JP5987517B2 - 耐火構造 - Google Patents

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本発明は、貫通孔を有する構造部材の耐火構造に関する。
建物等の構造物を構成する構造部材(例えば鉄骨梁)において、配管(空調用や換気用のダクトなど)を挿通させるための貫通孔が設けられる場合がある。また、このような構造部材に対して、耐火性能を向上させるため表面を耐火被覆材(例えば吹付けロックウール)で規定の厚さに被覆することが建築基準法で定められている。
特開2007−198029号公報
貫通孔が形成された構造部材に耐火被覆材を施す場合、貫通孔の小口面にも他の部位と同じ厚さの耐火被覆材を形成すると、貫通孔の実質的な有効径(直径)が小さくなってしまう。一方、小口面の厚さを他の部位よりも薄くすると有効径を大きくできるが、火災時に構造部材の温度上昇が抑えられなくなる(耐火性能が低下する)。このように、耐火性能を確保しつつ貫通孔の有効径を拡大することが困難であった。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、耐火性能を確保しつつ貫通孔の有効径を拡大することができる耐火構造を提供することにある。
かかる目的を達成するため、本発明の耐火構造は、構造物用の構造部材であって、所定方向の一方側の表面から他方側の表面まで貫通する貫通孔が形成された構造部材と、
前記構造部材に施された耐火被覆材であって、前記貫通孔の小口面における厚さが、他の部位における厚さ未満となるように形成された耐火被覆材と、
前記一方側の表面と前記他方側の表面の少なくとも一方に設けられ、前記貫通孔の周囲に水を供給する給水機構と、
を備え、
前記吸水機構は、
材料組成中に結晶水や自由水として前記水を含む材料、あるいは液体として前記水を収容した収容体と、
前記材料あるいは前記収容体から放出された水を取り込んで、前記貫通孔の周囲に案内する多孔質体と、
を有し、
前記構造部材はフランジとウェブとを備え、
前記材料あるいは前記収容体は、前記フランジと前記ウェブの入隅部に設けられていることを特徴とする。
このような耐火構造によれば、耐火性能を確保しつつ貫通孔の有効径を拡大することが可能である。また、火災時に、自動的に貫通孔の周りに水を供給することができる。これにより構造部材の温度の上昇を抑えることが可能である。
かかる耐火構造であって、前記多孔質体は、前記貫通孔を囲むように設けられ、
前記材料あるいは前記収容体は、前記多孔質体と前記フランジとの間に設けられていることとしてもよい。
また、本発明の耐火構造は、構造物用の構造部材であって、所定方向の一方側の表面から他方側の表面まで貫通する貫通孔が形成された構造部材と、
前記構造部材に施された耐火被覆材であって、前記貫通孔の小口面における厚さが、他の部位における厚さ未満となるように形成された耐火被覆材と、
前記一方側の表面と前記他方側の表面の少なくとも一方に設けられ、前記貫通孔の周囲に水を供給する給水機構と、
を備え、
前記吸水機構は、
前記水を噴射する噴射口が形成された前記水の流路管と、
前記噴射口から噴射された水を取り込んで、前記貫通孔の周囲に案内する多孔質体と、
を有し、
前記構造部材はフランジとウェブとを備え、
前記流路管は、前記フランジと前記ウェブの入隅部に設けられていることを特徴とする。
このような耐火構造によれば、耐火性能を確保しつつ貫通孔の有効径を拡大することが可能である。また、流路管に水を流して噴射口から噴射させることで貫通孔の周りに水を供給することができる。これにより構造部材の温度の上昇を抑えることが可能である。
かかる耐火構造であって、消火用のスプリンクラーと連動して、前記流路管の前記噴射口から前記水が噴射されることが望ましい。
このような耐火構造によれば、火災の際に自動的に噴射口から水を噴射させることが可能である。
かかる耐火構造であって、前記多孔質体は、前記貫通孔を囲むように設けられ、
前記流路管は、前記多孔質体と前記フランジとの間に設けられていることとしてもよい。
本発明によれば、耐火性能を確保しつつ貫通孔の有効径を拡大することが可能である。
本実施形態における鉄骨梁10の側面図である。 図1のA−A断面図である。 鉄骨梁10の斜視図である。 比較例における耐火構造を示す図である。 比較例の耐火構造における熱の流れを説明するための概念図である。 第1実施形態における耐火構造の構成を説明するための側面図である。 図6のA−A断面図である。 第1実施形態の耐火構造の説明図である。 第1実施形態の耐火構造における熱の流れを説明するための概念図である。 第1実施形態の耐火構造の施工方法を示すフロー図である。 第2実施形態における耐火構造の構成を説明するための側面図である。 図11のA−A断面図である。
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、以下の実施形態では、本発明の耐火構造を鉄骨梁(以下鉄骨梁10とする)に適用した場合について説明する。
===第1実施形態===
<<鉄骨梁の構成について>>
図1は、本実施形態における鉄骨梁10の側面図である。また、図2は、図1のA−A断面図であり、図3は鉄骨梁10の斜視図である。なお、各図に示すように方向を定めている。また、図1では鉄骨梁10の上に鉄筋コンクリート造のスラブ20が形成されている。図に示すように、鉄骨梁10は、断面がH形の鉄製の構造部材であり、フランジ12、14とウェブ16を有する。
フランジ12は、鉄骨梁10の上縁に配置された板状部材である。また、フランジ14は、鉄骨梁10の下縁に配置された板状部材である。
ウェブ16は、フランジ12とフランジ14とを結ぶ板状部材である。また、ウェブ16には、幅方向(所定方向に相当する)の表面16aから表面16bまで貫通する貫通孔18が形成されている。この貫通孔18は、不図示の配管(例えば空調ダクトや換気ダクト)などを挿通するためにウェブ16に設けられたものである。本実施形態の鉄骨梁10では、図に示すように、梁せい(フランジ12の上面からフランジ14の下面までの高さ)Hに対して、貫通孔18の径(直径)をH/2とした例を示している。
<<鉄骨梁10の耐火構造について>>
前述した鉄骨梁10に対して、耐火性能を向上させるため、表面に規定の厚さの耐火被覆材を施すことが建設基準法で定められている。例えば、耐火被覆材が吹付けロックウールの場合、1時間耐火では25mm、2時間耐火では45mm、3時間耐火では60mmと厚さが定められている。
<比較例の耐火構造>
図4は、比較例における耐火構造を示す図である。図において鉄骨梁10の表面には、耐火被覆材30(例えば吹付けロックウール)が規定厚さdで施されている。また、図に示すように、この比較例では貫通孔18の小口面18aにも厚さdの耐火被覆材30が形成されている。このため貫通孔18の実質的な有効径Dは、H/2−2dとなっている。
図5は、比較例の耐火構造における熱の流れを説明するための概念図である。なお、図5は図4に示す耐火構造のうちの貫通孔18よりも下側の部分を拡大して示したものであり、貫通孔18からの熱の流れを概念的に示している。また、図において、熱の伝わる方向を矢印で示し、その熱の大きさを矢印の大きさで表している。
火災等が発生した場合、貫通孔18からの熱は、耐火被覆材30を通ってウェブ16に伝えられる。このとき、ウェブ16に伝わる熱は、厚さdの耐火被覆材30を介することによって低減される。よってウェブ16の温度の上昇が抑えられる。
このように比較例では小口面18aにも他の部位と同じ厚さ(規定厚さd)で耐火被覆材30を形成し、鉄骨梁10の耐火性能を高めている。
しかしながら、この比較例では、前述したように、貫通孔18の有効径DがH/2−2dとなる。つまり、貫通孔18の有効径Dが実際の径(H/2)よりも小さくなってしまう。このため、貫通孔18に挿通する配管のサイズ(径)を小さくし、且つ、貫通孔18及び配管の数を多くするなどの対応が必要になる。なお、耐火被覆材30を規定厚さdのまま有効径Dを大きく確保しようとすると、貫通孔18の径を大きくすることで鉄骨梁10の強度が低下してしまうので、貫通孔18の周囲に補強部材を設けるなどの対策が必要になる。
一方、耐火被覆材30の厚さを小口面18aのみ薄く形成するようにすると、貫通孔18の実際の径を変えることなく有効径Dを拡大することができる。しかしこの場合、小口面18aの耐火被覆材30が薄くなることによりウェブ16に熱が伝わりやすくなり鉄骨梁10の耐火性能が低下してしまう。
このように、耐火性能を確保しつつ貫通孔18の有効径を大きくすることが困難であった。そこで、以下に説明する実施形態では、耐火性能を確保しつつ貫通孔18の有効径の拡大を図るようにしている。
<第1実施形態の耐火構造>
図6は、第1実施形態における耐火構造の構成を説明するための側面図である。また、図7は、図6のA−A断面図である。なお、これらの図は、耐火被覆材30が施される前の状態を示した図であり、図において図1、図2と同一構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
図に示すように、本実施形態では、鉄骨梁10に多孔質体40と水パック50(収容体に相当する)とが設けられている。なお、本実施形態において、多孔質体40と水パック50は給水機構に相当する。また、多孔質体40と水パック50は、一体化された構成としてもよい。
多孔質体40は、毛細管現象を起こすことができる多孔質の部材(例えば、繊維、軽石等)であり、ウェブ16の幅方向の両面(表面16a及び表面16b)において、それぞれ、貫通孔18の周囲を囲むように環状に設けられている。
水パック50は、ウェブ16の両面(表面16a及び表面16b)の各フランジ近傍において、左右方向に沿って多孔質体40と接するように配置されている。これらの水パック50の内部には液体として予め水が封入されている。なお、本実施形態の水パック50は、温度が所定温度(例えば100℃)を超えると破袋して、内部に収容されていた水が、外部に放出されるようになっている。水パック50から放出された水は多孔質体40に取り込まれ、毛細管現象によって多孔質体40内部を移動する。こうして、水パック50から放出された水は、多孔質体40に案内されて貫通孔18の周囲に運ばれる。
図8は、第1実施形態の耐火構造の説明図である。なお、図8は、図7に耐火被覆材30を施した後の図である。
比較例(図4)では貫通孔18の小口面18aに他の部位の厚さと同じ厚さdの耐火被覆材30が設けられていたのに対し、本実施形態では、小口面18aには耐火被覆材30が設けられていない。これにより、本実施形態では、貫通孔18の有効径DがH/2(貫通孔18の実際の径)となり、比較例(図4)の有効径D(=H/2−2d)よりも大きくなっている。
図9は、第1実施形態の耐火構造における熱の流れを説明するための概念図である。図において、白色の矢印は熱の流れ(及び熱の大きさ)を示し、黒色の矢印は水の流れを示している。
前述したように、火災等による昇温により温度が所定温度を超えた場合、水パック50が破袋し、内部に収容されていた水が放出される。水パック50から放出された水は、多孔質体40に取り込まれて、多孔質体40の毛細管現象によって貫通孔18の周囲に移動する。そして、さらに温度が上昇すると、水は周囲(具体的にはウェブ16)から熱(気化熱)を奪って(吸熱反応)蒸気になる。このように水パック50から放出された水がウェブ16から熱を奪うので、ウェブ16の温度上昇を抑えることができる。これにより、本実施形態では小口面18aに耐火被覆材30を設けることなく、耐火性能を確保することができる。また、小口面18aに耐火被覆材30を設けていないので、貫通孔18の有効径Dを比較例の場合よりも大きくすることができる。
なお、本実施形態では貫通孔18の周囲に水を供給するのに水パック50を用いたが、これに限らず、例えば材料組成中に結晶水や自由水として水を含む材料を用いてもよい。
<耐火構造の施工方法>
図10は第1実施形態の耐火構造の施工方法の一例を示すフロー図である。
まず、工場においてウェブ16に貫通孔18を形成した鉄骨梁10の製作を行ない(S101)、製作した鉄骨梁10を建設現場に運搬する(S102)。そして、建設現場にて主要な構造部材(柱や鉄骨梁10)の建て方(組み立て)を行う(S103)。
次に、鉄骨梁10のウェブ16の貫通孔18の周囲に、例えば接着剤等を用いて、多孔質体40と水パック50の取り付けを行い(S104)、鉄骨梁10の表面(小口面18a上を除く)に耐火被覆材30を施工する(S105)。
なお、施工方法は上述したものには限られない。例えば、貫通孔18の周囲に多孔質体40と水パック50の取り付けを行う工程(S104)を建て方(S103)よりも前に行うようにしてもよい。
以上、説明したように、本実施形態では、鉄骨梁10のウェブ16の幅方向の両面(表面16a及び表面16b)に、所定温度を超えると破袋する水パック50、及び、多孔質体40が設けられている。このような構成により、例えば火災で所定温度を超えた場合には、水パック50が破袋して、水パック50内の水が多孔質体40の毛細管現象により貫通孔18の周囲に運ばれる。そして、その水が気化する際には周囲(ウェブ16)から熱を奪うのでウェブ16の温度の上昇が抑制される。よって、貫通孔18の小口面18aに耐火被覆材30を形成していなくても鉄骨梁10の耐火性能を確保することが可能である。また、本実施形態では貫通孔18の小口面18aに耐火被覆材30を形成していないので、比較例と比べて貫通孔18の有効径Dを大きくすることができる。
このように、本実施形態では耐火性能を確保しつつ、比較例よりも貫通孔18の有効径Dを拡大することができる。
なお、小口面18aに厚さdよりも薄く耐火被覆材30を形成するようにしてもよい。この場合、耐火性能をさらに向上させることができる。また、このように小口面18aにおける耐火被覆材30の厚さを、他の部位における厚さd未満(形成しない場合も含む)とすることで、貫通孔18の有効径Dの拡大を図ることができる。
<変形例>
前述の実施形態では、ウェブ16の幅方向の両面(表面16a、表面16b)に、多孔質体40と水パック50をそれぞれ設けていたが、ウェブ16の片面(表面16aと表面16bの何れか一方)に多孔質体40と水パック50を設けるようにしてもよい。
また、前述の実施形態では、水パック50をフランジ12の近くとフランジ14の近くにそれぞれ設けていたが、何れか一方側のみに配置していてもよい。また、水パック50を多孔質体40の外周に沿って配置するようにしてもよい。
また、多孔質体40を設けなくてもよい。例えば、図6の多孔質体40の設置部分(貫通孔18の周囲)に水パック50を環状に設けてもよい。この場合、水パック50のみで給水機構が構成されることになる。
これらの場合においても、水パック50から放出された水が気化する際に、ウェブ16から熱を奪うので、ウェブ16の温度上昇を抑えることができる。また、小口面18aにおける耐火被覆材30の厚さを比較例の厚さdよりも薄くすることができる。よって、耐火性能を確保しつつ貫通孔18の有効径Dの拡大を図ることができる。
===第2実施形態===
第2実施形態では、貫通孔18の周囲に水を供給するための構成が第1実施形態と異なっている。
図11は、第2実施形態における耐火構造の構成を説明するための側面図である。また、図12は、図11のA−A断面図である。なお、これらの図は、耐火被覆材30が施される前の状態を示した図であり、図において図1、図2と同一構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
第2実施形態では、鉄骨梁10のウェブ16に流路管60が設けられている。
流路管60は、水の流路を形成する部材(例えば、ホース)であり、ウェブ16の幅方向の両面(表面16a及び表面16b)の各フランジ近傍において、左右方向に沿って配設されている。また、流路管60には多孔質体40に向けて水を噴射する噴射口62が設けられている。なお、第2実施形態において、流路管60、噴射口62、多孔質体40は給水機構に相当する。
流路管60には、火災時に自動的に動作する消防用のスプリンクラー設備(不図示)と連動して水が供給されるようになっている。そして、流路管60内に水が供給されることにより、噴射口62から水が噴射される。なお、スプリンクラー設備は、鉄骨梁10の近傍にあってもよいし、鉄骨梁10から離れた場所(例えば階下の部屋)にあってもよい。
噴射口62から噴射された水は、第1実施形態と同様に多孔質体40の毛細管現象によって貫通孔18の周囲に運ばれる(移動する)。このとき、熱によって水が気化する際にウェブ16から熱を奪うので、第1実施形態と同様に、ウェブ16の温度が上昇することを抑制することができる。なお、図12に耐火被覆材30を施した形状は、図8とほぼ同様であるので説明を省略する。
この第2実施形態においても、貫通孔18の小口面18aに耐火被覆材30を形成せずに、ウェブ16の温度の上昇を抑制することが可能である。つまり、耐火性能を確保しつつ、貫通孔18の有効径Dを比較例(H/2−2d)よりも大きくすることができる。なお、第1実施形態で説明したように、第2実施形態においても貫通孔18の小口面18aに、厚さdよりも薄く耐火被覆材30を形成するようにしてもよい。この場合、耐火性能をさらに高めることができる。
このように第2実施形態では、消火用のスプリンクラー設備の動作と連動して流路管60に水が供給され、噴射口62から噴射されるようになっている。そして、噴射口62から噴射された水は、第1実施形態と同様に、多孔質体40に案内されて貫通孔18の周囲に運ばれる。そして、その水が温度の上昇により気化する際に周囲(具体的にはウェブ16)から熱を奪うので、小口面18aに耐火被覆材30を設けていなくても、ウェブ16の温度上昇を抑えることができる。よって、耐火性能を確保しつつ、貫通孔18の有効径Dを比較例よりも大きくすることができる。
なお、本実施形態ではスプリンクラー設備と連動して流路管60に水が供給されるようになっているがこれには限られない。例えば、鉄骨梁10の温度を測定するセンサーと、センサーの測定結果が所定温度を超えた場合に流路管60に水を流すような制御機構を設けるようにしてもよい。また、上記のセンサーを鉄骨梁10とは別の場所(例えば階下の部屋)に設けて、その温度の測定結果に基づいて鉄骨梁10の流路管60に水を流すようにしてもよい。
===その他の実施形態について===
上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
<鉄骨梁について>
前述の実施形態では、構造部材を鉄骨梁10としたが、これに限らず、表面を耐火被覆しなければならず、且つ、貫通孔を有する構造部材であれば構わない。例えば、ステンレスやアルミニウム合金などの金属材料を用いた他の耐火被覆構造部材にも適用可能である。また、前述の実施形態では、構造部材(鉄骨梁10)の形状をH形としたが、これに限らず、I形やT形であってもよい。
<耐火被覆材について>
前述の実施形態では、耐火被覆材30を吹付ロックウールとしたが、これに限らず、セラミック系や石膏系などの他の耐火被覆材料や、フェルト状材料の巻付け工法や左官塗り工法など吹付け以外の施工方法による耐火被覆材であってもよい。
<貫通孔について>
前述の実施形態では、貫通孔18の形状は円形であったがこれには限られない。例えば、楕円であってもよいし、多角形であってもよい。また、前述の実施形態では鉄骨梁10に形成された貫通孔18の数は1つであったがこれに限らず、貫通孔18が複数形成されていてもよい。この場合、各貫通孔18に対して、それぞれ給水機構(例えば、多孔質体40と水パック50)を設けるようにすればよい。
<多孔質体について>
前述の実施形態では、多孔質体40は貫通孔18の周囲を囲むように環状に配置されていたが、これには限られない。例えば、貫通孔18の周囲を囲む矩形状に多孔質体40を配置してもよい。また多孔質体40は必ずしもひと繋がりになっている必要は無く、複数の断片に分かれていても構わない。
10 鉄骨梁
12 フランジ
14 フランジ
16 ウェブ
16a (ウェブ)表面
16b (ウェブ)表面
18 貫通孔
18a 小口面
20 スラブ
30 耐火被覆材
40 多孔質体
50 水パック
60 流路管
62 噴射口

Claims (5)

  1. 構造物用の構造部材であって、所定方向の一方側の表面から他方側の表面まで貫通する貫通孔が形成された構造部材と、
    前記構造部材に施された耐火被覆材であって、前記貫通孔の小口面における厚さが、他の部位における厚さ未満となるように形成された耐火被覆材と、
    前記一方側の表面と前記他方側の表面の少なくとも一方に設けられ、前記貫通孔の周囲に水を供給する給水機構と、
    を備え、
    前記給水機構は、
    材料組成中に結晶水や自由水として前記水を含む材料、あるいは液体として前記水を収容した収容体と、
    前記材料あるいは前記収容体から放出された水を取り込んで、前記貫通孔の周囲に案内する多孔質体と、
    を有し、
    前記構造部材はフランジとウェブとを備え、
    前記材料あるいは前記収容体は、前記フランジと前記ウェブの入隅部に設けられていることを特徴とする耐火構造。
  2. 請求項1に記載の耐火構造であって、
    前記多孔質体は、前記貫通孔を囲むように設けられ、
    前記材料あるいは前記収容体は、前記多孔質体と前記フランジとの間に設けられていることを特徴とする耐火構造。
  3. 構造物用の構造部材であって、所定方向の一方側の表面から他方側の表面まで貫通する貫通孔が形成された構造部材と、
    前記構造部材に施された耐火被覆材であって、前記貫通孔の小口面における厚さが、他の部位における厚さ未満となるように形成された耐火被覆材と、
    前記一方側の表面と前記他方側の表面の少なくとも一方に設けられ、前記貫通孔の周囲に水を供給する給水機構と、
    を備え、
    前記給水機構は、
    前記水を噴射する噴射口が形成された前記水の流路管と、
    前記噴射口から噴射された水を取り込んで、前記貫通孔の周囲に案内する多孔質体と、
    を有し、
    前記構造部材はフランジとウェブとを備え、
    前記流路管は、前記フランジと前記ウェブの入隅部に設けられていることを特徴とする耐火構造。
  4. 請求項3に記載の耐火構造であって、
    消火用のスプリンクラーと連動して、前記流路管の前記噴射口から前記水が噴射される、
    ことを特徴とする耐火構造。
  5. 請求項3又は請求項4に記載の耐火構造であって、
    前記多孔質体は、前記貫通孔を囲むように設けられ、
    前記流路管は、前記多孔質体と前記フランジとの間に設けられていることを特徴とする耐火構造。
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