JP2018059401A - コンクリート充填鋼管柱の耐火補強方法 - Google Patents

コンクリート充填鋼管柱の耐火補強方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、コンクリート充填鋼管柱の耐火性能を向上させることを目的とする。【解決手段】コンクリート充填鋼管柱の耐火補強方法は、コンクリート充填鋼管柱10に接合されると共に、吹付けロックウール40で耐火被覆された上側鉄骨梁16を、吹付けロックウール40の上から巻き付け系耐火被覆材50でさらに耐火被覆する。【選択図】図1

Description

本発明は、コンクリート充填鋼管柱の耐火補強方法に関する。
鋼管柱内にコンクリートが充填されたコンクリート充填鋼管(CFT(Concrete Filled Steel Tube))柱が知られている(例えば、特許文献1参照)。CFT柱は、鋼管柱内にコンクリートが充填されている分、中空の鋼管柱と比較して熱容量が大きく、耐火性能に優れている。したがって、設計条件によってはCFT柱の耐火被覆を省略することが可能である。
特開平10−204993号公報
ところで、例えば、設計変更等によりCFT柱に求められる耐火性能(要求耐火性能)が高くなる可能性がある。
本発明は、上記の事実を考慮し、コンクリート充填鋼管柱の耐火性能を向上させることを目的とする。
第1態様に係るコンクリート充填鋼管柱の耐火補強構造は、コンクリート充填鋼管柱と、前記コンクリート充填鋼管柱に接合されると共に、耐火被覆された鉄骨梁と、耐火被覆された前記鉄骨梁をさらに耐火被覆する後施工耐火被覆材と、を備えている。
第1態様に係るコンクリート充填鋼管柱の耐火補強構造によれば、耐火被覆された鉄骨梁を後施工耐火被覆材によってさらに耐火被覆する。
ここで、火災時における鉄骨梁の材軸方向の伸び出し長さが大きい場合は、コンクリート充填鋼管柱の柱頭部や柱脚部に局部座屈が発生し、コンクリート充填鋼管柱が構造安定性を保持することができなくなることがある。このような鉄骨梁の材軸方向の伸び出し量は、コンクリート充填鋼管柱に求められる要求耐火性能、即ち要求耐火時間が長くなるに従って長くなる。つまり、コンクリート充填鋼管柱に求められる要求耐火性能が高くなると、コンクリート充填鋼管柱の柱頭部等に局部座屈が発生し易くなり、コンクリート充填鋼管柱が構造安定性を保持することができなくなる可能性がある。
一方、要求耐火時間は室内の可燃物量等の条件により決まるため、用途変更やプラン変更等の設計変更があると、要求耐火時間は当初設定した時間よりも長くなることがある。これによってコンクリート充填鋼管柱が要求耐火時間に対して必要な耐火性能を満足できなくなることがある。
そこで、本発明では、耐火被覆された鉄骨梁を後施工耐火被覆材によってさらに耐火被覆する。これにより、火災時における鉄骨梁の温度上昇が抑制され、当該鉄骨梁の材軸方向の伸び出し量が低減される。この結果、コンクリート充填鋼管柱の柱頭部等に発生する局部座屈が抑制される。したがって、コンクリート充填鋼管柱の耐火性能が向上する。
また、コンクリート充填鋼管柱に対して直接的に耐火被覆を施す場合は、耐火被覆を含めたコンクリート充填鋼管柱の柱断面積が増加する。これに対して本発明では、コンクリート充填鋼管柱に直接的に耐火被覆を施さずに、即ち、コンクリート充填鋼管柱の柱断面積を増加させずに、当該コンクリート充填鋼管柱の耐火性能を向上することができる。
また、本発明は、施工上の理由等によりコンクリート充填鋼管柱に耐火補強を施すことが困難な場合にも有効である。
第2態様に係るコンクリート充填鋼管柱の耐火補強構造は、第1態様に係るコンクリート充填鋼管柱の耐火補強構造において、前記後施工耐火被覆材が、前記鉄骨梁を耐火被覆する既存の既存耐火被覆材と異種の耐火被覆材である。
第2態様に係るコンクリート充填鋼管柱の耐火補強構造によれば、後施工耐火被覆材として、既存耐火被覆材とは異種の耐火被覆材を用いることで、施工性を高めることができる。例えば、鉄骨梁を耐火被覆する既存耐火被覆材としての吹付けロックウールの上から、後施工耐火被覆材としての巻き付け系の耐火被覆材やボード系の耐火被覆材を後施工により耐火被覆することが考えられる。
第3態様に係るコンクリート充填鋼管柱の耐火補強構造は、第1態様又は第2態様に係るコンクリート充填鋼管柱の耐火補強構造において、前記鉄骨梁が、前記コンクリート充填鋼管柱の片側に接合されている。
第3態様に係るコンクリート充填鋼管柱の耐火補強構造によれば、建物の外周に配置されるコンクリート充填鋼管柱では、例えば、梁間方向の鉄骨梁が柱頭部側の仕口部の片側に接合される。そのため、コンクリート充填鋼管柱の柱頭部側の仕口部の両側に一対の鉄骨梁が接合された構成と比較して、鉄骨梁の材軸方向への伸び出し量が大きくなり、コンクリート充填鋼管柱に作用する曲げモーメントが大きくなる。この結果、コンクリート充填鋼管柱の柱頭部や柱脚部に局部座屈が発生し易くなる。
本発明では、前述のようにコンクリート充填鋼管柱の片側に接合された鉄骨梁を後施工耐火被覆材によってさらに耐火被覆することにより、コンクリート充填鋼管柱の耐火性能を効率的に向上することができる。
第4態様に係るコンクリート充填鋼管柱の耐火補強構造は、第3態様に係るコンクリート充填鋼管柱の耐火補強構造において、前記鉄骨梁の材軸方向の長さが、12m以上である。
第4態様に係るコンクリート充填鋼管柱の耐火補強構造によれば、火災時における鉄骨梁の材軸方向の伸び出し量は、鉄骨梁の材軸方向の長さが長くなるに従って増加する。したがって、例えば、材軸方向の長さが12m以上の鉄骨梁を後施工耐火被覆材によって耐火被覆することにより、コンクリート充填鋼管柱の耐火性能を効率的に向上することができる。
以上説明したように、本発明によれば、コンクリート充填鋼管柱の耐火性能を向上させることができる。
本発明の一実施形態に係るコンクリート充填鋼管柱の耐火補強構造が適用されたコンクリート充填鋼管柱を示す縦断面図である。 図1の2−2線断面図である。 鋼管柱の柱頭部における局部座屈の発生部を示す図2の拡大断面図である。 一般的なコンクリート充填鋼管柱と梁で構成された架構を示す立面図であり、(A)は火災前の状態を示し、(B)は火災後の状態を示している。 一般的なコンクリート充填鋼管柱の耐火性能評価に用いられる実験評価モデルを示すモデル図であり、(A)は水平力を載荷する前の状態を示し、(B)は水平力が載荷された際のコンクリート充填鋼管柱の変形状態、及び応力状態を示し、(C)はコンクリート充填鋼管柱を構成する鋼管柱に局部座屈が発生した状態を示している。 (A)は図1に示されるコンクリート充填鋼管柱の柱頭部の横断面図であり、(B)は図1に示されるコンクリート充填鋼管柱の変形例を示す図6(A)に相当する横断面図である。 本発明の一実施形態に係るコンクリート充填鋼管柱の耐火補強構造の変形例を示す図2に相当する断面図である。 本発明の一実施形態に係るコンクリート充填鋼管柱の耐火補強構造の変形例を示す図2に相当する断面図である。 本発明の一実施形態に係るコンクリート充填鋼管柱の耐火補強構造の変形例を示す図2に相当する断面図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係るコンクリート充填鋼管柱の耐火補強構造について説明する。なお、各図において適宜示される矢印Zは、鋼管柱の材軸方向(上下方向)を示している。
図1には、一例として、本実施形態に係るコンクリート充填鋼管柱の耐火補強構造(以下、単に「耐火補強構造」という)30が適用された既存のコンクリート充填鋼管柱10が示されている。コンクリート充填鋼管柱10は、鋼管柱12と、鋼管柱12内に充填された充填コンクリート14とを備え、耐火被覆が施されていない無耐火被覆とされている。鋼管柱12は角形鋼管で形成されており、上下の仕口部としての上仕口部12U及び下仕口部12Lと、これらの上仕口部12Uと下仕口部12Lとの間に延びる鋼管本体部12Bとを有している。
上仕口部12Uには、当該上仕口部12Uを補強する上下一対のダイアフラムとしての上下一対の内ダイアフラム18が設けられている。上下一対の内ダイアフラム18は、平面視にて矩形の鋼板で形成されている。これら上下一対の内ダイアフラム18は、上下方向(鋼管柱12の材軸方向)に対向して配置されており、各々の外周部が上仕口部12Uの内側面に溶接等で接合されている。
また、各内ダイアフラム18の中央部には充填孔18Aがそれぞれ形成されており、これらの充填孔18Aを通して鋼管柱12内に充填コンクリート14が充填されるようになっている。なお、上仕口部12Uと同様に、下仕口部12Lの内部には、上下一対のダイアフラムとしての上下一対の内ダイアフラム18が設けられている。
上仕口部12U及び下仕口部12Lの片側には、鉄骨梁としての既存の上側鉄骨梁16及び下側鉄骨梁17がそれぞれ接合されている。なお、上側鉄骨梁16と下側鉄骨梁17とは同じ構成であるため、以下、上側鉄骨梁16の構成について詳説し、下側鉄骨梁17の構成については説明を適宜省略する。
上側鉄骨梁16はH形鋼で形成されており、上下一対の上側フランジ部16A及び下側フランジ部16Bと、これらの上側フランジ部16Aと下側フランジ部16Bとを繋ぐウェブ部16Cとを有している。上側鉄骨梁16の材軸方向の端部は、その上下一対の上側フランジ部16A及び下側フランジ部16Bが上下一対の内ダイアフラム18とそれぞれ連続するように上仕口部12Uの外側面に突き当てられ、溶接によって接合されている。また、上側鉄骨梁16の上には、鉄筋コンクリート製のスラブ20が構築されている。上側鉄骨梁16と同様に、下側鉄骨梁17はH形鋼で形成されており、上下一対の上側フランジ部17A及び下側フランジ部17Bと、これらの上側フランジ部17Aと下側フランジ部17Bとを繋ぐウェブ部17Cとを有している。
図2に示されるように、上側鉄骨梁16は、既存耐火被覆材としての吹付けロックウール40、及び後施工耐火被覆材としての巻き付け系耐火被覆材50によって耐火被覆されている。吹付けロックウール40は、上側鉄骨梁16の新設時に、当該上側鉄骨梁16及びコンクリート充填鋼管柱10等の要求耐火性能に応じて施工されたものであり、上側鉄骨梁16の上面を除く略全面を被覆している。
一方、巻き付け系耐火被覆材50は、吹付けロックウール40の施工後の設計変更(例えば、用途変更やプラン変更等)等により、コンクリート充填鋼管柱10の要求耐火性能が高くなったときに、当該要求耐火性能に応じて吹付けロックウール40の上から上側鉄骨梁16に巻き付けられたものである。つまり、巻き付け系耐火被覆材50は、設計変更等によって高くなったコンクリート充填鋼管柱10の要求耐火性能を満たすように、後施工によって既存の吹付けロックウール40の上から上側鉄骨梁16をさらに耐火被覆するものである。
巻き付け系耐火被覆材50は、ロックウール等をシート状に成形した巻き付け式の耐火被覆材で形成されている。この巻き付け系耐火被覆材50は、スラブ20側が開口された断面略U字形状に屈曲され、吹付けロックウール40の上から上側鉄骨梁16に巻き付けられている。この巻き付け系耐火被覆材50の両側の側部50Aと吹付けロックウール40との間には、空間Sがそれぞれ形成されている。また、巻き付け系耐火被覆材50の上端部50Bは、スラブ20の下面に沿って外側へ屈曲されており、固定ビス52によってスラブ20の下面に固定されている。さらに、巻き付け系耐火被覆材50の底部50Cは、当該底部50C及び吹付けロックウール40を貫通する固定ピン54によって上側鉄骨梁16の下側フランジ部16Bに固定されている。
次に、本実施形態の作用について説明する。
図1に示されるように、例えば、火災時に上側鉄骨梁16が熱膨張によって材軸方向(水平方向、矢印S方向)へ伸張すると、上仕口部12Uに水平力Fが作用し、鋼管本体部12Bに曲げモーメントMが発生する。この曲げモーメントMは、鋼管本体部12Bにおける材軸方向の中間部12BMから材軸方向の柱頭部12BU及び柱脚部12BLの各々に向って徐々に大きくなる。
一方、鋼管柱12は、火災時の熱膨張によって材軸方向(矢印Z方向)へ伸張するが、温度上昇に伴う剛性の低下によって材軸方向への伸張は徐々に小さくなり、ある温度に達すると材軸方向への伸張変形は止まり、収縮変形に転じる。この状態で、上側鉄骨梁16から上仕口部12Uへ水平力Fが作用すると、前述したように中間部12BMと比較して大きな曲げモーメントMが発生する鋼管本体部12Bの柱頭部12BU及び柱脚部12BLの圧縮側(矢印C側)の側壁部12S1,12S2に局部座屈Kが発生し易くなる。特に、柱頭部12BUが上仕口部12Uを介して上側鉄骨梁16に剛接合されると共に柱脚部12BLが下仕口部12Lを介して下側鉄骨梁17に剛接合されていて、かつ、上側鉄骨梁16の材軸方向への伸張量(伸び出し量)が大きい場合は、柱頭部12BU及び柱脚部12BLに大きな曲率を伴う変形が生じる。この変形によって柱頭部12BU及び柱脚部12BLの圧縮側(矢印C側)の側壁部12S1,12S2に大きな圧縮応力度が発生すると、当該側壁部12S1,12S2が面外方向外側へ変位する(はらみ出す)局部座屈Kが生じる。
柱頭部12BU又は柱脚部12BLに局部座屈Kが発生すると、コンクリート充填鋼管柱10の曲げ剛性は著しく低下する。また、柱頭部12BUにおける局部座屈Kの発生部では、図3に示されるように、充填コンクリート14を拘束していた柱頭部12BUの圧縮側の側壁部12S1が外側へ膨らみ、充填コンクリート14と側壁部12S1との間に隙間Wが形成される。この結果、局部座屈Kの発生部では、充填コンクリート14に対する側壁部12S1の拘束力(拘束効果)が得られなくなり、当該充填コンクリート14の圧縮側縁(外周部)14Sが圧壊し易くなる。
そして、充填コンクリート14の圧縮側縁14Sが圧壊すると、コンクリート充填鋼管柱10の材軸方向変位が急増すると共に、この材軸方向変位の急増に伴って充填コンクリート14の圧縮側縁14Sの圧壊がさらに進展し、コンクリート充填鋼管柱10が構造安定性を保持することができなくなる可能性がある。
なお、ここでいう「コンクリート充填鋼管柱10が構造安定性を保持することができなくなる」とは、例えば、コンクリート充填鋼管柱10の鉛直方向変位(材軸方向)が過大になる、あるいは、鉛直方向変位が急激に増加するなどして、長期軸力を保持することができない状態を意味する。また、説明を省略するが、コンクリート充填鋼管柱10の柱脚部12BLに局部座屈Kが発生した場合も同様である。
ここで、前述した上側鉄骨梁16の材軸方向の伸び出し量は、コンクリート充填鋼管柱10に求められる要求耐火性能、即ち要求耐火時間が長くなるに従って長くなる。この要求耐火時間は、室内の可燃物量等の条件により決まるため、室内の用途変更やプラン変更等の設計変更があると、要求耐火時間が当初(新設時)設定した時間よりも長くなり、コンクリート充填鋼管柱10が要求耐火時間に対して必要な耐火性能を満足できなくなることがある。つまり、設計変更によって、コンクリート充填鋼管柱10に求められる要求耐火性能が高くなると、コンクリート充填鋼管柱10の柱頭部12BUや柱脚部12BLに局部座屈Kが発生し易くなり、コンクリート充填鋼管柱10が構造安定性を保持することができなくなる可能性がある。
これに対して本実施形態では、図1及び図2に示されるように、設計変更等により高くなったコンクリート充填鋼管柱10の要求耐火性能を満たすように、既存の吹付けロックウール40の上から巻き付け系耐火被覆材50によって上側鉄骨梁16がさらに耐火被覆されている。これにより、火災時における上側鉄骨梁16の温度上昇がさらに抑制され、当該上側鉄骨梁16の材軸方向の伸び出し量が低減される。この結果、柱頭部12BUや柱脚部12BLの圧縮側の側壁部12S1,12S2に発生する局部座屈Kが抑制される。したがって、コンクリート充填鋼管柱10の耐火性能が向上する。
また、吹き付けロックウールや巻き付け系耐火被覆材等の耐火被覆材によってコンクリート充填鋼管柱10を直接的に耐火被覆し、当該コンクリート充填鋼管柱10の耐火性能を高めることが考えられるが、この場合、耐火被覆材を含めたコンクリート充填鋼管柱10の柱断面積が増加してしまう。
これに対して本実施形態では、コンクリート充填鋼管柱10を直接的に耐火被覆せずに、巻き付け系耐火被覆材50によって上側鉄骨梁16を耐火被覆することにより、コンクリート充填鋼管柱10の耐火性能を間接的に高めている。そのため、コンクリート充填鋼管柱10の柱断面積を増加させずに、コンクリート充填鋼管柱10の耐火性能を高めることができる。さらに、本実施形態は、施工上の理由等によりコンクリート充填鋼管柱10を直接的に耐火被覆することが困難な場合にも有効である。
さらに、後施工耐火被覆材として、既存の吹付けロックウール40とは異種の巻き付け系耐火被覆材50を用いることにより、上側鉄骨梁16を容易に耐火被覆することができる。したがって、施工性が向上する。
ここで、図4(A)には、一般的なコンクリート充填鋼管柱からなる柱100と梁102A,102Bとで構成された架構の一例が示されている。この架構内において、例えば図4(B)に示されるように火災104が発生すると、梁102Aが材軸方向(矢印J方向)に伸び出すため、柱100に同図に示されるような変形が生じる。
また、図5(A)には、一般的なコンクリート充填鋼管柱からなる柱110の耐火性能評価に用いられる実験評価モデルが示されている。この実験評価モデルでは、加熱時に、図5(B)に示されるような変形状態、応力状態を示すことから、図4(B)に示される柱100の変形状態、応力状態を適切に模擬することができると言われている。そこで、図5(A)に示される実験評価モデルを用いて載荷加熱実験を行ったところ、以下に示す新たな知見が得られた。
即ち、加熱された柱110の上端部に生じる水平変位(水平力F)が大きい場合や柱110に生じる軸力(長期軸力)Vが大きい場合は、図5(C)に示されるように、柱110を構成する鋼管柱の柱頭部及び柱脚部に局部座屈Kが生じることが確認された。また、加熱時間が比較的短く、柱110の充填コンクリートが十分耐力を残している状態であっても、柱110は前述した柱頭部及び柱脚部の局部座屈Kによって荷重支持能力を喪失し、構造安定性を保持することができなくなることが確認された。
この局部座屈Kは、上側鉄骨梁16の材軸方向の伸び出し量が大きいほど、言い換えれば、上側鉄骨梁16の梁長が長くなる程、生じ易いことがわかっている。
ここで、例えば、図6(A)に示されるように、外周柱である鋼管柱12の上仕口部12Uの矢印Y方向(桁行方向)の両側に上側鉄骨梁16(以下、「上側鉄骨梁16Y」という)が接合され、矢印X方向(梁間方向)には、上仕口部12Uの片側にのみ上側鉄骨梁16(以下、「上側鉄骨梁16X」という)が接合されている場合、矢印Y方向(桁行方向)の上側鉄骨梁16Yは梁長があまり長くならず、矢印X方向(梁間方向)の上側鉄骨梁16Xの梁長を長く計画することが一般的であり、火災時には柱頭部12BUの圧縮側の側壁部12S1に局部座屈Kが発生する可能性が高い。
また、上仕口部12Uに水平二方向から複数の上側鉄骨梁16X,16Yが接合されている場合、当該上仕口部12Uの片側に接合された既存の上側鉄骨梁16Xをさらに巻き付け系耐火被覆材50で耐火被覆することにより、鋼管本体部12Bの柱頭部12BU及び柱脚部12BLに発生する局部座屈Kを効率的に抑制することができる。
特に、上仕口部12Uに片側に接合された上側鉄骨梁16Xの材軸方向の長さ(梁スパン)が長くなると、火災時における上側鉄骨梁16Xの伸長量が増加し、鋼管本体部12Bの柱頭部12BUの水平変位(強制変形)が大きくなる可能性がある。
例えば、火災時の上側鉄骨梁16Xの温度が500℃、かつコンクリート充填鋼管柱10の柱長さ(鋼管本体部12Bの材軸方向の長さ)が4mの場合、上側鉄骨梁16Xの材軸方向の長さが12m以上になると、コンクリート充填鋼管柱10の部材角が1/50rad以上となる可能性が高い。なお、上側鉄骨梁16Xの材軸方向の伸び出し量は、当該上側鉄骨梁16Xが12μ/℃で自由膨張するものとし、かつ、上側鉄骨梁16Yの伸び出し分の影響を考慮した計算としている。したがって、材軸方向の長さが12m以上の上側鉄骨梁16Xを巻き付け系耐火被覆材50によってさらに耐火被覆することにより、コンクリート充填鋼管柱10の耐火性能を効率的に向上することができる。
また、図6(B)に示されるように、矢印X方向及び矢印Y方向の何れの方向においても上仕口部12Uの片側にのみ上側鉄骨梁16X,16Yが接合されている場合は、上側鉄骨梁16Yの伸び出し量も大きくなるため、上側鉄骨梁16X,16Yの各々を巻き付け系耐火被覆材50によってさらに耐火被覆しても良い。なお、上仕口部12Uの片側に上側鉄骨梁16が接合される柱(コンクリート充填鋼管柱10)としては、構造物の外周柱や吹き抜けを囲む内柱等が挙げられる。
次に、上記実施形態の変形例について説明する。
上記実施形態では、既存耐火被覆材としての吹付けロックウール40の上から後施工耐火被覆材としての巻き付け系耐火被覆材50によって上側鉄骨梁16をさらに耐火被覆した例を示したが、これに限らない。既存耐火被覆材と後施工耐火被覆材との組み合わせは適宜変更可能である。
例えば、図7に示される変形例では、既存耐火被覆材として、耐火塗料42が用いられている。この耐火塗料42は、上側鉄骨梁16の上面を除く略全面に塗布されている。この耐火塗料42の上から、後施工によって巻き付け系耐火被覆材50が上側鉄骨梁16に巻き付けられている。つまり、既存の耐火塗料42の上から、当該耐火塗料42と異種の巻き付け系耐火被覆材50によって上側鉄骨梁16がさらに耐火被覆されている。
また、例えば、図8に示される変形例では、既存耐火被覆材として、巻き付け系耐火被覆材44が用いられている。巻き付け系耐火被覆材44は、巻き付け系耐火被覆材50と同様の構成とされており、スラブ20の下面に沿って外側へ屈曲された上端部44Bが固定ビス52によってスラブ20の下面に固定されている。なお、巻き付け系耐火被覆材44の両側の側部44Aと上側鉄骨梁16のウェブ部16Cとの間には、空間Sがそれぞれ形成されている。
この巻き付け系耐火被覆材44の上から、後施工によって巻き付け系耐火被覆材44と同種の巻き付け系耐火被覆材50が上側鉄骨梁16に巻き付けられている。つまり、既存の巻き付け系耐火被覆材44の上から、当該巻き付け系耐火被覆材44と同種の巻き付け系耐火被覆材50によって上側鉄骨梁16がさらに耐火被覆されている。このように、既存耐火被覆材及び後施工耐火被覆材には、同種の耐火被覆材を用いることも可能である。なお、巻き付け系耐火被覆材50の底部50Cは、当該底部50C及び巻き付け系耐火被覆材44の底部44Cを貫通する固定ピン54によって上側鉄骨梁16の下側フランジ部16Bに固定されている。
さらに、後施工耐火被覆材の施工時に、既存耐火被覆材の一部を除去することも可能である。例えば、図9に示される変形例では、既存耐火被覆材としての吹付けロックウール40の一部(二点鎖線で示される部分)が除去されている。
具体的には、上側鉄骨梁16の下側フランジ部16Bの下面を被覆する吹付けロックウール40の被覆部40A、及び上側フランジ部16A及び下側フランジ部16Bの幅方向の端部よりも外側にある吹付けロックウール40の4つの被覆部40Bが除去されている。このように被覆部40A,40Bが除去された吹付けロックウール40の上から、巻き付け系耐火被覆材50が上側鉄骨梁16に巻き付けられている。そのため、例えば、被覆部40Aが除去された上側鉄骨梁16の下側フランジ部16Bの下面が、巻き付け系耐火被覆材50によって直接的に耐火被覆されている。
このように吹付けロックウール40の被覆部40A,40Bを除去することにより、吹付けロックウール40の上から巻き付け系耐火被覆材50を上側鉄骨梁16に巻き付け易くなる。したがって、巻き付け系耐火被覆材50の施工性が向上する。
また、既存耐火被覆材及び後施工耐火被覆材としては、例えば、前述した吹付けロックウール40及び巻き付け系耐火被覆材50だけなく、吹付けロックウール40以外の吹付け系耐火被覆材、ボード系耐火被覆材、及び耐火塗料等の耐火被覆材を用いることができる。なお、ここでいう吹付けロックウール以外の吹付け系耐火被覆材とは、湿式吹付けロックウール、石膏系の湿式吹付け耐火被覆、セラミック系の湿式耐火被覆等を意味する。また、ボード系耐火被覆材とは、例えば、石膏ボード(強化石膏ボードを含む)、繊維混入けい酸カルシウム板、モルタルボード、ロックウールボード、セラミックファイバーボード、PC板、ALCパネル、押し出し成形セメント板等を意味する。さらに、既存耐火被覆材と後施工耐火被覆材には、前述したように同種の耐火被覆材を用いても良いし、異種の耐火被覆材を用いても良い。
また、上記実施形態では、鋼管柱12を角形鋼管で形成した例を示したが、これに限らない。鋼管柱は、例えば、断面略長方形の角形鋼管でも良いし、断面円形の丸形鋼管でも良い。
また、上記実施形態では、コンクリート充填鋼管柱10を無耐火被覆とした例を示したが、コンクリート充填鋼管柱10にも必要に応じて後施工により耐火被覆を施しても良い。
また、上記実施形態では、上下一対のダイアフラムとして内ダイアフラム18を例に説明したが、これに限らない。上下一対のダイアフラムとしては、例えば、通しダイアフラムや外ダイアフラムを用いても良い。さらに、鋼管柱12には、必要に応じて耐火被覆を施しても良い。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に限定されるものでなく、一実施形態及び各種の変形例を適宜組み合わせて用いても良いし、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
10 コンクリート充填鋼管柱
16 上側鉄骨梁(鉄骨梁)
30 コンクリート充填鋼管柱の耐火補強構造
40 吹付けロックウール(既存耐火被覆材)
42 耐火塗料(既存耐火被覆材)
44 巻き付け系耐火被覆材(既存耐火被覆材)
50 巻き付け系耐火被覆材(後施工耐火被覆材)

Claims (3)

  1. コンクリート充填鋼管柱に接合されると共に、既存耐火被覆材で耐火被覆された鉄骨梁を、前記既存耐火被覆材の上から後施工耐火被覆材でさらに耐火被覆する、
    コンクリート充填鋼管柱の耐火補強方法。
  2. 前記コンクリート充填鋼管柱に求められる要求耐火性能が高くなった場合に、前記鉄骨梁を前記既存耐火被覆材の上から前記後施工耐火被覆材でさらに耐火被覆する、
    請求項1に記載のコンクリート充填鋼管柱の耐火補強方法。
  3. 前記後施工耐火被覆材は、前記既存耐火被覆材と異種の耐火被覆材とされる、
    請求項1又は請求項2に記載のコンクリート充填鋼管柱の耐火補強方法。
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