - バルブ装置 - Google Patents

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本発明は、シャフトに設けたスリット孔に弁体を挿入して固定するバルブ装置に関し、例えばエンジンの吸気通路に配置されるバルブ装置(スロットルバルブや吸気絞りバルブ等)や、EGRバルブ等に用いて好適な技術に関する。
シャフトに設けたスリット孔に弁体を挿入して固定するバルブ装置として、例えば特許文献1に開示される技術が知られている。
特許文献1の技術は、第1、第2スリット軸部(シャフトにおいてスリット孔を介して対向する部分)をネジで締付け、第1、第2スリット軸部を内側へ撓ませることで、第1、第2スリット軸部の間で弁体を加圧保持(固定)するものである。
しかし、弁体の径寸法が小さい場合、スリット孔の軸方向長が短くなる。すると、第1、第2スリット軸部の軸方向寸法が短くなり、第1、第2スリット軸部の剛性が高まる。その結果、第1、第2スリット軸部が撓み難くなり、弁体の加圧保持が困難になってしまう。
同様に、シャフトの材質をより高硬度の材質に変更する場合(例えば、鉄製のシャフトから、耐腐食性を高める目的等によりステンレス製のシャフトに変更する場合)、第1、第2スリット軸部の剛性が高まる。その結果、第1、第2スリット軸部が撓み難くなり、弁体の加圧保持が困難になってしまう。
特開2012−172542号公報
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、組付精度の悪化を招くことなく、スリット軸部を撓み易くして、第1、第2スリット軸部の間で弁体を確実に加圧保持できるバルブ装置を提供することにある。
本発明のバルブ装置は、第1、第2スリット軸部のうち、第1スリット軸部のみに分離部を設けている。分離部を設けたことにより、第1スリット軸部の剛性が下がり、第1スリット軸部が撓み易くなる。このため、弁体の径寸法が小さい場合であっても、シャフトの材質が高硬度であっても、締付手段(ネジやカシメ等)によって第1スリット軸部を確実に撓ませることができ、第1、第2スリット軸部の間で弁体を確実に加圧保持することができる。
一方、本発明とは異なり、第1、第2スリット軸部の両方に分離部を設けると、シャフトが2つに分離することになる。すると、一方のシャフトと弁体を固定し、他方のシャフトと弁体を固定することになる。その結果、シャフトが軸ズレしたり、弁体の組付精度が悪化して全閉時の弁漏れ量が増加する不具合が生じる。
これに対し、本発明は、分離部が設けられるのは第1スリット軸部だけであり、第2スリット軸部には分離部が設けられず、シャフトは2つに分離しない。そのため、シャフトの軸ズレが発生せず、また弁体の組付精度の悪化も招かない。
シャフト単体の説明図である。 バルブが組付けられたシャフトの説明図である。 スロットルバルブの断面図である。
発明を実施するための形態を、以下の実施例にて説明する。
以下において本発明が適用された具体的な一例(実施例)を図面を参照して説明する。実施例は、具体的な一例を開示するものであって、本発明が実施例に限定されないことは言うまでもない。
[実施例1]
実施例1を図1〜図3を参照して説明する。
この実施例は、スロットルバルブ1を電動アクチュエータ2で駆動する電子スロットルに本発明を適用したものである。
スロットルバルブ1は、エンジンに吸い込まれる吸気量の調整を行うものであり、
・内部に吸気通路3aが形成されるハウジング3に対して回転自在に支持されるシャフト4と、
・このシャフト4に固定されて吸気通路3aの開度調整を行う弁体5と、
を備える。
また、シャフト4を介して弁体5を駆動する電動アクチュエータ2は、
・通電により回転力を発生する電動モータ6と、
・この電動モータ6の回転トルクを増幅してシャフト4を駆動する減速装置7と、
・シャフト4(弁体5)を所定の開度へ戻すバネ力発生手段8と、
・シャフト4の開度(弁体5の回転角度)を検出する回転角センサ9と、
を備える。
次に、上記の各構成部品を説明する。
ハウジング3は、吸気路(吸気管)の一部を成すボアと、電動アクチュエータ2の組付部とを一体に設けたものであり、金属材料または樹脂材料によって製造される。なお、ボアの内部には、円筒状の吸気通路3aが形成されるものであり、ボア端には電子スロットルを車両部品に固定するボルト挿通穴3bが形成される。
ハウジング3には、シャフト4が挿入配置されるシャフト挿通穴が設けられている。シャフト4は、吸気通路3aを貫通し、吸気通路3aの流線方向(ボア軸:吸気の流れ方向に沿う吸気通路3aの中心軸)に直交する方向に組付けられる。
シャフト4の先端(図3右側)が挿入配置される部位のシャフト挿通穴の内部には、シャフト4を回転自在に支持するベアリング11(一例として滑りベアリング)が配置されている。
同様に、シャフト4の根元側(図3左側)が挿入配置される部位のシャフト挿通穴の内部にも、シャフト4を回転自在に支持するベアリング12(一例として転がりベアリング)が配置されている。このベアリング12より吸気通路3a側のシャフト挿通穴の内部には、ハウジング3とシャフト4の隙間をシールするシール材13が配置されている。
シャフト4は、金属材料(例えば、鉄、ステンレス等)によって形成された円柱状の棒であり、吸気通路3a内に挿入配置された状態で弁体5と一体に回動する。
一方、弁体5は、金属材料(例えば、アルミ、黄銅等)により略円板形状に形成されたバタフライ形の回動弁であり、ハウジング3に組入れられたシャフト4に固定される。
次に、シャフト4に対する弁体5の固定技術を説明する。
シャフト4には、弁体5を組付けるスリット孔14が形成されている。このスリット孔14は、シャフト4の軸方向へ伸び、且つ径方向へ貫通する長穴であり、図1(b)に示すように、シャフト4の軸方向に対して垂直方向から見て細長矩形の穴形状を呈する。
具体的な一例として、スリット孔14における軸方向の長さは「弁体5の直径+組付けクリアランス」に設けられる。また、スリット孔14における幅は「弁体5の厚み+組付けクリアランス」に設けられる。
弁体5は、図2に示すように、スリット孔14に挿入された状態でシャフト4に固定される。ここで、シャフト4においてスリット孔14を介して対向する部位(シャフト4において弁体5と軸方向で重なる範囲)を第1、第2スリット軸部4a、4bと称する。
第1、第2スリット軸部4a、4bのうち、第1スリット軸部4aのみに、軸方向の中間箇所において第1スリットの軸方向の途中箇所を分離する分離部αを設けている。なお、この実施例では第1スリット軸部4aにおける軸方向の「中央」に分離部αを設けているが限定するものではなく「略中央」であれば良い。
一方、この実施例では、シャフト4に弁体5を固定する手段として、2つのネジ15(締付手段の一例)を用いている。
ネジ15は、締結力を加えることで第1、第2スリット軸部4a、4bに加圧力(シャフト4の軸方向に対して垂直方向の力)を加えるものであり、第1スリット軸部4aを軸方向に対して垂直方向に撓ませることで、第1、第2軸部の対向間隔を狭くして、第1、第2スリット軸部4a、4bの間で弁体5を加圧し、第1、第2スリット軸部4a、4bの間で弁体5を加圧保持(固定)させるものである。
具体的に、第1スリット軸部4aにはネジ15の雄ネジ径よりやや大径の貫通穴が形成され、第2スリット軸部4bにはネジ15が螺合する雌ネジが形成される。そして、貫通穴からネジ15を挿入した後、ネジ15を雌ネジに螺合し、ネジ15を強固に締結する。上述したように、分離部αを設けたことにより、第1スリット軸部4aの剛性が下がって第1スリット軸部4aが撓み易くなる。このため、ネジ15の締結力によって第1スリット軸部4aを確実に撓ませることができ、第1、第2スリット軸部4a、4bの間で弁体5を確実に加圧保持することができる。なお、弁体5を固定した後、ネジ15は緩み止め処理(例えば、加圧による塑性変形、接着、溶着等)が施され、長期に亘り安定した締結力が維持される。
電動アクチュエータ2は、上述したハウジング3に組付けられるものであり、ハウジング3にはネジ等によって着脱可能なギヤカバー21が装着される。
そして、ハウジング3に形成されたモータ収容室に電動モータ6が収容され、ハウジング3とギヤカバー21との間に形成された空間に、減速装置7、バネ力発生手段8等が収容される。
電動モータ6は、通電方向が切り替わることで回転方向が切り替わるとともに、通電量に応じた回転トルクを発生する周知の直流モータであり、モータ収容室に挿入された後、割りピンやネジ等によってハウジング3に固定される。
減速装置7は、複数のギヤの組み合わせにより電動モータ6の発生回転を減速させて駆動トルクを増大させてシャフト4に伝達する歯車式減速機であり、電動モータ6と一体に回転するモータギヤ(ピニオンギヤ)22と、このモータギヤ22によって回転駆動される中間ギヤ23と、この中間ギヤ23によって回転駆動される最終ギヤ(ギヤロータ)24とからなり、最終ギヤ24はシャフト4と一体に回動する。
モータギヤ22は、電動モータ6の出力軸に固定された小径の外歯歯車である。
中間ギヤ23は、大径ギヤ23aと小径ギヤ23bが同芯で設けられた2重歯車であり、ハウジング3とギヤカバー21とにより支持される支持軸25によって回転自在に支持される。そして、大径ギヤ23aがモータギヤ22と常に噛合し、小径ギヤ23bが最終ギヤ24と常に噛合する。
最終ギヤ24は、シャフト4の端部のカシメ部によって固定された大径の外歯歯車であり、噛合歯(外歯)は弁体5の回動に伴う範囲のみに設けられている。
バネ力発生手段8は、電動モータ6への電流供給が遮断された際に、弁体5の開度を全閉位置と全開位置との中間位置に保持して、車両の退避走行を可能とするものであり、弁体5を閉じる方向へ付勢力(閉弁力)を与えるリターンスプリングと、弁体5を開く方向へ付勢力(開弁力)を与えるデフォルトスプリングとを組み合わせて構成される。
回転角センサ9は、シャフト4の回転角度を検出することで弁体5の開度を検出するスロットルポジションセンサであり、シャフト4の角度(弁体5の開度)に応じた開度信号をECUに出力する。
具体的に、回転角センサ9は、2つの部材の相対回転を非接触で検出する磁気型センサであり、最終ギヤ24の内部にインサートされてシャフト4と一体に回転する略筒状を呈する磁気回路部26と、ギヤカバー21に取り付けられて磁気回路部26に対して非接触に配置される磁気検出部27とで構成され、この磁気検出部27の発生する電圧信号(ホールICの出力信号)がECU(エンジン・コントロール・ユニットの略)に与えられる。
なお、ECUは、マイクロコンピュータを搭載した周知の電子制御装置であり、回転角センサ9によって検出される実際の弁体5の開度が、アクセルペダル開度によって設定された目標開度となるように電動モータ6をフィードバック制御するように設けられている。
(実施例1の効果1)
この実施例の電子スロットルは、上述したように、第1、第2スリット軸部4a、4bのうち、第1スリット軸部4aのみに分離部α設けて、第1スリット軸部4aの剛性を下げ、第1スリット軸部4aを撓み易くしている。
このため、弁体5の径寸法が小さい場合(例えば、排気量の小さいエンジン用の小型スロットルの場合)であっても、あるいはシャフト4の材質が高硬度の場合(例えば、鉄製のシャフト4から、耐腐食性を高める目的等によりステンレス製のシャフト4に変更する場合)であっても、ネジ15の締結力によって、第1スリット軸部4aを確実に撓ませることができ、第1、第2スリット軸部4a、4bの間で弁体5を確実に加圧保持することができる。
一方、この実施例とは異なり、第1、第2スリット軸部4a、4bの両方に分離部αを設ける場合は、シャフト4が2つに分離することになる。すると、分離した一方のシャフト4と弁体5を固定し、分離した他方のシャフト4と弁体5を固定することになる。その結果、シャフト4が軸ズレしたり、吸気通路3aに対して弁体5の組付精度が悪化する不具合が生じてしまう。
これに対し、この実施例は、分離部αを設けるのは第1スリット軸部4aだけであり、第2スリット軸部4bには分離部αを設けない。これにより、シャフト4は2つに分離しないため、シャフト4の軸ズレは発生せず、吸気通路3aに対して弁体5の組付精度の悪化も招かない。
上記の実施例では、本発明をスロットルバルブ1に適用する例を示したが、限定するものではない。
具体的な一例として、低圧EGR装置に用いられる吸気絞りバルブ(スロットルバルブ1の吸気上流側の吸気路内の圧力を下げてEGRガスを吸気路へ導くバルブ装置)に適用しても良いし、EGRバルブ(EGR通路の開度を可変するバルブ装置)に適用しても良い。
上記の実施例では、締付手段の一例としてネジ15(スクリュウ)を用いる例を示したが限定するものではない。
具体的な一例として、リベットを用い、リベットに強固な加圧力を加えることで、リベットを塑性変形させるとともに、リベットに加えたカシメ力によって第1スリット軸部4aを撓ませて、第1、第2スリット軸部4a、4bの間で弁体5を加圧保持するように設けても良い。
弁体5は、「平な円板」に限定するするものではない。
具体的な一例として、断面が略く字形やZ字形を呈する弁体5であっても良い。
4 シャフト
4a 第1スリット軸部
4b 第2スリット軸部
5 弁体
14 スリット孔
15 ネジ(締付手段)
α 分離部

Claims (2)

  1. 径方向へ貫通するスリット孔(14)が形成されたシャフト(4)と、前記スリット孔(14)に挿入された状態で前記シャフト(4)に固定される弁体(5)とを備えるバルブ装置において、
    前記シャフト(4)において前記スリット孔(14)を介して対向する部位を第1、第2スリット軸部(4a、4b)とした場合、
    当該バルブ装置は、前記第1、第2スリット軸部(4a、4b)に加圧力を加えて前記第1、第2スリット軸部(4a、4b)の間で前記弁体(5)を加圧保持する締付手段(15)を備えるものであり、
    前記第1、第2スリット軸部(4a、4b)のうち、前記第1スリット軸部(4a)のみに、軸方向の中間箇所において分離する分離部(α)を設けたことを特徴とするバルブ装置。
  2. 請求項1に記載のバルブ装置において、
    前記シャフト(4)および前記弁体(5)は、内燃機関が吸入する空気量を調整するスロットルバルブ(1)に用いられることを特徴とするバルブ装置。
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