JP5990618B2 - 使い捨て式ブレードの螺固装置 - Google Patents

Description

本発明は使い捨て式ブレードの螺固装置に関する。

図９及び図１０に示すとおり、従来のＴ型ミリングカッター９０（Ｔ−ｓｌｏｔ ｃｕｔｔｅｒ）及びサイドミリングカッター１００（ｓｉｄｅ ｍｉｌｌｉｎｇ ｃｕｔｔｅｒ）は共に、マルチポイントカッティングツール（ｍｕｌｔｉ−ｐｏｉｎｔ ｃｕｔｔｉｎｇ ｔｏｏｌ）に属するミリングカッターで、Ｔ型溝及び溝切りの加工に応用される。

伝統的なＴ型ミリングカッター及びサイドミリングカッターは、銅を溶接材料とし、ブレードとミリングカッターのカッターとを溶接して一体となす溶接エッジ式ミリングカッターである。
上記したＴ型ミリングカッター及びサイドミリングカッターは、カッティングエッジが多いため、その切屑除去率が高い。

現在業界で広く用いられているブレード材質は、高速度鋼（ＨＳＳ）及び炭化タングステン（ＷＣ）である。
高速度鋼の材料は、硬度がＨＲｃ６６〜６８であり、耐熱温度は６００℃で、その加工速度及びフィード速度は低い。
そのため、高速加工を必要とする場合には、高速度鋼のミリングカッターを使い捨てし、炭化タングステンのカッティングツールを使用している。
炭化タングステン（Ｗｕ）カッティングツールは、硬度も耐熱温度も高速度鋼より高い。
溶接エッジ式の炭化タングステンミリングカッターは、銅を溶接材料とし、炭化タングステンブレードとミリングカッターとを溶接で一体とするが、銅は約３００〜４００℃で軟化するため、コーティング環境（３００〜８００℃）で塗装作業を行うことができない。

これが、一般の溶接エッジ式炭化タングステンミリングカッターの表面に、チタン金属をコーティングできない主因である。
且つ、これにより、溶接エッジ式の炭化タングステンミリングカッターの硬度、耐磨耗性及び耐熱温度を向上させることができない。
また、フライス加工のカッティング速度及びフィード速度を向上させられないという状況下では、加工効率を向上させることもできない。
上述のように、溶接エッジ式ミリングカッターには特殊金属（例えば、チタン金属）のコーティングを行うことができないため、使い捨て式Ｔ型ミリングカッター及びサイドミリングカッターを使用する必要がある。

図１１は、従来の使い捨て式Ｔ型ミリングカッター５０を示す。
従来の使い捨て式Ｔ型ミリングカッター５０の外径は約２１〜５０ｍｍである。
従来の使い捨て式Ｔ型ミリングカッター５０の外径Ｄは、２１ｍｍ〜５０ｍｍで、且つその外径が５０ｍｍである時の使い捨て式ブレード５１の数は４個である。
隣り合った使い捨て式ブレード５１１、５１２は、上下に排列して設置し、これにより一揃いのＴ型ミリングカッターのカッター幅Ｗ１を組成するため、その実際の数は半分に過ぎず、有効ブレードは２個である。
外径が２１ｍｍのＴ型ミリングカッター５０では、その使い捨て式ブレード５１の数は２個で、実際の有効ブレード数は１個だけである。
また、作業台のカッティングフィード速度Ｖｆ（ｆｚ（各ブレードのフィード量ｍｍ）×ｎ（主軸回転数）×有効ブレード数ＺＣ）と有効ブレード数ＺＣとは絶対の関係にある。

しかし、使い捨て式Ｔ型ミリングカッター５０の有効ブレード数ＺＣは、溶接エッジ式Ｔ型ミリングカッターの半分に過ぎないため、従来の溶接エッジ式Ｔ型ミリングカッターに比べ、そのミリングカッターのカッティング効率は、明確に向上していない。
加えて、Ｔ型ミリングカッターのカッティング効率が向上していない状況では、カッティング条件が同じ（高速及びヘビーデューティ）なら、そのアーバーには、はっきりしたたわみ（Ｄｅｆｌｅｃｔｉｏｎ）現象が発生する。
この現象は、カッティングの精度及びカッティングツールの寿命に影響を及ぼす。

図１２は、三面カッティングエッジを有するサイドミリングカッター６０を例示する。
三面カッティングエッジを有するサイドミリングカッターの外径は、約１００〜１６０ｍｍである。
１６０ｍｍのサイドミリングカッターのカッター数は１０個である。
隣り合った使い捨て式ブレード６１１、６１２は、上下に排列させ、一そろいのサイドミリングカッターのブレード≡幅Ｗ２を組成する。
そのため、その実際のブレード数は半分に過ぎず、有効ブレードは５個である。

しかしながら、同じカッター数を有する溶接エッジ式サイドミリングカッターは、１０個の有効なブレードを有する。
すなわち、使い捨て式サイドミリングカッターの有効ブレードの数は、同じカッター数を有する溶接エッジ式サイドミリングカッターの１／２に過ぎない。
よって、従来の溶接エッジ式サイドミリングカッターに比べ、そのカッティング効率は、はっきりと向上していない。
使い捨て式Ｔ型ミリングカッターと使い捨て式サイドミリングカッターの有効ブレード数を増やすことができない主因は、各使い捨て式ブレード５１、６１の螺固装置にあることが分かった。

図１３に示すとおり、使い捨て式ブレード６１とブレード台６０１の螺固は、ネジ７０を、ブレード台６０１に垂直に螺固する。
そのため、ドライバ８０を用いてネジ７０を回す際の、ドライバ８０の活動空間を考慮する必要があり、カッティングツール本体の空間を無駄にしてしまっている。
こうして、カッティングツールのブレード数を減らしており、使い捨て式Ｔ型ミリングカッターと使い捨て式サイドミリングカッターのカッティング効率を向上させることができない。

特開平８−２７０００５号公報

従来の使い捨て式Ｔ型ミリングカッターと使い捨て式サイドミリングカッターのブレード螺固装置は、そのネジ締め方向がブレード台方向に垂直であるため、ドライバの活動空間を考慮する必要があり、一部のカッティングツールの本体を除去し、カッティングツールのブレード数の減少を招いていることで、カッティング効率を向上させられないという問題を抱えている。
本発明の目的は、ミリングカッターのブレード数を増やし、カッティング効率を引き上げ、コストを低下させられる使い捨て式ブレードの螺固装置を提供することにある。

本発明による使い捨て式ブレードの螺固装置は、カッティングツール本体、および、使い捨て式ブレードを備える。
カッティングツール本体は、カッター径上に、数個のブレード台が環状に設置されており、ブレード台に螺合孔および弧状溝が設置されている。
螺合孔は、所定方向に傾斜する第一角度を有し、前記螺合孔の中心軸線は、前記弧状溝の中心から前記カッティングツール本体の中心側に所定距離偏る位置に位置している。
使い捨て式ブレードは、カッティングツール本体のブレード台上に設置されており、使い捨て式ブレードを貫通するネジ孔が設置されている。
ネジ孔は、螺合孔の第一角度と同じである第二角度で傾斜する。使い捨て式ブレードは、ネジによりカッティングツール本体に螺固されている。

本発明は使い捨て式ブレードの螺固装置を変えることで、使い捨て式ブレードの数（及びミリングカッターのカッティングブレード数）を相対的に拡大し、同時に硬度、耐磨性及び耐熱性が高い使い捨て式ブレードを組み合わせる。
こうして、ミリングカッターのカッティング効率を高め、カッティング抵抗力を効果的に引き下げることができる。

本発明は、螺固装置を傾斜構成とすることで、隣り合うブレードの干渉を避け、及び隣り合うブレードは違った方向に傾斜するため、使い捨て式ブレードの４個カッティングブレードを全て完全に応用することができ、経済的利益を最大にまで発揮させることができる。

本発明の一実施形態による使い捨て式ブレードの螺固装置を示す斜視図である。 本発明の一実施形態による使い捨て式ブレードの螺固装置を示す平面図である。 本発明の一実施形態による使い捨て式ブレードの螺固装置を示す側面図である。 本発明の一実施形態による使い捨て式ブレードを示す平面図である。 本発明の一実施形態による使い捨て式ブレードを示す平面図である。 本発明の一実施形態による使い捨て式ブレードを示す平面図である。 本発明の一実施形態によるカッティングツール本体のブレード台を示す片面図である。 本発明の一実施形態によるサイドミリングカッターを示す側面図である。 従来の溶接エッジ式Ｔ型ミリングカッターを示す模式図である。 従来の溶接エッジ式サイドミリングカッターを示す模式図である。 従来の使い捨て式Ｔ型ミリングカッターを示す模式図である。 従来の使い捨て式サイドミリングカッターを示す模式図である。 従来の使い捨て式サイドミリングカッターの使い捨て式ブレードの取り外し／取り付けを示す模式図である。

（一実施形態）
図１及び図２に示すとおり、本発明の一実施形態による使い捨て式ブレードの螺固装置は、カッティングツール本体１０を有する。
カッティングツール本体１０のカッター径上には、数個のブレード台１１を環状に設置する。
ブレード台１１には、螺合孔１１１が設置されており、螺合孔１１１の中心軸線である第一中心軸線ａ１と、ブレード台１１の中心点を通過する第一垂直線ｂ１との間は、第一角度Θ１を有する（図３参照）。第一垂直線ｂ１は、ブレード台１１と使い捨て式ブレード２０とが当接する面と直交する。

使い捨て式ブレード２０は、カッティングツール本体１０のブレード台１１上に設置される。
使い捨て式ブレード２０には、貫通したネジ孔２１が設置されている。ネジ孔２１の中心軸線である第二中心軸線ａ２と、使い捨て式ブレード２０とブレード台１１とが当接する面と直交する垂直線である第二垂直線ｂ２との間は、第二角度 Θ２（図４参照）を有する。
第二角度 Θ２と第一角度 Θ１とは、同じ傾斜角度である。
ネジ孔２１の両端には、沈頭孔の設計を有し、ネジ３０により、使い捨て式ブレード２０を、カッティングツール本体１０のブレード台１１上に螺固する。

図３に示すとおり、カッター径上に環状に設置する各隣り合うブレード台１１上に設置する螺合孔１１１の第一角度 Θ１方向は、間隔を開けて反対方向に傾斜して設置される。
すなわち、任意の２個の隣り合うブレード台１１の螺合孔１１１が傾斜する第一角度 Θ１方向は、反対（或いは鏡面反射）対応である。
その主な機能は、使い捨て式ブレード２０の４個のカッティングエッジ２２１、２２２、２３１、２３２（図５参照）をすべて使用可能とすることである。

図４〜図６は、使い捨て式ブレードの前視図（図４）、側視図（図５）及び後視図（図６）を示す。

使い捨て式ブレード２０の前端面の上、下カッティングエッジは、第一カッティングエッジ２２１及び第二カッティングエッジ２２２で、後端面の上、下カッティングエッジは、第三カッティングエッジ２３１及び第四カッティングエッジ２３２である。

使い捨て式ブレード２０の第一カッティングエッジ２２１のカッティングが鈍化したなら、使い捨て式ブレード２０を緩めて取り外した後、反対面にセットする。
これにより、第二カッティングエッジ２２２は、上向きを呈して位置する。
第一カッティングエッジ２２１と第二カッティングエッジ２２２とが、上向きを呈して位置すると、ネジ孔２１が傾斜する第二角度 Θ２方向は同じであるため、同端面の２個のカッティングエッジを、同一のブレード台１１上で使用することができる。

２個のカッティングエッジが２個とも鈍化したなら、第三カッティングエッジ２３１及び第四カッティングエッジ２３２は、隣り合うブレード台１１上へと交換し使用しなければならない。
図６の後視図（すなわち、第三カッティングエッジ２３１及び第四カッティングエッジ２３２端面）から、ネジ孔２１が、反対方向の傾斜第二角度 Θ２であることは観察できる。
よって、使い捨て式ブレード２０の４個のカッティングエッジはどれも、使用可能である。

図７に示すとおり、第一角度 Θ１傾斜する螺合孔１１１の中心軸線は、ブレード台１１の弧状溝の中心位置からカッティングツール本体１０の中心点ｃ側に偏移距離ｅ偏る位置に位置する。
且つ螺合孔１１１の中心軸線は、カッティングツール本体１０の中心点ｃ側のエッジ壁１１２方向へ偏移する。
偏移距離ｅのサイズは、およそ螺合孔１１１（或いはネジ３０）サイズの１／２０で、５ｍｍのネジ３０なら、その偏移距離ｅのサイズは、およそ０．２５ｍｍである。

偏移距離ｅの設置により、ネジ３０が使い捨て式ブレード２０を螺固すると、ネジ３０は、使い捨て式ブレード２０をわずかに押し、ブレード台１１のエッジ壁１１２方向へと移動させる。
並びに、使い捨て式ブレード２０とエッジ壁１１２とを緊迫し、且つ定位し、こうして使い捨て式ブレード２０とブレード台１１とは、緊密に螺固される。
これにより、カッティング応力の伝達はスムーズになり、カッティングツールの安定性を高めることができる。

上述の説明により明らかなように、本発明は使い捨て式ブレードの螺固装置の設計を換えることで、ミリングカッターのブレード台１１上に設置する螺合孔１１１は、適当な傾斜の第一角度 Θ１に設計され、使い捨て式ブレード２０のネジ孔２１も、同じ傾斜を有する第二角度 Θ２に設計される。

図８に示すとおり、工具を使用し、ネジ３０を締め、或いは緩める時も、第一角度Θ１及び第二角度 Θ２に従い、ドライバ８０は、隣り合うブレードに干渉されることはない。
よって、ミリングカッターのブレード数を増やすことができ、溶接エッジ式Ｔ型ミリングカッター或いは溶接エッジ式サイドミリングカッターのブレード数と同じとすることができる。
使い捨て式ブレード２０の数が増えることに加え、コーティング可能な炭化タングステンブレードを組み合わせて硬度、耐磨性及び耐熱温度を高めることができる。
こうして、そのフライス加工のカッティング速度及びフィード速度を相対的に向上させ、カッティング効率を効果的に高めることができる。

上記を総合すると、本発明の使い捨て式ブレードの螺固装置は、使い捨て式ブレードの数量（すなわち、ミリングカッターのカッティングブレード数）を増やすことができる。
同時に、硬度、耐磨性及び耐熱性が高い使い捨て式ブレードを組み合わせることで、ミリングカッターのカッティング効率を高め、カッティング抵抗力を効果的に引き下げることができる。
本発明は、螺固装置を傾斜設計とすることで、隣り合うブレードの干渉を避け、且つ使い捨て式ブレードのカッティングブレードの使用回数に影響を及ぼすことはない。
隣り合うブレードは、違った方向に傾斜するため、使い捨て式ブレードの４個カッティングブレードを全て完全に応用することができ、経済的利益を最大にまで発揮させることができる。

前述した本発明の実施形態は本発明を限定するものではなく、よって、本発明により保護される範囲は特許請求の範囲を基準とする。

１０ カッティングツール本体、
１１ ブレード台、
１１１ 螺合孔、
１１２ エッジ壁、
２０ 使い捨て式ブレード、
２１ ネジ孔、
２２１ 第一カッティングエッジ、
２２２ 第二カッティングエッジ、
２３１ 第三カッティングエッジ、
２３２ 第四カッティングエッジ、
３０ ネジ、
ａ１ 第一中心軸、
ａ２ 第二中心軸、
ｂ１ 第一垂直線、
ｂ２ 第二垂直線、
ｃ 中心点、
ｅ 偏移距離、
Θ１ 第一角度、
Θ２ 第二角度、
５０ 使い捨て式Ｔ型ミリングカッター、
５１ 使い捨て式ブレード、
５１１、５１２ 使い捨て式ブレード、
６０ サイドミリングカッター、
６０１ ブレード台、
６１１、６１２ 使い捨て式ブレード、
７０ ネジ、
８０ ドライバ、
９０ Ｔ型ミリングカッター、
１００ サイドミリングカッター。

Claims (4)

1. カッティングツール本体、および、少なくとも１個の使い捨て式ブレードを備え、
   前記カッティングツール本体は、カッター径上に、複数のブレード台が環状に設置されており、前記ブレード台に螺合孔および弧状溝が設置されており、前記螺合孔が所定方向に傾斜し第一角度を有し、
   前記螺合孔の中心軸線は、前記弧状溝の中心から前記カッティングツール本体の中心側に所定距離偏る位置に位置し、
   前記使い捨て式ブレードは、前記カッティングツール本体の前記ブレード台上に設置されており、前記使い捨て式ブレードを貫通したネジ孔が設置されており、前記ネジ孔が前記螺合孔の前記第一角度と同じである第二角度で傾斜しており、ネジにより、前記カッティングツール本体の前記ブレード台に螺固されていることを特徴とする使い捨て式ブレードの螺固装置。
2. 前記カッティングツール本体の複数の前記ブレード台は、互いに隣り合う二つの前記ブレード台の前記螺合孔の傾斜方向が相反するよう設置されていることを特徴とする請求項１に記載の使い捨て式ブレードの螺固装置。
3. 前記螺合孔の位置は、前記カッティングツール本体の中心点側のエッジ壁方向へと偏移することを特徴とする請求項１に記載の使い捨て式ブレードの螺固装置。
4. 前記第一角度は、前記螺合孔の中心軸線と、前記ブレード台と前記使い捨て式ブレードとが当接する面と直交する線との間の角度であり、
   前記第二角度は、前記ネジ孔の中心軸線と、前記使い捨て式ブレードと前記ブレード台とが当接する面と直交する線と、の間の角度であることを特徴とする請求項１に記載の使い捨て式ブレードの螺固装置。

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