JP5987511B2 - 音響信号に対する妨害音の埋め込み装置 - Google Patents
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(1.本発明の基本概念)
最初に、本発明の基本概念について説明しておく。本発明では、違法録音において利用が想定されるマイクロフォン等の録音機器の感度上限もしくは下限周波数付近、または違法録音において利用が想定される音声・音楽非可逆圧縮ツールの符号化上限もしくは下限周波数付近の所定の周波数範囲に妨害音を発生させるための妨害信号を記録する。そして、好適な実施形態として、さらにマイクロフォン等の録音機器の感度上限および下限双方の周波数付近の所定の周波数範囲にも妨害信号を記録する。妨害音とは、本来、原音響信号に記録された音を人が聴取するのを妨害するための音である。妨害信号とは、妨害音を発生させるための信号である。
次に、図2、図3を用いて音脈分凝の原理について説明しておく。本発明では、人間の聴覚心理特性である音脈分凝の原理を利用する。音脈分凝には、様々な現象が知られているが、特許文献2・3に記載の現象とは異なり、ここでは、特定の周波数帯に対して意図的に逆転させた音脈が前記周波数帯より上下に位置する原音と同じ順方向の音脈に揃うように補正されながら聴取される錯覚現象を利用している。図2は、元の音響信号の下位改変周波数帯、上位改変周波数帯双方に、妨害音の埋め込みを行った場合の周波数成分の変化の様子を概念的に示した図である。図2(a)に示される信号に対して、Lu1とLu2、Lu3とLu4、Lu5とLu6、Hd1とHd2、Hd3とHd4、Hd5とHd6の各周波数成分を時間軸方向に逆転させたのが図2(b)である。図3は、図2(b)に示した妨害音埋め込み後の改変音響信号を再生した場合の、人の聴取状態、録音機器等で複製された複製音響信号を示す図である。図3(a)(b)の横方向の矢印は音脈を示しているが、図3(b)では上記逆転させた信号成分間の音脈が上下の音脈に揃うように逆転補正されて聴取されることを示している。しかし、図3(b)のようにLu1の列より下側のLd1の列が欠落し、Hd1の列より上側のHu1の列が欠落すると、Lu1とLu2、Lu3とLu4、Lu5とLu6、Hd1とHd2、Hd3とHd4、Hd5とHd6の各周波数成分間の音脈における逆転補正は働かなくなり、逆転した状態のまま、顕著な妨害音として聴取される。
次に、本発明に係る音響信号に対する妨害音の埋め込み装置について説明する。図4は、本発明に係る音響信号に対する妨害音の埋め込み装置のハードウェア構成図である。音響信号に対する妨害音の埋め込み装置は、汎用のコンピュータで実現することができ、図4に示すように、CPU(Central Processing Unit)1と、コンピュータのメインメモリであるRAM(Random Access Memory)2と、CPU1が実行するプログラムやデータを記憶するための大容量の記憶装置(例えば、ハードディスク、フラッシュメモリ等)3と、キーボード、マウス等のキー入力I/F(インターフェース)4と、外部装置(データ記憶媒体等)とデータ通信するためのデータ入出力I/F(インターフェース)5と、表示装置(ディスプレイ)に情報を送出するための表示出力I/F(インターフェース)6と、を備え、互いにバスを介して接続されている。
次に、図4、図5に示した音響信号に対する妨害音の埋め込み装置の処理動作について説明する。音響フレーム読込手段10は、音響信号記憶部61に記憶されたステレオ音響信号の左右の各チャンネルから、それぞれ所定数Nのサンプルを1音響フレームとして読み込む。音響フレーム読込手段10が読み込む1音響フレームのサンプル数Nは、適宜設定することができるが、設定値により妨害音の聴取具合、音脈分凝の働き方が変化する。サンプリング周波数が44.1kHzの場合、4096サンプル程度とすると、最も原音に対するダメージを少なくできることが分かっているので、以下この設定値で説明する。(実用的には音脈分凝が最も働きやすい2048サンプルに設定することが多い。)したがって、音響フレーム読込手段10は、左チャンネル、右チャンネルについてそれぞれ4096サンプルずつ、順次音響フレームとして読み込んでいくことになる。
0<i≦N−1のとき、W(i)=0.5−0.5cos(2πi/N)
Al(j,t)=Σi=0,…,N-1W(i)・Xl(i,t)・cos(2πij/N)
Bl(j,t)=Σi=0,…,N-1W(i)・Xl(i,t)・sin(2πij/N)
Ar(j,t)=Σi=0,…,N-1W(i)・Xr(i,t)・cos(2πij/N)
Br(j,t)=Σi=0,…,N-1W(i)・Xr(i,t)・sin(2πij/N)
Al´(j,2k)←Al(j,2k)・(1.0−α)+Al(j,2k+1)・α
Al´(j,2k+1)←Al(j,2k+1)・(1.0−α)+Al(j,2k)・α
Bl´(j,2k)←Bl(j,2k)・(1.0−α)+Bl(j,2k+1)・α
Bl´(j,2k+1)←Bl(j,2k+1)・(1.0−α)+Bl(j,2k)・α
Ar´(j,2k)←Ar(j,2k)・(1.0−α)+Ar(j,2k+1)・α
Ar´(j,2k+1)←Ar(j,2k+1)・(1.0−α)+Ar(j,2k)・α
Br´(j,2k)←Br(j,2k)・(1.0−α)+Br(j,2k+1)・α
Br´(j,2k+1)←Br(j,2k+1)・(1.0−α)+Br(j,2k)・α
Al´(j,2k)←Al(j,2k)・(1.0−β)+Al(j,2k+1)・β
Al´(j,2k+1)←Al(j,2k+1)・(1.0−β)+Al(j,2k)・β
Bl´(j,2k)←Bl(j,2k)・(1.0−β)+Bl(j,2k+1)・β
Bl´(j,2k+1)←Bl(j,2k+1)・(1.0−β)+Bl(j,2k)・β
Ar´(j,2k)←Ar(j,2k)・(1.0−β)+Ar(j,2k+1)・β
Ar´(j,2k+1)←Ar(j,2k+1)・(1.0−β)+Ar(j,2k)・β
Br´(j,2k)←Br(j,2k)・(1.0−β)+Br(j,2k+1)・β
Br´(j,2k+1)←Br(j,2k+1)・(1.0−β)+Br(j,2k)・β
Xl´(i,t)=1/N・{ΣjAl´(j,t)・cos(2πij/N)−ΣjBl´(j,t)・sin(2πij/N)}+Xl´(i+N/2,t−1)
Xr´(i,t)=1/N・{ΣjAr´(j,t)・cos(2πij/N)−ΣjBr´(j,t)・sin(2πij/N)}+Xr´(i+N/2,t−1)
次に、図5に示した音響信号に対する情報の埋め込み装置の処理の全体的な流れを、図7のフローチャートに従って説明する。図5に示した装置を構成する各構成要素は、連携して図7に従った処理を実行する。
ここで、妨害信号の埋め込みによる音のパターンの変化と、妨害信号が埋め込まれた改変音響信号の再生音を録音した場合に得られる音について説明する。図2は、上述のように、元の音響信号の下位改変周波数帯、上位改変周波数帯双方に、妨害音の埋め込みを行った場合の周波数成分の変化の様子を概念的に示した図である。
以上、本発明の好適な実施形態について限定したが、本発明は上記実施形態に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、下位改変周波数帯、上位改変周波数帯の双方に妨害信号を埋め込むようにしたが、どちらか一方であっても良い。違法録音に用いられる録音機器によっては、その周波数感度の下限または上限が、改変音響信号の下位改変周波数帯、上位改変周波数帯に近いものであれば、どちらか一方に埋め込まれている場合でも、十分に妨害音を発生させることができる。しかし、録音機器の周波数感度の下限または上限が、下位改変周波数帯、上位改変周波数帯に必ずしも近いものになるとは限らないため、下位改変周波数帯、上位改変周波数帯双方に埋め込んでおくことにより、妨害音を発生させることができる確率が高まる。また、通常再生状態における音脈逆転に対する補正効果を高めるため、下位改変周波数帯、上位改変周波数帯の各々を2分割する方法もとれる。(2分割する場合は、2つの改変周波数帯の間に改変しない周波数帯を設ける。)更に、超低ビットレートの録音機器(携帯電話やスマートフォンでのボイスレコーダ・アプリ)で録音される場合に対応するため、下位改変周波数帯と上位改変周波数帯の中間に中位改変周波数帯を設けることもできる。ボイスレコーダ・アプリでは上限が4kHzであることが一般的であるため、中位改変周波数帯を2kHz〜4kHzに設定する。
2・・・RAM(Random Access Memory)
3・・・記憶装置
4・・・キー入力I/F
5・・・データ入出力I/F
6・・・表示出力I/F
10・・・音響フレーム読込手段
20・・・時間−周波数変換手段
30・・・周波数成分改変手段
40・・・周波数−時間変換手段
50・・・改変音響フレーム出力手段
60・・・記憶手段
61・・・音響信号記憶部
62・・・改変音響信号記憶部
Claims (7)
- 時系列のサンプル列で構成される音響信号に対して、改変対象の周波数帯である改変周波数帯に対して改変を加え、改変を加えて得られる改変音響信号を再生した場合には聴取不能であり、前記改変音響信号を改変周波数帯に対して高域または低域の所定の成分を除いて複製した複製音響信号を再生した場合に可聴となるように妨害音を埋め込む装置であって、
前記音響信号より、所定数のサンプルを1つの音響フレームとして読み込む音響フレーム読込手段と、
前記読み込んだ音響フレームに対して、所定の窓関数を用いて時間−周波数変換を行い、周波数成分である窓スペクトルを得る時間−周波数変換手段と、
前記窓スペクトルの中で奇数番目の音響フレームに対応する奇数窓スペクトルから前記改変周波数帯における奇数スペクトル集合を抽出し、前記奇数番目の音響フレームに隣接する偶数番目の音響フレームに対応する偶数窓スペクトルから前記改変周波数帯における偶数スペクトル集合を抽出し、互いに対応する前記奇数スペクトル集合の成分と偶数スペクトル集合の成分を、両者が互いの値を所定の割合だけ反映するように改変を加える周波数成分改変手段と、
前記周波数成分が改変された奇数スペクトル集合を含む奇数窓スペクトル、および前記周波数成分が改変された偶数スペクトル集合を含む偶数窓スペクトルに対して周波数−時間変換を行って、改変音響フレームを生成する周波数−時間変換手段と、
前記生成された改変音響フレームを順次出力する改変音響フレーム出力手段と、
を有することを特徴とする音響信号に対する妨害音の埋め込み装置。 - 請求項1において、
前記改変周波数帯として互いに他の改変周波数帯と重ならないように複数個の改変周波数帯を設定し、
前記周波数成分改変手段は、前記複数個の改変周波数帯に対して、改変を加えることを特徴とする音響信号に対する妨害音の埋め込み装置。 - 請求項1または請求項2において、
前記周波数成分改変手段は、前記改変周波数帯における奇数スペクトル集合の成分と偶数スペクトル集合の成分を、それぞれ自身の割合と他方の割合を加えて1になる範囲で、両者が互いの値を所定の割合だけ反映するように改変を加えることを特徴とする音響信号に対する妨害音の埋め込み装置。 - 請求項3において、
前記周波数成分改変手段は、前記改変周波数帯における奇数スペクトル集合の成分と偶数スペクトル集合の成分を、それぞれ自身の割合を0、他方の割合を1として成分を交換するように改変を加えることを特徴とする音響信号に対する妨害音の埋め込み装置。 - 請求項1から請求項4のいずれか一項において、
前記改変周波数帯として、
100Hzから500Hzの範囲、6kHzから16kHzの範囲、のいずれか一方、または双方を少なくとも設定することを特徴とする音響信号に対する妨害音の埋め込み装置。 - 請求項1から請求項5のいずれか一項において、
前記所定の窓関数は、前記1つの音響フレームのサンプル数をNとして、サンプル位置i(0≦i≦N−1)における重みW(i)(0≦W(i)≦1)が、W(i)=0.5−0.5cos(2πi/N)で定義されるハニング窓関数であることを特徴とする音響信号に対する妨害音の埋め込み装置。 - 請求項1から請求項6のいずれか一項に妨害音の埋め込み装置として、コンピュータを機能させるためのプログラム。
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