[1.パチンコ遊技機の全体構造]
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について、図面を参照して説明する。まず、図1乃至図7を参照して実施形態に係るパチンコ遊技機の全体について説明する。図1は、実施形態に係るパチンコ遊技機の外枠に対して本体枠を開放し、本体枠に対して扉枠を開放した状態を示す斜視図である。図2は、パチンコ遊技機の正面図であり、図3は、パチンコ遊技機の右側面図である。また、図4は、パチンコ遊技機の平面図であり、図5は、パチンコ遊技機の背面図である。更に、図6は、パチンコ遊技機を構成する外枠、本体枠、遊技盤、扉枠の後方から見た分解斜視図であり、図7は、パチンコ遊技機を構成する外枠、本体枠、遊技盤、扉枠の前方から見た分解斜視図である。
図1乃至図7において、本実施形態に係るパチンコ遊技機1は、遊技ホールの島設備(図示しない)に設置される外枠2と、外枠2に開閉自在に軸支され前側が開放された箱枠状の本体枠3と、本体枠3に前側から装着固定され遊技媒体としての遊技球が打ち込まれる遊技領域1100を有した遊技盤4と、本体枠3及び遊技盤4の前面を遊技者側から閉鎖するように本体枠3に対して開閉自在に軸支された扉枠5とを備えている。このパチンコ遊技機1の扉枠5には、遊技盤4の遊技領域1100が遊技者側から視認可能となるように形成された遊技窓101と、遊技窓101の下方に配置され遊技球を貯留する皿状の上皿301及び下皿302と、上皿301に貯留された遊技球を遊技盤4の遊技領域1100内へ打ち込むために遊技者が操作するハンドル装置500と、を備えている。
パチンコ遊技機1は、図示するように、正面視において、外枠2、本体枠3、及び扉枠5がそれぞれ上下方向へ延びた縦長の矩形状に形成されており、それぞれの左右方向の横幅が略同じ寸法とされていると共に、上下方向の縦幅の寸法が、外枠2に対して本体枠3及び扉枠5の寸法が若干短く形成されている。そして、本体枠3及び扉枠5よりも下側の位置において、外枠2の前面に装飾カバー23が取付けられており、扉枠5及び装飾カバー23によって外枠2の前面が完全に閉鎖されるようになっている。また、外枠2、本体枠3、及び扉枠5は、上端が略揃うようにそれぞれが配置されると共に、外枠2の左端前側の位置で本体枠3及び扉枠5が回転可能に軸支されており、外枠2に対して本体枠3及び扉枠5の右端が前側へ移動することで開状態となるようになっている。
このパチンコ遊技機1は、正面視において、略円形状の遊技窓101を介して遊技球が打ち込まれる遊技領域1100が望むようになっており、その遊技窓101の下側に前方へ突出するように二つの上皿301及び下皿302が上下に配置されている。また、扉枠5の前面右下隅部には、遊技者が操作するためのハンドル装置500が配置されており、上皿301内に遊技球が貯留されている状態で遊技者がハンドル装置500を回転操作すると、その回転角度に応じた打球強さで上皿301内の遊技球が遊技盤4の遊技領域1100内へ打ち込まれて、遊技をすることができるようになっている。
なお、詳細は後述するが、扉枠5の遊技窓101は、透明なガラスユニット590によって閉鎖されており、遊技者から遊技領域1100内を視認することができるものの、遊技者が遊技領域1100内へ手等を挿入して遊技領域1100内の遊技球や障害釘、各種入賞口や役物等に触ることができないようになっている。また、本体枠3の後側には、各種の制御基板が備えられていると共に、遊技盤4の後方を覆うように閉鎖するかバー体1250備えられている。
[2.外枠]
外枠2について、主として図8乃至図16を参照して説明する。図8は外枠の正面斜視図であり、図9は外枠の正面から見た分解斜視図であり、図10は外枠の正面図である。また、図11は外枠の背面斜視図であり、図12は外枠の右側面図である。更に、図13は、本体枠の上軸支金具と外枠の上支持金具との脱着構造を説明するための斜視図である。また、図14(A)は外枠の上支持金具の裏面に設けられるロック部材の取付状態を示す分解斜視図であり、(B)は(A)の図を下方から見た斜視図である。図15は、軸支ピンとロック部材との関係を説明するための上支持金具部分の裏面図である。更に、図16は、ロック部材の作用を説明するための上支持金具部分の裏面図である。
図8及び図9に示すように、本実施形態のパチンコ遊技機1における外枠2は、横方向へ延びる上下の上枠板10及び下枠板11と、縦(上下)方向へ延びる左右の側枠板12,13と、それぞれの枠板10,11,12,13の端部を連結する四つの連結部材14と、を備えており、連結部材14で各枠板10,11,12,13同士を連結することで縦長の矩形状(方形状)に組立てられている。外枠2における上枠板10及び下枠板11は、所定厚さの無垢材(例えば、木材、合板、等)により形成されており、左右両端の前後方向の略中央に、上下に貫通し左右方向中央側へ窪んだ係合切欠部15が備えられている。なお、上枠板10における左側端部の上面及び前面には、その他の一般面よりも窪んだ取付段部10aが形成されており、この取付段部10aに後述する上支持金具20が取付けられるようになっている。
一方、側枠板12,13は、一定断面形状の軽量金属型材(例えば、アルミ合金)とされており、外側側面は略平坦面とされていると共に、内側側面は後端部に内側へ突出し上下方向(押出方向)に貫通する空洞を有した突出部16を備えており、強度剛性が高められている。なお、側枠板12,13の外側側面及び内側側面には、上下方向へ延びた複数の溝が形成されており、パチンコ遊技機1を遊技ホールのパチンコ島設備に設置する際等に、作業者の指掛りとなってパチンコ遊技機1を保持し易くすることができるようになっていると共に、外観の意匠性を高められるようになっている。なお、便宜上、側枠板12,13の側面に形成された複数の溝を省略して示した図面もある。
外枠2における連結部材14は、所定厚さの金属板をプレス成型等によって屈曲塑性変形させることで形成されたものであり、上枠板10又は下枠板11に固定され左右方向へ延びた板状の水平片17と、水平片17の外側端部から上下方向の一方側へ延び側枠板12,13に固定される板状の垂直片18と、垂直片18とは反対方向へ延び上枠板10又は下枠板11の係合切欠部15内に挿入係合可能な板状の係合片19と、を有している。なお、本実施形態では、上枠板10と左側の側枠板12とを連結する連結部材14と、上枠板10と右側の側枠板13とを連結する連結部材14とは、それぞれ左右非対称の形状に形成されていると共に、垂直片18が前後に分かれて形成されている。一方、下枠板11と左側の側枠板12とを連結する連結部材14と、下枠板11と右側の側枠板13とを連結する連結部材14とは、それぞれ左右対称の形状に形成されている。
この連結部材14は、水平片17の上面及び下面が上枠板10及び下枠板11の下面及び上面と当接すると共に、係合片19が上枠板10及び下枠板11の係合切欠部15内に挿入係合された状態で、水平片17及び係合片19を貫通して所定のビスが上枠板10及び下枠板11にねじ込まれることで、上枠板10及び下枠板11に固定されるようになっている。また、上枠板10に固定された連結部材14は、その垂直片18が側枠板12,13の上端内側側面に当接した状態で、側枠板12,13を貫通して所定のビスが垂直片18へねじ込まれることで、上枠板10と側枠板12,13とを連結することができるようになっている。なお、上枠板10に固定された連結部材14における後側の垂直片18は、側枠板12,13の突出部16内に挿入された状態で、側枠板12,13へ固定されるようになっている。更に、下枠板11に固定された連結部材14は、その垂直片18が側枠板12,13の下端内側側面に当接した状態で、側枠板12,13を貫通して所定のビスが垂直片18へねじ込まれることで、下枠板11と側枠板12,13とを連結することができるようになっており、四つの連結部材14により、上枠板10、下枠板11、及び側枠板12,13を枠状に組立てることができるようになっている。
外枠2は、上枠板10の左端上面に固定される上支持金具20と、上支持金具20と対向するように配置され左側の側枠板12における下部内側の所定位置に固定される下支持金具21と、下支持金具21の下面を支持するように配置され左右の側枠板12,13を連結するように固定される補強金具22と、補強金具22の前面に固定される装飾カバー23と、を備えている。この上支持金具20及び下支持金具21は、本体枠3及び扉枠5を開閉可能に軸支するためのものである。
まず、上支持金具20は、上枠板10に固定される板状の固定片20aと、固定片20aの前端から上枠板10の前端よりも前方へ突出する支持突出片20bと、支持突出片20bにおける前端付近の右側端から先端中央部へ向かって屈曲するように切欠かれて形成された支持鉤穴20cと、固定片20a及び支持突出片20bの左端から下方へ垂下し左側の側枠板12における外側側面と当接する板状の垂下固定片20d(図14(A)を参照)と、垂下固定片20dと連続し支持突出片20bの外側縁に沿って垂下する垂下壁20e(図14を参照)と、垂下壁20eと連続し支持鉤穴20cの入口端部で内側へ向って傾斜した停止垂下部20f(図15を参照)と、を備えている。この上支持金具20における支持鉤穴20cには、後述する本体枠3における上軸支金具630の軸支ピン633(図57を参照)が着脱自在に係合されるようになっている。また、上支持金具20は、固定片20aと垂下固定片20dとによって、上枠板10と左側の側枠板12とを連結することができるようになっている。
この上支持金具20は、支持突出片20bの外側縁から垂下する垂下壁20eによって、支持突出片20bの強度が高められていると共に、詳細は後述するが、正面から見た時に支持突出片20bの裏面に配置されるロック部材27が遊技者側から視認できないように隠蔽することができ、外観の見栄えを良くすることができるようになっている。また、支持突出片20bに形成された支持鉤穴20cは、垂下壁20eが形成されない反対側(右側)の側方から先端中央部に向かって傾斜状となるようにく字状に屈曲した形状とされていると共に、支持鉤穴20cの傾斜状穴部の幅寸法は、軸支ピン633の直径よりもやや大きな寸法とされている。
一方、下支持金具21は、補強金具22上に載置固定される水平固定片21aと、水平固定片21aの左端から上方へ立上がり左側の側枠板12の内側側面に固定される垂直固定片21bと、水平固定片21aの前端から上枠板10及び下枠板11よりも前方へ突出する板状の支持突出片21cと、支持突出片21cの前端付近から上向きに突設されたピン状の支持突起21dと、を備えている。この下支持金具21における支持突起21dには、後述する本体枠3の本体枠軸支金具644(図59等を参照)に形成された本体枠軸支が挿入されるようになっており、下支持金具21の支持突起21dを、本体枠3における本体枠軸支金具644の支持穴に挿入した後に、本体枠3の上軸支金具630の軸支ピン633を支持鉤穴20cに係止することにより簡単に本体枠3を開閉自在に軸支することができるようになっている。
また、外枠2は、図示するように、右側の側枠板13の内側に、上下方向に所定距離離反して配置される二つの閉鎖板24,25が取付固定されている。これら閉鎖板24,25は、平面視で略L字状に形成されており、下側に配置される閉鎖板25には、前後方向に貫通する矩形状の開口25aを有している(図9を参照)。この閉鎖板24,25は、外枠2に対して本体枠3を閉じる際に、本体枠3の開放側辺に沿って取付けられる錠装置1000のフック部1054,1065(図82を参照)と係合するものであり、詳細は後述するが、錠装置1000のシリンダ錠1010に鍵を差し込んで一方に回動することにより、フック部1054,1065と閉鎖板24,25との係合が外れて本体枠3を外枠2に対して開放することができるものである。
更に、外枠2は、補強金具22の右端上面に固定される案内板26を更に備えている。この案内板26は、外枠2に対して本体枠3を閉止する際に、本体枠3をスムーズに案内するためのものであり、交換可能に装着固定されている。
また、外枠2は、図14等に示すように、上支持金具20における支持突出片20bの裏面に支持されたロック部材27を更に備えており、リベット28によって支持突出片20bに対して回動可能に軸支されている。このロック部材27は、合成樹脂により形成されており、リベット28により軸支される位置から前方へ突出するストッパ部27aと、リベット28により軸支される位置から右方向へストッパ部27aよりも短く突出する操作部27bと、操作部27bに対してリベット28により軸支される位置とは反対側から突出する弾性片27cと、ストッパ部27aの先端に前方側へ膨出するように形成された円弧状の先端面27dと、を備えている。このロック部材27は、図示するように、ストッパ部27aと操作部27bとで、略L字状に形成されている。また、ロック部材27の弾性片27cは、ストッパ部27aや操作部27bよりも狭い幅に形成されていると共に、ストッパ部27aから左方へ遠ざかるに従って前方へ延びだすように形成されている。
このロック部材27は、図14(B)や図15に示すように、上支持金具20の支持突出片20bに支持した状態(通常の状態)では、弾性片27cの先端当接部が垂下壁20eの内側面と当接しており、ストッパ部27aが支持鉤穴20cの傾斜状穴部を閉塞するようになっていると共に、ストッパ部27aの先端部分が、支持鉤穴20cの傾斜状穴部の先頭空間部分を閉塞した状態とはならず、支持鉤穴20cの先頭空間部分に本体枠3の上軸支金具630の軸支ピン633を挿入可能な空間が形成された状態となっている。
上支持金具20とロック部材27とを用いた軸支ピン633の支持機構は、軸支ピン633が支持鉤穴20cの傾斜状穴部の先端空間部分に挿入されてストッパ部27aの先端側方が入口端部の停止垂下部20fに対向している状態(この状態ではストッパ部27aの先端側方と停止垂下部20fとの間に僅かな隙間があり当接した状態となっていない)である通常の軸支状態においては、屈曲して形成される支持鉤穴20cの傾斜状穴部の先端空間部分に位置する軸支ピン633とストッパ部27aの先端面27dとのそれぞれの中心が斜め方向にずれて対向した状態となっている。そして、この通常の軸支状態においては、重量のある本体枠3を軸支している軸支ピン633が支持鉤穴20cの先端部分に当接した状態となっているので、軸支ピン633からストッパ部27aの先端面27dへの負荷がほとんどかかっていないため、ロック部材27の弾性片27cに対し負荷がかかっていない状態となっている。なお、ストッパ部27aの先端に円弧状の先端面27dを備えているので、ロック部材27を回動させるために操作部27bを回動操作した時に、ロック部材27がスムーズに回動するようになっている。また、図示では、先端面27dの円弧中心が、リベット28の中心(ロック部材27の回転中心)とされている。
したがって、軸支ピン633が支持鉤穴20cの傾斜状穴部の傾斜に沿って抜ける方向に作用力Fがかかって円弧状の先端面27dに当接したとき、その作用力Fを、軸支ピン633と円弧状の先端面27dとの当接部分に作用する分力F1(先端面27dの円弧の法線方向)と、軸支ピン633と支持鉤穴20cの傾斜状穴部の一側内面との当接部分に作用する分力F2と、に分けたときに、分力F1の方向がリベット28の中心(ロック部材27の回転中心)を向くため、ロック部材27のストッパ部27aの先端部が支持突出片20bから外れる方向(図示の時計方向)に回転させるモーメントが働かず、軸支ピン633がロック部材27のストッパ部27aの先端部と支持鉤穴20cの傾斜状穴部の一側内面との間に挟持された状態を保持する。このため、通常の軸支状態でもあるいは軸支ピン633の作用力がロック部材27にかかった状態でも、ロック部材27の弾性片27cに常時負荷がかからず、合成樹脂で一体形成される弾性片27cのクリープによる塑性変形を防止し、長期間に亘って軸支ピン633の支持鉤穴20cからの脱落を防止することができる。なお、仮に無理な力がかかってロック部材27のストッパ部27aの先端部が支持突出片20bから外れる方向(図示の時計方向)に回転させられても、ストッパ部27aの先端部の一側方が停止垂下部20fに当接してそれ以上外れる方向に回転しないので、ロック部材27が支持突出片20bの外側にはみ出ないようになっている。
なお、ストッパ部27aの先端面27dの形状は円弧状でなくても、上記した分力F1の作用により回転モーメントが生じない位置又はロック部材27をその先端部が支持突出片20bの外側に向って回転させる回転モーメントが生ずる位置にロック部材27の回転中心(リベット28により固定される軸)を位置させることにより、常時ロック部材27の弾性片27cに対しても負荷がかかることはないし、ロック部材27が回転してもストッパ部27aの先端一側方が停止垂下部20fに当接するだけであるため、ロック部材27が支持突出片20bの外側にはみ出ることもないという点を本出願人は確認している。
ロック部材27の作用について図16を参照して具体的に説明する。外枠2に本体枠3を開閉自在に軸支する前提として、本体枠3の本体枠軸支金具644(図57を参照)に形成される本体枠軸支穴(図示しない)に下支持金具21の支持突起21dが挿通されていることが必要である。そのような前提において、図16(A)に示すように、本体枠3の上軸支金具630の軸支ピン633をロック部材27のストッパ部27aの側面に当接させて押し込むことにより、図16(B)に示すように、ロック部材27が弾性片27cを変形させながら反時計方向に回動させるので、軸支ピン633を支持鉤穴20cに挿入することができる。そして、軸支ピン633が支持鉤穴20cの傾斜状穴部の先頭空間部分に到達すると、図16(C)に示すように、軸支ピン633とストッパ部27aの先端側面とが当接しなくなるためロック部材27が弾性片27cの弾性力に付勢されて時計方向に回動し、ロック部材27のストッパ部27aが再度通常の状態に戻って支持鉤穴20cの入口部分を閉塞すると同時に、ストッパ部27aの先端部分が軸支ピン633と対向して軸支ピン633が支持鉤穴20cから抜け落ちないようになっている。
そして、この状態は、図16(D)に示すように、本体枠3が完全に閉じられた状態でもあるいは本体枠3の通常の開閉動作中も保持される。次いで、軸支ピン633を支持鉤穴20cから取外すためには、図16(E)に示すように、指を支持突出片20bの裏面に差し入れてロック部材27の操作部27bを反時計方向に回動することにより、ロック部材27が弾性片27cの弾性力に抗して回動し、ストッパ部27aの先端部分が支持鉤穴20cから退避した状態となるため、軸支ピン633を支持鉤穴20cから取り出すことができる。その後、本体枠3を持ち上げて、本体枠軸支金具644に形成される本体枠軸支穴と下支持金具21の支持突起21dとの係合を解除することにより、本体枠3を外枠2から取外すことができるようになっている。
上述したように、外枠2は、外枠2の外郭を構成する上枠板10と下枠板11とを従来と同じく木製とすると共に、側枠板12,13を軽量金属(例えば、アルミ合金)の押出型材としているので、パチンコ遊技機1を遊技場に列設されるパチンコ島設備に設置する場合に、島の垂直面に対し所定の角度をつけて固定する作業を行う必要があるが、そのような作業は上枠板10及び下枠板11と島とに釘を打ち付けて行われるため、釘を打ち易くすることができ、既存のパチンコ島設備にパチンコ遊技機1を問題なく設置することができるようになっている。また、側枠板12,13を軽量金属(例えば、アルミ合金)の押出型材としているので、従来の木製の外枠と比較して強度を維持しつつ肉厚を薄く形成することが可能となり、側枠板12,13の内側に隣接する本体枠3の周壁部605(図57等を参照)の正面から見たときの左右幅を広くすることができ、左右方向の寸法の大きな遊技盤4を本体枠3に装着することができると同時に、遊技盤4の遊技領域1100を大きく形成することができるようになっている。
また、外枠2の外郭を構成する上枠板10、下枠板11、及び側枠板12,13を連結部材14で連結するようにしており、連結部材14が側枠板12,13の内面に密着して止着されると共に連結部材14と上枠板10及び下枠板11が係合した状態で止着されるので、外枠2の組付け強度を高くすることができ、頑丈な方形状の枠組みとすることができるようになっている。また、連結部材14によって上枠板10、下枠板11、及び側枠板12,13を連結した後、上支持金具20を所定の位置に取付けたときに、図10に示すように、各枠板10,11,12,13の外側面(外周面)から外側に突出する部材が存在しないので、パチンコ遊技機1を図示しない遊技ホールのパチンコ島設備に設置する際に、隣接する装置(例えば、隣接する球貸機やCRユニット)と密着して取付けることができるようになっている。
[3.扉枠の全体構成]
次に、上記した本体枠3の前面側に開閉自在に設けられる扉枠5について、図17乃至図23を参照して説明する。図17は扉枠の正面図であり、図18は扉枠の背面図であり、図19は扉枠を右前方から見た斜視図である。また、図20は扉枠を左前方から見た斜視図であり、図21は扉枠の右後方から見た斜視図である。更に、図22は扉枠を正面から見た分解斜視図であり、図23は扉枠を背面から見た分解斜視図である。
本実施形態のパチンコ遊技機1における扉枠5は、図示するように、外形が縦長の矩形状に形成され内周形状がやや縦長の円形状(楕円形状)とされた遊技窓101を有する扉枠ベースユニット100と、扉枠ベースユニット100の前面で遊技窓101の右外周に取付けられる右サイド装飾ユニット200と、右サイド装飾ユニット200と対向し扉枠ベースユニット100の前面で遊技窓101の左外周に取付けられる左サイド装飾ユニット240と、扉枠ベースユニット100の前面で遊技窓101の上部外周に取付けられる上部装飾ユニット280と、右サイド装飾ユニット200及び左サイド装飾ユニット240の下端下側に配置され扉枠ベースユニット100の前面に取付けられる一対のサイドスピーカカバー290と、を備えている。
また、扉枠5は、扉枠ベースユニット100の前面で遊技窓101の下部に取付けられる皿ユニット300と、皿ユニット300の上部中央に取付けられる操作ユニット400と、皿ユニット300を貫通して扉枠ベースユニット100の右下隅部に取付けられ遊技球の打込操作をするためのハンドル装置500と、扉枠ベースユニット100を挟んで皿ユニット300の後側に配置され扉枠ベースユニット100の後面に取付けられるファールカバーユニット540と、ファールカバーユニット540の右側で扉枠ベースユニット100の後面に取付けられる球送ユニット580と、扉枠ベースユニット100の後側に遊技窓101を閉鎖するように取付けられるガラスユニット590と、を備えている。
[3−1.扉枠ベースユニット]
続いて、扉枠5における扉枠ベースユニット100について、主に図24乃至図26を参照して説明する。図24(A)は扉枠における扉枠ベースユニットの正面斜視図であり、(B)は扉枠における扉枠ベースユニットの背面斜視図である。また、図25は扉枠ベースユニットを分解して前から見た分解斜視図であり、図26は扉枠ベースユニットを分解して後ろから見た分解斜視図である。
扉枠ベースユニット100は、図示するように、外形が縦長の矩形状に形成されると共に、前後方向に貫通し内周が縦長の略楕円形状に形成された遊技窓101を有する扉枠ベース本体110と、扉枠ベース本体110の前面で遊技窓101の上部中央に取付けられ上部装飾ユニットを固定するための上部ブラケット120と、扉枠ベース本体110の前面で遊技窓101の下端左右両外側に取付けられる一対のサイドスピーカ130と、扉枠ベース本体110の前面で正面視右下隅部に取付けられハンドル装置500を支持するためのハンドルブラケット140と、を備えている。
また、扉枠ベースユニット100は、扉枠ベース本体110の後側に固定される金属製で枠状の補強ユニット150と、扉枠ベース本体110の後面で遊技窓101の下部を被覆するように取付けられる防犯カバー180と、扉枠ベース本体110の後面で遊技窓101の外周の所定位置に回動可能に取付けられるガラスユニット係止部材190と、背面視で左右方向の中央より左側(開放側)に配置され遊技窓101の下端に沿って扉枠ベース本体110の後面に取付けられる発射カバー191と、発射カバー191の下側で扉枠ベース本体110の後面に取付けられハンドル装置500のポテンショメータ512と主制御基板4100との接続を中継するハンドル中継端子板192と、ハンドル中継端子板192の後側を被覆するハンドル中継端子板カバー193と、左右方向の中央を挟んで発射カバー191やハンドル中継端子板192等とは反対側(背面視で左右方向中央よりも右側(軸支側))に配置され扉枠ベース本体の後面に取付けられる枠装飾駆動アンプ基板194と、枠装飾駆動アンプ基板194の後側を被覆する枠装飾駆動アンプ基板カバー195と、を備えている。
扉枠ベースユニット100は、合成樹脂からなる矩形状の扉枠ベース本体110の後側に、金属板金をリベット等で組立てた補強ユニット150が固定されることで、全体の剛性が高められていると共に、各装飾ユニット200,240,280や皿ユニット300等を充分に支持することができる強度を有している。
この扉枠ベースユニット100における枠装飾駆動アンプ基板194は、サイドスピーカ130や左右のサイド装飾ユニット200,240の上部スピーカ222,262と接続されると共に、後述する遊技盤4に備えられた周辺制御基板4140と接続されており、周辺制御基板4140から送られた音響信号を増幅して各スピーカ130へ出力する増幅回路を備えている。なお、具体的な図示は省略するが、本実施形態では、各装飾ユニット200,240,280及び皿ユニット300や操作ユニット400に備えられた各装飾基板430,432、操作ユニット400に備えられたダイヤル駆動モータ414やスイッチ432a,432b,432c、ハンドル中継端子板192、皿ユニット300の貸球ユニット360等と、払出制御基板4110や周辺制御基板4140等とを接続する配線が、枠装飾駆動アンプ基板194の背面視で右側(軸支側)の位置に集約して束ねられた上で後方へ延出して本体枠3の主扉中継端子板880や周辺扉中継端子板882に接続されるようになっている。
扉枠ベースユニット100における扉枠ベース本体110は、図25及び図26等に示すように、合成樹脂によって縦長の額縁状に形成されており、前後方向に貫通し内形が縦長で略楕円形状の遊技窓101が全体的に上方へオフセットするような形態で形成されている。この遊技窓101は、図示するように、左右側及び上側の内周縁が連続した滑らかな曲線状に形成されているのに対して、下側の内周縁は左右へ延びた直線状に形成されている。また、扉枠ベース本体110における遊技窓101の下側の内周縁には、軸支側(正面視で左側)にファールカバーユニット540の第一球出口544aを挿通可能な方形状の切欠部101aが形成されている。この扉枠ベース本体110は、遊技窓101によって形成される上辺、及び左右の側辺の幅が、後述する補強ユニット150の上側補強板金151、軸支側補強板金152、及び開放側補強板金153の幅と略同じ幅とされており、正面視における扉枠ベース本体の大きさに対して、遊技窓101が可及的に大きく形成されている。したがって、扉枠5の後側に配置される遊技盤4のより広い範囲を遊技者側から視認できるようになっており、従来のパチンコ遊技機よりも広い遊技領域1100を容易に形成することができるようになっている。
この扉枠ベース本体110は、遊技窓101の他に、遊技窓101の下辺の左右両外側に配置されサイドスピーカ130を取付固定するためのスピーカ取付部111と、球送ユニット580を取付固定するための球送ユニット取付凹部112(図26を参照)と、球送ユニット取付凹部112の所定位置で前後方向に貫通し皿ユニット300の上皿301に貯留された遊技球を球送ユニット580へ供給するための球送開口113と、正面視で右下隅部に配置され前方へ膨出した前面の右側(開放側)端が後退するように斜めに傾斜しハンドルブラケット140を取付けるためのハンドル取付部114と、ハンドル取付部114の所定位置で前後方向へ貫通しハンドル装置500からの配線が通過可能な配線通過口115と、ハンドル取付部114の上側で前方へ向かって短く延びた筒状に形成され後述するシリンダ錠1010が挿通可能な錠穴116と、を備えている。
また、扉枠ベース本体110は、図26に示すように、球送ユニット取付凹部112に下側にハンドル中継端子板192を取付けるための中継基板取付部117と、背面視で扉枠ベース本体110の下部右側(軸支側)に配置され枠装飾駆動アンプ基板194を取付けるための基板取付部118と、遊技窓101の下端の背面視左側(開放側)でスピーカ取付部111よりも中央寄りの配置から後方へ突出し防犯カバー180の装着弾性片185を装着するための防犯カバー装着部119と、扉枠ベース本体110は、その後側に、遊技窓101の内周に略沿って前側へ凹みガラスユニット590の前面外周縁が当接可能なガラスユニット支持段部110aと、遊技窓101の外周の所定位置から後方へ突出しガラスユニット係止部材190を回動可能に支持するための四つの係止部材取付部110bと、を更に備えている。
更に、扉枠ベース本体110の後側には、その下辺から後方へ所定量突出する扉枠突片110cを備えており、この扉枠突片110cは、後述する本体枠3の係合溝603内に挿入されるようになっている。これにより、扉枠5が本体枠3に対して位置決め係止することができると共に、扉枠5と本体枠3との下辺の隙間からピアノ線等の不正な工具をパチンコ遊技機1内に挿入しようとしても、係合溝603と係合した扉枠突片110cによって工具の侵入を阻止することができ、パチンコ遊技機1の防犯機能が高められている。また、扉枠ベース本体110の後側には、背面視で錠穴116よりもやや右下の位置から後方へ突出し本体枠3の嵌合溝612と嵌合する位置決め突起110dを、備えており、この位置決め突起110dが嵌合溝612と嵌合することで、扉枠5と本体枠3とが正しい位置に位置決めされるようになっている
また、扉枠ベース本体110は、図25に示すように、その前面に、装飾ユニット200,240,280や皿ユニット300等を固定するための前方へ突出した複数の取付ボス110eが備えられていると共に、上部ブラケット120、サイドスピーカ130、ハンドルブラケット140等を取付けるための取付穴が適宜位置に多数形成されている。
また、扉枠ベース本体110には、球送ユニット取付凹部112と基板取付部118との間で、後述する皿ユニット300の皿ユニットベース310における下皿球供給口310g及びファールカバーユニット540の第二球出口544bと対応する位置に、前後方向に貫通する矩形状の球通過口110fを備えている。
次に、扉枠ベースユニット100における上部ブラケット120は、扉枠ベース本体110の前面上部中央に固定されるものであり、詳細な図示は省略するが、扉枠ベースユニット100に取付けられた左右のサイド装飾ユニット200,240の間に形成される上部の隙間を隠蔽すると共に、左右両端がそれぞれサイド装飾ユニット200,240によって支持されるようになっている。また、上部ブラケット120は、その先端の一部が上部装飾ユニット280内へ挿入されるようになっており、扉枠5が組立てられた状態では、上部装飾ユニット280を上側から支持することができるようになっている。
また、扉枠ベースユニット100における一対のサイドスピーカ130は、詳細な図示は省略するが、その中心軸の交点が正面視で遊技領域1100の中央から前方へ所定距離(例えば、0.2m〜1.5m)の位置となるように斜めに固定されており、パチンコ遊技機1の前に着座した遊技者に対して最も効率良く音が届くようになっている。また、このサイドスピーカ130は、主に中高音域の音を出力するようになっていると共に、パチンコ遊技機1に対して、可及的に左右方向へ離反した位置に配置されており、左右のサイドスピーカ130から関連した異なる音を出力させることで、ステレオ感の高い音を出力することができるようになっている。
更に、扉枠ベースユニット100におけるハンドルブラケット140は、図25及び図26等に示すように、前後方向へ延びた円筒状の筒部141と、筒部141の後端から筒部141の軸に対して直角方向外方へ延びた円環状のフランジ部142と、筒部141内に突出し筒部141の周方向に対して不等間隔に配置された複数(本実施形態では、3つ)の突条143と、筒部141の外周面とフランジ部142の前面とを繋ぎ筒部141の周方向に対して複数配置された補強リブ144と、を備えている。このハンドルブラケット140は、フランジ部142の後面を、扉枠ベース本体110におけるハンドル取付部114の前面に当接させた状態で、所定のビスによってハンドル取付部114に取付けられるようになっており、図示は省略するが、ハンドル取付部114に取付けた状態で、筒部141の軸が配線通過口115と略一致するようになっている。
このハンドルブラケット140は、筒部141内の上側に一つ、下側に二つの突条143が備えられており、これら突条143はハンドル装置500におけるハンドルベース502の円筒部の外周に形成された三つの溝部502aと対応する位置に配置形成されている。そして、ハンドルブラケット140の三つの突条143と、ハンドル装置500の三つの溝部502aとが一致した状態でのみ、筒部141内にハンドル装置500の円筒部を挿入させることができるようになっている。したがって、ハンドルブラケット140に挿入支持されたハンドル装置500のハンドルベース502は、ハンドルブラケット140に対して相対回転不能の状態に支持されるようになっている。
なお、このハンドルブラケット140は、斜めに傾斜したハンドル取付部114に取付けることで、筒部141の軸が正面視で前方へ向かうに従って右側(開放側)へ向かうように延びるように取付けられ、この状態でハンドルブラケット140に支持されたハンドル装置500の軸も、同様に斜めに傾いた状態となるようになっている。
続いて、扉枠ベースユニット100における補強ユニット150は、主に図25及び図26に示すように、扉枠ベース本体110の上辺部裏面に沿って取付けられる上側補強板金151と、扉枠ベース本体110の軸支側辺部裏面に沿って取付けられる軸支側補強板金152と、扉枠ベース本体110の開放側辺部裏面に沿って取付けられる開放側補強板金153と、扉枠ベース本体110の遊技窓101の下辺裏面に沿って取付けられる下側補強板金154と、を備えており、それらが相互にビスやリベット等で締着されて方形状に形成されている。
この補強ユニット150は、図25に示すように、軸支側補強板金152の上下端部に、その上面に上下方向に摺動自在に設けられる軸ピン155を有する上軸支部156と、その下面に軸ピン157(図18を参照)を有する下軸支部158と、を一体的に備えている。そして、上下の軸ピン155,157が本体枠3の軸支側上下に形成される上軸支金具630及び下軸支金具640に軸支されることにより、扉枠5が本体枠3に対して開閉自在に軸支されるようになっている。
また、補強ユニット150の下側補強板金154は、所定幅を有して扉枠ベース本体110の横幅寸法と略同じ長さに形成され、その長辺の両端縁のうち下方長辺端縁に前方へ向って折曲した下折曲突片159と(図25を参照)、上方長辺端縁の正面視右側(開放側)部に前方へ向って折曲した上折曲突片160と、上方長辺端縁の中央部分に後方へ折曲した上で垂直方向に延設された垂直折曲突片161と、を備えている。この下側補強板金154は、下折曲突片159や上折曲突片160等によって強度が高められている。また、この下側補強板金154の垂直折曲突片161は、後述するガラスユニット590のユニット枠592の下端に形成された係止片592bと係合係止するように形成されており、ガラスユニット590を扉枠5の裏面側に固定した時に、垂直折曲突片161がガラスユニット590におけるユニット枠592の係止片592bが係止されることで、ガラスユニット590の下端が左右方向及び後方へ移動するのを規制することができるようになっている。なお、下側補強板金154には、扉枠ベース本体110の切欠部101aと略対応した切欠部162が形成されている。
また、補強ユニット150の開放側補強板金153は、上側補強板金151と下側補強板金154との間の長辺の両側に、後方へ向かって屈曲された開放側外折曲突片163と、開放側内折曲突片164とを備えており、図示するように、開放側外折曲突片163よりも開放側内折曲突片164の方が後方へ長く延び出したように形成されている。また、開放側補強板金153の後側下部には、後述する錠装置1000の扉枠用フック部1041と当接するフックカバー165が備えられている。更に、軸支側補強板金152には、その長辺の外側端に後方へ延び出すと共に軸支側の外側に開口したコ字状の軸支側コ字状突片166を備えている。また、上側補強板金151は、その長辺の両側に後方へ向かって屈曲された屈曲突片167をそれぞれ備えている。
この補強ユニット150の軸支側補強板金152は、本体枠3に対して上軸支部156と下軸支部158の上下の二点でのみ取付支持されるようになっているので、軸支側の扉枠5と本体枠3との間にドライバーやバール等の不正な工具が差込まれると、軸支側補強板金152が変形して扉枠5と本体枠3との隙間が大きくなって不正行為を行い易くなる虞があるが、軸支側補強板金152では、軸支側コ字状突片166を備えているので、軸支側補強板金152の強度がより高められており、軸支側補強板金152が曲がり難くなっている。また、軸支側補強板金152の軸支側コ字状突片166は、そのコ字内に後述する本体枠3における側面防犯板950における前端片952bが挿入されるようになっており、工具の挿入を阻止することができると共に、軸支側補強板金152のみが曲がるのを防止することができ、パチンコ遊技機1の防犯機能を高めることができるようになっている。
次に、扉枠5における扉枠ベースユニット100の防犯カバー180について、主に図25及び図26を参照して説明する。この防犯カバー180は、上記したガラスユニット590の下部裏面を被覆して遊技盤4への不正具の侵入を防ぐ防犯機能が付与されたものであり、図示するように、透明な合成樹脂によって左右の補強板金152,153の間に配されるガラスユニット590の下方部を覆うような平板状に形成され、その上辺部に遊技盤4の内レール1112の下方円弧面に略沿って円弧状に形成された当接凹部181と、当接凹部181の上端に沿って後方に向って突出する防犯後突片182と、を備えている。また、防犯カバー180の左右両端には、その端部形状に沿って後方へ突出する防犯後端部突片183がそれぞれ備えられている。なお、背面視で右側(軸支側)の防犯後端部突片183は、反対側(開放側)の防犯後端部突片183よりも後方へ長く延びだした形態となっている。一方、防犯カバー180の前面には、防犯カバー180を取付けた状態でガラスユニット590におけるユニット枠592の下方形状に沿って突設する防犯前突片184と、防犯前突片184の外側で左右の下部端に前方へ突出するU字状の装着弾性片185と、を備えている。
この防犯カバー180は、正面視で右側(開放側)の装着弾性片185を扉枠ベースユニット100の防犯カバー装着部119に装着すると共に、反対側(軸支側)の装着弾性片185を皿ユニット300の防犯カバー装着部364に装着することで、扉枠5の裏面側に着脱自在に取付けられるようになっている。この防犯カバー180を、扉枠5に取付けた状態では、詳細な図示は省略するが、防犯前突片184がガラスユニット590のユニット枠592の下部外周と嵌合するようになっていると共に、ユニット枠592の下端部後面が垂直折曲突片161と当接するようになっている。また、後方へ突出した防犯後突片182は、扉枠5を閉じた時に、軸支側の半分が遊技盤4に固定された内レール1112の下側面に挿入され、開放側の半分が前構成部材1110における内レール1112のレール防犯溝1118に挿入された状態となるようになっている。これにより、遊技盤4の遊技領域1100に不正な工具を侵入させようとしても、内レール1112の下側に挿入された防犯後突片182によりその侵入を阻止することができるようになっている。
なお、防犯カバー180は、その裏面によって、扉枠5を閉じた状態で外レール1111と内レール1112とで形成される打球の誘導通路の前面下方部分を覆うことができるようになっているので、誘導通路部分を飛送若しくは逆送する打球のガラス板594への衝突を防止することができるようになっている。
続いて、扉枠ベースユニット100における四つのガラスユニット係止部材190は、扉枠ベース本体110から後方へ突出する係止部材取付部110bに対して回動可能に嵌合する嵌合部190aと、嵌合部190aの軸方向に対して直角方向へ延出しガラスユニット590の係止突片451fを係止する係止片190bと、を備えている。このガラスユニット係止部材190は、嵌合部190aに対して扉枠ベース本体110の係止部材取付部110bが貫通した状態で、係止部材取付部110bの先端に抜止め用のビスを固定することで、係止部材取付部110bに対して回転可能に軸支されるようになっている。
このガラスユニット係止部材190の係止片190bは、詳細な図示は省略するが、後側に後方へ突出した突条を有しており、この突条がガラスユニット590の着脱時において、回転操作する際の指掛りとなっている。なお、四つのガラスユニット係止部材190のうち、背面視で右下に取付けられるガラスユニット係止部材190の係止片190bには、突条が形成されておらず、後面が平坦面となっている。また、背面視で右下に取付けられるガラスユニット係止部材190には、嵌合部190aの軸方向に対して直角方向で係止片190bとは異なる方向へ延出する操作片190cを備えている。この操作片190cは、図18に示すように、防犯カバー180によって後側が被覆されるようになっているので、防犯カバー180を取付けた状態では、この操作片190cを操作することができないようになっており、ガラスユニット係止部材190を回転操作して安易にガラスユニット590が取外されるのを抑制することができるようになっている。
また、扉枠ベースユニット100における発射カバー191は、補強ユニット150における下側補強板金154の後側に固定されるようになっている。また、ハンドル中継端子板カバー193及び枠装飾駆動アンプ基板カバー195は、それぞれ扉枠ベース本体110の後側の所定位置に固定されるようになっている。なお、扉枠ベースユニット100に対して発射カバー191、ハンドル中継端子板カバー193、及び球送ユニット580を取付けた状態では、それらの後面が略同一面状となるようになっており、それらによって本体枠3に取付けられる打球発射装置650の前面を被覆することができるようになっている。
[3−2.右サイド装飾ユニット]
続いて、扉枠5における右サイド装飾ユニット200について、主に図27乃至図29を参照して説明する。図27(A)は扉枠における右サイド装飾ユニットの正面斜視図であり、(B)は扉枠における右サイド装飾ユニットの背面斜視図である。また、図28は、右サイド装飾ユニットを分解して前から見た分解斜視図である。更に、図29は、右サイド装飾ユニットを分解して後から見た分解斜視図である。
本実施形態における扉枠5の右サイド装飾ユニット200は、図示するように、遊技窓101の前側外周のうち、正面視で下部を除く右側半分を装飾するものであり、内側が遊技窓101に沿って円弧状に形成されていると共に、外側が扉枠ベースユニット100の外周に沿って直線状に形成されている。この右サイド装飾ユニット200は、右サイド装飾ユニット200の骨格を形成するサイド装飾フレーム202と、サイド装飾フレーム202の上辺に沿って配置されるサイド上部装飾部材204と、サイド上部装飾部材204に対して後側から嵌合するサイド上部装飾レンズ206と、サイド装飾フレーム202及びサイド上部装飾部材204の上側を被覆すると共に、サイド上部装飾レンズ206を挟むようにサイド上部装飾部材204が前側に取付けられるサイド上部カバー208と、サイド上部カバー208の下部を支持すると共にサイド装飾フレーム202に対して後側から嵌合固定されるサイドレンズ210と、サイドレンズ210の裏側に嵌合されるサイドインナーレンズ212と、を備えている。
また、右サイド装飾ユニット200は、サイドインナーレンズ212の後側で上下方向の略中央から上側に配置され表面に複数のLED214a(フルカラーLED),214b(白色LED)が実装された右サイド上装飾基板214と、下側でサイドインナーレンズ212の上下方向の略中央から下側に配置され表面に複数のLED216a(フルカラーLED),216b(白色LED)が実装された右サイド下装飾基板216と、右サイド上装飾基板214の後側を覆い右サイド上装飾基板214を挟むようにサイドインナーレンズ212に取付けられる右サイド上装飾基板カバー218と、右サイド下装飾基板216の後側を覆い右サイド下装飾基板216を挟むようにサイドレンズ210及びサイド装飾フレーム202に取付けられる右サイド下装飾基板カバー220と、を備えている。
更に、右サイド装飾ユニット200は、サイド装飾フレーム202の正面視で左上部に配置される右上部スピーカ222と、右上部スピーカ222を支持しサイド装飾フレーム202の後側上部に嵌合される上部スピーカブラケット224と、上部スピーカブラケット224とサイド装飾フレーム202との間に挟持される上部スピーカカバー226と、サイド上部カバー208における側面の所定位置に内側から取付けられるサイドサブレンズ228と、を備えている。サイドサブレンズ228の後側には、右サイド上装飾基板214のLED214cが配置されており、LED214cによって発光装飾されるようになっている。
この右サイド装飾ユニット200は、サイド装飾フレーム202、サイド上部装飾部材204、右サイド上装飾基板カバー218、及び右サイド下装飾基板カバー220が不透光性の部材によって形成されており、サイド装飾フレーム202及びサイド上部装飾部材204の表面には所定色のメッキ層が形成されている。また、右サイド装飾ユニット200のサイド上部装飾レンズ206、サイド上部カバー208、サイドレンズ210、サイドインナーレンズ212、上部スピーカカバー226、上部スピーカブラケット224、及びサイドサブレンズ228は、透光性の部材によって形成されており、サイド上部カバー208が略全体が乳白色に、サイド上部装飾レンズ206、サイドレンズ210、サイドインナーレンズ212、上部スピーカブラケット224、上部スピーカカバー226、及びサイドサブレンズ228が略透明とされている。
なお、詳細な図示は省略するが、略透明に形成されたサイドレンズ210及び上部スピーカカバー226の裏面側と、サイドインナーレンズ212及び上部スピーカブラケット224の表面側は、多面体状に形成されており、光を乱屈折させることができるようになっている。そのため、サイドレンズ210及びサイドインナーレンズ212の後側に配置された右サイド上装飾基板214や右サイド下装飾基板216の表面(前面)に実装されたLED214a,214b,216a,216b等が、遊技者側から明確に視認することができないようになっている。また、右サイド上装飾基板214や右サイド下装飾基板216の前面は、白色とされており、実装されたLED214a,214b,216a,216b等の光によって右サイド装飾ユニット200を効率良く発光装飾させることができるようになっていると共に、LED214a,214b,216a,216bが非点灯時に各装飾基板214,216が目立たないようになっている。なお、右サイド上装飾基板214及び右サイド下装飾基板216は、それぞれ周辺制御基板4140と接続されており、周辺制御基板4140からの駆動信号(発光駆動信号)により各LED214a,214b,214c,216a,216bを適宜発光させて、右サイド装飾ユニット200を発光装飾させることができるようになっている。
右サイド装飾ユニット200におけるサイド装飾フレーム202は、図示するように、全体が遊技窓101に略沿った円弧状に形成されており、具体的には、遊技窓101の外周に沿った円弧状の内側枠202aと、内側枠202aに対して外側へ離反した位置に配置され下端から上部にかけて扉枠5(扉枠ベースユニット100)の側面外周に沿った直線状とされると共に続く上部が内側枠202aの上端縁へ向かって湾曲するように円弧状に形成された外側枠202bと、外側枠202bと内側枠202aの上端縁同士を連結する上端枠202cと、外側枠202bと内側枠202aの下端縁同士を連結する下端枠202dと、内側枠202a及び外側枠202bの周方向に沿って複数箇所(本実施形態では、4箇所)に配置され内側枠202aと外側枠202bとを連結すると共に所定幅のスリット202eを有した隔壁枠202fと、を備えている。
このサイド装飾フレーム202の内側枠202aは、前後方向に対して略同じ位置で遊技窓101の周方向へ略同じ幅で延びている。一方、外側枠202bは、扉枠5の側面に沿って延びる直線状の部位における後端が内側枠202aの後端と略同じ位置で直線状に形成されているのに対して、前端は上下の両端が前方へ突出するような円弧状に形成されている。また、外側枠202bの直線状に上下に延びた部位よりも上側の湾曲した円弧状の部位は、上端縁側が前方へ突出するように前後方向にも湾曲した円弧状に形成されている。また、サイド装飾フレーム202の隔壁枠202fは、内側枠202aと外側枠202bとの間の部位が最も前方へ突出するように前後方向に湾曲した形状とされている。この隔壁枠202fは、扉枠5を組立てた状態で遊技窓101の中央下部付近から放射状に延びた放射線上に配置されている(図17等を参照)。
このサイド装飾フレーム202は、図示するように、複数の隔壁枠202fによって内側枠202aと外側枠202bの間が周方向(長手方向)へ複数に分割された形態となっており、分割されたそれぞれの開口が発光装飾開口202gとされ、後述するサイドレンズ210の周レンズ部210aが後側から嵌め込まれるようになっている。また、隔壁枠202fのスリット202eには、後側からサイドレンズ210の放射レンズ部210bが嵌め込まれるようになっている。更に、隔壁枠202fによりスリット202eと発光装飾開口202gとを仕切ることができ、それぞれの発光態様を異ならせることができるようになっている。
右サイド装飾ユニット200のサイド上部装飾部材204は、図示するように、サイド装飾フレーム202における外側枠202bの円弧状に延びた上部に略沿って一定高さで左右方向へ延びていると共に、後面が窪んだ状態に形成されており、前面には前後方向に貫通する複数の開口部204aが形成されている。このサイド上部装飾部材204は、列設された開口部204aに沿った上側に縄文状のレリーフが施されている。
一方、サイド上部装飾レンズ206は、サイド上部装飾部材204の窪んだ後面内に嵌合可能な形状とされていると共に、サイド上部装飾部材204の後側から開口部204aを通ってその前端付近まで突出することが可能な複数の導光部206aを備えている。この導光部206aは、先端が多面体状に形成されており、サイド上部装飾部材204の開口部204aに挿入嵌合させることで、開口部204aに恰も宝石が嵌め込まれているように見せることができるようになっている。また、サイド上部装飾レンズ206の導光部206aによって後側に配置された右サイド上装飾基板214からの光をサイド上部装飾部材204の開口部204aから前方(遊技者側)へ放射させることができると共に、導光部206aの先端を宝石として輝かせることができるようになっている。
右サイド装飾ユニット200のサイド上部カバー208は、その上面及び右側面(正面視で)が扉枠5(扉枠ベースユニット100)の外周と略沿った形状とされていると共に、下面(下端)がサイド上部装飾部材204と略沿った形状とされている。このサイド上部カバー208は、前面下部に、サイド上部装飾部材204を収容可能となるように、下方が開放されると共に後方へ窪んだ取付段部208aが形成されており、取付段部208aの後端面にサイド上部装飾部材204等を取付けるための取付ボスや取付穴等が形成されている。また、サイド上部カバー208の右側面には、上下に配置された二つの切欠部208bが形成されており、この切欠部208bを介して内部に取付けられるサイドサブレンズ228が表面側へ望むようになっている。サイド上部カバー208の切欠部208bにサイドサブレンズ228が嵌め込まれることで、この部位のみ異なる態様で発光させることができるようになっている。
右サイド装飾ユニット200のサイドレンズ210は、サイド装飾フレーム202と略沿った形状とされると共に、後面が窪んだ形状とされており、サイド装飾フレーム202の発光装飾開口202gに後から挿入される周レンズ部210aと、サイド装飾フレーム202のスリット202eに後から挿入される放射レンズ部210bと、を備えている。なお、図示するように、このサイドレンズ210は、サイド装飾フレーム202の上端枠202cに接する発光装飾開口202gと対応する周レンズ部210aを備えておらず、該当する部位は、前方及び下方に開放された収容段部210cとされている。この収容段部210c内には、後述する右上部スピーカ222や上部スピーカブラケット224等が収容されるようになっている。また、サイドレンズ210は、収容段部210cの上面を形成しサイド上部カバー208における取付段部208aの後側に固定される取付部210dを備えている。
このサイドレンズ210は、周レンズ部210a及び放射レンズ部210bの前面が、サイド装飾フレーム202の隔壁枠202fの前端と略沿うように、前側へ膨出した湾曲面形状とされている。また、詳細な図示は省略するが、周レンズ部210aの裏面(内面)側は、互いに異なる方向を向いた複数の面によって多面体状に形成されており、周レンズ部210aの板厚が不均一となることで、周レンズ部210aを透過する光が乱屈折するようになっている。また、この多面体状に形成された内面により、周レンズ部210aがキラキラした特徴的な外観を呈することができるようになっている。
サイドインナーレンズ212は、サイドレンズ210の内部に後側から挿入嵌合されるものであり、図示するように、サイドレンズ210における周レンズ部210a及び放射レンズ部210bが形成された部位と対応するように形成されており、後面が窪んだ本体部212aと、本体部212aの後端から連続し本体部212aよりも前方へ突出すると共に放射レンズ部210b(サイド装飾フレーム202のスリット202e)と対応した位置に配置される板状の導光部212bと、を備えている。このサイドインナーレンズ212の本体部212aは、その前面がサイドレンズ210の内面に対して所定距離控えた状態に形成されている。また、詳細な図示は省略するが、サイドインナーレンズ212における本体部212aの一方の面には、サイドレンズ210の周レンズ部210aと同様に、互いに異なる方向を向いた複数の面によって多面体状に形成されており、本体部212aの板厚が不均一となることで、本体部212aを透過する光が乱屈折するようになっている。
このサイドインナーレンズ212は、サイドレンズ210と組合わせることで、周レンズ部210a及び本体部212aを透過する光を二重に乱屈折させることができ、反対側に配置された物の形状等をほとんど認識することができないようになっている。また、乱屈折と共に多面体状による乱反射により、サイドレンズ210(周レンズ部210a)の外観をキラキラさせると共に遠近感が不明瞭な不思議な感じに見せることができるようになっている。
右サイド装飾ユニット200の右サイド上装飾基板214及び右サイド下装飾基板216は、表面に高輝度のカラーLEDが複数実装されており、サイド装飾フレーム202の発光装飾開口202g(サイドレンズ210の周レンズ部210a)と対応する位置に配置されたLED214a,216aは比較的照射角度の広いもの(例えば、60゜〜180゜)が用いられており、サイド装飾フレーム202のスリット202e(サイドレンズ210の放射レンズ部210b)と対応する位置に配置されたLED214b,216bは比較的照射角度の狭いもの(例えば、15゜〜60゜)が用いられている。なお、サイドサブレンズ228を発光装飾させる右サイド上装飾基板214のLED214cは、本実施形態では、赤色のLEDとされている。
右サイド装飾ユニット200の右上部スピーカ222は、サイドスピーカ130と同様に、中高音域の音を出力するものであり、上部スピーカブラケット224により所定位置に所定方向へ向けて取付けられるようになっている。この右上部スピーカ222を支持する上部スピーカブラケット224は、正面視でパチンコ遊技機1の左右中央で斜め前下方に向かって突出する円筒状のホーン部224aを備えている。そして、上部スピーカブラケット224におけるホーン部224aの上端裏側に、右上部スピーカ222が固定されるようになっており、正面視では、ホーン部224aによって右上部スピーカ222が遊技者側から見えないようになっている。
右上部スピーカ222は、上部スピーカブラケット224のホーン部224aによって、パチンコ遊技機1の上部から下方の遊技者へ向かって発せられるようになっており、他のパチンコ遊技機に対して騒音に為り難いようになっている。なお、詳細な図示は省略するが、この上部スピーカブラケット224もまた、その前面が、サイドレンズ210の周レンズ部210aやサイドインナーレンズ212の本体部212aと同様に、互いに異なる方向を向いた複数の面によって多面体状に形成されており、その板厚が不均一となることで、上部スピーカブラケット224を透過する光が乱屈折するようになっている。
また、上部スピーカブラケット224の前面側を覆う上部スピーカカバー226は、サイド装飾フレーム202における上端枠202cに接する発光装飾開口202gを閉鎖するようにサイド装飾フレーム202の後側から嵌合されると共に、その表面が、サイドレンズ210の表面と連続するような湾曲面形状に形成されている。また、上部スピーカカバー226の表面には貫通孔226aが複数形成されており、右上部スピーカ222からの音を遊技者側へ充分に透過させることができるようになっている。
なお、詳細な図示は省略するが、この上部スピーカカバー226もまた、その内面側が、サイドレンズ210の周レンズ部210aやサイドインナーレンズ212の本体部212aと同様に、互いに異なる方向を向いた複数の面によって多面体状に形成されており、その板厚が不均一となることで、上部スピーカカバー226を透過する光が乱屈折するようになっている。したがって、上部スピーカカバー226及び上部スピーカブラケット224において、光が乱屈折することで、遊技者側から右上部スピーカ222や上部スピーカカバー226に形成された貫通孔226aを視認し難くすることができると共に、サイドレンズ210の周レンズ部210aと同様の見栄えの外観とすることができるようになっている。
[3−3.左サイド装飾ユニット]
続いて、扉枠5における左サイド装飾ユニット240について、主に図30乃至図32を参照して説明する。図30(A)は扉枠における左サイド装飾ユニットの正面斜視図であり、(B)は扉枠における左サイド装飾ユニットの背面斜視図である。また、図31は、左サイド装飾ユニットを分解して前から見た分解斜視図である。更に、図32は、左サイド装飾ユニットを分解して後から見た分解斜視図である。
本実施形態における扉枠5の左サイド装飾ユニット240は、図示するように、遊技窓101の前側外周のうち、正面視で下部を除く左側半分を装飾するものであり、内側が遊技窓101に沿って円弧状に形成されていると共に、外側が扉枠ベースユニット100の外周に沿って直線状に形成されており、右サイド装飾ユニット200と略対称に形成されている。この左サイド装飾ユニット240は、左サイド装飾ユニット240の骨格を形成するサイド装飾フレーム242と、サイド装飾フレーム242の上辺に沿って配置されるサイド上部装飾部材244と、サイド上部装飾部材244に対して後側から嵌合するサイド上部装飾レンズ246と、サイド装飾フレーム242及びサイド上部装飾部材244の上側を被覆すると共に、サイド上部装飾レンズ246を挟むようにサイド上部装飾部材244が前側に取付けられるサイド上部カバー248と、サイド上部カバー248の下部を支持すると共にサイドフレーム装飾242に対して後側から嵌合固定されるサイドレンズ250と、サイドレンズ250の裏側に嵌合されるサイドインナーレンズ252と、を備えている。
また、左サイド装飾ユニット240は、サイドインナーレンズ252の後側で上下方向の略中央から上側に配置され表面に複数のLED254a(フルカラーLED),254b(白色LED)が実装された左サイド上装飾基板254と、下側でサイドインナーレンズ252の上下方向の略中央から下側に配置され表面に複数のLED256a(フルカラーLED),256b(白色LED)が実装された左サイド下装飾基板256と、左サイド上装飾基板254の後側を覆い左サイド上装飾基板254を挟むようにサイドインナーレンズ252に取付けられる左サイド上装飾基板カバー258と、左サイド下装飾基板256の後側を覆い左サイド下装飾基板256を挟むようにサイドレンズ250及びサイド装飾フレーム242に取付けられる左サイド下装飾基板カバー260と、を備えている。
更に、左サイド装飾ユニット240は、サイド装飾フレーム242の正面視で右上部に配置される左上部スピーカ262と、左上部スピーカ262を支持しサイド装飾フレーム242の後側上部に嵌合される上部スピーカブラケット264と、上部スピーカブラケット264とサイド装飾フレーム242との間に挟持される上部スピーカカバー266と、を備えている。
この左サイド装飾ユニット240は、サイド装飾フレーム242、サイド上部装飾部材244、左サイド上装飾基板カバー258、及び左サイド下装飾基板カバー260が不透光性の部材によって形成されており、サイド装飾フレーム242及びサイド上部装飾部材244の表面には所定色のメッキ層が形成されている。また、左サイド装飾ユニット240のサイド上部装飾レンズ246、サイド上部カバー248、サイドレンズ250、サイドインナーレンズ252、上部スピーカカバー266、及び上部スピーカブラケット264は、透光性の部材によって形成されており、サイド上部カバー248が略全体が乳白色に、サイド上部装飾レンズ246、サイドレンズ250、サイドインナーレンズ252、上部スピーカブラケット264、及び上部スピーカカバー266が略透明とされている。
なお、詳細な図示は省略するが、略透明に形成されたサイドレンズ250及び上部スピーカカバー266の裏面側と、サイドインナーレンズ252及び上部スピーカブラケット264の表面側は、多面体状に形成されており、光を乱屈折させることができるようになっている。そのため、サイドレンズ250及びサイドインナーレンズ252の後側に配置された左サイド上装飾基板254や左サイド下装飾基板256の表面(前面)に実装されたLED254a,254b,256a,256b等が、遊技者側から明確に視認することができないようになっている。また、左サイド上装飾基板254や左サイド下装飾基板256の前面は、白色とされており、実装されたLED254a,254b,256a,256b等の光によって左サイド装飾ユニット240を効率良く発光装飾させることができるようになっていると共に、LED254a,254b,256a,256bが非点灯時に各装飾基板254,256が目立たないようになっている。なお、左サイド上装飾基板254及び左サイド下装飾基板256は、それぞれ周辺制御基板4140と接続されており、周辺制御基板4140からの駆動信号(発光駆動信号)により各LED254a,254b,256a,256bを適宜発光させて、左サイド装飾ユニット240を発光装飾させることができるようになっている。
左サイド装飾ユニット240におけるサイド装飾フレーム242は、図示するように、全体が遊技窓101に略沿った円弧状に形成されており、具体的には、遊技窓101の外周に沿った円弧状の内側枠242aと、内側枠242aに対して外側へ離反した位置に配置され下端から上部にかけて扉枠5(扉枠ベースユニット100)の側面外周に沿った直線状とされると共に続く上部が内側枠242aの上端縁へ向かって湾曲するように円弧状に形成された外側枠242bと、外側枠242bと内側枠242aの上端縁同士を連結する上端枠242cと、外側枠242bと内側枠242aの下端縁同士を連結する下端枠242dと、内側枠242a及び外側枠242bの周方向に沿って複数箇所(本実施形態では、4箇所)に配置され内側枠242aと外側枠242bとを連結すると共に所定幅のスリット242eを有した隔壁枠242fと、を備えている。
このサイド装飾フレーム242の内側枠242aは、前後方向に対して略同じ位置で遊技窓101の周方向へ略同じ幅で延びている。一方、外側枠242bは、扉枠5の側面に沿って延びる直線状の部位における後端が内側枠242aの後端と略同じ位置で直線状に形成されているのに対して、前端は上下の両端が前方へ突出するような円弧状に形成されている。また、外側枠242bの直線状に上下へ延びた部位よりも上側の湾曲した円弧状の部位は、上端縁側が前方へ突出するように前後方向にも湾曲した円弧状に形成されている。また、サイド装飾フレーム242の隔壁枠242fは、内側枠242aと外側枠242bとの間の部位が最も前方へ突出するように前後方向に湾曲した形状とされている。この隔壁枠242fは、扉枠5を組立てた状態で遊技窓101の中央下部付近から放射状に延びた放射線上に配置されている(図17等を参照)。
このサイド装飾フレーム242は、図示するように、複数の隔壁枠242fによって内側枠242aと外側枠242bの間が周方向(長手方向)へ複数に分割された形態となっており、分割されたそれぞれの開口が発光装飾開口242gとされ、後述するサイドレンズ250の周レンズ部250aが後側から嵌め込まれるようになっている。また、隔壁枠242fのスリット242eには、後側からサイドレンズ250の放射レンズ部250bが嵌め込まれるようになっている。更に、隔壁枠242fによりスリット242eと発光装飾開口242gとを仕切ることができ、それぞれの発光態様を異ならせることができるようになっている。
左サイド装飾ユニット240のサイド上部装飾部材244は、図示するように、サイド装飾フレーム242における外側枠242bの円弧状に延びた上部に略沿って一定高さで左右方向へ延びていると共に、後面が窪んだ状態に形成されており、前面には前後方向に貫通する複数の開口部244aが形成されている。このサイド上部装飾部材244は、列設された開口部244aに沿った上側に縄文状のレリーフが施されている。
一方、サイド上部装飾レンズ246は、サイド上部装飾部材244の窪んだ後面内に嵌合可能な形状とされていると共に、サイド上部装飾部材244の後側から開口部244aを通ってその前端付近まで突出することが可能な複数の導光部246aを備えている。この導光部246aは、先端が多面体状に形成されており、サイド上部装飾部材244の開口部244aに挿入嵌合させることで、開口部244aに恰も宝石が嵌め込まれているように見せることができるようになっている。また、サイド上部装飾レンズ244の導光部246aによって後側に配置された左サイド上装飾基板254からの光をサイド上部装飾部材244の開口部244aから前方(遊技者側)へ放射させることができると共に、導光部246aの先端を宝石として輝かせることができるようになっている。
左サイド装飾ユニット240のサイド上部カバー248は、その上面及び左側面(正面視で)が扉枠5(扉枠ベースユニット100)の外周と略沿った形状とされていると共に、下面(下端)がサイド上部装飾部材244と略沿った形状とされている。このサイド上部カバー248は、前面下部に、サイド上部装飾部材244を収容可能となるように、下方が開放されると共に後方へ窪んだ取付段部248aが形成されており、取付段部248aの後端面にサイド上部装飾部材244等を取付けるための取付ボスや取付穴等が形成されている。また、サイド上部カバー248は、その外側側面(正面視で左側側面)に、扉枠ベースユニット100における補強ユニット150の上軸支部156を前側から被覆する被覆部248bを備えている。
左サイド装飾ユニット240のサイドレンズ250は、サイド装飾フレーム242と略沿った形状とされると共に、後面が窪んだ形状とされており、サイド装飾フレーム242の発光装飾開口242gに後から挿入される周レンズ部250aと、サイド装飾フレーム242のスリット242eに後から挿入される放射レンズ部250bと、を備えている。なお、図示するように、このサイドレンズ250は、サイド装飾フレーム242の上端枠242cに接する発光装飾開口242gと対応する周レンズ部250aを備えておらず、該当する部位は、前方及び下方に開放された収容段部250cとされている。この収容段部250c内には、後述する左上部スピーカ262や上部スピーカブラケット264等が収容されるようになっている。また、サイドレンズ250は、収容段部250cの上面を形成しサイド上部カバー248における取付段部248aの後側に固定される取付部250dを備えている。
このサイドレンズ250は、周レンズ部250a及び放射レンズ部250bの前面が、サイド装飾フレーム242の隔壁枠242fの前端と略沿うように、前側へ膨出した湾曲面形状とされている。また、詳細な図示は省略するが、周レンズ部250aの裏面(内面)側は、互いに異なる方向を向いた複数の面によって多面体状に形成されており、周レンズ部250aの板厚が不均一となることで、周レンズ部250aを透過する光が乱屈折するようになっている。また、この多面体状に形成された内面により、周レンズ部250aがキラキラした特徴的な外観を呈することができるようになっている。
サイドインナーレンズ252は、サイドレンズ250の内部に後側から挿入嵌合されるものであり、図示するように、サイドレンズ250における周レンズ部250a及び放射レンズ部250bが形成された部位と対応するように形成されており、後面が窪んだ本体部252aと、本体部252aの後端から連続し本体部252aよりも前方へ突出すると共に放射レンズ部250b(サイド装飾フレーム242のスリット242e)と対応した位置に配置される板状の導光部252bと、を備えている。このサイドインナーレンズ252の本体部252aは、その前面がサイドレンズ250の内面に対して所定距離控えた状態に形成されている。また、詳細な図示は省略するが、サイドインナーレンズ252における本体部252aの一方の面には、サイドレンズ250の周レンズ部250aと同様に、互いに異なる方向を向いた複数の面によって多面体状に形成されており、本体部252aの板厚が不均一となることで、本体部252aを透過する光が乱屈折するようになっている。
このサイドインナーレンズ252は、サイドレンズ250と組合わせることで、周レンズ部250a及び本体部252aを透過する光を二重に乱屈折させることができ、反対側に配置された物の形状等をほとんど認識することができないようになっている。また、乱屈折と共に多面体状による乱反射により、サイドレンズ250(周レンズ部250a)の外観をキラキラさせると共に遠近感が不明瞭な不思議な感じに見せることができるようになっている。
左サイド装飾ユニット240の左サイド上装飾基板254及び左サイド下装飾基板256は、表面に高輝度のカラーLEDが複数実装されており、サイド装飾フレーム242の発光装飾開口242g(サイドレンズ250の周レンズ部250a)と対応する位置に配置されたLED254a,256aは比較的照射角度の広いもの(例えば、60゜〜180゜)が用いられており、サイド装飾フレーム242のスリット242e(サイドレンズ250の放射レンズ部250b)と対応する位置に配置されたLED254b,256bは比較的照射角度の狭いもの(例えば、15゜〜60゜)が用いられている。
左サイド装飾ユニット240の左上部スピーカ262は、サイドスピーカ130と同様に、中高音域の音を出力するものであり、上部スピーカブラケット264により所定位置に所定方向へ向けて取付けられるようになっている。この左上部スピーカ262を支持する上部スピーカブラケット264は、正面視でパチンコ遊技機1の左右中央で斜め前下方に向かって突出する円筒状のホーン部264aを備えている。そして、上部スピーカブラケット264におけるホーン部264aの上端裏側に、左上部スピーカ262が固定されるようになっており、正面視では、ホーン部264aによって左上部スピーカ262が遊技者側から見えないようになっている。
左上部スピーカ262は、上部スピーカブラケット264のホーン部264aによって、パチンコ遊技機1の上部から下方の遊技者へ向かって発せられるようになっており、他のパチンコ遊技機に対して騒音に為り難いようになっている。なお、詳細な図示は省略するが、この上部スピーカブラケット264もまた、その前面が、サイドレンズ250の周レンズ部250aやサイドインナーレンズ252の本体部252aと同様に、互いに異なる方向を向いた複数の面によって多面体状に形成されており、その板厚が不均一となることで、上部スピーカブラケット264を透過する光が乱屈折するようになっている。
また、上部スピーカブラケット264の前面側を覆う上部スピーカカバー266は、サイド装飾フレーム242における上端枠242cに接する発光装飾開口242gを閉鎖するようにサイド装飾フレーム242の後側から嵌合されると共に、その表面が、サイドレンズ250の表面と連続するような湾曲面形状に形成されている。また、上部スピーカカバー266の表面には貫通孔266aが複数形成されており、左上部スピーカ262からの音を遊技者側へ充分に透過させることができるようになっている。
なお、詳細な図示は省略するが、この上部スピーカカバー266もまた、その内面側が、サイドレンズ250の周レンズ部250aやサイドインナーレンズ252の本体部252aと同様に、互いに異なる方向を向いた複数の面によって多面体状に形成されており、その板厚が不均一となることで、上部スピーカカバー266を透過する光が乱屈折するようになっている。したがって、上部スピーカカバー266及び上部スピーカブラケット264において、光が乱屈折することで、遊技者側から左上部スピーカ262や上部スピーカカバー266に形成された貫通孔266aを視認し難くすることができると共に、サイドレンズ250の周レンズ部250aと同様の見栄えの外観とすることができるようになっている。
[3−4.上部装飾ユニット]
続いて、扉枠5における上部装飾ユニット280について、主に図33乃至図36を参照して説明する。図33は、扉枠における上部装飾ユニットの正面斜視図であり、図34は、扉枠における上部装飾ユニットの背面斜視図である。また、図35は上部装飾ユニットを分解して前から見た分解斜視図であり、図36は上部装飾ユニットを分解して後から見た分解斜視図である。
本実施形態の扉枠5における上部装飾ユニット280は、図17等に示すように、扉枠5の前面中央上部で、右サイド装飾ユニット200及び左サイド装飾ユニット240における中央側の上端縁同士の間に取付けられ、それらの間を装飾するものである。この上部装飾ユニット280は、図示するように、正面視で全体の外形形状が略逆二等辺三角形状とされ、中央に大きく貫通する中央開口部281a、及び中央開口部281aの左右両側に貫通する一対の側開口部281bを有し中央開口部281aの上側に扉枠ベースユニット100における上部ブラケット120の先端が挿入される前面装飾部材281と、前面装飾部材281の中央開口部281a内に後側から嵌め込まれる中央レンズ282と、中央レンズ282の後端に配置されるインナーレンズ283と、前面装飾部材281の側開口部281bに後側から嵌め込まれる一対の側レンズ284と、正面視の外形が前面装飾部材281と類似した形状とされ中央レンズ282、インナーレンズ283、及び一対の側レンズ284を前面装飾部材281とで挟持するように前面装飾部材281の後側に取付けられる本体部材285と、本体部材285の後側に配置され前面に複数のカラーLED286a,286bが実装された上部装飾基板286と、正面視の外形が本体部と略同じ形状とされ上部装飾基板286を後側から覆うように本体部材285の後面に取付けられる基板カバー287と、を備えている。
また、上部装飾ユニット280は、前面装飾部材281の下端から連続するように屈曲しながら後方へ延出し前端上部が前面装飾部材281に支持されると共に後端が扉枠ベースユニット100に取付けられ下方へ向かって貫通する一対の下開口部288aを有した下面装飾部材288と、下面装飾部材288の下開口部288aに上側から嵌め込まれ下面装飾部材288及び基板カバー287に固定される下レンズ289と、を備えている。なお、本実施形態では、前面装飾部材281及び下面装飾部材288の表面に金属的な光沢を有したメッキ層が形成されている。なお、上部装飾基板286のLED286aは、中央レンズ282と対応した位置に配置されていると共に、LED286bは、側レンズ284及び下レンズ289と対応した位置に配置されており、中央レンズ282と、側レンズ284及び下レンズ289とをそれぞれ別々に発光装飾させることができるようになっている。また、本実施形態では、LED286aがフルカラーLEDとされていると共に、LED286bが高輝度の白色LEDとされている。
上部装飾ユニット280における前面装飾部材281は、その中央開口部281aの内周形状が、正面視で中央上端が左右へ延びた辺とされ中央下端が頂点とされ各辺が緩い円弧状に延びた変五角形状に形成されており、上辺両側の上側辺の略中央と下端頂点から中央開口部281a内へ延びだした三つの突出部を有している。また、前面装飾部材281は、中央開口部281aの上側辺の外側に、斜め外側上方へ向かって延びる複数の筋彫りが形成されており、この筋彫りによって前面装飾部材281は中央開口部281aから羽根が延びだしたような形状に形成されていると共に、筋彫りに沿うように側開口部281bが形成されている。
この前面装飾部材281の中央開口部281a内に嵌め込まれる中央レンズ282は、その外形が、中央開口部281aと略同じ形状とされており、前方へ膨出した形状とされていると共に、その前面が互いに異なる方向を向いた複数の面によって多面体状に形成されている。中央レンズ282は、透明(無色透明、有色透明)な樹脂によって形成されている。この中央レンズ282を前面装飾部材281の中央開口部281aに嵌め込むことで、中央レンズ282がトリリアントカットされたような宝石に見えると共に、前面装飾部材281が宝石の台座に見えるようになっている。
また、中央レンズ282の後側に配置されるインナーレンズ283は、中央レンズ282の後側の開口を閉鎖するように透明な樹脂で形成されていると共に、表面に微細なレンズ(又はプリズム)が複数形成されており、上部装飾基板286からの光を中央レンズ282側へ広く拡散させることができるようになっている。一方、前面装飾部材281の側開口部281b内に嵌め込まれる側レンズ284は、側開口部281bへ嵌め込んだ状態で、その前面が前面装飾部材281の前面と略連続するよう透明な樹脂によって形成されている。なお、側レンズ284の裏面側には、インナーレンズ283と同様に、微細なレンズ(又はプリズム)が複数形成されており、上部装飾基板286からの照射される光によって側レンズ284全体が略均一に発光することができるようになっている。
なお、インナーレンズ283及び側レンズ284は、表面に形成された複数の微細なレンズ等によって、白濁したような感じとなっており、インナーレンズ283及び側レンズ284を通して後側が明確に見えないようになっている。
上部装飾ユニット280の本体部材285は、前面装飾部材281の中央開口部281aの形状に略沿った外形で前後方向へ筒状に延び前端開口が斜め下方へ向かって傾斜すると共に閉鎖された後端が斜め上方へ向かって傾斜する中央部285aと、中央部285aの両側に配置され閉鎖された後端が中央部285aの後端と略同じ位置とされると共に前端が中央部285aよりも短く延びた凹陥状の側部285bと、中央部285a及び側部285bの後端面を貫通し上部装飾基板286に実装されたLED286a,286bと対応する位置に形成された複数の開口部285cと、を備えている。この本体部材285は、後側に上部装飾基板286を配置すると、上部装飾基板286のLED286aが開口部285c内に挿入配置されるようになっており、LED286aからの光が後側へ漏れないようになっている。また、本体部材285の中央部285a及び側部285bは前側から後側へ窪んだ形状となっており、それぞれに対応したLED285a,286bからの光が側方へ影響しないようになっている。
また、上部装飾ユニット280の下面装飾部材288は、後方へ向かうに従って細くなるように形成されており、その左右の側面形状が、右サイド装飾ユニット200及び左サイド装飾ユニット240における上部スピーカカバー226,266の上端枠202c,242c寄り側の端部形状と略一致した形状とされていると共に、上部スピーカカバー226,266の上端枠202c,242c寄り側の端部が載置固定されるようになっている。なお、下レンズ289は、下面装飾部材288と上部スピーカカバー226,266との間に挟持されるようになっている。また、下レンズ289へは、右サイド装飾ユニット200及び左サイド装飾ユニット240の上部スピーカブラケット224,264を介して、右サイド上装飾基板214及び左サイド上装飾基板254からの光が供給されて発光するようになっている。
[3−5.サイドスピーカカバー]
次に、扉枠5における一対のサイドスピーカカバー290について、主に図22及び図23を参照して説明する。このサイドスピーカカバー290は、扉枠ベースユニット100に取付けられたサイドスピーカ130の前面を被覆して装飾するものであり、右サイド装飾ユニット200及び左サイド装飾ユニット240の下端と、皿ユニット300との間に配置されるものである。このサイドスピーカカバー290は、扉枠ベースユニット100に取付けられたサイドスピーカ130の前面を覆うように湾曲した円盤状で複数の孔を有したカバー体291と、カバー体291の外周を前側から支持する円環状の開口部を有し右サイド装飾ユニット200及び左サイド装飾ユニット240の下端と連続するように形成された本体部材292と、本体部材292の下側に配置され皿ユニット300の下皿カバー328における左右後端と連続するように形成された下部部材293と、を備えている。
このサイドスピーカカバー290は、本体部材292の表面に金属的な光沢を有したメッキ層が形成されている。また、下部部材293は、後述する皿ユニット300における下皿カバー328と同様の乳白色をした透光性の部材により形成されている。このサイドスピーカカバー290は、扉枠ベースユニット100の前面に取付けられるようになっている。
[3−6.皿ユニット]
続いて、扉枠5における皿ユニット300について、主に図37乃至図40を参照して説明する。図37は、扉枠における皿ユニットの正面斜視図であり、図38は、扉枠における皿ユニットの背面斜視図である。また、図39は、皿ユニットを分解して前から見た分解斜視図であり、図40は、皿ユニットを分解して後から見た分解斜視図である。
本実施形態の扉枠5における皿ユニット300は、後述する賞球装置740から払出された遊技球を貯留するための上皿301及び下皿302を備えていると共に、上皿301に貯留した遊技球を球送ユニット580を介して後述する打球発射装置650へ供給することができるものである。皿ユニット300は、図39及び図40等に示すように、扉枠ベースユニット100の下部前面に固定される左右方向延びた略板状の皿ユニットベース310と、皿ユニットベース310の前面略中央に固定され上方及び後方が開放され正面視左側(軸支側)が大きく前方へ膨出した皿状の上皿本体312と、上皿本体312の上部外周を覆うと共前端が正面視で左右方向中央が前方へ突出するように湾曲状に形成された上皿上部パネル314と、上皿上部パネル314の上側前端縁に取付けられ上下方向に貫通した複数の開口部316aを有する上皿前部装飾部材316と、上皿前部装飾部材316と上皿上部パネル314との間に配置され上皿前部装飾部材316の開口部316a内に嵌め込まれる複数の導光部318aを有した左右一対の上皿上部レンズ318と、上皿上部レンズ318とは上皿上部パネル314を挟んで反対側に配置されると共に上皿上部パネル314の下面に取付けられ上面に複数のカラーLED320a,322aが実装された上皿右装飾基板320及び上皿左装飾基板322と、上皿上部レンズ318と上皿上部パネル314との間に配置され上皿右装飾基板320及び上皿左装飾基板322からの光を上皿上部レンズ318側へ拡散させる複数の微細プリズムを有した上皿上部インナーレンズ319と、を備えている。
また、皿ユニット300には、上皿本体312の下側で皿ユニットベース310の前面に固定され上方及び後方が開放されると共に正面視で左右方向中央が前方へ膨出し前端が左右方向中央へ向かうに従って低くなるように形成された皿状の下皿本体324と、下皿本体324の上部に固定され正面視で左右方向中央が下皿本体324と略同様に前方へ膨出し前端が左右方向中央へ向かうに従って高くなるように湾曲した板状の下皿天板326と、下皿天板326及び下皿本体324の前端に沿った開口部328aを有すると共に開口部328aの外周を覆う下皿カバー328と、下皿カバー328の左右両側に配置され前後方向に貫通した開口部330aを有する皿サイド中カバー330と、皿サイド中カバー330の開口部330aに後側から嵌め込まれる皿サイド中カバーレンズ332と、皿サイド中カバー330の左右両外側に配置され扉枠ベースユニット100の左右両端と対応する位置まで左右方向へ延びた皿サイド外カバー334と、を備えている。なお、正面視で右側に配置される皿サイド中カバー330には、その右端部に後述する錠装置1000のシリンダ錠1010が臨む錠孔330bが形成されている。また、正面視で右側の皿サイド外カバー334には、前方からハンドル装置500が挿入されるハンドル挿通孔334aが形成されている。
更に、皿ユニット300には、皿ユニットベース310及び上皿本体312に取付けられ上皿301に貯留された遊技球を下皿302へ抜くための上皿球抜き機構340と、下皿本体324の下面に取付けられ下皿302に貯留された遊技球を下方へ抜くための下皿球抜き機構350と、皿ユニットベース310の正面視で左側上部に取付けられパチンコ遊技機1に隣接して設置された図示しないCRユニットを作動させる貸球ユニット360と、を備えている。
皿ユニット300は、皿ユニットベース310の一部、上皿本体312、及び上皿上部パネル314等によって遊技球を貯留可能な上皿301を構成している。また、皿ユニット300は、皿ユニットベース310の一部、下皿本体324、下皿天板326、及び下皿カバー328等によって遊技球を貯留可能な下皿302を構成している。
この皿ユニット300における皿ユニットベース310は、図39に示すように、左右方向へ延びた略板状に形成されており、左右へ延びた上端縁には所定形状の形成された装飾部310aが備えられている。この装飾部310aの左端に前後方向へ貫通し貸球ユニット360を取付けるための貸球ユニット取付部310bが形成されている。この皿ユニットベース310は、貸球ユニット取付部310bの下側(正面視で左上隅部近傍)に配置され横長の矩形状で前後方向に貫通する上皿球供給口310cと、上皿球供給口310cよりも下側(皿ユニットベース310の高さ方向の略中間)で装飾部310aの右端近傍の下側に前後方向へ貫通し上下方向へ延びた上皿球排出口310dと、上皿球排出口310d及び上皿球供給口310cの直下に配置され前方へ突出すると共に上面が同じ高さとされた一対の下皿支持部310eと、を備えている。なお、上皿球排出口310dは、直下に配置された下皿支持部310eの上面の前後方向中間位置まで連続して形成されている。
また、皿ユニット300は、一対の下皿支持部310eの間に配置され下皿本体324及び下皿天板326の後端と嵌合し正面視で横長の矩形環状に形成された下皿支持溝310fと、下皿支持溝310fによって囲まれた部位の中央右寄りの下部に配置され前後方向に貫通する矩形状の下皿球供給口310gと、を備えている。更に、皿ユニットベース310は、図40に示すように、下皿球供給口310gと連続するように後方へ筒状に延びた下皿球供給樋310hと、下皿球供給樋310hの開放側側面に形成され遊技球が通過可能な大きさの切欠部310iと、を備えている。
この皿ユニットベース310の上皿球供給口310cは、扉枠ベースユニット100における扉枠ベース本体110及び補強ユニット150の切欠部101a,162を介して扉枠ベースユニットの後側に取付けられるファールカバーユニット540の第一球出口544aと連通するようになっている。この上皿球供給口310cの前端には、正面視右方向へ長く延び後方へ窪んだ誘導凹部310jを備えている。この誘導凹部310jは、左右方向に対しては正面視右端側が若干低くなるように傾斜していると共に、前後方向に対しては前端側が低くなるように傾斜している。これにより、誘導凹部310jの前端と上皿本体312の底面との高低差は、誘導凹部310j右端へ向かうほど高くなるようになっており、誘導凹部310jの右端では、上皿本体312の底面との高低差が遊技球の外径よりも若干高くなるようになっている。
したがって、本実施形態では、上皿301内に貯留された遊技球によって上皿球供給口310cの前側が閉鎖された場合、ファールカバーユニット540を介して賞球装置740から払出された遊技球が、上皿球供給口310cから直線的に前方の上皿301内に出ることができなくなるので、払出された遊技球は上皿球供給口310cの前側を閉鎖した遊技球に当接してその転動方向が変化し、誘導凹部310j内を正面視右方向へと転動するように誘導され、誘導凹部310jの右端付近から上皿301内に貯留された遊技球の上側へと放出されることとなる。これにより、上皿301内において遊技球を自動的に上下二段に貯留させることができるので、上皿球供給口310cの前を遊技球が塞いだ時に遊技者が手で遊技球を寄せなくても払出された遊技球を上皿301内に供給(放出)し続けることが可能となり、上皿301への遊技球の貯留に対して遊技者が煩わしく感じてしまうのを抑制することができ、遊技者を遊技球の打込操作や打ち込まれた遊技球による遊技に専念させて遊技に対する興趣が低下するのを抑制することができると共に、上皿301における遊技球の貯留量を多くすることができるようになっている。
皿ユニットベース310の上皿球排出口310dは、上皿球抜き機構340における上皿球抜きベース344の開口部344a、及び扉枠ベースユニット100における扉枠ベース本体110の球送開口113、を介して扉枠ベースユニット100の後側に取付けられる球送ユニット580の進入口581aと連通するようになっている。更に、下皿球供給口310gは、その後側から後方へ延びた下皿球供給樋310hが、扉枠ベースユニット100における扉枠ベース本体110の球通過口110fを貫通して後方へ延出した上で、扉枠ベースユニット100の後側に取付けられるファールカバーユニット540の第二球出口544bに接続されていると共に、下皿球供給樋310hの切欠部310iが、上皿球抜き機構340における上皿球抜きベース344の球抜き流路344cと接続されている。
なお、本実施形態では、図示するように、下皿球供給口310gの前端には、正面視で左方向へ広がった拡口部310kを備えており、この拡口部310kによって下皿球供給口310gの前端が左右方向へ広がった状態となっている。これにより、下皿球供給口310gの前側に溜まった下皿302内の遊技球により下皿球供給口310gにおいて早期に球詰りが発生してしまうのを抑制することができ、より多くの遊技球を下皿302内へ供給することができるようになっている。
皿ユニット300の上皿本体312は、正面視で中央よりも左側(軸支側)が前方へ膨出し、底面が全体的に左端側(開放側)及び後端側が低くなるように形成されている。この上皿本体312の底面は、軸支側の後端が皿ユニットベース310における上皿球供給口310cの底辺付近に、開放側の後端が皿ユニットベース310における上皿球排出口310dの上下方向中間位置付近に、それぞれ位置するように形成されており、上皿球供給口310cから上皿本体312(上皿301)に供給された遊技球が、上皿球排出口310dへ誘導されるようになっている。
なお、上皿本体312は、底面の後端で左右方向中央から開放側に遊技球と接触可能な金属製の上皿レール312aが取付けられている。この上皿レール312aは、図示は省略するが、電気的に接地(アース)されており、遊技球に帯電した静電気を除去することができるようになっている。
皿ユニット300の上皿上部パネル314は、上皿本体312の上端から扉枠5の左右方向中央が前方へ突出するように湾曲状に延びだしており、上皿本体312の開放側よりも外側に上下方向へ貫通し後述する上皿球抜き機構340の上皿球抜きボタン341が取付けられる取付孔314aが形成されている。この上皿上部パネル314は、前端に上皿本体312の上部前端よりも一段下がった段状に形成され上皿前部装飾部材316を取付けるための装飾取付部314bと、左右方向の中央で上皿本体312よりも前側の位置で装飾取付部314bよりも更に下がった段状に形成され後述する操作ユニット400を取付けるための操作ユニット取付部314cと、を備えている。
なお、詳細な説明省略するが、上皿上部パネル314の装飾取付段部314bには、下面に取付けられる上皿右装飾基板320及び上皿左装飾基板322のLED320a,322aと対応した位置に上下方向に貫通する開口部や切欠部が形成されていると共に、操作ユニット取付部314cには、操作ユニット400と周辺制御基板4140とを接続する配線ケーブルが通過可能な開口部等が形成されている。
上皿前部装飾部材316は、上皿上部パネル314の前端に沿って左右方向へ湾曲状に延びた形状とされ、その複数の開口部316aに下側から上皿上部レンズ318の導光部318aが嵌め込まれるようになっていると共に、上皿上部パネル314の装飾取付部314bに取付けることで上皿上部レンズ318を上皿上部パネル314とで挟持することができるようになっている。また、上皿上部レンズ318の下側には、表面に微細なレンズ(プリズム)を複数有した上皿上部インナーレンズ319が配置されており、上皿右装飾基板320や上皿左装飾基板322からの光を充分に拡散させて、上皿上部レンズ318全体を略均一に発光装飾させることができるようになっている。なお、図示するように、上皿前部装飾部材316における開口部316aの内周形状が洋梨状に形成されており、開口部316aに嵌め込まれる上皿上部レンズ318の導光部318aも同様の形状とされ、この導光部318aを嵌め込むことで、上皿前部装飾部材316の開口部316aに、ペアシェイプカットされたような宝石が嵌め込まれたような外観を呈するようになっている。
皿ユニット300の下皿本体324は、平面視で前方へ扇状に広がり後端が左右方向へ直線状に形成され上面の略中央が最も低くなるように形成された底板324aと、底板324aの中央に上下方向へ貫通するように形成された下皿球抜き孔324bと、底板324aの後端を除く前端及び側端から上方へ立上がる側板324cと、を備えている。この下皿本体324の側板324cは、底板324aの側端から上方へ立上がった上端が、前側が最も低く後側へ向かうに従って高くなるように曲線状に形成されていると共に、底板324aの側端から上方へ立上がった上端が直線状に形成されており、上端の直線状の部分に下皿天板326の左右両端が載置接続されるようになっている。
この下皿本体324は、底板324a及び側板324cの後端が、皿ユニットベース310の前面に形成された下皿支持溝310f内に挿入支持されるようになっている。また、下皿本体324の下皿球抜き孔324bは、底板324aの裏面側に配置される下皿球抜き機構350の開閉シャッター352によって閉鎖されるようになっている。
下皿カバー328は、正面視の外形が下側へ膨出し各辺が円弧の逆三角形状に形成されており、中央に前後方向へ貫通する開口部328aを備えている。この開口部328aの内形は、下皿本体324及び下皿天板326の前端により形成される形状と一致した形状とされており、下皿302の開口を形成するものである。また、下皿カバー328は、透光性を有した乳白色の樹脂によって形成されていると共に、図示は省略するが、裏側にカラーLEDが所定間隔で配置されており、下皿カバー328全体を発光装飾させることができるようになっている。
皿サイド中カバー330は、正面視で下皿カバー328の左右両外側に配置され、正面視で左右方向の略中央から扉枠5の側面まで下皿カバー328の下側側辺に沿って所定幅で延びており、扉枠5の側面まで延びた上部後端が扉枠ベースユニット100における扉枠ベース本体110の前面に取付けられるようになっている。この皿サイド中カバー330は、前後方向に貫通する開口部330aを備えており、開口部330a内に後側から皿サイド中カバーレンズ332が嵌め込まれるようになっている。更に、正面視で右側(開放側)の皿サイド中カバー330には、その外側端部(右側端部)付近で錠装置1000のシリンダ錠1010と対応した位置に前後方向に貫通する錠孔330bが形成されており、本体枠3に対して扉枠5を閉じた状態とすると、この錠孔330bからシリンダ錠1010の錠穴が臨むようになっている。
この皿サイド中カバー330は、その前端下部から後方へ延出する底板部330cを更に備えており、この底板部330cの後端が扉枠ベースユニット100における扉枠ベース本体110の前面に取付けられるようになっている。また、皿サイド中カバー330の底板部330cによって下皿本体324の下側の一部が被覆されるようになっている。
皿サイド外カバー334は、正面視で皿サイド中カバー330の左右両外側に配置され、正面視が扉枠5の側辺及び底辺に沿った略三角形状とされており、後方及び上方に開放された箱状に形成されている。本実施形態では、右側(開放側)の皿サイド外カバー334に、扉枠ベースユニット100におけるハンドルブラケット140と対応した位置に前後方向へ貫通するハンドル挿通孔334aが形成されている。この皿サイド外カバー334は、扉枠ベースユニット100における扉枠ベース本体110の前面に取付けられるようになっていると共に、一部が皿ユニットベース310に取付けられるようになっている。また、皿サイド外カバー334及び皿サイド中カバー330によって下皿本体324の中央部を除く下側が被覆されるようになっている。
皿ユニット300における上皿球抜き機構340は、上皿上部パネル314の取付孔314aに対して上下方向へ進退可能に取付けられる上皿球抜きボタン341と、上皿球抜きボタン341の操作に対して上皿球抜きボタン341の上下動よりも大きく上下動し皿ユニットベース310の前面側に支持される作動片342と、作動片342の上下動によって上下方向へスライドし後述する球送ユニット580における球抜き部材583の作動棹583cと当接する当接片343aを備え皿ユニットベース310の後側に配置される上皿球抜きスライダ343と、上皿球抜きスライダ343を上下方向へスライド可能に支持し皿ユニットベース310の後側に取付けられる上皿球抜きベース344と、を備えている。
この上皿球抜き機構340は、詳細な図示は省略するが、上皿球抜きボタン341が上側の移動端に位置するように、上皿球抜きボタン341と伴に上下動する作動片342がコイルバネによって上方側へ付勢されている。また、上皿球抜きスライダ343は、上皿球抜きベース344との間に備えられたコイルバネによって上方側へ付勢された状態となっている。
上皿球抜き機構340の上皿球抜きベース344は、皿ユニットベース310の上皿球排出口310dを閉鎖すると同時に上皿球排出口310dと連絡し前方へ向かって開口する開口部344a(図39を参照)と、上皿球抜きベース344の裏面側で開口部344aと連通し開口部344aを通過した遊技球を下方へ誘導した後に後方へ誘導する球誘導流路344b(図38及び図40を参照)と、球誘導流路344bの下側から下方へ延出した後に上皿球抜きベース344の下辺に略沿って背面視で右側(軸支側)の端部へ向かって延出し遊技球が流通可能とされた球抜き流路344cと、を備えている。
上皿球抜きベース344は、開口部344aが上皿球排出口310dと連通すると共に、開口部344aと連通する球誘導流路344bの下端が扉枠ベースユニット100における扉枠ベース本体110の球送開口113を介して扉枠ベース本体110の後側に取付けられる球送ユニット580の進入口581aと連通するようになっており、上皿301内に貯留された遊技球を、球送ユニット580へ供給することができるようになっている。
また、上皿球抜きベース344の球抜き流路344cは、球誘導流路344bと隣接した上端が扉枠ベース本体110の球送開口113を介して球送ユニット580の球抜口581bと連通していると共に、軸支側へ延びた下端が皿ユニットベース310における下皿球供給樋310hの切欠部310iと連通しており、球送ユニット580の球抜口581bから排出された遊技球を下皿302へ誘導することができるようになっている。なお、球抜き流路344cの後端下部は上皿球抜き流路カバー345によって閉鎖されている。
この上皿球抜き機構340は、コイルバネの付勢力に抗して上皿球抜きボタン341を下方へ押圧すると、上皿球抜きスライダ343が下方へスライドすると共に後方へ突出した当接片343aも下方へ移動する。そして、当接片343aの上面と当接する球送ユニット580における球抜き部材583の作動棹583cは、当接片343aが下方へ移動することで球抜き部材583の仕切部583aが所定方向へ回動し、仕切部583aによって仕切られた進入口581aと球抜口581bとの仕切りが解除されて進入口581aと球抜口581bとが連通した状態となる。これにより、上皿301に貯留された遊技球は、上皿球排出口310dから上皿球抜きベース344の開口部344a及び球誘導流路344bを介して、球送ユニット580の進入口581aへ進入した上で球抜口581bから上皿球抜きベース344の球抜き流路344cへと排出され、皿ユニットベース310の下皿球供給樋310hを介して下皿球供給口310gから下皿302へ排出することができるようになっている。
なお、球送ユニット580の球抜き部材583は、その作動棹583cがコイルバネによって上方へ付勢された上皿球抜きスライダ343における当接片343aの上面と当接しているので、球抜き部材583の仕切部583a上に遊技球が勢い良く供給されても、その衝撃を、作動棹583cを介して上皿球抜きスライダ343を付勢するコイルバネによって吸収させることができ、球抜き部材583等が破損するのを防止することができると共に、遊技球が仕切部583aで跳ね返るのを防止することができるようになっている。
皿ユニット300における下皿球抜き機構350は、下皿本体324の下側で正面視左右に配置された皿サイド中カバー330の底板部330c同士の間に配置される下皿球抜きベース351と、下皿球抜きベース351の上面に回動可能に軸支され下皿本体324の下皿球抜き孔324bを開閉可能な板状の開閉シャッター352と、開閉シャッター352を回動させると共に下皿球抜きベース351の上面に前後方向へスライド可能に支持された下皿球抜きスライダ353と、下皿球抜きスライダ353の前端に取付けられる下皿球抜きボタン354と、を備えている。
この下皿球抜きベース351は、下皿本体324の下皿球抜き孔324bと対向する位置に上下方向に貫通したベース球抜き孔351aを備えている。また、開閉シャッター352は、下皿球抜き孔324bを閉鎖可能な閉鎖部352aと、閉鎖部352aの前側に配置され下皿球抜き孔324bと略一致可能な上下方向に貫通したシャッター球抜き孔352bと、を備えており、下皿球抜きベース351との間でコイルバネによって閉鎖部352aが下皿球抜き孔324b及びベース球抜き孔351aを閉鎖する位置となるように付勢されている。
なお、詳細な図示は省略するが、開閉シャッター352は、下皿球抜きスライダ353と当接可能な当接ピンを備えており、この当接ピンが下皿球抜きスライダ353と当接することで、下皿球抜きスライダ353によって閉鎖部352a及びシャッター球抜き孔352bが後方へ移動するように回動させられたり、コイルバネの付勢力により下皿球抜きスライダ353を前方側へスライドさせたりすることができるようになっている。
また、下皿球抜きボタン354は、図示するように、皿ユニット300における下皿カバー328の左右方向中央下側で、左右の皿サイド中カバー330に挟まれた位置に配置されるようになっており、その表面形状が下皿カバー328や皿サイド中カバー330の表面形状に対して滑らかに連続するような形状とされている。
また、下皿球抜き機構350は、開閉シャッター352のシャッター球抜き孔352bが、下皿本体324の下皿球抜き孔324b及び下皿球抜きベース351のベース球抜き孔351aと略一致した回動位置に保持するために、下皿球抜きスライダ353を所定位置に保持する保持機構355を、更に備えている。
この下皿球抜き機構350は、下皿球抜きボタン354の表面形状が下皿カバー328等の表面形状と連続したような状態では、下皿球抜きボタン354が前方端へ移動した閉状態であり、開閉シャッター352の閉鎖部352aによって下皿本体324の下皿球抜き孔324bが閉鎖された状態となっている。この状態で、下皿本体324(下皿302)内に遊技球を貯留することができるようになっている。閉状態の下皿球抜きボタン354を、後方へ押圧すると、下皿球抜きボタン354と下皿球抜きスライダ353とが後方へスライドすると共に、下皿球抜きスライダ353の後方へのスライドによって開閉シャッター352がコイルバネの付勢力に抗してその閉鎖部352a及びシャッター球抜き孔352bが後方へ移動するように回動することとなる。
そして、開閉シャッター352が後方へ回動することでシャッター球抜き孔352bが下皿球抜き孔324b及びベース球抜き孔351aと重なるようになり、やがて、シャッター球抜き孔352bと下皿球抜き孔324bとが一致し、下皿302に貯留された遊技球を下皿球抜き孔324bを介して皿ユニット300の下方へ排出することができる。なお、シャッター球抜き孔352bと下皿球抜き孔324bとが略一致する位置へ下皿球抜きスライダ353が後方へ移動すると、下皿球抜きスライダ353が保持機構355によってスライドが保持されるようになっており、下皿球抜きスライダ353のスライドがロック(保持)されることで下皿球抜きボタン354が後方へ後退した開状態のままとなると共に、シャッター球抜き孔352bが下皿球抜き孔3324bと一致した状態で保持され、下皿球抜きボタン354を押し続けていなくても、下皿302に貯留された遊技球を下方へ排出することができるようになっている。
一方、下皿球抜き孔324bを閉鎖する場合、後退した開状態の下皿球抜きボタン354を更に後方へ押圧すると、保持機構355による下皿球抜きスライダ353の保持が解除されて、下皿球抜きスライダ353がスライドすることができるようになり、コイルバネによって閉鎖部352aが下皿球抜き孔324bを閉鎖する方向へ付勢された開閉シャッター352が、その付勢力によって閉鎖部352aが下皿球抜き孔324bの方向(前方)へ移動する方向へ回動することとなる。そして、開閉シャッター352の前方への回動に伴って下皿球抜きスライダ353が前方へスライドし、閉鎖部352aによって下皿球抜き孔324bが閉鎖されると共に、下皿球抜きボタン354が下皿カバー328等の前面と略一致した閉状態の位置に復帰し、下皿302内に遊技球を貯留することができるようになる。
なお、下皿球抜き機構350の保持機構355は、上記の機能を有した公知の技術を用いており、その詳細な機構については、説明を省略する。
皿ユニット300における貸球ユニット360は、後方へ押圧可能な貸球ボタン361及び返却ボタン362を備えていると共に、貸球ボタン361と返却ボタン362の間に貸出残表示部363を備えている。貸球ボタン361が操作されると、球貸スイッチ365aにより検出され、返却ボタン362が操作されると、返却スイッチ365bにより検出されるようになっている。残度数表示器365cの表示内容は貸出残表示部363を介して視認することができるようになっている。球貸スイッチ365a、返却スイッチ365b、及び残度数表示器365cは、度数表示板365に実装されており、この度数表示板365は、貸球ユニット360の内部に取り付けられている。この貸球ユニット360は、パチンコ遊技機1に隣接して設けられた球貸機に対して現金やプリペイドカードを投入した上で、貸球ボタン361を押すと、所定数の遊技球を皿ユニット300の上皿301内へ貸出す(払出す)ことができると共に、返却ボタン362を押すと貸出された分の残りを引いた上で投入した現金の残金やプリペイドカードが返却されるようになっている。また、貸出残表示部363には、球貸機に投入した現金やプリペイドカードの残数が表示されるようになっている。
この貸球ユニット360は、皿ユニットベース310における上端の装飾部310aに形成された貸球ユニット取付部310bに対して、後側から取付けられるようになっている。また、貸球ユニット360には、後面から後方へ突出し防犯カバー180における軸支側(正面視で左側)の装着弾性片185を装着係止する防犯カバー装着部364を備えている。
[3−7.操作ユニット]
次に、扉枠5における操作ユニット400について、主に図41乃至図46を参照して説明する。図41は、扉枠における操作ユニットの正面斜視図であり、図42は、扉枠における操作ユニットの背面斜視図である。また、図43は、操作ユニットを分解して右前上方から見た分解斜視図であり、図44は、操作ユニットを分解して右前下方から見た分解斜視図である。更に、図45は、操作ユニットの断面図であり、図46は、操作ユニットにおける押圧操作部押した状態で示す断面図である。
本実施形態の扉枠5における操作ユニット400は、正面視左右方向の略中央で上皿301の前面に配置され、遊技者が回転操作可能なダイヤル操作部401と、遊技者が押圧可能な押圧操作部405と、を備えており、遊技状態に応じて遊技者の操作を受付けたり、ダイヤル操作部401が可動したりすることができ、遊技者に対して遊技球の打込操作だけでなく、遊技中の演出にも参加することができるようにするものである。
この操作ユニット400は、円環状のダイヤル操作部401と、ダイヤル操作部401の円環内に挿入される円柱状の押圧操作部405と、ダイヤル操作部401の下端と連結される円環状の従動ギア410と、従動ギア410と噛合する円盤状の駆動ギア412と、駆動ギア412が回転軸に固定されるダイヤル駆動モータ414と、従動ギア410を回転可能に支持する円環状のギアレール416a、及び押圧操作部405を上下方向へ摺動可能に支持する円筒状のボタン支持筒416bを有した操作部保持部材416と、操作部保持部材416のボタン支持筒416b内に配置され押圧操作部405を上方へ付勢するバネ418と、操作部保持部材416のギアレール416a及びボタン支持筒416bが通過可能な開口420aを有し操作部保持部材416とダイヤル駆動モータ414とが下面に固定されるベース部材420と、ベース部材420の上面を覆いダイヤル操作部401の内筒部401aが通過可能な開口422aを有した上カバー422と、上カバー422の下側にベース部材420を挟むように取付けられベース部材420及びダイヤル駆動モータ414の下面を覆う下カバー424と、を主に備えている。
本実施形態では、従動ギア410の歯数が駆動ギア412の歯数の2倍、つまり減速比が値1/2に選定されているため、ダイヤル駆動モータ414の回転軸に固定された駆動ギア412が2回転すると、この駆動ギア412と噛合する従動ギア410が1回転するようになっている。なお、ダイヤル駆動モータ414は、ステッピングモータであり、その出力軸が1ステップで15°回転し、24ステップで360°回転するものである。このため、ダイヤル駆動モータ414の出力軸が1ステップで15°回転すると、この出力軸に固定された駆動ギア412も15°回転し、この回転が従動ギア410に伝わって、減速比が値1/2により、従動ギア410と連結されたダイヤル操作部401も従動ギア410とともに7.5°回転することとなる。
また、操作ユニット400は、上カバー422の上側を覆うようにベース部材420に固定されダイヤル操作部401の内筒部401aが通過可能な開口426a、及び開口426aの左右両側から外方へ延出し皿ユニット300における操作ユニット取付部314cへ固定するための固定部426bを有したカバー本体426と、カバー本体426の上面を覆う表面カバー428と、ベース部材420の上面に取付けられ操作部保持部材416のボタン支持筒416b及びダイヤル操作部401の内筒部401aが通過可能な開口430aを有し上面におけるダイヤル操作部401の円環と対応した位置に複数のカラーLED430bが実装されたダイヤル装飾基板430と、ベース部材420の下側に固定され、ダイヤル操作部401の回転を検出する一対の回転検出スイッチ432a,432b、押圧操作部405の操作を検出する押圧検出スイッチ432c、及び押圧操作部405の直下の上面に実装されたカラーLED432dを有したボタン装飾基板432と、を備えている。
操作ユニット400におけるダイヤル操作部401は、透光性を有した素材により形成されており、上下方向へ延びた筒状の内筒部401aと、内筒部401aの上端から外方へ延出し表面に所定の装飾(具体的には、滑らかな凹凸を有する意匠が施されている。)が施された円環状の天板部401bと、天板部401bの外周端から下方へ筒状に延出し内筒部401aよりも短い外筒部401cと、外筒部401cの下端から外側へ環状に延出する鍔部401dと、を主に備えている。このダイヤル操作部401における鍔部401dの外径は、上カバー422における開口422aの内径よりも大径とされている。また、ダイヤル操作部401は、内筒部401aの下端に連結係止部(図44を参照)を備えており、従動ギア410の連結係止爪410bが係止されることで、ダイヤル操作部401と従動ギア410とを連結することができるようになっている。更に、ダイヤル操作部401は、上端から所定距離下がった位置に内筒部401aの内壁から中心方向へ突出した突出部401fを更に備えている。ダイヤル操作部401の突出部401fは、内筒部401aの内周に沿って環状に形成されている。この突出部401fは、詳細は後述するが、押圧操作部405におけるボタンキャップ407の段部407aと当接することができるようになっており、ボタンキャップ407の段部407aがダイヤル操作部401の突出部401fと当接することで、ボタンキャップ407(押圧操作部405)が、これ以上、内筒部401a内へ没入するのを防止することができるようになっている(図46を参照)。
なお、図示するように、ダイヤル操作部401の突出部401fと、押圧操作部405におけるボタンキャップ407の段部407aは、互いの当接面が、ダイヤル操作部401の中心へ向かうに従って低くなるような傾斜面とされており、互いが当接した時の接触面積が大きくなるようになっている。これにより、押圧操作部405からの荷重をダイヤル操作部401側へより多く分散させる(逃がす)ことができると共に、ダイヤル操作部401からの振動を押圧操作部405側へ伝え易くすることができるようになっている。
また、操作ユニット400における押圧操作部405は、上端が閉鎖された円筒状に形成されており、有底筒状のボタン本体406と、ボタン本体406の上端を閉鎖するボタンキャップ407と、ボタンキャップ407の内側に配置されボタン本体406の上端とボタンキャップ407の間に挟持されるキャップインナ408と、を備えている。この押圧操作部405のボタン本体406は、底部下面が下方へ向かうに従って窄まる円錐台形状とされており、この円錐台形状の下面にコイル状のバネ418の上端が挿入されるようになっていると共に、円錐台形状の下端面中央に上下方向に貫通する貫通孔406aを備えており、この貫通孔406aを通してボタン装飾基板432のLED432dからの光がボタンキャップ407及びキャップインナ408へ照射されるようになっている。
また、ボタン本体406は、外周下部から下方へ向かって延出し下端が軸直角方向外方へ突出した一対の係止爪406bを有しており、この係止爪406bが操作部保持部材416のボタン支持筒416b内に形成された係止凸部416g(図45及び図46を参照)と係止することで、ボタン本体406がボタン支持筒416bから抜けないように、上方への移動端を規制することができるようになっている。また、詳細な図示は省略するが、操作部保持部材416におけるボタン支持筒416b内には、ボタン本体406の係止爪406bが周方向へ移動するのを阻止する当接部を備えており、ボタン本体406(押圧操作部405)が、ボタン支持筒416b内で回転しないようになっている。なお、ボタン本体406の係止爪406bと、ボタン支持筒416b内の当接部との間には、周方向へ所定量の隙間が形成されており、その隙間によって、ボタン本体406が所定角度範囲内で回動することができるようになっている。
また、ボタン本体406は、係止爪406bとは外周下部の異なる位置から下方へ延出しボタン装飾基板432の押圧検出スイッチ432cによって検出可能な押圧検出片406cを備えている。この押圧検出片406cは、バネ418の付勢力に抗してボタン本体406(押圧操作部405)が下方へ移動すると、押圧検出スイッチ432cによって検出されるようになっている。
更に、押圧操作部405のボタンキャップ407は、図示するように、上下方向の略中央よりも下側の外径が上側よりも小径とされており、上側と下側との間に段部407aが形成されている。このボタンキャップ407(押圧操作部405)は、段部407aよりも下側が、ダイヤル操作部401における突出部401fの内径よりも小径とされていると共に、段部407aよりも上側が、ダイヤル操作部401の内筒部401aの内径よりも小径で突出部401fの内径よりも大径とされている。これにより、ボタンキャップ407(押圧操作部405)を、ダイヤル操作部401の上側から内筒部401a内へ挿入すると、ボタンキャップ407の段部407aがダイヤル操作部401の突出部401fに当接して、ボタンキャップ407(押圧操作部405)が、これ以上、内筒部401a内へ没入することができないようになっている(図46を参照)。
更に、押圧操作部405のボタンキャップ407及びキャップインナ408は、透光性環有した素材によって形成されている。キャップインナ408の上面には「Push」の文字が表示されており、その文字がボタンキャップ407を通して外側から視認することができるようになっている。
操作ユニット400における従動ギア410は、円環状の外周に駆動ギア412と噛合する複数のギア歯を備えている。この従動ギア410は、その内径が操作部保持部材416におけるボタン支持筒416bの外径よりも若干大径とされていると共に、下面に操作部保持部材416のギアレール416aと当接する円環状の摺動面410aを備えている。この従動ギア410をボタン支持筒416bへ挿入すると共に、摺動面410aをギアレール416a上に当接させることで、従動ギア410がボタン支持筒416bと略同心状に摺動回転することができるようになっている。
また、従動ギア410は、上端の対向する位置から上方へ延出した上で内側へ向かって突出する一対の連結係止爪410bを備えており、この連結係止爪410bがダイヤル操作部401における内筒部401aの連結係止部401eと係止することで、従動ギア410とダイヤル操作部401とが一体回転可能に連結されるようになっている。
また、従動ギア410は、下端から下方へ突出し周方向に一定間隔で列設された複数の回転検出片410cを備えている。これら回転検出片410cは、ボタン装飾基板432に取付けられた一対の回転検出スイッチ432a,432bによって検出されるようになっており、詳細は後述するが、回転検出片410cと回転検出片410c同士の間に形成されたスリット410dとにより、回転検出片410cに対する各回転検出スイッチ432a,432bの検出パターンによって従動ギア410、つまりダイヤル操作部401の回転方向を検出することができるようになっている。なお、本実施形態では、回転検出片410cとスリット410dにおける周方向の長さが、略同じ長さとされている。
また、操作ユニット400における駆動ギア412は、図示するように、従動ギア410と噛合する平歯車とされており、ダイヤル駆動モータ414の回転軸と一体回転可能に固定されている。また、ダイヤル駆動モータ414は、回転方向、回転速度、及び回転角度を任意に制御可能な公知のステッピングモータとされており、ダイヤル駆動モータ414によって回転軸を介して駆動ギア412を回転駆動させることで、従動ギア410を介してダイヤル操作部401を回転させることができるようになっている。また、ダイヤル駆動モータ414によって駆動ギア412(回転軸)を正転させる回転と逆転させる回転とを交互に小刻みに繰返させることで、ダイヤル操作部401を時計方向への回転と反時計方向への回転とを交互に小刻みに繰返させるようにすることができるため、ダイヤル操作部401を振動させることができる。また、回転検出スイッチ432a,432bからの検出信号等に基づいて所定回転角度毎にダイヤル駆動モータ414の回転を短時間停止させるようにすることで、ダイヤル操作部401の回転操作に対して、クリック感を付与することができるようになっている。
更に、操作ユニット400における操作部保持部材416は、従動ギア410を回転可能に支持する円環状のギアレール416aと、ギアレール416aの内側から上方へ筒状に突出し内部に押圧操作部405のボタン本体406を上下方向へ摺動可能に支持するボタン支持筒416bと、ボタン支持筒416b内の底部近傍の内周面に形成されボタン本体406の係止爪406bと係止可能な係止凸部416g(図45及び図46を参照)と、ボタン支持筒416b内の底部中央を貫通しボタン装飾基板432に実装されたLED432dからの光をボタン支持筒416b内(押圧操作部405)へ送る貫通孔416cと、ボタン支持筒416bよりも外側の底部を上下方向に貫通しボタン装飾基板432に取付けられた回転検出スイッチ432a,432bが通過可能な開口部416dと、ボタン支持筒416b内の底部を上下方向に貫通しボタン装飾基板432に取付けられた押圧検出スイッチ432cが上側から臨む開口部416eと、下面から下方へ延出しボタン装飾基板432を係止保持するための一対の基板保持爪416fと、を備えている。
また、操作部保持部材416は、詳細な図示は省略するが、ボタン支持筒416b内に配置され、ボタン本体406の係止爪406bに対して周方向へ所定量の隙間を形成すると共に係止爪406bと当接可能とされた複数の当接部を更に備えている。この当接部によって、ボタン本体406(押圧操作部405)が、所定角度範囲内で回動することができると共に、ボタン支持筒416b内でグルグルと回転しないようになっている。更に、操作部保持部材416は、詳細な説明は省略するが、ベース部材420へ固定するためのビス孔や、ベース部材420やボタン装飾基板432との位置決めをするための位置決めボス等が適宜位置に備えられている。
この操作部保持部材416は、ボタン支持筒416bの外周に従動ギア410を挿通させてギアレール416a上に載置することで、従動ギア410(ダイヤル操作部401)を所定の回転軸を中心として摺動回転可能に支持することができるようになっている。また、ボタン支持筒416b内に押圧操作部405のボタン本体406を挿入することで、ボタン本体406を介して押圧操作部405を上下方向へ摺動可能に支持することができるようになっている。なお、ボタン支持筒416b内の底部とボタン本体406の円錐台状の下面と間に、コイル状のバネ418が配置されるようになっており、このバネ418によって、ボタン本体406(押圧操作部405)が上方へ向かって付勢された状態となっている。
操作ユニット400におけるベース部材420は、アルミ合金等の金属により形成されており、ダイヤル操作部401や押圧操作部405を強く叩いても操作ユニット400が破損し難いようになっている。このベース部材420は、操作部保持部材416の外周が嵌合可能とされ上方へ向かって窪んだ下部凹部420bと、下部凹部420bの底部(天井部)を上下方向に貫通し操作部保持部材416のギアレール416aが通過可能な内形とされた開口420aと、開口420aを挟んで下部凹部420bとは反対側に配置され少なくとも従動ギア410を収容可能な下方へ向かって窪んだ上部凹部420cと、を備えている。また、ベース部材420は、図44に示すように、下部凹部420bの外側に下方へ向かって開放されダイヤル駆動モータ414を取付けるためのモータ取付部420dと、下部凹部420bの外側から下方へ向かって所定量突出する複数(本実施形態では四つ)の脚部420eと、各脚部420eの下端に下方へ向かって開口する位置決め孔420fと、を備えている。
また、ベース部材420は、上部凹部420cの外側に上方に配置されるカバー本体426を固定するための複数のカバー固定部420gと、カバー固定部420gとは上部凹部420cの外側の異なる位置から上方へ突出しダイヤル装飾基板430を取付けるための複数の基板取付ボス420hと、を備えている。更に、ベース部材420は、詳細な説明は省略するが、その上面及び下面の適宜位置に、各部材の位置決めをするための位置決めボスや、取付孔等が形成されている。
このベース部材420は、中央の開口420aに対して、下側からボタン支持筒416b及びギアレール416aが通過するように下部凹部420b内に操作部保持部材416を嵌合挿入した上で、所定のビスを上側から下部凹部420bの天井部を通して操作部保持部材416にねじ込むことで、操作部保持部材416を支持することができるようになっている。ベース部材420は、詳細な図示は省略するが、操作部保持部材416を支持した状態では、ギアレール416aの上端が下部凹部420bの天井部の上面、つまり、上部凹部420cの底面よりも僅かに上方へ突出した状態となるようになっており、ギアレール416a上に載置される従動ギア410が、上部凹部420c内で問題なく摺動回転することができるようになっている。
また、ベース部材420の脚部420eは、その下端に形成された位置決め孔420fが、後述する下カバー424における底部の上面に形成された位置決め突起424aと嵌合するようになっており、ベース部材420と下カバー424とが互いに決められた位置に位置決めすることができるようになっている。また、ベース部材420の基板取付ボス420hは、上部凹部420c内に収容配置された従動ギア410よりも上方の位置まで突出しており、基板取付ボス420h上に取付けられたダイヤル装飾基板430が、従動ギア410と接触しないようになっている。
更に、ベース部材420は、モータ取付部420dにダイヤル駆動モータ414を取付けることで、ダイヤル駆動モータ414の上面と面で接触するようになっており、ダイヤル駆動モータ414からの熱をベース部材420側へ充分に伝達させることができ、ダイヤル駆動モータ414の熱を、ベース部材420によって放熱させることができるようになっている。これにより、ダイヤル駆動モータ414の過熱を抑制させることができ、過熱によりダイヤル駆動モータ414等に不具合が発生するのを防止することができるようになっている。
操作ユニット400の上カバー422は、下方が開放された箱状で、その天板にダイヤル操作部401の外筒部401cが通過可能で鍔部401dが通過不能とされた内径の開口422aを備えている。この上カバー422は、平面視で、押圧操作部405(従動ギア410)の軸心と、ダイヤル駆動モータ414(駆動ギア412)の軸心とを結ぶ方向(パチンコ遊技機1における左右方向)が長く延びたように形成されており、その長軸方向両端に下方へ突出した係合爪422bを備えており、この係合爪422bを下カバー424の係合部424bに係合させることで、上カバー422と下カバー424とを組立てることができるようになっている。
また、上カバー422は、短軸方向(パチンコ遊技機1における前後方向)の一方(パチンコ遊技機1における前側)の外周から下方へ延出した上で下端が外側へ突出した爪状の係止片422cを備えている。この係止片422cは、皿ユニット300における上皿前部装飾部材316と係止することができるようになっており、係止片422cを上皿前部装飾部材316に係止させることで、操作ユニット400が操作ユニット取付部314cから上方へ抜けるのを阻止することができるようになっている。
この上カバー422は、ベース部材420に、操作部保持部材416、従動ギア410、ダイヤル装飾基板430、及びダイヤル操作部401等を取付けた状態で、開口422aに対して下側からダイヤル操作部401が通るようにベース部材420の上方を覆うことで、開口422aによってダイヤル操作部401が上方へ抜けるのを防止することができるようになっている。
一方、操作ユニット400の下カバー424は、上方が開放された箱状で、外周形状が上カバー422の外周と略一致した形状とされており、底部上面の所定位置にベース部材420における脚部420e下端の位置決め孔420fと嵌合可能な位置決め突起424aを備えている。この下カバー424は、長軸方向(パチンコ遊技機1における左右方向)両端の上部に、上カバー422の係合爪422bと係合可能な係合部424bを備えており、この係合部424bに係合爪422bを係合させることで、下カバー424に上カバー422を取付けることができるようになっている。
操作ユニット400におけるカバー本体426は、図示するように、中央に上下方向に貫通しダイヤル操作部401(鍔部401dを除く)が通過可能な開口426aと、開口426aの左右両側から外方へ延出し皿ユニット300の操作ユニット取付部314cに固定される固定部426bと、開口426aの外周下面から下方へ延出しベース部材420のカバー固定部420gに固定される固定ボス426cと、を備えている。
操作ユニット400は、カバー本体426の固定部426bを介して皿ユニット300に取付けられるようになっており、詳細な図示は省略するが、皿ユニット300の操作ユニット取付部314cに取付けた状態では、操作ユニット400(下カバー424)の下面が操作ユニット取付部314cの上面よりも若干浮いた状態(例えば、0.5mm〜2.0mm)で取付けられるようになっており、操作ユニット400を押圧操作した場合や叩いた場合に、カバー本体426が弾性変形して衝撃を緩和させることができるようになっている。
なお、この操作ユニット400は、表面カバー428を外した状態で、皿ユニット300の操作ユニット取付部314cに対して、カバー本体426の固定部426bを所定のビスで取付け、その後、カバー本体426の上面に表面カバー428を取付けるような構造となっている。
本実施形態の操作ユニット400は、ダイヤル操作部401と共に回転する従動ギア410の回転検出片410cが、隣接する回転検出片410c同士の間のスリットにおける周方向の長さと、回転検出片410cの周方向の長さが同じ長さとされている。また、ボタン装飾基板432に取付けられた一対の回転検出スイッチ432a,432bは、ダイヤル操作部401に対応した周方向の間隔が、回転検出片410cの周方向における長さの2.5倍の間隔とされている。これにより、詳細は後述するが、遊技者がダイヤル操作部401を回転操作することで、一対の回転検出スイッチ432a,432bによる回転検出片410cの検出と非検出とにタイムラグが発生し、各回転検出スイッチ432a,432bによる回転検出片410cの検出パターンから、ダイヤル操作部401が何れの方向に回転しているのかを検出することができるようになっている。
また、本実施形態の操作ユニット400は、詳細は後述するが、ダイヤル駆動モータ414の駆動力によって、ダイヤル操作部401を時計回りや、反時計回りの方向へ回転させることができるようになっている。また、操作ユニット400は、ステッピングモータを用いたダイヤル駆動モータ414の駆動力によって、ダイヤル操作部401を、カクカクと段階的に回転させたり、遊技者がダイヤル操作部401を回転操作した時に、その回転を補助したり、わざと回らないようにしたり、回転にクリック感を付与したりすることができるようになっている。更に、操作ユニット400は、ダイヤル駆動モータ414を小刻みに正転させる回転と逆転させる回転とを交互に繰返させることで、ダイヤル操作部401を振動させるようにすることができるようになっている。
また、本実施形態の操作ユニット400は、図46に示すように、押圧操作部405を下方へ押圧すると、ボタンキャップ407の段部407aがダイヤル操作部401の突出部401fへ当接して、ボタンキャップ407(押圧操作部405)が、これ以上、内筒部401a内へ没入することができないようになっているので、押圧操作部405へ加えられた荷重を、段部407a及び突出部401fを介してダイヤル操作部401側へ分散させることができ、押圧操作部405(操作ユニット400)が壊れ難いようになっている。
更に、本実施形態の操作ユニット400は、押圧操作部405を押圧してボタンキャップ407の段部407aとダイヤル操作部401の突出部401fとが当接した状態で、ダイヤル駆動モータ414を小刻みに正転させる回転と逆転させる回転とを交互に繰返させることで、ダイヤル操作部401と共に押圧操作部405も振動させるようにすることができ、押圧操作部405の振動によって遊技者を驚かせて遊技や演出を楽しませることができるようになっている。
次に、ダイヤル駆動モータ414を小刻みに正転させる回転と逆転させる回転とを交互に繰返させることで、ダイヤル操作部401を振動させるようにすることができるダイヤル加振制御について説明する。ダイヤル駆動モータ414は、上述したように、ステッピングモータであり、その出力軸が1ステップで15°回転し、24ステップで360°回転するものである。このため、ダイヤル駆動モータ414の出力軸が1ステップで15°回転すると、この出力軸に固定された駆動ギア412も15°回転し、この回転が従動ギア410に伝わって、減速比が値1/2により、従動ギア410と連結されたダイヤル操作部401も従動ギア410とともに7.5°回転することとなる。
ダイヤル駆動モータ414の出力軸を1ステップだけ正転させたのち、1ステップだけ逆転させる、このような1ステップの正転させる回転と逆転させる回転とを交互に繰り返し行うことにより、ダイヤル操作部401を小刻みに時計回りと反時計回りとのいずれにも交互に回転させてダイヤル操作部401がまるで振動しているかの状態を作り出すことができる。ダイヤル操作部401の天板部401bの表面には、滑らかな凹凸を有する意匠が施されているため、ダイヤル操作部401が小刻みに時計回りと反時計回りとのいずれにも交互に回転させられると、ダイヤル操作部401の天板部401bに遊技者の指や手のひらが触れることにより、天板部401bの表面に施された滑らかな凹凸によって指や手のひらが動かされて振動が加わるように遊技者に感じさせることもできるようになっている。
このようなダイヤル駆動モータ414の出力軸を1ステップだけ正転させる回転と逆転させる回転とを交互に繰り返し行うダイヤル加振制御は、具体的には、周辺制御基板4140の周辺制御部4150(図100を参照)により行われる。この周辺制御部4150の周辺制御MPU4150a(図100を参照)は、主制御基板4100(図100を参照)からのコマンド(例えば、特図1同調演出関連に区分される特図1同調演出開始コマンド、特図2同調演出関連に区分される特図2同調演出開始コマンド等(図117を参照))を受信すると、この受信したコマンドに基づいて、後述する周辺制御部電源投入時処理のスケジューラメイン処理において(図140のステップS1030を参照)、ダイヤル駆動モータ414の出力軸を1ステップだけ正転させる回転と逆転させる回転とを交互に繰り返し行うためのスケジューラを起動する。このスケジューラは、ダイヤル加振制御の開始時期、終了時期が規定されているものであり、周辺制御部4150の周辺制御ROM4150b(図100を参照)に予め複数記憶され、ダイヤル駆動モータ414への駆動信号を出力するためのスケジュールデータが規定されている。周辺制御MPU4150aは、後述する周辺制御部2ms定常処理における枠装飾駆動アンプ基板へのDMAシリアル連続送信処理において(図143のステップS1060を参照)、起動したスケジューラに沿って周辺制御ROM4150bからスケジュールデータを抽出してダイヤル駆動モータ駆動データを作成し、この作成したダイヤル駆動モータ駆動データを枠装飾駆動アンプ基板用シリアルI/Oポートから連続送信している。
次に、ダイヤル操作部401を時計回りや、反時計回りの方向へ回転させることができる回転方向転換制御について説明する。ダイヤル操作部401は、上述したように、従動ギア410に連結されており、この従動ギア410に一定間隔で列設された複数の回転検出片410cが一対の回転検出スイッチ432a,432bによって検出された検出パターンに基づいて回転方向が検出されるようになっている。
回転方向転換制御は、ダイヤル操作部401を時計方向に回転させている際に、遊技者の指や手のひらがダイヤル操作部401に触れてダイヤル操作部401の回転が停止したときには、回転方向を転換してダイヤル操作部401を反時計方向に回転開始させたり、ダイヤル操作部401を反時計方向に回転させている際に、遊技者の指や手のひらがダイヤル操作部401に触れてダイヤル操作部401の回転が停止したときには、回転方向を転換してダイヤル操作部401を時計方向に回転開始させたりする。ダイヤル操作部401の回転が停止している状態では、ダイヤル操作部401と連結された従動ギア410の回転も停止するため、この従動ギア410と噛合する駆動ギア412に固定されたダイヤル駆動モータ414の出力軸の回転も停止され、ステッピングモータであるダイヤル駆動モータ414が脱調した状態となる。このように、本実施形態では、ステッピングモータであるダイヤル駆動モータ414を遊技者の意志によって脱調させることができるようになっているため、遊技者は、指や手のひらをダイヤル操作部401に触ってダイヤル操作部401の回転を強制的に停止させたり、回転方向を転換させたりすることができる。
具体的には、周辺制御基板4140の周辺制御部4150(図100を参照)により行われる。この周辺制御部4150の周辺制御MPU4150a(図100を参照)は、主制御基板4100(図100を参照)からのコマンド(例えば、特図1同調演出関連に区分される特図1同調演出開始コマンド、特図2同調演出関連に区分される特図2同調演出開始コマンド等(図117を参照))を受信すると、この受信したコマンドに基づいて、後述する周辺制御部電源投入時処理のスケジューラメイン処理において(図140のステップS1030を参照)、ダイヤル駆動モータ414の出力軸を正転させる回転と逆転させる回転とを行うためのスケジューラを起動する。このスケジューラは、ダイヤル駆動モータ414の出力軸を回転開始時期、回転終了時期が規定されているものであり、周辺制御部4150の周辺制御ROM4150b(図100を参照)に予め複数記憶され、ダイヤル駆動モータ414の出力軸を正転又は逆転させる駆動信号を出力するためのスケジュールデータが規定されている。周辺制御MPU4150aは、後述する周辺制御部2ms定常処理加振制御におけるスイッチ入力処理(図143のステップS1056を参照)の一処理である回転検出スイッチ履歴作成処理(図146を参照)で作成された回転検出スイッチ検出履歴情報DSW0−HIST,DSW1−HISTから、ダイヤル操作部401が停止している状態であるか(換言すると、ダイヤル駆動モータ414が脱調している状態であるか)、時計方向に回転している状態であるか、反時計方向に回転している状態であるか、を把握し、周辺制御部2ms定常処理における枠装飾駆動アンプ基板へのDMAシリアル連続送信処理において(図143のステップS1060を参照)、起動したスケジューラに沿って周辺制御ROM4150bからスケジュールデータを抽出してダイヤル駆動モータ駆動データを作成し、この作成したダイヤル駆動モータ駆動データを枠装飾駆動アンプ基板用シリアルI/Oポートから連続送信している。
例えば、周辺制御MPU4150aは、現在、ダイヤル操作部401を時計方向に回転させている場合に、回転検出スイッチ検出履歴情報DSW0−HIST,DSW1−HISTから、ダイヤル操作部401が時計方向に回転している状態であることを把握すると、継続してダイヤル操作部401を時計方向に回転させるため、起動したスケジューラに沿って周辺制御ROM4150bからスケジュールデータを抽出してダイヤル駆動モータ駆動データを作成し、この作成したダイヤル駆動モータ駆動データを枠装飾駆動アンプ基板用シリアルI/Oポートから連続送信するのに対して、ダイヤル操作部401が停止している状態(換言すると、ダイヤル駆動モータ414が脱調している状態)、又は反時計方向に回転している状態であることを把握すると、ダイヤル操作部401を反時計方向に回転させるため、起動したスケジューラに沿って周辺制御ROM4150bからスケジュールデータを抽出してダイヤル駆動モータ駆動データを作成し、この作成したダイヤル駆動モータ駆動データを枠装飾駆動アンプ基板用シリアルI/Oポートから連続送信する。
また、周辺制御MPU4150aは、現在、ダイヤル操作部401を反時計方向に回転させている場合に、回転検出スイッチ検出履歴情報DSW0−HIST,DSW1−HISTから、ダイヤル操作部401が反時計方向に回転している状態であることを把握すると、継続してダイヤル操作部401を反時計方向に回転させるため、起動したスケジューラに沿って周辺制御ROM4150bからスケジュールデータを抽出してダイヤル駆動モータ駆動データを作成し、この作成したダイヤル駆動モータ駆動データを枠装飾駆動アンプ基板用シリアルI/Oポートから連続送信するのに対して、ダイヤル操作部401が停止している状態(換言すると、ダイヤル駆動モータ414が脱調している状態)、又は時計方向に回転している状態であることを把握すると、ダイヤル操作部401を時計方向に回転させるため、起動したスケジューラに沿って周辺制御ROM4150bからスケジュールデータを抽出してダイヤル駆動モータ駆動データを作成し、この作成したダイヤル駆動モータ駆動データを枠装飾駆動アンプ基板用シリアルI/Oポートから連続送信する。
このように、上述した、ダイヤル加振制御、及び回転方向転換制御は、どちらもダイヤル駆動モータ414の出力軸を正転又は逆転させているものの、後者の回転方向転換制御は、ダイヤル操作部401の回転方向が実際に周辺制御MPU4150aが意図する方向と逆回転している場合や停止している場合等の外的要因が発生した場合に実行されるのに対して、前者のダイヤル加振制御は、外的要因の発生に関係なく、ダイヤル駆動モータ414の出力軸を正転又は逆転させる期間が予め設定されて実行される点でまったく相違する。
また、回転方向転換制御では、ダイヤル駆動モータ414が脱調している状態であることを把握すると、ダイヤル操作部401の回転方向を逆回転方向に急転換させるのに対して、ダイヤル加振制御では、ダイヤル操作部401を振動させる点でまったく相違するため、回転方向転換制御では、ダイヤル加振制御によって創出されるダイヤル操作部401を用いた演出の感覚とまったく異なった感覚の演出を、同一のダイヤル操作部401を用いて創出することができる。
次に、ダイヤル操作部401の回転操作に対してクリック感を付与することができるクリック発生制御について説明する。ダイヤル駆動モータ414は、上述したように、ステッピングモータであるため、ステッピングモータの特定の相への通電状態(励磁状態)を維持することでダイヤル駆動モータ414の出力軸に静止トルクを発生させることができる。そここで、本実施形態では、特定の1相に対して励磁状態を維持して静止トルクを発生させる第1の静止トルク発生状態と、特定の2相に対して励磁状態を維持して静止トルクを発生させる第2の静止トルク発生状態と、を作り出す仕組みを採用している。
第1の静止トルク発生状態では、この状態における静止トルクを超えてダイヤル操作部401を回転させる場合には、このダイヤル操作部401を回転が従動ギア410、そして駆動ギア412が固定されたダイヤル駆動モータ414の出力軸に伝わると、この出力軸が脱調して1ステップずつ回転、つまり15°ずつカクカクと回転し、この脱調してカクカク回転する動作がダイヤル操作部401のクリック感として伝わる。第2の静止トルク発生状態でも、この状態における静止トルクを超えてダイヤル操作部401を回転させる場合には、このダイヤル操作部401を回転が従動ギア410、そして駆動ギア412が固定されたダイヤル駆動モータ414の出力軸に伝わると、この出力軸が脱調して1ステップずつ回転、つまり15°ずつカクカクと回転し、この脱調してカクカク回転する動作がダイヤル操作部401のクリック感として伝わる。
第2の静止トルク発生状態では、特定の2相に対して励磁状態を維持しているため、特定の1相に対して励磁状態を維持している第1の静止トルク発生状態に対して2倍の静止トルクを得ることができる。換言すると、第2の静止トルク発生状態におけるダイヤル操作部401のクリック感は、第1の静止トルク発生状態におけるダイヤル操作部401のクリック感の2倍となって伝わることとなる。
ステッピングモータは、通常、制御不能とならないように脱調を防止するように制御されるものであるが、本実施形態では、ステッピングモータを積極的に脱調させる制御を行うことにより、ダイヤル操作部401の回転操作にクリック感を得ることができるとともに、そのクリック感を2段階に発生させることにより、第1の静止トルク発生状態におけるダイヤル操作部401のクリック感を軽く感じさせることができるのに対して、第2の静止トルク発生状態におけるダイヤル操作部401のクリック感を重く感じさせることができる。
このようなダイヤル操作部401の回転操作に対してクリック感を付与することができるクリック発生制御は、具体的には、周辺制御基板4140の周辺制御部4150(図100を参照)により行われる。この周辺制御部4150の周辺制御MPU4150a(図100を参照)は、主制御基板4100(図100を参照)からのコマンド(例えば、特図1同調演出関連に区分される特図1同調演出開始コマンド、特図2同調演出関連に区分される特図2同調演出開始コマンド等(図117を参照))を受信すると、この受信したコマンドに基づいて、後述する周辺制御部電源投入時処理のスケジューラメイン処理において(図140のステップS1030を参照)、ダイヤル駆動モータ414の出力軸に静止トルクを発生させるためのスケジューラを起動する。このスケジューラは、ダイヤル駆動モータ414の出力軸に静止トルクを発生させる時期、停止する時期が規定されているものであり、周辺制御部4150の周辺制御ROM4150b(図100を参照)に予め複数記憶され、ダイヤル駆動モータ414の特定の相に励磁状態を維持するためのスケジュールデータが規定されている。周辺制御MPU4150aは、周辺制御部2ms定常処理における枠装飾駆動アンプ基板へのDMAシリアル連続送信処理において(図143のステップS1060を参照)、起動したスケジューラに沿って周辺制御ROM4150bからスケジュールデータを抽出してダイヤル駆動モータ駆動データを作成し、この作成したダイヤル駆動モータ駆動データを枠装飾駆動アンプ基板用シリアルI/Oポートから連続送信している。
このように、クリック発生制御では、ダイヤル操作部401が回転操作されている状態であるときに実行させるものであるのに対して、回転方向転換制御では、ダイヤル操作部401が回転停止しているときに実行されるものである点でまったく相違する。また、クリック発生制御では、ダイヤル操作部401を回転させるとクリック感があるのに対して、回転方向転換制御では、ダイヤル操作部401の回転を妨げたり(阻止したり)することで回転方向が逆回転方向に急転換する点でまったく相違するため、クリック発生制御では、回転方向転換制御によって創出されるダイヤル操作部401を用いた演出の感覚とまったく異なった感覚の演出を、同一のダイヤル操作部401を用いて創出することができる。
ここで、ダイヤル駆動モータ414の出力軸に静止トルクをまったく付与しないトルクフリー制御について説明する。このトルクフリー制御では、ダイヤル駆動モータ414の各相がすべて無通電状態(無励磁状態)となり、ダイヤル駆動モータ414の出力軸がトルクフリーとなる。つまり、ダイヤル操作部401を時計回りや、反時計回りの方向へ回転させても、その操作を妨げる負荷やクリック感等がまったく発生しない状態となる。
トルクフリー制御を利用する演出について簡単に説明すると、例えば、ダイヤル操作部401を操作してダイヤル操作部401の回転にともなって選択される演出画面を液晶表示装置1900(図95を参照)に表示するとともに、上述した、クリック発生制御によって、ダイヤル操作部401にクリック感を付与し、遊技者がダイヤル操作部401を操作して、時計方向、又は反時計方向へ回転させているときに、突然、クリック発生制御を止めてトルクフリーとなる状態、つまりトルクフリー制御に移行し、遊技者が意図しない演出画面を選択させる(足をすくう)演出に利用することができる。換言すると、クリック発生制御では、ダイヤル駆動モータ414の出力軸に静止トルクが発生させるのに対して、トルクフリー制御では、その発生させた静止トルクを強制的に解除することで遊技者の指や手のひらに付与されるダイヤル操作部401からの負荷である静止トルクを突然取り除くことができるため、その静止トルクの強制的な解除がダイヤル操作部401の回転操作にスリップ感として遊技者の指や手のひらに付与されることとなる。
このように、本実施形態では、ステッピングモータを利用して可動体を駆動するという、これまでの発想に加えて、ステッピングモータをマンマシンインターフェイスとしても用いるという、まったく新しい発想に基づくものである。
[3−8.ハンドル装置]
次に、扉枠5におけるハンドル装置500について、主に図47を参照して説明する。図47は、扉枠におけるハンドル装置を分解して後から見た分解斜視図である。本実施形態のハンドル装置500は、図示するように、皿ユニット300における皿サイド外カバー334のハンドル挿通孔334aを通して扉枠ベースユニット100における扉枠ベース本体110の前面に取付けられたハンドルブラケット140に固定され円筒状で前端が軸直角方向へ丸く膨出したハンドルベース502と、ハンドルベース502に対して相対回転可能にハンドルベース502の前側に配置される環状の回転ハンドル本体後504と、回転ハンドル本体後504の前面に固定され回転ハンドル本体後504と一体回転可能とされた回転ハンドル本体前506と、回転ハンドル本体前506の前面に配置されると共にハンドルベース502に固定され、ハンドルベース502と協働して回転ハンドル本体前506及び回転ハンドル本体後504を回転可能に支持する前端カバー508と、を備えている。
また、ハンドル装置500は、回転ハンドル本体前の回転中心に前側から後側へ突出するように取付固定され後端に非円形の軸受部510aを有した軸部材510と、軸部材510の軸受部510aと嵌合し回転可能とされた検出軸部512aを有しハンドルベース502の前面に回転不能に嵌合されるポテンショメータ512と、ポテンショメータ512をハンドルベース502とで挟むようにハンドルベース502の前面に固定されポテンショメータ512の検出軸部512aが通過可能な貫通孔514aを有したスイッチ支持部材514と、スイッチ支持部材514の後面に取付けられるタッチスイッチ516と、タッチスイッチ516とはスイッチ支持部材514の後面の異なる位置に取付けられる発射停止スイッチ518と、スイッチ支持部材514に対して回転可能に軸支され発射停止スイッチ518を作動させる単発ボタン520と、軸部材510の外周を覆うように配置され回転ハンドル本体前506及び回転ハンドル本体後504を原回転位置(正面視で反時計周りの方向への回転端)へ復帰するように付勢するハンドル復帰バネ522と、を備えている。なお、ポテンショメータ512は、回転ハンドル本体前506の回転位置に応じて遊技球を遊技領域1100に向かって打ち出す強度を電気的に調節するためのものである。また、回転ハンドル本体前506及び回転ハンドル本体後504は、原回転位置から正面視で時計周りの方向へ最大回転位置となる限界回転位置(正面視で時計周りの方向への回転端)まで回動する。
ハンドル装置500のハンドルベース502は、図示するように、前端側は前側へ広がった半球状に丸く膨出した形状とされていると共に、後端側は後端が開放された円筒状に形成されており、後端側の円筒状の外周に、軸方向へ延びた三つの溝部502aが形成されている。ハンドルベース502の三つの溝部502aは、ハンドルブラケット140における筒部141内の三つの突条143と対応するように、上側に一つ、下側に二つ、周方向に対して不等間隔に配置されている。このハンドルベース502は、溝部502aが突条143と嵌合するように、ハンドルブラケット140の筒部141内に挿入することで、回転不能な状態で支持されるようになっている。
ハンドル装置500は、回転ハンドル本体前506に、その回転軸と同心円状に配置された円弧状のスリット506aが形成されていると共に、前端カバー508に、後方へ突出する三つの取付ボス508aが形成されており、これら取付ボス508aが回転ハンドル本体前506のスリット506aを通してハンドルベース502の前面に固定されるようになっている。これにより、回転ハンドル本体前506におけるスリット506aの周方向端部が、前端カバー508の取付ボス508aに当接することで、回転ハンドル本体504,506の回転範囲が規制されるようになっている。
また、ハンドル装置500は、回転ハンドル本体前506に、後方へ突出する係止突部506bが形成されており、この係止突部506bにコイル状のハンドル復帰バネ522の一端側(前端側)が係止されるようになっていると共に、ハンドル復帰バネ522の他端側(後端側)がスイッチ支持部材514に係止されるようになっており、ハンドル復帰バネ522によって回転ハンドル本体504,506が正面視で反時計周りの方向へ回動するように付勢されている。
ハンドル装置500は、扉枠ベース本体110のハンドル取付部114に対して、ハンドルブラケット140を介して取付けられるようになっている。この扉枠ベース本体110のハンドル取付部114は、上方から見た平面視において、その取付面が、外側(開放側)を向くように傾斜しているので、ハンドルブラケット140を介して取付けられるハンドル装置500も平面視で外側に傾斜(換言すると、パチンコ遊技機1の前面垂直面に直交する線に対してその先端部がパチンコ遊技機1の外側に向かうように傾斜している。)して扉枠5に取付固定されるようになっている。これにより、遊技者がハンドル装置500を握り易く、回動動作に違和感がなく回動操作が行い易いようになっている。
また、ハンドル装置500は、ポテンショメータ512が可変抵抗器とされており、回転ハンドル本体504,506(ハンドル装置500)を回転させると、軸部材510を介してポテンショメータ512の検出軸部512aが回転することとなる。そして、検出軸部512aの回転位置(回転角度)に応じてポテンショメータ512の内部抵抗が変化し、ポテンショメータ512の内部抵抗に応じて後述する打球発射装置650における発射ソレノイド654の駆動力が変化して、回転ハンドル本体504,506の回転角度、つまり回転ハンドル本体504,506の回転位置に応じた発射強度で遊技球が遊技領域1100内へ打ち込まれるようになっている。
なお、回転ハンドル本体504,506や前端カバー508の外周表面は、導電性のメッキが施されており、遊技者が回転ハンドル本体504,506等に接触することでタッチスイッチ516が接触を検出するようになっている。そして、タッチスイッチ516が遊技者の接触を検出している時に、回転ハンドル本体504,506が回動すると、その回動に応じた強さで発射ソレノイド654の回転駆動が制御されて、遊技球を打ち込むことができるようになっている。つまり、遊技者がハンドル装置500を触らずに、何らかの方法でハンドル装置500を回転させて遊技球の打ち込みを行おうとしても、発射ソレノイド654は駆動されず、遊技球を打ち込むことができず、遊技者が本来とは異なる遊技をすることを防止してパチンコ遊技機1を設置する遊技ホールに係る負荷(負担)を軽減させることができるようになっている。
また、遊技者がハンドル装置500を回転操作中に、単発ボタン520を押圧すると、発射停止スイッチ518が単発ボタン520の操作を検出し、発射制御部4120によって発射ソレノイド654の回転駆動が停止させられるようになっている。これにより、ハンドル装置500の回転操作を戻さなくても、遊技球の発射を一時的に停止させることができると共に、単発ボタン520の押圧操作を解除することで、単発ボタン520を操作する前の打込強さで遊技球を発射することができるようになっている。
ハンドル装置500は、回転ハンドル本体504,506の回転操作をポテンショメータ512によって電気的に検出した上で、そのポテンショメータ512からの回転位置の検出に基づいて、発射制御部4120で発射ソレノイド654の回転駆動強さを制御するようにしているので、従来のパチンコ遊技機のように、扉枠5に備えられるハンドル装置500と、本体枠3に備えられる打球発射装置650とを、扉枠5の閉鎖時には互いに連係し、扉枠5の開放時には連係が解除されるように機械的(例えば、ジョイントユニット)な機構を備える必要が無く、パチンコ遊技機1に係る構成を簡略化することができると共に、ジョイントユニットでの不具合の発生をなくすことができ、遊技球の打込不具合によって遊技者の興趣が低下するのを抑制することができるようになっている。
[3−9.ファールカバーユニット]
次に、扉枠5におけるファールカバーユニット540について、主に図48乃至図50を参照して説明する。図48は、扉枠におけるファールカバーユニットを分解して前から見た分解斜視図であり、図49は、扉枠におけるファールカバーユニットを分解して後から見た分解斜視図である。また、図50は、ファールカバーユニットの前カバーを外した状態で示す正面図である。
扉枠5におけるファールカバーユニット540は、扉枠ベースユニット100における遊技窓101よりも下側の後面に取付けられ、後述する賞球ユニット700から払出された遊技球や、打球発射装置650により発射されにも関わらず遊技領域1100内へ到達しなかった遊技球(ファール球)を、皿ユニット300の上皿301や下皿302へ誘導するものである。ファールカバーユニット540は、前側が開放され複数の遊技球の流路を内部に有したカバーベース542と、カバーベース542の前端を閉鎖する前カバー544と、を備えている。
このファールカバーユニット540のカバーベース542は、図49に示すように、背面視で右上隅に配置され前後方向に貫通する第一球入口542aと、第一球入口と連通しカバーベース542の前端に向かうに従って正面視右側へ広がる第一球通路542bと、第一球入口542aの外側(背面視でで右側)に配置され第一球入口542aよりも大口の第二球入口542cと、第二球通路542dと連通しカバーベース542の内部で、下方へ延びた上で正面視右下隅へ向かって低くなるように傾斜した第二球入口542cと、を備えている。この第一球入口542a及び第二球入口542cは、扉枠5を本体枠3に対して閉じた状態で、賞球ユニット700における満タン分岐ユニット770の通常球出口774及び満タン球出口776とそれぞれ対向する位置に形成されている。なお、カバーベース542における第二球通路542dは、図示するように、下端に沿って左右方向へ延びた部分の高さが、遊技球の外径に対して約3倍の高さとされており、所定量の遊技球を収容可能な収容空間546が形成されている。
また、カバーベース542は、左右方向の略中央上部に配置され上方に開口したファール球入口542eと、ファール球入口542eと連通し第二球通路542dの下流付近の上部へ遊技球を誘導可能なファール球通路542fと、を備えている。また、カバーベース542は、第二球入口542cの下側の後面に球出口開閉ユニット790の開閉シャッター792を作動させるための開閉作動片542gを、備えている。この開閉作動片542gは、扉枠5を本体枠3に対して閉じた時に、球出口開閉ユニット790における開閉クランク793の球状の当接部793dと当接することで、開閉クランク793を回転させて開閉シャッター792を開状態とすることができるものである。
ファールカバーユニット540の前カバー544は、カバーベース542の前面を閉鎖する略板状に形成されており、正面視左上隅に配置されカバーベース542の第一球通路542bと連通し前後方向に貫通した第一球出口544aと、正面視右下隅に配置されカバーベース542の第二球通路542dの下流端と連通し前後方向に貫通した第二球出口544bと、を備えている。前カバー544の第一球出口544aは、扉枠ベースユニット100の切欠部101aを通して皿ユニット300の上皿球供給口310cと接続されるようになっている。また、第二球出口544bは、扉枠ベース本体110の球通過口110fを通して皿ユニット300における下皿球供給樋310hの後端が接続されるようになっている。
ファールカバーユニット540は、賞球ユニット700における満タン分岐ユニット770の通常球出口774から第一球入口542aへ供給された遊技球を、第一球通路542bを通って第一球出口544aから皿ユニット300の上皿球供給口310cを介して上皿301へ供給することができるようになっている。また、ファールカバーユニット540は、賞球ユニット700における満タン分岐ユニット770の満タン球出口776から第二球入口542cへ供給された遊技球を、第二球通路542dを通って第二球出口544bから皿ユニット300の下皿球供給樋310h及び下皿球供給口310gを介して下皿302へ供給することができるようになっている。
更に、ファールカバーユニット540は、詳細は後述するが、扉枠5を本体枠3に対して閉じた状態とすると、ファール球入口542eが本体枠3のファール空間626の下部に位置するようになっており、打球発射装置650により発射された遊技球が遊技領域1100内へ到達せずにファール球となってファール空間626を落下すると、ファール球入口542eによって受けられるようになっている。そして、ファールカバーユニット540は、ファール球入口542eに受けられた遊技球を、ファール球通路542f及び第二球通路542dを通って第二球出口544bから皿ユニット300の下皿302へ排出(供給)することができるようになっている。
また、ファールカバーユニット540は、第二球通路542dにおける収容空間546の上流側(正面視左側)側面を形成し収容空間546内に貯留された遊技球によって揺動可能にカバーベース542に軸支された揺動部材548と、揺動部材548の揺動を検出する満タンスイッチ550と、揺動部材548が満タンスイッチ550によって非検出状態となる方向へ付勢するバネ552と、を備えている。この揺動部材548は、図50に示すように、カバーベース542に対して下端が回動可能に軸支されていると共に、上端が正面視左側へ回動するようになっており、略垂直な状態で収容空間546の左側側壁を形成するようになっている。また、揺動部材548は、バネ552によって略垂直状態となる位置へ付勢されている。また、揺動部材548は、収容空間546側とは反対側の側面に外側へ突出する検出片548aが形成されており、この検出片548aが満タンスイッチ550よって検出されるようになっている。つまり、満タンスイッチ550からの検出信号に基づいて、収容空間546が貯留された遊技球で満タンであるか否かを判断することができるようになっている。
更に、ファールカバーユニット540は、第二球通路542dにおける収容空間546の底部に配置されるアースレール554と、カバーベース542の背面視で右端と、左端をそれぞれ被覆する板状のアース金具556と、を備えており、遊技球の流通による転動抵抗によって発生する静電気を除去することができるようになっている。
本実施形態では、賞球ユニット700から払出された遊技球が満タン分岐ユニット770の通常球出口774からファールカバーユニット540を介して皿ユニット300の上皿301へ供給されるようになっており、上皿301内が満杯となっても更に遊技球が賞球ユニット700から払出されると、ファールカバーユニット540の第一球通路542b内で滞り、更に満タン分岐ユニット770における通常球出口774の上流の通常通路773内も一杯になると、満タン分岐ユニット770の分岐空間772を介して満タン通路775側へ遊技球が流通するようになり(図72を参照)、満タン分岐ユニット770の満タン球出口776からファールカバーユニット540の第二球入口542c、第二球通路542d、及び第二球出口544bを介して皿ユニット300の下皿302へ供給されるようになる。
そして、皿ユニット300の下皿302内が遊技球で一杯になると、ファールカバーユニット540の第二球出口544bから遊技球が出られなくなり、第二球通路542d内の収容空間546内に滞った遊技球が貯留されることとなる。更に、賞球ユニット700から遊技球が払出されて収容空間546内に遊技球が多く貯留されるにつれて、遊技球の貯留圧が揺動部材548に作用し、バネ552の付勢力に抗して揺動部材548の上端が左方へと移動することとなる。そして、揺動部材548の検出片548aが、満タンスイッチ550によって検出されると、つまり収容空間546が貯留された遊技球で満タンとなると、払出制御基板4110において賞球ユニット700から遊技球の払い出しが停止されると共に、遊技者に対して皿ユニット300内の遊技球を外部へ排出するのを促す通知を行うようになっている。
なお、収容空間546(下皿302)内の遊技球が排出されて、揺動部材548がバネ552の付勢力によって略垂直な状態に復帰すると、満タンスイッチ550による検出片548aの検出が非検出となり、賞球ユニット700からの遊技球の払い出しが再開されるようになっている。
[3−10.球送ユニット]
続いて、扉枠5における球送ユニット580について、主に図51及び図52を参照して説明する。図51(A)は扉枠における球送ユニットの正面斜視図であり、(B)は扉枠における球送ユニットの背面斜視図である。また、図52(A)は球送ユニットを分解して前から見た分解斜視図であり、(B)は、球送ユニットの後ケースを外して後から見た分解斜視図である。扉枠5における球送ユニット580は、皿ユニット300における上皿301から供給される遊技球を一つずつ打球発射装置650へ供給することができると共に、上皿301内に貯留された遊技球を、上皿球抜き機構340の上皿球抜きボタン341の操作によって下皿302へ抜くことができるものである。
この球送ユニット580は、皿ユニット300の上皿301に貯留された遊技球が、皿ユニットベース310の上皿球排出口310d、扉枠ベース本体110の球送開口113を通して供給され前後方向に貫通した進入口581a、及び進入口581aの下側に開口する球抜口581bを有し後方が開放された箱状の前カバー581と、前カバー581の後端を閉鎖すると共に前方が開放された箱状で、前後方向に貫通し前カバー581の進入口581aから進入した遊技球を打球発射装置650へ供給するための打球供給口582aを有した後カバー582と、後カバー582及び前カバー581の間で前後方向へ延びた軸周りに回動可能に軸支され前カバー581の後側で進入口581aと球抜口581bとの間を仕切る仕切部583aを有した球抜き部材583と、球抜き部材583の仕切部583a上の遊技球を一つずつ後カバーの打球供給口582aへ送り前カバー581と後カバー582との間で上下方向へ延びた軸周りに回動可能に支持された球送部材584と、球送部材584を回動させる球送ソレノイド585と、を備えている。本実施形態では、図示するように、正面視で、球送部材584が進入口581aの右側に配置されており、この球送部材584の左側に球抜き部材583が右側に球送ソレノイド585がそれぞれ配置されている。
この球送ユニット580の前カバー581は、正面視で球抜口581bの左側に、球抜き部材583の回転中心に対して同心円状に形成された円弧状のスリット581cを備えており、このスリット581cから後述する球抜き部材583の作動棹583cが前方へ延びだすようになっている。また、前カバー581は、進入口581aの上縁から上側が上方へ延びだしており、扉枠ベースユニット100へ組立てた際に、上皿球抜きベース344における球誘導流路344bの後端開口を閉鎖するように形成されている。
また、球抜き部材583は、進入口581aよりも下側で進入口581aと球抜口581bと間を仕切り上面が球送部材584の方向へ向かって低くなる仕切部583aと、仕切部583aの球送部材584とは反対側の端部から下方へ延出すると共に上下方向の中間付近から球抜口581bの下側中央へ向かってく字状に屈曲し下端が前後方向へ延びた軸周りに回動可能に支持される回動棹部583bと、回動棹部583bの上端から前方へ向かって突出する棒状の作動棹583cと、作動棹583cよりも下側で回動棹部583bの側面から仕切部583aとは反対側へ突出した錘部583dと、を備えている。この球抜き部材583の作動棹583cは、前カバー581に形成された円弧状のスリット581cを通して前方へ突出するように形成されており(図51を参照)、扉枠ベース本体110の球送開口113を介して皿ユニット300の上皿球抜き機構340における上皿球抜きスライダ343の当接片343aの上端と当接するようになっている。
更に、球送部材584は、進入口581a及び球抜き部材583の仕切部583aの方向を向き上下方向へ延びた回転軸芯を中心とした平面視が扇状の遮断部584aと、遮断部584aの後端から回転軸芯側へ円弧状に窪んだ球保持部584bと、球保持部584bの後端から下方へ延出する棒状の棹部584cと、を備えている。この球送部材54における遮断部584aと球保持部584bは、それぞれ回転軸芯を中心とした約90゜の角度範囲内にそれぞれ形成されている。また、球送部材584の球保持部584bは、一つの遊技球を保持可能な大きさとされている。この球送部材584は、球送ソレノイド585の駆動によって回転軸芯と偏芯した位置に配置された棹部584cが左右方向へ移動させられることで、回転軸芯周りに回動するようになっている。
球送部材584は、遮断部584aが仕切部583aの方向を向くと同時に球保持部584bが打球供給口582aと連通した方向を供給位置と、球保持部584bが仕切部583aの方向へ向いた保持位置との間で回動するようになっている。この球送部材584が供給位置の時には、球保持部584bに保持された遊技球が、打球供給口582aから打球発射装置650へ供給されると共に、進入口581aから仕切部583a上に進入した遊技球が、遮断部584aによって球保持部584b(打球供給口582a)側への移動が遮断されて仕切部583a上に留まった状態となる。一方、球送部材584が保持位置へ回動すると、球保持部584bが仕切部583aの方向を向くと共に、球保持部584bの棹部584c側の端部が打球供給口582aを閉鎖した状態となり、仕切部583a上の遊技球が一つだけ球保持部584b内に保持されるようになっている。
また、球送ユニット580は、球送ソレノイド585の駆動(通電)によって先端が上下方向へ揺動する球送作動桿586と、球送作動桿586における上下方向へ揺動する先端の動きによって前後方向へ延びた軸周りに回動すると共に、球送部材584を上下方向へ延びた軸周りに回動させる球送クランク587と、を備えている。この球送クランク587は、球送作動桿586の上下動する先端と係合可能とされ左右方向へ延びた係合部587aと、係合部587aの球送作動桿586と係合する側とは反対側に配置され前カバー581と後カバー582との間で前後方向へ延びた軸周りに回動可能に軸支される軸部587bと、軸部587bから上方へ延出し球送部材584における回動中心に対して偏芯した位置から下方へ突出する棒状の棹部584c(図52を参照)と係合する伝達部587cと、を備えている。なお、本実施形態では、球送ソレノイド585と球送作動桿586とが一体的に形成されたフラッパーソレノイドを用いている。
球送ユニット580は、球送作動桿586及び球送クランク587によって、上下方向へ進退する球送ソレノイド585の駆動により揺動する球送作動桿586の動きを伝達させて球送部材584を回動させることができるようになっている。なお、球送ソレノイド585の非駆動時(通常時)では、球送作動桿586が球送ソレノイド585の下端から離れて揺動する先端が下方へ位置した状態となるようになっており、この状態では球送部材584が供給位置に位置した状態となる。また、球送ソレノイド585の駆動時では、球送作動桿586が球送ソレノイド585の下端に吸引され揺動する先端が上方へ位置した状態となり、球送部材584が保持位置へ回動するようになっている。つまり、球送ソレノイド585が駆動される(ONの状態)と球送部材584が遊技球を一つ受入れ、球送ソレノイド585の駆動が解除される(OFFの状態)と球送部材584が受入れた遊技球を打球発射装置650側へ送る(供給する)ようになっている。この球送ユニット580における球送ソレノイド585の駆動は、発射制御部4120により発射ソレノイド654の駆動制御と同期して制御されるようになっている。
また、球送ユニット580における回動可能に軸支された球抜き部材583は、錘部583dによって正面視反時計周りの方向へ回転するようなモーメントがかかるようになっているが、前方へ突出した作動棹583cが皿ユニット300の上皿球抜き機構340における上皿球抜きスライダ343の当接片343aの上端と当接することで、その回動が規制されるようになっており、通常時では、球抜き部材583の仕切部583aが進入口581aと球抜口581bとの間を仕切って、球抜口581b側へ遊技球が侵入しないようになっている。そして、遊技者が、皿ユニット300における上皿球抜き機構340の上皿球抜きボタン341を下方へ押圧操作すると、上皿球抜きスライダ343が当接片343aと共に下方へスライドして、当接片343aの下方への移動に伴って作動棹583cも相対的に下方へ移動することとなる。
このように、上皿球抜き機構340の当接片343aと共に作動棹583cが下方へ移動することで、球抜き部材583が正面視反時計周りの方向へ回動して仕切部583aによる進入口381aと球抜口381bとの間の仕切りが解除され、進入口381aから進入した遊技球が、球抜口381bから皿ユニット300の上皿球抜きベース344の球抜き流路344cへと排出され、下皿302へ排出(供給)されるようになっている。
なお、球抜き部材583の作動棹583cが当接する上皿球抜きスライダ343の当接片343aは、コイルバネによって上方へ付勢されているので、仕切部583a上に遊技球が勢い良く供給されても、その衝撃を、作動棹583cを介して上皿球抜きスライダ343を付勢するコイルバネによって吸収させることができ、球抜き部材583等が破損するのを防止することができると共に、遊技球が仕切部583aで跳ね返るのを防止することができるようになっている。
[3−11.ガラスユニット]
次に、扉枠5におけるガラスユニット590について、主に図22及び図23を参照して説明する。このガラスユニット590は、遊技窓101と略同じ大きさの開口を有し合成樹脂で成型した環状で縦長八角形状のユニット枠592と、ユニット枠592の開口の前後端をそれぞれ閉鎖する二枚の透明なガラス板594と、を備えている。このガラスユニット590のユニット枠592は、左右両端に上下方向へ離反して配置され外方へ板状に延出した四つの片592aと、下端に沿って左右方向へ延び下方へ延出した板状の係止片592bと、を備えている。
このガラスユニット590は、下端の係止片592bを、扉枠ベースユニット100の補強ユニット150における下側補強板金154の垂直折曲突片161に対して後上方から係合するように係止させた上で、ユニット枠592の外周縁を扉枠ベース本体110のガラスユニット支持段部110a内に嵌め込み、ガラスユニット係止部材190によってユニット枠592の止め片592aを係止させることで、扉枠ベースユニット100に対して脱着可能に取付けられるようになっている(図23、図26等を参照)。
このように、本実施形態のパチンコ遊技機1における扉枠5は、縦長楕円形状の遊技窓101の下側に、遊技球を貯留するための上皿301と下皿302とが上下に並ぶと共に、下皿302の正面視右側に、上皿301に貯留された遊技球を、遊技窓101を閉鎖する透明なガラスユニット590の後側に配置された遊技盤4の遊技領域1100内へ打ち込むためのハンドル装置500が配置されている。また、扉枠5は、遊技窓101の左右及び上側を囲むように右サイド装飾ユニット200、左サイド装飾ユニット2200、及び上部装飾ユニット280が配置されていると共に、遊技窓101の下側を囲むように皿ユニット300がサイドスピーカカバー290を挟んで右サイド装飾ユニット200と左サイド装飾ユニット220の下端と連続するように配置されており、各ユニット200,220,280,300の外観が丸みを帯びた連続した一体化の有る外観となっている。
また、扉枠5は、各ユニット200,220,280,300に備えられた装飾基板214,216,254,256,286,320,322等に実装されたLEDを発光させることで、遊技窓101及び下皿カバー328の開口部328aを囲むように任意の発光色で発光装飾させることができるようになっている。また、右サイド装飾ユニット200及び左サイド装飾ユニット220に備えられた装飾基板214,216,254,256に実装されたLEDのうち、サイドレンズ210,250の放射レンズ部210b,250bの後側に配置されたLED214b,216b,254b,256を点灯したり消灯したりすることで、遊技窓101を囲んだ発光装飾の態様を変化させることができるようになっている。
具体的には、サイドレンズ210,250における周レンズ部210a,250aと対応したLED214a,216a,254a,256aの発光態様と、放射レンズ部210b,250bと対応したLED214b,216b,254b,256bの発光態様とを、同一の発光態様(発光色と発光パターンとが同じ)とすると全体が略均一の発光装飾とすることができ、周レンズ部210a,250aを強調するようにそれらの発光態様を異ならせると周方向に途切れができたような発光装飾とすることができ、放射レンズ部210b,250bを強調するようにそれらの発光態様を異ならせると遊技窓101の中央を中心とした放射状に輝く発光装飾とすることができ、遊技者の関心を強く引付けることができるようになっている。
また、扉枠5は、操作ユニット400におけるダイヤル操作部401や押圧操作部405を支持するベース部材420を、ダイキャストによるアルミ合金製としていると共に、カバー本体426によってベース部材420を皿ユニット300の操作ユニット取付部314cに対して吊持させるようにしているので、ダイヤル操作部401や押圧操作部405を叩いた場合、カバー本体426が撓るように弾性変形した上で、ベース部材420が下カバー424を介して操作ユニット取付部314cの上面に当接することとなり、ダイヤル操作部401や押圧操作部405等にかかる衝撃を緩和させることができ、操作ユニット400が破損するのを防止することができるようになっている。
更に、扉枠5における操作ユニット400は、押圧操作部405を円環状のダイヤル操作部401に挿入した状態としており、遊技者等が押圧操作部405を強く叩こうとしてもダイヤル操作部401も一緒に叩いてしまうこととなるので、ダイヤル操作部401によって叩いた衝撃を分散させることができ、衝撃が集中するのを防止して破損し難くすることができるようになっている。また、ダイヤル操作部401を回転可能に支持する操作部保持部材416のギアレール416aを、金属製のベース部材420における開口420aに対して下方から上面より僅かに突出するように取付けており、ダイヤル操作部401を叩いた衝撃が従動ギア410を介して操作部保持部材416(ギアレール416a)へ伝わって、操作部保持部材416が下方へ撓むと、従動ギア410の下面が金属製の開口420aの外周上面と当接し、その衝撃をベース部材420に受けさせることができるので、操作部保持部材416に係る負荷を軽減させることができると共に、ギアレール416aが衝撃によって潰れてしまうのを防止することができ、操作ユニット400の耐久性を高めることができるようになっている。
また、扉枠5における操作ユニット400は、皿ユニット300に対して上側から取付けられるようにしているので、万が一、操作ユニット400が破損しても、操作ユニット400を簡単に取替えることができ、操作ユニット400の取替えによりパチンコ遊技機1の稼働率が低下するのを抑制することができるようになっている。
[3−12.扉枠における発光装飾]
続いて、扉枠5における発光装飾について、主に図53及び図54を参照して説明する。図53は、扉枠における発光装飾用のLEDの配置を示す正面図である。また、図54は、扉枠における発光装飾用のLEDの系統を示す正面図である。本実施形態の扉枠5は、右サイド装飾ユニット200、左サイド装飾ユニット240、上部装飾ユニット280、及び皿ユニット300によって遊技盤4の遊技領域1100と略対応した遊技窓101の外周を略環状に囲うように形成されている。これら各ユニット200,240,280,300には、LEDが実装された装飾基板214,216,254,256,286,320,322を備えており、各LEDを適宜発光させることで、遊技窓101の外周を発光装飾させることができるようになっている。
扉枠5の右サイド装飾ユニット200及び左サイド装飾ユニット240は、上述したように、遊技窓101の下辺を除く外周の殆どを囲うように形成されており、サイドレンズ210,250における複数の周レンズ部210a,250aが遊技窓101の外周に沿うように配置されていると共に、放射レンズ部210b,250bが遊技窓101の左右方向中央の下部付近を中心とした放射状の軸線に沿って延びるように隣接した周レンズ部210a,250a同士の間に配置されている。これらサイドレンズ210,250の周レンズ部210a,250aと放射レンズ部210b,250bは、不透光性(本実施形態では、表面にメッキ層を有している)のサイド装飾フレーム202,242によって外周が囲まれた状態となっている。
これらサイドレンズ210,250の後側には、サイドインナーレンズ212,252が配置されており、サイドインナーレンズ212,252は、その本体部212a,252aが周レンズ部210a,250aの後面に対して所定距離離間した位置となるように形成されていると共に、板状の導光部212b,252bが放射レンズ部210b,250bの後面に対して可及的に接近した位置まで延出するように形成されている。このサイドインナーレンズ212,252の本体部212a,252aには、詳細な図示は省略するが、その表面に微細なプリズムが複数形成されており、後側に配置された装飾基板214,216,254,256からの光を拡散させることができるようになっている。
サイドインナーレンズ212,252の後側に配置される右サイド上装飾基板214、右サイド下装飾基板216、左サイド上装飾基板254、左サイド下装飾基板256には、周レンズ部210a,250aと対応する位置に配置されたLED214a,216a,254a,256aと、放射レンズ部210b,250bと対応する位置に配置されたLED214b,216b,254b,256bとを備えている。本実施形態では、周レンズ部210a,250aと対応したLED214a,216a,254a,256aがフルカラーLEDとされており、放射レンズ部210b,250bと対応したLED214b,216b,254b,256bが白色LED(上部装飾ユニット280における上部装飾基板286のLED286bよりも低い通常の輝度)とされている。また、右サイド上装飾基板214におけるサイドサブレンズ228と対応し上下に配置された二つのLED214cは、赤色LEDとされている。
なお、本実施形態では、右サイド上装飾基板214、右サイド下装飾基板216、左サイド上装飾基板254、及び左サイド下装飾基板256の表面が、白色のフォトレジスト、白色印刷(例えば、シルク印刷)、白色塗装、等によって白色とされている。これにより、装飾基板214,216,254,256での反射率を高めることができるので、各LED210a,210b等が非点灯時に遊技者側からの光を装飾基板214,216,254,256によって反射させることで、サイドレンズ210,250が暗くなりすぎて見栄えが悪くなるのを防止することができると共に、発光する各LED210a,210b等からの光を基板によって遊技者側へ反射させることで、サイドレンズ210,250をより明るく発光装飾させることができるようになっている。
次に、扉枠5の上部装飾ユニット280は、上述したように、右サイド装飾ユニット200及び左サイド装飾ユニット240の上部における扉枠5の左右方向中央側を向いた端部同士の間を接続するように形成されており、遊技窓101の上部中央を装飾するものである。この上部装飾ユニット280は、中央に宝石状に形成された大型の中央レンズ282と、中央レンズ282の斜め上左右両側に羽根状に形成された側レンズ284と、中央レンズ282の下左右両側に配置された下レンズ289とを備えている。上部装飾ユニット280の中央レンズ282は、青味を帯びた透明な部材により形成されており、側レンズ284及び下レンズ289は、透光性を有した白色(乳白色)の部材により形成されている。これにより、中央レンズ282の後側に配置されたインナーレンズ283が、遊技者側から視認することができるようになっている。
この上部装飾ユニット280のインナーレンズ283は、表面に複数の微細なレンズ(プリズムを含む)が形成されており、光を乱反射させたり乱屈折させたりすることができるので、透明な中央レンズ282を通してインナーレンズ283を見ると、中央レンズ282に深味があるように見えると共に、あたかも中央レンズ282自体がキラキラ輝いているように見えるようになっている。また、遊技者側からは、インナーレンズ283の後側に配置された上部装飾基板286が見えないようになっている。
上部装飾ユニット280における上部装飾基板286には、中央レンズ282と対応しインナーレンズ283の後側に配置された複数(本実施形態では、六つ)のLED286aと、側レンズ284及び下レンズ289の後側に配置された複数(本実施形態では、側レンズ284用に二つ、下レンズ289用に一つずつ、左右それぞれに配置されている)のLED286bとを備えている。なお、本実施形態では、中央レンズ282と対応したLED286aは、フルカラーLEDとされており、側レンズ284及び下レンズ289と対応したLED286bは、高輝度の白色LEDとされている。また、上部装飾基板286の前面もまた、白色とされており、上記と同様の作用効果を奏することができるようになっている。
続いて、皿ユニット300では、左右のサイド装飾ユニット200,240の下端同士を結ぶように、上皿301の前端に沿って上皿上部レンズ318における宝石状の複数の導光部318aが上皿前部装飾部材316の開口部316aを通して露出した状態で列設されており、正面から見ると、図示するように、上皿前部装飾部材316及び上皿上部レンズ318によって遊技窓101の下辺外側(下側)が装飾させるようになっている。この上皿上部レンズ318の下側には、各導光部318aと対応する突出部を有した上皿上部インナーレンズ319が配置されている。皿ユニット300の上皿上部レンズ318は、青味を帯びた透明な部材で形成されており、上皿上部インナーレンズ319は、透明な部材で形成されている。
皿ユニット300の上皿上部インナーレンズ319は、上皿上部レンズ318の導光部318aと対応する表面(上面)に、複数の微細なプリズムが形成されており、光を乱反射させたり乱屈折させたりすることができるようになっているので、上部装飾ユニット280の中央レンズ282と同様に、上皿上部レンズ318の導光部318aに、深味を付与すると共にキラキラした輝きを付与して、導光部318aがあたかも宝石のように見えるようになっている。また、上皿上部インナーレンズ319によって遊技者側から導光部318aを通して、下側に配置された上皿右装飾基板320や上皿左装飾基板322が見えないようになっている。
この皿ユニット300における上皿右装飾基板320及び上皿左装飾基板322の上面には、上皿上部レンズ318の導光部318aと対応するように、複数(本実施形態では、それぞれ六つ)のLED320a,322aが備えられている。本実施形態では、上皿右装飾基板320及び上皿左装飾基板322のLED320a,322aは、フルカラーLEDとされている。また、上皿右装飾基板320及び上皿左装飾基板322の表面(上面)も、白色とされており、上記と同様の作用効果を奏することができるようになっている。
次に、皿ユニット300に取付けられる操作ユニット400は、透光性を有した環状のダイヤル操作部401と、ダイヤル操作部401の内側に配置された透光性を有した円柱状の押圧操作部405とを備えており、ダイヤル操作部401及び押圧操作部405の下側にはダイヤル装飾基板430及びボタン装飾基板432がそれぞれ配置されている。ダイヤル装飾基板430には、ダイヤル操作部401と対応するように周方向へ複数(本実施形態では、四つ)配置されたLED430bが備えられている。また、ボタン装飾基板432には、押圧操作部405と対応するように一つのLED432dが備えられている。本実施形態では、ダイヤル装飾基板430のLED430bが高輝度の白色LEDとされており、ボタン装飾基板432のLED432dがフルカラーLEDとされている。また、ダイヤル装飾基板430及びボタン装飾基板432の表面(上面)もまた、白色とされており、上記と同様の作用効果を奏することができるようになっている。
ところで、扉枠5では、遊技窓101の下辺よりも上側の外周を覆う右サイド装飾ユニット200及び左サイド装飾ユニット240におけるサイドレンズ210,250の各周レンズ部210a,250aと対応したLED214a,216a,254a,256aが、遊技窓101に近い第一環状グループ102(図53及び図54においてハッチの範囲内)と、第一環状グループ102よりも外側に配置された第二環状グループ103(図53及び図54においてクロスハッチの範囲内)とに分けられており、第一環状グループ102と第二環状グループ103のLEDを適宜発光させることで、遊技窓101を囲むように略同心円状に複数(本実施形態では二つ)発光装飾させることができるようになっている。つまり、第一環状グループ102のLED214a,216a,254a,256aを全て発光させると、遊技窓101に近いハッチの範囲が環状に発光装飾され、第二環状グループ103のLED214a,216a,254a,256aを全て発光させると、遊技窓101から遠ざかったクロスハッチの範囲が環状に発光装飾されるようになっている。
また、扉枠5では、右サイド装飾ユニット200及び左サイド装飾ユニット240におけるサイドレンズ210,250の放射レンズ部210b,250bと対応したLED214b,216b,254b,256bが、第一環状グループ102及び第二環状グループ103を周方向へ分割するように遊技窓101(遊技領域1100)の左右方向中央下部を中心として放射状に延びた放射状グループ104(図53及び図54において網掛けの範囲内)とされている。この放射状グループ104のLED214b,216b,254b,256bを適宜発光させることで、遊技窓101の外側を放射状に発光装飾させることができる他に、第一環状グループ102や第二環状グループ103による環状の発光装飾を周方向へ分割するように発光装飾させることができるようになっている。また、右サイド装飾ユニット200における上部右側面のサイドサブレンズ228と対応したLED214cは、上部右サイドグループ105とされており、このLED214cを適宜発光させることで、扉枠5の上部右側面の一部(サイドサブレンズ228)を発光装飾させることができるようになっている。
また、扉枠5では、遊技窓101の上側中央を装飾する上部装飾ユニット280における中央レンズ282と対応したLED286aが、第一環状グループ102及び第二環状グループ103の上部中央を発光装飾する上部中央グループ106とされている。この上部中央グループ106のLED286aを適宜発光させることで、遊技窓101の上部中央を発光装飾させることができる他に、第一環状グループ102や第二環状グループ103による環状の発光装飾の基準点となるような発光装飾をさせることができるようになっている。また、上部装飾ユニット280における側レンズ284及び下レンズ289と対応したLED286bは、上部中央グループ106の左右両側を発光装飾させる上部中央サイドグループ107とされている。この上部中央サイドグループ107のLED286bを適宜発光させることで、第一環状グループ102及び第二環状グループ103と上部中央グループ106との境界を発光装飾させたり、遊技窓101の上側(上部も含む)でV字状に発光装飾させたりすることができるようになっている。
更に、扉枠5では、遊技窓101の下辺を装飾する皿ユニット300における上皿前部装飾部材316の複数の開口部316aに嵌め込まれた上皿上部レンズ318の導光部318aと対応したLED320a,322aが、第一環状グループ102及び第二環状グループ103の左右の下端同士を連結するように遊技窓101の下辺外周を発光装飾する下部グループ108とされている。この下部グループ108のLED320a,322aを適宜発光させることで、遊技窓101の下辺や上皿301の前縁を発光装飾させることができる他に、第一環状グループ102や第二環状グループ103のLED214a,216a,254a,256aと連動させることで、遊技窓101の外周全体を環状に発光装飾させることができるようになっている。
また、扉枠5では、遊技窓101の下側中央で皿ユニット300の上部中央に配置された操作ユニット400のダイヤル操作部401及び押圧操作部405と対応したLED430b,432dが、操作ユニット400を発光装飾させる操作部グループ109とされている。この操作部グループ109のLED430b,432dを適宜発光させることで、ダイヤル操作部401や押圧操作部405を発光装飾させることができ、ダイヤル操作部401や押圧操作部405の操作タイミングや操作方向等を遊技者に知らせることができるようになっている。
本実施形態における扉枠5における発光装飾について、更に、詳述すると、本実施形態では、扉枠5に備えられた各LED214a,214b,214c,216a,216b,254a,254b,256a,256b,286a,286b,320a,322a,430b,432dが、それぞれが属するグループ102,103,104,106,107,108,109内で制御系統に対応して更に細分化されている。具体的には、図54に示すように、第一環状グループ102に属する20個のLED214a,216a,254a,256aは、サイドレンズ210,250の各周レンズ部210a,250a毎に102a〜102jの10系統に分けられており、第二環状グループ103に属する26個のLED214a,216a,254a,256aは、サイドレンズ210,250の各周レンズ部210a,250a毎に103a〜103jの10系統に分けられている。
また、放射状グループ104に属する20個のLED214b,216b,254b,256bは、サイドレンズ210,250の放射レンズ部210b,250b毎に104a〜104hの8系統に分けられている。また、上部右サイドグループ105に属する2個のLED214cは、上側105aと下側105bの2系統に分けられている。更に、上部中央グループ106に属する6個のLED286aは、下部106a、右上部106b、左上部106cの3系統に分けられている。また、上部中央サイドグループ107に属する6個のLED286bは、右側107aと左側107bの2系統に分けられている。
更に、下部グループ108に属する12個のLED320a,322aは、正面視右側から三つずつに108a〜108dの4系統に分けられている。また、操作部グループ109に属する5個のLED430b,432dは、ダイヤル操作部401と対応した4個のLED430bが押圧操作部405を挟んで対角線状に配置されたLED430bを一組として左右109aと前後109bの2系統、押圧操作部405と対応した1個のLED432cが1系統、の3系統に分けられている。このように、扉枠5では、各LED214a,214b,214c,216a,216b,254a,254b,256a,256b,286a,286b,320a,322a,430b,432dが、42の系統に分けられている。
ところで、扉枠5では、上述したように、LED214a,216a,254a,256a,286a,320a,322a,432dがフルカラーLEDとされており、それらLED214a,216a,254a,256a,286a,320a,322a,432dの属する28の系統102a〜102j,103a〜103j,106a〜106c,108a〜108d,109cでは、フルカラーで発光させるためにRGBの独立した3つの系統を更に備えており、実際の発光制御では3倍の84系統となっている。また、LED286b,430bは高輝度の白色LEDとされており、それらLED286b,430bが属する4つの系統107a,107b,109a,109bでは、高輝度で発光させるために多くの電流を必要とするので、それぞれ2つの系統が接続されており、実際の発光制御では2倍の8系統となっている。
なお、LED214b,216b,254b,256bは通常の輝度の白色LEDとされており、8つの系統104a〜108hに属している。また、LED214cは赤色LEDとされており、2つの系統105a,105bに属している。これらLED214b,216b,254b,256b,214cによる10の系統104a〜108h,105a,105bは、各系統で充分に制御することができるので、実際の発光制御でも同数の10系統となっている。
したがって、扉枠5における発光制御での実際の系統数は、102系統となっており、各LED214a,214b,214c,216a,216b,254a,254b,256a,256b,286a,286b,320a,322a,430b,432dが属した系統毎に、点灯・点滅等がダイナミック点灯により制御されていると共に、階調(色や明るさ)がPWM制御(パルス幅変調制御)により制御されるようになっている。これにより、表情豊かな発光演出をすることができるようになっている。
扉枠5における発光演出としては、例えば、第一環状グループ102から第二環状グループ103へ順に発光(同色、或いは、類似色で順次発光)させることで遊技窓101を中心として外側へ広がるような発光演出や、逆に、第二環状グループ103から第一環状グループ102へ順に発光(同色、或いは、類似色で順次発光)させることで遊技窓101へ向かって外側から収束するような発光演出、或いは、第一環状グループ102と第二環状グループ103とを同時に発光させることで遊技窓101の外周全体を広く発光させるような発光演出等をすることができるようになっている。
また、遊技盤4の前面や表ユニット2000等に備えられたLED(詳細な図示は省略する)と協調することで、遊技盤4のLEDと、遊技窓101に近い第一環状グループ102のLEDと、第一環状グループ102よりも外側に配置された第二環状グループ103のLEDとによって、更に表情豊かな発光演出を行うことが可能となり、遊技者の関心を強く引付けることができると共に、遊技者を楽しませて興趣が低下するのを抑制することができる。
また、第一環状グループ102、第二環状グループ103や、下部グループ108において、各系統102a〜102j,103a〜103j,108a〜108dを適宜発光させることで、遊技窓101の外周を光が周回するような発光演出をしたり、遊技窓101の外周に沿って上部装飾ユニット280の中央レンズ282へ向かって光が移動するような、或いは、中央レンズ282から光が遊技窓101の外周に沿って移動するような発光演出をしたりすることができる。なお、本実施形態では、第一環状グループ102や第二環状グループ103を周方向へ10系統102a〜102j,103a〜103jに分割(10分割)したものを示したが、これに限定するものではなく、8系統程に分割(8分割程)されていれば遊技窓101の外周を光が周回するような発光演出を良好に行うことができる。
更に、放射状グループ104のみを発光させることで遊技窓101を中心に放射状に発光する発光演出をしたり、放射状グループ104と同時に第一環状グループ102、第二環状グループ103、及び下部グループ108を発光させることで遊技窓101の外周全体を略均一に発光させる発光演出をしたり、第一環状グループ102や第二環状グループ103の発光中に放射状グループ104を発光(点灯・点滅)させることで環状の発光装飾に対してアクセントを付与する発光演出をしたりすることができる。また、放射状グループ104の各系統104a〜104hをそれぞれ個々に発光させることで、放射レンズ部210b,250bが周回するような発光演出もすることができる。
また、上部中央グループ106の各系統106a〜106cを同時に発光させることで中央レンズ282全体が発光する発光演出や、各系統106a〜106cを順次発光させることで中央レンズ282内において光が回転するような発光演出を行うことができる。また、上部中央サイドグループ107を発光させることで、側レンズ284や下レンズ289を高輝度に発光装飾させて遊技者に対してチャンスの到来や特定の遊技状態(例えば、大当り遊技状態、確変遊技状態、時短遊技状態、確変時短遊技状態、等)を示唆する発光演出を行うことができる。なお、下レンズ289は、遊技者の頭上から遊技者へ向かって光を照射するように配置されており、高輝度なLED286bの発光を遊技者に気付かせ易くすることができるようになっている。
更に、下部グループ108の各系統108a〜108dを適宜発光させることで、上皿301の前縁を発光装飾させる発光演出をしたり、操作部グループ109と関連させて発光させることで、ダイヤル操作部401や押圧操作部405の操作を促す発光演出をしたりすることができる。また、操作部グループ109におけるダイヤル操作部401と対応した系統109a,109bを適宜発光させることで、ダイヤル操作部401の操作を促したり、ダイヤル操作部401の回転操作方向を案内したりする発光演出をすることができる。更に、操作部グループ109における押圧操作部405と対応した系統109cを発光させることで、押圧操作部405の操作を促す発光演出をすることができる。
なお、第一環状グループ102、第二環状グループ103、上部中央グループ106、下部グループ108、及び操作部グループ109の系統109cは、フルカラーLEDとされているので、各グループ102,103,106,108,109毎や、各系統102a〜102j,103a〜103j,106a〜106c,108a〜108d,109c毎に、発光色や明るさ等の階調を異ならせた発光演出を行うことができ、多彩で表情豊かな発光演出を行うことができる。
このように、扉枠5では、右サイド装飾ユニット200及び左サイド装飾ユニット240では、周レンズ部210a,250aと対応したLED214a,216a,254a,256aを、遊技窓101に近い第一環状グループ102と、第一環状グループ102の外側で遊技窓101から遠い第二環状グループ103とに分けて発光させることができるようにしているので、遊技窓101(遊技領域1100)の外側を複数の略同心円状に発光装飾させることができ、遊技窓101の外周を光が囲うことでこれまでのパチンコ遊技機には無い発光演出を行うことができ、遊技者の関心を強く引付けられるパチンコ遊技機1とすることができるようになっている。
また、一つの周レンズ部210a,250aにおいて、略同心円状配置された二系統のLEDを備えるようにしており、外観状は一つに見えても、二系統の各LEDをそれぞれ発光させることで、略同心円状に発光装飾させることができるので、発光装飾の態様を外観からは想像し難くすることが可能となり、発光装飾による周レンズ部210a,250a(右サイド装飾ユニット200及び左サイド装飾ユニット240)の変化を大きくすることができ、発光装飾によるインパクトを高くして遊技者の関心を強く引付けられるパチンコ遊技機1とすることができるようになっている。
[4.本体枠の全体構成]
次に、パチンコ遊技機1における本体枠3について、図55乃至図60を参照して説明する。図55は、本体枠の正面図であり、図56は、本体枠の背面図である。また、図57は、本体枠の正面斜視図であり、図58は、本体枠の背面斜視図である。更に、図59は、本体枠を分解して前から見た分解斜視図であり、図60は、本体枠を分解して後から見た斜視図である。本実施形態の本体枠3は、外枠2に対して正面視左辺が軸支されており、扉枠5の後側で外枠2の前面を開閉するように扉状に支持されていると共に、前側が扉枠5によって開閉させられるようになっている。また、本体枠3は、扉枠5の遊技窓101と対応した位置に前側から遊技盤4を着脱自在に保持することができるようになっている。
本体枠3は、本体枠3の骨格を形成すると共に前後方向に貫通し遊技盤4を保持するための矩形状の遊技盤保持口601を有した本体枠ベース600と、本体枠ベース600の正面視左側端部の上端及び下端にそれぞれ取付けられ外枠2に軸支されると共に扉枠5を軸支するための上軸支金具630及び下軸支金具640と、本体枠ベース600の下部前面に取付けられ遊技盤4の遊技領域1100内へ遊技球を打ち込むための打球発射装置650と、本体枠ベース600の後側に取付けられ皿ユニット300の上皿301へ遊技球を払出すための賞球ユニット700と、本体枠ベース600の前面に取付けられ本体枠3に対して扉枠5が開いた時に賞球ユニット700から扉枠5の皿ユニット300への遊技球の流れを遮断する球出口開閉ユニット790と、を備えている。
また、本体枠3は、本体枠ベース600の下部後面に取付けられ遊技盤4を除く扉枠5や本体枠3に備えられた電気的部品を制御するための各種の制御基板や電源基板851等を一纏めにしてユニット化した基板ユニット800と、本体枠ベース600における遊技盤保持口601の後側開口を覆う裏カバー900と、本体枠ベース600の正面視左側端部を被覆する側面防犯板950と、本体枠ベースの正面視右側端部に取付けられ外枠2に対する本体枠3の開閉施錠、及び本体枠3に対する扉枠5の開閉施錠をする錠装置1000と、を主に備えている。
[4−1.本体枠ベース]
次に、本体枠3における本体枠ベース600について、主に図61及び図62を参照して説明する。図61は、本体枠における本体枠ベースの正面斜視図である。また、図62は、本体枠における本体枠ベースの背面斜視図である。本実施形態の本体枠3における本体枠ベース600は、合成樹脂によって一体成形されており、正面視の外形が扉枠5の外形と沿った縦長の矩形状とされていると共に、前後方向に所定量の奥行きを有するように形成されている。この本体枠ベース600は、図示するように、上部から下部へ向かって全体の約3/4の範囲内が前後方向へ矩形状に貫通し遊技盤4の外周を嵌合保持可能な遊技盤保持口601と、本体枠ベース600の正面視左辺を除く前端外周を形成するコ字状の前端枠部602と、前端枠部602の前面から後方へ向かって窪み、扉枠5における扉枠ベース本体110の下端から後方へ突出した扉枠突片110c、扉枠5の補強ユニット150における上側補強板金151の後方へ突出した上側の屈曲突片167及び開放側補強板金153の後方へ突出した開放側外折曲突片163が挿入係合される係合溝603と、を備えている。
また、本体枠ベース600は、遊技盤保持口601の下側から本体枠ベース600下端まで延出し前端枠部602の前端から所定量後側へ窪み左右方向へ板状に広がった下部後壁部604と、前端枠部602よりも内側で後方へ突出し遊技盤保持口601の内周壁を形成する周壁部605と、を備えている。この周壁部605によって、コ字状の前端枠部602の自由端部(正面視で上下の左側端部)同士が連結されるようになっており、本体枠ベース600の外形が枠状となるようになっている。
また、本体枠ベース600は、下部後壁部604の上端に遊技盤保持口601の下辺を形成すると共に遊技盤4が載置される遊技盤載置部606と、遊技盤載置部606の左右方向略中央から上方へ突出し遊技盤4における遊技パネル1150のアウト球排出溝1156と係合する位置決め突起607と、周壁部605における正面視右側内壁の所定位置に形成され遊技盤4の遊技盤止め具1120が止め付けられる遊技盤係止部608(図55を参照)と、周壁部605の上側内壁から下方へ垂下し下端が遊技盤4の上端と当接可能な板状で左右方向に複数配置された上端規制リブ609と、を備えている。本体枠ベース600の位置決め突起607は、遊技盤4のアウト球排出溝1156と嵌合することで、遊技盤4の下端が左右方向及び後方向へ移動するのを規制することができるようになっている。また、遊技盤係止部608は、遊技盤4の遊技盤止め具1120が係止されることで遊技盤4の正面視右辺が前後方向へ移動するのを規制することができるようになっている。なお、遊技盤4の正面視左辺は、詳細は後述するが、側面防犯板950の位置決め部材956によって前後方向への移動が規制されるようになっている。
更に、本体枠ベース600は、コ字状の前端枠部602の自由端部(正面視で上下の左側端部)の後面に上軸支金具630及び下軸支金具640を取付けるための金具取付部610を備えている(図62を参照)。この金具取付部610は、図61等示すように、その前側が上下及び左右に延びた複数のリブによって補強されており、充分な強度で上軸支金具630及び下軸支金具640を取付けることができるようになっている。また、本体枠ベース600は、正面視で下部後壁部604の右端上部に前後方向に貫通した略円形のシリンダ錠貫通穴611と、シリンダ錠貫通穴611の正面視左下に形成され扉枠5における扉枠ベース本体110から後方へ突出する位置決め突起110dと嵌合するU字状の嵌合溝612と、嵌合溝612の正面視左下に形成され打球発射装置650の発射ソレノイド654を収容するソレノイド収容凹部613と、を備えている。
本体枠ベース600は、上述したように、下部後壁部604が前端枠部602の前面よりも後側へ一段窪んだ位置に形成されており、下部後壁部604の正面視右側前面に、打球発射装置650の発射ソレノイド654がソレノイド収容凹部613内に収容されるように前側から打球発射装置650が取付けられるようになっている。この下部後壁部604の前面に打球発射装置650を取付けた状態では、図57や図87等に示すように、打球発射装置650における発射レール660の上端よりも正面視左側に、左方向及び下方へ広がったファール空間626が形成されるようになっている。本実施形態では、本体枠3に対して扉枠5を閉じた状態とすると、ファール空間626の下部にファールカバーユニット540におけるファール球入口542eが位置するようになっており、ファール空間626を下降した遊技球が、ファールカバーユニット540のファール球入口542eに受けられて、皿ユニット300における下皿302へ排出されるようになっている。
また、本体枠ベース600は、正面視で下部後壁部604の左右中央よりも左側に前後方向へ矩形状に貫通する開口部614と、開口部614の上側及び正面視左右両側に複数形成され前後方向に貫通した透孔615と、を備えている。この本体枠ベース600の開口部614は、前側から中継端子板カバー692(図59等を参照)によって閉鎖されるようになっており、中継端子板カバー692の開口692aを通して、下部後壁部604の後面に取付けられた基板ユニット800の主扉中継端子板880と周辺扉中継端子板882とが前側へ臨むようになっている。また、複数の透孔615は、基板ユニット800のスピーカボックス820からの音を、本体枠ベース600の前側へ伝達させるためのものである。なお、開口部614の左右両側に配置された透孔615は、前側に衝壁を有したベンチレーション型の孔とされている。
また、本体枠ベース600は、開口部614の上側で下部後壁部604の前面上端付近に遊技盤4を脱着可能に固定するための遊技盤固定具690を回転可能に支持する固定具支持部616と、固定具支持部616の正面視右下から前方へ突出し遊技盤固定具690の回転位置を規制するストッパ617と、を備えている。
ここで、遊技盤固定具690は、図55等に示すように、本体枠ベース600の固定具支持部616に軸支される軸心を中心に扇状に広がる固定片690aと、固定片690aにおける周方向一端側(正面視で時計回りの方向へ回転させた時に後端となる側)から外方へ延出する操作片690bと、を備えている。この遊技盤固定具690は、本体枠ベース600の固定具支持部616に軸支させた上で、操作片690bを操作して遊技盤固定具690を正面視で時計回りの方向へ回動させると、固定片690aが遊技盤載置部606よりも上方へ突出し、遊技盤載置部606に載置された遊技盤4の固定凹部1121内に挿入されるようになっており、遊技盤4が前側へ移動するのを阻止することができるようになっている。また、遊技盤固定具690は、操作片690bがストッパ617と当接するようになっており、ストッパ617と当接することで、正面視反時計周りの方向への回動端が規制されるようになっている。
更に、本体枠ベース600は、シリンダ錠貫通穴611の下側前面に、本体枠3に対する扉枠5の開放を検出するための扉枠開放スイッチ618が取付けられており、本体枠3に対して扉枠5が開かれる(開放される)と、その押圧が解除されて扉枠5の開放を検出することができるようになっている。また、本体枠ベース600は、扉枠開放スイッチ618が取付けられた位置よりも下側後面に、外枠2に対する本体枠3の開放を検出するための本体枠開放スイッチ619が取付けられており(図62を参照)、外枠2に対して本体枠3が開かれる(開放される)と、その押圧が解除されて本体枠3の開放を検出することができるようになっている。
また、本体枠ベース600は、コ字状の前端枠部602における正面視で右側(開放側)辺の係合溝603よりも内側(軸支側)に、前後方向へ縦長に貫通する三つの扉用フック穴620と、下端の扉用フック穴620の下側に前後方向へ貫通し左右方向に二つ並んだ錠係止穴621と、を備えている。これら三つの扉用フック穴620は、上下方向の上下両端付近と、上下方向の略中央にそれぞれ形成されている。この上側と中央の扉用フック穴620と錠係止穴621には、錠装置1000の上下両端に備えられた係止突起1004が係合係止されるようになっており、前端枠部602における正面視右辺の後側で周壁部605の外壁に沿って錠装置1000が本体枠ベース600に取付けられるようになっている。そして、本体枠ベース600に錠装置1000を取付けた状態では、錠装置1000の三つの扉枠用フック部1041が、三つの扉用フック穴620から前方へ突出すると共に、錠装置1000のシリンダ錠1010がシリンダ錠貫通穴611から前方へ突出した状態となるようになっている(図57を参照)。
更に、本体枠ベース600は、下部後壁部604の後面に、背面視で、右側上端から左右方向略中央へ向かって緩く斜めに下降した上で、左右方向の略中央で下部後壁部604における上下方向の中間からやや上寄りの位置まで垂下し遊技球が流通可能とされた本体枠ベース球抜通路622を備えている。この本体枠ベース球抜通路622は、基板ユニット800における基板ユニットベース810によって後側が閉鎖されようになっており、詳細は後述するが、賞球装置740における球抜通路741dを流通した遊技球が流通するようになっている。
また、本体枠ベース600は、周壁部605における背面視左辺の後端に、上下方向へ所定間隔で複数配置され裏カバー900の軸支ピン906を回動可能に軸支する裏カバー軸支部623と、下部後壁部604の前面で開口部614の正面視斜め左上に球出口開閉ユニット790を取付けるための取付部624と、周壁部605の正面視右側(開放側)側面に錠装置1000を取付固定するための錠取付部625と、を備えている。
なお、詳細な説明は省略するが、本体枠ベース600には、上記の他に、打球発射装置650、賞球ユニット700、及び基板ユニット800等を取付けるための取付ボスや取付孔等が適宜位置に形成されている。
[4−2.上軸支金具及び下軸支金具]
次に、本体枠3における上軸支金具630及び下軸支金具640について、主に図59及び図60を参照して説明する。本体枠3における上軸支金具630及び下軸支金具640は、本体枠ベース600の正面視左端上下後面の金具取付部610に、所定のビスを用いてそれぞれ取付けることで、本体枠3に対して扉枠5を開閉可能に軸支することができると共に、外枠2に対して本体枠3を開閉可能に軸支させることができるものである。
まず、上軸支金具630は、本体枠ベース600の上側の金具取付部610に取付けられ上下左右方向へ広がる板状の取付部631と、取付部631の上端から前方へ延出する板状の前方延出部632と、前方延出部632の前端付近から上方へ延びだすように突設された軸支ピン633と、軸支ピン633の正面視左側に配置され扉枠5の軸ピン155が挿入される上下方向に貫通した扉枠軸支穴634(図57等を参照)と、前方延出部632の正面視左側端部から下方へ垂下し扉枠5の開放側への回動端を規制するストッパ(図示は省略する)と、を備えている。この上軸支金具630は、取付部631、前方延出部632、及びストッパが、一枚の金属板を屈曲成形することで一体的に形成されている。
一方、下軸支金具640は、扉枠5を軸支するための扉枠軸支金具642と、扉枠軸支金具642の下側に配置され外枠2に対して本体枠3を軸支するための本体枠軸支金具644と、を備えている。下軸支金具640における扉枠軸支金具642は、本体枠ベース600の下側の金具取付部610に取付けられ上下左右方向へ広がる板状の取付部642aと、取付部642aの下端から前方へ延出する板状の前方延出部642bと、前方延出部642bの前端付近に上下方向へ貫通し扉枠5の軸ピン157が挿入される扉枠軸支穴642cと、前方延出部642bの正面視左側端部から上方へ立設され扉枠5の開放側への回動端を規制するストッパ642dと、を備えている。この扉枠軸支金具642は、取付部642a、前方延出部642b、及びストッパ642dが、一枚の金属板を屈曲成形することで一体的に形成されている。
また、下軸支金具640における本体枠軸支金具644は、本体枠ベース600の下側の金具取付部610に取付けられ上下左右方向へ広がる板状の取付部644aと、取付部644aの下端から前方へ延出する前方延出部644bと、前方延出部644b前端付近に上下方向へ貫通した本体枠軸支穴(図示は省略する)と、を備えている。この本体枠軸支金具644もまた、取付部644a、及び前方延出部644bが、一枚の金属板を屈曲成形することで一体的に形成されている。
下軸支金具640は、扉枠軸支金具642の取付部642aと本体枠軸支金具644の取付部644aとが前後方向に重なった(接した)状態とされると共に、扉枠軸支金具642の前方延出部642bと本体枠軸支金具644の前方延出部644bとが上下方向に所定距離離間した状態で、本体枠ベース600における下側の金具取付部610に取付けられるようになっている。
この上軸支金具630及び下軸支金具640は、本体枠ベース600に取付けた状態で、上軸支金具630の軸支ピン633と、下軸支金具640の図示しない本体枠軸支穴とが同軸上に位置するようになっており、下軸支金具640における本体枠軸支金具644の本体枠軸支穴が、外枠2における下支持金具21の支持突起21dに嵌合挿入されるように、本体枠軸支金具644の前方延出部644bを、下支持金具21の支持突出片21c上に載置した上で、上軸支金具630の軸支ピン633を、外枠2における上支持金具20の支持鉤穴20c内に挿入することで、本体枠3を外枠2に対して開閉可能に軸支させることができるようになっている。
また、この上軸支金具630及び下軸支金具640は、本体枠ベース600に取付けた状態で、上軸支金具630の扉枠軸支穴634と、下軸支金具640の扉枠軸支穴642cとが同軸上に位置するようになっており、下軸支金具640における扉枠軸支金具642の扉枠軸支穴642cに、扉枠5の軸ピン157が挿入されるように扉枠5の下軸支部158を扉枠軸支金具642の前方延出部642b上に載置した上で、扉枠5の軸ピン155を、上軸支金具630の扉枠軸支穴634に挿入することで、本体枠3に対して扉枠5を開閉可能に軸支することができるようになっている。なお、本実施形態では、扉枠5の上側の軸ピン155は、上下方向へ摺動可能とされており、上軸支金具630の扉枠軸支穴634へ挿入させる際に、軸ピン155を一旦、下方へスライドさせて、扉枠5の上軸支部156と上軸支金具630の前方延出部632とが上下に重なるようにした上で、軸ピン155を上方へスライドさせることで扉枠軸支穴634へ挿入することができるようになっている。
[4−3.打球発射装置]
次に、本体枠3における打球発射装置650について、主に図63及び図64を参照して説明する。図63は、本体枠における打球発射装置の正面斜視図である。また、図64は、本体枠における打球発射装置の背面斜視図である。この打球発射装置650は、扉枠5の球送ユニット580から供給された遊技球を、ハンドル装置500の回転操作に応じた強さで遊技盤4の遊技領域1100内へ打ち込むことができるものである。
本実施形態の打球発射装置650は、本体枠ベース600における下部後壁部604の前面所定位置に取付けられる金属板の発射ベース652と、発射ベース652の下部後面に前側へ回転駆動軸654aが突出するように取付けられる発射ソレノイド654と、発射ソレノイド654の回転駆動軸654aに一体回転可能に固定される打球槌656と、打球槌656の先端に固定される槌先658と、槌先658の移動軌跡上における所定位置を基端として正面視斜め左上へ延出し発射ベース652の前面に取付けられる発射レール660と、発射レール660の基端上部に発射レール660との間で打球槌656先端の槌先658が通過可能とされると同時に遊技球が通過不能な隙間を形成し発射レール660の基端に遊技球を保持する球止め片662と、球止め片662によって発射レール660の基端に保持された遊技球を打球可能な打球位置よりも打球槌656(槌先658)が発射レール660側へ回動するのを規制するストッパ664と、を備えている。
この打球発射装置650における発射ソレノイド654は、詳細な図示は省略するが、回転駆動軸654aがハンドル装置500の回転操作角度に応じた強さ(速さ)で往復回動するようになっている。また、打球発射装置650の打球槌656は、発射ソレノイド654の回転駆動軸654aに固定される固定部656aと、固定部656aから緩やかな円弧状に延出し先端が回転駆動軸654aの軸心に対して法線方向を向き先端に槌先658が固定される棹部656bと、棹部656bに対して固定部656aを挟んで反対側へ延出しストッパ664と当接可能なストッパ部656cと、を備えている。打球槌656のストッパ部656cがストッパ664と当接することで、先端の槌先658が打球位置(正面視で反時計周りの方向の回動端)よりも発射レール660側へ回動するのが規制されるようになっている。
また、打球発射装置650の発射レール660は、遊技盤4の外レール1111の下端延長線上と略沿うように下方が窪んだ緩い円弧状とされている(図87を参照)と共に、前後方向に対して中央がV字状に窪んだ形状とされており、打球槌656によって打球された遊技球を発射レール660に沿って滑らかに遊技盤4側へ誘導させることができるようになっている。この発射レール660は、金属板を屈曲成形することで形成されている。
また、打球発射装置650は、打球槌656における打球位置側への回動端を規制可能なストッパ664の前面を被覆するストッパカバー666と、打球槌656における打球位置とは離れた位置の回動端(正面視で時計回りの方向の回動端)を規制するストッパ668と、を備えている。打球発射装置650は、ストッパ664,668の表面がゴムで覆われており、打球槌656が当接した時の衝撃を吸収することができると共に、当接による騒音の発生を抑制することができるようになっている。
打球発射装置650は、図57や図87等に示すように、本体枠ベース600の下部後壁部604に取付けた状態とすると、発射レール660の上端が左右方向の略中央で下部後壁部604の上端、つまり、遊技盤載置部606(遊技盤保持口601の下辺)よりも下方に位置するようになっており、遊技盤保持口601に保持された遊技盤4における外レール1111の下端との間で、左右方向に所定幅で下方へ広がったファール空間626が形成されるようになっている。そして、打球発射装置650は、発射レール660よりも正面視左側のファール空間626を飛び越えるようにして遊技球を発射することで、遊技盤4の遊技領域1100内へ遊技球を打ち込むことができるようになっている。なお、上述したように、本体枠3に対して扉枠5を閉じた状態とすると、ファール空間626の下部にファールカバーユニット540のファール球入口542eが位置するようになっており、遊技領域1100内へ打ち込まれずにファール球となった遊技球が、ファール空間626を落下してファール球入口542eへ受入れられて、下皿302へ排出されるようになっている。
また、打球発射装置650は、発射ソレノイド654が、発射制御部4130によりハンドル装置500の回転操作に応じた駆動強さで駆動させられるようになっていると共に、球送ユニット580の球送ソレノイド585の駆動と同期するように駆動させられるようになっている。具体的には、打球発射装置650へ遊技球を供給する球送ユニット580では、球送ソレノイド585が駆動(ON)すると球送部材584が遊技球を受入れ、その状態から球送ソレノイド585の駆動が解除(OFF)されると球送部材584が受入れた遊技球を打球発射装置650側へ送るようになっているので、この球送ユニット580の球送ソレノイド585と同時に発射ソレノイド654を駆動(ON)することで、球送ユニット580から発射レール660の後端へ遊技球を円滑に供給することができ、打球槌656の回動により遊技球を確実に発射することができるようになっている。
[4−4.賞球ユニット]
次に、本体枠3における賞球ユニット700について、主に図65乃至図72を参照して説明する。図65は、本体枠における賞球ユニットの正面斜視図であり、図66は、本体枠における賞球ユニットの背面斜視図である。また、図67は、賞球ユニットを分解して前から見た分解斜視図であり、図68は、賞球ユニットを分解して後から見た分解斜視図である。更に、図69は、賞球ユニットにおける賞球タンクとタンクレールユニットとの関係を分解して後方から示す分解斜視図である。図70は、賞球ユニットにおける賞球装置を分解して後から見た分解斜視図である。図71は、賞球装置における払出通路と払出モータと払出回転体との関係を示す背面図である。また、図72は、賞球ユニットにおける球の流通通路を示す断面図である。
本実施形態の本体枠3における賞球ユニット700は、パチンコ遊技機1を設置する遊技ホールにおけるパチンコ島設備において、パチンコ島設備側からパチンコ遊技機1へ供給された遊技球を貯留した上で、所定の払出指示に基づいてパチンコ遊技機1の上皿301へ払出すものである。この賞球ユニット700は、本体枠ベース600の後面に取付けられる賞球ベース710と、賞球ベース710の後面上部に取付けられパチンコ島設備側から供給される遊技球を受けると共に貯留する賞球タンク720と、賞球タンク720の下側に配置され賞球タンク720に貯留された遊技球を整列させて下流側へ送るタンクレールユニット730と、タンクレールユニット730によって整列された遊技球を所定の払出指示に基づいて払出す賞球装置740と、賞球装置740によって払出された遊技球を皿ユニットの上皿301へ誘導することができると共に上皿301が遊技球で満タンになると払出された遊技球を下皿302側へ分岐誘導することができる満タン分岐ユニット770と、を主に備えている。
また、賞球ユニット700は、賞球ベース710に形成された賞球通路715の後側開口を閉鎖する賞球通路蓋780と、タンクレールユニット730や賞球装置740を接地するためのアース金具782と、賞球ベース710の後面に取付けられる外部端子板784と、外部端子板784の後側を覆う外部端子板カバー786と、を備えている。賞球ユニット700における賞球通路蓋780は、その後面に裏カバー900を固定するための裏カバー係合溝780aが形成されている(図68を参照)。
この賞球ユニット700は、賞球ベース710が、正面視で本体枠ベース600の上辺と左辺に沿うような逆L字状に形成されており、上辺に賞球タンク720及びタンクレールユニット730が配置されていると共に、左辺に縦長の賞球装置740が配置されており、賞球装置740の下側に満タン分岐ユニット770が配置されている。また、賞球装置740の直上でタンクレールユニット730よりも上側に賞球タンク720と隣接するように外部端子板784及び外部端子板カバー786が配置されている。
次に、賞球ユニット700における賞球ベース710は、図示するように、本体枠ベース600の上辺と正面視で遊技盤保持口601の左辺と略対応するような正面視逆L字状に形成されており、合成樹脂によって一体的に成形されている。この賞球ベース710は、逆L字状の外側外周に略沿って後方へ延出した周壁部710aと、周壁部710aの後端から内側へ所定幅で延出し略同一面状に配置された後壁部710bと、を備えている。本実施形態では、図68に示すように、周壁部710aの上辺側が、賞球ベース710の上端よりも一段下がった位置から後方へ延出するように形成されている。この賞球ベース710は、後壁部710bが前端よりも奥まった位置に位置しており、本体枠ベース600に取付けた時に、遊技盤4を収容可能な空間を形成することができるようになっている。
また、賞球ベース710は、周壁部710aの上辺上側に賞球タンク720を取付ける賞球タンク取付部711と、賞球タンク取付部711の横(背面視で右側)に配置され外部端子板784及び外部端子板カバー786を取付けるための外部端子板取付部712と、後壁部710bの上辺下端後側にタンクレールユニット730を取付けるための複数の取付係止部713と、後壁部710bの垂直辺後側に賞球装置740を取付けるための賞球装置取付部714と、賞球装置取付部714に隣接して賞球装置740から払出された遊技球を下方へ誘導する賞球通路715と、後壁部710bの下端に満タン分岐ユニット770を取付けるための取付係止部716と、を備えている。
更に、賞球ベース710は、後壁部710bの賞球装置取付部714の位置に前後方向へ貫通し賞球装置740から前方へ突出した払出モータ744等を逃がすための逃し穴717と、裏カバー900を固定するための裏カバー係合溝718と、を備えている。また、賞球ベース710には、詳細な説明は省略するが、賞球タンク720や賞球装置740等を取付けたり、本体枠ベース600に取付けたりするための取付孔や取付ボス等が適宜位置に形成されている。
続いて、賞球ユニット700における賞球タンク720は、図69にも示すように、上方が開放された横長箱状に形成されており、平面視が横長の略矩形状とされた底壁部721と、底壁部721の外周から上方へ立上ると共に平面視で右側後部(開放側の後部)のみが矩形状に底壁部721よりも後方へ突出した外周壁部722と、外周壁部722における右側後部の底壁部721よりも後方へ突出した部位によって形成され下方へ開口した排出口723と、排出口723の平面視左側(軸支側)から賞球タンク720の左端まで板状に延びた庇部724と、庇部724の平面視左端下側から後方へ延出する棒状の軸部725と、軸部725の基端付近及び外周壁部722の前側両端に形成され賞球タンク720を賞球ベース710における賞球タンク取付部711へ取付けるための取付部726と、を備えている。
この賞球タンク720は、底壁部721の外周が外周壁部722で囲まれており、底壁部721上に所定量の遊技球を貯留することができるようになっている。また、賞球タンク720は、底壁部721の上面が、排出口723へ向かって低くなるように傾斜しており、底壁部721上の遊技球が排出口723へ向かって転動するようになっている。
また、賞球タンク720は、軸部725に回動自在に軸支される二つの球ならし部材727を備えている。この球ならし部材727は、図示するように、一端側が軸部725に軸支されるようになっていると共に内部に錘を保持しており、自重によって他端側が垂下するようになっている。この球ならし部材727は、後述するタンクレールユニット730内に垂下するようになっており、タンクレールユニット730内を流通する遊技球をならして整列させることができるものである。また、賞球タンク720の庇部724は、タンクレールユニット730の上側の略半分を覆うように形成されており、タンクレールユニット730内から遊技球が溢れるのを防止することができると共に、タンクレールユニット730内に埃等が侵入するのを防止することができるようになっている。
なお、詳細な図示は省略するが、賞球タンク720の底壁部721の上面は、平面視で左側(排出口723から遠い側)が右側へ向かって低くなるように傾斜していると共に、平面視で右側(排出口723に近い側)が後側の排出口723へ向かって傾斜するように形成されている。これにより、遊技球の流れをスムーズにすることができ、賞球タンク720内で球詰まりが発生するのを抑制することができるようになっていると共に、排出口723からタンクレールユニット730側へ遊技球をスムーズに排出することができるようになっている。
次に、賞球ユニット700におけるタンクレールユニット730は、図69にも示すように、賞球タンク720の下側に配置され左右方向へ長く延びたタンクレール731を備えている。このタンクレール731は、上方が開放された所定深さの樋状で前後方向に遊技球が二列で整列することが可能な幅(奥行)とされ、正面視左側(軸支側)端部が低くなるように底部が傾斜している。このタンクレール731は、左側(軸支側)端部に下方へ開口する排出口731a(図72を参照)と、前後方向の略中央で底部から上方へ延出した仕切壁731bと、前端下面より下方へ突出し賞球ベース710の取付係止部713に上側から係止される複数の係止突片731c(図67を参照)と、を備えている。このタンクレール731は、正面視右側(開放側)端部が賞球タンク720における排出口723の直下に位置するようになっており、賞球タンク720の排出口723から排出された遊技球を受取った後に左方向へ転動させて排出口731aから賞球装置740側へ受け渡すことができるようになっている。また、タンクレール731の係止突片731cを賞球ベース710の取付係止部713に係止させることで、タンクレール731つまりタンクレールユニット730を賞球ベース710に取付けることができるようになっている。
また、タンクレールユニット730は、タンクレール731の排出口731a上部に回転可能に支持される整列歯車732と、整列歯車732の上部を覆う歯車カバー733と、歯車カバー733の正面視右端と連続しタンクレール731の上部を閉鎖する球押え板734と、タンクレール731内に進退可能とされタンクレール731内の遊技球が排出口731a側へ転動するのを停止させることが可能な球止片735と、タンクレール731内に配置されタンクレール731内の遊技球と接触可能とされたアース板736と、を備えている。整列歯車732は、図示するように、タンクレール731の仕切壁731bによって二列に仕切られた遊技球の二つの流路と対応するように、前後方向に並んで二つ備えられている。また、球押え板734は、上部に球止片735が取付けられる取付部734aと、上下方向に貫通し球止片735の突片735aが挿通可能な二つのスリット734bと、を備えている。
このタンクレールユニット730内には、賞球タンク720に軸支された二つの球ならし部材727が上方から球押え板734の上流側(開放側)に挿入されるようになっており、この球ならし部材727によって賞球タンク720の排出口723からタンクレール731内に排出された遊技球が、一段となるようにならすと共に、仕切壁731bに沿って二列に整列させるようにすることができるようになっている。また、球押え板734は、球ならし部材727によって一段とならなかった遊技球を強制的に一段とするためのものであり、排出口731a側へ向かうに従ってタンクレール731の底部との隙間が狭くなるようにタンクレール731に取付けられている。
タンクレールユニット730の整列歯車732は、図示するように、外周に複数の歯が形成されており、一対の整列歯車732における歯のピッチが半ピッチずつ、ずれるように軸支されている。これにより、タンクレール731を流下してきた遊技球の上部が整列歯車732の歯と噛み合いながら下流側の排出口731aへ流下する時に、二列に整列された遊技球が交互に一つずつ賞球装置740へ送られるようになっている。
なお、タンクレール731の底部には、上下に貫通する細溝が形成されており、タンクレール731内を遊技球と一緒に転動する埃等の異物がその細溝から下方に落下するようになっている。また、タンクレール731の内壁に配置されたアース板736は、詳細な図示は省略するが、アース金具782を介して電源基板851のアース用コネクタを経由して外部に接地されるようになっており、タンクレール731内で遊技球がアース板736と接触することで、帯電した静電気を除去することができるようになっている。
また、タンクレールユニット730は、球押え板734の取付部734aに回動可能に取付けられた球止片735を回動させて、球止片735の突片735aをスリット734bを通してタンクレール731内へ挿入することで、突片735aによってタンクレール731内の二列の流路を閉止することができ、賞球装置740側へ遊技球が供給されるのを停止させることができるようになっている。
続いて、賞球ユニット700における賞球装置740は、タンクレールユニット730の排出口731aから排出供給された遊技球を、所定の払出指示に基づいて皿ユニット300の上皿301へ払出すためのものである。この賞球装置740は、図70乃至図72等に示すように、賞球ベース710における賞球装置取付部714に取付けられる上下方向へ延びたユニットベース741を備えている。賞球装置740におけるユニットベース741は、図示するように、後面側に、上端に開口し遊技球の外形よりも若干広い幅で上下方向の中央よりもやや下側の位置まで延出する供給通路741aと、供給通路741aの下端と連通し所定広さの空間を有した振分空間741bと、振分空間741bの背面視左側(開放側)下端と連通し略く字状に曲がって背面視左側面に開口する賞球通路741cと、振分空間741bの背面視右側(軸支側)下端と連通し下方へ延出して下端に開口する球抜通路741dと、を備えている。このユニットベース741の供給通路741a、振分空間741b、賞球通路741c、及び球抜通路741dは、後方へ開放された状態で形成されている。
賞球装置740は、ユニットベース741の後側に取付けられユニットベース741よりも上下方向の長さが短い裏蓋742と、裏蓋742の下側に配置される板状のモータ支持板743と、モータ支持板743の前側に配置され回転軸744aがモータ支持板743よりも後方へ突出するようにユニットベース741に固定される払出モータ744と、払出モータ744の回転軸744aに一体回転可能に固定されモータ支持板743の後側に配置される第1ギア745と、第1ギア745と噛合しユニットベース741に軸支される第2ギア746と、第2ギア746と噛合しユニットベース741に軸支される第3ギア747と、第3ギア747と共に一体回転しユニットベース741の振分空間741b内に配置される払出回転体748と、払出回転体748とは第3ギア747を挟んで反対側に一体回転可能に固定され周方向に等間隔で複数(本実施形態では、3つ)の検出スリット749aが形成された回転検出盤749と、を備えている。
また、賞球装置740は、ユニットベース741に取付けられ供給通路741a内の遊技球の有無を検出するための球切れスイッチ750と、ユニットベース741に取付けられ賞球通路741c内を流下する遊技球を検出するための計数スイッチ751と、払出回転体748と一体回転する回転検出盤749に形成された検出スリット749aを検出するための回転角スイッチ752と、回転角スイッチ752を保持し裏蓋742の後面に取付けられる回転角スイッチ基板753と、払出モータ744、球切れスイッチ750、計数スイッチ751、及び回転角スイッチ752と払出制御基板4110との接続を中継し裏蓋742の後面に取付けられる賞球ケース内基板754と、を備えている。
更に、賞球装置740は、賞球ケース内基板754を後側から覆い裏蓋742の後面に取付けられる基板カバー755と、第1ギア745、第2ギア746、第3ギア747(回転検出盤749)、及び回転角スイッチ基板753を後側から覆い裏蓋742を挟んでユニットベース741の後面に取付けられるギアカバー756と、ユニットベース741の供給通路741a内を流通する遊技球と接触可能な供給通路アース金具757と、モータ支持板743を挟んで払出モータ744をユニットベース741へ固定すると共に払出モータ744をアース接続するためのビス758と、裏蓋742をユニットベース741に対して着脱可能に支持する着脱ボタン759と、を備えている。
賞球装置740は、ユニットベース741の後側に裏蓋742が取付けられることで、供給通路741a、振分空間741b、賞球通路741c、及び球抜通路741dの開放された後端が閉鎖されるようになっている。また、ユニットベース741は、供給通路741aにおける上端よりも下の位置が、一旦、後方へ膨出した形状とされており、タンクレールユニット730から排出落下してきた遊技球の勢いを緩和させることができるようになっている。また、ユニットベース741は、供給通路741aにおける後方へ膨出した位置よりも下側の一方(背面視左側)の側面が部分的に切欠かれていると共に供給通路741aの切欠かれた位置の外側に球切れスイッチ750を取付けるためのスイッチ取付部741eと、賞球通路741cの途中に計数スイッチ751を取付けるためのスイッチ取付部741fと、賞球通路741cよりも下側で前後方向へ貫通するように形成され払出モータ744を挿通可能なモータ挿通孔741gと、を備えている。
このユニットベース741のスイッチ取付部741eに球切れスイッチ750を取付けることで、球切れスイッチ750の作動片が供給通路741aの側壁の一部を形成するようになっており、供給通路741a内に存在する遊技球によって作動片が押圧されることで球切れスイッチ750によって供給通路741a内の遊技球の有無を検出することができるようになっている。この球切れスイッチ750により供給通路741a内の遊技球が検出されていない状態(球切れの状態)では、払出モータ744が回転しないようになっていると共に、球切れであることが遊技者やホール側に報知されるようになっている。
また、ユニットベース741は、第2ギア746、及び第3ギア747(払出回転体748)を軸支するための軸受部741hと、供給通路741aにおけるスイッチ取付部741eと振分空間741bとの間に配置され供給通路アース金具757を取付けるためのアース金具取付部741iと、ユニットベース741の上部に配置され裏蓋742を着脱支持するための着脱ボタン759が支持されるボタン支持孔741jと、を備えている。このユニットベース741は、アース金具取付部741iに供給通路アース金具757を取付けることで、供給通路アース金具757の後面が供給通路741a内の遊技球と接触することができるようになっていると共に、供給通路アース金具757の前面がコ字状のアース金具782の下端後面と接触するようになっており、供給通路アース金具757を介して供給通路741a内を流通する遊技球の静電気を除去することができるようになっている。
賞球装置740の裏蓋742は、全体が縦長の板状とされ上端が後方へ膨出した形態とされている。裏蓋742の上部には、着脱ボタン759を挿通させるボタン挿通穴742aと、上下方向の略中央後面に賞球ケース内基板754及び基板カバー755を取付けるための中継基板取付部742bと、中継基板取付部742bの下側に配置され回転角スイッチ基板753を取付けるための回転角スイッチ基板取付部742cと、払出回転体748が通過可能な貫通孔742dと、を備えている。裏蓋742の中継基板取付部742bは、ユニットベース741のアース金具取付部741iの後側に位置するように形成されている。
また、賞球装置740のモータ支持板743は、本実施形態では、アルミ板とされており、払出モータ744の金属製のモータハウジングと接触するようになっており、払出モータ744で発生する熱を放熱し易くすることができるようになっている。
また、賞球装置740の払出回転体748は、図71に示すように、周方向に等間隔でそれぞれ一つの遊技球を収容可能な大きさの三つの凹部748aを備えており、払出回転体748が回転することで、供給通路741aから供給された遊技球が一つずつ凹部748aに収容されて、賞球通路741c又は球抜通路741d側へ払出すことができるようになっている。また、払出回転体748と一体回転する回転検出盤749に形成された3つの検出スリット749aは、回転検出盤749の外周に等分(120度ごと)に形成されるとともに、払出回転体748の凹部748a間と対応する位置にそれぞれ設けられており、検出スリット749aを回転角スイッチ752によって検出することで、払出回転体748の回転位置を検出することができるようになっている。なお、本実施形態では、回転検出盤749(払出回転体748)の各検出スリット749a間(120度)の回転は、払出モータ744の18ステップの回転に相当するように設計されている。
賞球装置740は、払出制御基板4110に、主制御基板4100からの払出コマンドやCRユニットからの貸出コマンド等が入力されたり、球抜スイッチ860bが操作されたりすることで払出モータ744が回転して、所定数の遊技球を遊技者側(上皿301)へ払出したり、遊技ホール側(パチンコ遊技機1の後側)へ排出したりすることができるようになっている。この払出モータ744の回転軸744aを回転駆動させると、回転軸744aに固定された第1ギア745を回転すると同時に、第1ギア745と噛合する第2ギア746が回転し、更に第2ギア746と噛合する第3ギア747が回転するようになっている。この第3ギア747には、前側に払出回転体748が、後側に回転検出盤749が、それぞれ一体回転可能に固定されており、第3ギア747と共に払出回転体748及び回転検出盤749が回転するようになっている。なお、第1ギア745、第2ギア746、第3ギア747には遊び(バックラッシュ)があるため、払出回転体748が時計方向又は反時計方向に回転することとなるものの、このバックラッシュによる払出回転体748の回転は、払出モータ744の約2ステップの回転に相当する程度となるように設計されている。
この賞球装置740は、図71に示すように、振分空間741bの略中央に払出回転体748が回転可能に軸支されている。そして、払出モータ744によって払出回転体748が背面視反時計周りの方向へ回転させられると、供給通路741a内の遊技球が、賞球通路741c側へ払出されるようになっており、払出回転体748の回転によって賞球通路741c側へ払出された遊技球は、計数スイッチ751によって一つずつ数えられた上で賞球ベース710の賞球通路715へ受け渡されるようになっている。一方、払出モータ744によって払出回転体748が背面視時計回りの方向へ回転させられると、供給通路741a内の遊技球が球抜通路741d側へ払出されるようになっており、払出回転体748によって球抜通路741d側へ払出された遊技球は、球抜通路741dの下端から後述する満タン分岐ユニット770の球抜通路778、本体枠ベース600の本体枠ベース球抜通路622、基板ユニット800における基板ユニットベース810の開口部812、及び電源基板ボックスホルダ840の排出通路842を介してパチンコ遊技機1の後側外部へと排出することができるようになっている。
次に、賞球ユニット700における満タン分岐ユニット770について、主に図67、図68及び図72を参照して説明する。賞球ユニット700における満タン分岐ユニット770は、賞球ベース710の下端に取付けられるものであり、賞球装置740の賞球通路741c側へ払出された遊技球を、皿ユニット300へ誘導することができると共に、皿ユニット300の上皿301において遊技球が満タンになると、皿ユニット300の下皿302に対して遊技球を払出すように振分けることができるものである。
この満タン分岐ユニット770は、前後方向の略中央上部に賞球ベース710の取付係止部716に係止される係止部770aと、後端上部に賞球ベース710の下端裏面に固定される固定部770bと、を備えている。満タン分岐ユニット770は、係止部770aを賞球ベース710の取付係止部716に、後側から係止させることで取付係止部716に対して吊持ちされた状態となり、賞球ベース710に対して固定部770bを所定のビスで固定することで、満タン分岐ユニット770を賞球ベース710の下端に取付固定することができるようになっている。
また、満タン分岐ユニット770は、図示するように、全体が後端から前端へ向かうに従って低くなるような箱状に形成されており、後端上部における左右方向の略中央に上方へ向かって開口し賞球ベース710の賞球通路715を流下してきた遊技球を受ける賞球受口771と、賞球受口771の下側に配置され左右方向へ広がった分岐空間772(図72を参照)と、分岐空間772における賞球受口771の直下から前側へ向かって遊技球を誘導する通常通路773(図72を参照)と、通常通路773を流通した遊技球を前方へ放出し前端の正面視右端に開口した通常球出口774と、分岐空間772における賞球受口771の直下よりも背面視右側へ離れた位置から前側へ向かって遊技球を誘導する満タン通路775(図72を参照)と、満タン通路775を流通した遊技球を前方へ放出し通常球出口774の正面視左側に開口した満タン球出口776と、を備えている。
更に、満タン分岐ユニット770は、後端上部の正面視左側端部に上方へ向かって開口し賞球装置740の球抜通路741dを流下してきた遊技球を受ける球抜受口777と、球抜受口777に受けられた遊技球を前側へ誘導する球抜通路778(図72を参照)と、球抜通路778を流通した遊技球を前方へ放出し正面視左端で通常球出口774及び満タン球出口776よりも後方の位置で開口した球抜出口779と、を備えている。
満タン分岐ユニット770は、本体枠3に対して扉枠5を閉じた状態とすると、通常球出口774及び満タン球出口776が、それぞれ扉枠5におけるファールカバーユニット540の第一球入口542a及び第二球入口542cと対向して連通するようになっており、通常球出口774から放出された遊技球は、ファールカバーユニット540の第一球入口542aを通って皿ユニット300の上皿301へ供給され、満タン球出口776から放出された遊技球は、ファールカバーユニット540の第二球入口542cを通って皿ユニット300の下皿302へ供給されるようになっている。また、球抜出口779は、本体枠ベース600における本体枠ベース球抜通路622の背面視右側上端と連通するように形成されており、球抜出口779から放出された遊技球が本体枠ベース600の本体枠ベース球抜通路622へ受け渡されるようになっている。
この満タン分岐ユニット770は、賞球装置740の賞球通路741c側へ払出された遊技球が、賞球ベース710の賞球通路715を介して賞球受口771で受取られるようになっており、賞球受口771へ進入した遊技球は、通常の状態では、分岐空間772を垂下して賞球受口771の直下に配置された通常通路773内へと流下する。そして、通常通路773内へ流下した遊技球は、通常球出口774からファールカバーユニット540の第一球入口542aに進入し、第一球通路542bを通って第一球出口544aから皿ユニット300の上皿301へ供給されることとなる。
ところで、皿ユニット300の上皿301が遊技球で満タンとなった状態で、更に賞球ユニット700(賞球装置740)から遊技球が払出されると、ファールカバーユニット540の第一球出口544aから上皿301側へ出られなくなった遊技球が、ファールカバーユニット540の第一球通路542b内で滞り、やがて、満タン分岐ユニット770における通常球出口774を通して上流の通常通路773内も一杯になる。この状態で、賞球受口771から分岐空間772内へ進入した遊技球は、通常通路773内へ進入することができず、分岐空間772内で横方向へ移動し始め、横方向へ移動した遊技球が満タン通路775内へ進入して、満タン球出口776からファールカバーユニット540の第二球入口542c、第二球通路542d、及び第二球出口544bを介して皿ユニット300の下皿302へ供給されるようになっている。
このように、満タン分岐ユニット770は、上皿301内で遊技球が満タンとなると、その満タンが解消されるまでは、賞球装置740から払出された遊技球を、自動的に下皿302へ供給させることができるので、従来のパチンコ遊技機のように上皿が満タンとなって上皿の球抜ボタンを操作することで遊技球が打球発射装置に供給されなくなって遊技球の打込が中断してしまうのを回避させることができ、遊技中の煩わしさを解消させて遊技に対する興趣が低下するのを抑制することができるようになっている。
満タン分岐ユニット770は、上述したように、上皿301が満タンとなると、賞球装置740の直下、つまり、パチンコ遊技機1の後部で払出される遊技球の通路を分岐させるようにしており、満タン分岐ユニット770の通常通路773内で滞留した遊技球は上皿301へ払出されるので、上皿301内の遊技球と通常通路773内の遊技球が打球発射装置650によって直接打ち込むことができる遊技球となり、上皿301における遊技球の貯留量は、実質的には、上皿301の容量と通常通路773の容量とを合わせた量となる。つまり、上皿301の容量を、従来のパチンコ遊技機における上皿の容量よりも小さくしても、通常通路773の容量が加えられるので、従来と同等量の遊技球を上皿301で貯留することができる。したがって、上皿301を小さくすることで相対的に扉枠5における遊技窓101を大きく(広く)することが可能となり、より広い遊技領域1100を備えたパチンコ遊技機1とすることができ、遊技する遊技者に対して訴求力の高いパチンコ遊技機1とすることができると共に、広い遊技領域1100により遊技者を楽しませることができるようになっている。
[4−5.球出口開閉ユニット]
次に、本体枠3における球出口開閉ユニット790について、主に図73乃至図75を参照して説明する。図73は、本体枠における球出口開閉ユニットの正面斜視図である。また、図74は、本体枠における球出口開閉ユニットの背面斜視図である。更に、図75は、本体枠における球出口開閉ユニットと扉枠におけるファールカバーユニットとの関係を示す説明図である。本実施形態の本体枠3における球出口開閉ユニット790は、本体枠ベース600の下部後壁部604における正面視左上端付近に形成された取付部624に取付けられるものであり、本体枠3に対して扉枠5が開いた時に、賞球ユニット700における満タン分岐ユニット770前端の通常球出口774と満タン球出口776とを閉鎖して、賞球ユニット700から扉枠5の皿ユニット300への遊技球の流れを遮断することができるものである。
この球出口開閉ユニット790は、本体枠ベース600の下部後壁部604における正面視左上端付近に形成された取付部624に下部後壁部604の上端よりも突出しないように取付けられるシャッターベース791と、シャッターベース791に上下方向へスライド可能に保持される板状の開閉シャッター792と、開閉シャッター792を上下方向へスライドさせる開閉クランク793と、開閉クランク793を介して開閉シャッター792が上昇するように付勢する開閉バネ794と、を備えている。
球出口開閉ユニット790のシャッターベース791は、開閉シャッター792がシャッターベース791の上端よりも上方へ突出するように上下方向へスライド可能に保持するための上下方向へ延びた一対のスライド溝791aと、一対のスライド溝791aの間で前後方向に貫通した矩形状の開口部791bと、正面視で左側端部前面に配置され開閉クランク793を前後方向へ延びた軸周りに回動可能に支持するクランク支持部791cと、開閉バネ794の一端(上端)を係止するバネ係止部791dと、を備えている。シャッターベース791のクランク支持部791cは、開口部791bの正面視左側に配置されていると共に、バネ係止部791dは、正面視で左右方向中央から左寄りの上部付近に配置されている。
また、球出口開閉ユニット790の開閉シャッター792は、平板状のシャッター本体792aと、シャッター本体792aの前面から突出しシャッターベース791のスライド溝791a内を摺動する一対の摺動突部(図示は省略)と、一対の摺動突部の間でシャッターベース791の開口部791bから臨む位置に配置され前後方向へ貫通した横長矩形状の駆動孔792bと、を備えている。
更に、球出口開閉ユニット790の開閉クランク793は、シャッターベース791のクランク支持部791cにより前後方向へ延びた軸周りに回動可能に支持される軸部793aと、軸部793aの正面視右側外周から右外方へ延出し先端が開口部791bの左右方向中央付近まで延出した駆動棹793bと、駆動棹793bの先端から後方へ突出し開閉シャッター792の駆動孔792b内に摺動可能に挿入される駆動ピン793cと、軸部793aの正面視下側外周から下方へ延出し先端が球形状とされた当接部793dと、駆動棹793bの途中上面に形成され開閉バネ794の他端(下端)を係止するバネ係止部793eと、を備えている。
球出口開閉ユニット790は、開閉クランク793が前後方向へ延びた軸回りに回動することで、開閉クランク793の駆動ピン793cが円弧状に上下方向へ回動すると同時に、駆動ピン793cが挿入された駆動孔792bを介して開閉シャッター792が上下方向へスライドするようになっている。この球出口開閉ユニット790は、本体枠3に対して扉枠5を閉じた状態では、開閉クランク793の当接部793dが扉枠5におけるファールカバーユニット540の開閉作動片542gと当接して、当接部793dが正面視で時計回りの方向へ開閉バネ794の付勢力に抗して回動させられるようになっており、当接部793dと共に駆動ピン793cが正面視時計回りの方向へ回動することで、開閉シャッター792が下降して満タン分岐ユニット770前端の通常球出口774と満タン球出口776とを開放させることができるようになっている。
この状態から本体枠3に対して扉枠5を開くと、開閉クランク793の当接部793dと、扉枠5におけるファールカバーユニット540の開閉作動片542gとの当接が解除され、開閉クランク793が開閉バネ794の付勢力によって正面視反時計周りの方向へ回動すると同時に、開閉シャッター792が上昇して、満タン分岐ユニット770前端の通常球出口774と満タン球出口776とを閉鎖することができるようになっている。
このように、本体枠3に対する扉枠5の開閉に応じて、球出口開閉ユニット790により賞球ユニット700における満タン分岐ユニット770前端の通常球出口774と満タン球出口776とを自動的に開閉させることができるので、満タン分岐ユニット770内に遊技球が残っている状態で扉枠5を開いても、通常球出口774や満タン球出口776から遊技球がこぼれてしまうのを防止することができるようになっている。
[4−6.基板ユニット]
次に、本体枠3における基板ユニット800について、主に図76乃至図80を参照して説明する。図76は、本体枠における基板ユニットの正面斜視図であり、図77は、本体枠における基板ユニットの背面斜視図である。また、図78は、基板ユニットを分解して前から見た分解斜視図である。更に、図79は、基板ユニットを分解して後から見た分解斜視図である。図80(A)は発射電源基板ボックスの正面図であり、(B)は(A)に示すA−A線の断面図である。
本体枠3における基板ユニット800は、本体枠ベース600の下部後壁部604の後面に取付けられる基板ユニットベース810と、基板ユニットベース810の正面視左側後面に取付けられるスピーカボックス820と、基板ユニットベース810の正面視右端後面に取付けられる発射電源基板ボックス830と、発射電源基板ボックス830を後側から囲うように基板ユニットベース810の後面に取付けられる電源基板ボックスホルダ840と、電源基板ボックスホルダ840の後面に取付けられ後端がスピーカボックス820の後端と略同一面状となる大きさに形成された電源基板ボックス850と、電源基板ボックス850及びスピーカボックス820の後面に取付けられる払出制御基板ボックス860と、払出制御基板ボックス860の正面視左側端部を覆うようにスピーカボックス820の後面に取付けられる端子基板ボックス870と、基板ユニットベース810の前面に取付けられる主扉中継端子板880及び周辺扉中継端子板882と、を備えている。
基板ユニット800における基板ユニットベース810は、図示するように、左右方向へ長く延びた形態とされ、左右方向の略中央部が下方へ一段下がり左右両端へ向かうに従って緩やかに上側へ傾斜し前面から前方へ突出した壁状の遮蔽壁部811と、遮蔽壁部811における左右方向中央の一段下がった位置の上側に配置され前後方向へ貫通した開口部812と、遮蔽壁部811の下側で正面視左端近傍の前面に形成され主扉中継端子板880及び周辺扉中継端子板882を取付けるための基板取付部813と、基板取付部813の正面視左側で前後方向へ横長の矩形状に貫通した筒状のダクト部814と、後面に固定されるスピーカボックス820の下部スピーカ821と対応する位置で前後方向に貫通する縦長スリット状の複数の透孔815と、背面視左側(正面視右側)上部の後面に後方及び上方へ開放され発射電源基板ボックス830の前側を収容可能なボックス収容部816と、を備えている。
この基板ユニットベース810は、遮蔽壁部811が、本体枠ベース600における下部後壁部604の後面に形成された本体枠ベース球抜通路622の下側に沿うように形成されており、本体枠ベース球抜通路622から遊技球が下方へ脱落するのを防止することができると共に、基板ユニットベース810の強度を高めることができるようになっている。また、基板ユニットベース810は、前後方向に貫通した開口部812を通して、本体枠ベース球抜通路622を流下してきた遊技球を基板ユニットベース810の後側に配置された電源基板ボックスホルダ840へ送ることができるようになっている。
また、基板ユニットベース810は、主扉中継端子板880及び周辺扉中継端子板882を取付ける基板取付部813が、本体枠ベース600における矩形状に開口した開口部614と対応した位置に配置されており、基板取付部813に主扉中継端子板880と周辺扉中継端子板882を取付けた状態では、本体枠ベース600の開口部614から主扉中継端子板880と周辺扉中継端子板882が前側へ臨むようになっている。また、基板ユニットベース810は、ダクト部814及び複数の透孔815によってスピーカボックス820の下部スピーカ821からの音を前側へ良好に伝達させることができるようになっている。
基板ユニット800におけるスピーカボックス820は、文字通り、前側を向いて取付けられた下部スピーカ821を備えている。このスピーカボックス820は、下部スピーカ821の後側を密閉状に覆うと同時に、正面視で下部スピーカ821の左側に横長矩形状の開放口822が形成されている。この開放口822は、詳細な図示は省略するが、所定の迷路状の通路を介して下部スピーカ821の後側の空間と連通することで、下部スピーカ821の後側の音の位相を反転させて前方へ放射するようにしており、下部スピーカ821の口径に対してより重低音を発することが可能なバスレフ型のスピーカボックスとされている。なお、基板ユニットベース810におけるダクト部814は、スピーカボックス820の開放口822と対応する位置に形成されており、開放口822から放射される音を前方へ良好に伝達させることができるようになっている。
基板ユニット800における発射電源基板ボックス830は、後方が開放された箱状に形成されており、その後端開口を閉鎖するように取付けられた発射電源基板831を備えている。この発射電源基板831には、DC/DCコンバータ831aと、DC/DCコンバータ831aからの電力を充電及び放電する電解コンデンサSC0と、を備えており、DC/DCコンバータ831aからの電流と電解コンデンサSC0からの放電による電流とを併合した併合電流を打球発射装置650の発射ソレノイド654に電流を流して駆動している。この発射電源基板ボックス830は、発射電源基板831に実装されるDC/DCコンバータ831a及び電解コンデンサSC0が発する熱を外部へ放出するために、その上面及び下面に放熱孔としてのスリット830aが形成されている。電解コンデンサSC0はDC/DCコンバータ831aと比べて熱によって破損しやすい電子部品であるため、電解コンデンサSC0が配置される発射電源基板ボックス830の側面には放熱孔としてのスリット830aが形成されている。また発射電源基板ボックス830には、その内部空間を、DC/DCコンバータ831aを収容するための空間と、電解コンデンサSC0を収容するための空間と、の2つの空間に仕切る仕切壁830bが上面内壁と下面内壁とを接続するように底面から端開口縁まで一体に形成されている。これにより、発射電源基板ボックス830の端開口に発射電源基板831を取り付けて発射電源基板ボックス830の内部空間を閉鎖すると、発射電源基板ボックス830の内部空間が仕切壁830bによって、電解コンデンサSC0を収容するための収容空間830cと、DC/DCコンバータ831aを収容するための収容空間830dと、の2つ空間が形成されるため、仕切壁830bは、電解コンデンサSC0を収容するための収容空間830cと、DC/DCコンバータ831aを収容するための収容空間830dと、の熱の出入りを遮断する断熱壁として機能している。電解コンデンサSC0が収容された収容空間830c内の熱は、つまり電解コンデンサSC0が発する熱は、収容空間830cと外気とを連通する、上面、側面、及び下面にそれぞれ形成された放熱孔としてのスリット830aを介して、外部へ放出されることにより、この放出される熱をDC/DCコンバータ831aが収容される収容空間830dへ入り込ませないようにすることができる。したがって、電解コンデンサSC0が発する熱をDC/DCコンバータ831aへ伝えないようにすることができる。また、DC/DCコンバータ831aが収容された収容空間830d内の熱は、つまりDC/DCコンバータ831aが発する熱は、収容空間830dと外気とを連通する上面及び下面にそれぞれ形成された放熱孔としてのスリット830aを介して、外部へ放出されることにより、この放出される熱を電解コンデンサSC0が収容される収容空間830cへ入り込ませないようにすることができる。したがって、DC/DCコンバータ831aが発する熱を電解コンデンサSC0へ伝えないようにすることができる。
本実施形態では、打球発射装置650の発射ソレノイド654に流す併合電流を作成するためのDC/DCコンバータ831a及び電解コンデンサSC0が電源基板851に設けられるのではなく、電源基板851と別体の発射電源基板831に設けられることにより発射電源基板831のサイズを電源基板851のサイズと比べて小さくすることができる。発射電源基板831の小型化により取り扱え易くなって発射電源基板831の交換作業が容易となりその交換作業に費やす時間の短縮化に寄与することができる。この交換作業では、発射電源基板ボックス830の端開口に発射電源基板831が取り付けたままの状態、つまり発射電源基板ボックス830ごと、交換することもできる。またパチンコ遊技機1が稼働されて電解コンデンサSC0がその寿命を迎え、発射ソレノイド654による駆動発射が突然発射不能となって遊技を中断せざるを得なくなっても、発射電源基板831の交換作業が容易に行えることにより遊技の中断を早い段階で解消することができる。したがって、電解コンデンサSC0の寿命による発射不能を極めて簡単に解消することができるとともに、その発射不能による遊技の中断を早い段階で解消して遊技を再開することができる。
発射電源基板831の電解コンデンサSC0は、発射ソレノイド654による駆動発射が行われるごとに、例えば、1分当たりに100回という頻度において、充放電が繰り返し行われることにより劣化して寿命を迎えるのに対して、電源基板851は、パチンコ島設備の交流電源から直流電源を作成するものの、発射電源基板831の電解コンデンサSC0と同様の頻度で充放電が繰り返し行わるものではないため、発射電源基板831と比べると、その寿命は極めて長い。換言すると、発射電源基板831は、電解コンデンサSC0の充放電にともなう劣化によって寿命を迎えるのに対して、電源基板851は、経年変化によって寿命を迎える。発射ソレノイド654に流す併合電流を作成するためのDC/DCコンバータ831a及び電解コンデンサSC0が電源基板851に設けられるのではなく、電源基板851と別体の発射電源基板831に設けられることにより、寿命の長い経年変化にともなう電子部品を電源基板851に集中させることができる。これにより、寿命の長い経年変化にともなう電子部品が寿命の短い電解コンデンサSC0と一緒に交換されることを防止することができる。
また、基板ユニット800における電源基板ボックスホルダ840は、正面視で左右中央よりも左側前面に、上方へ開放され遊技盤4のアウト球排出部1161から排出された下方へ排出された遊技球を受ける排出球受部841と、排出球受部841で受けられた遊技球を下方へ誘導して排出する排出通路842と、排出通路842及び排出球受部841の横(正面視で右側)の前面に前方及び上方へ開放され発射電源基板ボックス830の後側を収容可能な前ボックス収容部843と、電源基板ボックスホルダ840の後面全体が前側へ窪んだように形成され電源基板ボックス850の前端を収容可能な後ボックス収容部844と、を備えている。
この電源基板ボックスホルダ840は、排出通路842の開放された前端側が基板ユニットベース810の後面によって閉鎖されるようになっていると共に、基板ユニットベース810の開口部812が排出通路842へ望む位置に形成されており、本体枠ベース600における下部後壁部604の後面に形成された本体枠ベース球抜通路622を流通して基板ユニットベース810の開口部812を通って基板ユニットベース810の後側へ流下した遊技球と、詳細は後述するが遊技盤4のアウト球排出部1161から排出されて排出球受部841で受けられた遊技球とを、排出通路842を通してパチンコ遊技機1の後側下方へ排出することができるようになっている。
更に、基板ユニット800における電源基板ボックス850は、前方が開放された横長の箱状に形成されており、その前端開口を閉鎖するように取付けられた電源基板851を備えている。この電源基板ボックス850は、電源基板851に取付けられた各種電子部品が収容されるようになっており、上面及び下面に形成された複数のスリット850aを介して、電子部品等からの熱を外部へ放出することができるようになっている。なお、図79に示すように、電源基板ボックス850の後面には、電源基板851に取付けられた電源スイッチ852が臨むようになっている。
この電源基板ボックス850及び電源基板ボックスホルダ840は、互いに組付けた状態における前後方向の寸法が、スピーカボックス820の前後方向の寸法と略同じとなるように形成されており、基板ユニットベース810に取付けると、電源基板ボックス850の後面と、スピーカボックス820の後面とが略同一面状となるようになっている。
また、基板ユニット800における払出制御基板ボックス860は、横長で後方が開放された薄箱状のボックスベース861と、ボックスベース861内へ後側から嵌合し前方が開放された薄箱状のカバー862と、ボックスベース861の後面に取付けられカバー862によって後面が覆われる払出制御基板4110(図97を参照)と、を備えている。また、払出制御基板ボックス860は、背面視左端から外方へ突出しボックスベース861及びカバー862の双方に形成された複数の分離切断部863を備えており、複数の分離切断部863の一箇所でボックスベース861とカバー862とがカシメ固定されている。これによってボックスベース861とカバー862とを分離するためには、分離切断部863を切断しないと分離できないようになっており、払出制御基板ボックス860を開くと、その痕跡が残るようになっている。したがって、払出制御基板ボックス860が不正に開閉させられたか否かが判るようになっている。なお、本実施形態では、検査等のために払出制御基板ボックス860を一回だけ開閉することができるようになっている。
この払出制御基板ボックス860は、払出制御基板4110に取付けられたエラー解除スイッチ860a、球抜スイッチ860b、検査用出力端子860c、等がカバー862を通して後方へ臨むようになっている(図56を参照)。また、払出制御基板ボックス860は、主制御基板4100等と接続するための各種接続用の端子が、カバー862を通して後方へ臨むようになっている。
更に、基板ユニット800における端子基板ボックス870は、スピーカボックス820の後面に取付けられる基板ベース871と、基板ベース871の後面に取付けられ後方へ向かって周辺パネル中継端子872が固定された枠周辺中継端子板868と、基板ベース871の後面に取付けられ後方へ向かってCRユニット中継端子873が固定された遊技球等貸出装置接続端子板869と、周辺パネル中継端子872とCRユニット中継端子873とが後側へ臨むように基板ベース871の後側を覆う基板カバー874と、を備えている。周辺パネル中継端子872は、パチンコ遊技機1を設置するパチンコ島設備側に備えられたパチンコ遊技機1の稼動状態等を表示するための度数表示器と接続するためのものであり、CRユニット中継端子873は、パチンコ遊技機1と隣接して設置されるCRユニットと接続するためのものである。
また、基板ユニット800における主扉中継端子板880及び周辺扉中継端子板882は、本体枠3に取付けられる遊技盤4に備えられた周辺制御基板4140や基板ユニット800の払出制御基板4110等と、扉枠5に備えられたハンドル装置500、各装飾基板や操作ユニット400等との接続を中継するためのものである。これら主扉中継端子板880及び周辺扉中継端子板882は、基板ユニットベース810の前面に形成された基板取付部813に取付けることで、本体枠ベース600の前面から前側へ臨むようになっており、扉枠5から延びだした配線を接続することができるようになっている。
なお、主扉中継端子板880及び周辺扉中継端子板882は、本体枠ベース600の前面に取付けられる中継端子板カバー692によってその前側が覆われるようになっていると共に、中継端子板カバー692の開口692aを通して、接続端子のみが前側へ臨むようになっており、本体枠3の前面がすっきりした外観となるようになっている(図55等を参照)。
また、主扉中継端子板880は、扉枠5側に配置される皿ユニット300における貸球ユニット360の貸球ボタン361、返却ボタン362、貸出残表示部363、ハンドル装置500のポテンショメータ512、タッチスイッチ516、発射停止スイッチ518、及びファールカバーユニット540の満タンスイッチ550と、本体枠3側に配置される払出制御基板4110との接続を中継するためのものである。また、周辺扉中継端子板882は、扉枠5側に配置される各装飾ユニット200,240,280及び皿ユニット300や操作ユニット400に備えられた各装飾基板430,432、及び操作ユニット400に備えられたダイヤル駆動モータ414やスイッチ432a,432b,432cと、本体枠3側に配置される遊技盤4の周辺制御基板4140との接続を中継するためのものである。
[4−7.裏カバー]
続いて、本体枠3における裏カバー900について、図81を参照して説明する。図81(A)は本体枠における裏カバーの正面斜視図であり、(B)は本体枠における裏カバーの背面斜視図である。本体枠3における裏カバー900は、本体枠3における遊技盤4を保持するための遊技盤保持口601(本体枠3に取付けられた遊技盤4)の後側を開閉可能に被覆するものである。この裏カバー900は、遊技盤保持口601の後側開口を閉鎖する板状の本体部902と、本体部902の正面視右辺から前方へ延出する側部904と、側部904の前端に上下方向へ並んで複数配置され下方へ向かって突出し本体枠ベース600の裏カバー軸支部623に軸支される軸支ピン906と、本体部902の正面視左辺上部と下部にそれぞれ形成され賞球ベース710の裏カバー係合溝718と賞球通路蓋780の裏カバー係合溝780aとにそれぞれ係合する係合片908と、を備えている。
また、裏カバー900は、本体部902の正面視右側下端に上方へ矩形状に切欠かれた接続用切欠部910と、接続用切欠部910の正面視左側で下辺に沿って横長矩形状に貫通した確認用開口部912と、本体部902の正面視左下隅部に矩形状に切欠かれた確認用切欠部914と、を備えている。
裏カバー900は、軸支ピン906を本体枠ベース600の裏カバー軸支部623に軸支させることで、本体枠3における遊技盤保持口601の後側開口を開閉することができ、係合片908を本体枠ベース600及び賞球通路蓋780の裏カバー係合溝718,780aに係合させることで、閉じた状態とすることができるようになっている。なお、詳細な図示は省略するが、裏カバー900の正面視左辺は、係合片908と裏カバー係合溝718,780aとの係合の他に、所定のビスによって賞球ユニット700の後面に固定されるようになっている。
また、裏カバー900は、本体枠3に対して閉じた状態で、接続用切欠部910を通して遊技盤4における主制御基板ボックス1170のRAMクリアスイッチ4100eや試験用端子4100f等が後側へ臨むようになっている。また、裏カバー900は、確認用開口部912を通して、主制御基板ボックス1170の密封シール(図示は省略)が後側へ臨むようになっていると共に、確認用切欠部914を通して主制御基板ボックス1170の封止部1176が臨むようになっている。これにより、裏カバー900を本体枠3に対して開かなくても、主制御基板ボックス1170及び主制御基板4100の作動確認や外観確認を行うことができるようになっている。
また、裏カバー900は、本体部902及び側部904に細長く貫通した複数のスリット916が形成されており、これらスリット916を通して遊技盤4等で発生した熱を本体枠3(パチンコ遊技機1)の後側外部へ排出することができるようになっている。
[4−8.側面防犯板]
次に、本体枠3における側面防犯板950について、主に図59及び図60を参照して説明する。本体枠3における側面防犯板950は、図示するように、正面視における本体枠3の左側面を形成するものであり、本体枠ベース600に取付けられるようになっている。この側面防犯板950は、平面視で浅いコ字状に押出し成形された金属製の本体952と、本体952の内側前端付近の上下に固定され本体枠ベース600の前面に取付けられる取付金具954と、本体952の内側に固定され遊技盤4の位置決め凹部1119と係合する位置決め部材956と、を備えている。
この側面防犯板950の本体952は、本体枠ベース600の高さと略同じ長さで上下方向へ延びると共に前後方向が略一定奥行きとされた側板片952aと、側板片952aの前端から正面視右方向へ延出した前端片952bと、前端片952bの後側に所定量の隙間を形成するように配置され前端片952bよりも突出量の少ない中片952cと、側板片952aの後端から正面視右方向へ前端片952bよりも長く延出した後端片952dと、を備えている。この本体952は、側板片952a、前端片952b、及び後端片952dによって浅いコ字状に形成されている。
側面防犯板950は、取付金具954が本体枠ベース600の前面に取付けられると共に、本体952の後端片952dが本体枠ベース600の後面に取付けられるようになっている。この側面防犯板950は、本体枠3に対して扉枠5を閉じた状態とすると、本体952の前端片952bが、扉枠5の補強ユニット150における軸支側補強板金152の軸支側コ字状突片166のコ字内に挿入されるようになっており、正面視左側において本体枠3と扉枠5との間に不正行為を行うための工具が挿入されるのを防止することができるようになっている。また、側面防犯板950の本体952は、金属(例えば、アルミ合金)の押出型材とされていると共に、側板片952aの面に対して直角方向へ配置された前端片952b、中片952c、及び後端片952dを備えているので、側面防犯板950の強度・剛性が高められており、本体枠3全体の強度を高めて遊技盤4や扉枠5等を良好に支持することができるようになっている。
[4−9.錠装置]
続いて、本体枠3における錠装置1000について、主に図82乃至図86を参照して説明する。図82(A)は本体枠における錠装置の左側面図であり、(B)は本体枠における錠装置を前から見た斜視図である。また、図83(A)は錠装置の背面斜視図であり、(B)は錠装置のコ字状基体の内部に摺動自在に設けられるガラス扉枠用摺動杆と本体枠用摺動杆を示す背面斜視図であり、(C)は(B)の正面斜視図である。更に、図84は、錠装置を分解して後から見た分解斜視図であり、図85は、錠装置におけるガラス扉枠用摺動杆と本体枠用摺動杆の動作を示す説明図であり、図86は、錠装置における不正防止部材の動作を示す説明図である。
本体枠3における錠装置1000は、本体枠3の本体枠ベース600における周壁部605の開放側の外側側面に沿って本体枠3の略上端から下端にかけて取付けられるものであり、図61に示すように、本体枠ベース600における前端枠部602の正面視右側(開放側)辺の上部に形成された扉用フック穴620及び下部に形成された錠係止穴621と、本体枠ベース600における周壁部605の正面視右側側面に複数形成された錠取付部625と、に取付られるようになっている。
図82乃至図84に示すように、錠装置1000は、断面コ字状に形成される錠基体としてのコ字状基体1001と、コ字状基体1001内に摺動自在に設けられる扉枠用摺動杆1040と、コ字状基体1001内に摺動自在に設けられる本体枠用摺動杆1050と、本体枠用摺動杆1050の摺動を不正に行うことができないようにコ字状基体1001の下部に取付けられる不正防止部材1023,1032と、を備えている。
錠装置1000におけるコ字状基体1001は、所定の金属板を断面コ字状となるように折曲成形したものであり、その内部に扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050とが摺動可能に配置されるようになっている。なお、コ字状基体1001は、その横幅寸法が従来の断面L字状に成形された基体に集約された錠装置に比べて極めて薄いものとなっている。これにより、錠装置1000の左右方向の寸法を可及的に薄くすることが可能となり、相対的に本体枠3における遊技盤保持口601の左右方向の寸法を大きくすることができ、より遊技領域1100の広い遊技盤4を備えることができるようになっている。
このコ字状基体1001は、断面コ字状の開放側が本体枠ベース600の裏面と対面した状態で取付けられるようになっており、錠装置1000を本体枠3に取付けた状態では、コ字状基体1001の開放側が本体枠ベース600に閉鎖されるようになっている。これにより、コ字状基体1001の内部に配置された扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050とが、それぞれのフック部1041、1054,1065を除いてコ字状基体1001に完全に被覆された状態となり、外部から錠装置1000に対して不正行為を行い難い不正防止構造となっている。
また、錠装置1000におけるコ字状基体1001は、その開放側(後側)と反対の閉塞側(前側)上下に本体枠用摺動杆1050のフック部1054,1065が貫通可能な長方形状のフック貫通開口1002と、前側における本体枠ベース600の周壁部605と接する側面1001b(図84を参照)の上部と中程に外方へ向かって突設されたビス止め部1003と、ビス止め部1003が突設された側面1001bとは反対側の側面1001a(図84を参照)の開放側(前側)の上端部と中間部、及び開放側の両側面1001a,1001bの下端部から前方へ突出した係止突起1004と、を備えている。
コ字状基体1001のビス止め部1003と係止突起1004は、錠装置1000を本体枠ベース600の裏面に取付けるためのものであり、係止突起1004を本体枠ベース600の扉用フック穴620及び錠係止穴621に後側から挿入した上で、上方へ移動させると、ビス止め部1003と本体枠ベース600の錠取付部625とが一致するようになっており、ビス止め部1003を介して図示しないビスを錠取付部625へ螺着することで、錠装置1000を本体枠ベース600(本体枠3)に強固に固定することができるようになっている。
なお、錠装置1000のビスによる取付けは、上部と中程のビス止め部1003だけではなく、後述する錠取付片1008に形成されたビス止め部1003と、シリンダ錠貫通穴611の上方近傍に形成された錠取付部625と、においても図示しないビスで本体枠ベース600に止着されるようになっており、錠装置1000の下方も取付けられるようになっている。
また、錠装置1000の取付けに際し、コ字状基体1001の開放側(前側)の上中下の3箇所に形成された係止突起1004を、上中の扉用フック穴620と錠係止穴621とに挿入して位置決め係止すると共に、コ字状基体1001のビス止め部1003を錠取付部625にビスで固定する構造としているので、極めて簡単な構造で錠装置1000を本体枠ベース600(本体枠3)に強固に固定することができるようになっている。
換言すると、錠装置1000を極めて横幅寸法の薄いコ字状基体1001に集約して構成した場合でも、錠装置1000の前側及び後側の係止及び固定により、錠装置1000を本体枠3に強固に固定することができるものである。特に、本実施形態の場合には、前側の係止構造(固定構造でもよい)を構成する係止突起1004がコ字状基体1001の周壁部605と接しない側面1001aに突設した上で、後側の固定構造を構成するビス止め部1003がコ字状基体1001の周壁部605と密する側面1001bから周壁部605側へ突設した構造としているので、前側の係止構造が周壁部605と密する側面1001bに形成した場合と比較して、ガタ付きが生じないように錠装置1000を本体枠3に固定することができるようになっている。
また、コ字状基体1001は、その両側面1001a,1001bの上部、中程、下部に左右方向へ貫通した挿通穴1005を備えており、コ字状基体1001に扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050を収納した状態で挿通穴1005にリベット1006を差込んでかしめることで、コ字状基体1001の内部に扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050を上下方向へ摺動自在に取付けることができるようになっている。
つまり、図83(C)に示すように、扉枠用摺動杆1040の上中下の3箇所に形成されたリベット用長穴1042の上端部にリベット1006が貫通していると共に、図83(B)に示すように、本体枠用摺動杆1050の上フック部材1051及び下フック部材1052にそれぞれ一つずつ形成されたリベット用長穴1055,1061の下端部にリベット1006が貫通しており、扉枠用摺動杆1040を上方に、本体枠用摺動杆1050を下方に移動させることができるようになっている。
更に、コ字状基体1001は、その下部の閉塞側面に形成された不正防止切欠部1007と、開放側の本体枠ベース600における周壁部605と接する側面1001bの前端から側方へ向かって突設されシリンダ錠1010を取付けるための錠取付片1008と、周壁部605と接する側面1001bに挿入縦開口1020、バネ係止片1021、及び逃げ横穴1022と、がそれぞれ形成されている。コ字状基体1001の不正防止切欠部1007は、詳細は後述するが、第一不正防止部材1023のストッパ片部1027が進退するようになっている。また、コ字状基体1001の錠取付片1008は、錠装置1000を本体枠ベース600の裏面に取付けた状態で、遊技盤保持口601の下端辺よりも下方の位置となるように側面1001bの前端部から側方に向かって突設されており、シリンダ錠1010が貫通する錠挿通穴1009と、シリンダ錠1010の錠取付基板1011に形成された取付穴1013をビス1012で取付けるため上下2箇所に穿設された取付穴1014と、錠装置1000の下部を本体枠3の裏面に取付けるために穿設されたビス止め部1003と、が形成されている。
また、コ字状基体1001は、シリンダ錠1010に固定される係合カム1016の第一係合突片1017及び第二係合突片1018がシリンダ錠1010の回動時に侵入する挿入縦開口1020と、第二不正防止部材1032を上方へ付勢するバネ1035を係止するためのバネ係止片1021と、連結ピン1034の移動の邪魔をしないように逃げ穴を形成する逃げ横穴1022と、を備えている。
錠装置1000におけるシリンダ錠1010は、コ字状基体1001における錠取付片1008に取付けられるものである。このシリンダ錠1010は、円筒状のシリンダ錠本体の後端に錠取付片1008へ取付けるための錠取付基板1011が固定されており、錠取付基板1011の後面からシリンダ錠本体の錠軸1015が延びだしていると共に、錠軸1015の後端にビス1019によって係合カム1016が固定されている。この係合カム1016は、ブーメラン形状に形成され、一端辺が回動時に本体枠用摺動杆1050の下降係合穴1062に係合する第一係合突片1017とされていると共に、他端辺が回動時に扉枠用摺動杆1040の上昇係合穴1045に係合する第二係合突片1018とされている。
このシリンダ錠1010は、円筒状のシリンダ錠本体部分を錠取付片1008に形成された錠挿通穴1009に後側から挿通した上で、錠取付基板1011の上下2箇所に形成された取付穴1013を通して錠取付片1008の取付穴1014へビス1012を螺着することで、シリンダ錠1010をコ字状基体1001に固定することができるようになっている。
錠装置1000のコ字状基体1001に取付けられる不正防止部材1023,1032は、シリンダ錠1010を正式な鍵で回動させずに、例えばピアノ線や針金等で不正に本体枠用摺動杆1050を下降させることを防止するためのものである。この不正防止部材1023,1032は、図84に示すように、第一不正防止部材1023と第二不正防止部材1032とを連結ピン1034で連結した構造となっている。第一不正防止部材1023は、縦長の板状で上端の揺動軸穴1025を中心にしてコ字状基体1001に揺動自在に支持されるようになっている。具体的には、この第一不正防止部材1023は、その揺動軸穴1025を通して、コ字状基体1001の内部に配置される扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050と共に最下方の挿通穴1005及びリベット1006によって取付けられるようになっている。
また、第一不正防止部材1023は、その板状面にコ字状基体1001の挿入縦開口1020と重複する位置で縦長に開口し係合カム1016の第二係合突片1018が挿入可能とされた突片挿入穴1026を備えている。この突片挿入穴1026と挿入縦開口1020とを、係合カム1016の第二係合突片1018が貫通することで、コ字状基体1001の内部に設けられた扉枠用摺動杆1040の上昇係合穴1045と第二係合突片1018とが係合するようになっている。また、第一不正防止部材1023は、突片挿入穴1026の前斜め上方の外辺に、係合カム1016の回動時に第一係合突片1017の後面側と当接可能な斜めに傾斜した傾斜部1024を備えており、この傾斜部1024が、係合カム1016の回動時に第一係合突片1017と当接することで、第一不正防止部材1023が揺動軸穴1025を中心として揺動(図86(B)において時計回転方向)するようになっている。
更に、第一不正防止部材1023は、突片挿入穴1026の斜め後下方の外辺からコ字状基体1001側へ向かって突出したストッパ片部1027と、ストッパ片部1027が突出した位置から更に下方へ突出した規制突片1031と、規制突片1031の前側に左右方向へ貫通し上下に配置されたピン穴1029及び連結穴1030と、を備えている。この第一不正防止部材1023のストッパ片部1027は、本体枠用摺動杆1050の施錠時に、不正防止切欠部1007及び本体枠用摺動杆1050の係合切欠部1066に侵入係合させることで、本体枠用摺動杆1050が不正に摺動しないようにすることができるようになっている。また、第一不正防止部材1023の規制突片1031は、バネ1035によって上方へ付勢された第二不正防止部材1032と当接することで、第二不正防止部材1032が上方(付勢方向)へ移動するのを規制することができるようになっている。
また、第一不正防止部材1023のピン穴1029は、ガイドピン1028が第一不正防止部材1023の裏面側から挿入固定されるようになっており、ピン穴1029に固定されたガイドピン1028を、コ字状基体1001における挿入縦開口1020の最下端部に形成された横長状開口部に係合させることで、第一不正防止部材1023をコ字状基体1001の側面1001bに沿って案内することができるようになっている。更に、第一不正防止部材1023の連結穴1030は、連結ピン1034によって、第一不正防止部材1023と第二不正防止部材1032とを回動可能に連結するためのものである。
一方、第一不正防止部材1023に連結される第二不正防止部材1032は、逆「て」字状の板材で形成され、その上部一端に連結穴1033と、上部他端にバネ係止穴1036とがそれぞれ穿設されていると共に、下方端部に当接部1037が備えられている。第二不正防止部材1032は、連結穴1033を第一不正防止部材1023の連結穴1030と合わせた上で連結ピン1034を挿入することで第一不正防止部材1023と相対回転可能に連結することができるようになっている。また、第二不正防止部材1032は、バネ係止穴1036に、上端(一端)がコ字状基体1001のバネ係止片1021に係止されたバネ1035の下端(他端)を係止させることで、バネ1035によって上方へ付勢されるようになっている。更に、第二不正防止部材1032は、当接部1037が、本体枠3の閉鎖時に外枠2の内側下部に固定された閉鎖板25と当接するようになっている。
次に、錠装置1000における扉枠用摺動杆1040は、コ字状基体1001の内部に摺動自在に支持され、縦長の金属製の板状部材によって形成されている。この扉枠用摺動杆1040は、その一側縦辺の上中下の3箇所に前方へ向かって突出する扉枠用フック部1041を備えている。扉枠用摺動杆1040の扉枠用フック部1041は、コ字状基体1001内に扉枠用摺動杆1040を収納した状態で、コ字状基体1001の開放側から前方に突出するようになっており、錠装置1000を本体枠ベース600の裏面に固定した時に、本体枠ベース600に形成された扉用フック穴620(図57及び図61等を参照)から前方に突出して、扉枠5の裏面に形成されるフックカバー165(図18を参照)に係止することができるようになっている。なお、扉枠用フック部1041は、図示するように、下向きの係合爪形状となっており、これにより、扉枠用摺動杆1040を上昇させることで扉枠用フック部1041とフックカバー165との係止状態を解除することができるようになっている。
また、扉枠用摺動杆1040は、上中下の側面中央に穿設されリベット1006が挿通される縦長のリベット用長穴1042と、最上部のリベット用長穴1042の下方及び扉枠用摺動杆1040の最下端に扉枠用摺動杆1040の面に対して直角方向へ突出したガイド突片1043と、を備えている。この扉枠用摺動杆1040のリベット用長穴1042は、コ字状基体1001の挿通穴1005に挿通されるリベット1006が挿通されるようになっていると共に、リベット1006が扉枠用摺動杆1040の上昇動作を邪魔しないように縦長に形成されている。なお、通常状態では、リベット用長穴1042の上端部に貫通したリベット1006が当接した状態となっている。また、扉枠用摺動杆1040は、ガイド突片1043が、本体枠用摺動杆1050の上フック部材1051及び下フック部材1052に形成された突片移動穴1056,1064に挿通されるようになっており、扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050との相互の摺動動作を案内することができるようになっている。
また、扉枠用摺動杆1040は、上端部にスプリング1048の一端を係止するスプリングフック部1046が形成されている。このスプリングフック部1046に係止されたスプリング1048の他端は、本体枠用摺動杆1050における上フック部材1051のスプリングフック部1057に係止されており、スプリング1048によって、扉枠用摺動杆1040が下方向に、本体枠用摺動杆1050が上方向に、それぞれ相互に付勢されるようになっている。また、扉枠用摺動杆1040は、上下方向の中程に凸状に形成された当接弾性片1047を備えており、扉枠用摺動杆1040の一側側面からプレス成形により打ち出して凸状に形成されている。この当接弾性片1047は、コ字状基体1001の内側面に当接するようになっており、コ字状基体1001の内部で扉枠用摺動杆1040がガタ付くのを抑制することができるようになっている。
更に、扉枠用摺動杆1040は、下方部分の側面に縦長な遊び穴1044と、上昇係合穴1045と、を備えている。この遊び穴1044は、係合カム1016の第一係合突片1017が差し込まれて回動する時に、係合カム1016の回動動作の邪魔にならないように第一係合突片1017の先端部が移動可能な空間を構成するものである。また、上昇係合穴1045は、係合カム1016の第二係合突片1018が差し込まれて回動する時に、係合カム1016の回動動作によって扉枠用摺動杆1040が上昇するように係合するためのものである。なお、扉枠用摺動杆1040は、縦辺下部後方に、不正防止切欠部1007よりも上下方向に大きく切欠いた逃げ切欠部1049を備えている。この逃げ切欠部1049は、第一不正防止部材1023のストッパ片部1027が、確実に不正防止切欠部1007及び係合切欠部1066に係合するように、扉枠用摺動杆1040が邪魔にならないように該当部分を切欠いたものである。
一方、本体枠用摺動杆1050は、金属板製の上フック部材1051と、金属板製の下フック部材1052と、上フック部材1051と下フック部材1052とを連結する連結線杆1053と、を備えている。つまり、本体枠用摺動杆1050は、従来のように1つの金属製の縦長板で構成されておらず、フック部1054,1065を有する上フック部材1051と下フック部材1052とを金属製の板材をプレスで形成し、その金属製の上フック部材1051と下フック部材1052とを細い金属製の連結線杆1053で連結したものである。これにより、狭いコ字状基体1001の空間に扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050とを効率よく収納することができるようになっている。
この本体枠用摺動杆1050の上フック部材1051は、上端部に後方に向かって形成されたフック部1054と、フック部1054に隣接した板面部に左右方向へ貫通したリベット用長穴1055と、リベット用長穴1055の下方に左右方向へ貫通した突片移動穴1056と、突片移動穴1056の前方の縦辺下端部に形成されたスプリングフック部1057と、スプリングフック部1057の下側に穿設された連結穴1058と、上フック部材1051の上辺及び下辺に形成された当接部1059と、を備えている。この上フック部材1051のフック部1054は、コ字状基体1001の上方のフック貫通開口1002を貫通して外枠2の開放側内側の上部に備えられた閉鎖板24に係合するようになっており、上向きに係止爪部が形成されている。
また、上フック部材1051のこのリベット用長穴1055は、扉枠用摺動杆1040の上部に形成されたリベット用長穴1042に対応する位置に配置されており、このリベット用長穴1055にリベット1006が貫通した通常の状態では、リベット1006がリベット用長穴1055の最下端部を貫通した状態となり、上フック部材1051が下方へ向かって移動することができるようになっている。上フック部材1051の突片移動穴1056は、扉枠用摺動杆1040の上方のガイド突片1043が挿入されるようになっており、扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050との相互の移動を案内することができるようになっている。
また、上フック部材1051のスプリングフック部1057は、スプリング1048の他端が係止されるようになっている。また、上フック部材1051の連結穴1058は、連結線杆1053の上端が折り曲げられて挿入されるようになっている。更に、上フック部材1051の当接部1059は、コ字状基体1001に収納された時に、コ字状基体1001の内部側壁に当接するようになっており、上フック部材1051の摺動動作においてガタ付きがなくスムーズに摺動することができるようになっている。
一方、本体枠用摺動杆1050の下フック部材1052は、下端部から後方に向かって突設されたフック部1065と、下フック部材1052の板面部の上端付近で左右方向へ貫通したリベット用長穴1061と、リベット用長穴1061の下側に配置された下降係合穴1062と、下降係合穴1062の下部後側から下方へ延出した遊び穴1063と、遊び穴1063の下方で下端付近に形成された突片移動穴1064と、下フック部材1052の縦辺上端部の前端側に穿設された連結穴1060と、下フック部材1052の後方の縦辺下部に形成された係合切欠部1066と、下フック部材1052の上辺及び下辺に形成された当接部1067と、を備えている。
この下フック部材1052のフック部1065は、コ字状基体1001の下方のフック貫通開口1002を貫通して外枠2の開放側内側の下部に形成された閉鎖板25と係合するようになっており、上向きに係止爪部が形成されている。また、下フック部材1052のリベット用長穴1061は、扉枠用摺動杆1040の下部に形成されたリベット用長穴1042と対応する位置に形成されており、このリベット用長穴1061にリベット1006を貫通させた通常の状態では、リベット1006がリベット用長穴1061の最下端部を貫通した状態となるようになっている。これにより、下フック部材1052が下方に向かって移動することができるようになっている。
また、下フック部材1052の下降係合穴1062は、係合カム1016の第一係合突片1017が差し込まれて回動する時に、その回動動作によって本体枠用摺動杆1050が下降するように係合するためのものである。また、下フック部材1052の遊び穴1063は、係合カム1016の第二係合突片1018が差し込まれて回動する時に、その回動動作の邪魔にならないように第二係合突片1018の先端部が移動可能な空間を形成することができるようになっている。また、下フック部材1052の突片移動穴1064は、扉枠用摺動杆1040の下方のガイド突片1043が挿入されるようになっており、扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050との相互の移動を案内することができるようになっている。
また、下フック部材1052の連結穴1060は、連結線杆1053の折り曲げられた下端が挿入されるようになっている。更に、下フック部材1052の当接部1067は、コ字状基体1001に収納された時に、コ字状基体1001の内部側壁に当接するようになっており、コ字状基体1001に対して下フック部材1052が摺動動作する際に、ガタ付きがなくスムーズに摺動させることができるようになっている。
次に、本実施形態の錠装置1000の組立てについて説明する。この錠装置1000を組付けるには、本体枠用摺動杆1050の上フック部材1051と下フック部材1052とを連結線杆1053で連結し、その状態で扉枠用摺動杆1040のガイド突片1043を、上フック部材1051と下フック部材1052の突片移動穴1056,1064に挿入すると共に、相互のリベット用長穴1042とリベット用長穴1055,1061を位置合わせして重ね合わせ、その重ね合わせた状態で上フック部材1051のフック部1054と下フック部材1052のフック部1065とを、コ字状基体1001のフック貫通開口1002に貫通させながら扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050をコ字状基体1001のコ字状の空間に挿入した後に、挿通穴1005からリベット1006を差し込む。
このリベット1006を挿入する際に、リベット1006がリベット用長穴1055,1061、1042を貫通するように差し込む。なお、最下端のリベット1006を差し込む時には、第一不正防止部材1023の揺動軸穴1025にもリベット1006を差し込んで第一不正防止部材1023をコ字状基体1001に同時に取付ける必要がある。また、第一不正防止部材1023をコ字状基体1001に取付ける前に、第一不正防止部材1023と第二不正防止部材1032とを連結ピン1034で連結し、且つ、ガイドピン1028を、ピン穴1029に図示しないビスで止着してから、さらにガイドピン1028を挿入縦開口1020の最下端の開口部に挿入しておく必要がある。
更に、リベット1006で扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050をコ字状基体1001内に収納固定した状態で、スプリング1048をスプリングフック部1046,1057相互間に掛け渡し、扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050とを相互に反対方向に付勢し、さらに、バネ1035をバネ係止片1021とバネ係止穴1036とに掛け渡して第二不正防止部材1032が規制突片1031に当接した状態とする。その後、錠取付片1008の錠挿通穴1009に、シリンダ錠1010の円筒状本体部分を挿入してシリンダ錠1010をビス1012で取付穴1014に固定する。なお、この時、係合カム1016の第一係合突片1017の先端部が傾斜部1024の外側で且つ挿入縦開口1020に僅かに挿入されると共に、係合カム1016の第二係合突片1018の先端部が第一不正防止部材1023の突片挿入穴1026及び挿入縦開口1020に僅かに挿入された状態となるようにシリンダ錠1010を錠取付片1008に取付ける。
このように、組立てた錠装置1000を本体枠ベース600の裏面に取付けるには、扉枠用摺動杆1040の扉枠用フック部1041を本体枠ベース600に形成された扉用フック穴620に差し込みながら、鉤型に突出する係止突起1004を本体枠ベース600の扉用フック穴620及び錠係止穴621に差し込んで上方に移動させ、その状態で水平方向に突出したビス止め部1003を錠取付部625に一致させ、その一致した穴に図示しないビスを螺着することにより、錠装置1000を本体枠ベース600の裏面に強固に固定することができる。特に、本実施形態の場合には、前方部の係止構造を構成する係止突起1004がコ字状基体1001の周壁部605と接しない側面1001aに突設形成される一方、後方部の固定構造を構成するビス止め部1003がコ字状基体1001の周壁部605と接する側面1001bから水平方向に突設形成される構造とされているので、前方部の係止構造が周壁部605と接する側面1001bに形成された場合と比較して、ガタ付きが生じないように錠装置1000を本体枠ベース600に固定することができるようになっている。
次に、本実施形態の錠装置1000の作用について、図85及び図86を参照して説明する。図85に示すように、本体枠ベース600(本体枠3)が外枠2に対して閉じ且つ扉枠5が本体枠3に対して閉じている状態においては、図85(A)に示すように、外枠2の閉鎖板24,25と本体枠用摺動杆1050のフック部1054,1065とが係止し且つ扉枠用摺動杆1040の扉枠用フック部1041と扉枠5のフックカバー165とが係止した状態となっている。その状態でシリンダ錠1010に図示しない鍵を差し込んで係合カム1016の第一係合突片1017が挿入縦開口1020内に侵入する方向に回動すると、図85(B)に示すように、第一係合突片1017の先端が本体枠用摺動杆1050の下降係合穴1062に係合してスプリング1048の付勢力に抗して下フック部材1052を下方に押下げ、これと連結されている連結線杆1053と上フック部材1051も押下げられて下降する。これにより、外枠2の閉鎖板24,25と本体枠用摺動杆1050のフック部1054,1065との係止状態が解除され、本体枠3を前面側に引くことにより本体枠3を外枠2に対して開放することができる。
なお、本体枠3を閉じる場合には、フック部1054,1065がスプリング1048の付勢力により上昇した状態(図85(A)に示す状態と同じ上昇した位置)となっているが、フック部1054,1065の上辺が外側に向かって下り傾斜しているため、強制的に本体枠3を外枠2に対して押圧することにより、フック部1054,1065の上辺傾斜部が閉鎖板24,25の下端部と当接するので、本体枠用摺動杆1050が下方に下降し、フック部1054,1065の上向き爪部と閉鎖板24,25とが再度係止した状態となって本体枠用摺動杆1050が上昇して係止状態に戻るようになっている。
一方、シリンダ錠1010に図示しない鍵を差し込んで係合カム1016の第二係合突片1018が挿入縦開口1020内に侵入する方向に回動すると、図85(C)に示すように、第二係合突片1018の先端が扉枠用摺動杆1040の上昇係合穴1045に係合してスプリング1048の付勢力に抗して扉枠用摺動杆1040を上方に押し上げ上昇する。このため、扉枠5のフックカバー165と扉枠用摺動杆1040の扉枠用フック部1041とが係止状態が解除されるので、扉枠5を前面側に引くことにより扉枠5を本体枠3に対して開放することができる。
なお、扉枠5を閉じる場合には、扉枠用フック部1041がスプリング1048の付勢力により下降した状態(図85(A)に示す状態と同じ下降した位置)となっているが、扉枠用フック部1041の下辺が外側に向かって上り傾斜しているので、強制的に扉枠5を本体枠3に対して押圧することにより、扉枠用フック部1041の下辺傾斜部がフックカバー165の上端部と当接して扉枠用摺動杆1040が上方に上昇し、更に、扉枠用フック部1041の下向き爪部とフックカバー165とが再度係止した状態となって扉枠用摺動杆1040が下降して係止状態に戻る。なお、本実施形態における扉枠用摺動杆1040は、コ字状基体1001の全長と略同じ長さに形成されると共に、そのコ字状基体1001が本体枠3の縦方向の側面の略全長に亘って取付けられ、しかも、扉枠5との係止部である扉枠用フック部1041が扉枠用摺動杆1040の上端部、中央部、下端部の3箇所に形成されているので、扉枠5と本体枠3の縦方向の全長における施錠を確実に行うことができ、扉枠5と本体枠3との間を無理やりこじ開けてその間からピアノ線等の不正具を挿入する不正行為を行うことができないようになっている。
このように、本実施形態の本体枠3の錠装置1000は、シリンダ錠1010に差し込んだ鍵を一方向に回動することにより、外枠2に対する本体枠3の施錠を解除し、他方向に回動することにより、本体枠3に対する扉枠5の施錠を解除することができる。また、錠装置1000は、シリンダ錠1010に鍵を差し込むことなく本体枠用摺動杆1050のフック部1054,1065にピアノ線等を引っ掛けてこれを下降させるような不正行為を行うことができないようになっている。このような不正行為を防止する構造の第一番目が第一不正防止部材1023と第二不正防止部材1032とから構成されるロック機構であり、第二番目の不正防止構造がコ字状基体1001の閉鎖空間に扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050が収納される構造である。
まず、第一番目の不正防止構造であるロック機構の作用について図86を参照して説明する。まず、外枠2と本体枠3とが閉じている状態では、図86(A)に示すように、外枠2の閉鎖板25と第二不正防止部材1032の当接部1037とが当接した状態となっている。この状態においては、バネ1035の付勢力により第一不正防止部材1023が反時計方向に回動してストッパ片部1027が不正防止切欠部1007内に侵入し、ストッパ片部1027が不正防止切欠部1007に対応する位置にある本体枠用摺動杆1050の下フック部材1052に形成される係合切欠部1066と係合した状態となっている。これにより、本体枠用摺動杆1050にピアノ線等を引っ掛けて引き降ろそうとしても、ストッパ片部1027と係合切欠部1066とが係合しているので、本体枠用摺動杆1050を不正に下方に引き降ろすこと(解錠すること)が不能となり、本体枠3を開放するという不正行為を行うことができないようになっている。
一方、シリンダ錠1010に鍵を差し込んで正規に本体枠3を開錠する場合には、図86(B)に示すように、鍵を回動させることにより係合カム1016の第一係合突片1017が挿入縦開口1020内に侵入するように回動される。この第一係合突片1017の回動時に、第一不正防止部材1023の傾斜部1024と第一係合突片1017の側面とが当接するため、第一不正防止部材1023が揺動軸穴1025を中心として図示の時計回転方向に回転を始め、ストッパ片部1027も不正防止切欠部1007から退避するように移動する。これにより、ストッパ片部1027と係合切欠部1066との係合が解除された状態となる。この時、第二不正防止部材1032は、バネ1035を伸ばして当接部1037が後退した位置となっている。この状態でさらに係合カム1016を回動させて第一係合突片1017も回動させると、第一係合突片1017の先端が下フック部材1052の下降係合穴1062に係合して本体枠用摺動杆1050の全体を下降させるので、フック部1054,1065と外枠2の閉鎖板24,25との係止状態が解除されて本体枠3を外枠2に対して開放することができるようになっている。
なお、本体枠3を外枠2に対して閉じる時には、第二不正防止部材1032は、規制突片1031に当接した状態となっているので、第一不正防止部材1023と第二不正防止部材1032との位置関係は、図86(A)に示す状態と略同じ位置関係になっている。この状態で本体枠3を閉めると、外枠2の閉鎖板25と第二不正防止部材1032の当接部1037とが正面から当接し、最終的に図86(A)に示す状態となる。これにより、第一不正防止部材1023と第二不正防止部材1032とが、本体枠3を閉じる時に邪魔にならないようになっている。また、本実施形態においては、第一不正防止部材1023と第二不正防止部材1032とが本体枠用摺動杆1050の下降動作だけが不正に行われないように防止しているのは、本体枠用摺動杆1050を不正に開放すれば、解放後に扉枠用摺動杆1040を手動で簡単に開けることができることと、ピアノ線等で摺動杆を上昇させる不正行為は事実上行い難いという理由により、本体枠用摺動杆1050に対する不正操作ができないように工夫されている。
また、上記した第一番目の不正防止構造であるロック機構であっても、第一不正防止部材1023をピアノ線等で揺動させることにより、ロック機構の機能を無力化することも不可能ではない。そこで、万一ロック機構のロック機能が不正な行為により無力化される場合を想定すると、本実施形態においては、錠装置1000が本体枠3(本体枠ベース600)に取付けられた状態では、内部に設けられる扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050とが、それぞれのフック部1041、1054,1065を除いてコ字状基体1001の閉鎖空間に収納されて完全に被覆された状態となっているので、ピアノ線等を差し込んでコ字状基体1001の閉鎖空間の内部に設けられる本体枠用摺動杆1050を引き下げようとしても、コ字状基体1001の両側面1001a,1001bによって不正具の閉鎖空間への侵入が阻止されるため、不正行為を簡単に行うことができない構造となっている。
このように、本実施形態の錠装置1000は、その横幅寸法が従来のL字状基体に集約される錠装置に比べて極めて薄いコ字状基体1001の内部に扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050とを摺動可能に設け且つ錠装置1000を操作するためのシリンダ錠1010のコ字状基体1001への取付位置を遊技盤4の下端辺よりも下方となる位置としているので、遊技盤4の左右方向及び上下方向の大きさを極めて大きくすると共に、本体枠3の側面壁540〜543で囲まれる空間を大きくしても、錠装置1000を本体枠3の裏側に強固に取付けることができる。
また、コ字状基体1001の断面コ字状の開放側が本体枠3の裏面に対面するように取付けられるので、錠装置1000が本体枠3(本体枠ベース600)に取付けられた状態では、内部に配置された扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050とが、それぞれのフック部1041、1054,1065を除いてコ字状基体1001に完全に被覆された状態となっており、ピアノ線等を差し込んで内部に設けられる本体枠用摺動杆1050を引き下げる等の不正行為を簡単に行うことができないようになっている。
また、錠装置1000の取付けに際し、コ字状基体1001の開放側(前方部)の上中下の3箇所に形成される係止突起1004を扉用フック穴620や錠係止穴621に差し込んで位置決め係止し、コ字状基体1001の閉塞側(後方部)の上中下の3箇所に形成されたビス止め部1003を錠取付部625にビスで固定する構造としているので、極めて簡単な構造で錠装置1000を本体枠3(本体枠ベース600)に強固に固定することができるようになっている。
なお、錠装置1000では、コ字状基体1001の下方部をビス止めする構造として錠取付片1008に形成されたビス止め部1003と本体枠3のシリンダ錠貫通穴611の上部近傍に形成した錠取付部625とを螺着する構造としたものを示しているが、これに代えて、シリンダ錠1010を錠取付片1008に取付けるビス1012を利用して、ビス1012の先端が錠取付片1008を貫通して螺着される錠取付穴をシリンダ錠貫通穴611の上下に形成する構造としても良い。また、コ字状基体1001の下方部をビス止めしなくても、錠装置1000の後方部のビス止め部1003と錠取付部625との固定だけでも、錠装置1000を本体枠3(本体枠ベース600)の裏面に、充分に強固に固定することができる。
また、錠装置1000では、扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050を左右の側面1001a,1001bを有するコ字状基体1001で完全に被覆するものを示したが、例えば、扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050を周壁部605に接しない反対側の側面1001aに摺動自在にリベット等で装着し、周壁部605に接する側面1001bを省略したL字状基体(錠基体)とし、そのL字状基体(錠基体)の側面1001aと第一側面壁とによって形成される閉鎖空間に扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050を収納する構造としても良く、上述した錠装置1000と同様の作用効果を奏することができる。
[5.遊技盤の基本構成]
次に、パチンコ遊技機1における遊技盤4の基本構成について、図87乃至図94を参照して説明する。図87は、パチンコ遊技機の扉枠を外した状態で本体枠に取付けられた遊技盤を示す正面図である。また、図88は、遊技盤の正面図であり、図89は、遊技盤を分解して前から見た分解斜視図であり、図90は、遊技盤を分解して後から見た分解斜視図である。更に、図91は、パチンコ遊技機に取付けた状態で遊技盤における機能表示ユニットを拡大して示す正面図である。また、図92は、図89等の例とは異なる実施形態の遊技パネルを用いた遊技盤を分解して前から見た分解斜視図であり、図93は、図92を後から見た遊技盤の分解斜視図である。また、図94は、図92の遊技盤における遊技パネルを縦方向に切断した断面図である。
本実施形態の遊技盤4は、図示するように、遊技者がハンドル装置500を操作することで遊技球が打ち込まれる遊技領域1100の外周を区画し外形が正面で略矩形状とされた前構成部材1110と、前構成部材1110の後側に配置され遊技領域1100の後端を区画する板状の遊技パネル1150と、遊技パネル1150の後側下部に配置される基板ホルダ1160と、基板ホルダ1160の後面に取付けられ遊技球を遊技領域1100内へ打ち込むことで行われる遊技内容を制御する主制御基板4100を収容する主制御基板ボックス1170と、主制御基板4100からの制御信号に基づいて所定の遊技状況を表示可能とされ前構成部材1110の所定位置に遊技者側へ視認可能に取付けられる機能表示ユニット1180と、を備えている。この遊技盤4は、図87乃至図94での図示は省略し詳細は後述するが、遊技パネル1150の前面に取付けられる表ユニット2000と、遊技パネル1150の後面に取付けられる裏ユニット3000と、を更に備えている(図95及び図96を参照)。
本実施形態の遊技盤4は、前構成部材1110、遊技パネル1150、基板ホルダ1160、主制御基板ボックス1170、及び機能表示ユニット1180によって、基本的な構成が形成されており、遊技パネル1150に取付けられる表ユニット2000と裏ユニット3000、及び主制御基板ボックス1170内に収容される主制御基板4100によってパチンコ遊技機1(遊技盤4)を特徴付ける詳細な構成が形成されている。ここでは、遊技盤4の基本構成を説明し、詳細構成については後述する。
[5−1.前構成部材]
続いて、遊技盤4における前構成部材1110について説明する。遊技盤4における前構成部材1110は、外形が本体枠3の遊技盤保持口601内へ挿入可能な略矩形状とされ、内形が略円形状に前後方向へ貫通しており、内形の内周によって遊技領域1100の外周が区画されるようになっている。この前構成部材1110は、正面視で左右方向中央から左寄りの下端から時計回りの周方向へ沿って円弧状に延び正面視左右方向中央上端を通り過ぎて右斜め上部まで延びた外レール1111と、外レール1111に略沿って外レール1111の内側に配置され正面視左右方向中央下部から正面視左斜め上部まで円弧状に延びた内レール1112と、内レール1112の下端から滑らかに連続するように正面視反時計回りの周方向へ沿って外レール1111の終端(上端)よりも下側の位置まで円弧状に延びた内周レール1113と、内周レール1113の終端(上端)と外レール1111の終端(上端)とを結び外レール1111に沿って転動してきた遊技球が当接可能とされた衝止部1114と、内レール1112と内周レール1113との境界部で遊技領域1100の最下端に配置され後方へ向かって低くなったアウト口誘導面1115と、内レール1112の上端に回動可能に軸支され、外レール1111との間を閉鎖するように内レール1112の上端から上方へ延出した閉鎖位置と正面視時計回りの方向へ回動して外レール1111との間を開放した開放位置との間でのみ回動可能とされると共に閉鎖位置側へ復帰するように図示しないバネによって付勢された逆流防止部材1116と、を備えている。
この前構成部材1110は、遊技盤4を本体枠3に取付けた状態とすると、図87等に示すように、外レール1111と内レール1112との間の下端開口が、本体枠3の打球発射装置650における発射レール660の延長線上に位置するようになっている。この外レール1111の下端と、発射レール660の上端との間には、左右方向及び下方へ広がった空間が形成されており、打球発射装置650の発射レール660に沿って打ち出された遊技球が、その空間を飛び越えて、外レール1111と内レール1112との間の下端開口から外レール1111と内レール1112との間へ打ち込まれるようになっている。外レール1111と内レール1112との間に打ち込まれた遊技球は、その勢いに応じて外レール1111に沿って上方へ転動し、内レール1112の上端に軸支された逆流防止部材1116を、その付勢力に抗して開放位置側へ回動させることにより、遊技領域1100内へ進入することができるようになっている。
また、打球発射装置650において遊技球を強く打球した場合、遊技領域1100内で外レール1111に沿って転動した遊技球が、外レール1111の終端に備えられた衝止部1114に当接するようになっており、この衝止部1114に遊技球が当接することで遊技球の転動方向を強制的に変化させることができ、外レール1111から内周レール1113へ連続して遊技球が転動するのを防止することができるようになっている。なお、遊技領域1100内へ進入した(打ち込まれた)遊技球が、外レール1111と内レール1112との間へ戻ろうとしても、その前に逆流防止部材1116が付勢力によって閉鎖位置へ復帰することで、逆流防止部材1116によって遊技球の逆流が阻止されるようになっている。
また、遊技領域1100内へ打ち込まれた遊技球は、後述する表ユニット2000の始動口2101,2102や入賞口2103,2104,2201等に受入れられなかった場合は、遊技領域1100の下端へと流下し、内レール1112と内周レール1113との境界のアウト口誘導面1115によって、遊技パネル1150のアウト口1151へ誘導され、アウト口1151から遊技盤4の後側下方へ排出されるようになっている。
一方、打球発射装置650から発射された遊技球が、内レール1112先端の逆流防止部材1116を越えて遊技領域1100内へ進入することができなかった場合は、外レール1111と内レール1112との間を逆方向の下方へ向かって転動し、外レール1111と内レール1112との間の下端開口から、発射レール660の上端と外レール1111の下端との間に形成されたファール空間626を落下することとなり、ファール空間626の下部に位置する扉枠5におけるファールカバーユニット540のファール球入口542eに受入れられて、皿ユニット300における下皿302へ排出されるようになっている。
なお、前構成部材1110における外レール1111は、その表面に金属板が取付けられており、遊技球の転動による耐摩耗性が高められていると共に、遊技球が滑らかに転動するようになっている。また、衝止部1114は、表面にゴムや合成樹脂等の弾性体が配置されており、遊技球が外レール1111に沿って勢い良く転動してきて衝突しても、その衝撃を緩和させることができるようになっていると共に、遊技球を内側へ反発させることができるようになっている。
また、前構成部材1110は、外レール1111の下部外側から前方へ向かって突出した壁状の防犯突起1117と、アウト口誘導面1115の下側から内周レール1113に沿って上下方向の略中央まで延出し前端から所定量窪んだ溝状のレール防犯溝1118と、を備えている。前構成部材1110における防犯突起1117は、本体枠3に対して扉枠5を閉じた状態とした時に、扉枠5における防犯カバー180の防犯後端部突片183と上下方向に重複するようになっており、これにより、軸支側(正面視左側)における本体枠3と扉枠5との間からピアノ線等の不正具を侵入させても、不正具を遊技領域1100内まで到達させることができないようになっている。
また、前構成部材1110は、本体枠3に対して扉枠5を閉じた状態とすると、レール防犯溝1118内に、扉枠5における防犯カバー180の防犯後突片182が挿入されるようになっていると共に、防犯後突片182が内レール1112の外側(遊技領域1100とは反対側)面に略接するように内レール1112と外レール1111との間に挿入されるようになっており、内レール1112及びレール防犯溝1118と防犯後突片182とでも、本体枠3と扉枠5との間から侵入させたピアノ線等の不正具が遊技領域1100内へ到達するのを防止することができるようになっている。
また、前構成部材1110は、正面視左端に上下方向へ離間して配置され前方から後方へ向かって窪むと共に左端に開放された一対の位置決め凹部1119と、正面視右端に上下方向へ離間して配置された一対の遊技盤止め具1120と、外レール1111の下端よりも正面視左側に配置され下方へ開放されると共に上側が円弧状に形成され前側から窪んだ固定凹部1121と、正面視下端の左側端部付近に下端から上方へ左右方向へ長く延びた矩形状に切欠かれた球通路用切欠部1122と、を備えている。前構成部材1110の位置決め凹部1119は、本体枠3における側面防犯版950の内側に取付けられた位置決め部材956と嵌合させることで、遊技盤保持口601に挿入された遊技盤4の正面視左端が、前後方向へ移動するのを規制することができるようになっている。また、遊技盤止め具1120は、本体枠3における本体枠ベース600の遊技盤係止部608に対して着脱可能に係止することができるようになっており、遊技盤止め具1120を遊技盤係止部608に係止させることで、本体枠3の遊技盤保持口601に挿入された遊技盤4の正面視右端が、前後方向へ移動するのを規制することができるようになっている。
また、前構成部材1110の固定凹部1121は、遊技盤4を本体枠3の遊技盤保持口601へ挿入した状態で、本体枠3の前面に軸支された遊技盤固定具690を正面視で時計回りの方向へ回動させると、遊技盤固定具690の固定片690aが挿入されるようになっており、遊技盤固定具690によって遊技盤4の下端が前方へ移動するのが規制されるようになっている。また、前構成部材1110の球通路用切欠部1122は、遊技パネル1150の同位置にも同様の球通路用切欠部1152が形成されており、遊技盤4を本体枠3の遊技盤保持口601へ挿入した状態では、球通路用切欠部1122,1152内に満タン分岐ユニット770の前端が挿通されるようになっている。
更に、前構成部材1110は、下端部における正面視右端近傍に、前後方向へ貫通した横長の貫通穴1123と、貫通穴1123の下辺における左右方向の中央から正面視左寄りの位置に前後方向の厚さを薄く形成した締結部1124と、貫通穴1123の正面視左側に配置され証明確認用の証紙を貼付るための証紙貼付部1125と、を備えている。この前構成部材1110における締結部1124は、詳細な図示は省略するが、本遊技盤を従前の本体枠に取付ける場合に、従前の本体枠に形成された締結穴に対して所定の締結バンドを互いに巻き掛けて締結することで、遊技盤4を取外し難くすることができ、遊技盤4の不正な取外しを防止することができるものである。
また、前構成部材1110は、内周レール1113に沿ったレール防犯溝1118の外側で正面視右下に、後述する機能表示ユニット1180の表示部1181が配置されている。また、前構成部材1110は、後面の下部の左右両端から後方へ突出した複数の取付ボス1126と、内レール1112の後面から後方へ突出した複数の位置決め突起1127と、を備えている。この取付ボス1126は、遊技パネル1150を貫通して基板ホルダ1160の固定ボス1162と係合するようになっており、基板ホルダ1160の後側から固定ボス1162を通して取付ボス1126へ所定のビスを螺着することで、前構成部材1110と基板ホルダ1160とで遊技パネル1150を挟持することができるようになっている。また、位置決め突起1127は、遊技パネル1150に形成された内レール固定孔1155へ嵌合させることで、内レール1112を遊技パネル1150の所定位置に固定することができるようになっている。
[5−2.遊技パネル]
続いて、遊技盤4における遊技パネル1150について説明する。遊技パネル1150は、所定厚さ(例えば、18mm〜21mm)のベニア合板等の木質板材によって形成されており、外形が前構成部材1110の外形と略同形状とされている。この遊技パネル1150は、正面視左右方向略中央の下部で前構成部材1110におけるアウト口誘導面1115と対応した位置に前後方向へ貫通するアウト口1151と、下端の正面視左側に前後方向へ横長に貫通すると共に下方へ開放され前構成部材1110の球通路用切欠部1122と同形状の球通路用切欠部1152と、正面視右下隅部に前後方向へ貫通し機能表示ユニット1180の後方突出部1182が挿入される挿入穴1153と、を備えている。
また、遊技パネル1150は、下部の左右両端付近で前構成部材1110の取付ボス1126と対応した位置に前後方向へ貫通した複数のボス挿通孔1154と、前構成部材1110の位置決め突起1127が挿入固定される複数の内レール固定孔1155と、アウト口1151の後面側で後面から前方へ向かって所定量窪むと共に下端側が下方へ開放された溝状のアウト球排出溝1156(図90を参照)と、前構成部材1110の遊技盤止め具1120と対応した位置に形成され正面視右端から前後方向へ貫通するように切欠かれた切欠部1157と、を備えている。また、遊技パネル1150は、適宜位置に前構成部材1110の後面に対して取付固定するための複数の取付孔を備えている。
遊技盤4における遊技パネル1150は、前構成部材1110によって外周が区画される遊技領域1100の後端を区画することができるものであり、図示は省略するが、前面における遊技領域1100と対応した範囲内に、複数の障害釘が所定のゲージ配列で植設されるようになっていると共に、表ユニット2000が取付けられるようになっている。また、遊技パネル1150の後面には、裏ユニット3000が取付けられるようになっている。また、遊技パネル1150は、アウト口1151が、遊技領域1100の最下端に位置するように形成されており、遊技盤4に組立てた状態では、前構成部材1110における遊技領域1100の最下端に形成されたアウト口誘導面1115によって後方へ誘導された遊技球がアウト口1151へ進入して遊技盤4の後側へ排出されるようになっている。
[5−3.基板ホルダ]
次に、遊技盤4における基板ホルダ1160について説明する。基板ホルダ1160は、上方及び前方が開放された横長の箱状に形成されている。この基板ホルダ1160は、正面視左右方向の略中央における底壁部の前端に上下方向へ貫通するように形成されたアウト球排出部1161が形成されていると共に、底壁部の上面がアウト球排出部1161へ向かって低くなるように形成されており、遊技パネル1150のアウト口1151、表ユニット2000や裏ユニット3000から排出されて、基板ホルダ1160の底部上面に供給(排出)された遊技球が、アウト球排出部1161から下方へ排出されるようになっている。なお、アウト球排出部1161は、遊技盤4を本体枠3に取付けた状態とすると、本体枠3における基板ユニット800の排出球受部841の直上に位置するようになっており、遊技盤4から排出された遊技球は、すべて基板ユニット800の排出通路842を通ってパチンコ遊技機1の後側下方へ排出されるようになっている。
また、基板ホルダ1160は、側壁部における上下両端の前端から前方へ突出した複数の固定ボス1162を備えている。複数の固定ボス1162は、先端が遊技パネル1150の後側からボス挿通孔1154内へ挿入された上で、前構成部材1110の取付ボス1126の後端と嵌合するようになっており、取付ボス1126と嵌合させた状態で、基板ホルダ1160の後側から固定ボス1162内を貫通して取付ボス1126へ所定のビスを螺着することで、前構成部材1110に対して基板ホルダ1160を組付けることができるようになっていると共に、前構成部材1110と基板ホルダ1160とで遊技パネル1150を挟持することができるようになっている。
また、基板ホルダ1160は、図90に示すように、後壁部における後面の背面視左側端部に主制御基板ボックス1170の固定片1174が横側から嵌合可能な固定部1163と、固定部1163と対向するように配置され主制御基板ボックス1170の弾性固定片1175が後方から係止可能な係止部1164と、を備えている。この基板ホルダ1160の固定部1163及び係止部1164によって、基板ホルダ1160の後面に主制御基板ボックス1170を着脱可能に支持することができるようになっている。
[5−4.主制御基板ボックス]
続いて、遊技盤4における主制御基板ボックス1170について説明する。この主制御基板ボックス1170は、後側が開放された薄い横長箱状の基板ベース1171と、基板ベース1171の後面を覆い前側が開放された薄い横長箱状で基板ベース1171の内部へ後側から嵌合する基板カバー1172と、基板カバー1172の前端に電子部品や端子等が後面側に実装された主制御基板4100と、を備えている。また、主制御基板ボックス1170は、基板ベース1171における背面視左側端部から外方へ延出し基板ホルダ1160の固定部1163と嵌合する固定片1174と、基板カバー1172における背面視右側端部から後方へ突出し基板ホルダ1160の係止部1164に弾性係止される弾性固定片と、を備えている。
また、主制御基板ボックス1170は、図90等に示すように、弾性固定片1175を挟んで上下に2つずつ背面視右側端部に配置され基板ベース1171と基板カバー1172との開閉を封止可能な封止部1176と、基板ベース1171と基板カバー1172の下端で基板ベース1171と基板カバー1172とに跨って貼付けられる密封シール(図示は省略)と、密封シールの表面を被覆する透明なシール保護カバー1177と、を備えている。この主制御基板ボックス1170の封止部1176は、基板ユニット800における払出制御基板ボックス860の分離切断部863と同様の構成とされており、4つの封止部1176の何れか1つにおいてカシメ固定されている。この主制御基板ボックス1170は、基板ベース1171と基板カバー1172とを分離するには、カシメ固定された封止部1176を切断する必要があり、主制御基板ボックス1170の開閉の痕跡が残るようになっている。これにより、主制御基板ボックス1170が不正に開かれたか否かが外部から目視で明瞭に判別することができるようになっている。
なお、主制御基板ボックス1170の封止部1176は、本実施形態では4つ備えられているので、主制御基板ボックス1170を三回まで開閉することができるようになっている。また、主制御基板ボックス1170は、基板ベース1171と基板カバー1172とに跨って密封シールが貼付られており、基板ベース1171と基板カバー1172とを分離させる際に、密封シールを切断したり剥したりする必要があり、この密封シールにおいても開閉の痕跡が残るようになっている。したがって、主制御基板ボックス1170が不正に開閉されて、内部の主制御基板4100が不正に改造されたり、不正な主制御基板(或いは、遊技内容のプログラム等を記憶したROM)と交換されたりしても、外部から目視で確認することができ、それらの不正行為が行われるのを防止することができるようになっている。
また、主制御基板ボックス1170は、基板カバー1172の前後方向へ貫通した開口が適宜位置に形成されており、その開口を通して主制御基板4100に取付けられた、RAMクリアスイッチ4100eや試験用端子4100f、周辺制御基板4140や払出制御基板4110等と接続するための各種接続端子等が後側へ臨むようになっている。なお、主制御基板ボックス1170の後面から臨む試験用端子4100fに、所定の計測機器を接続することで、主制御基板ボックス1170を開けることなく主制御基板4100を外部からチェックすることができると共に、上述の封止部1176や密封シールに対して巧妙な細工がなされていても、主制御基板4100に対する不正な改造の有無を目視以外に確認することができ、防犯性能の高いパチンコ遊技機1とすることができるようになっている。
[5−5.機能表示ユニット]
次に、遊技盤4における機能表示ユニット1180について説明する。この機能表示ユニット1180は、前構成部材1110の所定位置に取付配置されるものであり、前構成部材1110の前面で遊技者側から視認可能に配置される表示部1181と、前構成部材1110の後面よりも後方へ突出した後方突出部1182と、を備えている。
機能表示ユニット1180の表示部1181には、図91に拡大して示すように、正面視左側端部に遊技領域1100内へ打ち込まれた遊技球によって変化する遊技状態を表示するための1つのLEDからなる遊技状態表示器1183と、遊技状態表示器1183の右側で上下方向へ並んだ2つのLEDからなり上始動口2101への遊技球の受入れに関する保留数を表示するための上特別図柄記憶表示器1184と、上特別図柄記憶表示器1184の右側に配置され上始動口2101への遊技球の受入れにより抽選された第一特別抽選結果を第一特別図柄として表示するための1つの7セグメントLEDからなる上特別図柄表示器1185と、上特別図柄表示器1185の右斜め上に配置され下始動口2102への遊技球の受入れにより抽選された第二特別抽選結果を第二特別図柄として表示するための1つの7セグメントLEDからなる下特別図柄表示器1186と、下特別図柄表示器1186の右側で上下方向へ並んだ2つのLEDからなり下始動口2102への遊技球の受入れに関する保留数を表示するための下特別図柄記憶表示器1187と、を備えている。
また、機能表示ユニット1180の表示部1181には、下特別図柄表示器1186の直上から内周レール1113に略沿った円弧状に並んで配置され遊技球によるゲート部2350の通過に関する保留数を表示するための4つのLEDからなる普通図柄記憶表示器1188と、普通図柄記憶表示器の下側に配置され遊技球がゲート部2350を通過することで抽選された普通抽選結果を普通図柄として表示するための1つのLEDからなる普通図柄表示器1189と、普通図柄記憶表示器1188の斜め右上側へ並んで配置され第一特別抽選結果又は第二特別抽選結果が「大当り」の時に大入賞口2103の開閉パターンの繰返し回数(ラウンド数)を表示するための2つのLEDからなるラウンド表示器1190と、を備えている。
機能表示ユニット1180における遊技状態表示器1183は、赤色・緑色・橙色と、その発光色を変化させることが可能なフルカラーLEDとされており、発光する発光色と、点灯・点滅との組合せにより、様々な遊技状態(例えば、確率変動状態、時間短縮状態、確変時短状態、大当り遊技状態、小当り遊技状態、等)を表示することができるようになっている。
また、機能表示ユニット1180における上特別図柄記憶表示器1184は、上特別図柄表示器1185において第一特別図柄を変動表示させることができない時に、上始動口2101へ遊技球が受入れられた場合に、変動表示の開始が保留(記憶)された第一特別図柄の保留数(記憶数)を表示するものである。この上特別図柄記憶表示器1184は、所定のLEDからなる第一特別図柄記憶ランプ1184aと、第一特別図柄記憶ランプ1184bとを有しており、第一特別図柄記憶ランプ1184a,1184bの点灯・点滅パターンによって、保留数を表示することができるようになっている。具体的には、例えば、保留数が1つの時には第一特別図柄記憶ランプ1184aが点灯して第一特別図柄記憶ランプ1184bが消灯し、保留数が2つの時には第一特別図柄記憶ランプ1184a,1184bが共に点灯し、保留数が3つの時には第一特別図柄記憶ランプ1184aが点滅して第一特別図柄記憶ランプ1184bが点灯し、保留数が4つの時には第一特別図柄記憶ランプ1184a,1184bが共に点滅するようになっている。なお、本実施形態では、4つまで保留されるようになっている。
また、機能表示ユニット1180における下特別図柄記憶表示器1187は、下特別図柄表示器1186において第二特別図柄を変動表示させることができない時に、下始動口2102へ遊技球が受入れられた場合に、変動表示の開始が保留(記憶)された第二特別図柄の保留数(記憶数)を表示するものである。この下特別図柄記憶表示器1187は、所定のLEDからなる第二特別図柄記憶ランプ1187aと、第二特別図柄記憶ランプ1187bとを有しており、第二特別図柄記憶ランプ1187a,1187bの点灯・点滅パターンによって、保留数を表示することができるようになっている。具体的には、例えば、保留数が1つの時には第二特別図柄記憶ランプ1187aが点灯して第二特別図柄記憶ランプ1187bが消灯し、保留数が2つの時には第二特別図柄記憶表示ランプ1187a,1187bが共に点灯し、保留数が3つの時には第二特別図柄記憶ランプ1187aが点滅して第二特別図柄記憶ランプ1187bが点灯し、保留数が4つの時には第二特別図柄記憶ランプ1187a,1187bが共に点滅するようになっている。なお、本実施形態では、4つまで保留されるようになっている。
更に、機能表示ユニット1180における上特別図柄表示器1185及び下特別図柄表示器1186は、上始動口2101や下始動口2102への遊技球の受入れにより、抽選された第一特別抽選結果や第二特別抽選結果を表示するものであり、7セグメントLEDが特別抽選結果に応じた所定の時間、変動した後に停止し、停止した7セグメントLEDの発光パターン(特別図柄)によって、第一特別抽選結果や第二特別抽選結果を遊技者側に認識させることができるようになっている。
また、機能表示ユニット1180における普通図柄表示器1189は、赤色・緑色・橙色と、その発光色を変化させることが可能なフルカラーLEDとされており、発光する発光色と、点灯・点滅との組合せにより、ゲート部2350を遊技球が通過することで抽選される普通抽選結果を表示することができるようになっている。なお、普通図柄表示器1189による普通図柄の表示も、特別図柄と同様に、所定時間変動表示した後に、普通抽選結果に対応した発光パターンで停止表示するようになっている。
また、機能表示ユニット1180における普通図柄記憶表示器1188は、普通図柄表示器1189において普通図柄を変動表示させることができない時に、ゲート部2350を遊技球が通過した場合に、変動表示の開始が保留(記憶)された普通図柄の保留数(記憶数)を表示するものである。この普通図柄記憶表示器1188は、下から並んで配置された4つの普通図柄記憶ランプ1188a〜1188dを備え、それぞれが所定のLEDとされており、保留数に応じて下から普通図柄記憶ランプ1188a〜1188dを順次点灯させることで普通図柄の保留数を表示させることができるようになっている。なお、本実施形態では、普通図柄の変動表示が4つまで保留(記憶)されるようになっている。
更に、機能表示ユニット1180におけるラウンド表示器1190は、所定のLEDからなる2ラウンド表示ランプ1190aと、15ラウンド表示ランプ1190bとを備えており、それぞれのランプが点灯することで「大当り」遊技におけるラウンド数を表示することができるようになっている。
機能表示ユニット1180は、図91に示すように、遊技盤4をパチンコ遊技機1に取付けた状態で、扉枠5の遊技窓101を通して遊技者側から視認することができるようになっている。また、機能表示ユニット1180の遊技状態表示器1183、上特別図柄記憶表示器1184、上特別図柄表示器1185、下特別図柄表示器1186、下特別図柄記憶表示器1187、普通図柄記憶表示器1188、普通図柄表示器1189、及びラウンド表示器1190は、機能表示基板1191(図97を参照)の前面に取付けられている。また、機能表示ユニット1180の後方突出部1182の後端には、機能表示基板1191と、主制御基板4100とを接続するための接続端子が取付けられている。
本実施形態では、機能表示ユニット1180を遊技盤4の前構成部材1110に備えるようにしているので、遊技パネル1150に取付けられる表ユニット2000や裏ユニット3000に備えるようにした場合と比較して、機能表示ユニット1180を遊技盤4の基本構成として流用することができ、パチンコ遊技機1に係る構成を簡略化してコストが増加するのを防止することができると共に、パチンコ遊技機1の機種(表ユニット2000や裏ユニット3000により具現化されパチンコ遊技機1の機種を特徴付けることが可能な遊技盤4の詳細構成)が異なっていても、機能表示ユニット1180の表示部1181の位置が変化しないので、遊技者や遊技ホールの店員等に対して、戸惑うことなく表示部1181の位置を認識させることができるようになっている。
[5−6.遊技パネルの第二実施形態]
続いて、上記した遊技盤4における遊技パネル1150とは異なる形態の遊技パネル1200について、図92乃至図94を参照して説明する。なお、図92乃至図94における前構成部材1110、基板ホルダ1160、及び主制御基板ボックス1170は、上述したもの同一の構成とされており、ここでの詳細な説明は省略する。本実施形態の遊技パネル1200は、上述した遊技パネル1150よりも厚さが薄く前構成部材1110によって外周が区画された遊技領域1100の後端を区画可能な板状で前構成部材1110の外形よりも外形が小さく形成されたパネル板1210と、パネル板1210を前側から脱着可能に保持すると共に前構成部材1110の後面に取付けられる枠状のパネルホルダ1220と、を備えている。
この遊技パネル1200パネル板1210は、その外形が遊技領域1100よりも若干大きい多角形状とされており、アクリル樹脂、ポリカーボネイト樹脂、ポリアリレート樹脂、メタクリル樹脂等の合成樹脂板や、ガラスや金属等の無機質板により形成されている。このパネル板1210の板厚は、パネルホルダ1220(遊技パネル1150)よりも薄く、図示しない障害釘を前面に植設したり表ユニット2000を取付けたりしても十分に保持可能な必要最低限の厚さ(8〜10mm)とされている。なお、本実施形態では、透明な合成樹脂板によってパネル板1210が形成されている。
このパネル板1210は、外周近傍に配置され前後方向に貫通する丸孔からなる複数の嵌合孔1211と、左下部の外周近傍に配置され前後方向に貫通し上下方向に延びる長孔1212と、を備えている。これら嵌合孔1211及び長孔1212は、遊技領域1100よりも外側に配置されており、パネルホルダ1220との位置決めを行うものである。また、パネル板1210には、その上辺の両端と下辺の両端に、前側が窪んだ段状の係合段部1213がそれぞれ備えられている。この係合段部1213は、パネル板1210の板厚の略半分まで切欠いた形態とされると共に、嵌合孔1211及び長孔1212と同様に、遊技領域1100よりも外側に配置されており、パネル板1210をパネルホルダ1220へ係合固定するためのものである。
また、パネル板1210は、所定位置に内レール固定孔1214が複数備えられている。この内レール固定孔1214に内レール1112の後側から突出する位置決め突起1127を嵌合固定させることで、内レール1112を所定の位置に固定することができるようになっている。
一方、遊技パネル1200におけるパネルホルダ1220は、パネル板1210を包含する大きさで外形が略四角形状とされ、上述した木質板からなる遊技パネル1150の厚さと略同じ厚さ(本実施形態では、約20mm)とされた合成樹脂(例えば、熱可塑性合成樹脂)からなるものである。このパネルホルダ1220には、パネル板1210を着脱可能に保持し前面側から後方側に向かって凹んだ保持段部1221と、保持段部1221の内側において略遊技領域1100と同等の大きさで前後方向に貫通する貫通口1222とを主に備えている。
パネルホルダ1220の保持段部1221は、前面からの深さがパネル板1210の厚さと略同じ深さとされており、保持段部1221内に保持されたパネル板1210の前面がパネルホルダ1220の前面と略同一面となるようになっている。また、この保持段部1221は、その前側内周面が、パネル板1210の外周面に対して所定量のクリアランスが形成される大きさとされている。このクリアランスにより、温度変化や経時変化により相対的にパネル板1210が伸縮しても、その伸縮を吸収できるようになっている。なお、クリアランス内にゴム等の弾性部材を詰めても良い。
また、パネルホルダ1220には、保持段部1221に保持されるパネル板1210に形成された嵌合孔1211及び長孔1212と対応する位置に配置され、保持段部1221の前面から前方に向かって延び、パネル板1210の嵌合孔1211及び長孔1212に嵌合及び挿通可能な複数の突出ピン1223を備えている。これらの突出ピン1223をパネル板1210の嵌合孔1211及び長孔1212に嵌合及び挿通することで、パネルホルダ1220とパネル板1210とを互いに位置決めすることができるようになっている。
更に、パネルホルダ1220には、パネル板1210の係合段部1213と対応する位置に、係合段部1213と係合する係合爪1224及び係合片1225を供えている。詳述すると、係合爪1224は、パネルホルダ1220の上側の保持段部1221に配置されており、パネル板1210における上側の係合段部1213と対応し、保持段部1221の前面から前方に向かって突出し係合段部1213と弾性係合するようになっている。この係合爪1224は、その先端がパネルホルダ1220の前面から突出しない大きさとされている。一方、係合片1225は、パネルホルダ1220の下側の保持段部1221に配置され、パネル板1210における下側の係合段部1213と対応し、保持段部1221の前面との間にパネル板1210の係合段部1213が挿入可能な大きさの所定の隙間を形成した状態で、パネルホルダ1220の前面に沿って上側(中心側)に向かって所定量延びる形態とされている。これら係合爪1224及び係合片1225にパネル板1210の係合段部1213を係合させることで、パネル板1210がパネルホルダ1220に対して着脱可能に保持されるようになっている。
また、パネルホルダ1220には、前構成部材1110に備えられた取付ボス1126を挿通可能な前後方向に貫通するボス挿通孔1226を備えており、このボス挿通孔1226に前構成部材1110の取付ボス1126を挿通することで、パネルホルダ1220と前構成部材1110とが互いに位置決めされるようになっている。
このパネルホルダ1220には、図93に示すように、その後面側に、上下方向の中央やや下方より下側と外周縁を残すように前側に所定量窪んだ形態の取付支持部1227が備えられている。この取付支持部1227により、パネルホルダ1220の後面は、下端より所定高さまでの所定範囲より上側で、後面側外周部が後方に突出したような状態で窪んだ形態となると共に、その窪み量(深さ)が、取付支持部1227に取付固定される裏ユニット3000における裏箱3001のフランジ状の固定部3001a(図96を参照)を収容できる深さ(本実施形態では、約2.5mmとされており、1〜3mmの間とすることが望ましい)とされている。この取付支持部1227に所定の部材を取付固定することで、その固定部3001aがパネルホルダ1220よりも後側に突出するのを防止することができ、パネルホルダ1220、つまり遊技盤4を本体枠3(パチンコ遊技機1)の遊技盤保持口601内に確実に設置装着できるようになっている。
更に、パネルホルダ1220には、図示するように、後面側の取付支持部1227内及び収容凹部630hよりも上側に配置され所定のビスを螺合可能な複数の取付孔1228が所定配列で配置されている。また、パネルホルダ1220には、取付孔1228と対応するように配置される複数の位置決め孔1229が備えられている。この位置決め孔1229は、取付孔1228を用いて取付固定される部材に形成された位置決め突起(例えば、裏箱3001における前面のフランジ状に形成された固定部3001aから前方へ突出する位置決め突起(図示は省略する))が挿入されるものである。なお、本実施形態では、位置決め孔1229は、背面視略矩形状(角孔状)の止り孔とされている。
なお、取付孔1228に対して、その孔の内径が大径のものと小径のものとを混在させるようにして、取付固定する所定の部材の大きさや重量等に応じて、適宜径の取付孔1228を用いるようにしても良い。
また、パネルホルダ1220には、少なくとも下端から所定高さまでの所定範囲では後面側に開口する複数の肉抜き部1230が形成されており、肉抜き部1230によりパネルホルダ1220の重量が軽減されるようになっている。図92に示すように、収容凹部630hの前側、つまり、パネルホルダ1220の前面側の下端から所定高さまでの所定範囲内には、これらの肉抜き部1230が形成されておらず、その範囲内では、パネルホルダ1220の前面が略平らな面となるようになっているので、その前面に配置される前構成部材1110の後面が略平らな面となり、打球発射装置650から発射された遊技球が、滑らかに案内されるようになっている。また、このパネルホルダ1220は、図示するように、肉抜き部1230が形成されることで、取付孔1228等がボス状に形成されると共に、それらを支持したりパネルホルダ1220の強度を維持したりするために、箱状のリブが形成された状態となっている。
なお、このパネルホルダ1220には、障害釘植設装置(図示しない)や、組立治具等の位置決め手段に対応した位置決め部1231が形成されており、障害釘植設装置に遊技パネル1150を保持した状態でセットできるようになっている。また、パネルホルダ1220の下部には、前構成部材1110のアウト口誘導面1115と対応した位置に前後方向へ貫通するアウト口1232と、下端の正面視左側に前後方向へ横長に貫通すると共に下方へ開放され前構成部材1110の球通路用切欠部1122と同形状の球通路用切欠部1233と、正面視右下隅部に前後方向へ貫通し機能表示ユニット1180の後方突出部1182が挿入される挿入穴1234と、を備えている。
また、パネルホルダ1220は、アウト口1232の後面側で後面から前方へ向かって所定量窪むと共に下端側が下方へ開放された溝状のアウト球排出溝1235(図93を参照)と、前構成部材1110の遊技盤止め具1120と対応した位置に形成され正面視右端から前後方向へ貫通するように切欠かれた切欠部1236と、を備えている。また、パネルホルダ1220は、適宜位置に前構成部材1110の後面に対して取付固定するための複数の取付孔を備えている。
このパネルホルダ1220におけるアウト球排出溝1235は、遊技盤4を本体枠3の遊技盤保持口601へ挿入保持させると、本体枠3(本体枠ベース600における遊技盤載置部606の上面)に備えられた位置決め突起607と嵌合するようになっており、アウト球排出溝1235が位置決め突起607と嵌合することで、本体枠3に対して遊技盤4が左右方向へ相対移動するのが規制されるようになっている。
本実施形態の遊技パネル1200は、前方からパネルホルダ1220の保持段部1221内へパネル板1210を嵌合挿入して、係合爪1224及び係合片1225と、係合段部1213とを係合させることで、パネルホルダ1220にパネル板1210を保持させることができると共に、パネル板1210とパネルホルダ1220の前面側が略面一となるようになっており、従来より用いられている障害釘植設装置を改造等しなくてもパネル板1210をパネルホルダ1220に保持した状態で従前の障害釘植設装置にセットすることが可能となり、障害釘の植設にかかるコストが増加するのを抑制することができるようになっている。
また、遊技パネル1200は、図示は省略するが、パネル板1210の前面における遊技領域1100と対応した範囲内に、複数の障害釘が所定のゲージ配列で植設されるようになっていると共に、表ユニット2000が取付けられるようになっている。また、パネルホルダ1220の後面には、裏ユニット3000が取付けられるようになっている。これにより、薄いパネル板1210においては、表ユニットのみを支持するようにしているので、表ユニットの荷重によってパネル板1210が歪むのを防止することができるようになっている。
更に、遊技パネル1200を、パネル板1210とパネルホルダ1220とによる分割構造としているので、パネル板1210を透明板としても遊技パネル1200全体の重量が増加するのを抑制することができ、透明なパネル板1210を通して遊技領域1100の後側が遊技者から見えるパチンコ遊技機1を具現化することができ、遊技者の関心を強く引付けられるパチンコ遊技機1とすることができるようになっている。
また、遊技パネル1200を、パネル板1210、及びパネルホルダ1220に分割するようにしているので、パチンコ遊技機1の機種によって障害釘や入賞口等の位置が変化するパネル板1210を交換パーツとすると共に、パネルホルダ1220を共通パーツとすることができ、パネル板1210のみを交換するだけで種々の機種に対応可能な遊技盤4を備えたパチンコ遊技機1とすることができるようになっている。
更に、パネルホルダ1220に予め複数の取付孔1228が所定配列で備えられているので、機種に応じてパネルホルダ1220の後面側に取付固定される裏ユニット3000等の種々の所定部材の取付固定位置が異なる位置となっていても、各種部材の固定部を取付孔1228の位置と対応させるように設計することで、パネルホルダ1220を機種に依存しないパチンコ遊技機1の共通パーツとすることができるようになっている。
[5−7.遊技盤の詳細構成]
次に、本実施形態における遊技盤4の詳細な構成について、図95及び図96を参照して説明する。図95は、遊技盤の詳細な正面図である。また、図96は、図95の遊技盤を分解して前から見た分解斜視図である。
本実施形態のパチンコ遊技機1における遊技盤4は、外レール1111及び内レール1112を有し、遊技者がハンドル装置500を操作することで遊技媒体としての遊技球が打ち込まれる遊技領域1100の外周を区画形成する枠状の前構成部材1110と、前構成部材1110の正面視右下隅部でパチンコ遊技機1へ取付けた時に扉枠5の遊技窓101から遊技者側へ視認可能となる位置に配置された機能表示ユニット1180と、前構成部材1110の後側に遊技領域1100を閉鎖するように取付けられ遊技領域1100と対応する位置に所定形状で前後方向へ貫通した複数の開口部1158(図96を参照)を有した板状の遊技パネル1150と、遊技パネル1150の開口部1158に対して前側から取付けられる表ユニット2000と、遊技パネル1150の後面に取付けられる裏ユニット3000と、を備えている。
また、パチンコ遊技機1における遊技盤4は、遊技パネル1150と裏ユニット3000との間に配置され、遊技パネル1150を貫通するように複数穿設された発光装飾孔に対して遊技パネル1150の後側から挿入されるパネルレンズ部材2500と、裏ユニット3000の後側に脱着可能に取付けられ遊技状態に応じて遊技者側から視認可能とされた所定の演出画像を表示可能な液晶表示装置と、裏ユニット3000の下部を後側から覆うように遊技パネル1150の後面下部に取付けられる基板ホルダ1160と、基板ホルダ1160の後面に取付けられる主制御基板ボックス1170と、を備えている。
[5−7−1.表ユニット]
遊技盤4における表ユニット2000は、遊技領域1100内の左右方向略中央下部でアウト口1151の上側に配置され遊技パネル1150の前面に支持されるアタッカユニット2100と、アタッカユニット2100の左側で遊技領域1100の外周に沿って配置され遊技パネル1150の前面に支持されるサイド入賞口部材2200と、遊技領域1100の略中央部分に配置され遊技パネル1150に支持される枠状のセンター役物2300と、を備えている。
この表ユニット2000は、遊技パネル1150における遊技領域1100と対応した位置に形成された開口部1158に対して、前側から挿入された上で、遊技パネル1150の前面に取付けられるようになっており、遊技パネル1150よりも前側へ突出した部分は、遊技領域1100内に位置するようになっている。これにより、表ユニット2000は、遊技領域1100内へ打ち込まれた遊技球と適宜位置で当接するようになっており、遊技パネル1150の前面に植設された障害釘と共に、遊技球の動きに対して変化を付与することができるようになっているものである。また、表ユニット2000は、遊技領域1100内を装飾することができるようになっている。
[5−7−1a.アタッカユニット]
遊技盤4の表ユニット2000におけるアタッカユニット2100は、遊技領域1100内へ打ち込まれた遊技球が受入可能とされた複数の受入口(入賞口)を有しており、具体的には、左右方向の略中央に配置された上始動口2101と、上始動口2101の下側に配置された下始動口2102と、下始動口2102の下側に配置され上始動口2101や下始動口2102よりも左右方向へ大きく延びた矩形状の大入賞口2103と、大入賞口2103の左右両側やや上寄りに配置された一般入賞口2104と、を備えている。これら上始動口2101、下始動口2102、大入賞口2103、及び一般入賞口2104に受入れられた遊技球は、遊技パネル1150の前面側から後面側へ誘導されるようになっている。
このアタッカユニット2100の上始動口2101は、上側が開放されており遊技球が常時受入(入賞)可能となっている。一方、上始動口2101の下側に配置された下始動口2102は、上始動口2101との間に始動口ソレノイド2105(図97を参照)により拡開可能な一対の可動片2106が配置されており、一対の可動片2106が略垂直に立上った状態では上始動口2101と一対の可動片2106とによって下始動口2102へ遊技球が受入不能となるのに対して、一対の可動片2106が左右方向へ拡開した状態では下始動口2102へ遊技球が受入可能となるようになっている。つまり、一対の可動片2106により下始動口2102が可変入賞口となっている。なお、一対の可動片2106は、後述するセンター役物2300におけるゲート部2350のゲートスイッチ2352による遊技球の通過の検出に基づいて始動口ソレノイド2105の駆動により開閉されるようになっている。
また、アタッカユニット2100の大入賞口2103は、その開口を閉鎖可能な横長矩形状の開閉部材2107によって開閉可能とされている。この開閉部材2107は、下辺が回動可能に軸支されており、略垂直な状態では大入賞口2103を閉鎖して遊技球を受入不能とすることができると共に、上辺が前側へ移動するように回動すると大入賞口2103を開放して遊技球を受入可能とすることができるようになっている。この開閉部材2107は、通常の遊技状態では大入賞口2103を閉鎖した状態となっており、上始動口2101や下始動口2102へ遊技球が受入れられる(始動入賞する)ことで抽選される特別抽選結果に応じて(特別抽選結果が「大当り」又は「小当り」の時に)アタッカソレノイド2108(図97を参照)の駆動により開閉するようになっている。
更に、アタッカユニット2100の一般入賞口2104は、図示するように、上向きに開放されており、遊技球が常時受入(入賞)可能となっている。
また、アタッカユニット2100は、詳細な図示は省略するが、下始動口2102へ受入れられた遊技球を検出する下始動口スイッチ2109と、大入賞口2103へ受入れられた遊技球を検出するカウントスイッチ2110と、を更に備えており、下始動口スイッチ2109やカウントスイッチ2110により検出された遊技球は、基板ホルダ1160の底壁部上に排出されるようになっている。なお、上始動口2101へ受入れられた遊技球を検出する上始動口スイッチ3022と、一般入賞口2104へ受入れられた遊技球を検出する一般入賞口センサ3020は、後述する裏ユニット3000に備えられている。
[5−7−1b.サイド入賞口部材]
遊技盤4における表ユニット2000のサイド入賞口部材2200は、遊技パネル1150における左右方向中央から左寄りの下部で、アタッカユニット2100が挿入固定される開口部1158よりも左側に形成された開口部1158に対して、前側から挿入された上で、遊技パネル1150の前面に固定されるものであり、アタッカユニット2100における正面視左側の一般入賞口2104と並ぶように遊技領域1100の外周に沿って互いに背向するようにされた2つの一般入賞口2201を備えている。これら2つの一般入賞口2201は、上方に開放され遊技球が常時受入(入賞)可能となっており、一般入賞口2201へ受入れられた遊技球は、遊技パネル1150の前面側から後面側へ誘導された後に、後述する裏ユニット3000に備えられた一般入賞口センサ3020によって検出されるようになっている。
また、サイド入賞口部材2200には、その左上端部に左側の端部が遊技領域1100の外周と略接するような位置に配置され、右側の端部へ向うに従って低くなるように傾斜した第一棚部2202と、第一棚部2202とは2つの一般入賞口2201を挟んで反対側且つ下側に配置され遊技領域1100の左右方向中央側(アタッカユニット2100の下始動口2102や大入賞口2103側)へ向かって低くなる第二棚部2203と、を備えており、第一棚部2202によって遊技領域1100の外周に沿って流下してきた遊技球を遊技領域1100の中央側へ寄せることができるようになっている。
なお、2つの一般入賞口2201は、第一棚部2202の右側の端部よりも右側へ配置されており、第一棚部2202により遊技球が遊技領域1100の中央側へ寄せられても、一般入賞口2201へ入賞する可能性があるようになっている。また、2つの一般入賞口2201の間の上側にも、遊技領域1100の中央側へ向って低くなるように傾斜した第三棚部2204が備えられている。
このサイド入賞口部材2200は、全体的に透光性を有するように形成されており、詳細な図示は省略するが、第二棚部2203の後側にサイド入賞口装飾基板が備えられていると共に、サイド入賞口部材2200の後側に後述する裏ユニット3000におけるサイドランプ装飾基板3014が配置されるようになっており、これらサイド入賞口装飾基板及びサイドランプ装飾基板3014によってサイド入賞口部材2200が発光装飾可能とされている。
[5−7−1c.センター役物]
また、遊技盤4における表ユニット2000のセンター役物2300は、遊技パネル1150の略中央を貫通するように大きく形成された開口部1158に対して、前側から挿入された上で、遊技パネル1150の前面に固定されるものであり、図示するように、遊技領域1100の大半を占める大きさで枠状に形成され、正面視右側の外周面は遊技領域1100の外周との間で遊技球の外径よりも若干大きい隙間が形成されるように円弧状に形成されていると共に、左側の外周面は遊技領域1100の外周との間で所定幅の領域が形成されるように垂下した略直線上に形成されている。
このセンター役物2300は、遊技パネル1150の前面に位置する前壁部の上側の外周面における左右方向中央のやや右寄りの位置から左側に、左方向へ向うに従って低くなるように傾斜した上棚部2301を備えており、遊技領域1100内の上部へ打ち込まれた遊技球が、上棚部2301へ流下するとセンター役物2300の左側を通って流下するようになっていると共に、上棚部2301よりも右側へ流下(進入)した遊技球はセンター役物2300の右側を通って一気に遊技領域1100の下部へ流下するようになっている。つまり、センター役物2300における上棚部2301よりも右側へ遊技球が進入するように遊技球を打ち込むと、遊技球の流下を楽しむ機会が少なくなるようになっているので、遊技球の打込強さを適宜調整させることができ、緊張感を維持させて漫然とした遊技となるのを抑制することができるようになっている。
また、センター役物2300は、遊技パネル1150の前側に位置する前壁部の左側の外周面に遊技領域1100を流下する遊技球が進入可能とされたワープ入口2302と、ワープ入口2302に進入した遊技球を枠内へ放出するワープ出口(図示は省略)と、ワープ出口から放出された遊技球を左右方向へ転動させた後にアタッカユニット2100の上側の遊技領域1100内へ放出させセンター役物2300における枠内の下辺上面に形成されたステージ2310と、を主に備えている。
このセンター役物2300におけるステージ2310は、詳細な図示は省略するが、ワープ出口から放出された遊技球が供給される第一ステージと、第一ステージの前側に配置され第一ステージから遊技球が供給されると共に遊技領域1100内へ遊技球を放出可能とされた第二ステージと、を備えている。このステージ2310は、左右方向の略中央が低くなるような湾曲面状に形成されている。また、第一ステージの左右方向略中央の後側には、遊技球が進入可能なチャンス入口2313が形成されており、チャンス入口2313へ進入した遊技球はセンター役物2300における最下端前面のチャンス出口2314から遊技領域1100内へ放出されるようになっている。このチャンス出口2314は、図示するように、アタッカユニット2100における上始動口2101の直上に配置されており、チャンス出口2314から放出された遊技球は、高い確率で上始動口2101へ受入れられる(入賞する)ようになっている。
なお、センター役物2300におけるステージ2310は、透明な部材で形成されており、このステージ2310を通して、裏ユニット3000におけるステージ2310よりも下側に配置された装飾体が遊技者側から視認できるようになっている。
また、センター役物2300には、遊技パネル1150の前側に位置する前壁部の左側の外周面でワープ入口2302よりも上側に、内レール1112と略接するように左方向へ延出する透明なアーチ部2315を更に備えている。このアーチ部2315は、前壁部の略前端から薄板状の延びだしており、アーチ部2315と遊技パネル1150の前面との間に遊技球が通過可能な空間を形成している。これにより、遊技領域1100の上部に打ち込まれて上棚部2301によってセンター役物2300の左側へ誘導された遊技球が、アーチ部2315の後側を通って下流側へ流下するようになっている。
更に、センター役物2300には、遊技パネル1150の前側に位置する前壁部の左側の外周面でアーチ部2315付近に遊技球の通過を検出するゲート部2350を備えている。このゲート部2350は、前壁部の左側の外周面でアーチ部2315の上側に配置され遊技領域1100を流下する遊技球が進入可能とされたゲート入口と、ゲート入口に進入した遊技球を検出するゲートスイッチ2352と、ゲートスイッチ2352で検出された遊技球を前壁部の外周面から遊技領域1100へ放出するゲート出口とを備えている。なお、本実施形態では、詳細な図示は省略するが、ゲート部2350のゲート出口が、アーチ部2315と同じ高さの位置に形成されており、ゲートスイッチ2352で検出された遊技球が、アーチ部2315をあたかも潜ったかのように見えるようになっている。
[5−7−2.パネルレンズ部材]
パチンコ遊技機1における遊技盤4のパネルレンズ部材2500は、遊技パネル1150における遊技領域1100内でセンター役物2300が挿入される開口部1158よりも外側の位置に円形や×形状で前後方向へ貫通するように形成された複数の発光装飾孔を発光装飾させるものである。このパネルレンズ部材2500は、センター役物2300の外周で左上側に形成された複数の発光装飾孔と対応した透明な上パネルレンズ2510と、上パネルレンズ2510の後側に配置され表面に複数のLEDが実装された上パネルレンズ基板と、センター役物2300の外周で左下側に形成された複数の発光装飾孔と対応した透明な下パネルレンズ2520と、下パネルレンズ2520の後側に配置され表面に複数のLEDが実装された下パネルレンズ基板とを備えている。
このパネルレンズ部材2500における上パネルレンズ2510及び下パネルレンズ2520は、板状のレンズベース部から前方へ突出し、挿入される発光装飾孔の形状と略同形状とされた複数の棒状の挿入導光部を備えている。この挿入導光部2502を遊技パネル1150の発光装飾孔へ後側から挿入した状態では、その先端が遊技パネル1150の前面と略一致するように形成されており、遊技パネル1150の前面を流下する遊技球に対して可及的に影響を及ぼさないようになっている。
パネルレンズ部材2500は、上パネルレンズ基板及び下パネルレンズ基板のLEDを適宜発光させることで、ベニア合板等の不透明な遊技パネル1150を用いても遊技球が流下する領域を発光装飾させることができ、これまでにない遊技パネル1150の装飾を遊技者に見せることができると共に、パチンコ遊技機1を目立たせて他のパチンコ遊技機との差別化を計ることができるようになっている。
[5−7−3.裏ユニット]
本実施形態の遊技盤4における裏ユニット3000は、遊技パネル1150の後面に取付固定されており、図示するように、遊技パネル1150から所定距離後側へ離れた位置に液晶表示装置1900を支持する裏箱3001と、裏箱3001内で液晶表示装置1900の上側に配置される上部ユニット3002と、裏箱3001内で液晶表示装置1900の右側に配置されるキャラクタユニット3400と、裏箱3001内で液晶表示装置1900の左側に配置される歯車装飾体ユニット3500と、を主に備えている。
また、裏ユニット3000は、裏箱3001の左下前端付近で遊技パネル1150の前面に取付けられた表ユニット2000におけるサイド入賞口部材2200と対応する位置に配置され、表面に複数のLEDが実装されたサイドランプ装飾基板3014と、裏箱3001の下部前端に取付けられ、サイド入賞口部材2200の一般入賞口2201へ受入れられた遊技球と、アタッカユニット2100における左側の一般入賞口2104へ受入れられた遊技球とを下方へ誘導する左誘導部材3016と、左誘導部材3016の右側に配置され、アタッカユニット2100の上始動口2101及び右側の一般入賞口2104へ受入れられた遊技球を下方へ誘導する右誘導部材3018と、を主に備えている。
更に、裏ユニット3000は、詳細な図示は省略するが、裏箱3001の後側下部に配置されランプ駆動基板4170(図99を参照)を収容した横長矩形状のランプ駆動基板ボックスと、裏箱3001の後側に固定されランプ駆動基板ボックスの背面視で左側に配置されたパネル中継端子板4161(図97を参照)と、裏箱3001の後側上部に配置された横長矩形状の上部抵抗基板と、裏箱3001の後側に取付けられ液晶表示装置1900を脱着可能に保持するロック部材と、を更に備えている。
この裏ユニット3000は、本実施形態では、表ユニット2000におけるセンター役物2300の枠内を通して遊技者側から視認することができるようになっており、所定の形状に造形された各ユニット3100,3400,3500等によってパチンコ遊技機1のコンセプトを特徴付けることができるようになっている。また、裏ユニット3000は、遊技状態に応じて各ユニット3100,3400,3500が、それぞれ独立、或いは、連係しながら可動するようになっており、その可動により遊技者に対して、遊技状態の変化やチャンスの到来等を示唆することができ、遊技者を楽しませることができるようになっている。
[5−7−3a.裏箱]
裏ユニット3000における裏箱3001は、前側が開放された箱状に形成され、前端に外方へ突出するフランジ状の固定部3001aが複数備えられており、この固定部3001aを介して遊技パネル1150の後側に固定されるようになっている。また、裏箱3001は、後壁の略中央に矩形状の開口が形成されており、この開口を通して後側に支持される液晶表示装置1900が遊技者側から視認できるようになっている。更に、裏箱3001は、各ユニット3100,3400,3500や、各基板3014等を取付固定するための取付部が適宜位置に形成されている。
また裏箱3001は、図示は省略するが、背面視で開口の右側に、液晶表示装置1900の左右両辺から外方へ突出する一方(背面視で右辺)の固定片1902を挿入係止する液晶支持部を備えていると共に、開口の背面視で左側にロック部材が取付けられており、ロック部材により液晶表示装置1900の他方(背面視で左辺)の固定片1902を支持することで、液晶表示装置1900が裏箱3001の後側に脱着可能に取付けられるようになっている。
[5−7−3b.誘導部材]
裏ユニット3000における左誘導部材3016は、サイド入賞口部材2200の一般入賞口2201と、アタッカユニット2100の左側の一般入賞口2104へ受入れられた遊技球を、それぞれ異なる流路を通って下方へ誘導排出するようになっており、それぞれの流路に遊技球の通過を検出する一般入賞口センサ3020が備えられている。一方、右誘導部材3018は、アタッカユニット2100の上始動口2101と右側の一般入賞口2104へ受入れられた遊技球を下端付近まではそれぞれ異なる流路を通って下方へ誘導排出されるようになっており、上始動口2101と対応した流路には上始動口スイッチ3022が、右側の一般入賞口2104と対応した流路には一般入賞口センサ3020が備えられている。また、右誘導部材3018には、磁気を検出可能な磁気検出スイッチ3024が備えられている。
これら左誘導部材3016及び右誘導部材3018によって下方へ誘導された遊技球は、基板ホルダ1160の底壁部上に排出され、基板ホルダ1160のアウト球排出部1161から遊技盤4の下方へ排出されるようになっている。
[5−7−3c.上部ユニット]
裏ユニット3000における上部ユニット3100は、全体的に横長に形成され、裏箱3001内で液晶表示装置1900が臨む開口の上側に取付け固定されるものである。この上部ユニット3100は、左右方向の略中央で前面に配置され正面視で円形状の回転装飾体ユニット3200と、回転装飾体ユニット3200の後側に配置され回転装飾体ユニット3200を昇降させる昇降機構3250と、昇降機構3250の後側で左右方向の略中央に配置された揺動装飾体ユニット3300と、揺動装飾体ユニット3300の左右両側に配置された可動天井ユニット3350と、を主に備えている。
この上部ユニット3100の回転装飾体ユニット3200は、昇降機構3250によって、液晶表示装置1900の上部に位置する上昇位置と、液晶表示装置1900の略中央に位置する下降位置との間で上下方向へ移動することができるようになっている。この回転装飾体ユニット3200は、前面に配置された手裏剣状に形成された回転装飾体が回転するようになっていると共に、回転することでその遠心力により回転装飾体の回転半径が拡径するようになっている。
この回転装飾体ユニット3200は、端に回転装飾体が回転するだけでなく、半径方向外側へ突出するようになっているので、回転装飾体全体の回転半径が拡径して見た目を大きく変化させることができるようになっており、遊技者に強いインパクトを与えることができ、遊技者を楽しませて遊技に対する興趣が低下するのを抑制することができると共に、遊技者の関心を強く引付けることができ、他のパチンコ遊技機に対して大きく差別化して遊技するパチンコ遊技機としてパチンコ遊技機1を選択させ易くすることができるようになっている。
また、上部ユニット3100の揺動装飾体ユニット3300は、上昇位置に位置した回転装飾体ユニット3200に隣接するようにその後側の左右に配置された揺動装飾体を備えており、遊技状態に応じて左右の揺動装飾体を一斉に左右方向へ揺動させることができるようになっている。更に、上部ユニット3100の可動天井ユニット3350は、上部ユニット3100の左右両端に水平方向へ延びるような板状の天井装飾体を備えている。この天井装飾体は、前端側を中心として左右方向へ延びた軸周りに回動可能に形成されており、遊技状態に応じて、天井装飾体の後端側が下降する方向へ回動するようになっている。
[5−7−3d.キャラクタユニット]
裏ユニット3000におけるキャラクタユニット3400は、図示するように、忍者を模式化すると共に立体的に造形したキャラクタ体を備えており、遊技状態に応じて、キャラクタ体が右端の位置から、中央側へ寄った位置へ左右方向に移動することができるようになっている。また、キャラクタユニット3400のキャラクタ体は、左右方向へ移動する際に、その移動と共に上下方向へ延びた軸周りに所定角度回動するようになっている。
また、キャラクタユニット3400のキャラクタ体は、頭部が左右方向へ伸びた軸周りに往復回動することができるようになっていると共に、右腕が上下方向へ伸びた軸周りに往復回動することができるようになっている。これにより、頭部を往復回動させることで、あたかもキャラクタが頷いているような動作をさせることができるようになっている。また、右腕を水平方向へ往復回動させることで、あたかもキャラクタが手裏剣を投げているような動作をさせることができるようになっている。
[5−7−3e.歯車装飾体ユニット]
裏ユニット3000における歯車装飾体ユニット3500は、左右方向へ延びた軸周りに回転可能とされ上下方向に複数配置された歯車状の歯車装飾体を備えており、遊技状態に応じて、各歯車装飾体が一斉に回転するようになっている。
[5−7−4.液晶表示装置]
遊技盤4における液晶表示装置1900は、裏ユニット3000における裏箱3001の後面に脱着可能に取付けられるようになっており、遊技状態に応じて所定の演出画像を表示することができるようになっている。この液晶表示装置1900は、左右両側から外方へ突出した固定片1902を備えており、この固定片1902を介して裏箱3001に取付けられるようになっている。
また、液晶表示装置1900は、詳細な図示は省略するが、その後側に周辺制御基板4140を収容した周辺基板ボックスを備えている。
[6.主制御基板、払出制御基板及び周辺制御基板]
次に、パチンコ遊技機1の各種制御を行う制御基板について、図97〜図101を参照して説明する。図97は主制御基板、払出制御基板及び周辺制御基板のブロック図であり、図98は図97のつづきを示すブロック図であり、図99は主基板を構成する払出制御基板とCRユニット及び度数表示板との電気的な接続を中継する遊技球等貸出装置接続端子板に入出力される各種検出信号の概略図であり、図100は図97のつづきを示すブロック図であり、図101は周辺制御MPUの概略を示すブロック図である。
パチンコ遊技機1の制御構成は、図97に示すように、主制御基板4100、払出制御基板4110及び周辺制御基板4140から主として構成されており、各種制御が分担されている。まず、主制御基板4100について説明し、続いて払出制御基板4110、周辺制御基板4140について説明する。
[6−1.主制御基板]
遊技の進行を制御する主制御基板4100は、図97に示すように、各種処理プログラムや各種コマンドを記憶するROMや一時的にデータを記憶するRAM等が内蔵されるマイクロプロセッサである主制御MPU4100aと、入出力デバイス(I/Oデバイス)としての主制御I/Oポート4100bと、各種検出スイッチからの検出信号が入力される主制御入力回路4100cと、各種ソレノイドを駆動するための主制御ソレノイド駆動回路4100dと、主制御MPU4100aに内蔵されているRAM(以下、「主制御内蔵RAM」と記載する。)に記憶された情報を完全に消去するためのRAMクリアスイッチ4100eと、を備えている。主制御MPU4100aは、その内蔵されたROM(以下、「主制御内蔵ROM」と記載する。)や主制御内蔵RAMのほかに、その動作(システム)を監視するウォッチドックタイマや不正を防止するための機能等も内蔵されている。また、主制御MPU4100aは不揮発性のRAMが内蔵されており、この不揮発性のRAMには、主制御MPU4100aを製造したメーカによって個体を識別するためのユニークな符号(世界で1つしか存在しない符号)が付された固有のIDコードが予め記憶されている。この一度付されたIDコードは、不揮発性のRAMに記憶されるため、外部装置を用いても書き換えられない。主制御MPU4100aは、不揮発性のRAMからIDコードを取り出して参照することができる。
図95に示した、上始動口2101に入球した遊技球を検出する上始動口スイッチ3022、下始動口2102に入球した遊技球を検出する下始動口スイッチ2109、及び一般入賞口2104に入球した遊技球を検出する一般入賞口スイッチ3020からの検出信号は、まず主制御入力回路4100cに入力され、主制御I/Oポート4100bを介して主制御MPU4100aに入力されている。また、図95に示した、ゲート部2350を通過した遊技球を検出するゲートスイッチ2352、一般入賞口2201に入球した遊技球を検出する一般入賞口スイッチ3020、大入賞口2103に入球した遊技球を検出するカウントスイッチ2110、及び図96に示した裏ユニット3000に取付けられて磁石を用いた不正行為を検出する磁気検出スイッチ3024からの検出信号は、まず遊技盤4に取付けられたパネル中継端子板4161を介して主制御入力回路4100cに入力され、主制御I/Oポート4100bを介して主制御MPU4100aに入力されている。
主制御MPU4100aは、これらの検出信号に基づいて、主制御I/Oポート4100bから主制御ソレノイド駆動回路4100dに制御信号を出力することにより、パネル中継端子板4161を介して始動口ソレノイド2105及びアタッカソレノイド2108に駆動信号を出力したり、主制御I/Oポート4100bからパネル中継端子板4161、そして機能表示基板1191を介して上特別図柄表示器1185、下特別図柄表示器1186、上特別図柄記憶表示器1184、下特別図柄記憶表示器1187、普通図柄表示器1189、普通図柄記憶表示器1188、遊技状態表示器1183、ラウンド表示器1190に駆動信号を出力したりする。
なお、本実施形態おいて、上始動口スイッチ3022、下始動口スイッチ2109、ゲートスイッチ2352、及びカウントスイッチ2110には、非接触タイプの電磁式の近接スイッチを用いているのに対して、一般入賞口スイッチ3020,3020には、接触タイプのON/OFF動作式のメカニカルスイッチを用いている。これは、遊技球が上始動口2101や下始動口2102に頻繁に入球するし、ゲート部2350を頻繁に通過するため、上始動口スイッチ3022、下始動口スイッチ2109、及びゲートスイッチ2352による遊技球の検出も頻繁に発生する。このため、上始動口スイッチ3022、下始動口スイッチ2109、及びゲートスイッチ2352には、寿命の長い近接スイッチを用いている。また、遊技者にとって有利となる大当り遊技状態が発生すると、大入賞口2103が開放されて遊技球が頻繁に入球するため、カウントスイッチ2110による遊技球の検出も頻繁に発生する。このため、カウントスイッチ2110にも、寿命の長い近接スイッチを用いている。これに対して、遊技球が頻繁に入球しない一般入賞口2104,2201には、一般入賞口スイッチ3020,3020による検出も頻繁に発生しない。このため、一般入賞口スイッチ3020,3020には、近接スイッチより寿命が短いメカニカルスイッチを用いている。
また、主制御MPU4100aは、遊技に関する各種情報(遊技情報)及び払い出しに関する各種コマンド等を払出制御基板4110にシリアル方式で送信したり、この払出制御基板4110からのパチンコ遊技機1の状態に関する各種コマンド等をシリアル方式で受信したりする。また、主制御MPU4100aは、遊技演出の制御に関する各種コマンド及びパチンコ遊技機1の状態に関する各種コマンドを周辺制御基板4140に送信したりする。ここで、周辺制御基板4140へ各種コマンドをシリアル方式で送信する主周シリアル送信ポートについて説明する。主制御MPU4120aは、主制御CPUコア4100aaを中心として構成されており、主制御内蔵RAMのほかに、主制御各種シリアルI/Oポートの1つである主周シリアル送信ポート4100ae等がバス4100ahを介して回路接続されている(図105を参照)。主周シリアル送信ポート4100aeaは、周辺制御基板4140へ各種コマンドを主周シリアルデータとして送信するものであり、送信シフトレジスタ4100aea、送信バッファレジスタ4100aeb、シリアル管理部4100aec等を主として構成されている(図105を参照)。主制御CPUコア4100aaは、コマンドを送信バッファレジスタ4100aebにセットすると、送信開始信号をシリアル管理部4100aecに出力すると、このシリアル管理部4100aecが送信バッファレジスタ4100aebにセットされたコマンドを送信バッファレジスタ4100aebから送信シフトレジスタ4100aeaに転送して主周シリアルデータとして周辺制御基板4140に送信開始する。本実施形態では、送信バッファレジスタ4100aebの記憶容量として32バイトを有している。主制御CPUコア4100aaは、送信バッファレジスタ4100aebに複数のコマンドをセットした後にシリアル管理部4100aecに送信開始信号を出力することによって複数のコマンドを連続的に周辺制御基板4140に送信している。
なお、主制御基板4100に各種電圧を供給する電源基板851は、電源遮断時にでも所定時間、主制御基板4100に電力を供給するためのバックアップ電源としての電気二重層キャパシタ(以下、単に「キャパシタ」と記載する。)BC0(図102参照)を備えている。このキャパシタBC0により主制御MPU4100aは、電源遮断時にでも電源断時処理において各種情報を主制御内蔵RAMに記憶することができるようになっている。この記憶した各種情報は、電源投入時に主制御基板4100のRAMクリアスイッチ4100eが操作されると、主制御内蔵RAMから完全に消去(クリア)されるようになっている。このRAMクリアスイッチ4100eの操作信号(検出信号)は、払出制御基板4110にも出力されるようになっている。
ところで、遊技機は、遊技ホールの島に設置されるまでの間の運搬、設置工事に起因した衝撃、振動を受け、前記ハーネスが断線したり、コネクタがはずれたりすることがある。遊技ホール内においても、種々の要因(故意の取り外しも含まれる)により前記ハーネスが断線したり、前記コネクタがはずれたりすることがある。この場合、断線やコネクタがはずれたのが、どのような状況で発生したのかを特定することは困難であった。また、主制御基板が不正に取り換えられる問題も発生している。
本発明は、遊技機の電源断時においても時刻情報を継続して取得する時刻情報取得手段を有する遊技機に関する構成を備えている。そして、この時刻情報取得手段が備えた機能を、ハーネスの断線検出、または、コネクタが外れたこと、または、基板の取り外す不正が行われた可能性のある時刻を記憶する記憶手段する手段として用いる。ここでは、時刻情報取得手段として時刻情報を取得することが可能なリアルタイムクロック(以下、「RTC」という)を用いる。RTCは、レジスタ回路、クロック入力回路、クロック出力回路、割り込み出力回路、データ入出力回路、および、制御回路を含む。
図100に示される周辺制御基板4140にRTCを配設する例を説明する。周辺制御部4150の周辺制御MPU4150aは内蔵RTC4150aa(図152参照)を備えている。周辺制御部4150は、電源バックアップされていないため、遊技機の電源断の場合、電源オフとなる。したがって、内蔵RTC4150aaは、遊技機の電源断の期間は計時情報およびカレンダー情報を失う。
RTC制御部4190は主制御基板4100を除く周辺制御基板4140、ランプ駆動基板4170、モータ駆動基板4180などの何れかに設置してもよい。RTC制御部4190の外付けのRTC4192から得られる時刻情報は、演出効果を高めるための表示に用いるため、周辺制御基板4140にRTCを配置することがより望ましい。
RTC4192は、時計・カレンダー機能を備える。時計・カレンダー機能は、年,月,日,時,分,秒をカウントする計時を行う機能である。また、必要に応じて、曜日までカウントするものを用いてもよい。RTC制御部4190はRTC4192の計時計測を正確な値に設定するために用いる装置を備えることができる。正確な時刻情報を設定するには、例えば、GPS衛星からの時刻情報を用いることができる。
RTC制御部4190には、RTC4192、および、RTC4192を駆動するための電池4194が設けられている。電池4194を備えることによって、電源基板851の電源遮断時においてもRTC4192は計時、および、カレンダー機能を中断することがない。
電池4194としては一次電池(例えばボタン電池)であってもよいし、充電可能な二次電池、これによって、バックアップ電源を配置する必要がなく周辺制御基板4140の構成が複雑化するのを避けることができる。
あるいは、電源基板851にRTC4192のバックアップ電源を配置してもよい。この場合には大容量のキャパシタを用いることによって、一次電池の欠点である電池の消耗による交換作業をしなくてよい。
そして、RTC4192は通常、RTC4192を駆動するための電源電圧を監視する機能を備えている。電源電圧が低下した場合、正常な時刻情報の計時ができなくなるためである。電池4194は、RAM4196のバックアップ電源としても用いられる。
また、内蔵RTC4150aaはバックアップ電源を備える必要がなくなり、周辺制御MPU4150aの回路構成が複雑になるのを避けることができる。
一方、RTC4192を時刻情報およびカレンダー情報の保持に限定して使用することによって、RTC4192の消費電力を大幅に減少することができ、ボタン電池などのバックアップ電源の長寿命化を図ることができる。
遊技機はRTC4192を備えることによって、年・月・日・時・分・秒(カレンダー情報と時刻情報)を特定する機能を獲得する。つまり、周辺制御基板4140の周辺制御MPU4150aは、遊戯機の起動時(スイッチオン)や電源障害時に、RTC4192から時刻情報およびカレンダー情報を読み取って、周辺制御MPU4150aの内蔵RTC4150aaへセットする。以後、RTC4192からの時刻情報およびカレンダー情報を読み出すのではなく、内蔵RTC4150aaによって時刻情報およびカレンダー情報を保持することができる。
これによって、時刻情報やカレンダー情報を用いた演出を行う際に、その都度、RTC4192に時刻情報およびカレンダー情報を問い合わせる必要がなくなり、演出を内蔵RTC4150aaの時刻情報やカレンダー情報によって行うことができ、演出のための処理速度が低下することが防止され、従来不可能であった多様な演出を実行できる。
また、島に設置された遊技機は、遊技機の電源のオン・オフに関わらず、遊戯中は常に同一の時刻情報によって演出を行うことができ、計時結果が予め定められたデモンストレーション実行の条件を満たすと、複数の遊技機が設置されている島(遊技機設置島)全体の前記複数の遊技機を一斉にデモンストレーション演出を実行する構成を備えることができる。島毎に同じデモンストレーションを実行することによって、演出が実行されるタイミングを確認しやすくなり、RTC4192について狂いが生じているかどうかの判断もし易くなる。
さらに、島毎に異なるデモンストレーション、島毎に時差を備えたデモンストレーションを実行できる。このように、多種多様な演出を実行することができる。
また、RTC制御部4190は、少なくとも主制御基板4100と周辺制御基板4140とを経由する検出用回路(図示せず)を備えることも可能である。遊技機は前記検出回路とRTC4192を備えることによって、運搬時の断線やコネクタのはずれ、保守などによるコネクタの取り外し、あるいは、主制御基板4100が取り外して不正が行われた場合にも、その時刻(必要に応じて月・日情報を含む)をRTC4192により特定し、不揮発性メモリ4196に記憶することができるようになる。
これにより、いつの時点でコネクタの取り外しが発生したか、故意にコネクタの取り外しが行われるなどの不正行為がなされたかを推定することが可能である。また、防犯カメラなど他の防犯装置から得られる情報との連携が取り易く、不正行為が行われた時刻を特定することが容易となり防犯対策を立案し易くなる。
ここで、前記検出回路の一例を、図150を用いて説明する。検出回路用電源851hは、電源基板851に搭載され、その出力はワイヤハーネス5020、主制御基板4100内部の配線5030、主制御基板4100と周辺制御基板4140とを電気的に接続するコネクタ5040、周辺制御基板4140内部の配線5050を介してRTC制御部4190に供給される。
検出回路用電源851hには、図102に示される「BC0」,「BC1」と同様の構成を備えている。つまり、主制御基板4100に各種電圧を供給する電源基板851は、電源遮断時にでも所定時間、周辺制御基板4140に電力を供給するためのバックアップ電源としての電気二重層キャパシタ(以下、単に「キャパシタ」と記載する。)BC2(図示せず)を備えている。
前記検出回路は、図150に示すように、検出回路用電源851hを電源基板851に設け、周辺制御基板4140にRTC制御部4190を配置し、検出回路用電源851hは主制御基板4140を介してRTC制御部4190と電気的に接続されている。そして、キャパシタBC2によりRTC制御部4190は、電源遮断時にでも主制御基板4140が取り外されたことを検知することができる。なお、キャパシタBC2と検出回路用電源851hとの間には、電源断時の逆流防止用のダイオード(図152参照)が設けられている。ここで電源遮断時とは遊技機の電源断とされ、検出回路用電源851hの出力が0となった場合である。
図151や図152に示される配線5050は、図152に示されるような構成としてもよい。検出回路用電源851hからの電圧は比較器5052において所定電圧と比較され、所定電圧より低くなるとRTC4192に信号を出力する。この時、RTC4192は比較器5052から信号を受け取ったときの時刻情報をRTC4192内のRAMあるいはRTC4192の外部のRAMに記憶する。
本発明の実施形態は、前述した、RTC4192のイベント入力端子(図示せず)を用いることができる。イベント入力端は、前記検出回路の電圧降下を監視する。検出回路の電圧が所定の電圧以下になった場合、主制御基板4100が何らかの原因により取り外されたと判断するため、この所定の電圧以下を検出した時にRTC4192で取得された時刻情報をメモリ(RAM)に格納する。
図151は、前記検出回路の他の実施形態を説明する図である。当該実施形態では、前記検出回路用の電源を周辺制御基板4140に設ける。そして、図151に示されるように、前記検出回路は主制御基板4140を介してRTC制御部4190に接続されている。このように、前記検出回路用の電源を遊技機のどの基板に配置するか、当業者が適宜選択することができる。
図152は、図150や図151に示される検出回路をより具体的に説明する図である。バックアップ電源の電圧が所定電圧より低下した場合にRTCに出力信号を出力する比較器5052などから構成される手段を備えている。
図153は、遊技機の電源オンがなされて後、周辺制御基板4140に搭載されている周辺制御MPU4150aが実行する処理である。以下、各ステップに従って説明する。●[S1150]RAMの特定領域に時刻情報が記憶されているか否か判断し、記憶されていない場合にはステップS1151へ移行し、記憶されている場合にはステップS1154へ移行する。
●[S1151]外付けRTC(図100のRTC4192)は動作しているか否かを判断し、動作している場合にはステップS1152へ移行し、動作していない場合にはステップS1153へ移行する。
●[S1152]外付けRTCから時刻情報やカレンダー情報を読み出し、内蔵RTCにセットする。
●[S1153]外付けRTCが動作していないと、内蔵RTCに正確な時刻情報やカレンダー情報をセットできないため、エラー処理を行う。エラー処理としては、遊技機の表示装置に、RTC動作不良のため時刻設定にエラー発生などの表示を行う。
●[S1154]アラーム表示する。警告灯や遊技機の表示装置にアラームを表示する。さらに、音響によるアラーム報知を行うようにしてもよい。
なお、上述したアラーム機能を備えない遊技機として構成する場合には、ステップS1150およびステップS1154の処理を省略することもできる。
図154には、図153に示される処理でエラーやアラームを表示する際の一例を示す。
図154(a)に示されるように、外付けのRTCが動作していない旨のエラー表示を行う。エラー表示1910として例えば「警告!!外付けRTCが動作していません。」のように表示される。
また、図154(b)に示されるように液晶表示装置の遊技領域1100に、警告表示1920として例えば「警告!!! 主制御基板のコネクタが外れた可能性があります。外された可能性のある時刻は、2010年5月1日午前2時34分5秒」のように表示される。
遊技ホールの従業員らは、遊技機の起動後直ちに速やかにエラー表示やアラーム表示を認識することができ、エラーやアラームに対する対策を速やかに行える。
また、周辺制御基板4140に設置されたROMや電源バックアップされたRAMに遊技ホールの営業時間の情報を予め記憶させておき、営業時間内と営業時間外とを区別してアラームを表示するようにしてもよい。
さらに、年・月・日のカレンダー情報を用いることによって、カレンダー情報と時刻情報の両方の情報に基づいた演出を行うことができる。例えば、大安、先勝などの六曜を表示領域1100に表示することができる。六曜は後述するように、カレンダー情報と時刻情報とに基づいてよい、あまりよくないなどの区別がなされている。六曜を表示するため、キャラROM4160d(図100)には、長期に亘る日付と六曜との対応データが記憶されている。
図155には、六曜表示の例が示されている。六曜には、先勝(せんかち)、友引(ともびき)、先負(せんまけ)、仏滅(ぶつめつ)、大安(たいあん)、赤口(しゃっこう)がある。
先勝は、先んずればすなわち勝つの意味で使われている。朝から昼まではよいとされている。
友引は、何事も引き分けの意味で使われている。朝晩はよいとされている。
先負は、先勝と反対の意味で使われている。午後はよいとされている。
仏滅は、あまりよくない日とされている。
大安は、すべてによい日といわれている。
赤口は、昼ごろがよいとされている。
図155(a)には、大当りの表示に合わせて六曜の1つである大安が表示されている。また、図155(b)に示されるように、遊技機では、六曜すべてを表示するのではなく、よいとされる日や時間にのみ表示するようにするとよい。図155(b)では、遊技中に比較的に頻繁に出現するリーチの場合に、内蔵RTCが有するカレンダー情報および時刻情報を用いることで符号1940に示されるように、六曜でかつ時刻情報に従った表示を行うことができ、遊技者にとって興趣を高める演出が可能である。
[6−2.払出制御基板]
遊技球の払い出し等を制御する払出制御基板4110は、図98に示すように、払い出しに関する各種制御を行う払出制御部4120と、発射ソレノイド654による発射制御を行うとともに、球送ソレノイド585による球送制御を行う発射制御部4130と、パチンコ遊技機1の状態を表示するエラーLED表示器860cと、エラーLED表示器860cに表示されているエラーを解除するためのエラー解除スイッチ860aと、図66に示した、賞球タンク720、タンクレール731、及び賞球装置740内の遊技球をパチンコ遊技機1の外部へ排出して球抜き動作を開始するための球抜きスイッチ860bと、を備えている。
[6−2−1.払出制御部]
払い出しに関する各種制御を行う払出制御部4120は、図98に示すように、各種処理プログラムや各種コマンドを記憶するROMや一時的にデータを記憶するRAM等が内蔵されるマイクロプロセッサである払出制御MPU4120aと、I/Oデバイスとしての払出制御I/Oポート4120bと、払出制御MPU4120aが正常に動作しているか否かを監視するための外部ウォッチドックタイマ4120c(以下、「外部WDT4120c」と記載する。)と、賞球装置740の払出モータ744に駆動信号を出力するための払出モータ駆動回路4120dと、払い出しに関する各種検出スイッチからの検出信号が入力される払出制御入力回路4120eと、CRユニット6との各種信号をやり取りするためのCRユニット入出力回路4120fと、を備えている。払出制御MPU4120aには、その内蔵されたROM(以下、「払出制御内蔵ROM」と記載する。)やRAM(以下、「払出制御内蔵RAM」と記載する。)のほかに、不正を防止するため機能等も内蔵されている。
払出制御MPU4120aは、主制御基板4100からの遊技に関する各種情報(遊技情報)及び払い出しに関する各種コマンドを払出制御I/Oポート4120bを介してシリアル方式で受信したり、主制御基板4100からのRAMクリアスイッチ4100eの操作信号(検出信号)が払出制御I/Oポート4120bを介して入力されたりする。
図70に示した、賞球装置740のベースユニット741に形成された供給通路741a内に遊技球の有無を検出する球切れスイッチ750、及びベースユニット741に形成された賞球通路741c内を流下する遊技球を検出する計数スイッチ751からの検出信号は、まず賞球装置740の賞球ケース内基板754を介して払出制御入力回路4120eに入力され、払出制御I/Oポート4120bを介して払出制御MPU4120aに入力されている。賞球装置740の回転検出盤749に形成された検出スリット749aを検出するための回転角スイッチ752からの検出信号は、まず賞球装置740の回転角スイッチ基板753、そして賞球ケース内基板754を介して払出制御入力回路4120eに入力され、払出制御I/Oポート4120bを介して払出制御MPU4120aに入力されている。
また、本体枠3に対する扉枠5の開放を検出する扉枠開放スイッチ618、及び外枠2に対する本体枠3の開放を検出する本体枠開放スイッチ619からの検出信号は、まず払出制御入力回路4120eに入力され、払出制御I/Oポート4120bを介して払出制御MPU4120aに入力されている。
また、図48に示したファールカバーユニット540の収容空間546が貯留された遊技球で満タンであるか否かを検出する満タンスイッチ550からの検出信号は、まずハンドル中継端子板192、そして主扉中継端子板880を介して払出制御入力回路4120eに入力され、払出制御I/Oポート4120bを介して払出制御MPU4120aに入力されている。
払出制御MPU4120aは、払出モータ744を駆動するための駆動信号を、払出制御I/O4120b、そして賞球ケース内基板754を介して払出モータ744に出力したり、パチンコ遊技機1の状態をエラーLED表示器860cに表示するための信号を、払出制御I/Oポート4120bを介してエラーLED表示器860cに出力したり、パチンコ遊技機1の状態を示すためのコマンドを、払出制御I/Oポート4120bを介して主制御基板4100にシリアル方式で送信したり、実際に払い出した遊技球の球数を払出制御I/Oポート4120bを介して外部端子板784に出力したりする。この外部端子板784は、遊技場(ホール)に設置されたホールコンピュータと電気的に接続されている。このホールコンピュータは、パチンコ遊技機1が払い出した遊技球の球数やパチンコ遊技機1の遊技情報等を把握することにより遊技者の遊技を監視している。
エラーLED表示器860cは、セグメント表示器であり、英数字や図形等を表示してパチンコ遊技機1の状態を表示している。エラーLED表示器860cが表示して報知する内容としては、次のようなものがある。例えば、図形「−」が表示されているときには「正常」である旨を報知し、数字「0」が表示されているときには「接続異常」である旨(具体的には、主制御基板4100と払出制御基板4110との基板間の電気的な接続に異常が生じている旨)を報知し、数字「1」が表示されているときには「球切れ」である旨(具体的には、球切れスイッチ750からの検出信号に基づいて賞球装置740のベースユニット741に形成された供給通路741a内に遊技球がない旨)を報知し、数字「2」が表示されているときには「球がみ」である旨(具体的には、回転角スイッチ752からの検出信号に基づいて賞球装置740のベースユニット741に形成された供給通路741aと連通する振分空間741bの入り口において払出回転体748と遊技球とがその入り口近傍でかみ合って払出回転体748が回転困難となっている旨)を報知し、数字「3」が表示されているときには「計数スイッチエラー」である旨(具体的には、計数スイッチ751からの検出信号に基づいて計数スイッチ751に不具合が生じている旨)を報知し、数字「5」が表示されているときには「リトライエラー」である旨(具体的には、払い出し動作のリトライ回数が予め設定された上限値に達した旨)を報知し、数字「6」が表示されているときには「満タン」である旨(具体的には、満タンスイッチ550からの検出信号に基づいてファールカバーユニット540の収容空間546が貯留された遊技球で満タンである旨)を報知し、数字「7」が表示されているときには「CR未接続」である旨(払出制御基板4110からCRユニット6までに亘るいずれかにおいて電気的な接続が切断されている旨)を報知し、数字「9」が表示されているときには「ストック中」である旨(具体的には、まだ払い出していない遊技球の球数が予め定めた球数に達している旨)を報知している。
球貸スイッチ365aからの遊技球の球貸要求信号、及び返却スイッチ365bからのプリペイドカードの返却要求信号は、まず度数表示板365、主扉中継端子板880、そして遊技球等貸出装置接続端子板869を介してCRユニット6に入力されるようになっている。CRユニット6は、球貸要求信号に従って貸し出す遊技球の球数を指定した信号を、遊技球等貸出装置接続端子板869を介して払出制御基板4110にシリアル方式で送信し、この信号がCRユニット入出力回路4120fを介して払出制御I/Oポート4120bで受信されて払出制御MPU4120aに入力されるようになっている。またCRユニット6は、貸し出した遊技球の球数に応じて挿入されたプリペイドカードの残度を更新するとともに、その残度を残度数表示器365cに表示するための信号を、遊技球等貸出装置接続端子板869、主扉中継端子板880、そして度数表示板365に出力し、この信号が残度数表示器365cに入力されるようになっている。
[6−2−2.発射制御部]
発射ソレノイド654による発射制御と、球送ソレノイド585による球送制御と、を行う発射制御部4130は、図98に示すように、発射に関する各種検出スイッチからの検出信号が入力される発射制御入力回路4130aと、定時間毎にクロック信号を出力する発信回路4130bと、このクロック信号に基づいて遊技球を遊技領域1100に向かって打ち出すための発射基準パルスを出力する発射タイミング制御回路4130cと、この発射基準パルスに基づいて発射ソレノイド654に駆動信号を出力する発射ソレノイド駆動回路4130dと、発射基準パルスに基づいて球送ソレノイド585に駆動信号を出力する球送ソレノイド駆動回路4130eと、を備えている。発射タイミング制御回路4130cは、発信回路4130bからのクロック信号に基づいて、1分当たり100個の遊技球が遊技領域1100に向かって打ち出されるよう発射基準パルスを生成して発射ソレノイド駆動回路4130dに出力するとともに、発射基準パルスを所定数倍した球送基準パルスを生成して球送ソレノイド駆動回路4130eに出力する。
回転ハンドル本体前506に手のひらや指が触れているか否かを検出するタッチスイッチ516、及び遊技者の意志によって遊技球の打ち出しを強制的に停止するか否かを検出する発射停止スイッチ518からの検出信号は、まずハンドル中継端子板192、そして主扉中継端子板880を介して発射制御入力回路4130aに入力され、発射タイミング制御回路4130cに入力されている。またCRユニット6と遊技球等貸出装置接続端子板869とが電気的に接続されると、CR接続信号として発射制御入力回路4130aに入力され、発射タイミング制御回路4130cに入力されるようになっている。回転ハンドル本体前506の回転位置に応じて遊技球を遊技領域1100に向かって打ち出す強度を電気的に調節するポテンショメータ512からの信号は、まずハンドル中継端子板192、そして主扉中継端子板880を介して発射ソレノイド駆動回路4130dに入力されている。
この発射ソレノイド駆動回路4130dは、ポテンショメータ512からの信号に基づいて、回転ハンドル本体前506の回転位置に見合う打ち出し強度で遊技球を遊技領域1100に向かって打ち出すための駆動電流を、発射基準パルスが入力されたことを契機として、発射ソレノイド654に出力するようになっている。これに対して、球送ソレノイド駆動回路4130eは、球送基準パルスが入力されたことを契機として、主扉中継端子板880、そしてハンドル中継端子板192を介して球送ソレノイド585に一定電流を出力することにより球送ユニット580の球送部材584が皿ユニット300の上皿301に貯留された遊技球を1球受入れ、その球送基準パルスの入力が終了したことを契機として、その一定電流の出力を停止することにより球送部材584が受入れた遊技球を打球発射装置650側へ送るようになっている。このように、発射ソレノイド駆動回路4130dから発射ソレノイド654に出力される駆動電流は可変に制御されるのに対して、球送ソレノイド駆動回路4130eから球送ソレノイド585に出力される駆動電流は一定に制御されている。
なお、払出制御基板4110に各種電圧を供給する電源基板851は、電源遮断時にでも所定時間、払出制御基板4110に電力を供給するためのバックアップ電源としてのキャパシタBC1(図102参照)を備えている。このキャパシタBC1により払出制御MPU4120aは、電源遮断時にでも電源断時処理において各種情報を払出制御内蔵RAMに記憶することができるようになっている。この記憶した各種情報は、電源投入時に主制御基板4100のRAMクリアスイッチ4100eが操作されると、払出制御内蔵RAMから完全に消去(クリア)されるようになっている。
[6−2−3.遊技球等貸出装置接続端子板との各種信号のやり取り]
ここで、払出制御部4120とCRユニット6とにおける各種信号のやり取り、及びCRユニット6と度数表示板365とにおける各種信号のやり取りについて、図99に基づいて説明する。遊技球等貸出装置接続端子板869は、図99に示すように、CRユニット6と払出制御基板4110との基板間の電気的な接続を中継するほかに、CRユニット6と度数表示板365との基板間の電気的な接続も中継している。払出制御基板4110と遊技球等貸出装置接続端子板869との基板間、CRユニット6と遊技球等貸出装置接続端子板869との基板間、及び度数表示板365と遊技球等貸出装置接続端子板869との基板間は、各配線(ハーネス)によって電気的にそれぞれ接続されている。また、電源基板851からの後述するAC24Vが遊技球等貸出装置接続端子板869を介してCRユニット6に供給されている。CRユニット6は、この供給されたAC24Vから所定電圧VL(本実施形態では、直流+12V(DC+12V、以下「+12V」記載する。))を、内蔵する図示しない電圧作成回路によって作成し、グランドLGとともに、遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、払出制御基板4110及び度数表示板365に供給している。
度数表示板365は、その部品面に、図17に示した、貸球ユニット360の貸球ボタン361と対応する位置に押ボタンスイッチである球貸スイッチ365aが実装され、貸球ユニット360の返却ボタン362と対応する位置に押ボタンスイッチである返却スイッチ365bが実装され、貸球ユニット360の貸出残表示部363と対応する位置にセグメント表示器である残度数表示器365cが実装されている。
球貸スイッチ365a及び返却スイッチ365bは、CRユニット6からのグランドLGが遊技球等貸出装置接続端子板869を介して電気的に接続されている。球貸スイッチ365aは、貸球ボタン361が押圧操作されると、スイッチが入り(ONし)、この球貸操作信号TDSが遊技球等貸出装置接続端子板869を介してCRユニット6に入力されるようになっている。返却スイッチ365bは、返却ボタン362が押圧操作されると、スイッチが入り(ONし)、この返却操作信号RESが遊技球等貸出装置接続端子板869を介してCRユニット6に入力されるようになっている。
残度数表示器365cは、セグメント表示器が3個一列に並設されたものであり、これら3桁のセグメント表示器のうち1桁のセグメント表示器ずつ順次駆動する、いわゆるダイナミック点灯方式によって3桁のセグメント表示器が点灯制御されるようになっている。このような点灯制御によって、残度数表示器365cは、CRユニット6に挿入されたプリペイドカードの残額を表示したり、CRユニット6のエラーを表示したりする。残度数表示器365cは、3桁のセグメント表示器のうち1桁のセグメント表示器を指定するためのデジット信号DG0〜DG2(計3本の信号)と、この指定した1桁のセグメント表示器を点灯させて表示させる内容を指定するためのセグメント駆動信号SEG−A〜SEG−G(計7本の信号)と、がCRユニット6から遊技球等貸出装置接続端子板869を介して入力されると、この入力された、デジット信号DG0〜DG2及びセグメント駆動信号SEG−A〜SEG−Gに従って1桁のセグメント表示器が順次発光され、これらの3桁のセグメント表示器の発光による内容が貸出残表示部363を通して視認することができるようになっている。なお、残度数表示器365cに隣接してCRユニットランプ365dが度数表示板365に実装されている。このCRユニットランプ365dは、CRユニット6からの所定電圧VL及びグランドLGが遊技球等貸出装置接続端子板869を介して入力されており、CRユニット6に内蔵する電圧作成回路が電源基板851から供給されたAC24Vから所定電圧VLを作成している状態では発光し、この発光が貸出残表示部363を通して視認することができるようになっている。また、セグメント駆動信号SEG−A〜SEG−Gは、遊技球等貸出装置接続端子板869に実装された電流制限抵抗を通って残度数表示器365cに入力され、所定電圧VLは、遊技球等貸出装置接続端子板869に実装された電流制限抵抗を通ってCRユニットランプ365dに入力されている。
CRユニット6は、貸球ボタン361が押圧操作されて球貸操作信号TDSが度数表示板365から遊技球等貸出装置接続端子板869を介して入力されると、貸球要求信号であるBRDYを、遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、払出制御基板4110(払出制御MPU4120a)に出力するようになっている。そしてCRユニット6は、1回の払出動作で所定の貸球数(本実施形態では、25球であり、金額として100円に相当する。)を払い出すための1回の払出動作開始要求信号であるBRQを、遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、払出制御基板4110(払出制御MPU4120a)に出力するようになっている。BRDY及びBRQが入力される払出制御基板4110(払出制御MPU4120a)は、1回の払出動作を開始した旨又は終了した旨を伝えるための信号であるEXSを、遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、CRユニット6に出力したり、貸球を払い出すための払出動作が可能である旨又は不可能である旨を伝えるための信号であるPRDYを、遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、CRユニット6に出力したりする。なお、例えば、貸球ボタン361が押圧操作されると、200円分の遊技球が払い出されるように、ホールの店員等がCRユニット6に予め設定している場合には、1回の払出動作が連続して2回行われるようになっており、100円分の25球が払い出されると、続けて100分の25球が払い出され、計200円分の50球が払い出されることとなる。
CRユニット6は、返却ボタン362が押圧操作されて返却操作信号RESが度数表示板365から遊技球等貸出装置接続端子板869を介して入力されると、プリペイドカードを図示しない挿入口から排出して返却するようになっている。この返却されたプリペイドカードは、貸球ボタン361が押圧操作された結果、払い出された遊技球の球数に相当する金額が減算された残額が記憶されている。
[6−3.周辺制御基板]
周辺制御基板4140は、図99に示すように、主制御基板4100からのコマンドに基づいて演出制御を行う周辺制御部4150と、この周辺制御部4150からの制御データに基づいて液晶表示装置1900の描画制御を行う液晶制御部4160と、を備えている。
[6−3−1.周辺制御部]
演出制御を行う周辺制御部4150は、図99に示すように、マイクロプロセッサとしての周辺制御MPU4150aと、各種処理プログラム、各種コマンド及び各種スケジューラを記憶する周辺制御ROM4150bと、高音質の演奏を行う音源IC4150cと、この音源IC4150cが参照する音楽及び効果音等の音情報が記憶されている音ROM4150dと、を備えている。
周辺制御MPU4150aは、パラレルI/Oポート、シリアルI/Oポート等を複数内蔵しており、主制御基板4100から各種コマンドを受信すると、この各種コマンドに基づいて、遊技盤4の各装飾基板に設けた複数のLED等への点灯信号、点滅信号又は階調点灯信号を出力するための遊技盤側発光データをランプ駆動基板用シリアルI/Oポートからランプ駆動基板4170に送信したり、遊技盤4に設けた各種可動体を作動させるモータやソレノイド等の電気的駆動源への駆動信号を出力するための遊技盤側モータ駆動データをモータ駆動基板用シリアルI/Oポートからモータ駆動基板4180に送信したり、扉枠5に設けたダイヤル駆動モータ414等の電気的駆動源への駆動信号を出力するための扉側モータ駆動データと、扉枠5の各装飾基板に設けた複数のLED等への点灯信号、点滅信号又は階調点灯信号を出力するための扉側発光データと、から構成される扉側モータ駆動発光データを枠装飾駆動アンプ基板用シリアルI/Oポートから枠周辺中継端子板868、そして周辺扉中継端子板882を介して枠装飾駆動アンプ基板194に送信したりするほかに、音ROM4150dから音情報を抽出するための制御信号(音コマンド)を音源IC4150cに出力したりする。
主制御基板4100からの各種コマンドは、周辺制御MPU4150aの主制御基板用シリアルI/Oポートに入力されている。また、図43に示した、操作ユニット400に設けられた、ダイヤル操作部401の回転(回転方向)を検出するための回転検出スイッチ432a,432bからの検出信号、及び押圧操作部405の操作を検出するための押圧検出スイッチ432cからの検出信号は、枠装飾駆動アンプ基板194に設けた図示しない扉側シリアル送信回路でシリアル化され、このシリアル化された操作ユニット検出データTS−DATが扉側シリアル送信回路から、周辺扉中継端子板882、そして枠周辺中継端子板868を介して周辺制御MPU4150aの操作ユニット検出用シリアルI/Oポートに入力されている。
遊技盤4に設けた各種可動体の原位置を検出するための各種原位置検出スイッチからの検出信号は、モータ駆動基板4180を介して周辺制御MPU4150aの遊技盤用パラレルI/Oポートに入力されている。
音源IC4150cは、周辺制御MPU4150aからの制御データ(音コマンド)に基づいて音ROM4150dから音情報を抽出し、枠周辺中継端子板868、そして周辺扉中継端子板882を介して本体枠3に設けたスピーカ821から各種演出に合わせた音楽及び効果音等が流れるよう制御を行うとともに、枠周辺中継端子板868、周辺扉中継端子板882、そして枠装飾駆動アンプ基板194を介して扉枠5に設けたスピーカ130,222,262から各種演出に合わせた音楽及び効果音等が流れるよう制御を行っている。
なお、周辺制御部4150は、周辺制御MPU4150aに内蔵されたウォッチドックタイマ(以下、「周辺制御内蔵WDT」と記載する。)のほかに、図示しない、外部ウォッチドックタイマ(以下、「周辺制御外部WDT」と記載する。)も備えており、周辺制御MPU4150aは、周辺制御内蔵WDTと周辺制御外部WDTとを併用して自身のシステムが暴走しているか否かを診断している。
[6−3−1a.周辺制御MPU]
ここで、マイクロコンピュータである周辺制御MPU4150aについて説明する。周辺制御MPU4150aは、図101に示すように、周辺制御CPUコア4150aaを中心として構成されており、周辺制御内蔵RAM4150ab、周辺制御DMA(Direct Memory Accessの略)コントローラ4150ac、周辺制御各種シリアルI/Oポート4150ae、周辺制御内蔵WDT4150af、及び周辺制御各種パラレルI/Oポート4150ag等がバス4150ahを介して回路接続されている。
周辺制御内蔵RAM4150abには、ランプ駆動基板側送信データ領域4150aba、枠装飾駆動アンプ基板側送信データ領域4150abb、及びモータ駆動基板側送信データ領域4150abcが設けられており、ランプ駆動基板側送信データ領域4150abaには、遊技盤4の各装飾基板に設けた複数のLEDへの点灯信号、点滅信号又は階調点灯信号を出力するための遊技盤側発光データSL−DATがセットされる記憶領域であり、枠装飾駆動アンプ基板側送信データ領域4150abbには、扉枠5に設けたダイヤル駆動モータ414等の電気的駆動源への駆動信号を出力するための扉側モータ駆動データと、扉枠5の各装飾基板に設けた複数のLED等への点灯信号、点滅信号又は階調点灯信号を出力するための扉側発光データと、から構成される扉側モータ駆動発光データST−DATがセットされる記憶領域であり、モータ駆動基板側送信データ領域4150abcには、遊技盤4に設けた各種可動体を作動させるモータやソレノイド等の電気的駆動源への駆動信号を出力するための遊技盤側モータ駆動データSM−DATがセットされる記憶領域である。
なお、ランプ駆動基板側送信データ領域4150aba、枠装飾駆動アンプ基板側送信データ領域4150abb、及びモータ駆動基板側送信データ領域4150abcは、第1領域及び第2領域という2つの領域にそれぞれ分割されている。ランプ駆動基板側送信データ領域4150abaは、後述する周辺制御部16ms定常処理が実行されると、ランプ駆動基板側送信データ領域4150abaの第1領域に、遊技盤側発光データSL−DATが記憶され、次の周辺制御部16ms定常処理が実行されると、ランプ駆動基板側送信データ領域4150abaの第2領域に遊技盤側発光データSL−DATが記憶されるようになっており、周辺制御部16ms定常処理が実行されるごとに、ランプ駆動基板側送信データ領域4150abaの第1領域,第2領域に遊技盤側発光データSL−DATが交互に記憶されている。周辺制御部16ms定常処理が実行され、例えば、今回の周辺制御部16ms定常処理においてランプ駆動基板側送信データ領域4150abaの第2領域に遊技盤側発光データSL−DATが記憶されるときには、前回の周辺制御部16ms定常処理が実行された際に、ランプ駆動基板側送信データ領域4150abaの第1領域に記憶した遊技盤側発光データSL−DATに基づいて処理を進行するようになっている。
枠装飾駆動アンプ基板側送信データ領域4150abbは、後述する周辺制御部2ms定常処理が実行されると、枠装飾駆動アンプ基板側送信データ領域4150abbの第1領域に、扉側モータ駆動発光データST−DATが記憶され、次の周辺制御部2ms定常処理が実行されると、枠装飾駆動アンプ基板側送信データ領域4150abbの第2領域に扉側モータ駆動発光データST−DATが記憶されるようになっており、周辺制御部2ms定常処理が実行されるごとに、枠装飾駆動アンプ基板側送信データ領域4150abbの第1領域,第2領域に扉側モータ駆動発光データST−DATが交互に記憶されている。周辺制御部2ms定常処理が実行され、例えば、今回の周辺制御部2ms定常処理において枠装飾駆動アンプ基板側送信データ領域4150abbの第2領域に扉側モータ駆動発光データST−DATが記憶されるときには、前回の周辺制御部2ms定常処理が実行された際に、枠装飾駆動アンプ基板側送信データ領域4150abbの第1領域に記憶した扉側モータ駆動発光データST−DATに基づいて処理を進行するようになっている。
モータ駆動基板側送信データ領域4150abcは、周辺制御部2ms定常処理が実行されると、モータ駆動基板側送信データ領域4150abcの第1領域に、遊技盤側モータ駆動データSM−DATが記憶され、次の周辺制御部2ms定常処理が実行されると、モータ駆動基板側送信データ領域4150abcの第2領域に遊技盤側モータ駆動データSM−DATが記憶されるようになっており、周辺制御部2ms定常処理が実行されるごとに、モータ駆動基板側送信データ領域4150abcの第1領域,第2領域に遊技盤側モータ駆動データSM−DATが交互に記憶されている。周辺制御部2ms定常処理が実行され、例えば、今回の周辺制御部2ms定常処理においてモータ駆動基板側送信データ領域4150abcの第2領域に遊技盤側モータ駆動データSM−DATが記憶されるときには、前回の周辺制御部2ms定常処理が実行された際に、モータ駆動基板側送信データ領域4150abcの第1領域に記憶した遊技盤側モータ駆動データSM−DATに基づいて処理を進行するようになっている。
周辺制御DMAコントローラ4150acは、周辺制御CPUコア4150aaを介すことなく、独立してデータ転送を行う専用のコントローラであり、本実施形態では、ランプ駆動基板側送信データ領域4150abaにセットされた遊技盤側発光データSL−DAT、枠装飾駆動アンプ基板側送信データ領域4150abbにセットされた扉側モータ駆動発光データST−DAT、及びモータ駆動基板側送信データ領域4150abcにセットされた遊技盤側モータ駆動データSM−DATを、周辺制御CPUコア4150aaを介すことなく、周辺制御各種シリアルI/Oポート4150aeから出力する制御を行っている。なお、周辺制御DMAコントローラ4150acは、DMA0〜DMA3の4つのチャンネルを有している。
周辺制御各種シリアルI/Oポート4150aeは、周辺制御CPUコア4150aaを直接介すことなく独立して周辺制御DMAコントローラ4150acにより制御される、ランプ駆動基板用シリアルI/Oポート、モータ駆動基板用シリアルI/Oポート、及び扉装飾駆動基板用シリアルI/Oポートのほかに、周辺制御CPUコア4150aaにより直接制御される、主制御基板用シリアルI/Oポート、及び操作ユニット検出用シリアルI/Oポートを有している。
周辺制御各種パラレルI/Oポート4150agは、遊技盤側モータ駆動ラッチ信号SM−LAT、扉側モータ駆動発光ラッチ信号ST−LAT、及び音ROM4150dから抽出する音情報を示す制御信号(音コマンド)等を出力する一方、遊技盤4に設けた各種可動体の原位置を検出するための各種原位置検出スイッチからの検出信号等が入力されている。
周辺制御内蔵ウォッチドックタイマ(周辺制御内蔵WDT)4150afは、周辺制御MPU4150aのシステムが暴走していないかを監視するためのタイマであり、このタイマがタイマアップすると、ハードウェア的にリセットをかけるようになっている。つまり、周辺制御CPUコア4150aaは、ウォッチドックタイマをスタートさせた場合には、一定期間内(タイマがタイマアップするまで)にそのタイマをクリアするクリア信号を周辺制御内蔵WDT4150afに出力しないときには、リセットがかかることとなる。周辺制御CPUコア4150aaは、ウォッチドックタイマをスタートさせて一定期間内にクリア信号を周辺制御内蔵WDT4150afに出力するときには、タイマカウントを再スタートさせることができるため、リセットがかからない。
[6−3−2.液晶制御部]
液晶表示装置1900の描画制御を行う液晶制御部4160は、図99に示すように、各種処理プログラム、各種コマンド及び各種データを記憶する液晶制御ROM4160bと、液晶表示装置1900を表示制御するVDP(Video Display Processorの略)4160cと、液晶表示装置1900に表示される画面の各種データを記憶するキャラROM4160dと、このキャラROM4160dに記憶されている各種データが転送されてコピーされるキャラRAM4160eと、を備えている。
液晶制御ROM4160bは、液晶表示装置1900に描画する画面を生成するための各種プログラムのほかに、周辺制御部4150からの制御データ(表示コマンド)と対応するスケジュールデータ、その制御データ(表示コマンド)と対応する非常駐領域転送スケジュールデータ等を複数記憶している。スケジュールデータは、画面の構成を規定する画面データが時系列に配列されて構成されており、液晶表示装置1900に描画する画面の順序が規定されている。非常駐領域転送スケジュールデータは、キャラROM4160dに記憶されている各種データをキャラRAM4160eの非常駐領域に転送する際に、その順序を規定する非常駐領域転送データが時系列に配列されて構成されている。この非常駐領域転送データは、スケジュールデータの進行に従って液晶表示装置1900に描画される画面データを、前もって、キャラROM4160dからキャラRAM4160eの非常駐領域に各種データを転送する順序が規定されている。
周辺制御部4150の周辺制御MPU4150aは、制御データ(表示コマンド)と対応するスケジュールデータの先頭の画面データを液晶制御ROM4160bから抽出してVDP4160cに出力した後に、先頭の画面データに続く画面データを液晶制御ROM4160bから抽出してVDP4160cに出力する。このように、周辺制御MPU4150aは、スケジュールデータに時系列に配列された画面データを、先頭の画面データから1つずつ液晶制御ROM4160bから抽出してVDP4160cに出力する。
VDP4160cは、周辺制御MPU4150aから出力された画面データが入力されると、この入力された画面データに基づいてキャラRAM4160eからスプライトデータを抽出して液晶表示装置1900に表示する描画データを生成し、この生成した描画データを液晶表示装置1900に出力する。またVDP4160cは、周辺制御MPU4150aからの画面データを受け入れないときに、その旨を伝える実行中信号を周辺制御MPU4150aに出力する。なお、VDP4160cは、ラインバッファ方式が採用されている。この「ラインバッファ方式」とは、液晶表示装置1900の左右方向を描画する1ライン分の描画データをラインバッファに保持し、このラインバッファに保持した1ライン分の描画データを液晶表示装置1900に出力する方式である。
キャラROM4160dには、極めて多くのスプライトデータが記憶されており、その容量が大きくなっている。キャラROM4160dの容量が大きくなると、つまり液晶表示装置1900に描画するスプライトの数が多くなると、キャラROM4160dのアクセス速度が無視できなくなり、液晶表示装置1900に描画する速度に影響することとなる。そこで、本実施形態では、アクセス速度の速いキャラRAM4160eに、キャラROM4160dに記憶されているスプライトデータを転送してコピーし、このキャラRAM4160eからスプライトデータを抽出している。なお、スプライトデータは、スプライトをビットマップ形式に展開する前のデータである基データであり、圧縮された状態でキャラROM4160dに記憶されている。
ここで、「スプライト」について説明すると、「スプライト」とは、液晶表示装置1900にまとまった単位として表示されるイメージである。例えば、液晶表示装置1900に種々の人物を表示させる場合には夫々の人物を描くためのデータを「スプライト」と呼ぶ。これにより、液晶表示装置1900に複数人の人物を表示させる場合には複数のスプライトを用いることとなる。また人物のほかに、背景を構成する家、山、道路等もスプライトであり、背景全体を1つのスプライトとすることもできる。これらのスプライトは、画面に配置される位置やスプライト同士が重なる場合の上下関係(以下、「スプライトの重ね合わせの順序」と記載する。)が設定されて液晶表示装置1900に描画される。なお、スプライトは縦横それぞれ64画素の矩形領域を複数張り合わせて構成されている。この矩形領域を描くためのデータを「キャラクタ」と呼ぶ。小さなスプライトの場合には1つのキャラクタを用いて表現することができるし、人物など比較的大きいスプライトの場合には、例えば横2×縦3などで配置した合計6個のキャラクタを用いて表現することができる。背景のように更に大きいスプライトの場合には更に多数のキャラクタを用いて表現することができる。このように、キャラクタの数及び配置は、スプライトごとに任意に指定することができるようになっている。
液晶表示装置1900は、その正面から見て左から右に向かって順次、画素に沿った一方向に画素ごとの表示状態を設定する主走査と、その一方向と交差する方向に主走査を繰り返し行う副走査と、によって駆動されるようになっている。液晶表示装置1900は、液晶制御部4160から出力された1ライン分の描画データが入力されると、主走査として液晶表示装置1900の正面から見て左から右に向かって順次、1ライン分の画素にそれぞれ出力する。そして1ライン分の出力が完了すると、液晶表示装置1900は、副走査として直下のラインに移行し、同様に次ライン分の描画データが入力されると、この次ライン分の描画データに基づいて主走査として液晶表示装置1900の正面から見て左から右に向かって順次、1ライン分の画素にそれぞれ出力する。
[7.電源システム]
次に、パチンコ遊技機1に供給される電力について、図102、及び図103を参照して説明する。図102はパチンコ遊技機の電源システムを示すブロック図であり、図103は図102のつづきを示すブロック図である。まず、電源基板851について説明し、続いて各制御基板等に供給される電源について説明する。なお、各種基板のグランドや各種端子板のグランドは、図示しないが、電源基板851のグランドと電気的に接続されている。
[7−1.電源基板]
電源基板851は、電源コードと電気的に接続されており、この電源コードのプラグがパチンコ島設備の電源コンセントに差し込まれている。図79に示した電源スイッチ852を操作すると、パチンコ島設備から供給されている電力が電源基板851に供給され、パチンコ遊技機1の電源投入を行うことができる。
電源基板851は、図102に示すように、全波整流回路851a、力率改善回路851b、平滑化回路851c、+5.2V作成回路851d、+5.25V作成回路851e、+12V作成回路851f、+24V作成回路851gを備えている。全波整流回路851aは、パチンコ島設備から供給されている交流24ボルト(AC24V)を全波整流して力率改善回路851bに供給している。この力率改善回路851bは、全波整流された電力の力率を改善して直流+37V(DC+37V、以下、「+37V」と記載する。)を作成して平滑化回路851cに供給している。この平滑化回路851cは、入力される+37Vのリップルを除去して+37Vを平滑化させて+5.2V作成回路851d、+5.25V作成回路851e、+12V作成回路851f、+24V作成回路851g、払出制御基板4110、及び枠周辺中継端子板868にそれぞれ供給している。+5.2V作成回路851dは、平滑化回路851cから供給される+37Vから直流+5.2V(DC+5.2V、以下、「+5.2V」と記載する。)を作成している。この+5.2Vが印加されて供給される電源系統が+5.2V電源ラインとなる。+5.25V作成回路851eは、平滑化回路851cから供給される+37Vから直流+5.25V(DC+5.25V、以下、「+5.25V」と記載する。)を作成している。この+5.25Vが印加されて供給される電源系統が+5.25V電源ラインとなる。+12V作成回路851fは、平滑化回路851cから供給される+37Vから直流+12V(DC+12V、以下、「+12V」と記載する。)を作成している。この+12Vが印加されて供給される電源系統が+12V電源ラインとなる。+24V作成回路851gは、平滑化回路851cから供給される+37Vから直流+24V(DC+24V、以下、「+24V」と記載する。)を作成している。この+24Vが印加されて供給される電源系統が+24V電源ラインとなる。+5.2V作成回路851d、+12V作成回路851f、及び+24V作成回路851gで作成される電圧は、払出制御基板4110に供給され、+5.25V作成回路851e、+12V作成回路851f、及び+24V作成回路851gで作成される電圧は、枠周辺中継端子板868に供給されている。なお、パチンコ島設備から供給されているAC24Vは、全波整流回路851aのほかに、電源基板851を介して遊技球等貸出装置接続端子板869にも供給されている。
また、電源基板851は、キャパシタBC0,BC1を備えている。キャパシタBC0は、主制御基板4100の主制御MPU4100aに内蔵されたRAM(主制御内蔵RAM)のバックアップ電源であり、キャパシタBC1は、払出制御基板4110における払出制御部4120の払出制御MPU4120aに内蔵されたRAM(払出制御内蔵RAM)のバックアップ電源である。
+5.2V作成回路851dで作成される+5.2Vは、後述するように、払出制御基板4110に供給されるとともに、払出制御基板4110を介して主制御基板4100に供給されている。払出制御基板4110に供給される+5.2Vは、払出制御MPU4120aの電源端子に印加されるとともに、ダイオードPD0を介して払出制御内蔵RAMの電源端子に印加されるようになっている。主制御基板4100に供給される+5.2Vは、主制御MPU4100aの電源端子に印加されるとともに、ダイオードMD0を介して主制御内蔵RAMの電源端子に印加されるようになっている。
電源基板851のキャパシタBC1のマイナス端子(以下、「キャパシタBC1の−端子」と記載する。)は、グランドと接地される一方、そのプラス端子(以下、「キャパシタBC1の+端子」と記載する。)は、払出制御基板4110の払出制御内蔵RAMの電源端子と電気的に接続されるとともに、払出制御基板4110のダイオードPD0のカソード端子とも電気的に接続されている。つまり、+5.2V作成回路851dからの電力は、払出制御MPU4120aの電源端子に向かって電流が流れるとともに、ダイオードPD0により順方向である払出制御内蔵RAMの電源端子と、キャパシタBC1の+端子と、に向かって電流が流れるようになっている。このように、キャパシタBC1は、+5.2V作成回路851dで作成される+5.2Vが払出制御基板4110、そして再び払出制御基板4110から電源基板851に戻ってくるという電気的な接続方法により+5.2Vが印加されて充電することができるようになっている。これにより、+5.2V作成回路851dからの電力が払出制御基板4110に供給されなくなった場合には、キャパシタBC1に充電された電荷が払VBBとして払出制御基板4110に供給されるようになっているため、払出制御MPU4120aの電源端子にはダイオードPD0により電流が妨げられて流れず払出制御MPU4120aが作動しないものの、払出制御内蔵RAMの電源端子には払VBBが印加されることにより記憶内容が保持されるようになっている。
電源基板851のキャパシタBC0のマイナス端子(以下、「キャパシタBC0の−端子」と記載する。)は、グランドと接地される一方、そのプラス端子(以下、「キャパシタBC0の+端子」と記載する。)は、払出制御基板4110を介して主制御基板4100の主制御内蔵RAMの電源端子と電気的に接続されるとともに、主制御基板4100のダイオードMD0のカソード端子とも電気的に接続されている。つまり、+5.2V作成回路851dからの電力は、主制御MPU4100aの電源端子に向かって電流が流れるとともに、ダイオードMD0により順方向である主制御内蔵RAMの電源端子と、キャパシタBC0の+端子と、に向かって電流が流れるようになっている。このように、キャパシタBC0は、+5.2V作成回路851dで作成される+5.2Vが払出制御基板4110、主制御基板4100、そして再び払出制御基板4110から電源基板851に戻ってくるという電気的な接続方法により+5.2Vが印加されて充電することができるようになっている。これにより、+5.2V作成回路851dからの電力が主制御基板4100に供給されなくなった場合には、キャパシタBC0に充電された電荷が主VBBとして主制御基板4100に供給されるようになっているため、主制御MPU4100aの電源端子にはダイオードMD0により電流が妨げられて流れず主制御MPU4100aが作動しないものの、主制御内蔵RAMの電源端子には主VBBが印加されることにより記憶内容が保持されるようになっている。
[7−2.各制御基板等に供給される電圧]
次に、各制御基板等に供給される電圧についての概要を説明し、続いて、主として払出制御基板4110、主制御基板4100、及び発射電源基板831に供給される電圧ついて説明する。
電源基板851で作成された+5.2V、+12V、及び+24Vという3種類の電圧は、図102に示すように、払出制御基板4110に供給されるとともに、この払出制御基板4110を介して主制御基板4100にも供給されている。また電源基板851で作成された+5.25V、+12V、+24V、及び+37Vという4種類の電圧は、枠周辺中継端子板868に供給されるとともに、この枠周辺中継端子板868を介して周辺制御基板4140に供給される一方、その4種類の電圧のうち、+5.25V、+12V、及び+24Vという3種類の電圧が周辺扉中継端子板882に供給されている。周辺制御基板4140に供給される+5.25V、+12V、+24V、及び+37Vという4種類の電圧は、図103(a)に示すように、その4種類の電圧のうち、+5.25V、+12V、及び+24Vという3種類の電圧がランプ駆動基板4170のランプ駆動回路4170aに供給されてランプ駆動回路4170aから遊技盤4の各種装飾基板に点灯信号、点滅信号や階調点灯信号等の各種信号が出力され、その4種類の電圧がモータ駆動基板4180の駆動源駆動回路4180aに供給されて駆動源駆動回路4180aから遊技盤4のモータやソレノイド等の電気的駆動源に駆動信号を出力している。また、その4種類の電圧のうち、+24V及び+37Vという2種類の電圧が液晶表示装置1900に供給されている。液晶表示装置1900は、描画制御される液晶モジュール1900aと、この液晶モジュール1900aのバックライト用の電源であるバックライト電源と、を備えており、+24Vが液晶モジュール1900aに供給され、+37Vがバックライト電源に供給されている。これに対して、周辺扉中継端子板882に供給される+5.25V、+12V、及び+24Vという3種類の電圧は、図103(b)に示すように、枠装飾駆動アンプ基板194に供給されており、その3種類の電圧のうち、+12Vが+9V作成回路194aに供給されて直流+9V(DC+9V、以下、「+9V」と記載する。)を作成している。枠装飾駆動アンプ基板194は、その3種類の電圧に加えて、+9V作成回路194aで作成される+9Vを合わせた4種類の電圧を扉枠5の各種装飾基板等に供給している。
[7−2−1.払出制御基板に供給される電圧]
払出制御基板4110は、図102に示すように、払出制御MPU4120a等のほかに、払出制御フィルタ回路4110a、停電監視回路4110bも備えている。この払出制御フィルタ回路4110aは、電源基板851からの+5.2Vが供給されており、この+5.2Vからノイズを除去している。この+5.2Vは、ダイオードPD0を介して電源基板851のキャパシタBC1に供給されるほかに、例えば、払出制御部4120の払出制御MPU4120a等に供給されている。停電監視回路4110bは、電源基板851からの+12V及び+24Vが供給されており、これら+12V及び+24Vの停電又は瞬停の兆候を監視している。停電監視回路4110bは、+12V及び+24Vの停電又は瞬停の兆候を検出すると、停電予告として停電予告信号を主制御基板4100の主制御MPU4100aに出力する。この停電予告信号は、主制御基板4100を介して、周辺制御基板4140に伝わることにより、この周辺制御基板4140を介して、図103(a),(b)に示すように、液晶表示装置1900のバックライト電源1900bに伝わる一方、枠周辺中継端子板868、周辺扉中継端子板882、そして枠装飾駆動アンプ基板194にも伝わって、枠装飾駆動アンプ基板194を介して、扉枠5の各種装飾基板等に伝わるようになっている。
なお、+12V及び+24Vは、停電監視回路4110bに供給されるほかに、+12Vは、例えば、払出制御部4120の払出制御入力回路4120e等にも供給され、+24Vは、例えば、払出制御部4120の払出モータ駆動回路4120d等にも供給されている。また、電源基板851からの+37は、払出制御基板4110において何ら使用されずに、払出制御基板4110を介して、そのまま発射電源基板831に供給されている。発射電源基板831は、供給される+37Vから後述する所定電圧を作成して発射制御部4130の発射ソレノイド駆動回路4130dに供給している。
このように、停電監視回路4110bを本体枠3側の払出制御基板4110に備えることによって、遊技盤4を製造するごとに停電監視回路4110bを搭載する必要がまったくなくなるため、遊技盤4の製造コスト削減に寄与することができる。
ここで、本実施形態では、払出制御基板4110に停電監視回路4110bを備えた構成としている理由について簡単に説明する。電源基板851からの+5.2V、+12V、及び+24Vは、上述したように、払出制御基板4110を介して主制御基板4100に供給されている。換言すると、本体枠3側に備える電源基板851からの+5.2V、+12V、及び+24Vは、遊技盤4側に備える主制御基板4100に対して、伝送経路として最も近い関係となっている本体枠3側に備える払出制御基板4110を介して供給されている。これにより、電源基板851に停電監視回路を備える場合と比べて、主制御基板4100に対して伝送経路としてより近い関係で+12V及び+24Vの停電又は瞬停の兆候を監視することができるため、停電予告信号を主制御基板4100に伝える伝送経路を短く構成することによって主制御基板4100が重要な遊技情報のバックアップを開始するタイミングを速くすることに寄与することができる。また、上述した、+12V電源ラインと+24V電源ラインとの2つの電源ラインに印加される電圧をそれぞれ監視することによって、+12V電源ライン又は+24V電源ラインの一方の電源ラインに印加される電圧を監視する場合と比べて、停電又は瞬停等の電源断の兆候をより正確に把握することができる。また、最近のパチンコ遊技機では、扉枠や遊技盤等に極めて多くの電飾を設けることによって、煌びやかな演出や迫力ある魅力的な演出を遊技者に提供しており、電飾の数が増加する傾向にある。これに伴って消費電力も大きくなってきており、電源基板を改良する機会も増加してきている。これに対して、払出制御基板は、専ら遊技球の払出動作等を行う基板であるため、払出に関する大きなシステム改良がなければ、作り直す機会が極めて少ない。そこで、本実施形態では、上述した理由により、停電監視回路4110bを、電源基板851に備えた構成を採用せず、払出制御基板4110に備えた構成を採用した。
[7−2−2.主制御基板に供給される電圧]
主制御基板4100は、図102に示すように、主制御MPU4100a等のほかに、主制御フィルタ回路4100gも備えている。主制御フィルタ回路4100gは、払出制御基板4110からの+5.2Vが供給されており、この+5.2Vからノイズを除去している。この+5.2Vは、ダイオードMD0を介して電源基板851のキャパシタBC0に供給されるほかに、例えば、主制御MPU4100a等に供給されている。払出制御基板4110からの+12Vは、例えば、主制御入力回路4100c等に供給され、払出制御基板4110からの+24Vは、例えば、主制御ソレノイド駆動回路4100d等に供給されている。
[7−2−3.発射電源基板に供給される電圧]
発射電源基板831は、図102に示すように、DC/DCコンバータ831a、電解コンデンサSC0(本実施形態では、静電容量:4700マイクロファラッド(μF))を備えている。DC/DCコンバータ831aは、払出制御基板4110からの+37Vを降圧して直流+35V(DC+35V、以下、「+35V」と記載する。)を作成して払出制御基板4110における発射制御部4130の発射ソレノイド駆動回路4130dに供給している。
電解コンデンサSC0のマイナス端子(以下、「電解コンデンサSC0の−端子」と記載する。)は、グランドと接地される一方、そのプラス端子(以下、「電解コンデンサSC0の+端子」と記載する。)は、DC/DCコンバータ831aの+35V出力端子と電気的に接続されている。つまり、電解コンデンサSC0は、DC/DCコンバータ831aから出力される+35Vが印加されることで充電されるようになっている。本実施形態では、DC/DCコンバータ831aからの電流と、電解コンデンサSC0に充電された電荷の放電による電流と、が併合された併合電流が払出制御基板4110の発射ソレノイド駆動回路4130dに流れるようになっている。その詳細な説明を後述する。
なお、上述したように、電源基板851からの+5.2Vは、払出制御基板4110に供給されるのに対して、電源基板851からの+5.25Vは、枠周辺中継端子板868に供給されている。+5.2V及び+5.25Vは、各制御基板の制御基準電圧となるものであるが、電源基板851と配線(ハーネス)を介して電気的に接続された場合に、配線のトータル長さ、つまり電源経路が短い、払出制御基板4110と主制御基板4100とに対しては、その配線に伴う電圧ドロップ(電圧降下)を小さく見積もることができるため、+5.2Vが電源基板851から供給されるのに対して、配線のトータル長さ、つまり電源経路が払出制御基板4110と主制御基板4100とに比べて長い、周辺制御基板4140や枠装飾駆動アンプ基板194に加えて、周辺制御基板4140に従属する、ランプ駆動基板4170、及びモータ駆動基板4180や枠装飾駆動アンプ基板194に従属する扉枠側の各種装飾基板等に対しては、その配線に伴う電圧ドロップ(電圧降下)が無視できないため、払出制御基板4110と主制御基板4100とに供給される+5.2Vより高い電圧である+5.25Vが電源基板851から供給されている。
[8.主制御基板の回路]
次に、図97に示した主制御基板4100の回路等について、図104、及び図105を参照して説明する。図104は主制御基板の回路を示す回路図であり、図105は主制御基板と周辺制御基板との基板間の通信用インターフェース回路を示す回路図である。まず、図102に示した主制御フィルタ回路4100gについて説明し、続いて主制御基板4100で作成された電源、主制御システムリセットIC、主制御水晶発振器、主制御入力回路、主制御I/Oポート4100b等の各種入出力信号、主制御基板4100と周辺制御基板4140との基板間の通信用インターフェース回路について説明する。
主制御基板4100は、図104に示すように、主制御MPU4100a、主制御I/Oポート4100b、主制御3端子フィルタMIC0のほかに、周辺回路として、リセット信号を出力する主制御システムリセットMIC1、クロック信号を出力する主制御水晶発振器MX0(本実施形態では、24メガヘルツ(MHz))を主として構成されている。
[8−1.主制御フィルタ回路]
主制御フィルタ回路4100gは、図104に示すように、主制御3端子フィルタMIC0を主として構成されている。この主制御3端子フィルタMIC0は、T型フィルタ回路であり、フェライトで磁気シールドした減衰特性の優れたものである。主制御3端子フィルタMIC0は、その1番端子に、図102に示した、電源基板851から払出制御基板4110を介して+5.2Vが印加され、その2番端子がグランドと接地され、その3番端子からノイズ成分を除去した+5.2Vが出力されている。1番端子に印加される+5.2Vは、グランド(GND)と接地された電解コンデンサMC0により、まずリップル(電圧に畳重された交流成分)が除去されて平滑化されている。
3番端子から出力される+5.2Vは、グランドと接地された、コンデンサMC1、及び電解コンデンサMC2(本実施形態では、静電容量:470マイクロファラッド(μF))により、さらにリップルが除去されて平滑化されている。この平滑化された+5.2Vは、主制御システムリセットMIC1の電源端子、主制御水晶発振器MX0の電源端子であるVDD端子、主制御MPU4100aの電源端子であるVDD端子、主制御I/Oポート4100bの電源端子であるVCC端子等にそれぞれ印加されている。
主制御MPU4100aのVDD端子はグランドと接地されたコンデンサMC3と電気的に接続され、主制御I/Oポート4100bのVCC端子はグランドと接地されたコンデンサMC4と電気的に接続されており、VDD端子及びVCC端子に入力される+5.2Vはさらにリップルが除去されて平滑化されている。主制御MPU4100aの接地端子であるVSS端子はグランドと接地され、主制御I/Oポート4100bの接地端子であるGND端子はグランドと接地されている。
また、主制御MPU4100aのVDD端子は、コンデンサMC3と電気的に接続されるほかに、ダイオードMD0のアノード端子と電気的に接続されている。ダイオードMD0のカソード端子は、主制御MPU4100aに内蔵されたRAM(主制御内蔵RAM)の電源端子であるVBB端子と電気的に接続されるとともに、グランドと接地されたコンデンサMC5と電気的に接続されている。この主制御内蔵RAMのVBB端子は、ダイオードMD0のカソード端子及びコンデンサMC5と電気的に接続されるほかに、抵抗MR0を介して、図102に示した電源基板851のキャパシタBC0の+端子と電気的に接続されている。つまり、主制御フィルタ回路4100gによりノイズ成分が除去されて平滑化された+5.2Vは、主制御MPU4100aのVDD端子に印加されるとともに、ダイオードMD0を介して、主制御内蔵RAMのVBB端子と、キャパシタBC0の+端子と、に印加されるようになっている。これにより、上述したように、図102に示した電源基板851の+5.2V作成回路851dからの電力が主制御基板4100に供給されなくなった場合には、キャパシタBC0に充電された電荷が主VBBとして主制御基板4100に供給されるようになっているため、主制御MPU4100aのVDD端子にはダイオードMD0により電流が妨げられて流れず主制御MPU4100aが作動しないものの、主制御内蔵RAMのVBB端子には主VBBが印加されることにより記憶内容が保持されるようになっている。
[8−2.主制御システムリセットIC]
主制御フィルタ回路4100gによりノイズ成分が除去されて平滑化された+5.2Vは、図104に示すように、主制御システムリセットMIC1の電源端子に印加されている。主制御システムリセットMIC1は、主制御MPU4100a及び主制御I/Oポート4100bにリセットをかけるものであり、遅延回路が内蔵されている。主制御システムリセットMIC1の遅延容量端子には、グランドと接地されたコンデンサMC6が電気的に接続されており、このコンデンサMC6の容量によって遅延回路による遅延時間を設定することができるようになっている。具体的には、主制御システムリセットMIC1は、電源端子に入力された+5.2Vがしきい値(例えば、4.25V)に達すると、遅延時間経過後に出力端子からシステムリセット信号を出力する。
主制御システムリセットMIC1の出力端子は、主制御MPU4100aのリセット端子であるSRST端子及び主制御I/Oポート4100bのリセット端子であるRESETN端子と電気的に接続されている。出力端子は、オープンコレクタ出力タイプであり、プルアップ抵抗MR1により+5.2V側へ引き上げられている。この+5.2V側へ引き上げられた電圧は、グランドと接地されたコンデンサMC7によりリップルが除去されて平滑化されている(コンデンサMC7は、ローパスフィルタとしての役割も担っている)。出力端子は、電源端子に入力される電圧がしきい値より大きいときにはプルアップ抵抗MR1により+5.2V側へ引き上げられて論理がHIとなり、この論理が主制御MPU4100aのSRST端子及び主制御I/Oポート4100bのRESETN端子に入力される一方、電源端子に入力される電圧がしきい値より小さいときには論理がLOWとなり、この論理が主制御MPU4100aのSRST端子及び主制御I/Oポート4100bのRESETN端子に入力される。主制御MPU4100aのSRST端子及び主制御I/Oポート4100bのRESETN端子は負論理入力であるため、電源端子に入力される電圧がしきい値より小さい状態になると、主制御MPU4100a及び主制御I/Oポート4100bにリセットがかかる。なお、電源端子はグランドと接地されたコンデンサMC8と電気的に接続されており、電源端子に入力される+5.2Vはリップルが除去されて平滑化されている。また、接地端子はグラントと接地されており、NC端子は外部と電気的に未接続の状態となっている。
[8−3.主制御水晶発振器]
主制御フィルタ回路4100gによりノイズ成分が除去されて平滑化された+5.2Vは、図104に示すように、主制御水晶発振器MX0の電源端子であるVDD端子に印加されている。このVDD端子は、グランドと接地されたコンデンサMC9と電気的に接続されており、VDD端子に入力される+5.2Vは、さらにリップルが除去されて平滑化されている。また、この平滑化された+5.2Vは、VDD端子のほかに、出力周波数選択端子であるA端子、B端子、C端子及びST端子にも入力されている。主制御水晶発振器MX0は、これらのA端子、B端子、C端子及びST端子に+5.2Vが印加されることにより、24MHzのクロック信号を出力端子であるF端子から出力する。
主制御水晶発振器MX0のF端子は、主制御MPU4100aのクロック端子であるCLK端子と電気的に接続されており、24MHzのクロック信号が入力されている。このクロック信号が入力された主制御MPU4100aは、そのE端子よりクロック信号を出力する。E端子は、主制御I/Oポート4100bのクロック端子であるCLK端子と電気的に接続されており、E端子から出力される24MHzのクロック信号が入力されている。主制御MPU4100aのE端子と主制御I/Oポート4100bのCLK端子との端子間は、プルアップ抵抗MR2により+5.2V側へ引き上げられている。なお、主制御水晶発振器MX0の接地端子であるGND端子はグランドと接地されており、主制御水晶発振器MX0のF端子の分周波を出力するD端子は外部と電気的に未接続の状態となっている。
[8−4.主制御入力回路]
主制御入力回路4100cは、図97に示した、一般入賞口スイッチ3020,3020、上始動口スイッチ3022、下始動口スイッチ2109、磁気検出スイッチ304、カウントスイッチ2110、ゲートスイッチ2352からの検出信号のほかに、RAMクリアスイッチ4100eからの検出信号、図102に示した払出制御基板4110における停電監視回路4110bからの停電予告信号が入力される回路である。各スイッチからの検出信号が入力される回路構成は、同一であるため、ここでは、RAMクリアスイッチ4100eからの検出信号が入力される回路と、停電予告信号が入力される回路と、について説明する。
[8−4−1.RAMクリアスイッチからの検出信号が入力される回路]
RAMクリアスイッチ4100eの出力ピンとしての3番ピンは、図104に示すように、プルアップ抵抗MR3により+5.2V側へ引き上げられているとともに、抵抗MR4を介して、トランジスタMTR0のベース端子と電気的に接続されている。トランジスタMTR0のベース端子は、抵抗MR4と電気的に接続されるほかに、グランドと接地された抵抗MR5と電気的に接続されている。トランジスタMTR0のエミッタ端子は、グランドに接地され、トランジスタMTR0のコレクタ端子は、プルアップ抵抗MR6により+5.2V側へ引き上げられて主制御I/Oポート4100bの入力ポートPAの入力ピンPA0と電気的に接続されている。RAMクリアスイッチ4100eの1番ピン及び2番ピンはグランドと接地されており、4番ピンは3番ピンと電気的に接続されている。これにより、RAMクリアスイッチ4100eが操作されていないときには、3番ピン及び4番ピンがプルアップ抵抗MR3により+5.2V側へ引き上げられる一方、RAMクリアスイッチ4100eが操作されているときには、3番ピン及び4番ピンが1番ピン及び2番ピンと電気的に接続されることによりグランド側へ引き下げられる。
トランジスタMTR0、抵抗MR4,MR5から構成される回路は、スイッチ回路であり、RAMクリアスイッチ4100eが操作されていないときには、プルアップ抵抗MR3により+5.2V側へ引き上げられた電圧がトランジスタMTR0のベース端子に印加されることでトランジスタMTR0がONし、スイッチ回路もONすることとなる。これにより、トランジスタMTR0のコレクタ端子に印加される電圧がグランド側へ引き下げられて論理がLOWとなったRAMクリア信号が主制御I/Oポート4100bの入力ピンPA0に入力される。一方、RAMクリアスイッチ4100eが操作されているときには、トランジスタMTR0のベース端子に印加される電圧がグランド側へ引き下げられることでトランジスタMTR0がOFFし、スイッチ回路もOFFすることとなる。これにより、トランジスタMTR0のコレクタ端子に印加される電圧がプルアップ抵抗MR6により+5.2V側へ引き上げられて論理がHIとなったRAMクリア信号が主制御I/Oポート4100bの入力ピンPA0に入力される。
[8−4−2.停電予告信号が入力される回路]
払出制御基板4110における停電監視回路4110bからの停電予告信号は、図104に示すように、プルアップ抵抗MR7により+12V側へ引き上げられているとともに、抵抗MR8を介して、トランジスタMTR1のベース端子と電気的に接続されている。トランジスタMTR1のベース端子は、抵抗MR8と電気的に接続されるほかに、グランドと接地された抵抗MR9と電気的に接続されている。トランジスタMTR1のエミッタ端子は、グランドに接地され、トランジスタMTR1のコレクタ端子は、プルアップ抵抗MR10により+5.2V側へ引き上げられて主制御I/Oポート4100bの入力ポートPAの入力ピンPA1と電気的に接続されている。停電予告信号を出力する停電監視回路4110bは、エミッタ端子がグランドに接地されたオープンコレクタ出力タイプとして構成されており、プルアップ抵抗MR7により+12V側へ引き上げられている。これにより、停電予告信号が入力されていないときには、プルアップ抵抗MR7により+12V側へ引き上げられる一方、停電予告信号が入力されているときには、グランド側へ引き下げられる。
トランジスタMTR1、抵抗MR8,MR9から構成される回路は、スイッチ回路であり、停電予告信号が入力されていないときには、プルアップ抵抗MR7により+5.2V側へ引き上げられた電圧がトランジスタMTR1のベース端子に印加されることでトランジスタMTR1がONし、スイッチ回路もONすることとなる。これにより、トランジスタMTR1のコレクタ端子に印加される電圧がグランド側へ引き下げられて論理がLOWとなった停電予告信号1が主制御I/Oポート4100bの入力ピンPA1に入力される。一方、停電予告信号が入力されているときには、トランジスタMTR1のベース端子に印加される電圧がグランド側へ引き下げられることでトランジスタMTR1がOFFし、スイッチ回路もOFFすることとなる。これにより、トランジスタMTR1のコレクタ端子に印加される電圧がプルアップ抵抗MR10により+5.2V側へ引き上げられて論理がHIとなった停電予告信号1が主制御I/Oポート4100bの入力ピンPA1に入力される。
なお、RAMクリアスイッチ4100eからの検出信号は、プルアップ抵抗MR3により+5.2V側へ引き上げられているのに対して、停電予告信号は、プルアップ抵抗MR7により+12V側へ引き上げられている。これは、RAMクリアスイッチ4100eからの検出信号が主制御基板4100に入力されているのに対して、停電予告信号が払出制御基板4110を介して入力されているためである。つまり、主制御基板4100と払出制御基板4110との基板間においては、基板間を電気的に接続する配線(ハーネス)に侵入するノイズの影響を抑えるために、制御基準電圧である+5.2Vよりも高い電圧である+12Vを用いて信号の信頼性を高めている。これにより、主制御基板4100に入力される、一般入賞口スイッチ3020、上始動口スイッチ3022、及び下始動口スイッチ2109からの検出信号は、RAMクリアスイッチ4100eからの検出信号と同様に、プルアップ抵抗により+5.2V側へ引き上げられる一方、図97に示したパネル中継端子板4161を介して入力される、磁気検出スイッチ304、カウントスイッチ2110、一般入賞口スイッチ3020、及びゲートスイッチ2352からの検出信号は、払出制御基板4110からの停電予告信号と同様に、プルアップ抵抗により+12V側へ引き上げられている。
[8−5.主制御I/Oポート等の各種入出力信号]
次に、主制御MPU4100a及び主制御I/Oポート4100bの各種入出力信号について説明する。主制御I/Oポート4100bのデータ入出力端子D0〜D7は、主制御MPU4100aのデータ入出力端子D0〜D7と、データバスを介して各種情報や各種信号のやり取りを行う。
主制御MPU4100aのシリアルデータ入力端子であるRXA端子は、図97に示した払出制御基板4110からのシリアルデータが払主シリアルデータ受信信号として入力される。一方、主制御MPU4100aのシリアルデータ出力端子であるTXA端子及びTXB端子は、TXA端子から、払出制御基板4110に送信するシリアルデータを主払シリアルデータ送信信号として出力し、TXB端子から、図97に示した周辺制御基板4140に送信するシリアルデータを主周シリアルデータ送信信号として出力する。
主制御I/Oポート4100bの入力ポートPAの入力ピンPA2には、上述した主払シリアルデータ受信信号の正常受信完了の旨を伝える払出制御基板4110からの払主ACK信号が上述した主制御入力回路4100cを介して入力され、入力ポートPAの他の入力ピンやポートPB〜PEのうち、入力ポートに設定されているポートの入力ピンには、例えば、図97に示した上始動口スイッチ3022等の各種スイッチからの検出信号が主制御入力回路4100cを介して入力されている。主制御I/Oポート4100bに入力された各種検出信号は、データバスを介して主制御MPU4100aに入力される。
一方、主制御MPU4100aは、データバスを介して主制御I/Oポート4100bの出力ポートPBの出力ピンPB0から上述した払主シリアルデータ受信信号の正常受信完了の旨を伝える主払ACK信号を出力し、ポートPB〜PEのうち、出力ポートに設定されているポートの出力ピンから、例えば、図97に示した、始動口ソレノイド2105への駆動信号を、主制御ソレノイド駆動回路4100dを介して、出力したり、図97に示した上特別図柄表示器1185等の各種表示器に駆動信号を出力したりする。
[8−6.主制御基板と周辺制御基板との基板間の通信用インターフェース回路]
次に、主制御基板4100と周辺制御基板4140との基板間の通信用インターフェース回路について、図105を参照して説明する。主制御基板4100は、図102に示した電源基板851からの+12V、及び+5.2Vが払出制御基板4110を介して供給されている。主制御基板4100から周辺制御基板4140へ送信される主周シリアルデータ送信信号は、主制御基板4100と周辺制御基板4140との基板間を電気的に接続する配線(ハーネス)に侵入するノイズの影響を抑えるために、制御基準電圧である+5.2Vよりも高い電圧である+12Vを用いて送信されることによってその信頼性が高められている。
具体的には、図105に示すように、主制御基板4100には、通信用インターフェース回路として、プルアップ抵抗MR20、抵抗MR21,MR22、お及びトランジスタMTR20を主として構成されている。これに対して、周辺制御基板4140には、通信用インターフェース回路として、ダイオードAD10、電解コンデンサAC10(本実施形態では、静電容量:47μF)、フォトカプラAIC10(赤外LEDとフォトICとが内蔵されている。)を主として構成されている。
主制御基板4100のダイオードMD20のアノード端子には、電源基板851から供給される+12Vが払出制御基板4110を介して印加されて、ダイオードMD20のカソード端子が、マイナス端子がグランドと接地された電解コンデンサMC20(本実施形態では、静電容量:220マイクロファラッド(μF))のプラス端子と電気的に接続されている。ダイオードMD20のカソード端子は、電解コンデンサMC20のプラス端子と電気的に接続されるほかに、配線(ハーネス)を介して、周辺制御基板4140のフォトカプラAIC10のアノード端子(1番端子)と電気的に接続されている。これにより、例えば停電又は瞬停が発生することにより、図102に示した電源基板851からの電力が払出制御基板4110を介して主制御基板4100に供給されなくなった場合には、電解コンデンサMC20に充電された電荷が+12Vとして主制御基板4100から周辺制御基板4140のフォトカプラAIC10のアノード端子に印加し続けることができるようになっている。
ここで、主制御MPU4100aの電源端子であるVDD端子には、停電又は瞬停が発生した場合に、図104に示した電解コンデンサMC2(本実施形態では、静電容量:470μF)に充電された電荷が+5.2Vとして印加されるため、この印加される+5.2Vにより主制御MPU4100aから周辺制御基板4140への送信される主周シリアルデータ送信信号は、少なくとも、主制御MPU4100aに内蔵された主周シリアル送信ポート4100aeの送信バッファレジスタ4100aebにセットされた主周シリアルデータが送信完了することができるようになっている。主制御基板4100から周辺制御基板4140へ送信される主周シリアルデータ送信信号は、上述したように、主制御基板4100と周辺制御基板4140との基板間を電気的に接続する配線(ハーネス)に侵入するノイズの影響を抑えるために、制御基準電圧である+5.2Vよりも高い電圧である+12Vを用いて送信されることによってその信頼性が高められている。つまり、停電又は瞬停が発生した場合に、主制御MPU4100aは、そのシリアル送信部の送信バッファレジスタにセットされた主周シリアルデータを送信完了することができるものの、この主周シリアルデータを制御基準電圧である+5.2Vにより論理をHIとする主周シリアルデータ送信信号がトランジスタMTR20のベース端子に入力されても、+12Vにより論理をHIとする主周シリアルデータ送信信号をトランジスタMTR20のコレクタ端子から出力することができない。そこで、本実施形態では、停電又は瞬停が発生した場合に、電解コンデンサMC20に充電された電荷が+12Vとして主制御基板4100から周辺制御基板4140のフォトカプラAIC10のアノード端子に印加されるため、主制御MPU4100aのシリアル送信部の送信バッファレジスタにセットされた主周シリアルデータを、トランジスタMTR20のコレクタ端子から+12Vにより論理をHIとする主周シリアルデータ送信信号を出力することができるようになっている。これにより、送信途中の主周シリアルデータ送信信号、つまり主周シリアルデータが寸断されることなく周辺制御基板4140で確実に受信されるようになっている。なお、本実施形態では、主制御MPU4100aに内蔵された主周シリアル送信ポート4100aeの送信バッファレジスタ4100aebの記憶容量が32バイトを有しており、また1パケットが3バイトのデータから構成されているため、送信バッファレジスタ4100aebに最大で10パケット分のデータが記憶されるようになっている。また、本実施形態では、主制御MPU4100aから送信される主周シリアルデータの転送ビットレートが19200bpsに設定されている。
フォトカプラAIC10のカソード端子(3番端子)は、抵抗AR10、そしてその配線(ハーネス)を介して、主制御基板4100のトランジスタMTR20のコレクタ端子と電気的に接続されている。周辺制御基板4140の抵抗AR10は、フォトカプラAIC10の内蔵赤外LEDに流れる電流を制限するための制限抵抗である。
図104に示した主制御MPU4100aから主周シリアルデータ送信信号を出力するTXB端子は、プルアップ抵抗MR20により+5.2V側に引き上げられているとともに、抵抗MR21を介して、トランジスタMTR20のベース端子と電気的に接続されている。トランジスタMTR20のベース端子は、抵抗MR21と電気的に接続されるほかに、グランドと接地された抵抗MR22と電気的に接続されている。トランジスタMTR20のエミッタ端子は、グランドと接地されている。
抵抗MR21,MR22、及びトランジスタMTR20から構成される回路はスイッチ回路であり、主周シリアルデータ送信信号の論理がHIであるときには、トランジスタMTR20のベース端子に印加される電圧がグランド側に引き下げられてトランジスタMTR20がOFFし、スイッチ回路もOFFすることとなる。これにより、周辺制御基板4140のフォトカプラAIC10の内蔵赤外LEDに順方向の電流が流れないため、フォトカプラAIC10がOFFする。一方、主周シリアルデータ送信信号の論理がLOWであるときには、トランジスタMTR20のベース端子に印加される電圧がプルアップ抵抗MR20より+5.2V側に引き上げられてトランジスタMTR20がONし、スイッチ回路もONすることとなる。これにより、周辺制御基板4140のフォトカプラAIC10の内蔵赤外LEDに順方向の電流が流れるため、フォトカプラAIC10がONする。
周辺制御基板4140のダイオードAD10のアノード端子には、電源基板851から供給される+5.2Vが払出制御基板4110、そして主制御基板4100を介して印加されて、ダイオードAD10のカソード端子が、マイナス端子がグランドと接地された電解コンデンサAC10のプラス端子と電気的に接続されている。ダイオードAD10のカソード端子は、電解コンデンサAC10のプラス端子と電気的に接続されるほかに、フォトカプラAICの電源端子であるVcc端子(6番端子)と電気的に接続されている。フォトカプラAIC10のエミッタ端子(4番端子)は、グランドに接地され、フォトカプラAICのコレクタ端子(5番端子)は、電解コンデンサAC10のプラス端子と電気的に接続されるプルアップ抵抗AR11により+5.2V側に引き上げられて周辺制御MPU4150aの主制御基板用シリアルI/Oポートの入力端子と電気的に接続されている。フォトカプラAIC10がON/OFFすることによりフォトカプラAIC10のコレクタ端子から出力される信号の論理が変化し、その信号が主周シリアルデータ送信信号として周辺制御MPU4150aの主制御基板用シリアルI/Oポートの入力端子に入力される。これにより、上述したように、例えば停電又は瞬停が発生することにより、電源基板851からの電力が払出制御基板4110、そして主制御基板4100を介して周辺制御基板4140に供給されなくなった場合には、電解コンデンサAC10に充電された電荷が+5.2VとしてフォトカプラAIC10のVcc端子に印加し続けることができるようになっている。電又は瞬停が発生した際に、電解コンデンサAC10からの+5.2Vが印加されることにより、主制御MPU4100aのTXB端子から周辺制御基板4140へ送信される主周シリアルデータ送信信号は、少なくとも、主制御MPU4100aに内蔵された主周シリアル送信ポート4100aeの送信バッファレジスタ4100aebにセットされたデータが送信完了することができるようになっており、送信途中の主周シリアルデータ送信信号、つまり主周シリアルデータが寸断されることなく、また欠落されることなく周辺制御基板4140で確実に受信されるようになっている。
主制御MPU4100aのTXB端子から周辺制御基板4140へ送信される主周シリアルデータ送信信号の論理がHIであるときには、トランジスタMTR20のベース端子に印加される電圧がグランド側に引き下げられてトランジスタMTR20がOFFすることでフォトカプラAIC10がOFFするようになっているため、フォトカプラAIC10のコレクタ端子に印加される電圧がプルアップ抵抗AR11により+5.2Vに引き上げられて論理がHIとなった主周シリアルデータ送信信号が周辺制御MPU4150aの主制御基板用シリアルI/Oポートの入力端子に入力される一方、主制御MPU4100aのTXB端子から周辺制御基板4140へ送信される主周シリアルデータ送信信号の論理がLOWであるときには、トランジスタMTR20のベース端子に印加される電圧がプルアップ抵抗MR20より+5.2V側に引き上げられてトランジスタMTR20がONすることでフォトカプラAIC10がONするようになっているため、フォトカプラAIC10のコレクタ端子に印加される電圧がグランド側に引き下げられて論理がLOWとなった主周シリアルデータ送信信号が周辺制御MPU4150aの主制御基板用シリアルI/Oポートの入力端子に入力される。このように、フォトカプラAIC10のコレクタ端子から出力される主周シリアルデータ送信信号の論理は、主制御MPU4100aのTXB端子から周辺制御基板4140へ送信される主周シリアルデータ送信信号の論理と、同一の論理となっている。
このように、本実施形態では、主制御フィルタ回路部4100gを介して各種電子部品に供給される+5.2V、つまり電源基板851の+5.2V作成回路851dが作成する基準制御電圧である+5.2Vが印加される+5.2V電源ラインと、ダイオードM20を介して印加される+12V、つまり+12V作成回路851fが作成する+12Vが通信制御電圧として印可される+12V電源ラインと、が停電又は瞬停が発生して基準制御電圧及び通信制御電圧が低下した際の対策が施されている。つまり、主制御MPU4100aに内蔵された主周シリアル送信ポート4100aeに対しては、+5.2V電源ラインと、主制御フィルタ回路部4100gの電解コンデンサMC2を第1の補助電源とする電解コンデンサMC2のプラス端子と、が電気的に並列接続されることにより、停電又は瞬停が発生して+5.2V電源ラインから印加される基準制御電圧が低下しても、第1の補助電源である主制御フィルタ回路部4100gの電解コンデンサMC2のプラス端子からの基準制御電圧が印加されることによって、基準制御電圧が印加された状態を維持することができるようになっているし、プルアップ抵抗MR20、抵抗MR21,MR22、及びトランジスタMTR20から構成されるインターフェース回路に対しては、+12V電源ラインに印加される+12Vが通信制御電圧としてダイオードM20のアノード端子に印加され、このダイオードMD20のカソード端子と、第2の補助電源である電解コンデンサMC20のプラス端子と、が電気的に並列接続されることにより、停電又は瞬停が発生して+12V電源ラインからダイオードMD20を介して印加される通信制御電圧が低下しても、第2の補助電源である電解コンデンサMC20のプラス端子からの通信制御電圧が印加されることによって、通信制御電圧が印加された状態を維持することができるようになっている。これにより、主制御基板4100から周辺制御基板4140へ送信中のコマンドの寸断を防止することができ、また欠落を防止することができるため、周辺制御基板4140は、送信中のコマンドを確実に受信することができる。したがって、停電の発生直後や瞬停時におけるコマンドの取りこぼしを解消することができる。
また、主制御MPU4100aに内蔵された主周シリアル送信ポート4100aeの送信バッファレジスタ4100aebにセットされた複数のコマンドを主周シリアルデータとしてすべて、プルアップ抵抗MR20、抵抗MR21,MR22、及びトランジスタMTR20から構成されるインターフェース回路を介して、周辺制御基板4140へ送信完了することができるように、電解コンデンサMC2の静電容量として470μFが設定され、電界コンデンサMC20の静電容量として220μFが設定されている。これにより、主制御基板4100から周辺制御基板4140へ送信中に停電又は瞬停が発生しても、送信バッファレジスタ4100aebにセットされた複数のコマンドを主周シリアルデータとしてすべてインターフェース回路を介して周辺制御基板4140へ送信完了することができるため、周辺制御基板4140は、送信バッファレジスタ4100aebにセットされた複数のコマンドを寸断することなく、また欠落することなく確実に受信することができる。
[9.払出制御基板の回路]
次に、図98に示した払出制御基板4110の回路等について、図106〜図111を参照して説明する。図106は停電監視回路を示す回路図であり、図107は払出制御部の回路等を示す回路図であり、図108は払出制御入力回路を示す回路図であり、図109はCRユニット入出力回路を示す回路図であり、図110は発射制御入力回路を示す回路図であり、図111は主制御基板との各種入出力信号、及び外部端子板への各種出力信号を示す入出力図である。まず、停電監視回路4110bについて説明し、続いて払出制御フィルタ回路4110a、払出制御部4120部の回路、発射制御部4130の回路、主制御基板4100との各種入出力信号、及び外部端子板784への各種出力信号について説明する。
[9−1.停電監視回路]
払出制御基板4110は、図102に示したように、電源基板851から+24V、+12V、及び+5.2Vが供給されており、+24V、及び+12Vが停電監視回路4110bに入力されている。停電監視回路4110bは、+24V、及び+12Vの停電又は瞬停の兆候を監視しており、停電又は瞬停の兆候を検出すると、停電予告として停電予告信号を、払出制御部4120の払出制御MPU4120aのほかに、主制御MPU4100aに出力する。ここでは、まず停電監視回路の構成について説明し、続いて+24Vの停電又は瞬停の監視、+12Vの停電又は瞬停の監視について説明する。
[9−1−1.停電監視回路の構成]
停電監視回路4110bは、図106に示すように、シャント式安定化電源回路PIC20、オープンコレクタ出力タイプのコンパレータPIC21、DタイプフリップフロップPIC22、トランジスタPTR20(本実施形態では、2SC1815)を主として構成されている。
シャント式安定化電源回路PIC20の基準電圧入力端子であるREF端子、及びカソード端子であるK端子は、+5.2Vが抵抗PR20を介して印加されており、REF端子に入力される電流が抵抗PR20により制限されている。K端子は、コンパレータPIC21の比較基準電圧となるリファレンス電圧Vref(本実施形態では、2.495Vが設定されている。)を出力している。このリファレンス電圧Vrefは、グランドと接地されたコンデンサPC20によりリップル(電圧に畳重された交流成分)が除去されて平滑化されている(コンデンサPC20は、ローパスフィルタとしての役割も担っている)。なお、シャント式安定化電源回路PIC20のアノード端子であるA端子はグランド(GND)と接地されている。
コンパレータPIC21は、2つの電圧比較回路を備えており、その1つ(PIC21A)は+24Vの監視電圧V1とリファレンス電圧Vrefとを比較するために用いられており、+端子に+24Vの監視電圧V1が入力され、−端子にリファレンス電圧Vrefが入力されている。残りの1つ(PIC21B)は+12Vの監視電圧V2とリファレンス電圧Vrefとを比較するために用いられており、+端子に+12Vの監視電圧V2が入力され、−端子にリファレンス電圧Vrefが入力されている。これらの比較結果はDタイプフリップフロップPIC22に入力されている。このDタイプフリップフロップPIC22は、2つのDタイプフリップフロップ回路を備えており、その1つ(PIC23A)を本実施形態に用いている。なお、コンパレータPIC21の電源端子であるVcc端子に入力される+5.2Vは、グランドと接地されたコンデンサPC21によりリップルが除去されて平滑化されている。また、DタイプフリップフロップPIC22に入力される+5.2Vは、グランドと接地されたコンデンサPC22によりリップルが除去されて平滑化されている。
[9−1−2.+24Vの停電又は瞬停の監視]
+24Vの停電又は瞬停の監視は、上述したように、コンパレータPIC21のPIC21Aが+24Vの監視電圧V1とリファレンス電圧Vrefとを比較することにより行われている。+24Vは、図106に示すように、抵抗PR21,PR22による抵抗比によって電圧が分配され、グランドと接地されたコンデンサPC23によりリップルが除去されてPIC21Aの+端子に入力されている(コンデンサPC23は、ローパスフィルタとしての役割も担っている)。抵抗PR21,PR22の値は、+24Vが停電又は瞬停した際に、その電圧が+24Vから落ち始めて予め設定した停電検知電圧V1pf(本実施形態では、21.40Vに設定されている。)となったときに、+24Vの監視電圧V1がリファレンス電圧Vrefと同値になるように設定されている。+24Vの電圧が停電検知電圧V1pfより大きいときには、+24Vの監視電圧V1がリファレンス電圧Vrefより大きくなり、その結果として論理がLOWとなるものの、コンパレータPIC21が上述したようにオープンコレクタ出力タイプであるため、プルアップ抵抗PR23により+5.2V側へ引き上げられ、その論理がHIとなり、グランドと接地されたコンデンサPC24によりリップルが除去されてDタイプフリップフロップPIC22のプリセット端子であるPR端子に入力される(コンデンサPC24は、ローパスフィルタとしての役割も担っている)。このPR端子が負論理入力であるため、+24Vの監視電圧V1がリファレンス電圧Vrefより大きいときには、DタイプフリップフロップPIC22の出力端子である1Q端子から、図98に示した払出制御部4120の払出制御I/Oポート4120bに停電予告信号1が出力されない。
一方、+24Vの電圧が停電検知電圧V1pfより小さいときには、+24Vの監視電圧V1がリファレンス電圧Vrefより小さくなり、その結果として論理がHIとなるものの、コンパレータPIC21がオープンコレクタ出力タイプであるため、その論理がLOWとなり、グランドと接地されたコンデンサPC24によりリップルが除去されてDタイプフリップフロップPIC22のプリセット端子であるPR端子に入力される。このPR端子が負論理入力であるため、+24Vの監視電圧V1がリファレンス電圧Vrefより小さいときには、DタイプフリップフロップPIC22の出力端子である1Q端子から払出制御I/Oポート4120bに停電予告信号1が出力される。
[9−1−3.+12Vの停電又は瞬停の監視]
+12Vの停電又は瞬停の監視は、上述したように、コンパレータPIC21のPIC21Bが+12Vの監視電圧V2とリファレンス電圧Vrefとを比較することにより行われている。+12Vは、図106に示すように、抵抗PR24,PR25による抵抗比によって電圧が分配され、グランドと接地されたコンデンサPC25によりリップルが除去されてPIC21Bの+端子に入力されている(コンデンサPC25は、ローパスフィルタとしての役割も担っている)。抵抗PR24,PR25の値は、+12Vが停電又は瞬停した際に、その電圧が+12Vから落ち始めて予め設定した停電検知電圧V2pf(本実施形態では、10.47Vに設定されている。)となったときに、+12Vの監視電圧V2がリファレンス電圧Vrefと同値になるように設定されている。+12Vの電圧が停電検知電圧V2pfより大きいときには、+12Vの監視電圧V2がリファレンス電圧Vrefより大きくなり、その結果として論理がLOWとなるものの、コンパレータPIC21が上述したようにオープンコレクタ出力タイプであるため、プルアップ抵抗PR23により+5.2V側へ引き上げられ、その論理がHIとなり、グランドと接地されたコンデンサPC24によりリップルが除去されてDタイプフリップフロップPIC22のプリセット端子であるPR端子に入力される。このPR端子が負論理入力であるため、+12Vの監視電圧V2がリファレンス電圧Vrefより大きいときには、DタイプフリップフロップPIC22の出力端子である1Q端子から、図98に示した払出制御部4120の払出制御I/Oポート4120bに停電予告信号1が出力されない。
一方、+12Vの電圧が停電検知電圧V2pfより小さいときには、+12Vの監視電圧V2がリファレンス電圧Vrefより小さくなり、その結果として論理がHIとなるものの、コンパレータPIC21がオープンコレクタ出力タイプであるため、論理がLOWとなり、グランドと接地されたコンデンサPC24によりリップルが除去されてDタイプフリップフロップPIC22のプリセット端子であるPR端子に入力される。このPR端子が負論理入力であるため、+12Vの監視電圧V2がリファレンス電圧Vrefより小さいときには、DタイプフリップフロップPIC22の出力端子である1Q端子から払出制御I/Oポート4120bに停電予告信号1が出力される。
なお、DタイプフリップフロップPIC22の出力端子である1Q端子は、抵抗PR26を介してトランジスタPTR20のベース端子と電気的に接続されている。トランジスタPTR20のベース端子は、抵抗PR26と電気的に接続されるほかに、グランドと接地された抵抗PR27と電気的に接続されている。トランジスタPTR20のエミッタ端子は、グランドに接地され、トランジスタPTR20のコレクタ端子は、配線(ハーネス)を介して、図104に示した、主制御入力回路4100cのプルアップ抵抗MR7と電気的に接続されることより、1Q端子から出力する信号を+12V側へ引き上げて停電予告信号として主制御基板4100へ伝えている。つまり、トランジスタPTR20は、エミッタ端子がグランドに接地されたオープンコレクタ出力タイプとして構成されている。このように、DタイプフリップフロップPIC22の出力端子である1Q端子と払出制御I/Oポート4100bの入力端子との端子間においては、DタイプフリップフロップPIC22と払出制御I/Oポート4100bとが払出制御基板4110に実装されているため、制御基準電圧である+5.2Vを用いたON/OFF信号である停電予告信号1によって停電予告を行うのに対して、払出制御基板4110と主制御基板4100との基板間においては、基板間を電気的に接続する配線(ハーネス)に侵入するノイズの影響を抑えるために、制御基準電圧である+5.2Vよりも高い電圧である+12Vを用いたON/OFF信号である停電予告信号によって停電予告を行っている。
また、DタイプフリップフロップPIC22のクリア端子であるCLR端子には、図98に示した払出制御部4120の払出制御MPU4120aから、払出制御I/Oポート4210bを介して、停電クリア信号が入力されるようになっている。CLR端子は負論理入力であるため、払出制御MPU4120aからの停電クリア信号は、払出制御I/Oポート4210bを介してその論理がLOWとなってCLR端子に入力される。DタイプフリップフロップPIC22は、CLR端子に停電クリア信号が入力されると、ラッチ状態を解除するようになっており、このとき、プリセット端子であるPR端子に入力された論理を反転して出力端子である1Q端子から出力する。
一方、払出制御MPU4120aからの停電クリア信号の出力が停止されると、払出制御I/Oポート4210bを介してその論理がHIとなってCLR端子に入力される。DタイプフリップフロップPIC22は、CLR端子に停電クリア信号が入力されないときには、ラッチ状態をセットするようになっており、PR端子に論理がLOWとなって入力された状態をラッチする。なお、D入力端子である1D端子、クロック入力端子である1CK端子、接地端子であるGND端子は、グランドと接地されている。また、1Q端子の論理を反転した負論理1Q端子は外部と電気的に未接続の状態となっている。
[9−2.払出制御フィルタ回路]
払出制御フィルタ回路4110aは、図107に示すように、払出制御3端子フィルタPIC0を主として構成されている。この払出制御3端子フィルタPIC0は、T型フィルタ回路であり、フェライトで磁気シールドした減衰特性の優れたものである。払出制御3端子フィルタPIC0は、その1番端子に図102に示した電源基板851からの+5.2Vが印加され、その2番端子がグランドと接地され、その3番端子からノイズ成分を除去した+5.2Vが出力されている。1番端子に印加される+5.2Vは、グランド(GND)と接地された電解コンデンサPC0により、まずリップル(電圧に畳重された交流成分)が除去されて平滑化されている。
3番端子から出力される+5.2Vは、グランドと接地された、コンデンサPC1、及び電解コンデンサPC2により、さらにリップルが除去されて平滑化されている。この平滑化された+5.2Vは、外部WDT4120cの電源端子であるVcc端子、払出制御水晶発振器PX0の電源端子であるVCC端子、払出制御MPU4120aの電源端子であるVDD端子、払出制御I/Oポート4120bの電源端子であるVCC端子等にそれぞれ印加されている。
払出制御MPU4120aのVDD端子はグランドと接地されたコンデンサPC3と電気的に接続され、払出制御I/Oポート4120bのVCC端子はグランドと接地されたコンデンサPC4と電気的に接続されており、VDD端子及びVCC端子に入力される+5.2Vはさらにリップルが除去されて平滑化されている。払出制御MPU4120aの接地端子であるVSS端子はグランドと接地され、払出制御I/Oポート4120bの接地端子であるGND端子はグランドと接地されている。
また、払出制御MPU4120aのVDD端子は、コンデンサPC3と電気的に接続されるほかに、ダイオードPD0のアノード端子と電気的に接続されている。ダイオードPD0のカソード端子は、払出制御MPU4120aに内蔵されたRAM(払出制御内蔵RAM)の電源端子であるVBB端子と電気的に接続されるとともに、グランドと接地されたコンデンサPC5と電気的に接続されている。この払出制御内蔵RAMのVBB端子は、ダイオードPD0のカソード端子及びコンデンサPC5と電気的に接続されるほかに、抵抗PR0を介して、図102に示した電源基板851のキャパシタBC1の+端子と電気的に接続されている。つまり、払出制御フィルタ回路4110aによりノイズ成分が除去されて平滑化された+5.2Vは、払出制御MPU4120aのVDD端子に印加されるとともに、ダイオードPD0を介して、払出制御内蔵RAMのVBB端子と、キャパシタBC1の+端子と、に印加されるようになっている。これにより、上述したように、図102に示した電源基板851の+5.2V作成回路851dからの電力が払出制御基板4110に供給されなくなった場合には、キャパシタBC1に充電された電荷が払VBBとして払出制御基板4110に供給されるようになっているため、払出制御MPU4120aのVDD端子にはダイオードPD0により電流が妨げられて流れず払出制御MPU4120aが作動しないものの、払出制御内蔵RAMのVBB端子には払VBBが印加されることにより記憶内容が保持されるようになっている。
[9−3.払出制御部の回路]
払出制御部4120は、図107〜図109に示すように、払出制御MPU4120a、払出制御I/Oポート4120b、外部WDT4120c、払出モータ駆動回路4120d、払出制御入力回路4120e、CRユニット入出力回路4120fのほかに、周辺回路として、払出制御水晶発振器PX0(本実施形態では、8メガヘルツ(MHz))を主として構成されている。ここでは、まず外部WDT4120cについて説明し、続いて払出制御水晶発振器PX0、払出モータ駆動回路4120d、払出制御入力回路4120e、CRユニット入出力回路4120f、主制御I/Oポート等の各種入出力信号、払出制御I/Oポート等の各種入出力信号について説明する。
[9−3−1.外部WDT(外部ウォッチドックタイマ)]
払出制御フィルタ回路4110aによりノイズ成分が除去されて平滑化された+5.2Vは、図107に示すように、外部WDT4120cの電源端子であるVcc端子に印加されている。外部WDT4120cは、払出制御MPU4120aにリセットをかけるものであり、ウォッチドックタイマが内蔵されている。外部WDT4120cは、Vcc端子に入力された+5.2Vの電圧を監視する機能と、払出制御MPU4120aが正常に動作しているか否かを監視する機能と、を有しており、Vcc端子に入力された+5.2Vの電圧がしきい値(本実施形態では、4.2Vに設定されている。)に達すると、負論理RESET端子からリセット信号を出力したり、払出制御MPU4120aから払出制御I/Oポート4120bを介して外部WDTクリア信号がクリア信号解除時間内にCK端子に入力されないと、負論理RESET端子からリセット信号を出力したりする。
外部WDT4120cのTC端子はグランドと接地されたコンデンサPC6が電気的に接続されており、外部WDT4120cのRCT端子は+5.2V側へ引き上げられたプルアップ抵抗PR1が電気的に接続されている。上述したクリア信号解除時間は、コンデンサPC6の容量と、プルアップ抵抗PR1の抵抗値と、によって設定することができる。なお、本実施形態では、クリア信号解除時間として払出制御MPU4120aの割り込みタイマ(1.75ms)の20回分に相当する時間35ms(=1.75ms×20回)が設定されている。
外部WDT4120cの負論理RESET端子は、払出制御MPU4120aのリセット端子であるRST0端子、及び払出制御I/Oポート4120bのリセット端子であるRESETN端子と電気的に接続されている。負論理RESET端子はオープンコレクタ出力タイプであり、プルアップ抵抗PR2により+5.2V側へ引き上げられている。この+5.2V側へ引き上げられた電圧は、グランドと接地されたコンデンサPC7によりリップルが除去されて平滑化されている(コンデンサPC7は、ローパスフィルタとしての役割も担っている)。負論理RESET端子は、Vcc端子に入力される電圧がしきい値より大きいときにはプルアップ抵抗PR1により+5.2V側へ引き上げられて論理がHIとなって払出制御MPU4120aのRST0端子、及び払出制御I/Oポート4120bのRESETN端子に入力される一方、電源端子に入力される電圧がしきい値より小さいときには論理がLOWとなって払出制御MPU4120aのRST0端子、及び払出制御I/Oポート4120bのRESETN端子に入力される。
また負論理RESET端子は、CK端子に入力される外部WDTクリア信号がクリア信号解除時間内にONからOFFに切り替わって外部WDTクリア信号が解除されたときにはプルアップ抵抗PR2により+5.2V側へ引き上げられて論理がHIとなって払出制御MPU4120aのRST0端子、及び払出制御I/Oポート4120bのRESETN端子に入力される一方、CK端子に入力される外部WDTクリア信号がクリア信号解除時間内にONされたまま外部WDTクリア信号が解除されなかったときには論理がLOWとなって払出制御MPU4120aのRST0端子、及び払出制御I/Oポート4120bのRESETN端子に入力される。
払出制御MPU4120aのRST0端子、及び払出制御I/Oポート4120bのRESETN端子は負論理入力であるため、Vcc端子に入力される電圧がしきい値より小さい状態となったり、CK端子に入力される外部WDTクリア信号がクリア信号解除時間内にONされたまま外部WDTクリア信号が解除されなかったときには、払出制御MPU4120a及び払出制御I/Oポート4120bにリセットがかかる。なお、外部WDT4120cのVs端子には、グランドと接地されたコンデンサPC8が電気的に接続されており、Vcc端子にはグランドと接地されたコンデンサPC9が電気的に接続されている。このコンデンサPC9によってVcc端子に入力される+5.2Vはリップルが除去されて平滑化されている。また、外部WDT4120cの接地端子であるGND端子はグラントと接地されており、外部WDT4120cの正論理RESET端子は外部と電気的に未接続の状態となっている。
[9−3−2.払出制御水晶発振器]
払出制御フィルタ回路4110aによりノイズ成分が除去されて平滑化された+5.2Vは、図107に示すように、払出制御水晶発振器PX0の電源端子であるVCC端子に入力されている。このVCC端子は、グランドと接地されたコンデンサPC10と電気的に接続されており、VCC端子に入力される+5.2Vはさらにリップルが除去されて平滑化されている。また、この平滑化された+5.2Vは、VCC端子のほかに、払出制御水晶発振器PX0の出力許可(Output Enable)端子であるOE端子にも入力されている。払出制御水晶発振器PX0は、そのOE端子に+5.2Vが入力されることにより、8MHzのクロック信号を出力端子であるOUT端子から出力する。なお、払出制御水晶発振器PX0の接地端子であるGND端子はグラントと接地されている。
払出制御水晶発振器PX0のOUT端子は、払出制御MPU4120aのクロック端子であるMCLK端子、及び払出制御I/Oポート4120bのクロック端子であるCLK端子と電気的に接続されており、8MHzのクロック信号が払出制御MPU4120a、及び払出制御I/Oポート4120bに入力されている。
[9−3−3.払出モータ駆動回路]
払出モータ駆動回路4120dは、図107に示すように、ドライブPIC1を主として構成されている。このドライブPIC1は、4つのダーリントンパワートランジスタを備えており、本実施形態では、エミッタ端子をグランドと接地させ、ベース端子に払出モータ駆動信号が入力されると、対応するコレクタ端子から励磁信号である駆動パルスが出力されるようになっている。
図102に示した電源基板851から供給された+24Vは、図107に示すように、ツェナーダイオードPZD0を介してドライブPIC1のカソード端子に入力されている。ツェナーダイオードPZD0のアノード端子は+24Vと電気的に接続されており、ツェナーダイオードPZD0のカソード端子がドライブPIC1のカソード端子と電気的に接続されている。ドライブPIC1のカソード端子に入力された+24Vは、払出モータ744の駆動電源となる。ドライブPIC1のベース端子は、払出制御I/Oポート4120bの出力ポートPCの出力ピンPC0〜PC3と電気的に接続されており、出力ピンPC0〜PC3から出力された払出モータ駆動信号に応じて対応するコレクタ端子から励磁信号である駆動パルスが抵抗PR3〜PR6、そして図98に示した賞球ケース内基板754を介して払出モータ744の各相(/B相、B相、A相、/A相)に出力される。これらの駆動パルスは、払出モータ744の各相(/B相、B相、A相、/A相)に流す励磁電流のスイッチングにより行われ、払出モータ744を回転させる。なお、このスイッチングにより各相(/B相、B相、A相、/A相)の駆動パルス(励磁信号)を遮断したときには逆起電力が発生する。この逆起電力がドライブPIC1の耐圧を超えると、ドライブPIC1が破損するため、保護として、ドライブPIC1のカソード端子と、ツェナーダイオードPZD0のカソード端子と、が電気的に接続されている。
[9−3−4.払出制御入力回路]
払出制御入力回路4120eは、図98に示した、扉枠開放スイッチ618、本体枠開放スイッチ619、エラー解除スイッチ860a、球抜きスイッチ860bからの検出信号が入力される回路である。まず、扉枠開放スイッチ618からの検出信号が入力される回路について説明し、続いて本体枠開放スイッチ619からの検出信号が入力される回路、エラー解除スイッチ860aからの検出信号が入力される回路、球抜きスイッチ860bからの検出信号が入力される回路について説明する。
[9−3−4(a).扉枠開放スイッチからの検出信号が入力される回路]
扉枠開放スイッチ618は、常閉形(ノーマルクローズ(NC))を用いており、扉枠5が本体枠3から開放された状態でスイッチがON(導通)し、扉枠5が本体枠3に閉鎖された状態でスイッチがOFF(切断)するようになっている。扉枠開放スイッチ618の一端は、図108に示すように、図102に示した電源基板851からの+12Vが払出制御基板4110を介して印加されており、扉枠開放スイッチ618の他端は、抵抗PR30、そして抵抗PR31を介して、トランジスタPTR30のベース端子と電気的に接続されている。抵抗PR30と抵抗PR31との接続間には、グランドと接地された抵抗PR32と、グランドと接地された電解コンデンサPC30と、が電気的に接続されている。トランジスタPTR30のベース端子は、抵抗PR31と電気的に接続されるほかに、グランドと接地された抵抗PR33と電気的に接続されている。トランジスタPTR30のエミッタ端子は、グランドに接地され、トランジスタPTR30のコレクタ端子は、プルアップ抵抗PR34により+5.2V側へ引き上げられて、抵抗PR35を介してトランジスタPTR31のベース端子と電気的に接続されるほかに、抵抗PR36を介してトランジスタPTR32のベース端子と電気的に接続されている。
トランジスタPTR31のベース端子は、抵抗PR35と電気的に接続されるほかに、グランドと接地された抵抗PR37と電気的に接続されている。トランジスタPTR31のエミッタ端子は、グランドに接地され、トランジスタPTR31のコレクタ端子は、プルアップ抵抗PR38により+5.2V側へ引き上げられて図107に示した払出制御I/Oポート4120bの入力ポートPA,PEのうち予め定めた入力ピンと電気的に接続されている。トランジスタPTR31がON/OFFすることによりトランジスタPTR31のコレクタ端子から出力される信号の論理が変化し、その信号が扉開放信号として払出制御I/Oポート4120bの入力ピンに入力される。
一方、トランジスタPTR32のベース端子は、抵抗PR36と電気的に接続されるほかに、グランドと接地された抵抗PR39と電気的に接続されている。トランジスタPTR32のエミッタ端子は、グランドに接地され、トランジスタPTR32のコレクタ端子は、図97に示した主制御基板4100と電気的に接続されており、トランジスタPTR32は、エミッタ端子がグランドに接地されたオープンコレクタ出力タイプとして構成されている。トランジスタPTR32のコレクタ端子は、配線(ハーネス)を介して、主制御基板4100に設けた図示しないプルアップ抵抗と電気的に接続されており、このプルアップ抵抗により+12V側へ引き上げられている。トランジスタPTR32がON/OFFすることによりトランジスタPTR32のコレクタ端子から出力される信号の論理が変化し、その信号が枠開放情報出力信号として主制御基板4100に入力される。
抵抗PR30,PR32、及び電界コンデンサPC30から構成される回路は、扉枠5が本体枠3から開放される際に、又は扉枠5が本体枠3に閉鎖される際に、扉枠開放スイッチ618を構成する接点が短時間ON/OFFを繰り返すバタつき現象による扉枠開放スイッチ618からの電圧の変動を吸収するためのチャタリング防止回路である。
抵抗PR31,PR33、及びトランジスタPTR30から構成される回路は、扉枠開放スイッチ618からの検出信号によりON/OFFする初段のスイッチ回路であり、抵抗PR35,PR37、及びトランジスタPTR31から構成される回路は、初段のスイッチ回路からのON/OFF信号によりON/OFFすることで扉開放信号を払出制御I/Oポート4120bに出力する最終段のスイッチ回路であり、抵抗PR36,PR39、及びトランジスタPTR32から構成される回路は、初段のスイッチ回路からのON/OFF信号によりON/OFFすることで枠開放情報出力信号を主制御基板4100に出力する最終段のスイッチ回路である。
扉枠5が本体枠3から開放された状態では、扉枠開放スイッチ618がONしているため、扉枠開放スイッチ618を介して供給される+12Vがチャタリング防止回路でチャタリングが吸収されて初段のスイッチ回路を構成するトランジスタPTR30のベース端子に印加されることでトランジスタPTR30がONし、初段のスイッチ回路がONすることとなる。初段のスイッチ回路がONすると、トランジスタPTR30のコレクタ端子に印加される電圧がグランド側へ引き下げられるため、最終段のスイッチ回路を構成するトランジスタPTR31,PTR32のベース端子に印加される電圧もグランド側へ引き下げられることでトランジスタPTR31,PTR32がOFFし、最終段のスイッチ回路も共にOFFすることとなる。これにより、トランジスタPTR31のコレクタ端子に印加される電圧がプルアップ抵抗PR38により+5.2V側へ引き上げられて論理がHIとなった扉枠開放信号を払出制御I/Oポート4120bの入力ピンに出力し、トランジスタPTR32のコレクタ端子に印加される電圧が主制御基板4100に設けたプルアップ抵抗により+12V側へ引き上げられて論理がHIとなった枠開放情報出力信号を主制御基板4100に出力することとなる。
一方、扉枠5が本体枠3に閉鎖された状態では、扉枠開放スイッチ618がOFFしているため、+12Vが扉枠開放スイッチ618で遮断されて初段のスイッチ回路を構成するトランジスタPTR30のベース端子に印加される電圧がグランド側へ引き下げられることでトランジスタPTR30がOFFし、初段のスイッチ回路がOFFすることとなる。初段のスイッチ回路がOFFすると、トランジスタPTR30のコレクタ端子に印加され電圧がプルアップ抵抗PR34により+5.2V側へ引き上げられるため、この電圧が最終段のスイッチ回路を構成するトランジスタPTR31,PTR32のベース端子に印加されることでトランジスタPTR31,PTR32がONし、最終段のスイッチ回路も共にONすることとなる。これにより、トランジスタPTR31のコレクタ端子に印加される電圧がグランド側へ引き下げられて論理がLOWとなった扉枠開放信号を払出制御I/Oポート4120bの入力ピンに出力し、トランジスタPTR32のコレクタ端子に印加される電圧が引き下げられて論理がLOWとなった枠開放情報出力信号を主制御基板4100に出力することとなる。
このように、扉枠5が本体枠3から開放された状態では、扉枠開放スイッチ618がONすることにより、初段のスイッチ回路がONするとともに、最終段のスイッチ回路が共にOFFすることとなり、論理がHIとなった扉枠開放信号を払出制御I/Oポート4120bの入力ピンに出力し、論理がHIとなった枠開放情報出力信号を主制御基板4100に出力する一方、扉枠5が本体枠3に閉鎖された状態では、扉枠開放スイッチ618がOFFすることにより、初段のスイッチ回路がOFFするとともに、最終段のスイッチ回路が共にONすることとなり、論理がLOWとなった扉枠開放信号を払出制御I/Oポート4120bの入力ピンに出力し、論理がLOWとなった枠開放情報出力信号を主制御基板4100に出力する。
[9−3−4(b).本体枠開放スイッチからの検出信号が入力される回路]
本体枠開放スイッチ619は、常閉形(ノーマルクローズ(NC))を用いており、本体枠3が外枠2から開放された状態でスイッチがON(導通)し、本体枠3が外枠2に閉鎖された状態でスイッチがOFF(切断)するようになっている。本体枠開放スイッチ619の一端は、図108に示すように、図102に示した電源基板851からの+12Vが払出制御基板4110を介して印加されており、本体枠開放スイッチ619の他端は、抵抗PR40、そして抵抗PR41を介して、トランジスタPTR33のベース端子と電気的に接続されている。抵抗PR40と抵抗PR41との接続間には、グランドと接地された抵抗PR42と、グランドと接地された電解コンデンサPC31と、が電気的に接続されている。トランジスタPTR33のベース端子は、抵抗PR41と電気的に接続されるほかに、グランドと接地された抵抗PR43と電気的に接続されている。トランジスタPTR33のエミッタ端子は、グランドに接地され、トランジスタPTR33のコレクタ端子は、プルアップ抵抗PR44により+5.2V側へ引き上げられて、抵抗PR45を介してトランジスタPTR34のベース端子と電気的に接続されるほかに、抵抗PR46を介してトランジスタPTR35のベース端子と電気的に接続されている。
トランジスタPTR34のベース端子は、抵抗PR45と電気的に接続されるほかに、グランドと接地された抵抗PR47と電気的に接続されている。トランジスタPTR34のエミッタ端子は、グランドに接地され、トランジスタPTR34のコレクタ端子は、プルアップ抵抗PR48により+5.2V側へ引き上げられて図107に示した払出制御I/Oポート4120bの入力ポートPA,PEのうち予め定めた入力ピンと電気的に接続されている。トランジスタPTR34がON/OFFすることによりトランジスタPTR34のコレクタ端子から出力される信号の論理が変化し、その信号が本体枠開放信号として払出制御I/Oポート4120bの入力ピンに入力される。
一方、トランジスタPTR35のベース端子は、抵抗PR46と電気的に接続されるほかに、グランドと接地された抵抗PR49と電気的に接続されている。トランジスタPTR35のエミッタ端子は、グランドに接地され、トランジスタPTR35のコレクタ端子は、トランジスタPTR32のコレクタ端子と電気的に接続されるほか、図97に示した主制御基板4100と電気的に接続されており、トランジスタPTR35は、エミッタ端子がグランドに接地されたオープンコレクタ出力タイプとして構成されている。トランジスタPTR35のコレクタ端子は、配線(ハーネス)を介して、主制御基板4100に設けた図示しないプルアップ抵抗と電気的に接続されており、このプルアップ抵抗により+12V側へ引き上げられている。トランジスタPTR35がON/OFFすることによりトランジスタPTR35のコレクタ端子から出力される信号の論理が変化し、その信号が枠開放情報出力信号として主制御基板4100に入力される。この枠開放情報出力信号は、トランジスタPTR35のコレクタ端子から出力されるほか、トランジスタPTR32のコレクタ端子からも出力されるようになっており、トランジスタPTR35のコレクタ端子と、トランジスタPTR32のコレクタ端子と、によってOR回路が構成されている。
抵抗PR40,PR42、及び電界コンデンサPC31から構成される回路は、本体枠3が外枠2から開放される際に、又は本体枠3が外枠2に閉鎖される際に、本体枠開放スイッチ619を構成する接点が短時間ON/OFFを繰り返すバタつき現象による本体枠開放スイッチ619からの電圧の変動を吸収するためのチャタリング防止回路である。
抵抗PR41,PR43、及びトランジスタPTR33から構成される回路は、本体枠開放スイッチ619からの検出信号によりON/OFFする初段のスイッチ回路であり、抵抗PR45,PR47、及びトランジスタPTR34から構成される回路は、初段のスイッチ回路からのON/OFF信号によりON/OFFすることで本体枠開放信号を払出制御I/Oポート4120bに出力する最終段のスイッチ回路であり、抵抗PR46,PR49、及びトランジスタPTR35から構成される回路は、初段のスイッチ回路からのON/OFF信号によりON/OFFすることで枠開放情報出力信号を主制御基板4100に出力する最終段のスイッチ回路である。
本体枠3が外枠2から開放された状態では、本体枠開放スイッチ619がONしているため、本体枠開放スイッチ619を介して供給される+12Vがチャタリング防止回路でチャタリングが吸収されて初段のスイッチ回路を構成するトランジスタPTR33のベース端子に印加されることでトランジスタPTR33がONし、初段のスイッチ回路がONすることとなる。初段のスイッチ回路がONすると、トランジスタPTR33のコレクタ端子に印加される電圧がグランド側へ引き下げられるため、最終段のスイッチ回路を構成するトランジスタPTR34,PTR35のベース端子に印加される電圧もグランド側へ引き下げられることでトランジスタPTR34,PTR35がOFFし、最終段のスイッチ回路も共にOFFすることとなる。これにより、トランジスタPTR34のコレクタ端子に印加される電圧がプルアップ抵抗PR48により+5.2V側へ引き上げられて論理がHIとなった本体枠開放信号を払出制御I/Oポート4120bの入力ピンに出力し、トランジスタPTR35のコレクタ端子に印加される電圧が主制御基板4100に設けたプルアップ抵抗により+12V側へ引き上げられて論理がHIとなった枠開放情報出力信号を主制御基板4100に出力することとなる。
一方、本体枠3が外枠2に閉鎖された状態では、本体枠開放スイッチ619がOFFしているため、+12Vが本体枠開放スイッチ619で遮断されて初段のスイッチ回路を構成するトランジスタPTR33のベース端子に印加される電圧がグランド側へ引き下げられることでトランジスタPTR33がOFFし、初段のスイッチ回路がOFFすることとなる。初段のスイッチ回路がOFFすると、トランジスタPTR33のコレクタ端子に印加され電圧がプルアップ抵抗PR44により+5.2V側へ引き上げられるため、この電圧が最終段のスイッチ回路を構成するトランジスタPTR34,PTR35のベース端子に印加されることでトランジスタPTR34,PTR35がONし、最終段のスイッチ回路も共にONすることとなる。これにより、トランジスタPTR34のコレクタ端子に印加される電圧がグランド側へ引き下げられて論理がLOWとなった本体枠開放信号を払出制御I/Oポート4120bの入力ピンに出力し、トランジスタPTR35のコレクタ端子に印加される電圧が引き下げられて論理がLOWとなった枠開放情報出力信号を主制御基板4100に出力することとなる。
このように、本体枠3が外枠2から開放された状態では、本体枠開放スイッチ619がONすることにより、初段のスイッチ回路がONするとともに、最終段のスイッチ回路が共にOFFすることとなり、論理がHIとなった本体枠開放信号を払出制御I/Oポート4120bの入力ピンに出力し、論理がHIとなった枠開放情報出力信号を主制御基板4100に出力する一方、本体枠3が外枠2に閉鎖された状態では、本体枠開放スイッチ619がOFFすることにより、初段のスイッチ回路がOFFするとともに、最終段のスイッチ回路が共にONすることとなり、論理がLOWとなった本体枠開放信号を払出制御I/Oポート4120bの入力ピンに出力し、論理がLOWとなった枠開放情報出力信号を主制御基板4100に出力する。
本実施形態では、上述したように、扉枠開放スイッチ618、本体枠開放スイッチ619をノーマルクローズのスイッチを採用したことにより、扉枠開放スイッチ618が短絡してスイッチがON(導通)する状態となっても、扉枠5が本体枠3から開放された状態となり、本体枠開放スイッチ619が短絡してスイッチがON(導通)する状態となっても、本体枠3が外枠2から開放された状態となる。このように、扉枠開放スイッチ618、本体枠開放スイッチ619をノーマルクローズのスイッチを採用したことにより、短絡時にでも例えば枠開放情報出力信号を主制御基板4100に出力することができため、図97に示した、主制御基板4100の主制御MPU4100aは、扉枠5が本体枠3から開放された状態や本体枠3が外枠2から開放された状態を判断することができる。
なお、扉枠開放スイッチ618、本体枠開放スイッチ619をノーマルクローズのスイッチから、常開形(ノーマルオープン(NO))のスイッチ(扉枠開放スイッチ618’、本体枠開放スイッチ619’)に替えると、扉枠開放スイッチ618’は、扉枠5が本体枠3から閉鎖された状態でスイッチがON(導通)し、扉枠5が本体枠3に開放された状態でスイッチがOFF(切断)する。本体枠開放スイッチ619’は、本体枠3が外枠2から閉鎖された状態でスイッチがON(導通)し、本体枠3が外枠2に開放された状態でスイッチがOFF(切断)する。そうすると、扉枠開放スイッチ618’が断線してスイッチがOFF(切断)する状態となっても、扉枠5が本体枠3から開放された状態となり、本体枠開放スイッチ619’が断線してスイッチがOFF(切断)する状態となっても、本体枠3が外枠2から開放された状態となる。このように、扉枠開放スイッチ618’、本体枠開放スイッチ619’をノーマルオープンのスイッチを採用しても、断線時にでも例えば枠開放情報出力信号を主制御基板4100に出力することができ、主制御基板4100の主制御MPU4100aは、扉枠5が本体枠3から開放された状態や本体枠3が外枠2から開放された状態を判断することができる。
[9−3−4(c).エラー解除スイッチからの検出信号が入力される回路]
エラー解除スイッチ860aの出力ピンとしての1番ピンは、図108に示すように、プルアップ抵抗PR50により+5.2V側へ引き上げられて、図107に示す払出制御I/Oポート4120bの入力ポートPAの入力ピンPA0と電気的に接続されている。エラー解除スイッチ860aの1番ピンは2番ピンと電気的に接続され、3番ピン及び4番ピンはグランドと接地されている。これにより、エラー解除スイッチ860aが操作されていないときには、1番ピン及び2番ピンがプルアップ抵抗PR50により+5.2V側へ引き上げられる一方、エラー解除スイッチ860aが操作されているときには、1番ピン及び2番ピンが3番ピン及び4番ピンと電気的に接続されることによりグランド側へ引き下げられる。
エラー解除スイッチ860aは、払出制御I/Oポート4120bの入力ピンPA0と電気的に接続されるほかに、グランドと接地されたコンデンサPC32によりリップルが除去されて平滑化されている(コンデンサPC32は、ローパスフィルタとしての役割も担っている)。エラー解除スイッチ860aが操作されていないときには、プルアップ抵抗PR50により+5.2V側へ引き上げられて論理がHIとなったエラー解除検出信号が払出制御I/Oポート4120bの入力ピンPA0に入力される一方、エラー解除スイッチ860aが操作されているときには、論理がLOWとなったエラー解除検出信号が払出制御I/Oポート4120bの入力ピンPA0に入力される。
[9−3−4(d).球抜きスイッチからの検出信号が入力される回路]
球抜きスイッチ860bの出力ピンとしての1番ピンは、図108に示すように、プルアップ抵抗PR51により+5.2V側へ引き上げられて、図107に示す払出制御I/Oポート4120bの入力ポートPAの入力ピンPA1と電気的に接続されている。球抜きスイッチ860bの1番ピンは2番ピンと電気的に接続され、3番ピン及び4番ピンはグランドと接地されている。これにより、球抜きスイッチ860bが操作されていないときには、1番ピン及び2番ピンがプルアップ抵抗PR51により+5.2V側へ引き上げられる一方、球抜きスイッチ860bが操作されているときには、1番ピン及び2番ピンが3番ピン及び4番ピンと電気的に接続されることによりグランド側へ引き下げられる。
球抜きスイッチ860bは、払出制御I/Oポート4120bの入力ピンPA1と電気的に接続されるほかに、グランドと接地されたコンデンサPC33によりリップルが除去されて平滑化されている(コンデンサPC33は、ローパスフィルタとしての役割も担っている)。球抜きスイッチ860bが操作されていないときには、プルアップ抵抗PR51により+5.2V側へ引き上げられて論理がHIとなった球抜き検出信号が払出制御I/Oポート4120bの入力ピンPA1に入力される一方、球抜きスイッチ860bが操作されているときには、論理がLOWとなった球抜き検出信号が払出制御I/Oポート4120bの入力ピンPA1に入力される。
[9−3−5.CRユニット入出力回路]
次に、図99に示したCRユニット6との各種信号を入出力するためのCRユニット入出力回路4120fについて説明する。払出制御基板4110は、CRユニット6から、上述したように、遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、貸球要求信号であるBRDYと、1回の払出動作開始要求信号であるBRQと、が入力され、また図99に示した電源基板851から供給されるAC24Vから作成した、所定電圧VL(+12V)及びグランドLGが供給される一方、払出制御基板4110から、遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、1回の払出動作を開始した旨又は終了した旨を伝えるEXS信号と、貸球を払い出すための払出動作が可能である旨又は不可能である旨を伝えるPRDY信号と、を出力する。これらの各種信号等を入出力する入出力回路は、図109に示すように、フォトカプラPIC60〜PIC64(赤外LEDとフォトトランジスタとが内蔵されている。)を主として構成されている。
CRユニット6からの所定電圧VLは、抵抗PR60を介して、フォトカプラPIC60のアノード端子に印加されている。フォトカプラPIC60のカソード端子は、CRユニット6からのグランドLGと電気的に接続されている。抵抗PR60は、フォトカプラPIC60の内蔵赤外LEDに流れる電流を制限するための制限抵抗である。フォトカプラPIC60のアノード端子にCRユニット6からの所定電圧VLが印加されているときには、フォトカプラPIC60がONする一方、フォトカプラPIC60のアノード端子にCRユニット6からの所定電圧VLが印加されていないときには、フォトカプラPIC60がOFFするようになっている。フォトカプラPIC60のエミッタ端子は、グランドと接地され、フォトカプラPIC60のコレクタ端子は、抵抗PR61を介してトランジスタPTR60のベース端子と電気的に接続されるほかに、抵抗PR62を介してトランジスタPTR61のベース端子と電気的に接続されている。フォトカプラPIC60のコレクタ端子は、抵抗PR61と電気的に接続されるほかに、+5.2V側へ引き上げられたプルアップ抵抗R63と電気的に接続されている。
トランジスタPTR60のベース端子は、抵抗PR61と電気的に接続されるほかに、グランドと接地された抵抗PR64と電気的に接続されている。トランジスタPTR60のエミッタ端子は、グランドに接地され、トランジスタPTR60のコレクタ端子は、プルアップ抵抗PR65により+5.2V側へ引き上げられて図107に示した払出制御I/Oポート4120bの入力ポートPA,PEのうち予め定めた入力ピンと電気的に接続されている。トランジスタPTR60がON/OFFすることによりトランジスタPTR60のコレクタ端子から出力される信号の論理が変化し、その信号がCR接続信号1として払出制御I/Oポート4120bの入力ピンに入力される。
一方、トランジスタTR61のベース端子は、抵抗PR62と電気的に接続されるほかに、グランドと接地された抵抗PR66と電気的に接続されている。トランジスタPTR61のエミッタ端子は、グランドに接地され、トランジスタPTR61のコレクタ端子は、プルアップ抵抗PR67により+5.2V側へ引き上げられて、後述する発射タイミング回路4130cと電気的に接続されている。トランジスタPTR61がON/OFFすることによりトランジスタPTR61のコレクタ端子から出力される信号の論理が変化し、その信号がCR接続信号として発射タイミング回路4130cに入力される。
抵抗PR61,PR64、及びトランジスタPTR60から構成される回路は、スイッチ回路であり、CRユニット6からの所定電圧VLがフォトカプラPIC60のアノード端子に印加されていないときには、フォトカプラPIC60がOFFし、プルアップ抵抗PR63により引き上げられた電圧がトランジスタPTR60のベース端子に印加されることでトランジスタPTR60がONし、スイッチ回路もONすることとなる。これにより、トランジスタPTR60のコレクタ端子に印加される電圧は、グランド側へ引き下げられて論理がLOWとなったCR接続信号1が払出制御I/Oポート4120bの入力ピンに入力される。一方、CRユニット6からの所定電圧VLがフォトカプラPIC60のアノード端子に印加されているときには、フォトカプラPIC60がONし、トランジスタPTR60のベース端子に印加される電圧がグランド側へ引き下げられることでトランジスタPTR60がOFFし、スイッチ回路もOFFすることとなる。これにより、トランジスタPTR60のコレクタ端子に印加される電圧は、プルアップ抵抗PTR65により+5.2V側へ引き上げられて論理がHIとなったCR接続信号1が払出制御I/Oポート4120bの入力ピンに入力される。
抵抗PR62,PR66、及びトランジスタPTR61から構成される回路も、スイッチ回路であり、CRユニット6からの所定電圧VLがフォトカプラPIC60のアノード端子に印加されていないときには、フォトカプラPIC60がOFFし、プルアップ抵抗PR63により引き上げられた電圧がトランジスタPTR61のベース端子に印加されることでトランジスタPTR61がONし、スイッチ回路もONすることとなる。これにより、トランジスタPTR61のコレクタ端子に印加される電圧は、グランド側へ引き下げられて論理がLOWとなったCR接続信号が発射タイミング回路4130cに入力される。一方、CRユニット6からの所定電圧VLがフォトカプラPIC60のアノード端子に印加されているときには、フォトカプラPIC60がONし、トランジスタPTR61のベース端子に印加される電圧がグランド側へ引き下げられることでトランジスタPTR61がOFFし、スイッチ回路もOFFすることとなる。これにより、トランジスタPTR61のコレクタ端子に印加される電圧は、プルアップ抵抗PTR67により+5.2V側へ引き上げられて論理がHIとなったCR接続信号が発射タイミング回路4130cに入力される。なお、このスイッチ回路は、後述する発射制御入力回路4130aの入力回路の一部を構成している。
CRユニット6からの所定電圧VLは、フォトカプラPIC60のアノード端子のほかに、抵抗PR68を介して、フォトカプラPIC61のアノード端子にも印加されている。フォトカプラPIC61のカソード端子は、CRユニット6からのBRDYが入力されている。抵抗PR68は、フォトカプラPIC61の内蔵赤外LEDに流がれる電流を制限するための制限抵抗である。フォトカプラPIC61のアノード端子にCRユニット6からの所定電圧VLが印加されているときであって、CRユニット6からのBRDYの論理がLOWとなっているときには、フォトカプラPIC61がONする一方、フォトカプラPIC61のアノード端子にCRユニット6からの所定電圧VLが印加されているときであって、CRユニット6からのBRDYの論理がHIとなっているときには、フォトカプラPIC61がOFFするようになっている。フォトカプラPIC61のエミッタ端子は、グランドと接地され、フォトカプラPIC61のコレクタ端子は、プルアップ抵抗PR69により+5.2V側へ引き上げられて払出制御I/Oポート4120bの入力ポートPA,PEのうち予め定めた入力ピンと電気的に接続されている。フォトカプラPIC61がON/OFFすることによりフォトカプラPIC61のコレクタ端子から出力される信号の論理が変化し、その信号がBRDY信号として払出制御I/Oポート4120bの入力ピンに入力される。
フォトカプラPIC61のアノード端子にCRユニット6からの所定電圧VLが印加されているときであって、CRユニット6からのBRDYの論理がLOWとなっているときには、フォトカプラPIC61がONするため、フォトカプラPIC61のコレクタ端子に印加される電圧がグランド側へ引き下げられて論理がLOWとなったBRDY信号が払出制御I/Oポート4120bの入力ピンに入力される。一方、フォトカプラPIC61のアノード端子にCRユニット6からの所定電圧VLが印加されているときであって、CRユニット6からのBRDYの論理がHIとなっているときには、フォトカプラPIC61がOFFするため、フォトカプラPIC61のコレクタ端子に印加される電圧がプルアップ抵抗PR69により+5.2V側へ引き上げられて論理がHIとなったBRDY信号が払出制御I/Oポート4120bの入力ピンに入力される。このように、フォトカプラPIC61のコレクタ端子から出力されるBRDY信号の論理は、CRユニット6からのBRDYの論理と同一の論理となっている。
CRユニット6からの所定電圧VLは、フォトカプラPIC60のアノード端子、及びフォトカプラPIC61のアノード端子のほかに、抵抗PR70を介して、フォトカプラPIC62のアノード端子にも印加されている。フォトカプラPIC62のカソード端子は、CRユニット6からのBRQが入力されている。抵抗PR70は、フォトカプラPIC62の内蔵赤外LEDに流がれる電流を制限するための制限抵抗である。フォトカプラPIC62のアノード端子にCRユニット6からの所定電圧VLが印加されているときであって、CRユニット6からのBRQの論理がLOWとなっているときには、フォトカプラPIC62がONする一方、フォトカプラPIC62のアノード端子にCRユニット6からの所定電圧VLが印加されているときであって、CRユニット6からのBRQの論理がHIとなっているときには、フォトカプラPIC62がOFFするようになっている。フォトカプラPIC62のエミッタ端子は、グランドと接地され、フォトカプラPIC62のコレクタ端子は、プルアップ抵抗PR71により+5.2V側へ引き上げられて払出制御I/Oポート4120bの入力ポートPA,PEのうち予め定めた入力ピンと電気的に接続されている。フォトカプラPIC62がON/OFFすることによりフォトカプラPIC62のコレクタ端子から出力される信号の論理が変化し、その信号がBRQ信号として払出制御I/Oポート4120bの入力ピンに入力される。
フォトカプラPIC62のアノード端子にCRユニット6からの所定電圧VLが印加されているときであって、CRユニット6からのBRQの論理がLOWとなっているときには、フォトカプラPIC62がONするため、フォトカプラPIC62のコレクタ端子に印加される電圧がグランド側へ引き下げられて論理がLOWとなったBRQ信号が払出制御I/Oポート4120bの入力ピンに入力される。一方、フォトカプラPIC62のアノード端子にCRユニット6からの所定電圧VLが印加されているときであって、CRユニット6からのBRQの論理がHIとなっているときには、フォトカプラPIC62がOFFするため、フォトカプラPIC62のコレクタ端子に印加される電圧がプルアップ抵抗PR71により+5.2V側へ引き上げられて論理がHIとなったBRQ信号が払出制御I/Oポート4120bの入力ピンに入力される。このように、フォトカプラPIC62のコレクタ端子から出力されるBRQ信号の論理は、CRユニット6からのBRQの論理と同一の論理となっている。
図107に示した、払出制御I/Oポート4120bの出力ポートPBの出力ピンPB0から出力されるEXS信号は、抵抗PR72を介して、フォトカプラPIC63のカソード端子に入力されている。フォトカプラPIC63のアノード端子は、抵抗PR73を介して、+12Vが印加されている。抵抗PR73は、フォトカプラPIC63の内蔵赤外LEDに流がれる電流を制限するための制限抵抗である。フォトカプラPIC63のアノード端子に抵抗PR73を介して+12Vが印加されているときであって、払出制御I/Oポート4120bからのEXS信号の論理がLOWとなっているときには、フォトカプラPIC63がONする一方、フォトカプラPIC63のアノード端子に抵抗PR73を介して+12Vが印加されているときであって、払出制御I/Oポート4120bからのEXS信号の論理がHIとなっているときには、フォトカプラPIC63がOFFするようになっている。フォトカプラPIC63のエミッタ端子は、フォトカプラPIC60のカソード端子とともに、CRユニット6からのグランドLGと接地され、フォトカプラPIC63のコレクタ端子は、プルアップ抵抗PR74により、遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、CRユニット6内において所定電圧VLに引き上げられてその内蔵制御装置と電気的に接続されている。フォトカプラPIC63がON/OFFすることによりフォトカプラPIC63のコレクタ端子から出力される信号の論理が変化し、その信号がEXSとしてCRユニット6の内蔵制御装置に入力される。
フォトカプラPIC63のアノード端子に抵抗PR73を介して+12Vが印加されているときであって、払出制御I/Oポート4120bからのEXS信号の論理がLOWとなっているときには、フォトカプラPIC63がONするため、フォトカプラPIC63のコレクタ端子に印加される電圧がグランド側へ引き下げられて論理がLOWとなったEXSがCRユニット6の内蔵制御装置に入力される。一方、フォトカプラPIC63のアノード端子に抵抗PR73を介して+12Vが印加されているときであって、払出制御I/Oポート4120bからのEXS信号の論理がHIとなっているときには、フォトカプラPIC63がOFFするため、フォトカプラPIC63のコレクタ端子に印加される電圧がプルアップ抵抗PR74により所定電圧VLに引き上げられて論理がHIとなったEXSがCRユニット6の内蔵制御装置に入力される。このように、フォトカプラPIC63のコレクタ端子から出力されるEXSの論理は、払出制御I/Oポート4120bからのEXS信号の論理と同一の論理となっている。
図107に示した、払出制御I/Oポート4120bの出力ポートPBの出力ピンPB1から出力されるPRDY信号は、抵抗PR75を介して、フォトカプラPIC64のカソード端子に入力されている。フォトカプラPIC64のアノード端子は、抵抗PR76を介して、+12Vが印加されている。抵抗PR76は、フォトカプラPIC64の内蔵赤外LEDに流がれる電流を制限するための制限抵抗である。フォトカプラPIC64のアノード端子に抵抗PR76を介して+12Vが印加されているときであって、払出制御I/Oポート4120bからのPRDY信号の論理がLOWとなっているときには、フォトカプラPIC64がONする一方、フォトカプラPIC64のアノード端子に抵抗PR76を介して+12Vが印加されているときであって、払出制御I/Oポート4120bからのPRDY信号の論理がHIとなっているときには、フォトカプラPIC64がOFFするようになっている。フォトカプラPIC64のエミッタ端子は、フォトカプラPIC60のカソード端子、及びフォトカプラPIC63のエミッタ端子とともに、CRユニット6からのグランドLGと接地され、フォトカプラPIC64のコレクタ端子は、プルアップ抵抗PR77により、遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、CRユニット6内において所定電圧VLに引き上げられてその内蔵制御装置と電気的に接続されている。フォトカプラPIC64がON/OFFすることによりフォトカプラPIC64のコレクタ端子から出力される信号の論理が変化し、その信号がPRDYとしてCRユニット6の内蔵制御装置に入力される。
フォトカプラPIC64のアノード端子に抵抗PR77を介して+12Vが印加されているときであって、払出制御I/Oポート4120bからのPRDY信号の論理がLOWとなっているときには、フォトカプラPIC64がONするため、フォトカプラPIC64のコレクタ端子に印加される電圧がグランド側へ引き下げられて論理がLOWとなったPRDYがCRユニット6の内蔵制御装置に入力される。一方、フォトカプラPIC64のアノード端子に抵抗PR77を介して+12Vが印加されているときであって、払出制御I/Oポート4120bからのPRDY信号の論理がHIとなっているときには、フォトカプラPIC64がOFFするため、フォトカプラPIC64のコレクタ端子に印加される電圧がプルアップ抵抗PR77により所定電圧VLに引き上げられて論理がHIとなったPRDYがCRユニット6の内蔵制御装置に入力される。このように、フォトカプラPIC64のコレクタ端子から出力されるPRDYの論理は、払出制御I/Oポート4120bからのPRDY信号の論理と同一の論理となっている。
[9−3−6.払出制御I/Oポートの各種入出力信号]
次に、払出制御I/Oポート4120bの各種入出力信号について説明する。払出制御I/Oポート4120bのデータ入出力端子D0〜D7は、払出制御MPU4120aのデータ入出力端子D0〜D7と、データバスを介して各種情報や各種信号のやり取りを行う。
払出制御I/Oポート4120bのシリアルデータ入力端子であるRXD端子は、図107に示すように、主制御基板4100からのシリアルデータが主払シリアルデータ受信信号として入力されている。一方、払出制御I/Oポート4120bのシリアルデータ出力端子であるTXD端子から主制御基板4100に送信するシリアルデータが払主シリアルデータ送信信号として出力される。
払出制御I/Oポート4120bの入力ポートPAの各入力ピンには、入力ピンPA0に、エラー解除スイッチ860aからのエラー解除検出信号が入力され、入力ピンPA1に、球抜きスイッチ860bからの球抜き検出信号が入力され、入力ピンPA2に、払主シリアルデータ受信信号の正常受信完了の旨を伝える主制御基板4100からの主払ACK信号が入力され、入力ピンPA3に、停電監視回路4110bからの停電予告信号1が入力されている。また払出制御I/Oポート4120bの入力ポートPA,PEの予め定めた各入力ピンには、CRユニット6からの1回の払出動作開始要求信号であるBRQ信号、CRユニット6からの貸球要求信号であるBRDY信号、及び払出制御基板4110とCRユニット6とが電気的に接続されているか否かを伝えるCR接続信号1等のCRユニット6からの各種信号、扉枠開放スイッチ618からの扉枠開放信号、本体枠開放スイッチ619からの本体枠開放信号のほかに、満タンスイッチ550からの検出信号等が入力されている。
一方、払出制御I/Oポート4120bの出力ポートPBの各出力ピンからは、出力ピンPB0から、1回の払出動作を開始した旨又は終了した旨を伝えるEXS信号が出力され、出力ピンPB1から、貸球を払い出すための払出動作が可能である旨又は不可能である旨を伝えるPRDY信号が出力され、出力ピンPB2から、停電監視回路4110bのDタイプフリップフロップPIC22のラッチ状態を解除するための停電クリア信号が出力され、出力ピンPB3から、主払シリアルデータ受信信号の正常受信完了の旨を伝える払主ACK信号が出力され、出力ピンPB4から、外部WDT4120cへ外部WDTクリア信号が出力されている。また払出制御I/Oポート4120bの出力ポートPCの出力ピンPC0〜PC3からは、払出モータ駆動信号が出力され、払出制御I/Oポート4120bの出力ポートPDの各出力ピンからは、エラーLED表示器860cの駆動信号が出力されている。
[9−4.発射制御部の回路]
次に、発射制御部4130について説明する。発射制御部4130は、図98に示したように、発射制御入力回路4130a、発振回路4130b、発射タイミング回路4130c、発射ソレノイド駆動回路4130d、球送りソレノイド駆動回路4130eから構成されている。ここでは、発射制御入力回路について、図110を参照して説明し、発射タイミング回路4130c等の構成についての詳細な説明は後述する。
[9−4−1.発射制御入力回路]
払出制御基板4110の発射制御入力回路4130aには、図110に示すように、ハンドル装置500のタッチスイッチ516からの検出信号と、ハンドル装置500の発射停止スイッチ518からの検出信号と、がハンドル中継基板192、そして主扉中継端子板880を介して、入力されている。タッチスイッチ516は、図47に示したハンドル装置500の回転ハンドル本体前506に手のひらや指が触れているか否かを検出し、発射停止スイッチ518は、図47に示したハンドル装置500の単発ボタン520が操作されることにより遊技者の意志によって遊技球の打ち出しを強制的に停止するか否かを検出している。まず、タッチスイッチ516からの検出信号が入力される回路について説明し、続いて発射停止スイッチ518からの検出信号が入力される回路について説明する。
[9−4−1a.タッチスイッチからの検出信号が入力される回路]
タッチスイッチ516の一端は、図110に示すように、図102に示した電源基板851からの+12Vが払出制御基板4110の抵抗PR80、主扉中継端子板880、そしてハンドル中継基板192を介して印加されており、タッチスイッチ516の他端は、ハンドル中継基板192に設けた図示しないプルアップ抵抗により+12V側へ引き上げられ、主扉中継端子板880、そして払出制御基板4110に入力され、抵抗PR81を介して、トランジスタPTR80のベース端子と電気的に接続されている。トランジスタPTR80のベース端子は、抵抗PR81と電気的に接続されるほかに、グランドと接地された抵抗PR82と、グランドと接地されたコンデンサPC80と、が電気的に接続されている。トランジスタPTR80のベース端子に印加される電圧は、コンデンサC80によりノイズが除去されて平滑化されている。トランジスタPTR80のエミッタ端子は、グランドに接地され、トランジスタPTR80のコレクタ端子は、プルアップ抵抗PR83により+5.2V側へ引き上げられて発射タイミング回路4130cの入力端子と電気的に接続されている。トランジスタPTR80がON/OFFすることによりトランジスタPTR80のコレクタ端子から出力される信号の論理が変化し、その信号がタッチ検出信号として発射タイミング回路4130cの入力端子に入力される。
抵抗PR81,PR82、及びトランジスタPTR80から構成される回路は、タッチスイッチ516からの検出信号によりON/OFFするスイッチ回路であり、回転ハンドル本体前506に手のひらや指が触れていないときには、ハンドル中継基板192に設けたプルアップ抵抗により+12V側へ引き上げられた電圧がトランジスタPTR80のベース端子に印加されることでトランジスタPTR80がONし、スイッチ回路もONすることとなる。これにより、トランジスタPTR80のコレクタ端子に印加される電圧がグランド側へ引き下げられて論理がLOWとなったタッチ検出信号が発射タイミング回路4130cの入力端子に入力される。一方、回転ハンドル本体前506に手のひらや指が触れているときには、トランジスタPTR80のベース端子に印加される電圧がグランド側へ引き下げられてトランジスタPTR80がOFFし、スイッチ回路もOFFすることとなる。これにより、トランジスタPTR80のコレクタ端子に印加される電圧がプルアップ抵抗PR83により+5.2V側へ引き上げられて論理がHIとなったタッチ検出信号が発射タイミング回路4130cの入力端子に入力される。
[9−4−1b.発射停止スイッチからの検出信号が入力される回路]
発射停止スイッチ518の一端は、図110に示すように、図102に示した電源基板851からの+12Vが払出制御基板4110の抵抗PR84、主扉中継端子板880、そしてハンドル中継基板192を介して印加されており、発射停止スイッチ518の他端は、ハンドル中継基板192に設けた図示しないプルアップ抵抗により+12V側へ引き上げられ、主扉中継端子板880、そして払出制御基板4110に入力され、抵抗PR85を介して、トランジスタPTR81のベース端子と電気的に接続されている。トランジスタPTR81のベース端子は、抵抗PR85と電気的に接続されるほかに、グランドと接地された抵抗PR86と、グランドと接地されたコンデンサPC81と、が電気的に接続されている。トランジスタPTR81のベース端子に印加される電圧は、コンデンサC81によりノイズが除去されて平滑化されている。トランジスタPTR81のエミッタ端子は、グランドに接地され、トランジスタPTR81のコレクタ端子は、プルアップ抵抗PR87により+5.2V側へ引き上げられて発射タイミング回路4130cの入力端子と電気的に接続されている。トランジスタPTR81がON/OFFすることによりトランジスタPTR81のコレクタ端子から出力される信号の論理が変化し、その信号が発射停止検出信号として発射タイミング回路4130cの入力端子に入力される。
抵抗PR85,PR86、及びトランジスタPTR81から構成される回路は、発射停止スイッチ518からの検出信号によりON/OFFするスイッチ回路であり、単発ボタン520が操作されていないときには、ハンドル中継基板192に設けたプルアップ抵抗により+12V側へ引き上げられた電圧がトランジスタPTR81のベース端子に印加されることでトランジスタPTR81がONし、スイッチ回路もONすることとなる。これにより、トランジスタPTR81のコレクタ端子に印加される電圧がグランド側へ引き下げられて論理がLOWとなった発射停止検出信号が発射タイミング回路4130cの入力端子に入力される。一方、単発ボタン520が操作されているときには、トランジスタPTR81のベース端子に印加される電圧がグランド側へ引き下げられてトランジスタPTR81がOFFし、スイッチ回路もOFFすることとなる。これにより、トランジスタPTR81のコレクタ端子に印加される電圧がプルアップ抵抗PR87により+5.2V側へ引き上げられて論理がHIとなった発射停止検出信号が発射タイミング回路4130cの入力端子に入力される。
なお、図109に示した、抵抗PR62,PR66、及びトランジスタPTR61から構成されるスイッチ回路も発射制御入力回路4130aの入力回路の一部であり、このトランジスタPTR61のコレクタ端子から出力されるCR接続信号も、上述した、タッチ検出信号、及び発射停止信号に加えて、発射タイミング回路4130cに入力されている。
[9−5.主制御基板との各種入出力信号、及び外部端子板への各種出力信号]
次に、払出制御基板4110と主制御基板4100との各種入出力信号と、払出制御基板4110から外部端子板784への各種出力信号について、図111を参照して説明する。
[9−5−1.主制御基板との各種入出力信号]
払出制御基板4110は、主制御基板4100と各種入出力信号のやり取りを行う。具体的には、図111(a)に示すように、払出制御基板4110は、払主シリアルデータ送信信号、払主ACK信号、停電予告信号、枠開放情報出力情報等を、主制御基板4100に出力する。一方、払出制御基板4110は、主払シリアルデータ受信信号、主払ACK信号、RAMクリア信号のほかに、15ラウンド大当り情報出力信号、及び2ラウンド大当り情報出力信号等の大当り情報出力信号、確率変動中情報出力信号、特別図柄表示情報出力信号、普通図柄表示情報出力信号、時短中情報出力信号、始動口入賞情報出力信号等の遊技に関する遊技情報信号を、主制御基板4100から入力される。
[9−5−2.外部端子板への各種出力信号]
払出制御基板4110は、外部端子板784に各種信号を出力する。具体的には、図111(b)に示すように、扉枠開放信号、本体枠開放信号のほかに、図70に示した払出モータ744が実際に払い出した遊技球の球数を示す賞球数情報出力信号、主制御基板4100から払出制御基板4110を介して、15ラウンド大当り情報出力信号、及び2ラウンド大当り情報出力信号等の大当り情報出力信号に加えて、確率変動中情報出力信号、特別図柄表示情報出力信号、普通図柄表示情報出力信号、時短中情報出力信号、及び始動口入賞情報出力信号等の遊技情報信号等を、外部端子板784に出力する。
外部端子板784は、図示しない遊技場(ホール)に設置されたホールコンピュータと電気的に接続されており、遊技者の遊技等を監視している。なお、15ラウンド大当り情報出力信号又は2ラウンド大当り情報出力信号を1つの大当り情報出力信号としてホールコンピュータに出力する場合には、ホールコンピュータは、ラウンドが2回となった大当りの回数(2ラウンド大当りの発生回数)と、ラウンドが15回となった大当りの回数(15ラウンド大当りの発生回数)と、が合算されたものがパチンコ遊技機1の大当りの回数となる。このため、ホールコンピュータは、その合算された大当り回数から、2ラウンド大当りの発生回数や15ランド大当りの発生回数を把握することができないので、実際にパチンコ遊技機1で発生した大当り回数が多いのが、2ラウンド大当りであるのか、それとも15ラウンド大当りであるのかを、把握することができない。またパチンコ遊技機1の上方に図示しないデータカウンタが配置されており、遊技者の中には、このデータカウンタに表示された大当り遊技状態の発生回数等を参考にして遊技を行うか否かを選択する者もいる。ところが、データカウンタに表示された大当り遊技状態の発生回数は、実際には2ラウンド大当りの発生回数に偏っている場合もあるので、遊技者が遊技を開始しても、2ラウンド大当りばかり発生して15ラウンド大当りがなかなか発生しないこともある。このように、データカウンタに表示された大当り遊技状態の発生回数は、遊技者に期待感を与えることはできるものの、必要以上に遊技者の射幸心をあおりかねない。そこで、本実施形態では、大当り情報出力信号として、15ラウンド大当り情報出力信号と2ラウンド大当り情報出力信号とを別々にホールコンピュータに出力することにより、ホールコンピュータは、2ラウンド大当りの発生回数と、15ラウンド大当り発生回数と、を正確に把握することができるようになっている。したがって、ホールコンピュータは、実際にパチンコ遊技機1で発生した大当り回数の多いのが、2ラウンド大当りであるのか、それとも15ラウンド大当りであるのかを、把握することができるし、データカウンタには15ラウンド大当りの発生回数と2ラウンド大当りの発生回数とを別々に又は15ラウンド大当りの発生回数のみを大当り遊技状態の発生回数として表示することができるので、必要以上に遊技者の射幸心をあおることもない。
なお、本実施形態では、2ラウンド大当り情報出力信号は2ラウンド大当りが発生して終了するまでの期間においてホールコンピュータに出力された状態となっており、15ラウンド大当り情報出力信号も15ラウンド大当りが発生して終了するまでの期間においてホールコンピュータに出力された状態となっている。本実施形態のように、2ラウンド大当り情報出力信号及び15ラウンド大当り情報出力信号をホールコンピュータに出力する方法のほかに、例えば、2ラウンド大当りが発生すると、2ラウンド大当り情報出力信号が所定期間だけホールコンピュータに出力される状態とし、15ラウンド大当りが発生すると、15ラウンド大当り情報出力信号が所定期間だけホールコンピュータに出力される状態とする、このような2ラウンド大当り情報出力信号及び15ラウンド大当り情報出力信号を同一の所定期間だけホールコンピュータに出力する方法も挙げることができる。
[10.発射ソレノイドの駆動方法]
次に、図63に示した発射ソレノイド654の駆動方法について、図112〜図115を参照して説明する。図112は発射ソレノイドの駆動回路を示すブロック図であり、図113はシャントレギュレータ回路、増幅回路、及びオペアンプ回路群を示す回路図であり、図114はDC/DCコンバータの特性を示す図であり、図115は図112の発射ソレノイドの駆動回路における所定点のタイミングチャートである。まず、発射ソレノイド654の駆動システムについて説明し、続いてその駆動回路の所定点における、入出力電流、出力電圧、信号の論理及び波形等について説明する。
[10−1.発射ソレノイドの駆動システム]
発射ソレノイド654の駆動システムは、図112に示すように、主として、払出制御基板4110における発射制御部4130の発射制御入力回路4130a、発信回路4130b、発射タイミング回路4130c、発射ソレノイド駆動回路4130d、及び球送ソレノイド駆動回路4130eと、発射電源基板831のDC/DCコンバータ831a、及び電解コンデンサSC0と、電源基板851の力率改善回路851b、及び平滑化回路851cと、により構成されている。
発射制御入力回路4130aは、上述したように、CRユニット6が遊技球等貸出装置接続端子板869を介して払出制御基板4110と電気的に接続されると、CRユニット6がパチンコ遊技機1から電力(AC24V)供給を受けている旨を伝える信号が入力されてCR接続信号として発射タイミング回路4130cに出力し、回転ハンドル本体前506に手のひらや指が触れているか否かを検出するタッチスイッチ516からの検出信号が入力されると、タッチ検出信号として発射タイミング回路4130cに出力し、遊技者の意志によって遊技球の打ち出しを強制的に停止するか否かを検出する発射停止スイッチ518からの検出信号が入力されると、発射停止検出信号として発射タイミング回路4130cに出力する。
発射タイミング回路4130cは、発射制御入力回路4130aからのCR接続信号、タッチ検出信号、及び発射停止検出信号に基づいて、発射ソレノイド654による遊技球の打ち出しを許可したり、禁止したりする。具体的には、発射タイミング回路4130cは、CRユニット6が遊技球等貸出装置接続端子板869を介して払出制御基板4110と電気的に接続されていないためにCR接続信号が入力されていないという第1のケース、タッチ検出信号が回転ハンドル本体前506に手のひらや指が触れていない旨を伝えているという第2のケース、発射停止検出信号が遊技球の打ち出しを強制的に停止する旨を伝えているという第3のケース、のうち、1つでも該当するときに発射ソレノイド654による遊技球の打ち出しを禁止する一方、すべてに該当しないときに発射ソレノイド654による遊技球の打ち出しを許可する。
発射タイミング回路4130cは、発信回路4130bからのクロック信号が入力されており、発射ソレノイド654による遊技球の打ち出しを許可するときには、このクロック信号に基づいて、1分当たり100個の遊技球が図95に示した遊技領域1100に向かって打ち出されるよう発射基準パルスを生成して発射ソレノイド駆動回路4130dに出力するとともに、発射基準パルスを所定数倍(本実施形態では、5倍)した球送基準パルスを生成して球送ソレノイド駆動回路4130eに出力する。発射ソレノイド駆動回路4130dは、DC/DCコンバータ831aからの電流と、電解コンデンサSC0の放電による電流と、を併合した併合電流により打球発射装置650の発射ソレノイド654を駆動する。これに対して、球送ソレノイド駆動回路4130eは、電源基板851からの+24Vによる球送ソレノイド585を駆動する。
発射ソレノイド駆動回路4130dは、主として、シャントレギュレータ回路4130da、増幅回路4130db、電圧比較回路4130dc、スイッチング回路4130ddから構成されている。シャントレギュレータ回路4130daは、電源基板851の+5.2V作成回路851dで作成される+5.2Vが供給されており、この+5.2Vから安定化された直流+2.5V(DC+2.5V、以下、「+2.5V」と記載する。)を作成して増幅回路4130dbに供給している。
シャントレギュレータ回路4130daは、図113(a)に示すように、シャント式安定化電源回路PIC90を主として構成されている。このシャント式安定化電源回路PIC90は、周囲温度による温度ドリフトが低減されたものであり、負荷に対して一定電圧に保持される安定化電源を作成して供給することができる。シャント式安定化電源回路PIC90の基準電圧入力端子であるREF端子、及びカソード端子であるK端子は、+5.2Vが抵抗PR90を介して印加されており、この抵抗PR90によりREF端子に入力される電流が制限されている。K端子は増幅回路4130dbに+2.5Vを出力している。この+2.5Vは、グランドと接地されたコンデンサPC90によりリップル(電圧に畳重された交流成分)が除去されて平滑化されている(コンデンサPC90は、ローパスフィルタとしての役割も担っている)。なお、シャント式安定化電源回路PIC90のアノード端子であるA端子はグランド(GND)と接地されている。
図112に戻り、増幅回路4130dbは、シャントレギュレータ回路4130daからの+2.5を2倍に増幅して直流+5.0V(DC+5.0V、以下、「+5.0V」と記載する。)を作成して主扉中継端子板880、そしてハンドル中継基板192を介して、ハンドル装置500におけるポテンショメータ512に供給している。
増幅回路4130dbは、図113(a)に示すように、オペアンプPIC91を主として構成されている。オペアンプPIC91は、非反転増幅回路として構成されており、オペアンプPIC91の非反転入力端子(+端子)にはシャントレギュレータ回路4130daのシャント式安定化電源回路PIC90からの+2.5Vが印加され、オペアンプPIC91の反転入力端子(−端子)には一端がグランドと接地された抵抗PR91の他端と電気的に接続されるとともに、オペアンプPIC91の出力端子と一端が電気的に接続された抵抗PR92の他端と電気的に接続されている。抵抗PR91,PR92の抵抗値は、オペアンプPIC91の増幅率(平ループ利得)が2倍となるように設定されている。オペアンプPIC91の出力端子は、オペアンプPIC91の非反転入力端子(+端子)に印加された+2.5Vを2倍に増幅した+5.0Vを、上述したように、主扉中継端子板880、そしてハンドル中継基板192を介して、ハンドル装置500におけるポテンショメータ512に供給している。この+5.0Vは、グランドと接地されたコンデンサPC91によりリップル(電圧に畳重された交流成分)が除去されて平滑化されている(コンデンサPC91は、ローパスフィルタとしての役割も担っている)。なお、オペアンプPIC91の電源端子に入力される+24Vは、グランドと接地されたコンデンサPC92によりリップルが除去されて平滑化されている。
図112に戻り、ポテンショメータ512は3端子の可変抵抗器であり、第1の固定端子、第2の固定端子、可変端子を備え、第1の固定端子が上述した増幅回路4130dbからの+5.0Vが供給され、第2の固定端子がハンドル中継基板192、そして主扉中継端子板880を介して、払出制御基板4110における発射ソレノイド駆動回路4130dの抵抗PR100と電気的に接続されている。この抵抗PR100の他端は、グランドと接地されている。回転ハンドル本体前506が回転操作されると、これともないポテンショメータ512の検出軸部512aも回転して、第1の固定端子と第2の固定端子とに印加されている電圧を回転ハンドル本体前506の回転操作に応じて、つまりポテンショメータ512の検出軸部512aの回転位置に応じて分圧し、この分圧した電圧をポテンショメータ512の可変端子から取り出すことができるようになっている。ポテンショメータ512の可変端子から取り出した電圧は、ハンドル中継基板192、そして主扉中継端子板880を介して、払出制御基板4110の発射ソレノイド駆動回路4130dにおける後述する抵抗PR93,PR94(図113(b)参照)で分圧され、この分圧された抵抗PR94が受け持つ電圧が発射強度目標電圧として、電圧比較回路4130dcに印加される。
ハンドル装置500のポテンショメータ512の可変端子から取り出した電圧は、上述したように、ハンドル中継基板192、そして主扉中継端子板880を介して、図113(b)に示すように、グランドと接地されたコンデンサPC93によりリップル(電圧に畳重された交流成分)が除去されて平滑化され(コンデンサPC93は、ローパスフィルタとしての役割も担っている。)、払出制御基板4110の発射ソレノイド駆動回路4130dのボルテージフォロアとして構成されたオペアンプ回路群に印加される。このオペアンプ回路群は、図113(b)に示すように、初段のオペアンプPIC92、後段のオペアンプPIC93を主として構成されている。ハンドル装置500からの電圧は、ボルトオーダーの電圧であり初段のオペアンプPIC92の非反転入力端子(+端子)に印加される。初段のオペアンプPIC92の反転入力端子(−端子)には、初段のオペアンプPIC92の出力端子と電気的に接続されている。初段のオペアンプPIC92の出力端子は、オペアンプPIC92の非反転入力端子(+端子)に印加された電圧を1倍にして、つまりそのままのボルトオーダーの電圧として出力する。この初段のオペアンプPIC92は、ボルトオーダーの電圧である入力電圧を単にそのまま出力しているものの、ハンドル装置500からの電圧を印加するための初段入力側回路と、電圧を後段のオペアンプPIC93に出力するための初段出力側回路と、の回路分離を実現している。これにより、初段入力側回路から初段出力側回路に向かって電圧が信号として伝達することができ、初段出力側回路の影響を初段入力側回路へ与えなくすることができる。なお、オペアンプPIC92の電源端子に入力される+24Vは、グランドと接地されたコンデンサPC94によりリップルが除去されて平滑化されている。
初段のオペアンプPIC92の出力端子は、自身の反転入力端子(−端子)のほかに、抵抗PR93の一端と電気的に接続され、この抵抗PR93の他端が後段のオペアンプPIC93の非反転入力端子(+端子)と電気的に接続されている。後段のオペアンプPIC93の非反転入力端子(+端子)は、抵抗PR93の他端のほかに、一端がグランドと接地された抵抗PR94の他端と電気的に接続されている。これにより、初段のオペアンプPIC92の出力端からの電圧は、上述したように、ボルトオーダーの電圧である入力電圧を単にそのまま出力しているため、ボルトオーダーの電圧であり、抵抗PR93,PR94により分圧され、この分圧された抵抗PR94が受け持つ電圧がミリボルトオーダーの電圧として後段のオペアンプPIC93の非反転入力端子(+端子)に印加される。後段のオペアンプPIC93の反転入力端子(−端子)には、後段のオペアンプPIC93の出力端子と電気的に接続されている。後段のオペアンプPIC93の出力端子は、オペアンプPIC92の非反転入力端子(+端子)に印加された電圧を1倍にして、つまりそのままのミリボルトオーダーの電圧が発射強度目標電圧として電圧比較回路4130dcに出力する。この後段のオペアンプPIC93は、抵抗PR93,PR94で分圧されたミリボルトオーダーの抵抗PR94が受け持つ電圧である入力電圧を単にそのまま出力しているものの、抵抗PR93,PR94で分圧されたミリボルトオーダーの抵抗PR94が受け持つ電圧を印加するための後段入力側回路と、電圧を電圧比較回路4130dcに出力するための後段出力側回路と、の回路分離を実現している。これにより、後段入力側回路から後段出力側回路に向かって電圧が信号として伝達することができ、後段出力側回路の影響を後段入力側回路へ与えなくすることができる。なお、オペアンプPIC93の電源端子に入力される+24Vは、グランドと接地されたコンデンサPC95によりリップルが除去されて平滑化されている。
図112に戻り、打球発射装置650の発射ソレノイド654に流れている電流は、一端がグランドと接地された抵抗PR101を流れることでこの抵抗PR101が受け持つミリボルトオーダーの電圧が発射制御電圧として電圧比較回路4130dcに印加される。電圧比較回路4130dcには、上述したミリボルトオーダーの電圧である発射強度目標電圧も印加されている。このように、電圧比較回路4130dcで比較する発射制御電圧と発射強度目標電圧とは、上述したように、払出制御基板4110(発射ソレノイド駆動回路4130d)においてボルトオーダーの電圧からミリボルトオーダーの電圧へ抵抗PR101,PR94が受け持つ電圧によりそれぞれ降圧されるようになっている。つまり、払出制御基板4110上に形成された配線パターンを介して印加されるため、この配線パターンがノイズの影響を受けにくく、電圧比較回路4130dcがミリボルトオーダーの電圧で発射制御電圧と発射強度目標電圧とを比較することができるのに対して、払出制御基板4110と打球発射装置650との基板装置間、及び払出制御基板4110とハンドル装置500との基板装置間においては、配線(ハーネス)を介して電気的に接続されているため、配線(ハーネス)にノイズの影響を受けやすく、ボルトオーダーの電圧とすることにより基板装置間におけるノイズの影響を抑制している。
電圧比較回路4130dcは、発射制御電圧と発射強度目標電圧とを大小比較する反転型の回路であり、その比較結果をスイッチング回路4130ddに出力する。電圧比較回路4130dcによる比較結果は、HI又はLOWという論理出力となっており、発射制御電圧が発射強度目標電圧より大きいときにはLOW(以下、「L」と記載する。)となる一方、発射制御電圧が発射強度目標電圧より小さいときにはHI(以下、「H」と記載する。)となる。このように、電圧比較回路4130dcによる比較結果によって出力論理がH又はLとなるため、その出力信号がON/OFF信号としてスイッチング回路4130ddに入力されることとなる。
スイッチング回路4130ddは、発射タイミング回路4130cからの発射基準パルスが入力されるごとに、電圧比較回路4130dcからのON/OFF信号に従って、発射電源基板831に備える、DC/DCコンバータ831aからの電流と、電解コンデンサSC0の放電による電流と、が併合された併合電流を、打球発射装置650の発射ソレノイド654に流す。具体的には、スイッチング回路4130ddは、電圧比較回路4130dcからのON信号が入力されると、DC/DCコンバータ831aからの電流と、電解コンデンサSC0の放電による電流と、が併合された併合電流を発射ソレノイド654に流す一方、電圧比較回路4130dcからのOFF信号が入力されると、発射ソレノイド654に流れている電流を遮断する。つまり、スイッチング回路4130ddは、電圧比較回路4130dcからのON信号が入力されて、DC/DCコンバータ831aからの電流と、電解コンデンサSC0の放電による電流と、が併合された併合電流を発射ソレノイド654に流しているときに、この発射ソレノイド654に流れている電流を、抵抗PR101によって分圧された電圧が発射制御電圧として発射強度目標電圧より大きくなると、電圧比較回路4130dcの出力論理がLとなり、OFF信号をスイッチング回路4130ddに出力し、スイッチング回路4130ddが発射ソレノイド654に流れている定電流を遮断する。この遮断により、発射ソレノイド654に電流が流れなくなることによって発射制御電圧が発射強度目標電圧より小さくなり、電圧比較回路4130dcの出力論理が再びHとなり、ON信号をスイッチング回路4130ddに出力し、スイッチング回路4130ddが、上述したように、DC/DCコンバータ831aからの電流と、電解コンデンサSC0の放電による電流と、が併合された併合電流を発射ソレノイド654に流す。このように、電圧比較回路4130dcからのON/OFF信号に従ってスイッチング回路4130ddが、DC/DCコンバータ831aからの電流と、電解コンデンサSC0の放電による電流と、が併合された併合電流を、発射ソレノイド654に流したり、その定電流を遮断したりするため、スイッチング回路4130ddは、電圧比較回路4130dcからのON/OFF信号に自励発振して電流を発射ソレノイドに流す制御を行っている。つまり、スイッチング回路4130ddは、「自励発振定電流回路」として機能しており、発射制御電圧を発射強度目標電圧に近づけている。これにより、回転ハンドル本体前506が回動操作されて回転ハンドル本体前506の回転位置に見合った発射強度で発射ソレノイド654を駆動して遊技球を遊技領域1100に向かって打ち出すことができる。
なお、遊技者が回転ハンドル本体前506に触れて、回転ハンドル本体前506を回動していない原回転位置であるときには、ポテンショメータ512の可変端子から取り出される電圧は、ポテンショメータ512の第2の固定端子に印加されている抵抗PR100が受け持つ電圧となる。つまり、ポテンショメータ512の第2の固定端子には、抵抗PR100が受け持つ電圧がオフセット電圧として印加された状態となっている。このオフセット電圧が上述したボルテージフォロアとして構成されたオペアンプ回路群に印加され、発射強度目標電圧として、電圧比較回路4130dcに印加される。この場合には、電圧比較回路4130dcからのON信号がスイッチング回路4130ddに出力されると、スイッチング回路4130ddは、DC/DCコンバータ831aからの電流と、電解コンデンサSC0の放電による電流と、が併合された併合電流を発射ソレノイド654に流す。このDC/DCコンバータ831aからの出力される電流が最小出力電流となる。このときの発射ソレノイド654の発射強度は、少なくとも、図1に示した発射レール660を飛び越えるものとなっている。つまり、抵抗PR100に印加されている電圧が発射強度目標電圧であるときには、その電圧に見合う電流(DC/DCコンバータ831aから出力される最小出力電流と、電解コンデンサSC0の放電による電流と、が併合された併合電流)が発射ソレノイド654に流れると、発射ソレノイド654によって打ち出された遊技球は、発射レール660を飛び越えることができても、図1に示した遊技盤4の外レール1111に沿って遊技領域1100に達することができないため、ファール球としてファール空間626の下部に位置する図1に示したファールカバーユニット540のファール球入口542eで受け入れて回収されこととなる。換言すると、抵抗PR100に印加されている電圧がボルテージフォロアとして構成されたオペアンプ回路群に印加され、発射強度目標電圧として、電圧比較回路4130dcに印加されるときには、発射ソレノイド654に流れる電流が最小電流となっているものの、この最小電流が発射ソレノイド654に流れても、打ち出された遊技球がすべてファール球として回収されるようになっている。これにより、球送ソレノイド585によって発射レール660に送り出された遊技球と重複することを防止することができるため、発射ソレノイド654がその重複する遊技球を遊技領域1100に向かって打ち出すことを防止することができるとともに、発射ソレノイド654への加負荷を防止することができ、故障を防止することもできる。
また、上述したように、オフセット電圧は、回転ハンドル本体前506の回転位置が原回転位置にあるときにおける原回転位置に見合う最小発射強度を得るための電圧に設定されているため、最小発射強度で打球発射装置650により発射レール660そして外レール1111に沿って打ち出された遊技球は、ファール球としてファール空間626の下部に位置する、ファールカバーユニット540のファール球入口542eで受け入れてすべて回収されるようになっている。これにより、遊技者が回転ハンドル本体前506を回転操作開始した時点においては、遊技者が回転ハンドル本体前506を回転操作して発射強度を強めることができない場合であっても、すべての遊技球は発射レール660を飛び越えることができるようになっているため、発射レール660上で遊技球同士が衝突し合うことを回避することができるようになっている。このため、次の遊技球が発射ソレノイド654で打ち出される前に、遊技者が回転ハンドル本体前506を回転操作して発射強度を強めることにより、その発射強度で今回打ち出された遊技球を外レール1111に沿って下降してくる前回打ち出された遊技球に衝突させて、前回打ち出された遊技球とともに今回打ち出された遊技球を、遊技領域1100に飛び出させることができるし、仮に遊技領域1100に飛び出させることができなくてもファール球としてファール空間626の下部に位置する、ファールカバーユニット540のファール球入口542eで受け入れてすべて回収されることとなる。換言すると、遊技者が回転ハンドル本体前506を回転操作して発射強度を強めることができない場合であっても、発射レール660を飛び越えるだけの発射強度が与えられているため、打ち出された遊技球が発射レール660上で衝突し合って球詰まりが生ずることがない。また遊技者が回転ハンドル本体前506を回転操作して発射強度を強めたときに、その発射強度で今回打ち出された遊技球を外レール1111に沿って下降してくる前回打ち出された遊技球に衝突させて、前回打ち出された遊技球とともに今回打ち出された遊技球を遊技領域1100に飛び出させることができなくても、ファール球としてファール空間626の下部に位置する、ファールカバーユニット540のファール球入口542eで受け入れてすべて回収されるため、遊技者が回転ハンドル本体前506を回転操作して発射強度をさらに強めることで、球詰まりが生ずることなく遊技球を遊技領域1100に飛び出させることができる。つまり、今回打ち出された遊技球を外内レール1111に沿って下降してくる前回打ち出された遊技球に衝突させて、前回打ち出された遊技球とともに今回打ち出された遊技球を遊技領域1100に飛び出させることができず遊技者に不快な思いをさせる場合があっても、遊技者が回転ハンドル本体前506を回転操作して発射強度をさらに強めることで、球詰まりが生ずることなく遊技球を遊技領域1100に飛び出させることができるため、その不快を解消することができる。したがって、回転ハンドル本体前506の回転操作開始時の球詰まりによる遊技者の不快を解消することができる。
本実施形態では、シャントレギュレータ回路4130daにシャント式安定化電源回路PIC90を採用することにより、電圧比較回路4130dcに印加される発射強度目標電圧は、シャントレギュレータ回路4130daからの一定電圧である+2.5Vが増幅回路4130dbで増幅された+5.0Vがハンドル装置500のポテンショメータ512により分圧されたものとなることによって、この分圧された電圧も回転ハンドル本体前506の回転位置が同一回転位置に保持されているときには、変動が生じず一定の電圧に保持されることとなる。これにより、スイッチング回路4130ddが打球発射装置650の発射ソレノイド654に併合電流を流すことにより発射制御電圧を発射強度目標電圧に近づけて発射制御電圧が発射強度目標電圧と同一となった際に、回転ハンドル本体前506の回転位置が同一回転位置に保持されているときには、発射ソレノイド654に流れる併合電流も変動が生じず一定の電流が流れることとなるため、発射ソレノイド654が遊技球を遊技領域1100に向かって打ち出す発射強度が同一となる。したがって、発射ソレノイド654の駆動発射による遊技球の「飛びムラ」を防止することができる。
また、パチンコ遊技機1が設置されるパチンコ島設備は、複数のパチンコ遊技機から排出された遊技球を研磨して再びパチンコ遊技機に供給するという遊技球の循環システムが構築されている。このため、遊技球の研磨による熱、遊技球同士の衝突や摩擦による熱に加えて、パチンコ遊技機の電源基板や各種電飾による熱等によりパチンコ島設備内の温度は、極めて高くなっている。本実施形態では、上述したように、シャントレギュレータ回路4130daにシャント式安定化電源回路PIC90を採用することにより、パチンコ設備内に熱がこもる環境下にあっても、+2.5Vを安定化させて出力することができるようになっている。これにより、温度による+2.5Vの変動が抑制されることによってポテンショメータ512の可変端子から取り出された電圧、つまり発射強度目標電圧の「ゆらぎ」を抑えることができるため、この「ゆらぎ」分の電圧を含めずに、電圧比較回路4130dcがスイッチング回路4130ddに制御信号を出力することができる。つまり、回転ハンドル本体前506の回転位置が同一回転位置であるときには、遊技球を遊技領域1100に向かって打ち出す発射強度に「ムラ」を抑えることができるため、遊技球の「飛びムラ」を抑えることができる。
[10−2.DC/DCコンバータの入出力電流及び出力電圧]
次に、DC/DCコンバータ831aの入出力電流及び出力電圧について、図112に示した、TA点における入力電流、TB点における出力電流及び出力電圧について、図114を参照して説明する。TA点は、DC/DCコンバータ831aの入力電流Iinを参照するための点であり、TB点は、DC/DCコンバータ831aの出力電流Iout及び出力電圧Voutを参照するための点である。なお、この出力電圧Voutは、グランドとの電位差である。
まずTB点の出力電圧Voutと出力電流Ioutとの関係は、図114(a)に示すように、出力電圧Voutが+35Vから減少につれて出力電流Ioutが増大する関係となっている。具体的には、出力電圧Voutが+35Vから+30Vまでの区間Aでは、出力電流Ioutが約360mAと一定であり、出力電圧Voutが+30Vから+20Vまでの区間Bでは、出力電圧Voutが減少するにつれて出力電流Ioutが360mAから400mAまで約40mA増加し、出力電圧Voutが+20Vから+10Vまでの区間Cでは、出力電圧Voutが減少するにつれて出力電流Ioutが400mAから660mAまで約260mA増加し、出力電圧Voutが+10Vから+5Vまでの区間Dでは、出力電圧Voutが減少するにつれて出力電流Ioutが660mAから1010mAまで約350mA増加している。なお、+5VからゼロV近傍では、出力電流Ioutはほぼ1010mAとなっている。
TA点の入力電流IinとTB点の出力電流Ioutとの関係は、図114(b)に示すように、出力電圧Voutが+35Vから減少につれて、入力電流Iinが減少するとともに出力電流Ioutが増大する関係となっている。具体的には、出力電圧Voutが+35Vから+30Vまでの区間Aでは、出力電流Ioutが約360mAと一定であるのに対して、入力電流Iinが400mAから320mAまで約80mA減少している。この区間Aでは、回転ハンドル本体前506の回転位置と対応する電流が発射ソレノイド654に流れて出力電流Ioutと比べて入力電流Iinが大きいときには遊技領域1100に向かって打ち出された遊技球が未だ遊技領域1100に達することが困難な発射強度となっている一方、回転ハンドル本体前506の回転位置と対応する電流が発射ソレノイド654に流れて出力電流Ioutと比べて入力電流Iinが小さくなりだすときには遊技領域1100に向かって打ち出された遊技球が遊技領域1100に達する発射強度となっている。出力電圧Voutが+30Vから+20Vまでの区間Bでは、出力電流Ioutが360mAから400mAまで約40mA増加するのに対して、入力電流Iinが320mAから260mAまで約60mA減少しており、出力電流Ioutと比べて入力電流Iinが完全に小さくなっている。出力電圧Voutが+20Vから+10Vまでの区間Cでは、出力電流Ioutが400mAから660mAまで約260mA増加するのに対して、入力電流Iinが260mAから210mAまで約50mA減少しており、区間Bと同様に、出力電流Ioutと比べて入力電流Iinが完全に小さくなっている。出力電圧Voutが+10Vから+5Vまでの区間Dでは、出力電流Ioutが660mAから1010mAまで約350mA増加するのに対して、入力電流Iinが210mAから175mAまで約35mA減少しており、区間B、及び区間Cと同様に、出力電流Ioutと比べて入力電流Iinが完全に小さくなっている。
なお、DC/DCコンバータ831aの出力電流Ioutの値が360mAであるときには、この360mAと、電解コンデンサSC0の放電による電流と、が併合された併合電流が最小電流、つまり遊技者が回転ハンドル本体前506に触れて、回転ハンドル本体前506を回動していない原回転位置であるときに発射ソレノイド654に流れる電流であるのに対して、DC/DCコンバータ831aの出力電流Ioutの値が1010mAであるときには、この1010mAと、電解コンデンサSC0の放電による電流と、が併合された併合電流が最大電流、つまり遊技者が回転ハンドル本体前506に触れて、回転ハンドル本体前506を右回りに回動して限界回転位置であるときに発射ソレノイド654に流れる電流である。このように、DC/DCコンバータ831aの出力電流Ioutは、最小出力電流の値が360mAとなり、最大出力電流の値が1010mAとなる。DC/DCコンバータ831aの出力電流Ioutの値が1000mAを超える場合には、発射ソレノイド654の発射強度は、すでに、外レール1111に沿って遊技領域1100に飛び出した遊技球が衝止部1114に衝突して内周レール1113に沿って下流に向かって転動し、各種入賞口に入球することなく、アウト口1151で回収される程度にまで強くなっている。このため、遊技者が回転ハンドル本体前506を右回りに回動して遊技を行っているときにおけるDC/DCコンバータ831aの出力電流Ioutの値が取りうる範囲としては、360mAより大きく1000mAより小さく(360mA<出力電流Ioutの値<1000mA)、ミリアンペアオーダーの電流となっている。
[10−3.DC/DCコンバータの入出力電流及び出力電圧と発射タイミング回路からの発射基準パルスとの関係]
次に、回転ハンドル本体前506の一定回転位置において、図112に示した、TB点におけるDC/DCコンバータ831aの出力電流Iout及び出力電圧Voutと、発射タイミング回路4130cからの発射基準パルスT0と、について、図115を参照して説明する。TB点は、上述したように、DC/DCコンバータ831aの出力電流Iout及び出力電圧Vout(グランドとの電位差)を参照するための点であり、TC点は、発射タイミング回路4130cからの発射基準パルスT0を参照するための点である。
発射タイミング回路4130cからの発射基準パルスT0は、上述したように、発射ソレノイド654による遊技球の打ち出しを許可するときにおいて、1分当たり、つまり60000ms当たり100個の遊技球が遊技領域1100に向かって打ち出されるように設定されているため、図115(a)に示すように、そのパルス幅が30ms、その周期Tが600msとなる。
ここで、遊技者が回転ハンドル本体前506に触れて、回転ハンドル本体前506を回動して限界回転位置であるときと、回動していない原回転位置であるときと、におけるDC/DCコンバータ831aの出力電圧Voutの波形について説明する。
回転ハンドル本体前506が限界回転位置にあるときには、発射タイミング回路4130cからの発射基準パルスT0が発射ソレノイド駆動回路4130dのスイッチング回路4130ddに入力されると、図115(b),(c)に示すように、DC/DCコンバータ831aからの電流と、電解コンデンサSC0に充電された電荷の放電による電流と、が併合された併合電流が上述した最大電流となって発射ソレノイド654に流れ始める(タイミングt0)。この最大電流が発射ソレノイド654に流れているときには、図115に示したDC/DCコンバータ831aの特性に従って、DC/DCコンバータ831aの電圧(電解コンデンサSC0の電圧)が+5Vまで下がり、DC/DCコンバータ831aの出力電流Ioutの値が上述した最大出力電流である1010mAとなる。そして、発射基準パルスT0の入力後、30ms経過してその入力が停止されると、電解コンデンサSC0の出力電圧がゼロV近傍に達するまで放電が進んでいる(タイミングt1)。発射ソレノイド654への最大電流が遮断されることにより、DC/DCコンバータ831aの出力電圧Voutが徐々に+35Vまで回復する。これにともない、DC/DCコンバータ831aの特性に従って電解コンデンサSC0の充電が開始される。具体的には、DC/DCコンバータ831aの出力電流Ioutは、図114に示したように、出力電圧Voutが小さくなるのに対して、出力電流Ioutが大きくなるという特性がある。最大電流が遮断された直後ではDC/DCコンバータ831aの出力電圧Vout、つまり電解コンデンサSC0の出力電圧は、ゼロV近傍となっており、電解コンデンサSC0は、DC/DCコンバータ831aの出力電流Ioutである1010mAという電流によって充電を開始し、そしてDC/DCコンバータ831aの出力電圧Voutが+35V近傍まで回復してくると、360mAという電流によって充電を継続し、その後、充電を完了することとなる。この充電は、次の発射基準パルスT0が入力されるまでの間にすでに完了するようになっている(タイミングt2)。つまり、今回の発射基準パルスT0が入力されて30ms経過して次の発射基準パルスT0が入力されるまでの570msの期間内に充電を完了するようになっている。
これに対して、回転ハンドル本体前506が原回転位置にあるときには、発射タイミング回路4130cからの発射基準パルスT0が発射ソレノイド駆動回路4130dのスイッチング回路4130ddに入力されると、図115(b),(d)に示すように、DC/DCコンバータ831aからの電流と、電解コンデンサSC0に充電された電荷の放電による電流と、が併合された併合電流が上述した最小電流となって発射ソレノイド654に流れ始める(タイミングt0)。この最小電流が発射ソレノイド654に流れているときには、図115に示したDC/DCコンバータ831aの特性に従って、DC/DCコンバータ831aの電圧(電解コンデンサSC0の電圧)が若干下がるものの、図114に示した区間Aに属し、DC/DCコンバータ831aの出力電流Ioutの値が上述した最小出力電流である360mAとなる。そして、発射基準パルスT0の入力後、30ms経過してその入力が停止されると、電解コンデンサSC0の放電が少し進んでいる(タイミングt1)。発射ソレノイド654への最小電流が遮断されることにより、DC/DCコンバータ831aの出力電圧Voutが徐々に+35Vまで回復する。これにともない、DC/DCコンバータ831aの特性に従って電解コンデンサSC0の充電が開始される。具体的には、DC/DCコンバータ831aの出力電流Ioutは、上述したように、出力電圧Voutが小さくなるのに対して、出力電流Ioutが大きくなるという特性がある。最小電流が遮断された直後ではDC/DCコンバータ831aの出力電圧Vout、つまり電解コンデンサSC0の出力電圧は、若干下がるものの、区間Aに属しており、電解コンデンサSC0は、DC/DCコンバータ831aの出力電流Ioutである360mAという電流によって充電を開始し、その後、充電を完了することとなる。この充電は、次の発射基準パルスT0が入力されるまでの間にすでに完了するようになっている(タイミングt2)。つまり、今回の発射基準パルスT0が入力されて30ms経過して次の発射基準パルスT0が入力されるまでの570msの期間内に充電を完了するようになっている。
このように、発射ソレノイド654に最大電流、最小電流が流れても、DC/DCコンバータ831aの特性によって、今回の発射基準パルスT0が入力されて30msという放電時間内において電解コンデンサSC0が放電した電荷を、次の発射基準パルスT0が入力されるまでの残りの570msという充電時間内に充電を完了させることができる。
ここで、発射基準パルスT0が入力されて30ms経過するまでの期間内に電解コンデンサSC0が存在しない状態でDC/DCコンバータ831aが単独で発射ソレノイド654に電流を流す制御方式を採用する場合について考えてみると、この制御方式では、DC/DCコンバータ831aが単独で発射ソレノイド654に流す電流が2A〜3.5A程度となるため、この電流が電源基板851から供給されることとなる。発射ソレノイド654を駆動するときには、瞬間的に2A〜3.5Aより大きい大電流が流れる。そうすると、30msという発射基準パルスT0が600msという周期Tで発生するごとに、電源基板への負荷もこの周期Tごとに増えることとなる。つまり、電源基板は、発射ソレノイド654が駆動される際に流れる瞬間的な大電流に加えて電子部品や、装飾に用いる電飾等にも所定電流を供給しているため、これらの総電力が電力供給上限値を超えると、安全のため電力供給を遮断することとなる。そこで、本実施形態では、発射基準パルスT0が入力されてからそのパルス幅である30msという期間において、電解コンデンサSC0が存在しない状態でDC/DCコンバータ831aが単独で発射ソレノイド654を駆動した場合に電源基板851の+37Vという直流電源からDC/DCコンバータ831aに供給されるアンペアオーダーの電流を、発射基準パルスT0が入力されて次回の発射基準パルスT0が入力されるまでの600msという期間に引き延ばして、DC/DCコンバータ831aと電解コンデンサSC0とによる併合電流で発射ソレノイド654を駆動した場合に電源基板851の+37Vという直流電源からDC/DCコンバータ831aに供給されるミリアンペアオーダーの「第1の電流」と、電解コンデンサSC0がDC/DCコンバータ831aからの電力を充電した場合に電源基板851の+37Vという直流電源からDC/DCコンバータ831aに供給されるミリアンペアオーダーの「第2の電流」と、に分散することができる。これにより、電解コンデンサSC0が存在しない状態で発射基準パルスT0が入力されてからそのパルス幅である30msという期間に電源基板851の+37Vという直流電源からDC/DCコンバータ831aに供給されるアンペアオーダーの電流を、電解コンデンサSC0が存在する状態で発射基準パルスT0が入力されて次回の発射基準パルスT0が入力されるまでの600msという期間に電源基板851の+37Vという直流電源からDC/DCコンバータ831aに供給されるミリアンペアオーダーの「第1の電流」と「第2の電流」とにより平均化することができる。したがって、発射ソレノイド654の駆動による瞬間的な大電流を供給するための負荷が電源基板851にかからなくすることができる。また、電源基板851の過負荷時の安全装置の作動条件の設計に時間を費やすことも解消することができる。
[10−4.発射タイミング回路からの発射基準パルスと球送基準パルスとの関係]
次に、発射タイミング回路4130cからの発射基準パルスT0と、球送基準パルスT1と、について、図115を参照して説明する。TC点は、上述したように、発射タイミング回路4130cからの発射基準パルスT0を参照するための点であり、図112に示したTD点は、発射タイミング回路4130cからの球送基準パルスT1を参照するための点である。
球送基準パルスT1は、発射基準パルスT0である30msの5倍である150ms(=T0(30ms)×5)が設定されている。発射基準パルスT0が発射ソレノイド駆動回路4130dのスイッチング回路4130ddに入力されると、図115(a),(e)に示すように、球送基準パルスT1が発射ソレノイド駆動回路4130dの球送ソレノイド駆動回路4130eに入力され(タイミングt0、150ms経過すると、その入力が停止されるようになっている(タイミングt3)。これにより、球送ソレノイド585を駆動して球送ソレノイド585による球送制御を行うことにより、次の発射基準パルスT0が入力されるまでの間に、次に打ち出される遊技球のセットを完了することができ、発射基準パルスT0が入力されるごとに、遊技球を遊技領域1100に向かって連続して打ち出すことができる。
[11.主制御基板の送受信に関する各種コマンド]
次に、主制御基板4100から払出制御基板4110へ送信される各種コマンドと、主制御基板4100から周辺制御基板4140へ送信される各種コマンドについて、図116〜図119を参照して説明する。図116は主制御基板から払出制御基板へ送信される各種コマンドの一例を示すテーブルであり、図117は主制御基板から周辺制御基板へ送信される各種コマンドの一例を示すテーブルであり、図118は図117の主制御基板から周辺制御基板へ送信される各種コマンドのつづきを示すテーブルであり、図119は主制御基板が受信する払出制御基板からの各種コマンドの一例を示すテーブルである。まず、主制御基板4100から払出制御基板4110へ送信される払い出しに関するコマンドである賞球コマンドについて説明し、続いて主制御基板4100から周辺制御基板4140へ送信される各種コマンドについて説明し、主制御基板4100が受信する払出制御基板4110からの各種コマンドについて説明する。
[11−1.主制御基板から払出制御基板へ送信される各種コマンド]
主制御基板4100の主制御MPU4100aは、図97に示した、一般入賞口スイッチ3020,3020、上始動口スイッチ3022、下始動口スイッチ2109、及びカウントスイッチ2110等の各種入賞スイッチからの検出信号が入力されると、これらの検出信号に基づいて、予め定めた球数の遊技球を賞球として払い出すための賞球コマンドを払出制御基板へ送信する。この賞球コマンドは、1バイト(8ビット)の記憶容量を有するコマンドである。本実施形態では、パチンコ遊技機1とCRユニット6(パチンコ遊技機1と通信して、パチンコ遊技機1(賞球装置740)の払出モータ744を駆動して貯留皿である、上皿301や下皿302に貸球として遊技球を払い出す装置)とが電気的に接続されている場合には(このようなパチンコ遊技機を「CR機」という。)、図116(a)に示すように、主制御基板4100から払出制御基板4110に送信する賞球コマンドには、コマンド10H〜コマンド1EH(「H」は16進数を表す。)が用意されており、コマンド10Hでは賞球1個が指定され、コマンド11Hでは賞球2個が指定され、・・・、コマンド1EHでは賞球15個が指定されている。この指定された賞球数だけ、払出制御基板4110は、払出モータ744を駆動して遊技球を払い出す制御を行う。
また、パチンコ遊技機1と球貸し機(遊技球を貯留皿である、上皿301や下皿302に貸球として直接払い出す装置)とが遊技場(ホール)に隣接して設置され、パチンコ遊技機1と球貸し機が電気的に接続されている場合には(このようなパチンコ遊技機を「一般機」という。)、図116(b)に示すように、主制御基板4100から払出制御基板4110に送信する賞球コマンドには、コマンド20H〜コマンド2EHが用意されており、コマンド20Hでは賞球1個が指定され、コマンド21Hでは賞球2個が指定され、・・・、コマンド2EHでは賞球15個が指定されている。この指定された賞球数だけ、払出制御基板4110は、払出モータ744を駆動して遊技球を払い出す制御を行う。
なお、CR機及び一般機の共通のコマンドとして、図116(c)に示すように、コマンド30Hが用意されており、このコマンド30Hではセルフチェックが指定されている。送信側は、コマンド送信後、所定期間、受信側からコマンドの受け取り確認として出力するACK信号が入力されない場合に、コマンド30Hを送信して、ACK信号が入力されるか否かをチェックすることで接続状態を確認する。本実施形態におけるCR機の場合では、払出制御基板4110がCRユニット6との接続状態を確認する。
[11−2.主制御基板から周辺制御基板へ送信される各種コマンド]
次に、主制御基板4100から周辺制御基板4140へ送信される各種コマンドについて説明する。主制御基板4100の主制御MPU4100aは、遊技の進行に基づいて周辺制御基板4140に各種コマンドを送信する。これらの各種コマンドは、2バイト(16ビット)の記憶容量を有するコマンドであり、図117及び図118に示すように、1バイト(8ビット)の記憶容量を有するコマンドの種類を示すステータスと、1バイト(8ビット)の記憶容量を有する演出のバリエーションを示すモードと、から構成されている。
各種コマンドは、図117及び図118に示すように、特図1同調演出関連、特図2同調演出関連、大当り関連、電源投入、普図同調演出関連、普通電役演出関連、報知表示、状態表示、及びその他に区分されている。
[11−2−1.特図1同調演出関連]
特図1同調演出関連は、図97に示した上始動口スイッチ3022からの検出信号に基づくものであり、その区分には、図117に示すように、図97に示した機能表示基板1191の上特別図柄表示器1185に関する、特図1同調演出開始、特別図柄1指定、特図1同調演出終了、及び変動時状態指定という名称のコマンドから構成されている。これらの各種コマンドには、ステータスとして「A*H」、モードとして「**H」(「H」は16進数を表す。)が割り振られている(「*」は、特定の16進数であることを示し、パチンコ遊技機1の仕様内容によって予め定められたものである)。
特図1同調演出開始コマンドは、モードで指定された演出パターンで特図同調演出開始を指示するものであり、特別図柄1指定コマンドは、はずれ、特定大当り、非特定大当りを指定するものであり、特図1同調演出終了コマンドは、特図1同調演出終了を指示するものであり、変動時状態指定コマンドは、確率及び時短状態を指示するものである。
これらの各種コマンドの送信タイミングとして、特図1同調演出開始コマンドは、特別図柄1変動開始時に送信され、特別図柄1指定コマンドは、特図1同調演出開始の直後に送信され、特図1同調演出終了コマンドは、特別図柄1変動時間経過時(特別図柄1確定時)に送信され、変動時状態指定コマンドは、特図当落情報指定の直後に送信される。なお、これらの各種コマンドは、実際には後述する主制御側タイマ割り込み処理におけるステップS92の周辺制御基板コマンド送信処理で送信される。
[11−2−2.特図2同調演出関連]
特図2同調演出関連は、図97に示した下始動口スイッチ2109からの検出信号に基づくものであり、その区分には、図117に示すように、図97に示した機能表示基板1191の下特別図柄表示器1186に関する、特図2同調演出開始、特別図柄2指定、及び特図2同調演出終了という名称のコマンドから構成されている。これらの各種コマンドには、ステータスとして「B*H」、モードとして「**H」(「H」は16進数を表す。)が割り振られている(「*」は、特定の16進数であることを示し、パチンコ遊技機1の仕様内容によって予め定められたものである)。
特図2同調演出開始コマンドは、モードで指定された演出パターンで特図同調演出開始を指示するものであり、特別図柄2指定コマンドは、はずれ、特定大当り、非特定大当りを指定するものであり、特図2同調演出終了は、特図2同調演出終了を指示するものである。
これらの各種コマンドの送信タイミングとして、特図2同調演出開始コマンドは、特別図柄2変動開始時に送信され、特別図柄2指定コマンドは、特図2同調演出開始の直後に送信され、特図2同調演出終了コマンドは、特別図柄2変動時間経過時(特別図柄2確定時)に送信される。なお、これらの各種コマンドは、実際には主制御側タイマ割り込み処理におけるステップS92の周辺制御基板コマンド送信処理で送信される。
[11−2−3.大当り関連]
大当り関連という区分には、図117に示すように、大当りオープニング、大入賞口1開放N回目表示、大入賞口1閉鎖表示、大入賞口1カウント表示、大当りエンディング、大当り図柄表示、小当りオープニング、小当り開放表示、小当りカウント表示、及び小当りエンディングという名称のコマンドから構成されている。これらの各種コマンドには、ステータスとして「C*H」、モードとして「**H」(「H」は16進数を表す。)が割り振られている(「*」は、特定の16進数であることを示し、パチンコ遊技機1の仕様内容によって予め定められたものである)。
大当りオープニングコマンドは、大当りオープニング開始を指示するものであり、大入賞口1開放N回目表示コマンドは、1〜16ラウンド目の大入賞口1開放中開始(図95に示した、アタッカユニット2100の大入賞口2103のN回目のラウンドの開放中又は開放開始)を指示するものであり、大入賞口1閉鎖表示コマンドは、ラウンド間の大入賞口1閉鎖中開始(アタッカユニット2100の大入賞口2103のラウンド間の閉鎖中又は閉鎖開始)を指示するものであり、大入賞口1カウント表示コマンドは、カウント0〜10個をカウントした旨(図97に示したカウントスイッチ2110によって検出された、大入賞口2103に入球した遊技球の球数)を伝えるものであり、大当りエンディングコマンドは、大当りエンディング開始を指示するものであり、大当り図柄表示コマンドは、大当り図柄情報表示を指示するものである。
また、小当りオープニングコマンドは、小当りオープニング開始を指示するものであり、小当り開放表示コマンドは、小当り開放中開始(小当り時における、アタッカユニット2100の大入賞口2103の開放中又は開放開始)を指示するものであり、小当りカウント表示コマンドは、小当り中大入賞口入賞演出(小当り中における、大入賞口2103に入球した遊技球がカウントスイッチ2110によって検出された場合における演出)を指示するものであり、小当りエンディングコマンドは、小当りエンディング開始を指示するものである。
これらの各種コマンドの送信タイミングとして、大当りオープニングコマンドは、大当りオープニング開始時に送信され、大入賞口1開放N回目表示コマンドは、1〜16ラウンド目の大入賞口1開放時(アタッカユニット2100の大入賞口2103のN回目のラウンドの開放時)に送信され、大入賞口1閉鎖表示コマンドは、大入賞口1閉鎖時(アタッカユニット2100の大入賞口2103の閉鎖開始)に送信され、大入賞口1カウント表示コマンドは、大入賞口1開放時及び大入賞口1へのカウント変化時(アタッカユニット2100の大入賞口2103の開放時、及び大入賞口2103に入球した遊技球がカウントスイッチ2110によって検出された時)に送信され、大当りエンディングコマンドは、大当りエンディング開始時に送信され、大当り図柄表示コマンドは、大入賞口開放時(アタッカユニット2100の大入賞口2103の開放時)に送信される。
また、小当りオープニングコマンドは、小当りオープニング開始時に送信され、小当り開放表示コマンドは、小当り開放時(小当り時における、アタッカユニット2100の大入賞口2103の開放時)に送信され、小当りカウント表示コマンドは、小当り中大入賞口入賞時(小当り中における、大入賞口2103に入球した遊技球がカウントスイッチ2110によって検出された時)に送信され、小当りエンディングコマンドは、小当りエンディング開始時に送信される。なお、これらの各種コマンドは、実際には主制御側タイマ割り込み処理におけるステップS92の周辺制御基板コマンド送信処理で送信される。
[11−2−4.電源投入]
電源投入という区分には、図117に示すように、電源投入という名称の各種コマンドから構成されている。この電源投入コマンドには、ステータスとして「D*H」、モードとして「**H」(「H」は16進数を表す。)が割り振られている(「*」は、特定の16進数であることを示し、パチンコ遊技機1の仕様内容によって予め定められたものである)。
電源投入コマンドは、RAMクリア演出開始及びそれぞれの状態演出開始を指示するものである(例えば、図97に示したRAMクリアスイッチ4100eが操作された時における演出の開始を指示したりするものである)。
電源投入コマンドの送信タイミングとして、主制御基板電源投入時RAMクリア及びRAMクリア以外の時に送信される。具体的には、パチンコ遊技機1の電源投入時、停電又は瞬停から復帰するときであって、RAMクリアスイッチ4100eが操作されたときに、後述する主制御側電源投入時処理が実行されて主制御側タイマ割り込み処理におけるステップS92の周辺制御基板コマンド送信処理で電源投入コマンドが送信される。
[11−2−5.普図同調演出関連]
普図同調演出関連は、図97に示したゲートスイッチ2352からの検出信号に基づくものであり、その区分には、図117に示すように、図97に示した機能表示基板1191の普通図柄表示器1189に関する、普図同調演出開始、普図柄指定、普図同調演出終了、及び変動時状態指定という名称のコマンドから構成されている。これらの各種コマンドには、ステータスとして「E*H」、モードとして「**H」(「H」は16進数を表す。)が割り振られている(「*」は、特定の16進数であることを示し、パチンコ遊技機1の仕様内容によって予め定められたものである)。
普図同調演出開始コマンドは、モードで指定された演出パターンで普図同調演出開始を指示するものであり、普図柄指定コマンドは、はずれ、特定大当り、非特定大当りを指定するものであり、普図同調演出終了コマンドは、普図同調演出終了を指示するものであり、変動時状態指定コマンドは、確率及び時短状態を指示するものである。
これらの各種コマンドの送信タイミングとして、普図同調演出開始コマンドは、普通図柄1変動開始時に送信され、普図柄指定コマンドは、普図同調演出開始の直後に送信され、普図同調演出終了コマンドは、普通図柄変動時間経過時(普通図柄確定時)に送信され、変動時状態指定コマンドは、普図当落情報指定の直後に送信される。なお、これらの各種コマンドは、実際には主制御側タイマ割り込み処理におけるステップS92の周辺制御基板コマンド送信処理で送信される。
[11−2−6.普通電役演出関連]
普通電役演出関連は、図97に示した始動口ソレノイド2105の駆動により開閉される図95に示した一対の可動片2106に関するものであり、その区分には、図117に示すように、普図当りオープニング、普電開放表示、及び普図当りエンディングという名称のコマンドから構成されている。これらの各種コマンドには、ステータスとして「F*H」、モードとして「**H」(「H」は16進数を表す。)が割り振られている(「*」は、特定の16進数であることを示し、パチンコ遊技機1の仕様内容によって予め定められたものである)。
普図当りオープニングコマンドは、普図当りオープニング開始を指示するものであり、普電開放表示コマンドは、普電開放中開始(一対の可動片2106が始動口ソレノイド2105の駆動により左右方向へ拡開した状態、又は拡開する時)を指示するものであり、普図当りエンディングコマンドは、普図当りエンディング開始を指示するものである。
これらの各種コマンドの送信タイミングとして、普図当りオープニングコマンドは、普図当りオープニング開始時に送信され、普電開放表示コマンドは、普電開放時(一対の可動片2106が始動口ソレノイド2105の駆動により左右方向へ拡開する時)に送信され、普図当りエンディングコマンドは、普図当りエンディング開始時に送信される。なお、これらの各種コマンドは、実際には主制御側タイマ割り込み処理におけるステップS92の周辺制御基板コマンド送信処理で送信される。
[11−2−7.報知表示]
報知表示の区分には、図118に示すように、入賞異常表示、接続異常表示、断線・短絡異常表示、磁気検出スイッチ異常表示、扉開放、及び扉閉鎖という名称のコマンドから構成されている。これらの各種コマンドには、ステータスとして「6*H」、モードとして「**H」(「H」は16進数を表す。)が割り振られている(「*」は、特定の16進数であることを示し、パチンコ遊技機1の仕様内容によって予め定められたものである)。
入賞異常表示コマンドは、大当り中(条件装置作動中)以外に大入賞口に入賞した時(大当り中でもないのに、アタッカユニット2100の大入賞口2103に遊技球が入球してその遊技球をカウントスイッチ2110が検出した時)に入賞異常報知の開始を指示するものであり、接続異常表示コマンドは、例えば、主制御基板4100と払出制御基板4110との基板間に亘る経路において電気的な接続異常がある場合に接続異常報知の開始を指示するものであり、断線・短絡異常表示コマンドは、例えば、主制御基板4100と、上始動口スイッチ3022、下始動口スイッチ2109、カウントスイッチ2110等との電気的な接続の断線・短絡が生じた場合に断線・短絡異常表示の開始を指示するものであり、磁気検出スイッチ異常表示コマンドは、図97に示した磁気検出スイッチ3024に異常が生じた場合に磁気検出スイッチ異常報知の開始を指示するものである。
また、扉開放コマンドは、図98に示した、払出制御基板4110を介して入力される扉枠開放スイッチ618及び本体枠開放スイッチ619からの検出信号(開放信号)に基づいて、本体枠3が外枠2に対して開放された状態である場合や、扉枠5が本体枠3に対して開放された状態である場合に、扉開放報知を指示するものであり、扉閉鎖コマンドは、その扉枠開放スイッチ618及び本体枠開放スイッチ619からの検出信号に基づいて、本体枠3が外枠2に対して閉鎖された状態であるとともに、扉枠5が本体枠3に対して閉鎖された状態である場合に扉開放報知終了を指示するものである。
これらの各種コマンドの送信タイミングとして、入賞異常表示コマンドは、大当り中(条件装置作動中)以外に大入賞口に入賞した時に送信され、接続異常表示コマンドは、主制御基板4100から払出制御基板4110へのコマンド送信時に払出制御基板4110からのACK返信(ACK信号)がなかった時に送信され、断線・短絡異常表示コマンドは、上始動口スイッチ3022、下始動口スイッチ2109、カウントスイッチ2110等のうち、いずれが断線または短絡状態となった時に送信され、磁気検出スイッチ異常表示コマンドは、磁気検出スイッチ3024の異常を検知した時に送信され、扉開放コマンドは、扉開放を検知した時(扉枠開放スイッチ618及び本体枠開放スイッチ619からの検出信号に基づいて、本体枠3が外枠2に対して開放された状態である場合や、扉枠5が本体枠3に対して開放された状態である場合)に送信され、扉閉鎖コマンドは、扉閉鎖を検知した時(扉枠開放スイッチ618及び本体枠開放スイッチ619からの検出信号に基づいて、本体枠3が外枠2に対して閉鎖された状態であるとともに、扉枠5が本体枠3に対して閉鎖された状態である場合)に送信される。なお、これらの各種コマンドは、実際には主制御側タイマ割り込み処理におけるステップS92の周辺制御基板コマンド送信処理で送信される。
[11−2−8.状態表示]
状態表示の区分には、図118に示すように、枠状態1、エラー解除ナビ、及び枠状態2という名称のコマンドから構成されている。これらの各種コマンドには、ステータスとして「7*H」、モードとして「**H」(「H」は16進数を表す。)が割り振られている(「*」は、特定の16進数であることを示し、パチンコ遊技機1の仕様内容によって予め定められたものである)。
枠状態1コマンド、エラー解除ナビコマンド、及び枠状態2コマンドは、払出制御基板4110から送信された1バイト(8ビット)の記憶容量を有するコマンドであり、これらの詳細な説明は、後述する。なお、主制御基板4100の主制御MPU4100aは、払出制御基板4110からの枠状態1コマンド、エラー解除ナビコマンド、及び枠状態2コマンドを受信すると、図118に示すように、「7*H」をステータスとして設定するとともに、その受信したコマンドをそのままモードとして設定する。つまり、主制御MPU4100aは、払出制御基板4110からの枠状態1コマンド、エラー解除ナビコマンド、及び枠状態2コマンドを受信すると、これら受信したコマンドに付加情報である「7*H」を付加することにより、2バイト(16ビット)の記憶容量を有するコマンドに整形する。
整形された、枠状態1コマンドは、電源復旧時、枠状態の変化時、及びエラー解除ナビ時に送信され、エラー解除ナビコマンドは、エラー解除ナビ時に送信され、枠状態2コマンドは、電源復旧時、及び枠状態の変化時に送信される。なお、これら整形された、枠状態1コマンド、エラー解除ナビコマンド、及び枠状態2コマンドは、実際には主制御側タイマ割り込み処理におけるステップS92の周辺制御基板コマンド送信処理で送信される。
[11−2−9.テスト関連]
テスト関連の区分には、図118に示すように、テストという名称の各種コマンドから構成されている。このテストコマンドには、ステータスとして「8*H」、モードとして「**H」(「H」は16進数を表す。)が割り振られている(「*」は、特定の16進数であることを示し、パチンコ遊技機1の仕様内容によって予め定められたものである)。
テストコマンドは、周辺制御基板4140の各種検査を指示するものである(例えば、図100に示した、周辺制御部4150の音源IC4150c、液晶制御部4160、ランプ駆動基板4170、モータ駆動基板4180、及び枠装飾駆動アンプ基板194等の各種基板の検査を行うものである)。
テストコマンドの送信タイミングとして、主制御基板電源投入時RAMクリア及びRAMクリア以外の時に送信される。具体的には、パチンコ遊技機1の電源投入時、停電又は瞬停から復帰するときであって、RAMクリアスイッチ4100eが操作されたときに、後述する主制御側電源投入時処理が実行されて主制御側タイマ割り込み処理におけるステップS92の周辺制御基板コマンド送信処理でテストコマンドが送信される。
[11−2−10.その他]
その他の区分には、図118に示すように、始動口入賞、変動短縮作動終了指定、高確率終了指定、特別図柄1記憶、特別図柄2記憶、普通図柄記憶、特別図柄1記憶先読み演出、及び特別図柄2記憶先読み演出という名称のコマンドから構成されている。これらの各種コマンドには、ステータスとして「9*H」、モードとして「**H」(「H」は16進数を表す。)が割り振られている(「*」は、特定の16進数であることを示し、パチンコ遊技機1の仕様内容によって予め定められたものである)。
始動口入賞コマンドは、始動口入賞演出開始を指示するものであって、上始動口スイッチ3022からの検出信号に基づいて上始動口2101に遊技球が入球した場合における演出の開始と、下始動口スイッチ2109からの検出信号に基づいて下始動口2102に遊技球が入球した場合における演出の開始と、をそれぞれ指示するものであり、変動短縮作動終了指定コマンドは、変動短縮作動状態から変動短縮非作動状態への状態移行を指示するものであり、高確率終了指定コマンドは、高確率状態から低確率状態への状態移行を指示するものであり、特別図柄1記憶コマンドは、特別図柄1保留0〜4個(図95に示した上始動口2101に遊技球が入球して機能表示基板1191の上特別図柄表示器1185で特別図柄の変動表示に未だ使用されていない球数(保留数))を伝えるものであり、特別図柄2記憶コマンドは、特別図柄2保留0〜4個(図95に示した下始動口2102に遊技球が入球して機能表示基板1191の下特別図柄表示器1186で特別図柄の変動表示に未だ使用されていない球数(保留数))を伝えるものであり、普通図柄記憶コマンドは、普通図柄1保留0〜4個(図95に示したゲート部2350を遊技球が通過して機能表示基板1191の普通図柄表示器1189で普通図柄の変動表示に未だ使用されていない球数(保留数))を伝えるものであり、特別図柄1記憶先読み演出コマンドは、特別図柄1保留が機能表示基板1191の上特別図柄表示器1185で特別図柄の変動表示に使用される前に、先読みしてその特別図柄1保留に基づく上特別図柄表示器1185による表示結果の予告を報知する先読み演出開始を指示するものであり、特別図柄2記憶先読み演出コマンドは、特別図柄2保留が機能表示基板1191の下特別図柄表示器1186で特別図柄の変動表示に使用される前に、先読みしてその特別図柄2保留に基づく下特別図柄表示器1186による表示結果の予告を報知する先読み演出開始を指示するものである。
これらの各種コマンドの送信タイミングとして、始動口入賞コマンドは、始動口入賞時(上始動口スイッチ3022からの検出信号に基づいて上始動口2101に遊技球が入球した時や、下始動口スイッチ2109からの検出信号に基づいて下始動口2102に遊技球が入球した時)に、図21に示したサイドスピーカ130,130、図29に示した右上部スピーカ222、図32に示した左上部スピーカ262や図78に示した下部スピーカ821から主に音声でその旨を報知するために送信され、変動短縮作動終了指定コマンドは、規定回数の変動短縮を消化した変動確定後の停止期間終了時(はずれ停止期間経過後)に送信され、高確率終了指定コマンドは、「高確率N回」の場合の高確率回数を消化した変動確定後の停止期間終了時(はずれ停止期間経過後)に送信され、特別図柄1記憶コマンドは、特別図柄1作動保留球数変化時(上始動口2101に遊技球が入球して機能表示基板1191の上特別図柄表示器1185で特別図柄の変動表示に未だ使用されていない保留数がある状態において、さらに上始動口2101に遊技球が入球して保留数が増加した時や、その保留数から上特別図柄表示器1185で特別図柄の変動表示に使用してその保留数が減少した時)に送信され、特別図柄2記憶コマンドは、特別図柄2作動保留球数変化時(下始動口2102に遊技球が入球して機能表示基板1191の下特別図柄表示器1186で特別図柄の変動表示に未だ使用されていない保留数がある状態において、さらに下始動口2102に遊技球が入球して保留数が増加した時や、その保留数から下特別図柄表示器1186で特別図柄の変動表示に使用してその保留数が減少した時)に送信され、普通図柄記憶コマンドは、普通図柄1作動保留球数変化時(ゲート部2350を遊技球が通過して機能表示基板1191の普通図柄表示器1189で普通図柄の変動表示に未だ使用されていない保留数がある状態において、さらにゲート部2350を遊技球が通過して保留数が増加した時や、その保留数から普通図柄表示器1189で普通図柄の変動表示に使用してその保留数が減少した時)に送信され、特別図柄1記憶先読み演出コマンドは、特別図柄1作動保留球数増加時(上始動口2101に遊技球が入球して保留数が増加した時)に送信され、特別図柄2記憶先読み演出コマンドは、特別図柄2作動保留球数増加時(下始動口2102に遊技球が入球して保留数が増加した時)に送信される。なお、これらの各種コマンドは、実際には主制御側タイマ割り込み処理におけるステップS92の周辺制御基板コマンド送信処理で送信される。
ところで、始動口入賞コマンドは、上述したように、始動口入賞時(上始動口スイッチ3022からの検出信号に基づいて上始動口2101に遊技球が入球した時や、下始動口スイッチ2109からの検出信号に基づいて下始動口2102に遊技球が入球した時)に、サイドスピーカ130,130、右上部スピーカ222、左上部スピーカ262や下部スピーカ821から主に音声でその旨を報知するために送信されるが、図100に示した周辺制御基板4140が始動口入賞コマンドをどのように利用するかについては、パチンコ遊技機の仕様によって異なる場合もある。例えば、本実施形態におけるパチンコ遊技機1では、サイドスピーカ130,130、右上部スピーカ222、左上部スピーカ262や下部スピーカ821から音声で報知するほかに、不正行為の有無を監視するためにも利用するという仕様のものである。これに対して、他のパチンコ遊技機では、周辺制御基板4140が始動口入賞コマンドを単に受信するだけで、サイドスピーカ130,130、右上部スピーカ222、左上部スピーカ262や下部スピーカ821から音声で報知しない仕様のものもある。
[11−3.主制御基板が受信する払出制御基板からの各種コマンド]
次に、主制御基板4100が受信する払出制御基板4110からの各種コマンドについて説明する。
払出制御基板4110からの各種コマンドの区分には、図119に示すように、枠状態1、エラー解除ナビ及び枠状態2という名称のコマンドから構成されており、枠状態1、エラー解除ナビ、そして枠状態2の順で優先順位が設定されている。
枠状態1コマンドには、球切れ、満タン、50個以上のストック中、接続異常及びCR未接続が用意されており、球切れではビット0(B0、「B」はビットを表す。)に値1がセットされ、満タンではビット1(B1)に値1がセットされ、50個以上のストック中ではビット2(B2)に値1がセットされ、接続異常ではビット3(B3)に値1がセットされ、CR未接続ではビット4(B4)に値1がセットされる。枠状態1コマンドのビット5(B5)〜ビット7(B7)には、B5に値1、B6に値0、そしてB7に値0がセットされている。
エラー解除ナビコマンドには、球がみ、計数スイッチエラー及びリトライエラーが用意されており、球がみではビット2(B2)に値1がセットされ、計数スイッチエラーではビット3(B3)に値1がセットされ、リトライエラーではビット4(B4)に値1がセットされる。ここで、「計数スイッチエラー」とは、図98に示した計数スイッチ751の不具合が生じているか否かを示すものである。「リトライエラー」とは、リトライ動作によるつじつまの合わない遊技球の払い出しが繰り返し行われたことを示すものである。エラー解除ナビコマンドのビット(B0)、ビット(B1)、及びビット5(B5)〜ビット7(B7)には、B0に値0、B1に値0、B5に値0、B6に値1、そしてB7に値0がセットされている。
枠状態2コマンドには、球抜き中が用意されており、球抜き中ではビット0(B0)に値1がセットされる。枠状態2コマンドのビット1(B1)〜ビット7(B7)には、B1に値0、B2に値0、B3に値0、B4に値0、B5に値1、B6に値1、そしてB7に値0がセットされている。
これらの各種コマンドの送信タイミングとして、枠状態1コマンドは、電源復旧時、枠状態の変化時、及びエラー解除ナビ時に送信され、エラー解除ナビコマンドは、エラー解除ナビ時に送信され、枠状態2コマンドは、電源復旧時、及び枠状態の変化時に送信される。なお、これらの各種コマンドは、実際には後述する払出制御部電源投入時処理の払出制御部メイン処理におけるステップS360のコマンド送信処理で送信される。
[12.主制御基板の各種制御処理]
次に、パチンコ遊技機1の遊技の進行に応じて、図97に示した主制御基板4100が行う各種制御処理について、図120〜図122を参照して説明する。図120は主制御側電源投入時処理の一例を示すフローチャートであり、図121は図120の主制御側電源投入時処理のつづきを示すフローチャートであり、図122は主制御側タイマ割り込み処理の一例を示すフローチャートである。まず、遊技制御に用いられる各種乱数について説明し、続いて主制御側電源投入時処理、主制御側タイマ割り込み処理について説明する。
[12−1.各種乱数]
遊技制御に用いられる各種乱数として、大当り遊技状態を発生させるか否かの決定に用いるための大当り判定用乱数と、この大当り判定用乱数の初期値の決定に用いるための大当り判定用初期値決定用乱数と、大当り遊技状態を発生させないときにリーチ(リーチはずれ)を発生させるか否かの決定に用いるためのリーチ判定用乱数と、図97に示した、上特別図柄表示器1185及び下特別図柄表示器1186で変動表示される特別図柄の変動表示パターンの決定に用いるための変動表示パターン用乱数と、大当り遊技状態を発生させるときに上特別図柄表示器1185及び下特別図柄表示器1186で導出表示される大当り図柄の決定に用いるための大当り図柄用乱数と、この大当り図柄用乱数の初期値の決定に用いるための大当り図柄用初期値決定用乱数、小当り遊技状態を発生させるときに上特別図柄表示器1185及び下特別図柄表示器1186で導出表示される小当り図柄の決定に用いるための小当り図柄用乱数、この小当り図柄用乱数の初期値の決定に用いるための小当り図柄用初期値決定用乱数等が用意されている。またこれらの乱数に加えて、図95に示した可動片2106を開閉動作させるか否かの決定に用いるための普通図柄当り判定用乱数と、この普通図柄当り判定用乱数の初期値の決定に用いるための普通図柄当り判定用初期値決定用乱数と、図97に示した普通図柄表示器1189で変動表示される普通図柄の変動表示パターンの決定に用いるための普通図柄変動表示パターン用乱数等が用意されている。
例えば、大当り判定用乱数を更新するカウンタは、最小値から最大値までに亘る予め定めた固定数値範囲(本実施形態では、最小値として値0〜最大値として値32767)内において更新され、この最小値から最大値までに亘る範囲を、後述する主制御側タイマ割り込み処理が行われるごとに値1ずつ加算されることでカウントアップする。このカウンタは、大当り判定用初期値決定用乱数から最大値に向かってカウントアップし、続いて最小値から大当り判定用初期値決定用乱数に向かってカウントアップする。大当り判定用乱数の最小値から最大値までに亘る範囲をカウンタがカウントアップし終えると、大当り判定用初期値決定用乱数は更新される。このようなカウンタの更新方法を「初期値更新型のカウンタ」という。また、上述した、普通図柄当り判定用乱数、普通図柄当り判定用初期値決定用乱数も上述した大当り判定用乱数の更新方法と同一である。
なお、本実施形態では、大当り判定用乱数の最小値から最大値までに亘る範囲を、大当り判定用乱数を更新するカウンタがカウントアップし終えると、上述したように、大当り判定用初期値決定用乱数は更新されるが、このとき、その更新される値は、後述するように、図97に示した主制御MPU4100aがその内蔵する不揮発性のRAMからIDコードを取り出し、この取り出したIDコードに基づいて大当り判定用乱数を更新するカウンタの固定数値範囲から常に同一の固定値を導出する初期値導出処理を実行し、この導出した固定値が初期値としてセットされる仕組みとなっている。つまり、大当り判定用初期値決定用乱数は、初期値導出処理の実行によりIDコードに基づいて導出された同一の固定値が初期値として常に上書き更新されるようになっている。このように、大当り判定用初期値決定用乱数にセットされる初期値は、IDコードを利用して導出されており、主制御MPU4100aを製造したメーカによって主制御MPU4100aに内蔵する不揮発性のRAMにIDコードを記憶させるとIDコードが外部装置を用いても書き換えられないという第1のセキュリティー対策と、初期値導出処理を実行することによってIDコードに基づいて同一の固定値を導出するという第2のセキュリティー対策と、による2段階のセキュリティー対策が講じられることよって解析されるのを防止している。
ここで、主制御MPU4100aに内蔵する不揮発性のRAMからIDコードを取り出し、この取り出したIDコードを大当り判定用初期値決定用乱数として用いる利点について説明する。例えば、賞球として払い出される遊技球を不正に獲得しようとする者が何らかの方法で遊技盤4を入手して分解し、主制御MPU4100aに内蔵する不揮発性のRAMに予め記憶されているIDコードを不正に取得し、大当り判定用乱数を更新するカウンタの値と大当り判定値とが一致するタイミングを把握することができたとしても、そのIDコードが個体を識別するためのユニークな符号が付されたものであるため、他の遊技盤4’に備える主制御MPU4100a’に内蔵する不揮発性のRAMに予め記憶されているIDコードとまったく異なるものとなる。つまり他の遊技盤4’においては、大当り判定用乱数を更新するカウンタの値と大当り判定値とが一致するタイミングも、入手した遊技盤4のものとまったく異なる。換言すると、入手した遊技盤4を分解して解析して得たIDコードは、他の遊技盤4’、つまり他のパチンコ遊技機1’において、まったく役に立たないものであるため、分解して解析した得た所定間隔ごとに瞬停を発生させ、その所定間隔ごとに、図95に示した、上始動口2101や下始動口2102に遊技球を入球させるという始動入賞を狙っても、大当り遊技状態を発生させることができない。
[12−2.主制御側電源投入時処理]
パチンコ遊技機1に電源が投入されると、主制御基板4100の主制御MPU4100aは、図120及び図121に示すように、主制御側電源投入時処理を行う。この主制御側電源投入時処理が開始されると、主制御MPU4100aは、スタックポインタの設定を行う(ステップS10)。スタックポインタは、例えば、使用中の記憶素子(レジスタ)の内容を一時記憶するためにスタックに積んだアドレスを示したり、サブルーチンを終了して本ルーチンに復帰するときの本ルーチンの復帰アドレスを一時記憶するためにスタックに積んだアドレスを示したりするものであり、スタックが積まれるごとにスタックポインタが進む。ステップS10では、スタックポインタに初期アドレスをセットし、この初期アドレスから、レジスタの内容、復帰アドレス等をスタックに積んで行く。そして最後に積まれたスタックから最初に積まれたスタックまで、順に読み出すことによりスタックポインタが初期アドレスに戻る。
ステップS10に続いて、ウェイトタイマ処理1を行い(ステップS12)、停電予告信号が入力されているか否かを判定する(ステップS14)。電源投入時から所定電圧となるまでの間では電圧がすぐに上がらない。一方、停電又は瞬停(電力の供給が一時停止する現象)となるときでは電圧が下がり、停電予告電圧より小さくなると、払出制御基板4110の停電監視回路4110bから停電予告として停電予告信号が入力される。電源投入時から所定電圧に上がるまでの間では同様に電圧が停電予告電圧より小さくなると、払出制御基板4110の停電監視回路4110bから停電予告信号が入力される。そこで、ステップS12のウェイトタイマ処理1は、電源投入後、電圧が停電予告電圧より大きくなって安定するまで待つための処理であり、本実施形態では、待ち時間(ウェイトタイマ)として200ミリ秒(ms)が設定されている。ステップS14の判定では、払出制御基板4110の停電監視回路4110bからの停電予告信号に基づいて行う。
ステップS14に続いて、図97に示したRAMクリアスイッチ4100eが操作されているか否かを判定する(ステップS16)。この判定は、主制御基板4100のRAMクリアスイッチ4100eが操作され、その操作信号(検出信号)が主制御MPU4100aに入力されているか否かにより行う。検出信号が入力されているときにはRAMクリアスイッチ4100eが操作されていると判定する一方、検出信号が入力されていないときにはRAMクリアスイッチ4100eが操作されていないと判定する。
ステップS16でRAMクリアスイッチ4100eが操作されているときには、RAMクリア報知フラグRCL−FLGに値1をセットし(ステップS18)、一方、ステップS16でRAMクリアスイッチ4100eが操作されていないときには、RAMクリア報知フラグRCL−FLGに値0をセットする(ステップS20)。このRAMクリア報知フラグRCL−FLGは、主制御MPU4100aに内蔵されたRAM(以下、「主制御内蔵RAM」と記載する。)に記憶されている、確率変動、未払い出し賞球等の遊技に関する遊技情報を消去するか否かを示すフラグであり、遊技情報を消去するとき値1、遊技情報を消去しないとき値0にそれぞれ設定される。なお、ステップS18及びステップS20でセットされたRAMクリア報知フラグRCL−FLGの値は、主制御MPU4100aの汎用記憶素子(汎用レジスタ)に記憶される。
ステップS18又はステップS20に続いて、ウェイトタイマ処理2を行う(ステップS22)。このウェイトタイマ処理2では、図100に示した、周辺制御基板4140の液晶制御部4160による液晶表示装置1900の描画制御を行うシステムが起動する(ブートする)まで待っている。本実施形態では、ブートするまでの時間(ブートタイマ)として2秒(s)が設定されている。
ステップS22に続いて、RAMクリア報知フラグRCL−FLGが値0である否かを判定する(ステップS24)。上述したように、RAMクリア報知フラグRCL−FLGは、遊技情報を消去するとき値1、遊技情報を消去しないとき値0にそれぞれ設定される。ステップS24でRAMクリア報知フラグRCL−FLGが値0であるとき、つまり遊技情報を消去しないときには、チェックサムの算出を行う(ステップS26)。このチェックサムは、主制御内蔵RAMに記憶されている遊技情報を数値とみなしてその合計を算出するものである。
ステップS26に続いて、算出したチェックサムの値(サム値)が後述する主制御側電源断時処理(電源断時)において記憶されているチェックサムの値(サム値)と一致しているか否かを判定する(ステップS28)。一致しているときには、バックアップフラグBK−FLGが値1であるか否かを判定する(ステップS30)。このバックアップフラグBK−FLGは、遊技情報、チェックサムの値(サム値)及びバックアップフラグBK−FLGの値等のバックアップ情報を後述する主制御側電源断時処理において主制御内蔵RAMに記憶保持したか否かを示すフラグであり、主制御側電源断時処理を正常に終了したとき値1、主制御側電源断時処理を正常に終了していないとき値0にそれぞれ設定される。
ステップS30でバックアップフラグBK−FLGが値1であるとき、つまり主制御側電源断時処理を正常に終了したときには、復電時として主制御内蔵RAMの作業領域を設定する(ステップS32)。この設定は、バックアップフラグBK−FLGに値0をセットするほか、主制御MPU4100aに内蔵されたROM(以下、「主制御内蔵ROM」と記載する。)から復電時情報を読み出し、この復電時情報を主制御内蔵RAMの作業領域にセットする。なお、「復電」とは、電源を遮断した状態から電源を投入した状態のほかに、停電又は瞬停からその後の電力の復旧した状態、高周波が照射されたことを検出してリセットし、その後に復帰した状態も含める。
ステップS32に続いて、電源投入時コマンド作成処理を行う(ステップS34)。この電源投入時コマンド作成処理では、バックアップ情報から遊技情報を読み出してこの遊技情報に応じた各種コマンドを主制御内蔵RAMの所定記憶領域に記憶する。
一方、ステップS24でRAMクリア報知フラグRCL−FLGが値0でない(値1である)とき、つまり遊技情報を消去するときには、又はステップS28でチェックサムの値(サム値)が一致していないときには、又はステップS30でバックアップフラグBK−FLGが値1でない(値0である)とき、つまり主制御側電源断時処理を正常に終了していないときには、主制御内蔵RAMの全領域をクリアする(ステップS36)。具体的には、値0を主制御内蔵RAMに書き込むことよって行う(なお、初期値として主制御内蔵ROMから所定値を読み出して、セットしてもよい)。また、上述した大当り判定用乱数の初期値の決定に用いるための大当り判定用初期値決定用乱数は、RAMクリアスイッチ4100eが操作されて遊技情報を消去するとき、サム値が一致していないとき、又は主制御側電源断時処理を正常に終了していないときには、主制御MPU4100aの不揮発性のRAMに予め記憶された固有のIDコードを取り出し、この取り出したIDコードに基づいて大当り判定用乱数を更新するカウンタの固定数値範囲から常に同一の固定値を導出する初期値導出処理を実行し、この固定値が初期値としてセットされる。
ステップS36に続いて、初期設定として主制御内蔵RAMの作業領域を設定する(ステップS38)。この設定は、主制御内蔵ROMから初期情報を読み出してこの初期情報を主制御内蔵RAMの作業領域にセットする。
ステップS38に続いて、RAMクリア報知及びテストコマンド作成処理を行う(ステップS40)。このRAMクリア報知及びテストコマンド作成処理では、主制御内蔵RAMをクリアして初期設定を行った旨を報知するための図117に示した電源投入に区分される電源投入コマンドを作成するとともに、周辺制御基板4140の各種検査を行うための図118に示したテスト関連に区分されるテストコマンドを作成して、送信情報として主制御内蔵RAMの送信情報記憶領域にそれぞれ記憶する。
ステップS34又はステップS40に続いて、割り込み初期設定を行う(ステップS42)。この設定は、後述する主制御側タイマ割り込み処理が行われるときの割り込み周期を設定するものである。本実施形態では4msに設定されている。
ステップS42に続いて、割り込み許可設定を行う。(ステップS44)。この設定によりステップS42で設定した割り込み周期、つまり4msごとに主制御側タイマ割り込み処理が繰り返し行われる。
ステップS44に続いて、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値Aをセットする(ステップS46)。このウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに、値A、値Bそして値Cを順にセットすることによりウォッチドックタイマがクリア設定される。
ステップS46に続いて、停電予告信号が入力されているか否かを判定する(ステップS48)。上述したように、パチンコ遊技機1の電源を遮断したり、停電又は瞬停したりするときには、電圧が停電予告電圧以下となると、停電予告として停電予告信号が払出制御基板4110の停電監視回路4110bから入力される。ステップS48の判定は、この停電予告信号に基づいて行う。
ステップS48で停電予告信号の入力がないときには非当落乱数更新処理を行う(ステップS50)。この非当落乱数更新処理では、上述した、リーチ判定用乱数、変動表示パターン用乱数、大当り図柄用初期値決定用乱数、及び小当り図柄用初期値決定用乱数等を更新する。このように、非当落乱数更新処理では、当落判定(大当り判定)にかかわらない乱数を更新する。なお、上述した、普通図柄当り判定用乱数、普通図柄当り判定用初期値決定用乱数及び普通図柄変動表示パターン用乱数等もこの非当落乱数更新処理により更新される。
ステップS50に続いて、再びステップS46に戻り、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値Aをセットし、ステップS48で停電予告信号の入力があるか否かを判定し、この停電予告信号の入力がなければ、ステップS50で非当落乱数更新処理を行い、ステップS46〜ステップS50を繰り返し行う。なお、このステップS46〜ステップS50の処理を「主制御側メイン処理」という。
一方、ステップS48で停電予告信号の入力があったときには、割り込み禁止設定を行う(ステップS52)。この設定により後述する主制御側タイマ割り込み処理が行われなくなり、主制御内蔵RAMへの書き込みを防ぎ、遊技情報の書き換えを保護している。
ステップS52に続いて、図97に示した、始動口ソレノイド2105、アタッカソレノイド2108、上特別図柄表示器1185、下特別図柄表示器1186、上特別図柄記憶表示器1184、下特別図柄記憶表示器1187、普通図柄表示器1189、普通図柄記憶表示器1188、遊技状態表示器1183、ラウンド表示器1190等に出力している駆動信号を停止する(ステップS54)。
ステップS54に続いて、チェックサムの算出を行ってこの算出した値を記憶する(ステップS56)。このチェックサムは、上述したチェックサムの値(サム値)及びバックアップフラグBK−FLGの値の記憶領域を除く、主制御内蔵RAMの作業領域の遊技情報を数値とみなしてその合計を算出する。
ステップS56に続いて、バックアップフラグBK−FLGに値1をセットする(ステップS58)。これにより、バックアップ情報の記憶が完了する。
ステップS58に続いて、ウォッチドックタイマのクリア設定を行う(ステップS60)。このクリア設定は、上述したように、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値A、値Bそして値Cを順にセットすることにより行われる。
ステップS60に続いて、無限ループに入る。この無限ループでは、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値A、値Bそして値Cを順にセットしないためウォッチドックタイマがクリア設定されなくなる。このため、主制御MPU4100aにリセットがかかり、その後主制御MPU4100aは、この主制御側電源投入時処理を再び行う。なお、ステップS52〜ステップS60の処理及び無限ループを「主制御側電源断時処理」という。
パチンコ遊技機1(主制御MPU4100a)は、停電したとき又は瞬停したときにはリセットがかかり、その後の電力の復旧により主制御側電源投入時処理を行う。
なお、ステップS28では主制御内蔵RAMに記憶されているバックアップ情報が正常なものであるか否かを検査し、続いてステップS30では主制御側電源断時処理が正常に終了された否かを検査している。このように、主制御内蔵RAMに記憶されているバックアップ情報を2重にチェックすることによりバックアップ情報が不正行為により記憶されたものであるか否かを検査している。
[12−3.主制御側タイマ割り込み処理]
次に、主制御側タイマ割り込み処理について説明する。この主制御側タイマ割り込み処理は、図120及び図121に示した主制御側電源投入時処理において設定された割り込み周期(本実施形態では、4ms)ごとに繰り返し行われる。
主制御側タイマ割り込み処理が開始されると、主制御基板4100の主制御MPU4100aは、図122に示すように、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値Bをセットする(ステップS70)。このとき、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLには、主制御側電源投入時処理(主制御側メイン処理)のステップS46においてセットされた値Aに続いて値Bがセットされる。
ステップS70に続いて、割り込みフラグのクリアを行う(ステップS72)。この割り込みフラグがクリアされることにより割り込み周期が初期化され、次の割り込み周期がその初期値から計時される。
ステップS72に続いて、スイッチ入力処理を行う(ステップS74)。このスイッチ入力処理では、主制御I/Oポート4100bの入力端子に入力されている各種信号を読み取り、入力情報として主制御内蔵RAMの入力情報記憶領域に記憶する。具体的には、図95に示した一般入賞口2104,2201に入球した遊技球を検出する図97に示した一般入賞口スイッチ3020,3020からの検出信号、図95に示した大入賞口2103に入球した遊技球を検出する図97に示したカウントスイッチ2110からの検出信号、図95に示した上始動口2101に入球した遊技球を検出する図97に示した上始動口スイッチ3022からの検出信号、図95に示した下始動口2102に入球した遊技球を検出する図97に示した下始動口スイッチ2109からの検出信号、図95に示したゲート部2350を通過した遊技球を検出する図97に示したゲートスイッチ2352からの検出信号、図97に示した磁石を用いた不正行為を検出する磁気検出スイッチ3024からの検出信号や後述する賞球制御処理で送信した賞球コマンドを図97に示した払出制御基板4110が正常に受信した旨を伝える払出制御基板4110からの払主ACK信号、をそれぞれ読み取り、入力情報として入力情報記憶領域に記憶する。また、上始動口2101に入球した遊技球を検出する上始動口スイッチ3022からの検出信号、下始動口2102に入球した遊技球を検出する下始動口スイッチ2109からの検出信号をそれぞれ読み取ると、これと対応する図118に示したその他に区分される始動口入賞コマンドを送信情報として上述した送信情報記憶領域に記憶する。つまり、上始動口スイッチ3022からの検出信号があると、これと対応する始動口入賞コマンドが送信情報として送信情報記憶領域に記憶されるし、下始動口スイッチ2109からの検出信号があると、これと対応する始動口入賞コマンドが送信情報として送信情報記憶領域に記憶されるようになっている。
なお、本実施形態では、一般入賞口2104,2201に入球した遊技球を検出する一般入賞口スイッチ3020,3020からの検出信号、大入賞口2103に入球した遊技球を検出するカウントスイッチ2110からの検出信号、上始動口2101に入球した遊技球を検出する上始動口スイッチ3022からの検出信号、下始動口2102に入球した遊技球を検出する下始動口スイッチ2109からの検出信号、及びゲート部2350を通過した遊技球を検出するゲートスイッチ2352からの検出信号は、このスイッチ入力処理が開始されると、まず1回目としてそれぞれ読み取られ、所定時間(例えば、10μs)経過した後、2回目としてそれぞれ再び読み取られる。そして、この2回目に読み取られた結果と、1回目に読み取られた結果と、を比較する。この比較結果のうち、同結果となっているものがあるか否かを判定する。同結果でないものについては、さらに、3回目として再び読み取られ、この3回目に読み取られた結果と、2回目に読み取られた結果と、を比較する。この比較結果のうち、同結果となっているものがあるか否かを再び判定する。同結果でないものについては、さらに、4回目として再び読み取られ、この4回目に読み取られた結果と、3回目に読み取られた結果と、を比較する。この比較結果のうち、同結果となっているものがあるか否かを再び判定する。同結果とならいものについては、遊技球の入球がないものとして扱う。
このように、スイッチ入力処理では、一般入賞口スイッチ3020,3020、カウントスイッチ2110、上始動口スイッチ3022、下始動口スイッチ2109、及びゲートスイッチ2352からの検出信号を、1回目〜3回目に亘って比較する2度読み取りと、2回目〜4回目に亘って比較する2度読み込みと、による計2回の2度読み取りを行うことによって、チャタリングやノイズ等の影響による誤検出を回避することができるようになっているため、一般入賞口スイッチ3020,3020、カウントスイッチ2110、上始動口スイッチ3022、下始動口スイッチ2109、及びゲートスイッチ2352からの検出信号の信頼性を高めることができる。
ステップS74に続いて、タイマ減算処理を行う(ステップS76)。このタイマ減算処理では、例えば、後述する特別図柄及び特別電動役物制御処理で決定される変動表示パターンに従って上特別図柄表示器1185及び下特別図柄表示器1186が点灯する時間、後述する普通図柄及び普通電動役物制御処理で決定される普通図柄変動表示パターンに従って普通図柄表示器1189が点灯する時間のほかに、主制御基板4100(主制御MPU4100a)が送信した各種コマンドを払出制御基板4110が正常に受信した旨を伝える払主ACK信号が入力されているか否かを判定する際にその判定条件として設定されているACK信号入力判定時間等の時間管理を行う。具体的には、変動表示パターン又は普通図柄変動表示パターンの変動時間が5秒間であるときには、タイマ割り込み周期が4msに設定されているので、このタイマ減算処理を行うごとに変動時間を4msずつ減算し、その減算結果が値0になることで変動表示パターン又は普通図柄変動表示パターンの変動時間を正確に計っている。
本実施形態では、ACK信号入力判定時間が100msに設定されている。このタイマ減算処理を行うごとにACK信号入力判定時間が4msずつ減算し、その減算結果が値0になることでACK信号入力判定時間を正確に計っている。なお、これらの各種時間及びACK信号入力判定時間は、時間管理情報として主制御内蔵RAMの時間管理情報記憶領域に記憶される。
ステップS76に続いて、当落乱数更新処理を行う(ステップS78)。この当落乱数更新処理では、上述した、大当り判定用乱数、大当り図柄用乱数、及び小当り図柄用乱数を更新する。またこれらの乱数に加えて、図121に示した主制御側電源投入時処理(主制御側メイン処理)におけるステップS50の非当落乱数更新処理で更新される、大当り図柄用初期値決定用乱数、及び小当り図柄用初期値決定用乱数も更新する。これらの大当り図柄用初期値決定用乱数、及び小当り図柄用初期値決定用乱数は、主制御側メイン処理及びこの主制御側タイマ割り込み処理においてそれぞれ更新されることでランダム性をより高めている。これに対して、大当り判定用乱数、大当り図柄用乱数、及び小当り図柄用乱数は、当落判定(大当り判定)にかかわる乱数であるためこの当落乱数更新処理が行われるごとにのみ、それぞれのカウンタがカウントアップする。例えば、大当り判定用乱数を更新するカウンタは、上述したように、初期値更新型のカウンタであり、最小値から最大値までに亘る予め定めた固定数値範囲(本実施形態では、最小値として値0〜最大値として値32767)内において更新され、この最小値から最大値までに亘る範囲を、この主制御側タイマ割り込み処理が行われるごとに値1ずつ加算されることでカウントアップする。大当り判定用初期値決定用乱数から最大値(値32767)に向かってカウントアップし、続いて最小値(値0)から大当り判定用初期値決定用乱数に向かってカウントアップする。大当り判定用乱数の最小値から最大値までに亘る範囲を、大当り判定用乱数を更新するカウンタがカウントアップし終えると、この当落乱数更新処理により大当り判定用初期値決定用乱数は更新される。このとき、その更新される値は、主制御MPU4100aがその内蔵する不揮発性のRAMからIDコードを取り出し、この取り出したIDコードに基づいて大当り判定用乱数を更新するカウンタの固定数値範囲から常に同一の固定値を導出する初期値導出処理を実行し、この導出した固定値が初期値としてセットされる仕組みとなっている。つまり、大当り判定用初期値決定用乱数は、初期値導出処理の実行によりIDコードに基づいて導出された同一の固定値が初期値として常に上書き更新されるようになっている。なお、上述した、普通図柄当り判定用乱数、普通図柄当り判定用初期値決定用乱数もこの当落乱数更新処理により更新される。普通図柄当り判定用乱数等は、上述した大当り判定用乱数の更新方法と同一であり、その説明を省略する。
本実施形態では、大当り判定用初期値決定用乱数、大当り図柄用初期値決定用乱数、及び小当り図柄用初期値決定用乱数を、図121に示した主制御側電源投入時処理(主制御側メイン処理)におけるステップS50の非当落乱数更新処理、及び本ルーチンである主制御側タイマ割り込み処理におけるステップS78の当落乱数更新処理でそれぞれ更新しているが、割り込みタイマが発生するごとに本ルーチンの処理時間にムラが生じて次の割り込みタイマが発生するまでの残り時間内において主制御側メイン処理を繰り返し実行することによりステップS50の非当落乱数更新処理の実行回数がランダムとなる場合には、大当り判定用初期値決定用乱数、大当り図柄用初期値決定用乱数、及び小当り図柄用初期値決定用乱数をステップS50の非当落乱数更新処理においてのみ更新する仕組みとしてもよい。
ステップS78に続いて、賞球制御処理を行う(ステップS80)。この賞球制御処理では、上述した入力情報記憶領域から入力情報を読み出してこの入力情報に基づいて遊技球を払い出すための図116に示した賞球コマンドを作成したり、主制御基板4100と払出制御基板4110との基板間の接続状態を確認するための図116に示したセルフチェックコマンドを作成したりする。そして作成した賞球コマンドやセルフチェックコマンドを主払シリアルデータとして払出制御基板4110に送信する。例えば、図95に示した大入賞口2103に遊技球が1球、入球すると、賞球として15球を払い出す賞球コマンドを作成して払出制御基板4110に送信したり、この賞球コマンドを払出制御基板4110が正常に受信完了した旨を伝える払主ACK信号が所定時間内に入力されないときには主制御基板4100と払出制御基板4110との基板間の接続状態を確認するセルフチェックコマンドを作成して払出制御基板4110に送信したりする。
ステップS80に続いて、枠コマンド受信処理を行う(ステップS82)。払出制御基板4110は、図119に示した状態表示に区分される1バイト(8ビット)の各種コマンド(枠状態1コマンド、エラー解除ナビコマンド、及び枠状態2コマンド)を送信する。ステップS82の枠コマンド受信処理では、この各種コマンドを払主シリアルデータとして正常に受信すると、その旨を払出制御基板4110に伝える情報を、出力情報として主制御内蔵RAMの出力情報記憶領域に記憶する。また、その正常に払主シリアルデータとして受信したコマンドを2バイト(16ビット)のコマンドに整形し(図118の状態表示に区分される各種コマンド(枠状態1コマンド、エラー解除ナビコマンド、及び枠状態2コマンド))、送信情報として上述した送信情報記憶領域に記憶する。
ステップS82に続いて、不正行為検出処理を行う(ステップS84)。この不正行為検出処理では、賞球に関する異常状態を確認する。例えば、上述した入力情報記憶領域から入力情報を読み出し、大当り遊技状態でない場合にカウントスイッチ2110からの検出信号が入力されているとき(大入賞口2103に遊技球が入球するとき)等には、異常状態として図118に示した報知表示に区分される入賞異常表示コマンドを作成し、送信情報として上述した送信情報記憶領域に記憶する。
ステップS84に続いて、特別図柄及び特別電動役物制御処理を行う(ステップS86)。この特別図柄及び特別電動役物制御処理では、上述した大当り判定用乱数を更新するカウンタの値を取り出して主制御内蔵ROMに予め記憶されている大当り判定値と一致するか否かを判定(大当り遊技状態を発生させるか否かを判定(「特別抽選」という。))したり、大当り図柄用乱数を更新するカウンタの値を取り出して主制御内蔵ROMに予め記憶されている確変当り判定値と一致するか否かを判定(確率変動を発生させるか否かの判定)したりする。ここで、「確率変動」とは、大当りする確率が通常時(低確率)にくらべて高く設定された高確率(確変時)に変化することである。本実施形態では、上述した大当り判定値の範囲(大当り判定範囲)として、低確率では値32668〜値32767が設定されており、通常時判定テーブルから読み出されるのに対して、高確率では値32438〜値32767が設定されており、確変時判定テーブルから読み出される。このように、ステップS86の特別図柄及び特別電動役物制御処理では、大当り判定用乱数を更新するカウンタの値と、主制御内蔵ROMに予め記憶されている大当り判定値と、が一致するか否かを判定するときには、大当り判定用乱数を更新するカウンタの値が大当り判定範囲に含まれているか否かにより行う。
これらの判定結果が上始動口スイッチ3022によるものである場合には図117に示した特図1同調演出関連の各種コマンドを作成する一方、その抽選結果が下始動口スイッチ2109によるものである場合には図117に示した特図2同調演出関連の各種コマンドを作成し、送信情報として送信情報記憶領域に記憶するするとともに、その決定した特別図柄の変動表示パターンに従って上特別図柄表示器1185又は下特別図柄表示器1186を点灯させるよう上特別図柄表示器1185又は下特別図柄表示器1186への点灯信号の出力を設定し、出力情報として上述した出力情報記憶領域に記憶する。また、発生させる遊技状態に応じて、例えば大当り遊技状態となるときには、図117に示した大当り関連に区分される各種コマンド(大当りオープニングコマンド、大入賞口1開放N回目表示コマンド、大入賞口1閉鎖表示コマンド、大入賞口1カウント表示コマンド、大当りエンディングコマンド、及び大当り図柄表示コマンド)を作成し、送信情報として送信情報記憶領域に記憶したり、図95に示した開閉部材2107を開閉動作させるようアタッカソレノイド2108への駆動信号の出力を設定し、出力情報として出力情報記憶領域に記憶したり、大入賞口2103が閉鎖状態から開放状態となる回数(ラウンド)が2回であるときには、図91に示したラウンド表示器1190の2ラウンド表示ランプ1190aを点灯させるよう2ラウンド表示ランプ1190aへの点灯信号の出力を設定し、出力情報として出力情報記憶領域に記憶したり、ラウンドが15回であるときには、89に示したラウンド表示器1190の15ラウンド表示ランプ1190bを点灯させるよう15ラウンド表示ランプ1190bへの点灯信号の出力を設定し、出力情報として出力情報記憶領域に記憶したり、確率変動の発生の有無を所定の色で点灯させるよう遊技状態表示器1183への点灯信号の出力を設定し、出力情報として出力情報記憶領域に記憶したりする。
ステップS86に続いて、普通図柄及び普通電動役物制御処理を行う(ステップS88)。この普通図柄及び普通電動役物制御処理では、上述した入力情報記憶領域から入力情報を読み出してこの入力情報に基づいてゲート入賞処理を行う。このゲート入賞処理では、入力情報からゲートスイッチ2352からの検出信号が入力端子に入力されていたか否かを判定する。この判定結果に基づいて、検出信号が入力端子に入力されていたときには、上述した普通図柄当り判定用乱数を更新するカウンタの値等を抽出してゲート情報として主制御内蔵RAMのゲート情報記憶領域に記憶する。
このゲート情報記憶領域には、第0区画〜第3区画(4つの区画)が設けられており、第0区画、第1区画、第2区画、そして第3区画の順にゲート情報が格納されるようになっている。例えばゲート情報がゲート情報記憶の第0区画〜第2区画に格納されている場合、ゲートスイッチ2352からの検出信号が入力端子に入力されていたときにはゲート情報をゲート情報記憶の第3区画に格納する。
ゲート情報はゲート情報記憶の第0区画に格納されているものが主制御内蔵RAMの作業領域にセットされる。このゲート情報がセットされると、ゲート情報記憶の第1区画のゲート情報がゲート情報記憶の第0区画に、ゲート情報記憶の第2区画のゲート情報がゲート情報記憶の第1区画に、ゲート情報記憶の第3区画のゲート情報がゲート情報記憶の第2区画に、それぞれシフトされてゲート情報記憶の第3区画が空き領域となる。例えば、ゲート情報記憶の第1区画〜第2区画にゲート情報が記憶されている場合には、ゲート情報記憶の第1区画のゲート情報がゲート情報記憶の第0区画に、ゲート情報記憶の第2区画のゲート情報がゲート情報記憶の第1区画にそれぞれシフトされてゲート情報記憶の第2区画及びゲート情報記憶の第3区画が空き領域となる。ここで、ゲート情報記憶の第1区画〜第3区画にゲート情報が格納されていると、格納されたゲート情報の総数を保留球として普通図柄記憶表示器1188を点灯させるよう、上述したゲート情報に基づいて普通図柄記憶表示器1188の点灯信号の出力を設定し、出力情報として上述した出力情報記憶領域に記憶する。
ゲート入賞処理に続いて、主制御内蔵RAMの作業領域にセットされたゲート情報を読み出し、この読み出したゲート情報から普通図柄当り判定用乱数の値を取り出して主制御内蔵ROMに予め記憶されている普通図柄当り判定値と一致するか否かを判定する(「普通抽選」という)。この判定結果(普通抽選による抽選結果)により可動片2106を開閉動作させるか否かが決定する。この決定と対応する普通図柄の変動表示パターンを上述した普通図柄変動表示パターン用乱数に基づいて決定し、図117に示した普図同調演出関連に区分される各種コマンドを作成し、送信情報として上述した送信情報記憶領域に記憶するとともに、その決定した普通図柄の変動表示パターンに従って普通図柄表示器1189を点灯させるよう普通図柄表示器1189への点灯信号の出力を設定し、出力情報として上述した出力情報記憶領域に記憶する。また、例えばその取り出した普通図柄当り判定用乱数の値が主制御内蔵ROMに予め記憶されている普通図柄当り判定値と一致しているときには、図117に示した普通電役演出関連の各種コマンドを作成し、送信情報として送信情報記憶領域に記憶するとともに、可動片2106を開閉動作させるよう始動口ソレノイド2105への駆動信号の出力を設定し、出力情報として上述した出力情報記憶領域に記憶する一方、その取り出した普通図柄当り判定用乱数の値が主制御内蔵ROMに予め記憶されている普通図柄当り判定値と一致していないときには、上述した普通図柄変動表示パターン用乱数に基づいて普通図柄変動表示パターンを決定し、図117に示した普図同調演出関連に区分される各種コマンドを作成し、送信情報として上述した送信情報記憶領域に記憶するとともに、その決定した普通図柄変動表示パターンに従って普通図柄表示器1189を点灯させるよう普通図柄表示器1189への点灯信号の出力を設定し、出力情報として上述した出力情報記憶領域に記憶する。
ステップS88に続いて、ポート出力処理を行う(ステップS90)。このポート出力処理では、主制御I/Oポート4100bの出力端子から、上述した出力情報記憶領域から出力情報を読み出してこの出力情報に基づいて各種信号を出力する。例えば、出力情報に基づいて主制御I/Oポート4100bの出力端子から、払出制御基板4110からの各種コマンドを正常に受信完了したときには主払ACK信号を払出制御基板4110に出力したり、大当り遊技状態であるときには大入賞口2103の開閉部材2107の開閉動作を行うアタッカソレノイド2108に駆動信号を出力したり、可動片2106の開閉動作を行う始動口ソレノイド2105に駆動信号を出力したりするほかに、15ラウンド大当り情報出力信号、2ラウンド大当り情報出力信号、確率変動中情報出力信号、特別図柄表示情報出力信号、普通図柄表示情報出力信号、時短中情報出力情報、始動口入賞情報出力信号等の遊技に関する各種情報(遊技情報)信号を払出制御基板4110に出力したりする。
ステップS90に続いて、周辺制御基板コマンド送信処理を行う(ステップS92)。この周辺制御基板コマンド送信処理では、上述した送信情報記憶領域から送信情報を読み出してこの送信情報を主周シリアルデータとして周辺制御基板4140に送信する。この送信情報には、本ルーチンである主制御側タイマ割り込み処理で作成した、図117に示した、特図1同調演出関連に区分される各種コマンド、特図2同調演出関連に区分される各種コマンド、大当り関連に区分される各種コマンド、電源投入に区分される各種コマンド、普図同調演出関連に区分される各種コマンド、普通電役演出関連に区分される各種コマンド、図118に示した、報知表示に区分される各種コマンド、状態表示に区分される各種コマンド、テスト関連に区分される各種コマンド及びその他に区分される各種コマンドが記憶されている。主周シリアルデータは、1パケットが3バイトに構成されている。具体的には、主周シリアルデータは、1バイト(8ビット)の記憶容量を有するコマンドの種類を示すステータスと、1バイト(8ビット)の記憶容量を有する演出のバリエーションを示すモードと、ステータス及びモードを数値とみなしてその合計を算出したサム値と、から構成されており、このサム値は、送信時に作成されている。
ステップS92に続いて、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値Cをセットする(ステップS94)。ステップS94でウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値Cがセットされることにより、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLには、ステップS70においてセットされた値Bに続いて値Cがセットされる。これにより、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLには、値A、値Bそして値Cが順にセットされ、ウォッチドックタイマがクリア設定される。
ステップS94に続いて、レジスタの切替(復帰)を行い(ステップS96)、このルーチンを終了する。ここで、本ルーチンである主制御側タイマ割り込み処理が開始されると、主制御MPU4100aは、ハード的に汎用レジスタの内容をスタックに積んで退避する。これにより、主制御側メイン処理で使用していた汎用レジスタの内容の破壊を防いでいる。ステップS96では、スタックに積んで退避した内容を読み出し、もとのレジスタに書き込む。なお、主制御MPU4100aは、ステップS96による復帰の後に割り込み許可の設定を行う。
[13.払出制御基板の各種制御処理]
次に、図98に示した払出制御基板4110が行う各種制御処理について、図123〜図141を参照して説明する。図123は払出制御部電源投入時処理の一例を示すフローチャートであり、図124は図123の払出制御部電源投入時処理のつづきを示すフローチャートであり、図125は図124に続いて払出制御部電源投入時処理のつづきを示すフローチャートであり、図126は払出制御部タイマ割り込み処理の一例を示すフローチャートであり、図127は球抜きスイッチ操作判定処理の一例を示すフローチャートであり、図128は回転角スイッチ履歴作成処理の一例を示すフローチャートであり、図129はスプロケット定位置判定スキップ処理の一例を示すフローチャートであり、図130は球がみ判定処理の一例を示すフローチャートであり、図131は賞球用賞球ストック数加算処理の一例を示すフローチャートであり、図132は貸球用賞球ストック数加算処理の一例を示すフローチャートであり、図133はストック監視処理の一例を示すフローチャートであり、図134は払出球抜き判定設定処理の一例を示すフローチャートであり、図135は払出設定処理の一例を示すフローチャートであり、図136は球抜き設定処理の一例を示すフローチャートであり、図137は球がみ動作設定処理の一例を示すフローチャートであり、図138はリトライ動作監視処理の一例を示すフローチャートであり、図139は不整合カウンタリセット判定処理の一例を示すフローチャートであり、図140はエラー解除スイッチ操作判定処理の一例を示すフローチャートであり、図141は球貸しによる払出動作時の信号処理(ア)、CRユニットからの入力信号確認処理(イ)を示すタイミングチャートである。
まず、払出制御部電源投入時処理について説明し、続いて払出制御部タイマ割り込み処理、球抜きスイッチ操作判定処理、回転角スイッチ履歴作成処理、スプロケット定位置判定スキップ処理、球がみ判定処理、賞球用賞球ストック数加算処理、貸球用賞球ストック数加算処理、ストック監視処理、払出球抜き判定設定処理、払出設定処理、球がみ動作設定処理、球抜き設定処理、リトライ動作監視処理、不整合カウンタリセット判定処理、エラー解除スイッチ操作判定処理について説明する。なお、球抜きスイッチ操作判定処理、回転角スイッチ履歴作成処理、スプロケット定位置判定スキップ処理、球がみ判定処理、賞球用賞球ストック数加算処理、貸球用賞球ストック数加算処理、ストック監視処理、払出球抜き判定設定処理、リトライ動作監視処理、不整合カウンタリセット判定処理、エラー解除スイッチ操作判定処理は、後述する払出制御部電源投入時処理におけるステップS562の主要動作設定処理の一処理として行われ、球抜きスイッチ操作判定処理、回転角スイッチ履歴作成処理、スプロケット定位置判定スキップ処理、球がみ判定処理、リトライ動作監視処理、不整合カウンタリセット判定処理、エラー解除スイッチ操作判定処理、賞球用賞球ストック数加算処理、貸球用賞球ストック数加算処理、ストック監視処理、そして払出球抜き判定設定処理の順番で優先順位が設定されている。
[13−1.払出制御部電源投入時処理]
パチンコ遊技機1に電源が投入されると、払出制御基板4110における払出制御部4120の払出制御MPU4120aは、図123〜図125に示すように、払出制御部電源投入時処理を行う。この払出制御部電源投入時処理が開始されると、払出制御MPU4120aは、割り込みモードの設定を行う(ステップS500)。この割り込みモードは、払出制御MPU4120aの割り込みの優先順位を設定するものである。本実施形態では、後述する払出制御部タイマ割り込み処理が優先順位として最も高く設定されており、この払出制御部タイマ割り込み処理の割り込みが発生すると、優先的にその処理を行う。
ステップS500に続いて、入出力設定(I/Oの入出力設定)を行う(ステップS502)。このI/Oの入出力設定では、払出制御MPU4120aのI/Oポートの入出設定等を行う。
ステップS502に続いて、図106に示した停電監視回路4110bに停電クリア信号の出力を開始する(ステップS504)。この停電監視回路4110bは、電圧比較回路と、DタイプフリップフロップICと、から構成されている。電圧比較回路は、+24Vとリファレンス電圧との電圧を比較したり、+12Vとリファレンス電圧との電圧を比較したりすることで、その比較結果を出力する。この比較結果は、停電又は瞬停が発生していない場合ではその論理がHIとなってDタイプフリップフロップPIC22のプリセット端子であるPR端子に入力される一方、停電又は瞬停が発生した場合ではその論理がLOWとなってDタイプフリップフロップPIC22のプリセット端子であるPR端子に入力されるようになっている。ステップS504では、このDタイプフリップフロップPIC22のクリア端子であるCLR端子に停電クリア信号の出力を開始する。この停電クリア信号は、払出制御部4120の払出制御I/Oポート4120bを介して、その論理がLOWとなってクリア端子に入力される。これにより、払出制御MPU4120aは、DタイプフリップフロップPIC22のラッチ状態を解除することができ、ラッチ状態をセットするまでの間、DタイプフリップフロップPIC22のプリセット端子であるPR端子に入力された論理を反転して出力端子である1Q端子から出力する状態とすることができ、その1Q端子からの信号を監視することができる。
ステップS504に続いて、ウェイトタイマ処理1を行い(ステップS506)、停電予告信号が入力されているか否かを判定する(ステップS508)。電源投入時から所定電圧となるまでの間では電圧がすぐに上がらない。一方、停電又は瞬停(電力の供給が一時停止する現象)となるときでは電圧が下がり、停電予告電圧より小さくなると、停電監視回路4110bから停電予告として停電予告信号が入力される。電源投入時から所定電圧に上がるまでの間では同様に電圧が停電予告電圧より小さくなると停電監視回路4110bから停電予告信号が入力される。そこで、ステップS506のウェイトタイマ処理1は、電源投入後、電圧が停電予告電圧より大きくなって安定するまで待つための処理であり、本実施形態では、待ち時間(ウェイトタイマ)として200ミリ秒(ms)が設定されている。ステップS508の判定でその停電予告信号が入力されているか否かの判定を行っている。この判定では、停電予告信号として、上述したDタイプフリップフロップPIC22の出力端子である1Q端子から出力されている信号に基づいて行う。
ステップS508に続いて、DタイプフリップフロップPIC22のクリア端子であるCLR端子に停電クリア信号の出力を停止する(ステップS510)。この停電クリア信号の出力を停止することで、払出制御I/Oポート4120bを介して、その論理がHIとなってクリア端子であるCLR端子に入力される。これにより、払出制御MPU4120aは、DタイプフリップフロップPIC22をラッチ状態にセットすることができる。DタイプフリップフロップPIC22は、そのプリセット端子であるPR端子に論理がLOWとなって入力された状態をラッチすると、出力端子である1Q端子から停電予告信号を出力する。
ステップS510に続いて、RAMクリアスイッチ4100eが操作されているか否かを判定する(ステップS512)。この判定は、主制御基板4100のRAMクリアスイッチ4100eが操作され、その操作信号(検出信号)が払出制御MPU4120aに入力されているか否かにより行う。検出信号が入力されているときにはRAMクリアスイッチ4100eが操作されていると判定し、一方、検出信号が入力されていないときにはRAMクリアスイッチ4100eが操作されていないと判定する。
ステップS512でRAMクリアスイッチ4100eが操作されているときには、払出RAMクリア報知フラグHRCL−FLGに値1をセットし(ステップS514)、一方、ステップS512でRAMクリアスイッチ4100eが操作されていないときには、払出RAMクリア報知フラグHRCL−FLGに値0をセットする(ステップS516)。この払出RAMクリア報知フラグHRCL−FLGは、払出制御MPU4120aに内蔵されたRAM(以下、「払出制御内蔵RAM」と記載する。)に記憶されている、例えば、各種フラグ、各種情報記憶領域に記憶されている各種情報等(例えば、賞球情報記憶領域に記憶されている、賞球ストック数PBS、実球計数PB、駆動指令数DRV、不整合カウンタINCC等や、CR通信情報記憶領域に記憶されている、PRDY信号の論理の状態が設定されているPRDY信号出力設定情報等)の払い出しに関する払出情報を消去するか否かを示すフラグであり、払出情報を消去するとき値1、払出情報を消去しないとき値0にそれぞれ設定される。なお、ステップS514及びステップS516でセットされた払出RAMクリア報知フラグHRCL−FLGは、払出制御MPU4120aの汎用記憶素子(汎用レジスタ)に記憶される。
ステップS514又はステップS516に続いて、払出制御内蔵RAMへのアクセスを許可する設定を行う(ステップS518)。この設定により払出制御内蔵RAMへのアクセスができ、例えば払出情報の書き込み(記憶)又は読み出しを行うことができる。
ステップS518に続いて、スタックポインタの設定を行う(ステップS520)。スタックポインタは、例えば、使用中の記憶素子(レジスタ)の内容を一時記憶するためにスタックに積んだアドレスを示したり、サブルーチンを終了して本ルーチンに復帰するときの本ルーチンの復帰アドレスを一時記憶するためにスタックに積んだアドレスを示したりするものであり、スタックが積まれるごとにスタックポインタが進む。ステップS520では、スタックポインタに初期アドレスをセットし、この初期アドレスから、レジスタの内容、復帰アドレス等をスタックに積んで行く。そして最後に積まれたスタックから最初に積まれたスタックまで、順に読み出すことによりスタックポインタが初期アドレスに戻る。
ステップS520に続いて、払出RAMクリア報知フラグHRCL−FLGが値0である否かを判定する(ステップS522)。上述したように、払出RAMクリア報知フラグHRCL−FLGは、払出情報を消去するとき値1、払出情報を消去しないとき値0にそれぞれ設定される。
ステップS522で払出RAMクリア報知フラグHRCL−FLGが値0であるとき、つまり払出情報を消去しないときには、チェックサムの算出を行う(ステップS524)。このチェックサムは、払出制御内蔵RAMに記憶されている払出情報を数値とみなしてその合計を算出するものである。
ステップS524に続いて、算出したチェックサムの値が後述する払出制御部電源断時処理(電源断時)において記憶されているチェックサムの値と一致しているか否かを判定する(ステップS526)。一致しているときには、払出バックアップフラグHBK−FLGが値1であるか否かを判定する(ステップS528)。この払出バックアップフラグHBK−FLGは、払出情報、チェックサムの値等の払出バックアップ情報を後述する払出制御部電源断時処理において払出制御内蔵RAMに記憶保持したか否かを示すフラグであり、払出制御部電源断時処理を正常に終了したとき値1、払出制御部電源断時処理を正常に終了していないとき値0にそれぞれ設定される。
ステップS528で払出バックアップフラグHBK−FLGが値1であるとき、つまり払出制御部電源断時処理を正常に終了したときには、復電時として払出制御内蔵RAMの作業領域を設定する(ステップS530)。この設定は、払出バックアップフラグHBK−FLGに値0をセットするほかに、払出制御MPU4120aに内蔵されたROM(以下、「払出制御内蔵ROM」と記載する。)から復電時情報を読み出し、この復電時情報を払出制御内蔵RAMの作業領域にセットする。これにより、払出制御内蔵RAMに記憶されている上述した払出バックアップ情報である、各種フラグ、各種情報記憶領域に記憶されている各種情報等(例えば、賞球情報記憶領域に記憶されている、賞球ストック数PBS、実球計数PB、駆動指令数DRV、不整合カウンタINCC等や、CR通信情報記憶領域に記憶されている、PRDY信号の論理の状態が設定されているPRDY信号出力設定情報、時間管理情報記憶領域に記憶されている不整合カウンタリセット判定時間等)の払い出しに関する払出情報に基づいて各種処理に使用する情報が設定される。なお、「復電」とは、電源を遮断した状態から電源を投入した状態のほかに、停電又は瞬停からその後の電力の復旧した状態も含める。
一方、ステップS522で払出RAMクリア報知フラグHRCL−FLGが値0でない(値1である)とき、つまり払出情報を消去するときには、又はステップS526でチェックサムの値が一致していないときには、又はステップS528で払出バックアップフラグHBK−FLGが値1でない(値0である)とき、つまり払出制御部電源断時処理を正常に終了していないときには、払出制御内蔵RAMの全領域をクリアする(ステップS532)。これにより、払出制御内蔵RAMに記憶されている払出バックアップ情報がクリアされる。
ステップS532に続いて、初期設定として払出制御内蔵RAMの作業領域を設定する(ステップS534)。この設定は、払出制御内蔵ROMから初期情報を読み出してこの初期情報を払出制御内蔵RAMの作業領域にセットする。
ステップS530又はステップS534に続いて、割り込み初期設定を行う(ステップS536)。この設定は、後述する払出制御部タイマ割り込み処理が行われるときの割り込み周期を設定するものである。本実施形態では、1.75msに設定されている。
ステップS536に続いて、割り込み許可設定を行う(ステップS538)。この設定によりステップS536で設定した割り込み周期、つまり1.75msごとに払出制御部タイマ割り込み処理が繰り返し行われる。
ステップS538に続いて、停電予告信号が入力されているか否かを判定する(ステップS540)。上述したように、パチンコ遊技機1の電源を遮断したり、停電又は瞬停したりするときには、電圧が停電予告電圧以下となると、停電予告として停電予告信号が停電監視回路4110bから入力される。ステップS540の判定は、この停電予告信号に基づいて行う。
ステップS540で停電予告信号の入力がないときには1.75ms経過フラグHT−FLGが値1であるか否かを判定する(ステップS542)。この1.75ms経過フラグHT−FLGは、後述する、1.75msごとに処理される払出制御部タイマ割り込み処理で1.75msを計時するフラグであり、1.75ms経過したとき値1、1.75ms経過していないとき値0にそれぞれ設定される。
ステップS542で1.75ms経過フラグHT−FLGが値0であるとき、つまり1.75ms経過していないときには、ステップS540に戻り、停電予告信号が入力されているか否かを判定する。
一方、ステップS542で1.75ms経過フラグHT−FLGが値1であるとき、つまり1.75ms経過したときには、1.75ms経過フラグHT−FLGに値0をセットし(ステップS544)、外部ウォッチドックタイマ(外部WDT)4120cに外部WDTクリア信号を出力する(ONする、ステップS546)。この外部WDT4120cは、払出制御MPU4120aの動作(システム)を監視するものであり、外部WDTクリア信号がクリア信号解除時間に停止されないときには払出制御MPU4120a及び払出制御I/Oポート4120bにリセット信号を出力してリセットをかける(払出制御MPU4120aのシステムが暴走していないかを定期的に診断している)。
ステップS546に続いて、ポート出力処理を行う(ステップS548)。このポート出力処理では、払出制御内蔵RAMの出力情報記憶領域から各種情報を読み出してこの各種情報に基づいて各種信号を払出制御I/Oポート4120bの出力端子から出力する。出力情報記憶領域には、例えば、主制御基板4100からの払い出しに関する各種コマンド(図116に示した、賞球コマンドやセルフチェックコマンド)を正常に受信した旨を伝える払主ACK情報、払出モータ744への駆動制御を行う駆動情報、払出モータ744が実際に遊技球を払い出した球数の賞球数情報、エラーLED表示器860cに表示するLED表示情報等の各種情報が記憶されており、この出力情報に基づいて払出制御I/Oポート4120bの出力端子から、主制御基板4100からの払い出しに関する各種コマンドを正常に受信したときには払主ACK信号を主制御基板4100に出力したり、払出モータ744に駆動信号を出力したり、払出モータ744が実際に遊技球を払い出した球数を賞球数情報信号として外部端子板784に出力したり(本実施形態では、払出モータ744が実際に10個の遊技球を払い出すごとに外部端子板784に賞球数情報信号を出力している。)、エラーLED表示器860cに表示信号を出力したりする。
ステップS548に続いて、ポート入力処理を行う(ステップS550)。このポート入力処理では、払出制御I/Oポート4120bの入力端子に入力されている各種信号を読み取り、入力情報として払出制御内蔵RAMの入力情報記憶領域に記憶する。例えば、エラー解除スイッチ860aの操作信号、回転角スイッチ752からの検出信号、計数スイッチ751からの検出信号、満タンスイッチ550からの検出信号、CRユニット6からのBRQ信号、BRDY信号及びCR接続信号、後述するコマンド送信処理で送信した各種コマンドを主制御基板4100が正常に受信した旨を伝える主制御基板4100からの主払ACK信号等、をそれぞれ読み取り、入力情報として入力情報記憶領域に記憶する。
ステップS550に続いて、タイマ更新処理を行う(ステップS552)。このタイマ更新処理では、図70に示した払出回転体748による球がみ状態が生じているか否かの判定を行う際にその判定条件として設定されている球がみ判定時間、払出回転体748の定位置判定を行わない際に設定されているスキップ判定時間、図69に示した、賞球タンク720及びタンクレール731に貯留されている遊技球を排出する際に設定されている球抜き判定時間、図48に示したファールカバーユニット540の収容空間546が貯留された遊技球で満タンであるか否かの判定を行う際にその判定条件として設定されている満タン判定時間、球切れスイッチ750からの検出信号により賞球装置740の供給通路741aに取り込まれた遊技球の球数が所定数以上となっているか否かの判定を行う際にその判定条件として設定されている球切れ判定時間等の時間管理を行うほかに、払出回転体748の凹部748aに受け止められて払い出された遊技球の球数と、実際に計数スイッチ751で検出された球数と、の不一致によるつじつまの合わない遊技球の払い出しを、繰り返し行っているか否かを監視するための不整合カウンタINCCをリセットするか否かの判定を行う際にその判定条件と設定されている不整合カウンタリセット判定時間の時間管理を行う。例えば、球がみ判定時間が5005msに設定されているときには、タイマ割り込み周期が1.75msに設定されているので、このタイマ更新処理を行うごとに球がみ判定時間を1.75msずつ減算し、その減算結果が値0になることで球がみ判定時間を正確に計っている。
本実施形態では、スキップ判定時間が22.75ms、球抜き判定時間が60060ms、満タン判定時間が504ms、球切れ判定時間が119ms、不整合カウンタリセット判定時間が7000s(約2時間)にそれぞれ設定されており、このタイマ更新処理を行うごとに球抜き判定時間、満タン判定時間、球切れ判定時間及び不整合カウンタリセット判定時間を1.75msずつ減算し、その減算結果が値0になることで球抜き判定時間、満タン判定時間、球切れ判定時間及び不整合カウンタリセット判定時間を正確に計っている。なお、これらの各種判定時間は、時間管理情報として払出制御内蔵RAMの時間管理情報記憶領域に記憶される。
ステップS552に続いて、CR通信処理を行う(ステップS554)。このCR通信処理では、上述した入力情報記憶領域から入力情報を読み出してこの入力情報に基づいて、CRユニット6からの各種信号(BRQ信号、BRDY信号及びCR接続信号)が入力されているか否かを判定する。CRユニット6からの各種信号に基づいて、払出制御MPU4120aは、CRユニット6と各種信号のやり取りを行う。ステップS530の払出制御内蔵RAMの作業領域を設定する処理において、上述したように、払出制御内蔵RAMに記憶されている払出バックアップ情報である、各種フラグ、各種情報記憶領域に記憶されている各種情報等(例えば、賞球情報記憶領域に記憶されている、賞球ストック数PBS、実球計数PB、駆動指令数DRV、不整合カウンタINCC等や、CR通信情報記憶領域に記憶されている、PRDY信号の論理の状態が設定されているPRDY信号出力設定情報等)の払い出しに関する払出情報に基づいて各種処理に使用する情報が設定される。この処理によって、例えば、瞬停又は停電しても、復電時における、賞球ストック数PBS、実球計数PB、駆動指令数DRV、不整合カウンタINCC等の値を、払出バックアップ情報として記憶した、瞬停又は停電する直前における、賞球ストック数PBS、実球計数PB、駆動指令数DRV、不整合カウンタINCC等の値に復元することができる。これにより、賞球装置740による遊技球の払出動作を実行している際に、瞬停又は停電して払出動作を続行することができなくなっても、復電時に、その払出動作を続行することができるため、過不足なく遊技球を上皿301や下皿302に払い出すことができる。換言すれば、払出制御MPU4120aは、CR通信処理において、CRユニット6と各種信号のやり取りを行いながら、遊技球を上皿301や下皿302に払い出している際に、瞬停又は停電してCRユニット6と各種信号のやり取りが遮断され、遊技球の払い出しを続行することができなくなっても、復電時における、賞球ストック数PBS、実球計数PB、駆動指令数DRV、不整合カウンタINCC等の値が、払出バックアップ情報として記憶された、瞬停又は停電する直前における、賞球ストック数PBS、実球計数PB、駆動指令数DRV、不整合カウンタINCC等の値に復元されることによって、瞬停又は停電する直前における、パチンコ遊技機1(払出制御MPU4120a)とCRユニット6とによる各種信号のやり取りを、復電時から継続することができるとともに、遊技球の払い出しを引き続き行うことができるようになっている。このように、パチンコ遊技機1(払出制御MPU4120a)とCRユニット6とによる各種信号のやり取りは、瞬停又は停止しても、復電時に、瞬停又は停止する直前の状態に復元されるようになっており、瞬停又は停止による影響によってパチンコ遊技機1(払出制御MPU4120a)とCRユニット6とによる各種信号が変化しないようになっている。したがって、パチンコ遊技機1(払出制御MPU4120a)とCRユニット6とによる各種信号のやり取りの信頼性を高めることができる。また、CR通信情報記憶領域に記憶される各種情報は、上述したように、払出バックアップ情報に含まれている。CR通信処理では、復電時に、ステップS530の払出制御内蔵RAMの作業領域を設定する処理において設定された、払出制御内蔵RAMに記憶されているCR通信情報記憶領域からPRDY信号出力設定情報を読み出してこの読み出したPRDY信号出力設定情報が、例えば貸球を払い出すための払出動作が不可能である旨を伝えるPRDY信号の論理の状態に設定されている場合には、そのPRDY信号を払出制御I/Oポート4120bの出力端子からCRユニット6へ出力する。そして、主要動作設定処理の一処理として行われる、例えばリトライ動作監視処理において、払出バックアップ情報に含まれている、払出制御内蔵RAMに記憶されている賞球情報記憶領域の不整合カウンタINCCの値に基づいて、この不整合カウンタINCCの値が不整合しきい値INCTHより小さいか否かを判定し、不整合カウンタINCCの値が不整合しきい値INCTHより小さくないときには、リトライ動作が異常動作していると判断して、つまり賞球装置740による遊技球の払出動作が異常状態であると判断して、リトライエラーフラグRTERR−FLGに値1をセットし、払出球抜き判定設定処理において、CRユニット6へのエラー状態の出力の設定として、例えばCRユニット6と通信中でないときには貸球を払い出すための払出動作が不可能である旨を伝えるPRDY信号の論理の状態(LOW)をPRDY信号出力設定情報に設定してCR通信情報記憶領域に記憶する。これにより、CR通信処理では、復電時から次のタイマ割り込みで、このPRDY信号の論理の状態を、CR通信情報記憶領域から読み出してそのPRDY信号を払出制御I/Oポート4120bの出力端子からCRユニット6へ出力する。このように、例えば、瞬停する直前において、賞球装置740による遊技球の払出動作が異常状態であった場合には、復電時に、その状態が復元されるため、復電してから極めて早い段階で、貸球を払い出すための払出動作が不可能である旨を伝えるPRDY信号を払出制御I/Oポート4120bの出力端子からCRユニット6へ出力することができ、CRユニット6に賞球装置740による遊技球の払出動作が異常状態である旨を伝えることができる。これにより、復電時から極めて早い段階で、CRユニット6からの無駄な貸球要求信号であるBRDYが出力されるのを防止することができる。またCR通信処理では、ステップS550のポート入力処理で、払出制御内蔵RAMの入力情報記憶領域からCR接続信号を読み出してこのCR接続信号に基づいて、その論理がHIであるとき、つまりパチンコ遊技機1が電源投入されているときであって、払出制御基板4110とCRユニット6とが遊技球等貸出装置接続端子板869を介して電気的に接続されているときには、貸球を払い出すための払出動作が可能である旨を伝えるために、PRDY信号の論理の状態をHIとして払出制御I/Oポート4120bの出力端子からCRユニット6へ出力する一方、その論理がLOWであるとき、つまりパチンコ遊技機1が電源投入されているときであって、払出制御基板4110とCRユニット6とが遊技球等貸出装置接続端子板869を介して電気的に接続されていないときには、貸球を払い出すための払出動作が不可能である旨を伝えるために、PRDY信号の論理の状態をLOWとして払出制御I/Oポート4120bの出力端子からCRユニット6へ出力する。なお、1回の払出動作を開始した旨又は終了した旨を伝えるEXS信号の論理の状態は、EXS信号出力設定情報として払出制御内蔵RAMのCR通信情報記憶領域に記憶され、払出制御基板4110とCRユニット6とが電気的に接続されているか否かを伝えるCR接続信号は、CR接続情報として状態情報記憶領域に記憶されるようになっている。
ステップS554に続いて、満タン及び球切れチェック処理を行う(ステップS556)。この満タン及び球切れチェック処理では、上述した入力情報記憶領域から入力情報を読み出してこの入力情報に基づいて、満タンスイッチ550からの検出信号により上述したファールカバーユニット540の収容空間546が貯留された遊技球で満タンとなっているか否かを判定したり、球切れスイッチ750からの検出信号により上述した賞球装置740の供給通路741aに取り込まれた遊技球の球数が所定数以上となっているか否かを判定したりする。例えば、ファールカバーユニット540の収容空間546が貯留された遊技球で満タンとなっているか否かの判定は、タイマ割り込み周期1.75msを利用して、今回の満タン及び球切れチェック処理で満タンスイッチ550からの検出信号がON、前回(1.75ms前)の満タン及び球切れチェック処理で満タンスイッチ550からの検出信号がOFFとなったとき、つまり満タンスイッチ550からの検出信号がOFFからONに遷移したときには、ステップS552のタイマ更新処理で上述した満タン判定時間(504ms)の計時を開始する。そしてタイマ更新処理で満タン判定時間が値0となったとき、つまり満タン判定時間となったときには、この満タン及び球切れチェック処理で満タンスイッチ550からの検出信号がONであるか否かを判定する。この判定では、満タンスイッチ550からの検出信号がONであるときには、ファールカバーユニット540の収容空間546が貯留された遊技球で満タンであるとしてその旨を伝える満タン情報を上述した状態情報記憶領域に記憶する。一方、満タンスイッチ550からの検出信号がOFFであるときには、ファールカバーユニット540の収容空間546が貯留された遊技球で満タンでないとしてその旨を伝える満タン情報を状態情報記憶領域域に記憶する。
賞球装置740の供給通路741aに取り込まれた遊技球の球数が所定数以上となっているか否かの判定も、タイマ割り込み周期1.75msを利用して、今回の満タン及び球切れチェック処理で球切れスイッチからの検出信号がON、前回(1.75ms前)の満タン及び球切れチェック処理で球切れスイッチからの検出信号がOFFとなったとき、つまり球切れスイッチ750からの検出信号がOFFからONに遷移したときには、ステップS552のタイマ更新処理で上述した球切れ判定時間(119ms)の計時を開始する。そしてタイマ更新処理で球切れ判定時間が値0となったとき、つまり球切れ判定時間となったときには、この満タン及び球切れチェック処理で球切れスイッチ750からの検出信号がONであるか否かを判定する。この判定では、球切れスイッチ750からの検出信号がONであるときには、賞球装置740の供給通路741aに取り込まれた遊技球の球数が所定数以上であるとしてその旨を伝える球切れ情報を状態情報記憶領域に記憶する一方、球切れスイッチ750からの検出信号がOFFであるときには、賞球装置740の供給通路741aに取り込まれた遊技球の球数が所定数以上でないとしてその旨を伝える球切れ情報を状態情報記憶領域に記憶する。
ステップS556に続いて、コマンド受信処理を行う(ステップS558)。このコマンド受信処理では、主制御基板4100からの払い出しに関する各種コマンド(図116に示した、賞球コマンドやセルフチェックコマンド)を受信する。この各種コマンドを正常に受信したときには、その旨を伝える払主ACK情報を上述した出力情報記憶領域に記憶する。一方、各種コマンドを正常に受信できなかったときには、主制御基板4100と払出制御基板4110との基板間の接続に異常が生じている(各種コマンド信号に異常が生じている)旨を伝える接続異常情報を上述した状態情報記憶領域に記憶する。
ステップS558に続いて、コマンド解析処理を行う(ステップS560)。このコマンド解析処理では、ステップS558で受信したコマンドの解析を行い、その解析したコマンドを受信コマンド情報として払出制御内蔵RAMの受信コマンド情報記憶領域に記憶する。
ステップS560に続いて、主要動作設定処理を行う(ステップS562)。この主要動作設定処理では、賞球、貸球、球抜き及び球がみ等の動作設定を行ったり、リトライ動作の判定を行ったり、未払い出しの球数(賞球ストック数)を監視したりする。
ステップS562に続いて、LED表示データ作成処理を行う(ステップS564)。このLED表示データ作成処理では、上述した状態情報記憶領域から各種情報を読み出し、払出制御基板4110のエラーLED表示器860cに表示する表示データを作成してLED表示情報として上述した出力情報記憶領域に記憶する。例えば、状態情報記憶領域から上述した球切れ情報を読み出し、この球切れ情報に基づいて、賞球装置740の供給通路741aに取り込まれた遊技球の球数が所定数以上でないときには、対応する表示データ(本実施形態では、表示値1(数字「1」))を作成してLED表示情報を出力情報記憶領域に記憶する。
ステップS564に続いて、コマンド送信処理を行う(ステップS566)。このコマンド送信処理では、上述した状態情報記憶領域から各種情報を読み出し、この各種情報に基づいて図118に示した状態表示に区分される各種コマンド(枠状態1コマンド、エラー解除ナビコマンド、及び枠状態2コマンド)を作成して主制御基板4100に送信したりする。例えば、状態情報記憶領域から球切れ情報を読み出すと、この球切れ情報に基づいて、賞球装置740の供給通路741aに取り込まれた遊技球の球数が所定数以上でないときには、枠状態1コマンドを作成して主制御基板4100に送信したりする。
ステップS566に続いて、外部ウォッチドックタイマ(外部WDT)4120cに外部WDTクリア信号の出力を停止する(OFFする、ステップS568)。これにより、外部WDT4120cをクリアし、払出制御MPU4120a及び払出制御I/Oポート4120bにリセットがかからないようにする。また外部WDT4120cは、外部WDTクリア信号の出力が停止されると、クリア信号解除時間の計時を開始する。
ステップS568に続いて、再びステップS540に戻り、停電予告信号が入力されているか否かを判定し、この停電予告信号の入力がなければ、ステップS542で1.75ms経過フラグHT−FLGが値1であるか否かを判定し、この1.75ms経過フラグHT−FLGが値1であるとき、つまり1.75ms経過したときには、ステップS544で1.75ms経過フラグHT−FLGに値0をセットし、ステップS546で外部WDT4120cに外部WDTクリア信号を出力(ON)し、ステップS548でポート出力処理を行い、ステップS550でポート入力処理を行い、ステップS552でタイマ更新処理を行い、ステップS554でCR通信処理を行い、ステップS556で満タン及び球切れチェック処理を行い、ステップS558でコマンド受信処理を行い、ステップS560でコマンド解析処理を行い、ステップS562で主要動作設定処理を行い、ステップS564でLED表示データ作成処理を行い、ステップS566でコマンド送信処理を行い、ステップS568で外部WDT4120cに外部WDTクリア信号の出力を停止(OFF)し、ステップS540〜ステップS568を繰り返し行う。なお、このステップS540〜ステップS568の処理を「払出制御部メイン処理」という。
主制御基板4100による遊技の進行に応じて払出制御部メイン処理の処理内容が異なってくる。このため、払出制御MPU4120aの処理に要する時間が変動することとなる。そこで、払出制御MPU4120aは、ステップS548のポート出力処理において、主制御基板4100からの払い出しに関する各種コマンドを正常に受信した旨を伝える払主ACK信号を、優先して主制御基板4100に出力している。これにより、払出制御MPU4120aは、変動する他の処理を十分に行えるよう、その処理時間を確保している。
一方、ステップS540で停電予告信号の入力があったときには、割り込み禁止設定を行う(ステップS570)。この設定により後述する払出制御部タイマ割り込み処理が行われなくなり、払出制御内蔵RAMへの書き込みを防ぎ、上述した払出情報の書き換えを保護している。ステップS570に続いて、停電クリア信号を、払出制御I/Oポート4120bを介して、停電監視回路4110bのDタイプフリップフロップPIC22のクリア端子であるCLR端子に出力する(ステップS572)。これにより、停電クリア信号が出力されることによりDタイプフリップフロップPIC22はラッチ状態を解除することができる。ステップS572に続いて、払出モータ744への駆動信号の出力を停止する(ステップS574)。これにより、遊技球の払い出しを停止する。ステップS574に続いて、外部WDT4120cに外部WDTクリア信号を出力してその出力を停止する(ON/OFFする、ステップS576)。これにより、外部WDT4120cをクリアする。ステップS576に続いて、チェックサムの算出を行ってこの算出した値を記憶する(ステップS578)。このチェックサムは、ステップS524で算出したチェックサムの値及び払出バックアップフラグHBK−FLGの値の記憶領域を除く、払出制御内蔵RAMの作業領域の払出情報を数値とみなしてその合計を算出する。ステップS578に続いて、払出バックアップフラグHBK−FLGに値1をセットする(ステップS580)。これにより、払出バックアップ情報の記憶が完了する。ステップS580に続いて、払出制御内蔵RAMへのアクセスの禁止設定を行う(ステップS582)。この設定により払出制御内蔵RAMへのアクセスが禁止され書き込み及び読み出しができなくなり、払出制御内蔵RAMに記憶されている払出バックアップ情報が保護される。ステップS582に続いて、無限ループに入る。この無限ループでは、外部WDT4120cにクリア信号をON/OFFしない。このため、外部WDT4120cは、払出制御MPU4120a及び払出制御I/Oポート4120bにリセット信号を出力してリセットをかける。その後払出制御MPU4120aは、この払出制御部電源投入時処理を再び行う。なお、ステップS570〜ステップS582の処理及び無限ループを「払出制御部電源断時処理」という。
パチンコ遊技機1(払出制御MPU4120a)は、停電したとき又は瞬停したときにはリセットがかかり、その後の電力の復旧により払出制御部電源投入時処理を行う。
なお、ステップS526では払出制御内蔵RAMに記憶されている払出バックアップ情報が正常なものであるか否かを検査し、続いてステップS528では払出制御部電源断時処理が正常に終了されたか否かを検査している。このように、払出制御内蔵RAMに記憶されている払出バックアップ情報を2重にチェックすることにより払出バックアップ情報が不正行為により記憶されたものであるか否かを検査している。
[13−2.払出制御部タイマ割り込み処理]
次に、払出制御部タイマ割り込み処理について説明する。この払出制御部タイマ割り込み処理は、図123〜図125に示した払出制御部電源投入時処理において設定された割り込み周期(本実施形態では、1.75ms)ごとに繰り返し行われる。
払出制御部タイマ割り込み処理が開始されると、払出制御基板4110における払出制御部4120の払出制御MPU4120aは、図126に示すように、タイマ割り込みを禁止に設定してレジスタの切替(退避)を行う(ステップS590)。ここでは、上述した払出制御部メイン処理で使用していた汎用記憶素子(汎用レジスタ)から補助レジスタに切り替える。この補助レジスタを払出制御部タイマ割り込み処理で使用することにより汎用レジスタの値が上書きされなくなる。これにより、払出制御部メイン処理で使用していた汎用レジスタの内容の破壊を防いでいる。
ステップS590に続いて、1.75ms経過フラグHT−FLGに値1をセットする(ステップS592)。この1.75経過フラグHT−FLGは、この払出制御部タイマ割り込み処理が行われるごとに、つまり1.75msごとに1.75msを計時するフラグであり、1.75ms経過したとき値1、1.75ms経過していないとき値0にそれぞれ設定される。ステップS592に続いて、レジスタの切替(復帰)を行う(ステップS594)。この復帰は、払出制御部タイマ割り込み処理で使用していた補助レジスタから汎用記憶素子(汎用レジスタ)に切り替える。この汎用レジスタを払出制御部メイン処理で使用することにより補助レジスタの値が上書きされなくなる。これにより、払出制御部タイマ割り込み処理で使用していた補助レジスタの内容の破壊を防いでいる。ステップS594に続いて、割り込み許可の設定を行い(ステップS596)、このルーチンを終了する。
[13−3.球抜きスイッチ操作判定処理]
次に、球抜きスイッチ操作判定処理について説明する。この球抜きスイッチ操作判定処理では、図98に示した球抜きスイッチ860bが操作されているか否かを判定する。
球抜きスイッチ操作判定処理が開始されると、払出制御基板4110における払出制御部4120の払出制御MPU4120aは、図127に示すように、球抜きスイッチ860bが操作されているか否かを判定する(ステップS600)。この判定は、図125に示した払出制御部電源投入時処理(払出制御部メイン処理)におけるステップS550のポート入力処理で球抜きスイッチ860bからの検出信号に基づいて行う。具体的には、その検出信号は入力情報として払出制御内蔵RAMの入力情報記憶領域に記憶されている。ステップS600では、この入力情報記憶領域から入力情報を読み出して球抜きスイッチ860bからの検出信号があるか否かの判定を行う。入力情報に球抜きスイッチ860bからの検出信号があるときには、球抜きスイッチ860bが操作されていると判定する。一方、入力情報に球抜きスイッチ860bからの検出信号がないときには、球抜きスイッチ860bが操作されていないと判定する。
ステップS600で球抜きスイッチ860bが操作されているときには、球抜きフラグRMV−FLGに値1をセットする(ステップS602)。この球抜きフラグRMV−FLGは、図69に示した、賞球タンク720及びタンクレール731に貯留されている遊技球を排出するか否かを示すフラグであり、遊技球を排出するとき値1、遊技球を排出しないとき値0にそれぞれ設定される。
ステップS602に続いて、上述した球抜き判定時間を有効に設定し(ステップS604)、このルーチンを終了する。この球抜き判定時間が有効になることによって、図125に示した払出制御部電源投入時処理(払出制御部メイン処理)におけるステップS552のタイマ更新処理で球抜き判定時間の減算が行われる。
一方、ステップS600で球抜きスイッチ860bが操作されていないときには、そのままこのルーチンを終了する。なお、ステップS602でセットされた球抜きフラグRMV−FLGは、払出制御MPU4120aの汎用記憶素子(汎用レジスタ)に記憶される。
[13−4.回転角スイッチ履歴作成処理]
次に、回転角スイッチ履歴作成処理について説明する。この回転角スイッチ履歴作成処理では、図98に示した回転角スイッチ752からの検出信号の履歴を作成する。
回転角スイッチ履歴作成処理が開始されると、払出制御基板4110における払出制御部4120の払出制御MPU4120aは、図128に示すように、払出制御内蔵RAMから回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTを読み出す(ステップS610)。この回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTは、1バイト(8ビット:最上位ビットB7、B6、B5、B4、B3、B2、B1、最下位ビットB0、「B」はビットを表す。)の記憶容量を有しており、回転角スイッチ752からの検出信号の履歴を回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTとして払出制御内蔵RAMの回転角スイッチ履歴情報記憶領域に記憶されている。ステップS610では、この回転角スイッチ履歴情報記憶領域から回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTを読み出している。
ステップS610に続いて、回転角スイッチ752からの検出信号があるか否かを判定する(ステップS612)。この判定は、図125に示した払出制御部電源投入時処理(払出制御部メイン処理)におけるステップS550のポート入力処理で回転角スイッチ752からの検出信号に基づいて行う。具体的には、その検出信号は入力情報として払出制御内蔵RAMの入力情報記憶領域に記憶されている。ステップS612では、この入力情報記憶領域から入力情報を読み出して回転角スイッチ752からの検出信号があるか否かの判定を行う。入力情報に回転角スイッチ752からの検出信号があるときには、図70に示した、払出回転体748の回転位置を把握する検出スリット749aが回転角スイッチ752の光軸を遮断状態から非遮断状態に遷移した状態であると判定する。一方、入力情報に回転角スイッチ752からの検出信号がないときには、検出スリット749aが回転角スイッチ752の光軸を非遮断状態から遮断状態に遷移した状態と判定する。
ステップS612で検出スリット749aが回転角スイッチ752の光軸を遮断状態から非遮断状態に遷移した状態であるときには、回転角スイッチ検出履歴情報のシフト処理を行う(ステップS614)。この回転角スイッチ検出履歴情報のシフト処理では、ステップS610で読み出した回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTを、最上位ビットB7←B6、B6←B5、B5←B4、B4←B3、B3←B2、B2←B1、B1←最下位ビットB0という具合に、最下位ビットB0から最上位ビットB7に向かって1ビットずつシフトする。
ステップS614に続いて、回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTの最下位ビットB0に値1をセットし(ステップS616)、このルーチンを終了する。
一方、ステップS612で検出スリット749aが回転角スイッチ752の光軸を非遮断状態から遮断状態に遷移した状態であるときには、回転角スイッチ検出履歴情報のシフト処理を行う(ステップS618)。この回転角スイッチ検出履歴情報のシフト処理では、ステップS614の回転角スイッチ検出履歴情報のシフト処理と同一の処理を行い、ステップS610で読み出した回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTを、最上位ビットB7←B6、B6←B5、B5←B4、B4←B3、B3←B2、B2←B1、B1←最下位ビットB0という具合に、最下位ビットB0から最上位ビットB7に向かって1ビットずつシフトする。
ステップS618に続いて、回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTの最下位ビットB0に値0をセットし(ステップS620)、このルーチンを終了する。
このように、この回転角スイッチ履歴作成処理が行われるごとに、回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTを最下位ビットB0から最上位ビットB7に向かって1ビットずつシフトしたのち、検出スリット749aが回転角スイッチ752の光軸を遮断状態から非遮断状態に遷移した状態又は検出スリット749aが回転角スイッチ752の光軸を非遮断状態から遮断状態に遷移した状態に応じて最下位ビットB0に値1又は値0がセットされるため、回転角スイッチ752からの検出信号の履歴を作成することができる。
[13−5.スプロケット定位置判定スキップ処理]
次に、スプロケット定位置判定スキップ処理について説明する。このスプロケット定位置判定スキップ処理は、図70に示した払出回転体748が定位置にあるか否かの判定を、所定の条件が成立しているときにスキップする。なお、払出回転体748の定位置判定は、賞球装置740による遊技球の払い出しが終了した際に行われるようにもなっている。これにより、球がみが発生していない状態で払出モータ744の回転軸744aの回転を確実に開始することができる。
スプロケット定位置判定スキップ処理が開始されると、払出制御基板4110における払出制御部4120の払出制御MPU4120aは、図129に示すように、定位置判定スキップフラグSKP−FLGが値0であるか否かを判定する(ステップS630)。この定位置判定スキップフラグSKP−FLGは、払出回転体748の定位置判定を行うか否かを示すフラグであり、払出回転体748の定位置判定を行わないとき(スキップするとき)値1、払出回転体748の定位置判定を行うとき(スキップしないとき)値0にそれぞれ設定される。
ステップS630で定位置判定スキップフラグSKP−FLGが値0であるとき(スキップしないとき)、つまり払出回転体748の定位置判定を行うときには、払出制御内蔵RAMの回転角スイッチ履歴情報記憶領域から回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTを読み出し(ステップS632)、定位置判定値と一致しているか否かを判定する(ステップS634)。この定位置判定値は、払出内蔵ROMに記憶されており、本実施形態では、「00001111B(「B」はビットを表す。)」であり、上位4ビットのB7〜B4が値0、下位4ビットのB3〜B0が値1となっている。ステップS634の判定では、回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTの下位4ビットB3〜B0と定位置判定値の下位4ビットB3〜B0とが一致しているか否かの判定を行う。
ここで、回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTの下位4ビットB3〜B0が値1となる場合は、4回のタイマ割り込み周期で続けて、上述した、検出スリット749aが回転角スイッチ752の光軸を遮断状態から非遮断状態に遷移した状態であることを意味している。この4回のタイマ割り込み周期の発生では、図98に示した払出モータ744が4ステップ回転している。払出モータ744の回転は、図70に示した、第1ギア745、第2ギア746、第3ギア747を介して回転検出盤749の払出回転体748の回転となる。これらの第1ギア745、第2ギア746、第3ギア747には遊び(バックラッシュ)があるため、払出回転体748が時計方向又は反時計方向に回転することとなるものの、このバックラッシュによる払出回転体748の回転は、払出モータ744の約2ステップの回転に相当する程度となるように設計されているため、本実施形態では、払出回転体748の定位置判定を行う場合には、回転角スイッチ752からの検出信号の履歴、図128で示した回転角スイッチ履歴作成処理で回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTを作成し、作成した回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTの下位4ビットB3〜B0、つまり最新の4回のタイマ割り込み周期の発生による回転角スイッチ752からの検出信号に基づいて行っている。これにより、4回のタイマ割り込み周期では、払出モータ744が4ステップ回転しているため、バックラッシュによる払出回転体748の回転より多く回転しており、バックラッシュによる払出回転体748の回転を吸収することができる。したがって、バックラッシュによる払出回転体748の定位置の誤検出を防ぐことができるため、払出回転体748の回転位置を払出モータ744の回転位置で正しく管理することができる。なお、本実施形態では、4回のタイマ割り込み周期は7ms(=1.75ms×4回)であり、バックラッシュ吸収時間として設定されている。
ステップS634で、ステップS632で読み出した回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTの下位4ビットB3〜B0と定位置判定値の下位4ビットB3〜B0とが一致しているときには、定位置判定スキップフラグSKP−FLGに値1をセットする(ステップS636)。これにより、払出回転体748の定位置判定を行わない(スキップする)ように設定することができる。なお、払出制御MPU4120aは、ステップS636における払出回転体748の回転位置を払出回転体748の定位置に設定する。
ステップS636に続いて、スキップ判定時間を有効に設定し(ステップS638)、このルーチンを終了する。ここで、図71に示したように、検出スリット749aは、払出回転体748の凹部748aと同じ数の3個であり、回転検出盤749の外周に等分(120度ごと)に形成されている。また、払出モータ744の回転は、上述したように、第1ギア745、第2ギア746、第3ギア747を介して回転検出盤749の払出回転体748の回転となる。本実施形態では、回転検出盤749(払出回転体748)の各検出スリット749a間(120度)の回転は、払出モータ744の18ステップの回転に相当するように設計されている。
払出制御MPU4120aは、払出回転体748の回転位置を払出モータ744のステップ数に基づいて管理している。具体的には、(1)検出スリット749aが回転角スイッチ752の光軸を遮断状態から非遮断状態に遷移し出す過渡状態(「エッジ検出状態」という。)と、(2)検出スリット749aが回転角スイッチ752の光軸を遮断状態から非遮断状態に遷移した状態(「定位置確定状態」という。)と、(3)検出スリット749aが回転角スイッチ752の光軸を非遮断状態から遮断状態に遷移した状態(「定位置判定スキップ状態」)と、の3つの状態で管理している。(1)のエッジ検出状態では払出モータ744の1ステップの回転に相当し、(2)の定位置確定状態では払出モータ744の4ステップの回転に相当し、(3)の定位置判定スキップ状態では払出モータ744の13ステップの回転に相当し、計18ステップの回転で回転検出盤749の各検出スリット749a間(120度)の回転位置、つまり払出回転体748の回転位置を管理している。
(3)の定位置判定スキップ状態では、検出スリット749aが回転角スイッチ752の光軸を非遮断状態から遮断状態に遷移した状態であるため、スキップ判定時間は、払出モータ744の13ステップ回転する時間が設定されている。上述したように、タイマ割り込み周期が1.75msに設定されているので、スキップ判定時間が22.75ms(=1.75ms×13ステップ)となる。
ステップS638でスキップ判定時間が有効になることによって、図125に示した払出制御部電源投入時処理(払出制御部メイン処理)におけるステップS552のタイマ更新処理でスキップ判定時間の減算が行われる。なお、払出制御MPU4120aは、スキップ判定時間を減算し、その減算結果が値0になると、定位置判定スキップフラグSKP−FLGに初期値0をセットする。
一方、ステップS630で定位置判定スキップフラグSKP−FLGが値0でない(値1である)とき(スキップするとき)、つまり払出回転体748の定位置判定を行わないときには、又はステップS634で、ステップS632で読み出した回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTの下位4ビットB3〜B0と定位置判定値の下位4ビットB3〜B0とが一致していないときには、そのままこのルーチンを終了する。なお、ステップS636でセットされた定位置判定スキップフラグSKP−FLGは、払出制御MPU4120aの汎用記憶素子(汎用レジスタ)に記憶される。
パチンコ島設備から供給された遊技球は、図69に示した、賞球タンク720及びタンクレール731に貯留され、図70に示した賞球装置740の供給通路741aに取り込まれ、賞球装置740に導かれる。遊技球は、互いにこすれ合って帯電すると、静電放電してノイズを発生する。このため、賞球装置740はノイズの影響を受けやすり環境下にある。図70に示した賞球装置740の回転角スイッチ基板753には、回転角スイッチ752が設けられており、この回転角スイッチ752からの検出信号は遊技球の静電放電によるノイズの影響を受けやすい。また、払出制御基板4110と、図70に示した賞球装置740内の賞球ケース内基板754と、の基板間を接続する配線(ハーネス)も遊技球の静電放電によるノイズの影響を受けやすい。
そこで、本実施形態では、ノイズの影響による誤検出を抑制するために、上述した(3)の定位置判定スキップ状態、つまり検出スリット749aが回転角スイッチ752の光軸を非遮断状態から遮断状態に遷移した状態では、払出回転体748の定位置判定を行わないようにしている。これにより、払出回転体748の定位置判定の精度を高めている。なお、払出回転体748の定位置を検出するために必要な周期や期間は、上述したように、予め計算によって求めることができるため、スキップ判定時間を簡単に設定及び調整するこができる。
[13−6.球がみ判定処理]
次に、球がみ判定処理について説明する。この球がみ判定処理は、図70に示した払出回転体748による球がみ状態が生じているか否かを判定する。
球がみ判定処理が開始されると、払出制御基板4110における払出制御部4120の払出制御MPU4120aは、図130に示すように、上述した払出制御内蔵RAMの回転角スイッチ履歴情報記憶領域から回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTを読み出す(ステップS640)。
ステップS640に続いて、上述した回転角スイッチ752からの検出信号があるか否かを判定する(ステップS642)。この判定は、ステップS640で読み出した回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTが定位置判定値と一致しているか否かを判定する。この定位置判定値は、上述したように、払出内蔵ROMに記憶されており、本実施形態では、「00001111B(「B」はビットを表す。)」であり、上位4ビットのB7〜B4が値0、下位4ビットのB3〜B0が値1となっている。ステップS642の判定では、回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTの下位4ビットB3〜B0と定位置判定値の下位4ビットB3〜B0とが一致しているか否かの判定を行う。
ステップS642で、ステップS640で読み出した回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTの下位4ビットB3〜B0と定位置判定値の下位4ビットB3〜B0とが一致しているときには、検出スリット749aが回転角スイッチ752の光軸を非遮断状態から遮断状態に遷移した状態、つまり払出回転体748が回転している状態であり、球がみ状態が生じていないとして、そのままこのルーチンを終了する。
一方、ステップS642で、ステップS640で読み出した回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTの下位4ビットB3〜B0と定位置判定値の下位4ビットB3〜B0とが一致していないときには、球がみ中フラグPBE−FLGに値1をセットする(ステップS644)。この球がみ中フラグPBE−FLGは、払出回転体748による球がみ状態が生じているか否かを示すフラグであり、払出モータ744が球がみ動作を行っているとき値1、球がみ動作を行っていないとき値0にそれぞれ設定される。
ステップS644に続いて、球がみ判定時間を有効に設定し(ステップS646)、このルーチンを終了する。この球がみ判定時間が有効になることによって、図125に示した払出制御部電源投入時処理(払出制御部メイン処理)におけるステップS552のタイマ更新処理で球がみ判定時間の減算が行われる。
[13−7.各種賞球ストック数加算処理]
次に、各種賞球ストック数加算処理について説明する。この各種賞球ストック数加算処理には、賞球用賞球ストック数加算処理と貸球用賞球ストック数加算処理とがあり、賞球用賞球ストック数加算処理は主制御基板4100からの後述する賞球コマンドに基づいて払い出す球数を加算する処理であり、貸球用賞球ストック数加算処理はCRユニット6からの貸球要求信号に基づいて払い出す球数を加算する処理である。まず、賞球用賞球ストック数加算処理について説明し、続いて貸球用賞球ストック数加算処理について説明する。なお、本実施形態では、賞球用賞球ストック数加算処理が優先的に行われるように設定されており、この賞球用賞球ストック数加算処理で加算された賞球ストック数に応じた遊技球が図70に示した賞球装置740で払い出されたあと、貸球用賞球ストック数加算処理を行うように設定されている。
[13−7−1.賞球用賞球ストック数加算処理]
賞球用賞球ストック数加算処理が開始されると、払出制御基板4110における払出制御部4120の払出制御MPU4120aは、図131に示すように、賞球コマンドがあるか否かを判定する(ステップS650)。この判定は、図125に示した払出制御部電源投入時処理(払出制御部メイン処理)におけるステップS560のコマンド解析処理で解析したコマンドに基づいて行う。具体的には、その解析したコマンドは受信コマンド情報として払出制御内蔵RAMの受信コマンド情報記憶領域に記憶されている。ステップS650では、この受信コマンド情報記憶領域から受信コマンド情報を読み出して賞球コマンドであるか否かの判定を行う。
ステップS650で受信コマンド情報が賞球コマンドでないときには、そのままこのルーチンを終了する一方、ステップS650で受信コマンド情報が賞球コマンドであるときには、この賞球コマンドに対応する賞球数PBVを、賞球数情報テーブルから読み出す(ステップS652)。この賞球数情報テーブルは、その詳細な説明は後述するが、賞球コマンドと賞球数PBVとを対応付けて払出内蔵ROMに予め記憶されている情報テーブルである。
ステップS652に続いて、払出制御内蔵RAMから賞球ストック数PBSを読み出す(ステップS654)。この賞球ストック数PBSは、賞球装置740で遊技球を未だ払い出していない数、つまり未払い出しの球数を表しており、本実施形態では、2バイト(16ビット)の記憶容量を有している。これにより、賞球ストック数PBSは、0〜値32767個までの未払い出しの球数を記憶することができるようになっている。なお、賞球ストック数PBSは、払出制御内蔵RAMの賞球情報記憶領域に記憶されている。ステップS652では、この賞球情報記憶領域から賞球ストック数PBSを読み出している。
ステップS654で読み出した賞球ストック数PBSにステップS652で読み出した賞球数PBVを加算し(ステップS656)、このルーチンを終了する。なお、ステップS656で加算したあと、ステップS650で読み出した賞球コマンドを受信コマンド情報記憶領域から消去する。
[13−7−2.貸球用賞球ストック数加算処理]
次に、貸球用賞球ストック数加算処理について説明する。この貸球用賞球ストック数加算処理が開始されると、払出制御基板4110における払出制御部4120の払出制御MPU4120aは、図132に示すように、貸球要求信号があるか否かを判定する(ステップS660)。この判定は、図125に示した払出制御部電源投入時処理(払出制御部メイン処理)におけるステップS550のポート入力処理でCRユニット6からの貸球要求信号に基づいて行う。具体的には、その貸球要求信号は入力情報として払出制御内蔵RAMの入力情報記憶領域に記憶されている。ステップS660では、この入力情報記憶領域から入力情報を読み出して貸球要求信号があるか否かの判定を行う。
ステップS660で貸球要求信号がないときには、そのままこのルーチンを終了する一方、ステップS660で貸球要求信号があるときには、上述した払出制御内蔵RAMの賞球情報記憶領域から賞球ストック数PBSを読み出し(ステップS662)、この賞球ストック数PBSに貸球数RBVを加算し(ステップS664)、このルーチンを終了する。貸球数RBVは固定値であり、払出内蔵ROMに予め記憶されている。本実施形態では、貸球数RBVとして値25が設定されている。なお、ステップS664で加算したあと、ステップS660で読み出した貸球要求信号を入力情報記憶領域から消去する。また、本実施形態では、賞球を優先している(賞球と貸球とを区別して管理している)ため、貸球要求信号があるときであっても、貸球要求信号を保持し、賞球の払い出しの完了をもって貸球の払い出しを行う。したがって、本実施形態では、賞球ストック数PBSが値0になってから貸球の払い出しを行うようになっている。
[13−8.ストック監視処理]
次に、ストック監視処理について説明する。このストック監視処理は、遊技者が遊技中に、図48に示したファールカバーユニット540の収容空間546が貯留された遊技球で満タンにした状態(ストックした状態)で遊技を続けていないか監視する処理である。
ストック監視処理が開始されると、払出制御基板4110における払出制御部4120の払出制御MPU4120aは、図133に示すように、上述した払出制御内蔵RAMの賞球情報記憶領域から賞球ストック数PBSを読み出し(ステップS670)、読み出した賞球ストック数PBSが注意的しきい値TH以上であるか否かを判定する(ステップS672)。注意的しきい値THは、固定値であり、払出内蔵ROMに予め記憶されている。本実施形態では、注意的しきい値THとして値50が設定されている。
ステップS672で賞球ストック数PBSが注意的しきい値TH以上であるときには、注意フラグCA−FLGに値1をセットし(ステップS674)、このルーチンを終了する。この注意フラグCA−FLGは、遊技者がファールカバーユニット540の収容空間546に遊技球のストックを開始し、遊技球の未払い出し数(上述した賞球ストック数)が注意的しきい値TH以上に達している旨を示すフラグであり、注意的しきい値TH以上に達しているとき値1、注意的しきい値TH以上に達していないとき値0にそれぞれ設定される。
一方、ステップS672で賞球ストック数PBSが注意的しきい値TH未満であるときには、注意フラグCA−FLGに値0をセットし(ステップS676)、このルーチンを終了する。
遊技状態が大当りとなり、遊技者がリラックスして図100に示した液晶表示装置1900で繰り広げられる演出に見入ったりしていると、遊技者は、うっかりして1ラウンドの間、賞球として払い出された遊技球を、図19に示した、下皿302から下皿球抜きボタン354を操作して抜かないことがある。この状態で遊技を続けると、下皿302が遊技球で満タンとなり、そしてファールカバーユニット540の収容空間546に遊技球が溜まり出す。ファールカバーユニット540の収容空間546が遊技球で満タンになると、上述したように、賞球ストック数PBSの値が増加して注意的しきい値TH以上となり、注意演出として図53に示した扉枠5に設けた各種装飾基板の複数のLEDが点滅する。この点滅によって、例えばホールの店員に対して遊技者の遊技を注意する旨を伝えることができる。これにより、ホールの店員は遊技者に下皿302から遊技球を抜く旨を伝えることができ、遊技者は下皿302(ファールカバーユニット540の収容空間546)に遊技球を満タンにした状態で遊技を継続することを防止することができる。
なお、本実施形態では、注意的しきい値THは、1バイト(8ビット)で表せる上限値255の約5分の1に相当する値50に設定されている。これにより、ホールの店員に対してできるだけ早い段階で遊技者の遊技に注意を促す旨を伝えることができるようになっている。
[13−9.払出球抜き判定設定処理]
次に、払出球抜き判定設定処理について説明する。この払出球抜き判定設定処理は、図70に示した払出モータ744で遊技球を、図19に示した、上皿301や下皿302に払い出すか、図69に示した、賞球タンク720及びタンクレール731に貯留されている遊技球をパチンコ遊技機1から排出するか、球がみ動作を行うか、又はこのような払い出しや排出等を行わないか、いずれかに設定する処理である。
払出球抜き判定設定処理が開始されると、払出制御基板4110における払出制御部4120の払出制御MPU4120aは、図134に示すように、上述した払出制御内蔵RAMの回転角スイッチ履歴情報記憶領域から回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTを読み出す(ステップS680)。
ステップS680に続いて、図70に示した回転角スイッチ752からの検出信号があるか否かを判定する(ステップS682)。この判定は、ステップS680で読み出した回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTが定位置判定値と一致しているか否かを判定する。この定位置判定値は、上述したように、払出内蔵ROMに記憶されており、本実施形態では、「00001111B(「B」はビットを表す。)」であり、上位4ビットのB7〜B4が値0、下位4ビットのB3〜B0が値1となっている。ステップS682の判定では、回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTの下位4ビットB3〜B0と定位置判定値の下位4ビットB3〜B0とが一致しているか否かの判定を行う。
ステップS682で、ステップS680で読み出した回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTの下位4ビットB3〜B0と定位置判定値の下位4ビットB3〜B0とが一致しているときには、リトライエラーフラグRTERR−FLGが値1であるか否かを判定する(ステップS684)。このリトライエラーフラグRTERR−FLGは、後述するリトライ動作が異常動作しているか否かを示すフラグであり、リトライ動作が異常動作しているとき値1、リトライ動作が異常動作していないとき(リトライ動作が正常動作している)とき値0にそれぞれ設定される。
ステップS682で、ステップS680で読み出した回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTの下位4ビットB3〜B0と定位置判定値の下位4ビットB3〜B0とが一致していないときには、又は、ステップS684で、リトライエラーフラグRTERR−FLGが値1でない(値0である)とき、つまりリトライ動作が異常動作していないときには、球がみ中フラグPBE−FLGが値1であるか否かを判定する(ステップS686)。この球がみ中フラグPBE−FLGは、払出回転体748による球がみ状態が生じているか否かを示すフラグであり、払出モータ744が球がみ動作を行っているとき値1、球がみ動作を行っていないとき値0にそれぞれ設定される。
ステップS686で球がみ中フラグPEB−FLGが値1でない(値0である)とき、つまり球がみ動作を行っていないときには、上述した払出制御内蔵RAMの賞球情報記憶領域から賞球ストック数PBSを読み出し(ステップS688)、読み出した賞球ストック数PBSが値0より大きいか否かを判定する(ステップS690)。この判定は、払出モータ744による遊技球の払い出しにおいて未払い出しの球数があるか否かを判定している。
ステップS690で賞球ストック数PBSが値0より大きいとき、つまり未払い出しの球数があるときには、図48に示したファールカバーユニット540の収容空間546が貯留された遊技球で満タンであるか否かを判定する(ステップS692)。この判定は、図125に示した払出制御部電源投入時処理(払出制御部メイン処理)におけるステップS556の満タン及び球切れチェック処理で記憶された満タン情報に基づいて行う。具体的には、満タン情報は上述した払出制御内蔵RAMの状態情報記憶領域に記憶されている。ステップS692では、この状態情報記憶領域から満タン情報を読み出してファールカバーユニット540の収容空間546が貯留された遊技球で満タンであるか否かを判定する。
ステップS692でファールカバーユニット540の収容空間546が貯留された遊技球で満タンでないときには、後述する払出設定処理を行い(ステップS694)、このルーチンを終了する。この払出設定処理では、上皿301や下皿302に遊技球を払い出す払出動作を行う。
一方、ステップS692でファールカバーユニット540の収容空間546が貯留された遊技球で満タンであるときには、そのままこのルーチンを終了する。本実施形態のパチンコ遊技機1では、ファールカバーユニット540の収容空間546が貯留された遊技球で満タンになると、払出モータ744を強制停止する。この払出モータ744が強制停止中に賞球が発生すると、払出モータ744による未払い出しの球数が増え、図131に示した賞球用賞球ストック数加算処理によって賞球ストック数PBSが加算されて増加することとなる。
一方、ステップS690で賞球ストック数PBSが値0より大きくない(値0である)とき、つまり未払い出しの球数がないときには、球抜きフラグRMV−FLGが値1であるか否かを判定する(ステップS696)。この球抜きフラグRMV−FLGは、賞球タンク720及びタンクレール731に貯留されている遊技球を排出するか否かを示すフラグであり、遊技球を排出するとき値1、遊技球を排出しないとき値0にそれぞれ設定される。ステップS696の判定は、図127に示した球抜きスイッチ操作判定処理におけるステップS600の判定結果に基づいて行う。つまり、図98に示した球抜きスイッチ860bからの操作信号(検出信号)が入力されると、球抜きスイッチ操作判定処理におけるステップS602で球抜きフラグRMV−FLGに値1をセットする。
ステップS696で球抜きフラグRMV−FLGが値1であるとき、つまり賞球タンク720及びタンクレール731に貯留されている遊技球を排出するときには、後述する球抜き設定処理を行い(ステップS698)、このルーチンを終了する。この球抜き設定処理では、賞球タンク720及びタンクレール731に貯留されている遊技球を排出する球抜き動作を行う。
このように、電源投入後に球抜きスイッチ860bを操作すると、この払出球抜き判定設定処理のステップS698で球抜き設定処理を行うこととなり、賞球タンク720及びタンクレール731に貯留されている遊技球を排出することができるようになっている。この排出を終了すると、球抜きフラグRMV−FLGに値0をセットする。
一方、ステップS696で球抜きフラグRMV−FLGが値1でない(値0である)とき、つまり賞球タンク720及びタンクレール731に貯留されている遊技球を排出しないときには、そのままこのルーチンを終了する。これにより、遊技球の払い出しや排出を行わない。
一方、ステップS686で球がみ中フラグPBE−FLGが値1、つまり球がみ動作を行っているときには、後述する球がみ動作設定処理を行い(ステップS700)、このルーチンを終了する。この球がみ動作設定処理では、賞球装置740の払出回転体748による球がみ状態を解消する球がみ動作を行う。
一方、ステップS684で、リトライエラーフラグRTERR−FLGが値1であるとき、つまりリトライ動作が異常動作しているときには、払出モータ744への駆動信号の出力停止(停止)を設定する(ステップS702)。この設定では、払出モータ744に駆動信号を停止する駆動情報を設定して上述した払出制御内蔵RAMの出力情報記憶領域に記憶する。
ステップS702に続いて、CRユニット6へのエラー状態の出力を設定し(ステップS704)、このルーチンを終了する。ステップS704では、現在、球貸しができない状態となっている旨をCRユニット6に伝えるために、払出制御MPU4120aは、CRユニット6と通信中でないとき(CRユニット6からのBRDYの論理がLOW、つまり立ち下がって保持されているとき)にはPRDY信号の論理をLOW、つまり立ち下げた状態を保持し、PRDY信号の論理の状態をPRDY信号出力設定情報に設定してCR通信情報記憶領域に記憶する。これにより、図125の払出制御部電源投入時処理の払出制御部メイン処理におけるステップS554のCR通信処理で、払出制御内蔵RAMに記憶されているCR通信情報記憶領域からPRDY信号出力設定情報を読み出してこの読み出したPRDY信号出力設定情報、つまり論理がLOWであるPRDY信号を、払出制御部4120の払出制御I/Oポート4120bから遊技球等貸出装置接続端子板869を介してCRユニット6に出力する。一方、CRユニット6と通信中であるとき(CRユニット6からのBRDYの論理がHI、つまり立ち上がって保持されているとき)にはEXS信号の論理の状態を維持し、EXS信号の論理の状態をEXS信号出力設定情報に設定してCR通信情報記憶領域に記憶する。これにより、図125の払出制御部電源投入時処理の払出制御部メイン処理におけるステップS554のCR通信処理で、払出制御内蔵RAMに記憶されているCR通信情報記憶領域からEXS信号出力設定情報を読み出してこの読み出したEXS信号出力設定情報、つまり論理が維持されたEXS信号を、払出制御I/Oポート4120bから遊技球等貸出装置接続端子板869を介してCRユニット6に出力する。なお、「EXS信号の論理の状態を維持」とは、EXS信号の論理がLOWである(EXS信号が立ち下がって保持されている)ときにはその論理LOWを維持し、EXS信号の論理がHIである(EXS信号が立ち上がっている保持されている)ときにはその論理HIを維持することである。
[13−9−1.払出設定処理]
次に、払出設定処理について説明する。この払出設定処理では、図70に示した払出モータ744を駆動して遊技球を払い出す設定を行う処理である。
払出設定処理が開始されると、払出制御基板4110における払出制御部4120の払出制御MPU4120aは、図135に示すように、払出制御内蔵RAMから駆動指令数DRVを読み出す(ステップS710)。この駆動指令数DRVは、払出モータ744で払い出す遊技球の球数を指令するものであり、賞球ストック数PBSと同値である。なお、駆動指令数DRVは、払出制御内蔵RAMの賞球情報記憶領域に記憶されている。ステップS710では、この賞球情報記憶領域から駆動指令数DRVを読み出している。
ステップS710に続いて、駆動指令数DRVが値0であるか否かを判定する(ステップS712)。この判定は、払出モータ744で払い出す遊技球の球数が残っているか否かを駆動指令数DRVに基づいて判定する。
ステップS712で駆動指令数DRVが値0であるとき、つまり払出モータ744で払い出す遊技球の球数がゼロ個であるときには、払出モータ744への駆動信号の出力停止(停止)を設定する(ステップS714)。この設定では、払出モータ744に駆動信号を停止する駆動情報を設定して上述した払出制御内蔵RAMの出力情報記憶領域に記憶する。
ステップS714に続いて、払出制御内蔵RAMの賞球情報記憶領域から賞球ストック数PBSを読み出し(ステップS716)、実球計数PBを読み出す(ステップS718)。この実球計数PBは、払出モータ744が実際に払い出した遊技球の球数をカウントしたものである。このカウントは、その詳細な説明は後述するが、図125に示した払出制御部電源投入時処理(払出制御部メイン処理)におけるステップS550のポート入力処理で図70に示した計数スイッチ751からの検出信号に基づいて行う。なお、実球計数PBは、払出制御内蔵RAMの賞球情報記憶領域に記憶されている。ステップS718では、この賞球情報記憶領域から実球計数PBを読み出している。
ステップS718に続いて、ステップS716で読み出した賞球ストック数PBSからステップS718で読み出した実球計数PBを引いた値を、賞球ストック数PBS及び駆動指令数DRVにセットし(ステップS720)、実球計数PBに値0をセットし(ステップS722)、このルーチンを終了する。なお、駆動指令数DRV及び実球計数PBが値0であるときには、ステップS722では、ステップS716で読み出した賞球ストック数PBSの値がそのまま駆動指令数DRVにセットされる。
一方、ステップS712で駆動指令数DRVが値0でないとき、つまり払出モータ744で払い出す遊技球の球数があるときには、払出モータ744への駆動信号の出力を設定する。(ステップS724)。この設定では、払出モータ744に駆動信号を停止する駆動情報を設定して払出制御内蔵RAMの出力情報記憶領域に記憶する。
ステップS724に続いて、駆動指令数DRVから値1だけ引き(デクリメントし、ステップS726)、計数スイッチ751からの検出信号があるか否かを判定する(ステップS728)。この判定は、図125に示した払出制御部電源投入時処理(払出制御部メイン処理)におけるステップS550のポート入力処理で計数スイッチ751からの検出信号に基づいて行う。具体的には、その検出信号は入力情報として払出制御内蔵RAMの入力情報記憶領域に記憶されている。ステップS728では、この入力情報記憶領域から入力情報を読み出して計数スイッチ751からの検出信号があるか否かの判定を行う。
ステップS728で計数スイッチ751からの検出信号があるときには、実球計数PBに値1だけ足し(インクリメントし、ステップS730)、このルーチンを終了する。ステップS730で実球計数PBをインクリメントすることで実球計数PBをカウントアップすることとなる。
一方、ステップS728で計数スイッチ751からの検出信号がないときには、そのままこのルーチンを終了する。このように、払出制御MPU4120aは、ステップS726で駆動指令数DRVをデクリメントする場合であって、ステップS728の判定で計数スイッチ751からの検出信号がないとき、つまり実球計数PBにインクリメントしない場合には、図71に示した払出回転体748の凹部748aに遊技球が受け止められていなかったために遊技球を1球が払い出すことができなかったと判断する。そこで、払出制御MPU4120aは、その払い出されるはずの1球をもう一度払い出すために、上述したステップS720で、賞球ストック数PBSから実球計数PBを引いた値を駆動指令数DRVにセットする。これにより、ステップS728の判定で計数スイッチ751からの検出信号がないとき、つまり実球計数PBにインクリメントしないときには、その払い出されるはずの1球である値1を賞球ストック数PBSに含めることができ、換言すれば、その払い出されるはずの1球である値1を賞球ストック数PBSにまるめ込むことができるため、その払い出されるはずの1球を再び払い出すリトライ動作を行うことができる。このリトライ動作を行うことによって、遊技者への遊技球の未払い出しが生ずるおそれを極めて小さくすることができ、遊技球の未払い出しによる遊技者の不利益を防止することができる。
[13−9−2.球抜き設定処理]
次に、球抜き設定処理について説明する。この球抜き設定処理では、図70に示した払出モータ744を駆動して、図69に示した、賞球タンク720及びタンクレール731に貯留されている遊技球を排出する球抜き動作を行う処理である。
球抜き設定処理が開始されると、払出制御基板4110における払出制御部4120の払出制御MPU4120aは、図136に示すように、球抜き判定時間が経過したか否かを判定する(ステップS740)。この判定は、図125に示した払出制御部電源投入時処理(払出制御部メイン処理)におけるステップS552のタイマ更新処理で更新された球抜き判定時間に基づいて行う。具体的には、その球抜き判定時間は、時間管理情報として上述した払出制御内蔵RAMの時間管理情報記憶領域に記憶されている。ステップS740では、この時間管理情報記憶領域から時間管理情報を読み出して球抜き判定時間が経過したか否かを判定する。なお、球抜き判定時間中には払出モータ744は、球抜き動作を行う。この球抜き動作は、賞球タンク720及びタンクレール731に貯留されている遊技球を排出する。
ステップS740で球抜き判定時間が経過していないときには、球抜き動作を行うよう払出モータ744への駆動信号の出力を設定し(ステップS742)、このルーチンを終了する。この設定では、払出モータ744に駆動信号を出力する駆動情報を設定して上述した払出制御内蔵RAMの出力情報記憶領域に記憶する。
一方、ステップS740で球抜き判定時間が経過したときには、球抜き動作を終了するよう払出モータ744への駆動信号の停止を設定する(ステップS744)。この設定では、払出モータ744に駆動信号を停止する駆動情報を設定して払出制御内蔵RAMの出力情報記憶領域に記憶する。
ステップS744に続いて、球抜きフラグRMV−FLGに値0をセットし(ステップS746)、このルーチンを終了する。この球抜きフラグRMV−FLGは、上述したように、賞球タンク720及びタンクレール731に貯留されている遊技球を排出するか否かを示すフラグであり、遊技球を排出するとき値1、遊技球を排出しないとき値0にそれぞれ設定される。
[13−9−3.球がみ動作設定処理]
次に、球がみ動作設定処理について説明する。この球がみ動作設定処理では、図70に示した賞球装置740の払出回転体748による球がみ状態を解消する設定を行う処理である。
球がみ動作設定処理が開始されると、払出制御基板4110における払出制御部4120の払出制御MPU4120aは、図137に示すように、球がみ判定時間が経過したか否かを判定する(ステップS750)。この判定は、図125に示した払出制御部電源投入時処理(払出制御部メイン処理)におけるステップS552のタイマ更新処理で減算された球がみ判定時間に基づいて行う。具体的には、その球がみ判定時間は、時間管理情報として上述した払出制御内蔵RAMの時間管理情報記憶領域に記憶されている。ステップS750では、この時間管理情報記憶領域から時間管理情報を読み出して球がみ判定時間が経過したか否かを判定する。
ステップS750で球がみ判定時間が経過していないときには、上述した払出制御内蔵RAMの回転角スイッチ履歴情報記憶領域から回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTを読み出す(ステップS752)。
ステップS752に続いて、上述した回転角スイッチ752からの検出信号があるか否かを判定する(ステップS754)。この判定は、ステップS752で読み出した回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTが定位置判定値と一致しているか否かを判定する。この定位置判定値は、上述したように、払出内蔵ROMに記憶されており、本実施形態では、「00001111B(「B」はビットを表す。)」であり、上位4ビットのB7〜B4が値0、下位4ビットのB3〜B0が値1となっている。ステップS754の判定では、回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTの下位4ビットB3〜B0と定位置判定値の下位4ビットB3〜B0とが一致しているか否かの判定を行う。
ステップS754で、ステップS752で読み出した回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTの下位4ビットB3〜B0と定位置判定値の下位4ビットB3〜B0とが一致していないときには、球がみ動作を行うよう払出モータ744への駆動信号の出力を設定し(ステップS756)、このルーチンを終了する。この設定では、払出モータ744に駆動信号を出力する駆動情報を設定して上述した払出制御内蔵RAMの出力情報記憶領域に記憶する。
一方、ステップS754で、ステップS752で読み出した回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTの下位4ビットB3〜B0と定位置判定値の下位4ビットB3〜B0とが一致しているときには、払出モータ744への駆動信号の停止を設定する(ステップS758)。この設定では、払出モータ744に駆動信号を停止する駆動情報を設定して払出制御内蔵RAMの出力情報記憶領域に記憶する。
ステップS758に続いて、球がみ動作の終了として球がみ中フラグPBE−FLGに値0をセットし(ステップS760)、このルーチンを終了する。この球がみ中フラグPBE−FLGは、払出回転体748による球がみ状態が生じているか否かを示すフラグであり、払出モータ744が球がみ動作を行っているとき値1、球がみ動作を行っていないとき(球がみ動作の終了)値0にそれぞれ設定される。
一方、ステップS750で球がみ判定時間が経過したときには、払出モータ744への駆動信号の停止を設定する(ステップS762)。この設定では、払出モータ744に駆動信号を停止する駆動情報を設定して払出制御内蔵RAMの出力情報記憶領域に記憶する。
ステップS762に続いて、CRユニット6へのエラー状態の出力を設定する(ステップS764)。ここでは、現在、球貸しができない状態となっている旨をCRユニット6に伝えるために、払出制御MPU4120aは、CRユニット6と通信中でないとき(CRユニット6からのBRDYの論理がLOW、つまり立ち下がって保持されているとき)にはPRDY信号の論理をLOW、つまり立ち下げた状態を保持し、PRDY信号の論理の状態をPRDY信号出力設定情報に設定してCR通信情報記憶領域に記憶する。これにより、図125の払出制御部電源投入時処理の払出制御部メイン処理におけるステップS554のCR通信処理で、払出制御内蔵RAMに記憶されているCR通信情報記憶領域からPRDY信号出力設定情報を読み出してこの読み出したPRDY信号出力設定情報、つまり論理がLOWであるPRDY信号を、払出制御部4120の払出制御I/Oポート4120bから遊技球等貸出装置接続端子板869を介してCRユニット6に出力する。一方、CRユニット6と通信中であるとき(CRユニット6からのBRDYの論理がHI、つまり立ち上がって保持されているとき)にはEXS信号の論理の状態を維持し、EXS信号の論理の状態をEXS信号出力設定情報に設定してCR通信情報記憶領域に記憶する。これにより、図125の払出制御部電源投入時処理の払出制御部メイン処理におけるステップS554のCR通信処理で、払出制御内蔵RAMに記憶されているCR通信情報記憶領域からEXS信号出力設定情報を読み出してこの読み出したEXS信号出力設定情報、つまり論理が維持されたEXS信号を、払出制御I/Oポート4120bから遊技球等貸出装置接続端子板869を介してCRユニット6に出力する。なお、「EXS信号の論理の状態を維持」とは、上述したように、EXS信号の論理がLOWである(EXS信号が立ち下がって保持されている)ときにはその論理LOWを維持し、EXS信号の論理がHIである(EXS信号が立ち上がっている保持されている)ときにはその論理HIを維持することである。
ステップS764に続いて、球がみ動作の終了として球がみ中フラグPBE−FLGに値0をセットし(ステップS766)、このルーチンを終了する。
[13−10.リトライ動作監視処理]
次に、リトライ動作監視処理について説明する。このリトライ動作監視処理では、払い出されるはずの遊技球を再び払い出すリトライ動作が正常に行われているか否かを監視する処理である。
リトライ動作監視処理が開始されると、払出制御基板4110における払出制御部4120の払出制御MPU4120aは、図138に示すように、上述した払出制御内蔵RAMの回転角スイッチ履歴情報記憶領域から回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTを読み出す(ステップS770)。
ステップS770に続いて、上述した回転角スイッチ752からの検出信号があるか否かを判定する(ステップS772)。この判定は、ステップS770で読み出した回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTが定位置判定値と一致しているか否かを判定する。この定位置判定値は、上述したように、払出制御内蔵ROMに記憶されており、本実施形態では、「00001111B(「B」はビットを表す。)」であり、上位4ビットのB7〜B4が値0、下位4ビットのB3〜B0が値1となっている。ステップS772の判定では、回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTの下位4ビットB3〜B0と定位置判定値の下位4ビットB3〜B0とが一致しているか否かの判定を行う。
ステップS772で、ステップS770で読み出した回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTの下位4ビットB3〜B0と定位置判定値の下位4ビットB3〜B0とが一致しているときには、不整合カウンタINCCに値1だけ足す(インクリメントする、ステップS774)。この不整合カウンタINCCは、図71に示した、払出回転体748の凹部748aに受け止められて払い出された遊技球の球数と、計数スイッチ751で検出された球数と、の差を算出するためのカウンタであり、通常、払出回転体748の凹部748aに受け止められて払い出された遊技球の球数と、計数スイッチ751で検出された球数と、が一致しているため、値0となる。払出制御MPU4120aは、図135に示した払出設置処理において、リトライ動作を行うため、このリトライ動作によって、払出回転体748の凹部748aに受け止められて払い出された遊技球の球数と、実際に計数スイッチ751で検出された球数と、の不一致によるつじつまの合わない遊技球の払い出しを、繰り返し行っているか否かを不整合カウンタINCCで監視して判断している。なお、不整合カウンタINCCは、払出制御内蔵RAMの賞球情報記憶領域に記憶されている。ステップS774では、この賞球情報記憶領域に記憶されている不整合カウンタINCCをインクリメントしている。
ステップS774に続いて、又はステップS772で、ステップS770で読み出した回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTの下位4ビットB3〜B0と定位置判定値の下位4ビットB3〜B0とが一致していないときには、計数スイッチ751からの検出信号があるか否かを判定する(ステップS776)。この判定は、図125に示した払出制御部電源投入時処理(払出制御部メイン処理)におけるステップS780のポート入力処理で計数スイッチ751からの検出信号に基づいて行う。具体的には、その検出信号は、上述したように、入力情報として上述した払出制御内蔵RAMの入力情報記憶領域に記憶されている。ステップS776では、この入力情報記憶領域から入力情報を読み出して計数スイッチ751からの検出信号があるか否かの判定を行う。
ステップS776で計数スイッチ751からの検出信号があるときには、払出制御内蔵RAMの賞球情報記憶領域に記憶されている不整合カウンタINCCから値1だけ引く(デクリメントし、ステップS778)。
ステップS778に続いて、又はステップS776で計数スイッチ751からの検出信号がないときには、不整合カウンタINCCの値が不整合しきい値INCTHより小さいか否かの判定する(ステップS780)。本発明のパチンコ遊技機1では、リトライ動作によるつじつまの合わない遊技球が1球払い出される確率が数百万分の1程度であることが実験によって得られており、本実施形態では、不整合しきい値INCTHとして値5が設定されている。図125の払出制御部電源投入時処理におけるステップS530の払出制御内蔵RAMの作業領域を設定する処理において、上述したように、復電時に、払出制御内蔵RAMに記憶されている払出バックアップ情報である、賞球情報記憶領域に記憶されている不整合カウンタINCCに基づいてこのリトライ動作監視処理に使用する情報が設定される。この処理によって、例えば、瞬停又は停電しても、復電時における不整合カウンタINCC等の値を、払出バックアップ情報として記憶した、瞬停又は停電する直前における不整合カウンタINCC等の値に復元することができるようになっている。これにより、ステップS780の判定では、瞬停又は停電する直前まで行っていた、賞球装置740による遊技球の払出動作(リトライ動作)の監視を、復電時から継続することができるようになっている。このため、例えば、瞬停又は停電する直前において、ステップS780の判定で不整合カウンタINCCの値が不整合しきい値INCTHより小さいときには、リトライ動作が正常動作していると判断し、つまり賞球装置740による遊技球の払出動作が正常状態であると判断し、復電時においても、ステップS780の判定で賞球装置740による遊技球の払出動作が正常状態であると判断することができる。一方、ステップS780の判定で不整合カウンタINCCの値が不整合しきい値INCTHより小さくないときには、リトライ動作が異常動作していると判断し、つまり賞球装置740による遊技球の払出動作が異常状態であると判断し、復電時においても、ステップS780の判定で賞球装置740による遊技球の払出動作が異常状態であると判断することができる。
ステップS780で不整合カウンタINCCの値が不整合しきい値INCTHより小さいときには、そのままこのルーチンを終了する。一方、ステップS780で不整合カウンタINCCの値が不整合しきい値INCTHより小さくないとき、つまり不整合カウンタINCCの値が不整合しきい値INCTH以上であるときには、「リトライエラー」である旨を報知するために、払出制御基板4110に実装されているセグメント表示器であるエラーLED表示器860cに数字「5」を表示するリトライエラー情報を設定して上述した払出制御内蔵RAMの状態情報記憶領域にセット(記憶)する(ステップS782)。
ステップS782に続いて、払出制御内蔵RAMの賞球情報記憶領域に記憶されている不整合カウンタINCCに値0(初期値0)をセットする(ステップS784)。ステップS784では、不整合カウンタINCCは、ステップS780で不整合カウンタINCCの値が不整合しきい値INCTHより小さくないとき、つまり不整合カウンタINCCの値が不整合しきい値INCTH以上であるときには、この内的要因が発生したことを契機として初期化されるようになっている。なお、不整合カウンタINCCは、図97に示した主制御基板4100に実装されたRAMクリアスイッチ4100eが操作されると、この外的要因が発生したことを契機として初期化されるようになっている。RAMクリアスイッチ4100eが操作されると、図97に示した主制御基板4100の主制御MPU4100aは、上述したように、主制御内蔵RAMに記憶されている各種情報をすべて消去し、RAMクリア報知コマンドを、図97に示した周辺制御基板4140に出力する。これにより、図21に示したサイドスピーカ130,130、図29に示した右上部スピーカ222、図32に示した左上部スピーカ262や図78に示した下部スピーカ821からRAMクリア報知音が流れるようになっている。
ステップS784に続いて、リトライエラーフラグRTERR−FLGに値1をセットし(ステップS786)、このルーチンを終了する。このリトライエラーフラグRTERR−FLGは、リトライ動作が異常動作しているか否かを示すフラグであり、リトライ動作が異常動作しているとき値1、リトライ動作が異常動作していないとき(リトライ動作が正常動作している)とき値0にそれぞれ設定される。
なお、払出制御MPU4120aは、ステップS782で払出制御内蔵RAMの出力情報記憶領域にセット(記憶)したリトライエラー情報を、図125に示した払出制御部電源投入時処理(払出制御部メイン処理)におけるステップS566のコマンド送信処理でリトライエラーの状態コマンドを作成して主制御基板4100に送信し、同処理におけるステップS564のLED表示データ作成処理でエラーLED表示器860cに表示する表示データを作成してLED表示情報として出力情報記憶領域に記憶し、同処理におけるステップS548のポート出力処理で出力情報記憶領域に記憶されたLED表示情報に基づいてエラーLED表示器860cに駆動信号を出力し、このエラーLED表示器860cに数字「5」を表示する。状態コマンドを受信した主制御基板4100は、図122に示した主制御側タイマ割り込み処理におけるステップS92の周辺制御基板コマンド送信処理で周辺制御基板4140に送信し、周辺制御基板4140は、扉枠5に設けた各種装飾基板の複数のLEDを所定の色(本実施形態では、赤色)で発光させる、点灯信号を出力する扉枠側点灯点滅コマンドを図100に示した枠装飾駆動アンプ基板194に出力し、複数のLEDを所定の色で発光させる。この複数のLEDの発光に気付いたホールの店員等は、上述したように、本体枠3を外枠2に対して開放することで払出制御基板4110に実装されたエラーLED表示器860cに数字「5」が表示されることを目視することによって「リトライエラー」が発生していることを確認することができる。これにより、ホールの店員等は、その発生原因を調べるために、計数スイッチ751の不具合や、計数スイッチ751からの払出制御基板4110まで亘る各種ハーネスの断線、各種コネクタの接触不良等の確認作業を、複数のLEDの発光とエラーLED表示器860cの表示内容とが報知されない場合と比べると、極めて早く行うことができる。
また、計数スイッチ751を意図的に非作動状態とすることによって、払出回転体748の凹部748aに受け止められて払い出された遊技球を検出困難として上述したリトライ動作を強制的に発生させて、このリトライ動作によって払い出される遊技球を不正に獲得する不正行為が行われたとしても、上述した不整合カウンタINCCの値が不整合しきい値INCTH以上となると、扉枠5に設けた各種装飾基板の複数のLEDが発光するため、ホールの店員等がパチンコ遊技機1の状態を確認するために駆け付けることとなる。そうすると、不正行為を行う遊技者は、その行為が発見されないように中断せざるを得なくなり、不正行為による不正な遊技球を継続して獲得することができない。不整合カウンタINCCの値が不整合しきい値INCTHと一致しても、不正行為を行う遊技者が獲得できる遊技球の球数は不整合しきい値INCTHと同一となるため、つまり5球であるため、計数スイッチ751を意図的に非作動状態とする行為によるホールの損害を極めて小さく抑えることができる。
更に、不整合カウンタINCCは、上述したように、ステップS780で不整合カウンタINCCの値が不整合しきい値INCTHより小さくないとき、つまり不整合カウンタINCCの値が不整合しきい値INCTH以上となったという内的要因が発生したことを契機として初期化されるようになっている。これにより、不整合カウンタINCCは、例えば、図98に示したエラー解除スイッチ860aを操作したという外的要因が発生したことを契機として初期化されないようになっている。したがって、エラー解除スイッチ860a等を不正に改造して、その操作信号が払出制御MPU4120aに入力されるようにしても、このような不正行為によって、不整合カウンタINCCが強制的に初期化されることがない。
[13−11.不整合カウンタリセット判定処理]
次に、不整合カウンタリセット処理について説明する。この不整合カウンタリセット処理では、図71に示した、払出回転体748の凹部748aに受け止められて払い出された遊技球の球数と、計数スイッチ751で検出された球数と、の差を算出する不整合カウンタINCCを、リセットするか否かを判定する処理である。
不整合カウンタリセット判定処理が開始されると、払出制御基板4110における払出制御部4120の払出制御MPU4120aは、図139に示すように、不整合カウンタリセット判定時間が経過したか否かを判定する(ステップS790)。この判定は、図125に示した払出制御部電源投入時処理(払出制御部メイン処理)におけるステップS552のタイマ更新処理で更新された不整合カウンタリセット判定時間に基づいて行う。具体的には、その不整合カウンタリセット判定時間は、時間管理情報として上述した払出制御内蔵RAMの時間管理情報記憶領域に記憶されている。ステップS790では、この時間管理情報記憶領域から時間管理情報を読み出して不整合カウンタリセット判定時間が経過したか否かを判定する。
ステップS790で不整合カウンタリセット判定時間が経過していないときには、そのままこのルーチンを終了する。一方、ステップS790で不整合カウンタリセット判定時間が経過したときには、不整合カウンタリセット判定時間の初期化を行う(ステップS792)。この初期化によって、不整合カウンタリセット判定時間に初期値である7000s(約2時間)がセットされる。
ステップS792に続いて、上述した払出制御内蔵RAMの賞球情報記憶領域に記憶されている不整合カウンタINCCに値0(初期値0)をセットし(ステップS794)、このルーチンを終了する。不整合カウンタINCCは、上述したように、払出回転体748の凹部748aに受け止められて払い出された遊技球の球数と、計数スイッチ751で検出された球数と、の差を算出するためのカウンタであり、通常、払出回転体748の凹部748aに受け止められて払い出された遊技球の球数と、計数スイッチ751で検出された球数と、が一致しているため、値0となる。払出制御MPU4120aは、図135に示した払出設置処理において、リトライ動作を行うため、このリトライ動作によって、払出回転体748の凹部748aに受け止められて払い出された遊技球の球数と、実際に計数スイッチ751で検出された球数と、の不一致によるつじつまの合わない遊技球の払い出しを、繰り返し行っているか否かを不整合カウンタINCCで監視して判断している。本発明のパチンコ遊技機1では、リトライ動作によるつじつまの合わない遊技球が1球払い出される確率が数百万分の1程度であることが実験によって得られている。ここで、パチンコ遊技機1は、上述したように、遊技盤4と、遊技盤4が装着される本体枠3等の枠体と、からなり、遊技盤4を交換(新台入替)することにより遊技仕様を変更できるように構成されているため、図70に示した賞球装置740を制御する払出制御基板4110、賞球装置740の駆動電源や払出制御基板4110の制御電源を生成する図78に示した電源基板851は、共通の機能として枠体側に装備されている。払出制御基板4110における払出制御部4120の払出制御MPU4120aは、上述したように、不整合カウンタINCCを監視することによって、リトライ動作を繰り返し行っているか否かの異常動作を判定することができるようになっており、図125に示した払出制御部電源投入時処理における払出制御部電源断時処理では電源遮断時に遮断直前の不整合カウンタINCCを記憶する一方、図124に示した払出制御部電源投入時処理におけるステップS530の処理(RAM作業領域の復電時設定)では電源投入時にその記憶した不整合カウンタINCCから再び処理を開始するようになっている。そうすると、電源を遮断してパチンコ遊技機1に装着されている遊技盤4から、この遊技盤4と異なる他の遊技仕様の遊技盤4’に交換して電源を投入する場合には、払出制御基板4110における払出制御部4120の払出制御MPU4120aは、遊技盤4がパチンコ遊技機1に装着されたときに記憶された不整合カウンタINCCから再び処理を開始することとなる。つまり、遊技盤4’が装着されたパチンコ遊技機1を遊技者が遊技すると、交換前の遊技盤4が装着されたパチンコ遊技機1における不整合カウンタINCCをそのまま受け継ぐこととなる。このため、遊技盤4’が装着されたパチンコ遊技機1を遊技者が遊技して、たまたま数百万分の1という確率で、つじつまの合わない遊技球の球数が生じて不整合カウンタINCCが増加し、この不整合カウンタINCCが上述した不整合しき値INCTH以上となると、遊技盤4から遊技盤4’に交換して短い期間で、払出制御MPU4120aによって、リトライ動作の異常動作として判定されるおそれがある。つまり、遊技盤4から遊技盤4’に交換されてから間もない期間で、計数スイッチ751の不具合や、計数スイッチ751からの払出制御基板4110まで亘る各種ハーネスの断線、各種コネクタの接触不良等が生じていないにもかかわらず、突然、リトライ動作の異常動作として判定されるおそれがある。このように、遊技盤4から遊技盤4’に交換して短い期間でリトライ動作の異常動作として判定されると、交換された遊技盤4’は新しいにもかかわらず、故障しやすいという印象を遊技者に与えかねない。リトライ動作によるつじつまの合わない遊技球が1球払い出される数百万分の1という確率は、本発明のパチンコ遊技機1をホールに設置して、1週間、ホールの営業時間中、連続稼働させた場合における、リトライ動作によるつじつまの合わない遊技球が1球払い出される確率と同一であるため、図138に示したリトライ動作監視処理におけるステップS778の処理で不整合カウンタINCCから数百万分の1の確率で値1だけ引かれない状態となる。そうすると、1週間では不整合カウンタINCCに値1がインクリメントされて不整合カウンタINCCが値1となり、2週間では不整合カウンタINCCにさらに値1がインクリメントされて不整合カウンタINCCが値2となり、3週間では不整合カウンタINCCにさらに値1がインクリメントされて不整合カウンタINCCが値3となり、4週間では不整合カウンタINCCにさらに値1がインクリメントされて不整合カウンタINCCが値4となり、5週間では不整合カウンタINCCにさらに値1がインクリメントされて不整合カウンタINCCが値5となって上述した不整合しきい値INCTHと一致することとなる。つまり5週間が経過すると、不整合カウンタINCCが不整合しきい値INCTHと一致するために、払出制御MPU4120aは、図138に示したリトライ動作監視処理におけるステップS776の判定で、計数スイッチ751からの検出信号がないものとして判定することとなり、計数スイッチ751の不具合や、計数スイッチ751からの払出制御基板4110まで亘る各種ハーネスの断線、各種コネクタの接触不良等が生じていると判断して、図138に示したリトライ動作監視処理におけるステップS782の処理で、「リトライエラー」である旨を報知するために、払出制御基板4110に実装されているセグメント表示器であるエラーLED表示器860cに数字「5」を表示するリトライエラー情報を設定して払出制御内蔵RAMの状態情報記憶領域にセット(記憶)することとなる。
そこで、払出制御MPU4120aは、この不整合カウンタリセット判定処理におけるステップS790の判定で不整合カウンタリセット判定時間が経過したと判定したときには、つまり7000s(約2時間)ごとに、繰り返し、不整合カウンタリセット判定処理におけるステップS794の処理で不整合カウンタINCCに値0を強制的にセット、つまり強制的にリセットすることによって、上述した数百万分の1という確率で発生する不整合カウンタINCCのインクリメントを無効化している。これにより、計数スイッチ751の不具合や、計数スイッチ751からの払出制御基板4110まで亘る各種ハーネスの断線、各種コネクタの接触不良等が生じていないにもかかわらず、リトライ動作にエラーが生じている旨を伝えるリトライエラー情報を払出制御内蔵RAMの状態情報記憶領域にセット(記憶)することを防止することができる。
なお、計数スイッチ751を意図的に非作動状態とすることによって、払出回転体748の凹部748aに受け止められて払い出された遊技球を検出困難として上述したリトライ動作を強制的に発生させ、このリトライ動作によって払い出される遊技球を不正に獲得する不正行為が行われても、計数スイッチ751を意図的に短時間繰り返し非作動状態とする場合では、上述したように、不整合カウンタINCCの値が不整合しきい値INCTH以上となると、扉枠5に設けた各種装飾基板の複数のLEDが発光するため、ホールの店員等がパチンコ遊技機1の状態を確認するために駆け付けることとなる。そうすると、不正行為を行う遊技者は、その行為が発見されないように中断せざるを得なくなり、不正行為による不正な遊技球を継続して獲得することができない。一方、不整合カウンタINCCの値が不整合しきい値INCTH以上とならないよう計数スイッチ751を意図的に長時間繰り返し非作動状態する場合では、7000s(約2時間)ごとに、不整合カウンタINCCがリセットされるものの、この間に、不正行為を行う遊技者が獲得できる遊技球の球数は、上述したように、不整合カウンタINCCが不整合しきい値INCTHまでであり、計数スイッチ751を意図的に長時間繰り返し非作動状態としても、不正行為を行う遊技者が獲得できる遊技球の球数を極めて少なくすることができる。
[13−12.エラー解除スイッチ操作判定処理]
次に、エラー解除スイッチ操作判定処理について説明する。このエラー解除スイッチ操作判定処理では、図98に示したエラー解除スイッチ860aが操作されているか否かを判定する。
エラー解除スイッチ操作判定処理が開始されると、払出制御基板4110における払出制御部4120の払出制御MPU4120aは、図140に示すように、エラー解除スイッチ860aが操作されているか否かを判定する(ステップS800)。この判定は、図125に示した払出制御部電源投入時処理(払出制御部メイン処理)におけるステップS550のポート入力処理でエラー解除スイッチ860aからの検出信号に基づいて行う。具体的には、その検出信号は入力情報として上述した払出制御内蔵RAMの入力情報記憶領域に記憶されている。ステップS800では、この入力情報記憶領域から入力情報を読み出してエラー解除スイッチ860aからの検出信号があるか否かの判定を行う。入力情報にエラー解除スイッチ860aからの検出信号があるときには、エラー解除スイッチ860aが操作されていると判定する。一方、入力情報にエラー解除スイッチ860aからの検出信号がないときには、エラー解除スイッチ860aが操作されていないと判定する。
ステップS800でエラー解除スイッチ860aが操作されていないときには、そのままこのルーチンを終了する一方、ステップS800でエラー解除スイッチ860aが操作されているときには、エラーフラグ状態確認処理を行う(ステップS802)。このエラーフラグ状態判定処理では、図70に示した賞球装置740に関する各種エラー情報に対応するエラーフラグの状態を確認する。例えば、リトライ動作が異常動作しているか否かを示すリトライエラーフラグRTERR−FLGの状態を確認する。このリトライエラーフラグRTERR−FLGは、上述したように、リトライ動作が異常動作しているとき値1、リトライ動作が異常動作していないとき(リトライ動作が正常動作している)とき値0にそれぞれ設定されるため、払出制御MPU4120aは、リトライエラーフラグRTERR−FLGの値が値0であるか、又は値1であるか、を確認している。
ステップS802に続いて、状態情報設定処理を行う(ステップS804)。この状態情報設定処理では、ステップS802で確認したエラーフラグに基づいて、エラーフラグの状態が、エラーが生じている旨を示すものである場合には、そのエラーフラグに対応する状態情報を、上述した払出制御内蔵RAMの状態情報記憶領域にセット(記憶)する。これにより、図125に示した払出制御部電源投入時処理(払出制御部メイン処理)におけるステップS566のコマンド送信処理で、状態情報記憶領域から各種情報(状態情報)を読み出し、この読み出した状態情報に基づいて状態コマンドを作成して主制御基板4100に送信することとなる。例えば、上述したリトライ動作が異常動作しているか否かを示すリトライエラーフラグRTERR−FLGが値1であるとき、つまりリトライ動作が異常動作しているときには、リトライ動作にエラーが生じている旨を伝えるリトライエラー情報を、払出制御内蔵RAMの状態情報記憶領域にセット(記憶)すると、図125に示した払出制御部電源投入時処理(払出制御部メイン処理)におけるステップS566のコマンド送信処理で、リトライエラーの状態コマンドを作成して主制御基板4100に送信することとなる。
なお、リトライエラー情報を受信した主制御基板4100は、図122に示した主制御側タイマ割り込み処理におけるステップS92の周辺制御基板コマンド送信処理で周辺制御基板4140に送信し、周辺制御基板4140は、リトライ動作にエラーが生じている旨を伝えるリトライ動作エラー報知処理を行う。このリトライ動作エラー報知処理では、「賞球ユニットを確認してください。」、そして「払出制御基板のハーネスを確認してください。」のリトライ動作のエラー報知アナウンスを、所定回数(本実施形態では、2回。)繰り返し図21に示したサイドスピーカ130,130、図29に示した右上部スピーカ222、図32に示した左上部スピーカ262や図78に示した下部スピーカ821から流れることによって、ホールの店員等に報知するようになっている。このリトライ動作のエラー報知アナウンスを聞いたホールの店員等は、図70に示した計数スイッチ751の不具合や、計数スイッチ751からの払出制御基板4110まで亘る各種ハーネスの断線、各種コネクタの接触不良等を、サイドスピーカ130,130、右上部スピーカ222、左上部スピーカ262、及び下部スピーカ821からリトライ動作のエラー報知アナウンスが流れない場合と比べると、極めて早く確認することができる。またリトライ動作エラー報知処理では、扉枠5に設けた各種装飾基板の複数のLEDを所定の色(本実施形態では、赤色)で発光させている。
ステップS804に続いて、解除設定処理を行う(ステップS806)。この解除設定処理では、ステップS802で確認した各種エラー情報に対応するエラーフラグに基づいて、エラーフラグの状態が、エラーが生じている旨を示すものである場合には、そのエラーフラグに対応するエラーが既に払出制御基板4110に実装されているセグメント表示器であるエラーLED表示器860cによって表示されている内容を強制的に停止したり、球貸しができる状態となっている旨をCRユニット6に伝えるために、上述したPRDY信号の論理をHI、つまり立ち上げた状態を保持し、図98に示した、払出制御部4120の払出制御I/Oポート4120bから遊技球等貸出装置接続端子板869を介してCRユニット6に出力したりする。例えば、上述したリトライ動作が異常動作しているか否かを示すリトライエラーフラグRTERR−FLGが値1であるとき、つまりリトライ動作が異常動作しているときには、既にエラーLED表示器860cによって表示されている「リトライエラー」である旨を報知する数字「5」を強制的に停止するために、上述した払出制御内蔵RAMの状態情報記憶領域に記憶されているリトライエラー情報を、「正常」である旨を報知する図形「−」が表示される情報に強制的に上書きする。また、球貸しができる状態となっている旨をCRユニット6に伝えるために、PRDY信号の論理をHI、つまり立ち上がった状態を保持し、払出制御I/Oポート4120bから遊技球等貸出装置接続端子板869を介してCRユニット6に出力する。
ステップS806に続いて、エラーフラグ初期化処理を行い(ステップS808)、このルーチンを終了する。このエラーフラグ初期化処理では、ステップS802で確認した各種エラー情報に対応するエラーフラグに基づいて、エラーフラグの状態が、エラーが生じている旨を示すものである場合には、そのエラーフラグを初期化する。例えば、上述したリトライ動作が異常動作しているか否かを示すリトライエラーフラグRTERR−FLGが値1であるとき、つまりリトライ動作が異常動作しているときには、リトライエラーフラグRTERR−FLGに値0をセットして初期化する。このとき、上述した、PRDY信号の論理をHI、つまり立ち上がった状態を保持し、このPRDY信号の論理の状態をPRDY信号出力設定情報に設定してCR通信情報記憶領域に記憶する。これにより、図125の払出制御部電源投入時処理の払出制御部メイン処理におけるステップS554のCR通信処理で、払出制御内蔵RAMに記憶されているCR通信情報記憶領域からPRDY信号出力設定情報を読み出してこの読み出したPRDY信号出力設定情報、つまり論理がLOWであるPRDY信号を、払出制御I/Oポート4120bから遊技球等貸出装置接続端子板869を介してCRユニット6に出力する。このように、リトライエラーフラグRTERR−FLGは、図138に示したリトライ動作監視処理におけるステップS780の判定で、不整合カウンタINCCの値が不整合しきい値INCTH以上であるときには、この内的要因が発生したことを契機として同処理のステップS786の処理でリトライエラーフラグRTERR−FLGに値1がセットされる一方、エラー解除スイッチ860aが操作されると、これを契機として、つまりこの外的要因が発生したことを契機としてリトライエラーフラグRTERR−FLGに値0がセットされて初期化されるようになっている。なお、リトライエラーフラグRTERR−FLGは、図97に示した、主制御基板4100に実装されたRAMクリアスイッチ4100eが操作されると、これを契機として、つまりエラー解除スイッチ860aが操作された場合と同様に、この外的要因が発生したことを契機として初期化されるようになっている。
[13−13.CRユニットとの各種信号のやり取り]
次に、図125の払出制御部電源投入時処理の払出制御部メイン処理におけるステップS554のCR通信処理についてタイミングチャートを用いて説明する。このCR通信処理では、図98に示した、払出制御基板4110とCRユニット6との各種信号のやり取りを行う。まず、球貸しによる払出動作時の信号処理について説明し、続けてCRユニット6からの入力信号確認処理について説明する。ここでは、金額として200円分の遊技球の球数(本実施形態では、50球であり、金額として100円分の25球の払出動作を2回行っている。)を貸球数として、図19に示した、上皿301や下皿302に払い出す場合について説明する。なお、CRユニット6からのBRQ信号、BRDY信号及びCR接続信号は、払出制御内蔵RAMの入力情報記憶領域から入力情報を読み出してこの読み出した入力情報に記憶されているものであり、CR通信処理は、割り込みタイマ周期である1.75msごとに、入力情報からBRQ信号、BRDY信号及びCR接続信号の論理の状態を確認している。
[13−13−1.球貸しによる払出動作時の信号処理]
払出制御基板4110における払出制御部4120の払出制御MPU4120aは、払出制御内蔵RAMのCR通信情報記憶領域からPRDY信号出力設定情報を読み出してこの読み出したPRDY信号出力設定情報が、貸球を払い出すための払出動作が可能状である旨を伝えるPRDY信号の論理の状態に設定されている場合には、図141(d)に示すように、貸球を払い出すための払出動作が可能である旨を伝えるために、PRDY信号の論理をHIとして、つまり立ち上げて保持して払出制御部4120の払出制御I/Oポート4120bから出力し、PRDYとして、遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、CRユニット6に出力する(タイミングH0)。この状態で、例えば遊技者によって図17に示した貸球ユニット360の貸球ボタン361が押圧操作されると、球貸スイッチ365bのスイッチが入る(ONする)ようになっており、この球貸操作信号が図99に示したTDSとして度数表示板365から遊技球等貸出装置接続端子板869を介してCRユニット6に入力される。このTDSが入力されたCRユニット6は、金額として200円分の遊技球の球数を貸球数として上皿301や下皿302に払い出すため、図141(a)に示すように、貸球要求信号であるBRDYを、CRユニット6から遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、払出制御基板4110(払出制御MPU4120a)に出力し、その信号を立ち上げて保持する(タイミングH1)。このBRDYは、BRDY信号として払出制御I/Oポート4120bに入力される。
このBRDY信号が入力された払出制御MPU4120aは、図141(b)に示すように、タイミングH1から貸出要望監視時間HA(本実施形態では、20ミリ秒(ms)〜58msに設定されている。)が経過するまでに、CRユニット6から遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、1回の払出動作で所定の貸球数(本実施形態では、25球であり、金額として100円に相当する。)を払い出すための1回の払出動作開始要求信号であるBRQが立ち上がるか否かを監視する。
CRユニット6は、金額として200円分の遊技球の球数のうち、まず100円分の遊技球の球数を貸球数として上皿301や下皿302に払い出すため、図141(b)に示すように、タイミングH1から貸出要望監視時間HAが経過するまでに、BRQを、CRユニット6から遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、CRユニット6に出力し、その信号を立ち上げて保持する(タイミングH2)。このBRQは、BRQ信号として払出制御I/Oポート4120bに入力される。
払出制御MPU4120aは、図141(c)に示すように、タイミングH1から貸出要望監視時間HAが経過するまでにBRQ信号が立ち上がると、タイミングH2からBRQ要望了解ACK監視時間HB(本実施形態では、20ms±1msに設定されている。)が経過するまでに、1回の払出動作を開始した旨を伝えるために、EXS信号の論理をHIとして、つまり立ち上げた状態を保持して払出制御I/Oポート4120bから出力し、EXSとして、遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、CRユニット6に出力する(タイミングH3)。
このEXSが入力されたCRユニット6は、図141(b)に示すように、タイミングH3から貸出指示監視時間HC(本実施形態では、20ms〜58msに設定されている。)が経過するまでに、タイミングH2から立ち上げて保持したBRQを、CRユニット6から遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、払出制御基板4110に出力し、その信号を立ち下げて保持する(タイミングH4)。
払出制御MPU4120aは、図141(c)に示すように、タイミングH4から払出監視時間HD(本実施形態では、球払出時間に設定されている。)が経過するまでに、1回の払出動作を行って所定の貸球数だけ、つまり100円分の遊技球の球数を貸球数として上皿301や下皿302に払い出す。そして払出監視時間HDが経過すると、タイミングH3から立ち上げて保持したEXS信号を、その論理をLOWとして、つまり立ち下げた状態に保持して払出制御I/Oポート4120bから出力し、EXSとして、遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、CRユニット6に出力する(タイミングH5)。
CRユニット6は、金額として200円分の遊技球の球数のうち、残り100円分の遊技球の球数を貸球数として上皿301や下皿302に払い出すため、図141(b)に示すように、タイミングH5から次要求確認タイミングHE(本実施形態では、最大268msに設定されている。)が経過するまでに、BRQを、CRユニット6から遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、払出制御基板4110(払出制御MPU4120a)に出力し、その信号を立ち上げて保持する(タイミングH6)。
払出制御MPU4120aは、上述した方法を用いて同様に、残り100円分の遊技球の球数を貸球数として上皿301や下皿302に払い出すと、図141(c)に示すように、立ち上げて保持したEXS信号を、その論理をLOWとして、つまり立ち下げた状態に保持して払出制御I/Oポート4120bから出力し、EXSとして、遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、CRユニット6に出力する(タイミングH7)。
CRユニット6は、タイミングH7からCRユニット貸出完了監視時間HF(本実施形態では、最大268msに設定されている。)が経過するまでに、図141(a)に示すように、タイミングH1から立ち上げて保持したBRDYを、CRユニット6から遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、払出制御基板4110(払出制御MPU4120a)に出力し、その信号を立ち下げて保持する(タイミングH8)。
上述した、貸出要望監視時間HA、BRQ要望了解ACK監視時間HB、貸出指示監視時間HC、払出監視時間HD、次要求確認タイミングHE、CRユニット貸出完了監視時間HFは、図125に示した払出制御部電源投入時処理(払出制御部メイン処理)におけるステップS552のタイマ更新処理で計時されている。
なお、払出制御MPU4120aは、球切れ、球がみ、計数スイッチエラー、リトライエラー、満タン等が生じているとき場合には、CRユニット6と通信中でないとき(CRユニット6からのBRDYの論理がLOW、つまり立ち下がって保持されているとき)には、図141(d)に示すように、タイミングH1から立ち上げて保持したPRDY信号を、その論理をLOWとして、つまり立ち下げた状態に保持して払出制御I/Oポート4120bから出力し、PRDYとして、遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、CRユニット6に出力する(タイミングH9)。一方、CRユニット6と通信中であるとき(CRユニット6からのBRDYの論理がHI、つまり立ち上がって保持されているとき)には、図示しないが、EXS信号の論理の状態を維持し、払出制御I/Oポート4120bから出力し、EXSとして、遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、CRユニット6に出力する。「EXS信号の論理の状態を維持」とは、EXS信号の論理がLOWである(EXS信号が立ち下がって保持されている)ときにはその論理LOWを維持し、EXS信号の論理がHIである(EXS信号が立ち上がっている保持されている)ときにはその論理HIを維持することである。
このように、CRユニット6は、払出制御基板4110における払出制御部4120の払出制御MPU4120aと各種信号のやり取りを行い、払出制御MPU4120aが金額として200円分の遊技球の球数を、金額として100円分の25球の払出動作を2回行うことによって、貸球数が50球となる遊技球を上皿301や下皿302に払い出している。なお、CRユニット6の正面側に設けられている、図示しない設定部をホールの店員等が操作して、例えば、金額として100円分の遊技球の球数を貸球数として上皿301や下皿302に払い出すように設定した場合には、払出制御MPU4120aが金額として100円分の25球の払出動作を1回行い、金額として500円分の遊技球の球数を貸球数として上皿301や下皿302に払い出すように設定した場合には、払出制御MPU4120aが金額として100円分の25球の払出動作を5回行い、金額として1000円分の遊技球の球数を貸球数として上皿301や下皿302に払い出すように設定した場合には払出制御MPU4120aが金額として100円分の25球の払出動作を10回行うこととなる。
[13−13−2.CRユニットからの入力信号確認処理]
払出制御基板4110における払出制御部4120の払出制御MPU4120aは、上述した貸出要望監視時間HAが経過しても、CRユニット6がBRQを、CRユニット6から遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、払出制御基板4110に出力し、その信号を立ち上げていない場合や、上述した貸出指示監視時間HCが経過しても、CRユニット6がBRDYを、CRユニット6から遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、払出制御基板4110に出力し、その信号を立ち下げていない場合や、上述した次要求確認タイミングHEが経過しても、CRユニット6がBRQを、CRユニット6から遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、払出制御基板4110に出力し、その信号を立ち上げていない場合や、上述したCRユニット貸出完了監視時間HFが経過しても、CRユニット6がBRDYを、CRユニット6から遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、払出制御基板4110に出力し、その信号を立ち下げていない場合には、上述した、PRDY及びEXSを用いて、BRQ及びBRDYが正常であるか否かの確認を行う。具体的には、払出制御MPU4120aは、図141(e),(f)に示すように、BRQ及びBRDYが正常でないと判断すると(タイミングJ0)、このタイミングJ0から所定期間JA(本実施形態では、200ms±1msに設定されている。)の経過後に、PRDY信号の論理をLOWとして、つまり立ち下げた状態を保持して払出制御部4120の払出制御I/Oポート4120bから出力し、PRDYとして、遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、CRユニット6に出力し、EXS信号の論理をLOWとして、つまり立ち下げた状態を保持して払出制御I/Oポート4120bから出力し、EXSとして、遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、CRユニット6に出力する(タイミングJ1)。
続いて払出制御MPU4120aは、タイミングJ1から所定期間JB(本実施形態では、200ms±1msに設定されている。)の経過後に、タイミングJ1から立ち下げて保持したPRDY信号を、その論理をHIとして、つまり立ち上げた状態に保持して払出制御I/Oポート4120bから出力し、PRDYとして、遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、CRユニット6に出力する(タイミングJ2)。
続いて払出制御MPU4120aは、タイミングJ2から所定期間JC(本実施形態では、100ms±1msに設定されている。)の経過後に、タイミングJ2から立ち上げて保持したPRDY信号を、その論理をLOWとして、つまり立ち下げた状態に保持して払出制御I/Oポート4120bから出力し、PRDYとして、遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、CRユニット6に出力する(タイミングJ3)。
続いて払出制御MPU4120aは、タイミングJ3から所定期間JD(本実施形態では、100ms±1msに設定されている。)の経過後に、タイミングJ3から立ち下げて保持したPRDY信号を、その論理をHIとして、つまり立ち上げた状態に保持して払出制御I/Oポート4120bから出力し、PRDYとして、遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、CRユニット6に出力する(タイミングJ4)。
続いて払出制御MPU4120aは、タイミングJ4から所定期間JE(本実施形態では、100ms±1msに設定されている。)の経過後に、タイミングJ4から立ち上げて保持したPRDY信号を、その論理をLOWとして、つまり立ち下げた状態に保持して払出制御I/Oポート4120bから出力し、PRDYとして、遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、CRユニット6に出力する(タイミングJ5)。
続いて払出制御MPU4120aは、タイミングJ5から所定期間JF(本実施形態では、10000ms±1msに設定されている。)の経過後に、タイミングJ5から立ち下げて保持したPRDY信号を、その論理をHIとして、つまり立ち上げた状態に保持して払出制御I/Oポート4120bから出力し、PRDYとして、遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、CRユニット6に出力する(タイミングJ6)。
上述した、所定期間JA〜所定期間JFは、図125に示した払出制御部電源投入時処理(払出制御部メイン処理)におけるステップS552のタイマ更新処理で計時されている。
[14.周辺制御基板の各種制御処理]
次に、図97に示した、主制御基板4100(主制御MPU4100a)から各種コマンドを受信する周辺制御基板4140の各種処理について、図142〜図146を参照して説明する。図142は周辺制御部電源投入時処理の一例を示すフローチャートであり、図143は周辺制御部2ms定常処理の一例を示すフローチャートであり、図144は周辺制御部ベースタイマ割り込み処理の一例を示すフローチャートであり、図145は周辺制御部コマンド受信割り込み処理の一例を示すフローチャートであり、図146は回転検出スイッチ履歴作成処理の一例を示すフローチャートである。
周辺制御基板4140は、図100に示したように、周辺制御部4150と液晶制御部4160とから構成されており、ここでは、周辺制御部4150の各種制御処理について説明する。まず、周辺制御部電源投入時処理について説明し、続いて周辺制御部2ms定常処理、周辺制御部ベースタイマ割り込み処理、周辺制御部コマンド受信割り込み処理、回転検出スイッチ履歴作成処理について説明する。なお、回転検出スイッチ履歴作成処理は、後述する周辺制御部2ms定常処理におけるステップS1056のスイッチ入力処理の一処理として行われる。
[14−1.周辺制御部の各種制御処理]
[14−1−1.周辺制御部電源投入時処理]
パチンコ遊技機1に電源が投入されると、図100に示した周辺制御部4150の周辺制御MPU4150aは、図142に示すように、周辺制御部電源投入時処理を行う。この周辺制御部電源投入時処理が開始されると、周辺制御MPU4150aは、初期設定処理を行う(ステップS1000)。この初期設定処理は、周辺制御MPU4150aを初期化する処理と、リセット後のウェイトタイマを設定する処理等を行う。なお、周辺制御MPU4150aは、この初期設定処理で、まず自身を初期化する処理を行うことによって、主制御基板4100から出力される、図117及び図118に示した、遊技演出の制御に関するコマンドやパチンコ遊技機1の状態に関するコマンド等の各種コマンドを受信することができる状態となっており、割り込み許可が設定された状態となっている。この周辺制御MPU4150aを初期化する処理にかかる時間は、マイクロ秒(μs)オーダーであり、極めて短い時間で周辺制御MPU4150aを初期化することができる。
ステップS1000に続いて、16ms経過フラグST−FLGが値1であるか否かを判定する(ステップS1002)。この16ms経過フラグST−FLGは、後述する周辺制御部2ms定常処理で16msを計時するフラグであり、16ms経過したとき値1、16ms経過していないとき値0にそれぞれ設定される。
ステップS1002で16ms経過フラグST−FLGが値1でない(値0である)ときには、再びステップS1002に戻って16ms経過フラグST−FLGが値1であるか否かを判定する。そして、ステップS1002で16ms経過フラグST−FLGが値1であるとき、つまり16ms経過したときには、16ms経過フラグST−FLGに値0をセットし(ステップS1004)、16ms処理中フラグSP−FLGに値1をセットする(ステップS1006)。この16ms処理中フラグSP−FLGは、周辺制御部16ms定常処理を開始するとき値1、終了するとき値0にそれぞれ設定される。
ステップS1006に続いて、周辺制御基板4140に設けられた図示しない外部ウォッチドックタイマ(周辺制御外部WDT)に外部WDTクリア信号を出力する(ONにする、ステップS1008)。この周辺制御外部WDTは、周辺制御MPU4150aの動作(システム)を監視するものであり、外部WDTクリア信号がクリア信号解除時間に停止されないときには周辺制御MPU4150aにリセットかける(周辺制御MPU4150aのシステムが暴走していないか定期的に診断している)。なお、周辺制御MPU4150aは、ステップS1008では、周辺制御外部WDTに外部WDTクリア信号をONするほかに、図101に示した周辺制御内蔵WDT4150afもクリアしている。このように、周辺制御MPU4150aは、周辺制御外部WDTと周辺制御内蔵WDT4150afとを併用して周辺制御MPU4150aのシステムが暴走していないか診断している。
ステップS1008に続いて、テストモードフラグSTM−FLGが値0であるか否かを判定する(ステップS1010)。このテストモードフラグSTM−FLGは、後述するコマンド解析処理で主制御基板4100(主制御MPU4100a)から受信したコマンドが図118に示したテスト関連に区分されるテストコマンドであるか否かを示すフラグであり、テストコマンドであるとき値1、テストコマンドでないとき値0に設定される。なお、ステップS1010では、16ms前に後述するコマンド解析処理で解析したコマンドに基づいて行う。
ステップS1010でテストモードフラグSTM−FLGが値0であるとき、つまり主制御基板4100(主制御MPU4100a)から受信したコマンドがテストコマンドでないときには、操作ユニット入力処理を行う(ステップS1012)。この操作ユニット入力処理では、図43に示した、操作ユニット400に設けられた、ダイヤル操作部401の回転(回転方向)を検出するための回転検出スイッチ432a,432bからの検出信号、及び押圧操作部405の操作を検出するための押圧検出スイッチ432cからの検出信号を、図100に示した枠装飾駆動アンプ基板194に設けた図示しない扉側シリアル送信回路でシリアル化され、このシリアル化された操作ユニット検出データTS−DATが扉側シリアル送信回路から、図100に示した、周辺扉中継端子板882、そして枠周辺中継端子板868を介して周辺制御MPU4150aの操作ユニット検出用シリアルI/Oポートに入力されているか否かを判定する。
ステップS1012に続いて、図100に示したランプ駆動基板4170へのDMAシリアル連続送信処理を行う(ステップS1014)。このランプ駆動基板4170へのDMAシリアル連続送信処理では、図101に示した周辺制御MPU4150aの周辺制御DMAコントローラ4150acを利用してランプ駆動基板用シリアルI/Oポート連続送信を行う。図101に示した周辺制御MPU4150aの周辺制御CPUコア4150aaは、後述するコマンド解析処理で主制御基板4100(主制御MPU4100a)から受信したコマンドに基づいて図95に示した遊技盤4に設けた各種装飾基板の複数のLEDへの点灯信号、点滅信号、又は階調点灯信号を出力するための遊技盤側発光データSL−DATを作成し、図101に示した、バス4150ahを介して、周辺制御内蔵RAM4150abのランプ駆動基板側送信データ領域4150abaにセットする。そして周辺制御CPUコア4150aaは、周辺制御DMAコントローラ4150acの要求要因にランプ駆動基板用シリアルI/Oポートの送信を指定し、ランプ駆動基板側送信データ領域4150abaの先頭アドレスに格納された遊技盤側発光データSL−DATのうちの最初の1バイトを、バス4150ahを介して、ランプ駆動基板用シリアルI/Oポートの送信バッファレジスタに転送して書き込む。これにより、ランプ駆動基板用シリアルI/Oポートは、この書き込まれた送信バッファレジスタのデータを送信シフトレジスタに転送し、遊技盤側発光クロック信号SL−CLKと同期して送信シフトレジスタの1バイトのデータを、1ビットずつ送信開始する。周辺制御DMAコントローラ4150acは、ランプ駆動基板用シリアルI/Oポートの送信割り込み要求が発生するごとに、これを契機として(本実施形態では、ランプ駆動基板用シリアルI/Oポートの送信バッファレジスタに書き込まれた1バイトのデータが送信シフトレジスタに転送され、その送信バッファレジスタに1バイトのデータがなくなって空となったことを契機としている。)、周辺制御CPUコア4150aaがバス4150ahを使用していない場合に、ランプ駆動基板側送信データ領域4150abaに格納された残りの遊技盤側発光データSL−DATを1バイトずつ、バス4150ahを介して、ランプ駆動基板用シリアルI/Oポートの送信バッファレジスタに転送して書き込むことで、ランプ駆動基板用シリアルI/Oポートは、この書き込まれた送信バッファレジスタのデータを送信シフトレジスタに転送し、遊技盤側発光クロック信号SL−CLKと同期して送信シフトレジスタの1バイトのデータを、1ビットずつ送信開始し、ランプ駆動基板用シリアルI/Oポートによる連続送信を行っている。なお、ステップS1014では、16ms前にコマンド解析処理で解析したコマンドに基づいて行う。
ステップS1014に続いて、音源IC4150cの初期化を行う(ステップS1016)。この音源IC4150cの初期化では、図示しないボリュームつまみのアナログ量を検出して、そのアナログ量に見合う音量が、図21に示したサイドスピーカ130,130、図29に示した右上部スピーカ222、図32に示した左上部スピーカ262や図78に示した下部スピーカ821から流れるように音源IC4150cのマスターボリューム値の設定等を行う。
ステップS1016に続いて、DSP−RUN信号が入力されているか否かを判定する(ステップS1018)。DSP−RUN信号は、図100に示した、液晶制御部4160のVDP4160cから入力され、VDP4160cが正常動作している旨を伝える信号である。なお、DSP−RUN信号の読み込みは、後述する周辺制御部2ms定常処理で行われ、ステップS1018の判定では、周辺制御部2ms定常処理で読み込まれたDSP−RUN信号に基づいて行う。
ステップS1018でDSP−RUN信号が入力されているとき、つまりVDP4160cが正常動作しているときには、RAM−CLR信号をVDP4160cに出力する(ONする、ステップS1020)。このRAM−CLR信号は、VDP4160cを強制的にリセットする信号であり、リセットしないときON、リセットするときOFFにする。
一方、ステップS1018でDSP−RUN信号が入力されていないとき、つまりVDP4160cが正常動作していないときには、又はステップS1020に続いて、コマンド解析処理を行う(ステップS1022)。このコマンド解析処理では、主制御基板4100からの各種コマンドを、後述する、周辺制御部コマンド受信割り込み処理で受信し、この受信した各種コマンドの解析を行う。各種コマンドには、図117に示した、特図1同調演出関連に区分される各種コマンド、特図2同調演出関連に区分される各種コマンド、大当り関連に区分される各種コマンド、電源投入に区分される各種コマンド、普図同調演出関連に区分される各種コマンド、普通電役演出関連に区分される各種コマンド、図118に示した、報知表示に区分される各種コマンド、状態表示に区分される各種コマンド、テスト関連に区分される各種コマンド及びその他に区分される各種コマンドがある。
ステップS1022に続いて、RAMクリア判定処理を行う(ステップS1024)。このRAMクリア判定処理では、ステップS1022のコマンド解析処理で解析したコマンドがRAMクリア報知コマンドであるか否かの判定を行い、解析したコマンドがRAMクリア報知コマンドであるときには、その旨の報知を行う。
ステップS1024に続いて、払出状態判定処理を行う(ステップS1026)。この払出状態判定処理では、ステップS1022のコマンド解析処理で解析したコマンドが図118に示した状態表示に区分される各種コマンドであるか否かの判定を行い、解析したコマンドが状態表示に区分される各種コマンドであるときには、その解析したコマンドに基づいて各種報知処理を行う。例えば、図53に示した扉枠5に設けた各種装飾基板の複数のLEDを所定の色で発光させる始動口入賞異常報知判定処理等を行う。
ステップS1026に続いて、演出選択スイッチメイン処理を行う(ステップS1028)。この演出選択スイッチメイン処理では、ステップS1012の操作ユニット入力処理の判定結果(具体的には、操作ユニット400のダイヤル操作部401や押圧操作部405からの検出信号の各履歴情報に基づく判定結果)に基づいて演出に関する各種処理を行う。
ステップS1028に続いて、スケジューラメイン処理を行う(ステップS1030)。このスケジューラメイン処理では、音源IC4150c、ランプ駆動基板4170、及び枠装飾駆動アンプ基板194を制御するための各種スケジューラをステップS1022で解析したコマンドに基づいて起動して音源IC4150c、ランプ駆動基板4170、及び枠装飾駆動アンプ基板194に関する各種データ(各種スケジュールデータ)を新たに設定したり、既に起動しているスケジューラに沿って設定した各種データを進行(ポインタを進行)させたりする。例えば、スケジューラメイン処理では、ステップS1022で解析した、特図1同調演出関連に区分される特図1同調演出開始コマンドに基づいて、図41に示したダイヤル操作部401を小刻みに時計回り、反時計回りさせてダイヤル操作部401がまるで振動しているかの状態を作り出す演出を実行すると決定した場合には、図43に示したダイヤル駆動モータ414の出力軸を1ステップだけ正転させる回転と逆転させる回転とを交互に繰り返し行うためのスケジューラを起動する。このスケジューラは、ダイヤル加振制御の開始時期、終了時期が規定されているものであり、周辺制御部4150の周辺制御ROM4150bに予め複数記憶され、ダイヤル駆動モータ414への駆動信号を出力するためのスケジュールデータが規定されている。起動したスケジューラに沿って周辺制御ROM4150bからスケジュールデータを抽出したり(この抽出したスケジュールデータは、ダイヤル駆動モータ駆動データを作成する際に使用される。)、またステップS1022で解析した、図118に示したその他に区分される始動口入賞コマンドに基づいて、図95に示した上始動口2101に遊技球が入球した旨や、図95に示した下始動口2102に遊技球が入球した旨を、図21に示したサイドスピーカ130,130、図29に示した右上部スピーカ222、図32に示した左上部スピーカ262や図78に示した下部スピーカ821から音声で報知するために、音源IC4150cに各種データ(各種スケジュールデータ)を設定したりする。またスケジューラメイン処理では、その一処理としてタイマ更新処理も含んでいる。このタイマ更新処理では、後述する周辺制御部16ms定常処理において使用される各種タイマの計時開始がセットされると、各種タイマの計時を開始したり、更新したりする処理を行う。
ステップS1030に続いて、図柄メイン処理を行う(ステップS1032)。この図柄メイン処理では、ステップS1022で解析したコマンドに基づいてVDP4160cに出力する制御データ(表示コマンド)の準備を行う。この表示コマンドは、図96に示した液晶表示装置1900に描画させる画面を示すものである。周辺制御MPU4150aは、表示コマンドを、周辺制御MPU4150aの周辺制御内蔵RAM4150abに設けた周辺制御部送信リングバッファに記憶する。この「周辺制御部送信リングバッファ」とは、バッファの最後と先頭が繋がっているように使われるバッファのことであり、バッファの先頭から順次データを記憶し、バッファの最後まできたら最初に戻って記憶する。
一方、ステップS1010でテストモードフラグSTM−FLGが値0でない(値1である)とき、つまり主制御基板4100(主制御MPU4100a)から受信したコマンドがテストコマンドであるときには、テストコマンド取得処理を行う(ステップS1034)。このテストコマンド取得処理では、ステップS1022のコマンド解析処理で解析したテストコマンドに基づいて、ランプ駆動基板4170、及び枠装飾駆動アンプ基板194の各種検査を行うための検査コマンドの準備を行うとともに、音源IC4150c、及び液晶制御部4160の各種検査を行うための制御データ(検査コマンド)の準備を行う。
ステップS1034に続いて、テスト処理を行う(ステップS1036)。このテスト処理では、ステップS1034のテストコマンド取得処理で準備した検査コマンドを、ランプ駆動基板4170、及び枠装飾駆動アンプ基板194に送信するとともに、ステップS1034のテストコマンド取得処理で準備した制御データ(検査コマンド)を、音源IC4150c、及び液晶制御部4160に出力する。
ステップS1032又はステップS1036に続いて、周辺制御外部WDTに外部WDTクリア信号の出力を停止する(OFFにする、ステップS1038)。これにより、周辺制御外部WDTをクリアし、周辺制御MPU4150aにリセットがかからないようにする。また周辺制御外部WDTは、外部WDTクリア信号の出力が停止されると、クリア信号解除時間の計時を開始する。なお、周辺制御MPU4150aは、ステップS1008でのみ周辺制御内蔵WDT4150afをクリアしており、16msごとに(後述する周辺制御部16ms定常処理が開始されるごとに)、周辺制御内蔵WDT4150afをクリアするようになっている。このように、周辺制御内蔵WDT4150afは、16msごとにクリアされないと、周辺制御MPU4150aにリセットをけるようになっている。なお、ステップS1008〜ステップS1038の処理を「周辺制御部16ms定常処理」という。
ステップS1038に続いて、16ms処理中フラグSP−FLGに値0(周辺制御部16ms定常処理の終了)をセットし(ステップS1040)、再びステップS1002に戻る。
ステップS1002に戻ると、16ms経過フラグST−FLGが値1であるか否かを判定し、この16ms経過フラグST−FLGが値1であるとき、つまり16ms経過したときには、ステップS1004で16ms経過フラグST−FLGに値0をセットし、ステップS1006で16ms処理中フラグSP−FLGに値1をセットし、ステップS1008〜ステップS1038の周辺制御部16ms定常処理を行い、ステップS1040で16ms処理中フラグSP−FLGに値0をセットし、再びステップS1002に戻る。一方、ステップS1002で16ms経過フラグST−FLGが値1でないとき、つまり16ms経過していないときには、再びステップS1002に戻る。
[14−1−2.周辺制御部2ms定常処理]
次に、周辺制御部2ms定常処理について説明する。この周辺制御部2ms定常処理が開始されると、周辺制御部4150の周辺制御MPU4150aは、図143に示すように、2ms経過フラグSTB−FLGが値1であるか否かを判定する(ステップS1050)。この2ms経過フラグSTB−FLGは、後述する周辺制御部ベースタイマ割り込み処理で2msを計時するフラグであり、2ms経過したとき値1、2ms経過していないとき値0にそれぞれ設定される。
ステップS1050で2ms経過フラグSTB−FLGが値1であるとき、つまり2ms経過したときには、2ms経過フラグSTB−FLGに値0をセットし(ステップS1052)、テストモードフラグSTM−FLGが値0であるか否かを判定する(ステップS1054)。このテストモードフラグSTM−FLGは、上述したように、図142に示した周辺制御部電源投入時処理におけるステップS1022のコマンド解析処理で主制御基板4100(主制御MPU4100a)から受信したコマンドがテストコマンドであるか否かを示すフラグであり、テストコマンドであるとき値1、テストコマンドでないとき値0に設定される。
ステップS1054でテストモードフラグSTM−FLGが値0であるとき、つまり主制御基板4100(主制御MPU4100a)から受信したコマンドがテストコマンドでないときには、スイッチ入力処理を行う(ステップS1056)。このスイッチ入力処理では、例えば、図95に示した遊技盤4に設けられる各種可動体の原位置検出スイッチからの検出信号が図100に示したモータ駆動基板4180を介して入力されているか否かを判定する。
ステップS1056に続いて、モータ駆動基板4180へのDMAシリアル連続送信処理を行う(ステップS1058)。このモータ駆動基板4180へのDMAシリアル連続送信処理では、図101に示した周辺制御MPU4150aの周辺制御DMAコントローラ4150acを利用してモータ駆動基板用シリアルI/Oポート連続送信を行う。図101に示した周辺制御MPU4150aの周辺制御CPUコア4150aaは、図142に示した周辺制御部電源投入時処理におけるステップS1022のコマンド解析処理で主制御基板4100(主制御MPU4100a)から受信したコマンドに基づいて、図95に示した遊技盤4に設けられる各種可動体を可動させるためのモータやソレノイドへの駆動信号を出力するための遊技盤側モータ駆動データSM−DATを作成し、図101に示した、バス4150ahを介して、周辺制御内蔵RAM4150abのモータ駆動基板側送信データ領域4150abcにセットする。そして周辺制御CPUコア4150aaは、周辺制御DMAコントローラ4150acの要求要因にモータ駆動基板用シリアルI/Oポートの送信を指定し、モータ駆動基板側送信データ領域4150abcの先頭アドレスに格納された遊技盤側モータ駆動データSM−DATのうちの最初の1バイトを、バス4150ahを介して、モータ駆動基板用シリアルI/Oポートの送信バッファレジスタに転送して書き込む。これにより、モータ駆動基板用シリアルI/Oポートは、この書き込まれた送信バッファレジスタのデータを送信シフトレジスタに転送し、遊技盤側モータ駆動クロック信号SM−CLKと同期して送信シフトレジスタの1バイトのデータを、1ビットずつ送信開始する。周辺制御DMAコントローラ4150acは、モータ駆動基板用シリアルI/Oポートの送信割り込み要求が発生するごとに、これを契機として(本実施形態では、モータ駆動基板用シリアルI/Oポートの送信バッファレジスタに書き込まれた1バイトのデータが送信シフトレジスタに転送され、その送信バッファレジスタに1バイトのデータがなくなって空となったことを契機としている。)、周辺制御CPUコア4150aaがバス4150ahを使用していない場合に、モータ駆動基板側送信データ領域4150abcに格納された残りの遊技盤側モータ駆動データSM−DATを1バイトずつ、バス4150ahを介して、モータ駆動基板用シリアルI/Oポートの送信バッファレジスタに転送して書き込むことで、モータ駆動基板用シリアルI/Oポートは、この書き込まれた送信バッファレジスタのデータを送信シフトレジスタに転送し、遊技盤側モータ駆動クロック信号SM−CLKと同期して送信シフトレジスタの1バイトのデータを、1ビットずつ送信開始し、モータ駆動基板用シリアルI/Oポートによる連続送信を行っている。
ステップS1058に続いて、枠装飾駆動アンプ基板194へのDMAシリアル連続送信処理を行う(ステップS1060)。この枠装飾駆動アンプ基板194へのDMAシリアル連続送信処理では、図101に示した周辺制御MPU4150aの周辺制御DMAコントローラ4150acを利用して枠装飾駆動アンプ基板用シリアルI/Oポート連続送信を行う。周辺制御CPUコア4150aaは、図142に示した周辺制御部電源投入時処理におけるステップS1022のコマンド解析処理で主制御基板4100(主制御MPU4100a)から受信したコマンドに基づいて、図43に示した操作ユニット400のダイヤル駆動モータ414への駆動信号を出力するためのダイヤル駆動モータ駆動データと、図53に示した扉枠5に設けた各種装飾基板の複数のLEDへの点灯信号、点滅信号又は階調点灯信号を出力するための扉側発光データと、から構成される扉側モータ駆動発光データST−DATを作成し、バス4150ahを介して、周辺制御内蔵RAM4150abの枠装飾駆動アンプ基板側送信データ領域4150abbにセットする。そして周辺制御CPUコア4150aaは、周辺制御DMAコントローラ4150acの要求要因に枠装飾駆動アンプ基板用シリアルI/Oポートの送信を指定し、枠装飾駆動アンプ基板側送信データ領域4150abbの先頭アドレスに格納された扉側モータ駆動発光データST−DATのうちの最初の1バイトを、バス4150ahを介して、枠装飾駆動アンプ基板用シリアルI/Oポートの送信バッファレジスタに転送して書き込む。これにより、枠装飾駆動アンプ基板用シリアルI/Oポートは、この書き込まれた送信バッファレジスタのデータを送信シフトレジスタに転送し、扉側モータ駆動発光クロック信号ST−CLKと同期して送信シフトレジスタの1バイトのデータを、1ビットずつ送信開始する。周辺制御DMAコントローラ4150acは、枠装飾駆動アンプ基板用シリアルI/Oポートの送信割り込み要求が発生するごとに、これを契機として(本実施形態では、枠装飾駆動アンプ基板用シリアルI/Oポートの送信バッファレジスタに書き込まれた1バイトのデータが送信シフトレジスタに転送され、その送信バッファレジスタに1バイトのデータがなくなって空となったことを契機としている。)、周辺制御CPUコア4150aaがバス4150ahを使用していない場合に、枠装飾駆動アンプ基板側送信データ領域4150abbに格納された残りの扉側モータ駆動発光データST−DATを1バイトずつ、バス4150ahを介して、枠装飾駆動アンプ基板用シリアルI/Oポートの送信バッファレジスタに転送して書き込むことで、枠装飾駆動アンプ基板用シリアルI/Oポートは、この書き込まれた送信バッファレジスタのデータを送信シフトレジスタに転送し、扉側モータ駆動発光クロック信号ST−CLKと同期して送信シフトレジスタの1バイトのデータを、1ビットずつ送信開始し、枠装飾駆動アンプ基板用シリアルI/Oポートによる連続送信を行っている。
一方、ステップS1054でテストモードフラグSTM−FLGが値0でない(値1である)とき、つまり主制御基板4100(主制御MPU4100a)から受信したコマンドがテストコマンドであるとき、又はステップS1060に続いて、2ms更新カウンタSCの値に値1を加算する(インクリメントする。ステップS1062)。この2ms更新カウンタSCは、この周辺制御部2ms定常処理が行われた回数をカウントするカウンタであり、2ms更新カウンタSCの値1は2msの時間に相当する。
ステップS1062に続いて、2ms更新カウンタSCが値8であるか否か、つまり16ms(=2ms更新カウンタSC×2ms)であるか否かを判定する(ステップS1064)。ステップS1064で16msであるときには、16ms経過フラグST−FLGに値1をセットする(ステップS1066)。このとき、2ms更新カウンタSCに値0をセットする。
ステップS1066に続いて、16ms処理中フラグSP−FLGが値0であるか否か、つまり図142に示した周辺制御部電源投入時処理におけるステップS1008〜ステップS1038の周辺制御部16ms定常処理を行っているか否かを判定する(ステップS1068)。
ステップS1068で16ms処理中フラグSP−FLGが値0であるとき、つまり周辺制御部16ms定常処理を行っていないときには、作業領域のバックアップを行い(ステップS1070)、このルーチンを終了する。この作業領域のバックアップは、図142に示した周辺制御部電源投入時処理におけるステップS1008〜ステップS1038の周辺制御部16ms定常処理で処理した情報を、周辺制御内蔵RAM4150abに設けた作業領域上のコピー領域にコピーする。
一方、ステップS1050で2ms経過フラグSTB−FLGが値1でない(値0である)とき、つまり2ms経過していないとき、ステップS1064で16ms経過していないとき、又はステップS1068で周辺制御部16ms定常処理中に情報の設定がなかったときには、そのままこのルーチンを終了する。
[14−1−3.周辺制御部ベースタイマ割り込み処理]
次に、周辺制御部ベースタイマ割り込み処理について説明する。この周辺制御部ベースタイマ割り込み処理は、ベースクロックである130.227μsごとに繰り返し行われる。周辺制御部ベースタイマ割り込み処理が開始されると、周辺制御部4150の周辺制御MPU4150aは、図144に示すように、ベース更新カウンタSBCの値に値1を加える(インクリメントする。ステップS1080)。このベース更新カウンタSBCは、この周辺制御部ベースタイマ割り込み処理が行われた回数をカウントするカウンタであり、ベース更新カウンタSBCの値1はベースクロックである130.227μsの時間に相当する。
ステップS1080に続いて、ベース更新カウンタSBCが値16であるか否か、つまり2ms(ベース更新カウンタSBC×130.227μs)であるか否かを判定する(ステップS1082)。ステップS1082で2msでないときには、このルーチンを終了する。一方、ステップS1082で2msであるときには、2ms経過フラグSTB−FLGに値1をセットし(ステップS1084)、このルーチンを終了する。ステップS1082の処理では、ベース更新カウンタSBCに値0をセットする。この2ms経過フラグSTB−FLGは、上述したように、2msを計時するフラグであり、2ms経過したとき値1、2ms経過していないとき値0にそれぞれ設定される。
[14−1−4.周辺制御部コマンド受信割り込み処理]
次に、周辺制御部コマンド受信割り込み処理について説明する。周辺制御部4150の周辺制御MPU4150aは、主制御基板4100からの各種コマンドがシリアルデータとして送信開始されると、これを契機として主周シリアルデータを周辺制御MPU4150aの内蔵する主制御基板用シリアルI/Oポートで1バイト(8ビット)の情報を受信バッファに取り込み、この取り込みが完了すると、これを契機として割り込みが発生し、周辺制御部コマンド受信割り込み処理を行う。主周シリアルデータは、表示コマンドを構成する基コマンドに基づいて作成された送信用基コマンドであり、送信用基コマンドの1バイト目として基コマンドのステータスが割り振られ、送信用基コマンドの2バイト目として基コマンドのモードが割り振られ、送信用基コマンドの3バイト目として基コマンドのステータスと基コマンドのモードとを数値とみなしてその合計を算出したサム値が割り振られている。このように、主周シリアルデータは、1パケットが3バイトに構成されている。
周辺制御部コマンド受信割り込み処理が開始されると、周辺制御部4150の周辺制御MPU4150aは、図145に示すように、1バイト受信期間タイマがタイムアウトしたか否かを判定する(ステップS1090)。この1バイト受信期間タイマは、主制御基板4100から送信される主周シリアルデータのうち、1バイト(8ビット)の情報を受信し得る期間を設定するものである。
ステップS1090で1バイト受信期間タイマがタイムアウトしていないとき、つまり主制御基板4100から送信される主周シリアルデータのうち、1バイト(8ビット)の情報を受信し得る期間内であるときには、周辺制御MPU4150aの内蔵する主制御基板用シリアルI/Oポートの受信バッファから受信した1バイトの情報を取り込み(ステップS1092)、受信カウンタSRXCに値1を加える(インクリメントする、ステップS1094)。この受信カウンタSRXCは、受信バッファから取り出した回数を示すカウンタであり、周辺制御基板4140から主周シリアルデータ、つまり送信用基コマンドの1バイト目であるステータスを受信バッファから取り出すと値1、送信用基コマンドの2バイト目であるモードを受信バッファから取り出すと値2、送信用基コマンドの3バイト目であるサム値を受信バッファから取り出すと値3となる。なお、受信カウンタSRXCは、電源投入時等に初期値0がセットされる。
ステップS1094に続いて、受信カウンタSRXCが値3である否か、つまり送信用基コマンドの3バイト目であるサム値を受信バッファから取り出したか否かを判定する(ステップS1096)。この判定では、送信用基コマンドの1バイト目であるステータスに続いて、送信用基コマンドの2バイト目であるモード、そして送信用基コマンドの3バイト目であるサム値を、順に受信バッファから取り出したか否かを判定している。
ステップS1096で受信カウンタSRXCが値3でないとき、つまり送信用基コマンドの1バイト目であるステータスに続いて、まだ送信用基コマンドの2バイト目であるモード、そして送信用基コマンドの3バイト目であるサム値を、順に受信バッファから取り出していないときには、1バイト受信期間タイマのセットを行い(ステップS1098)、このルーチンを終了する。ステップS1098で1バイト受信期間タイマがセットされることで、送信用基コマンドの2バイト目であるモード又は送信用基コマンドの3バイト目であるサム値を受信し得る期間が設定される。
一方、ステップS1096で受信カウンタSRXCが値3であるとき、つまり送信用基コマンドの1バイト目であるステータスに続いて、送信用基コマンドの2バイト目であるモード、そして送信用基コマンドの3バイト目であるサム値を、順に受信バッファから取り出したときには、受信カウンタSRXCに初期値0をセットし(ステップS1100)、サム値を算出する(ステップS1102)。この算出は、ステップS1092で受信バッファからすでに取り出した、送信用基コマンドの1バイト目であるステータスと、送信用基コマンドの2バイト目であるモードと、を数値とみなしてその合計(サム値)を算出する。
ステップS1102に続いて、ステップS1092で受信バッファからすでに取り出した送信用基コマンドの3バイト目であるサム値と、ステップS1102で算出したサム値と、が一致しているか否かを判定する(ステップS1104)。ステップS1092で受信バッファからすでに取り出した送信用基コマンドの3バイト目であるサム値は、主制御基板4100からの主周シリアルデータのうち、送信用基コマンドの3バイト目として割り振られたサム値であるため、ステップS1104で算出したサム値と一致しているはずである。ところが、パチンコ遊技機1は、パチンコ島設備から遊技球が供給されており、遊技球は、互いにこすれ合って帯電すると、静電放電してノイズを発生するため、パチンコ遊技機1はノイズの影響を受けやすり環境下にある。そこで、本実施形態では、周辺制御部4150側では、受信した送信用基コマンドの1バイト目として割り振られたステータスと、2バイト目として割り振られたモードと、を数値とみなしてその合計(サム値)を算出し、この算出したサム値が、主制御基板4100からの主周シリアルデータのうち、送信用基コマンドの3バイト目として割り振られたサム値と一致しているか否かを判定している。これにより、周辺制御MPU4150aは、主制御基板4100と周辺制御基板4140との基板間において、送信用基コマンドがノイズの影響を受けて正規と異なる送信用基コマンドに変化したか否かを判定することができる。
ステップS1104で、ステップS1092で受信バッファからすでに取り出した送信用基コマンドの3バイト目であるサム値と、ステップS1102で算出したサム値と、が一致しているときには、受信した送信用基コマンドを周辺制御部受信リングバッファに記憶し(ステップS1106)、このルーチンを終了する。この「周辺制御部受信リングバッファ」とは、バッファの最後と先頭が繋がっているように使われるバッファのことであり、バッファの先頭から順次データを記憶し、バッファの最後まできたら最初に戻って記憶する。なお、周辺制御MPU4150aは、ステップS1106で周辺制御部受信リングバッファに記憶する際に、受信した送信用基コマンドの1バイト目として割り振られたステータスと、2バイト目として割り振られたモードと、を対応付けて記憶しており、3バイト目として割り振られたサム値を破棄する。
一方、ステップS1090で1バイト受信期間タイマがタイムアウトしていないとき、つまり主制御基板4100から送信される主周シリアルデータのうち、1バイト(8ビット)の情報を受信し得る期間を超えているときには、又はステップS1104で、ステップS1092で受信バッファからすでに取り出した送信用基コマンドの3バイト目であるサム値と、ステップS1102で算出したサム値と、が一致していないときには、そのままこのルーチンを終了する。
[14−1−5.回転検出スイッチ履歴作成処理]
次に、回転検出スイッチ履歴作成処理について説明する。この回転検出スイッチ履歴作成処理は、図143に示した周辺制御部2ms定常処理におけるステップS1056のスイッチ入力処理の一処理として実行され、図43に示した、ダイヤル操作部401の回転を検出する一対の回転検出スイッチ432a,432bからの検出信号の履歴をそれぞれ作成する。
回転検出スイッチ履歴作成処理が開始されると、周辺制御部4150の周辺制御MPU4150aは、図146に示すように、周辺制御内蔵RAM4150abから回転検出スイッチ検出履歴情報DSW0−HIST,DSW1−HISTを読み出す(ステップS1110)。この回転検出スイッチ検出履歴情報DSW0−HIST,DSW1−HISTは、それぞれ1バイト(8ビット:最上位ビットB7、B6、B5、B4、B3、B2、B1、最下位ビットB0、「B」はビットを表す。)の記憶容量を有しており、回転検出スイッチ432aからの検出信号の履歴を回転検出スイッチ検出履歴情報DSW0−HISTとして周辺制御内蔵RAM4150abの回転検出スイッチ履歴情報記憶領域に記憶され、回転検出スイッチ432bからの検出信号の履歴を回転検出スイッチ検出履歴情報DSW1−HISTとして周辺制御内蔵RAM4150abの回転検出スイッチ履歴情報記憶領域に記憶されている。ステップS1110では、この回転検出スイッチ履歴情報記憶領域から回転検出スイッチ検出履歴情報DSW0−HIST,DSW1−HISTをそれぞれ読み出している。
ステップS1110に続いて、回転検出スイッチ432a,432bからの検出信号があるか否かを判定する(ステップS1112)。この判定は、回転検出スイッチ432aからの検出信号があるときには、図44に示した、ダイヤル操作部401に連結された従動ギア410に一定間隔で列設された複数の回転検出片410cのうちの一の回転検出片が回転検出スイッチ432aの光軸を非遮断状態から遮断状態に遷移した状態であると判定する。一方、回転検出スイッチ432aからの検出信号がないときには、一の回転検出片が回転検出スイッチ432aの光軸を遮断状態から非遮断状態に遷移した状態と判定する。また、回転検出スイッチ432bからの検出信号があるときには、一の回転検出片が回転検出スイッチ432bの光軸を非遮断状態から遮断状態に遷移した状態であると判定する。一方、回転検出スイッチ432aからの検出信号がないときには、一の回転検出片が回転検出スイッチ432bの光軸を遮断状態から非遮断状態に遷移した状態と判定する。
ステップS1112で回転検出スイッチ432aからの検出信号があるとき、又は回転検出スイッチ432bからの検出信号があるときには、回転検出スイッチ検出履歴情報のシフト処理を行う(ステップS1114)。この回転検出スイッチ検出履歴情報のシフト処理では、回転検出スイッチ432aからの検出信号があるときには、ステップS1110で読み出した回転検出スイッチ検出履歴情報DSW0−HISTを、最上位ビットB7←B6、B6←B5、B5←B4、B4←B3、B3←B2、B2←B1、B1←最下位ビットB0という具合に、最下位ビットB0から最上位ビットB7に向かって1ビットずつシフトする一方、回転検出スイッチ432bからの検出信号があるときには、ステップS1110で読み出した回転検出スイッチ検出履歴情報DSW1−HISTを、最上位ビットB7←B6、B6←B5、B5←B4、B4←B3、B3←B2、B2←B1、B1←最下位ビットB0という具合に、最下位ビットB0から最上位ビットB7に向かって1ビットずつシフトする。
ステップS1114で回転検出スイッチ検出履歴情報DSW0−HISTをシフトした場合には回転検出スイッチ検出履歴情報DSW0−HISTの最下位ビットB0に値1をセットする一方、回転検出スイッチ検出履歴情報DSW1−HISTをシフトした場合には回転検出スイッチ検出履歴情報DSW1−HISTの最下位ビットB0に値1をセットし(ステップS1116)、このルーチンを終了する。
一方、ステップS1112で回転検出スイッチ432aからの検出信号がないとき、又は回転検出スイッチ432bからの検出信号がないときには、回転検出スイッチ検出履歴情報のシフト処理を行う(ステップS1118)。この回転検出スイッチ検出履歴情報のシフト処理では、ステップS1114の回転検出スイッチ検出履歴情報のシフト処理と同一の処理を行い、回転検出スイッチ432aからの検出信号がないときには、ステップS1110で読み出した回転検出スイッチ検出履歴情報DSW0−HISTを、最上位ビットB7←B6、B6←B5、B5←B4、B4←B3、B3←B2、B2←B1、B1←最下位ビットB0という具合に、最下位ビットB0から最上位ビットB7に向かって1ビットずつシフトする一方、回転検出スイッチ432bからの検出信号がないときには、ステップS1110で読み出した回転検出スイッチ検出履歴情報DSW1−HISTを、最上位ビットB7←B6、B6←B5、B5←B4、B4←B3、B3←B2、B2←B1、B1←最下位ビットB0という具合に、最下位ビットB0から最上位ビットB7に向かって1ビットずつシフトする。
ステップS1118で回転検出スイッチ検出履歴情報DSW0−HISTをシフトした場合には回転検出スイッチ検出履歴情報DSW0−HISTの最下位ビットB0に値0をセットする一方、回転検出スイッチ検出履歴情報DSW1−HISTをシフトした場合には回転検出スイッチ検出履歴情報DSW1−HISTの最下位ビットB0に値0をセットし(ステップS1120)、このルーチンを終了する。
このように、この回転検出スイッチ履歴作成処理が行われるごとに、回転検出スイッチ検出履歴情報DSW0−HIST,DSW1−HISTを最下位ビットB0から最上位ビットB7に向かって1ビットずつシフトしたのち、最下位ビットB0に値1又は値0がセットされるため、回転検出スイッチ432a,432bからの検出信号の履歴を作成することができる。
次に、上述した回転検出スイッチ検出履歴情報DSW0−HIST,DSW1−HISTから、ダイヤル操作部401が停止している状態であるか(換言すると、ダイヤル駆動モータ414が脱調している状態であるか)、時計方向に回転している状態であるか、反時計方向に回転している状態であるか、を判定する方法について、図147〜図149を参照して説明する。図147は回転操作ユニットにおけるダイヤル操作部の時計方向の回転に伴う従動ギアの回転検出片と一対の回転検出スイッチとの位置関係を示す説明図であり、図148は回転操作ユニットにおけるダイヤル操作部の反時計方向の回転に伴う従動ギアの回転検出片と一対の回転検出スイッチとの位置関係を示す説明図であり、図149(A)は回転操作ユニットにおけるダイヤル操作部の時計方向の回転に伴う一対の回転検出スイッチのON/OFFを示す一覧表図であり、図149(B)はダイヤル操作部の反時計方向の回転に伴う一対の回転検出スイッチのON/OFFを示す一覧表図である。
回転検出スイッチ検出履歴情報DSW0−HIST,DSW1−HISTは、上述したように、それぞれ1バイト(8ビット:最上位ビットB7、B6、B5、B4、B3、B2、B1、最下位ビットB0、「B」はビットを表す。)の記憶容量を有しており、回転検出スイッチ432aからの検出信号の履歴を回転検出スイッチ検出履歴情報DSW0−HISTとして周辺制御内蔵RAM4150abの回転検出スイッチ履歴情報記憶領域に記憶され、回転検出スイッチ432bからの検出信号の履歴を回転検出スイッチ検出履歴情報DSW1−HISTとして周辺制御内蔵RAM4150abの回転検出スイッチ履歴情報記憶領域に記憶されている。このため、ダイヤル操作部401が停止している状態であるか(換言すると、ダイヤル駆動モータ414が脱調している状態であるか)、時計方向に回転している状態であるか、反時計方向に回転している状態であるか、を判定する場合には、周辺制御内蔵RAM4150abの回転検出スイッチ履歴情報記憶領域から回転検出スイッチ検出履歴情報DSW0−HIST,DSW1−HISTを読み出し、検出判定値と一致しているか否かにより行う。この検出判定値は、周辺制御ROM4150bに記憶されており、本実施形態では、「00001111B(「B」はビットを表す。)」であり、上位4ビットのB7〜B4が値0、下位4ビットのB3〜B0が値1となっている。つまり、この判定では、回転検出スイッチ検出履歴情報DSW0−HIST,DSW1−HISTの下位4ビットB3〜B0と検出判定値の下位4ビットB3〜B0とが一致しているか否かにより行う。
具体的には、回転検出スイッチ検出履歴情報DSW0−HISTの下位4ビットB3〜B0が値1となる場合は、4回の2msというタイマ割り込みの発生で続けて、回転検出スイッチ432aがダイヤル操作部401と一体的に回転する従動ギア410の回転検出片410cを検出したことを意味し、回転検出スイッチ検出履歴情報DSW1−HISTの下位4ビットB3〜B0が値1となる場合は、4回の2msというタイマ割り込みの発生で続けて、回転検出スイッチ432bがダイヤル操作部401と一体的に回転する従動ギア410の回転検出片410cを検出したことを意味している。
次に、ダイヤル操作部401の回転方向の検出について説明する。回転検出スイッチ432a,432bは、上述したように、ダイヤル操作部401と一体的に回転する従動ギア410の回転検出片410cを検出することにより、ダイヤル操作部401の回転方向を検出するようになっている。なお、図147〜図149中には、回転検出スイッチ432aを「A」と記載すると共に、回転検出スイッチ432bを「B」と記載する。また、以下に示すステップ1〜ステップ4は、それぞれ回転検出スイッチ432a,432bを基準としたダイヤル操作部401の4種類の回転位置のことであり、ダイヤル操作部401が回転することで、ステップ1、ステップ2、ステップ3、ステップ4へと順次、回転位置が移行するものであり、ステップ4へ移行した後は、再度ステップ1へ戻る。
ダイヤル操作部401が時計方向へ回転する場合は、図147に示すように、ステップ1として、回転検出スイッチ432a,432bが従動ギア410の回転検出片410cを検出し、その後、ダイヤル操作部401の時計方向への回転に伴うステップ2への移行により、回転検出スイッチ432aが回転検出片410cを検出する一方、従動ギア410のスリット410dが回転検出スイッチ432bへ移動して回転検出スイッチ432bが回転検出片410cを検出しないステップへ移行する。その後、ダイヤル操作部401の時計方向への回転に伴うステップ3への移行により、従動ギア410のスリット410dが各回転検出スイッチ432a,432bへ移動して回転検出スイッチ432a,432bが共に回転検出片410cを検出しないステップへ移行する。そして、ダイヤル操作部401の時計方向への回転に伴うステップ4への移行により、従動ギア410のスリット410dが回転検出スイッチ432aへ移動して回転検出スイッチ432aが回転検出片410cを検出しない一方、回転検出スイッチ432bが回転検出片410cを検出するステップへ移行する。
一方、ダイヤル操作部401が反時計方向へ回転する場合は、図148に示すように、ステップ1として、両方の回転検出スイッチ432a,432bが従動ギア410の回転検出片410cを検出し、その後、ダイヤル操作部401の反時計方向への回転に伴うステップ2への移行により、従動ギア410のスリット410dが回転検出スイッチ432aへ移動して回転検出スイッチ432aが回転検出片410cを検出しない一方、回転検出スイッチ432bが回転検出片410cを検出するステップへ移行する。その後、ダイヤル操作部401の反時計方向への回転に伴うステップ3への移行により、従動ギア410のスリット410dが各回転検出スイッチ432a,432bへ移動して回転検出スイッチ432a,432bが共に回転検出片410cを検出しないステップへ移行する。そして、ダイヤル操作部401の反時計方向への回転に伴うステップ4への移行により、回転検出スイッチ432aが回転検出片410cを検出する一方、従動ギア410のスリット410dが回転検出スイッチ432bへ移動して回転検出スイッチ432bが回転検出片410cを検出しないステップへ移行する。
つまり、ダイヤル操作部401が時計方向へ回転する場合の回転検出スイッチ432a,432bのON(回転検出片410cの検出あり)/OFF(回転検出片410cの検出なし)動作は、図149(A)に示すように、ステップ1で回転検出スイッチ432a,432bが共に「ON」であり、ステップ2で回転検出スイッチ432aが「ON」を継続する一方、回転検出スイッチ432bが「OFF」となる。その後、ステップ3で回転検出スイッチ432a,432bが共に「OFF」となった後に、ステップ4で回転検出スイッチ432aが「OFF」を継続する一方、回転検出スイッチ432bが「ON」となる。その後は、再度、ステップ1に戻り、回転検出スイッチ432a,432bが共に「ON」となる。
一方、ダイヤル操作部401が反時計方向へ回転する場合の回転検出スイッチ432a,432bのON/OFF動作は、図149(B)に示すように、ステップ1で回転検出スイッチ432a,432bが共に「ON」であり、ステップ2で回転検出スイッチ432bが「ON」を継続する一方、回転検出スイッチ432aが「OFF」となる。その後、ステップ3で回転検出スイッチ432a,432bが共に「OFF」となった後に、ステップ4で回転検出スイッチ432bが「OFF」を継続する一方、回転検出スイッチ432aが「ON」となる。その後は、再度、ステップ1に戻り、回転検出スイッチ432a,432bが共に「ON」となる。
なお、ダイヤル操作部401が時計方向、又は反時計方向へ回転していない停止した場合には、回転検出スイッチ432a,432bからの検出に変化が生じなくなるため、ステップ1〜ステップ4において回転検出スイッチ432a,432bによるON/OFF動作の切替りがまったくなくなる。
このように、回転検出スイッチ432a,432bは、上述した各ステップ1〜ステップ4でのON/OFFに基づいてダイヤル操作部401の回転方向を検出することができるようになっている。遊技者の操作によってダイヤル操作部401が操作された場合には、回転検出スイッチ432a,432bのON/OFF状態の切替りを検出することによりダイヤル操作部401が回転操作されたことを検出して回転方向を把握することができるし、回転検出スイッチ432a,432bのON/OFF状態の切替りがまったくないことを検出することによりダイヤル操作部401が停止している状態であることを把握することができる。
また、周辺制御MPU4150aは、ダイヤル操作部401を時計方向、又は反時計方向へ回転させている制御を実行している場合に、遊技者が指や手のひらでダイヤル操作部401を押さえてダイヤル操作部401の回転を強制的に停止させたときには、回転検出スイッチ432a,432bのON/OFF状態の切替りがまったくないことを検出することにより、ダイヤル操作部401を時計方向、又は反時計方向へ回転させる、ステッピングモータであるダイヤル駆動モータ414が脱調している状態であることを把握することができる。
以上説明した本実施形態のパチンコ遊技機1によれば、上始動口スイッチ3022、下始動口スイッチ2109、主制御基板4100、周辺制御基板4140、操作ユニット400を備えている。上始動口スイッチ3022は、遊技領域1100に設けられた上始動口2101に侵入した遊技球を検出し、下始動口スイッチ2109は、遊技領域1100に設けられた下始動口2102に侵入した遊技球を検出している。主制御基板4100は、上始動口スイッチ3022や下始動口スイッチ2109からの検出信号に基づいて遊技者にとって有利な大当り遊技状態を発生させるか否かの当落判定を実行している。この当落判定は、図122の主制御側タイマ割り込み処理におけるステップS86の特別図柄及び特別電動役物制御処理の一処理として実行されており、大当り判定用乱数を更新するカウンタの値を取り出して主制御内蔵ROMに予め記憶されている大当り判定値と一致するか否かを判定(大当り遊技状態を発生させるか否かを判定)するという特別抽選で実行されている。周辺制御基板4140の周辺制御部4150は、主制御基板4100が当落判定を実行した、図117の特図1同調演出関連に区分される特図1同調演出開始コマンドや特図2同調演出関連に区分される特図2同調演出開始コマンド等の当落判定コマンドを受けて、この当落判定コマンドに基づいて演出の進行を制御している。操作ユニット400は、ダイヤル操作部401を有しており、遊技者がその指や手のひらでダイヤル操作部401を操作することができるようになっている。
操作ユニット400は、少なくとも、ステッピングモータであるダイヤル駆動モータ414、従動ギア410、駆動ギア412を備えている。ダイヤル駆動モータ414は、正転と逆転とのいずれにも回転させることができる出力軸を有している。ダイヤル駆動モータ414の出力軸に固定された駆動ギア412と噛合する従動ギア410がダイヤル操作部401と連結されることによって、ダイヤル駆動モータ414の出力軸の回転をダイヤル操作部401に伝達して、このダイヤル操作部401を、時計方向と反時計方向とのいずれにも回転させることができるようになっている。
周辺制御部4150の周辺制御MPU4150aは、主制御基板4100からの当落判定コマンドに基づいて、ダイヤル操作部401の回転操作に対してクリック感を付与することができるクリック発生制御と、ダイヤル駆動モータ414の出力軸に静止トルクをまったく付与しないトルクフリー制御と、を実行する。クリック発生制御では、ダイヤル駆動モータ414の出力軸に静止トルクが発生させるのに対して、トルクフリー制御では、その発生させた静止トルクを強制的に解除する。
クリック発生制御がダイヤル駆動モータ414の出力軸に静止トルクを発生させている状態では、その静止トルクがダイヤル操作部401の回転操作の負荷として遊技者の指や手のひらに付与されるのに対して、トルクフリー制御がダイヤル駆動モータ414の出力軸に発生させた静止トルクを強制的に解除した際には、遊技者の指や手のひらに付与されるダイヤル操作部401からの負荷がなくなることによってその静止トルクの強制的な解除がダイヤル操作部401の回転操作にスリップ感として遊技者の指や手のひらに付与されるようになっている。
このように、ダイヤル駆動モータ414の出力軸に発生させた静止トルクを強制的に解除した際には、遊技者の指や手のひらに付与されるダイヤル操作部401からの負荷がなくなることによってその静止トルクの強制的な解除がダイヤル操作部401の回転操作にスリップ感として遊技者の指や手のひらに付与されるようになっているため、ダイヤル操作部401自体が単に操作されるものではなくてスリップ感を遊技者の指や手のひらに触覚を通じて伝えることができるという遊技を提供することができる部材にもなっている。したがって、ダイヤル操作部401による斬新な遊技性を創出することができる。
[セル部7700]
図156は、前構成部材1110及びセル部7700を前方から見た分解斜視図である。遊技盤4における遊技パネル7600(パネル板)は、その外形が遊技領域1100よりも若干大きい多角形状とされており、アクリル樹脂、ポリカーボネイト樹脂、ポリアリレート樹脂、メタクリル樹脂等の透明な合成樹脂板により形成されている。なお、遊技パネル7600の板厚は、パネルホルダ1220よりも薄く、図示しない障害釘を植設しても十分に保持可能な必要最低限の厚さ(8〜10mm)とされている。
更に、遊技パネル7600には、センター役物2300及びアタッカユニット2100等が備えられるように内形が所定形状で前後方向に貫通する開口部7602が複数形成されていると共に、それらを固定するための固定孔が適宜位置に形成されている。なお、これら開口部7602は、遊技パネル7600の上下左右方向の外周に対して貫通しないような形状となっており、遊技パネル7600の外周が繋がっているので、開口部7602によって遊技パネル7600の強度が低下するのを抑制するようになっている。
図示しないが、遊技パネル7600の前面(遊技領域1100が形成される側)には遊技球の流下方向を変化させ、遊技球の挙動を面白くする複数の障害釘が所定のゲージ配列で植設されている。なお、実施形態においては、弾発された打球が通過可能とされた遊技領域1100は、主として遊技パネル7600の中央部分の開口部7602の上方、左方及び下方に亘って形成されている。また、透明な遊技パネル7600の後面には、遊技領域1100の背面を絵柄によって装飾するセル部7700(可変装飾表示体)が設けられる。
セル部7700は、透明な遊技パネル7600に区画形成された遊技領域1100の後方(後面)において該遊技領域1100に臨ませて配置されると共に、側面を導光入射面とされ、かつ前面を導光出射面とされた透光性を有する合成樹脂製の導光板が前後方向に複数枚層状に重ね合わされてなる積層導光体7701を備えている。
図157は積層導光体7701の斜視図である。本実施形態の積層導光体7701は、正面視で同じ形状で同じ大きさであり、同じ厚みのアクリル樹脂製よりなる前導光板7702、中導光板7703、後導光板7704の3枚が前後方向に層状に重ね合わされてなる。各導光板7702〜7704は、遊技パネル7600の後面において遊技領域1100の外周縁に沿って配置される多角形状をなす外側面を導光入射面7702a〜7704aとされ、前面を導光出射面7702b〜7704bとされている。
また、積層導光体7701の後面には、正面視で各導光板7702〜7704と同じ形状で同じ大きさであり、厚みは各導光板7702〜7704よりも薄い、黒色の樹脂製の遮光板7705が配置されている。遮光板7705は後方に光が漏れるのを防ぐとともに、黒色とすることで後述の背景絵柄を視認し易くするものである。
各導光板7702〜7704には、光の散乱によって表出する各背景絵柄が記録されると共に、各背景絵柄は互いに異なる絵柄とされている。実施形態では、各導光板7702〜7704の裏面に、導光印刷により各背景絵柄が記録されている。なお、各背景絵柄の記録方式は、導光印刷ではなく、彫り込みにより、背景絵柄を直接導光板7702〜7704の裏面に記録してもよい。
[背景絵柄の第1実施形態・背景絵柄の刷新]
図158は前導光板7702に記録された背景絵柄の一例を示す正面図である。また、図159は中導光板7703に記録された背景絵柄の一例を示す正面図である。図158に示すように、前導光板7702には、遊技者に春をイメージさせるように、「桜」の背景絵柄が記録されている。また、図159に示すように、中導光板7703には、遊技者に夏をイメージさせるように、「橋と夜空に打ち上がる花火」の背景絵柄が記録されている。また、図示は省略するが、後導光板7704には、遊技者に秋をイメージさせるように、「紅葉(モミジの葉と銀杏の葉)」の背景絵柄が記録されている。
図160はセル部7700の正面図である。また、図161は遊技パネル7600及びセル部7700の断面図である。図160〜図161に示すように、各導光板7702〜7704の導光入射面7702a〜7704aには、各導光板7702〜7704に対応して設けられると共に、各導光板7702〜7704へそれぞれ光を入射するための各光源としての複数のLED7707が回路基板上に設けられた複数のLED基板7706a〜7706eが配設されている。なお、各LED基板7706a〜7706e上のLED7707の配置構成は同じである。
図162はLED基板7706の正面図である。図162においてLED基板7706の左側に配置されたLED群は、前導光板7702の外側面に沿って配置される前導光板LED群7708である。また、LED基板7706の中程に配置されたLED群は、中導光板7703の外側面に沿って配置される中導光板LED群7709である。さらに、LED基板7706の右側寄りに配置されたLED群は、後導光板7704の外側面に沿って配置される後導光板LED群7710である。
なお、中導光板LED群7709の各LEDは、各導光板7702〜7704の厚み寸法が比較的薄く、各LEDが配置しずらくなることを避けるために、水平方向において前導光板LED群7708の各LED及び後導光板LED群7710の各LEDに対して重ならないように上下方向に位置をずらして配置してある。また、実施形態のLED7707はフルカラーLEDで構成してあるが、フルカラーLEDである必要はなく、単色LEDであってもよい。
前導光板LED群7708を点灯し(例えば、ピンクで点灯し)、中導光板LED群7709及び後導光板LED群7710を消灯することで、前導光板7702の外側面から入射した光が導光印刷された背景絵柄に当って散乱し、散乱した光が前面の導光出射面702bから出射することによって「桜」の背景絵柄が表出する。なお、導光出射面7702bから出射した光は、遊技パネル7600を透過する。これにより、前導光板7702に表出した「桜」の背景絵柄は、透明な遊技パネル7600を通して遊技者に視認される。
また、上述の点灯状態から、中導光板LED群7709を点灯し(例えば、花火の部分をイエローで点灯し、橋の部分をブルーで点灯し)、前導光板LED群7708及び後導光板LED群7710を消灯する点灯状態に切り換えることで、中導光板7703の外側面から入射した光が導光印刷された背景絵柄に当って散乱し、散乱した光が前面の導光出射面7703bから出射することによって「橋と夜空に打ち上がる花火」の背景絵柄が表出する。なお、導光出射面7703bから出射した光は、前導光板7702を透過し、さらに遊技パネル7600を透過する。これにより、中導光板7703に表出した「橋と夜空に打ち上がる花火」の背景絵柄は、透明な遊技パネル7600を通して遊技者に視認される。
また、上述の点灯状態から、後導光板LED群7710を点灯し、前導光板LED群7708及び中導光板LED群7709を消灯する点灯状態に切り換えることで、後導光板7704の外側面から入射した光が導光印刷された背景絵柄に当って散乱し、散乱した光が前面の導光出射面7704bから出射することによって「紅葉」の背景絵柄が表出する。なお、導光出射面7704bから出射した光は、中導光板7703及び前導光板7702を透過し、さらに遊技パネル7600を透過する。これにより、後導光板7704に表出した「紅葉」の背景絵柄は、透明な遊技パネル7600を通して遊技者に視認される。
次に、上述のセル部7700を備えた実施形態のパチンコ遊技機の制御系について説明する。実施形態のパチンコ遊技機は、概略として、遊技状態を制御する主制御基板と、主制御基板から送信されたコマンド(表示コマンド)に応じて液晶表示装置1900における演出表示態様や各種報知表示態様に関わる制御と、セル部7700における遊技領域の背景絵柄を刷新する制御と、扉枠5や遊技盤4の装飾用LEDに関わる制御と、出力音声出力に関わる制御と、を行う周辺制御基板と、を備えている。
[周辺制御基板]
図163は、主として、図100に示した周辺制御基板とは別の周辺制御基板の第2実施形態を示す要部ブロック図である。周辺制御基板4140は、図163に示すように、主制御基板4100からのコマンドに基づいて演出制御を行う周辺制御部6150と、この周辺制御部6150からの制御データに基づいて液晶表示装置1900の描画制御と、高音質の演奏を行う液晶・音制御部6160と、RTC制御部4190と、を備えている。
[周辺制御部6150]
演出制御を行う周辺制御部6150は、図163に示すように、マイクロプロセッサとしての周辺制御MPU6150aと、各種処理プログラム、各種コマンド及び各種スケジューラを記憶する周辺制御ROM6150bとを備えている。周辺制御ROM6150bには、例えば、セル部7700の前導光板LED群7708、中導光板LED群7709及び後導光板LED群7710の点灯データや、液晶表示装置1900に描画する画面を生成するための各種プログラムのほかに、表示コマンドと対応するスケジュールデータ等が複数記憶されている。スケジュールデータは、画面の構成を規定する画面データが時系列に配列されて構成されており、液晶表示装置1900に描画する画面の順序が規定されている。
周辺制御MPU6150aは、パラレルI/Oポート、シリアルI/Oポート等を複数内蔵しており、主制御基板4100から送信された各種コマンドを受信すると、この各種コマンドに基づいて、遊技盤4の各装飾基板に設けた複数のLED等への点灯信号、点滅信号又は階調点灯信号を出力するための遊技盤側発光データをランプ駆動基板用シリアルI/Oポートからランプ駆動基板4170に送信する。
また、実施形態の周辺制御MPU6150aは,後述の時刻を計時する時刻計時手段の時刻情報が予め定めた条件になると、1つの導光板(例えば、前導光板7702)に記録された背景絵柄(「桜」)が光によって表出している状態から、これとは別の導光板(例えば、中導光板7703)に記録された背景図柄(「橋と夜空に打ち上がる花火」)を表出させて、遊技領域1100の背景絵柄を刷新する背景切換手段を備えている。
ランプ駆動基板4170には、周辺制御基板4140の周辺制御MPU6150aから出力された8ビット単位のシリアルの駆動信号に基いて、導光板7702〜7704に対して配備された各LED基板7706に対して出力する8ビットのパラレル駆動信号を複数生成する駆動信号生成手段が搭載されている。
図示を省略しているが、前記駆動信号生成手段は、例えば、8ビット単位のシリアルの駆動信号についてカスケード接続され、かつクロック信号について並列に接続され、かつラッチ信号について並列に接続された複数のシリアル/パラレルICと、複数のシリアル/パラレルICのそれぞれにベースが接続された複数のトランジスタ(ドライバ)とを備え、複数のトランジスタのエミッタがアースに接続されている。また、LED点灯用の電圧と複数のトランジスタのコレクタとの間に、LED基板に実装された各LEDおよび電流制限用の各抵抗がコネクタ(図示せず)及びハーネス(図示せず)を介して接続されている。
各シリアル/パラレルICは、シフトレジスタとラッチ回路を組み合わせてなるもので、ラッチ信号をハイレベルとした上で、クロック信号の立ち上がりに同期してシリアルデータを1ビット分シフトレジスタ(8ビット構成)に取り込む。また、ラッチ信号をローレベルにすることにより、シフトレジスタの内容がラッチ回路に転送され、8ビットのパラレルデータとして出力される。さらに、さらに、クロック信号の立ち上がりに同期して、1ビットずつシリアルデータ信号を出力するものである。
このように、各シリアル/パラレルICは、8ビット単位のシリアルの駆動信号、クロック信号及びラッチ信号に基づいて前記8ビットのパラレル駆動信号を生成して前記各トランジスタに与える。各トランジスタは、前記各シリアル/パラレルICによって与えられたパラレルの各駆動信号によりオンし、LED基板7706に実装された各LEDに対してLED点灯用の電圧を印加する。これにより、LED基板7706に実装された各LEDに電流が流れて点灯する。
また、周辺制御MPU6150aは、各種コマンドに基づいて、遊技盤4に設けた各種可動体を作動させるモータやソレノイド等の電気的駆動源への駆動信号を出力するための遊技盤側モータ駆動データをモータ駆動基板用シリアルI/Oポートからモータ駆動基板4180に送信する。さらに、扉枠5に設けたダイヤル駆動モータ414等の電気的駆動源への駆動信号を出力するための扉側モータ駆動データと、扉枠5の各装飾基板に設けた複数のLED等への点灯信号、点滅信号又は階調点灯信号を出力するための扉側発光データと、から構成される扉側モータ駆動発光データを枠装飾駆動アンプ基板用シリアルI/Oポートから枠周辺中継端子板868、そして周辺扉中継端子板882を介して枠装飾駆動アンプ基板194に送信する。
主制御基板4100からの各種コマンドは、周辺制御MPU6150aの主制御基板用シリアルI/Oポートに入力されている。また、操作ユニット400に設けられた、ダイヤル操作部の回転(回転方向)を検出するための回転検出スイッチ432a,432bからの検出信号、及び押圧操作部の操作を検出するための押圧検出スイッチ432cからの検出信号は、枠装飾駆動アンプ基板194に設けた図示しない扉側シリアル送信回路でシリアル化され、このシリアル化された操作ユニット検出データが扉側シリアル送信回路から、周辺扉中継端子板882、そして枠周辺中継端子板868を介して周辺制御MPU6150aの操作ユニット検出用シリアルI/Oポートに入力されている。
遊技盤4に設けた各種可動体の原位置を検出するための各種原位置検出スイッチからの検出信号は、モータ駆動基板4180を介して周辺制御MPU6150aの遊技盤用パラレルI/Oポートに入力されている。
なお、周辺制御部6150は、周辺制御MPU6150aに内蔵されたウォッチドックタイマ(以下、「周辺制御内蔵WDT」と記載する。)のほかに、図示しない、外部ウォッチドックタイマ(以下、「周辺制御外部WDT」と記載する。)も備えており、周辺制御MPU6150aは、周辺制御内蔵WDTと周辺制御外部WDTとを併用して自身のシステムが暴走しているか否かを診断している。
また、周辺制御部6150の周辺制御MPU6150aは、図152に示した周辺制御MPU4150aと同様に、内蔵RTC(図示せず)を備えている。なお、周辺制御基板4140の周辺制御MPU6150aは、遊技機の電源投入時や電源障害復旧時に、RTC4192から時刻情報およびカレンダー情報を読み取って、周辺制御MPU6150aの内蔵RTCへセットする。以後、RTC4192からの時刻情報およびカレンダー情報を読み出すのではなく、内蔵RTCによって時刻情報およびカレンダー情報を保持することができる。
[液晶・音制御部4160]
液晶表示装置1900の描画制御と高音質の演奏を行う液晶・音制御部6160は、図163に示すように、液晶表示装置1900を表示制御するVDP(Video Display Processorの略)6160aと、液晶表示装置1900に表示される画面の各種のキャラクタデータを記憶するキャラROM6160cとを備えている。
なお、VDP6160aは、高音質の演奏を行う音制御部6160bを内蔵している。また、キャラROM6160cには、各種のキャラクタデータのほかに、音楽及び効果音等の音情報が記憶されている。
周辺制御部6150の周辺制御MPU6150aは、表示コマンドと対応するスケジュールデータの先頭の画面データを周辺制御ROM6150bから抽出してVDP6160aに出力した後に、先頭の画面データに続く次の画面データを周辺制御ROM6150bから抽出してVDP6160aに出力する。このように、周辺制御MPU6150aは、スケジュールデータにおいて時系列に配列された画面データを、先頭の画面データから1つずつ周辺制御ROM6150bから抽出してVDP6160aに出力する。
VDP6160aは、周辺制御MPU6150aから出力された画面データが入力されると、この入力された画面データに基づいてキャラROM6160cからキャラクタデータを抽出してスプライトデータを作成して液晶表示装置1900に表示する1画面分(1フレーム分)の描画データを生成し、この生成した描画データを液晶表示装置1900に出力する。また、VDP6160aは、1画面分(1フレーム分)の描画データを液晶表示装置1900に出力すると、周辺制御MPU6150aからの画面データを受け入れることが可能である旨を伝えるVブランク割り込み信号を周辺制御MPU6150aに出力する。
なお、VDP6160aは、フレームバッファ方式が採用されている。この「フレームバッファ方式」とは、液晶表示装置1900の画面に描画する1画面分の描画データをフレームバッファに保持し、このフレームバッファに保持した1画面分の描画データを液晶表示装置1900に出力する方式である。
また、VDP6160aは、周辺制御MPU6150aからの音指令に基づいてキャラROM6160cから音情報を抽出し、枠周辺中継端子板868、そして周辺扉中継端子板882を介して本体枠3に設けたスピーカから各種演出に合わせた音楽及び効果音等が流れるよう制御を行うとともに、枠周辺中継端子板868、周辺扉中継端子板882、そして枠装飾駆動アンプ基板194を介して扉枠5に設けたスピーカから各種演出に合わせた音楽及び効果音等が流れるよう制御を行う。
[RTC制御部4190]
また、実施形態の周辺制御MPU6150aは、時刻情報取得手段として時刻情報を取得することが可能な外付けのリアルタイムクロック(以下、「RTC」という)4192を備えている。図示していないが、RTC4192は、レジスタ回路、クロック入力回路、クロック出力回路、割り込み出力回路、データ入出力回路、および、制御回路を含む。
周辺制御部4150は、電源バックアップされていないため、遊技機の電源断の場合、電源オフとなる。したがって、内蔵RTCは、遊技機の電源断の期間は計時情報およびカレンダー情報を失う。RTC制御部4190の外付けのRTC4192から得られる時刻情報は、演出効果を高めるための表示に用いるため、周辺制御基板4140にRTC4192が配置されている。
RTC4192は、時計・カレンダー機能を備える。時計・カレンダー機能は、年,月,日,時,分,秒をカウントする計時を行う機能である。また、必要に応じて、曜日までカウントするものを用いてもよい。RTC制御部4190はRTC4192の計時計測を正確な値に設定するために用いる装置を備えることができる。正確な時刻情報を設定するには、例えば、GPS衛星からの時刻情報を用いることができる。
RTC制御部4190には、RTC4192、および、RTC4192を駆動するための電池4194が設けられている。電池4194を備えることによって、電源基板(図示せず)の電源遮断時においてもRTC4192は計時、および、カレンダー機能を中断することがない。
電池4194としては一次電池(例えばボタン電池)であってもよいし、充電可能な二次電池、これによって、バックアップ電源を配置する必要がなく周辺制御基板4140の構成が複雑化するのを避けることができる。あるいは、電源基板にRTC4192のバックアップ電源を配置してもよい。この場合には大容量のキャパシタを用いることによって、一次電池の欠点である電池の消耗による交換作業をしなくてよい。なお、電池4194は、RAM4196のバックアップ電源としても用いられる。
RTC4192を時刻情報およびカレンダー情報の保持に限定して使用することによって、RTC4192の消費電力を大幅に減少することができ、ボタン電池などのバックアップ電源の長寿命化を図ることができる。
遊技機はRTC4192を備えることによって、年・月・日・時・分・秒(カレンダー情報と時刻情報)を特定する機能を備える。即ち、この実施形態では、周辺制御基板4140の周辺制御MPU6150aは、遊技機の電源投入時に、RTC4192から時刻情報およびカレンダー情報を取得して、周辺制御MPU6150aの内蔵のRAMの所定エリアに設定された時刻情報記憶部およびカレンダー情報記憶部に記憶する。時刻情報およびカレンダー情報をセットした後には、RTC4192からの時刻情報およびカレンダー情報を読み出すのではなく、周辺制御MPU6150aが、時刻情報記憶部およびカレンダー情報記憶部に記憶された時刻情報およびカレンダー情報を所定の処理周期で更新する(時刻を計時する時刻計時手段)。
これによって、時刻情報やカレンダー情報を用いた演出を行う際に、その都度、RTC4192に時刻情報およびカレンダー情報を問い合わせる必要がなくなり、演出を記憶した時刻情報やカレンダー情報によって行うことができ、演出のための処理速度が低下することが防止され、従来不可能であった多様な演出を実行できる。
なお、島に設置された遊技機は、遊技機の電源のオン・オフに関わらず、遊技中は常に同一の時刻情報によって演出を行うことができ、計時結果が予め定められた時期的条件を満たすと、複数の遊技機が設置されている島(遊技機設置島)全体の前記複数の遊技機を一斉に演出を実行する構成を備えることができる。島毎に同じ演出を実行することによって、演出が実行されるタイミングを確認しやすくなり、RTC4192について狂いが生じているかどうかの判断もし易くなる。さらに、島毎に異なるデモンストレーション、島毎に時差を備えたデモンストレーションを実行できる。このように、多種多様な演出を実行することができる。
[周辺制御基板4140の各種制御処理]
次に、図163に示した、主制御基板4100(主制御MPU4100)から各種コマンドを受信する周辺制御MPU6150a(以下、単に周辺制御MPUという)が実行する各種処理について、図164〜図170を参照して説明する。図164は第2実施形態における周辺制御MPUが実行する処理の第1実施形態のメインルーチンを示すフローチャートである。
[メインルーチン]
パチンコ遊技機1に電源が投入されると(周辺制御内蔵WDTまたは周辺制御外部WDTにより出力されたリセット信号が入力されると)、周辺制御MPUは、メインルーチンの実行を開始する。周辺制御MPUは、まず、初期設定処理を行う(ステップA02)。この初期設定処理は、周辺制御MPU6150aを初期化する処理と、リセット後のウェイトタイマを設定する処理等を行う。
なお、周辺制御MPUは、この初期設定処理で、まず自身を初期化する処理を行うことによって、主制御基板4100から出力される遊技演出の制御に関するコマンドやパチンコ遊技機1の状態に関するコマンド等の各種コマンドを受信することができる状態となる。この周辺制御MPUを初期化する処理にかかる時間は、マイクロ秒(μs)オーダーであり、極めて短い時間で周辺制御MPUを初期化することができ、主制御基板4100の主制御MPUの初期化処理が終了するよりも早く、周辺制御基板4140は主制御基板4100から送信されるコマンドを取りこぼすことがないようになっている。
ステップA02に続いて、現在時刻情報取得処理を行う(ステップA04)。すなわち、外付けのRTC4192から現在時刻情報及びカレンダー情報を取得して、内蔵RAMの所定エリアに設定された現在時刻データ記憶部及びカレンダー情報記憶部に保存する。なお、周辺制御MPUが、RTC4192から時刻情報およびカレンダー情報を取得するのは、電源投入時の1回のみである。次いで、周辺制御MPUはセル背景絵柄決定処理を行う(ステップA06)。
[セル背景絵柄決定処理]
図165は周辺制御MPUが実行するセル背景絵柄決定処理のサブルーチンを示すフローチャートである。セル背景絵柄決定処理を開始すると、周辺制御MPUは内蔵RAMのカレンダー情報記憶部に記憶したカレンダー情報が、予め定めた条件1に合致しているか否かを判別する(ステップB01)。予め定めた条件1は、カレンダー情報と比較される月日情報であり、実施形態では、例えば、4月1日から6月30日迄、という条件に設定されているものとする。
カレンダー情報記憶部に記憶したカレンダー情報が、予め定めた条件1に合致していると判別した場合、実施形態では、前導光板7702に記録された背景絵柄「桜」を遊技領域1100に表出するものとする。周辺制御MPUはステップB02に進み、周辺制御ROM6150bに記憶された前導光板背景絵柄表示用データの先頭アドレス(例えば、AAAA)を内蔵RAMに設定された背景絵柄表示用データのアドレス記憶部にセットする(ステップB02)。
図167は、周辺制御ROM6150bに記憶された前導光板背景絵柄表示用データ、中導光板背景絵柄表示用データ及び後導光板背景絵柄表示用データの記憶状態を示す図である。なお、前導光板背景絵柄表示用データ、中導光板背景絵柄表示用データ及び後導光板背景絵柄表示用データはすべて同じ大きさである。前導光板背景絵柄表示用データは、前導光板LED群7708を全点灯し、中導光板LED群7709及び後導光板LED群7710を消灯させるデータであり、前導光板LED群点灯データ、中導光板LED群消灯データ及び後導光板LED群消灯データにより構成されている。
次いで、周辺制御MPUはセルモードフラグに「1」をセットする(ステップB03)。ここで、セルモードフラグは、周辺制御MPUが前導光板7702、中導光板7703及び後導光板7704のうちの何れの背景絵柄が遊技領域1100に表出されているのかを識別するためのフラグであり、「1」で前導光板7702の背景絵柄であることを表し、「2」で中導光板7703の背景絵柄であることを表し、「3」で後導光板7704の背景絵柄であることを表す。ステップB03の処理後、周辺制御MPUはメインルーチンにリターンする。
一方、ステップB01において、カレンダー情報記憶部に記憶したカレンダー情報が、予め定めた条件1に合致しないと判別した場合、周辺制御MPUはステップB04に進み、内蔵RAMのカレンダー情報記憶部に記憶したカレンダー情報が、予め定めた条件2に合致しているか否かを判別する(ステップB04)。予め定めた条件2も、カレンダー情報と比較される月日情報であり、実施形態では、例えば、7月1日から9月30日に設定されているものとする。
カレンダー情報記憶部に記憶したカレンダー情報が、予め定めた条件2に合致していると判別した場合、実施形態では、中導光板7703に記録された背景絵柄「橋と夜空に打ち上がる花火」を遊技領域1100に表出するものとする。周辺制御MPUはステップB05に進み、周辺制御ROM6150bに記憶された中導光板背景絵柄表示用データの先頭アドレス(例えば、BBBB)を内蔵RAMに設定された背景絵柄表示用データのアドレス記憶部にセットする(ステップB05)。
図167に示すように、中導光板背景絵柄表示用データは、前導光板LED群7708を消灯し、中導光板LED群7709を全点灯し、後導光板LED群7710を消灯させるデータであり、前導光板LED群消灯データ、中導光板LED群点灯データ及び後導光板LED群消灯データにより構成されている。次いで、周辺制御MPUはセルモードフラグに「2」をセットし(ステップB06)、メインルーチンにリターンする。
ステップB04において、カレンダー情報記憶部に記憶したカレンダー情報が、予め定めた条件2に合致しないと判別した場合、すなわち、カレンダー情報が予め定めた条件1及び条件2に合致しない場合、換言すると、カレンダー情報が4月1日から9月30日迄という条件に合致しない場合、即ち、カレンダー情報が10月1日から3月31日迄の場合、実施形態では、後導光板704に記録された背景絵柄「紅葉(モミジの葉と銀杏の葉)」を遊技領域1100に表出するものとする。周辺制御MPUはステップB07に進み、周辺制御ROM6150bに記憶された後導光板背景絵柄表示用データの先頭アドレス(例えば、CCCC)を内蔵RAMに設定された背景絵柄表示用データのアドレス記憶部にセットする(ステップB07)。
図167に示すように、後導光板背景絵柄表示用データは、前導光板LED群7708を消灯し、中導光板LED群7709を消灯し、後導光板LED群7710を全点灯させるデータであり、前導光板LED群消灯データ、中導光板LED群消灯データ及び後導光板LED群点灯データにより構成されている。次いで、周辺制御MPUはセルモードフラグに「3」をセットし(ステップB08)、メインルーチンにリターンする。
[メインルーチンのつづき]
メインルーチンに戻ると、周辺制御MPUは、Vブランク検知フラグを0クリアする(ステップA08)。ここで、Vブランク検知フラグは、周辺制御MPUが後述する定常処理(実施形態では33.3ms毎に実行開始)の実行を開始するのか否かを判別するためのフラグであり、VDP6160aから出力されるVブランク割り込み信号により、Vブランク検知フラグが「1(実行開始)」にセットされる。
ステップA08でVブランク検知フラグを0クリアした後、周辺制御MPUは、Vブランク検知フラグが「1(実行開始)」であるか否かを判別する(ステップA10)。周辺制御MPUは、Vブランク検知フラグが「1」にセットされるまでの間、ステップA10をNOと判断する処理を繰り返すことで待機する。
VDP6160aからVブランク割り込み信号が出力されると、Vブランク割り込み信号が入力されることによってVブランク検知フラグが「1(実行開始)」にセットされる。これにより、周辺制御MPUは、ステップA10をYESと判断し、ステップA12に進み、ステップA12〜ステップA34の各処理で構成される定常処理ルーチンにおける各処理を順次実行することになる。
なお、Vブランク割り込み信号がVDP6160aから33.3ms毎に出力されるので、定常処理ルーチンは33.3ms毎に実行されるようになっている。また、周辺制御MPUが定常処理ルーチンの各処理を実行している間に、1ms割込タイマによるタイマ割り込みが周辺制御MPUにかかる。1ms割込タイマは、周辺制御MPUに内蔵されるハードウェアタイマであり、タイマ起動後に1ms毎にタイマ割り込みをかける。実施形態では、定常処理ルーチンの実行中に、32回のタイマ割り込みが周辺制御MPUにかかるように1ms割込タイマが設定されている。
定常処理ルーチンの実行中に、1msタイマ割り込みが周辺制御MPUにかかると、周辺制御MPUは、後述の1ms割込タイマ処理を実行し、1ms割込タイマ処理を終了すると、定常処理ルーチンに戻る。従って、定常処理ルーチンの実行中に、32回の1ms割込タイマ処理が行われることになる。
[定常処理]
周辺制御MPUは、定常処理を開始すると、まず、内蔵の割込タイマに1msに相当する値をセットして起動する(1ms割り込みタイマを起動する)(ステップA12)。次に、ランプデータ出力処理を実行する(ステップA14)。
ランプデータ出力処理は、扉枠5や遊技盤4に配設された装飾LEDを点灯するためのデータをランプ駆動基板4170に出力する処理であり、内蔵RAMに設定されたランプ駆動基板側送信データ領域(換言するとLED出力データ記憶部)にセットされた扉枠側発光データ並びに遊技盤側発光データを、内蔵のDMAコントローラを利用してランプ駆動基板用シリアルI/Oポート連続送信を行う。遊技盤側発光データは、クロック信号と同期して1ビットずつ送信開始し、遊技盤側発光データを送信し終わるとラッチ信号を出力する。前述のように、ラッチ信号のタイミングで装飾LEDが点灯する。扉枠側発光データについても同様であり、ここでは説明を省略する。なお、遊技盤側発光データには、セル部7700の導光板7702〜7704のLED群7708〜7710を点灯・消灯制御する上述の背景絵柄表示用データが含まれる。
周辺制御MPUは、次に、操作部監視処理を実行する(ステップA16)。後述する、図166(ステップA42)で操作部情報記憶部に記憶されたセンサの情報から、操作部の状態、例えば、押された、押されていないを判定し、操作部の状態を演出に反映するか否か適時決定して反映する。
周辺制御MPUは、次に、表示データ出力処理を実行する(ステップA18)。表示データ出力処理では、周辺制御MPUは、液晶表示装置1900の表示パネルの1画面分の画面データをVDP6160aに出力する。1画面分の画面データとは、VDP6160aが1フレーム分の描画データをVRAM上に作成するために必要なデータのことである。
周辺制御MPUは、次に、音データ出力処理を実行する(ステップA20)。音データ出力処理では、周辺制御MPUは、音指令(出力チャンネル番号と、音楽及び効果音に対応付けされたトラック番号)をVDP6160aに出力する。
周辺制御MPUは、次に、スケジューラ更新処理を実行する(ステップA22)。スケジューラ更新処理では、VDP6160aに対して出力される画面データであって、表示コマンドに対応するスケジュールデータを構成している時系列に配列された各画面データの何番目かを指定するポインタの更新と、ランプ、音、モータを制御するために出力される制御データであって、表示コマンドに対応するスケジュールデータを構成している時系列に配列された各制御データの何番目かを指定するポインタの更新と、を行う。
周辺制御MPUは、次に、受信コマンド解析処理を実行する(ステップA24)。主制御基板4100から送信される表示コマンドは、SIO(シリアルポート)で常時受信可能になっている。表示コマンドはSTTS(ステータス)とMODE(モード)の2バイト体系であるが、それにステータスとモードを数値と見做して単純加算したサムを加えた3バイトを1パケットとした体系にて通信する。このサムによって通信コマンドの整合性を担保している。表示コマンドの受信は、1バイト受信毎に、自動起動のDMAによって内蔵RAMの受信バッファ(受信コマンド記憶部)に転送する。したがって、周辺制御MPUは、受信コマンド記憶部に記憶されている表示コマンドの解析だけを行う。
なお、表示コマンドには、特図1同調演出関連に区分される各種コマンド、特図2同調演出関連に区分される各種コマンド、大当り関連に区分される各種コマンド、電源投入に区分される各種コマンド、普図同調演出関連に区分される各種コマンド、普通電役演出関連に区分される各種コマンド、報知表示に区分される各種コマンド、状態表示に区分される各種コマンド、テスト関連に区分される各種コマンド及びその他に区分される各種コマンドがある(図117〜図118参照)。
周辺制御MPUは、次に、警告処理を実行する(ステップA26)。警告処理では、ステップA24の解析結果が異常(大入賞口異常球数入賞、磁石検出等)を報知するコマンドであるとき、報知データを作成する。
周辺制御MPUは、次に、時刻情報、カレンダー情報更新処理を実行する(ステップA28)。周辺制御MPUは、内蔵RAMの時刻情報記憶部およびカレンダー情報記憶部に記憶された時刻情報およびカレンダー情報を更新する。
周辺制御MPUは、次に、ランプデータ作成処理を実行する(ステップA30)。ランプデータ作成処理において、ステップA06の処理にて背景絵柄表示用データのアドレス記憶部にセットされた背景絵柄表示用データの先頭アドレス(この実施形態では、AAAA、BBBB、CCCCのうちの何れか1つとなる)から所定の大きさ分の背景絵柄表示用データをLED出力データ記憶部に転送する。
LED出力データ記憶部に転送された背景絵柄表示用データは、次回に実行される定常処理のステップA14のランプデータ出力処理にてランプ駆動基板4170に出力される。そして、周辺制御MPUにより出力されるラッチ信号により、ランプ駆動基板4170から駆動出力されてLEDが点灯することになる。
これにより、例えば、カレンダー情報が4月1日から6月30日迄の期間は、ステップA06のセル背景絵柄決定処理により前導光板7702に記録された背景絵柄をセル部7700に表出することが決定され、前導光板LED群7708を点灯し(例えば、ピンクで点灯し)、中導光板LED群7709及び後導光板LED群7710を消灯することで、前導光板7702に記録された「桜」の背景絵柄がセル部7700において表出され、透明な遊技パネル7600を通して遊技者に視認される。
ところが、カレンダー情報が7月1日になると、ステップA06のセル背景絵柄決定処理により中導光板7703に記録された背景絵柄をセル部7700に表出することが決定され、中導光板LED群7709を点灯し(例えば、花火の部分をイエローで点灯し、橋の部分をブルーで点灯し)、前導光板LED群7708及び後導光板LED群7710を消灯する点灯状態に切り換えることで、中導光板7703に記録された「橋と夜空に打ち上がる花火」の背景絵柄がセル部7700に表出され、透明な遊技パネル7600を通して遊技者に視認される。
遊技者は、遊技盤面の障害釘や液晶表示装置や大入賞口を有するアタッカ等のレイアウトは全く同じであるのに、セル部7700の背景絵柄が刷新されていることに気付き、遊技盤面の雰囲気が、季節と同じように春から夏に変わるように思え、新鮮に感じるところとなる。なお、カレンダー情報が7月1日から9月30日迄の期間は、中導光板7703に記録された「橋と夜空に打ち上がる花火」の背景絵柄がセル部7700に表出される。
そうして、カレンダー情報が10月1日になると、ステップA06のセル背景絵柄決定処理により後導光板7704に記録された背景絵柄をセル部7700に表出することが決定され、後導光板LED群7710を点灯し、前導光板LED群7708及び中導光板LED群7709を消灯する点灯状態に切り換えることで、後導光板7704に記録された「紅葉(モミジの葉と銀杏の葉)」の背景絵柄がセル部7700に表出され、透明な遊技パネル7600を通して遊技者に視認される。
遊技者は、再び、セル部7700の背景絵柄が刷新されていることに気付き、遊技盤面の雰囲気が、季節と同じように夏から秋に変わるように思え、新鮮に感じるところとなる。なお、カレンダー情報が10月1日から3月31日迄の期間は、後導光板7704に記録された「紅葉(モミジの葉と銀杏の葉)」の背景絵柄がセル部7700に表出される。
そして、カレンダー情報が4月1日になると、ステップA06のセル背景絵柄決定処理により前導光板7702に記録された背景絵柄をセル部7700に表出することが決定され、前導光板7702に記録された「桜」の背景絵柄がセル部7700において表出され、透明な遊技パネル7600を通して遊技者に視認される。遊技者は、セル部7700の背景絵柄が刷新されていることに気付き、遊技盤面の雰囲気が、季節と同じように冬から春に変わるように思え、新鮮に感じるところとなる。
また、ステップA24の処理によって解析された表示コマンドに対応するランプ用のスケジュールデータから、各LED(扉枠5や遊技盤4の盤面に配設されたLED)に出力するデータをLED出力データ記憶部に転送する。
周辺制御MPUは、次に、表示データ作成処理を実行する(ステップA32)。表示データ作成処理において、ステップA24の処理によって解析された表示コマンドに対応するVDP用のスケジュールデータから、ポインタで指定される画像データを取得し、内蔵RAMに設定された画像出力データ記憶部に転送する。
周辺制御MPUは、次に、音データ作成処理を実行する(ステップA34)。音データ作成処理において、ステップA24の処理によって解析された表示コマンドに対応するVDPの音制御部6160b用のスケジュールデータから、ポインタで指定される音指令データを取得し、内蔵RAMに設定された音指令出力データ記憶部に転送する。
ステップA34を終了すると、周辺制御MPUは、ステップA08に戻ってVブランク検知フラグを0クリアし、再度VDP6160aから出力されるVブランク割り込み信号によってVブランク検知フラグが「1(実行開始)」にセットされるまでの間、ステップA10をNOと判断する処理を繰り返すことで待機する。なお、ステップA12〜ステップA34の処理を「定常処理」という。よって、ステップA34を終了すると、定常処理を終了したことになる。
[1msタイマ割り込み処理]
次に、1msタイマ割り込み処理について説明する。図166は周辺制御MPUが実行する1msタイマ割り込み処理ルーチンを示すフローチャートである。定常処理のステップA12で起動した1msタイマがタイムアップすることにより、タイマ割り込みがかかり、周辺制御MPUは、1msタイマ割り込み処理を実行する。なお、定常処理の間隔が33.3msなので、1定常処理あたり32回の1msタイマ割り込み処理が実行されることになる。
周辺制御MPUは、1msタイマ割り込み処理を開始すると、可動体駆動処理を実行する(ステップA40)。可動体駆動処理は、例えば、ステップA24の処理によって解析された表示コマンドに対応するスケジュールデータに基づいて、遊技盤面の後方に設けられた演出用可動体のモータ駆動信号の出力を行う(例えば、図43に示すダイヤル駆動モータ414)。
周辺制御MPUは、可動体駆動処理を終了すると、操作部情報取得処理を行う(ステップA42)。遊技者が操作可能な皿ユニット300の上部に設けられた操作部に対して配置されているセンサ(例えば、図43に示す回転検出スイッチ432a,432b、押圧検出スイッチ432c)の情報を取得し、内蔵RAMの所定のエリアに設定された操作部情報記憶部にセンサの情報を記憶する。周辺制御MPUは、操作部情報取得処理を終えるとメインルーチンに戻る。
上述の実施形態は、カレンダー情報が予め定めた条件になると、1つの導光板に記録された背景絵柄が光によって表出している状態から、これとは別の導光板に記録された背景図柄を表出させて、遊技領域1100の背景絵柄を刷新するようにしたものであるが、さらに、遊技領域1100の背景絵柄を刷新に加えて液晶表示装置1900において表示される演出を変化させるようにしてもよい。この場合、新たに表出される背景絵柄の内容に対応させて液晶表示装置1900の表示パネルにおいて表示される可変表示ゲームの抽選表示用図柄あるいは表示されるキャラクタを変化させると、より斬新な雰囲気を遊技者に与えることができる。なお、液晶表示装置1900の表示パネルは、積層導光体7701の後方で、かつ正面視において遊技盤4の中央に配置され(図95参照)、図173〜図175に示すように、積層導光体7701は、液晶表示装置1900の表示パネルの左方に近接して配置される。
例えば、セル部7700の背景絵柄が「桜」の背景絵柄に変わる場合には、抽選表示用図柄に桜を表示するようにし、セル部7700の背景絵柄が「橋と夜空に打ち上がる花火」の背景絵柄に変わる場合には、抽選表示用図柄に花火を表示するようにし、セル部7700の背景絵柄が「紅葉(モミジの葉と銀杏の葉)」の背景絵柄に変わる場合には、抽選表示用図柄にモミジを表示するようにする。
前提として、主制御基板4100から一方向通信で周辺制御基板4140へ送信される表示コマンド(例えば、遊技盤面に設けられた始動口への入賞検知に起因して送信される)は背景絵柄の変化に関係なく共通とし、変えない。代わりに、周辺制御基板4140の周辺制御ROM6150bに記憶されている表示コマンドに対応するスケジュールデータを変える。すなわち、上記の季節の変化で春、夏、秋で背景絵柄(第1の導光板〜第3の導光板に記録された第1の背景絵柄〜第3の背景絵柄)を変化させる例では、表示コマンドに対応するスケジュールデータを構成している時系列に配列された各画面データを春、夏、秋の3系統を持つように周辺制御ROM6150bに記憶する。
図168は、周辺制御ROM6150bに記憶された春用スケジュールデータ、夏用スケジュールデータ及び秋用スケジュールデータの記憶状態を示す図である。図168に示すように、春用スケジュールデータは、第1の背景絵柄に対応して、例えば、表示パネルにおいて表示される「桜を含む抽選表示用図柄[図170(a)参照]」をVDP6160aに指定する画面データを含むものであり、第1のキャラクタ表示用データに相当する。
夏用スケジュールデータは、第2の背景絵柄に対応して、例えば、表示パネルにおいて表示される「花火を含む抽選表示用図柄[図170(b)参照]」をVDP6160aに指定する画面データを含むものであり、第2のキャラクタ表示用データに相当する。また、秋用スケジュールデータは、第3の背景絵柄に対応して、例えば、表示パネルにおいて表示される「モミジを含む抽選表示用図柄[図170(c)参照]」をVDP6160aに指定する画面データを含むものであり、第3のキャラクタ表示用データに相当する。また、各画面データの春、夏、秋の3系統に対応してキャラROM6160cに、春、夏、秋のキャラクタデータを記憶させておく。
[表示キャラクタ選択処理]
図169は周辺制御MPUが実行する表示キャラクタ選択処理のサブルーチンを示すフローチャートである。なお、表示キャラクタ選択処理は、メインルーチンの定常処理におけるステップA32の表示データ作成処理の一処理として行われる。表示キャラクタ選択処理を開始すると、周辺制御MPUは、セルモードフラグが1であるか否かを判別する(ステップB20)。なお、セルモードフラグは、ステップA06のセル背景絵柄決定処理でセット済みであり、「1」で前導光板7702の背景絵柄であることを表し、「2」で中導光板7703の背景絵柄であることを表し、「3」で後導光板7704の背景絵柄であることを表す。
セルモードフラグが1であると判別した場合、背景絵柄が「桜」であることになり、周辺制御MPUはステップB21に進み、春用のスケジュールデータを選択し(ステップB21)、ステップB22に進む。
一方、ステップB20にて、セルモードフラグが1でないと判別した場合、周辺制御MPUは、セルモードフラグが2であるか否かを判別する(ステップB24)。セルモードフラグが2であると判別した場合、背景絵柄が「橋と夜空に打ち上がる花火」であることになり、周辺制御MPUはステップB25に進み、夏用のスケジュールデータを選択し(ステップB25)、ステップB22に進む。
一方、ステップB24にて、セルモードフラグが2でないと判別した場合、セルモードフラグが3であって、即ち、背景絵柄が「紅葉(モミジの葉と銀杏の葉)」であることになり、周辺制御MPUはステップB26に進み、秋用のスケジュールデータを選択し(ステップB26)、ステップB22に進む。
ステップB22に進むと、周辺制御MPUは、選択したスケジュールデータからポインタで指定される画像データを取得し(ステップB22)、取得した画像データを内蔵RAMに設定された画像出力データ記憶部に転送し(ステップB23)、表示キャラクタ選択処理を抜けて表示データ作成処理ルーチンに戻る。
画像出力データ記憶部に転送された画像データは、次回に実行される定常処理のステップA18の表示データ出力処理にてVDP6160aに出力される。VDP6160aは、この入力された画面データに基づいてキャラROM6160cからキャラクタデータを抽出してスプライトデータを作成して液晶表示装置1900に表示する1画面分(1フレーム分)の描画データを生成し、この生成した描画データを液晶表示装置1900に出力する。
これにより、例えば、4月1日から6月30日迄の期間においては、セル部7700の「桜」の背景絵柄に対応して、液晶表示装置1900の表示パネルに「桜を含む抽選表示用図柄」が表示されることになる。また、例えば、7月1日になると、セル部7700の背景が「橋と夜空に打ち上がる花火」に刷新され、これに対応して合わせるように、液晶表示装置1900の表示パネルに「花火を含む抽選表示用図柄」が表示されることになる。遊技者は、セル部7700の背景絵柄が刷新されていることに気付き、遊技盤面の雰囲気が新鮮に感じられると共に、液晶表示装置1900にて「花火を含む抽選表示用図柄」が演出表示されることにより、斬新さを感じるところとなる。
なお、図170は、表示パネルにおいて表示されるセル部7700の背景絵柄に対応する抽選表示用図柄の例を示す図である。図170(a)は、背景絵柄の桜の花びらの集合体により抽選表示用図柄を形成したものであり、図170(b)は、抽選表示用図柄に背景絵柄の花火の柄を入れ込んだものであり、図170(c)は、抽選表示用図柄のバックに背景絵柄の紅葉を彩ったカルタのようなものである。
なお、上記(a)〜(c)のように図柄を複数種類切り替える例に加え、表示パネルの抽選表示用図柄のバックグラウンドそのものの画像も同時に切り替え表示してもよい。
また、抽選表示用図柄の変動表示方法を、
(a)花びらが散りながら、次の図柄を形成する。
(b)単純なスクロールを行う。
(c)抽選表示用図柄が水平方向の軸又は上下方向の軸を中心に回転しつつ、図柄の裏面に次の図柄が登場する。
のようにスケジュールデータを構築するようにしてもよい。これにより、遊技パネル全体のイメージが一新するので、遊技機を長い期間稼働させることができる。
[別例]
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
上述した実施形態では、遊技領域1100の背景を刷新するセル部7700(可変装飾表示体)を背景絵柄が記録された複数枚の導光板を重ね合わせてなる積層導光体7701で構成したが、積層導光体7701に代えて適用できる例として、例えば、液晶表示体、切換点灯可能な電飾体、作動切換可能であって互いに形態の異なる複数種類の可動役物を挙げることができる。
[背景絵柄の第2実施形態・背景絵柄の立体表示]
次に、背景絵柄の第2実施形態について説明する。図171は前導光板7702に記録された背景絵柄の一例を示す正面図であり、図172は中導光板7703に記録された背景絵柄の一例を示す正面図であり、図173は後導光板7704に記録された背景絵柄の一例を示す正面図である。図171〜図173に示すように、本実施形態では、各背景絵柄は、共通のキャラクタ(桜の花)を表現するものとされている。また、本実施形態では、各導光板7702〜7704における背景絵柄の記録位置は互いに同じ定位置としている。
さらに、本実施形態では、各導光板7702〜7704同士を比較すると明らかなように、各背景絵柄は形状は同じで大きさが異なるだけであり、互いに相似形とされている。最も後方に位置した導光板7704から最も前方に位置する導光板7702に向って、記録されている各絵柄の形状が漸次拡大するような絵柄とされている。図173に示すように、後導光板7704に記録された背景絵柄7720cである「桜の花」の大きさは最も小さい。以下、背景絵柄7720cを背景絵柄(小)というものとする。図171に示すように、前導光板7702に記録された背景絵柄7720aである「桜の花」の大きさは最も大きい。以下、背景絵柄7720aを背景絵柄(大)というものとする。図172に示すように、中導光板7703に記録された背景絵柄7720bである「桜の花」の大きさは、背景絵柄7720cの大きさと背景絵柄7720aの大きさとの中間の大きさである。以下、背景絵柄7720bを背景絵柄(中)というものとする。
前導光板LED群7708を点灯し(例えば、ピンクで点灯し)、中導光板LED群7709及び後導光板LED群7710を消灯することで、前導光板7702の外側面から入射した光が導光印刷された背景絵柄に当って散乱し、散乱した光が前面の導光出射面7702bから出射することによって「桜の花」の背景絵柄(大)が表出する。なお、導光出射面7702bから出射した光は、遊技パネル7600を透過する。これにより、前導光板7702に表出した「桜」の背景絵柄(大)は、透明な遊技パネル7600を通して遊技者に視認される。
また、上述の点灯状態から、中導光板LED群7709を点灯し(例えば、ピンクで点灯し)、前導光板LED群7708及び後導光板LED群7710を消灯する点灯状態に切り換えることで、中導光板7703の外側面から入射した光が導光印刷された背景絵柄に当って散乱し、散乱した光が前面の導光出射面7703bから出射することによって「桜の花」の背景絵柄(中)が表出する。なお、導光出射面7703bから出射した光は、前導光板7702を透過し、さらに遊技パネル7600を透過する。これにより、中導光板7703に表出した「桜の花」の背景絵柄(中)は、透明な遊技パネル7600を通して遊技者に視認される。
また、上述の点灯状態から、後導光板LED群7710を点灯し、前導光板LED群7708及び中導光板LED群7709を消灯する点灯状態に切り換えることで、後導光板7710の外側面から入射した光が導光印刷された背景絵柄に当って散乱し、散乱した光が前面の導光出射面7704bから出射することによって「桜の花」の背景絵柄(小)が表出する。なお、導光出射面7704bから出射した光は、中導光板7703及び前導光板7702を透過し、さらに遊技パネル7600を透過する。これにより、後導光板7704に表出した「桜の花」の背景絵柄(小)は、透明な遊技パネル7600を通して遊技者に視認される。
[周辺制御基板4140の各種制御処理]
次に、図163に示した、主制御基板4100(主制御MPU4100a)から各種コマンドを受信する周辺制御MPU6150a(以下、単に周辺制御MPUという)が実行する各種処理について、図174〜図181を参照して説明する。図174は図163に示す周辺制御MPUが実行する処理の第2実施形態のメインルーチンを示すフローチャートである。
[メインルーチン]
パチンコ遊技機1に電源が投入されると(周辺制御内蔵WDTまたは周辺制御外部WDTにより出力されたリセット信号が入力されると)、周辺制御MPUは、メインルーチンの実行を開始する。周辺制御MPUは、まず、初期設定処理を行う(ステップA52)。この初期設定処理は、周辺制御MPU6150aを初期化する処理と、リセット後のウェイトタイマを設定する処理等を行う。
なお、周辺制御MPUは、この初期設定処理で、まず自身を初期化する処理を行うことによって、主制御基板4100から出力される遊技演出の制御に関するコマンドやパチンコ遊技機1の状態に関するコマンド等の各種コマンドを受信することができる状態となる。この周辺制御MPUを初期化する処理にかかる時間は、マイクロ秒(μs)オーダーであり、極めて短い時間で周辺制御MPUを初期化することができ、主制御基板4100の主制御MPUの初期化処理が終了するよりも早く、周辺制御基板4140は主制御基板4100から送信されるコマンドを取りこぼすことがないようになっている。
ステップA52に続いて、現在時刻情報取得処理を行う(ステップA54)。すなわち、外付けのRTC4192から現在時刻情報及びカレンダー情報を取得して、内蔵RAMの所定エリアに設定された現在時刻データ記憶部及びカレンダー情報記憶部に保存する。なお、周辺制御MPUが、RTC4192から時刻情報およびカレンダー情報を取得するのは、電源投入時の1回のみである。
次いで、周辺制御MPUは、Vブランク検知フラグを0クリアする(ステップA56)。ここで、Vブランク検知フラグは、周辺制御MPUが後述する定常処理(実施形態では33.3ms毎に実行開始)の実行を開始するのか否かを判別するためのフラグであり、VDP6160aから出力されるVブランク割り込み信号により、Vブランク検知フラグが「1(実行開始)」にセットされる。
ステップA56でVブランク検知フラグを0クリアすると、周辺制御MPUは、Vブランク検知フラグが「1(実行開始)」であるか否かを判別する(ステップA58)。周辺制御MPUは、Vブランク検知フラグが「1」にセットされるまでの間、ステップA58をNOと判断する処理を繰り返すことで待機する。
VDP6160aからVブランク割り込み信号が出力されると、Vブランク割り込み信号が入力されることによってVブランク検知フラグが「1(実行開始)」にセットされる。これにより、周辺制御MPUは、ステップA58をYESと判断し、ステップA60に進み、ステップA60〜ステップA82の各処理で構成される定常処理ルーチンにおける各処理を順次実行することになる。
なお、Vブランク割り込み信号がVDP6160aから33.3ms毎に出力されるので、定常処理ルーチンは33.3ms毎に実行されるようになっている。また、周辺制御MPUが定常処理ルーチンの各処理を実行している間に、1ms割込タイマによるタイマ割り込みが周辺制御MPUにかかる。1ms割込タイマは、周辺制御MPUに内蔵されるハードウェアタイマであり、タイマ起動後に1ms毎にタイマ割り込みをかける。実施形態では、定常処理ルーチンの実行中に、32回のタイマ割り込みが周辺制御MPUにかかるように1ms割込タイマが設定されている。
定常処理ルーチンの実行中に、1msタイマ割り込みが周辺制御MPUにかかると、周辺制御MPUは、後述の1ms割込タイマ処理を実行し、1ms割込タイマ処理を終了すると、定常処理ルーチンに戻る。従って、定常処理ルーチンの実行中に、32回の1ms割込タイマ処理が行われることになる。
[定常処理]
周辺制御MPUは、定常処理を開始すると、まず、内蔵の割込タイマに1msに相当する値をセットして起動する(1ms割り込みタイマを起動する)(ステップA60)。次に、ランプデータ出力処理を実行する(ステップA62)。
ランプデータ出力処理は、扉枠5や遊技盤4に配設された装飾LEDを点灯するためのデータをランプ駆動基板4170に出力する処理であり、内蔵RAMに設定されたランプ駆動基板側送信データ領域(換言するとLED出力データ記憶部)にセットされた扉枠側発光データ並びに遊技盤側発光データを、内蔵のDMAコントローラを利用してランプ駆動基板用シリアルI/Oポート連続送信を行う。遊技盤側発光データは、クロック信号と同期して1ビットずつ送信開始し、遊技盤側発光データを送信し終わるとラッチ信号を出力する。前述のように、ラッチ信号のタイミングで装飾LEDが点灯する。扉枠側発光データについても同様であり、ここでは説明を省略する。なお、遊技盤側発光データには、セル部7700の導光板7702〜7704のLED群7708〜7710を点灯・消灯制御する背景絵柄表示用データが含まれる。
周辺制御MPUは、次に、操作部監視処理を実行する(ステップA64)。後述する、図175(ステップA42)で操作部情報記憶部に記憶されたセンサの情報から、操作部の状態、例えば、押された、押されていないを判定し、操作部の状態を演出に反映するか否か適時決定して反映する。
周辺制御MPUは、次に、表示データ出力処理を実行する(ステップA66)。表示データ出力処理では、周辺制御MPUは、液晶表示装置1900の表示パネルの1画面分の画面データをVDP6160aに出力する。1画面分の画面データとは、VDP6160aが1フレーム分の描画データをVRAM上(フレームバッファ)に作成するために必要なデータのことである。
周辺制御MPUは、次に、音データ出力処理を実行する(ステップA68)。音データ出力処理では、周辺制御MPUは、音指令(出力チャンネル番号と、音楽及び効果音に対応付けされたトラック番号)をVDP6160aに出力する。
周辺制御MPUは、次に、スケジューラ更新処理を実行する(ステップA70)。スケジューラ更新処理では、VDP6160aに対して出力される画面データであって、表示コマンドに対応するスケジュールデータを構成している時系列に配列された各画面データの何番目かを指定するポインタの更新と、ランプ、音、モータを制御するために出力される制御データであって、表示コマンドに対応するスケジュールデータを構成している時系列に配列された各制御データの何番目かを指定するポインタの更新と、を行う。
周辺制御MPUは、次に、受信コマンド解析処理を実行する(ステップA72)。主制御基板4100から送信される表示コマンドは、SIO(シリアルポート)で常時受信可能になっている。表示コマンドはSTTS(ステータス)とMODE(モード)の2バイト体系であるが、それにステータスとモードを数値と見做して単純加算したサムを加えた3バイトを1パケットとした体系にて通信する。このサムによって通信コマンドの整合性を担保している。表示コマンドの受信は、1バイト受信毎に、自動起動のDMAによって内蔵RAMの受信バッファ(受信コマンド記憶部)に転送する。したがって、周辺制御MPUは、受信コマンド記憶部に記憶されている表示コマンドの解析だけを行う。
なお、表示コマンドには、特図1同調演出関連に区分される各種コマンド、特図2同調演出関連に区分される各種コマンド、大当り関連に区分される各種コマンド、電源投入に区分される各種コマンド、普図同調演出関連に区分される各種コマンド、普通電役演出関連に区分される各種コマンド、報知表示に区分される各種コマンド、状態表示に区分される各種コマンド、テスト関連に区分される各種コマンド及びその他に区分される各種コマンドがある(図117〜図118参照)。
周辺制御MPUは、次に、警告処理を実行する(ステップA74)。警告処理では、ステップA72の解析結果が異常(大入賞口異常球数入賞、磁石検出等)を報知するコマンドであるとき、報知データを作成する。
周辺制御MPUは、次に、時刻情報、カレンダー情報更新処理を実行する(ステップA76)。周辺制御MPUは、内蔵RAMの時刻情報記憶部およびカレンダー情報記憶部に記憶された時刻情報およびカレンダー情報を更新する。
周辺制御MPUは、次に、ランプデータ作成処理を実行する(ステップA78)。ランプデータ作成処理において、ステップA72の受信コマンド解析処理によって解析された表示コマンドに対応するランプ用のスケジュールデータから、ポインタで指定される各LED(扉枠5や遊技盤4の盤面に配設されたLED)に出力するLED出力データを取得し、内蔵RAMに設定されたLED出力データ記憶部に転送する。なお、LED出力データには、導光板7702〜7704のLED群7708〜7710を点灯・消灯制御することで背景絵柄(小)〜(大)を表出・消滅させる背景絵柄表示用データが含まれる。
周辺制御MPUは、次に、表示データ作成処理を実行する(ステップA80)。表示データ作成処理において、ステップA72の受信コマンド解析処理によって解析された表示コマンドに対応するVDP用のスケジュールデータから、ポインタで指定される画像データを取得し、内蔵RAMに設定された画像出力データ記憶部に転送する。
周辺制御MPUは、次に、音データ作成処理を実行する(ステップA82)。音データ作成処理において、ステップA72の処理によって解析された表示コマンドに対応するVDPの音制御部6160b用のスケジュールデータから、ポインタで指定される音指令データを取得し、内蔵RAMに設定された音指令出力データ記憶部に転送する。
ステップA82を終了すると、周辺制御MPUは、ステップA56に戻ってVブランク検知フラグを0クリアし、再度VDP6160aから出力されるVブランク割り込み信号によってVブランク検知フラグが「1(実行開始)」にセットされるまでの間、ステップA58をNOと判断する処理を繰り返すことで待機する。なお、ステップA60〜ステップA82の処理を「定常処理」という。よって、ステップA82を終了すると、定常処理を終了したことになる。
[1msタイマ割り込み処理]
次に、1msタイマ割り込み処理について説明する。図175は周辺制御MPUが実行する1msタイマ割り込み処理ルーチンを示すフローチャートである。定常処理のステップA60で起動した1msタイマがタイムアップすることにより、タイマ割り込みがかかり、周辺制御MPUは、1msタイマ割り込み処理を実行する。なお、定常処理の間隔が33.3msなので、1定常処理あたり32回の1msタイマ割り込み処理が実行されることになる。
周辺制御MPUは、1msタイマ割り込み処理を開始すると、可動体駆動処理を実行する(ステップA40)。可動体駆動処理は、例えば、ステップA72の処理によって解析された表示コマンドに対応するスケジュールデータに基づいて、遊技盤面の後方に設けられた演出用可動体のモータ駆動信号の出力を行う(例えば、図43に示すダイヤル駆動モータ414)。
周辺制御MPUは、可動体駆動処理を終了すると、操作部情報取得処理を行う(ステップA42)。遊技者が操作可能な皿ユニット300の上部に設けられた操作部に対して配置されているセンサ(例えば、図43に示す回転検出スイッチ432a,432b、押圧検出スイッチ432c)の情報を取得し、内蔵RAMの所定のエリアに設定された操作部情報記憶部にセンサの情報を記憶する。周辺制御MPUは、操作部情報取得処理を終えるとメインルーチンに戻る。
[背景絵柄の立体表示]
次に、以上のように構成された実施形態のパチンコ遊技機1における周辺制御部6150が備えている遊技領域1100の背景絵柄を立体的に表示する背景立体表示手段について説明する。なお、本実施形態では、周辺制御部6150の周辺制御MPUは、最も後方に位置した後導光板7704に対応する光源から最も前方に位置する前導光板7702に対応する光源までを順次点灯し、各導光板7704、7703及び7702の各背景絵柄(小)(中)(大)が順次表出されることにより、遊技領域1100の背景絵柄を立体的に表示するものとしている。
また、本実施形態では、積層導光体7701による遊技領域1100の背景絵柄の立体表示の一具体例として重ね合せ表示を行うものとする。即ち、図171〜図173に示すように、各導光板7702〜7704における背景絵柄「桜の花」の記録位置は互いに同じ定位置としている構成により、まず、後導光板7704に記録されている背景絵柄(小)7720cを表出し、次に、背景絵柄(小)7720cが表出されている状態のままで、後導光板7704の前方において、中導光板7703に記録されている背景絵柄(中)7720bを表出し、さらにその次に、背景絵柄(小)7720cと背景絵柄(中)7720bが表出されている状態のままで、中導光板7703の前方において、前導光板7702に記録されている背景絵柄(大)7720aを表出する。
図176〜図178は、積層導光体7701による遊技領域1100の背景絵柄の立体表示の一具体例としての重ね合せ表示を工程順に示す図であり、図176は、立体表示としての重ね合せ表示における後導光板7704に記録されている背景絵柄(小)7720cが表出された状態を示す図である。図177は、立体表示としての重ね合せ表示における中導光板7703に記録されている背景絵柄(中)7720bが表出された状態を示す図である。なお、図177において、背景絵柄(小)7720cが表出されている状態を鎖線で示している。図178は、立体表示としての重ね合せ表示における前導光板7702に記録されている背景絵柄(大)7720aが表出された状態を示す図である。なお、図178において、背景絵柄(小)7720cと背景絵柄(中)7720bとが表出されている状態を鎖線で示している。
積層導光体7701は各導光板7702〜7704が前後方向に重ね合せ構造となっていること、各導光板7702〜7704における背景絵柄の記録位置は互いに同じ定位置であること、及び各導光板7704、7703及び7702の各背景絵柄(小)(中)(大)が順次表出されて重ね合せ表示されることにより、遊技領域1100の背景絵柄が視覚的に奥行き感のある絵柄に感じられることとなり、遊技盤面の雰囲気を背景絵柄によって立体的に表示できて遊技者に対して十分な興趣を与えることができる。
しかも、背景絵柄が各背景絵柄(小)(中)(大)の順番で表出されて重ね合せ表示されるので、遊技領域1100の奥方から背景絵柄「桜の花」が遊技者に向って飛んで来るように視認されるため、遊技者は、自分に背景絵柄が迫って来るように感じ、遊技者に対して今までにない新鮮で、迫力のある立体動画演出を提供でき、十分な興趣を遊技者に与えることができる。
また、本実施形態では、積層導光体7701による遊技領域1100の背景絵柄の立体表示の内容(本実施形態では「桜の花」)に対応させて液晶表示装置1900の表示パネルにおいて表示される動画による演出表示を絡めて演出表示するものとする。液晶表示装置1900の表示パネルは、積層導光体7701の後方で、かつ正面視において遊技盤4の中央に配置され、図173〜図175に示すように、積層導光体7701は、液晶表示装置1900の表示パネルの左方に近接して配置される。
図179は、積層導光体7701による遊技領域1100の背景絵柄の立体表示の内容(本実施形態では「桜の花」)に対応させて、積層導光体7701による背景絵柄の立体表示が行われる前段階において、積層導光体7701よりも後方で、遊技盤の中央に配置されている液晶表示装置1900の表示パネル(以下、単に、表示パネルという)において表示される絵柄「桜の花」の動画による演出表示の一例を示す図である。この例では、演出表示は、表示パネルにおいて表示されるキャラクタ7730(マイクを持って歌う女の子、以下、「歌うちび菜」という)とキャラクタ7740(「桜の花」)とによる動画により行われる演出名「歌うちび菜と飛び出す桜の花」という演出が行われる。
表示パネルに先ず「歌うちび菜」が登場し、同時に「歌うちび菜」の顔を取り囲むように複数の「桜の花」が略円状に表示される[図179(a)参照]。次に、「歌うちび菜」が、歌うアクションに合わせて複数の「桜の花」を表示パネルの左方に向って投げるように動作し、投げられた複数の「桜の花」の大きさが少し大きくなって左方に移動表示される(背景絵柄と同じく共通のキャラクタを表す絵柄が積層導光体7701に近接する表示パネルの側縁に向って移動表示される)[図179(b)参照]。その次に、「歌うちび菜」が、引き続いて歌うアクションに合わせてさらに複数の「桜の花」を表示パネルの左方に向って投げるように動作し、投げられた複数の「桜の花」の大きさがさらに大きく表示されて表示パネルの左側縁に移動表示される[図179(c)参照]。
そうして、その次には、図176に示すように、表示パネルにおいては引き続き図179(c)において説明した演出(「歌うちび菜」がどんどん「桜の花」を投げると共に、「桜の花」の左方への拡大移動表示)が継続して行われる。かつ同時に、遊技領域において、積層導光体7701により後導光板7704に記録されている背景絵柄「桜の花」(小)7720cが表出される。なお、この例では「桜の花」の大きさは、図179(c)の表示パネルの左側縁に表示されている「桜の花」と積層導光体7701に表出された背景絵柄「桜の花」(小)とは、同じ大きさとしている。
これにより、遊技者は遊技領域に背景絵柄「桜の花」(小)が表出したことに気付き、表示パネルに表示されていた「桜の花」が表示パネルの枠を超えて遊技領域に飛び出していったように思え、「桜の花が飛び出た!」という驚きと演出の新鮮さを感じるところとなる。
その次には、図177に示すように、表示パネルにおいては引き続き図179(c)において説明した演出が継続して行われ、かつ同時に、背景絵柄「桜の花」(小)7720cが表出されている状態のままで、遊技領域において、積層導光体7701により後導光板7704の前方において、中導光板7703に記録されている背景絵柄「桜の花」(中)7720bが重なって表出される。
遊技者は遊技領域に背景絵柄「桜の花」(小)に重ね合わせて「桜の花」(中)が表出したことに気付き、背景絵柄「桜の花」の大きさが大きくなったことが視覚的に奥行き感を持って感じられることにより、遊技領域に飛び出した「桜の花」が自分に向って飛んで来るように思え、「桜の花が飛んで来る!」という驚きと演出の新鮮さを感じるところとなる。
更にその次に、図178に示すように、表示パネルにおいては引き続き図179(c)において説明した演出が継続して行われ、かつ同時に、背景絵柄「桜の花」(小)7720cと背景絵柄「桜の花」(中)7720bとが重なって表出されている状態のままで、中導光板7703の前方において、積層導光体7701により前導光板7702に記録されている背景絵柄「桜の花」(大)7720aが重なって表出される。
遊技者は遊技領域に背景絵柄「桜の花」(小)及び(中)に重ね合わせて「桜の花」(大)が表出したことに気付き、背景絵柄「桜の花」の大きさがさらに大きくなったことが視覚的に奥行き感を持って感じられることにより、遊技領域に飛び出した「桜の花」が自分に向って迫り来るように思え、「桜の花が飛び出して来る!」という驚きと演出の新鮮さを感じるところとなる。
なお、前導光板LED群7708、中導光板LED群7709、後導光板LED群7710を点灯させて背景絵柄「桜の花」(小)及び(中)に重ね合わせて「桜の花」(大)を表出する場合、各導光板のLED群点灯データを階調制御することで、「桜の花」(小)よりも「桜の花」(中)を階調を高くし、「桜の花」(中)よりも「桜の花」(大)を階調を高くすると、遊技領域1100の背景絵柄が視覚的により明確に奥行き感のある絵柄に感じられることとなる。
また、以上のような演出を、例えば、遊技機前部に設置された皿ユニットの上面において遊技者が操作可能に配設された押しボタン(図17の押圧操作部405)への連打操作に伴って行うようにすると、より一層遊技の興趣を盛り上げることができる(所謂、当業界で「激アツ」と呼んでいる演出)。また、例えば、操作ユニット400のダイヤル操作部401への反時計回りの回転操作に伴って行うようにすると、より一層遊技の興趣を盛り上げることができる。
以上に説明した演出表示は、主制御基板4100から送信された表示コマンドが周辺制御基板4140において受信され、受信した表示コマンドが、例えば、特図1同調演出関連に区分される特定の表示コマンドであることが、図174のステップA72の受信コマンド解析処理において解析された場合に、「歌うちび菜と飛び出す桜の花」の演出が実行される。
即ち、ステップA72の受信コマンド解析処理において解析された特定の表示コマンドに対応するランプ用のスケジュールデータ及びVDP用のスケジュールデータが起動され、ステップA78のランプデータ作成処理においてランプ用のスケジュールデータから、ポインタで指定される各LED(積層導光体7701に配設されたLED群7708〜7710が含まれる)に出力するLED出力データを取得してLED出力データ記憶部に転送し、ステップA80の表示データ作成処理において、VDP用のスケジュールデータから、ポインタで指定される画像データを取得して画像出力データ記憶部に転送する。
なお、LED出力データ記憶部に転送されたLED出力データと画像出力データ記憶部に転送された画像データは、次のサイクルの(Vブランク割り込み信号の入力により実行が開始される)定常処理におけるステップA62のランプデータ出力処理及びステップA66の表示データ出力処理にて、ランプ駆動基板4170とVDP6160aとに出力される。
図180は、周辺制御ROM6150bに記憶された「歌うちび菜と飛び出す桜の花」の演出を行うためのVDP用のスケジュールデータとランプ用のスケジュールデータの記憶状態を示す図である。VDP用のスケジュールデータの画面データとランプ用のスケジュールデータのLED用データとは、VDP6160aの1フレーム分を1単位として33.3ms毎に同期して定常処理のステップA70のスケジューラ更新処理で更新される共通のポインタで更新されている。
図180に示すように、表示パネルに図179(a)〜図179(c)に示す演出が行われている期間(3フレーム分)は、前導光板LED群消灯データ、中導光板LED群消灯データ、後導光板LED群消灯データが出力される。したがって、遊技領域1100の背景として黒色の遮光板7705が視認される。
そして、その次のフレームでは、表示パネルに図176[図179(c)と同じ]に示す演出が行われると共に、前導光板LED群消灯データ、中導光板LED群消灯データ、後導光板LED群点灯データが出力される。これにより、遊技領域において、積層導光体7701により後導光板7704に記録されている背景絵柄「桜の花」(小)7720cが表出される。
また、その次のフレームでは、表示パネルに図177[図179(c)と同じ]に示す演出が行われると共に、前導光板LED群消灯データ、中導光板LED群点灯データ、後導光板LED群点灯データが出力される。これにより、遊技領域において、背景絵柄「桜の花」(小)7720cが表出されている状態のままで、遊技領域において、積層導光体7701により後導光板7704の前方において、中導光板7703に記録されている背景絵柄「桜の花」(中)7720bが重なって表出される。
さらに、その次のフレームでは、表示パネルに図178[図179(c)と同じ]に示す演出が行われると共に、前導光板LED群点灯データ、中導光板LED群点灯データ、後導光板LED群点灯データが出力される。これにより、遊技領域において、背景絵柄「桜の花」(小)7720cと背景絵柄「桜の花」(中)7720bとが重なって表出されている状態のままで、中導光板7703の前方において、積層導光体7701により前導光板7702に記録されている背景絵柄「桜の花」(大)7720aが重なって表出される。
[別例]
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
上述した実施形態では、背景絵柄の立体表示の一具体例として、最も後方に位置した導光板7704に対応する光源から最も前方に位置する導光板7702に対応する光源までを順次点灯し、背景絵柄「桜の花」の大きさがさらに大きくなったことが視覚的に奥行き感を持って感じられることにより、遊技領域に飛び出した「桜の花」が自分に向って迫り来るように思える演出としたが、背景絵柄の立体表示は、これに限らず以下の演出表示を挙げることができる。
まず最初に、前導光板LED群点灯データ、中導光板LED群点灯データ、後導光板LED群点灯データを出力することにより、背景絵柄「桜の花」(小)7720cと背景絵柄「桜の花」(中)7720bと背景絵柄「桜の花」(大)7720aとを重ね合せて表出させる。遊技者には背景絵柄「桜の花」が視覚的に奥行き感を持って感じられる。
次に、前導光板LED群消灯灯データ、中導光板LED群点灯データ、後導光板LED群点灯データを出力することにより、背景絵柄「桜の花」(小)7720cと背景絵柄「桜の花」(中)7720bと背景絵柄「桜の花」(大)7720aとが重ね合せて表出されている状態から、背景絵柄「桜の花」(大)7720aのみを消滅させる。遊技者には背景絵柄「桜の花」の大きさが小さくなったことが視覚的に奥行き感を持って感じられることにより、遊技領域に表出されている「桜の花」が奥方に向って飛んで行くように見える。
その次に、前導光板LED群消灯灯データ、中導光板LED群消灯データ、後導光板LED群点灯データを出力することにより、背景絵柄「桜の花」(小)7720cと背景絵柄「桜の花」(中)7720bとが重ね合せて表出されている状態から、背景絵柄「桜の花」(中)7720aのみを消滅させる。遊技者には背景絵柄「桜の花」の大きさが小さくなったことが視覚的に奥行き感を持って感じられることにより、遊技領域に表出されている「桜の花」がさらに奥方に向って遠ざかるように飛んで行くように見える。このように、最も前方に位置した導光板7702に対応する光源から最も後方に位置する導光板7704に対応する光源までを順次点灯することにより、背景絵柄を立体表示することができる。
さらにその次に、前導光板LED群消灯灯データ、中導光板LED群消灯データ、後導光板LED群消灯データを出力することにより、背景絵柄「桜の花」(小)7720cが表出されている状態から、背景絵柄「桜の花」(小)7720cを消滅させる。遊技者には背景絵柄「桜の花」の消えてなくなったことが視覚的に奥行き感を持って感じられることにより、遊技領域に表出されていた「桜の花」が遊技領域に吸い込まれたように見える。
そして、これに引き続いて、表示パネルの動画演出を図179(c)→図179(b)→図179(a)のように移行させると、遊技領域に表出されていた「桜の花」が表示パネルの枠を超えて表示パネルに飛び込んでいったように思え、「桜の花が飛び込んだ!」という驚きと演出の新鮮さを感じるところとなる。即ち、背景絵柄と同じく共通のキャラクタを表す絵柄が積層導光体7701に近接する表示パネルの側縁から表示パネルの中央に向って移動表示される。
また、さらに別の背景絵柄の立体表示の例を挙げると、2つの層間で、例えば、後導光板7704と中導光板7703との間で交互に導光板を切換点灯させると、背景絵柄「桜の花」(小)と背景絵柄「桜の花」(中)とが交互に表出されることになり、積層の厚みの範囲で背景絵柄「桜の花」が視覚的にフワフワと浮沈するような錯覚を生じる。
また、さらに別の背景絵柄の立体表示の例を挙げると、前述の積層導光体7701よりも後方で、遊技盤の中央に配置されている液晶表示装置1900の表示パネルにおいて、図179(a)〜(c)に示した「歌うちび菜と飛び出す桜の花」の演出を行い、これに引き続いて、図181において矢印線に示すように、後導光板7704の一部、中導光板7703の一部、前導光板7702の一部をそれぞれ順次点灯させることにより、背景絵柄「桜の花」(小)から背景絵柄「桜の花」(中)、背景絵柄「桜の花」(中)から背景絵柄「桜の花」(大)へと移動拡大表示させてもよい。表示パネルにおいて移動表示されていた「桜の花」が前方かつ左方の積層導光体7701に飛び出し、さらに積層の厚みの範囲で背景絵柄「桜の花」が視覚的に遊技者に向けて浮き上がるような錯覚を生じ、より迫力感を感じる。また、移動表示ではなく、例えば、背景絵柄「桜の花」(小)、背景絵柄「桜の花」(大)、背景絵柄「桜の花」(中)、背景絵柄「桜の花」(大)等のようにランダムに切換点灯するようにしてもよい。
実施形態では、主制御基板4100から送信された表示コマンドが周辺制御基板4140において受信され、受信した表示コマンドが、例えば、特図1同調演出関連に区分される特定の表示コマンドであることが、図174のステップA72の受信コマンド解析処理において解析された場合に、「歌うちび菜と飛び出す桜の花」の演出(背景絵柄の立体表示)を実行するように説明しているが、背景絵柄の立体表示を実行する条件は、これに限らず以下の条件を挙げることができる。
例えば、定常処理ルーチンのステップA78のランプデータ作成処理において、RAMの所定エリアの時刻情報記憶部に更新記憶されている時刻情報、または内蔵RTCの時刻情報が、予め定められた時刻条件(例えば、12:00並びに18:00)に合致しているか否かを監視し、合致した場合に、「歌うちび菜と飛び出す桜の花」の演出(背景絵柄の立体表示)を開始し、所定時間の間(例えば、12:00から3分間とか18:00から3分間)、背景絵柄の立体表示を繰り返す。すなわち、主制御基板4100から送信される表示コマンドに関係なく、時刻情報が予め定められた時刻条件に合致した場合のみにより、背景絵柄の立体表示を実行する。
遊技者は、今まで全く可変表示が行われていなかった遊技領域1100に(例えば、遊技者には黒色の遮光板7705が視認されていた状態)、背景絵柄「桜の花」(小)及び(中)に重ね合わせて「桜の花」(大)が表出したことに気付き、背景絵柄「桜の花」の大きさがさらに大きくなったことが視覚的に奥行き感を持って感じられることにより、遊技領域に、突如、飛び出した「桜の花」が自分に向って迫り来るように思え、「桜の花が飛び出て来た!何なんだ!」という驚きと演出の新鮮さを感じるところとなる。
[背景絵柄の第3実施形態・背景絵柄の立体的な浮遊表示]
次に、背景絵柄の第3実施形態について説明する。図182は、背景絵柄の第3実施形態に係る前構成部材1110及びセル部7700を前方から見た分解斜視図である。第3実施形態のセル部7700は、図156に示す積層導光体7701に対して導光板を1枚追加した4枚構成としている。即ち、第3実施形態の積層導光体7701は、正面視で同じ形状で同じ大きさであり、同じ厚みのアクリル樹脂製よりなる前導光板7702、中前導光板7703a、中後導光板7703b、後導光板7704の4枚が前後方向に層状に重ね合わされてなる。その他の構成は、図156に示す積層導光体7701と同じである。
図183は、各導光板7702〜7704において背景絵柄として記録される絵柄を示す図である。背景絵柄として記録される絵柄は、複数種類であって共通のキャラクタを表現するものであり、この実施形態では、共通のキャラクタとしての「銀杏の葉」である。そして、「銀杏の葉」は、絵柄の姿勢(葉の姿勢)が互いに異なる4種類の絵柄7750、7752、7754、7756とされている。各絵柄の特徴として、「銀杏の葉」7750は、柄が上方に向いている。「銀杏の葉」7752は、柄が右方斜め下に向いている。「銀杏の葉」7754は、柄が左方斜め下に向いている。「銀杏の葉」7756は、柄が左方斜め上に向いている。
図184は、背景絵柄の第3実施形態において前導光板7702に記録された背景絵柄の一例を示す正面図であり、図185は背景絵柄の第3実施形態において中前導光板7703aに記録された背景絵柄の一例を示す正面図であり、図186は背景絵柄の第3実施形態において中後導光板7703bに記録された背景絵柄の一例を示す正面図であり、図187は、背景絵柄の第3実施形態において後導光板7704に記録された背景絵柄の一例を示す正面図である。
図182、図184〜図187に示すように、本実施形態では、各導光板7702〜7704における各背景絵柄7750〜7756の記録位置は互いに同じ定位置とされると共に、各導光板7702〜7704における前記定位置毎に絵柄の姿勢が互いに異なるものとされている。図182及び図184を用いて説明すると、図182においては二点鎖線で、図184において一点鎖線で示すように、前導光板7702における左肩部分(第1の位置という)と、第1の位置よりも下方となる左肩下部分(第2の位置という)と、第2の位置よりも下方となる左袖部分(第3の位置という)とには、それぞれ同じ背景絵柄である「銀杏の葉」7750が記録されている。
同様に、図185に示すように、中前導光板7703aのおける左肩部分(第1の位置)と、第1の位置よりも下方となる左肩下部分(第2の位置)と、第2の位置よりも下方となる左袖部分(第3の位置)とには、それぞれ同じ背景絵柄である「銀杏の葉」7752が記録されている。また、図186に示すように、中後導光板7703bのおける左肩部分(第1の位置)と、第1の位置よりも下方となる左肩下部分(第2の位置)と、第2の位置よりも下方となる左袖部分(第3の位置)とには、それぞれ同じ背景絵柄である「銀杏の葉」7754が記録されている。さらに、図187に示すように、後導光板7704における左肩部分(第1の位置)と、第1の位置よりも下方となる左肩下部分(第2の位置)と、第2の位置よりも下方となる左袖部分(第3の位置)とには、それぞれ同じ背景絵柄である「銀杏の葉」7756が記録されている。
即ち、第1の位置においては、前導光板7702では「銀杏の葉」7750が記録され、中前導光板7703aでは「銀杏の葉」7752が記録され、中後導光板7703bでは「銀杏の葉」7754が記録され、後導光板7704では「銀杏の葉」7756が記録されている。第2の位置及び第3の位置についても同様である。なお、第1の位置と第2の位置とに記録されている「銀杏の葉」の大きさは同じ大きさであり、第3の位置に記録されている「銀杏の葉」の大きさは、第1の位置と第2の位置に記録されている絵柄の大きさよりも若干大きい。
また、第3実施形態では、周辺制御部6150は、複数の層間で、各導光板7702〜7704に対応する光源(前導光板LED群7708、中前導光板LED群7709a、中後導光板LED群7709b、後導光板LED群7710)を切換点灯させる。これによって、各導光板7702〜7704の姿勢が互いに異なる複数種類の各背景絵柄7750〜7756が定位置で切換表出されることにより、遊技領域1100の背景絵柄が積層の厚みの範囲で立体的に恰も浮遊しているように表示される。
例えば、前導光板7702、中前導光板7703a、中後導光板7703b、後導光板7704の順番で切換点灯させる。即ち、図180を用いて説明したように、VDP用のスケジュールデータの画面データとランプ用のスケジュールデータのLED用データとは、VDP6160aの1フレーム分を1単位として33.3ms毎に同期して定常処理のステップA70のスケジューラ更新処理で更新される共通のポインタで更新されている。
例えば、表示パネルに図179(a)〜図179(c)に示す演出が行われている期間(3フレーム分)は、前導光板LED群消灯データ、中前導光板LED群消灯データ、中後導光板LED群消灯データ、後導光板LED群消灯データが出力される。したがって、遊技領域1100の背景として黒色の遮光板7705が視認される。
そして、その次のフレームでは、表示パネルに図176[図179(c)と同じ]に示す演出が行われると共に、前導光板LED群点灯データ、中前導光板LED群消灯データ、中後導光板LED群消灯データ、後導光板LED群消灯データが出力される。これにより、遊技領域において、積層導光体7701により前導光板7702に記録されている背景絵柄「銀杏の葉」7750が第1の位置〜第3の位置にそれぞれ表出される。
その次のフレームでは、表示パネルに図176[図179(c)と同じ]に示す演出が行われると共に、前導光板LED群消灯データ、中前導光板LED群点灯データ、中後導光板LED群消灯データ、後導光板LED群消灯データが出力される。これにより、遊技領域において、積層導光体7701により中前導光板7703aに記録されている背景絵柄「銀杏の葉」7752が第1の位置〜第3の位置にそれぞれ表出される。
さらに、その次のフレームでは、表示パネルに図176[図179(c)と同じ]に示す演出が行われると共に、前導光板LED群消灯データ、中前導光板LED群消灯データ、中後導光板LED群点灯データ、後導光板LED群消灯データが出力される。これにより、遊技領域において、積層導光体7701により中後導光板7703bに記録されている背景絵柄「銀杏の葉」7754が第1の位置〜第3の位置にそれぞれ表出される。
そして、さらにその次のフレームでは、表示パネルに図176[図179(c)と同じ]に示す演出が行われると共に、前導光板LED群消灯データ、中前導光板LED群消灯データ、中後導光板LED群消灯データ、後導光板LED群点灯データが出力される。これにより、遊技領域において、積層導光体7701により後導光板7704に記録されている背景絵柄「銀杏の葉」7756が第1の位置〜第3の位置にそれぞれ表出される。
なお、実施形態では、主制御基板4100から送信された表示コマンドが周辺制御基板4140において受信され、受信した表示コマンドが、例えば、特図1同調演出関連に区分される特定の表示コマンドであることが、図174のステップA72の受信コマンド解析処理において解析された場合に、上述の「銀杏の葉」による浮遊表示の演出(背景絵柄の立体表示)を実行するものとする。
また、第3実施形態においても、積層導光体7701による遊技領域1100の背景絵柄の浮遊表示の内容(本実施形態では「銀杏の葉」)に対応させて液晶表示装置1900の表示パネルにおいて表示される動画による演出表示(銀杏の葉による動画)を絡めて演出表示してもよい。
以上のように、遊技領域1100において、第1の位置〜第3の位置に、それぞれ背景絵柄「銀杏の葉」7750→「銀杏の葉」7752→「銀杏の葉」7754→「銀杏の葉」7756の順で、姿勢が互いに異なる「銀杏の葉」が表出されることになり、積層の厚みの範囲で背景絵柄「銀杏の葉」が視覚的に、例えば、風に乗ってユラユラと浮遊するような錯覚を生じる。
遊技者は、今まで全く可変表示が行われていなかった遊技領域1100に(例えば、遊技者には黒色の遮光板7705が視認されていた状態)、背景絵柄「銀杏の葉」が表出したことに気付き、背景絵柄「銀杏の葉」が風に乗ってユラユラと浮遊することが視覚的に奥行き感を持って感じられることにより、遊技領域に、突如、飛び出した「銀杏の葉」が「ユラユラ揺れている!何だ!」という驚きと演出の新鮮さを感じるところとなる。
なお、上述の切換点灯の順番は一例であって、実施形態のものに限られるものではない。例えば、背景絵柄「銀杏の葉」7752→「銀杏の葉」7756→「銀杏の葉」7754→「銀杏の葉」7750→「銀杏の葉」7756→「銀杏の葉」7754→「銀杏の葉」7752→「銀杏の葉」7750のように、不規則的な順序に切換点灯するように、ランプ用のスケジュールデータのLED用データを構成してもよい。
以上に説明した第3実施形態では、各導光板において記録されている背景絵柄は同一の絵柄としているが、例えば、図184に示す前導光板7702に記録されている3つの背景絵柄は、同じ「銀杏の葉」7750であるが、図188〜図191に示すように、各導光板においても記録されている背景絵柄を、絵柄の姿勢が互いに異なるものとしてもよい。
図188〜図191は、背景絵柄の第3実施形態において前導光板7702〜後導光板7704に記録された背景絵柄の他の実施例を示す正面図である。図188を用いて説明すると、図188において一点鎖線で示すように、前導光板7702における左肩部分(第1の位置という)には「銀杏の葉」7750が記録され、第1の位置よりも下方となる左肩下部分(第2の位置という)には「銀杏の葉」7752が記録され、第2の位置よりも下方となる左袖部分(第3の位置という)には「銀杏の葉」7754が記録され、第2の位置よりも下方となる左袖下中央部分(第4の位置という)には「銀杏の葉」7756が記録されている。
図189に示すように、中前導光板7703aにおける第1の位置には「銀杏の葉」7752が記録され、第2の位置には「銀杏の葉」7754が記録され、第3の位置には「銀杏の葉」7756が記録され、第4の位置には「銀杏の葉」7750が記録されている。図190に示すように、中後導光板7703bにおける第1の位置には「銀杏の葉」7754が記録され、第2の位置には「銀杏の葉」7756が記録され、第3の位置には「銀杏の葉」7750が記録され、第4の位置には「銀杏の葉」7752が記録されている。
図191に示すように、後導光板7704における第1の位置には「銀杏の葉」7756が記録され、第2の位置には「銀杏の葉」7750が記録され、第3の位置には「銀杏の葉」7752が記録され、第4の位置には「銀杏の葉」7754が記録されている。そして、図188〜図191に示すように、各導光板7702〜7704における前記定位置毎に(第1の位置〜第4の位置毎に)絵柄の姿勢が互いに異なるものとされている。
複数の層間で、各導光板7702〜7704に対応する光源(前導光板LED群7708、中前導光板LED群7709a、中後導光板LED群7709b、後導光板LED群7710)を切換点灯させ、各導光板7702〜7704の各背景絵柄7750〜7756が定位置で切換表出されることにより、遊技領域1100の背景絵柄を積層の厚みの範囲で立体的に浮遊表示する。この例では、第1の位置〜第4の位置に切換表出される「銀杏の葉」の浮遊表示は、互いに異なる動きとなり、さらに演出の新鮮さを感じるところとなる。
[セル部7700を用いたメッセージ表示]
以下に説明する実施形態は、セル部7700を用いたメッセージ表示による情報報知に係る発明に関するものである。なお、この実施形態では、メッセージ表示による情報報知の一具体例として、閉店時刻の予告並びに閉店時刻になったことの報知としている。また、予め定めたメッセージ表示条件の一具体例としては、閉店時刻の1時間前になること並びに閉店時刻になることをメッセージ表示条件としている。
遊技場では、閉店後も店内清掃や遊技台の調整等の多くの仕事がある。また、人件費を節約するために、閉店時刻(例えば、午後10時45分)以降の業務は極力減らしたいという事情がある。また、閉店後に新台入替を行う場合、新台入替のための作業に時間がかかるため、閉店時刻を1時間早める等、閉店時刻を変更することが行われている。例えば、平常では午後10時45分を閉店時刻と定めている遊技場では、新台入替を行う場合、午後9時45分に閉店時刻を変更している。
一方、遊技者にとって、閉店時刻に一方的に遊技を中止させられてしまうことは、例えば、高確率状態中の遊技を行っている場合、折角獲得したチャンスを放棄させられてしまうことになり、大きな不満を持つことになってしまう。閉店時刻については、遊技場において店内放送等を用いて遊技者に案内されているが、遊技場に設置されている多数の遊技機から発生される様々な効果音のために、店内放送がかき消されて遊技者の耳に届かず、遊技者が閉店時刻を知らない場合が多い。閉店時刻が変更された場合、これを知らないで遊技している遊技者が閉店時刻に一方的に遊技を中断してしまうことは、遊技場の営業上、好ましくない。
この実施形態におけるセル部7700は、図182に示した4枚の導光板で構成された積層導光体7701を備えたものを用いる。図192は、各導光板7702〜7704において背景絵柄として記録される絵柄とメッセージを示す図である。実施形態では、複数枚の導光板のうちの少なくとも1つはメッセージ記録用とされ、光の散乱によって表出する閉店時刻に関するメッセージが記録されている。また、残る他の各導光板は背景絵柄記録用とされ、光の散乱によって表出する各背景絵柄が記録され、積層導光体7701による遊技領域1100の背景絵柄の立体表示の一具体例として重ね合せ表示を行うものとする。
即ち、図192に示すように、前導光板7702、中前導光板7703a、中後導光板7703bに記録されている背景絵柄は、共通のキャラクタ(桜の花)を表現するものとされている。また、本実施形態では、各導光板7702〜7703bにおける背景絵柄の記録位置は互いに同じ定位置としている。さらに、各導光板7702〜7703b同士を比較すると明らかなように、各背景絵柄は形状は同じで大きさが異なるだけであり、互いに相似形とされている。後方に位置した中後導光板7703bから最も前方に位置する前導光板7702に向って、記録されている各絵柄の形状が漸次拡大するような絵柄とされている。
前導光板7702に記録された背景絵柄である「桜の花」(大)7720aの大きさは最も大きい。中後導光板7703bに記録された背景絵柄である「桜の花」(小)7720cの大きさは最も小さい。中前導光板7703aに記録された背景絵柄である「桜の花」(中)7720bの大きさは、背景絵柄7720cの大きさと背景絵柄7720aの大きさとの中間の大きさである。
図182において二点鎖線で示したように、前導光板7702における左肩部分(第1の位置という)と、第1の位置よりも下方となる左肩下部分(第2の位置という)と、第2の位置よりも下方となる左袖部分(第3の位置という)とには、それぞれ同じ背景絵柄である「桜の花」(大)7720aが記録されている。
同様に、中前導光板7703aにおける左肩部分(第1の位置)と、第1の位置よりも下方となる左肩下部分(第2の位置)と、第2の位置よりも下方となる左袖部分(第3の位置)とには、それぞれ同じ背景絵柄である「桜の花」(中)7720bが記録されている。また、中後導光板7703bにおける左肩部分(第1の位置)と、第1の位置よりも下方となる左肩下部分(第2の位置)と、第2の位置よりも下方となる左袖部分(第3の位置)とには、それぞれ同じ背景絵柄である「桜の花」(小)7720cが記録されている。
さらに、図192に示すように、各導光板7702〜7703bにおける背景絵柄「桜の花」の記録位置に対して重ならない位置、即ち、後導光板7704における上部(遊技領域1100における天左側部分に相当する位置)には、閉店時刻を予告として教示するためのメッセージ7760である「1時間後に閉店します」が記録されている。また、後導光板7704における左袖部分(第3の位置)には、閉店時刻となった旨を教示するためのメッセージ7762である「閉店時刻になりました」が記録されている。
そして、「桜の花」の記録位置は互いに同じ定位置としている構成により、まず、中後導光板7703bに記録されている「桜の花」(小)7720cを(例えば、ピンクで)表出し、次に、「桜の花」(小)7720cが表出されている状態のままで、中後導光板7703bの前方において、中前導光板7703aに記録されている「桜の花」(中)7720bを(例えば、ピンクで)表出し、さらにその次に、「桜の花」(小)7720cと「桜の花」(中)7720bが表出されている状態のままで、中前導光板7703aの前方において、前導光板7702に記録されている「桜の花」(大)7720aを(例えば、ピンクで)表出する。
さらに、閉店時刻の1時間前になると、後導光板7704における上部のLED群のみを点灯することにより、閉店時刻を予告として教示するためのメッセージ「1時間後に閉店します」7760を表出する。なお、メッセージ「1時間後に閉店します」7760は、遊技者にメッセージが表出していることを喚起させるために、赤色でLED群を点灯する。
そして、閉店時刻になると、後導光板7704における左袖部分のLED群のみを点灯することにより、閉店時刻を教示するためのメッセージ「閉店時刻になりました」7762を表出する。なお、メッセージ「閉店時刻になりました」7762は、メッセージにより遊技者に即時に遊技を止めてもらうために、白色でLED群を点灯する。
この実施形態では、遊技場の係員により閉店時刻を設定入力するために、新たに入力スイッチ6170が設けられている。図163に示すように、周辺制御部6150には入力スイッチ6170が接続され、入力スイッチ6170の操作信号は周辺制御MPU6150aの操作ユニット検出用シリアルI/Oポートに入力されている。
なお、図示していないが、入力スイッチ6170は、遊技者が操作不可能な位置、例えば、周辺制御基板4140上に設けられている。入力スイッチ6170は、押しボタン式のプッシュスイッチであって、手で押すとオン状態となり、手を離すとオフ状態となるスイッチである。このような入力スイッチ6170は、パチンコ遊技機1の裏面側に設けられているので、遊技場の係員が操作することができるが、遊技者は操作することができないようになっている。
[閉店時刻の設定入力]
この実施形態では、電源投入時において、閉店時刻の設定入力を行なえるように構成されている。また、閉店時刻の設定入力は、図2に示す押圧操作部405(以下、操作ボタンという)への操作と入力スイッチ6170への操作とにより行うものとする。そして、押圧操作部405への操作に応じて、即ち、押圧検出スイッチ432c(図43参照)の操作信号に応じて、設定する事項の選択を行ない、入力スイッチ6170への操作に応じて、設定する事項の決定を行なうようになっている。
次に、電源投入時において、閉店時刻の設定入力を行なうときに液晶表示装置1900の表示パネルにおいて表示される閉店時刻設定画面の表示例について説明する。電源スイッチ852をオン状態にするパチンコ遊技機1の電源投入時において、電源投入時から5秒以上続けて操作ボタンがオン状態に操作されたときに、閉店時刻設定画面が液晶表示装置1900の表示パネルにおいて表示される。
図193は、液晶表示装置1900の表示パネルにおいて表示される閉店時刻設定画面を示す図である。閉店時刻設定画面が表示されたときにおいては、各種項目を選択するための選択操作を行なう操作手段として操作ボタンが用いられ、そのように選択された項目の決定をするための決定操作を行なう操作手段として入力スイッチ6170(入力スイッチという)が用いられる。
閉店時刻設定画面においては、閉店時刻として任意に設定するための時刻情報を表示する時刻設定領域7770が表示される。この実施形態では、時刻設定領域7770においては、閉店時刻として22時45分、22時15分、21時45分の複数(3つ)の選択候補が表示されるとともに、それぞれの選択時刻に対応して、閉店時刻が選択されたことを教示するためのチェックボックスが表示される。
また、閉店時刻設定画面においては、閉店時刻の設定を確定して設定を終了するときに操作する設定終了操作領域7772が表示される。さらに、「操作ボタンを押して閉店時刻を選択して下さい。」と、「閉店時刻を選択し、入力スイッチを押して下さい。」と、「閉店時刻の入力が済んだら、設定終了を選択し、入力スイッチを押してください。」というような閉店時刻設定画面での操作ボタンおよび入力スイッチの操作案内が、操作案内領域7774に表示されている。
図193(a)は、閉店時刻のデフォルト値として22時45分が設定されていることを示している。そして、選択可能な領域のうち、現在選択されている領域が、予め定められた色で表示されることとなり、どの領域が選択されているかが示される。さらに、チェックボックスへのチェックマークが表示されている。この例では、22時45分が色で表示されると共に、22時45分に対応したチェックボックスへのチェックマークが表示されている。
閉店時刻設定画面が表示されたときに、操作ボタンを押圧操作すると、1回操作するごとに、表示されている時刻設定領域7770において、複数設けられた選択時刻(表示項目)のそれぞれを予め定められた順番にしたがって選択するとともに、設定終了操作領域7772の表示項目を予め定められた順番にしたがって選択する。そして、閉店時刻設定画面において、時刻設定領域7770での選択時刻が選択されたときに、入力スイッチを押圧操作すると、選択された時刻に対応するチェックボックスへのチェックマークと、選択されていないその他の時刻のチェックマークの解除が行なわれる。これにより、操作ボタンおよび入力スイッチへ操作することに基づいて、閉店時刻を任意に設定(設定変更)することができる。
そして、設定終了操作領域7772が選択されているときに入力スイッチを押圧操作すると、その操作が設定終了操作となり、その操作が行なわれた時点で時刻設定領域7770において示された閉店時刻の設定がRAMに設定されている閉店時刻記憶エリアに閉店時刻として更新記憶される。そして、閉店時刻設定画面の表示が終了する。
[周辺制御基板4140の各種制御処理]
次に、図163に示した、主制御基板4100(主制御MPU4100a)から各種コマンドを受信する周辺制御MPU6150a(以下、単に周辺制御MPUという)が実行する各種処理について、図193〜図197を参照して説明する。図194は図163に示す周辺制御MPUが実行する処理の第4実施形態のメインルーチンを示すフローチャートである。
[メインルーチン]
パチンコ遊技機1に電源が投入されると(周辺制御内蔵WDTまたは周辺制御外部WDTにより出力されたリセット信号が入力されると)、周辺制御MPUは、メインルーチンの実行を開始する。周辺制御MPUは、まず、初期設定処理を行う(ステップA52)。この初期設定処理は、周辺制御MPU6150aを初期化する処理と、リセット後のウェイトタイマを設定する処理等を行う。
なお、周辺制御MPUは、この初期設定処理で、まず自身を初期化する処理を行うことによって、主制御基板4100から出力される遊技演出の制御に関するコマンドやパチンコ遊技機1の状態に関するコマンド等の各種コマンドを受信することができる状態となる。この周辺制御MPUを初期化する処理にかかる時間は、マイクロ秒(μs)オーダーであり、極めて短い時間で周辺制御MPUを初期化することができ、主制御基板4100の主制御MPUの初期化処理が終了するよりも早く、周辺制御基板4140は主制御基板4100から送信されるコマンドを取りこぼすことがないようになっている。
ステップA52に続いて、後述する閉店時刻設定処理を行う(ステップA53)。閉店時刻設定処理では、先に説明した閉店時刻設定画面において閉店時刻の設定を行う。
ステップA53に続いて、現在時刻情報取得処理を行う(ステップA54)。すなわち、外付けのRTC4192から現在時刻情報及びカレンダー情報を取得して、内蔵RAMの所定エリアに設定された現在時刻データ記憶部及びカレンダー情報記憶部に保存する。なお、周辺制御MPUが、RTC4192から時刻情報およびカレンダー情報を取得するのは、電源投入時の1回のみである。なお、ステップA56乃至ステップA82の各処理は、図174に示した第2実施形態と全く同じであるので、説明を省略する。なお、周辺制御MPUは、時刻情報、カレンダー情報更新処理を実行することにより(ステップA76)、内蔵RAMの時刻情報記憶部およびカレンダー情報記憶部に記憶された時刻情報およびカレンダー情報を更新する。
[閉店時刻設定処理]
図195は周辺制御MPUが実行する閉店時刻設定処理のサブルーチンを示すフローチャートである。閉店時刻設定処理を開始すると、周辺制御MPUは、まず、外付けのRTC4192から現在の秒情報を取得して、内蔵RAMの所定エリアに設定された秒情報記憶部に記憶する(ステップA100)。
次いで、周辺制御MPUは、ステップA102に進み、押圧検出スイッチ432cからの操作信号に基づいて、操作ボタンがオン状態に操作されているか否かを判定する(ステップA102)。電源投入時に、操作ボタンがオン状態に操作されていないと判定した場合、すなわち、押圧検出スイッチ432cからの操作信号がオフ状態の場合、ステップA102をNOと判定して閉店時刻設定処理のサブルーチンを抜けてメインルーチンにリターンする。したがって、閉店時刻の設定入力は実質的に行われないことになる。この場合には、閉店時刻のデフォルト値としての22時45分が内蔵RAMに設定されている閉店時刻記憶エリアに設定記憶されていることになる。
一方、ステップA102において、押圧検出スイッチ432cからの操作信号がオン状態の場合、ステップA102をYESと判定し、即ち、操作ボタンがオン状態に操作されていると判定し、ステップA104に進み、再度外付けのRTC4192から現在の秒情報を取得する(ステップA104)。次いで、ステップA100で記憶した秒情報とステップA104で取得した秒情報とを比較することにより、5秒が経過したか否かを判定する(ステップA106)。5秒が経過していないと判定した場合、周辺制御MPUは、ステップA102に戻る。
電源投入時から操作ボタンがオン状態に操作され続けている場合には、ステップA102をYESと判定、ステップA104、ステップA106をNOと判定してステップA102に戻る処理ルーチンを繰り返すことになる。電源投入時から操作ボタンがオン状態に操作されている時間が5秒に達すると、周辺制御MPUは、ステップA106をYESと判定し、ステップA108に進む。
周辺制御MPUは、図193に示す閉店時刻設定画面を液晶表示装置1900の表示パネルに表示させる(ステップA108)。なお、周辺制御MPUが閉店時刻設定画面を表示するための画面データをVDP6160aに出力し、VDP6160aがこの画面データに基づいて表示パネルに閉店時刻設定画面を表示する。
次いで、周辺制御MPUは、操作ボタンからの操作信号および入力スイッチからの操作信号を判定することにより、前述のような操作領域の選択操作および閉店時刻の設定操作等の選択・設定操作があったか否かを判断する(ステップA110)。そして、ステップA110により選択・設定操作があったと判定したときは、前述のように、選択された時刻設定領域の選択報知色での表示、および、チェックボックスでのチェックマークの表示等、その操作に対応した表示を行ない(ステップA112)、ステップA110に戻る。
一方、ステップA110において選択・設定操作がないと判定した場合には、閉店時刻設定画面において現在選択されている操作領域を確認するとともに、入力スイッチからの操作信号を判定することにより、前述のような設定終了操作があったか否かを判定する(ステップA114)。
図193(b)は、操作ボタンの押圧操作によって閉店時刻として21時45分が選択され、現在選択されている領域が、予め定められた色で表示され、入力スイッチへの押圧操作によって選択された閉店時刻21時45分が決定され、チェックボックスへのチェックマークが表示されていることを示している。
また、図193(c)は、閉店時刻として21時45分が決定された状態において、操作ボタンの押圧操作によって設定終了が選択され、現在選択されている設定終了操作領域7772が、予め定められた色で表示されていることを示している。
ステップA114において設定終了操作がないと判定した場合は、ステップA110に戻る。一方、ステップA114において設定終了操作があったと判定したときは、その時点で閉店時刻設定画面において設定されていた閉店時刻[例えば、図193(b)の例では閉店時刻として21時45分が設定されている]を内蔵RAMに設定されている閉店時刻記憶エリアに記憶し(ステップA116)、閉店時刻設定処理のサブルーチンを抜けてメインルーチンにリターンする。これにより、閉店時刻設定処理が終了する。
[セル部表示切換処理]
図196〜図197は周辺制御MPUが実行するセル部表示切換処理のサブルーチンを示すフローチャートである。なお、セル部表示切換処理は、セル部7700を用いた閉店予告を含む処理であり、メインルーチンの定常処理におけるステップA78のランプデータ作成処理の一処理として行われる。
セル部表示切換処理を開始すると、周辺制御MPUは、まず、RAMの所定エリアの時刻情報記憶部に更新記憶されている現在の時刻情報(時、分)を読み出す(ステップB30)。次いで、ステップB32に進み、ステップB32以降により、読み出した現在の時刻情報が予め定めた時刻条件に合致しているか否かを順次監視する。
ステップB32では、現在の時刻情報が15時00分前であるか否かを判定する(ステップB32)。現在の時刻情報が15時00分前でないと判定した場合はステップB36に進む。ステップB36では、現在の時刻情報が15時00分であるか否かを判定する(ステップB36)。現在の時刻情報が15時00分でないと判定した場合はステップB40に進む。ステップB40では、現在の時刻情報が18時00分であるか否かを判定する(ステップB40)。現在の時刻情報が18時00分でないと判定した場合はステップB44に進む。
ステップB44では、現在の時刻情報が内蔵RAMに設定されている閉店時刻記憶エリアに記憶されている閉店時刻の1時間前であるか否かを判定する(ステップB44)。現在の時刻情報が閉店時刻の1時間前ではないと判定した場合はステップB48(図197参照)に進む。
ステップB48では、現在の時刻情報が内蔵RAMに設定されている閉店時刻記憶エリアに記憶されている閉店時刻の3分前であるか否かを判定する(ステップB48)。現在の時刻情報が閉店時刻の3分前ではないと判定した場合はステップB52に進む。ステップB52では、現在の時刻情報が内蔵RAMに設定されている閉店時刻記憶エリアに記憶されている閉店時刻の2分前であるか否かを判定する(ステップB52)。現在の時刻情報が閉店時刻の2分前ではないと判定した場合はステップB56に進む。ステップB56では、現在の時刻情報が内蔵RAMに設定されている閉店時刻記憶エリアに記憶されている閉店時刻の1分前であるか否かを判定する(ステップB56)。現在の時刻情報が閉店時刻の1分前ではないと判定した場合はステップB60に進む。
ステップB60では、現在の時刻情報が内蔵RAMに設定されている閉店時刻記憶エリアに記憶されている閉店時刻であるか否かを判定する(ステップB60)。現在の時刻情報が閉店時刻ではないと判定した場合は、セル部表示切換処理のサブルーチンを抜ける。
さて、ステップB32において、現在の時刻情報が15時00分前であると判定した場合は、即ち、開店時刻から15時00分になるまでの期間では、ステップB32をYESと判定し、ステップB34に進み、中後導光板点灯用データ、即ち、前導光板LED群消灯データ、中前導光板LED群消灯データ、中後導光板LED群点灯データ、後導光板LED群消灯データをLED出力データ記憶部に転送し(ステップB34)、セル部表示切換処理のサブルーチンを抜ける。
なお、LED出力データ記憶部に転送された背景絵柄表示用データは、次回に実行される定常処理のステップA62(図194参照)のランプデータ出力処理にてランプ駆動基板4170に出力される。そして、周辺制御MPUにより出力されるラッチ信号により、ランプ駆動基板4170から駆動出力されてLEDが点灯することになる。
これにより、例えば、時刻情報が15時00分になる迄の期間は、中後導光板7703bに記録された「桜の花」(小)7720cがセル部7700に表出することが決定され、「桜の花」(小)7720cがセル部7700において表出され、透明な遊技パネル7600を通して遊技者に視認される。
そして、現在の時刻情報が15時00分になると、ステップB36をYESと判定し、ステップB38に進み、中後導光板及び中前導光板点灯用データ、即ち、前導光板LED群消灯データ、中前導光板LED群点灯データ、中後導光板LED群点灯データ、後導光板LED群消灯データをLED出力データ記憶部に転送し(ステップB38)、セル部表示切換処理のサブルーチンを抜ける。
これにより、時刻情報が15時00から18時00分になる迄の期間は、背景絵柄「桜の花」(小)7720cが表出されている状態のままで、遊技領域1100において、積層導光体7701により中後導光板7703bの前方において、中前導光板7703aに記録されている背景絵柄「桜の花」(中)7720bが重なって表出される。遊技者は遊技領域に背景絵柄「桜の花」(小)に重ね合わせて「桜の花」(中)が表出したことに気付き、背景絵柄「桜の花」の大きさが大きくなったことが視覚的に奥行き感を持って感じられる。
そして、現在の時刻情報が18時00分になると、ステップB40をYESと判定し、ステップB42に進み、前導光板、中前導光板及び中後導光板点灯用データ、即ち、前導光板LED群点灯データ、中前導光板LED群点灯データ、中後導光板LED群点灯データ、後導光板LED群消灯データをLED出力データ記憶部に転送し(ステップB42)、セル部表示切換処理のサブルーチンを抜ける。
これにより、時刻情報が18時00から閉店時刻の3分前になる迄の期間は、背景絵柄「桜の花」(小)7720cと背景絵柄「桜の花」(中)7720bとが重なって表出されている状態のままで、中前導光板7703aの前方において、積層導光体7701により前導光板7702に記録されている背景絵柄「桜の花」(大)7720aが重なって表出される。遊技者は遊技領域に背景絵柄「桜の花」(小)及び(中)に重ね合わせて「桜の花」(大)が表出したことに気付き、背景絵柄「桜の花」の大きさがさらに大きくなったことが視覚的に奥行き感を持って感じられる。
そして、現在の時刻情報が閉店時刻の1時間前になると、例えば、閉店時刻記憶エリアに記憶されている閉店時刻が21時45分の場合であれば、20時45分になると、ステップB44をYESと判定し、ステップB46に進み、前導光板、中前導光板、中後導光板、後導光板点灯用データ、即ち、前導光板LED群点灯データ、中前導光板LED群点灯データ、中後導光板LED群点灯データ、後導光板LED群の上部LED群点灯データをLED出力データ記憶部に転送し(ステップB46)、セル部表示切換処理のサブルーチンを抜ける。
これにより、時刻情報が閉店時刻の1時間前になると、背景絵柄「桜の花」(小)7720cと背景絵柄「桜の花」(中)7720bと背景絵柄「桜の花」(大)7720aとが重なって表出されている状態で、さらに、各導光板7702〜7703bにおける背景絵柄「桜の花」の記録位置に対して重ならない位置、即ち、後導光板7704における上部(遊技領域1100における天左側部分に相当する位置)に、閉店時刻を予告として教示するためのメッセージ7760である「1時間後に閉店します」が、赤色で表出される。
メッセージ7760が表出されている位置は、打球が遊技領域1100に最初に打ち出される位置に相当するから、遊技者は、メッセージが表出していることに気が付きやすく、閉店時刻があと1時間後であることを明確に認識することができる。
なお、図196のフローチャートには図示していないが、ステップB44をNOと判断した場合、現在の時刻情報が閉店時刻の59分前であるか否かを判定し、現在の時刻情報が閉店時刻の59分前であると判定すると、後導光板LED群の上部LED群消灯データをLED出力データ記憶部に転送し、セル部表示切換処理のサブルーチンを抜ける。したがって、メッセージ7760である「1時間後に閉店します」が1分間に亘って表示される。
そうして、現在の時刻情報が閉店時刻の3分前になると、例えば、閉店時刻記憶エリアに記憶されている閉店時刻が21時45分の場合であれば、21時42分になると、ステップB48(図197参照)をYESと判定し、ステップB50に進み、中前導光板、中後導光板点灯用データ、即ち、前導光板LED群消灯データ、中前導光板LED群点灯データ、中後導光板LED群点灯データ、後導光板LED群消灯データをLED出力データ記憶部に転送し(ステップB50)、セル部表示切換処理のサブルーチンを抜ける。
これにより、遊技領域1100において、背景絵柄「桜の花」(小)7720cと背景絵柄「桜の花」(中)7720bと背景絵柄「桜の花」(大)7720aとが重ね合せて表出されている状態から、背景絵柄「桜の花」(大)7720aのみが消滅される。遊技者には背景絵柄「桜の花」の大きさが小さくなったことが視覚的に奥行き感を持って感じられることにより、遊技領域に表出されている「桜の花」が奥方に向って行くように見える。
そして、この後、現在の時刻情報が閉店時刻の2分前になると、ステップB52をYESと判定し、ステップB54に進み、中後導光板点灯用データ、即ち、前導光板LED群消灯データ、中前導光板LED群消灯データ、中後導光板LED群点灯データ、後導光板LED群消灯データをLED出力データ記憶部に転送し(ステップB54)、セル部表示切換処理のサブルーチンを抜ける。
これにより、遊技領域1100において、背景絵柄「桜の花」(小)7720cと背景絵柄「桜の花」(中)7720bとが重ね合せて表出されている状態から、背景絵柄「桜の花」(中)7720bのみが消滅される。遊技者には背景絵柄「桜の花」の大きさがさらに小さくなったことが視覚的に奥行き感を持って感じられることにより、遊技領域に表出されている「桜の花」がさらに奥方に向って遠ざかるように凋んで行くように見える。
なお、遊技が行われている場合、この間も、液晶表示装置1900の表示パネルにおいては、表示コマンドに対応する演出が表示され続けているが、セル部7700における「桜の花」の表示が縮退していく様子によって、遊技者は閉店時刻間近であることを察知し、遊技の続行をためらうようになる。
そして、現在の時刻情報が閉店時刻の1分前になると、ステップB56をYESと判定し、ステップB58に進み、前導光板LED群消灯データ、中前導光板LED群消灯データ、中後導光板LED群消灯データ、後導光板LED群消灯データをLED出力データ記憶部に転送し(ステップB58)、セル部表示切換処理のサブルーチンを抜ける。
これにより、背景絵柄「桜の花」(小)7720cが表出されている状態から、背景絵柄「桜の花」(小)7720cが消滅する。遊技者には背景絵柄「桜の花」の消えてなくなったことが視覚的に奥行き感を持って感じられることにより、遊技領域に表出されていた「桜の花」が遊技領域に吸い込まれたように見える。そうして、遊技者は、今まで「桜の花」の表示が行われていた遊技領域1100が、例えば、遊技領域1100の背景として黒色の遮光板7705のみが視認される状態となって、セル部7700が暗転したことによって、「もうすぐ閉店時刻になる」と感じ、遊技意欲を緩やかに消沈させることになる。
なお、遊技意欲が盛んであって、セル部7700が暗転したことを故障と勘違いする遊技者の場合、係員に故障ではないのかという旨を尋ねることが考えられるが、係員により、故障ではなく、閉店時刻直前にセル部7700が真っ暗になることを告げられ、「閉店時刻になったらやめてください」と告知され、これ以上の遊技の続行に終止符が打たれることになる。
そして、現在の時刻情報が閉店時刻になると、例えば、閉店時刻記憶エリアに記憶されている閉店時刻が21時45分の場合であれば、21時45分になると、ステップB60をYESと判定し、ステップB62に進み、前導光板LED群消灯データ、中前導光板LED群消灯データ、中後導光板LED群消灯データ、後導光板LED群の下部LED群点灯データをLED出力データ記憶部に転送し(ステップB62)、セル部表示切換処理のサブルーチンを抜ける。
これにより、時刻情報が閉店時刻になると、後導光板7704における左袖部分(第3の位置)に、閉店時刻となった旨を教示するためのメッセージ7762である「閉店時刻になりました」が、白色で表出される。黒色の遮光板7705の前方に「閉店時刻になりました」というメッセージ7762が白色で浮かび上がる様を遊技者は視認し、遊技者は速やかに遊技を終了することになる。
なお、第4実施形態では、「1時間後に閉店します」のメッセージ7760の表出期間を閉店時刻の1時間前から1分間として説明しているが、メッセージが表出される時刻の「1時間後」と閉店時刻との正確性(整合性)を担保しようとするために、1分間としたもので、遊技者がメッセージを見逃す虞がある、と考えられる場合は、メッセージを見た遊技者が大体1時間後として認識できる1分間以上の任意の期間(例えば、3分間)に亘ってメッセージが表出されるようにしてもよい。
以上に説明したように、遊技領域1100の背景を装飾するセル部7700にメッセージ7760を表出させることにより閉店時刻を予告表示するので、遊技者がメッセージが表出していることに気が付きやすく、遊技者に閉店時刻を確実に認識させることができる。また、主制御基板4100から送信される表示コマンドに関係なく、時刻情報が予め定められた時刻条件に合致した場合のみにより、閉店時刻を予告表示するため、閉店時刻の予告表示のために、表示コマンドに対応して変化する液晶表示装置1900の表示パネルに表示される演出表示の制御に影響することがなく、演出表示の制御を複雑なものにする必要がない。
閉店時刻の直前において、液晶表示装置1900の表示パネルにおいて依然として演出表示が継続している場合であっても(例えば、大当り遊技中のラウンド情報や大入賞口への入賞個数情報、時短情報、確変終了となるまでの残存変動回数情報等)、セル部7700に表示されている背景絵柄を縮退表示して背景絵柄を消滅し、セル部7700を暗転するので、遊技者にもうすぐ閉店時刻になることをイメージさせることができ、遊技者の遊技意欲を緩やかに消沈させることができる。これによって、閉店時刻を迎えると、遊技者は速やかに遊技を終了することになるため、遊技場側は、スムーズに閉店を迎えるようになり、閉店時刻後の作業の煩雑さを軽減できる。
上述の実施形態では、セル部7700にメッセージ7760を表出させる前段階の過程において、背景絵柄「桜の花」(小)、(中)及び(大)を重ね合わせて表出させているが、これに限らず背景表示は以下の表示態様としてもよい。
例えば、「閉店時刻になりました」のメッセージ7762を表出させる場合と同様に、背景絵柄「桜の花」(小)7720cと背景絵柄「桜の花」(中)7720bと背景絵柄「桜の花」(大)7720aとが重ね合せて表出されている状態から、まず背景絵柄「桜の花」(大)7720aのみを消滅させ、次に、背景絵柄「桜の花」(小)7720cと背景絵柄「桜の花」(中)7720bとが重ね合せて表出されている状態から、背景絵柄「桜の花」(中)7720bを消滅させ、その次に、背景絵柄「桜の花」(小)7720cが表出されている状態から、背景絵柄「桜の花」(小)7720cを消滅させることで、セル部7700を暗転表示させ、その次に、「1時間後に閉店します」のメッセージ7760を表出させるようにしてもよい。
このようにすると、セル部7700に表示されている背景絵柄を縮退表示して背景絵柄を消滅し、セル部7700を暗転するので、遊技者の意識を容易にセル部7700に向けさせることができ、閉店時刻が1時間後であることを確実に認識させることができる。
また、さらに別の背景絵柄の立体表示の例を挙げると、図198において矢印線に示すように、前導光板7702の一部の左袖部分、中前導光板7703aの一部の左肩下部分、中後導光板7703bの一部の左肩部部分をそれぞれ順次点灯させることにより、背景絵柄「桜の花」(小)7720cと背景絵柄「桜の花」(中)7720bと背景絵柄「桜の花」(大)7720aとが重ね合せて表出されている状態から、まずセル部7700の左袖部分に背景絵柄「桜の花」(大)7720aのみを表出させ、次に、セル部7700の左肩下部分に背景絵柄「桜の花」(中)7720bのみを表出させ、その次に、セル部7700の左肩部分に背景絵柄「桜の花」(小)7720cのみを表出させ、その次に、セル部7700の上部(遊技領域1100における天左側部分に相当する位置)に、閉店時刻を予告として教示するためのメッセージ7760である「1時間後に閉店します」を赤色で表出させる。
このようにすると、背景絵柄「桜の花」(大)7720aから背景絵柄「桜の花」(中)7720b、背景絵柄「桜の花」(中)7720bから背景絵柄「桜の花」(小)7720cへと移動縮小表示させることにより、遊技者の意識を背景絵柄の移動方向へと誘導することができるから、容易にメッセージ7760の表示位置に向けさせることができ、閉店時刻が1時間後であることを確実に認識させることができる。さらに積層の厚みの範囲で背景絵柄「桜の花」が視覚的に遊技者から遠ざかってセル部に吸い込まれていくような錯覚を生じ、より新鮮さを感じる。
[メッセージ表示の変形実施形態]
上述の実施形態では、後導光板7704にのみにメッセージが記録されているが、複数枚の導光板のうち少なくとも1つがメッセージ記録用であればよく、メッセージが記録されている導光板は複数であってもよく、例えば、中後導光板7703bと後導光板7704との2枚にそれぞれメッセージが記録されていてもよい。そして、中後導光板7703bと後導光板7704とを切換点灯することにより、表出されるメッセージを切り換るようにする構成とする。
上述の実施形態では、セル部7700に表出されるメッセージとして「1時間後に閉店します」と「閉店時刻になりました」の閉店時刻に関する情報の2例を示したが、セル部7700に表出されるメッセージは、閉店時刻に関する情報に限られるものではなく、以下のような情報としてもよい。
例えば、遊技台の情報として「おすすめ台です」とか「サービス台です」のメッセージを表出するようにし、メッセージ表示条件として、例えば、カレンダー情報及び時刻情報を用いて毎日曜日の16:00以降を条件とし、メッセージが表示されるようにする。
また、「サービスタイムになりました」と、「お宝台ですよ!」のメッセージ表出するようにし、メッセージ表示条件として、例えば、時刻情報を用いて毎日17:00以降において「サービスタイムになりました」のメッセージが表示されるようにし、そして17:00以降において大当り発生となったことを条件として、「お宝台ですよ!」のメッセージが表示されるようにする。
このようにすると、遊技者に恰も「やった!いい台に当った」と思い込ませることができ、得をした気分にさせることができる。
また、メッセージ表示条件として、時刻情報を用いて、例えば、11:00、12:00、13:00、14:00、・・・22:00というように、1時間毎に「お疲れ様です、一息入れましょう」というような休憩をうながすメッセージが表示されるようにしてもよい。このようにすると、遊技意欲が盛んであって、遊技に熱中するあまり発射ハンドルを握り続け、疲労が蓄積していると感じている遊技者が気軽に休憩をとることができるようになる。
[健康上のメッセージの表示]
以下に説明する実施形態は、液晶表示装置1900及びセル部7700を用いた健康上のメッセージの表示に係る発明に関するものである。
遊技者は、遊技機が大当り発生となった場合、大当り遊技を終えると多くの遊技球を獲得することになるため、とかく遊技意欲が盛んになりがちで、さらに大当りを発生させようとして遊技に熱中することになる。しかしながら、遊技に熱中するあまり、長時間座り続け、発射ハンドルを握り続けることにより肩や腰に疲労が蓄積したり、トイレに行くのを我慢してしまったりと、健康上好ましくない行動をとっている遊技者が少なくない。
以下に説明する発明は、健康上のメッセージを表示することにより、遊技者が疲労回復やトイレのために行動することを奨励するものである。
[パチンコ遊技機の基本構成]
本実施形態におけるパチンコ遊技機の基本構成は、以下のとおりである。
遊技パネル7600(図156)の前面に設定されかつ弾発された打球が通過可能とされた遊技領域1100の背面を絵柄によって装飾するセル部7700を有する遊技盤4を備えたパチンコ遊技機であって、遊技パネル7600は、遊技者側となる前面側から見て裏面側が視認可能な透明樹脂製の板部材で構成され、セル部7700は、遊技領域1100の後方において該遊技領域に臨ませて配置されると共に、側面を導光入射面とされ、かつ前面を導光出射面とされた透光性を有する合成樹脂製の導光板が前後方向に複数枚(実施形態では、4枚)層状に重ね合わされてなる積層導光体7701(図182)と、積層導光体7701の各導光板7702、7703a、7703b、7704に対応して設けられると共に、各導光板へ光を入射するための各光源7707a〜7707eと、を備え、遊技盤4は、各光源を点灯させるための各ドライバ4170a(図103)と、各ドライバを通じて各光源を切換点灯制御する制御手段(図163の周辺制御MPU6150)と、時刻の計時を行う計時手段(図174のA76)と、を有し、複数枚の導光板のうちの1つ後導光板7704はメッセージ記録用とされ、光の散乱によって表出する健康上のメッセージが記録され、さらに、演出表示を実行する演出表示手段(図96、図176の液晶表示装置1900)と、健康上のメッセージが記憶されたメッセージ記憶手段(図163のキャラROM6160c)と、を備えている。
制御手段(図163の周辺制御MPU6150)は、計時手段が計時する現在の時刻情報と、予め定められた特定時刻とを比較して比較した結果が予め定めた条件に合致すると、前記メッセージ記録用の後導光板7704の光源を点灯し、セル部7700に前記健康上のメッセージを表出させると共に、前記健康上のメッセージが表示されるように演出表示手段(液晶表示装置1900)を制御する、ものである。
液晶表示装置1900の表示パネルは、積層導光体7701の後方で、かつ正面視において遊技パネル7600の中央部分に形成された開口部7602の後方に配置され、図176〜図178に示すように、積層導光体7701は、正面視において、液晶表示装置1900の表示パネルの左方に近接して配置される。
[健康上のメッセージの内容]
上記健康上のメッセージとは、遊技者が疲労回復やトイレのために行動するように奨励するメッセージであり、例えば、「長時間座っています。背伸びをしましょう。」とか、「長時間遊技しています。少し休みましょう。」とか、「トイレに行きましょう。」のようなメッセージが考えられる。
図199は、後導光板7704に記録された健康上のメッセージの一例を示す図である。後導光板7704における上部(遊技領域1100における天左側部分に相当する位置)には、現在の遊技者の遊技時間を表すメッセージ7760である「長時間遊技しています」が記録され、後導光板7704における左肩部には、疲労回復のための行動を奨励するための健康上のメッセージ7762である「少し休みましょう」が記録されている。また、後導光板7704における左袖部分(第3の位置)には、トイレに行くことを奨励するための健康上のメッセージ7764である「トイレに行きましょう」が記録されている。
図200は、液晶表示装置1900の表示パネルにおける健康上のメッセージ表示の一例を示す図である。健康上のメッセージ表示は、表示パネルで行われている演出表示を阻害しない領域に、例えば、表示パネルの下縁に沿って横長で小幅のメッセージ領域7766が設定され、メッセージ領域7766に、健康上のメッセージ「長時間遊技しています
少し休みましょう」を表示する。なお、健康上のメッセージ「長時間遊技しています 少し休みましょう」に対応するキャラクタデータは、図163のキャラROM6160cに記憶されている。
[健康上のメッセージの表示例]
図201は、健康上のメッセージ表示の一例を示す図である。この実施形態では、同じタイミングで、液晶表示装置1900の表示パネルにおいて健康上のメッセージ「長時間遊技しています 少し休みましょう」を表示し、セル部7700において、積層導光体7701の後導光板7704に記録された健康上のメッセージ「長時間遊技しています」、「少し休みましょう」と「トイレに行きましょう」を表出させるものとする。
上記の表示例は、液晶表示装置1900とセル部7700との両方で同時に健康上のメッセージを表示することを示す一例であり、これに限らず、液晶表示装置1900及びセル部7700のうちのいずれか1つにより、健康上のメッセージを表示する構成としてもよい。
[健康上のメッセージの表示タイミング]
前述の予め定められた特定時刻は、所定時間毎、例えば、10時00分00秒から2時間毎、即ち、10時00分00秒、12時00分00秒、14時00分00秒、16時00分00秒、・・・とする。或いは、日常生活上の区切りの時刻、例えば、10時00分00秒(午前の休憩時刻)、12時00分00秒(昼食の時刻)、15時00分00秒(午後の休憩時刻)、18時00分00秒(夕食、帰宅の時刻)、21時00分00秒(団欒の時刻)とすると、好適である。この実施形態では、10時00分00秒(午前の休憩時刻)、12時00分00秒(昼食の時刻)、15時00分00秒(午後の休憩時刻)、18時00分00秒(夕食、帰宅の時刻)、21時00分00秒(団欒の時刻)の各時刻に健康上のメッセージの表示を行うものとする。
健康上のメッセージの表示時間は、所定時間、例えば、10秒間〜30秒間に亘るものとする。このような構成によれば、表示中の健康上のメッセージの内容を遊技者が見落とす虞がなく、遊技者に確実に伝達することができる。この実施形態では、健康上のメッセージを表示開始から20秒間に亘って表示するものとする。
また、本実施形態では、遊技者が座席にいるときに、健康上のメッセージが表示される構成を追加している。例えば、図柄変動中、若しくは大当り中に健康上のメッセージが表示される構成とする。このような構成によれば、遊技者が座席を外している時にメッセージが表示される、という無駄な表示しないで済む。また、表示のタイミングとして、遊技者が遊技に熱中している時にメッセージが表示されるので、遊技者の印象に強く残る。
[周辺制御基板4140の各種制御処理]
次に、図163に示した、主制御基板4100(主制御MPU4100a)から各種コマンドを受信する周辺制御MPU6150a(以下、単に周辺制御MPUという)が実行する各種処理について、図202〜図203を参照して説明する。図202は図163に示す周辺制御MPUが実行する処理の第5実施形態のメインルーチンを示すフローチャートである。
[メインルーチン]
パチンコ遊技機1に電源が投入されると(周辺制御内蔵WDTまたは周辺制御外部WDTにより出力されたリセット信号が入力されると)、周辺制御MPUは、メインルーチンの実行を開始する。
なお、ステップA52乃至ステップA82の各処理は、図174を用いて先に説明した第2実施形態と全く同じであるので、説明を簡略とするために詳細な説明を省略する。なお、周辺制御MPUは、ステップA54の現在時刻情報取得処理を実行することにより、外付けのRTC4192から現在時刻情報及びカレンダー情報を取得して、内蔵RAMの所定エリアに設定された現在時刻データ記憶部及びカレンダー情報記憶部に保存する。なお、周辺制御MPUが、RTC4192から時刻情報およびカレンダー情報を取得するのは、電源投入時の1回のみである。また、時刻情報、カレンダー情報更新処理を実行することにより(ステップA76)。内蔵RAMの時刻情報記憶部およびカレンダー情報記憶部に記憶された時刻情報およびカレンダー情報を更新する。
第5実施形態のメインルーチンが第2実施形態のメインルーチンと異なる点は、ステップA82の音データ作成処理に次いで、ステップA84のメッセージ処理を行う点である。なお、第5実施形態においても図175の1msタイマ割り込み処理は同じである。
[メッセージ処理]
図203は、図163に示す周辺制御MPUが第5実施形態のメインルーチンにおいて実行するメッセージ処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
メッセージ処理を開始すると、周辺制御MPUは、まず、RAMの所定エリアの時刻情報記憶部に更新記憶されている現在の時刻情報(時、分、秒情報)を読み出す(ステップA120)。次いで、ステップA121に進み、読み出した現在の時刻情報が予め定めた特定時刻情報に一致しているか否かを判定する(ステップA121)。
ここで、予め定めた特定時刻は、先に説明した10時00分00秒、12時00分00秒、15時00分00秒、18時00分00秒、21時00分00秒の5つの時刻である。これら特定時刻に対応する特定時刻情報の値は、周辺制御ROM6150bに記憶されている。
現在の時刻情報が特定時刻情報に一致していないと判定した場合、ステップA122に進み、メッセージ表示フラグが1であるか否かを判定する(ステップA122)。ここで、メッセージ表示フラグは、周辺制御MPUが、現在健康上のメッセージの表示を行っているかいないかを識別するためのフラグであり、「0」で表示していない(非表示という)を表し、「1」で表示している(表示中という)を表す。メッセージ表示フラグが1でないと判定した場合、メッセージ処理のサブルーチンを抜けてメインルーチンに戻る。一例として、開店時刻から特定時刻に設定された10時00分00秒となるまでの間は、上述の処理ルーチンを実行する。
現在の時刻情報が、上記の5つの特定時刻情報のうちの何れかになると、例えば、現在時刻が10時00分00秒になると、ステップA121をYESと判定し、ステップA123に進む。ステップA123では、特別図柄変動中であるか否かを判定する(ステップA123)。この判定は、ステップA72の受信コマンド解析処理を実行したコマンド解析結果に基づいて判定する。コマンド解析結果が、特図1同調演出関連に区分される各種コマンド、または特図2同調演出関連に区分される各種コマンド(図117参照)であると判定した判定結果である場合、特別図柄変動中であると判定し、ステップA126に移行する。
一方、ステップA123において、特別図柄変動中でないと判定した場合、ステップA124に進む。ステップA124では、大当り遊技中であるか否かを判定する(ステップA124)。この判定も、ステップA72の受信コマンド解析処理を実行したコマンド解析結果に基づいて判定する。コマンド解析結果が、大当り関連に区分される各種コマンド(図117参照)であると判定した判定結果である場合、大当り遊技中であると判定し、ステップA126に進む。
ステップA124において、大当り遊技中でないと判定した場合、即ち、現在の遊技状態が、特別図柄変動中ではなく、大当り遊技中でもない場合、現在、遊技者が座席を外している可能性がある。本実施形態では、予め定められた特定時刻となっていても、特別図柄変動中ではなく、大当り遊技中でもない場合には、健康上のメッセージを表示する条件が成立していない、と判定するようにしている。これによって、遊技者が座席を外している時にメッセージが表示される、という無駄な表示しないで済む。
ステップA124において、大当り遊技中でないと判定した場合、ステップA125に進み、メッセージ表示フラグに0(非表示)をセットし(ステップA125)、メッセージ処理のサブルーチンを抜けてメインルーチンに戻る。
一方、ステップA126に進む場合、即ち、現在の遊技状態が、特別図柄変動中であるか、または大当り遊技中である場合、現在、遊技者が着座して遊技中である可能性が高いと判断できるため、健康上のメッセージを表示する条件が成立している、と判定するようにしている。
周辺制御MPUは、まず、メッセージを表示する表示時間としての20秒を計時するための20秒タイマを起動し(ステップA126)、メッセージ表示フラグに1(表示中)をセットし(ステップA127)、ステップA128に進む。
ステップA128では、表示パネルに健康上のメッセージ[実施形態では、「長時間遊技しています 少し休みましょう」]を表示させるための表示データを、内蔵RAMに設定された画像出力データ記憶部に転送し(ステップA128)、前導光板、中前導光板、中後導光板消灯用データ、即ち、前導光板LED群消灯データ、中前導光板LED群消灯データ、中後導光板LED群消灯データをLED出力データ記憶部に転送し(ステップA129)、後導光板LED群点灯データをLED出力データ記憶部に転送し(ステップA130)、メッセージ処理のサブルーチンを抜けてメインルーチンに戻る。
画像出力データ記憶部に転送された表示データとLED出力データ記憶部に転送されたLED出力データは、次のサイクルの(Vブランク割り込み信号の入力により実行が開始される)定常処理におけるステップA62のランプデータ出力処理及びステップA66の表示データ出力処理にて、ランプ駆動基板4170とVDP6160aとに出力される。
したがって、予め定められた特定時刻となり、現在の遊技状態が、特別図柄変動中であるか、または大当り遊技中である場合、現在、遊技者が着座して遊技中である可能性が高いと判断できるため、健康上のメッセージを表示する。
これにより、セル部7700の上部(遊技領域1100における天左側部分に相当する位置)に、現在の遊技者の遊技時間を表すメッセージ7760である「長時間遊技しています」が表出されると共に、セル部7700の左肩部に疲労回復のための行動を奨励するための健康上のメッセージ7762である「少し休みましょう」が表出され、セル部7700の左袖部分には、トイレに行くことを奨励するための健康上のメッセージ7764である「トイレに行きましょう」が表出され、表示パネルで行われている演出表示[「歌うちび菜と飛び出す桜の花」]を阻害しない領域に、例えば、表示パネルの下縁に沿って横長で小幅のメッセージ領域7766に、健康上のメッセージ「長時間遊技しています 少し休みましょう」を表示する。
上述の実施形態によれば、健康上のメッセージを、遊技者の注目度が非常に高い液晶表示装置1900の表示パネル、遊技球が打ち出される遊技領域において、この背景を装飾するセル部7700との両方に表示させることにより遊技者に伝達するので、遊技者が、健康上のメッセージが表示していることを即時に気が付きやすく、遊技者にメッセージの内容をより確実に認識させることができる。また、表示のタイミングとして、遊技者が遊技に熱中している時に健康上のメッセージが表示されるので、遊技者の印象に強く残る。メッセージ7760が表出されている位置は、打球が遊技領域1100に最初に打ち出される位置に相当するから、遊技者は、メッセージが表出していることに気が付きやすい。
次のサイクル(Vブランク割り込み信号の入力により33.3ms後となる)以降で、1秒経過した場合のメッセージ処理では、ステップA120の後、ステップA121をNOと判定し、メッセージ表示フラグに1がセットされている結果、ステップA122においてメッセージ表示フラグが1であると判定し、ステップA131に進み、20秒タイマのタイマ値を更新し(ステップA131)、20秒タイマのタイマ値により20秒経過したか否かを判定する(ステップA132)。
健康上のメッセージの表示を開始してからの経過時間が、20秒経過していないと判定した場合、ステップA128に移行し、ステップA128〜ステップA130を行ってメッセージ処理のサブルーチンを抜けてメインルーチンに戻る。したがって、表示パネルとセル部7700に表示されている健康上のメッセージは20秒間に亘って表示される。
そうして、健康上のメッセージの表示を開始してからの経過時間が20秒に達すると、ステップA132をYESと判定し、ステップA125に進み、メッセージ表示フラグに0(非表示)をセットし(ステップA125)、メッセージ処理のサブルーチンを抜けてメインルーチンに戻る。メッセージ表示フラグに0(非表示)がセットされる結果、次のサイクル以降のメッセージ処理では、ステップA122をNOと判定し、メッセージ処理のサブルーチンを抜けるので、液晶表示装置1900とセル部7700との両方で表示されていた健康上のメッセージが表示されなくなる(消滅する)。
上記実施形態では、液晶表示装置1900とセル部7700との両方で同時に健康上のメッセージを表示するようにしたが、これに限らず、液晶表示装置1900及びセル部7700のうちのいずれか1つにより、健康上のメッセージを表示する構成としてもよい。
以上に説明したように、液晶表示装置1900の表示パネルと遊技領域1100の背景を装飾するセル部7700に健康上のメッセージを表示するので、遊技者が健康上のメッセージが表示されていることに気が付きやすく、遊技者にメッセージの内容を確実に認識させることができる。また、主制御基板4100から送信される表示コマンドに関係なく、時刻情報が予め定められた時刻条件に合致した場合に、閉店時刻の予告表示するため、閉店時刻の予告表示のために、表示コマンドに対応して変化する液晶表示装置1900の表示パネルに表示される演出表示の制御に影響することがなく、演出表示の制御を複雑なものにする必要がない。
また、遊技者が着座して遊技中である可能性が高いと判断できる図柄変動中、若しくは大当り中に健康上のメッセージが表示される構成としているので、遊技者が座席を外している時にメッセージが表示される、という無駄な表示しないで済む。また、表示のタイミングとして、遊技者の注目度が非常に高い液晶表示装置1900の表示パネル、遊技球が打ち出される遊技領域において、遊技者が遊技に熱中している時にメッセージが表示されるので、遊技者の印象に強く残る。
上述の実施形態では、遊技者が着座して遊技中である可能性が高いと判断できる図柄変動中、若しくは大当り中に健康上のメッセージが表示される構成としているが、これとは逆に、例えば、特別図柄変動待機中に、健康上のメッセージ、例えば、「長時間遊技しています 少し休みましょう」が表示される構成とすることもできる。
即ち、このような構成によれば、遊技領域1100を転動流下する遊技球が、遊技者の思いどおりに始動入賞口(2101、2102)に入賞しないため、打球を遊技領域1100に打ち込んでもなかなか特別図柄の変動が開始されず、イラだちを感じてしまっている遊技者の気分を転換させる効果がある。
[遊技者検出手段を用いる実施形態]
上述の実施形態は、遊技者が座席にいるときに、健康上のメッセージが表示される構成の1つとして、遊技者が座席にいるかいないかを、現在の遊技状態で判定するようにしているものである。以下に説明する実施形態は、上記構成とは別に、遊技者が座席にいるかいないかを、遊技者そのものを検出することにより、判定する構成のものである。
図204は、遊技者検出手段の一例としての赤外線センサの配設位置を示す遊技機の一部正面図である。下皿カバー328の前面中央には、パチンコ遊技機1に遊技者が対向して遊技していることを非接触状態で検出する焦電型の赤外線センサ7900からなる遊技者検出手段が配設されている。このように遊技機の前面に、例えば、赤外線センサからなる遊技者検出手段を配設し、遊技者検出手段を制御手段(周辺制御MPU6150a)に接続する。
このような焦電型の赤外線センサ7900は、周知であるが一応説明すると、パチンコ遊技機1の前面側の熱分布に対応して赤外線データ値を出力するものであり、遊技場側の設備の1つとしてパチンコ遊技機に対向して設置された椅子に遊技者が着座した場合には、人体に対応する波長の赤外線(9〜10μm)が人体から発せられ、焦電型の赤外線センサ7900により検出される。
図205は、周辺制御部と遊技者検出手段との接続を示す要部ブロック図である。赤外線センサ7900からの検出信号は、枠装飾駆動アンプ基板194に設けた図示しない扉側シリアル送信回路でシリアル化され、このシリアル化された赤外線センサ7900からの検出信号が扉側シリアル送信回路から、図163に図示の周辺扉中継端子板882、そして枠周辺中継端子板868を介して周辺制御MPU6150aの遊技者検出用シリアルI/Oポートに入力される構成とする。
上記の構成の場合、周辺制御MPU6150aは、遊技者検出手段による遊技者検出信号(オン信号)により、遊技者検出タイマを起動し、一定周期毎に遊技者検出タイマの値を更新することで、遊技者が遊技機に対向して着座している経過時間を監視する。周辺制御MPU6150aは、着座している経過時間が予め定めた設定時間(例えば、1時間)を満了したとき、健康上のメッセージを表示する条件が成立する構成とする。
このような構成によれば、遊技者が座席にいることを確実に検出でき、遊技者が着座してから予め定めた設定時間に亘って着座し続けていることを確実に検出でき、このような場合に、適切に健康上のメッセージを伝達することができる。
遊技者検出手段として、上記赤外線センサに代えて、遊技者が操作可能であるハンドル装置500に配備されたタッチスイッチ516(図47および図110)を周辺制御MPU6150aに配線接続する。図110に示すように、タッチスイッチ516から検出信号は払出制御基板4110に配備された発射制御入力回路4130aに入力され、発射制御入力回路4130aによってタッチ検出信号に変換されて出力される。払出制御基板4110において、発射制御入力回路4130aからの出力を分岐し、タッチ検出信号を図示しない払出制御基板側シリアル送信回路でシリアル化し、このシリアル化したタッチ検出信号が払出制御基板側シリアル送信回路から、ハーネス配線により周辺制御MPU6150aの遊技者検出用シリアルI/Oポートに入力される構成とする。
遊技者がハンドル装置500に接触することによりタッチスイッチ516から出力されるタッチ検出信号(オン信号)により、遊技者検出タイマを起動し、一定周期毎に遊技者検出タイマの値を更新することで、遊技者が遊技している継続時間を監視する。制御手段は、遊技している継続時間が予め定めた設定時間を満了したとき、健康上のメッセージを表示する条件が成立する構成とする。
このような構成によれば、遊技者が遊技を続行していることを確実に検出でき、遊技者が遊技を開始してから予め定めた設定時間に亘ってハンドル装置を操作し続けていることを確実に検出でき、このような場合に、適切に健康上のメッセージを伝達することができる。
さらに、遊技者検出手段を用いる実施形態は、遊技者が何かの用で短い時間席を外すことがある、ということを考慮したものである。
すなわち遊技者検出手段を用いる実施形態では、制御手段は、遊技者検出手段としての赤外線センサ7900またはタッチスイッチ516(以下、赤外線センサ7900またはタッチスイッチ516を単にセンサという)の信号がオフ信号であるとき、このオフ信号である状態が、予め定められた設定時間(例えば、2分間)に亘らない場合、遊技者が席を外していない、遊技者が遊技を中止していない、ものと見做すものである。
また、制御手段は、上記センサの信号がオフ信号である状態が、予め定められた設定時間(例えば、2分間)に達すると、遊技者が疲労回復やトイレのために行動した結果、席を外したものと見做すものである。
このような構成によれば、遊技者が何かの用で短い時間だけ座席を外している時には、遊技者が席を外していない、遊技者が遊技を中止していない、ものと見做すので、遊技者が何かの用で短い時間だけ座席を外していたとしても、現在の時刻が予め定められた特定時刻となった場合に、適切に健康上のメッセージを表示することができる。また、遊技途中で、遊技者が疲労回復やトイレのために行動した後、再度座席に戻ったときには、予め定められた設定時間以上座席を外していたことに相当することになるので、先に表示されたメッセージがかぶって表示される不自然さを回避でき、遊技者に不快感を与えずに済む。
[周辺制御基板4140の各種制御処理]
次に、図163に示した、主制御基板4100(主制御MPU4100a)から各種コマンドを受信する周辺制御MPU6150a(以下、単に周辺制御MPUという)が実行する各種処理について、図206〜図208を参照して説明する。図206は図163に示す周辺制御MPUが実行する処理の第6実施形態のメインルーチンを示すフローチャートである。また、図207は図163に示す周辺制御MPUが実行する第6実施形態の1msタイマ割り込み処理ルーチンを示すフローチャートである。
第6実施形態のメインルーチンが第5実施形態のメインルーチンと異なる点は、ステップA64の操作部監視処理とステップA66の表示データ出力処理との間に、ステップA65としてセンサ監視処理を行う点である。また、第6実施形態の1msタイマ割り込み処理が第5実施形態(第2実施形態)の1msタイマ割り込み処理と異なる点は、ステップA42の操作部情報取得処理に次いで、ステップA44のセンサ情報取得処理を行う点である。
[メインルーチン]
パチンコ遊技機1に電源が投入されると(周辺制御内蔵WDTまたは周辺制御外部WDTにより出力されたリセット信号が入力されると)、周辺制御MPUは、メインルーチンの実行を開始する。
なお、ステップA65のセンサ監視処理と、ステップA84のメッセージ処理以外のステップA52乃至ステップA82の各処理は、図202を用いて先に説明した第5実施形態と全く同じであるので、説明を簡略とするために詳細な説明を省略する。また、第6実施形態の1msタイマ割り込み処理におけるステップA40及びステップA42の各処理も図175の1msタイマ割り込み処理と同じであるので、説明を簡略とするために詳細な説明を省略する。以下では、センサ情報取得処理(ステップA44)、センサ情報取得処理によるセンサ情報に基づいて行われるセンサ監視処理(ステップA65)、センサ監視処理によるセンサ情報の監視結果に基づいて行われるメッセージ処理(ステップA84)の順に説明する。
[センサ情報取得処理]
周辺制御MPUは、1msタイマ割り込み処理ルーチンにおいて操作部情報取得処理を終了すると、センサ情報取得処理を行う(ステップA44)。先に説明した遊技者検出手段としての赤外線センサ7900又はタッチスイッチ(タッチセンサ)516(以下、単に、センサという)のセンサ情報を取得し、内蔵RAMの所定のエリアに設定されたセンサ情報記憶部にセンサの情報を記憶する。周辺制御MPUは、センサ情報取得処理を終えるとメインルーチンに戻る。
[センサ監視処理]
図208〜図209は、図163に示す周辺制御MPUが第6実施形態のメインルーチンにおいて実行するセンサ監視処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
センサ監視処理を開始すると、周辺制御MPUは、まず、RAMの所定エリアに設定されたセンサ情報記憶部に記憶されたセンサの情報がオンであるか否かを判定する(ステップB70)。センサの情報がオンである場合には、遊技者がセンサにより検出されていることになる。なお、開店時刻時は、遊技者がいないと判断できるため、センサにより遊技者が検出されることはない。よって、センサの情報はオフである。
センサの情報がオンでないと判定した場合、ステップB71に進み、監視フラグが1であるか否かを判定する(ステップB71)。ここで、監視フラグは、周辺制御MPUが、遊技者が遊技している継続時間を監視しているかいないかを識別するためのフラグであり、「0」で監視していない(非監視という)を表し、「1」で監視している(監視中という)を表す。開店時刻時は、遊技者は存在せず、監視フラグは0(非監視)となっている。
監視フラグが1でないと判定した場合、条件成立フラグに0をセットし(ステップB72)、センサ監視処理のサブルーチンを抜けてメインルーチンに戻る。ここで、条件成立フラグは、周辺制御MPUが、現在時刻が特定時刻になった場合に、メッセージを表示する条件が成立している(遊技者が遊技している継続時間が設定時間に達している)かいないかを識別するためのフラグであり、「0」で条件が成立していない(条件不成立)を表し、「1」で条件が成立している(条件成立)を表す。
さて、開店時刻後、遊技者が遊技を開始すると、センサにより遊技者が検出され、センサ情報取得処理によるセンサ情報がオンとなる。センサの情報がオンである場合には、ステップB70をYESと判定し、ステップB73に進み、2分計時カウンタMIC2に0をセットする(ステップB73)。ここで、2分計時カウンタMIC2は、遊技者が遊技している継続時間を監視している場合において、遊技者が席を外している(センサがオフに転じ、オフ状態となる)時間を計時するカウンタである。
ステップB73に次いで、ステップB74に進み、監視フラグが1であるか否かを判定する(ステップB74)。遊技者が、センサによって最初に検出された場合は、監視フラグは0(非監視)となっており、ステップB74をNOと判定し、ステップB75に進み、監視フラグに1(監視中)をセットして遊技者が遊技している継続時間の監視を開始し(ステップB75)、ステップB76に進む。
ステップB76に進むと、33.3ms更新カウンタBACに0をセットし(ステップB76)、1秒更新カウンタSECに0をセットし(ステップB77)、1分更新カウンタMICに0をセットし(ステップB78)、センサ監視処理のサブルーチンを抜けてメインルーチンに戻る。
ここで、33.3ms更新カウンタBACは、33.3ms毎に+1され、その値が30に達すると0に戻されるカウンタであり、定常処理ルーチンが33.3ms毎に実行されることにより、33.3ms×30=999ms、即ち、ほぼ1000ms(1秒)を計時するカウンタである。1秒更新カウンタSECは、1秒毎に(33.3ms更新カウンタBACの値が30に達する毎に)+1され、その値が60に達すると0に戻されるカウンタであり、1秒×60=1分を計時するカウンタである。1分更新カウンタMICは、1分毎に(1秒更新カウンタSECの値が60に達する毎に)+1され、その値が60に達すると0に戻されるカウンタであり、1分×60=1時間を計時するカウンタである。
さて、遊技者が継続して遊技している場合、センサにより遊技者が検出され続ける。この場合、ステップB70をYESと判定し、2分計時カウンタMIC2に0をセットし、監視フラグが1(監視中)である結果、ステップB74をYESと判定してステップB79に移行し、遊技者が遊技している継続時間を計時する。
ステップB79において、33.3ms更新カウンタBACの値を1つアップし(ステップB79)、更新アップした33.3ms更新カウンタBACの値が30になったか否か、即ち、1秒を計時したか否かを判定する(ステップB80)。33.3ms更新カウンタBACの値が30になっていないと判定した場合は、センサ監視処理のサブルーチンを抜けてメインルーチンに戻る。
一方、33.3ms更新カウンタBACの値が30であると判定した場合には、33.3ms更新カウンタBACに0をセットし(ステップB81)、1秒更新カウンタSECの値を1つアップし(ステップB82)、更新アップした1秒更新カウンタSECの値が60になったか否か、即ち、1分を計時したか否かを判定する(ステップB83)。1秒更新カウンタSECの値が60になっていないと判定した場合は、センサ監視処理のサブルーチンを抜けてメインルーチンに戻る。
一方、1秒更新カウンタSECの値が60であると判定した場合には、1秒更新カウンタSECに0をセットし(ステップB84)、1分更新カウンタMICの値を1つアップし(ステップB85)、更新アップした1分更新カウンタMICの値が60になったか否か、即ち、1時間を計時したか否かを判定する(ステップB86)。1分更新カウンタMICの値が60になっていないと判定した場合は、センサ監視処理のサブルーチンを抜けてメインルーチンに戻る。
なお、この実施形態では、遊技者が遊技を開始してから、遊技者が継続して遊技している経過時間が1時間に達した場合に、健康上のメッセージを表示する条件が成立する構成としている。すなわち、ステップB86にて、1分更新カウンタMICの値が60であると判定した場合には、ステップB87に進み、1分更新カウンタMICの値に0をセットし(ステップB87)、条件成立フラグに1(条件成立)をセットし(ステップB88)、センサ監視処理のサブルーチンを抜けてメインルーチンに戻る。
ところで、遊技者が何かの用で短い時間(この実施形態では2分間としている)席を外すことがある。この場合には、遊技者が遊技している継続時間を監視している場合において、即ち、監視フラグが1(監視中)である場合において、センサがオンからオフに転じる。この場合、センサ情報がオフであるからステップB70をNOと判定し、監視フラグが1(監視中)であるからステップB71をYESと判定し、ステップB89に進む。
ステップB89では、2分計時カウンタMIC2の値を1つアップし(ステップB89)、更新アップした2分計時カウンタMIC2の値が予め定められた設定時間(例えば、2分間)、この実施形態では、1000ms=1秒が30カウントであるから、30×60×2=3600になったか否か、即ち、2分を計時したか否かを判定する(ステップB90)。2分計時カウンタMIC2の値が3600になっていないと判定した場合は、ステップB90をNOと判定し、ステップB79に移行し、先に説明したステップB79以降の処理を実行する。従って、センサがオフ状態に転じた場合であっても、予め定められた設定時間(例えば、2分間)に達していなければ、遊技者が遊技しているものとして継続時間を計時する。
遊技者が、席を外してから予め定められた設定時間が経過する迄に、座席に戻って遊技を再開した場合、センサがオフからオンに転じるため、センサ情報がオンであるからステップB70をYESと判定し、2分計時カウンタMIC2の値に0をセットする(ステップB73)。従って、2分計時カウンタMIC2による計時がリセットされる。そして、監視フラグが1(監視中)である結果、ステップB74をYESと判定してステップB79に進む。
このような構成によれば、遊技者が何かの用で短い時間だけ座席を外している時には、遊技者が席を外していない、遊技者が遊技を中止していない、ものと見做すので、遊技者が何かの用で短い時間だけ座席を外していたとしても、遊技者が遊技しているものとして継続時間を計時し、遊技者が継続して遊技している経過時間が1時間に達した場合に、健康上のメッセージを表示する条件が成立したとして、条件成立フラグに1(条件成立)をセットする。
一方、遊技者が疲労回復やトイレのために行動した後、再度座席に戻ったときには、予め定められた設定時間以上(2分間以上)座席を外していたことに相当することになる。この場合には、ステップB89で更新アップされる2分計時カウンタMIC2の値が3600に達したと判定し、2分計時カウンタMIC2の値に0をセットし(ステップB91)、監視フラグに0(非監視)をセットし(ステップB92)、条件成立フラグに0(条件不成立)をセットし(ステップB93)、ステップB76〜ステップB78を実行後、センサ監視処理のサブルーチンを抜けてメインルーチンに戻る。なお、条件成立フラグに0(不成立)がセットされる結果、健康上のメッセージを表示する条件が成立していないことになる。
[メッセージ処理]
図210は、図163に示す周辺制御MPUが第6実施形態のメインルーチンにおいて実行するメッセージ処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
メッセージ処理を開始すると、周辺制御MPUは、まず、RAMの所定エリアの時刻情報記憶部に更新記憶されている現在の時刻情報(時、分、秒情報)を読み出す(ステップA200)。次いで、ステップA201に進み、読み出した現在の時刻情報が予め定めた特定時刻情報に一致しているか否かを判定する(ステップA201)。
ここで、予め定めた特定時刻は、先に説明した10時00分00秒、12時00分00秒、15時00分00秒、18時00分00秒、21時00分00秒の5つの時刻である。これら特定時刻に対応する特定時刻情報の値は、周辺制御ROM6150bに記憶されている。
現在の時刻情報が特定時刻情報に一致していないと判定した場合、ステップA202に進み、メッセージ表示フラグが1であるか否かを判定する(ステップA202)。ここで、メッセージ表示フラグは、周辺制御MPUが、現在健康上のメッセージの表示を行っているかいないかを識別するためのフラグであり、「0」で表示していない(非表示という)を表し、「1」で表示している(表示中という)を表す。メッセージ表示フラグが1でないと判定した場合、メッセージ処理のサブルーチンを抜けてメインルーチンに戻る。一例として、開店時刻から特定時刻に設定された10時00分00秒となるまでの間は、上述の処理ルーチンを実行する。
現在の時刻情報が、上記の5つの特定時刻情報のうちの何れかになると、例えば、現在時刻が12時00分00秒になると、ステップA201をYESと判定し、ステップA203に進む。ステップA203では、条件成立フラグが1(条件成立)であるか否かを判定する(ステップA203)。
ステップA203において、条件成立フラグが1(条件成立)でないと判定した場合、即ち、条件成立フラグが0(条件不成立)の場合、ステップA204に進み、メッセージ表示フラグに0(非表示)をセットし(ステップA204)、メッセージ処理のサブルーチンを抜けてメインルーチンに戻る。これによって、遊技者が座席を外している時や、遊技者が遊技を開始してから、遊技者が継続して遊技している経過時間が1時間に満たない場合に、健康上のメッセージが表示される、という無駄な表示しないで済む。
一方、ステップA203において、条件成立フラグが1(条件成立)であると判定した場合、即ち、遊技者が遊技を開始してから、遊技者が継続して遊技している経過時間が1時間に達したことに起因して健康上のメッセージを表示する条件が成立した場合、ステップA205に進む。周辺制御MPUは、まず、メッセージを表示する表示時間としての20秒を計時するための20秒タイマを起動し(ステップA205)、メッセージ表示フラグに1(表示中)をセットし(ステップA206)、ステップA207に進む。
ステップA207では、表示パネルに健康上のメッセージ[実施形態では、「長時間遊技しています 少し休みましょう」]を表示するための表示データを、内蔵RAMに設定された画像出力データ記憶部に転送し(ステップA207)、前導光板、中前導光板、中後導光板消灯用データ、即ち、前導光板LED群消灯データ、中前導光板LED群消灯データ、中後導光板LED群消灯データをLED出力データ記憶部に転送し(ステップA208)、後導光板LED群点灯データをLED出力データ記憶部に転送し(ステップA209)、メッセージ処理のサブルーチンを抜けてメインルーチンに戻る。
画像出力データ記憶部に転送された表示データとLED出力データ記憶部に転送されたLED出力データは、次のサイクルの(Vブランク割り込み信号の入力により実行が開始される)定常処理におけるステップA62のランプデータ出力処理及びステップA66の表示データ出力処理にて、ランプ駆動基板4170とVDP6160aとに出力される。
したがって、予め定められた特定時刻となった場合に、遊技者が遊技を続行していることを確実に検出でき、遊技者が遊技を開始してから予め定めた設定時間に亘って遊技し続けていることを確実に検出でき、このような場合に、適切に健康上のメッセージを伝達することができる。
これにより、セル部7700の上部(遊技領域1100における天左側部分に相当する位置)に、現在の遊技者の遊技時間を表すメッセージ7760である「長時間遊技しています」が表出されると共に、セル部7700の左肩部に疲労回復のための行動を奨励するための健康上のメッセージ7762である「少し休みましょう」が表出され、セル部7700の左袖部分には、トイレに行くことを奨励するための健康上のメッセージ7764である「トイレに行きましょう」が表出され、表示パネルで行われている演出表示[「歌うちび菜と飛び出す桜の花」]を阻害しない領域に、例えば、表示パネルの下縁に沿って横長で小幅のメッセージ領域7766に、健康上のメッセージ「長時間遊技しています 少し休みましょう」を表示する。
上述の実施形態によれば、遊技者の注目度が非常に高い液晶表示装置1900の表示パネル、遊技球が打ち出される遊技領域において、この背景を装飾するセル部との両方に表示させることにより遊技者に伝達するので、遊技者が、健康上のメッセージが表示していることを即時に気が付きやすく、遊技者にメッセージの内容をより確実に認識させることができる。また、表示のタイミングとして、遊技者が遊技に熱中している時に健康上のメッセージが表示されるので、遊技者の印象に強く残る。メッセージ7760が表出されている位置は、打球が遊技領域1100に最初に打ち出される位置に相当するから、遊技者は、メッセージが表出していることに気が付きやすい。
次のサイクル(Vブランク割り込み信号の入力により33.3ms後となる)以降で1秒経過後のメッセージ処理では、ステップA200の後、ステップA201をNOと判定し、メッセージ表示フラグに1がセットされている結果、ステップA202においてメッセージ表示フラグが1であると判定し、ステップA210に進み、20秒タイマのタイマ値を更新し(ステップA210)、20秒タイマのタイマ値により20秒経過したか否かを判定する(ステップA211)。
健康上のメッセージの表示を開始してからの経過時間が、20秒経過していないと判定した場合、ステップA207に移行し、ステップA207〜ステップA208を行ってメッセージ処理のサブルーチンを抜けてメインルーチンに戻る。したがって、表示パネルとセル部7700に表示されている健康上のメッセージは20秒間に亘って表示される。
そうして、健康上のメッセージの表示を開始してからの経過時間が20秒に達すると、ステップA211をYESと判定し、ステップA204に進み、メッセージ表示フラグに0(非表示)をセットし(ステップA204)、メッセージ処理のサブルーチンを抜けてメインルーチンに戻る。メッセージ表示フラグに0(非表示)がセットされる結果、次のサイクル以降のメッセージ処理では、ステップA202をNOと判定し、メッセージ処理のサブルーチンを抜けるので、液晶表示装置1900とセル部7700との両方で表示されていた健康上のメッセージが表示されなくなる(消滅する)。
上述の実施形態によれば、遊技者が何かの用で短い時間だけ座席を外している時には、センサがオフに転じても遊技者が席を外していない、遊技者が遊技を中止していない、ものと見做す[監視フラグの値が1(監視中)に維持され、遊技者が遊技しているものとして継続時間の計時を続ける]ので、遊技者が何かの用で短い時間だけ座席を外していたとしても、遊技者が継続して遊技している経過時間が1時間に達した場合に、健康上のメッセージを表示する条件が成立したとして、条件成立フラグに1(条件成立)をセットするので、現在の時刻が予め定められた特定時刻となった場合に、適切に健康上のメッセージを表示することができる。
また、遊技途中で、遊技者が疲労回復やトイレのために行動した後、再度座席に戻ったときには、予め定められた設定時間以上座席を外していたことに相当することになり(ステップB90をYESと判定することになり)、このような場合には、監視フラグに0(非監視)をセットし(ステップB92)、条件成立フラグに0(条件不成立)をセットするので(ステップB93)、先に表示されたメッセージがかぶって表示される不自然さを回避でき、遊技者に不快感を与えずに済む。
[ガラスユニットの第2実施形態]
以下に説明する実施形態は、ガラスユニットの第2実施形態であり、ガラスユニットを利用し、遊技球の動きばかりに集中している遊技者の関心を、遊技球に煌き持たせることによって遊技球そのものに惹きつけることで、遊技者の気分を転換させる発明に係るものである。
[パチンコ遊技機の基本構成]
本実施形態におけるパチンコ遊技機の基本構成は、以下のとおりである。
遊技球が打ち込まれる遊技領域1100(図92、図93)を形成した遊技盤4(図1)と、合成樹脂によって成形され且つ遊技盤4をその前面側に着脱自在に取り付ける本体枠3(図1)と、合成樹脂によって成形され且つ本体枠3の一側に開閉自在に軸支された扉枠5(図1)と、を備え、扉枠5は、該扉枠5に形成された遊技窓101(図19、図20)を閉塞するように扉枠5の裏面に着脱自在に装着されて遊技盤4の遊技領域1100(図87)を視認可能に被覆するガラスユニット8000と、遊技窓101の周囲に配置された複数の発光体(LED214a,216a,254a,256a,214b,216b,254b,256b,286a,286b)(図53、図54)と、を有するパチンコ遊技機。
図211は第2実施形態のガラスユニットの正面図であり、図212は第2実施形態のガラスユニットの背面図であり、図213は第2実施形態のガラスユニットを左後方から眺めて示す斜視図であり、図214は第2実施形態のガラスユニットと遊技盤との位置関係を右前方から眺めて示す斜視図である。
また、図215はユニット枠からガラス板を分解した状態のガラスユニット8000を右前方から眺めて示す斜視図であり、図216はユニット枠からガラス板を分解した状態のガラスユニット8000を左後方から眺めて示す斜視図であり、図217はガラス板を取り除いた状態のガラスユニットを分解して後方から眺めて示す分解斜視図であり、図218はガラス板とブロワーベースを取り除いた状態のガラスユニットの正面図である。
ガラスユニット8000は、ユニット枠8012と、ユニット枠8012の開口の外周前後面に取り付けられた透明板としての前後のガラス板(ガラス板でなくても透明な合成樹脂板でもよい。)8002,8004と、ユニット枠8012の内部において前後のガラス板8002,8004の間によって形成された内部空間部8006と、ユニット枠8012の下部に形成された噴風口8008と、噴風口8008に接続され、かつモータ(図示せず)で駆動され、作動時に内部空間部8006へ空気を送り込むブロワー8028と、を備えている。さらに、ガラスユニット8000は、ユニット枠8012の内部に封入され、かつブロワー8028による送風によって内部空間部8006に向けて浮遊可能で、光を反射させることが可能な多数の光反射部材としてのスパンコール8010を備えている(図214)。
図219は内部空間部8006に封入されるスパンコール8010を示す図である。このようなスパンコール8010は、図219(a)及び(b)に示すように、円形の薄板をプレス加工により側面視が台形で角錐状に形成された多面体形状とされており、直径が3mm〜8mmの範囲内、望ましくは、4mm〜6mmの範囲内とされていると共に、表面に反射率の高い鏡面層が形成されている。本例では、厚さが約0.0758mmで直径が約6mmの透明なPET樹脂の内側面に銀色光沢を有した金属を蒸着したものを用いている。また、本例では、内部空間部8006内に、スパンコール8010が10個〜1000個の範囲内で封入されている。
更に、詳述すると、スパンコール8010は、図示するように、略平坦状の矩形面Faと、矩形面Faの各辺から所定角度で立上るように外方へ延出すると共に矩形面Faの辺と対向する外辺が円弧状とされた扇面Fbとを備えており、この四つの扇面Fbにより連続する円弧状の外辺が、矩形面Faに対して垂直方向視で略円形状となるように形成されている(図(b)を参照)。
また、スパンコール8010の内側表面には、金属の蒸着層Fcが形成されている。これにより、スパンコール8010の向きがどのように変化しても、何れかの面(矩形面Faや扇面Fb)を遊技者側から視認することができ、スパンコール8010が見辛くなるのを防止することができるようになっている。
更に、スパンコール8010を見た場合、矩形面Faの外側に四つの扇面Fbが見えると共に扇面Fb同士の間に折り線が見えるので、スパンコール8010を花や宝石(ブリリアントカット等の所定のカットが施された宝石)のように擬似的に見せることができ、スパンコール8010そのものの形状を遊技者に楽しませることができると共に、スパンコール8010による装飾効果をより高められるようになっている。
ユニット枠8012は、図211乃至図213に示すように、環状で縦長略八角形状をなし、ユニット枠8012の下部は、両側部から中央部に向けて下方に傾斜するように延出形成され、ユニット枠8012の下端部は上端部に比べて幅狭に形成されている。ユニット枠8012の下部中央の下端面には、ブロワー8028による送風を内部空間部8006に供給するための開口よりなる噴風口8008が形成されている。
ユニット枠8012の斜め上部左右には、止め片8014が環状の外側に向かって板状に延出され、下部左右には、掛止突片8016が環状の外側に向かって板状に延出されている。この止め片8014と掛止突片8016とは、ガラスユニット8000を扉枠5の裏面に取り付けるためのものである。
また、ユニット枠8012の外周前後面部には、図217乃至図218に示すように、前後のガラス板8002,8004を嵌め込むためのガラス当接段部8018が周設されており、このガラス当接段部8018に前後のガラス板8002,8004を接着剤(ホットメルト系接着剤)で接着したときに、ユニット枠8012の幅寸法内に前後のガラス板8002,8004が収納された状態となる。図214に示すように、ガラスユニット8000は、左右の掛止突片8016から上方側の部分が遊技盤4の前方に配置される。
ユニット枠8012の上面には、ブロワー8028によって内部空間部8006に供給された空気流を外部に排気するための開口よりなる上部排気口8020が形成され、上部排気口8020には、スパンコール8010が通過不可能な大きさの空気を通すための多数の孔が形成された通気板8022が配設されている(図217等参照)。
また、ユニット枠8012の左右の両側面には、ブロワー8028によって内部空間部8006に供給された空気流を外部に排気するための開口よりなる側部排気口8024が形成され、側部排気口8024には、スパンコール8010が通過不可能な大きさの空気を通すための多数の孔が形成された通気板8026が配設されている(図217等参照)。
ブロワー8028は、後方へ向かって開口する吸入口8030を有すると共に、その吸入口8030の略中央にファンモータ8032が配置され、上部に吹出口8034が設けられている。本実施形態では、ファン(図示せず)が、シロッコファンとされており、コンパクトで静寂性に優れたものを用いている(図217等参照)。
ブロワー8028は、略板状をなしたブロワーベース8036の背面に吸入口8030を後方に向けて取り付けられ、ブロワーベース8036の背面上部に取り付けられた接続部材8044を介してユニット枠8012の噴風口8008に吹出口8034が接続されている(図213、図217等参照)。
ユニット枠8012の内側の内部空間部8006には、左側の側部排気口8024よりも下方となるユニット枠8012の左側部の内面と下端の噴風口8008の左側寄りとに亘って左側傾斜板8040が掛け渡され、右側の側部排気口8024よりも下方となるユニット枠8012の右側部の内面と下端の噴風口8008の右側寄りとに亘って右側傾斜板8042が掛け渡されている(図217及び図218)。
図220は主としてブロワー8028、接続部材8044、左側傾斜板8040及び右側傾斜板8042を示す斜視図である。左側傾斜板8040並びに右側傾斜板8042は、ユニット枠8012の左右両側部における下部において、ユニット枠8012の内面に係止された上端部から略中央の噴風口8008の上方に向かって下方に傾斜した傾斜部8040a,8042aと、傾斜部8040a,8042aの下端に連続して下方に向けて折曲された垂下部8040b,8042bとを有している。
傾斜部8040a,8042aには、スパンコール8010が通過不可能な大きさの空気を通すための多数の通風孔8043が形成されている。また、図218に示すように、左側傾斜板8040の垂下部8040bの上下方向の長さ寸法が、右側傾斜板8042aの垂下部8042bの上下方向の長さ寸法よりも長く形成してある。すなわち、左右の傾斜部8040a,8042aの下端の位置同士が高さ方向で異なるようになっている。この構成により、スパンコール8010が左右の傾斜部8040a,8042aに沿って滑るように移動して中噴風口8008c(後述)に進入するときに、左方から移動して来たスパンコール8010と右方から移動して来たスパンコール8010同士がぶつかり合わないようにスムーズに中噴風口8008cに進入するようになっている。
なお、図215乃至図216に示すように、内部空間部8006に面する前後のガラス板8002,8004の内面には、左側傾斜板8040並びに右側傾斜板8042の前後方向に向く側部が係合されることで、左側傾斜板8040並びに右側傾斜板8042を前後のガラス板8002,8004間に挟み込んで位置決めする係合位置決め溝8002a,8002b,8004a,8004bが形成されている。
図221は、図212におけるA−A線で破断して拡大して示す断面図である。図221に示すように、ユニット枠8012の下端の噴風口8008は、左側傾斜板8040の垂下部8040bと右側傾斜板8042の垂下部8042bとにより、左噴風口8008a、右噴風口8008b、垂下部8040aと垂下部8042bとの間の中噴風口8008cの3つに区画されている。中噴風口8008cには、スパンコール8010が通過不可能な大きさの空気を通すための多数の孔が形成された通気板8009が配設されている。
次に、噴風口8008とブロワー8028の吹出口8034とに連設された送風流路について説明する。図222は図212におけるB−B線で破断して拡大して示す断面図であり、図223は背面側を斜め下方から眺めて示す接続部材8044の斜視図であり、図224は背面側を斜め上方から眺めて示す接続部材8044の斜視図である。
接続部材8044は、上方、下方及び前方が開放された略方形のダクト形状をなす。接続部材8044は、左右の両側壁を形成する側板部8046,8046と、後壁を形成すると共に、下方から上方に向けて前方に向って傾斜する傾斜背板部8048とを有し、下端に下方に開放した下側開口8050が形成され、上端に上方に開放した上側開口8052が形成されている。左右の側板部8046,8046の外面には、外方に向って取付用突部8054が突設され、取付用突部8054を介してビス止めによりブロワーベース8036の背面上部に取り付けられることにより、接続部材8044の前方側がブロワーベース8036によって塞がれ、接続部材8044の内側に送風流路8056が形成される(図222)。
また、接続部材8044の下側開口8050をブロワー8028の吹出口8034に接続した状態において、左右の側板部8046の下端部内面及び傾斜背板部8048の下端部内面は、ブロワー8028の吹出口8034の外面に当接する(図221及び図222参照)。
傾斜背板部8048の上端には、上側開口8052の左右方向に向いた上端縁全域に亘って後方及び上方に突出した掛止突条8058が形成され、接続部材8044の上側開口8052をユニット枠8012の噴風口8008に接続した状態において、上側開口8052の左右方向に向いた上端縁は、後ガラス板(パネル側のガラス板)8004の下端面に突き当り、掛止突条8058の内面は、後ガラス板8004の下端部の外面に当接する(図222)。また、この状態において、接続部材8044の上側開口8052がユニット枠8012の噴風口8008に連接する。
また、図217、図221及び図222に示すように、ブロワーベース8036の背面上部の中央には、上部開口8052の左右方向の寸法に対応して左右方向に亘って、下方から上方に向けて後方に向って傾斜する傾斜突部8038が形成されている。
接続部材8044の下側開口8050の左右方向の横幅寸法と上側開口8052の左右方向の横幅寸法とは同じであるものの、下側開口8050の前後方向の奥行き寸法に対して上側開口8052の奥行き寸法が、接続部材8044の傾斜背板部8048とブロワーベース8036の傾斜突部8038とにより小さくされている。即ち、送風流路8056の横断方向の断面積が下側開口8050から上側開口8052に向かうほど小さくなるように構成されており、送風流路8056を流通する空気流を絞り込んで勢いよくユニット枠8012の噴風口8008に供給するようになっている。
図225はガラスユニット8000を取り付けた状態を示す扉枠5の背面図である。上記のように組み付けられたガラスユニット8000を扉枠5に取り付けるには、ガラスユニット8000の掛止突片8016を扉枠5の係合受片9004に上方から掛け止めた後、ガラスユニット8000の止め片8014に対し扉枠5の止めレバー9002を閉止位置に回動して止め片8014の裏面を押圧する。これによって、ガラスユニット8000を扉枠5の裏面に簡単に取り付けることができる。
[スパンコール8010による遊技球への演出]
本実施形態のパチンコ遊技機1では、液晶表示装置1900での演出画像の表示による演出だけでなく、ガラスユニット8000においても所定の演出を遊技者に見せることができるようになっている。このガラスユニット8000によるスパンコール8010の演出と共にガラスユニット8000の動作について説明する。
本実施形態のガラスユニット8000は、所定の遊技状態に応じた所定の演出タイミングになると、例えば、始動口2101に入賞しない状況が予め定めた時間の間続いている状態となると、遊技者が遊技に飽きてしまっていると想定されるため、周辺制御部6150からブロワー8028のファンモータ8032を駆動する駆動信号が出力されて、ファンモータ8032が駆動する。そして、ファンモータ8032の駆動によりシロッコファン(図示せず)が回転し、吸入口8030から空気を吸入すると共に、吹出口8034から接続部材8044の送風流路8056内へ空気流が供給される。
送風流路8056を流通する空気流は、傾斜背板部8048と傾斜突部8038とにより絞り込まれることで流速が高められてユニット枠8012の噴風口8008に供給される。なお、このガラスユニット8000では、ブロワー8028が停止中は、複数のスパンコール8010がその自重により垂下部8040b,8042b間の中噴風口8008c内に集まって滞積した状態となっている。
そして、送風流路8056内へ供給された空気流は、噴風口8008に配置された通気板8009を通過して内部空間部8006へと勢い良く流入すると共に、その空気流によって中噴風口8008c内に集まったスパンコール8010が内部空間部8006内の左右方向における中央部を上方へと吹き上げられることとなる(図214参照)。そして、吹き上げられたスパンコール8010は、内部空間部8006の上部排気口8020を覆う通気板8022により内部空間部8006側へ空気流と分離させられて内部空間部8006内の左右方向に分かれ、内部空間部8006内の両側部を下方へ浮遊落下することとなる(図214参照)。
そうして、スパンコール8010は、内部空間部8006の左右の側部排気口8024を覆う通気板8026(図217)により内部空間部8006側へ空気流と分離させられて、内部空間部8006内の両側部から内部空間部8006内の左右方向における中央に向けて、下方へ浮遊落下することとなる(図214参照)。
通気板8022、8026には、スパンコール8010が通過不能な大きさの孔が多数形成されており、多数の孔を通って空気流が内部空間部8006からユニット枠8012の外部へ良好に排出されると共に、スパンコール8010が内部空間部8006内に留まることとなる。そして、通気板8022,8026に当接したスパンコール8010は、自身の自重、或いは、空気流の搬送により通気板8022,8026に対して斜めにスパンコール8010が当ることで通気板の内面で跳ね返り、下方へ落下することとなる。
このように、内部空間部8006の上部で左右方向へ広く拡散したスパンコール8010は、その自重によりあたかも紙吹雪のようにユラユラと落下することとなり、内部空間部8006の略全域に亘ってスパンコール8010が乱舞しつつ浮遊落下することとなる(図214参照)。この多数のスパンコール8010により、これまでのパチンコ機にはない新規な装飾演出をすることができるようになっており、遊技者を驚かせることができると共に楽しませることができるようになっている。
一方、ブロワー8028から供給される空気流の一部は、左噴風口8008a及び右噴風口8008bにも供給される。左噴風口8008aに供給された空気流は、左側傾斜板8040に沿うようにして内部空間部8006の下部左側を上昇すると共に、傾斜部8040aに形成された多数の通風孔8043を通って傾斜部8040aの上面から吹き出す。これにより、左側傾斜板8040の傾斜部8040aの上面に沿って略面状に空気の吹出が形成される。
同様に、右噴風口8008bに供給された空気流は、右側傾斜板8042に沿うようにして内部空間部8006の下部右側を上昇すると共に、傾斜部8042aに形成された多数の通風孔8043を通って傾斜部8042aの上面から吹き出す。これにより、右側傾斜板8042の傾斜部8042aの上面に沿って略面状に空気の吹出が形成される。
そして、内部空間部8006の左側の左側傾斜板8040の傾斜部8040a上に浮遊落下したスパンコール8010は、傾斜部8040aの上面に形成されている略面状の空気の吹出に載ることになり、エアーホッケーの原理で傾斜部8040aの傾斜に沿って滑るように移動して中噴風口8008cへと進入する。
同じように、内部空間部8006の右側の右側傾斜板8042の傾斜部8042a上に浮遊落下したスパンコール8010は、傾斜部8042aの上面に形成されている略面状の空気の吹出に載ることになり、エアーホッケーの原理で傾斜部8042aの傾斜に沿って滑るように移動して中噴風口8008cへと進入する。
このような構成によれば、左側傾斜板8040上及び右側傾斜板8042上に浮遊落下した多数のスパンコール8010を互いにくっつかないようにして傾斜部8042aの傾斜に沿って滑るように移動させ、中噴風口8008cへと回収することができる。
中噴風口8008cへと進入したスパンコール8010は、中噴風口8008c内を流れる空気流によって再び内部空間部8006の上部に吹き上げられて循環する。
そして、スパンコール8010が循環して内部空間部8006内で浮遊落下している状態で、遊技窓101の周囲に配置された複数の発光体(LED214a,216a,254a,256a,214b,216b,254b,256b,286a,286b)(図53、図54)を適宜発光させる。これらLEDからの光はスパンコール8010の表面で反射し、キラキラと煌くスパンコール8010を遊技者に見せて遊技者の関心を強く引き付けることができる。
また、同時に、これらLEDからの光が浮遊しているスパンコール8010によって遊技領域1100に向けて反射され、反射光が遊技領域1100を転動流下する遊技球に当たり、遊技球は反射光によって恰も小さなミラーボールのようにキラキラと煌く。このように、遊技球に煌き持たせることによって、遊技者の興味を転動流下する遊技球そのものに惹きつけことで、例えば、始動口に入賞しない状況が続いていることにより、打球を遊技領域1100に打ち込んでもなかなか特別図柄の変動が開始されず、イラだちを感じたり、遊技に飽きてしまっている遊技者の気分を転換させ、遊技の興趣を高めることができる。
なお、スパンコール8010が多面体形状とされているので、異なる面において異なる位置に配置された複数のLEDからの光を遊技領域1100へ反射させることができ、一つのスパンコール8010を複数色で煌かせることができ、反射光によってキラキラと煌く遊技球により遊技者をより楽しませることができるようになっている。
なお、ブロワー8028及び噴風口8008の前方に位置する扉枠5の遊技窓101の下方前面には、合成樹脂製の複数の部材を組み付けることにより構成され且つ遊技の結果払出される賞球を貯留すると共にその貯留した賞球を発射位置に供給する皿ユニット300(例えば、図21参照)が取り付けられ、正面視において皿ユニット300でブロワー8028及び噴風口8008が視認不可能に隠蔽されている。
このような構成によれば、皿ユニット300でブロワー8028及び噴風口8008を遊技者に対して視認不可能に隠すことができるので、スパンコール8010の噴き出しによる遊技球への演出により、遊技者に思いもよらない驚きと感動を与えることができる。
[ガラスユニットの第3実施形態]
ところで、スパンコール8010をパッと内部空間部8006の全域に華やかに乱舞させるためには、ブロワー8028の送風をある程度圧縮してから噴出させる方がよい。例えば、ブロワー8028の送風を強くしておき弁を開くようにすればよい。このため、以下に説明するガラスユニット8000に係る第3実施形態では、ブロワー8028と噴風口8008との間に切り換え部材を設けると共に、ブロワー8028を常時作動しておき、演出の必要なときだけ、切り換え部材を開放してブロワー8028と噴風口8008とを連通し、噴風を内部空間部8006に送る構成とする。
第3実施形態のガラスユニットは、前述の第2実施形態のガラスユニット8000に以下の構成を追加したものである。図226及び図227は、第3実施形態のガラスユニットにおけるユニット枠への送風機構部分を上下方向に破断して示す断面図である。第3実施形態のガラスユニットは、噴風口8008とブロワー8028とに連設された送風流路8056に、後方に向けて開設され、ブロワー8028の背後に向けて送風する空冷のための空冷用送風口8060と、空冷用送風口8060を開放すると共に噴風口8008を閉鎖する第1の移動位置と、空冷用送風口8060を閉鎖すると共に噴風口8008を開放する第2の移動位置とに切り換え可能とされた流路切換部材8062とを備える。また、接続部材8044の一側方に、流路切換部材8062を駆動する駆動機構8064が配設されている。
なお、図226は流路切換部材8062が第1の移動位置にある状態を示しており、図227は流路切換部材8062が第2の移動位置にある状態を示している。さらに、図228は図226の要部を拡大して示す断面図であり、図229は図227の要部を拡大して示す断面図である。駆動機構8064については、図228および図229を用いて説明する。
空冷用送風口8060は、略矩形の開口をなすもので、図228に示すように、接続部材8044の傾斜背板部8048(図224参照)に開設されている。空冷用送風口8060は、ブロワー8028の吹出口8034とその上方の噴風口8008との間に形成された送風流路8056の後部に位置している。空冷用送風口8060の下端縁の内面(送風流路に向いた面)には、流路切換部材8062を第2の移動位置に規制するための切換部材当接段部8061が左右方向全域に亘って設けられている。
図228及び図229に示すように、噴風口8008及び空冷用送風口8060を開閉する流路切換部材8062は、略板状の扉形状をなすもので、空冷用送風口8060の上部において、図示しないケーシングに軸8066を介して上部の両側が揺動自在に枢着されている。流路切換部材8062の下端部の背面には、切換部材当接段部8061に当接して空冷用送風口8060を塞ぐための当接段部8063が左右方向全域に亘って設けられている。また、流路切換部材8062の左右方向の一側部には、流路切換部材8062と略直角方向をなす後方に向けて流路切換部材8062と一体にレバー8068が延設され、レバー8068の先端部には長孔8070が設けられている。
一方、駆動機構8064は、流路切換ソレノイド8072と、流路切換ソレノイド8072に通電することにより動作するプランジャ8074と、プランジャ8074に係合されたクランクレバー8078とを備えており、これらの部材は前記ケーシングに配設されている。より具体的には、流路切換ソレノイド8072及びプランジャ8074は前後方向の前方に向けて配置され、クランクレバー8078の中央部分は左右方向に向けて配置されたクランク軸8080に回動可能に支持されている。
そうして、プランジャ8074の先端がクランクレバー8078の一端に係合され、クランクレバー8078の他端が流路切換部材8062と一体形成されたレバー8068の長孔8070内に挿通係合されている。図226および図228では、流路切換ソレノイド8072の通電が解除されてプランジャ8074のコイルバネ8076の付勢力により流路切換部材8062が空冷用送風口8060を開放すると共に噴風口8008を閉鎖する第1の移動位置とっている状態を示している。
一方、第3実施形態のガラスユニットの背面に対向する本体枠3について説明する。図230は、第3実施形態のガラスユニットに対応して用いる本体枠の正面図である。第3実施形態のガラスユニットに設けられた空冷用送風口8060と対向する本体枠3の下部中央に当たる下部後壁部604の上部に適宜開口を開設し、前記開口を通してブロワー8028の送風を下部後壁部604の背面側に送り、例えば、下部後壁部604の背面側に配設されている電源基板ボックス850(図59及び図60)から発せられて籠った熱を空気流により裏カバー900のスリット916(図81参照)へと逃がす。本実施形態では、前記開口は、図230に示すように、上下方向に沿って形成された縦長のスリット8090を左右方向に所定間隔で複数並設した構成とされている。
[作用]
第3実施形態のガラスユニットにおいては、ブロワー8028を常時作動しておき、演出の必要なときだけ、周辺制御部6150の周辺制御MPU6150aは、流路切換ソレノイド8072を通電制御出力することにより流路切換部材8062を第2の移動位置に切換移動し、噴風口8008を開放してブロワー8028と噴風口8008とを連通し、噴風を内部空間部8006に送る。スパンコール8010による遊技球への演出効果は前述のとおりである。
[扉枠5の下部の背後の空冷]
非演出時、図226および図228では、流路切換ソレノイド8072の通電が解除されてプランジャ8074のコイルバネ8076の付勢力により流路切換部材8062が空冷用送風口8060を開放すると共に噴風口8008を閉鎖する第1の移動位置とっている。ブロワー8028により、吹出口8034から接続部材8044の送風流路8056内へ空気流が供給される。
図228に示すように、第1の移動位置では、流路切換部材8062の下端部がブロワーベース8036の傾斜突部8038の基部に当接し、流路切換部材8062は軸8066から下端部に向って下方に傾斜した状態で、噴風口8008を閉鎖すると共に空冷用送風口8060を開放した状態にある。送風流路8056に流入した空気流は、流路切換部材8062に衝突して流通方向を略90度向きを変えて空冷用送風口8060から排出される。そして、空冷用送風口8060から排出された空気流は、空冷用送風口8060と対面する複数のスリット8090(図230)を通過して下部後壁部604の背面側に入り、下部後壁部604の背面側において籠った熱を空気流により裏カバー900のスリット916(図81参照)へと逃がす(空冷作用)。
このような構成によれば、モータによりブロワー8028を常時作動状態とし、スパンコール8010の噴き出しによる遊技球への演出を行わないときには、流路切換部材8062を第1の移動位置に位置させることで、空冷用送風口8060を開放すると共に噴風口8008を閉鎖し、空冷用送風口8060から後方に向けてブロワー8028により送風し、ガラスユニットの背後においてこもった熱を逃がすことができる。
[流路切換部材8062の切り換え動作]
スパンコール8010の乱舞による演出タイミングとなると、例えば、始動口2101に入賞しない状況が予め定めた時間の間続いている状態となると、周辺制御MPU6150aは、流路切換ソレノイド8072の通電制御信号を出力する。図228において、流路切換ソレノイド8072が通電すると、流路切換ソレノイド8072の励磁によってプランジャ8074がコイルバネ8076の付勢に抗して吸引されて矢印で示す左方に移動し、プランジャ8074に係合されたクランクレバー8078の一端が左方に移動し、クランクレバー8078がクランク軸8080を中心として反時計方向に回動することになり、クランクレバー8078の他端が上方に移動する。
クランクレバー8078の他端が上方に移動することにより、クランクレバー8078の他端が係合しているレバー8068の長孔8070が上方に押し上げられる。長孔8070が上方に押し上げられることにより、回動当初はブロワー8028の風力に抗して、レバー8068及びレバー8068と一体である流路切換部材8062が軸8066を中心として時計方向に回動し、流路切換部材8062がブロワー8028による送風方向と平行な姿勢を取る位置から更に時計方向に回動すると、ブロワー8028の風力を補助的に受けて回動し、流路切換部材8062の下端の当接段部8063が空冷用送風口8060の下端の切換部材当接段部8061に当接し、流路切換部材8062が第2の移動位置に規制されると共に、空冷用送風口8060を塞ぐ(図229)。これと同時に、ブロワー8028の吹出口8034と噴風口8008とが送風流路8056を通じて連通し、図222と同様の送風流路構成となってブロワー8028による噴風を内部空間部8006に送る。
[演出の停止]
スパンコール8010の乱舞による演出停止タイミングとなると、周辺制御MPU6150aは、流路切換ソレノイド8072の通電制御信号の出力を停止する(オフにする)。図229において、流路切換ソレノイド8072への通電が停止すると、流路切換ソレノイド8072の励磁解除によってプランジャ8074がコイルバネ8076の復元力によって矢印で示す右方に移動し、プランジャ8074に係合されたクランクレバー8078の一端が右方に移動し、クランクレバー8078がクランク軸8080を中心として時計方向に回動することになり、クランクレバー8078の他端が下方に移動する。
クランクレバー8078の他端が下方に移動することにより、クランクレバー8078の他端が係合しているレバー8068の長孔8066が下方に押し下げられる。長孔8066が下方に押し下げられることにより、回動当初はブロワー8028の風力に抗して、レバー8068及びレバー8068と一体である流路切換部材8062が軸8066を中心として反時計方向に回動し、流路切換部材8062がブロワー8028による送風方向と平行な姿勢を取る位置から更に反時計方向に回動すると、ブロワー8028の風力を補助的に受けて回動し、流路切換部材8062の下端部がブロワーベース8036の傾斜突部8038の基部に当接し、流路切換部材8062が第1の移動位置に規制されると共に、噴風口8008を塞ぐ(図228)。これと同時に、ブロワー8028の吹出口8034と空冷用送風口8060とが送風流路8056を通じて連通し、ブロワー8028による送風を空冷用送風口8060からスリット8090に向けて送る。
このような構成によれば、スパンコール8010の噴き出しによる遊技球への演出を行う場合には、駆動機構8064により、流路切換部材8062を第1の移動位置から第2の移動位置に切り換え移動することで、空冷用送風口8060を閉鎖すると共に噴風口8008を開放し、噴風口8008から上方に向けてブロワー8028により送風し、スパンコール8010を内部空間部8006に向けて勢いよくパッと噴き出すことができる。流路切換部材8062を切り換えるだけでよいから、演出のための制御が複雑にならない。
なお、以上に説明した第3実施形態では、単一の駆動機構8064により、1つの流路切換部材8062を第1の移動位置と第2の移動位置とで揺動切換動作させることで、噴風口8008への送風と空冷用送風口8060への送風とを切り換るようにしているが、これに代えて、噴風口8008に対して平行な方向に開閉移動する噴風口シャッタと、空冷用送風口8060に対して平行な方向に開閉移動する空冷用送風口シャッタとをそれぞれ設け(独立的に設け)、噴風口シャッタを開閉動作させる噴風口シャッタ駆動機構と、空冷用送風口シャッタを開閉動作させる空冷用送風口シャッタ駆動機構と、を別々に設け、各々の動作タイミングに応じて周辺制御MPU6150aにより独立的に動作制御する構成としてもよい。このような構成によれば、ブロワー8028による送風の風力の影響を殆ど受けずに噴風口8008及び空冷用送風口8060の開け閉めを行うことができる。