JP5986867B2 - 津波用シェルター - Google Patents

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本発明は、津波が発生したときに避難する津波用シェルターに関する。
従来、津波が発生したときに避難するシェルターとして、津波の流れに乗って自由漂流するシェルターが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のシェルターは、自由漂流中に障害物に衝突したときに破損しにくいように、略球体状に形成されている。そして、シェルター内の底部には、自由漂流中の姿勢を安定させるために、錘となるバラスト水を収容する水タンクが形成されている。
特開2004−322939号公報
従来の前記シェルターは、その内部に錘となる水タンクが形成されているため、シェルターの重心位置は、その全体形状である球体の中心から近い位置に配置されている。このため、前記シェルターは、自由漂流中に障害物に衝突したときにバランスを崩しやすく、シェルター内の天地が逆さまになるように回転することがある。この場合には、シェルター内の避難者は、パニック状態に陥って正常な判断をすることができなくなる危険性がある。また、前記シェルターが自由漂流中に障害物に衝突することによってシェルターの一部が破損すると、その破損した箇所から海水等が浸入し、シェルターが沈んでしまう危険性がある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、自由漂流中において、姿勢をより安定させることができるとともに、内部に浸水が生じても沈むのを防止することができる津波用シェルターを提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明の津波用シェルターは、津波到来時にその流れに乗って自由漂流する津波用シェルターであって、内部に避難室を有する中空状の球体と、前記自由漂流している状態で前記球体の下方に突出するとともに、その突出端側に錘を有する突出体と、前記自由漂流時に前記球体内が浸水した状態で、前記球体が沈まない浮力を付与する浮力体と、を備えていることを特徴としている。
本発明によれば、自由漂流している状態で避難室を有する球体の下方に突出するとともに、その突出端側に錘を有する突出体を備えているため、津波用シェルターの重心位置を、球体の中心から下方に離反させることができる。これにより、津波用シェルターが自由漂流中に障害物に衝突しても、球体内の避難室の天地が逆さまになるように当該球体が回転するのを抑制することができる。したがって、従来の球体内部に錘が配置される場合に比べて、安定した状態で津波用シェルターを自由漂流させることができる。また、自由漂流時に球体内が浸水したときは、浮力体により球体が沈まない浮力が付与されるため、津波用シェルターが沈むのを防止することができる。
前記球体には、前記浸水した状態で当該球体の吃水線よりも上方の位置に、外部に脱出可能な脱出口が形成されていることが好ましい。この場合、自由漂流時に球体内が浸水したときに、避難者は脱出口から球体の吃水線よりも上方に避難することができる。これにより、避難者は濡れ続けることを回避しながら球体の外部に避難することができる。
前記球体の外周には、前記浸水した状態で当該球体の吃水線よりも上方の位置に、足載置部が設けられていることが好ましい。この場合、自由漂流時に球体内が浸水したときに、足載置部を、球体の外部に避難した避難者の足場として利用することができるので、避難者が足を滑らせて落下するのを抑制することができる。
前記津波用シェルターは、地面上に横倒しにされた状態で、前記球体側と前記突出体側とが接地した二点接地状態となることが好ましい。この場合、球体側のみが一点接地する場合に比べて、津波用シェルターを安定した状態で接地させることができる。
前記錘は、津波到来時にその流れによって前記突出体が地面上を引きずられながら離陸する程度の重さに設定されていることが好ましい。この場合、津波到来時に、突出体が地面上を引きずられながら離陸することにより、津波用シェルターに対して離陸方向に作用する加速度を低減することもできる。
前記浮力体は、前記自由漂流している状態で前記球体の赤道よりも径方向外方に突出して形成された球体側浮力部を有していることが好ましい。この場合、球体側浮力部により自由漂流時における津波用シェルターの水平方向の幅寸法が長くなるため、津波用シェルターの重心位置からメタセンタまでの長さ(GM値)を大きくすることができる。これにより、自由漂流中に津波用シェルターが傾いたときに大きな復元力が作用するので、津波用シェルターをさらに安定した状態で自由漂流させることができる。
前記浮力体は、前記球体の内部に配置された球体側浮力部を有していることが好ましい。この場合、球体2の外側は略球状に形成されるため、自由漂流中に球体2の外側に障害物が引っ掛かるのを抑制することができる。これにより、津波用シェルター1が障害物と衝突して破損するのを抑制することができる。
前記浮力体は、複数に分割された分割浮力体を有し、前記各分割浮力体が、前記球体に対して着脱可能に取り付けられていることが好ましい。この場合、球体に対して分割浮力体を着脱することにより、球体に付与する浮力を簡単に調整することができる。
前記突出体は、有底筒状に形成された突出本体部を有し、前記浮力体の一部が、前記突出本体部内に収容されていることが好ましい。この場合、球体の中心から錘を離反させるための突出本体部を、浮力体の一部を収容する収容体として兼用することができるため、津波用シェルターの構成を簡略化でき、その製造コストを低減することができる。
前記突出体は、前記錘が着脱可能に取り付けられている突出本体部を有していることが好ましい。この場合、津波用シェルターを運搬する際に、錘を突出本体部から取り外すことで、津波用シェルターの運搬作業が容易となる。
前記錘は、複数に分割された分割錘からなり、前記各分割錘が、前記突出本体部に対して着脱可能に取り付けられていることが好ましい。この場合、突出本体部に対して分割錘を着脱して、錘全体の重量を調整することにより、津波用シェルターが自由漂流中に障害物に衝突したときに、球体内の避難室の天地が逆さまになるように当該球体が回転するのを抑制することができる。
前記突出体は、有底筒状に形成された突出本体部を有し、前記突出本体部内にバラスト水が充填されるバラスト室が形成されていることが好ましい。この場合、球体の中心から錘を離反させるための突出本体部を、バラスト水を充填するバラスト室として兼用することができるため、津波用シェルターの構成を簡略化でき、その製造コストを低減することができる。
前記津波用シェルターは、前記バラスト室に充填されたバラスト水が、前記錘を兼ねていることが好ましい。この場合、津波用シェルターの構成をさらに簡略化でき、その製造コストを低減することができる。
前記突出本体部は、前記球体に対して着脱可能に取り付けられていることが好ましい。この場合、津波用シェルターを運搬する際に、突出本体部を球体から取り外すことで、津波用シェルターを大きく2つに分割することができるので、津波用シェルターの運搬作業が容易となる。
前記津波用シェルターは、前記突出本体部が、前記球体の材質よりも比重の大きい材質で形成されていることが好ましい。この場合、突出本体部の重量によって、津波用シェルターの重心位置を、球体の中心からさらに下方に離反させることができる。
前記津波用シェルターは、不使用時に前記球体が転がり難い状態で当該球体側又は前記突出体側を支持する架台を備えていることが好ましい。この場合、不使用時に架台によって球体側又は突出体側を安定した状態で支持することができる。
本発明の津波用シェルターによれば、自由漂流中に障害物に衝突しても、球体内の避難室の天地が逆さまになるように当該球体が回転するのを抑制することができるため、従来の球体内部に錘が配置される場合に比べて、安定した状態で津波用シェルターを自由漂流させることができる。また、自由漂流時に球体内が浸水したときには、球体が沈まない浮力が付与されるため、津波用シェルターが沈むのを防止することができる。
本発明の第1の実施形態に係る津波用シェルターの側面図である。 上記津波用シェルターの平面図である。 上記津波用シェルターの断面図である。 上記津波用シェルターの底面図である。 上記津波用シェルターが浸水した状態を示す側面図である。 上記津波用シェルターを地面上に横倒しにした状態を示す側面図である。 津波到来時における上記津波用シェルターの動きを示す説明図である。 本発明の第2の実施形態に係る津波用シェルターを示す断面図である。 本発明の第3の実施形態に係る津波用シェルターを示す断面図である。 本発明の第4の実施形態に係る津波用シェルターを示す断面図である。 本発明の第5の実施形態に係る津波用シェルターを示す断面図である。 本発明の第6の実施形態に係る津波用シェルターを示す断面図である。 本発明の第7の実施形態に係る津波用シェルターを示す断面図である。 本発明の第8の実施形態に係る津波用シェルターを示す断面図である。 図14のA−A矢視断面図である。 (a)は本発明の第9の実施形態に係る津波用シェルターを示す平面図であり、(b)はその津波用シェルターの側面図である。 (a)は本発明の第10の実施形態に係る津波用シェルターを示す背面図であり、(b)はその側面図である。
次に、本発明の好ましい実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の第1の実施形態に係る津波用シェルターの側面図である。本実施形態の津波用シェルター1は、津波到来時にその流れに乗って自由漂流するものであり、図1は、津波用シェルター1が自由漂流している状態を示している。この津波用シェルター1は、中空状の球体2と、自由漂流している状態で球体2の下方に突出する筒状の突出体3とを備えている。
図2は津波用シェルターの平面図であり、図3は津波用シェルターの断面図である。図2及び図3において、前記球体2は、FRP(繊維強化プラスチック)製の複数(3枚)の主殻板20と、各主殻板20の下方に配置された複数(3枚)の内殻板21とによって構成されている。主殻板20は、ハンドレイアップ成形により断面円弧状に湾曲形成されるとともに、平面視において球体2を周方向均等に三分割する大きさに形成されている。内殻板21は、主殻板20と同一の曲率半径にて断面円弧状に湾曲形成されるとともに、平面視において球体2を周方向均等に三分割する大きさに形成されている。球体2は、これら複数の主殻板20及び内殻板21を組み合わせることによって球状に形成されている。
図2及び図3において、前記球体2の各主殻板20の下端には、FRP製の複数(3枚)の外殻板22がそれぞれ一体に形成されている。外殻板22は、ハンドレイアップ成形により、内殻板21よりも大きい曲率半径にて断面円弧状に湾曲形成されている。平面視において周方向に隣り合う外殻板22同士は互いに連結されており、全体として内殻板21の全周を覆う環状体6として構成されている。外殻板22は、環状体6を周方向均等に三分割する大きさに形成されている。外殻板22の上端部には、水平方向に延びる足載置部22aが屈曲形成されている。
図3において、球体2の内部の下側には床面23が設けられており、その上側には避難室2aが形成されている。また、床面23の下側には食料や飲料水等を貯蔵する貯蔵室2bが形成されている。避難室2aには、避難者が着座する複数の座席24が主殻板20の内壁に固定されている。また、避難室2aには、座席24に着座した避難者が把持する複数のポール25が配置されており、各ポール25の長手方向両端部は主殻板20の内壁と床面23とに固定されている。各座席24には、例えば4点式のシートベルト(図示省略)が設けられている。球体2は、その外径が1000〜2000mm(本実施形態では約2000mm)、避難室2aには1〜6人(本実施形態では約6人)の避難者を収容することができるようになっている。
球体2の上部には、津波到来時に避難室2aに出入りするとともに、自由漂流中に球体2の外部へ脱出するための脱出口2cが開口形成されている。この脱出口2cは、後述する第2吃水線W2(図5参照)よりも上方の位置に形成されており、球体2の上部に回動可能に設けられたハッチ蓋26により開閉されるようになっている。ハッチ蓋26は、図2及び図3に示すように、脱出口2cを開閉する円形の蓋本体26aと、この蓋本体26aの外側に回転可能に設けられた外ハンドル26bと、蓋本体26aの内側に回転可能に設けられた内ハンドル26cとを備えている。
前記外ハンドル26b及び内ハンドル26cは、蓋本体26aを脱出口2cを閉鎖した状態でロック及びロック解除するものであり、外ハンドル26bは球体2の外側から、内ハンドル26cは球体2の内側である避難室2aからそれぞれロック操作及びロック解除操作を行うことができる。球体2の上部には、ハッチ蓋26が自由漂流中に障害物と干渉して破損するのを防止する防護枠27が突設されている。この防護枠27は、図2に示すように、平面視においてハッチ蓋26の外周に沿って環状に形成されている。
図1及び図2において、球体2の主殻板20の外面には、複数(3個)の吊り上げ部材5が突設されており、この吊り上げ部材5にクレーン等のフックを引っ掛けることにより、津波用シェルター1を吊り上げて移動させることができるようになっている。これにより、津波用シェルター1を例えば図示しないトラックの荷台上に積み込んで移動させることができる。
また、球体2の上側には、複数(6個)の窓部28が設けられている。この窓部28は、ポリカーボネート樹脂や強化ガラス板等の透明板材からなり、避難室2a内の避難者が球体2の外側を視認することができるようになっている。また、球体2の窓部28よりも上側には、複数の(12個)の通気口29が形成されている。前記複数の通気口29の一部には、避難室2a内に設置された呼吸装置(図示省略)が接続されている。この呼吸装置は、避難室2a内の避難者が呼吸する際に、球体2の外側から通気口29を介して吸気するとともに、通気口29から球体2の外側へ呼気を排出するためのものである。これにより、避難者は、避難室2a内の空気を使用することなく呼吸することができるため、避難室2a内が自由漂流中に密室状態となった場合に、避難者が酸欠状態になるのを防止することができる。
図4は、津波用シェルターの底面図である。図3及び図4において、前記突出体3は、有底円筒状に形成された突出本体部31と、この突出本体部31の突出端(図3の下端)に外側に露出した状態で着脱可能に取り付けられた錘32とを有している。前記突出本体部31は、その軸線が球体2の鉛直方向の中心線Y上に配置されるように形成されている(図1参照)。また、突出本体部31は、ハンドレイアップ成形により形成されたFRP製の複数(3枚)の主殻板31aを組み合わせて有底円筒状に形成されている。主殻板20は、平面視において突出本体部31を周方向均等に三分割する大きさに形成されている。
本実施形態の突出本体部31は、その外径が外殻板22の外径の約1/3の長さとなるように、約800mmに設定されている。また、突出本体部31の各主殻板31aは、球体2の各主殻板20及び各外殻板22とともに一体形成されており、主殻板20,31a及び外殻板22の板厚は、いずれも船舶に用いられるFRP製の板部材と同様に、9〜10mmに設定されている。
図3において、前記錘32は、複数に分割された分割錘32aによって構成されている。各分割錘32aは、例えば鉄板によって円板状に形成されており、各分割錘32aを図3の上下方向に積層することにより、全体として下端角部にR部を有する円柱状に形成されている。このように、錘32は下端角部にR部を有する円柱状に形成されているため、突出本体部31の外側に設けられていても、自由漂流中に障害物に引っ掛かるのを抑制することができる。錘32の重さは、後述するように、津波到来時にその流れによって突出本体部31が地面上を引きずられながら離陸(図7(e)参照)する程度の重さに設定されているのが好ましい。
突出本体部31内の底部には、鉄製の補強板33が固定されており、この補強板33には、固定ボルト34のねじ部34bが外側(図3の下側)に突出した状態で、当該固定ボルト34の頭部34aが溶接等により固定されている。固定ボルト34のねじ部34bには、各分割錘32aの中心部に貫通形成された挿通孔32a1が挿通された状態で、ナット35が締め付けられている。これにより、ナット35を緩めてねじ部34bから取り外すことで、各分割錘32aを突出本体部31に対して容易に着脱することができる。
図3において、津波用シェルター1は、自由漂流時に球体2の避難室2a内が浸水した状態で球体2が沈まない浮力を付与する浮力体4をさらに備えている。浮力体4は、例えば水を吸収しない発泡材(硬質ウレタン、エラストマー等)からなる。本実施形態の浮力体4は、球体2の内殻板21と外殻板22との間に隙間なく収容された球体側浮力部4aと、突出本体部31の内部空間31bに隙間なく収容された突出体側浮力部4bとによって構成されている。前記突出体側浮力部4bは、球体側浮力部4aの下端と連続して一体に形成されている。
前記球体側浮力部4aは、図3の上下方向の中央部である球体2の赤道Xよりも径方向外方に突出して環状に形成されている。本実施形態では、例えば、自由漂流中に、道路に設置された電柱に突設されている昇降用のステップボルト(図示省略)が、外殻板22及び内殻板21に突き刺さって避難室2aが浸水することがないように、前記赤道Xにおける球体側浮力部4aの径方向の厚さは、ステップボルトの突出長さ(約130mm)よりも長い寸法(約150〜200mm)に設定されている。
図5は、津波用シェルター1の避難室2aが浸水した状態を示す側面図である。図1及び図5に示すように、本実施形態の浮力体4は、定員(6人)が乗り込んでいる避難室2aが浸水していない非浸水状態における球体2の第1吃水線W1が、南緯10度〜25度付近となるように球体2に浮力を付与するとともに、定員(6人)が乗り込んでいる避難室2aが浸水している浸水状態における球体2の第2吃水線W2が、北緯25度〜40度付近となるように球体2に浮力を付与するようになっている。これにより、外殻板22の足載置部22aは、避難室2aが浸水した状態において第2吃水線W2よりも上方に位置するようになっている。
したがって、自由漂流中に脱出口2cから球体2の外部に避難した避難者は、足載置部22aを水に濡れない足場として利用することができる。その際、避難者は、図5の左側に示すように、足載置部22aに足を置いた状態で防護枠27に腰掛けたり、図5の右側に示すように、足載置部22aに足を置いた状態で防護枠27に手を掛けてしゃがみ込んだりすることができる。これにより、球体2の外部に避難した避難者は、安定した姿勢で、かつ水に濡れ続けることを回避しながら救助を待つことができる。なお、防護枠27には、図5の右側に示す避難者が把持する取手を取り付けてもよい。
図6は、津波用シェルター1を地面上に横倒しにした状態を示す側面図である。図6に示すように、本実施形態の津波用シェルター1は、不使用時は地面上に横倒しにした状態で保管されている。この状態において、津波用シェルター1は、球体2側である環状体6の外周部のE点と、突出体3側である錘32のR部のF点とが接地した二点接地状態となっている。これにより、球体2及び突出体3は、球体2の中心線Yと地面とが交差するG点を中心として、二点接地状態を維持しながら水平方向に回転可能となっている。これにより、避難者が球体2のハッチ蓋26を開けて避難室2aに出入りする際には、球体2及び突出体3を上記のように回転させることにより、ハッチ蓋26を開閉し易い位置へ移動させることができる。
さらに、図7(a)及び(b)に示すように、津波が到来したときに、球体2の中心線Yが津波の進行方向Zに対して直交する方向に向いている場合には、津波の流れによって環状体6及び球体2が前記G点を中心として約90度回転することにより、図7(c)及び(d)に示すように、前記中心線Yが津波の進行方向Zと同一方向に向くため、津波用シェルター1をスムーズに離陸させことができる。その際、津波用シェルター1は、図7(e)に示すように、突出体3が地面上を引きずられながら徐々に離陸するため、離陸方向に作用する加速度を低減することもできる。また、津波が引いて水位が低下すると、突出体3が地面上を引きずられながら徐々に着陸するため、着陸方向に作用する加速度も低減することができるとともに、津波用シェルター1が引き波によって遠方へ流されるのを抑制することもできる。
以上のように構成された本実施形態の津波用シェルター1によれば、自由漂流している状態で避難室2aを有する球体2の下方に突出するとともに、その突出端側に錘32を有する突出体3を備えているため、津波用シェルター1の重心位置を、球体2の中心から下方に離反させることができる。これにより、津波用シェルター1が自由漂流中に障害物に衝突しても、球体2内の避難室2aの天地が逆さまになるように当該球体2が回転するのを抑制することができる。したがって、従来の球体内部に錘が配置される場合に比べて、安定した状態で津波用シェルター1を自由漂流させることができる。また、自由漂流時に球体2内が浸水したときは、浮力体4により球体2が沈まない浮力が付与されるため、津波用シェルター1が沈むのを防止することができる。
また、球体2には、図5に示すように浸水した状態で球体2の第2吃水線W2よりも上方の位置に、外部に脱出可能な脱出口2cが形成されているため、自由漂流時に球体2内が浸水したときに、避難者は脱出口2cから球体2の第2吃水線W2よりも上方に避難することができる。これにより、避難者は濡れ続けることを回避しながら球体2の外部に避難することができる。
また、自由漂流時に避難室2aが浸水したときに、外殻板22の足載置部22aを、球体2の外部に避難した避難者の足場として利用することができるため、避難者が足を滑らせて落下するのを抑制することができる。
また、津波用シェルター1は、地面上に横倒しにされた状態で、球体2側と突出体3側とが接地した二点接地状態となるため、球体2側のみが一点接地する場合に比べて、津波用シェルター1を安定した状態で接地させることができる。
また、錘32は、津波到来時にその流れによって突出体3が地面上を引きずられながら離陸する程度の重さに設定されているため、津波到来時に、突出体3が地面上を引きずられながら離陸することにより、津波用シェルター1に対して離陸方向に作用する加速度を低減することもできる。
また、球体2の赤道X(図5参照)において径方向外方に突出して形成された球体側浮力部4aにより、自由漂流時における津波用シェルター1の水平方向の幅寸法が長くなるため、津波用シェルター1の重心位置からメタセンタまでの長さ(GM値)を大きくすることができる。これにより、自由漂流中に津波用シェルター1が傾いたときに大きな復元力が作用するので、津波用シェルター1をさらに安定した状態で自由漂流させることができる。
また、浮力体4の一部(突出体側浮力部4b)が、突出本体部31内に収容されているため、球体2の中心から錘32を離反させるための突出本体部31を、浮力体4の一部を収容する収容体として兼用することができる。これにより、津波用シェルター1の構成を簡略化でき、その製造コストを低減することができる。
また、錘32が突出本体部31に対して着脱可能に取り付けられているため、津波用シェルター1を運搬する際に、錘32を突出本体部31から取り外すことで、津波用シェルター1の運搬作業が容易となる。
また、錘32は、複数に分割された分割錘32aからなり、各分割錘32aが、突出本体部31に対して着脱可能に取り付けられているため、突出本体部31に対して分割錘32aを着脱して、錘32全体の重量を調整することにより、津波用シェルター1が自由漂流中に障害物に衝突したときに、球体2内の避難室2aの天地が逆さまになるように当該球体2が回転するのを抑制することができる。
図8は、本発明の第2の実施形態に係る津波用シェルターを示す断面図である。図8において、本実施形態の津波用シェルター1は、第1の実施形態の津波用シェルター1の変形例を示すものであり、球体2の避難室2a内において避難者が床面23上に座った状態で腰が浮かないように支持する腰ベルト11が床面23に設けられている。また、避難室2a内には、床面23上に座った避難者が把持する複数のポール25が配置されており、各ポール25の長手方向両端部は、図8の上下方向に対して傾斜した状態で、主殻板20の内壁と床面23とに固定されている。
さらに、避難室2a内には、避難者が床面23上に座った状態で、例えば避難者の頭部や胴部をその左右両側から挟み込んで保護するためのプロテクタ(図示省略)が、主殻板20の内壁に取り付けられている。球体2の外径は、運搬時にトラックの荷台上に球体2を積み込めるように、その荷台の幅寸法以下に設定されているのが好ましい。本実施形態の球体2の外径は、軽トラックの荷台上に球体2を積み込めるように、約1400mmに設定されており、避難室2aには3人の避難者を収容することができるようになっている。本実施形態のその他の構成については第1の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
本実施形態の津波用シェルター1においても、津波用シェルター1の重心位置を、球体2の中心から下方に離反させることができるため、津波用シェルター1が自由漂流中に障害物に衝突しても、球体2内の避難室2aの天地が逆さまになるように当該球体2が回転するのを抑制することができる。また、自由漂流時に球体2内が浸水したときは、浮力体4により球体2が沈まない浮力が付与されるため、津波用シェルター1が沈むのを防止することができる。
図9は、本発明の第3の実施形態に係る津波用シェルターを示す断面図である。図9において、本実施形態の津波用シェルター1は、第2の実施形態の津波用シェルター1の変形例を示すものであり、球体2の避難室2aにドーナツ状の浮き袋12が設けられている。この浮き袋12は、図示しないガスボンベから例えば二酸化炭素ガスが供給されることにより瞬時に膨張するものであり、通常時は図9の二点鎖線で示すように、萎んだ状態で床面23上に載置されている。これにより、避難室2a内が浸水したときは、浮き袋12を瞬時に膨張させることにより、球体2に浮力を付与することができる。また、避難者は、図示のように、ハッチ蓋26を開放することで、膨張した浮き袋12上に座った楽な姿勢で救助を待つことができる。本実施形態のその他の構成については第2の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
本実施形態の津波用シェルター1によれば、避難室2aに設けられた浮き袋12により球体2に浮力を付与することができるため、浮力体4の浮力が不足する場合に、浮き袋12によって球体2に付与する浮力を増すことができる。また、避難室2aが浸水したときに浮き袋12を常に使用する場合には、浮き袋12の浮力分だけ浮力体4を小さくことができるため、津波用シェルター1全体を小型化することができる。
図10は、本発明の第4の実施形態に係る津波用シェルターを示す断面図である。図10において、本実施形態の津波用シェルター1は、球体2と、この球体2に対して着脱可能に取り付けられた突出体3と、球体2側に設けられた浮力体4とによって構成されている。
球体2は、FRP製の複数(3枚)の主殻板20と、各主殻板20の下方に配置された複数(3枚)の内殻板21と、FRP製の複数(3枚)の外殻板22とによって構成されている。具体的には、主殻板20及び内殻板21は、ハンドレイアップ成形により互いに同一の曲率半径にて断面円弧状に湾曲形成されている。外殻板22の上端部には、内殻板21の径方向外方に大きく膨らんだ膨出部22bが、各主殻板20の下端に一体に形成されている。膨出部22bは、自由漂流中に送電線などの障害物に引っ掛かりにくいように、球体2の赤道Xを中心として断面略半円状に形成されている。また、周方向に隣り合う膨出部22b同士は互いに連結されており、全体として内殻板21の全周を覆う環状体6として構成されている。
外殻板22の下端部には、内殻板21の下方に配置された断面円弧状の円弧部22cが形成されている。円弧部22cは、内殻板21と同一の曲率半径にて湾曲形成されている。球体2は、これら複数の主殻板20、内殻板21及び外殻板22の円弧部22cを組み合わせることによって球状に形成されている。本実施形態の球体2の内部構成は、第2の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
浮力体4は、球体2の内殻板21と外殻板22の膨出部22bとの間に隙間なく収容され、球体2の赤道Xにおいて径方向外方に大きく突出して形成されている。
突出体3は、球体2に対して着脱可能に取り付けられた突出本体部31を有している。突出本体部31は、その材質が鉄からなり、例えばSUS430の鉄クロム板を用いて有底円筒状に形成されている。また、突出本体部31は、その開口側端部に球体2の外周底部の形状に合わせて椀状に形成された取付部31cを有しており、この取付部31cは、球体2の外周底部に沿わせた状態で、複数の取付ボルト13によって球体2に固定されている。
突出本体部31の内部空間31bは、バラスト水が充填されるバラスト室とされている。突出本体部31の側周面にはバラスト室31bにバラスト水を注入及び排出するための貫通孔31dが厚さ方向に貫通して形成されている。この貫通孔31dには、当該貫通孔31dを開閉するプラグ(図示省略)が設けられている。本実施形態では、バラスト室31bに充填されたバラスト水(図10のクロスハッチング部)が、錘32を兼ねている。したがって、バラスト水の充填量を調整することで、錘32の重量を調整することができる。
本実施形態の津波用シェルター1によれば、突出本体部31内にバラスト水が充填されるバラスト室31bが形成されているため、球体2の中心から錘32を離反させるための突出本体部31を、バラスト水が充填されるバラスト室として兼用することができるため、津波用シェルター1の構成を簡略化でき、その製造コストを低減することができる。
また、バラスト室31bに充填されたバラスト水が、錘32を兼ねているため、津波用シェルター1の構成をさらに簡略化でき、その製造コストを低減することができる。
また、突出本体部31は、球体2に対して着脱可能に取り付けられているため、津波用シェルター1を運搬する際に、突出本体部31を球体2から取り外して分割することにより、津波用シェルター1の運搬作業が容易となる。
図11は、本発明の第5の実施形態に係る津波用シェルターを示す断面図である。図11において、本実施形態の津波用シェルター1は、第4の実施形態の津波用シェルター1の変形例を示すものであり、突出体3の突出本体部31及び錘32の構成が異なる点で、第4の実施形態と相違する。
本実施形態の突出本体部31は、円柱状に形成された中実体31eと、中実体31eの軸方向一端部に固定された取付部31cとを有している。中実体31eの外径は球体2の外径の1/3以下の長さ(本実施形態では約100mm)となるように設定されている。取付部31cは、球体2の外周底部に沿わせた状態で、複数の取付ボルト13によって球体2に固定されている。前記取付部31cは、複数のリブ31fによって補強されている。
中実体31eの軸方向他端部には、複数に分割された分割錘32aによって構成された錘32が着脱可能に取り付けられている。各分割錘32aは、例えば鉄板によって円板状に形成されており、各分割錘32aを図11の上下方向に積層することにより、全体として扁平球状に形成されている。このように錘32は、全体として扁平球状に形成されているため、自由漂流中に障害物に引っ掛かるのを抑制することができる。
各分割錘32aの中心部には、突出本体部31の中実体31eに挿通される挿通孔32a1が貫通形成されており、中実体31eに挿通された各分割錘32aは、一対のストッパピン14,15によって中実体31eに固定されている。各ストッパピン14,15は、中実体31eに挿通された錘32の上側及び下側において、中実体31eの径方向に貫通形成されたピン孔31gに着脱可能に挿通されている。これにより、下側のストッパピン15をピン孔31gから取り外すことで、各分割錘32aを突出本体部31に対して容易に着脱することができる。本実施形態のその他の構成については第4の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
本実施形態の津波用シェルター1によれば、突出本体部31は中実体31eを有しているため、その加工を容易に行うことができる。したがって、津波用シェルター1の製造コストをさらに低減することができる。
図12は、本発明の第6の実施形態に係る津波用シェルターを示す断面図である。図12において、本実施形態の津波用シェルター1は、球体2と、この球体2に対して着脱可能に取り付けられた突出体3と、球体2に対して着脱可能に取り付けられた浮力体4とによって構成されている。
球体2は、ハンドレイアップ成形により断面円弧状に形成されたFRP製の複数(3枚)の主殻板20を組み合わせて球状に形成されている。本実施形態の球体2の内部構成は、第2の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。各主殻板20の外周には、FRP製の複数(3枚)の外殻板22が着脱可能に取り付けられている。具体的には、本実施形態の外殻板22は、ハンドレイアップ成形により主殻板20よりも大きい曲率半径にて断面円弧状に形成された本体部22dと、本体部22dの上端から水平方向に延びるように屈曲形成された足載置部22aと、足載置部22aの一端部及び本体部22dの下端部から主殻板20の円弧形状に合わせて円弧状に形成された一対のフランジ部22eとによって構成されている。フランジ部22eは、主殻板20に沿わせた状態で、複数のボルト17によって主殻板20に着脱可能に固定されている。
周方向に隣り合う外殻板22の本体部22d同士は互いに連結されており、全体として主殻板20の全周を覆う環状体6として構成されている。また、外殻板22の本体部22dには、その内周面から径方向内方に向かって水平に延びる複数の仕切板22fが突設されている。本体部22dの内側には、仕切板22f及び足載置部22aとによって後述する分割浮力体4cを個別に収容可能な複数の収容室22gが形成されている。本実施形態の球体2の内部構成は、第2の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
突出体3は、球体2に対して着脱可能に取り付けられた突出本体部31と、この突出本体部31内の底部に外側に露出した状態で着脱可能に取り付けられた錘32とを有している。突出本体部31の材質は、球体2の材質(FRP)よりも比重の大きい材質で形成されていることが好ましい。本実施形態における突出本体部31は、その材質が鉄からなり、例えばSUS430の鉄クロム板を用いて有底円筒状に形成されている。突出本体部31は、その開口側端部に球体2の外周底部の形状に合わせて椀状に形成された取付部31cを有しており、この取付部31cは、球体2の外周底部に沿わせた状態で、複数の取付ボルト13によって球体2に固定されている。前記取付部31cは、複数のリブ31fによって補強されている。本実施形態の錘32は、第1の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
浮力体4は、主殻板20と外殻板22との間に収容された球体側浮力部4aと、突出本体部31の内部空間31bに隙間なく収容された突出体側浮力部4bとによって構成されている。本実施形態の球体側浮力部4aは、外殻板22の各収容室22gにそれぞれ隙間なく収容された複数の分割浮力体4cからなる。各分割浮力体4cは、各収容室22gに着脱可能に収容されており、ボルト17を螺合解除して外殻板22を主殻板20から取り外すことで、各収容室22gから分割浮力体4cを取り外しすることができる。これにより、球体2に対して各分割浮力体4cを着脱可能に取り付けることができる。
本実施形態の浮力体4は、第1の実施形態と同様に、外殻板22の足載置部22aが全周に亘って第2吃水線W2よりも上方に位置するように、球体2に浮力を付与するようになっている。
なお、本実施形態では、球体側浮力部4aを複数の分割浮力体4cにより構成しているが、突出体側浮力部4bを複数の分割浮力体により構成してもよい。
本実施形態の津波用シェルター1によれば、突出本体部31が、球体2の材質よりも比重の大きい材質で形成されているため、突出本体部31の重量によって、津波用シェルター1の重心位置を、球体2の中心からさらに下方に離反させることができる。
また、突出本体部31は、球体2に対して着脱可能に取り付けられているため、津波用シェルター1を運搬する際に、突出本体部31を球体2から取り外して分割することにより、津波用シェルター1の運搬作業が容易となる。
また、球体2に対して分割浮力体4cを着脱することにより、球体2に付与する浮力を簡単に調整することができる。
また、浮力体4の一部(突出体側浮力部4b)が、突出本体部31内に収容されているため、球体2の中心から錘32を離反させるための突出本体部31を、浮力体4の一部を収容する収容体として兼用することができる。これにより、津波用シェルター1の構成を簡略化でき、その製造コストを低減することができる。
図13は、本発明の第7の実施形態に係る津波用シェルターを示す断面図である。図13において、本実施形態の津波用シェルター1は、球体2と、この球体2と一体に形成された突出体3と、球体2及び突出体3の内部に配置された浮力体4とによって構成されている。
球体2は、ハンドレイアップ成形により断面円弧状に成形されたFRP製の複数(3枚)の主殻板20を組み合わせて球状に形成されている。各主殻板20の外周上部には、断面逆L字状の外殻板22が固定されており、この外殻板22には水平方向に延びる足載置部22aが形成されている。各主殻板20の内周には、複数(3枚)の内殻板21が取り付けられている。
内殻板21の大部分は、主殻板20よりも小さい曲率半径にて断面円弧状に湾曲形成されている。内殻板21の下端部には、床面23の下方において水平方向に延びる水平部21aが屈曲形成されており、各内殻板21の水平部21aの端部同士は突き合わせた状態で連結されている。各内殻板21の水平部21aの上方には床面23が設けられ、水平部21aと床面23との間には貯蔵室2bが形成されている。本実施形態の球体2のその他の構成は、第2の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
突出体3は、底筒状に形成された突出本体部31と、この突出本体部31内の底部に外側に露出した状態で着脱可能に取り付けられた錘32とを有している。突出本体部31は、第1の実施形態と同様に、FRP製の複数(3枚)の主殻板31aを組み合わせて有底円筒状に形成されている。突出本体部31の主殻板31aは、球体2の各主殻板20とともに一体形成されている。本実施形態の錘32は、第1の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
浮力体4は、主殻板20と内殻板21との間に隙間なく収容された球体側浮力部4aと、突出本体部31の内部空間31bに隙間なく収容された突出体側浮力部4bとによって構成されている。前記突出体側浮力部4bは、球体側浮力部4aの下端と連続して一体に形成されている。本実施形態の浮力体4は、第1の実施形態と同様に、外殻板22の足載置部22aが全周に亘って第2吃水線W2よりも上方に位置するように、球体2に浮力を付与するようになっている。
本実施形態の津波用シェルター1によれば、球体側浮力部4aを球体2の内部に収容しているため、球体2の外側を略球状に形成することができる。これにより、自由漂流中に球体2の外側に障害物が引っ掛かりにくいため、津波用シェルター1が障害物と衝突して破損するのを抑制することができる。
図14は、本発明の第8の実施形態に係る津波用シェルターを示す断面図であり、図15は、図14のA−A矢視断面図である。図14に及び図15おいて、本実施形態の津波用シェルター1は、図12の第6の実施形態に係る津波用シェルター1の変形例を示すものであり、球体2の内部における避難者の定員を減らして球体側浮力部4aの収容容積を図13の第7の実施形態の球体側浮力部4aよりも増加させている。
本実施形態の球体2は、ハンドレイアップ成形により断面円弧状に形成されたFRP製の複数(3枚)の主殻板20を組み合わせて球状に形成されている。主殻板20の外周面の周方向2箇所には、当該外周面に沿って鉄製の保護板18が固定されている。保護板18は、主殻板20における球体側浮力部4a(後述)が固定されていない箇所全体を覆っており、電柱のステップボルト等の障害物が主殻板20に突き刺さるのを抑制するようになっている。保護板18の板厚は、例えば1.2〜1.6mmに設定されている。
浮力体4は、主殻板20の内周側に配置された一対の球体側浮力部4aと、突出本体部31の内部空間31bに隙間なく収容された突出体側浮力部4bとによって構成されている。各球体側浮力部4aは、図13の第7の実施形態の球体側浮力部4aよりも体積が大きくなるように断面D型に形成されており、主殻板20の内周面と同一の曲率半径にて凸状に湾曲形成された球面4a1と、平面状に形成された壁面4a2とを有している。各球体側浮力部4aの球面4a1は、各壁面4a2同士が互いに対向して配置された状態で、主殻板20の内周面に固定されている。
各壁面4a2の下側には床面23が設けられ、床面23の下側には貯蔵室2bが形成されている。床面23の上側には、各壁面4a2の間に避難室2aが形成されている。すなわち、各壁面4a2は、避難室2aを形成する側壁面とされている。避難室2aは2人の避難者を収容可能である。避難室2a内には、床面23上に座った各避難者が両手で把持する複数(4本)のポール25が配置されており、各ポール25の長手方向両端部は、図14の上下方向に対して傾斜した状態で、主殻板20の内壁と床面23とに固定されている。
各避難者の上方の球体2には窓部28が設けられており、各窓部28の上側には、複数(3個)の通気口29が形成されている。本実施形態の球体2のその他の構成は、第2の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。また、本実施形態の突出体3は、第6の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。なお、突出体3は、図13の第7の実施形態に示すように、球体2と一体に形成されていてもよい。
本実施形態の津波用シェルター1においても、球体側浮力部4aを球体2の内部に収容しているため、球体2の外側を略球状に形成することができる。これにより、自由漂流中に球体2の外側に障害物が引っ掛かりにくいため、津波用シェルター1が障害物と衝突して破損するのを抑制することができる。
また、球体2の内部における球体側浮力部4aの収容容積は、図13の第7の実施形態の球体側浮力部4aよりも増加させることができるため、球体2に付与する浮力を増加させることができる。
また、各球体側浮力部4aの壁面4a2は、避難室2aを形成する側壁面とされているため、自由漂流中に避難者が各壁面4a2側に振られたときに、各壁面4a2がクッションの役割を果たす。これにより、自由漂流中のおける避難者の安全を確保することができる。
図16(a)は本発明の第9の実施形態に係る津波用シェルターを示す平面図であり、図16(b)はその津波用シェルターの側面図である。図16(a)及び(b)において、本実施形態の津波用シェルター1は、図14の第8の実施形態の津波用シェルター1の変形例を示すものであり、不使用時に球体2が転がり難い状態で球体2側を支持する架台19を備えている。この架台19は、突出体3を球体2の下方に垂下させた状態で球体2を支持するものであり、平面視においてC形に形成された支持部19aと、この支持部19aから地面に向かって延びる複数(本実施形態では3本)の脚部19bとを有している。
前記支持部19aは、その内径が突出体3の外径よりも大きく、かつ球体2の外径よりも小さく形成されており、支持部19a内に突出体3を挿通した状態で、球体2の下部に当接することにより、当該球体2を下方から支持するようになっている。前記脚部19bは、前記支持部19aの外周部に周方向等間隔に固定されており、その鉛直方向の高さは、突出体3の錘32が地面に接地しないように、突出体3の高さよりも長く形成されている。津波用シェルター1のその他の構成は、第8の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
なお、架台19は、地面に設置したジャッキ等により錘32を地面から離反させるようにしてもよい。また、本実施形態の架台19は、第1〜第7の実施形態の津波用シェルター1に適用することもができる。
以上、本実施形態の津波用シェルター1によれば、不使用時に架台19によって球体2を安定した状態で支持することができる。また、津波用シェルター1の突出体3は地面上に接地することがないため、地面に溜まった雨水等により突出体3が腐食するのを抑制することができる。
図17(a)は本発明の第10の実施形態に係る津波用シェルターを示す背面図であり、図17(b)はその側面図である。図17(a)及び(b)において、本実施形態の津波用シェルター1は、図16の第9の実施形態の津波用シェルター1の変形例を示すものであり、架台19の構成が異なる点で、第9の実施形態と相違する。本実施形態の架台19は、不使用時に津波用シェルター1を地面上に横倒しにした状態で突出体3側を支持するものであり、地面上に載置された架台本体19cと、この架台本体19cに突設された一対の規制部19dとによって構成されている。
架台本体19cは、例えば側面視において台形状に形成された矩形体からなり、その上面に突出本体部31の側周面が載置されている。架台本体19cの高さは、その上面に突出本体部31が載置された状態で、軸線Yが略水平となるように設定されている。各規制部19dは、架台本体19cの上面において図17(a)の左右両端部にそれぞれ突設されており、両規制部19dの間に突出本体部31が載置されている。これにより、突出本体部31が規制部19dに当接することにより、突出本体部31が架台本体19cの上面から図17(a)の左右両側に転がり落ちるのを規制することができる。その結果、球体2が地面上を転がるのを抑制することができる。
なお、本実施形態の架台19は、第1〜第7の実施形態の津波用シェルター1に適用することもができる。
本実施形態の津波用シェルター1によれば、不使用時に球体2が転がり難い状態で突出体3を支持する架台19を備えているため、不使用時に架台19によって安定した状態で支持することができる。また、不使用時に津波用シェルター1は地面上に横倒しにされた状態であるため、球体2のハッチ蓋26を地面から低い位置で開閉することができる。したがって、球体2内への出入りを容易に行うことができる。
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく適宜変更して実施可能である。例えば、上記実施形態の突出本体部31は、円筒状に形成されているが、角筒状に形成されていてもよい。また、浮力体4は、球体2が沈まない浮力を浮力するものであれば、その形状及び取付位置を任意に設定することができる。さらに、球体2や突出本体部31は、主殻板20,31a等により三分割するように形成されているが、二分割又は四分割以上するように形成されていてもよい。
1 津波用シェルター
2 球体
2a 避難室
2c 脱出口
3 突出体
4 浮力体
4a 球体側浮力部
4c 分割浮力体
19 架台
22a 足載置部
31 突出本体部
31b 内部空間(バラスト室)
32 錘
32a 分割錘
W2 第2吃水線(吃水線)

Claims (13)

  1. 津波到来時にその流れに乗って自由漂流する津波用シェルターであって、
    内部に避難室を有する中空状の球体と、
    前記自由漂流している状態で前記球体の下方に突出するとともに、その突出端側に錘を有する突出体と、
    前記自由漂流時に前記球体内が浸水した状態で、前記球体が沈まない浮力を付与する浮力体と、
    を備え
    前記突出体は、有底筒状に形成された突出本体部を有し、
    前記浮力体の一部が、前記突出本体部内に収容されていることを特徴とする津波用シェルター。
  2. 前記球体には、前記浸水した状態で当該球体の吃水線よりも上方の位置に、外部に脱出可能な脱出口が形成されている請求項1に記載の津波用シェルター。
  3. 前記球体の外周には、前記浸水した状態で当該球体の吃水線よりも上方の位置に、足載置部が設けられている請求項2に記載の津波用シェルター。
  4. 地面上に横倒しにされた状態で、前記球体側と前記突出体側とが接地した二点接地状態となる請求項1〜3のいずれか一項に記載の津波用シェルター。
  5. 前記錘は、津波到来時にその流れによって前記突出体が地面上を引きずられながら離陸する程度の重さに設定されている請求項1〜4のいずれか一項に記載の津波用シェルター。
  6. 前記浮力体は、前記自由漂流している状態で前記球体の赤道よりも径方向外方に突出して形成された球体側浮力部を有している請求項1〜5のいずれか一項に記載の津波用シェルター。
  7. 前記浮力体は、前記球体の内部に配置された球体側浮力部を有している請求項1〜5のいずれか一項に記載の津波用シェルター。
  8. 前記浮力体は、複数に分割された分割浮力体を有し、
    前記各分割浮力体が、前記球体に対して着脱可能に取り付けられている請求項1〜7のいずれか一項に記載の津波用シェルター。
  9. 記錘前記突出本体部に対して着脱可能に取り付けられている請求項1〜8のいずれか一項に記載の津波用シェルター。
  10. 前記錘は、複数に分割された分割錘からなり、
    前記各分割錘が、前記突出本体部に対して着脱可能に取り付けられている請求項に記載の津波用シェルター。
  11. 前記突出本体部は、前記球体に対して着脱可能に取り付けられている請求項1〜10のいずれか一項に記載の津波用シェルター。
  12. 前記突出本体部が、前記球体の材質よりも比重の大きい材質で形成されている請求項1〜11のいずれか一項に記載の津波用シェルター。
  13. 不使用時に前記球体が転がり難い状態で当該球体側又は前記突出体側を支持する架台を備えている請求項1〜12のいずれか一項に記載の津波用シェルター
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