以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るコンクリート充填鋼管柱の仕上げ構造について説明する。なお、各図において適宜示される矢印X,Yは、本実施形態における鋼管柱の周方向(鋼管柱の側壁の幅方向)をそれぞれ示し、矢印Zは鋼管柱の軸方向(上下方向)を示している。
<第1実施形態>
先ず、第1実施形態について説明する。
図1〜図3には、第1実施形態に係るコンクリート充填鋼管柱の仕上げ構造(耐火被覆構造)が適用されたコンクリート充填鋼管柱10が示されている。このコンクリート充填鋼管柱10は、鋼管柱12と、鋼管柱12に充填される充填コンクリート14とを備えている。
図2に示されるように、鋼管柱12は角形鋼管で構成されており、水平部材としての鉄骨梁16が接合される上下の鋼管仕口部12Aと、これらの鋼管仕口部12A間に延びる鋼管本体部12Bを有している。
鉄骨梁16はH形鋼で構成され、上下一対のフランジ部16Aとフランジ部16Aを繋ぐウェブ部16Bを有し、その端部が鋼管仕口部12Aの外側面に突き当てられて溶接されている。一方、鋼管仕口部12Aの側壁の内面には、上下一対の内ダイアフラム18が設けられている。各内ダイアフラム18は、鉄骨梁16のフランジ部16Aと連続するように設けられており、この内ダイアフラム18によって鋼管仕口部12Aが補強されている。また、各内ダイアフラム18の中央部には充填孔18Aが形成されており、これらの充填孔18Aを通して鋼管柱12内に充填コンクリート14が充填されるようになっている。
上下の鉄骨梁16の間にある鋼管本体部12Bの4つの側壁の外面(以下、「外側面」という)には、複数の補強リブ20がそれぞれ設けられている。補強部材としての補強リブ20は平板状の鋼板で構成され、長手方向を鋼管柱12の軸方向(矢印Z方向)にして配置されると共に、鋼管本体部12Bの略全長に渡って設けられている。また、補強リブ20は、鋼管本体部12Bの1つの外側面に対し、対となるように2本ずつ設けられている。一対の補強リブ20は、図3に示されるように、鋼管柱12の周方向(矢印X方向又は矢印Y方向)に間隔を空けて設けられており、幅方向一端部20A(長手方向に沿った一端部)が鋼管本体部12Bの外側面に突き当てられて溶接、接着剤等で接合されている。これらの補強リブ20によって鋼管本体部12Bの各側壁に面外剛性(図3において、矢印R方向の剛性)が付与されている。なお、鋼管本体部12Bの1つの外側面に対する補強リブ20の本数は2本に限らない。補強リブ20の本数や配置は適宜変更可能である。
また、鋼管本体部12Bの各側壁に設けられた一対の補強リブ20には、複数の取付部材30が取り付けられている。取付部材30は断面C形の軽鉄スタッドで構成され、鋼管本体部12Bを囲むように長手方向を鋼管本体部12Bの周方向(矢印X方向又は矢印Y方向)にして配置されている。また、取付部材30は、鋼管本体部12Bの1つの側壁に対し、鋼管柱12の軸方向に間隔を空けて複数設けられている。各取付部材30は一対の補強リブ20の間に渡されており、補強リブ20の幅方向他端部20Bに溶接、接着剤、又はビス等でそれぞれ固定されている。これらの取付部材30によって耐火ボード40が支持されている。なお、取付部材30の断面形状はC形に限らず、角形等でも良く、またプレート材でも良い。また、取付部材30の材質は、軽鉄に限らず、普通鋼材、ステンレス鋼材等でも良い。
本実施形態では、ボード部材を全て耐火ボード40としている。耐火ボード40は石膏ボードで構成され、鋼管本体部12Bを囲むように当該鋼管本体部12Bの外周に配置されている。各耐火ボード40は、鋼管本体部12Bの各側壁に対向して配置され、隣接する耐火ボード40の幅方向端部同士が略直角に突き当てられている。各耐火ボード40は、鋼管柱12の軸方向に隣接する取付部材30に渡って配置されており、これらの取付部材30にビス42で固定されている。これにより、複数の耐火ボード40によって鋼管柱12を耐火被覆した柱が構成されている。
なお、ビス42に替えて、ドリリングタッピンねじ、ステープル等で耐火ボード40を取付部材30に固定しても良い。また、耐火ボード40は、鋼管柱12の軸方向に複数並べて配置しても良いし、鋼管本体部12Bの側壁の幅方向に複数並べて配置しても良い。
次に、第1実施形態の作用について説明する。
本実施形態に係るコンクリート充填鋼管柱の仕上げ構造によれば、鋼管本体部12Bの外側面に複数の補強リブ20が設けられており、これらの補強リブ20に取付部材30を介して耐火ボード40が支持されている。このように耐火ボード40によって鋼管柱12を耐火被覆することにより、火災時における鋼管本体部12Bの温度上昇が抑制される。また、耐火ボード40を支持する補強リブ20は、鋼管本体部12Bの側壁に面外剛性を付与する補強部材としても機能する。更には、耐火ボード40によって補強リブ20を耐火被覆することで補強リブ20の温度上昇も抑制されるため、鋼管本体部12Bの面外変形に対する補強効果が失われない。従って、火災時に鋼管本体部12Bが加熱され、その側壁が熱劣化等したとしても、当該側壁の局部座屈が抑制される。よって、鋼管本体部12Bの耐火性能が向上する。
また、鋼管柱12の外側面に設けられた補強リブ20に取付部材30を介して耐火ボード40を取り付けたことにより、従来の鉄骨柱の仕上げ構造のように、鉄骨柱120から外側へ離れた位置に立てられた軽鉄スタッド等による下地材122で仕上げボード124を支持する従来の構成(例えば、図9に示す構成)と比較して、耐火ボード40を鋼管本体部12Bに接近させることができる。これにより、耐火ボード40を含めた柱の水平断面積が小さくなるため、室内スペースを広げることができる。更に、鋼管柱120の周りに軽鉄スタッド等による下地材122を立てる作業を省略できるため、従来の構成(例えば、図9に示す構成)と比較して施工性が向上する。
このように本実施形態では、鋼管本体部12Bの側壁に設けられた補強リブ20に耐火ボード40を支持させたことにより、耐火ボード40を含めた柱の水平断面積を小さくしつつ、鋼管本体部12Bの局部座屈を抑制することができる。特に、本実施形態に係るコンクリート充填鋼管柱の仕上げ構造は、既存の鋼管柱を耐火補強するのに有効である。
更に、耐火ボード40の高さ等に応じて、取付部材30の数や配置を変更することにより、耐火ボード40を容易に取り付けることができる。従って、施工性、汎用性が向上する。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同様の構成のものは同符号を付すると共に、適宜省略して説明する。
図4には、第2実施形態に係るコンクリート充填鋼管柱の仕上げ構造が適用されたコンクリート充填鋼管柱10が示されている。第2実施形態では、長さの異なる複数の補強リブ20,22によって、鋼管本体部12Bにおける軸方向中間部としての鋼管中間部12BMの側壁の面外剛性に対し、軸方向端部としての鋼管上端部12BU及び鋼管下端部12BLの側壁の面外剛性が大きくなるように、鋼管本体部12Bが補強されている。
具体的には、図5(A)、及び図5(B)に示されるように、鋼管本体部12Bにおける鋼管上端部(柱頭部)12BUの各外側面には、一対の補強リブ20よりも長さが短い補強リブ22が設けられている。この補強リブ22は平板状の鋼板で構成され、長手方向を鋼管柱12の軸方向にして一対の補強リブ20の間に配置されると共に、幅方向一端部22A(長手方向に沿った一端部、図5(B)参照)が鋼管上端部12BUの内壁面の幅方向中央部に突き当てられて溶接、接着剤等で接合されている。これらの補強リブ20,22の幅方向他端部20B,22Bに取付部材30が固定されている。なお、全ての補強リブ20,22に取付部材30を固定する必要はなく、取付部材30は必要に応じて補強リブ20,22に固定すれば良い。
また、鋼管本体部12Bの幅(柱せい)をDとしたときに、補強リブ22の長さL(鋼管本体部12Bの軸方向に沿った長さ)が、鋼管本体部12Bの幅Dの1.0倍以上とされている。これらの補強リブ20,22によって鋼管上端部12BUの各側壁に面外剛性が付与されている。これと同様に、複数の補強リブ20,22によって鋼管下端部(柱脚部)12BL(図4参照)の各側壁に面外剛性が付与されている。
一方、鋼管本体部12Bにおける鋼管中間部12BMの外側面には、補強リブ22が設けられていない。これにより、鋼管中間部12BMにおける各側壁の面外剛性に対し、鋼管上端部12BU及び鋼管下端部12BLの各側壁の面外剛性が大きくなっている。
次に、第2実施形態の作用について説明する。
図4に示されるように、例えば、火災時に鉄骨梁16が熱膨張によって軸方向(水平方向)へ伸張すると、鋼管仕口部12Aに水平力Fが作用し、鋼管本体部12Bに曲げモーメントMが発生する。この曲げモーメントMは、鋼管中間部12BMから鋼管上端部12BU及び鋼管下端部12BLに向って徐々に大きくなる。一方、鋼管柱12は、火災時に熱膨張によって軸方向(矢印Z方向)へ伸張するが、温度上昇に伴う剛性の低下によって軸方向への伸張は徐々に小さくなり、ある温度に達すると軸方向への伸張変形は止まり、収縮変形に転じる。この状態で、鉄骨梁16から鋼管仕口部12Aへ水平力Fが作用すると、前述したように鋼管中間部12BMと比較して大きな曲げモーメントが発生する鋼管上端部12BU及び鋼管下端部12BLの圧縮側(矢印C側)側面に局部座屈Kが発生し易くなる。特に、鋼管上端部12BU及び鋼管下端部12BLが鋼管仕口部12Aを介して鉄骨梁16に剛接合されていて、かつ、鉄骨梁16の軸方向への伸び出し量が大きい場合は、鋼管上端部12BU及び鋼管下端部12BLに大きな曲率を伴う変形が生じる。この変形により鋼管上端部12BU及び鋼管下端部12BLの圧縮側(矢印C側)側面に大きな圧縮応力度が発生し、鋼管上端部12BU及び鋼管下端部12BLに局部座屈Kが生じる。
鋼管上端部12BU及び鋼管下端部12BLに局部座屈が発生すると、コンクリート充填鋼管柱10の曲げ剛性は著しく低下する。コンクリート充填鋼管柱10に作用する軸力(鉛直荷重)Vが大きい場合は、局部座屈Kの発生後、曲げモーメントMによる変形が急激に進展し、局部座屈K側の充填コンクリート14に圧壊を生じる。この結果、コンクリート充填鋼管柱10は荷重支持能力を喪失し、脆性的に崩壊に至る場合がある。
この対策として本実施形態では、鋼管中間部12BMの面外剛性に対し、鋼管上端部12BU及び鋼管下端部12BLの面外剛性が大きくなるように、複数の補強リブ20,22によって鋼管本体部12Bが補強されている。これにより、鋼管上端部12BU及び鋼管下端部12BLの局部座屈Kの発生が抑制される。
また、鋼管上端部12BU及び鋼管下端部12BLにのみ補強リブ22を設けたことにより、鋼管本体部12Bの全長に渡って補強リブ22を設けた構成と比較して、施工性の向上、工期短縮、及びコスト削減を図ることができる。
ここで、図6(A)には、一般的なコンクリート充填鋼管柱からなる柱100と梁102A,102Bとで構成された架構の一例が示されている。この架構内で、例えば図6(B)に示されるように火災104が発生すると、梁102Aが水平方向(矢印J方向)に伸び出すため、柱100に同図に示されるような変形が生じる。
また、図7(A)には、一般的なコンクリート充填鋼管柱からなる柱110の耐火性能評価に用いられる実験評価モデルが示されている。この実験評価モデルでは、加熱時に、図7(B)に示されるような変形状態、応力状態を示すことから、図6(B)に示される柱100の変形状態、応力状態を適切に模擬することができると言われている。そこで、図7(A)に示される実験評価モデルを用いて載荷加熱実験を行ったところ、以下に示す新たな知見が得られた。
即ち、加熱された柱110の柱上端部に生じる水平変位(水平力F)が大きい場合や柱110に生じる軸力Vが大きい場合は、図7(C)に示されるように、柱110を構成する鋼管柱の上端部及び下端部に局部座屈Kを生じることが確認された。また、加熱時間が比較的短く、柱110の充填コンクリートが十分耐力を残している状態であっても、柱110は前述した鋼管柱の局部座屈Kによって荷重支持能力を喪失し、崩壊することが確認された。
本実施形態に係るコンクリート充填鋼管柱の仕上げ構造を例により具体的に説明すると、局部座屈Kに関しては以下のことが確認された。即ち、鋼管本体部12Bの幅をD(図5(B)参照)としたときに、鋼管上端部12BUにおける局部座屈Kは、その上端から2Dまでの領域内で発生し易く、特に、上端からDの領域内で発生し易い。これと同様に、鋼管下端部12BLにおける局部座屈Kは、その下端から2Dまでの領域内で発生し易く、特に、下端からDの領域内で発生し易い。
従って、局部座屈Kの発生を抑制する観点からすると、補強リブ22の長さLはD以上が好ましく、2D以上がより好ましい。更に、施工性、材料コストを考慮すると、補強リブ22の長さLはD≦L≦2Dとすることが望ましい。これにより、補強リブ22の材料コストを削減しつつ、鋼管上端部12BU及び鋼管下端部12BLの局部座屈Kの発生を抑制することができる。
なお、前述した局部座屈Kによる破壊はこれまで実験で確認されなかった現象である。これまでは柱110の断面を小断面(例えば、300mm×300mm程度)で実施してきたが、前述した局部座屈Kが確認された実験では、柱110の断面を大面積(600mm×600mm)で実施している。鋼管柱の上端部及び下端部に発生する圧縮ひずみは、柱110の中立軸位置から鋼管柱までの距離に比例して大きくなる。断面が大きくなれば、鋼管柱に生じる圧縮ひずみもこれに比例して大きくなる。このため、火災によって大断面の柱(例えば、600mm×600mm以上)の柱上端部に大きな水平力が生じると、柱の上端部及び下端部には大きな圧縮ひずみが発生する。前述の実験では、鋼管柱に生じた圧縮ひずみが当該鋼管柱の局部座屈に対する許容圧縮ひずみを超過したために発生したものと考えられる。この圧縮ひずみは、長期軸力に起因する長期圧縮ひずみε1と、梁の伸長による強制変形(水平力F)に起因する圧縮ひずみε2と、同梁の伸長による付加曲げモーメントに起因する圧縮ひずみε3の和と考えることも可能である。
なお、本実施形態のように鋼管仕口部12Aの両側に鉄骨梁16が接合される構成では、各鉄骨梁16の伸長に伴って鋼管仕口部12Aの両側に反対向きの水平力が作用するため、これらの水平力が打ち消し合う。従って、前述した圧縮ひずみε2,ε3が小さくなり易い。一方、外周柱のように、鋼管仕口部12Aの片側にのみ鉄骨梁16が接合される構成では、上記圧縮ひずみε2,ε3が大きくなり易い。特に、鋼管仕口部12Aの片側に接合される鉄骨梁16の梁スパンが長くなると(例えば、10m程度以上)、火災時における鉄骨梁16の伸長量が増加し、鋼管上端部12BU及び鋼管下端部12BLの水平変位(強制変形)が大きくなるため(例えば、部材角1/50rad程度)、上記圧縮ひずみε2,ε3が過大となる可能性がある。本実施形態は、このように鋼管仕口部12Aの片側に、若しくは鋼管仕口部12Aに3方向から鉄骨梁16が接合されるコンクリート充填鋼管柱の補強に適している。
<変形例>
次に、第1,第2実施形態の変形例について説明する。
上記実施形態では、補強リブ20を鋼管本体部12Bの略全長に渡って設けたが、これに限らない。補強リブ20は、鋼管本体部12Bの側壁に面外剛性を付与すると共に、耐火ボード40を支持可能であれば良く、例えば、上記第1実施形態において、複数の補強リブを鋼管柱12の軸方向に間隔を空けて設けても良いし、側面視にて補強リブを千鳥状に配列しても良い。また、鋼管上端部12BU及び鋼管下端部12BLにのみ補強リブを設け、鋼管上端部12BUに設けられた補強リブで耐火ボード40の上端部を支持し、鋼管下端部12BLに設けられた補強リブで耐火ボード40の下端部を支持しても良い。
また、例えば、鋼管上端部12BUに補強リブを設ける場合は、鋼管上端部12BUの側壁の面外剛性が鋼管仕口部12Aから鋼管中間部12BMに向って段階的に、若しくは徐々に小さくなるように補強リブを設けても良い。
具体的には、図8(A)及び図8(B)に示されるように、鋼管上端部12BUには、長さが異なる2種類の補強リブ24,26が設けられている。補強リブ24は、その長さL1が補強リブ26の長さL2の略半分とされている。これらの補強リブ24,26は、長手方向を鋼管柱12の軸方向(矢印Z方向)にすると共に、幅方向一端部24A,26A(図8(B)参照)が鋼管上端部12BUの外側面に突き当てられて溶接等で接合されている。これにより、鋼管上端部12BUの面外剛性が、鋼管仕口部12Aから鋼管中間部12BMに向って段階的に小さくなっている。なお、補強リブ24の長さL1は鋼管本体部12Bの幅Dよりも短くされ、補強リブ26の長さL2は鋼管本体部12Bの幅D以上とされている。
このように補強リブ24,26の長さL1,L2を変え、鋼管上端部12BUに作用する曲げモーメントM(図4参照)に応じて鋼管上端部12BUの面外剛性を鋼管仕口部12Aから鋼管中間部12BMに向って段階的に小さくすることにより、過剰な補強を無くすことができる。従って、補強リブ24,26の材料コストを削減することができる。
また、仮に補強リブ24の長さL1を長くし、補強リブ26長さL2と略同じにした場合は、鋼管上端部12BUの曲げ剛性が鋼管中間部12BMの曲げ剛性に比べて大きくなるため、鋼管上端部12BUと鋼管中間部12BMの境界面付近(補強リブ24,26の先端付近)を中心とした回転変形(大きな曲率を伴う曲げ変形)が生じ、上記境界面付近の鋼管中間部12BMに応力が集中する。鉄骨梁16の軸方向(水平方向)への伸び出し量やコンクリート充填鋼管柱10の負担軸力が大きい場合は、上記境界面付近の鋼管中間部12BMに局部座屈を生じる場合がある。
これに対して本変形例では、鋼管上端部12BUの面外剛性を鋼管仕口部12Aから鋼管中間部12BMに向って段階的に小さくすることにより、鋼管上端部12BUと鋼管中間部12BMとの境界面付近(補強リブ26の下端付近)における鋼管中間部12BMの応力集中が低減される。従って、上記境界面付近の鋼管柱12の局部座屈の発生が抑制される。
なお、本変形例において、補強リブ24の長さL1と補強リブ26長さL2とを同じにすることも可能である。また、本変形例では、鋼管上端部12BUに作用する曲げモーメントM(図4参照)に応じて、鋼管上端部12BUの面外剛性を鋼管仕口部12Aから鋼管中間部12BMに向って段階的に小さくしたが、例えば、長さが異なる3種類以上の補強リブを用いて、鋼管上端部12BUの面外剛性を鋼管仕口部12Aから鋼管中間部12BMに向って徐々に小さくしても良い。また、本変形例では、補強リブ24,26の長さL1,L2を変えたが、補強リブ24,26の板厚や材料強度を変えても良いし、長さ、板厚、材料強度が異なる補強リブを適宜組み合わせて用いても良い。鋼管下端部12BLに補強リブを設ける場合も同様である。
また、上記実施形態では、補強部材として平板状の鋼板で構成された補強リブ20,22を用いたが、補強部材としてC形鋼、L形鋼、T形鋼等の形鋼を用いても良い。
更に、上記実施形態では、取付部材30を介して耐火ボード40を補強リブ20,22に取り付けたが、取付部材30は必要に応じて設ければ良く、適宜省略可能である。この場合、補強リブ20,22に耐火ボード40をビス等で直接固定すれば良い。
また、上記実施形態では、耐火ボード40として石膏ボードを用いたが、これに限らない。耐火ボードとしては、例えば、強化石膏ボード、繊維混入けい酸カルシウム板、モルタルボード、ロックウールボード、セラミックファイバーボード、PC板、ALCパネル、押し出し成形セメント板等を用いても良い。また、上記実施形態では、耐火ボード40を1枚で構成しているが、複数枚の耐火ボード40を積層しても良い。更に、上記実施形態では、ボード部材として耐火ボード40を用いたが、一般的な仕上げボード(仕上げ材)を用いても良いし、耐火ボードと仕上げボードとを組み合わせて用いても良い。更には、複数のボード部材を積層した状態で補強リブ20,22に支持させても良い。
また、上記実施形態では、内ダイアフラム18を用いた内ダイアフラム形式のコンクリート充填鋼管柱10を例に説明したが、上記実施形態は、通しダイアフラム形式や外ダイアフラム形式のコンクリート充填鋼管柱にも適用可能である。更に、鋼管柱12は、断面略正方形の角形鋼管に限らず、断面長方形の角形鋼管や丸形鋼管を用いても良い。なお、断面長方形の角形鋼管では、短辺の長さが鋼管本体部の幅Dに相当し、丸形鋼管では、その直径が鋼管本体部の幅Dに相当する。また、鋼管柱の周方向とは、角形鋼管のように複数の側壁を備える鋼管柱12の場合は、鋼管柱12の側壁の幅方向に沿った方向(矢印X方向又は矢印Y方向)を意味し、丸形鋼管のように断面円形の側壁を備える鋼管柱の場合は、円周に沿った方向(円周方向)を意味する。
更に、上記実施形態は、コンクリート充填鋼管柱10に限らず、コンクリートが充填されていない一般的な鋼管柱にも適用可能である。更に、上記実施形態では、水平部材として鉄骨梁16を例に説明したが、鉄骨梁16に替えてスラブ(例えば、RC床スラブやフラットスラブ)等でも良い。
以上、本発明の第1,第2実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に限定されるものでなく、第1,第2実施形態及び各種の変形例を適宜組み合わせて用いても良いし、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。