JP5987517B2 - 耐火構造 - Google Patents
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前記構造部材に施された耐火被覆材であって、前記貫通孔の小口面における厚さが、他の部位における厚さ未満となるように形成された耐火被覆材と、
前記一方側の表面と前記他方側の表面の少なくとも一方に設けられ、前記貫通孔の周囲に水を供給する給水機構と、
を備え、
前記吸水機構は、
材料組成中に結晶水や自由水として前記水を含む材料、あるいは液体として前記水を収容した収容体と、
前記材料あるいは前記収容体から放出された水を取り込んで、前記貫通孔の周囲に案内する多孔質体と、
を有し、
前記構造部材はフランジとウェブとを備え、
前記材料あるいは前記収容体は、前記フランジと前記ウェブの入隅部に設けられていることを特徴とする。
このような耐火構造によれば、耐火性能を確保しつつ貫通孔の有効径を拡大することが可能である。また、火災時に、自動的に貫通孔の周りに水を供給することができる。これにより構造部材の温度の上昇を抑えることが可能である。
かかる耐火構造であって、前記多孔質体は、前記貫通孔を囲むように設けられ、
前記材料あるいは前記収容体は、前記多孔質体と前記フランジとの間に設けられていることとしてもよい。
前記構造部材に施された耐火被覆材であって、前記貫通孔の小口面における厚さが、他の部位における厚さ未満となるように形成された耐火被覆材と、
前記一方側の表面と前記他方側の表面の少なくとも一方に設けられ、前記貫通孔の周囲に水を供給する給水機構と、
を備え、
前記吸水機構は、
前記水を噴射する噴射口が形成された前記水の流路管と、
前記噴射口から噴射された水を取り込んで、前記貫通孔の周囲に案内する多孔質体と、
を有し、
前記構造部材はフランジとウェブとを備え、
前記流路管は、前記フランジと前記ウェブの入隅部に設けられていることを特徴とする。
このような耐火構造によれば、耐火性能を確保しつつ貫通孔の有効径を拡大することが可能である。また、流路管に水を流して噴射口から噴射させることで貫通孔の周りに水を供給することができる。これにより構造部材の温度の上昇を抑えることが可能である。
このような耐火構造によれば、火災の際に自動的に噴射口から水を噴射させることが可能である。
かかる耐火構造であって、前記多孔質体は、前記貫通孔を囲むように設けられ、
前記流路管は、前記多孔質体と前記フランジとの間に設けられていることとしてもよい。
なお、以下の実施形態では、本発明の耐火構造を鉄骨梁(以下鉄骨梁10とする)に適用した場合について説明する。
<<鉄骨梁の構成について>>
図1は、本実施形態における鉄骨梁10の側面図である。また、図2は、図1のA−A断面図であり、図3は鉄骨梁10の斜視図である。なお、各図に示すように方向を定めている。また、図1では鉄骨梁10の上に鉄筋コンクリート造のスラブ20が形成されている。図に示すように、鉄骨梁10は、断面がH形の鉄製の構造部材であり、フランジ12、14とウェブ16を有する。
前述した鉄骨梁10に対して、耐火性能を向上させるため、表面に規定の厚さの耐火被覆材を施すことが建設基準法で定められている。例えば、耐火被覆材が吹付けロックウールの場合、1時間耐火では25mm、2時間耐火では45mm、3時間耐火では60mmと厚さが定められている。
図4は、比較例における耐火構造を示す図である。図において鉄骨梁10の表面には、耐火被覆材30(例えば吹付けロックウール)が規定厚さdで施されている。また、図に示すように、この比較例では貫通孔18の小口面18aにも厚さdの耐火被覆材30が形成されている。このため貫通孔18の実質的な有効径Dは、H/2−2dとなっている。
図6は、第1実施形態における耐火構造の構成を説明するための側面図である。また、図7は、図6のA−A断面図である。なお、これらの図は、耐火被覆材30が施される前の状態を示した図であり、図において図1、図2と同一構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
図10は第1実施形態の耐火構造の施工方法の一例を示すフロー図である。
まず、工場においてウェブ16に貫通孔18を形成した鉄骨梁10の製作を行ない(S101)、製作した鉄骨梁10を建設現場に運搬する(S102)。そして、建設現場にて主要な構造部材(柱や鉄骨梁10)の建て方(組み立て)を行う(S103)。
前述の実施形態では、ウェブ16の幅方向の両面(表面16a、表面16b)に、多孔質体40と水パック50をそれぞれ設けていたが、ウェブ16の片面(表面16aと表面16bの何れか一方)に多孔質体40と水パック50を設けるようにしてもよい。
第2実施形態では、貫通孔18の周囲に水を供給するための構成が第1実施形態と異なっている。
流路管60は、水の流路を形成する部材(例えば、ホース)であり、ウェブ16の幅方向の両面(表面16a及び表面16b)の各フランジ近傍において、左右方向に沿って配設されている。また、流路管60には多孔質体40に向けて水を噴射する噴射口62が設けられている。なお、第2実施形態において、流路管60、噴射口62、多孔質体40は給水機構に相当する。
上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
前述の実施形態では、構造部材を鉄骨梁10としたが、これに限らず、表面を耐火被覆しなければならず、且つ、貫通孔を有する構造部材であれば構わない。例えば、ステンレスやアルミニウム合金などの金属材料を用いた他の耐火被覆構造部材にも適用可能である。また、前述の実施形態では、構造部材(鉄骨梁10)の形状をH形としたが、これに限らず、I形やT形であってもよい。
前述の実施形態では、耐火被覆材30を吹付ロックウールとしたが、これに限らず、セラミック系や石膏系などの他の耐火被覆材料や、フェルト状材料の巻付け工法や左官塗り工法など吹付け以外の施工方法による耐火被覆材であってもよい。
前述の実施形態では、貫通孔18の形状は円形であったがこれには限られない。例えば、楕円であってもよいし、多角形であってもよい。また、前述の実施形態では鉄骨梁10に形成された貫通孔18の数は1つであったがこれに限らず、貫通孔18が複数形成されていてもよい。この場合、各貫通孔18に対して、それぞれ給水機構(例えば、多孔質体40と水パック50)を設けるようにすればよい。
前述の実施形態では、多孔質体40は貫通孔18の周囲を囲むように環状に配置されていたが、これには限られない。例えば、貫通孔18の周囲を囲む矩形状に多孔質体40を配置してもよい。また多孔質体40は必ずしもひと繋がりになっている必要は無く、複数の断片に分かれていても構わない。
12 フランジ
14 フランジ
16 ウェブ
16a (ウェブ)表面
16b (ウェブ)表面
18 貫通孔
18a 小口面
20 スラブ
30 耐火被覆材
40 多孔質体
50 水パック
60 流路管
62 噴射口
Claims (5)
- 構造物用の構造部材であって、所定方向の一方側の表面から他方側の表面まで貫通する貫通孔が形成された構造部材と、
前記構造部材に施された耐火被覆材であって、前記貫通孔の小口面における厚さが、他の部位における厚さ未満となるように形成された耐火被覆材と、
前記一方側の表面と前記他方側の表面の少なくとも一方に設けられ、前記貫通孔の周囲に水を供給する給水機構と、
を備え、
前記給水機構は、
材料組成中に結晶水や自由水として前記水を含む材料、あるいは液体として前記水を収容した収容体と、
前記材料あるいは前記収容体から放出された水を取り込んで、前記貫通孔の周囲に案内する多孔質体と、
を有し、
前記構造部材はフランジとウェブとを備え、
前記材料あるいは前記収容体は、前記フランジと前記ウェブの入隅部に設けられていることを特徴とする耐火構造。 - 請求項1に記載の耐火構造であって、
前記多孔質体は、前記貫通孔を囲むように設けられ、
前記材料あるいは前記収容体は、前記多孔質体と前記フランジとの間に設けられていることを特徴とする耐火構造。 - 構造物用の構造部材であって、所定方向の一方側の表面から他方側の表面まで貫通する貫通孔が形成された構造部材と、
前記構造部材に施された耐火被覆材であって、前記貫通孔の小口面における厚さが、他の部位における厚さ未満となるように形成された耐火被覆材と、
前記一方側の表面と前記他方側の表面の少なくとも一方に設けられ、前記貫通孔の周囲に水を供給する給水機構と、
を備え、
前記給水機構は、
前記水を噴射する噴射口が形成された前記水の流路管と、
前記噴射口から噴射された水を取り込んで、前記貫通孔の周囲に案内する多孔質体と、
を有し、
前記構造部材はフランジとウェブとを備え、
前記流路管は、前記フランジと前記ウェブの入隅部に設けられていることを特徴とする耐火構造。 - 請求項3に記載の耐火構造であって、
消火用のスプリンクラーと連動して、前記流路管の前記噴射口から前記水が噴射される、
ことを特徴とする耐火構造。 - 請求項3又は請求項4に記載の耐火構造であって、
前記多孔質体は、前記貫通孔を囲むように設けられ、
前記流路管は、前記多孔質体と前記フランジとの間に設けられていることを特徴とする耐火構造。
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